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高等学校教育部会(第23回) 議事録

1.日時

平成25年12月9日(月曜日)9時30分~12時00分

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 孔雀

3.議題

  1. 高校教育の質の確保・向上について
  2. その他

4.議事録

【小川部会長】
 おはようございます。定刻になりましたので,23回高等学校教育部会を開催したいと思います。お忙しい中,御出席いただきましてありがとうございました。 まず,審議に入る前に,今日の配付資料の確認,事務局からお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,資料の確認をさせていただきます。
 お手元の議事次第に配付資料のリストがございます。資料1が,この高等学校教育部会における高校教育の質の確保・向上に係る審議のポイント(案)でございます。それから,資料2が,学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点(案)でございます。資料3が,前回,この部会におきまして各委員から頂きました主な意見をまとめた資料でございます。資料4が,後ほど,本日お話しいただきます前川東京工業大学教授に御提出いただいている資料でございます。
 また,本日お手元に参考資料を配付させていただいております。参考資料1は,本部会の委員名簿でございます。参考資料2は,とじたものでございますけれども,高校教育の質の確保・向上に係る参考資料をまとめてございます。後ほど資料2を使って御議論いただく際の御参考とするため,例えば,(参考1)では,高等学校の各学科に共通する教科・科目等,(参考2)が,全国学力・学習状況調査の中学国語B,数学Bの問題,それから,PISAの問題例をとじております。テストの内容などについて御議論いただくときの御参考にということでございます。また,(参考3)は,ジュニアマイスター顕彰制度,技能試験など,ペーパーテスト以外の評価についてまとめた資料でございます。(参考4)が,諸外国の試験,(参考5)が,これは高等学校の方から御協力いただきまして,高等学校の年間行事スケジュール例を学校種ごとにとじさせていただいております。後ほどテスト時期について具体的な御議論をいただく時に御使用いただくことを考えて準備したものでございます。それから,(参考6)は,高等学校卒業程度認定試験の概要でございます。また,最後に別途,参考資料3といたしまして,先日発表がございましたOECD生徒の学習到達度調査(PISA2012)のポイントでございます。あと,高等学校等就学支援金のパンフレットもお手元に配付させていただいております。
 不足等ございましたら,事務局の方にお申し付けいただきますようお願いいたします。

【小川部会長】
 資料の方,よろしいでしょうか。
 それでは,これから議事に入っていきたいと思いますけれども,前回もお話ししましたように,高校部会としますれば,年度末を目途に一定のまとめを行えるよう議論を進めていくということになっております。今日は,そのために,二つの点について,委員の方から御意見を伺う作業をしたいと思います。そして,最後に,今後の議論に資するということで,テスト理論に関して,外部から講師をお招きしてお話を伺うという,今日はそういう予定で進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 まず第1点目ですけれども,高校部会でこれまで審議してきた様々な論点について,一旦今日整理する必要がありますので,昨年8月にまとめた「課題の整理と検討の視点」,そして,本年1月にまとめた審議の経過を踏まえて,来年に予定している高校部会のまとめの構成について,皆さんから御意見を伺えればと思います。
 そのために,事務局から今日配付している資料1,審議のポイントについて,事務局からまとめていただいておりますので,今日は,はじめに,それを踏まえて,年度末に予定している本部会のまとめの構成について,少し意見交換を行っていただければと思います。それが今日の議題の最初の作業です。
 二つ目は,前回の審議に引き続いて,高校教育における学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点案について審議を頂ければと思っています。一言で言えば,この議題の中心とすると,「達成度テスト(基礎レベル)」について,前回も少し皆さんから御意見いただいたのですけれども,今日は更に少し具体的に議論を頂ければと思っています。その議論の参考ということで,最初に及川委員と長塚委員から,高校現場の御意見も伺いたいと思っておりますので,よろしくお願いします。
 最後に,先ほど言いましたように,今後の具体的な議論の参考に資するということで,テスト理論の専門家である東京工業大学の前川教授にお越しいただく予定となっております。項目反応理論について御説明いただく予定ですので,これは会議の後,質疑を含めて30分ぐらいを予定しておりますので,よろしくお願いします。
 三つ目に,先ほど事務局から説明のあった幾つかの資料について,事務局から説明していただくということになっていますので,よろしくお願いいたします。
 では,最初,今日の議題1,年度末にまとめを予定していますけれども,そのまとめの構成について,少し御意見いただければと思います。資料1に基づいて,これは事務局から御説明をお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,資料1をお手元に御準備ください。今,小川部会長より御説明いただきましたように,本部会,大体年度末に,このぐらいの項目について,先日来御議論いただきましたものをまとめていかれればという,各事柄,事項を並べたものでございます。
 一つは,検討背景とこれまでの検討経緯,それから,二つ目に,高校教育の質の確保・向上をめぐる現状・課題認識,三つ目といたしまして,高校教育の質の確保・向上に向けた基本的考え方,この辺り,星印を右に付けてございますけれども,前回の審議経過報告,1月までに集中的に御議論いただきまして,おまとめいただいた内容かと存じます。
 それから,四つ目でございますが,高校教育の質の確保・向上に向けた取組ということで,昨年8月までに御議論いただいた内容も含めまして,既に本年1月にも達成度テスト(基礎レベル)の導入等について,それから,多面的な幅広い資質・能力の評価について,御議論いただき,おまとめいただいているところでございますが,今般の再生会議の提言を受けまして,より具体的な御議論を頂くことになろうかと考えております。
 それから,4の(2)といたしまして,キャリア教育・職業教育の推進について,例えば,普通科等におけるキャリア教育の推進,それから,実践的な職業教育の充実について,総合学科における優れた取組の普及推進,高等学校専攻科の充実などにつきまして,別紙といたしまして,この資料1の次のページに添付させていただいておりますけれども,特に,例えば3番目の高等学校教育に期待されるものということで,「今後の高等学校教育は,どの学校においても,生徒の自立に向けて,全ての生徒に最低限必要な能力を身に付けさせるとともに,生徒の適性や進路等に応じて必要となる資質・能力を身に付けることが期待される。生徒の適性や進路等に応じた課題を踏まえた教育を行う」ということでおまとめいただいておりますけれども,その具体的な幾つかの,特にキャリア教育・職業教育の重要性ということかと存じます。
 また(3)で,多様な教育活動の推進ということで,これも別添の今後の施策の方向性ということで,幾つか事項を出していただいておりますけれども,例えば,定時制・通信制課程等における困難を抱える生徒等のための支援・相談の充実,あるいは,ICT等の活用による学びの機会の充実,それから,優れた才能や個性を有する生徒を支える取組の推進,高等学校段階における特別支援教育の推進などがあるかと思います。
 それから,その他といたしまして,多様な教育活動の推進の中の一つで,広域通信制高校というのもあるわけですが,特にその在り方の見直しということで,不適切な事案への対応ということで,当該高校の教員以外の者による指導ですとか,単位認定,卒業認定の形骸化の問題などについて御議論いただく予定でございます。この部分については,夏前に,調査を今後実施するということで,今後この点について御議論を深めていただくことになっており,また,これから特に御議論いただくポイントかと考えております。
 以上が,ざっくりと,イシュー,事柄として,この部会で最後取りまとめ,御議論いただいた点も含めてリストアップさせていただいたものでございますので,もし,先ほど部会長の方からございましたように,これでは足りない,あるいは,もう少し充実させた方がいいのではないかという点がございましたら,また新たな観点などを御議論いただければと存じます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。一応高校部会としての,年度末でまとめを予定しているわけですけれども,今まで議論してきた中身は,資料1ではおおよそカバーされているのかなと思いますけれども,ほかに何かございますか。
 よろしいですかね。よろしいですか。特になければ,資料1のこの案で,年度末のまとめに向けて今後作業を進めていくということで,一応了解いただくということでよろしいでしょうか。また,今後,審議の過程で,議論の展開によっては,またこれに新たな項目が付け加わるということについても全く構わないと思いますけれども,今日の段階では,一応こういう方向で今後議論を更に詰めていくということにしていきたいと思いますので。
 ありますか。では,荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 すいません。特に議論が,少なくとも私が出席しました回であったというわけではないのですが,こういったことを進めていこうとすると,当然のことながら,それらが十分にできるような条件整備というのをどうしていくのかということが非常に重要になってまいりますし,教育委員会制度の議論が動いている中ではありますけれども,実際に高等学校,とりわけ公立高校は都道府県教委が所管しているわけですが,そのほか,市町村教委の持っている高等学校もありますし,私立学校もありますので,国として,あるいはまた都道府県,市町村として,どういった関わりを持っていくのかというのは,少しまた考えなければならないと思っております。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございます。
 今の点についても,この間の議論でもたびたび指摘されてきた論点かと思いますけれども。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですよね。
 では,資料1のこの案については,現段階として了解いただいたということで,基本的にこれを踏まえながら,今後のまとめに向けた議論を進めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,今日の二つ目の議題に入っていきたいと思います。二つ目は,先ほど御紹介したように,高校教育における学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点を深めていくということで,最初に,事務局から,今日の資料では,資料2,資料3についてまず御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,資料2と資料3について御説明させていただきます。
 まず資料2でございますけれども,学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点(案)ということでございます。後ろに御参考といたしまして,前回のこの部会でお配りした資料を添付しておりまして,そちらでは,この部会で1月におまとめいただいていた各事項と,あと先般提言が出ました教育再生実行会議の提言されております内容を,それぞれ同じ事項ごとに整理したものを添付させていただいております。また,その一番後のページは,第四次提言で,「達成度テスト」に関する提言内容,基礎レベルと発展レベルで提言された内容を,御参考に添付させていただいております。
 それでは,資料2でございますが,先日この部会でも,部会長の方からも少し御指摘ございました,この部会でどこまでこの点について御議論を年度末までに深めていただくかということでございますけれども,大まかにこの資料2で示させていただいております各事項について,一定の方向性をお示しいただければということで,事務局では現段階でイメージしているものでございます。
 また,今日のこの資料の構成といたしましては,各事項,主な事項につきまして,幾つかの選択肢,考えられる大きな選択肢や方向性と,米印で記させていただいているものは,それぞれの留意事項でございます。留意事項については,各項目重なってくるものもございますので,全て網羅的に挙げたわけではないのですが,例えば,一つの選択をすれば自動的にといいますか,物理的にもう一つの選択が取りにくくなる,あるいは取れないといったような,そんな観点で留意事項を入れさせていただいているところでございます。
 それでは,まず一つ目が,この「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」についてでございます。また,大きな2は,後ほど,多面的な学習成果の評価の仕組みということでございますが,まずこのテストについて,一つ目が,試験の目的,活用方策でございます。高校教育の質の確保・向上に向け,高校教育における基礎的・共通的な学習の達成度を把握し,指導の改善に活かすこととするかということでございます。これは教育再生実行会議,あるいは,この部会の方でも取りまとめていただいた内容に一応即した点かと存じますけれども,この点につきまして,留意事項といたしましては,実施回をまたいだ比較,何度かのテスト結果の比較を伴う達成度試験を行うには,問題を非公開とするか,又は膨大な問題ストックが必要となるということに,その場合は留意が必要かと存じます。また,米印の二つ目ですが,問題を非公開とする場合には,きめ細やかな学校等における指導改善への活用ということが,今度は困難になる点があるということに留意が必要でございます。
 また,試験の目的,活用方策の大きな2点目ですが,その結果については,例えば,AO・推薦入試の場面などの対外的な場面において,自らの学力を証明できるようにし,生徒の学習意欲を一層喚起するものとするかどうかでございます。
 また,対象者につきましては,まず全国の高等学校・高校生等(浪人生等大学進学希望者含む)を対象とし,希望に応じて参加できるようにするか。それから,大学進学を希望していない一般の者,例えば,中退してしまった者,就職を希望している者等も含めて対象とするかどうかという点があろうかと考えます。
 また,3点目のテストの実施方法ですが,これは留意事項全体にわたってですが,試験内容,試験形態,時期・回数・実施場所等の具体的な検討に当たりましては,問題作成,あるいは採点の実施体制,費用負担について,当然のことながら,十分な留意が必要ということが全体としてあるわけですが,その中で,まず試験内容について,どのようなものにするかという点ですが,例えば,教科・科目の区分に対応した試験とするか,教科・科目横断的な教科に依存しない試験とするか。あるいは,その両者の組み合わせとするかという点がございます。
 また,基礎的・基本的な知識・技能や思考力・判断力・表現力等についてどのように問う試験とするか。
 それから,全ての高校生が共通に学ぶ共通必履修教科・科目(国語総合,数学1,コミュニケーション英語1)からの出題とするか,又は高等学校卒業程度認定試験と同程度(6教科8~9科目)とするか,あるいは,各学科に共通する全ての教科から出題するか。また,教科に依存しない試験とする場合には,対象教科・科目範囲は全てとするかどうか,そういった論点があろうかと思います。
 また,この点については,御参考に,学習指導要領の資料など,参考資料2に付けてございますけれども,米印のところですが,高校2年から3年にかけて履修させている科目も存在することから,この点については,試験の教科・科目,出題範囲は,実施時期を踏まえた検討が必要だということに留意が必要でございます。
 それから,普通科,専門学科,総合学科で共通の問題とするかどうか。非常に高等学校が多様化している中で,どのようにするか。
 それから,具体的に試験の難易度をどの程度とするかという点があろうかと思います。
 また,試験形態,2ページ目でございますが,問題の性質及び実施体制の観点から,試験は記述式とするか,マークシートとするか,それともその併用とするか。記述式を含む場合には,採点者の確保や結果提供に時間を要するということに留意が必要でございます。ですから,結果を活かしたいと考える場合でも,物理的な制約が出てきてしまう可能性が少しあると。
 それから,コンピュータベースドテスト,いわゆるCBTを導入するかどうか。
 それから,指導改善に活かす場合には,問題ですとか,あるいは採点基準を公開する必要が出てきますが,それをどのように考えるか。これは先ほどの最初の留意事項と重なる点でございます。
 また,結果を公表するかどうか。公表する場合には,公表内容や公表主体等をどうするか。都道府県別,あるいは学校別の結果の取扱い等についてどうするかという点がございます。
 また,実施時期・受験回数・実施場所等について。これは当然,試験内容や試験形態に両者それぞれ関連してくるわけですが,例えば,時期については,高校2年生から受験可能とするか,高校3年に限定するか。
 それから,複数回受験ということが再生会議の提言でもございましたけれども,その場合,年に複数回の機会を設けて,生徒が何回か,例えば病気などで受けられなかった場合にもう一度チャンスを与えるということにするのか,それとも,高校在学期間を通して複数の受験機会,例えば2年,3年,3年の前半・後半など,分けて,受験した後の,例えばどれぐらい学習成果が出たかなど,そういったことを見るようなものとするのか,この複数回受験というのも幾つかのパターンがあろうかと思います。
 また,実施時期について,いずれの時期に行うのが妥当かということで,あくまでも例といたしまして,夏季休業前の7月,あるいは夏季休業中の8月,その後の9月,冬季休業前,その最中,あるいは後の1月ですとか,年度末,それと,実施するのは授業中か,授業外か,例えば,放課後,週末,夏季休業期間か等,そういった選択肢についてあろうかと思います。この点についても,先ほど御紹介いたしましたが,参考資料2に,高等学校の方の御協力を頂いて,具体的な年間のスケジュールを少し添付させていただいておりますので,それも御参考いただければと思います。参考資料4の後に続いております。
 それから,少し重なりますけれども,高等学校の授業時間に位置付けて実施するのか。授業時間外に実施するのか。
 それから,高等学校で実施するか,あるいは,別の会場を設けて実施するのか。試験の監督体制をどうするか。この場合,特に全日制のほか,定時制・通信制を併置する高等学校もあること,あるいは,先ほど論点の1で申し上げましたように,高校生以外の高等学校に通っていない者も対象とする場合には,受験機会の確保なども考えないといけないという点に留意が必要かと思います。
 また,その他といたしましては,これは考え方の整理だと思いますが,高等学校卒業程度認定試験というものが今ありますので,それとの関係はどうするかなど,基礎レベルのテストについては,様々な観点を例として挙げさせていただきました。
 また,大きな事項の2といたしまして,生徒の多面的な学習成果の評価の仕組みの充実・活用方策についてでございます。この点については,一つは,職業資格・技能検定や民間の検定試験等の活用の推進ということで,具体的にどのような分野でこれらを活用すべきか,具体的にどのような活用方策が考えられるかという点がございます。
 また,幅広い資質・能力の評価手法に係る調査研究の推進についてでございます。
 それから,3点目が,必要に応じた,指導要録の様式の見直し(記載事項の改善)などによる学習評価の充実についてという点でございます。
 以上,資料2の御紹介をさせていただきました。
 また,この御参考といたしまして,資料3でございますけれども,前回,この達成度テストについて,あるいは幅広い評価について御議論いただいて,頂いた意見についてまとめたものでございます。主な意見ということでまとめさせていただいておりますが,基礎レベルのテストについては,目的,活用方策について,例えば,頂いた御意見では,最初の,達成度テスト(基礎レベル)について,全国の高校生の学力を一定レベルに担保するためなのか,一方で,幅広い教養やアイデンティティなどが大事という話もあり,部会でのその点の共通認識が必要であるという御意見。
 それから,個人が進学を見据えて受けるべき試験なのか,それとも国としてやるべき学力状況把握,それをフィードバックして各学校で教育改善につなげるための試験なのか,そこをどう考えるのか。
 それから,3点目で,例えば,高校部会での審議の経過では就職や推薦・AO入試等で,自らの学力の証明となり,それが学習意欲の向上につながっていくのではないかということで部会でもまとめられており,推薦・AO等で活用されるというところは教育再生実行会議の提言と整合性があるのではないか。そういった御意見を目的,活用方策について主に頂いているところでございます。
 また,時間の関係で全て御紹介するということはいたしませんけれども,対象者につきましては,試験の趣旨としては,希望参加型ということになると思うという御意見がございました。
 実施方法につきまして,試験内容につきましては,基礎レベルは,全ての高等学校において共通に身に付けるべきもので,試験(ペーパーテスト)で把握できるものでよいという御意見。
 それから,少し後になりますけれども,例えば,下から二つ目でございますが,思考力を問うような問題でいわゆる学力状況調査のB問題に係るような問題を中心にしないと,そのための準備をしなくてはならなくなるといった御意見を幾つか頂いております。
 また,試験の形態につきましては,質の保証や学習意欲を高めることが目的ならテストを受けるだけではなく本人へのフィードバックなどが重要ではないかという御指摘もございました。
 それから,実施時期・受験回数・実施場所について,高校現場が一番不安に思っていることは,在学中の複数回受験であるという御意見。
 それから,四つ目でございますけれども,定時制,通信制の生徒の場合ですと,学習の進度の面でかなり差があり,そういった多様化の中で,どういう形で受けることができるか,そういった御指摘。
 それから,入試に使うとすると監督官や問題保管の問題もあり,高等学校で実施するのは難しい。入試に使うのかどうかという点の御指摘を頂いております。
 また,3ページ目でございますが,その他といたしまして,高校生でも生徒の学習習慣の定着が非常に大きな課題であって,中学では,既に全国学力・学習状況調査で,生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査があり,これは現場で指導改善に役立っているなどの御意見も頂きました。
 それから,大きな2点目でございますけれども,テスト以外の高校教育の質の向上に向けた多面的な評価について頂いた御意見ですが,一つは,数値では判定が難しいものをプラスアルファしていかなければいけないという,そこを強化すべきだという御意見。
 それから,主体性,創造性,コミュニケーションなどはやはりテストで測るのは難しいので,テストだけではなく違った方策を見つけていくことが非常に必要であるという御意見。
 それから,最後に,日本の高校教育そのものを改善する動きになるようにすることが必要である。学習過程を評価するような評価の視点の在り方がもう少し議論される必要があるのではないかという御指摘を前回頂いております。
 以上,大変長くなりましたけれども,本日の資料の御説明です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 今,資料2,資料3に基づいて御説明いただきました。今の資料2,資料3をベースにしながら,これから学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点について少し意見交換をさせていただければと思います。
 意見交換に先立ちまして,先ほどお話ししましたように,議論のきっかけというわけではありませんけれども,及川委員と長塚委員から,委員の個人的な見解も含めていただいて構いませんので,特に達成度テスト(基礎レベル)についての高校現場での受け止め方等について,それぞれ5分程度ぐらいで申し訳ありませんけれども,少し御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
 では,最初に及川委員,そして長塚委員という順でよろしいでしょうか。では,及川委員から,よろしくお願いいたします。

【及川委員】
 それでは,全国の高等学校長協会の様々な研究・協議の場で出ている意見を集約したものを報告させていただきたいと思います。
 基礎レベルの達成度テストについてですけれども,4点ありまして,推薦・AO入試における基礎学力の判定に活用するという狙いについては理解できるが,その達成度テストのための勉強,それが生じてくることが予想され,さらに,在学中に受験というふうになれば,言葉が適切かどうか分かりませんけれども,事実上の受験勉強の早期化につながるのではないかというおそれを抱いているというのが1点目です。
 それから,2点目は,今申し上げました複数回受験が可能となると,その対策のための勉強,これが負担を増すわけですから,また,指導する学校,にとっても負担が大きくなるということが2点目です。
 3点目は,実施時期によっては,学校行事の配置,進路指導のスケジュール,それから,当然,授業進度にも影響が出てくることが予想されます。それから,発展レベルの方と併せると,今申し上げたような学校行事の配置であるとか進路指導スケジュール等への,影響が相当大きくなってくるということです。
 それから,実施科目によって教育課程に大きな影響が出ます。これは当然のことだと思いますけれども,先ほどの資料の中にあった,例えば,この基礎レベルについては,基礎的・共通的な学習となっていますので,イメージとして考えられるのは,共通必履修科目である国語総合,数学1,コミュニケーション英語1といったのが浮かびますが,先ほどの資料の中にあったような,それ以外の科目も実施ということになると,当然,これは教育課程そのものに大きな影響が出てくるということです。
 以上,大きくはこの4点,高校現場の方から出されている懸念ということで報告をさせていただきたいと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,長塚委員,お願いします。

【長塚委員】
 二つの達成度テストが一緒に提案されましたので,不可分の関係だろうと思いますので,基礎レベルだけのことではないのでございますが。教育現場では,組織的な検討をするという時間が十分ありませんでしたので,また,私学は多様でございますから,いろいろな意見があるということで,取りあえず聞こえてきているような意見を5点ほど御紹介しておきたいと思います。
 第一に,二つのテストの必要性や緊急性について,関係者の大方が納得するような説明がなされているとは言えないという感触を持っております。それから,もしセンター試験に問題があるということを前提とするならば,そのセンター試験にどんな問題点があるのかをもっと明確に示すべきではないかというような意見ですね。さらに,具体的に言えば,大学入学志願者の73.4%が既に受験しているわけですから,このセンター試験は,現状でも関係者などから基本的に支持されていると考えるべきではないかというようなこと,これが1点目でございます。
 次に,この提言では,大学入学者選抜において,いわゆる人物評価を加えた多面的な評価で判定するということなのですけれども,理想論としては理解できるのですけれども,公平性が著しく損なわれるということがもちろんあるということと,受験生が納得できるような客観的な人物評価というのは困難ではないかという意見です。仮に学校での諸活動が評価の対象になると,ためにする活動とか評価されやすい活動に偏重してくるということは否定できないわけです。私学には大学系列型の高等学校がたくさんあるのですけれども,その生徒が内部進学をする際には,人物評価は,少なくとも3年間の状況を見て判断しているわけです。人物評価というのは軽軽にはできないものではないかと考えているというのが2点目でございます。
 3点目は,2種類のテストを導入して,かつ,いずれも複数回実施して大学入試に用いるとなると,大学入試制度を多面的・総合的な評価で判定するものに代えたいという意図とは裏腹に,試験対策に充てる期間が否応なく長期化する。そして,テスト対策偏重の高校教育を生み出すおそれが多分にあるだろうという,そういう意見です。
 具体的に言いますと,高等学校の教育課程を十分にこなすには,やはり3年間相当の時間が必要なのであって,例えば,今回の指導要領改訂における理数教科の内容増加とか,英語のコミュニケーション力を身に付けるといったハードルを超えるのは,やはり決して容易ではない。したがいまして,高校3年間の早い時期にテストをするとなると,そのテスト内容や習熟度合いというのは相当に制限されますので,大学入試に用いることができるのかどうかという懸念もございます。
 また,テスト後の学習への意欲も,テストが終わってしまったのだというようなことで,意欲をそぐことにもなりかねないおそれがあるというようなこと。ですから,聞こえてくる意見の中には,それこそ大学は9月入学にでもして,高校教育をしっかり3年間させた上で大学入試をする仕組みにしてほしいというような意見もあります。もちろん,大学の9月入学というのは,それはそれでまた別の問題があると思いますけれども。
 4点目として,基礎レベルの達成度テストについてですけれども,各大学が推薦入試やAO入試で活用するかどうかは,各大学の判断でございますので,疑念があるということなのですね。つまり,入学生に高い学力適性を求める大学でも,あるいは,学生確保を優先する一部の大学にとっても,この基礎レベルのテストの利用は悩ましいことではないかと推測しているわけです。
 そもそも本部会の論議では,希望参加型で,生徒自身が学習の達成度を知って,更に学校では学習指導の資料とするということが提案されたわけですけれども,できるだけ多くの生徒が参加するように指導するということになれば,全国学力調査の高校版のような意味合いを持ってまいりますので,これには大きな異論がございます。つまり,高校進学率は98%でございますし,高等学校の入学選抜試験によって,学力状況の異なるそれぞれの学校に進学しております。したがいまして,生徒や学校によりましては,この基礎レベルのテストは全く意味を持たないばかりか,各学校の学力レベルを公的に判定して,更には,それを公表するというようなことにつながりかねない。これは厳に避けていただきたいものだという意見がございます。
 最後に5点目として,そもそも全国的な基礎レベルテストによって,各学校が学力把握をする必要があるのかどうかということです。実は,私立高校の大学進学率は公立高校よりも高くて,例えば,首都圏の一都三県では,今年の3月の現役進学率で言いますと,公立が51.1%であるのに対して,私立が73.5%となっています。全国平均でも,やはり私立が高くなっております。ですから,特に全国の三分の一を占める私立高校の各学校で,生徒たちの学力をはじめとした実態把握をしていないなどということはあり得ない話でありまして,各学校の実情に合わせて,様々なテストなどで把握ができております。また,公立高校でも,県によっては自ら工夫して統一的なテストを実施しているわけでございますから,それぞれの地域の実態に合った把握を,それぞれの地域で主体的にすればよいのではないかというような意見でございます。
 以上,提言された達成度テストは何分にも唐突感がございまして,かえってその結果を心配する意見が多く聞かれます。やはり教育現場では,単なるテストの仕組みによって学力伸長を図ろうとするのではなくて,高等学校や大学の教育の内容や方法を変革することが重要だと考えております。さもなければ,今回のPISA型の結果のように,テスト結果の順位は向上しましても,主体的に学ぶ意欲などは,やはり決して向上していかないのではないかと危惧しているわけです。
 大変長くなりましたが,以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,これから議論を進めていきたいのですけれども,御承知のとおり,今週の12日に高大接続特別部会との合同部会も予定されておりますので,本論点について,高校部会のある一定程度の共通認識を図った上で,できれば12日に開催される高大接続特別部会と高校部会との合同部会の場において,高校部会側からの報告をしていきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 議論の進め方ですけれども,資料2をベースにして,これから議論をしていきたいのですけれども,資料2でお示ししている論点,それぞれ全て重要ですけれども,その中でも特に(1)の達成度テスト(基礎レベル)の目的,活用方法をどうするかということが,やはりこのテストの性格や形態を決定する非常に重要な論点ですので,最初に20~30分ぐらい時間を取りまして,皆さんから最初に御意見を伺えればなと思っています。その上で,(2),(3),対象者,実施方法等々,他の論点に進んでいきたいと思いますので,よろしくお願いします。
 また,先ほど及川委員と長塚委員お二人から,高校現場の受け止め方ということで御意見を伺ったわけですけれども,お二人に対する質問等々も受け付けたいと思いますので,意見等々があれば,最初にそうした御意見,また,疑問等々について出していただければと思います。よろしくお願いします。
 では,最初に,達成度テスト(基礎レベル)の目的,活用方法等々について,まず御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。質問等々も受け付けますので,よろしくお願いいたします。
 では,上野委員,どうぞ。

【上野委員】
 質問です。
 達成度テストを考えたときに,今,基礎の部分と発展的な部分の二つに分けてありますね。私たち,大学でいろいろな学生を見て,高等学校の生徒さんたちにも接してという経験から,教育の有効性というのは,いろいろなことがあると思うのですけれども,例えば,子供たちがガウス分布をしているときに,うんといい方はそれなりの手立てをしないといけない。そうでない方もそれなりの手立てをしないといけない。ところが,中心付近にある非常に多数の人たちをより良くしてあげるのが,非常にたくさんの人に対する教育の有効性の表れるところのように思うのです。ところが,今議論になっている達成度テストのうちの基礎的な部分について,全部一律に公平にしようとするときに,高校進学者が実際にはほとんど義務教育を終えた人全員が入ってしまうような状況にあるときに,一体どういう視点で試験の問題を作って,どういうふうにやっていくのかというのは,どうしても何か背中がかゆくて,どうもはっきりとした意見を言いにくいというところがあります。
 そうすると,例えば,今,基礎と発展と2段階ですけれども,もう少し何かクリアカットな視点を入れられないか。以前,去年でしたか,高校部会の方で,生徒に対してどういうふうな教育をしていくかというので,三つのグループに分けましたね。選抜制の強い大学を目指すものであるとか,あと二つ分けたのですね。ああいうふうな視点でもしも何かをやっていくことができれば,より明確になるのではないかと思います。
 それで,例えば,公表したときに高等学校の差別化が進むという意見は,常に正論としていつも出ます。でも,公表しなくても,現状はもう既にそうなってしまっているのですね。それをより良い方向へ持っていく別な意味の努力が必要なのであって,今,達成度テストが必要であるというふうな基本的な理由というのは,やはりこれからの人口減少による社会の全ての力の低下をできるだけ支えてくれる人をより育成しないといけないということに関わってくるのだと思います。そうすると,高校生が今までよりはそれなりのいろいろな意味での力を持っていただきたいというのが,多分,達成度テストをやりたいという基本的な狙いになっているのだと思っております。そうすると,全部を一緒にやってしまうというふうな観点が先にあり過ぎると,どうしてもうまく,より持ち上げてあげたい人を持ち上げてあげるとか,そういうのが出にくくなるのではないでしょうか。もう少しクリアに目的を言っていただいた方がわかりやすいと思います。
 高等学校の先生方から出てくる意見というのは,どちらかというと,常にネガティブなポイントで意見が出ています。ところが,そうでなくて,生徒の力をもっと上げないといけないというふうな観点から,こういうふうな達成度テストを導入する側の意見は,明らかにポジティブな観点から意見が出ています。例えば,高等学校サイドで,ポジティブなことを前提にして,どういう工夫があればいいかというふうな意見が出ると,非常に私たちも考えやすいのですけれども,基本的には何かコンフリクトを起こしてしまっているような意見の出方になっています。その一つは,一番初めに申し上げたように,98%もの義務教育修了者が高等学校へ行っている状況において,全員に対してどうやって評価するかということをやっているわけですよね。それも学力に関する部分で。そこに明確な何かをもう少し入れてくださるというような説明があると,非常に考えていきやすいのではないかと思います。いかがでしょうか。

【小川部会長】
 今の質問は,どなたに直接お答えいただきたいですか。

【上野委員】
 高等学校からでも出ましょうし,例えば,部会長の方からも,もう少しこういうふうな方向とかですね。

【小川部会長】
 分かりました。

【小林教育制度改革室長】
 すみません,少しその前に。
 今,上野委員の方から御紹介いただきました,この部会で前に議論した高等学校の様々なグループ分けというお話なのですが,御手元の資料の分厚い,これまでのこの部会の資料をまとめた青いファイルでございますけれども,後ろから15ページから20ページぐらい行ったところに,この部会で8月におまとめいただいたまとめがございまして,388ページというところでございます。388ページに,8月の取りまとめの本文がございまして,そこに,下の方でございますが,3グループといいますか,選抜制の強い大学へ進学する生徒,選抜制の強くない大学へ進学したり専門学校へ進学する生徒,それから,就職する生徒ということで区分した課題についてございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,最初,どうしましょうか。先に高校側からもう少しポジティブなという話もあったので。どうしましょうかね。今御意見いただいた及川委員とか長塚委員,ほかの高等学校の先生方もいらっしゃるので,少し高等学校の先生の御意見を伺いながら。今の上野委員の話も,本当にこの達成度テスト(基礎レベル)の試験の目的,活用方法にもろに関わる論点ですので,特定の高等学校の先生方ということではなくて,この分科会全体でやはり議論すべきテーマだと思いますので。ただ,そのきっかけとして,高等学校の先生方,関係者にお話を伺えればと思いますので。

【上野委員】
 もう一つは,簡単な聞き方に少し変えます。例えば,今御説明いただいた資料の中にあった三つのグループありますよね。それを,例えば,一番右というのは少ないのだと思います。一番選抜制の激しい方というのは。真ん中の大きなところに対して考えたときに,どういうふうにお考えになるかということを伺うのがいいかと思います。両端を先に考えてしまうと,非常に難しいことが起こると思います。中間層が一番たくさんあって,そこを何とかしないと,恐らく将来が非常に危ういということは,もう皆さんお気付きだと思うのです。だから,そこをどうお考えになるかということをベースにして,意見を伺えればと思います。

【小川部会長】
 今,和田委員の方から手が挙っていますけれども。
 これまでの高校部会の,学習到達度テストと高校部会では言っていたのですけれども,その導入については,先ほど上野委員がおっしゃったように,全ての高校生を対象にしたテストというよりも,この高校部会の大きな議論は,特に,言葉は正確かどうか分かりませんけれども,中から下の層の現状を憂いて,そうした層の生徒の学習意欲の喚起と,その学習の成果の客観的な把握を目的とする,そうした学習到達度テストの構想というのはどうなのかというふうな議論をしてきていたように思います。
 それと,もう一つは,例えば,大学入試での試験はいっぱいありますけれど,例えば入試センターの試験というのは,そういう中から下の方の生徒たちの学力を把握するという点では,かなり把握する認知力というのは弱くて,やはりそういう大学入試を目的とした試験とは違った,そうした中から下の層の生徒たちの学力の状況をきちっと把握するテストは必要ではないかという,そういう議論の中で,本部会の到達度テストというような議論が出てきたような感じがしますので,その点は確認しておいていいのかなと思います。

【上野委員】
 そのとおりですね。

【小川部会長】
 和田委員,どうぞ。

【和田委員】
 そういうふうになると,なかなか私の言うことが答えにはならないかもしれませんけれども。
 やはり一番問題点は,到達した結果を見る試験なのか,それとも,到達過程で,これから更に上を目指していくというか,成果を上げていくために,その一つの途中段階の経過として見る試験なのかというところがはっきりしていないことだと思うのですね。この試験をして,結局,二つ目の推薦・AO入試などに使うということになれば,ある程度の到達した結果を見る試験かなというふうな印象がありまして,そうしたときに高校側がネガティブになるというのは当然のことで,それがいつ,どういう時期に複数回行われるのかというようなところがはっきりしないために,なかなか簡単には受け入れにくいというのが一つあるかと思います。
 ですから,学習状況調査的な,そういう狙いに絞れば,これは高等学校の教育の途中段階での確認ができると思います。そうなのか,それとも,やはり結果を見たいのかというところをはっきりしなければ,なかなかどういう性格のものにこの試験がなっていくのかというのが分からないために,高校側はどうしてもネガティブな意見を今持っているということだと思うので,まずそこをはっきりさせるべきだというのが一つですね。
 それから,もう一つは,希望参加型という言葉は,それはそれでいいと思うのですけれども,小学校,中学校の希望参加型の場合は,学校単位の希望参加型でありますけれども,これがもし仮に結果を見てAO入試に使われる,推薦入試に使われるということになれば,個人参加型でないと成り立たない。学校としてはそんなのは受けないけれども,個人としては受けたいという人も出てくるわけですから,そういうところの色分けといいますか,性質がまだ全然決まっていない段階で,高校側としては,なかなか肯定的に受け入れるという形にはなっていないのではないかなというのが私の意見です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 正に試験の目的,活用方法に関わる重要な論点というか,指摘だと思いますので,ほかの方も含めていかがでしょうか。荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 ポジティブかどうか分かりませんけれども,私は試験はするべきだというのを再三再四申し上げてきた立場です。高大接続テスト(仮称)もやるべきだと思っている立場で申し上げます。
 高等学校に長くいました経験で申し上げますと,生徒の学習の状況というのを知る方法としては,多面的なものがあるに越したことがないと思っています。限られた範囲の定期テストで分かるものというのは,やはり限られた範囲の力でありまして,それが長期的な記憶となって,本当に必要な力の基礎として活用できるかどうかというのは,これはなかなか分からない。だから,様々な角度から見るというのは,私は非常に重要であると思っています。
 かつ,今,和田先生がおっしゃいましたけれども,私も,これは生徒に対して一つの学習意欲を提供するといいますか,引き出すためのものでなければならないと思いますし,かつ,また学校としての指導改善につながらなければいけないと思いますので,そういう意味では,小中学校で行っている全国学力学習状況調査の趣旨とつながっているものであると思います。どうしてかと言いますと,もう再三御指摘のあるように,98%もの中学校が高等学校に進学しているという中で,学力に対する不安,これからの社会を担っていく生徒であると同時に,彼ら自身が本当に幸福に生きていくという意味で,新しい社会の中で幸福に生きていくという意味で,基礎学力を付けておかないといけないという点で,重要であると思うのです。
 もう一つ,私が,現在私立大学で非常勤講師をしておりますけれども,そこで入ってくる学生,高等学校教育を終えて入ってくる学生を見ていますと,本当のところ,様々な経験というのをしないまま入ってきている学生がとても多いです。それは,非常に残念な反省になってしまうのですが,高等学校教育が,ややもするとやはり画一的な,あるいは,将来の可能性というものを信じて行っている教育とは言いにくい部分があって,教職員の非常に昼夜を分かたぬ努力はありながら,しかし,視点がどうしても自分の学校の生徒に対してこういう力を付ければよいというふうな,そういう意味の画一なのですけれども,その結果,多様な学びを経験していない生徒が大学生として入ってきている。その学生たちというのが,大学で新たな学びを発見するということも当然あります。ですから,それはそれで救われているのかもしれませんが,しかし,果たして4年間の中だけで,そういった将来にわたって生きていく上で必要な,あるいは生活していく上で必要な力というのが培えるのかどうかということを考えると,まさしく教育課程,学習指導要領の精神がそうですけれども,連続して成長する児童生徒の学びを支えていく,その最後の後期中等教育を担う高等学校としては,やはり次につながっていくような力というのもきちっと付けておかないといけない。それを見るためのテストであるべきだと思いますし,単に「あなたはここまでできました。以上です」,「あなたは何判定です。以上です」ということで終わってしまうようなテストであってはいけないと思っています。
 ですから,その意味で,こういったことをすることについて,高等学校としても相当真剣に考えなければいけないと思っていますし,当然,各高等学校や,あるいは,これは公立,私立を問わずに,いろいろなところでいろいろな議論が行われているわけで,ややもすると,それはネガティブに聞こえる部分もあるかもしれませんが,非常に慎重に考えているというのは事実です。しかし,その中で,是非とも今いる生徒たちのこれからというのを考えたとき,例えば,10年後の成長した生徒からの要請を今どのように受け止めるのかということを考えて,このテストについては議論していかなければいけないということを思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。相川委員,どうぞ。

【相川委員】
 まず,この到達度テストというところが,保護者の間では,本当にまだ具体的なものが見えていないので,どちらかというと不安な部分の意見の方が多いのかなと思っております。先ほど高校側からネガティブな考え方,ポジティブな考え方というところでお話がありましたけれども,やはり今の段階ではネガティブな考え方の方が多いというのは,私のところに聞こえてきている部分では,そういうふうに私も感じています。
 では,それって何なのだろうと。ネガティブな考え方というのは何なのだろうというところになると,もう到達度テスト,基礎レベルは高等学校の方で実施するありきのようなもので,その具体的なものがまだ全然付いていないというところで,では,実際,今までやっている学校の中でそれを更に追加するのか,進学を重視している学校と就職の多い生徒,そして定通の子供たち等の,それぞれの習熟度の学校がある中で,このテストがどういうふうに利用されているのかというのは,本当に保護者としては全然理解できていないというか,そういう情報が得られていないというところがあるのだろうなと思っております。
 私自身,これは子供たちがAO入試で大学に入っているけれども,本来のAO入試の役割を果たしていない。AO入試は大学の定員を満たすために,早期に学生を確保するためだけに今利用されている傾向があって,本来のAO入試の丁寧な入試をして学生を採るという目的からは外れてしまっているのではないかというようなところが,たしか議論にもあったように思うのです。ですから,その辺のところをもう一度整理して,本当にこの達成度テストというか,最初の辺りは到達度テストというような仮称で議論されていたようなのですけれども,それをして生徒の到達度がどれくらいになるのかということをフィードバックをするというような意味合いの議論もあったように思うのです。何かその辺がすり替わってきているというか,少しずれてきているような気がしています。ですから,私としても,保護者に聞かれても,まだ何とも確かなものを答えようがないというようなところを感じています。
 そういう意味で,確かに,目的とかというのをきちんと押さえた上で進むということが必要だと思うのですけれども,これを本当にやっていくのだということなのか,これをまだまだ修正して,本当に基礎レベル――先ほど上野先生のお話のように,基礎レベルと発展という二つに限定するのではなくて,もう少し加工したものが可能なものなのかとか,その辺のところは,確かに3月という目途はありますけれども,実際,実施する子供たちの立場を考えたときに,先生方の立場,現状を考えたときに,まだ全然ガイドラインも何も,いわゆる青写真も見えない中で議論するというのは,非常に厳しいものがあるなと感じております。
 以上です。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。北城委員,どうぞ。

【北城委員】
 達成度テストの基礎レベルについて,実際の制度設計が決まらない段階で意見を言うのは難しいのですが,私は,まず,大学の入学者選抜の在り方が,今後,根本的に変わるという前提を置いています。発展レベルであれ,基礎レベルであれ,学力はこういったテストで確認するけれども,大学はそれ以外のこともいろいろ評価して入学者を選ぶようになると思います。テストの,点数が高いから入学できるのではなく,学力はあるレベルに達しているということを見た上で,大学はそれ以外の点も評価する。今後は,大学が多様なものを見ながら入学者を選んでいく仕組みに変わっていくという前提で議論すべきだと思うのです。
 ただ,大学によって非常に選抜性の高い大学と,必ずしも,そうでない大学があり,一つの試験で両方の要求を満たすのは難しいので,非常に高い学力を要求するところは,そういう学生を選別するために,発展レベルのテストをする。一方,そこまで高い学力を要求しないけれども,大学教育のために必要と考えるレベルの学力判定は基礎レベルで行うと良いのではないでしょうか。基礎レベルについても,合否というのではなく,その中にも段階を設けて,どの段階にあるかを測ることで,大学にとっても一定の学力があることが分かり,かつそれ以外の点も考慮して選抜をするという格好に変わっていけばいいと思います。就職に当たっても,企業は試験の成績だけで学生を選んでいるわけではなく,多様な面を評価しながら就職する社員を選ぶわけです。そのときに,ある,学生の学力はこのくらいの水準であるということを把握するために,この基礎テストが使えると,意味があると思うのです。そういう意味では,この基礎レベルとは,高等学校の3年のできるだけ後半にして,大学進学のためには,ある学力の一面を測る仕組みに利用できる,あるいは,就職においても,企業はこれをある部分の学力を見る一つの手段に使える,というような位置付けでいいのではないかと思います。それであれば,やはりテストを二つ導入し,なおかつ,時期はできるだけ3年の後半に行うとしてはどうでしょうか,それより前に受けたい人は受けてもいいけれども,更に後ろの方にも試験があるということを前提にして考えていけばいいのではないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 今までの議論,いろいろありがとうございました。ただ,試験の目的,あるいは活用方法のところで,もう少しお伺いしたいのですけれども。先ほど和田委員が非常にすっきり論点を整理していただいて。つまり,達成度テスト(基礎レベル)を考える際,到達の結果をやはり重視して,それを進路に活用するというところに重点を置くのか,それとも,むしろそういう結果を見るというよりも,学習のプロセスを丁寧に見る,そういうテストにするのかというのは,これは両方両立するようですけれども,やはり力点の置き方によって,かなり試験の実施の仕方,例えば,先ほど和田委員からお話があったように,学校全体として任意で参加するのか,学校単位ではなくて生徒個々の任意ということで対応するのかというふうなこととか,あと,和田委員が述べてしてくれた,結果を重視するというふうなこととプロセスを重視するというようなことをどちらにするかによって,例えば,先ほど資料2の論点にもあったように,試験を公開するか公開しないかという,そういうところにも微妙に違ってくるスタンスかと思いますので,そういうところも少し意識していただいて,もう少し委員の方から御意見を頂ければと思います。
 それと,時間も少し制約されていますので,今日でもう全てこの達成度テスト(基礎レベル)の試験の目的,活用方法をこの部会で決めるというのはほとんど難しいですので,当然,今後とも議論を追加しながら,更に深めていきたいと思うのですが,さらに,(1)の試験の目的,活用方法の問題というのは,先ほど見てきた対象者をどうするか,実施方法をどうするか,試験の中身,試験のレベル,試験形態等々にも関わることですので,(1)だけではなくて,(2),(3)の方にも論点を広げて,意見をお聞きしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。無藤委員,どうぞ。

【無藤副部会長】
 この達成度テストの基礎レベルは,私は必要だと考えておりますけれども。最も根本的なところまで戻ると,高校教育というものは,先ほど3種類の高等学校に分かれるという議論もありましたけれど,一体我が国の初等中等教育の中で,高校教育という枠というのは今後成り立つのかどうか,高校教育という一つの枠の中で整理できるかと,そういう問題になっているのだろうと思います。
 なぜ高校教育が高校教育として呼ばれ得るかと言えば,一つは,学習指導要領というものがある程度の共通性を持っているからだろうと思いますけれども,それだけでよいのかということだと思うのですね。そういたしますと,もう一つは,やはり高等学校を出たときに,卒業したときの一定の学習成果の保証ということに踏み込まざるを得ないのではないか。もちろん,現実には,そこでどういうテストであれば,そこに十分でない場合に,高校卒ではないよという,卒業認定という厳しいところにいくことはまた別な問題を生みますので,それを今言いたいわけではありませんけれど,基礎レベルの到達ということは,その程度のある割合というのですか,点数がこの程度までくれば一応高等学校の学力を満たすというふうに了解しましょうと,そういうことが示せるのではないかと思うので。
 しかしながら,現実には,学校も高校生も極めて多様ですし,学力水準は恐らく非常に幅があると思います。そういたしますと,基礎レベルの到達度テストというのは,どちらかというと,例えば,英語のTOEICやTOEFLのような,比較的幅の大きなところをカバーするような,そういう性質のテストにする必要があって,そういたしますと,技術的にはコンピュータベースであるとか,後で解説があるようですけれども,項目反応理論を活用したものとかいうことの中で,例えば,1000点満点で500点とか,300点とか,700点とかという,かなり幅を示していいということにすべきなのではないかと思います。
 それによって,私は,三つの効果があると思います。
 一つは,我が国の高校生が,ある程度参加してくれれば,全体としてどの程度の学力を結局は持っているかという,大ざっぱな様子が把握できます。これは国の文教政策としての説明責任の最も基本となるものなのではないかと考えます。
 二つ目は,各学校,各生徒にとっての学びの目途というものが出てくるだろうと。つまり,それぞれの学校,生徒によって目指すべきレベルは様々であっても,自分たちとしてこの程度までは行こうということが出てくれば,高等学校の偏差値その他の輪切りで学習を諦めることなく,それぞれの水準で目指すところというものを示せるのではないかと思います。
 そして,三つ目の効果というのは,高等学校の3年生のある時期にテストしたとしても,残り何か月か高校生活があり,更に半分ぐらいの生徒が大学に進学するとすれば,学びは継続するわけでありますけれど,そのときに,例えば,大学の学びというものは高校教育の延長ではありませんが,しかし,それを補うとか,得意なところを伸ばすとか,そういった生徒自身の自らの学力の診断,特徴というものを把握できるという良さがあるように思いますし,また,大学教員の立場で申し上げれば,私どもの大学などは,かなり補習というのでしょうか,高3の終わりから大学1年の初めに,それぞれの学生ごとに足りない点を補うということをいろいろ試みておりますけれど,そういう点でも参考になると思います。
 そういう三つの効果を目指すということを大きく目的とすべきであるというのが,私の意見であります。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。及川委員,どうぞ。

【及川委員】
 先ほど和田委員,それから,小川部会長がおっしゃったことですけれども,資料2の1,(1)の枠囲みのところが丸印で二つあるわけですけれども,指導の改善に活かすこととするかということと,それから,AO・推薦入試等で基礎学力判定のために活用するか,そういう性格とするかとありますが,この二つの性格というのは並び立つのだろうかと私は思います。
 昨年1月の段階で,審議の経過としてまとめられた提言の中に出てきた,高等学校学習到達度テスト(仮称)というのは,これはやはり質の確保の仕組みとして,指導の改善に活かすというのが趣旨だったと思います。ただ,それが生徒の学習意欲に結びつくことが必要ではないかということで,その結果については,例えばという,ここにあるような文言でまとめられたと思います。
 ただ,高等学校学習到達度テスト(仮称)の場合いは,この「AO・推薦入試の場面などの対外的な場面において」の前に,「就職や」という言葉が入っていたわけです。「就職やAO・推薦入試等の場面で」という文言だったと思います。つまり,基本は指導の改善ということが,したがって,そういう意味では,全国学力学習状況調査と同じ性格のものであるというふうに私は受け止めていました。それで,繰り返しになりますけれども,生徒の学習意欲に結びつくという点で,就職とかAO・推薦入試等で活用されると,そういうまとめ方がされていたと思います。
 ただ,改めて思うのですけれども,この二つの性格というのは,果たして並び立つのかなというふうに改めて思います。私は,教育再生実行会議の方から第四次提言で「達成度テスト(仮称)(基礎レベル)」という形で提言されたということは,推薦を入試における基礎学力の判定のために使うものであるというふうに,性格がそちらの方に移ったものというふうに理解しています。したがって,この「達成度テスト(仮称)(基礎レベル)」を指導の改善に活かすという狙いでいいのだろうか。私自身の受け止め方としては,推薦・AO入試における基礎学力の判定のための試験というふうに性格付けをした方が,私自身の中では非常にすっきりいけるなと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。少し論点というか,少しずつ見えてきているかもしれませんけれども。ほかにいかがでしょうか。あと,ほかの,試験の目的,活用方法以外でも,第1回目ということですので,広く皆さんからいろいろ今日は御意見を伺いたいと思いますので,よろしくお願いします。
 和田委員,何かございますか。

【和田委員】
 私も提言内容としては先生がおっしゃったように受け取っているところでありますが,やはり一つのもので二つの目的を求めるというのは,この場合,この二つの目的をどちらも達成するというのはなかなか難しいかなと思います。先ほどおっしゃったように,日本の高校全体の教育力を把握する,あるいは,高等学校が次年度の指導に活かすというようなことでは,当然,指導に活きると思いますけれども,受けた受験生の指導というのは,先ほど無藤先生がおっしゃった程度,受験後,次の段階に進むまでに,更にそれを反省して進むということぐらいにしか使えない。生徒個人が,高等学校の中での,いわゆる学習の中でそれを利用するというのは,なかなか難しいのかなというふうに理解しております。
 ただ,そうなりますと,基礎と発展ということ,多分,これは12日の会議の方の問題にもなるかと思いますが,どちらかを選択すればいいというような形のものになってくるのかなと。もちろん,自分の進路が二股である場合には,両方とも受ける必要があるということも起こってくるかと思いますけれども,自分の場合はどういう進路を探していくかということによって,どちらかを選択的に受けるというようなことが必要になる。その辺,結果的にはものすごく細かい話になりますけど,実施の日程が重なるのか重ならないのかとかいうような問題も出てくるかと思いますけれども,その辺のところが少し気になっているところです。

【小川部会長】
 服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 この到達度テストが指導の改善に結びつくかというようなことについて,私も長年高等学校の教育をやっていて,校長等の経験もあるのですが,現実に,いつも申し上げるのですが,専門高校等は,身近な資格試験等で絶えず達成度を確かめながら進級するというか,生徒が向上するということなのですが。
 要は,大多数が行っている普通科高校はどうなっているかということを考えてみますと,私は,指導の改善に結びつくというより,もう少しこれを広い範囲に取って,高校教育そのものの在り方が改善に向かうような方向になってほしいということを願っているのですね。現実に,高等学校の普通科では,当然のように定期テストというか,中間・期末テストというのが定期的に行われる。さらには,進学等を目指す,これは,普通科でもトップレベルとかいろいろありますけれども,大多数が校内での模擬試験,これは普通教科を中心に校内での模擬試験を各学期に1~2回ずつ行う。そして,その校内の模擬試験だけでは,実際に外部等の評価ができないということで,外部模試,これは様々な業者が行う模擬試験に参加させるということですね。そうなると,年間に,これ,ずっと見たら,本当に生徒は常に試験で追われているというような,そういう状況になっているのですね。
 例えば,今ここで検討されているような達成度テストが,高等学校で行われている様々な定期テストとか,校内模試とか,あるいは外部テスト,そういうものをある意味では精選して,そして,ここで検討されている,全国レベルの評価がある程度得られるような,そういうものになっていって,むしろ高等学校の先生方が,この試験に向かって――今申しましたように,今までやっているものをもう少し,例えば,定期テストをもう少し回数を減らすとか,校内模試はやめようとか,そんなふうに高校教育そのもの,特に普通科高校の,今本当に,特に普通科の先生は,現実にいかに生徒に学力を付けるかということで四苦八苦しているのですね。日夜努力しているのですね。そういう先生方の努力が少しでも緩和されるというか,そういう意味での指導改善というか,もう一度言いますと,高校教育そのものがいい方向になっていくようなものになってほしいということです。
 それから,もう1点は,これは難しいかもしれませんが,テストというのが,例えば,これに,たびたびここでも出てきましたが,人間性をどう評価するかというようなことについて,普通科高校でも本当によく頑張っている生徒は,もちろん,学力向上について頑張っているというのと,もう一つは,部活動等で本当に一所懸命やっている生徒,あるいは生徒会活動等で一所懸命頑張っている。部活動も,体育系,文化系,いろいろありますがね。そういったようなことが何か評価のポイントにつながるような,例えば,これに,自己評価を入れるというのは難しいかもしれませんが,,そういう生徒の日常の活動の中で,学力以外のものが評価に結びつくような視点も考える必要があるのではないかというようなことも少し付け加えたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 先ほど申し上げたことと同じことをまた重ねて申し上げるのですけれども。私は,指導の改善に活かすということを,このテストの主たる目的として何ら問題がないというふうに思っております。いろいろなお考えはあるわけでありまして,ですから,教育再生実行会議の御提言というのも尊重するわけでありますけれども,しかし,これが本当にこれからの若い人たちの力になっていくためのことを考えるということであるならば,学校の授業の改善に活かさないということは,それはむしろそういうものを入れるべきでないと私は思っておりまして。それを大学によってAOとか推薦に御活用になるのは幾らでもなさればよいので,むしろ主眼は,高等学校教育の改善に活かせないとだめなのではないか。でないと,高等学校教育にいろいろ課題があるということで議論を始めたのに,その改善に活かせないで,単に大学入試の基礎版と発展版の基礎版であるということにするというのは,どうなのかなということを思います。
 既に,実は業者の中には,そういったテストをやっているところもあって,採用している学校というのはたくさんあるわけですけれども,それらは基礎的な部分から発展的な部分まで見ることができて,正に生徒の学習をサポートすると同時に,指導の分析をすることによって,指導の改善に活かせているということがあります。そういったことを,このテストの持っている意味として,しかも,当然のことながら,こうして大掛かりでやるというわけですから,一つの業者がやっているものを各学校が採用するかしないかという話ではないので,是非授業の改善に活かすということで考えていくべきでないかなということを思います。
 それと同時に,専門高校は様々な資格認定をなさっていますけれども,しかし,その資格認定で見られる部分と,もっと言えば,単に資格を取るためとか,あるいは大学に行くためだけの学習意欲ではなくて,将来困難な問題に出会ったりとか,未知のものに出会ったりしたときに,そこに取り組んでいこうとか,何とかやってみようとかいうような,そういったこととか,あるいはまた,分かることの楽しさを実感するとか,そういうことにつながっているものでなければならないと思います。

【小川部会長】
 松野下委員とか長山委員,何かございましたら。

【松野下委員】
 総合学科ということで,私はこの場に出てきていますが,総合学科は生徒の個を大切にして,多様性を認め,一人一人の興味・関心,を大事にしようと作られた学校です。一方で多様化が進み過ぎて,教育成果がなかなか見えにくい,そういったことが課題として,指摘されています。今,全国の総合学科でも研究を進めています。総合学科は,学校の満足度が高く出てくる,これはすごくいいことである,その一方で,成果をどうするかということは検討を続けています。
 そういった中で,高校生の学力をどう担保するか,がこの部会で議論されていると思っています。私は,生徒が本当に基礎・基本的な力が付いているのかという学習成果を見る,ということは大事と思っています。もちろん,一方で,先ほどの話の中であった,生徒をどんどんと高く持ち上げて,国を引っ張っていくリーダーたちを,育てるということが大事かなと思っていますが,ボリュームゾーンである中間層の生徒たちの家庭学習時間が大変減っている,といったことも気になるところでありますので,学力中間生徒の学習状況を改善することは必要と思います。けれども,一方では,それが序列化につながらないような配慮が必要と思います。高校生はまだまだこれから伸びますので,早く目覚める生徒だけでなくて,ゆっくりと気が付き,伸びる生徒もいますので,そういった生徒も更に伸ばすような,そういった仕組みにしたいというふうに思います。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 長山委員,そして和田委員,長塚委員という順でお願いします。では,長山委員からお願いします。

【長山委員】
 私も,いろいろな先生方のお話を聞いていて,最初は,指導の改善ということと,それから,対外的な証明ということで,両立できるのかなというのが,なかなかイメージができなかったのですけれども。多分,この目的ですとか活用方策というところをはっきりさせて,それから,実施方法もはっきりしてくれば,もっと――もちろん,それも逆なのかと思いますけれども――なるかと思うのですけれども,やはり実際には高等学校の教育レベルを上げていくということを考えれば,指導の改善に活かす方向というのをメインに置いて制度設計がされていけばいいのだなと思っています。
 ただ,定時制・通信制,私の方の立場で言えば,学力,もちろん付けさせることも大事なのですけれども,それ以外の部分のところがやはりなかなか生徒にとっては不十分なところが多いわけですから,その部分にも力を割いていかなければいけないですし,そこをどうやって身に付けさせていくかというところも重要になってきますので,この部分が基礎レベルを確認するということで,定時制・通信制の生徒にも使わせたい,活用したいというところはありますけれども,その辺のところを私自身としてなかなかつかみ切れていないというところがあります。

【小川部会長】
 和田委員,どうぞ。

【和田委員】
 先ほどの発言で,指導の改善に活かせないというような趣旨に取られたのだったら,それは少し間違いだと思うのですけど。学校全体としては,当然,それは指導の改善につながっていくような使い方ができると思うのですけれども。
 ただ,現実問題として,活用としてAOとか,そういうものの材料に使うとしても,やはりそれに対して使われるということが分かっている場合に,なかなか高等学校それぞれの責任でもって問題を預かり,やるという,いわゆる中学校での全国学力・学習状況調査と同じような実施は,まず考えにくいのではないかなというふうに思うわけですね。
 そうすると,どちらかというと,受け方としたら,センター入試的な形で,個人がやはり受けるような形になってきたときに,では,学校単位のフィードバックということがどのように現実的になってくるのかというようなことがはっきりしない部分がありますし,自己採点みたいな形で学校としてはそれなりに把握しているわけですけれども,そうではなくて,やはり本校の生徒がどういうところが強かったのか,弱かったのか,あるいは,こういうことをすればもっと改善になるというようなことが分かるためには,学校へのフィードバックも必要なのですけれども。
 そうなったときに,本当に学校で実施する,今の中学校の全国学力・学習状況調査などは,別に高校入試には利用されていないわけですね。利用されていないから,割合公正に実施されているのだと思います。それでも,最近,学校間の点数評価どうのこうのということが問題になっていますけれども,個人個人にとってみたら,特にこれからの進路に対して利用されていないという安心感から,生活状況に関する質問などに,割合素直に答えているわけです。一日何時間勉強しますかとか,あるいは,家庭でお手伝いしますかとか。これがもしその人物を見るためのテストになってくると,当然,生徒はそこで相当それなりのバイアスをかけてしか答えないことになってくるので,そういう意味においても,本当のところ,実施の方式とかまで含めてきちっと考えないと,運用がうまくいかないのは何となく想像できるので,その辺のところも含めて,やはりまずどちらに主眼を置くかは考えた方がいいのではないかなと思います。

【小川部会長】
 長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 今の和田先生と重なるような意見なのですけれども,そもそも希望参加型でこの部会では達成度,到達度テストを考えていたわけですが,希望参加という際の主体は誰なのかということですね。個人なのではないかというふうに私は思っていたのですが,学校がこの結果を活用して状況を調べるとなると,これは学校単位の希望で参加するみたいな方向に少しなっているように思うのですね。こうなると,当初の趣旨からすると,この部会での考え方からすると,かなり違っているのではないかなと思います。
 以前にも何度か申し上げましたけれども,高等学校は小中学校と違って,入学者選抜で,学校別に相当な学力幅を持って存在していますので,絶対評価が高等学校の評価になっているとはいえ,ある学校で例えば5の生徒は,ある学校では1になるということもあるわけで,もちろん,その逆もあるわけです。そういう大きな差のある中で,学校別の状況を調べるというのに意義がないとは言いませんけれども,そういうふうに調べた結果,全国学力調査の,今回の流れのように,学校別の順位,平均点を発表するというふうな方向に――テストをやったのだから発表する責任があるのだというような,そういう論理でいってしまうと,結局,高等学校が構造的に持っている学校の学力差というようなものが無視されたまま,学校間の競争を非常に強いられることになるのではないか心配です。高等学校はそういう特殊な状況に置かれているということを前提に考えないと,単純に全国学力・学習状況調査のようなものをイメージされてはいけないのではないかということを強く感じております。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,安彦委員,お願いします。

【安彦副部会長】
 まず,全体に関係しますから,目的だけではないのですけど。先ほどお話があったように,そもそもこのテストについて,基礎と発展に分けるか分けないかというのは,まだ我々の方では何も決めていなかったように思います。金子委員はむしろ一つしか考えないという御意見だったし,私はどっちかというと二つに分けるという考え方でした。今回,たまたま再生実行会議の方からこれがおりてきているという前提で,今,こういう議論,基礎レベルをまずどうするかという議論になっていますけど,私たちはそもそもどうそれを考えるのかということを改めて考えてみますと,一つは,やはり高等学校の教育の質が,学校で教えたものがどれほど身に付いているのかというのは,最初はやはり大学側から聞いてきた流れだったと思います。そういう意味では,私たちの高大接続テストと仮称して勉強してきたグループの方向というのは,やはり大学側からの質の保証の視点というのを念頭に置いて議論してきた。高校教育部会は,先ほどどなたかおっしゃったとおり,就職やAO・推薦入試等に対するという,こういう就職も含めて視野の広い視点でこれを考えましょう,というふうになってきたと思うのです。
 その段階で,今の質保証というのは,要するに,一言で言えば,外からどう見られているかということですね。産業界,あるいは一般社会から,高等学校の教育というのはどれだけのものを身に付けさせていると言えるのか。それをたまたま大学が最初に口火を切ってきたということだったと思うので,そういうふうに言うと,やはり一つ,一番何と言っても求められていたのは,質を第三者に対して客観的に,これだけのものを身に付けていますというものを示す,ということが意識の前提に私たちにはあったと思います。
 そういう意味で言うと,指導の改善に活かすか活かさないかということよりも,これは実施主体と関係があるのですけど,このテストを,例えば専門高校のように,外部の一定の団体が資格試験をやるとか何とかということで,そういうことで一定の質の担保を対外的に示すという,そういう方向を考えるのか,あるいは,ここで今議論しているような,高校教育側,あるいは大学と高等学校が一緒であれば,そういう形でもいいのですが,教育している方の主体の側がこういうテストを考えて,それを外部に対して示すというふうに考えるかということが,言ってみれば,まだはっきりとしていない。どちらかというと,この二つに分けた場合には,基礎レベルの方は,高校側が責任を持つものではないか。もしそういうふうに言った場合にはですね。発展レベルの方は,大学も関係するので,高大協力して責任を持つというふうな形になるのかなと思います。
 ただ,しかし,両方とも,これは今申し上げたように,客観的に第三者ではないですから,ある意味で主体側の自己評価になると思うのですね。そういう自己評価を,いかに,どういう目的に使うかということになるわけで,そうなると,どちらかというと,自己評価というのは,やはり自分たちがやってきた活動に対してチェックを入れることですから,指導の改善,あるいは子供たちの学習の改善に役立てるということが主たる狙いになって,客観的にこれだけの力を高校生が付けていますねというのは,本当は完全な第三者にやっていただくべきことではないかなというふうに思います。今,まずは評価理論的に言うと,主体が第三者か主体側かというのは,一つ大きなポイントになります。この点も,でも,まだはっきりと決まっていないということです。
 それから,対象者ですけど,先ほどお話があったとおりで,学校が対象なのか,個々の生徒が対象なのか。これによっても,やはりそこにありますように,浪人とか,あるいは不登校の人たちも受けられる性質のものだとすると,今,従来の高校卒業程度認定試験のようなものに類するものを考えるということができるわけで,そういうものではないよというのであると,やはり小中の全国学力・学習状況調査のような,あれは,要するに,義務教育の成果をどれほど身に付けているのかということを,いわば政策評価として求められているのでやったわけで,高校の場合に,今の議論というのはそういう性質のものなのか,それとも,やはり一人一人の高校生に当たるこの時期の子供がどれほどの力をちゃんと身に付けたかということをチェックするということなのか。私は,浪人生等というのを含めて考えるとすれば,個人の方になってくるのかなという,これもまだ話が固まっていないかなと思います。
 それから,内容,形態,実施等も,実はそういうことと関係するわけで,まだ内容のことをほとんど議論していませんけど,私はどっちかというと,前からコアのコアというか,非常に狭く考えてきておりますけれども,少なくとも教科・科目でやってしまうと,先ほどいろいろな委員の方がおっしゃったように,すぐに受験対策で,高校側は子供たちをそちらの方に向けさせるだろう。ですから,そういう出し方というのはまずいなと思っています。そういう意味で,クロスというか,総合というか,教科横断というか,何かそういうものを考える,工夫としてはそういう必要があるのかなと思います。
 実施時期もそれと絡まりまして,指導の改善に活かすというのであれば,やはりそれが活きるような時期に複数回やらなければいけないと思うのですね。その辺は,そうでなくて第三者機関が客観的というのだったら,ぴしっとある時期に1回だけでもいいわけで,それは2回でももちろんいいです。これはTOEFLのように,複数回可能なような時期を用意してあげればいいということになるわけです。
 そういうことも含めて,全体として,まだここでこうですという方向はなかなか決まらないですけど,論点そのものははっきりしてきて,そして,それについて先生方の御意見がだんだんはっきりしてきたなというふうには思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 予定の時間はほぼなくなっていますけれども,もしも1,2ございましたらいかがでしょう。最初に御発言いただいた上野委員,何かございますか。今までの議論を聞いて。

【上野委員】
 結構です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 すみません。冒頭,私学の方の現場の様子をお伝えしたものですから。
 今回の提言については,冒頭に申し上げましたように,唐突感があるということで,現場でやはりネガティブにならざるを得ないような状況です。テスト中心に進められたときの負の側面というのをいろいろと心配しているわけです。そういうことをお伝えしなければいけないと思いますので恐縮です。聞こえてくるのは,やはりそういう心配の声だけであって,今のところ,今の入試制度などがそんなに悪いのかという,その問題意識が現場では余りないというのが背景にあるのだろうと思います。
 私個人は,この間の論議をしていて,いろいろと状況というのをつかんではおりますけれども,現場の先生方は,余りここで論議されているような問題点,あるいは問題意識というのを,まだそこまで持ち得ていない。ですから,そういう面も含めて,しっかりと丁寧な進め方をしないと,やはりテスト偏重に,いきなり対策に不安の余りいってしまうようなことになりかねないということはしっかりと押さえておかなくてはいけないのだろうと思います。
 特にこの二つのテストが同時に行われるとなると,やはり学力中間層の生徒は両方のテストを意識するようになるわけですので,中間層の一番人数の多いところが二重負担になるような,そういうことにつながっていくだろうというようなことも,懸念しているところでございます。もう試験があれば,その準備をしなければいけないというのが,現場の役割のように思ってしまっているのが,これがまた問題だと言われれば,そのとおりなのであります。ですから,どうしてもここで達成度テスト(基礎レベル)をやるのであれば,この前少し私見で申し上げたのですが,思考力を中心としたようなテストで,準備を要しないようなものでない限り,それはまた,ある意味,学力が低位の者であっても,新たな能力を開発する,あるいは,それを見ることができる,評価されるような,そういう仕組みがあってもいいのではないか。これは私見でありますけれども,そういう視点で,なるべくテスト偏重に現場が陥らないような,その対策に陥らないような,そういう施策を是非考えていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 今日は学習成果や教育活動の把握・検証に係る論点について,本部会として,本格的に,目的,制度の有り様を含めて組み込んだ第1回目の議論であるということですので,今日は様々な御意見を伺いました。ありがとうございました。これまで以上に論点,そして争点というか,そういうことも以前よりも明確になってきたのかと思います。今後引き続き部会で更に深めた議論をして,できれば最終まとめで何らかの共通認識まで持っていければなと思っています。よろしくお願いします。
 それでは,今日三つ目のテーマですけれども,今日お越しいただいた東京工業大学の前川教授より,項目反応理論について御発表いただいて,少し委員との間で質疑応答をできればと思います。よろしくお願いします。
 では,前川先生,よろしくお願いいたします。

【前川教授】
 東工大の前川と申します。よろしくお願いいたします。申し訳ございませんが,座ってお話しさせていただきます。
 項目反応理論(IRT)についてということなのですが,世の中ではテストの性能を数学的に研究しているグループがありますので,その辺のところのお話をさせていただきます。アウトラインとしましては,日本で行われているテストの特徴をまずお話しして,その後で,項目反応理論というものに関してお話しさせていただきます。
 日本的テスト文化といいますのは,幾つか特徴がございます。それを挙げさせていただきます。
 大体日本の大きな大規模テストと呼んでいますものは,年に一度,同じ問題で試験を一斉に実施するという特徴がございます。
 それから,出てくる問題は,そのたびに必ず新しい問題が出てくる。(プリテスト無し)と書きましたが,これは前もって試験問題をどこかで試して,この問題は性能がいいから使おう,これは性能が悪いから捨てようとか,そういう作業をしないということです。
 それから,試験問題が公開されることが多いです。
 それから,大問形式の利用というのは,何か文章を読んで,それに関して幾つかの複数の問いに答える形の問題が多いということ。
 それから,問題作成とテスト編集の融合。これは少し分かりにくいと思いますが,問題の素材を提供してくださる方と,それをまとめて一つのテスト冊子を作るという人が,ほぼ同じ人がやっているという形です。
 それから,テストの専門家の不在というのは,テストを測定の道具として統計的に扱って編集する人がいないという形。
 それから,出てくる成績が,例えば,50題のテストで1問の配点が2点だとすると,100点満点みたいな形で,項目の正誤,間違ったか正答したかというのに配点という重みを付けて足し合わせたものとして点数が出てくる。だから,0点と満点が決まっているという場合が多いです。
 では,日本以外の国はどうなっているか。ここに世界標準と書きましたが,必ずしも世界標準というわけではないのですが,皆様方が御存じの,大規模な言語テストがあります。例えば,TOEFLとかTOEICとかいろいろなテストがございますが,そういうテストを少し想像していただきたいと思いますが,あとアメリカの入学試験,SATとか,ACTとか,大学院のGREとか,あとはMBAを取るためのテストがございますけれども,ああいうテストはどうなっているかと言いますと,大体今私が述べました日本的試験文化の逆をいっています。
 年に一度,同一問題という代わりに,この括弧の中に書きました,年に複数回,異なる問題を使って一斉実施ではなく分散実施をしています。例えば,TOEFLなんていうのは,いつでも受けられるみたいな形を目指しているわけですね。出てくる問題は人によって違うという形です。
 それから,新作問題のみということに関しましては,統計的に性質が判明している良問のみを出題しているということになります。
 それから,試験問題の公開ということに関しましては,試験問題は基本的に公開しておりません。これはなぜかということなのですが,一つは,いい問題を作り続けることが無理があるという事情があります。大体大学入試センター試験とか,その前の共通一次試験とかが導入された理由というのを思い出していただきますと,いい問題を作れなくなって,難問・奇問ばっかりが増えたので,ああいう形にしようということだったのですが,いい問題を作り続けるというのは,基本的に無理です。これはいつか破綻してしまいます。ですから,いい問題はリサイクルして使いたい。そういうためにも,非公開にしたいということです。
 あと,大問形式の利用に関しましては,独立的な小さい項目が出てくることが多い。大問を使うこともあります。
 それから,素材提供者とテスト冊子を編集する人が分かれている。それから,統計的な心理測定の専門家も参加しているということ。
 それから,素点ではなく,いわゆる尺度得点と言われている,余りなじみのない点数が出てくるという形です。
 それで,今行われている日本の大規模試験の現状なのですが,少し小さくて申し訳ないのですが,司法試験,公務員試験,保健師助産師看護師,あと大学入試センター試験等は,私が今書きました日本的試験文化の下で行われております。
 医師国家試験なのですが,これはある時期プール制という,項目をリサイクルする方法を目指したのですけれども,ちょうどそのときに出ました情報公開法辺りのあれで,プール制へまだ移行しておりません。
 それから,もう一つの国家試験であります情報処理技術者試験,この中のITパスポート試験というのが,これは数年前からいわゆるコンピュータを使って,しかも,項目反応理論を使った形で,いつでもどこでも受けられるという形の試験として実施されております。国家試験の中でも,このITパスポート試験,情報処理技術者試験は,既にIRTで実施されているということです。
 あと,医療系大学共用試験というのがございまして,これはやはりコンピュータを使って,IRT,項目反応理論を利用して使われているのですが,これは6年間医学教育をやりますけれども,その最後の2年間,臨床実習をやります。その臨床実習に行かせていいかどうかの見極めをする試験という試験です。最初にお医者さんと歯医者さんの試験ができて,その後,薬剤師ができました。それから,今,看護師と獣医の方も,このような形で,全く同じような形で実施するのを計画中ということになっています。同じような形なのですが,IRTを用いたCBTという形なのですけれども,実施主体は,みんな別の主体が実施することになると思います。
 日本留学試験,これは,文部科学省の管轄する試験の中で初めてIRTで実施した試験です。CBT,コンピュータを使った試験ではございません。これはなぜIRTを使ったかというと,日本留学試験というのは,日本人が受ける試験ではありません。日本の大学で学びたい外国人が受ける試験ということで,日本流の試験文化の下で作るのはまずいということで,これはIRTで作成した試験です。2001年ぐらいから始まっております。現在も実施中です。ただし,コンピュータを使った試験ではありません。
 あと,日本語能力試験という,これは年間に50万人ぐらい受ける日本語の能力試験がございますが,これはつい最近IRTに変更になりました。
 あと,JETROの試験とか,いろいろあるのですけれども,一つだけ,これはIRTとかCBTの関係ではないのですが,法科大学院適性試験というのがございました。これは,かつて日本で初めて同じ目的のために二つの試験が並立したという試験であります。それで,競争原理が働いて,うまくいい方が生き残るかなと思ったのですが,うやむやのうちに片一方が落ちてしまったという,そういう形だと思います。
 それで,テスト理論という分野がありまして,私,出身は心理学,計量心理学なのですけれども,その中のテスト理論という分野があります。古典的テスト理論,項目反応理論という二通りテスト理論があるのですが,いずれにしても,テストを統計的に分析するという学問分野です。
 それで,基本的には,テスト得点というのは,観測されるテスト得点というのは,真の得点に誤差が加わったものだというふうに考えます。これが古典的であれ,項目反応理論であれ,基本的な概念です。それで,できるだけこの部分を取り除きたい,できるだけこちらの部分だけ欲しいということなのですが,この観測される得点,例えば,私が何かの試験で500点を取ったとすると,実は480プラス20かも分からないし,520マイナス20かもしれないということなのですが。観測される得点は,決して真の得点ではありません。どんなに立派なテストを作っても,必ず誤差の部分が付随します。その誤差ではない真の得点の割合,これをテストの信頼性と呼んでいます。これは古典的な理論の概念なのですが,項目反応理論の方でも,この信頼性の大きなテストを作るということを目標としています。
 それで,項目反応理論というか,テスト理論に関しまして,等化と尺度化という話がございます。等化というのは,複数のテスト・フォーム,これはテスト冊子のことです。例えば,大学入試センター試験で言いますと,本番に使った試験と追試験用の試験,1週間後にやる追試験の問題,二つフォームがあるというふうに考えてください。複数のフォームの得点を比較可能にする作業を等化と呼んでいます。尺度化というのは,得点に意味を持たせることというので,あるテストの何点はどういう意味だよということです。
 今回は等化のお話をさせていただきます。複数のテスト・フォームが比較可能になるための条件ということなのですが,例えば,達成度試験ができたとして,学生さんは,いつでも,どこでも,僕はこの科目はマスターしたと思うから試験を受けたいというような形で受けるとします。同じ問題を出すわけにはいかないのですけれども,比較可能なための条件というのは,共通受験者がいること,例えば,学力が同じと考えられる集団,若しくは,同じ受験生が複数のフォームを受験しているという条件があれば,複数のフォームを比較可能にすることができます。もう一つは,複数のテスト・フォームに同じ項目が含まれるという条件があれば,比較可能にすることができるということです。
 それで,例えば,これはセンター試験のデザインなのですが,ここに年度を書いています。こちらに項目群というのがあります。例えば,これが年度1の本試験,年度1の追試験としますと,今のセンター試験は,こういう形でできています。本試験と追試験に関して,共通に含まれる項目がない。しかも,同じ受験者は受けないという形です。こういう形で試験を作りますと,ここのところの平均点は,厳密に言うと,比較は可能ではないということです。このテストが易し過ぎて,このテストが難し過ぎる可能性がなきにしもあらずかなということです。
 共通項目ありというのは,こういう場合です。本試験と追試験の間に項目2というのが共有されているような場合。追試験と次の年の本試験の間にも項目3というのが共有されている。こういうのが共通項目ありということです。このときは,この共通項目の出来不出来で,その受験者集団の能力の差というのが分かりますので,比較可能になるというような形です。
 共通受験者ありというのは,例えば,本試験と追試験を両方同時に受けた人たちがいるという,この紫の部分,そういう場合です。この追試験と次の本試験を同時に受けた人がいる。このような場合でも,比較可能にすることができます。
 それで,例えば,医学部共用試験というのは,ほぼ一人一フォームみたいな形で,コンピューターを使って出題されています。しかし,よく見ると,どこかでつながっているというようなことがございます。
 項目反応理論に関しましては,日本では主に計量心理学と言われる分野で,心理学者が研究してきました。日本では,最初は慶應大学の印東先生,鮫島先生辺りが1960年代に研究を始められております。世界的には,米国の,ロードという人が1950年代に博士論文を書いたのですが,その直後からこのお二方は研究されていまして,こういう先生方,こういう先生方,この辺が今ちょうど,そろそろ退官かなという,このmが私なのですけれども,という時代で,それに続く方々も大勢おられると。
 これとは別に,民間企業でも結構項目反応理論を使った試験をやっているところがあります。例えば,達成度試験なんていうのは,こういうところへやれるかと聞くと,絶対やれると言うと思います。項目反応理論を使って。今,日本では,結構民間企業も項目反応理論を使ってテストを作っているということです。
 それで,項目反応理論というのは,テストに含まれる項目というのは,一つ一つの問題ということです。最小単位です。統計的性質を調べるということです。項目の特性というのは,項目パラメータという形で推定されます。項目パラメータというのは,集団に依存しない項目の統計的性質ということで,主に項目困難度とか項目識別力とか言われているものがございます。
 項目特性というのは,横軸に能力を取ると,ある項目はこんな形で正答率が上がっていく,別の項目はこんな赤いような形で上がっていく。その赤と黄色と緑の違いを,ここにありますaとかbとかいうパラメータで区別しようという,そういう話です。普通,項目反応理論を使って項目を分析しますと,一つの項目に関して二つの値が付きます。aの値とbの値ということです。
 それで,例えば,何か小論文を書かせて,それを4段階で評価したような場合にも,やはり項目反応理論は使うことができて,一番下のカテゴリーは,能力が上がるに従って,それで答える確率が減っていく。それから,この辺の,例えば下から2番目の評定値がこの辺でピークになる,その次はこの辺がピーク,すごくできる人は最大のカテゴリーで評定されるみたいな,こんな形のモデルを使うことも可能です。
 aパラメータ,bパラメータというお話をしましたけれども,bパラメータというのは,項目の正答率,通過率と言われているものとほぼ逆相関の関係があります。正答率が高い項目は,困難度が低いという形になります。aパラメータというのは,項目と合計点の相関みたいなものです。では,項目反応理論で得られる能力値θというのと正答数というのはどんな関係にあるかというと,ほぼ直線的な関係にあるということです。
 それで,例えば,3項目からなるテストがあった場合,能力値がこの辺の人が,その3点満点のテストに何点を取るかというのを考えます。そうすると,その3項目の項目特性曲線というのは,この下に書いた3本の,先ほどの赤,黄色,緑だったとしたら,それを足し合わせると,その人がそのテストで大体何点を取るかが分かります。テスト特性曲線と言われているのは,能力がθの人が何点取るかを大体予測するものだと思ってください。
 それで,これは実際あるテストで使われている項目特性曲線,これは745本ここにあるのですけれども,この中から10個ずつ項目を引っ張り出して,二つのテストを作ってみました。そうすると,一つのテストの特性曲線はこんな形になります。もう一つのテストの特性曲線はこんな形になります。能力が例えばこの辺の人は,青いテストでは2.5点ぐらいを取り,赤いテストでは4点ぐらいを取るという,これが先ほどのテスト特性曲線です。
 ですから,もし項目パラメータを使って描ける項目特性曲線,すなわち先ほどの髪の毛が落ちたみたいなやつを知っているとすれば,こういうことができます。例えば,赤いテストの3点というのは,青いテストの2点に相当する。なぜならば,3点を取るというのは,大体マイナス2ぐらいの能力の人だからということになります。もう一か所別のところでありますと,赤いテストの8点は,青いテストの5点であると。これはなぜかというと,大体能力が1ぐらいの人が赤いテストで8点を取り,しかも,青いテストで5点ぐらいを取るという。こういう線が書けるので,二つのフォーム,若しくは複数のフォームが比較可能になるということです。
 それで,実際にどうやるかということなのですが,普通は,実施前に出題される項目の統計的性質を調べておきます。これを項目のプリテストと呼びます。日本のテストでは,余りこれはなされていません。先ほどの表でIRTを使ってCBTでやっていると申し上げた試験は,これをやっております。統計的性質が既知の項目のみを出題する。もう良問であることが分かっていて,しかも,統計的性質が既知の項目のみを出題する場合と,既知の項目に加えて,幾つか新しい項目を混ぜて出題するという場合もございます。
 例えば,項目特性が分かっている項目をため込んだものを,項目バンクと呼んでいます。若しくは,項目プールと呼ぶことがあります。これ,横が項目で,たくさんたまっていると思ってください。これに,新しい年にこういうフォームを作ります。この部分は項目特性が分かった項目です。それに加えて,新しい項目を少し加えることもあります。成績は,この既知の部分,ここからここまでの項目を使って,その人の成績を出す。この辺の部分は,将来の項目の特性を調べるためのデータとして使うみたいな感じで運用します。1年度,が終わりますと,この部分まで項目バンクがこういうふうに増えまして,次の年は,またその増えたところから既知の部分と新しい項目を足すみたいな,こういう形で運用していきます。医学部の共用試験とか日本留学試験は,こういう形で運用しております。
 あと,プリテストが困難な場合というのは,ここに書きましたように,実際の受験生とは違う,モニター受験生と呼ぶ人たちを利用して試験の等化を行うことも,可能と言えば可能です。
 例えば,これがフォーム1の項目群,ここはフォーム2の項目で,この赤いところ,共通項目がないのですけれども,受験生は,1回目にはここを受け,別の機会にはここを受けるのですが,ある特殊な集団に,昔の項目とこの項目1を受けさせます。そうすると,この昔の項目,項目パラメータが分かっている項目と比較して,この項目1がどういう性質を持っているかというのが分かりますので,実際,受験生はばらばらに受けていても,こういう人たちを探して利用することによって,つなぐことはできるのですが,これは余りよく用いられている方法ではございません。
 テストに関して,いろいろな工業製品にはJIS規格というのがあるのですけれども,テストというのは,やはり人間の能力を測定するための道具という,そういう観点から,JIS規格に当たるもので,テストのスタンダードというのがありまして,日本テスト学会というところで出版したのが日本ではございます。当然ですけど,米国とか,そういうところには各国の試験問題の,規格があるというような感じです。新しいテストを作るのであれば,こういうのになるべく準拠したような形で作っていった方がいいのではないかと考えております。
 以上です。どうもありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 時間がほとんどないのですけれども,委員の方から特に御質問がございましたら,一,二お受けしたいと思いますけれども,いかがでしょうか。

【上野委員】
 簡単な質問です。

【小川部会長】
 では,上野委員,どうぞ。

【上野委員】
 今日のお話のような方法でいう良問というのは,どういうふうに捉えたらよろしいでしょうか。

【前川教授】
 良問というのは,内容的に良問であることはまず必須なのですけれども,それ以外に,難し過ぎないこと,それから,易し過ぎないことということを基準にします。あとは,ほかの項目が測ろうとしているものと共通のものを測っているという,それもある意味基準になると思います。

【小川部会長】
 上野委員,よろしいですか。

【上野委員】
 はい。

【小川部会長】
 ほかに。では,北城委員,どうぞ。

【北城委員】
 今の良問の答えなのですけど,私の理解は,良問というのは,成績がいい人は大体正解するし,成績の悪い人は正解しない問題だと思います。だから,成績がいい人かどうかを判別するのに適した問題という意味だったと思うのですけど,それとは違うのですか。

【前川教授】
 最後に申し上げました,ほかの項目と同じ内容を測っているというのがそれに当たりまして,成績がいい人は正答する,成績が悪い人は間違えるという,そういう項目が正にいい項目です。たまにテストを分析していますと,そうでない項目というのが出てくることがございます。

【小川部会長】
 ほかに。よろしいでしょうか。
 では,ないようですので,それでは,前川教授の御発表,これで終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 残り10分しかないのですが,参考資料3以下,これは2012年度実施のPISAの学力調査結果と,あと,高校授業料無償の制度の見直し状況について,これ,事務局の方から御説明いただければと思います。お願いします。

【岸本参事官】
 それでは,参考資料3のOECDのPISA2012の結果につきまして,簡単に御説明させていただきます。
 こちら,2012年に,これは義務教育修了段階の生徒を対象にということで,当時の高校1年生を対象に,抽出調査で実施をいたしております。全国191校,6,400人が参加しまして,OECDの加盟国及び参加を希望する国・地域の間でその得点を調べるということを行っております。
 その結果は,下にグラフが載っております。このPISA調査は,先ほど御説明のありましたIRTを使って行われている調査でございまして,基本的にOECD諸国の平均点を500点で設定して,それに対する相対的な尺度化された得点で表示がされております。ですので,このグラフに載っております範囲におきましては,この得点でもって基本的にその出来不出来を見ることができるという形になっております。それによりますと,我が国の今回2012年の結果は,これまで比較可能な年度以降におきましては,これまでで最も高い点数となっておるという状況がございます。
 その次のページ,2ページには,OECD加盟国34か国の中での順位,また,その下には,全ての参加国・地域も含めた中での順位を掲載させていただいておりますので,後ほど御覧いただければと思います。
 続きまして,その次のページ,3ページでございますが,こちらは比較的点数の高かった国,また,伸びている国などにつきまして,経年での点数の推移を掲載させていただいております。日本は,2003年から2006年にかけて下がっていた状況がございましたが,その後回復をしております。ただ一方で,例えば,2009年から参加いたしましたシンガポール,これはOECD加盟国ではございませんが,希望参加ということで入っておりますが,更に点数は伸びているという状況でございます。
 続きまして,4ページは,実際の各分野,全部で三つの分野について調査をしておりますが,それぞれの分野における学力の分布を示した図でございます。レベル3が平均点の前後でございますけれども,レベル1以下の学力の低い層が減り,レベル5以上の高い層が増加しているということで,全体として良い傾向が示されているところでございます。
 簡単でございますが,説明は以上でございます。

【望月主任視学官】
 続きまして,本日の配付資料の一番最後に付けております,高等学校等就学支援金についてのことについて,若干御報告させていただきます。
 国の政策として,学習の機会を確保する,また,そのための教育費負担の軽減を図るという観点から,高等学校に関係する国の政策として,平成22年度から,公立高校については授業料の不徴収,私立高等学校等につきましては就学支援金が全ての生徒に支給されております。なお,私立高等学校に対する就学支援金は,おおむね年収250万未満の世帯には11万8,800円の2倍,350万未満世帯の方には1.5倍が支給されているわけでございます。
 現行法の附則で,3年経ったら,その法律の施行状況を勘案して必要な見直しを行うということがございまして,3年後の見直しに当たっての現行制度の検証をいたしまして,その一つには,本制度については,全ての高等学校の生徒について,社会全体で学びを保障するという観点からの措置がなされているわけでございますけれども,この制度ができた当初既に,授業料減免等で負担がなかった方々には制度の恩恵がなかったことや,あるいは,授業料の公私間格差が大きいこと,また,授業料以外の高校生の教育費負担の軽減が必要であるという観点等の課題が出てきたわけでございます。
 現在の厳しい財政状況の下で,やむを得ず所得制限というものをかけることにいたしまして,今申し上げた課題,低所得者に対する支援,公私間格差の是正という観点からの政策を実現するものとして,今般,臨時国会に現行法を改正する法案を提出いたしまして,先週の12月4日に新しい法律,高等学校等就学支援金の支給に関する法律が公布されております。
 内容的には,公立高等学校の不徴収制度というものを,今の私立高等学校等の就学支援金制度と同じ制度に一本化いたしまして,これは法律に出ておりませんけれども,おおむね年収ベースで910万,お子さんの数が3人になりますと,もうその基準額は変わりますし,また,中学生・高校生の世帯を基準とした910万ですので,それが大学生・高校生になりますと,その基準額というのがもう少し上がるわけでございますけれども,その年収未満の方については,引き続き就学支援金が支給される,それ以上の方には,授業料を御負担いただくという形の制度でございます。
 年に一度,1年生については年に二度でございますけれども,市町村民税の所得割額を把握するための課税証明書を出していただくということになります。それによって判断をして,就学支援金が支給されるという仕組みでございます。
 また,その活用する財源につきましては,年収250万円未満の世帯,あるいは,それ以上の世帯の私立高等学校に通う生徒の就学支援金を増額する。あるいは,公立・私立を問わず,低所得者向けに新しく授業料以外の支援も行う,給付金というものの創設を予定しているわけでございます。また制度当初から日本の各種学校等には支援がなかった,あるいは,日本人学校等の支援がなかった,あるいは,特定扶養控除の影響減によって税の負担の方が重くなってしまった世帯,つまり,特別支援学校の保護者には,別の形で支援の充実をする予定でございます。
 現行制度について適用対象となっている今の高校1年生,2年生,3年生が,学年進行によって2年生,3年生になった場合でも現行制度を維持し,新しい制度は,今の中学校3年生が高校1年生のときから適用されますので,今お手元にあるパンフレットにつきましては,先週12月4日に公布した後に,中学校3年生の保護者・生徒向けに緊急に国の方から第一報のお知らせをし,また1月に,もう少し予算が予算編成過程を通じて固まった後に,再度周知のためのリーフレットを作成・配布するなど,新しい4月からの制度実施に向けての内容を準備してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 何か委員の方から御質問ございますか。
 では,なければ,これで終わりたいと思います。
 次回の予定について,事務局からお願いします。

【小林教育制度改革室長】
 次回でございますけれども,高大接続特別部会との間の合同部会ということで,今週12日木曜日でございますが,10時から12時に三田の共用会議所において開催される予定となっておりますので,よろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 高大接続特別部会との合同部会ということですので,是非御出席いただければと思います。
 それでは,今日の部会,これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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