高等学校教育部会(第25回) 議事録

1.日時

平成26年1月29日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階 孔雀

3.議題

  1. 高校教育の質の確保・向上について
  2. その他

4.議事録

【小川部会長】
 定刻になりましたので,ただいまから第25回目の中教審初中分科会,高等学校教育部会を開催したいと思います。お忙しい中,御出席いただきましてありがとうございます。
 審議に入る前に,文部科学省において人事異動があったとのことですので,事務局からまず御紹介いただきます。

【小林教育制度改革室長】
 1月17日付で文部科学省に人事異動がございましたので御報告申し上げます。
 まず,吉田高等教育局長でございます。

【吉田高等教育局長】
 よろしくお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それから,常盤高等教育私学部長でございます。

【常盤私学部長】
 よろしくお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 佐野高等教育局担当審議官でございます。

【佐野大臣官房審議官】
 よろしくお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,まず,審議に入る前に配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,お手元の議事次第に配付資料のリストがございます。資料1-1,高等学校の広域通信制の課程に関する調査結果でございます。資料1-2が,同じく広域通信制課程に対する所轄庁の関与について,これはこの部会の第20回の配付資料と同じものでございます。資料2が達成度テスト(基礎レベル)の在り方の案,資料3が高等学校教育部会の審議まとめ骨子(案),資料4,次回の日程についてでございます。
 また,本日,参考資料といたしまして,参考資料1が本部会の委員名簿でございます。参考資料2が「学校設置会社による学校設置事業」調査結果ということで,平成23年度に特区に関連して主に株式会社立の学校設置の事業の調査結果でございます。それから,参考資料3が,前回の高大接続部会と本部会との合同部会での主な御意見をまとめたものでございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,議事に入っていきたいと思います。本日の議題は,高校教育の質の確保・向上についてですけれども,三つのテーマについて順次審議を進めていきたいと思います。
 一つ目は,第20回の会議で審議した広域通信制の課程について,各委員から実施調査を踏まえて検討すべきであるというような御意見もありましたので,事務局においてそれ以降,広域通信制の実態について調査を実施していただきました。調査結果がまとまりましたので,事務局からその調査結果の御報告を頂いた上で,広域通信制の課程の在り方について,皆さんから御意見を頂ければと思います。
 二つ目は,今日のメインテーマになると思いますけれども,達成度テスト(基礎レベル)について,これまでの議論を踏まえて事務局の方で議論の案を作成いただきましたので,まず最初に事務局の方から説明していただいた後に,達成度テスト(基礎レベル)の在り方について審議を深めていきたいと思います。
 三つ目は,高等学校教育部会の審議の取りまとめを年度末に向けて行う必要もあますので,事務局の審議まとめの骨子(案)を作成いただいております。年度末までに部会としてのまとめを行いたいと思っておりますので,事務局の案を踏まえて高等学校教育部会の取りまとめの構成について御意見を頂ければと思います。
 今日は一応,3点,三つのテーマについて順次審議を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,まず,第1の広域通信制の課程に関する調査について,事務局からまず説明をお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,お手元に資料1-1を御準備いただければと思います。続く資料1-2は,一度,これを基に御議論いただいています資料ですので,御参考ということで御覧いただければと思います。
 資料1-1でございますが,こちらは文部科学省の方で平成25年の8月から9月にかけて実施いたしましたアンケート調査でございます。三つのパートに分かれておりまして,一つが,広域通信制の高等学校に対する調査。この中には県立の広域通信制高校が1校,それから学校法人立の高等学校が65校,株式会社立が21校含まれております。
 それから,大きな二つ目のパートは,構造改革特別特区の認定を受けた地方公共団体,主に市町村でございますけれども,その21の認定地方公共団体に対する調査でございます。
 それから,三つ目のパートが,各都道府県,47都道府県ございますけれども,これのうち28都道府県が広域通信制高校を所管しているということで,それらに対する調査という構成になっております。また,平成23年度に行いました主に特区の株式会社立の通信制高校の調査結果は,先ほど御紹介いたしましたように参考資料2で配付させていただいております。
 1枚おめくりいただきまして,ページ数は非常に小さくて薄くて恐縮なのですが,各パワーポイントの右端に小さい数字がございますので,それに沿って御説明させていただきます。まず,高等学校に関する調査でございますけれども,生徒数と学校規模の分布を見ますと,通信制の課程におきましては大体300人以下の小規模校が4割,それからまた一方で,1,000人以上の大規模校も3割ということで,やや両極に分散している傾向があるかといえるかと思います。棒グラフで見ていただきますと,青いところが300人以下,それから右の方の紫,青,だいだい色の部分が大規模校ということでございます。
 1枚おめくりいただきまして5ページのところですが,生徒の在籍状況や生徒,それと教員の割合,比率でございますけれども,通信制の課程では,生徒がまず3年未満で卒業する割合が高い学校が半数以上でございます。それから,一部の高等学校では,教員一人当たりの生徒数が非常に高い,30人以下の帯で見ていただきますと,赤と青の30人以下のところが多くなっております。一般的な全日制ですとか定時制の高等学校では教員一人当たりの生徒数は大体11.3人となっておりますので,やや高いという傾向がございます。
 それから,6ページのところですが,添削指導,レポートの回答形式や添削方法についてでございますけれども,これはレポートの回答方法が多肢選択式が約8割以上である広域通信制高校が全体の約5から6%ということで,前回,株式会社立を対象にした調査のときよりはその部分については多少改善しているという状況でございます。一方でレポートの添削方法としましては,採点,評価,又は正解の記載のみを行う広域通信制高校は,学校法人立では49%,それから株式会社立では7校の33%という状況でございまして,依然高いと言えるかと思います。また,ごく一部でございますけれども,教員以外の者に採点などのレポート添削を行わせている高等学校も存在するという結果がございました。
 次の7ページでございます。こちらは,特区区域外に,認められている特区の区域外で面接指導などを行っている例でございますけれども,直接,株式会社立の高等学校にアンケートいたしましたところ,12校が本来認められている特区以外でも面接指導を行っているということがございました。これについては平成24年10月に内閣府の方から,特区制度のルールとして通知が出ているところでございます。
 以上,高等学校に関する調査の結果を簡単にまとめますと,300人以下の小規模校もあれば,数千人の大規模校も存在するということ。それから,広域通信制高校では3年未満で既に単位を持ってから転・編入額をして入ってくる生徒が主になっている。3年未満で卒業しているという事実から,そういうことがうかがえるのではないかということが言えます。また,課題として浮かび上がってまいりますのは,やはり全日制,定時制とは異なる制度ではあるものの,学校法人立,株式会社立ともに生徒・教員比率が非常に高い高等学校が一部存在しているということ。それから,添削指導について,一部の学校では多肢選択式のみを中心としたレポートなどを行っている状況が依然あるということ。
 それから,レポート添削について,解説をしたり対面指導などを行わず,採点又は正解の記載のみで行っている高等学校が約4割。内訳を見ますと,法人立の学校は約5割,それから株式会社立の学校では約3割ございます。
 それから,特区区域外にあるサポート施設におきまして面接指導などを実施している株式会社立の高等学校は依然12校あるというような課題が浮かび上がってきました。
 また,大きな二つ目の認定地方公共団体に対する調査でございます。10ページのところでございますけれども,平成24年にそういった不適切な事例などを踏まえた,24年9月の文部科学省からの通知に対して,所管する広域通信制高校の状況等に関する調査を実施しているかどうかということを聞きましたところ,域内の調査を実施した認定地方公共団体が28団体中17団体ということで,81%になっております。また,調査方法は主に聞き取りが中心で,現地調査までは行っていないところが多いということでございました。
 また,次のページ,11ページでございますけれども,その際に不適切な事例ということで,そういった事項について,例えば民間教育施設の教育活動と混然一体となって運用がされているということですとか,添削指導が形骸化しているということですとか,多様なメディアを利用して行う指導で,履修確認は成果評価の不実施の状況,それから試験の形骸化など,そういった状況に対して文部科学省の通知の指摘事項というのをおおむね各自治体で,所管団体で調査を行っているという結果が今回出ました。また,それらの不適切な事例について,それぞれの地方公共団体で改善に向けた対応をしているという回答も頂いています。
 例えば,添削指導に関しましてはマークシート形式を廃止して記述式に移行したということですとか,正誤のみの記載を廃止して,必要な解説などもきちんと付けるようにしたということ。それから,試験に関しては,前年度の使い回しを廃止して,年度ごとに新しい問題を作成するようになったというようなことが結果として来ました。
 また,12ページの事務体制ですが,事務体制はおおむね1から3名ということで,教育行政経験がない場合が多いという結果が出ています。また,職員に教育行政経験がなく,また,それをサポートするような助言体制などもとっていない団体が9団体という状況で,今後もその状況を継続せざるを得ないというところが6団体という結果が出ております。
 次のページ,13ページでございますけれども,その体制強化が行えない理由といたしまして,やはり人件費を確保することが困難であるとか,人材確保が難しいということ,また,現状でそれで何とか対応できているというような結果が判明しております。また,今後の予定につきましても,強化は具体的には図る予定は立てられないといったようなことですとか,また,一方で指導監督を主な業務とする高等学校で既にその管理経験がある予定の者を嘱託員として配置する予定であるというようなことが来ておりました。
 14ページでございますけれども,特にこれは特区の事業につきまして,その成果,効果の例ということで聞きましたところ,生徒に与える効果ということで,例えば不登校状態にあった生徒の心の癒しが図れるということ,それから,地域住民や地域活性化などの効果があったということで,例えば,仲介するNPO法人の活動によって,様々な地域の活性化が図られ,地域振興につながっているということとか,遊休施設の利活用ですとか,財政面での効果があったというような回答を得ております。
 次の15ページでございますが,これらの実際に広域通信制高校を認定している地方公共団体に関する調査のまとめといたしましては,繰り返しになりますけれども,昨年の文部科学省からの通知を踏まえて,既に81%の地方公共団体で不適切な事例に対する実態調査などは行われているということで,一部その改善も行われているということでございます。一方で,事務体制としては,やはり小規模な地方公共団体レベル,都道府県レベルでございませんので,1から3名程度で構成されているというところが多く,また,教育行政を経験していない者ばかりのところがかなり多いという状況でございます。
 そのような実態について,人材確保がやはり難しいということで,今後改善が図られる具体的な見込みはなかなかないということ,それから,特区制度を活用した設置事業の成果・効果は,体験学習による不登校生徒の対策ですとか,地域活性化,税収増などの経済効果があるといったようなことが挙げられています。
 最後に,都道府県の調査結果でございますけれども,17ページからでございます。こちらは所管している都道府県の調査ということで,ごく簡単に紹介させていただきます。28県のうち,10県程度が調査を行っていないということで,その理由といたしましては,これまでそういった面接指導に制約を掛けている都道府県以外ではこれまで問題となる情報がなかったことですとか,そもそも県に対する調査権限が不明であるということ,それから,事務体制が整っていないなどの理由が挙げられております。また,通知で示した事項の調査を実施している自治体は約半数程度にとどまっているという結果などがございます。
 また,次のページ,19ページ,20ページでございますけれども,面接指導などを行っているサテライト施設の把握状況といたしまして,サテライト施設のうち,自校の施設ですとか,法定で定められている協力校,技能連携校については積極的な把握が図られていますが,民間のいわゆるサポート校等の把握を行っている自治体というのは約半数にとどまるという結果でございます。
 それから,サテライト施設の所在を把握していても,その施設での教育活動について調査,把握を行っていない自治体というのが約3割ございまして,その理由といたしましては,認可時にその施設の面接指導などに利用する教員の配置等を確認していますが,施設等が多いことですとか,多くが県外に所在するのでなかなかそういった細かい調査まで把握できないということ,それから,法律上,そういった調査が義務付けられていないので,県域を越えるような活動について,なかなか調査する余裕はないといったような回答が寄せられておりまして,広域制の場合に県外の状況の把握というのは非常に難しいという課題が浮かび上がってきております。
 また,一方で,次の21ページでございますけれども,そういったサテライト施設については,なかなか県をまたいで,県同士でほかの県に対して情報提供するというようなことが行われていないということで,自らの都道府県内にほかの県が所管する高等学校のサテライト施設がある場合は,やはり自らが所管するものでなくても,所管する県の方からの情報提供が欲しいというような声がかなり高いという状況でございました。
 そのような地方公共団体自身が課題と感じている事項につきましては,22ページの下の方でございますけれども,ほかの都道府県など区域外に所在する所管高校のサテライト施設について把握が難しいという,ただいま御紹介したような声が多いということ,それから,ほかの都道府県が所管する広域通信制高校のサテライト施設については位置付けが不明確であり,指導権限が自らないということなので把握,対応が困難であるということ。それから,サテライト施設に係る一律の基準の認定や高等学校通信制教育制度の再構築といった観点で,全国的に統一化されていないのでそういったものが必要ではないかというような都道府県からの声がございました。
 最後のページは,同じような調査のまとめとなっておりますので省略させていただきます。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 今,資料1-1に基づいて調査の結果について御報告いただきました。この資料1-1と,あと,第20回で広域通信制の議論をした際に使用しました資料1-2の広域通信制課程に対する所轄庁の関与について,この資料もありますので,今の事務局の説明と,第20回の会議で使用した資料1-2なども踏まえながら,高等学校の広域通信制課程における課題等について,皆さんから御意見を伺えればと思います。資料1-1の調査結果の内容についての質問等でも構いませんので,どなたからでも御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にございませんか。前の調査と比べると一部改善した面もありますけど,依然,問題は問題として指摘もあります。もしも皆さんの方から特段質問とか御意見がなければ,第20回での会議と今回のこの調査結果に基づいて,次回以降,広域通信制の高校制度見直しについて少し事務局の方から方向性の案を出していただいて,そこで集中して議論するというふうなことにしたいと思いますけれども,よろしいでしょうか。この場で特に御意見がなければ,では,次回以降の審議の方に回させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 では,北城委員,どうぞ。

【北城委員】
 今回の調査で通信教育を行っている学校の運営とか体制とか,そういうことはいろいろ出ているのですが,その結果として学生の学力はどうだったかということは何か調査されているのでしょうか。

【小川部会長】
 事務局,お願いします。

【小林教育制度改革室長】
 この調査の中では,具体的に学力の調査は含まれてございません。

【北城委員】
 どこかほかではやっているのですか。

【小川部会長】
 広域通信制の学生の学力調査等々のデータはございますか。

【小林教育制度改革室長】
 私どもが把握している限りではございません。

【北城委員】
 いろいろ問題があるというけれども,学生がそれでも非常によく勉強して,学力が付いているのならそれでもいい。逆に問題があるのだったら,その結果として学力に影響があるというのが分かった方がいいと思います。こういうことを行った結果として学生はどのように育ったのかを何らかの形で見ておかないと,仕組みだけ議論しても余り意味がないような気がします。その辺りを検討していただければと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,次回以降の審議までに,もしもそういうデータ等がありましたら,一緒に御提出いただければと思いますけれども。よろしくお願いいたします。
 北城委員,ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。安彦委員。

【安彦副部会長】
 今の議論と関係がありますが,やはり,どこまで出せるかは分かりませんけど,抽出校でもいいですから,例えば子供あるいは保護者の声を聞くというようなことを考えていただきたいのと,それから,経営状況と言うと変ですけれども,授業料が高いとかいう声を聞きますよね。その辺の実態というのが分かっていないものですから,データが少しでも,ケースでいいですけれども,出てくるといいと思いますので,この点もお願いしたいと思います。

【小川部会長】
 では,その点もよろしくお願いいたします。
 ほかによろしいですか。
 では,次回以降,今,言ったような要望が出たような資料も追加していただいて,これからの広域通信制高校制度の見直しの方向性について,次回以降議論していきたいと思います。よろしくお願いします。
 では,次のテーマに入っていきたいと思います。今日のメインテーマですけれども,達成度テスト(基礎レベル)について審議を行いたいと思います。
 まず最初,事務局より関係資料の御説明をお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 資料2をお手元に御準備いただければと思います。今までの御議論いただきましたことを基に,少し事務局の方でまずイメージの案を作成させていただいたものでございます。幾つかの論点に分けてございまして,最初,まず試験の目的でございますが,高校教育の質の確保・向上に向け,一つは,生徒が自らの高校教育における基礎的な学習の達成度の把握や,AO・推薦入試において自らの学力を証明することができるようにし,それらを通じて生徒の学習意欲の喚起を図ること。また,もう一つ,それと併せて,その結果を高等学校における指導改善に生かすことを目的としてはどうかということでございます。
 それから,対象者についてですが,高校生の個人単位での受検,学校単位での受検も可能としてはどうか。中退した者,それから浪人生なども希望に応じて参加できるようにしてはどうか。
 それから,試験内容についてでございます。試験教科・科目は6教科(国語,数学,外国語,地理歴史,公民,理科)を想定してはどうか。この場合,外国語は外部試験の活用も検討してはどうか。それから,基礎的・基本的な知識・技能だけではなく,知識・技能の活用力,思考力,判断力,表現力を図る問題も含めることとしてはどうか。専門教科や保健体育,芸術,家庭,情報等,多様な分野での学習の成果は外部試験検定を評価する等により行うこととしてはどうか。それから,各個人,高等学校の判断で,テストの部分的な活用を行うことも可能としてはどうかという論点を挙げさせていただいております。
 また,次のページでございますが,試験形態ですが,マークシートを原則としてはどうか。
 受験回数・実施時期についてですが,高校2年及び高校3年の受験を可能とすること,各年2回程度の実施を検討してはどうか。それから,高1からの受験も可能とするかどうか。実施時期はどう考えるか。
 また,実施場所についてですが,実施場所は高校単位の受験の場合は高等学校で,また,個人の受験者のためには各都道府県に会場を設けることとしてはどうか。
 また,その他の論点といたしましては,高等学校卒業程度認定試験との関係をどう考えるか。
 以上でございます。
 また,今日同時に配付させていただいております机上配付資料,それぞれ1枚の最後の方に配付させていただいているものですが,先週金曜日の高大接続部会で出ました主な意見を少しかいつまんで御紹介させていただきます。
 まず,高等学校教育の質の確保・向上の中で,少し基礎レベルのテストについて触れた部分でございますけれども,例えば,三つ目の丸にございますように,4年制大学進学率は高校卒業者の半数程度であることを考えれば,基礎レベルは高校教育の達成度を図るべきで,高校教育に資するものであるべきというような御意見がございました。
 また,基礎レベルの達成度のテストの目的は,高等学校の学力保証であるから,学力低位校の生徒の学習習慣の定着のためにも,悉皆実施とすべきではないかというような御意見もございました。
 また,一つ飛ばしまして,高等学校の質保証を考えれば,基礎レベルの達成度テストは2年と3年で受けるより,高校卒業に近い方がいいのではないかといった御意見がございました。
 また,それと併せて議論されました達成度の発展レベルの方の在り方については,一つ目の丸でございますけれども,達成度テストは基礎レベルで,まず高等学校の達成度を図り,発展レベルの方では大学に必要な力を図るものであり,センター試験と発展レベルを重ねるべきではないというような御意見もございました。また,発展レベルは特に主体性を持って大学で自ら学ぶことができるかどうかをどのように図るかが重要であるといったような御意見がございました。
 少し多いですので,あとお目通しいただければと思います。
 また,本日御欠席の川嶋先生から1枚コメントを頂いておりまして,特に試験の目的につきましてコメントを頂いております。前回の資料を基にコメントを頂いておりますけれども,もともとこの達成度テストというのが高校教育の質の確保・向上の手段として導入の可否が検討されたものであるということ,AO・推薦入試への活用は,その意味では副次的なものであるべきではないかというような御意見を頂いておりまして,本部会の設置趣旨からしますと,大学入試に依存しない高校教育の自律的・自主的な質保証の仕組みを検討するものであったということで,試験の目的については具体的な御提案があります。一つは,高校教育の質の確保・向上に向けて,生徒が自らの高校教育における基礎的な学習の達成度を客観的に把握することによって生徒の学習意欲を喚起するとともに,卒業に向けて学習計画を自ら策定することを支援すること,それから二つ目として,その結果を高等学校の指導改善に生かすこと。三つ目に,併せて,AO・推薦入試で基礎学力の把握の一つとして活用を図ることということでコメントを頂いたところでございます。
 事務局からは以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 今までもこの部会では達成度テスト(基礎レベル)の議論,その前には教育再生実行会議の提言前には,到達度テストの議論をしてきたわけですけれども,今回,この達成度テスト(基礎レベル)の議論を更に深めるということで,これまでの議論から少し踏み込んだたたき台を事務局の方から今日御提案いただいております。
 皆さんの方から御質問や御意見を自由に出していただければと思いますけれども。先週ですか,高大接続部会の達成度テストに関わって,特に基礎レベルの問題についてもいろいろ御意見があったというようなことですので,もしも機会があればまた高大接続部会での議論の紹介も安西委員の方から頂ければと思います。よろしくお願いします。
 それでは,皆さんの方から御質問,御意見,御自由に出していただければと思います。いかがでしょうか。
 では,最初のきっかけということで,安西委員の方からどうでしょうか。

【安西委員】
 それでは,1月24日に高大接続特別部会がありましたので,今,小林室長が御報告されましたけど,重ねて申し上げたいと思います。
 高大接続部会で,特に基礎レベルの件についても意見が出ている理由というのは,高大接続だけを議論しても,そこだけを取り出して議論をしても余り意味がないという,そういうことからでございまして,大学教育,それから高校教育,大学入学者選抜の三つを並行して連携といいましょうか,一緒にした形で議論をしていかないと,そのどれもうまくいかないのではないかという,そういう考え方があるからであります。
 高校教育については,高校教育の多様化が進む中で,高校生卒業時点では,やはり一人一人の高校生が自分の力で生きていく,そのためのミニマムの学力をしっかり身に付けてほしいと,そういうことがありまして,基礎レベルのテストについてはやはりそういう意味での学力をきちんと見ていただけないかという,先ほども報告がありましたけれども,そういうことであります。
 大学教育につきましては,大学で学ぶ力があるのかどうか。大学で学ぶ力というのは,学力だけではもちろんなくて,やはり主体的に自分で何のために学んでいくのかということをつかみ取っていく,そういう力を持っているかどうかというところが重要で,これにつきましては中教審の大学分科会で既に質的転換答申と言われますけれども,大学教育の質的転換をすべきだと,そういう答申は出ておりますし,また,大学は徐々にではありますけれども,主体性といいましょうか,大学生一人一人が自分の力で何のために学ぶかということを自分でもって見つけながら学んでいく力ということを重視するように徐々になってきているようにも思います。そういう中での高大接続の問題を議論しておりまして,重ねてでありますけれども,今,議論しておりますのは,特に発展について複数回のテストをすべきか,また,その内容をどうすべきかといったことであります。複数回,テストを実施するなどすれば,CBT,コンピューターベースドテスト,それがどうしても必要になるのではないかという,そういう論もこの紙に書いてありますけれども,そういうことも出ております。
 大体以上でございますけれども,やはりこれからの時代に高校生,また,大学生はもちろんですけれども,自分で自分の人生を幸せにしていく,そういう力を身に付けていくには,テストにつきましても自分でもって,いつ受けて,それをどういうふうに生かしていくのかということを,それを自分の力にしていくような,そういう方向性が必要なのではないかと考えているところであります。高大接続部会で基礎まで含めた議論がされておりますのはそういう理由でございますので,御理解いただければありがたいなと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。
 今まで高等学校教育部会では,達成度テストの前の到達度テストの段階から,そのテスト自身の目的をどう考えるかというふうなことから始まって,その目的に沿って,制度設計を具体的にどのようにやっていくかということでいろいろ議論してきました。必ずしも部会としてテストの目的について今まで合意が図られてきたわけでもないのは事実ですので,今回,事務局の方から提案ということでたたき台は今までの議論を踏まえた上で,更に合意形成に向けて議論していただきたいということで,少し具体の制度設計のところでも,例えば試験科目の数等を含めて,かなり踏み込んだ御提案になっているかと思いますので,是非,皆さんの方から忌憚のない御意見を頂きだきたいと思います。大体1時間ぐらい時間がありますので,自由に意見交換をしていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 では,どうぞ,皆様の方から。和田委員,どうぞ。

【和田委員】
 今ここで初めてイメージ案を見せていただいたので,少し意見がまとまらないかもしれないのですけれども,これまでも各部会で述べてきたこととは重なるとは思いますが,やはり試験の目的ですね。川嶋先生の御指摘のように,高校教育の指導改善に生かすのが第一の目的であるというふうな感じで高等学校教育部会の到達度テストの話もやってきたかと思います。もし,そういう形のもので,これはコンセンサスを得なければいけないわけですけれども,試験の目的が主としてAO・推薦入試ではなくて,高等学校の指導改善に生かすということであるとすれば,まず少なくとも,片一方が達成度テスト,発展レベルという名前としても,こちらの基礎レベルと同じ名前を付けること自体,少し問題があるのではないかなと思います。趣旨が違うわけですから,まずネーミング自体からその目的を表すと思いますので,考え直した方がいいかもしれないというのが一つですね。
 それと,高等学校の指導改善に生かすということであれば,やはり卒業間近に受けて,自分の今,置かれている達成レベルを知って,もちろん今後に生かすということになるかもしれませんが,少なくとも高等学校の中でそれを改善して自分の学習,その他につなげていくということにはならないと思いますので,やはり時期的には本人にもそういう見直しができるような時期となりますと,やはり,例えば12月以降というわけにはいかないかなというイメージを持っています。
 それから,もう一つは,そうなると,この高大接続部会の方にもありますように,悉皆に近くなるのかなという気もするわけですけれども,そのときに,既にほかの委員からも過去には出ていると思いますけれども,高等学校というのは私学も公立も含めて,入学時に選抜試験を行っておりまして,そのランキングが出ているわけではないですけれども,それなりに選別された形で入っておりまして,それをもう一度確認するようなことになる危険性,そして今の中学校,小学校で結果的には今回,今年度からの学力学習状況調査は各自治体の判断でその成績を,学校別成績を発表してもいいというような形になっていますけれども,そういう形でまた高等学校のランキング付けを,このテストが基になって行われていくというようなことであれば,本当に逆効果かなという気もしますし,その辺りの制度設計もしっかりしなければいけないのではないかと思います。
 それから,もう一つは,実施母体がはっきりしない。現在のセンター試験は大学入試センターが取り仕切ってやっているわけでありますけれども,小学校,中学校は文部科学省といいますか国立教育政策研究所がなさっておられるわけですけれども,これも多分,発展レベルの方は大学入試に特化する形になってくると思うので,入試センターか,あるいはそれを改組する形のものになるのかなと思うのですけれども,こちらは高等学校の学習成果を見るということであれば,やはり文部科学省が主体となってなさるのかなという,その辺のところもどういうことをイメージされているのかもお聞きしたいなという気がしております。
 それと,最後ですけれども,副次的な目的としてでもAOや推薦という大学入試というものに高大接続の形に使うとすれば,なかなか高等学校にお任せして,試験監督も答案管理も全て高校側に任せるというのは,高等学校の者として,任せてくださいと言うべきかもしれませんけれども,正直なところ,なかなか受けにくい部分もあるかなという気もしますので,やはりそうなると,だからといって大学入試が直結するのだから大学側でやるべきかどうかというのも分からないので,その辺りも含めて,いわゆる実施母体という意味においてどういうお考えがあるのかということをお聞きしたいなと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 事務局の方,どうしましょう。実施母体の問題は恐らくテストの目的,性格によって大分,制度設計が異なってくると思うのですが,今の時点で何かお考えになっていることとか,もう一つ,私の方からも,資料2をもう少し説明してほしいことが幾つかあって,例えば試験内容としての丸の四つ目ですか,専門教科や保健体育,芸術,家庭,情報等,多様な分野での学習成果は外部試験検定を評価するなどにより行うこととしてはどうかというふうにありますけれども,こういう分野での外部試験検定というのは,現状が今どうなっていて,実際の今のいろいろな各高等学校で活用の実績などもどの程度あるのか,ないのかというふうな情報もあれば少し教えていただきたいのですけれども。

【小林教育制度改革室長】
 まず,実施主体のところでございますけれども,今,小川部会長の方からも少しお話しいただきましたように,まず,試験の目的ですとか教科,そういった試験の内容,どういったテストにすべきかということを,基礎レベルもそうですし,場合によっては達成度テスト全体,発展レベルの方も議論をした上で,やはり実施主体をどこが行うことが一番効率的か,適切かということを次に検討する必要があるのかと考えまして,事務局の方では,今,特定の案をこちらには記載させていただいていないところでございます。
 また,二つ目の御質問でございますけれども,丸の四つ目,試験内容のところですが,専門教育や保健体育,芸術,家庭,情報等,多様な分野での学習成果ということなのですが,これはそもそもこういった達成度テスト(基礎レベル)の中で組み込んで行う方がよろしいのか,それとも,今,専門学科で行われているような専門教科ですとか保健体育,こういったものについて外部の検定試験を使うのはどうかということで,例示として大きな考え方として示させていただいています。ただ,この中でも,例えば一部,家庭ですとか情報で,そういった検定試験などが比較的学校の教育内容と関連してあろうかと思うものがある一方で,必ずしも体育ですとかそういったものが私どもの方でも明確に今の現時点でこれを活用したらどうかというようなアイデアがあるわけではございませんので,場合によってはもう少し段階的にそういったことも検討していかないといけないのかということでございます。ただ,大きな考え方として必履修になっております科目の全体の扱いをどうすべきかということで論点として挙げさせていただいております。

【高見専門官】
 一応補足ですけれども,お手元の机上資料ですけれども,緑の冊子の第23回の資料の61ページ以降に各種民間検定の概要についてという資料があると思います。これが全て網羅的にというわけではないかもしれませんけれども,例えば先ほどあった家庭ですとか,あと,情報とか,そういったものについて簡単に整理させていただいておりますので,こういったものも御参照いただければと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 和田委員,そういう今の段階でのお答えです。

【和田委員】
 はい。

【小川部会長】
 では,服部委員,アキレス委員,ほかにございますか。では,服部委員からどうぞ。

【服部委員】
 大体の方向性がここまで固まってきたところで,今さらこんな話をというふうになるかもしれませんが,少し思い切ったことを,ある意味で発想を転換するというようなことも少し考えて御提案するわけですけれども,高等学校の教育は現実には机上にもありますように,高等学校学習指導要領に準拠してずっと行われています。学習指導要領の内側のことで一生懸命やっているのですが,多忙化の原因はほとんど学習指導要領を飛び越えた範囲外のこと,例えば校外の模擬試験とか,まあ,部活動は中にはありますが,いろいろなことで職員の多忙化とか,生徒も大変忙しい思いをしているのですが,今回の試験も,例えば高等学校の学習指導要領の内側に入るようなことにはならないかと。そうすれば各学校,これ,学習指導要領というのは国が示す方向であって,公立,私立とも関係なく,あるいは設置者,例えば課程にも関係なく,全日制,定時制,通信制も全て各教科等の指導がそれに応じて教育が行われていると。
 そういう意味で,達成度テストというのは,御承知のように高等学校の単位というのは通年制ですので,1年間,例えば週3時間をやって,1年間を通すと3単位と。年度末に単位の認定が行われるわけですね。年度末に単位の認定が行われるときに,各年度に,例えば学習指導要領に示す内容のことが到達できたかどうか,といったことを,これを今は各都道府県,さらには各高等学校等に任せているわけですけれども,これを例えば国がある一定の標準を示すというようなことで,時期を合わせるというのはなかなか難しいかもしれませんが,これは都道府県別にそろえることは可能だと思います。要は,学校教育が今回のこの制度改革の取組について前向きにするためには,今,行われている現行の学習指導要領の内側のことであると,それをきちんとやっていけば,これが実施できるというような,そういう発想にはならないかということを思います。
 例えばこれは,教科が示されましたけれども,普通科高校が中心になるような感じになっていますが,専門高校,工業高校とか農業とか家庭科といったところでも,それは学習指導要領に示した内容をやっているわけですので,それぞれの指導要領に示す内容について,大体この程度まで達成してほしいというようなことをどこかで検討し,それを実施するというような形で行っていけば,これは各学校がそれについてむしろ改善するというか,今まで取り組んできた校外の模擬試験とかそういったものを精選するなりして,学習指導要領に準拠したことをしっかりと行っていけばいいのだというような方向に向かっていけば,むしろ高校教育そのものの改善にもつながるのではないかと思いますので,今さらこういうことというと大きなことになるかもしれませんが,学習指導要領の示す位置付けとかを検討するということを視野に置いて,現行,学習指導要領が最低基準というような,最低このぐらいの内容はということですが,もう少し,その辺の位置付けも検討することも視野に置いて,要は先ほど言いましたように,高等学校の学校教育は学習指導要領に,これ,小学校,中学校でもどこでも一緒ですけれども,せっかく国が示している内容について,どこまでそれが習熟できたかといったようなことを年度ごとに評価するという仕組みにはならないかといったようなことを少し提案したいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,アキレス委員,どうぞ。

【アキレス委員】
 ありがとうございます。頂いたイメージ案に沿って私見を述べさせていただきます。
 まず,目的のところですが,私も2段目がメインになってくると思います。質の確保・保証に関しては,テストは合格したとかしないとか,結果で何かを判断するというところに重きが置かれますが,重要なのはギャップがある場合ですね。現行の自分の学力と期待されている到達度,達成度にギャップがある場合,そのギャップがどこにあって,どういうふうにそれを埋めていくのかというところが非常に大事です。そうすると,本人の努力だけではギャップが埋まらない場合があると思います。質の保証の議論をしていく中で皆さんとお話ししてきましたが,学習意欲とか,また能力において,生徒の皆さんにばらつきがあって,できる方はいいのですけれども,そこまで行っていない方があると,では,そういう人たちも含めてどこまで達成していただくのかということを考えると,やはり2番目の目的というところが一番重要だと思います。結果的に学力を証明することはありますが,学力の証明が目的というのは少し違和感がございます。
 それから,試験内容のところで6教科というのがありますが,多過ぎるのではないかなと思います。最低限ここは共通として押さえていくところ,例えば国語,数学,グローバル化を考えると英語は共通にして,あとの地理歴史,公民,理科というのは,生徒それぞれの興味のある分野や強み,弱みがあると思うので,ここは共通にするのではなくて,各学校にお任せするなり,選択制にして,プラス1教科,その生徒が得意なところをメインに伸ばすことにするとか,共通な形にしなくてもいいかな思います。
 この丸の3番目なのですけれども,知識・技能の活用力,思考力・判断力などをう測るということは賛成なのですが,別に項目を増やすということではなくて,受けられる基本3教科の中で,測れるような問題にしていく方が合理的だと思います。
 4番目,先ほどもお話に出てきましたが,芸術,家庭,情報は,本当に測れるのでしょうか。正解があるというものではないと思います。達成したかどうかというのを測る必要が本当にあるのかどうか。個性を伸ばしていこうと言いながら,逆に型にはめてしまわないかという危惧がございます。
 それから,マークシートを原則としてはどうか。確かに回数が多いと採点などで作業が増えますのでこちらの方がいいと思います。ただ,本来の趣旨からいって本当にマークシートでおさまるかどうか分かりません。まず学年の最初にどの程度の学力があるかというのを押さえた後に,先ほど服部委員の方からもありましたが,ある一定の期間,そのギャップを埋めるように皆さんに勉強していただいて,そのギャップがどの程度埋まったかというのを見る。ビフォー・アンド・アフターではないですけれども,もし本当に質の確保,ギャップを埋めるということをやっていくのだったら,そういったやり方もあるのかなと思います。その意味では,別に最後まで待たないで,各学年で2回,最初と最後というふうに見ていくのも一つの案だと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。相川委員,どうぞ。

【相川委員】
 まず,先ほど和田委員もおっしゃいましたけれども,今日の資料が昨日の夕方に入って,非常に私,昨日の午後にはもう地元を出ましたので,今日ここで資料を見るという状況ですので,資料を事前に提供していただける場合はもう少し早めに提供していただきたいというのが一つのお願いでございます。
 それで,達成度テストの目的ですけれども,今,何人かの先生方がおっしゃったように,私も最初,このAOだとか推薦入試のところがすごく議論になっていたように思いますし,ただ,その議論をいろいろ踏まえて,やはり子供たちの質の保証ということを考えると,2の方が最優先という,高等学校における指導改善に生かしていくためのものなのだということをまず押さえていかなければいけないのかなと思います。
 そうすると,対象者として高校生の個人単位での受験,学校単位での受験も可能としてはどうかということになりますと,子供たちの高校生の個人単位での受験となると,高等学校によって受ける子供と受けない子供があるということの認識なのか,子供たち全員の習熟度の確認をしていくという意味合いのものであるとすれば,指導を改善に生かしていくとすれば,高等学校で受ける生徒,受けない生徒があるというのは少し違和感を感じます。
 そして,指導科目について6教科ということですが,これが多いのか少ないのかというところで,やはり基礎的な知識を身に付けていくためには,最低必修科目ということが求められるのかなというふうに思いますし,ただ,これを実施していくに当たって,私,前回から話していますけれども,やはり従来の学習指導要領の兼ね合いと,この試験のものと,学校で行っている試験,これから達成度基礎レベルの試験,それが二重三重の負担にならないような方向を考えていただかなければいけないのかなと。
 そして,形態のマークシートのところ,今,アキレス委員さんの方からもありましたけれども,果たしてマークシートでいいのだろうか。何となく機械的な感じもします。確かに複数回実施するのか,1回だけ実施するのかということになると,私は在学中の実施時期というのは,最低でも複数回の実施をすることによって子供の学力を把握していって,それが指導に生かされていくというのが望ましいと思うので,そうすると採点だとかということを考えると簡略化というか,表現がどうかはあれですけれども,マークシート的なものがいいのではというのがあるかもしれませんけれども,もう少し生徒の,子供たちの理解度というか,そういうのを,もう少し違う観点で見ていただけるような試験形態がいいのではないかなというふうに感じました。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。野上委員,どうぞ。

【野上委員】
 皆さんがおっしゃるとおり6教科受験というのは確かに多いので国語,数学,英語の必須3教科に選択の1教科を加えた4教科程度がよろしいのではと思います。
 選択の1教科を加えた根拠は次のようなところにございます。最近の企業はオールランドプレーヤーだけを採用するのではなく,一芸に秀でるなど特色ある人材の採用に注力しております。例えばIT企業であればコンテンツの創出に欠かせない創造性や独創性を豊かに持つ人物の採用に力を入れております。
 そこでそうした人材の発掘のためにも受験科目に選択科目を加えていただきたいのです。また,そうした能力はいつ何時開花するとも限りませんので受験機会が3年間で1~2回では少なくチャレンジ意欲があれば何度でも挑戦することが出来るようにしていただきたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに続けてどうぞ。では,及川委員,北城委員,長塚委員の順でお願いします。

【及川委員】
 この基礎レベルの達成度テストというのは,1年前に審議の経過でまとめられた高等学校学習到達度テスト(仮称)というのが基になっていると思うのですけれども,何回も高等学校学習到達度テストの性格を見たときに,都道府県レベルで様々な学力を把握するテストを実施しているけれども,それらは指導改善につなげるという意味で大変有効であると考えられていて,しかし,それら地方公共団体で実施している共通テストというのは学習の目標とすべき水準というものを,全ての生徒に共通に求める水準というのを設定して,生徒一人一人の到達度を把握する,そういう仕組みではないという書き方だと思います。そういう,生徒一人一人の目標とすべき水準を明確にして,その到達度を把握する,そのための新しいテストの仕組みが必要であるということで,高等学校学習到達度テストというのが考えられたというふうに私は理解していますので,その意味からすると,このイメージで出ている試験の目的のところは,1に「AO・推薦入試において」というところまで書いていますけれども,そこは高等学校学習到達度テストの狙いから言えば,AO・推薦入試の部分というのは,これは1番の中には含まれないというふうに私は理解します。
 ただ,指導改善に生かすという意味では,2番に,指導改善に生かすということで,これで結構だと思うのですけれども,これは指導する学校側のことで,希望参加型ですから受験する生徒にとってはどうかということで,例えば高等学校学習到達度テストの場合にはAO・推薦ばかりではなくて,就職やAO・推薦入試というふうに,対外的な場面においてというふうになっていると思いますので,2番で指導する学校の側ということで,1年前の経過の方はなお書きになのですね。なお書きなっていますので,そういう扱いで推薦・AO入試において自らの学力の証明をできるようにするという,そういう整理になるのかなと私は思います。
 なぜこういうことを申し上げるかというと,結局,高等学校学習到達度テストが基礎レベルの達成度テストということに組み入れられたことによって,選抜ツールになったということだと思います。そういうことからすると,やはり試験内容6教科を想定すると,より一層,大学入試選抜ツールになってしまって,高等学校学習到達度テストの趣旨とは異なってくるのではないかと私は思います。高等学校学習到達度テストの趣旨から考えれば,コアの内容で言えば共通する内容というのは,やはり共通履修教科・科目というのがやはりイメージされますので,6教科のような形になって選抜ツールの性格が強まるというのはどうかというふうに私は思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,北城委員,続けてお願いします。

【北城委員】
 多くの子供が高等学校を卒業して社会に出るので,私はこの到達度テストの基礎レベルは,日本国民として社会で生きていくために必要最低限の知識を持っているかどうかを見る試験でいいのではないかと思います。だとすれば,学習指導要領の範囲内で当然いいはずですし,この試験の点数が高いからAO入試で入学ができるとかいう,入試の選抜のランク付けに使うような目的でやるべきではない。点数の高い子がいい子というわけではないという指摘はいろいろなところで出てきていますが,この6教科を見ると,やはり日本の国の歴史とか,国の在り方とか,最低限の理科も知っておいてほしいと思うのです。そういう意味ではかなり易しいテストとして,せめてこれだけは理解してほしいというものを理解していれば合格レベルに達成したということでいいのではないでしょうか。ものすごく点が高かったか,低かったかというのは余り問わない試験にした方がいいと思います。
 だとすると,やはり高校3年の,卒業間近で実施して,最低限ここまで達しているかどうかという試験であっていい。ただ,最後に1回だけの受験では問題ということならば,その3か月ぐらい前でもいいと思うのですけど,また1年や2年でそういう試験を受けることも構わないのですが,少なくとも高校3年を卒業したらせめてここまでは達してほしいというレベルを設定して,達成していたら達成しているということでいい。達していない科目があれば,3か月後によく学んで達成してもらう。点数がいいかどうかというのは余りここで問わない方がいいと思います。AO入試や推薦入試というのは,こういう試験の点数以外の,高等学校での成績とは別のことも,いろいろ判断して決めるべきです。センター試験のように水準を決めるような試験ではない方がいいので,複数回の受験は結構ですけれども,基本は3年生卒業のときの水準はどうかということを見ることを中心にして,もう1回か2回,事前に受けてもいいということでいいのではないかと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,長塚委員,そして伊藤委員の順でお願いします。

【長塚委員】
 複数回の試験をするということを前提のような意見になりますが,やはりこの試験の目的をどのように考えるかによって、全体のそれぞれのところで出てくる問題というのが変わってくるというふうに思いますので,これを整理しながら意見をしたいのですが,学習指導の改善に使いたいということと,生徒の個別の学力を判定するというのは,目的がやはり非常に異なっているわけですので,複数回ということであれば,これは回を追って目的を分けて実施するのが妥当ではないかと考えます。一つ目の学習指導の改善に使いたいというのであれば,これは3年生の遅い時期にやったのでは実際上の指導の改善につながらないわけで,その意味では相当早い時期でないと指導の改善にはつながっていかない。そしてまた,学校が使うというだけで,大学入試に使わないという前提の試験であれば,あまり準備などは必要ない。つまり,全国学力調査のような意味合いをこれは持ってしまうわけですが,学校の指導改善だけに使う前提でこれはできるだろうと思います。
 しかし、それは同時に学校ランクの問題とか,非常に大きな問題につながりやすいですから,ここをしっかりと防止するという策が必要だと思います。小学校,中学校の小6と中3の全国学力学習状況調査は,その公立学校にいる生徒たちは同一性が高いわけですが,高等学校は,先ほどからのご意見にもありますように,多様な学力差のある学校別の中でのことになりますから,学校ごとの指導の目標とか指導改善の方策とかが変わってくるでしょう。ですからそれぞれの学校に応じた指導に資する資料という意味であれば,これは高校側で懸念していた,いわゆる大学入試につながるようであれば準備をしなくてはいけないということが緩和されるのではないかというのが一つです。
 もう一つの目的である大学入試のAO・推薦に使うというのであれば,これはやはり個別の学力を判定するということですから,このイメージ案の最後の方にありましたけど,高等学校卒業程度認定試験との関係はどうなるのでしょう。むしろ高校卒業程度認定試験というのを改善すれば,高等学校で学んだことの最低限の学力というのはこれで保証されているというふうに,国としては保証しているのだというふうに思っておりましたので,その認定試験でどの程度かということを判定してあげれば,これでもう十分ではないか。そしてこれはある程度遅い時期でないといけないのだろうと思うのです。
 これは前段の1番目にあった通信制の生徒たちなどは,学力保証がシステム的に十分とは思えませんので,その学力の質を確認するというようなことにも非常に必要性があるのではないかとも思っておりました。今日はたまたま通信制のことが一番先にありましたけれども,ある意味,実態としては連動するような話ではないか。大学側もやはり高等学校の学力格差というものを大変懸念しておりますから,やはりどの生徒でも,どういう学力であるかということを判定できるようなものがAOや推薦入試でも多分,必要としているのだろう。そういう意味では個別の基礎学力の判定というのは,これは高校とは別な会場でやるというような,厳格な運営をしないとだめだと私は思います。各学校の先生が試験監督するようなことではなく、高校卒業単位認定試験と同じようでないといけないと思います。
 最後に,外部試験の活用ということですが,これは既に大学でもAO・推薦で外部試験の,例えば英検何級があれば有利にするとか,入学資格の一つの条件として,判定する材料として認めているわけですから,ここであえて基礎力判定の基礎レベルのテストに,それの代替を外部試験とする必要はないのではないかと思います。
 もう1点。1点目の学習指導の改善,これも実は希望参加型であるということ,これは学校ごとに参加したり,あるいは個別参加したりすることがあるかもしれませんが,希望参加というのは,私はこの原則は外すべきではないと考えます。それと,もちろん,個別の基礎学力判定もこれは個人が必要としますから希望参加であると考えます。この希望参加であるというところを絶対外さない仕組みの中での複数回受験で,趣旨の違う試験にしていった方がいいのではないかと思うわけです。
 すみません,長くなりました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,伊藤委員。

【伊藤委員】
 まず,試験の目的ですけれども,及川委員と重なりますが,一つ目はやはり生徒自身による学習改善の資料とするようなもの。そして二つ目は,指導の改善に生かせるようなもの。それから三つ目がAO・推薦入試などの資料の一つになるものがいいのではないかと思っています。
 一つ目の生徒自身による学習改善の資料とするのであれば,ここまではまだ議論されておりませんが,テスト返却時に何を返すのかということが非常に大切になってきます。講評をしっかり付けて,そしてアドバイスも必要になってくるのかなと思います。
 それから,二つ目の高校側の指導の改善に生かすとすれば,その結果を基に,その学校で独自にそれを基にどう,何を改善していくのか,きちんと改善プランを練って,学校で取り組んでいくことが必要になってくるのかなと思います。
 それから,回数ですけれども,やはり高校1年生の学習については,やはり高校1年生の達成ができているのかできていないのか,やはり本人の学習改善や高等学校の指導改善に生かすとするならば,高校1年生の末,又は高2の頭。それから,高校2年の内容であれば,高校2年の末,又は高3の頭。これでやらないと本人の学習改善,それから高等学校の指導改善にはなかなか生かせないのかなと思います。高校トータルということでは,やはり高校3年生の秋にやらざるを得ないと思いますので,それはAOや推薦入試に使える資料にもなってくるのかなと思います。
 それから,対象者ですけれども,相川委員と同じ考えなのですが,基本的にはやはり学校単位で受験が頭に来て,そして,高校生個人でも可能だし,中退した者,浪人生等も希望に応じて参加できるといったものが後から来る方がいいのかなと思っています。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに御発言の予定の方。分かりました。

【服部委員】
 先ほど,少し学習指導要領というのを持ち出したのですが,これは唐突に出したわけではなくて,あるときから私,この会に入ってからずっと,学習指導要領の関係はどうなるのかなという思いをずっと持っていました。これは当然のことだと思いますけれども,やはりこれはどこかで,この取組は学習指導要領の内容の延長上にある到達度テストだというようなことを明記すべきだと思うのですね。そうしないと,この到達度テストがあるために何か別のことをしなければいけない,そのために補習とか何かをやらなきゃいけないというような思いになってはいけないので,あくまでも日頃の教育活動の延長上にあって,それが到達度というようなことになる必要があるだろうと思います。
 それから,実際に高等学校等で指導していて,もちろん優れた学校というか,学習指導要領の内容はすぐにクリアできるような学校もあれば,ほとんどの学校がむしろこの学習指導要領の内容のことが習熟できれば,これは本当にすばらしいものなので,日本における高等学校教育はこれで十分担保できるという,そういう内容になっていると思うのですね。そうすれば,この内容のことをどこかで測るというような意味合いをどこかで込める必要があるのではないかと思います。
 そのために例えば,どれを選ばせるかということについては,例えば普通科高校とか専門高校とか,いろいろありますけれども,必修単位としての国語とか英語とか数学というのはあって,必修の領域の中から何科目かと,それからあとは校種別に,学校ごとに,あるいは場合によっては生徒ごとにどれを選ぶかによって,最終的にどれだけ以上というようなことを,例えばこれ,高等学校の卒業は,今は七十数単位ですかね。昔は90単位ぐらいのときがあったのですが,それだけの全部を測るというのは難しいかもしれませんが,例えば3分の1以上をクリアするようなこと測るというようなこともあるかと思いますが,要は,繰り返し申しますが,やはり現行の学習指導要領に準拠した取組を各学校が一生懸命やっているわけですから,その中での取組で,そこでしっかりやれば到達度テストにも行けるというか,そういうようなことを明記する必要があるのではないかということを思っています。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 松野下委員,どうぞ。

【松野下委員】
 指導改善を優先するとなると,これは教員側の問題になると思います。そうであれば抽出でいいとなってしまう。今回のこの会議では「質の保証」につなげたいと協議してきたと思います。高校生の学力向上・高校教育の質の保証という点では,ある程度生徒に頑張らせることが必要と思うのですね。そういうことで,生徒が自らの学力を把握し,学習意欲を持ってもらうには,教員の指導改善よりも,生徒の学習意欲,そちらの方を前にすべきだろうと思います。
 できることであれば悉皆としたいところでありますけれども,希望参加型ということになりました。しかし,希望参加型とは言え,できるだけ多くの生徒に受けさせたい。そういう意味で言うと,AO・推薦入試,こういったものを活用することは必要と思います。余りいい方法ではないかもしれないけれども,そういうものを提示しながら生徒には頑張ってもらうということがあっていいかなと思いますし,途中で記載が落ちたようですけれども,就職する生徒にもこういったものを受けさせるということが私はあっていいのではないかなと思います。
 それから,内容が6教科というふうに出てきたのですけれども,これは学習指導要領で高校生全てが取る科目で,国語,数学,英語は共通必履修科目でしょうけれども,それ以外は選択で取ることになっていますので,この6教科ということがここで出てきたということはよく分かりますが,ただ,中には苦手科目であるとか,こちらの得意なものを見てほしいという生徒もいるでしょうから,そういった意味では3教科プラス1といった具合に,選択にしてもいいのかもしれません。
 それから,余り早い時期から実施するのは,問題があるように思います。やはり高等学校の学習が終わったところで測ってあげないといけないだろうから,高校2年生が終わったところ,あるいは高校3年生の夏休みに近いところ,また,AOやら推薦やら就職に間に合わせるという具体的なことを考えると,高3の夏辺りでやらないと,こういったものがなかなか使えないだろうということはあると思います。
 それから,このイメージの中では各年2回程度というのは,多過ぎるのではないかなと思います。一つはAOや推薦入試で使うようなときに1回目に緊張の余りに失敗した者とか,あるいは一度やって,自分は余り点数が取れなかったからもう1回頑張るというふうな,そういうことをイメージしていると思うのですが,一方では,逆に多過ぎると慣れてしまって緊張感がなくなってしまうということがないだろうか。そういった意味では,複数回はいいとして,2年生に1回,3年生に1回とか,そのぐらいでいいのではないかなと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,上野委員,そして長山委員の順でお願いします。

【上野委員】
 基礎レベルの試験を何割ぐらいの生徒さんが受けるのだろうかということを考えると,恐らく今の大学進学などを考えると,随分たくさんの人が受けるのだろうと思います。そういうふうにして考えていったときに,基礎レベルのテストでは基本的な目的は,高等学校における指導改善に役立っていることというのが一番主要な目的に本質的になるのだと思います。それが結局,質の保証にもつながることになる。加えて,1番目の,生徒自ら自分の力を判断できるということも当然加わるわけです。
 だから,目的の部分については,AO入試であるとか推薦入試というようなことのキーワードは外しておいてもいいのだと思います。そういうふうなことに利用するかどうかは,それは要求する方が要求したときに,生徒が出せるようにしておけばいいのですね。それを日本の推薦制度でいう,例えば高等学校から大学に出される入試のときのいろいろな書類というのは,実は,それを見る方からすると,形を成していないというのが実情なのです。必要であれば要求して出していただければいいのであって,その道さえついていれば問題ないのだと思います。ですから,私は今,大学の観点から見ている感覚で申し上げています。
 それから,主体に関しては,そういうふうなことが絡んでくるので,すなわちその成績を要求するところがあれば,例えば場合によっては英語のTOEICなどの結果と同じように,成績を本人が持っていて,それを要求されるところに提出すればいい。そういう方法でもいいかもしれないけれども,まだ高校生であるということを考えると,それを高等学校とは別なところが発行するということも必要なので,別な主体がこの試験を担う必要があろうかと思います。
 それから,試験の内容なのですけれども,負担ということをお考えになると思います。それは,例えば高等学校側がやるということの負担もそうでしょう。どうしても結局場所を設定したりするのに負担があります。それ以外に生徒の負担というのがあろうかと思います。一つの例として,今,TOEICというのが結構広まっていて,大学入試であるとか,大学院入試の一部でそれを積極的に使おうという方向へ進んでいます。あれは年に数回行われて,受験生が自分の意思で何回でも受けられる。割と定着してきていて,結構受けています。以前は,受けるということに非常にちゅうちょしていたのですが,今は気軽に受けています。定着するとそういうふうになります。そして,受験者は何回も受けた中で一番いい点を,要求する学校なり企業に提出すればいいわけです。それを彼らが理解すると,逆にそういう試験機会が複数あった方がいいわけです。恐らく,今,基礎レベルと言っている試験の達成度というのは,むしろそういう観点から見た方が,将来的にやりやすいのではなかろうかというような気がします。
 そういう意味で,例えば6教科の中で,やはり試験者として最低限持っていてほしいという部分がありますね。そういうものを,例えば3科目程度作って,あとは自由に受けさせる。若しくは選択にしておく。そういうふうにしていくと,最終的に定着するのではないかと思います。
 あとは,それ以外の試験,野上委員がいつもおっしゃっていることですけれども,本当に社会に出て,やはり大事なことがあるだろうと。そういうふうなことに関するうまい方法を,試験と言わずに,もう少し本当にじっくりと考えていくことも必要なのではないかと思います。そういうものは数値化した試験では測ることができないので,この試験の中の内容に入れるのは極めて困難だろうと思います。別な方策を積極的に考えていく必要があろうかと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,最後,長山委員。

【長山委員】
 目的のところなのですけど,私は,定・通,あるいは少し学力の低い学校ということでいつも想定してしまうのですけれども,その中でやはり達成度を見るということが大きな目的になってほしいなと思っています。指導改善に生かすということであれば,教師の指導改善もそうなのですけど,受けた生徒が到達できなかった部分をいかにまた到達させられるかというところが,それを指導することでやはり指導改善ということにつながるのだと思いますので,そういうふうになっていただければと思います。
 それで言えば,例えば定時制の場合ですと,例えば共通履修科目にしても,場合によっては2年間をかけてやるというところもありますので,ある程度,一つの履修が終わったという段階で受けさせるのがいいのだろうと思っています。ですから,これは少数かもしれませんけれども,やはり年度の区切り目,1年であれば1年終わった後,あるいは履修が認められたところであれば,やはり年度の区切り目ですから,そこのところで受けて,どの程度達成できているのか,到達できているのかというところを見た中で,その結果がどの程度の期間で受験後返ってくるか分かりませんけれども,その結果を受けての指導というのも行えるような体制というのが各学校でとれるような,そういうものが設計されればいいのかなと思っています。
 それから,その中で,例えば先ほど出ましたけれども,特に定・通の生徒にとってみれば学習意欲,あるいは学習する姿勢というものに欠けているという部分が多いですから,これを一つの目標ということ,自分の将来の目標の一つの関門みたいな形で捉えれば,学習習慣ですとか学習意欲の向上というのでしょうか,そういうところにつながるのではないかと思っています。
 試験内容としては,個人的には6教科というのは多いのかなという部分もあるのですが,やはりいろいろな授業を見ていると,生徒の中で地歴,公民,理科のところで,やはり先ほど出ましたけれども,本当にこれでいいのかな,この程度の学力でいいのかな,知識でいいのかなと思う生徒もかなりいますので,そういう意味ではやらなくてもいいような教科,科目があると,やはりなかなか勉強しなくなりますので,テストの内容は基礎レベルの,更にどういうレベルになるか分かりませんけれども,そういうところで学習意欲,学びの姿勢を作るというところに結び付けられるような形であれば,やはり6教科でもいいのではないかと思っています。

【小川部会長】
 では,長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 先ほどの複数回の受験の仕組みをもう少し考えた上での意見になるのですが,例えば,現在でもセンター試験を受ける生徒たち,高3の1月に受けるわけですけれども,その前に,高2の1月に,同じように学校の中でほとんどの生徒が,センター試験を受けると思っている生徒は模擬的にやっているのですね。大体センター試験が従来は高2までの内容が8割だと言われていて,高2でもある程度取れるはずだというような前提でセンター試験を高2のときにも模試的に受けている。実はそういうならわしが実態としてあります。
 そういう意味では,発展レベルも内部的には2回やっているようなものなのですけれども,仮に複数回といっても,年に2回,2種類のものを用意するというのは非常に大変なことで,仮に夏の前,例えば9月入学などという将来のことを考えると,夏の前ぐらいに行って,それを2年生も3年生も受けられるようにする。例えば2年生はそれを指導改善に使うというような意味合いになってくるのだと思います。それは希望参加型であるし,ですから学校の指導改善ですから,学校悉皆でなくても,場合によっては学校の判断で抽出でも構わない。もし、一人一人の指導改善ということであればなるべく受けるように指導するというのが学校の判断になってくるのではないか。これは校内で試験を行うことができる。つまり,これを大学へ進むときの保証のものとして使わないということであれば,指導改善レベルなので,学力調査レベルでできる。
 同じときのこのテストを3年生が受ければ,これはいわゆる大学のAO・推薦入試などに用いることが可能で,というのであれば,これは厳格な体制の中で行うべきで,一つの試験であっても複数回に実はなる。1年に複数回というふうに書き込んでありますけれども,これは非常に大変で,それがもし何か大学入試に使われるというようなことであれば,やはり高校現場は準備をしなければならない。いろいろな教育活動に支障を来す。回数が増えるということになりますので,それはなるべく避けていく。先ほどのセンター試験の2年次での練習的な受験をしているような,校内で受けているような,そういう意味合いにとどめた方がいいのではないか。
 となると,やはり試験の基礎レベルの範囲も,高1の3教科の必修科目を中心としたものにならざるを得ない。そこがいわゆる高等学校のある意味最低限求められている基礎的な学力ということになってくるのであって,高2から高3にかけての科目については,これは発展レベルの試験で問うようなレベルではないかというふうに,教育課程そのものが作られているのではないかと私は感じております。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,上野委員とアキレス委員。

【上野委員】
 なかなか時間がなくて細かいことまで申し上げられなかったのですけれども,複数回というのもむやみにたくさんやるということではないです。普通は,例えば1年に2回やる。それで高等学校として,明らかにその後の指導に使いたいという場合は,学校によって,例えば年度の末に近い方にやられるものを全員で受けるというふうにしてやるとか,いろいろな工夫はそれぞれ出てこようかと思います。ところが,細かい方から先に話がスタートすると,大きなことが決められないということがあって,基本的にはこういう試験はある程度数があって,場合によっては本人の希望で,高校1年生が受けることさえ許していいのだと思います。
 だから,余りにも学校での全体的な公平な指導というのでしょうか,それとリンクさせ過ぎると,なかなか壁を越えられないということが出てくるのではないかと思っております。

【小川部会長】
 では,アキレス委員。

【アキレス委員】
 いろいろな議論を聞いて,二,三,思っていることがあります。まず一番最初の試験の目的のところで,私は先ほど,2番のところがやはり大切だろうと。それは変わらないのですけれども,同時に,何人かの意見を聞いて思ったのは,生徒が自らの基礎的な学習到達度の把握というところは,やはり大きな目的になってくるのだろうなと。そういった意味ではAO入試うんぬんというのは,補足として入ってくるのかもしれないけれども,メインの目的ではなく,どちらかというと本人が自分の改善点を明確に理解することを通じて生徒の学習意欲を喚起する。自分が何をやらなければいけないのかということが分からないと,ただやみくもにやってもできないと思うのですね。だから,それは何らかの形で残していただけたらと思います。
 あと,何回やるかという議論になっているのですけれども,私のイメージは皆さんと少し違うのかもしれませんけど,一応お話ししますと,まず例えば高等学校に入って1年目,夏ぐらいに現状把握という意味で試験を受ける。それからずっと,では,この部分をもう少し頑張らなきゃいけないのだということが分かってから,次の2学期ぐらいにもう一度受ける。3年生になったらやはり改善の余地がないときに受けるのではなく,少し早めのタイミングでもう一度受ける。つまり,一つ一つの,3回やるとしたら全部同じ試験を受けるのではなくて,やはり質の確保というところからいくと,1年のレベル,2年のレベル,それから最後のレベルというふうに内容が異なっていくのではないかと思うのですね。
 なぜ,では3回やるのかというと,高等学校の学習だけではないのですけれども,やはり最初の1年とか最初の数か月って,本人の学習の姿勢を作る上でも非常に大事なのではないか。つまり,1年たってから頑張ったかどうかって,もしその1年無駄にしてしまっていたら,そこからキャッチアップするのは物すごく大変ではないか。まして,3年生になってから,到達していないですよねって言われても,どうやってキャッチアップできるのかなと思うので,ある程度早めに学習姿勢も含めて指導できるようなところで1回やって,その確認でまた2回目,3回目というふうに積み重ねていく方が,本人の学習意欲と質の確保につながるのではないかと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 よろしいでしょうか。
 では,最後,安彦委員の方に御発言いただいて,終わりにしたいと思います。

【安彦副部会長】
 少し最初の頃の議論を思い起こさなければいけないので,そもそもこのテスト,今回は達成度テストという形で自民党の再生実行本部の原案が,今出てきているという形なのですけど,私たち高等学校教育部会が最初に議論した段階では,そもそも高等学校の質というものを,例えば大学側から,あるいは社会の側から,企業側から,一体本当にどこまできちんと育てているのかという疑問が出てきていて,その上で,でははっきりさせようよということで,はっきりさせるためには何か必要だとして,それを示す何かが必要だと考えた。そういう意味では,ここに挙げてある中で言うと,大学の側から言えば入試のためですけど,そもそも高等学校で,何をどれほどちゃんと教えてくれているのかということに,ですから,高校側がやっていることに対する不信感があったわけです。
 先ほど,長塚委員と服部委員が高等学校でもいろいろやっている,とおっしゃられましたが,実際に大学側,あるいは企業側からは,一体高校の教育ってどうなっているのだ,どこまできちんとやっているのかという疑問が出てきたので,それを何とか,いわばこれだけのことをやっていますということの質を明確にして示したい。また,それをある意味で,ちゃんとレベルアップできる方策は何か,ということでこのテストの議論が始まった。
 その際に,実はAO入試とか,こういうものに使いたいと言ったのは,高等学校の校長会からの声でした。そういうものに使うのだったらいいだろう,そういうテストがあってもいいだろうというのを,むしろ基本的には高等学校の校長側が,当時はむしろ非常にこういうテストに対してはネガティブで,余りそういうことをやってほしくないという構えの中で,仮にやるとしても,どっちかというと学力がちゃんと入試では測れていないAO入試とか,そちらの方に使う分にはいいだろうというようなニュアンスで,このAO入試や何かの話が出てきたのです。
 今回,とにかくその段階からずっと考えてくると,最初の頃は基礎レベルか,発展レベルかという,この区別がなかったわけです。はっきり決めていなかった。いろいろなあり様があるだろう,一つのテストしかあり得ないという考えを持った人もいれば,基礎・発展みたいな二つが要るのかな,というふうなことを考えた人もいて,別にこの会で一つにしようとか,二つに分けようとかいうことを決めたことはないはずです。そういう意味では,今回は新たにこういう形で出されてきて,初めて皆さんの,割合具体的にイメージとしていろいろな御意見が出てきて,むしろ二つ分けることを前提としたこういう話になっているわけです。
 そうすると,実は改めて思うのですけれども,やはり二つに分けるという前提でいけば,川嶋委員やほかの委員の方がおっしゃられたように,AO入試や推薦入試で使う,使わないというのは,これは入試で使う話,あるいは就職で使う話で,そういう意味で言うと,このレベルでの議論としては発展レベルの話と連動してくるので,私としては,特にAO入試や推薦入試との絡みで言えば,この文言は基礎レベルについては,ここの部分については,むしろ発展の方にも使えるというような言い方でしか,表現としてはできないのではないだろうかと思う。それは先ほど上野委員がおっしゃったように,大学側の方針というか,要請でという,そういう視点が前提です。
 むしろ,今の話で言うと,目的のところの2の方が非常に強調されましたけど,これはむしろ,今度の達成度テストが出てきたときの再生実行会議の方の原案でこれが前面に出た。もちろん審議経過報告で,先にこの部会で出した中間的なものにもそのことは入っていますけど,これが,目的として前面に出ていたわけではなかった。むしろ先ほどから申し上げているように,外部に対する証明として,これだけの力が付いていますよということを示したくて,このテストを考えてきていましたから,たまたまそれが就職先だったりするということですから,むしろ指導の改善に生かすのだったら,皆さんがおっしゃったように,本当に初めからやるとか,途中でやるとか,改善に生かす時間を確保しなければいけないとか,それは,議論が当然,今出てきたようにおっしゃられるとおりなのです。
 だけど,どちらかというとむしろ,外部に対する証明としての発想で考えてくると,例えば複数回必要だというのも,単に,指導の改善というよりは,むしろ1回目のテストのときの点数よりは2回目がもし高い点が取れたら,2回目の方が使えるというようなニュアンスで,外部に対して証明するという,そういうことが前提で複数回というのを考えていた人,私などはどちらかというとそういうふうに考えておりました。
 そういう意味では,この試験を指導改善のために使うというのであれば,私は何人かの方と違うのですけど,小中の方の全国学力学習状況調査がありますけど,あれはそもそも最初にどうして悉皆にしたかというと,それこそ正に指導改善のためなのです。指導改善のためになぜ悉皆にしなければいけないかというと,利益を受ける学校と利益を受けない学校が出るからです。データが出た学校と出ない学校が生まれてしまえば,指導改善をやれる学校とやれない学校が出てしまいますから,それは不公平です。ですから,むしろ悉皆にして,全ての子供,全ての学校にそういうデータを出して,指導改善の活動をしていただきたいという意味で悉皆にした。ですから,抽出というのはむしろそういう意味では望ましくない,抽出でもいいのですけれども,悉皆でやるからには必ず指導改善の活動をしてくださいというふうにお願いをしてきています。
 その辺は今のお話で,高等学校は義務教育ではありませんから,ある意味で少しやわらかく考えるという視点が入るのかなとは思いますが,いずれにしましても,これははっきりさせないといけないと思います。ですから,指導改善に生かせるとしても,それは副次的な目的であって,メインは外部に対する証明ということが前提だという,私の意識ではそうだということです。
 ですから,このところは,確保あるいは向上というところで言えば,先ほどあったように1の方は基礎的な学習達成度の把握を子供も先生もできる,あるいは学校としてもできるという,そういう外部証明的なもので,それが子供本人の意欲の関係,あるいは先生の方の指導改善に役立つという,これが2番目の効果,狙いとして入ってくるという,そういう位置付けの方が何となくすっと入ってきます。
 それから,対象者は,これは改めて思うのですが,一言で言えば,先ほどから長塚委員がおっしゃっていたように,そもそもこれは希望校あるいは希望者でということが中間報告でもかなりはっきり出ておりましたから,その形が念頭に置かれてこの原案が出てきたと思います。これと卒業認定試験との関係が私は非常に気になっておるのですけれども,もし指導改善に生かすということになったら,認定試験を受ける子供は,ある意味で学校に来ていないわけですから,この子たちに対するフィードバックというのはどういうことになるのだろうという話になってしまいます。
 改めて考えて,皆さんはどうお考えになるか分かりませんけれども,認定試験の方は,ある意味で高等学校に行かない,あるいは行けないということが前提のお子さんたちですから,これはこれでやはり別途そういう試験制度を今までどおり保持する。ただ,試験の程度に対しては質の上で同等のものということは,はっきり考えておかなければいけないのではないかと思います。
 それから,科目ですけれども,これは皆さんから伺っていて,今日は荒瀬先生がおられないので,荒瀬先生は市民性をちゃんと調べろというか,ちゃんと育てておかなければいけないということを言われたりする方なのですが,教科で書くと,本当にたくさんになるなという感じなので,今,何人かの委員の方がおっしゃったように,共通必履修の3教科プラス1を自分の好きなもので選ぶとかっていう発想は,それはそれでいいなと思います。あるいは校種別でも構いませんが,子供の方の選択で認めてあげた方がいいのかな,という気がしております。
 外部試験については,これははっきりさせないといけないのですけれども,代替として認めるのか,代わりとして使えるというふうに言うのか,それとももう代替で全部お願いするというふうに言うのか,この点,はっきりさせてほしいなと思います。繰り返し服部委員がおっしゃったように,これは学習指導要領に基づいてやってきておりますので,大学と違って,大学ごとの教育方針でやっていませんので,ある意味ではやはり内部のきちんとした国家基準というのを持っているわけですから,私としては代替として使うのはいいけれども,全部外にお任せというのは考え方としてどうなのかなという気持ちはあります。
 しかし,反面,私はいつか申し上げたように,もう高校以上はこれからの時代は生涯学習機関にしたらいいと思う。それこそ義務ではないので,そういう観点でいろいろな教育機会を自分たちで使って,どういう時間を掛けても,早い遅い関係なく自分のペースでやっていって,自分の力を外部に証明するのをいろいろなところに当たって,そして示していくという,生涯学習的な観点だっていいのではないですかと申し上げたのですけれども,そういう意味では,まだ少し私も考えが決まっておりません。
 全体としては,一言で言えば,基礎テストの実施主体は高校側だと思います。これはやはり高等学校の教育の責任ですので,これは今,自己評価で客観性がないのではないかとおっしゃるけれども,特にフィードバックをかけようというのであれば,余計自己評価的でなければいけない。むしろそういう認識が要るので,自己評価して自分の指導の改善というのを進めていくべきだというふうに思います。
 どうも長くなりました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 今日,事務局の方から具体的な制度設計案まで踏み込んで出していただいて初めての議論ということもありまして,少し予定よりも時間がオーバーしてしまいました。すみませんでした。
 ただ,これまで部会でいろいろ議論してきたのですけれども,試験の実施目的のところで議論がとどまっていたきらいがありまして,今日事務局の方から資料2のように具体の制度設計案まで出していただいて,いろいろな御意見を委員から忌憚なく頂けた機会になったのではないかと思っております。そのことによって具体的な制度設計,どう進めていくかに関わる委員同士の意見の違いというか,部会の中の争点といいますか,そういうことは従来と比べてよりクリアになったのかなと思っています。今日頂いた意見を更に整理して,次回以降,考え方の違いがクリアになっているところが幾つかありますので,その辺を中心にしながらまた引き続き議論をしていきたいと思います。
 あと,今日議論を聞いていて,もう一つやはり重要なのかなと思ったのは,基礎レベルの試験のレベルですよね。どういうものにするかということについては余り今まで議論してこなかったし,今日も何人かからの意見しか出ていなくて,長塚委員は例えば基礎レベルについては高1程度というふうにおっしゃっていましたし,安彦委員は高卒資格認定試験レベルでいいのではないかという話もあったのですけれども,これをどのレベルに設定するかによって,大分,基礎レベルの試験を何学年の生徒に,いつ受験させるかということとか,高卒資格認定試験との関係,この基礎レベルをどのように関係付けるかということにおいては極めて重要なテーマですので,次回以降,少しその基礎レベルのレベルをどうするかということも,これは非常に制度設計上重要なテーマと思いますので,その点も含めて議論を深めていきたいと思っています。
 今日はいろいろな御意見を頂きましてありがとうございます。次回以降,何度も言いますけれども,今日出た幾つかクリアになった争点がありますので,そこを更に踏み込んで議論を進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 時間が過ぎてしまいましたけれども,三つ目のテーマもありますので,これは簡単に進めたいと思いますので,もうあと10分ぐらいお時間を頂ければと思います。よろしくお願いします。ではお願いします。

【小林教育制度改革室長】
 資料3でございますけれども,これは今後のこの部会での,これまで議論いただきました審議についてまとめた骨子案でございまして,第22回でも少し似たようなものに肉付けをさせていただいております。実線のところが,1月にこの部会でおまとめいただいたものから更新したもの,それから点線は昨年の夏,8月に既に頂いているまとめの事項でございます。
 本日は時間がございませんので,大変恐縮ですが,また御覧いただいた上で,また御審議いただければと思っておりますが,簡単に御紹介いたしますと,今回,高校教育全体について触れるまとめということで,前からの御審議で,最初にこれまでの検討の経緯ですとか,それから高等教育の現在の現状分析,それから現在の現状分析をした上での課題の認識,その上でどういう方向に進むべきかという第3章での基本的な考え方,高等学校で一定程度の共通性の確保をしていくという方向性と,また,非常に多様であるといったことを更にきめ細かく推進していくという大きな方向性。また,第4章でその大きな考え方を踏まえまして具体的に取り組んでいく具体策ということで,特に第4章につきまして,今日は時間がございませんけれども,お目通しいただければと思います。今,御議論いただいているような学習成果の把握ですとか,質の保証ということと,そういった質の確保・向上を支えるための具体的な取組,これは様々な,多様な学校の状況に合わせた取組,それから高等学校は特に社会,職業への移行にとって非常に重要な時期であるということを踏まえた,特にキャリア教育ですとか職業教育の充実,そういったこと。また,多様な学校,特に困難を抱える学校のための支援策,特別な取組などを挙げさせていただいておりますが,まだ十分に入っていないところなどもあるかもしれませんので,次回以降,御意見を頂ければと思っております。

【小川部会長】
 すみません。時間のないところで。
 何か皆さんの方からございますか。
 前回,平成25年1月,この部会でまとめた審議経過に新たにプラスするところは,実践のところで書いている項目になっています。今,この場で何か御意見を出すのは非常に難しいかと思いますので,お持ち帰りいただいてお目通しいただいて,何か御意見等があれば,事務局の方に御意見を上げていただければと思います。
 今日はこれでよろしいですか。すみませんけれども,時間がオーバーしていますので,そのようにさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では,最後に次回の予定について事務局からお願いします。

【小林教育制度改革室長】
 今回,資料の事務局からの事前の送付が大変遅くなりまして,心よりお詫び申し上げたいと思います。次回から改善いたしたいと考えております。
 また,次回の日程でございますが,2月17日,資料4にございますが,大変申し訳ございません,時間の方がこれ,間違っておりまして,3時から5時となっておりますが,同じ日の夕方4時から6時を予定させていただいております。よろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 次回は資料4,これ,記載ミスということで,2月17日,月曜日,3時ではなくて4時から6時までということですので,時間はそういうことで再確認をお願いいたします。場所は今,調整中ということで,決定次第また御連絡させていただきます。
 それでは,今日の部会をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。

── 了 ──

 

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