高等学校教育部会(第27回) 議事録

1.日時

平成26年3月7日(金曜日)17時00分~19時00分

2.場所

中央合同庁舎7号館(文部科学省)3F1特別会議室

3.議題

  1. 高校教育の質の確保・向上について
  2. その他

4.議事録

【小川部会長】
 それでは,定刻になりましたので,中教審初中分科会第27回目の高等学校教育部会を開催したいと思います。委員の皆様には,お忙しい中御出席いただきまして,ありがとうございました。
 本日は,上野大臣政務官にも御出席いただいております。ありがとうございます。
 では,審議に入る前に,配付資料の確認をお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 お手元の議事次第にあるとおりでございますが,配付資料につきましては,資料1-1が審議まとめ(案)でございます。それから,資料1-2が,こちらの審議まとめ(案)の概要でございます。それから,資料2,2種類ございますけれども,高等学校学習指導要領の関係の資料を二つ用意させていただいています。それから,資料3が,前回いただきました主な御意見。資料4が次回の日程について。それから,参考資料が2種類ございまして,参考資料2の方が「高等学校教育の現状」というデータ集のようなものでございます。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。資料の方確認よろしいでしょうか。
 それでは,これから議事に入りたいと思います。本日は,高等学校教育部会の審議まとめ案について審議を行いたいと思います。なお,審議まとめ案については,できれば今日の部会で部会としての一定の取りまとめを行えればと思っています。御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは,資料1-1と資料1-2について,事務局の方から御説明をお願いいたします。

【小林教育制度改革室長】
 それでは,前回御意見頂きましたものを中心に,前回の御意見を赤字で反映させていただいているのが資料1-1にございますので,資料1-1を中心に御説明させていただきたいと思います。
 今回赤く修正させていただいておりますところは,前回各委員から御意見頂きましたものを反映させていただいたことと,あとは,幾つか事務局の方で事実関係につきましてより正確な記述に修正させていただいているところでございます。また,基礎テストのところは非常に赤くなっているように見えますけれども,その部分につきましては,これまで御議論いただいていた別の資料をはめ込んだために真っ赤になってございますけれども,大きな内容の変更はございません。
 また,今日お手元に参考資料2でデータ集のようなものを配付させていただいておりますが,最終的にはこの審議のまとめ案の冊子に付けるデータ集をイメージして本日御参考までに配付させていただいております。ただ,実際に添付する際には,このデータの中で必要なもの,それから,足りていないものをもう少し精査して付けさせていただきたいと思っております。
 それでは,資料1-1でございますが,事前にお送りいたしておりますので,ごく簡単に御説明申し上げます。
 まず4ページでございます。「はじめに」で,前回,共通性の確保と多様化というところで,これは多様化を更に推進していくということよりは多様化への対応ということではないかという御意見頂きまして,それを修正させていただいております。また,同じ4ページの下の方でございますが,特に高等学校では生徒一人一人の学習意欲を高めることが極めて重要だという御意見頂きまして,それを反映させていただいております。
 また,7ページから第1章の現状分析のところでございますが,現状についてより正確にするための修正を幾つかさせていただいております。
 それから,10ページでございますが,同じ現状の説明の中で学習指導要領のところでございます。少し記述を加えさせていただきまして,現在の新学習指導要領ではどういったことに対応しているか,10ページの記述,それから,13ページにも,例えば言語活動の充実ということを既に充実させている方向性でもうやっているという,その現状について少し加えさせていただいております。
 また,前後して恐縮ですが,12ページの頭の方では,前回,学びが,非常に課題を抱えている生徒への言及が多いけれども,むしろ高度な教育機会を提供する,いわば特別な支援というのは,非常に学習が進んでいる生徒さんに対する対応の部分の記述が少ないのではないかという御意見を反映させていただいております。
 また,少し先に進めさせていただきまして,17ページからが第2章で,高校教育の質の確保・向上に関する課題・基本的考え方のところでございます。ここの部分につきまして,コアの御議論,1月の審議経過のまとめで御議論いただいているものをまとめているわけですが,そこから分かりやすい表現に少し文言を修正させていただきました。
 また,22ページで,総合学科についての記述を少し正確にいたしましたのと,23ページでございますが,ここは学び直しの推進ということで,前回は定時制,通信制に特に着目して書かれていたのですが,それは普通科にも同じ課題があるのかという御指摘をいただきましたので,その点について1パラグラフ書き加えてございます。
 また,24ページで,グローバル人材の育成ということで,グローバル化への対応の部分が,少し記述が足りないのではないかという御指摘をいただきましたので,それを加えさせていただいております。
 第3章が,今後の質の確保・向上に向けた施策のところですが,25ページの最初のところで,国とか地方公共団体それぞれが果たすべき役割分担について明確になっていないという御指摘がございましたので,そこを加えさせていただいております。
 25ページの下の方も真っ赤なパラグラフが一つ追加されているようになっていますが,これはパラグラフを移動させた関係で真っ赤になっておりますが,もともとあった記述でございます。
 それから,26ページから基礎テストの記述部分でございます。四角の枠の中に書かせていただいている部分は,前回御議論いただいたものと大きく修正ございませんけれども,その前に26ページの枠の上の部分,白丸が三つ並んでございますが,ここにつきましては,今回のこのテストの導入の背景とか必要性,それから,枠内の記述と重なりますけれども,このテストの目的・活用方策の在り方について少し丁寧に説明を加えさせていただいております。
 27ページの枠内でございますけれども,ここについては,テストの内容のところで,例えば外部試験や検定などについては全ての教科で活用すべきではないかという御意見とか,また,実施方法のところにつきまして,年間の実施時期については夏から秋を基本として,学校現場の意見等を聴取しながら検討していくということを微修正させていただいております。
 また,28ページ,赤い枠のすぐ下のところでございますが,ここは前回頂きました御意見について,枠内の意見と異なる頂いた御意見について少し記述させていただいております。高等学校でございますので,義務教育と違っていわゆる義務的な,全員に参加を強制することはなかなか難しいということとか,あるいは前回,1月のまとめで既に入っておりました,希望参加にすべきであるということを新たに加えさせていただいて,枠内の方で記述させていただいております。
 ただ一方で,制度のいわゆる仕組みとしてはそういうものであっても,なるべく多くの生徒が受けることが望ましいというような御意見頂いておりますので,そのような記述を28ページに紹介させていただいているのと,また,30ページでも,なるべく多くの生徒が受検できるような配慮というような御意見頂きましたので,それを加えさせていただいております。
 また,28ページに戻って恐縮でございますけれども,例えば実施方法とかまだ今後詰めていかなくてはいけないことがございますけれども,今後実施に当たって留意すべき,例えば指導主事の協力なども考えられるのではないか,あるいは高卒認定と単に統合するのではなくて,両制度の異なる趣旨を踏まえた問題の在り方などを慎重に検討を進めるべきではないか,今後の制度設計で考えていくべきという御意見を,入れさせていただいております。
 また,29ページのところですが,学習指導要領につきまして,現行の学習指導要領の考え方については現状分析の中で加えさせていただきましたが,今後の学習指導要領の改訂についても言及すべきではないかという御意見ございましたので,29ページのところで,例えば今後育成すべき資質・能力,それを育成するために必要な各教科等の目標・内容,学習評価の在り方をトータルに捉えて分析し,必要な見直しを行うこと等について検討を進める必要があるということについて加えさせていただいております。
 主な修正は以上のとおりでございます。
 この審議のまとめの各事項につきまして簡単な概要にまとめさせていただいておりますのが,資料1-2でございます。こちらは御覧いただければよろしいかと思いますので,説明は省かせていただきます。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。この後,前回,学習指導要領について幾つか御意見もありましたので,現行の高等学校の学習指導要領の考え方や取組事例などについて,これも事務局の方から説明いただければと思います。

【橋田専門官】
 教育課程課の橋田と申します。私からは,高等学校の学習指導要領につきまして,主に言語活動と柔軟な教育課程の編成の観点から補足説明させていただきます。
 まず資料2-1をお開きください。こちらの方,2分割になっておりますけれども,それぞれ右下のページ数を基に御説明させていただきます。
 まず1ページにございますとおり,今回の学習指導要領の狙いについてでございますけれども,知識基盤社会の時代において生きる力を育むという理念はますます重要という認識の下で,新学習指導要領においても,教育基本法改正などを踏まえまして,生きる力の育成を目指しております。
 特に学力につきましては,基礎的・基本的な知識・技能の習得,二つ目として,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等の育成。3点目として,主体的に学習に取り組む態度ということで,学力の重要な三つの要素を重視しております。このことを踏まえまして,自分の考えを書く,説明する,議論するなどの言語活動を積極的に導入することにしております。
 2ページをお開きください。この点については,高等学校指導要領にも総則において明記しているところでございます。特に各教科等の指導において,思考力,判断力,表現力等を育成する観点から言語活動を充実することにしております。
 お手元の資料2-2の方で,この言語活動の取組のイメージをつかみやすいようにということで用意させていただいております。思考力,判断力,表現力等を育むために例えばこんな言語活動で授業改善ということで,例えば考えを深める場面では,一斉授業だけではなくて,ペアで意見交換したりとか,付箋やホワイトボードを使って話し合う活動を示しております。
 その裏側でございますけれども,発表の場面では,例えば先生が説明するだけではなくて,生徒が説明したりとか,ポスターセッションをしたり,立場を決めて討論したりといった活動を示しております。
 最後に,「書く」場面においてですけれども,板書をノートに写すだけではなくて,レポートや新聞にまとめたりとか,ICTを活用する活動を示したりしておりますので御参照いただければと思います。
 それでは,資料2-1の方にお戻りください。3ページ目でございますけれども,ここにイメージで示しておりますとおり,いわゆる国語だけではなくて,全教科等を通じて,その目標を実現するための手立てとして言語活動を充実することにしております。
 4ページにございますように,文部科学省では,各教科等において言語活動を重視する際の基本的な考え方とか,優れた実践事例を収録した事例集を作成,配布しているところでございます。高等学校における具体的な展開例としても,例えば実用的な文章を読んで内容を理解し,自分の考えを持って話し合うなど,こちらに掲げていますような留意点に留意する必要があると考えております。
 次いで,5ページ以降で,高等学校における今の教育課程の編成の考え方についてお示ししております。まず5ページには,標準単位数を踏まえまして各学校において一定の要件の下で各教科・科目の単位数を増加させたり減じたりするということができることになっております。
 続きまして6ページでございますけれども,いわゆる学校設定教科・科目として,地域,学校,生徒の実態等に応じまして,各学校において学習指導要領に示す教科・科目以外の教科・科目,これを学校設定教科・科目として設けることができるとなっております。
 7ページには,指導内容に関わりまして,各学校においては,学習指導要領に示していない事項を加えて指導したりとか,各教科・科目の目標の趣旨を損なわない範囲でその内容を適切に選択して指導したりということができる形になっております。
 8ページでは,その他,年間授業週数は35週,週当たりの授業時間は30単位時間となっておりますけれども,学校や生徒の実態等に応じまして,各学校において,年間授業時数,また週当たりの授業時数を定めることができるとなっております。
 9ページには,海外留学とかボランティアなど学校外における学習等の単位認定の制度について紹介させていただいております。
 10ページ以降については取組事例でございますけれども,言語活動に関連いたしまして,先日文部科学省の連絡協議会で事例発表を行いました富山県立小杉高校の取組事例を紹介しております。この学校では,学習意欲の向上による基礎学力の習得,思考力・判断力・表現力等,活用する能力の育成,連携協力による教育活動の充実といった柱で活動に取り組んでおります。
 特に11ページにございますように,活用する能力の育成の観点からは,課題解決的な学習とか多様な言語活動等を計画的,継続的に繰り返し行うということで,思考力,判断力,表現力,また活用する能力を効果的に育成しようということで,各教科を通じて取り組んでいるというところでございます。
 12ページ,13ページには具体の授業展開の例と致しまして,グループワークの様子とか,また,こういった取組の中でディベート,プレゼンテーションといったような活動に取り組んでいるという例を御紹介させていただきます。以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,これから,先ほど事務局の方から説明がありました資料1-1,審議まとめ案について,皆さんからの御意見を頂きたいと思っています。一括して全てまとめて議論するというのは大変ですので,前回同様,三つに分けて御意見を伺えればと思います。まず「はじめに」から第1章,そしてまた,第2章から第3章で,第3章には達成度テスト(基礎レベル)が入っていますけれども,この達成度テスト(基礎レベル)を除いた他の第3章の部分,第2章と第3章の部分,これについて御意見をお伺いして,最後に,これは第3章の25ページから28ページに記載していますけれども,達成度テスト(基礎レベル)の内容について御意見を伺うという,そういう三つに分けて議論を進めさせていただければと思います。よろしくお願いします。
 まず最初に,「はじめに」及び第1章高等学校教育をめぐる現状とこれまでの取組について,何か御意見があればお聞かせいただければと思います。前回,委員の方から様々な御指摘や御意見頂きました。今回このまとめ案には,前回出された御意見はかなり組み込んでいるかと思いますので,更に何かまた不足する点等含めて御意見があれば,お聞かせいただければと思います。それでは,「はじめに」,そして,第1章の内容についていかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では,また後で立ち戻って全体についてまた御意見伺いますので,またその際にも御意見があればお伺いします。
 それでは,次に第2章及び第3章,達成度テスト(基礎レベル)を除いた他の部分,第2章と第3章,御意見があれば。いかがでしょうか。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 基本的な基礎レベルのテストに関してですけれども,具体的には27ページのテストのところですが。

【小川部会長】
 基礎レベルはこの後時間をとりますので,すみません。

【金子委員】
 まだ3章,ごめんなさい。

【小川部会長】
 第3章は基礎レベルの部分を除いた他のところで御意見を伺いたいと思います。第2章,第3章。この後,達成度テストについては少し時間をとって皆さんからまた御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
 荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。少し時間がたちましたので,思い出すためにも申し上げたいと思うのですが,17ページの全ての生徒に身に付けさせる資質・能力「コア」,このコアについては議論を随分重ねてきたと思います。具体的にこのコアがどういうものかということについてはページを割いて書いていただいているわけなのですけれども,このコアがきちっと本当に生徒に付いたか付いていないかということをどのようにして測るのかというときに,その一つの方法として,後に議論する基礎レベルのテストを行うということになっているのだと思います。
 ただ,基礎レベルのテストで測れるものと,やはり測れないものがあって,このコアの中には測れないものもたくさん含まれていると思います。そういったことが高校教育の中でどのように具体的にプログラムされて動いていくのかということについての確認の方法というのでしょうか,それは各学校が,あるいは都道府県教委なりが見ていくということで良いのかどうかということについては,少し議論をする必要があるのではないかなと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 意見ということではなくて,率直に感想というか。私は学習指導要領に準拠したということを度々申し上げてきたのですが,やはり現実に行われている高等学校の教育が学習指導要領に基づいて行われている。さらには,教科書検定制度,そして,それを受けた教科省を使って日本全国の高等学校の教育が行われているという,ある意味では世界に誇るべき日本のこの仕組みが,やはりこういう達成度テストに生かされなければいけないという思いを持っていたのですが,今回のこの中には,1章,2章,3章でも,現実に行われている高等学校の学習指導要領についての意味とか意義とか,あるいはそれに基づく達成度だということが明確に示されたので,非常にいい方向だということを率直に思いました。ありがとうございました。以上でございます。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。

【川嶋委員】
 よろしいですか。

【小川部会長】
 川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】
 もし少し分かればということなのですが,12ページの一番下の白丸,「学校評価や積極的な情報提供の取組が推進されている」とあります。そこで,学校評価の実施状況については96.7%,学校関係者の評価は85%実施となっていますけれども,情報提供といいますか,情報公開・公表の実態がどうなっているのかというのについて,もしそういうデータがあれば本文に入れていただきたい。
 といいますのは,やはりここの部会は教育の質保証ですから直接関係するわけではないのですけれども,例えば今後入試で調査書などを用いてきちんと評価するようにということになった場合,従来からずっと言われていることですけれども,高等学校が非常に多様であるがために,調査書に記載されている内容は必ずしもある一定の基準から評価できないような状況にあるわけです。
 そういう点においては,大学の方は大学ポートレート(仮称)という枠組みを作りつつあるわけですが,できれば高等学校教育についても,どういう高等学校なのかということが,大学だけではなくて,社会に対して分かるような形でできれば共通の項目について積極的に情報を公表していくということが,大学入試だけではなくて,いろいろな意味で必要なのではないかと思います。
 アメリカの例でいいますと「高校プロファイル」というのを,これ,必ずしも全て共通のテンプレートで作られているわけではないのですけれども,そういうものを積極的に各高校が情報公表しています。その点についても少し触れると同時に,更に積極的に情報を公表するとことが非常に重要であることと,もし公表の実態等のデータがあればそれも是非本文に加えていただきたいと思います。

【小川部会長】
 事務局の方いかがですか。大体,自己評価とか学校関係者評価をやっている学校は,例えばホームページ等で情報をオープンにしていると思っていたのですが,いかがですか。

【高見専門官】
 今手元にある資料に限っての話になりますけれども,先生がおっしゃるように,ホームページに公表したり,あとは学校だよりに掲載して配布したりするとか,いろいろな形態をデータもとっておりますので,それは本文の中に反映する方向で考えたいと思います。

【小川部会長】
 では,そのようにお願いいたします。
 川嶋委員,それでよろしいですか。

【川嶋委員】
 はい。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。
 では,特になければ,後で全体についてまた御意見を伺います。
 それでは,審議まとめの先ほどお話しした25ページから28ページですね。達成度テスト(基礎レベル)の内容についてまた御意見を伺いたいと思います。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 ありがとうございます。27ページの具体的なテストの内容でありますけれども,私は基礎レベルあるいは発展レベルでもそうですけれども,具体的なテストの形態としては大きく言えば三つぐらいあり得ると思います。一つは教科といいますか科目にかなり細かく分かれたもの,それから,2番目は合科目型といいますか,かなり基礎的な教科の単位に関連するもの,3番目はもう少し総合的な能力を測るというタイプのものです。
 それで,この27ページのまとめは,基本的にはやはり教科型ないし合教科型が基本であるというふうな書き方で書かれていて,それにプラスして,2番目の丸ですけれども,知識・技能の活用力,思考力等を測る問題も含める,あるいは,また複数の教科を融合した教科融合型問題も考えられるというふうな表現になっているわけです。
 私は基礎レベルについては,教科融合型というよりも,むしろ総合的な能力を測るようなタイプのテストも十分考えられるのではないかと思います。この表現では必ずしもそれが一つのオルタナティブとして含まれていないのではないかと思います。私はほかの委員の方々の御意見にもよるわけですけれども,少数意見として入れていただいても結構なのですけれども,それを明確なオルタナティブとして入れるべきではないかと思います。
 幾つか理由はありますけれども,一つは,このレベルの総合的な能力というのは非常に重要で,先ほど言語活動という話がありましたが,そういったことが狙っているのも,やはり総合的な能力を教科の指導を通じて達成しようということが新しい今の高校教育の狙いにもなっていると思います。
 こういった点で,最近,PIAACといいまして,国際社会人能力コンピテンシー比較調査が行われまして,それはかなり基礎的な力を国際的に成人に関して測定しています。これは読解と数的能力が基本的な二つのカテゴリーで,問題を見ますと,やはりかなり現実に,一般的に使うような能力が測られていて,これはPISAよりもやはり普通の教科から離れているというようなものであります。
 この結果を見ますと,日本は全体としては平均点としてはかなりいいのですが,どうしていいかというと,むしろ30代以上のところがかなり良くて,一番若い方の18歳から24歳ぐらいのところは実はあんまり良くないといいますか,上の世代よりもかなり下がっているわけです。私はそういうところはやはり今回の基礎レベルの試験に関しては,むしろそういったところをターゲットにすべきではないかと思います。
 もう一つ,かなり技術的な問題としまして,私はむしろ総合型の方がいいと思うのは,一つは,発展レベルが5教科型になるとすると,この27ページの表現ですと,5教科型の発展レベルと基礎レベルの区別がほとんどなくなって同じようになってしまう可能性がある。同じようになってもいいという考え方もあるかもしれませんけれども,私はそれは違った方がいいと思います。
 それから,年2回やるというようなことを考えると,テストの科目自体があまり多いというのはかなり難しい,負担が大きいのではないか。比較的半日ぐらいでできるテストが本来望ましいのではないかと思います。もう一つ,2年生に受けさせるということになると,教科に拘束されるとかなり難しいことになるという問題もあると思います。
 それから,これはもし年2回やるということになれば,やはりコンピューターベースドテストとかいったものも考えなければいけなくなるわけですけれども,先ほどのPIAACもコンピューターベースドテストになっているわけですけれども,非常に基礎的な総合的なテストの方がそういったテストにはなじみやすいのではないかと思います。
 以上のように,私は非常に項目数を少なくした総合型のテストもまだオルタナティブの選択の可能性のうちには含めてもいいのではないかと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。

【服部委員】
 すみません。

【小川部会長】
 服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 27ページのテストの形態のところでやはり少し気になるのですが,原則としてマークシートということですけれども,言語活動を重視するとか,あるいは思考力,判断力,表現力を見るというようなことだと,マークシートには限界があると思うのです。私は今後の検討課題ということを,マークシートを原則ではなくて,マークシートにするか,記述式にするかということを含めて,同時並列というかどちらも同じようなレベルで,むしろ私は記述式をメインにした方がいいと思っているぐらいです。やはりこれは言語活動とか,あるいは今言ったように,思考力とか判断力とか表現力,特に表現力を見ようとしたら,これは記述式でないと見られないのではないかと思っています。それが本当に可能かということでは,ある意味では私は可能なモデルがあると思うのです。
 これも極端な話ですけれども,少し外れるかもしれませんが,試験の内容では違うかもしれませんが,例えば北海道から沖縄まで現実に行っている高等学校入学試験,これは全て記述式になっています。今言いましたように試験の内容は違うかもしれませんが,問題そのものは教育委員会が作成して,そして,詳細な解答例というか採点基準等も問題作成と同時に示して,そして,各学校の教員が記述式を全て採点するというようなことで,都道府県の全ての公立の高等学校等では現に数十年行われているのですね。
 そのモデルは,例えばこういうような実施形態にも使えるのではないかと思うのです。例えばこれは国が問題を作成し,印刷等は国がするか都道府県に任せるかにして,国が問題を作成し,それと同時に採点基準等を明確に示しながら,そして,全ての学校で教員も採点に関わるというようなことが,これは前回の会議でも出ましたが,生徒だけではなくて,教員もやはり参加することによって能力を高める,指導力を改善する,高めるというようなことにもなると思います。
 例えば私も教育委員会等で二十数年高等学校の入学者選抜試験等に関わってきたのですが,初めの若いころは問題作成,後半は全体を見るというような立場で関わってきたのですけれども,記述式の例えば数学などでは必ず証明問題を入れるのです。証明問題は記述。証明問題とか,あるいは図形の作図問題,定規とコンパスを用いて作図をするとか,そういうことによって,生徒の考え方とか,途中での論理の展開の仕方とか,あるいは表現力とか,そういったことが測れるわけです。
 そういう意味では,むしろ基礎レベルであるがこそ,やはり記述式をベースにして,実施方法については,今は一つの例ですけれども,いろいろな方法があるかと思いますが,そういうことの方がいいのではないかと。特に高等学校の学習指導要領に準拠した試験であるということであれば,それは各学校が現実に取り組んでいることですから,抵抗なく受け入れられるだろうと思います。
 したがって,私は,少なくとも今のようなことをするには,マークシート原則ということではなく,マークシートにするか,あるいは記述するかということについては今後の検討というようなことにしておいて,実施の方法によっては記述式をメインにするということもあり得るというふうにした方がいいのではないかと思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。

【長塚委員】
 よろしいですか。

【小川部会長】
 長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 27ページの今のお二人の意見と重なるわけですが,テスト内容の丸の二つ目,「基礎的・基本的な知識・技能だけではなくて,知識・技能の活用力,思考力等を測る問題も含める(その問題は学習の達成度を測るものとし,選抜的な性質のものとはしない)」と書いてあるのですが,そもそもこれ,意見としてまず申し上げますと,先ほど金子委員がおっしゃったような,ここでいえば思考力等を測るというような問題がむしろ中心であった方がいいというのが私の意見でございます。
 この括弧書きの「達成度を測るものとして」,そもそもこの問題は達成度テストで,何か「達成度を測るものとし」とあえてここに入れている理由が私には少し分からないのですね。「選抜的な性質なものとはしない」というのも,これもまた何を意味しているのか,何か懸念していることがあるのか,ここは少しお尋ねしたいのがまず1点目でございます。

【小川部会長】
 この括弧は別に要らない,削除でも問題ないということですね。

【長塚委員】
 そうですね。要らないだろうと思います。

【小川部会長】
 分かりました。

【小林教育制度改革室長】
 このテストの目的は選抜的なものではないわけでございますけれども,問題の性質として,いわば1点の違いを測るようなものとしないということを表現したかったということかと思います。
 ここの部分につきましては安彦委員からも少し御意見いただきましたので,正確に御説明いただいた方がよいかと。

【安彦副部会長】
 では,一言申します。要するに,達成度を測るテストの性格と,それから,選抜的なテストの問題の性格とは違うわけです。結局,選抜したいがために作る問題と,ただ達成度だけを測る問題の作りとは作り方が違うということです。ですから,今,推察していただいたように,言ってみれば,これも基礎だ,基本だという形で,非常に重箱の隅をつつくような,差がつくような問題を出してみたりという,そういうようなことのないように,本来のこの趣旨をちゃんと生かした問題づくりをしていただきたい。ですから,問題を実際に作るときのいわば原理をちゃんと理解しておいていただかないと困るという,そういう趣旨です。

【小川部会長】
 念押しですか。どのように表現するか,書き込むかというのは,今の御意見を踏まえて少しまた事務局でも御相談させてください。

【小林教育制度改革室長】
 もし安彦委員がよろしければ,例えば,本文の方ではなくて,注釈のような形で説明できるように,もう少し分かりやすく記述を丁寧にさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。

【小川部会長】
 長塚委員,少しよろしいですか。

【長塚委員】
 分かりました。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょう。

【長塚委員】
 もう一つよろしいでしょうか。

【小川部会長】
 どうぞ。

【長塚委員】
 それとは少し別なのですが,欄外の28ページに,その他の意見ということで幾つかあるわけですが,申し上げたいのは,達成度テストによって学校の序列化につながるようなことにならないように是非していただきたいということを申し上げたいのです。
 そもそも高校教育の多様化というのは,ある意味,一つの物差しで個人や学校を測ってしまうようなことがないようにするという意味ではメリットがあった,多様化の良い点があったと言えると思うのですが,今度は一つの共通のテストで,一つの物差しで,もし学校参加型で全体の学校が参加するようなことになるかどうか,これは希望参加型と書いてありますが,なった際に,結果の公表の仕方によっては序列が出てしまうような,そういうことにならないような配慮というのでしょうか,留意が必要なのではないかと思います。老婆心かもしれませんが,これは共通性のテストを行うときの特に大事な点ではないかと。そのことを結果公表に当たっては配慮してほしいということを是非書き加えていただければなと思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 野上委員,どうぞ。

【野上委員】
 テスト結果の公表ですが私は是非公表して欲しいと思います。何故なら結果には必ず原因があり,好成績を収めた学校には創意工夫やイノベーションへの取り組みなど他校が学ぶべき好材料があるのだと思います。もし他校がその取組を評価し参考とするならば自校の課題も自ずから見えてくるはずで,事後の効果に期待が持てるのではないでしょうか。更にはそうした取り組みを通して教師の指導力向上も図られるのではと思います。こうした点からしましても公表はするべきだと思います。
 そして今一点,テストの出題に当たっては〇×などマークシート的な回答に加え,自身の考えを記述させるような設問にしていただきたいと思います。何故なら,実社会では自身の考えをどのように伝えるかが極めて重要となりますのでぜひともそうした観点に留意した出題であって欲しいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では,和田委員,荒瀬委員の順でお願いします。

【和田委員】
 ありがとうございます。今のお話ずっと聞いていたのですけれども,一つは結果の公表に関しては,かねてから長塚委員も御発言があったように,高等学校に入学する時点でやはり多様といいますか,学校の学力的な差というのははっきりあるわけでして,そういうことを明確にするような形になる可能性は非常に強いと思うのです。もちろんそのときから1年で良くなった学校とか,いろいろそういう評価もできるかもしれませんけれども,そういうものが出ていけばいくほど,ますます高等学校を選ぶときに変な形で,偏差値ではないですけれども,この結果を利用して高等学校が選ばれていくような気配があると思いますので,やはりここは相当慎重にしなければいけないような気がしています。
 それからもう一点は,ずっといろいろお話を聞いていまして,文部科学省が責任を持ってということですけれども,具体的に本当に実施できるのか。理想的な話としては,このテストの意義というのは随分語られてきていますけれども,例えば記述が入って,ほぼ悉皆に近いような形で年に複数回やって,結果をフィードバックしてというようなことが日程的にあり得るのかどうかというところを少し冷静に考えた方がいいのではないかなという気がします。
 例えば小学校・中学校の学力状況調査でも,一部記述が入ってなかなかいい問題だとは思いますけれども,やはり4月の中旬に受検して,結果が戻ってくるのは今,8月です。もちろんいろいろな分析をした後戻ってきているのでしょうけれども,そういうタイミングで,次,その結果が返ってきて,それを反省した上で2回目を受けるとして,どのぐらいの間隔を空けたらいいかというふうなことを考えると,本当に絵に描いた餅にならないかなということを非常に心配するところであります。やはり基本は,できるだけ早く結果をフィードバックしてあげて次に備えるということであれば,試験形態もそれである程度縛られてくるのではないかなというふうな気がします。
 CBTであれば割合早く結果が出ると思いますけれども,そのためにはCBTの準備をするのに相当これから時間が必要だと思うので,その辺の形態なんかも少し,単に理想だけを追うのではなくて,具体的な議論が,これは次の年度でもいいのかもしれないですけれども考えていかないと,このままでは本当に,何かある方向性は出したけれども,実現が不可能だというようなものにならないかなという心配があります。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 私も,今,和田委員おっしゃいましたけれども,実現しないことを考えるのも大事だけれども,これは是非実現の方向で考えていかないといけないと思います。具体的に前回お話が出ていましたが,そもそもどこがやるのかというようなことも含めて,今後制度設計を是非よろしくお願いしたいと思います。
 この基礎レベルということなのですが,そもそも何を見るのかということをもう一度確認をしておかなければならないのではないかなと思います。生徒の学習意欲を高めるということは,これはもう言うまでもないことでありますけれども,生徒の学習意欲を高めるために,日々の授業を含めた学校での教育活動がどういうものであるのかということの改善に役立てていくということであります。
 そういう点でいうと,ここの27ページに書かれているこの基礎レベルというのは,やはり学習指導要領の関係からすると,教科の基礎もやはり問われなければならないと思います。ただ一方で,教科の活用力を見るということも当然大切なわけで,先ほどから御意見が出ていますような,単にそれぞれの教科だけのことではなくて,その教科,合教科的というか,合科目的というか,あるいは総合的というか,今日は一度も言葉が出ていませんが,汎用能力を見るとか,そういったことにつながる,そこの部分の基礎を見るということも,これも当然大切なわけです。
 そうなってきますと,回数のみならず,種類も1種類でいいのか,あるいはそれらをまとめた一つのものを複数回やるのかといったようなことも,今後制度設計をしていただく上で大変重要なものになってくると思います。
 ただ,そこで見られる力というのは,先ほども申しましたけれども,全ての生徒に身に付けさせるべきコアということからすると,やはり一部でしかないということも十分に理解して,その部分もしっかりとアピールしておかないと,これで全ての生徒の力が見られるとか,あるいは教育成果として学校の力がこれだけで見られるということには決してならないわけでありまして,そこのところも是非アピールしていかないといけないということを思います。
 少し踏み込んだことを申し上げるかもしれませんが,高等学校の校長をしていた経験からいいますと,五千数百人いる全国の高等学校の校長というのは,生徒にこういう力を是非付けたいと思っているのは間違いないと思うのです。だから,今はここで議論していますし,教育再生実行会議でも御提言があったわけでありますけれども,是非とも高等学校長の全国組織もあるわけですので,そこでより深い議論が行われて,実現の方向に行くということを期待したいと思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。基礎レベルの達成度テストの詳細な制度設計に向けてこういうことに留意してほしいというような,御意見も多々あったかと思いますけれども,ほかにいかがでしょうか。
 では,川嶋委員,及川委員,そして,北城委員ということで。

【川嶋委員】
 27ページの冒頭のテストの内容の白丸のところで,括弧書きで※印,「教科・科目は選択も可能」と書いてあるのですけれども,例えば一つの考え方としては,共通必履修科目である国語,数学,外国語は,受検するのだったら必ず受けなければいけないと思います。これを更に選択にするというのは,趣旨からして,コアの能力を確認するという意味では少し問題かなと思います。ですから,今,教科・科目は選択が可能と言い切ってあるのですけれども,少し留保的な表現にしていただきたい。
 多分これはかつての大検ですと,科目を何回かに分けて受検し,最終的に大学受験資格を獲得する形だったので,ここでも選択制ということを言及されているのだと思いますけれども,特に教科学力のコアということでいえば,共通必履修科目の3教科というのはやはり基盤として評価すべきではないかと思います。
 もう一つは,これはあまり大したことではないのですけれども,ここでは,教科・科目として書いてあるのですけれども,実際には地理・歴史の中の教科というのは,世界史はA,Bとかですし,公民はもうそのままでいいのですけれども,理科も幾つかの科目があるわけです。それが物理基礎と4単位の物理を一緒にして物理というふうに書かれてあったり,最後に地学等と書いてあったり,「等」というのは,科学と人間生活と,理科課題研究ですけれども,もう少しほかの教科・科目の表現方法とそろえていただければと思います。ですから,A,B科目があったり,基礎科目があったり,「基礎」が付いていなかったりという,科目のレベルではそういう形になっていますので,正確な表現に修正をお願いします。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 では,及川委員,どうぞ。

【及川委員】
 27ページの具体的なテストの内容とか形態,実施方法について読んでいったときに,「年間2回程度受検機会を提供し」というように書いてあるわけですけれども,そうすると,年間2回実施するとするならば,1回目と2回目の試験の問題,それは,私は違う問題で行うのであろうと理解しています。それから,毎年行われるわけですから,その実施年度で試験の問題も変わってくるのだろうと思います。
 そうすると,実施時期が違うテストの問題で同一基準で達成度を測ることができる,こういう仕組みだから同一基準で達成度を測ることができるのだという,そういう仕組みの説明をこの27ページのどこかにやはり触れておく必要性があるのではないかと思います。CBTだけでそれが説明し尽くされるのかどうか少し分からないのですけれども,そのように思いました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 北城委員,どうぞ。

【北城委員】
 この基礎的な試験ですけれども,そもそも何のためかというと,高校教育を卒業した学生には,いろいろ多様なことを学んできても,せめてこれだけは身に付けてほしいということを調べるのが基礎レベルであり,身に付けるべきコアを測るということなので,そこにいろいろな選択科目が出てくるという発想がおかしいのではないかと思います。コアで,せめてこれだけは身に付けてほしいと言っているのですから,誰でもそれはできていなければいけないし,それは当然今の学習指導要領の中に入っている水準でいいのではないでしょうか。
 これを選抜に使うという発想もやめるべきだと思います。コアは身に付けているということを前提に,あとは別なことをいろいろ考えて入学者を選べばいいのではないでしょうか。したがって,安彦委員がおっしゃった選抜的な性格のものとしないという点は,括弧書きよりも本論で記載すべきことだと思います。これは選抜ではないのだ,身に付けるべきものを身に付けたかどうかを測るテストなのだ,ということにとどめておいたほうがいいのではないかと。大学がこの基礎レベルを使って入学者を選抜したいときには,この点数で,少なくともこの水準は達成しておいていただかなければ困る,つまり高校卒業にふさわしいものは身に付けておいてほしいという考え方です。それ以上のことは別ないろいろな手段で高等学校が選べばいいので,試験の点数で入学者を選ぼうという発想はもうそろそろやめた方がいいのではないかと思います。
 アメリカの大学では入学試験はありません。入学試験の点数で差別するのではないのです。もちろんアメリカでも学力テストはあって,ある程度の水準は必要ということはあるにしても,点数の1点2点の差で学生を選ぶという発想はありません。日本の発想を変えるためにも,ここは選抜的な性格のものとはしないということを,逆にはっきり書いた方がいいのではないかと。括弧書きではない方がいいと私は思います。
 それともう一点,高等学校卒業程度認定試験と同等レベルと書かれています。私もよく知らないのですけれども,高等学校卒業程度認定試験について「統合も考える」と書いてあるのですけれども,そもそも一つでいいのではないかと思います。基礎レベルのある合格点を達成していたら,もう高等学校は卒業を認定とて見ていいはずなので,二つ置く必要があるのかなというのは疑問でした。
 それから,これは全体の議論とは別なのですが,ここで数学を教えることになっているのですけれども,高等学校を卒業したら統計ぐらいは学んできてほしと思いますい。社会のあらゆるところで確率とか統計は必要なので,統計を学ばないで高校を卒業してきてほしくはない。単に数学を学んできたらいいということではなくて,ビジネスの世界に出たらどこに行っても統計は必ず必要で,統計を学ばないで卒業してもらうと,ビジネス界では困る。卒業した学生の8割は企業で働きますし,個人事業主を入れたら,9割はビジネスで働くので,ビジネスで働く人が統計学を学ばないで卒業してほしくないというのは,こことは別な議論ですけれども,一言だけお伝えしておきたいと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では,長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】
 今少し出ました高等学校卒業程度認定試験との統合ということなのですが,前回そのサンプルがここで示されて,そのとき質問し忘れたのですが,そもそもあのテストで何点以上を取ると高校卒業単位認定というふうにあれはしているのでしょうか。それによっては,今回の統合した場合のというか,この基礎レベルの結果によっては,逆に言いますと,高校卒業単位認定の水準に行ってない,高等学校で学んだことの基礎的な達成を認めないレベルというのがはっきりしてしまうようなことになるわけです。もちろん、それとはまた高校卒業認定というのは別だという考えもあります。学校の校長が認めるということでいいのだというのがそもそも出発点にはあったと思うのですが,それでは何か二重基準になっていくような気がしておるものですから,少しその点確認したかったのですが。

【小川部会長】
 事務局の方。

【小沢生涯学習推進課課長補佐】
 生涯学習推進課の小沢と申します。高卒認定試験の担当をしております。まず合格点のところにつきましては,これは非公表という形でやらせていただいていますので,今,ここ公開の場というところで申し上げることができません。ただ,やはり学習指導要領にのっとって,それを習得したレベルということでやっておりますので,それ以上でもそれ以下でもないというお答えしかできないので,恐縮でございます。

【長塚委員】
 そうしますと,いわゆる項目反応理論にのっとったようなテストにはなっていないので,あらかじめ何点というふうには言い切れないということもその理由の一部にはあるのでしょうか。これ,そもそも高卒認定試験がいわゆる達成度テストになっていないと。ですから,結果を見て,その分布を見て決めるというようなことにならざるを得ない状況になっている。これが,非公表という意味のその背景にある理由が知りたいのです。

【小川部会長】
 何かお答えできますか。

【小沢生涯学習推進課課長補佐】
 今この場ですぐお答えすることはなかなか難しいものですから,あくまで高校卒業程度以上の学力を認定するということでやっておりますので,それを達成しているかどうかということで測っております。

【小川部会長】
 長塚委員。

【長塚委員】
 もう一つだけ。実際にこれで落ちる生徒の割合というのは,認定されない生徒の割合というのはどのぐらいになっているのでしょうか。受検生数と認定される・されない割合ですね。そのぐらいまででしたら,結果ですから明らかになっているとは思うのですが。それだけで結構でございます。

【小川部会長】
 いかがでしょうか。

【小沢生涯学習推進課課長補佐】
 高卒認定試験に関しましては,まず科目を積み重ねていって合格するという形になっておりまして,一発の試験で,例えば受検者が何人いて何人合格ということはなかなかはっきりその辺の関係が一致するという形のテストではないということを御理解いただくのがまず第一なのですが,それを踏まえて申し上げると,例えば平成25年度の受検者の数でいいますと,2万4,463人という方が受検をしております。その中で,いわゆる高卒認定試験の最終合格者,こちらの方については8,469名という形になっております。以上です。

【高見専門官】
 もし差し支えなければ,お手元の前回の配付資料の中に,第26回の配付資料の参考資料2にもその出願者,合格者数が添付されております。ちょうど第26回の一番最後の資料になります。

【小川部会長】
 和田委員,どうぞ。

【和田委員】
 高卒の認定試験との関連に関しては前回も私,発言したと思うのですけれども,またその逆もあって,高等学校としては,例えば高校2年生でこれ,学校で受けたとしますよね。それで,そのうちの何十%かが認定と認められたとします。そうすると,高等学校卒業認定資格を取ったことになってしまうわけでありまして,極端な話,そこで高等学校をやめるということもあり得ることになってくるのではないかなという気がします。
 それと同時に,高校3年生でも,学校によっては卒業認定できない生徒もこの試験では資格を持っているという場合、高校認定なのかどうかという,絶対そういう問題が出てきますし,その逆の問題も出てくると思うので,必ずしもそのまま置きかえて,両方に使えるというような形の試験にはしない方がいいのではないかなと思います。
 この高校卒業程度認定試験が出来た経緯は僕も少しはっきりしないのですけれども,この試験が始まった頃からそういう危険性を指摘する人がいて,今はよほどのことがないと飛び級制度は使えないからいいけれども,飛び級制度がもっと弾力化されて,高等学校の認定の力があれば,何歳からでも大学へ入れるというような形になっていったときに,これを取って,例えば高校1年生でも高校卒業程度認定試験に合格すれば,そのまま飛び級で大学へ行くというような危険性は大分言われていたわけです。
 そういうふうに使われていくこともあると思うので,高等学校の卒業認定に関しては,やはり高等学校の校長が責任を持つ形でないと,制度上少し問題があるのではないかなと。あえてそれでも,それ通ったから,退学して,その資格で大学を受けるというのはまた別問題だと思いますけれども,やはり余り安易な統合は危険かなと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 今回の取りまとめの中に入れるということではなくて,私自身のこの達成度テストとか,そのイメージを,発想をある程度変えなければいけないと思います。例えばセンター試験というのが,一定の場所へ受験を目指す高校生が集まって,そこで試験を行って,答案を集めて,そして,どこかへ送って採点をし,公表を待つというような,そういう一大イベントのような形になっている。そういうことを,また同じようなものを作るということでは私はいけないと思うのです。
 この会の中でも度々出てきた,高等学校で現実に行われている教育の指導改善とかそういったことを目指すとすれば,今行われている教育活動の中で少し見直すことによってこれができるという方向があるのではないかと思います。先ほども少し申し上げたように,例えば学習指導要領は国が作っている。そうすると,学習指導要領の中でそれぞれの教科・科目の中でどのような力を付けてほしいということはもちろんあるわけです。
 そういう願い,この程度の力を付けてほしい,それぞれの例えば国社数理でいろいろな,そういうものについての準拠した試験問題を国が用意する。それを実施する例えば高等学校,例えばある学校がそれをやるといったら,その試験問題と,先ほど言いました採点基準を例えば作っておいて,そして,それを受け取って,例えば数学ということであったら,数学Ⅰを年度末に評価テストを,現に高等学校等では期末テスト等やっているわけですね。そういうところに日にちを合わせて,ある教科の試験を実施する。
 採点はそれぞれの学校で行う。もちろん会場は学校でやるのですね。現に行われている高校教育の中でこの到達度を測るような仕組みを考えれば,先ほどの絵に描いた餅ということではなくて,やれるのではないかと。先ほど言ったように,どこかに集めてやってというようなことではなくて。
 例えばこれに参加する学校については,私は原則的には悉皆でやることが望ましいと思っていますが,そのことはまた今後の議論として,各学校でやるとしたら,それに関わる採点等は,その学校の全職員が当たればいい。そうすると,採点をすることによって,自分の学校の生徒がどこまで到達したか,どういうことができるか,あるいはどこができないかといったようなことが分かる,それは指導改善に結び付くのです。
 もう一つ言うと,学習指導要領に示されている必履修科目は,ほとんどは1年生で終わっている。1,2年生ですね。例えば時期は,2年生の年度末のある時期にある教科の試験を一斉にやるというようなことは可能だと思うのです。国が用意した試験問題と,それから,採点基準によってそれぞれの学校が,自分の問題,今,現には各学校の教員が作って,各学校ごとにやっているのを,先ほど言いましたように,国が学習指導要領に準拠した試験問題を用意して,それで行うというようなことであれば,むしろこれは指導改善に結び付くし,そんなに不可能なことではないと思います。例えば一つの案ですけどね。
 だから,これは今後の検討課題だと思いますし,何度も言いますが,今回のこのまとめの中に入れることではないけれども,発想を変えればいろいろなやり方があるのではないかということを思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 先ほどの論点をもう一回繰り返しますが,総合型というのもやはり強力なオプションとして考えた方がいいのではないかということです。やはり先ほどの御意見にもありましたけれども,やはり基礎レベルはミニマムエッセンスみたいなものを確認するというのが基本的な課題だと思います。
 そのときに,先ほど,その場合,国語,数学,外国語ですか,特に国語,数学を教科として入れるということが重要だという御意見もありましたが,私,今問われている能力というのは,言語の能力は国語でだけ教えるのか,あるいは数的な能力は数学だけで教えるのかというと,必ずしもそうではないのではないかと。先ほど文部科学省からの紹介にありましたが,言語活動は,例えばこれは必ずしも国語だけではなくて,むしろ非常にたくさんの科目で教えることが必要だと思います。
 それから,先ほど北城委員が統計学が必要だとおっしゃいましたが,これは私,統計学が必要なのか,それとも,統計に対する,数に関するきちんとした把握能力が必要なのかというのは少し違うと思うのですが……。

【北城委員】
 別に学でなくていいと思います。

【金子委員】
 学がなくてもよろしいということであれば,私は。
 先ほど申し上げたPIAACという国際成人学力調査は,数的能力というのは,やはりある意味ではデータをどのように読んで,自分がそれをどう消化するかということをテストしているわけです。それは必ずしも正規分布がどうのこうのとか,そういう統計学の議論とは少し違うのだと思うのですが,そういう意味で,教科と少し違った次元で基礎的な能力を数的及び言語的な二つの分野で測るということは,一つのオプションとしてはやはりかなり重要なオプションとしてあるのではないかと私は思います。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。そろそろよろしいですか。
 はい,川嶋先生,どうぞ。

【川嶋委員】
 最後にもう一つだけ。先ほど述べた教科・科目のことなのですが,この概要の方の最後の欄で達成度テストについてという点線囲みがありますが,その中の四つ目の黒四角で,試験内容の中で,ここでは,括弧の中は「科目は選択も可能」と書いてあって,つまらない話ですけれども,科目は選択可能ということと,教科・科目が選択可能というのはやはり意味が違うので,概要の方と本文の方の照合も是非お願いしたいと。多くの人は多分概要しか見ないと思うので,その辺誤解のないように正確を期していただきたいと。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 概要については説明しませんでしたけれども,概要についても何か御意見があればお受けしますけれども,ほかにいかがでしょうか。

【長塚委員】
 では,一つ。

【小川部会長】
 長塚委員。

【長塚委員】
 この概要の中で非常に分かりやすく書いてあるのですが,広域通信制課程の在り方の検討でガイドラインを作るということと,第三者評価の仕組みを創設するということですね。この第三者評価の仕組みというのは,既に学校評価制度の中で既存のものとしてあるものとは別なものを何か広域通信制に的を絞った第三者評価機関を作るという意味だとここは理解していいのでしょうか。事務局の方の作成の意図です。

【高見専門官】
 もちろん具体的な中身は今後検討ですけれども,先生おっしゃるような意味合いに捉えております。

【長塚委員】
 分かりました。

【小川部会長】
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 でしたら,もう一度,今度は全体ですね,初めから第3章,そして,概要も含めて,何かお気づきになった点があればお伺いしたいのですけれども,よろしいでしょうか。

【安彦副部会長】
 よろしいですか。小さいことを一つ。

【小川部会長】
 どうぞ。

【安彦副部会長】
 小さいことですけれども,先ほど話題になった高校卒業程度認定試験,これは一応,教科・科目別になっていますから,統合うんうんという議論をする場合には,問題の出し方が違えば統合はできませんので,作り方に関しては,それを踏まえておかないといけないと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございます。
 よろしいですかね。
 なければこの辺で今日の審議は終わりたいと思うのですが,よろしいですか。

【和田委員】
 1点だけ。

【小川部会長】
 和田委員,どうぞ。

【和田委員】
 今回のところとは違うのですが,先ほど指導要領その他のところの説明がありまして,かなり弾力化されているペーパーだと思うのですけれども,実質上このとおり捉えていいのかどうかを確認しておきたいのです。
 標準として35週行うとか,そういう表現なのですが,実際,新指導要領の下ではそうなのかもしれませんが,少なくとも前,未履修問題なんかがあったときに,履修していない科目を補習するときに絶対35週を守れとか,そういうふうな指導が入ったりしたと思うのです。一つの教科・科目を各学校がこなすといいますか,きちんと教えるのに必要な時間数というのは,学校多様化していると思いますので,書いてあるとおり,ある程度各学校において年間授業週数や週当たりの授業時数を定めることができるというのは文字どおり捉えていいのかどうかだけ少し確認をしておきたいなと思うのです。
 というのは,前も言いましたように,現在の形の学校運営の中で35週を確保するということになりますと,できないことはないのですけれども,かなりいろいろな行事とかも,例えば修学旅行に行っても,沖縄行って平和学習をするからそれは社会科の中に含めるのだとか,そういうような形で苦しい,あるいは体育というのはなかなか試験があまりない場合が多いですから,定期試験の分だけ時数が少なくなります。その分を体育祭をやった形で体育を補うというような,実際いろいろな学校が工夫をしていると思います。
 実際体験学習だとか修学旅行だとか,あるいは学校内の課外の行事,そういうものはそういうものとしてきちっとやる時間がとれるようにして,この35週ということに余りこだわらないでやっていった方がいいと思います。逆にやはりもう少し夏休みあるいは放課後の補習も含めて時間数をしっかり掛けてあげた方がいい科目なんかもあると思います。ここは指導要領を見ると,35週以上というような方向でかなり規定されていると思うのですけれども,このとおりある程度減らしても構わないというような発想で捉えていいのかどうか少し確認しておきたいなと思います。

【小川部会長】
 事務局の方どうでしょうか。

【塩見教育課程課長】
 教育課程課長でございます。今お話のあったところで二つポイントがあるかなと思っております。我々,授業週数とか週当たりの授業時数については,今日お示ししましたようにかなり弾力的な扱いもできるようにしているところなのですけれども,ただ一方で,1単位の考え方につきましては,35単位時間の授業をもって1単位として考えるというところがございます。授業をいつやるかというふうな部分,どの期間でやるかという部分に関しましてはかなり弾力的な部分があるのですが,授業のボリュームとしてはある程度きちんと確保しなければいけないということで,そこは両立させる必要があるということでございますので,その部分については御理解いただければと思っております。

【小川部会長】
 和田委員,いかがですか。

【和田委員】
 分かりました。今はそういうある程度の枠があるというのは了解した上で,やはり今言ったように,高校教育をもっともっと活性化していって,いわゆる狭い意味の学習だけでなくいろいろなことができるためには,その辺の弾力性を求めるような改訂を望みたいなと思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございます。
 よろしいですか。

【長塚委員】
 すみません。先ほど質問して確認した件なのですが,広域通信制の第三者評価,これを念のためもう一度意見として確認しておきたいのです。自己評価と関係者評価というのは既に行われていて,ただ,いわゆる通常の高等学校におきましても,第三者評価というのは,別にこれこれのものが第三者評価であるということはお仕着せのものはないわけですよね。自ら機関を作って第三者評価をしている学校が,私の記憶ではまだ2割ぐらいなのかなというふうに思います。しかし,この広域通信制については非常に問題性があるので,ある意味,言ってしまえば,お仕着せのいわゆる,全体を対象とする第三者評価機関を作るということにした方がいいだろうという意味でのこれは創設ということになりますでしょうかね。
 広域通信制に関しては非常に問題があるということで認識しておりますので,それ自体に全てだめだというふうに思っているわけではないのですが,これが一般化して,他の学校種にも全て同じような第三者評価の認証制度を拡大するのだという方向になりますと,非常に大きなことになるのだろうと思います。ですから,それは注意深く進めないといけないという思いがあるものですから,念のため,広域通信制に限った,これはある意味お仕着せのというのでしょうか,上からのものとしての機関を創設するというふうにということなのだろうなと思いながら先ほど確認したのですが,どうでしょうか。

【小林教育制度改革室長】
 まず今後の具体的な第三者評価の在り方につきましては,先ほど御説明申し上げましたように,どのような方法が一番良いのかも含めて今後専門的に検討していく必要があると思っています。また,この話は,こちらの部会では通信制の様々な課題に照らして議論されてきた事柄でございますので,これはそこに限定された御提言だと事務局で受け止めています。

【長塚委員】
 今,私,お仕着せという言葉を使いましたが,その言葉は訂正しておきます。評価が必要だろうということは共有しているものでございます。以上でございます。

【小川部会長】
 はい,分かりました。

【上野委員】
 少し質問させていただいていいですか。

【小川部会長】
 どうぞ。

【上野委員】
 いずれこのテストの内容とか実際にはいろいろ十分検討されていくのだと思うのですけれども,現時点において接続部会の方で発展レベルの検討をされていると思います。それはどういうふうな状況になっているのでしょうか。例えばどのレベルでやるとか,いつ頃,何回やろうとしているかとか,そういう情報と今回の基礎レベルのテストを全然分離して話をしてしまっているので,少し教えておいていただけると助かります。

【小川部会長】
 高大接続部会での審議状況について,事務局でもよろしいですし。では,最初,事務局から。

【小林教育制度改革室長】
 まず,事務局の方から今後の進め方のようなものについて決まっている範囲で御説明申し上げたいと思います。その後,具体的な接続部会の議論の様子につきましては高等局の担当の方から申し上げ,更に何かございましたら,また安西会長の方からも補足いただければと思います。
 今後,事務局と致しましては,この審議のまとめについて,高等学校教育部会の部分もパブリックコメントを行わせていただく必要があるのではないかと事務局としては考えております。またその頂きました意見を踏まえて高等学校教育部会としての審議まとめを取りまとめる必要があると。頂いた御意見を反映するということで,先生方にもまた御意見を,その反映の仕方について御確認をさせていただく必要があるのではないかと事務局としては考えております。これ,もちろん進め方について,また部会長,先生方の御了解を頂く必要があるかと思います。
 その際に,高大接続部会の方で御検討いただいております発展レベルのテストと併せた形で,発展レベルの検討が済みましたら,高等学校教育部会での結果をフィードバックといいますか,御報告というようなことをして一緒に検討するようになりますので,またその際にも両方見て御意見頂くということになるのではないかと思っております。

【田中高等教育政策室長】
 失礼いたします。高等局でございます。高大接続特別部会におきましては,12月に高等学校部会との合同会議も開かせていただきましたように,高等学校部会の審議状況を踏まえつつ,全体的に高等学校教育,大学教育,そして,入試の在り方について検討させていただいております。
 発展レベルの検討につきましても,昨日も会議を開きまして,発展レベルも含めました取りまとめ,年度内を目途に一定の方向性を高大接続部会においても取りまとめる予定でございまして,昨日も発展レベルを含めまして様々な論点について審議を行っております。それを踏まえまして,更に3月下旬を目途に会議を開きまして,一定の方向性を取りまとめたいと考えております。
 発展レベルにつきましても,基礎レベルの本部会の審議を踏まえまして,どのような在り方が適当かということを審議しております。例えば基礎レベルにおきまして,高等学校における指導改善の促進を図っていくということを踏まえまして,発展レベルにつきましては,大学教育の質的転換などが求められる中で,これからの大学教育を受けるために必要な,主体的に学び,考える力などの能力を測るということが重要ではないかといった御意見。
 そうした観点から測定すべき能力と致しましては,基礎的・基本的な知識・技能のほか,知識・技能の活用力とか,それから,いわゆる汎用的能力などの測定を重視することが必要ではないかといった御意見。
 そうした観点から,試験の内容と致しましては,先ほども議論に出てまいりましたが,合科目型の試験とか総合型の試験ということについて導入を検討することが必要ではないか。そして,実施方法と致しましては,記述式の採用。さらには,複数回実施という観点から,CBTの導入について技術的な側面を含めて専門的な検討を行うことが必要ではないかといったような御意見。さらに,対象者と致しましては,大学入学志願者のみならず,大学入学後に自らの学ぶ力を確認したい者も対象としてはどうかといったような議論がなされております。
 そういったものにつきまして,論点メモあるいは取りまとめに向けた素案という形で今,議論してございまして,そうしたものを次回以降取りまとめる予定でございます。そして,その状況につきましては,必要に応じましてこの高等学校部会にも報告をさせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 安西委員の方,何かございますか。

【安西委員】
 高大接続特別部会の方で部会長をしておりますので,一言だけ申し上げます。今,事務局が言われた大体そのとおりだと思いますが,発展テスト(仮称)の方の目的というのは,大学で主体的に学ぶ力を,それを見て評価していきたいということであり,基礎レベルの方は,発展テストの議論をしている方から見ますと,やはり高等学校でのそれこそ学習の達成度を見ておられると,そういうふうに切り分けて考えているということです。
 そのときに,大学で主体的に学ぶ力というのが,今ありましたように総合的な総合力とか,あるいはそれこそ主体性とか,それから,教科融合的な,合科目的なというのでしょうか,そういう見方とかいろいろな考え方があるので,それをどういうふうに見ていったらいいのか。先ほど金子委員が言われましたけれども,それぞれの教科を超えたようなそういう力をどう見るのかということの議論をしていると考えております。
 それから,これも事務局でありましたけれども,発展テストを受けるその受検者というのは,高校生に限るわけではなくて,それこそ大学に編入学をしたい,あるいは社会人でもって大学に行きたい,いろいろなそういう人たちのことも考えていかなければならないのではないかと,そういうことも言われているかと思います。それこそ大学生であっても,自分が本当に大学で学ぶ力があるかどうかということを見るのに発展テストを受けても,別にそれは有り得るのではないかという,そういう意見もあったと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。いずれにしろ,高大接続部会の方で審議経過報告が一定度まとまった段階で,その内容は高等学校教育部会の方にフィードバックしていただいて,さらに,発展レベルと基礎レベルの制度設計の考え方の基本についてすり合わせて,審議まとめ案を審議まとめとして最後,部会として了解いただくというふうなそういう手続になるかと思います。
 その間には,先ほど事務局からもありましたように,高大接続部会の審議経過報告がまとまった段階で,パブリックコメントや関係団体からの御意見を伺って,それを反映させたそれぞれの審議経過と高等学校教育部会の審議まとめを最終了解していただくという,そういう手続で,大体夏前辺りにはおよそそういうことで作業は終了するのではないかなと思っています。

【上野委員】
 どうもありがとうございました。

【小川部会長】
 よろしいでしょうか。

【上野委員】
 はい。

【安西委員】
 少しよろしいですか。

【小川部会長】
 どうぞ。

【安西委員】
 誤解されるといけないので付け加えさせていただきますけれども,これは私見でございますが,高等学校を卒業して大学に行かない人たちもそれはたくさんおられるわけで,その方々もこの基礎レベルの範疇に入ってこられると思います。やはりそういう人たちの必要な力というのは,先ほどもありましたように,総合的な力も含むのではないかと,これは私見ですけれども,そういうふうに思います。先ほど申し上げましたように,学習達成度を見ているのだと言いますと,あたかもいわゆる狭い意味での学力だけを見ているように感じられますが,多少私見が入っておりますけれども,そういうふうに申し上げたかったわけではありませんので,以上付け加えさせていただければと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかによろしいでしょうか。全体通じて何か確認すること,御意見があれば。
 よろしいですか。
 今日,御意見を伺った感想ですけれども,実は次回の3月18日も予定として組み入れていただいていたのですが,今日の皆さんからの御意見を伺うと,この審議まとめの基本的な方向性については了解いただいた上で,基礎テストを詳細に制度設計していく上で,さらに,やはりこういうふうな検討すべき課題があるのではないか,留意すべき課題があるのではないかというふうな御意見が今日はかなり多かったと思います。
 それについては,この審議まとめ案に詳細な制度設計をしていく上での更なる検討課題ということで書き込むということにさせていただきたいと思いますが,基本的な審議まとめ案の方向については,今日おおよそ皆さんの委員からの了解は得られているのかなというように部会長としては判断しました。今日頂いた意見については,事務局と私の方でこの審議まとめ案にどういうふうに書き込んでいくのかということを作業して,またその内容については皆さんの方にフィードバックするというかたちで進めて行かせて下さい。審議まとめ案につきましては、一応今日の段階で部会長一任ということでさせていただければ幸いなのですが,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小川部会長】
 では,そのようにさせていただきます。
 それで,3月18日は部会の開催はなしとなります。
 今後の予定ですけれども,先ほどの説明と少し重複しますけれども,高大接続部会の方で今,審議がまだ継続していまして,年度末を目途に審議経過報告が一定度の方向性でまとめられると聞いております。その高大接続部会の審議経過報告がまとまった段階で,審議経過報告案と,そして,高等学校教育部会のこの審議まとめ案をパブリックコメントや関係団体から意見聴取を行って,最終的には,先ほど言ったように,最後の発展レベル・基礎レベルの基本的な制度設計の基本的な考え方を再度すり合わせ,確認した上で,大体夏前辺りを目途に高等学校教育部会として審議経過まとめ,「案」を取って審議まとめとして最終的に部会として了解していただくという,スケジュール観で進めさせていただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【小川部会長】
 ありがとうございます。
 では,今後の予定について,事務局の方で何かございましたら。

【小林教育制度改革室長】
 今,先生から御説明いただきましたので,特にございません。

【小川部会長】
 そうですか。ありがとうございました。
 では,時間が20分ぐらい早目に,部会としては非常に珍しいのですけれども,終わりたいと思うのですが,ただ,今日政務官がいらしていますので,一言何かございましたら。

【上野大臣政務官】
 皆様,大変熱心に御協力いただきまして,素案の方が大体,今,小川部会長からもありましたようにまとまったようですので,本当に御協力ありがとうございました。今,3月でして,私もあちこちの高等学校の卒業式に参加させていただいていますが,やはり高校生が3年間やる気と,そして,学ぶ喜びを持って過ごせるようなそういう教育現場にしていきたいなというのを卒業式に参加しながら実感してきているところでございます。どうか皆様方,今後も御協力いただきたいと思います。本日はありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,今日の部会を終わりたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)