高等学校教育部会(第9回) 議事録

1.日時

平成24年6月18日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省庁舎3階 特別会議室1

3.議題

  1. これまでの意見の整理
  2. その他

4.議事録

【小川部会長】
 それでは定刻になりましたので、ただいまから中教審初等中等教育分科会の高等学校教育部会第9回を開催したいと思います。委員の皆様にはお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
 それでは、まず配付資料について事務局から確認をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 本日の配付資料でございますが、資料1から資料5まで、そして参考資料1から3までとなっております。不足等ございましたら事務局までお申し付けください。

【小川部会長】
 よろしいでしょうか。
 それでは、これから議事に入りたいと思います。
 前回及び前々回と、資料1に示しておりますとおり、「課題の整理と検討の視点(案)」について御審議いただきました。今日は、これまでの意見を踏まえて審議するとともに、全体的に文章を確認するという意味で、各課題ごとに一通り審議していただければと考えております。
 まず最初に、事務局から、資料について説明をお願いいたします。

【小谷教育制度改革室長】
 それでは、資料1を御覧ください。資料1は、先ほど部会長からお話がございましたように、前々回から御審議いただいております「課題の整理と検討の視点(案)」につきまして、委員の皆様から前回の会議で頂戴しました御意見、また会議後にメール等でもお寄せいただきました御意見を基に、事務局で修正案を作成したものでございます。前回からの見え消しの資料と、それを反映させたものを資料としては御用意しておりますが、ここでは、事前に委員の皆様方にはお配りしておりますので、見え消し版を使って、前回からの主な修正点についての御紹介をさせていただきます。
 それでは、見え消し版の方を御覧いただきたいと思います。2ページを御覧ください。2ページでは、川嶋委員、野上委員から御指摘いただきました高等学校の位置付けについて、4行目の丸で、高等学校が、卒業後、直ちに社会に出ることを念頭に置いて教育を行う一方、高等教育機関に進学する準備教育が期待されているということ。また、8行目の丸で、「社会で生きていくために必要となる能力を共通して身に付けさせることのできる最後の教育機関であるとの位置付けを再確認する必要がある」ことを追記いたしました。
 おめくりいただきまして、3ページを御覧ください。3ページの最終行から4ページにかけまして、安彦部会長代理、金子委員、長塚委員から御指摘いただきました教育内容についての多様化と、特に通信制課程における学習形態の多様化、そしてその結果として、「生徒の多様なニーズに応えることが可能となったが……高等学校教育として共通に求められるものは何かという視点が弱くなっている」ということを追記いたしました。
 それでは、またおめくりいただきまして、6ページを御覧ください。小川部会長から御指摘がございまして、10行目、14行目、18行目の丸で、それぞれ、「生徒の課題に対応した教育を実施することが求められる」こと。そのためにはきめ細かい支援が必要であること。そして、「義務教育と比べて国としての取組が限られている教育条件・教育環境の整備が不可欠である」ことを追記いたしました。
 さらに、安彦部会長代理から御指摘がございまして、22行目の丸で、高等学校教育制度が、先に述べた高等学校が果たす役割に適切なものになっているのかという視点を追記いたしました。
 おめくりいただきまして、7ページを御覧ください。16行目の終わりから、安彦部会長代理から御指摘のあった高校生が未来の主権者であるという前提に立つという視点を追記いたしました。
 さらに、安彦部会長代理、小杉委員、直原委員の御指摘から、コアに関連する記述につきましては、下の注1にございますように、昨年1月の中央教育審議会答申に即した形で整理をし直しました。
 また、24行目から8ページにかけまして、安彦部会長代理や小杉委員から御指摘のあった「類型」という語は、誤解を招かないように、用いることをやめまして、学校の目標とする人材像に応じるといった形で、整理をし直しました。
 おめくりいただきまして、11ページを御覧ください。20行目から、こちらも7ページの修正に合わせて修正をしております。
 おめくりいただきまして、13ページを御覧ください。各種の振興方策についてのところでございますけれども、こちらはまず小川部会長から御指摘がございまして、最初に「具体的な振興方策は、国が制度的な仕組み等を構築することにより実施する事項、学校の設置者又は各学校の判断の下に実施する事項」、さらに、「速やかに実施する事項、今後、具体的な検討を行う事項、に分けて議論することが必要である」こと。更に別紙といたしまして、そうした観点から検討事項例を整理したものを18ページ以降に用意しております。
 14ページを御覧ください。5行目に、和田委員から御指摘のあった「教育内容に関する取組」につきましては、「コアとして身に付けるべき能力と教科・科目の指導内容との関係や学習指導要領の在り方について検討」と、それから「教科・科目の大綱化・グループ化」などについて追記したほか、26行目に、荒瀬委員、長南委員、和田委員から御指摘のございました「長期的な方針に基づく学校運営が可能となるような柔軟な人事配置」について、追記をいたしました。
 29行目からは、ここでも学校の「類型」という用語を用いない形で整理をし直しております。
 15ページを御覧ください。18行目では、小林委員の御指摘から、高等学校専攻科からの大学への編入学について、追記をいたしました。
 また31行目では、安彦部会長代理の御指摘から、早期卒業について、まず「単位制をより重視することにより」という記述を加えました。また、「多くの単位」については、それが必要かどうかはこれから御議論いただく必要がありますので、ここでは削除いたしました。
 17ページを御覧ください。「高等学校と大学との接続」に関する部分でございますが、まず、相川委員と及川委員が参画されました平成24年度大学入試センター試験に関する検証委員会報告書の提言を基に、センター試験の課題について追記をいたしました。
 また15行目では、前回、小川部会長から御説明ございました安西委員が分科会長を務めていらっしゃいます大学分科会と高等学校教育部会との連携を念頭にして、大学の入試の在り方について、高等学校関係者と大学関係者による検討が必要であることを追記いたしました。
 事務局からは以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 前回、前々回の皆さんからいただいた意見を踏まえまして、一応、資料1のように、新たに付け加えたり、訂正しているたたき台を今日提出していただきました。今日、この「課題の整理と検討の視点(案)」を各課題に沿って、皆さんから御意見を伺っていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 ではまず初めに、1ページから4ページまで、1の高等学校教育の現状という内容について、御意見を伺いたいと思います。どなたからでも、よろしくお願いします。
 なお、資料3で、小林委員の方から意見を文書として提出いただいておりますけれども、この小林委員の意見は、主に5の各種の振興方策に関係するものですので、この5の各種振興方策の議論の際に、小林委員の方から、この資料3に基づいて御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、1の高等学校教育の現状に関して、皆さんから御意見を伺いたいと思います。高等学校教育の目的、目標、そして高等学校教育の現状、いかがでしょうか。特に確認すべきこと、ないしは新たに書き加えるべき内容等はございませんでしょうか。
 では、安彦委員、どうぞ。

【安彦部会長代理】
 現状のところで、今の高校の単位制と学年制のことは一言も触れられてないように思いますが、どうでしょうか。私は、後のところでもその単位制のことを言っておりますが、現状の押さえ方として、学年制と単位制をどう見るのかということについては、一定の認識を示さなくても良いのでしょうか。無くても、このまま、特に問題がないかなとは思っていたんですけれども、いかがでしょう。

【小川部会長】
 どうしましょうかね。それはちょっと、全体をまた通していただいて、後段の方の具体の見直し等々に関係して、どうしても前半の方に、そういう現状の押さえがやはり必要であるというようなことであれば、少し高等学校教育の教育課程の特徴等々ということで整理しても構わないかと思いますけれども、その辺はまた事務局の方とも相談させていただければと思います。
 ほかにどうでしょうか。一通り1から6まで各課題の御意見伺って、また全体通じて御意見を伺いたいと思いますので、もしも1に関わって、特に御意見がなければ、よろしいでしょうか。
 では、とりあえず1の高等学校教育の現状については一応終わらせていただいて、5ページの2の高等学校の課題についてはいかがでしょうか。これもよろしいですか。では、3の今後の施策の方向性ということで、6ページ、7ページ、8ページ、9ページについてはいかがでしょうか。
 長南委員。

【長南委員】
 6ページの14行目、15行目の文で、15行目に「生徒一人一人の個に応じた教育を充実させるためのきめ細かい支援が必要となる」という「支援」という用語を使っていますけれども、この「支援」というのは一体どういう行動なのかですね。前々回の改定から、「指導」と「支援」という用語が使われるようになったわけですけれども、支援という意味、どんなふうに捉えたら良いでしょうね。

【小川部会長】
 これ、事務局の方、何か答えられますか。

【小谷教育制度改革室長】
 すみません、部会長の方から御指示がございまして、先ほどの最初の丸のところに、私ども事務局としては書いたつもりがあったんですけれども、「全ての意志ある生徒が、その能力・適性、進路等に応じた教育を安心して受けられ、学びを通じて、その能力・可能性を伸長させることができる」ということをより具体的に書いたところで、更に膨らませたところでございまして、厳密に指導と支援ということを概念整理して、ここで記述しているわけでは正直ございませんので、そのあたり、もし御示唆等いただけましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 長南委員の方から何かございますか。

【長南委員】
 この「きめ細かい支援が必要となる」ということ、具体的にどういう。私もちょっと今、案がないんですけれどもね。これだと、何をするのかというのが分かりにくいような感じですよね。

【小川部会長】
 その辺を含めて、また皆さんからちょっと御意見いろいろ伺ってみたいなと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【安彦部会長代理】
 学校の類型化というものをなくしていただいて、すっと読んで、特に7ページの例のところなどは、ひっかかるところはなくなったので、私の認識では、良い方向に変わった、変えていただいたと思いますが、それを徹底させるには、表現の上で、例えば7ページの24行目、括弧で「各学校の目標とする育成すべき人材像に応じた施策」というふうに文言が入っていますが、これによって、実はせっかく後ろの部分で学校というものが消えたにも関わらず、また学校が、自分たちの学校の目標に合った子供を集めますという方向になってしまうわけで、この点は、8ページの最初の丸で、「このような」以下に配慮がありますが、「生徒の進路や将来の可能性が狭められることのないよう」という配慮はありますが、この書き方ですと、言ってみれば、学校が、うちは主として選抜性の高い大学に入れる学校ですよ、そういう目標を立てますというふうに学校が選べるということになるわけです。そういう意味では、また学校が類型化していくことになると、結果的にですが。そういうことになりはしないかというふうに私は恐れますけれども、いかがでしょうか。

【小川部会長】
 この点については、川嶋委員、どうぞ。

【川嶋委員】
 今、安彦委員の御指摘と似ていることですが、例えば6ページの一番下の白丸、35行のパラグラフに、ここにも「それぞれの学校ごとに、育成すべき人材像及びそのために生徒が修得すべき内容を目標として明らかにし」、その次のページに続くわけですが、私もここを読ませていただいて思ったのは、安彦委員と同じような感じを持ちました。ただし、7ページの26行目以下のところの下から2行目あたりに、「各学校を序列化したり、国が各学校の役割・機能を決定したりすることのないように留意すべき」というふうに書いてあるんですけれども、高等学校、特に普通科高等学校の在り方を同質化していく政策をこれからとっていくのか。もっと総合制化して多様な高校生を受け入れていくという方向に持っていくのかというその一つの大きな分かれ目になる可能性が、私はあると思います。
 だから学校ごとに、序列化と言わなくても、どんどん同質化していくのか、安彦委員おっしゃっていたと思うんですけれども、いわゆる学校間のトラッキングを更に推し進めるのかというようなことにもつながってくる部分ではないかというふうに思っています。この辺はかなり議論が必要ではないかと思います。

【小川部会長】
 これ、前の学校ごとの類型化というのをやめて、こういう形に直してみたわけですけれども、これについて少しまた皆さんの方から御意見伺ってみたいと思います。安彦委員の方から、例えばこういう書き方で、更にこういうふうな直し方をするというふうな、もしも積極的な御提案等々があれば、少しお話しいただければと思います。

【安彦部会長代理】
 的確かどうかちょっと分かりませんけれども、私の文章ではないんで、何とも言えないですが。一言で言えば、先ほども6ページの方に、最初の10行目あるいは15行目にあったような文言に即して言えば、視点を生徒の方に移して欲しいんです。学校のレベルよりも生徒の方に移してほしい。生徒個々の進路の希望に応じて、一つの学校が教育のいろいろなカリキュラムを用意しますよ、学校も用意しますよというニュアンスを前面に出してほしい。そういう意味でいうと、学校が目標を決めて、人材像を示して、それに合った子供を入れましょうというニュアンスにならないように、むしろ子供の方から見たときに、自分が求める将来像、自分の求める人間像に応じて、学校あるいは行政が施策を講じてくれるという、むしろ子供の方の視点で。例えば、そこで、生徒が学校の目標とする云々という書き方ではなくて、生徒が求める人間像に応じた施策というような、ちょっと抽象的ですけれども、そういうところに視点を置いていただくと、学校が類型になるのではなくて、学校の中にいろいろなコースが設けられるという方向でいくと思うので、一言で、前から申し上げていることですけれども、もう高校なんだから、類型化しても良いのではないか。義務教育は別として、高校はもういいのではないかということが、わりあい今の高校の先生方の中には受け入れられやすいのかもしれませんけれども、それだったら、何で全部いわゆる各種学校にしないで、高校という、98%も親の要求がある高校というものを制度として設けるのかということをしっかり考えていただきたい。高度な普通教育及び専門教育という今の高校の在り方というのを、98%の子供を行かせたいという親御さんたちの要求があるということが前提ですから、もし各種学校のようにばらばらにつくって、いろいろな多様な学校がありますよ、どうぞ親御さんたち、あるいは生徒さんたち、好きなところへ行ってくださいという考え方で、果たして、では98%のお子さんたちが、保護者も含めて、子供を行かせようと思うかどうか。
 当然、今は御存じのように高学歴化していますから、もう企業も簡単には高校卒では採ろうとしません。やっぱり大学に行かないとという、ムードとしては全体的にそういう方向にあるわけですよね。
 そうである以上、今度は学校、大学あるいは高校が今問われているのは何かといったら、そういう社会的な要求に対して、きちっと信用の置ける教育をしてくださいということでしょう。そこのところをむしろ受けとめなければいけないのに、ある意味では高校という場を、高校教育ぐらいは出ていてほしいという、高校教育というものについての社会的な要請というのを正面から受けとめていただきたい。各種学校とは違う高等学校というものの、後期中等教育というものの質の保証というのを、社会から求められているという認識で立っていただきたいわけです。
 そのときに、こうやって進路別の、これ機能ではないですよね、大学は機能分化ですけれども、高校の場合はこれ、機能ではなくて進路ですよね、進路別分化ですから。そういう類型化というのは必ずしも適切でない。つまり、もしそれだったら、全部各種学校にすればいい、進路別であればですね。そういうニュアンスが背後にあるわけですので。
 同時に全体の、世界的な流れとしては、基本的に中等教育を、イギリスにしても、ドイツにしても、フランスにしても、今まで早くから分岐型にして、3分岐なりする制度をやっていたのを、60年代の後半から総合制にして一つにして、機会均等にして、そういう進路別というか、振り分けを後ろの方に延ばしてきているわけですね。そういう意味で今、ヨーロッパの場合なども、アメリカや日本と同じように単線型の、内部での分化はありますけれども、全体としては単線型の形にしている。ですから、そういう分岐を遅くしようという世界的な流れに対しては、もしこうやってはっきり高校を類型化して、制度としても学校別のものにしてしまうと、子供を早くから枠付けて、ほかの進路にはなかなか移れないようにする結果になるわけで、こういう「留意すべき」とか「留意点」とか「配慮すべきこと」というのは書いてありますけれども、具体的に考えたときには、制度化してしまえば、いろいろな意味で制約があって、留意すべきことは限られてしまうという心配があります。
 ですから、一般には、東京都がやっているようなこういう分け方は分かりやすいですけれども、これは私としては、中等教育のこの時期の子供に対して、早くから枠付けようという方向に今、改革されるような案になっていて、正直なところ、そういうのをどこから学んで、どういうメリットがあると考えて出されているのか。ちょっと事務方に聞いてみたいですね。どうしてこういう学校別の高校教育にした方が良いと思うのか。
 これは例えば、僕のそんたくするところ、高校生の意欲のなさとか、大学の方からも言われていますけれども、意欲がなかなかなくなって、家庭学習の時間も減っている等々。明確に目標を与えれば、子供の意欲がつくだろう、高まるのではないかという、そういうニュアンスがあるのではないかなと、一つはそういうことがあるのではないかと思いますけれども、でもそれは、結果的に望ましい方向で意欲を増してくれるならいいですけれども、結果的にどんどん自分の生き方の枠を狭くする方向で、意欲が湧いてくるというようなことが、子供たちが本当の意欲を湧かすんだろうかという疑問がある。この時点で、この年齢段階のこの子供たちがですね。
 むしろ、そういうことに対する、ある意味では逆の要求も社会からあるわけですね。汎用的基礎能力とか、早くから専門的なそういうものではなくて、産業界からも、汎用性の高い能力をちゃんと育ててほしいと、大学にも要求されるし、当然、高校にも要求される。
 そういう意味では、なおかつ、そういう世界的な流れともちょっと合わないし、それから今、大学が求めているものにも何か沿ってないし、産業界が求めることにも合っていないような気がするんです。幾ら意欲的な高校生が生活する学校になるとしてもですね。この辺、どうなんでしょう。

【小川部会長】
 では、事務局の方から、何か御意見があれば、お答えいただけますか。

【小谷教育制度改革室長】
 ここの書き方につきましては、これまでの御議論の中で、特にまず後期中等教育というものが、共通の基盤があった上で、更にその上でそれぞれの生徒の個性に着目して、その個性を伸ばすと。これはもう安彦部会長代理からも御指摘があったと思いますが、その点にまず配慮して、この文章を作成しておりまして、そういった意味で、7ページではまず11行目に、全ての生徒が共通して身に付けるべきコアというものをきちんと後期中等教育における共通のものとして明記をさせていただいております。
 更にその上で個性を伸ばしていくということを考えたときに、確かに一つの高校においていろいろなコースがあって、いろいろな生徒がいた上で、更に高校全体がいろいろな施設設備や、あるいは教職員のような人的スタッフを備えて発展していくという在り方もあると思いますけれども、またそれとは別に、例えば東京都がお取組のような形で、それぞれの高校に在籍している生徒に着目して、それぞれに手厚い支援を行っていくという在り方もあろうかと思いまして、そうした後者の在り方も念頭に置いて、こちらでは、施策を打つに当たっては、そういったことがあり得るのではないかということで、書かせていただいているということでございます。

【小川部会長】
 安彦委員、よろしいですか。基本的には、こういう目標とする育成すべき人材像をこういう形で整理して、それをあくまで生徒が求める人材像と、進路に応じて各学校が生徒の状況を見ながら複数の育成すべき人材像をベースにして目標をつくっていくという、そういう進め方であれば、問題ないわけですね。

【安彦部会長代理】
 そうですね。要するに総合制なども含めて全体の単線型にする場合にはそっちへ行くわけですよね。学校、大きくは例えば普通科と職業科、あるいは専門高校というそれぐらいの分け方は、まだ仕方がないかなと思いますけれども、いわゆる進路別になってしまうというのは、難関大学への高校、普通のレベルの大学への高校、就職へ向けた高校って、こういう進路別の高校というのは、私から言わせれば全然、機能分化でもないし、正に枠を狭めていくような形になりますから。個々の子供が、この時期いろいろ視野を広げて、教養的に勉強する部分と、それから自分の個性に合わせて何か深く進めていくという部分と、前から言っているように、この時期は両方が必要で、それを緊張のもとで、緊張があるからダイナミズムがあって深まっていくわけで、どっちかにしてしまうことがどんなにマイナスかということを思うんですね。
 その辺がもう一つ、くっつけ具合で言わせれば、そもそも学校教育法に「心身の発達及び進路に応じて」という「進路に応じて」の方には、この案は応えていますよ。でも、心身の発達ということについてはどこまで書いてありますか。せっかく学校教育法の50条の目的規定を受けるんだったら、この部分をどこかに必ず入れていただきたいわけですよね。この時期の子供の発達特性というのをどう見るのか。それなりに心理学の方にはその成果があるわけですし、そういうところを踏まえていただいて、そこから、むしろ、子供の側から、この部分については先ほど言ったような形で書いていただきたい。
 結局、学校に任せますと、どうなるかといえば、一番心配しているのは、学校はやっぱり楽な方、明確で、分かりやすい方に行くだろうなということですよね。だから、悪く言えば、本当悪く言えばですが、予備校と同じになっていく。さっきの高校像で念頭に置いてやった場合に。本当にそれで、望ましい子供が育つかということです。この点は、繰り返しになるかもしれませんけれども、大学に入ってくる学生を見ていて心配に思うわけですね。これは私だけでなく、金子先生も感じておられる。
 ですから、正直言って、一体、高校の先生方は本当に子供の育ちをしっかり見ているのか。今の制度の下で、どの子も、もう問題ないよ、こういうやり方すれば、いい子のままで、そのままずっと、もっと今までより効果的に子供も意欲的になりますよって、本当に信じて、というか、見ておられるのかどうか。大学側から見たときに、高校側は本当にそんな楽観的なんだろうかって思うんですけど。やっぱりそこが非常に気になります。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では、類型に関わってありましたけれども、荒瀬委員、そして長塚委員、あと和田委員という順で、よろしくお願いします。では、荒瀬委員からどうぞ。

【荒瀬委員】
 安彦先生のおっしゃることは十分に理解しているつもりで申し上げるんですけれども、私、実はよく分からなくなっている部分がありまして、先生は、こういういわゆる類型化とあえて言ってしまえば、類型化をすることによって、高校の教員が楽になって、結果的に進路という、すなわち高校卒業後、直後の進路ということでもって、類型化が進んでいく。それが生徒の心身の発達ということを考えないことだというふうにおっしゃいますが、高校が、あるいは高校の教員が、生徒の心身の発達を考えないで、そのようにしているとは必ずしも言えないと私は思うんですね。
 一つには、これ安彦先生、ふだんからおっしゃっていることですけれども、本来、進路の決定というのは、本人及び家族でもって相談してやればいいことなんですけれども、学校がそこに深く関与していると。それが良いか悪いかというと、いろいろとお考えは様々あると思うんですが、しかし、現実問題、今それがあるという中での議論をしているわけで、そうなれば、もし関与しないでやっていく。幅広い中学校までの学力層の生徒を入れていく。その中で、学校で教えることは一体何なのかとなってくると、それこそ学習指導要領の規定だって、それがその学校の、学校間で違いがあっていいとはまた言えないんでしょうけれども、その学校の中でも、現実問題としては混乱が生じるのではないかなと。例えば、いわゆる大学進学、選抜性の高い大学に行っている高等学校の生徒が、十分に基本的な学ぶ意欲とか、あるいは問題に出会ったときに、それを何とか乗り越えていくための工夫をするとかといったような力がついていないのであれば、それはその教育をしている学校の問題ではあるかもしれない。一方でそういう選抜性の高い大学にたくさん行く高等学校というのは、むしろ全国的には少ないわけでありまして、多くの高等学校でも、心身の発達ということも考えながら、しかし、何とか今の高校教育を改善したいというふうに考えているわけです。ちょっと私は何か、議論が余りにもはっきりとし過ぎないかなと。そういうふうに進路別に分けたら予備校だ、あるいは各種学校だとおっしゃるお気持ちは十分受けているつもりではありますけれども、必ずしもそうではないのではないかな。次の、直後の進路の先のことを十分、高等学校、考えているのではないかなということを一つ、安彦先生とお話ししたいと思って申し上げたのと、どういうやり方をしても結局は、枠組み決めたって、取組の内容がどうかということで、全ては決まっていくと思うんですね。どんなに立派な枠組みだって、中でもって何をするのかという、いわゆるふだんの教育活動がどうかというのが大事で、学習指導要領が立派なものができたからといって、日本の高校生がみんな立派な生徒になるとは限らないのと一緒で。ですから、私は、枠組みの話と取組の話というのは、少し分けて考えた方が良いのではないかな。
 最後にもう一つ、7ページのところなんですけれども、これちょっと以前に話題に上ったことがあるんですが、7ページの4行目の丸のところで、5行目のところに「高等学校教育の質保証」というのが、さらっと出てきているんですね。高等学校教育の質保証というと、何なのかということは、私はもっとしっかりと議論する必要があるという気がいたします。先ほど安彦先生がおっしゃった心身の発達ということを考慮するということであるならば、それも書き加えるべきだろうし、あるいはまた進路ということを考えても、もっとしっかりと考えるべきではないかな。
 それから、その次の丸なんですが、7行目の丸の中に、これいつも出てくるんですけれども、単位認定を厳しくすると、中退者が増加するのではないかという懸念があるという、これ自体がもう駄目なんだということをはっきりと書くべきではないかなと。学習する人たちに対して厳しさを求めるというのも、これも高等学校では心身の発達に応じてするべきことであって、何か甘くして、バーを低くして越えさせて、よかったね、ではないと思うんです。
 それと、最初申し上げたことと関わってくるんですけれども、では、東京都のエンカレッジスクールなんかで、東京都の、一方で選抜性の高い大学に受かっている学校と同じバーを設定して、それで高等学校卒業と認められるのか、認められないのかとなってくると、恐らくは多分、大半の生徒たちは認められないことになってしまうんですね。
 だから、その意味では、各高等学校がどういう力を付けて卒業させるのかということについても、考えておかなければいけないのではないかな。公立高等学校に入ってくる生徒というのは、それはもうそれぞれの県のトップに入るような生徒から、そうでない生徒まで非常に幅広くありますから、そこのところを考えないで議論を進めるというのは、少し具体性を欠くのではないかなということを思います。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では、長塚委員。

【長塚委員】
 今、公立高校の話なども出ましたので、私はあえて私立高校のことからお話ししたいと思うのですが、この類型という言葉は、私立高校においてはもう30年ほど前でしょうか、各学校の中にいろいろな類型を設けるようになりました。特に普通科の中に類型あるいはコース制なんていうのを設けるということを随分やって、今日に至っていると思います。それはその学校の中で設けておりますので、私立学校は建学の精神に基づいて、ある種の、学校が期待する、教育しようとする人材像などを見定めて、その中にいろいろな教育課程を設けていたということだと思うのですが、そのうち、これは文科省の方でも教育課程のつくり方で類型制を勧めるような時代が、20年ほど前にあったと思うんですね。つまり公立高校もそういうものを随分やってきた。それは一つの学校の中にいろいろな類型をつくるということでありました。
 しかし、この10年ほど前からの、例えば都立高校の改革においては、学校ごとに類型、いわゆるラベリングをするという形になってきたというのが大きな違いなのだろうと思うんですね。
 ですから、生徒が学び方を変えたい時に、総合学科のような形で、いろいろな学びをするということは、事実上、学校を変えることにつながりますから、これはなかなか難しいというのが実態としてあるのだろうと思うんです。
 ですから、選ぶ段階で学校がラベリングされている場合には、レベルと内容に応じて、将来の進路に応じて選ばなきゃならないという、そういう難しさが、以前よりも増してきたということは否めないだろうと思います。多様化政策ということで、公立学校に中等教育学校、中高一貫校がつくられた時点で、これはもう単線でなくて複線化したわけですが、ここで大きく、ある種のラベリングが行われて、高校に入学する以前の段階から選ばなきゃならないことになり、コースが完全に複数化してしまった。そしてまた高校の方でも、同じ普通科でもいろいろなラベルがあって、そのいずれかを選ぶという風に、この10年間、既にもう進んできてしまっているのであって、これからどうしようという議論よりは、まずはこの10年ほどやってきて、その成果はどうだったのか問い直すべきではないでしょうか。各県において公立学校は、教育委員会の下で学校ごとのラベリングをしたわけですから、その成果はどうだったか。あるいは問題点はどうだったかということをしっかりと踏まえて、今後のことを、10年後のことを検討すべきではないか。もうやってきているわけですから、その辺の現状分析はあってしかるべきではないかなという気がいたします。

【小川部会長】
 和田委員、どうぞ。

【和田委員】
 私のところも私学なので、この文言に関してということで焦点を絞って言いますと、各学校の目標とする育成すべき人材像というのは、私学でいうと、建学の精神というのがあって、その精神を涵養するというのがその学校の教育の最大の目標なわけでして、それに合う人材像を育てるための施策というのは、私学はどこもやっていることであります。これを見て進路指導というふうに狭くとる方が、むしろどうなのかなという気がするわけでありまして、むしろ公立も各学校での地域の方を交えた評議員会、そういうものの制度をどんどん拡充していくことによって、各地域、各学校に応じたいわゆる進路、大学へ行くとか職業につくというような進路目標ではなくて、各学校の目標というものをつくって、それを目指すための人材像に対する施策を文科省なり各自治体なりが進めていくというふうにこの文言をとれば、それはそれで良いのではないかなと思うのです。
 ただ、今おっしゃったように、もともとこの「類型を念頭に置いた」という文言を変えていますので、それが下地にあると思えてしまうので、そういう、安彦先生のような御心配も、あると思うんですけれども、文言通りの意味ではこれはそれなりの整合性があるのではないかなと私は思っています。

【小川部会長】
 何かありますか。どうぞ。

【安彦部会長代理】
 いや、少なくとも、これだけ議論できたことだけでもうれしいんで。今、お二人とも私学なわけです。私学は、おっしゃるように建学の精神その他、非常に古くからちゃんとあるところも多いので、逆に言えば、心配しないです。それはそれで、もう私学の特色として打って出ても。
 厳密に言えば、私学に対してでさえ、もちろん求めるところは僕もあるんですけれども、公立はやはりそう簡単に私学的に自分の固有性とか、やや一般的な建学の精神みたいなのというのはないわけですよね。ですから、簡単に予備校的なものに引きずられるんですよ。
 おっしゃるとおり、下地に前回修正した文章があるから、そういう意味で影響を受けているとも思いますけれども、そういう方向に行かないようなチェックをかける文言が欲しい。そういう意味で、公立では、おっしゃるように、もう先行事例として東京都が進めている。これ本当に僕も結果を知りたいです。結果やちゃんと吟味した調査データが欲しい。ところが、簡単にこれ今やっているから、もうそういう事例があるからって、すっとこれ乗っていくような書き方になっている。そういう方向が特色化の一つの型ですよみたいに、それをこれでやってもいいのではないですかって。果たしてあれの方向で、例えば本当に皆さん、どう思われますか。仮に50校があって、公立校50校のうち40校は大学向けの高校ですと、いろいろ書いてあっても、最終的にこういう高校です。それを狙っています。あと10校がエンカレッジ的なそういう学校ですよって、公に出したときに、保護者や本人、子供たち自身が、どうしてエンカレッジの方を簡単に選びますか。実際、絶対、人数が合わなくなりますよ。あるところへどっと集中して、あるところはまるで定員なんか満ちるはずがないというか、そういう感じになってしまいます。
 今のような形で、ちょっとでもそういうことではなく、もっと一人一人のみんなを伸ばす努力しますよという形。そして私学の場合には正にそういう特色で、学校レベルでそれをやってもらえるからということで、保護者や本人もそれでいくと思いますが、公立の場合には簡単にそうはいかないわけで。しかも、一定のお金を払って云々ということを考えると、何かこう、この方向というのは、一つはすごく、僕は時々言うので申し訳ないですけれども、学校側が楽をするということはもちろん、一面的に見ているわけではありません。高校の先生もすばらしい先生、たくさんいるし、荒瀬先生の高校のような良い高校もあることは知っていますけれども、やっぱりそちらの方に流れていく、易きに流れるような方向に行くような気がするので、それをチェックするような文言をしっかり入れた方がいい。

【小川部会長】
 ありがとうございました。はい、どうぞ。

【川嶋委員】
 これまでの議論で少し欠けているなと思ったのは、いわゆる関東圏とか阪神地域とか、要するにいろいろ選べる状況が整っているところでは、今の話は現実もそうなっているということで良いのかもしれませんけれども、やはり地方へ行けば、公共交通機関がどんどん廃れていって、学校ごとに分化してしまうと、たとえ選択肢として存在しても、現実には選択できない、行けないという状況も実際に現在既に、地方では起きていると思いますので、そういう点についての考慮も一言ぐらいは記しておいていただいた方が、よろしいのではないかと思います。  

【小川部会長】
 今、7ページから8ページの目指すべき人材像に関わって、少しあったんですけれども。小杉委員、どうぞ。

【小杉委員】
 ちょっと今のお話の中で気になったのが、職業教育の位置付けはきちんとしていただきたいなというふうに思います。私は労働力需要の側からの見方を常にするためにかもしれませんが、生徒の進路実現という話と、労働力の需要と進路希望とをうまくマッチングさせていくというもう一つの要素があるわけですね。生徒中心で、生徒がやりたいようにやらせているのが良いことだというだけではなくて、実際の市場というのが世の中にあって、この市場の中に自分のポジションを見つけ出していくということも大事な指導で。
 高校段階における職業教育というのは、少なくとも工業教育というのは、かなり産業界からも高く評価されていますし、実際に就業の状況から見ても非常に高い評価を受けて、安定したキャリアパスを描ける、そういう教育として、現実に今、評価できるものがあるわけで。類型化という話で、この形でというのは、すごくその機能もよく分かるんですが、一方で、先ほど選択を先延ばしにしていくことが良いことだ。果たしてそうというだけで言えるのかという問題もあるので。安彦先生のおっしゃること、よく分かるし、それはそれで大事なんですが、もう一方で、市場との関係から考えると、この年齢のこの段階で職業教育をすることのメリットというのもすごくあるので、そのこともきちんと評価しなければならないのではないかなというふうに思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。はい、では、野上委員、どうぞ。

【野上委員】
 産業界の人間としては、産業社会の発展を支える人材の存在・確保に最大の関心があります。そうした観点から、7ページの「全ての生徒が共通して身に付けるべきコア」に触れ申し上げたいと思います。
 今日の日本は非常に多くの悩みを抱えており、それへの対応が喫緊の課題として求められておりますが、戦後のゼロ状態から世界屈指の発展を遂げた国でもあり、なぜそうしたことがなしえたのかを検証・総括することが肝要であり、その上で横たわる課題に対処していかねばならないと思うのであります。何が言いたいのかということですが、今朝の日経新聞に柳川範之東大教授の寄稿文が掲載されておりますが、柳川氏は文中で日本がこれほどまでに発展した要因には、日本人、日本社会が持つ固有の特性・特質が大きく関係し、貢献していると指摘しております。また、かのドラッカーも著書の中で日本の発展は柳川教授同様日本人、日本社会が持ち合わせているそうした特性、特質があればこそなし得たものと語っております。私も全く同感であります。ではその特性、特質とはいったいどのようなものだということになりますが、それは日本人が持つ誠実さであり信頼性といったものであります。またそしてそうしたことがベースにある社会的慣習であります。
 こうした点は何も日本固有のことではなく万国共通なのではとの御意見もあろうかと思いますが、産業人として世界各国を眺めればあながちそうでもありません。例えば、日本企業は仕事を受注・請け負ったからには期限・納期をきちんと守り、またメンテナンスについても万全を期すわけですが、日本では極めて当たり前のことが海外では決して容易ではないのであります。だからこそ日本の企業が海外から高い評価を得ているのであります。
 そうした高い評価を得るにも結果には原因ありで、その原因こそ日本のある種の人材の存在であります。どのような人材の存在かといえば、肉体労働者・ワーカーでありながら技術にも精通した人材の存在であります。今少し具体的に言いますと、日本のメーカーに勤務する肉体労働者の多くが外国の肉体労働者と異なり、技術職と一体となってものづくりに従事しているというのであります。ドラッカーはこうした技術にも精通した肉体労働者、つまり技術労働者をテクノロジストと命名し、そうしたテクノロジストが多く存在する顕著な国が日本で、その存在こそが日本の発展の原動力だと指摘するとともに、そうした人材を生み出した日本を高く評価したのであります。
 私も全く同様の考えであります。そこで、私たちは今後も日本社会、日本人が持ち合わせた強みともいうべき、このかけがえのない特性・特質を堅持、受け継いでいかねばならいのではないでしょうか。
 これは、フランス国家並びにフランス人といえば我々は直ちに自由・平等・博愛をイメージしますし、それがフランス国家、フランス人が持っている特性、特質なのであります。そうしたことと同様に日本社会、日本人の特性、特質が真摯さや誠実さなのであります。
 したがって、日本社会、日本人が空気のように持ち合わせている特性・特質を「全ての生徒が共通して身に付けるべきコア」として採りあげるとともに、盛り込んでいただきたいのであります。この会議でも質の保証が常に議題となりますが、私はただ今申し上げた日本の国民が既に持ち合わせている意識や習慣、そして真摯さや誠実さを念頭に置いた質の保証の議論であってほしいと念じております。

【小川部会長】
 ほか、どうでしょう。では、アキレス委員、そして上野委員ということで、お願いします。

【アキレス委員】
 私は前回、欠席していましたが、いろいろ議論を伺っていると、すごく重要なポイントを押さえてらっしゃると思います。ただ7、8ページについては「社会経済活動の基盤を担う人材に必要な資質・能力の育成」。次が「専門的職業人」、そして「社会におけるリーダー層やグローバル社会」とあるんですけれども、まだまだイメージが私自身つかみにくいと思います。
 さらに、最初の社会経済活動の基盤と、それから社会におけるリーダー層、グローバル層はどう違うかが分からず、生徒の視点から見ると、選択に迷いが出ると思いました。
 それから、進路とか進学を目指すところが多くなると察しますが、先ほどもお話に出ていましたように、大事なのは、進学そのものではなくて、何を学びたいか。どういう人になりたいかということです。その点は、高校だけではなくて、今の大学の入試の在り方も含めて、総合的に見ていく必要がありますただ進学率が高い学校が良いという様な風潮が起きてしまうと、目指す人材像よりも、受験勉強のテクニックにたけた頭の回転の速い方たちが上に来て、結果的に企業に就職するという形になってしまします。企業側から見ると、今、喫緊の課題は、多様性にどう向き合うか、そして多様な人材をどうマネージするのかです。多くの企業は、日本にはグローバルの市場で活躍できる人材が圧倒的に足りないと感じています。
 そういう人材を例えば高校、大学、そして企業が育てていくとしたら、今の類型の中で、本当に育つのでしょうか。例えば3つ目に、グローバルにも触れていますが、リーダーになる層が、もし進学や進路だけにフォーカスすると、企業の求めている人材とうまくつながっていかないのではないでしょうか。そのあたりの分け方も含めて、御説明いただけると理解も進むと思います。
 以上です。

【小川部会長】
 はい。では、上野委員、どうぞ。

【上野委員】
 うまく言えないんですけれども、課題ということにも関連してきますので、ちょっと言わせていただきます。
 安彦先生が言われた例えば類型という言葉をできるだけ使わないようにして、かつ、例えば生徒の方から何々して欲しいというようなことに対応できるような高等学校というような御説明、少しありましたけれども、何が自分自身で文章を読んでいてすっきりしないのかとずっと考えてみると、私自身の中では、学校なり例えば保護者の方なりの人材像というのと、本来、高等学校が目指すものでも、最終的には国家が目指すものの中にある程度入っていないといけないと思っておるんですよね。
 国家が、例えば高等学校の教育によって形成された人たちの将来はこうであってほしいから、高等学校の教育はこうしてほしいというのは、学校教育法の目的に書いてあるんですけれども、それと現状の問題と言いましょうか、それが文章の上ではリンクしているんですが、現実問題としてリンクしていないように思わざるを得ないところがあってですね。
 例えば7ページ、8ページもそうですし、課題のところでもそうですけれども、読むと、ちゃんと書いてあって、善意に読むと、ちゃんとリンクしているんですね。でも、現状はそれらがリンクしてないではないかというのが問題ではないかと私、思わざるを得ないところがあります。例えば高等学校が独自に人材像を決めるというのは、本当の意味での独自では駄目で、国が将来、日本のためにこうだというものがあって、その中において、その人材像が各高等学校の独自裁量と言いましょうか、その範疇で、ある程度行えるものだと。その時に、例えば生徒さんの方が、自分は学校にはこういうことを教えてほしいといったときに、それに応じてばっかりであれば、一番大きな目標のところが崩れていくのではないかというような気がしてですね。
 こういうふうな文章をまとめるときに、改めて国の目指すものというのをもう一度書き直して、その中で、どうやっていくかというふうなことを改めてまとめる必要があるのではないかと私、思っているんですよね。非常に難しいことですね。ある程度、それを真面目にやっていって、非常にたくさんいらっしゃる生徒さん全体を一括してやろうとすると、ある意味では類型化してしまったような施策のとり方を考えないといけないということを書かないといけないですし。
 ですから、そこのところをもう少し、国の目指すものと、例えば地方自治体がその範疇で決めて目指すもの、それから私立の高等学校は数が少ないので、少しはいいのかもしれませんけれども、例えば公立の高等学校の場合には非常にたくさんありますので、どうやって決めていくかというのも、本当に国の目指すものと連携して考えていかないといけないのではないかと思います。そういう意味では、簡単に生徒の見方に立って云々というふうにだけ書いてしまうと、クモの子のように学校がなってしまうというフィーリングを持たざるを得ないというようなところが若干あって、もしもそういうことを書くんであれば、その上にもう少し、大きな国の目指すものがこうで、その範疇で云々であるとかということを書いてあれば、分かりやすいのかなという気はいたします。

【小川部会長】
 今の件については、例えば国のそうした方向については、教育基本法とか学校教育法等々に規定されていますけれども、それを踏まえつつ、もう少し何か踏みが可能であれば。

【上野委員】
 ええ。ですから、そういうことはきっちり書いてあるんです。それで、ちゃんとそういうふうな書いたものだけをずっと読んでいくと、ちゃんとリンクしているんですけれども、現状の問題というのは、本当はリンクしてないのが問題なのではないでしょうかというふうなところにあるのではないかという気持ちをいつも持っています。
 先生方、随分いろいろ苦労されて、努力もされて、高等学校も一生懸命やられていて、しかし何かずれているんですよね、その努力が。というフィーリングを持っています。

【安彦部会長代理】
 上野先生が言われたことは、ずっと我々教育学者は問題にしてきたことでして。一言で言えば、むしろ小川先生が話すことの方が良いのではないかと思うんですけれども、ここに国というのを意識したときに、まず戦前の国のイメージが一つありますから、そうすると、先ほどから歴史的な観点みるとで、国のために個々の生徒が、直接ですよ、直接個々の生徒が存在しているわけではない。要するに個々の生徒は人形ではあるまいし、国が、おまえ、こういうふうな人材が欲しいから、おまえたちそうなれという、そういう教育はある意味でロボットをつくるようなものでして、もう徹底して、ある意味でそこは警戒しなきゃいけないと考えているわけです。
 反面、おっしゃるとおり、一人一人の子供の方はいろいろな要請、要求というのを持っています。むしろ、その子供たちに一定の国の意識、国の意識を持たせる教育が一方で必要だったわけです。それを今回、僕は前から言ってきた「主権者としての自覚」を持たせたらどうですかという、この部分のいわば政治的教養を付ける教育が今まで行われていないから、おっしゃるような問題が、発想としては出てくるわけです。
 ずれるかずれないかというのは、そこのところで、むしろある意味でずらさないと、かえって国に一方的に人が利用されてしまうような教育、それからその意味では、そうならないために、むしろわざと少しずれがあるとか、ずれという言葉はそういう意味で、普通我々は中立性という言葉で言ってきているわけです。教育は政治的中立、宗教的中立ということを言ってきたわけで、そういう意味で、あんまりストレートに国の要請とかそういうものを直接的に受けることに対しては、ずっと本省としても警戒してきているわけで、そこの点はまあある意味で、ずれがあるというふうにおっしゃるお気持ちは分かるんですけれども、警戒的なものがいつもずっとあります。

【上野委員】
 読ませていただくと、そういうふうな気遣いまでちゃんと考えたキーワードが入っているんですね。ところが、それが多分、一般的には分かりにくいのではないかしらという気がします。そういう意味で、もう少し何か分かりやすい説明があればいいかなというところですね。

【小川部会長】
 ありがとうございました。それも今後検討していきたいと思います。ほかにどうでしょうか。及川委員と、あと渡邉委員ですね。では、及川委員の方から。

【及川委員】
 先ほどのことにちょっと戻って申し訳ありません、簡単に。修得主義を厳格に行っていくと中退者云々という話が出て、またそれに対する別な考え方が出たんですが、生徒の多様化が進んだときに一番問題だったのは、文科省からも都道府県教育委員会から言われたことですけれども、何よりも中退者数の深刻な数だったと思います。その中退者を減らしていくということが、社会的な要請から考えても非常に大きな課題であったというふうに認識しています。
 先ほど東京都の例えばエンカレッジスクールとかチャレンジスクールであるとかといった類型化された高校のことについて御指摘があったんですけれども、少なくともそういう新しいタイプの類型化した学校をつくったことによって、中退者は確実に減りました。そういう意味での類型化の意義は、あるのではないでしょうか。
 中退者が確実に減った。それは、修得云々よりも、とにかく履修させる。中途で退学をさせない。履修させるというところに現場の努力があったからだということは事実だと思います。やはりそれが修得主義と履修主義の関係抜きには中退者云々は語れないと思います。
 あとは東京都の場合には、正にそういうミスマッチというのがなくなった形で、中退者が少なくなっている。今度は、本当に一人一人の生徒の能力を伸ばしていくという観点から、学力スタンダードを明確にしていくというのが、今度の課題だというように私は受けとめています。

【渡邉委員】
 二点お願いいたします。一点目は、先ほど野上委員さんからもありましたけれども、コアの部分についてでございます。高校教育の中で、私はこのコアの部分が一番大事な部分だと思っておるわけですけれども、ここをどういう内容、どういうものにしていくかということについては、時間をかけて議論をしていっていただきたいと思っております。この部分を広げるのか縮めるのか。いろいろな条件があり、今の状況よりも広げるということは難しいようには感じますけれども、その点について時間をとって議論していただきたいと思っています。
 それからもう一点は、半分質問なんですが、資料1の8ページの上の方の部分で、最初、「~を目指す学校」という言葉が入っていました。それを見たときに、これは学校自体をこういうふうに分けていくのかなというふうなイメージでとったわけですけれども、「学校」が消えていますので、先ほど安彦委員さんからもありましたけれども、一つの学校の中で、多様化した生徒に対応するため、一つなり二つなりのそういうものを各学校でつくっていくというイメージでよろしいんでしょうか。

【小川部会長】
 それは安彦委員に対する質問ですか。

【渡邉委員】
 事務局の方にお願いします。以上です。

【小谷教育制度改革室長】
 前回は、主としてという学校という形にしておりましたので、先ほどの議論でも御指摘がありましたように、例えば地方公共団体の中には、たくさんの学校がなくて、生徒がその学校しか地理的条件から選べないというような場合もあるといった御指摘、それから、そもそも学校と書くことによって国が──文書でもそういったことではないとは書いているんですけれども、学校を序列化することを助長するかのような誤解を招くという御指摘もありましたので、そういった意味からこのような書き方に改めました。ですから先ほどの御指摘があったように、例えば総合制の学校などでは、こういった機能を複数掲げて取り組んでいくということも当然出てくるかと思いますので、こちらの書いた意図は、学校を類型させるというか、学校を分けるということが論点というよりも、そういった施策を講じていくに当たって、全ての高校が一律に発展していくように満遍なくこんな施策を打っていくということではなくて、そういったそれぞれの学校の特徴なり、通っている生徒に応じて、個別にきめ細かい施策を展開していくことが必要だという趣旨で、ちょっと事務局の作文が十分ではないかもしれませんが、一応そういった意味で、トータルはあくまでも今後の施策の方向性という形でまとめさせていただいたところです。

【小川部会長】
 よろしいですか、ほかに。3の今後の施策の方向性については、いろいろな委員から御指摘を受けまして、御指摘いただいた点については少しまた私の方と事務局の方で、今日の御意見を踏まえながら、少し見直していきたいと思います。よろしくお願いします。
 あと、渡邉委員から出たコアの部分について、時間を十分にとって議論してほしいという御要請ありましたけれども、これについては「課題の整理と検討の視点」を整理した上で、恐らくこれが了解された以降、8月以降になるかと思うんですけれども、個別の重要なテーマに沿って、また審議していくわけですけれども、恐らくその中で、コアとは何かというふうなことは少し時間をとって議論していくことになると思います。その辺は御了解いただければと思います。

【直原委員】
 先ほどの及川委員の御意見と若干重複しますけれども、ずっと議論にありました7ページの一番下から8ページの最初のところのポツが全部で5つ並んでいるんですけれども、どうも私には7ページの一番下の「社会経済活動の基盤を担う」云々というのと、それから一番最後の、8ページの最後の「自立して社会生活・職業生活を営むための基礎的な能力の育成」、この2つについては、高校である以上、どこでも求められていることではないのかなというふうに思えまして、それ以外の3つは確かに学校の特色の部分だと思うんですけれども、そういう意味でちょっと何か分かりにくさがあるのかなと思っています。
 それが具体的にはどういうふうに現れるかと言いますと、何人かの方、東京都がこの間進めてきたことについて言及がありましたので、それとの関係で言いますと、確かに東京都の場合、課題がはっきり見えている学校、進学意欲も非常に高いのに、ちゃんとした進学指導がなされていなかった学校に対して、大学に進学するということも立派な高校教育の目的なんだということを明確に打ち出して進学指導重点校を指定したとか、あるいは残念ながら、高校の教育というよりも小中学校の教育までさかのぼってやらないと、もう社会的に自立できない、そういう生徒が現にいるんで、その生徒を受け入れますということを積極的に打ち出したエンカレッジスクールとかそういうのを取り組んできたんですが、実は東京都の場合、真ん中のいわゆる中堅校と言われている部分について、手つかずだったわけです。一応、学校の個性化、特色化というふうに申しまして、各学校において、自分の学校の特色は何なのかを考えてくださいということをこの十数年やってきたんですが、残念ながら、あまり成果はこの部分では上がっていなかったと思います。
 先ほど及川委員からもありましたように、その部分についてはしかし、ものすごく問題があって、確かに見かけ上、中退は少ないです。そして、今、大学に行こうと思えば行けてしまいますから、進学という数字で見ると、あまり問題は見えてこない。しかし実態を見てみると、ここにも書いてありますように、勉強はしないですし、それから進学というのも、将来何を目指しているか考えた上で進学しているわけではなくて、大学に行けるから進学しているという、学力の面でも、それから自分のキャリア意識の面でも非常に問題があるのが、この中堅校だというふうに思っています。
 それが正にこの例でいうと、将来、社会経済活動の基盤を担うという意識もできていませんし、それから、自立して社会生活・職業生活を営むための基盤となる能力もついていない。これらを中堅校においてしっかりと身に付けさせていくことが、とても大きな課題だというふうに考えていまして、そういう意味では、公立高校の中のおよそ3分の2も占める中堅校の課題を解決するための、ここはそういう意味では出発点ということではないのかなというふうに、この7ページ、8ページの記述ですね、そのように受け止めました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今の7から8ページに書いてある育成すべき人材像については、先ほどアキレス委員の方から、もう少し中身は吟味することもあっていいのではないかという御意見もありましたので、これは少しまた考えてみたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。3の今後の施策の方向性に関わってよろしいでしょうか。
 では、時間も大分迫っていますので、先ほどの皆さんの意見の中には、4の高等学校教育の質保証の中身に関わった御発言も少しはあったんですけれども、4の高等学校教育の質保証に関わって、御意見を伺いたいと思います。10ページ、11ページ、12ページに関わって、何か御意見ございますでしょうか。

【安彦部会長代理】
 さっきもちらっと言いましたが、単位制、学年制との絡みなんです。今後の方向性とも関係するんですけれども、今、質を保証するというイメージをどういうイメージで皆さんが持っておられるのか。例えば今の東京都の話ですと、ついつい、大学人もそうですけれども、質を保証するというのは、どの子も高い偏差値の子供に育てようみたいなところにすっと行く人の方が多いんですよね。それはむしろ量ですよね、偏差値ですから。一方、質が問題というときに、本来は育ちのゆがみとか偏りとか、ある種のバランスの悪さとか、そちらの方のことをもっと意識していただきたいんですね。
 そういう意味でいうと、さっきもありましたけれども、中退がないからというのでは、私はそうですかで引き下がらないのです。それでもって、その子たちはちゃんと社会へ出て信用される人間として企業から評価されていますかって聞きたいわけですよね。そうでなかったら、中退しなかったからといって、ちゃんと育っているという保証にはならないわけです。ですから、言ってみれば、それが単位制とも絡むんですけれども、単位制というのはやっぱり修得主義ですから、これは修得主義である以上、基本的に一定の満足できると思われるレベルというのを設定して、そこに到達しなければ修了と認めない。それは私はむしろ、さっき荒瀬先生も言われましたけれども、厳しく求めていいはずだと思っています。
 前から言っていることですけれども、今後、質の保証をする上では、入り口で、子供をこういう子供にしようとか、子供を集めようとかという、これは私学はそれはやられても問題ないですけれども、公立の場合には、入り口でというのは、私はもうそういう時代ではない、大学もそうですけれども。もうそこで幾ら質を担保しよう、入試でもって担保しようと思っても、それが効かない時代になってきているわけですから。そういう意味では、それをやるということについてはむしろ二次的なことだと考える。むしろ出口のところで、その質の担保というのをやるべきだ。それが、出口のところで質の保証ということを見るときに、今の単位制というのを中心に考える必要があるということを言っているわけです。
 私はそういう意味では、前回は留年は当然の話、場合によって、もっと2年かけて、3年かけてというような見通しを持って高校に入ってくることで何ら問題ない。学年制が前提になると、3年間で、あるいは4年間で出なきゃならないみたいになっていますけれども、単位制の高校もある以上、基本的に単位制で全体を統一した原理にすべきではないかというふうに思います。ですから、前回は留年のことを言いましたけれども、今回、平野大臣も打ち出されたように、単位制であれば飛び級もあり得るわけですね。2年間で80単位取っていける子は取って構わないわけ。もちろん単位制ですから、学年ごとの何単位なんていう制限はなくなると思います。そういう意味では基本的に単位の問題であって、それを2年間で取る子がいたら、2年でもう次に進級進学していいというふうに考えます。言ってみれば、厳密にそういう修得主義を適用する。学年制というのはそういう意味では、もう義務教育ではありませんし、今の段階ではもっと子供の側に自由に、これは何年かけるとか、これはもっと早く上へ上がりたいとかいうことを認められるようなシステムにしていく必要がある。
 職業教育にしても、さっきから出ているようなお話は、むしろ学校の中での話で用意できると思っていまして、単位制の中で用意していけることではないかと思っております。そういう意味ではむしろ、大学も同じなんですけれども、出口で質の担保ということをもっとしっかりしていきましょう、社会的な信用を得る方向で行きましょうというような施策の方が望ましいというふうに思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。では、荒瀬委員、どうぞ。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。ニュースでいろいろ見てみまして、今正に安彦先生がおっしゃった飛び級のお話もありますけれども、単位制と学年制という、現状は多くは学年制で、したがいまして、全日制の場合、3年間いるというのが基本になっているわけですけれども、その中で培っている力というのもきっとあるだろうというのは、ちょっとノスタルジックに思うんですが。でも、単位制になるならなるでいいし、また今の学年制でそのまま行くのであってもいいし、混在しているのでもいいと思うんです。何度も申しますけれども、私、修得主義と言いますか、修得主義とか履修主義とかいうその言葉自体が、ちょっと変な気がしないでもないんですが、単位はきちっと厳しく修得させなければならないというのは学校としての責務だと思うんですね。
 ですから、ここの部分で質の保証というときに、生徒にどういう力がついたかというのは、これは正しい見方だと思うんですけれども、もう一方で、高等学校は何をしないといけないのかということに対する指摘を厳しくしていかないと、先ほど安彦先生が御心配になったように、高等学校はともすれば楽な方に走りがちだという御指摘もあるわけですから。ですから、質保証をするときには、質保証する仕組みをきちっとつくって、しっかり取り組まなければいけないということを思います。それはひとえに、先ほどからもお話が出ていますけれども、ただ単に大学に行ったら良いわけではない。例えば選抜性の高い大学に入る生徒たちをたくさん抱えてらっしゃる学校においても、二通りというふうな単純な分け方はできないですけれども、一方では、ただ単に入ればいいという学校と、入るだけでは駄目で、入ってからこういうふうな大学生活ができるとか、あるいは将来、社会に出ていったときに、まさしく自分のキャリア形成ができていくといったようなことを考えられるような力を付けておかないと、ただ単に入りました。それで高等学校の責任を果たしましたというので、これは全く違いますから。その際に、単に大学に入るだけの、偏差値も選抜性の高い大学へ入ろうと思ったら必要。今、入試がそうですから必要ですので、入試も変えていかないといけないと思いますけれども、ただ単にそれではない力をどう付けるのかというのは、これは生徒にどういう力がついたかということと全く裏表で、学校が何をするか。
 そのときに、私は学校教育法の冒頭に出ていますが、51条に書かれていることをどれだけそれぞれの学校で、あるいはそれぞれの教員が真剣に考えているんだろうかと。「健全な批判力」と書いてありますけれども、健全な批判力とは何なのかというような議論をしたことがあるのかということを思ったりもいたします。豊かな人間性なんて、もうこれ決まり文句で出てきますが、何をもって豊かな人間性というのかというのは、さっぱり分からないという。
 だから、全ての授業や取組がそこにつながっていくような具体的な、私学の建学の精神ということが先ほどから出ていますけれども、実は公立高校も校訓であったり、教育目標であったり、教育方針であったりというものをしっかりと掲げているわけなのに、それが単に看板のようにかけてあるだけということで。ですから、学校がこれからどういう取組をしていくのかというのを考えて、あるいは取り組まないでおくということも含めて考えて、やっていかないといけないのではないかなということを思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかにどうでしょうか。では、小林委員、どうぞ。

【小林委員】

 安彦委員から出ました、単位制へ向かっていくというお話があったと思うんですけれども、私は単位制というのは、今度、中学校は選択授業がほとんどなくなりました。様々な理由があってのことなんですけれども。本校でも以前、自由選択科目というのを設置しましたけれども、結果的に子供たちはどうしたかというと、易きに流れていました。入り口の話がありましたけれども、今、98%の子供たちが高校に入ってきている中で、以前のような相対評価で5、4、3、2、1が決まっているパーセンテージと、現在の観点別による絶対評価でのパーセンテージを見ると、東京都の場合、ほとんど変わりはありません。
 そうしますと、基礎学力が不足している1とか2を取った子たちも、高校に入っています。この子たちが、安彦委員がおっしゃるような自分の意思でどんな将来像を描きながら、単位の修得を目指していくかと考えられるかというと、多分、考えられない子が多く発生する可能性は、私はあるのではないかと思います。ですから、ある程度、規定路線がある中での高校学年制というのは、私はすごく必要な部分は多いんだろうと思います。
 もう一つは、2年で大学に行けるというのもすばらしいシステムだと思うんですけれども、私が全日制と定時制、両方を担当していて感じるのは、定時制の4年間の教育というのは非常に時間がゆったり流れています、子供たちに。ですから、いろいろな気づきを感じるんですね。その中で、ああ、あの子がちょっと今、ドロップアップしそうだ。じゃ、俺らがみんな守っていこう、頑張ろうというクラスの雰囲気なり、その4年間の中の生まれてくる友情なり、そういうのがこの思春期の中で非常に有効に育っています。ですから、3年間の高校生活の中で様々な学習、これは授業もありますし、部活動もあります。その中で様々な経験を、失敗を繰り返しながら子供たちは育っていますので、そういう意味では学年制は、私は是非まだまだ重要なファクターではないかと思っています。
 それからあと、前の議論に戻ってしまいますけれども、もし今のように普通科高校の様々な改革を目指すなら、私は昭和30年代の普通科高校6割、専門高校4割というあの時代のところをもう一度検証していただいて、これだけ日本が戦後復興をなし遂げたのは、私は4割の専門高校の様々な人たちが社会に出て、様々な分野で活躍したおかげだと私は思っています。ですから、今とりあえず普通科高校に行くという流れが、あまりにも強過ぎて、7割の普通科高校になっています。ですから、先ほど直原委員が言いましたように、3分の2の生徒の大多数が様々な問題を、課題を抱えている現実は、直視しなきゃならない。となると、今後に生かすためにも、専門高校の有用性をもう一度考えていただければありがたいなと思っています。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかにはどうでしょうか。では、及川委員、そして和田委員、お願いします。

【及川委員】
 11ページに関しての感想です。この11ページを見ていくと、丸1、丸2、丸3、次のページの丸4と、コアについての考え方が出てきます。そのコアに対して、7ページ、8ページに、各学校が目標とすべき人材像に応じた、資質・能力を上がっています。つまりコアに対しては、こういった各学校が目標としてあげるべき人材像に基づいた資質・能力が対置されている。そのコアの部分については11ページの下の方の注にありますように、「社会的・職業的自立、社会・職業への円滑な移行に必要な力」、それから二つ目として市民性教育といったような内容がコアの部分というふうになっているわけです。ただこのページを読むと、質保証の仕組みというのが、コアの部分についての仕組みなのか、コア以外の多様性の部分の各学校の目標に応じたという部分に関する仕組みというイメージなのかどうか、一緒になって論じられているような気がしました。
 共通のものとしてそういう仕組みをつくるという観点に立つのか。コアの部分と、各学校がそれぞれ掲げる目標、人材像を区別し、別な質保証の仕組みをつくるのか、そのことも含めて整理をする必要性があるのではないかなと思いました。
 というのは、この後ですけれども、17ページの高等学校と大学との接続のところで、14行目の「高等学校と大学との接続の観点からも、高等学校における質保証に係る検討と併せて」というのは、明らかに大学入試とは区別をして質保証の仕組みを考えるという趣旨だと思いますので、そういう意味で、11ページは整理をする必要性があると思いました。以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。和田委員、どうぞ。

【和田委員】
 履修と修得という問題に関しては、どこかで以前にも私、同じような話をしたと思いますし、今日の資料に、学習指導要領の単位のことに関して触れらていますが、今現在が履修主義であるというような発想は、私にはないわけです。
 確かに学年制であって、各学校、公立でいえば、平均的には1学年30単位、それを3年間で90単位の授業を受けて、全部修得しないと卒業できないわけではなくて、学校によって違うんですけれども、学習指導要領によれば、74単位以上修得しなければ、卒業できないということになっていますので、そこは、何度も言いますが、修得単位で卒業を保証しているということは現在でも行われているわけであります。
 ただ、その中で問題になってくるのは、修得というものが学校の実情に応じて、Aという学校のある科目の修得内容と、Bという学校の修得内容の違いというのは当然あるわけで、それを一律に見て、単位が取れているから、それで質が保証されているかどうかというところは一番問題、現実的な問題が起こるところでありまして、実際はあまり、先ほどもありましたように、中退者とかを出さないために、かなりハードルを下げて認定している場合もあるでしょうし、それを厳しくされていて、結果的には中退者も出ている学校もあるわけで、その辺が統一してできていくのかどうかというのは、一つの課題かなと思います。
 もう一つ、コアと、現在ある学習指導要領の必履修教科というのがイコールであってはならないと思いますけれども、現在、必履修教科というのは各教科の基本的な科目とか、そして体育とか家庭科とかそういうものが入っているわけですけれども、これも修得の方向へ持っていくとすれば、人それぞれ多様ですから、不得意な科目がどうしてもあるんで、そういう必履修科目を全て修得しないと卒業できないというような制度にすると、これはかなり問題があると思いますので、やはり履修と修得との区別はしっかり持って、今後も続けていくべきではないかなという意味で、今の学習指導要領というのは別に履修主義に偏っているというようなことではないというふうに私としては認識しているところであります。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。あと何人ぐらいいますか。では、小杉委員と川嶋委員と、ほかにどうでしょうか。もう残されている時間がなくて、この後、政府の戦略会議が、高校の早期卒業制度について提案され、今日までの間、新聞、テレビ等々で報道されていますので、その点について事務局の方から少しこの点に関わって説明いただく時間をとりたいと考えています。あと10分程度しか審議する時間がありませんので、小杉委員、川嶋委員以外に御発言の方はいらっしゃいますか。

【北城委員】
 後半の部分でもよろしいのでしょうか。

【小川部会長】
 今日、時間がありませんので、4までにして、5の各種の振興方策については次回の部会に行いたいと思いますので、よろしいでしょうか。

【北城委員】

 はい、結構です。

【小川部会長】

 では、川嶋委員と、小杉委員、よろしくお願いします。

【川嶋委員】
 では手短に。先ほど及川委員も指摘された11ページのところで、私、事務局として、質保証ということと、共通に修得を求めるコアということのこの関係が、必ずしも整理されていないような印象を受けました。例えば11ページの1のアのところでは、「全ての生徒に一律の到達目標を設定することは非現実的であり」という一方で、イのところに「全ての生徒に共通に修得を求めるコア」というようなことがあって、修得させるべきコアという表現がいろいろなところへ出てくるんですが、今、北城委員が、後の方でもいいですかとおっしゃったんですが、すみません、そこに関連するので、言及させてください。
 5のところ、13ページの(1)のところで、丸1は「近い将来主権者となる全ての生徒に共通に最低限修得させるべき内容(=コア)に関する指導の充実」で、丸2として「質保証に関する取組」で、「学校ごとに修得すべき内容を明らかにし」という、質保証は学校ごとに個別の目標や水準を立ててするんだ。ただ、コアの部分は修得させるんだという。しかし、むしろ逆で、コアのところは共通に質保証する仕組みを考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。全体的に、文章を読むと、コアのところと質保証というのが、前の方の文章もそうなんですが、何かすっきり私には入ってきませんでした。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。では、小杉委員、どうぞ。

【小杉委員】
 ほとんど川嶋委員と同じ意見ですので、では省略します。もうお時間がないでしょうから。

【小川部会長】
 ありがとうございました。今日は1から4までの柱で、皆さんから御意見を伺いました。いろいろな御意見が出ていますので、改めてまた事務局と相談しながら、今日いただいた意見については、可能な限り、またこの案の中に組み込んでいきたいなと思っています。
 今日、一通り全部、御意見伺おうかなというように思っていたんですけれども、ちょっと時間もありませんので、恐縮ですけれども、5以降の内容については、また次回の方に回させていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは、先ほどちょっとお話しした件ですが、先日、政府の国家戦略会議で高校の早期卒業制度等々の提案が発表されました。本来、高校の早期卒業制度の在り方については、この部会で検討すべきテーマでもありますので、その点について、まず事務局の方から、説明いただきたいと思います。今日は時間がないので、この早期卒業制度について議論するという時間がありませんので、個別テーマのときに、また改めて時間をとって、皆さんから御意見を伺いたいと思います。今日は、政府の戦略会議から出た資料の説明と、その内容について、若干の皆さんからの御質問を受けるということにとどめさせていただければと思います。
 では、事務局の方、よろしくお願いします。

【小谷教育制度改革室長】
 それでは、先日大きく報道されました高等学校の早期卒業の検討について、御説明をしたいと思います。
 そもそもこういった報道がなされましたのは、今月4日に行われましたグローバル人材育成推進会議において取りまとめられましたグローバル人材育成戦略におきまして、高校における早期卒業制度の創設について取り上げられるとともに、さらに、その後に国家戦略会議が開催されまして、そこで平野文部科学大臣より、社会の期待に応える教育改革の推進について説明がなされた際に、高校の早期卒業制度の創設について言及がなされたことに関連しまして、報道機関各社で4日以前から様々な報道がなされたところです。
 それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。そもそも早期卒業につきましては、昨年12月の第3回の会議におきまして、生徒のすぐれた才能や個性を伸ばす学習機会の提供について御審議いただきました際に、この資料2で書いておりますが、当時は枝野官房長官が議長を務められて、高木文部科学大臣も構成員でございましたグローバル人材育成推進会議の中間まとめにおいて、検討が求められていることを御紹介して、一度、その是非について御議論がありました。本日御議論いただきましたこの課題の整理と検討の視点(案)におきましても、検討課題として挙げさせていただいております。
 さらに、今月4日のグローバル人材育成推進会議、ここでは議長を古川国家戦略担当大臣が務められまして、平野文部科学大臣も構成員でございますが、この会議で取りまとめられましたグローバル人材育成戦略におきましても、またその検討が求められたところでございます。
 参考資料2として、その後開催されました国家戦略会議の配付資料をお配りしております。参考資料2の2ページを御覧いただきたいと思います。時間がございませんので、資料全体の御説明は割愛させていただきますが、平野文部科学大臣より、社会の期待に応える教育改革の推進についての説明がなされました折に、教育改革の7つのポイントの中で、丸1でございますが、高校早期卒業制度の創設ということを挙げておりまして、1枚おめくりいただきまして3ページ目でございますが、3ページ目の右側の方の四角囲みの中の2つ目の矢印のところでございますが、「高等学校段階における「早期卒業制度」の創設(大学への早期入学促進)の検討(H25年度中を目途に結論)」といったことが書いてございまして、実際に会議の席上、平野大臣から、高校早期卒業制度の創設に取り組みたい旨、御発言がございました。
 これらのことをめぐりまして、様々な形で大きく報道がなされたわけでございますが、文部科学省といたしましては、この平野文部科学大臣の方針に基づきまして、これから早期卒業の創設について検討を進めてまいりますけれども、具体的な制度設計につきましては、またこれから検討するものでございます。
 さて、そもそも改めて高校の卒業の仕組みについて御説明させていただきますと、また資料2にお戻りいただきたいと思います。資料2の2ページを御覧ください。高校の修業年限は、冒頭ございますように、全日制では3年、定時制及び通信制では3年以上とされておりまして、校長が卒業を認定するわけでございますが、全学科共通に74単位以上の単位を修得し、かつ31単位分相当の教科科目を必ず履修、これは必ずしも修得ではございません。履修しなければならないこととされております。
 さらに、専門学科につきましては、専門教科・科目から25単位以上、これも履修しなければならないとされております。そして単位の認定といたしましては、その成果が教科・科目の目標から見て満足できる場合になされるわけでございますが、こういった高等学校における教科・科目の単位の認定のほかにも、その下に書いてございますように、大学や専門学校等における学修とか、ボランティア活動等の学校外の学修につきましても、単位として認定できることになっております。この丸1から丸4について36単位まで、卒業に必要な単位数に加えることが可能でございますし、更にこのほか、これに加えて、また海外留学に係る単位などにつきましても、別途、卒業に必要な単位数に加えることができることになっております。
 3ページを御覧いただきたいと思います。卒業につきましては、こうした現行制度になっているわけでございますが、こうした制度を元に、高校修業年限より早期に卒業する場合には、例えば次のような論点が考えられます。まず対象についてでございますが、同じ学校段階である高等学校、中等教育学校、特別支援学校の生徒をどこまで対象とするのかということ。また、進学や就職など進路によって対象を制限するのかといった論点があろうかと思います。また、要件でございますが、先ほど御紹介しましたように、74単位以上の修得を求める場合には、3年未満、あるいは中等教育学校では6年未満ということになりますが、この期間に各学校で定める卒業に必要な単位を現実的に修得可能なのか。また、早期卒業する場合にも、この必履修教科・科目の履修を求めるのかといった論点。あるいは成績につきましても、一定以上の成績といったことを要件とすべきか。その場合、それをどのように判断するのかといった論点がございます。
 さらに、修業年限を短縮するということで、別途、こうした単位や成績の要件に加えて、更なる要件が必要かといったようなことも論点となると思います。
 また、こうした考えとは異なりまして、そもそも修得した単位数に関わらず、特にすぐれた才能を有する者を対象とするといった考え方もあろうかと思いますけれども、その場合ですと、飛び入学や高等学校教育の質保証との関係、あるいはそうした才能をそもそもどのようにして判断するのかといったことが論点となってこようかと思います。
 このような多面にわたることを勘案しまして、修業年限はどれだけ短縮できるのか。こういったことを検討する必要がある上に、更に高等学校卒業を要件としている各種の資格がございますので、これらとの関係をどのように考えるのかという学校教育制度以外のところへの波及についても、検討することが必要になろうかと思っております。
 4ページを御覧ください。また、既に制度化されております飛び入学についての関係ということでございますと、大学への飛び入学の場合、高等学校の教育課程を修了することを要しておりませんので、逆に言うと、高等学校卒業資格を有することにはなっていないわけでございますが、早期卒業制度の導入の検討とは別に、この飛び入学を活用した者に対して、高等学校の卒業を認定するというような制度改正をすることが必要かといったことも、あわせて論点となってこようかと思います。その場合には、履修していないにも関わらず、単位の認定や卒業の認定を行うことの可能性、あるいは高等学校教育制度や高等学校教育の質の保証との関係をどのように考えるのかといったことが、やはり論点になってくるのではないかと思います。
 このように、高等学校の早期卒業を検討する際には、高等学校制度の根本に関わるような様々な論点について検討することが必要であるわけでございますが、事務局といたしましては、先ほど部会長も言葉ございましたが、今後、この高等学校教育部会におきまして、本日御議論いただきましたこの課題の整理と検討の視点について共通の認識をお諮りいただいた上で、個別の事項について御審議いただく中で、この早期卒業制度の在り方についても検討を深めていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、高等学校と大学との接続ということに関連いたしまして、参考資料の3を御覧いただきたいと思います。これはこのたび文部科学省が取りまとめまして、今月5日に公表いたしました大学改革実行プランでございます。
 こちらにつきましても、ちょっと時間も限られておりますので、全体につきましては後ほど御覧いただくこととさせていただきまして、9ページを御覧いただきたいと思います。大学入試の改革として、これまで入試に様々な機能が求められ過ぎているとの課題認識から、高校教育、大学教育、そしてそれを接続する大学入試について、それぞれの段階で必要とされる能力や学習成果を確認し、次の学びへつなげていく仕組みへ移行していくとともに、それに伴いまして、教科の知識偏重の入試から、意欲、能力、適性等の多面的、総合的な評価へ転換していくことを表明しております。これにつきましては、上の方、米印で書いてございますが、本年夏を目途に中央教育審議会等で検討を開始することとしております。
 このことも踏まえまして、明日の大学分科会におきましては本部会より、そもそも大学分科会の委員も務めておられます安西委員、金子委員、北城委員、川嶋委員のほか、先月の会議で小川部会長からもお話がございましたが、こうした委員の先生方に加えまして、小川部会長、安彦部会長代理、荒瀬委員、及川委員にも出席要請がございました。これらの委員の皆様には連日の会議となって恐縮でございますが、大学分科会への御出席の上、高大接続について御審議いただく予定となっておりますので、御報告いたします。
 事務局からは以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。国家戦略会議に関わって、資料2にあるように、高校段階における早期卒業制度に関する考えられる論点例ということで、事務局の方から説明いただきました。これに関わっては、今、審議している「課題の整理と検討の視点(案)」をこの部会で了解いただいた後に、8月以降になると思うんですけれども、具体的な施策に関わって個別テーマについて、また部会として議論を進めていくわけですけれども、恐らくその中の一つとして、この早期卒業制度に関しては時間をとって、皆さんから御意見を伺いたいと思います。今日、時間がありませんので、議論をすることはできませんけれども、今、資料2とか参考資料2に関わって、何か皆さんの方から確認しておきたい点とか御質問があれば、少し時間をとりますので、皆さんから質問等々、お受けしたいんですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。ではまた、この部会で意見交換する際に、御意見を伺えればと思います。よろしくお願いします。
 では、残りの時間、少しまだありますけれども、この辺で今日は終わりたいと思います。なお、また時間の制約もあって、委員の方から、今日この場で意見を述べられなかった内容等々があるかと思いますので、これまでどおりメール等々で、事務局の方に御意見をお寄せいただければと思います。よろしくお願いします。
 では、次回の日程等含めて、事務局の方からお願いします。

【小谷教育制度改革室長】
 次回の日程でございますが、資料5でお配りしておりますように、7月12日木曜日10時から12時、またこの3階の特別会議室で開催させていただきます。今、小川部会長からもお話ございましたが、追加の御意見等ございましたら、お寄せいただければと思います。作業の都合上、できる限り具体的な修文案をいただければ、より幸いでございます。よろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 よろしくお願いいたします。では、次回は7月12日10時から12時まで、会場はこの場ですので、よろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。これで終わります。

―― 了 ――

 

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