参考資料3 前回(高大接続特別部会・高等学校教育部会合同)の主な御意見

前回(高大接続特別部会・高等学校教育部会合同)の主な御意見

1多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換

(1)総合力を見る大学入学者選抜への転換(入学志願者の多様な能力・適性等の評価の推進)
・「人物重視の入試」という言葉だけが一人歩きしがちであるが、本来は「多面的・多元的な評価」という意味であり、表現には注意が必要。
・丁寧な選抜を実施するには時間がかかるため、学年暦や学事暦も併せて検討が必要。
・大学は入口では学力を重視し、出口では汎用的能力を重視している。今後の入学者選抜では、学力は一要素と考え、それ以外の能力の評価も必要。
・高校と大学の接続点の根幹に理解力などを評価する視点が必要。

2大学入試センター試験の改善(「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」の在り方)

・基礎的知識を測る試験として現在と同様の枠組みで実施するのか、教科科目を大くくりにして実施するのか、検討が必要。
・センター試験は教科型の識別力が高く、新たな共通テストが汎用的能力を測る場合、教科型の識別力が失われないようにすることが必要。
・「発展レベル」を目標準拠型の試験にすることは、複数回実施を前提にすれば、方向性として妥当だが、IRTを活用した試験の設計には10年くらい時間が必要。
・目的準拠型試験に変えるなら、定員管理の在り方の検討も必要。
・基礎と発展レベルの関係はイギリスのGCEOレベル(16歳時に受験する現在のGCSE)とGCEAレベル(18歳時に受験)の関係を参考にすればよい。

3高校教育の質の確保・向上(「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」の在り方)

・正課の授業は大学進学のための知識型の教育で精一杯であり、汎用的能力の育成は放課後や土曜授業と言った正課外の授業というのが現状。
・記憶型の学力を身に付けることに加え汎用的能力の育成まで目指すには、高校生の負担増の認識や配慮が必要。
・多様な高校に一律の成果を規定することは困難であり、ある程度の目標を持ちながら達成度テストを活用し、成果を確認していくことも必要。
・小学校から大学まで社会との連続性を意識しながら学ぶことが重要であり、高校におけるキャリア養育の充実が実践できる場所で取り組むことが重要。
・大学で必要とされる能力と中学・高校の教育・指導内容を近づけなければ、教育内容の評価には限界があるので、新テスト創設に当たっては、抜本的に中学・高校の教育内容を見直すことが必要。
・入学者選抜は学習指導要領に準拠しており、学習指導要領は何を教えるかというコンテンツベースの手法をとっている。一方で、大学はアウトカム重視の教育手法であり、高校から大学への連続性を考えれば、学習指導要領の在り方の見直しが必要。
・汎用的能力を重点的に育成するのが「総合的な学習の時間」であり、高校が「総合的な学習の時間」に積極的に取りかかり、大学教育につなげていく姿勢を示すことが必要。
・学習指導要領ベースの教育の成果を正確にアセスメントすべきだが、汎用的能力のアセスメントをどのように行うかが課題。また、指導する教員の資質や待遇の充実が必要。

(「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」について)
・達成度テストを受けることで生徒のモティベーションをどうあげるのか、生徒が受験の目的意識を持てるようにすべきで、基礎レベルの試験の方向性を出すことが先決。
・能力を評価するための段階別に分けた試験として、個人の差別化ではなく、個人の能力値を証明することが必要。
・小中学校の学習状況調査のA問題は知識の理解度、B問題は汎用的な能力を測り、意欲や態度は総合的学習の時間で育成するという枠組みがある。意欲や態度の評価は課題だが、パフォーマンス評価とポートフォリオ評価を導入する流れもある。このような中、高校においても全国学力・学習状況調査のイメージが使えると考えられ、生徒のキャリア設計や自己学習に使えることが必要。
・知識や技能もある程度測れ、いつでも受験でき、特別な準備を要しない汎用的能力を測るテストにすべき。教え方、学び方を変えなければ高校生の意欲はあがらない。活用力型のテストなら教育の質を変える可能性がある。
・アクティブラーニングは生徒の満足度が高いと言われているが、基礎力や実践力が弱いという指摘もあり、基礎的な力を評価する基礎レベルのテストは必要。
・教育効果の把握や生徒の学習状況の参考として使うのであればそれなりの意味がある。大学入試には使わず、「高校学力調査」というような名称が必要。
・高校教育部会では到達度テストは、生徒の学習意欲向上、自らの学力証明として使えるものとして提案された経緯があるが、達成度テストの基礎レベルは、主目的が、学校の指導改善ではなく、入学者選抜であることを明確にすることが必要。
・基礎レベルで測れる水準を示し、それを就職や入学者選抜で使えることが必要。
・達成度テストが導入された場合、高校・大学が負担増となる印象が現場には強いが、導入を前提に教育課程や定期考査の内容や時期も見直し、達成度テストにシフトしていくということが必要。

4大学の人材育成機能の強化

・大学はディプロマ・ポリシーをきちんと決めて、そこに至るにはどういう教育を実施し、どんな人材を求めるのかを明確にすることが必要。

5高等学校教育と大学教育の連携強化

・高校と大学のそれぞれが育成する能力やアウトカムについて、相互に理解するためにしっかりと両者がコミュニケーションを取っていくことが必要。
・アメリカの高校では英語と数学でコモン・コアとしてその教育内容の共通化を図っており、大学もその成果のアセスメントのためのテスト開発に協力している。高校・大学間の相互理解と協力が日本でも必要。
・高校の指導要録を進学先の大学に引き継ぐことで調査書の信頼度が上がり、高大連携も緊密化する。

6その他

・社会から求められてきた汎用的能力は小学校から大学を通じて育成すべき力。
・汎用的能力の評価には、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)が一つの指標。
・高校、大学、産業界での評価基準が一律ではなく、評価観の連続性が必要。

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