参考資料3 第4回までの議題に関する委員提出資料

2012年2月3日,上野信雄

 2012年1月31日開催,第4回作業部会の検討課題に関連して意見をお送り致します。

意見の視点:

実践的国際性・英語コミュニケーション力について高校教育界の危機感が欠如,思い切った対策が必要
 

 英語教育の必要性は小学校からの導入も含めて随分以前にも大きな論議があったように記憶しています。しかし,現状の高校教育は,諸外国の対策が進む中にあって,以前よりいっそう状況が悪化しており危機的状況にあります。
 今回の担当委員の取り組み報告や各委員からのご意見を伺い,以下のように思いました。

(1)   高校の生徒への英語教育が必要であるということは,高校教育に携わる方々も認識されているようですが,その必要性の切実さについては充分ではないように思います。現場教員の若干名だけが英語教育に積極的であっても,他の多くの教員が極度の苦手意識を持っていると学校全体の雰囲気が向上せず,結局うまく行かないのです。このため,高校生の英語コミュニケーション力,海外へ出かける気力を育成するには高校教育現場の教員の気風・雰囲気を向上させることが必要です。その様な問題は大学の国際化においてすでに長年抱えてきた課題でもあります。即ち,高校教員のうちの英語教育担当教員の英語能力を向上すれば良いというだけの問題ではなく,高校教員の多くが生きた国際感覚を持ちかつ英語によるある程度のコミュニケーションができることが不可欠です。そのため,北城委員の危機感を持った上での強い提案には非常に共感しました。
 国際化教育が極度に遅れた日本が国家を今後も継続的に維持し発展するために高校教員は危機感を共有する必要があります。高校教員全体にTOEIC受験を強く勧める(場合によっては義務づける)ことや,教員採用の第2段階選考で英語による面接を導入するなど,英語コミュニケーション力が必要であることの自覚を促すなどして,努力目標を提供することが重要と思います。

(2)   高校生を海外に短期派遣することももちろん重要ですが,以上の理由から高校教員を海外に派遣することが重要と考えます。一人の高校教員は何百人という生徒を指導するのですから教員を育成することの効果は絶大なものがあります。
 今回報告された埼玉県を上げての取り組みでは,高校教員の数日間の海外派遣も行っており大変好感を持てました。第一段階の取り組みとしては良いのですが,「訪問」程度の期間では全く不足であり,せめて「生活」を経験できる期間(2-3ヶ月以上が望ましい),派遣することが急務です。 
 即ち,大学生や大学院生の派遣に関してはすでに種々の支援事業がありますが,これらに習って高校教員の海外派遣にも積極的に目を向ける必要があります。教育庁(いわゆる教育委員会)に在籍させる教員については,海外経験者(出張,研修,および休暇扱いを問わず教育業務での海外経験者)あるいは必ず派遣するなどの措置が必要でしょう。
 諸施策を段階的に進めてゆく必要性を考えると,高校を選抜し重点的に開始する。また英語教育担当教員に加えて,理科分野の教員の「実践的英語力」の向上は科学技術立国を継続・強化するために優先度が高いと考えます。SSHの一部に英語能力のある教員の参加・育成を義務づけることも考えられます。
 尚,教員養成系大学・学部の教員への関連する要求等,なにがしかの施策も不可欠でしょう。 

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(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)