参考資料2 高校教育部会第1回(平成23年11月4日)において出された主な意見

1.高等学校教育制度に関する意見

  • 公教育としての高校教育において、青年期の子どもたちを自立と個性という視点で育成することが必要。 
  • 日本の学校教育において高校教育をどのように位置づけるのか。アメリカは分権により州や地域によって教育内容が多様化しているが、今は全体の教育水準の向上のためにコモンスタンダードの取組が進められている。日本はコモンスタンダードがあるにもかかわらず実態は多様化しており、高校教育をどのように捉えるかが見えにくい。
  • 「普通科」という名称がよいのかどうか、文化が違えば「普通」がよいかどうかの捉え方が異なる。名称をより意欲的なものにしてもよいのではないか。

2.生徒の学習意欲に関する意見

  • 生徒の学習時間が非常に少なく、また、自発的に勉強できないという学習意欲の問題がある。高等学校は最後の学びの場であり、社会で自立していくためにどのような学びをすべきかを議論することが必要。偏差値に関わらず、学習意欲をどのように育んでいくかが重要。
  • 学習意欲との関係では、将来の夢や目標は何かというビジョンを持たせ、そのためにどのような勉強が必要かについて考えさせることが大切である。
  • 高校2年生の一日あたりの平均学習時間が30分程度という調査結果がある。高校進学時における不本意入学も学習意欲には関係しているのではないか。

3.教育課程に関する意見

  • 高校教育は義務教育ではないにもかかわらず学習指導要領に従ったカリキュラム編成が必要とされているが、一方で実態は非常に多様化しており制度的な齟齬が生じているのではないか。また、グローバル人材を育成するために、カリキュラムに縛られない授業を展開できるようにしてはどうか。
  • 生徒の学力を保証するためには、履修主義ではなく修得主義にすべき。また、学び直しを前提とすれば、高等学校学習指導要領の最低基準をより緩やかにすべきであり、生徒の実態に合わせた質の保証が必要。
  • 高校教育の到達度テストといった生徒の学習の目標になるような仕組みは必要だが、どれだけ社会的に認知されるかが成否の鍵ではないか。
  • 中学校における学習内容が十分身についていないことにより、高校のカリキュラムを理解できずに学習意欲が低下し、不登校になることが考えられる。教育課程の議論を抜きにしては議論できないのではないか。

4.大学入試に関する意見

  • 有力な大学の入学試験の在り方も一緒に考えなければ、高校教育のゆがみ、特に進学を求める有力な大学に進学しようとする子供たちの教育のゆがみは治らないのではないか。大学側も求める人材像を提示し、ともに議論するべきである。

5.高校と大学との接続に関する意見

  • 高校教育の目標が大学に入学させることになっているように見受けられるが、高校生の半数は大学に進学しておらず、高校教育は大学入学準備のためのものではない。後期中等教育において教えるべきことを教え、身に付けさせるべき。
  • 高大接続テストを大学入学資格としてやるのは難しいが、高校生としてどのような学力を有しているか測る意義はある。国民として身に付けておくべき一定の知識の達成度テスト等、大学の合否に関係しないところで高校生の学習の目標設定として活用すれば良い。
  • 大学入試が機能しなくなっている中で、大学においても十分に学習せず社会に出て行ってしまう現状にある。大学の機能別分化の議論ともあいまって、大学が機能別にどのような教育をしていくべきかということが高校教育にも連動してくる。 

6.学びのセーフティネットに着目した意見(定時制課程・通信制課程の在り方含む)

  • 家庭環境等の理由により高校における学びが立ちゆかない生徒について、その学びを、どこまでどのように学校でカバーしていくかについて捉えることが重要。
  • 定時制課程・通信制課程は不登校の生徒が増えてきており、全日制の受け皿となっている。昼間定時制といった形態も出てきているなど多様化している。人的配置など様々な課題を抱えている。
  • 広域通信制については質保証がなされているかの評価をやっていく必要がある。

7.その他の意見

  • 普通科の生徒に対する職業準備教育が不足している。専門学科についても地域の労働力需要にマッチした仕組みにしていかなければならない。
  • 高校生の離職率の高さやコミュニケーション不足等の課題は、家庭教育における積み重ねでもあり、家庭と地域における教育を充実させることが必要。
  • 教員が多忙化している現状を踏まえることが必要。学校の特色に応じて、教職員定数を自由に決めることができても良いのではないか。
  • 校長の権限・裁量の在り方や学校を経営するという観点、学校組織や教員養成(研修)の観点も踏まえることが必要。
  • グローバル化の時代では、内向き志向ではなく、潜在的な知識・能力を活用して積極的に外に出て行けるようにすることが必要。
  • 一斉講義型ではなく、双方向型の授業にしていくことが必要。

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