資料6 第76回初等中等教育分科会(平成23年9月6日)における委員からの高等学校教育に関する主な御発言

高等学校教育制度に着目した意見

  • 高等学校のうち、普通科が7割を占めているという状態が過去20年にわたって変わっていないが、本当にこれでよいのかを考える必要がある。高校入試や大学との関係等も出てくるが、この普通科の割合をどう捉えていくのかについて是非検討していただき、この先を見据えた時の構成の在り方を明らかにして欲しい。(天笠委員)
  • 普通科も一括りではないが、検討に当たっては、制度の問題と取組、やり方の問題を分けて見ていくことが必要ではないか。進学校は大学進学者を幾ら出すかで停滞しており、指導困難な学校は、指導に困難な生徒たちを受け入れているからこれで仕方ないということで停滞している。これを打破する具体的な検討が必要ではないか。(荒瀬委員)
  • 総合学科については、その理念は大変素晴らしいものだったが、なかなかうまくいっていない。教員は教材研究に追われて多忙であり、一人で6~7の教科を担当しているという実態もある。理念を十分に実現できる制度的仕組みが必要である。
     また、全日制、定時制というレッテル張りではなく、単位を取得するという考え方に思い切って切り替えていくことが大事ではないか。(橋本委員)

高校入試に着目した意見

  • 高校入試の在り方について、過去には9教科全てをテストで評価していたが、生徒の負担軽減や事務処理負担の軽減のため、現在は5教科入試になっている。このため、入試科目である5教科に重点が置かれているが、残りの4教科のうち1教科を選択して生徒が得意分野を発揮できるような評価の仕方、高校入試の在り方があってよいのではないか。高等学校段階から実技も評価することが重要ではないか。(髙橋委員)

教育課程に着目した意見

  • 多様な生徒が高等学校に進学しているのに対して、カリキュラムは大学入試対応のためかますます画一化されているという危惧がある。学習指導要領をもっと大綱化していく必要があるのではないか。(橋本委員)
  • 中途退学者が10万人、学習不適応・学業不振の者が相当数いる。高等学校教育できちんとした学力や生きる力、教科の内容を教えることがうまくいっていない。学習指導要領と実際の学力との乖離について、これをどのように解消していくかという問題も含めて検討されていかなくてはならない。(渡久山委員)

大学入試に関する意見

  • 大学入試を大学資格試験のような形にすれば高等学校教育が充実すると思う。大学入試の在り方を根本的に変えていかないと高等学校教育をよくしていくということは非常に難しいのではないか。(渡久山委員)
  • 大学入試が高校の教育にいろいろな影響を与えるとすると、高大接続を高校部会だけでやるのは難しいのではないか。高大接続をやるときは、高校と大学と両方の分科会を入れてやらないとうまくいかないのではないか。(北城委員)
  • 大学入試について正面から扱い議論していくことが必要と考えている。今の高校教育までの学校教育について非常に危機感を持っており、そういう意味でも、改めて大学入試と公教育の学校制度との関係について検討する必要があるのではないか。(安彦委員)

高等学校と大学の接続に着目した意見

  • 高校と大学との間でどのような人材を育成していくかの目標を設定するなどして連携を図っていく必要があるのではないか。
     また、高等教育では、大学3年生から就職活動がはじまるため、4年間の高等教育が出来ているのか疑問であり、高校教育では、高校3年生はほとんど受験勉強という状況になっている。この7年間を捉えて、大きな意味で教育連携ができないか。(長尾委員)

高等学校の再編に着目した意見

  • 今後、学校の生徒数が減少している中で多様な学びを確保するために、統合せずとも教育の質を確保できる方法がないか知恵を出しておく必要があるのではないか。
     また、中学校卒業時点で生徒が学校を選択できる地域とそうでない地域があるが、その差異に考慮しながら、高等学校の在り方や質保証の在り方を検討する必要があるのではないか。(貞広委員)

その他の意見

  • 高等学校における特別支援教育の在り方については、平成21年度に文部科学省内に設置した「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」の高等学校ワーキンググループにおいて議論のまとめを行ってきており、そのような内容も参考にしていただければと考えている。(宮崎委員)
  • 教員と子どもの関係について、学校に風穴を空けるという意味で、教員以外の職員(キャリアアドバイザーやスクールカウンセラー)を生徒の実態に応じて配置できるような新たな仕組みが必要ではないか。 (橋本委員)
  • 日本の女性が高等教育を受けている率は、世界でも高くかなり優秀な地位にあるが、社会的な活躍は非常に低くなっている。高等学校教育の在り方にもその原因があるかもしれない。各種データでもジェンダーの視点を入れて検討して欲しい。(大日向委員)

以上

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