資料6:福島委員 提出資料

平成23年9月14日
合理的配慮等環境整備検討WG
委員 福島 慎吾

学校教育における合理的配慮の概念整理等に関する私案

基本的な考え方

○合理的配慮(Reasonable Accommodation)は、教育を受ける場所に付随するものではなく、障害のある子ども本人の個別ニードによって規定し、保障される。

○特別支援学校において現に提供している支援の水準を維持・向上しつつ、地域の学校に就学している障害のある子どもたちへの支援の水準を底上げする。

絶対的合理的配慮

○これが手当できないと人権問題(差別)となるものを類型化し、列挙する。

 例)教育を受ける権利、就学先選択権、アクセス権(通学、バリアフリー)、保護者の付き添いを求めないこと等・・・・

○法令で担保をすることが望ましい。

○ナショナルミニマムとしての位置づけ。

相対的合理的配慮

○目の前にいる子どもの個別ニード+保護者の意見をもとに規定する。

○こと学校教育については、一律に上限や制限を設けるべきではない。

○ガイドラインというソフト・ローにて類型化し、例示する。

○地方自治体や学校現場の努力や創意工夫を促し活かす位置づけ。

疑義・紛争時の解決のしくみ

○教育委員会ではなく第3者機関による調整・判定(技術的助言)が望ましい。

 障がい者制度改革推進会議差別禁止部会における、障害を理由とする差別の禁止に関する法制の制定の行方とも関連するだろう。

○不服申し立て(審査請求)機関の創設。

以上

脊髄性筋萎縮症による肢体不自由のある子ども(16)の一事例から

居住地:埼玉県入間市

障害の程度:身体障害者手帳(四肢体幹機能障害)1級、医療的ケアなし

小1~小2/車いす→小2~小6/簡易型電動車いす→小6~/電動車いす(自重:約120kg)を使用

○小学校

在籍期間:平成14年4月から平成20年3月まで

1.通常の学級において実際に受けた支援

市立A小学校 自宅から直線距離で約1.1km/転居後約1.0km

【介助】介助員5時間/日[市制度⇒平成7年4月から]
 範囲:校内と日帰りの校外学習

【バリアフリー】昇降口スロープ、体育館スロープ、多目的トイレ、手洗い場[新設]

【その他】多目的トイレに電動リフト設置(平成18年4月から)

【教室内】車いす用つくえ

【垂直移動】階段昇降機(平成15年4月から)

【通学】徒歩約20分。学校の要請により原則、親(またはきょうだい)の付き添い

【校外学習】学校の要請により親の付き添い(2年生の1回限り)

【宿泊学習】学校で対応

【修学旅行】学校で対応

【プール】入らない

【放課後】学童保育[入口スロープ、多目的トイレを新設](4年生まで在籍)、指導員の加配 [特例⇒制度上6年生まで利用可]

【奨励費】制度なし

2.特別支援学級(肢)に就学したら受けられたであろう支援

市内に特別支援学級(肢)の設置校なし

【奨励費】○1学校給食費、○2通学に要する交通費、○3修学旅行費、○4学用品・通学用品の購入費が支給

3.特別支援学校(肢)に就学したら受けられたであろう支援

県立D特別支援学校(肢体)小学部/自宅から直線距離で約5.1km

【介助】教員がほぼマンツーマン配置

【バリアフリー】完備

【教室内】完備

【垂直移動】校舎が平屋建て

【通学】スクールバス

【校外学習】学校で対応

【宿泊学習】学校で対応

【修学旅行】学校で対応

【プール】学校で対応

【放課後】なし

【奨励費】○1学校給食費、○2通学・帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する交通費、○3学校附設の寄宿舎居住に伴う経費、○4修学旅行費、○5学用品・通学用品の購入費が支給

○中学校

在籍期間:平成20年4月から平成23年3月まで

1.通常の学級において実際に受けた支援

市立B中学校 自宅から直線距離で約0.6km

【介助】介助員5時間/日×2名体制
 範囲:校内と日帰りの校外学習

【バリアフリー】昇降口仮設スロープ、体育館仮設スロープ、多目的トイレ、手洗い場[新設]

【その他】多目的トイレに電動リフト設置[小学校から移設]

【教室内】車いす用つくえ

【垂直移動】階段昇降機

【通学】徒歩約7分。ひとりで登下校

【校外学習】学校で対応

【宿泊学習】なし

【修学旅行】学校が親の付き添いを要請→拒否→市教委と交渉し特例として2名の臨時介助員を確保→学校で対応

【プール】入らない

【放課後】なし(部活は任意)

【奨励費】制度なし

2.特別支援学級(肢)に就学したら受けられたであろう支援

市内に特別支援学級(肢)の設置校なし

【奨励費】○1学校給食費、○2通学に要する交通費、○3修学旅行費、○4学用品・通学用品の購入費が支給

3.特別支援学校(肢)に就学したら受けられたであろう支援

県立D特別支援学校(肢体)中学部/自宅から直線距離で約5.1km

【介助】教員がほぼマンツーマン配置

【バリアフリー】完備

【教室内】完備

【垂直移動】校舎が平屋建て

【通学】スクールバス

【校外学習】学校で対応

【宿泊学習】学校で対応

【修学旅行】学校で対応

【プール】学校で対応

【放課後】なし(部活は任意/ただし親の迎え等が必要

【奨励費】○1学校給食費、○2通学・帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する交通費、○3学校附設の寄宿舎居住に伴う経費、○4修学旅行費、○5学用品・通学用品の購入費が支給

○高等学校

在籍期間:平成23年4月から在学中

1.通常の学級において実際に受けた支援

県立C高等学校 自宅から直線距離で約3.3km

【介助】介助員5時間/日[県制度⇒平成23年9月から]+有償ボランティア3~4時間
 範囲:校内
 [1年生1学期⇒県の介助員制度が未整備のため、市の心身障害者通学等移動介護人派遣事業を特例として利用。県に介助員制度の整備について交渉]

【バリアフリー】昇降口スロープ、多目的トイレ[既設]/体育館スロープ、手洗い場[新設]

【その他】多目的トイレに移動式電動リフト設置[新設]

【教室内】車いす用つくえ

【垂直移動】階段昇降機[平成24年度のエレベーター設置を計画中]

【通学】徒歩約15分+電車3分+徒歩約10分。雨天時は合羽の着脱のため親の付き添い

【校外学習】?

【宿泊学習】?

【修学旅行】?

【プール】施設なし

【放課後】なし(部活は義務)

【奨励費】制度なし

2.特別支援学校(肢)に就学したら受けられたであろう支援

県立D特別支援学校(肢体)高等部/自宅から直線距離で約5.1km

【介助】教員がほぼマンツーマン配置

【バリアフリー】完備

【教室内】完備

【垂直移動】校舎が平屋建て

【通学】スクールバス

【校外学習】学校で対応

【宿泊学習】学校で対応

【修学旅行】学校で対応

【プール】学校で対応

【放課後】なし(部活は任意/ただし親の迎え等が必要

【奨励費】○1教科用図書の購入費、○2学校給食費、○3通学・帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する交通費、○4学校附設の寄宿舎居住に伴う経費、○5修学旅行費、○6学用品の購入費が支給

注記:上記の体制(制度)は、全国的に見ると、相対的にかなり恵まれた事例と思われます。

(参考)

※ 特別支援教育支援員(介助員)の地方財政措置[小・中学校]は平成19年4月~
※ 特別支援教育支援員(介助員)の地方財政措置[高等学校]は平成23年4月~

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

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(初等中等教育局特別支援教育課)