資料5-11:重複障害(視覚障害及び聴覚障害の重複障害)に関する学校における配慮事項について

※ヒアリングを整理したもの

重複障害(視覚障害及び聴覚障害の重複障害)に関する学校における配慮事項(案)

[学校教育に求めること]

○一人一人に必要な配慮を明確にした教育。

  • 一人一人の障害の状況が大きく異なることから、視覚障害及び聴覚障害、その他の障害の実態を把握して適切な指導に結びつける。

○コミュニケーション及び人との関わりを広げること。

  • コミュニケーションの困難から、人とのかかわりの困難や不安感を生じることに配慮した指導をする。

○視覚障害、聴覚障害等それぞれの障害種にかかわる専門性を生かして適切な指導を行うこと。

  • 一つの専門性にこだわらず必要な専門性を活用した指導をする。

[配慮すべき事項]

○1 教育内容・方法

○一人一人に適したコミュニケーションの配慮

  • 効果的なコミュニケーションを周囲が理解して用いる。必要な場合は固有のサイン等も含める。表現することにも十分配慮して、相互伝達が活発になるようにする。必要に応じて、ICT活用によるコミュニケーションも指導する。

○人間関係を丁寧に広げることへの配慮

  • 人間関係を広げることは、コミュニケーションとともに感情のやりとりが重要であることを配慮する。

○学習機会や体験の意図的な確保

  • 視覚と聴覚の両方に障害がある場合、障害のない子どもはもとより、視覚障害のある子どもや聴覚障害のある子どもに比べても日常で自然に見聞きして情報を得ることができない。よって、必要な経験を意図的に確保して、情報を得られるように配慮する。

○感覚等を総合的に活用した概念形成の機会の確保

  • 触覚等保有する感覚からの情報や体験等を総合的に活用して概念を形成し、言葉を的確に理解できるように配慮する。これまでに習得している語彙や概念も考慮して積み上げていくようにする。

○予測のできる学習活動の実施

  • 得られる情報が限られることから、環境の把握や学習活動の予測に困難が多い。学習活動をあらかじめ知らせる等を配慮する。

○指導内容の精選と、十分な教育時間の確保

  • コミュニケーションに時間がかかることを踏まえて必要な指導内容を精選するとともに、体験を重視し、教師が十分にかかわりながら時間をかけて指導する。

○2 支援体制

○視覚障害・聴覚障害の両方に専門性の高い教師の確保

  • 必要に応じて、手話や点字に関する専門性等を有する教師がかかわるようにする。教師間の協力にも配慮する。

○視覚障害、聴覚障害の特別支援学校の連携

  • 必要に応じて、視覚障害特別支援学校と聴覚障害特別支援学校が連携し、専門性を発揮できるよう配慮する。

○「通訳介助者」等外部専門家との連携

  • 必要に応じて外部の専門家からアドバイスを得られるように配慮する。また、点字や手話を習得できている場合には、通訳介助者の活用が望まれる。

○3 施設・設備

○視覚障害特別支援学校と聴覚障害特別支援学校における施設・設備の充実

  • 例えば、弱視者には教室のドアの色を分かりやすくすることや照明に配慮する等各障害種の特別支援学校の施設・設備等の配慮を必要に応じて参考にする。

○視覚補助具、補聴器等の適切な活用

  • 例えば、難聴があれば補聴器等の活用は重要である。聴覚障害特別支援学校以外の視覚障害特別支援学校で学習していたとしても、必要に応じた補助具等の活用ができるよう配慮する。

○ICT環境の充実

  • ICT環境の充実によってコミュニケーションの充実を図ることができるように配慮する。

○その他障害種にある設備・備品の充実

  • 必要に応じて視覚障害特別支援学校、聴覚障害特別支援学校以外の設備・備品等も参考にする。

○4 その他

○早期からの教育支援について:

  • 言語獲得の基礎を築く早期の専門教育が重要であり、その子にとって最も適切な意思疎通を図るコミュニケーション手段と言語の獲得に向けて最大限に発達を促すことが、全国どこにいても実現することが望ましい。
  • コミュニケーションのとり方等個別の教育支援計画を作成して一貫した支援をする。
  • 人とのかかわりとコミュニケーションを築くことに配慮する。
  • 物や人との意図的なかかわりを多く持ち、概念形成の基礎を築くことに配慮する。

○学校外における支援について:

  • 点字や手話が習得できた場合、地域生活を送る上でも通訳介助者の支援があることが望ましい。

○幼、小、中、高等学校の各段階について:

  • 中学校、高等学校では、専門的な拡大・点字教材の充実が必要である。また、伝える内容が増えることを配慮して、専門性の高い通訳介助者の支援があることが望ましい。

○その他:

  • 視覚・聴覚両方の障害のために情報とコミュニケーションの獲得が難しいことに配慮して、総合的に感覚を使って学べるように配慮する。
  • 生涯学習等の機会が確保されることが望ましい。

 

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