資料5-4:肢体不自由に関する学校における配慮事項について

※ヒアリングを整理したもの

肢体不自由に関する学校における配慮事項(案)

[学校教育に求めること]

○自立を目指した教育

 個々の障害の特性や発達の段階を踏まえ、障害による困難を少しでも改善し、その子なりに自立的な生活ができるようにする。

○一人一人の教育的ニーズに応じた教育

 個々の成長に応じて生じる個別的なニーズに対応する。

○将来の社会参加を見通した教育

 学校卒業後に、障害のある人も障害のない人も共に同じ社会で生きていくことを見通した教育を行う。

[配慮すべき事項]

○1 教育内容・方法

(教育内容を中心に)

1)調和的な発達を目指した教育

  • 知・徳・体、バランスのとれた教育内容となるよう、肢体不自由のために困難な体育の指導等を工夫する。
  • 障害が重度である場合にも「わかる」「できる」工夫をする。

2)子どもの個性を伸ばす内容の設定

  • 個々の性格や発達段階に合わせて、必要な内容やよい方法を工夫する。
  • 長所の発見に努め、子どもの可能性を伸ばす指導をする。
  • 障害による困難の改善・克服に必要な指導をする。
    例えば、健康づくりから健康の自己管理ができるような指導、食べる力に応じた食事の工夫と指導、身体の動きの改善を図るためのプール指導など。
  • 体験的活動や就業体験の充実等により、本人が自分なりの生き方を考え、主体的に進路を選択できるよう指導する。

3)障害理解教育と交流及び共同学習

  • 居住地校との交流及び共同学習推進のため、居住地校に副次的な籍を置くことが望ましい。
  • 居住地校の子どもが特別支援学校を訪問する取組が望ましい。

(教育方法を中心に)

4)子どもの健康状態への配慮

  • 健康状態を確認しながら指導の内容・方法を柔軟に調整する。
  • 必要に応じて訪問教育等柔軟な対応をする。

5)子どもの姿勢や身体の動き、認知の特性等に応じた学習環境の調整

  • 教室での座席の位置(見やすさ、学習支援のしやすさ等)、姿勢を保持するための椅子や机の使用、明るさの調整などをする。

6)子どもの身体の動きやコミュニケーションの力を最大限引き出す支援機器の活用

  • 自助具や補助具、コンピュータやコミュニケーション支援のための機器などを使用する。

7)本人・保護者を交えた検討

  • 必要な教育内容・方法について十分に情報提供する。
  • 本人・保護者が個別の教育支援計画の作成に参加できるようにする。

○2 支援体制

1)指導方針の共有化

  • 複数の教員が指導計画の作成に関与(例えば、小・中学校では担任と特別支援担当、特別支援学校では担任と自立活動担当)し、実施に当たっては全教員で共通理解する。

2)教育内容を補完する学校間の相互利用

  • 小・中学校に在籍する障害のある児童生徒が特別支援学校の自立活動の授業へ参加する。
  • 高等部生徒が高等学校の授業へ参加し、単位を修得できることを情報提供する。
  • 交流及び共同学習に際し移動支援やボランティアの活用をできることが望ましい。

3)教職員の専門性の向上

  • 障害による困難を改善・克服する指導に必要な教員を配置する。また、教員に対する研修を充実する。
  • 専門の医師、理学療法士、作業療法士等のその他の専門家と連携する。

4)支援員の配置、ボランティアの活用

  • 必要に応じて支援員を配置する。
  • 必要に応じて学生ボランティアや地域住民によるボランティアを配置する。

5)医療的ケアを安全に行うための体制の整備

  • 医療的ケアが必要な子どもの安全・安心な学校生活を確保できるよう校内の体制を整備する。
  • 必要に応じて看護師を配置する。

6)関係機関との連携

  • 医療のバックアップ体制、進路への移行支援を行うため医療、福祉、労働等関係機関と連携する。

○3 施設・設備

1)教室等

  • 障害による困難を改善・克服する指導をする場所を確保する。必要に応じて自立活動室を設置する。
  • 必要に応じて教室および体育館ホール等の冷暖房を整備する。体温調節機能が低下している子どもがいる場合には加湿器や空気清浄器などを設置する。
  • 障害者用トイレを設置する。車いすで利用可能な手すり等を整備したトイレ(ウオシュレット、暖房便座)、オムツ交換に必要な簡易ベッド設置、シャワーの設置などが望ましい。
  • 子どもの食事能力に応じた食事が提供できる給食設備を備えることが望ましい。
  • 保健室には、必要に応じて医療ニーズの高い子どもや医療的ケアに対応できるようなスペースと医療機器等、緊急用の吸引器、酸素ボンベを設置する。

2)校内の移動(アクセスビリティ)

  • 段差の解消、スロープの設置などによりバリアフリー化する。
  • エレベーターの設置が望ましい。

3)通学への配慮

  • 送迎用の自家用車やバスへの安全な乗降のためのスペース等を確保する。屋根付きの車寄せが望ましい。
  • 必要に応じてスクールバスを配置する。車いす乗車が可能なバスが望ましい。

4)その他

  • 必要に応じて保護者の待機室を確保する。
  • 必要に応じて寄宿舎の整備を図る。災害時における障害のある子ども等の避難所としての機能を持たせることが望ましい。

※以上の施設・設備については、優先順位を整理することが必要。

○4 その他

○早期からの教育支援について

1)子育て支援と家族支援の充実

  • 早期に「障害」と決めつけることなく、成長を促す子育て支援をする。
  • 本人がどこまでできるのか、どこまでできるようになるのかを見極めながら支援する。「意図をもって後手に回る」
  • 障害受容、早期支援のためにも、乳幼児期から家族を支援する。

2)関係機関の連携による支援

  • 保護者の気持ちに寄り添い関係機関が連携しながら支援する。

○学校外における支援について

○幼、小、中、高等学校の各段階について

3)発達段階に応じた配慮

  • 子どもの精神面の発達を考慮して、介助員、家族の付き添い等を検討する。
  • 各部の連携により一貫した指導をする。発達段階に応じた対応ができるよう指導体制を工夫する。

○その他:

  • 肢体不自由児への合理的配慮および環境整備について考えるとき、当該児童生徒にとって、物理的観点だけでなく心理的観点からの影響も検討する。
  • センター的機能を活用して、特別支援学校のノウハウを広く社会へ活用する。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

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