資料5-3:知的障害に関する学校における配慮事項について

※ヒアリングを整理したもの

知的障害に関する学校における配慮事項(案)

[学校教育に求めること]

○一人一人の子どもの障害の特性等を正しく理解した上で、個別の教育支援計画と個別指導計画を作成・評価し、授業などに効果的に活用する。

○将来の生活を考え、本人の能力を最大限伸長させ、職業や生活に活用できる実際的な力を付けることができる教育を、一人一人の子どもに合った指導内容と方法で提供する。

○必要に応じて、知的発達の状態に加えて、視覚や聴覚の特徴的な捉え方や手先の感覚や緻密性の困難さなどを理解して指導する。

[配慮すべき事項]

○1 教育内容・方法

○知的障害の特性に応じた教材の提供等:

  • 数量や言語の理解には多くのステップが必要であり、その都度適切な教材等を用意するとともに、必要に応じて支援員等を活用する。
  • 教材開発に関する研修の充実と、その情報を広く広報する。

○知的障害の特性に応じた指導内容の提供:

  • ルール理解等の社会性を身につけていくための教育を提供する。
  • 必要に応じて、知的発達の状態に加えて、視覚や聴覚の特徴的な捉え方や手先の感覚や緻密性の困難さなどを理解して指導する。
  • 児童生徒の将来の生活を考え、職業や生活に活用できる実際的な力を付けることができる指導内容を提供する。
  • 実体験を含んだ授業形態を確保する。

○知的障害の特性に応じた指導目標の設定:

  • 実生活につながり、生かされていく教育を目途に、成長段階や実年齢に応じて、より生活に密着し、生活の幅を広げていくようにする。
  • 個別の教育支援計画や個別指導計画を活用・検証しながら、たえず指導目標等の修正を図り、教育をさらに前進させる。

○2 支援体制

○知的障害特別支援学級等の理解啓発と効果的な交流及び共同学習の実施:

  • 特別支援学校や特別支援学級は、その存在が認知され、社会や学校の一員であることが共通認識されるように取り組む。
  • 児童生徒の意識向上及び、地域における障害理解の推進のため共通意識がもてるように取り組む。

○知的障害を伴う重複障害の特性を考慮した人員配置:

  • 必要に応じて、生活体験授業を安全に提供するための適切な人的配置を行う。
  • 自閉症を併せ有したり、二次障害を有したりして、指導内容等の工夫がより一層重要である児童生徒の在籍の増加を考慮し、教員配置の基準の考え方について検討を行うことが望ましい。

○関係機関との効果的な連携:

  • 必要に応じて、知的障害のある児童生徒にとって、医療機関とのつながりが重要であることから、養護教諭を中心に、ニーズに応じて医療機関につなげる窓口を確保する。
  • 必要に応じて、効果的な連携のために、外部との連携・折衝力・組織貢献力等を身に付けた教員、マネージメント力を有し人材を数多く確保する。

○3 施設・設備

○体験学習等のための施設確保:

  • 十分な体験活動を可能にするために、また、クールダウンなどのために、その必要に応じて、生活体験室や作業室、静養室などを確保する。

○教育条件整備のための教室数の確保など:

  • 特別支援学校の設置規模に応じた定員制を導入し、普通教室の確保、特別教室の整備を図れるようにすることなどについて検討することが望ましい。
  • 知的障害の特性を考慮しつつ、ユニバーサルデザインを基本に施設・設備を整備することが望ましい。

○IT機器の活用:

  • IT情報教育に必要な、知的障害のある児童生徒の特性を考慮したIT機器の整備を行う。

○4 その他

○早期からの教育支援について:

  • 早期発見、早期相談・支援の体制の構築を行う。
  • 保護者の気持ちに寄り添い、その上で子どもの成長に必要な支援のあり方を共に考えることのできる環境を整える。
  • 幼児期の療育の充実し、幼児の関係機関間の情報流通を行う。
  • 就学前の関係機関と学校の連携を強化し、途切れの無い支援を行う。
  • 早期からの対応のためには、専門性の高い特別支援教育コーディネーターを特別支援学校に配置すること望ましい。
  • 特別支援学校小学部と幼稚園や保育園などとの交流及び共同学習を行う。

○学校外における支援について:

  • 児童デイサービス等を行う関係機関と連絡を密にし、子どもたちの生活を一層充実する。
  • 保健所、児童相談所、教育委員会、通所施設、事業所、病院等それぞれといつでも連携できる体制を構築し、個別の支援会議を開ける体制を整備する。
  • 特別支援教育コーディネーター等は、自治会・町会・民生委員等に対して、障害のある子どもの存在と障害特性の理解をすすめ、緊急時の協力・支援体制を計画しておくことが望ましい。

○幼、小、中、高等学校の各段階について:

  • どの段階においても、途切れることの無い支援を提供し、引き継ぐべき情報を選別し保護しつつ、移行時における情報の引継ぎを行う。
  • 幼少期や小学校段階ではボトムアップの視点、中学では自我の確立、高校では卒後に向けたトップダウンによる社会生活スキルの取得等、ライフステージ毎の課題を明確にしながら、個々の卒後の生活を見据えた教育を提供する。
  • 幼児期には、保護者が日常生活や療育面を相談できるようにする。

○その他:

  • 障害特性に対する専門性を含めて、発達段階等をアセスメンする力をもつ教員を配置する。
  • 交流及び共同学習の実施の際には、達成目標とそれに対して必要な支援を、共通認識する。
  • 知的障害のある子どもに対する教育については、その知的レベルに大きな差があり、障害の状態等に応じて、特別支援学校や特別支援学級にける集団による教育を行う。
  • 知的障害のある子どもに関しては、マイナス経験の積み重ねにより、満足に社会生活を営むことができなくなる場合もあることに留意して教育を行う。
  • 知的障害に対する専門性の高い教育が必要であることを、社会一般に理解して貰うよう取り組む。
  • 副籍制度の効果的な実施が望ましい。
  • 学齢期には将来の不安を感じている保護者への支援を必要に応じて行う。

 

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