資料5-2:聴覚障害に関する学校における配慮事項について
※ヒアリングを整理したもの
聴覚障害に関する学校における配慮事項(案)
[学校教育に求めること]
○「分かる授業」の実施
- 障害の状態や発達の段階に応じた指導を工夫する。
- 聞こえにくさという障害への情報保障をする。
- 授業における自由なコミュニケーション環境を保障する。
○集団による学びの実現
- 「自由なコミュニケーション」を通して学ぶことができる集団を保障する。
- 自由な会話のできる場、精神的安定の場を確保する。
[配慮すべき事項]
○1 教育内容・方法
聴覚障害に起因する情報不足を補う指導の工夫をする。
○教師等の指導上の配慮
- 聴覚障害の状態に合わせた、コミュニケーション手段(音声、手話、文字等)の選択と活用。
- 視覚的教材、板書の工夫。
- 子どもに分かりやすい話し方の工夫。(口形、話速、明瞭な発音)
- 伝わっているかどうかの細かな確認。
○情報保障の配慮
- 必要に応じて、パソコン要約筆記、ノートテイク、手話通訳などの配置
- 補聴器、FM補聴器等の効果的な使用や教室内の騒音の軽減対応
○指導内容の配慮
- 保有する聴覚を活用した指導(聴覚学習)の工夫をする。
- 読書指導の充実と読み書きの力を指導の工夫する。
- 障害認識のための指導(聞こえにくさを見つめる指導)を行い、障害を受容し、たくましく生きる力を育てる指導を工夫する。
- 早期から一貫した教育を継続する。
○2 支援体制
○身近な地域で専門的な教育を受けることができる支援体制を整備する。
- できるだけ、身近な地域で教育を受けることができる体制づくりを行う。通級指導教室はすべての学校に設置することが望ましい。
- 教員の手話力向上のための研修システムを構築することが望ましい
- 手話を使うことができる教員の計画的配置が望ましい。
○3 施設・設備
○目で見てわかる学校・教室環境を整備する。
- チャイムや校内放送を可視化する、チャイムはフラッシュランプや積層灯に、放送は字幕に変換し見えるようにする。
○保有する聴覚が活用できる施設整備や環境を整備する。
- FM、赤外線補聴器、ループシステム等、音声を届ける集団補聴システムの整備
- 必要に応じて聴覚管理のための聴力測定機器や防音室を整備する。
○4 その他
○早期からの教育支援体制について:
- 近年、新生児聴覚スクリーニング検査等で生後数日で聴覚障害が発見されることが多くなった。そのため、乳幼児期からの保護者支援を行う機関や、幼児の保育・教育を行う相談機関などを整備する。
○学校外における支援について:
- 子ども会、仲間の集い等、聴覚障害児の集団の場を確保し、同一のコミュニケーション手段で自由にやりとりできる環境を必要に応じて整備する。
- 子どもや保護者が0歳から手話を学ぶことができる場や機会を整備することが望ましい。
○幼、小、中、高等学校の各段階について:
- 高等学校段階における聴覚障害児の支援体制を必要に応じて整備する。(この時期は、学業、進路、友人関係等でも悩みの多い時期である。生徒のコミュニケーションの状況に応じた相談ができる支援体制が必要)