資料8:福島慎吾委員 提出資料

学校教育で求められる合理的な配慮について

もやもや病の患者と家族の会

3.教育方法・内容についての配慮事項

○特別支援教育を推進するために配置されている各校の特別支援教育コーディネーターを専任として配置すること

  ※現在は、ほとんどが担任等と兼務のため「コーディネーター」は名前だけになっている

○特別支援教育の推進のために国の基準として1クラス30人定員にすること

○特別支援教育の支援員は、特別な対応が必要な子ども達を支援するので専門的な知識等の研修をきちっと行ってほしい

  ※支援員は必ずしも教員資格を必要としていない場合もある

  ※支援の必要な子どもたちは一人一人ケースが異なり、より専門的な支援を必要としている

○特別支援教育において、発達障害の概念が根付きつつありますが、高次脳機能障害についてもしっかり理解して対応をしてほしい

○よく子ども達の中でのいじめが問題視されるが、教師による言葉に傷つくという話も多く、また教師の言葉や態度をきっかけにいじめが始まったり進んだりするケースもある 障害や病気についての理解が足りない事が原因かと思われる

4.学校における支援体制についての配慮事項

○1校に一人心理カウンセラーの配置をし、日頃から子ども達に目を向けていて、子どもだけでなく、教師や支援員にもその情況に応じてアドバイスが出来る様な体制をつくってほしい

5.施設・設備についての配慮事項

○学校施設のバリアフリー化のために全学校にエレベーターの設置を望む

8.その他の配慮事項

○教員養成のカリキュラムの中に病弱な子ども達の理解を進める内容を入れること

以上

学校教育で求められる合理的な配慮についての意見

人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>

(1)子どもの成長のために学校教育に期待すること

■障がいを持った子もそうでない子どもも共に学べる環境づくり。

  • 助け合う、認め合う大切さを先生が理解をもって接すること。どんなことにも理由があることを理解して、どちらかに配慮するのではなく、みんな分け隔てなく接する。創意・工夫をもって、皆が同じ環境で一緒に行動できるよう、考えてほしい。
  • 我が子の存在を知ってもらわない事には、理解もしてもらえないし、明るい未来は見えない。是非、分け隔てる事なく、同じ教室で、同じ時間を過ごし、楽しみ苦しみを共有共感したい。普通級に居ても、特別支援教育を受けられる体制、または、支援級に在籍していても、普通級との交流を頻繁に行う事を望む。子どもの意見、保護者の意見を取り入れてほしい。

(2)早期からの教育支援についての配慮事項

■すべての子どもが、保護者や本人が望む地域の保育園や幼稚園に入園できるよう促してほしい。

  • 地域療育センターから特別支援学校への道筋が決まっているかのような現状がある為、親も特別支援学校への入学しかないと思っている方が多い。
     地域療育センターを廃止し、障害児に慣れた、療育センターの先生方は、現場の保育士を指導する、巡回保育士のような役割として障害児のフォローをしてほしい。
     または地域療育センターは、普通保育園や幼稚園へ入園する前の母親や子どものトレーニング(慣らし)のような場所であってほしいし、教員も普通保育園や幼稚園に入学できるような指導を心がけてほしい。

■個々に応じた対応や体制、本人、保護者、主治医(校医ではなく)の意見を尊重してほしい。

  • 『在宅は医療ではなく、生活だ』と話をされていた医師がいます。医療的ケアが必要でも、その状態が元気なんです。気管切開をしているから、呼吸器を使用しているから、という理由だけで、皆が皆を同じ線引きで考えないでほしい。現に息子は外出もしているし、ソリ遊びも体験した。主治医も了承しているトランポリンを療育施設では禁止された。なぜ? 療育施設の保身的考えが、これから先の就学問題の壁の高さや厚さを思いしらされた。

■医療的ケアが必要でも保育園・幼稚園に入園できるようにしてほしい。

  • 医療的ケアがネックとなり、保育所に入所できない。今後も、同様の問題に立ちはだかると思われる。

(3)教育内容・方法についての配慮事項

■できないことは工夫、補助をして、学習を進めてほしい。

■個々に応じた対応や体制、本人、保護者、主治医(校医ではなく)の意見を尊重してほしい。

  • 『在宅は医療ではなく、生活だ』と話をされていた医師がいます。医療的ケアが必要でも、その状態が元気なんです。気管切開をしているから、呼吸器を使用しているから、という理由だけで、皆が皆を同じ線引きで考えないでほしい。

(4)学校における支援体制についての配慮事項

■医療的ケアの必要な場合は、看護師の配置、もしくはヘルパーの配置、学校介助員の配置をし、親の付き添いなしで通えるような支援体制にしてほしい。

  • 当県では、地域の学校では、医療的ケアが必要な子どもの場合、学校生活すべてに親の付き添いを求められる。そのうえ、医療的ケアのために付き添っているはずが、結局は、医療的ケア以外の介助も親があてにされてしまい、子どもの自立が阻害される。さらに、当県の場合、特別支援学校でさえ、気管切開をしていたり、人工呼吸器をつけている場合、本人の普段の状態や生活の様子など関係なしに、「訪問籍」に決められてしまう。
  • 県下の特別支援学校では、気管切開をしているだけで、『訪問教育』をさせられる傾向にある。学校へ行く事が出来る児童でも、訪問になるのはおかしいので、通学出来る支援体制を取り入れてほしい。スクールバスに看護師を配置、学校に看護師を多数配置、教員や看護師の医ケア(吸引、呼吸器)の理解等。
  • 人工呼吸器を使っているから「訪問生」というのは納得できません。呼吸器管理が出来ないとの事のようですが資格の無い親が出来るのになぜだろうと不思議でなりません。学校でも、対応できるようにしてほしい。

■学校の看護師だけでなく、担任やその他教員も、医療的ケアを行なえるようにしてほしい。

  • 看護師の人数不足にも間に合うし、急を要する時でも看護師を呼びに行く時間が短縮される。吸引や吸痰は、鼻水が垂れている子がいたら、鼻を拭いてやるのと同じである。

■通学のための支援を確保してほしい。

  • 通学のためにヘルパーが利用できるところもあるが、保護者が仕事をしている場合に限るなどの条件がついていたり、通学にははじめから使えないとされているところも多い。親が送迎できない場合は、欠席を余儀なくされる。
  • 医療的ケアが必要な場合、当県では、地域の学校はもちろん、特別支援学校でも親の送迎が義務付けられる。遠方からの通学者も少なくない特別支援学校でさえ、医療的ケアが必要な生徒は、通学バスに乗せてもらえないなど、通学のための合理的配慮は皆無である。
  • 地元の行政市では通学にヘルパーが利用できない為、母親が送迎をしなければなりません。そこで、就学先を決める場合は、自宅から少しでも近い特別支援学校を選択せざるを得ず、医療的ケアが必要ですが、看護師が2名しか配置されていない知的障害の児童が主に通う特別支援学校へ入学しました。通学バスはありますが、看護師が同乗していないため、人工呼吸器を使っていて、医療的ケアが必要な子どもは、利用させてもらえません。

(5)施設・設備についての配慮事項

■エレベーター、スロープ、車いす用のトイレの設置。

  • ストレッチャーでも利用可能な設備としてほしい。
  • 車いす用トイレについては、多目的トイレのようなおむつ替えのできるスペースが必要。

(6)学校外における支援体制についての配慮事項

■遠足、野外活動、修学旅行など、医療的ケアがあるなしに関わらず、親の付き添いをしなくてもよい体制を整えてほしい。

(7)幼、小、中、高等学校の各段階における配慮事項

■入学時の注意事項、引き継ぎの徹底、(医療的ケアの方法、人工呼吸器の注意事項、学習における注意事項など)どの先生に代わっても、どんな場所にいても、緊急時の対応ができるようにしてほしい。

(8)その他の配慮事項

■大学のカリキュラムの改善。インクルーシブな教育現場が普通だ、違和感がないと感じることのできる教員の養成。

  • どんな子どもでも、どんな障害があっても、自分の生徒であるという責任感はなくてはならないということを学んでほしい。実際、障害児が入学してくると先生が大変、どうしよう・・・といった雰囲気が圧倒的に強い。
  • 現場の教員やこれから教員となる方々の教育課程にインクルーシブ教育の内容を組み込んだものにしない限り、入園、入学がスムーズにいかないばかりか、入学後も子どもと親、先生の摩擦が多くなると思われる。
  • インクルーシブな学校生活を送った経験を持たない人たちが教員となっているのが、今の実態。早期にインクルーシブ教育の達成を。

■災害時の避難や対処法の徹底。

(9)その他 意見

●新潟の学校だけかもしれませんが、総じて言えるのは「何ができるか」という前向きの考えではなく「これしかできない」という考え方を改めてほしいと思います。
 我々の住んでいる妙高市教委では平成16年、17年に出された厚労省からの通達に記載されていることしかできないと主張しています。
 例えば経管栄養の速度調整はどのへんが医療行為なのか?と聞いたところ「何かあった場合に責任取れない」と言います。頭が固いというか、公務員特有の考え方なのでしょうか。
 ストレッチャーで体がずれても保護者に直させます。吸引についても一定の研修を受ければ可能との厚労省見解なのですが、看護師の配置とセットだとのこと。数え上げたらキリがありません。
 「合理的な配慮」というのは、リスクや子どもの成長から何を優先するかという構築をしていくものだと考えるのです。全てを厚労省なり上層部からの指示によって動かすのは不可能です。考えられるリスクを保護者に伝え、お互いに納得ずくでリスクを最小限に抑える努力をしつつ(リスクアセスメントも含め)、最良の学校生活を送ることができるような配慮がほしいです。
 そもそも「看護師」という免許が何かしてくれるわけではないと思います。看護師免許といういわば紙一枚で何もできない人もたくさん見てきました。それよりも学校で子どもと向き合っている先生や介助員さん(支援員)の方がよほど子どもにとっては良き理解者であることもわかってほしいです。
 現在子どもは5年生ですが、入学するときに条件として覚書を交わすことを要求されました。時間が無かったこともあり、やむなく了解して押印したのですが、義務教育である小学校入学時に保護者と児童に対しこのような条件と引き換えに「入学を許可してやろう」というのは問題ないのでしょうか。私は大きな違和感を感じます。義務教育は義務であり権利です。どこに行くかというのは話し合いの部分もありますが、保護者側がお願いしてお上に頼み込んで入学を許可していただくということは間違っていると思います。
 このような事実をきちんと把握されているのか聞いてみたいです。

●県の教育委員会が分離教育の考えが強いようで、県の指導により、年々、交流教科、交流時間も減少しており分離教育の色が濃くなっているようです。
 しかし、子どもたちは別で、今まで参加できていた交流授業に参加していないと、どうしていないのか?いなくて寂しいと抗議しているようです。せっかく、今まで築いてきた関係が、大人の都合で崩されていくのではないかと不安でたまりせん。放課後やお休みの日には家に遊びに来てくれ、出先で会えば声をかけ合い、当たり前の子ども同士のつきあいができているのは、地域の小学校に通い共に学校生活を送っているからこその表れだと思います。
 そして、「医療的ケア」が必要なため、一日中母親である私が付き添いを余儀なくされている問題があります。教育委員会に看護師配置を希望しても、予算がないという理由でいまだ雇ってもらえておらず、私や家族の都合で仕方なく学校を休まなくてはならないことも多々ありました。それから、追い討ちをかけるように、二年前より予算削減ということで、介助員まで半分に減らされ、私が動かなければならない状況になったので、教育委員会には不安であると相談しましたが、介助員は増やせないので現場でやりくりするようにと校長先生には指示があったようです。子どもの障害の程度ではなく、人数に対して介助員の配置人数が決められているので、現場では介助のやり繰りに追われ、授業にも支障を来たしています。
 先日、野外活動の郊外学習があったのですが、これまでは介助員も引率者としての参加が当り前でしたが、今年になり急に教育委員会より宿泊を伴う郊外学習は介助員は引率できないと言われました。やはり日頃から関わってくれている介助員は引率するべきだと、保護者や担任教師が校長先生に訴え、教育委員会とぎりぎりまで粘り強く交渉しましたが、夏休みということで他の学年の教員を介助員の代わりに引率させるということになりました。ただ、来年には修学旅行が控えています。修学旅行は平日なので、他の学年の教員は引率できません。安全に楽しく参加できるのか、保護者も子ども達も不安を抱えています。

 これまで関わってくださる先生方とは、知恵と工夫と協力で何とか壁を打破してきましたが、今後はますます状況が悪化し、子どもの安全が守れない事態になるのではないかと懸念されます。
 この先インクルーシブ教育を現場にしっかり浸透するように進めていってほしいと強く願っています。

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)