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資料7-1:中村文子委員 提出資料

特別支援教育のあり方に関する特別委員会・合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ
「知的障害のある児童生徒への合理的配慮」に対する意見表明

2011年8月18日
特定非営利活動法人若駒ライフサポート  中村文子

知的障害のある子どもの保護者の立場から

長男25歳(東京都療育手帳2度) 長女23歳(東京都療育手帳4度)

長男

 1歳半検診にて発達の遅れの指摘を受け、3歳時に自閉症の診断を受ける。
 知的障害児通園施設にて療育を受け、市立小学校の心身障害学級(現特別支援学級)に入学。
 中学入学とともに都立知的障害養護学校(現特別支援学校)に入学し、同高等部を卒業。
 卒後は、知的障害者授産施設(現在は生活介護事業所)に通所、ケアホームにて生活を送る。

長女

 3歳児検診にて発達の遅れの指摘を受け、同時期に広汎性発達遅滞の診断を受ける。
 保育園に通園しながら、医療機関にて心理指導を受け、小学校入学まで過ごす。
 小学校~中学校は市立学校の心身障害学級(現特別支援学級)に在籍。
 都立知的障害養護学校(現特別支援学校)高等部を経て、現在は都内特例子会社にて清掃業務に従事。

1.子どもの成長にために学校教育に期待すること

  • 児童生徒一人一人のニーズに応じた教育の提供。そのためには、様々な障害特性に対する専門性はもちろんのこと、子どもの発達段階やバランスをキチンと見極めることができるアセスメント力を、担当教員が保持していることが、重要であると思われる。特に、特別支援学級を中心に、発達障害のある児童生徒数は増加の一途をたどっており、この部分に関する専門性は、必須であるといえる。
  • 児童生徒一人一人の学齢期における能力の向上はもちろん大切であるが、子どもの人生は卒業後もずっと長く続いていく。卒後に「学校時代は良かった」という思いにかられることの無いよう、将来を見すえた教育が提供されることが、強く望まれる。
  • 個別の指導計画・個別の教育支援計画の策定と、より一層の充実

2.早期からの教育支援についての配慮事項

  • 早期発見、早期相談・支援の体制の構築が、最重要であると思われる。知的に遅れのある子どもを持つ保護者は、薄々と発達の遅れを感じながらも、それを受け止めることができずに、葛藤の日々を送る場合が多い。保護者の気持ちに寄り添い、その上で子どもの成長に必要な支援のあり方を共に考えることのできる環境を整えることは、子どもの成長にとって、欠かすことのできないことであると考える。
  • 幼児期に適切な療育を受けることで、学校入学段階の子どもの状態が良好な方向に向かうことは、ここ十数年の新入生の状態の変化からも明白であると思われる。しかし、一方では、療育機関から学校への情報の受け渡しの不十分さから、入学後に適切な支援の継続が保障されない場合が多いのも、事実である。療育機関をはじめ、就学前の関係機関との連携が強化されることにより、途切れの無い支援が実現していくことを強く望む。
  • 就学時移行支援計画・会議の策定・実施と充実

3.教育内容・方法についての配慮事項

  • 知的障害教育を考える時、授業に用いる教材の充実というのは、大変重要な事柄であると思われる。
    数の認知ひとつを取っても、数字での理解に至るまでには多くのステップが必要であり、その都度適切な教材を用意できていることが望ましい。教材開発に関する研修の充実と、その情報を広く行き渡らせていくことが大切であると思われる。
  • 教科学習の必要性は、たとえ知的障害教育であっても、変わらないものであると考える。ただし、その内容は、プリントの達成度ではなく、実生活につながり、生かされていくものである必要がある。幼少期において積み重ねの視点は大切であるが、成長段階や実年齢に応じて、より生活に密着した漢字の読みや電卓の利用等、生活の幅を広げていけるものも望まれる。また、各教科の授業時間にこだわることなく、給食配膳の時間を利用して数や重さの学習をする等、柔軟な考え方も教員には大切であると思う。
  • 前述の内容にもつながるが、知的障害のある子ども達は、学校で学んだ内容を実生活に結びつけていく力が弱いという面がある。机上の学習のみならず、実体験を含んだ授業形態を確保していくことは重要なことであるといえるだろう。また、ルール理解等の、社会性を身につけていくための教育もとても大切であり、そのためにも、ある程度ニーズの共通した集団学習の場の確保は、必要であると思われる。
  • 特別支援学級においては、学習指導要領が定まっておらず、教育内容は担任に一任されている状態にある。指導内容の規定を定め、在籍する学級により教育内容の格差が生じることを防ぐ必要を、強く感じる。
  • 前述の内容にも通じるが、特別支援学級においては、担当教員の専門性や感性によって、教育内容が大きく左右されることが多い。教員の専門性の確保はもちろん必須であるが、高い意識を持つ教員を配置することの重要性を、強く感じている。

4.学校における支援体制についての配慮事項

  • 特別支援学級設置校においては、その学級の存在がキチンと認知され、学校の一員であることが共通認識されていることがとても大切である。そのことは、児童生徒の意識向上につながり、地域における障害理解の推進につながっていくものと思う。しかし、現状を鑑みるに、学校の意識の低さから、学級が学校に設置されているだけで、満足な交流学習も実施されていないような事例も見うけられる。特別支援学級の存在が明確に認知され、弾力的な交流学習が実施されることにより、一人一人のニーズに応じた教育が実現されることを、強く望む。
  • 知的障害を持つ児童生徒にとって、医療機関とのつながりは重要なことであるにもかかわらず、個人的医療機関とのつながりを、十分に持たない児童生徒は思いの外多く存在する。養護教員を中心に、ニーズに応じて医療機関につなげる窓口が、しっかり確保されていることが大切である。
  • 校外における生活体験授業を中心に、個々のニーズに十分応えられる支援を安全に提供できるための、適切な人的配置の確保。

5.施設・整備についての配慮事項

  • 生活体験授業を可能にするための、生活体験室や作業室の確保
  • 精神的に不安定になった場合に備えた、クールダウンスペースの確保
  • 児童生徒数に応じた、適切な広さの教室確保
  • 情報教育に必要な、IT機器の整備

6.学校外における支援体制についての配慮事項

  • 最近は、放課後や長期休暇時において、児童デイサービス等の機関を利用する児童生徒が多く見られる。その様な関係機関と連絡を密に取り、子どもに関する共通認識を持つことにより、子ども達の生活は、一層充実したものになってくると思われる。そのためにも、地域の関係機関とのしっかりしたネットワークの確立が、強く望まれる。また、必要な支援の確保のために適切な支援機関を紹介できるように、学校としてソーシャルワーク機能を確保することが大切である。

7.幼・小・中・高等学校の各段階における配慮事項

  • どの段階においても、途切れることの無い支援を提供していくことが重要であり、そのためには、移行時における情報の引継ぎが絶対必要である。ここにおいても、移行支援会議の実施としっかりした引き継ぎが強く望まれる。→引き継ぐべき情報を、キチンと選別し保護していくことが重要。
  • 幼少期や小学校段階ではボトムアップの視点、中学では自我の確立、高校では卒後に向けたトップダウンによる社会生活スキルの取得等、ライフステージ毎の課題を明確にしながら、個々の卒後の生活を見据えた教育を提供していって貰いたい。

8.その他の配慮事項

  • 特別支援学級から通常級に、交流授業として参加する際には、交流の達成目標とそれに対して必要な支援を、支援学級担任と交流する学級の担任双方で共通認識しておくことが大切であると思う。交流学習には、障害のある児童生徒のことを知って貰うというだけではなく、卒後に共に生きていく地域生活を、障害のある児童生徒自らが肌で感じるという重要な一面があると思う。その子どもの持つ力を最大限に発揮しつつも、過度な負担を強いることの無い、配慮ある有意義な交流としていって欲しいものである。
  • 知的障害のある子どもに対する教育については、その知的レベルに大きな差があり、通常級において教材工夫等の配慮を加えることで十分学習可能な子どもから、高等部段階においても言語によるコミュニケーションが難しい生徒まで、その教育ニーズは幅広いものであると言える。現実的に考えても、そのニーズに応じるためには、特別支援学校・学級のような、知的障害のある児童生徒の集団による教育の形は必要であり、ある意味重要な配慮事項であると考える。
  • 前述の内容にもつながるが、知的障害のある子どもに関しては、まだまだ一般的理解は進んでおらず、その教育についても、さほどの影響力は無く、通常級で提供される内容の低学年のもので良いと思われている節もある。しかし実際は受けた教育の影響は大きく、本人の得意分野を伸ばしながら、生きる力を身につけていくことにより、安定的な生活が可能になり、十分社会に貢献する人材になることもあれば、マイナス経験の積み重ねにより、満足に社会生活を営むことができなくなる場合もあるのである。教科学習のスキルアップだけでなく、丁寧に生活体験を積ませていくことが、本人のいきる力の向上につながっていくこと、そのために知的障害に対する専門性の高い教育が必要であることを、社会一般に理解して貰うことの重要性を、強く感じている。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成23年08月 --