特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成24年1月13日(金曜日)9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. ワーキンググループ報告について
  2. その他

4.議事録

【尾崎主査】 定刻となりましたので、ただいまから、「第8回合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ」を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、乙武委員は御欠席です。その他の委員は出席の予定です。本日のワーキンググループには特別委員会の宮崎委員長を初め委員の方々にもオブザーバーとして御参加いただいております。本日の議題に入る前に今回、事務局の方で移動があったようですので、併せて御紹介をお願いします。なお、本委員会におきましては、御発言される場合には必ず挙手をした上でお名前を述べてから、御発言いだきますようお願いいたします。また通訳の方のために、ゆっくり御発言いただきますようお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 それでは事務局で異動がございましたので、御紹介させていただきます。布村初等中等教育局長です。

【布村初等中等教育局長】 おはようございます。1月6日付けで初等中等教育局長を拝命いたしました、布村と申します。今回合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループの委員の先生方には、大変御苦労をおかけいたしますけれども、引き続き御指導方よろしくお願いしたいと思います。なお、急な話で本日幹部の交代という日にあたりまして、御挨拶したところ申し訳ございませんけれども、失礼させていただきます。

【前田特別支援教育課課長補佐】 続きまして関大臣官房審議官(初等中等教育担当)です。

【関大臣官房審議官(初等中等教育担当)】 6日付けで担当の審議官になりました関です。よろしくお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 以上です。

【尾崎主査】 それでは議事に入ります。本日は前回の会議までに皆様からいただいた御意見を踏まえて、私の方で主査代理と共に御相談の上、ワーキンググループ報告案を作成させていただきましたので、これに基づき自由討議を行う予定としております。まず事務局の方から配布資料の確認をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。配布資料の確認ですが、資料は議事次第のとおり、資料1から資料4までです。資料2の方が報告案の本体でございまして、表紙、目次から始まりまして、1ページから15ページまでが本文、16ページから別表という形で、26ページまで続いております。別表11まで。それから27ページから40ページまでが参考資料1から6までとなっております。また会議の参考資料としまして、本ワーキンググループの委員の名簿を付けております。不足がございましたら、随時事務局までお申し付けください。

【尾崎主査】 ありがとうございました。さて本日の議事に入ります。ワーキンググループ報告についての自由討議を行います。私よりワーキンググループ報告の全体構成、そして最初に前半の部分について説明をいたします。
 さて、資料1のワーキンググループ報告(案)概要を御覧ください。前回お示しした主査試案から各委員の御意見に基づき整理したものです。前回も説明いたしましたが、本ワーキンググループの報告は主に三つの部分から成り立っています。一つ目は合理的配慮について。具体的には合理的配慮の定義。合理的配慮と基礎的環境整備の関係。合理的配慮の決定方法等について整理いたしました。前回共通的環境整備と呼んでいたものを前回の会議の御指摘を踏まえまして、今回、基礎的環境整備と呼びかえました。詳しくは後程御説明いたします。二つ目は基礎的環境整備について整理をいたしました。三つ目に合理的配慮の観点を整理するとともに、その代表的なものと考えられる例を示しました。本日の会議の前半では一つ目の合理的配慮についての整理と、二つ目の基礎的環境整備等について説明を行った後、自由討議を行っていただき、休憩を挟んで後半では、三つ目の合理的配慮の観点とその例示について説明を行った後、自由討議を行っていただく、とそのような進行で進めたいと思っております。
 それではまず、はじめに、のところですが、前回の資料から文言を少し整えましたが、大きくは変わっておりません。次に合理的配慮の定義等ですが、(1)の合理的配慮の定義のところで、前回の会議の議論を踏まえて、留意事項として障害者の権利に関する条約において、合理的配慮の否定は障害を理由とする差別に含まれるとされることについて言及しました。次に2項目目の(2)の合理的配慮と基礎的環境整備ですが、前回は合理的配慮と環境整備の関係を整理するということで、法令に基づき、または財政措置により、国、都道府県、市町村が共通的な教育環境の整備をそれぞれ行っているものを共通的環境整備と呼んではどうかと提案させていただきました。個々の子どものためではなく、みんなのために共通的に環境整備をしていくものである。それを前提として設置者が、設置した学校が個々の障害がある子どもに対して提供するのが合理的配慮としました。個別に提供されるのが合理的配慮で、みんなに提供されるのが共通的環境整備という整理であったわけですけれども、共通的環境整備については前回の会議で環境整備に共通的という文言が付くと、一律に用意されると思われるという懸念が委員から示されたところであり、今回新たに合理的配慮の基礎となる環境整備という意味で、基礎的環境整備と呼んではどうかと改めて提案いたします。この考え方を整理しますと、資料2の報告案の最後の方に合理的配慮についての整理として図を付けております。資料2の32ページを御覧ください。基礎的環境整備を基にAさんのための合理的配慮、Bさんのための合理的配慮といった個々の障害のある子どもに対する合理的配慮を個別に行うというものです。資料1にお戻りください。
 次に2の合理的配慮の決定方法等についてのところですが、二つ目の丸のところで合理的配慮を個別の教育支援計画に明記することが望ましいとした後に追加して、個別の指導計画にも活用されることが望ましいとしております。これは個別の教育支援計画が、本人、保護者と学校等で作り上げていくのに対し、個別の指導計画は学校が障害のある子どもに対して指導を行うためのものであり、このような表現にしております。次に前回の会議で御指摘のあった、意見が一致しない場合には第三者機関によりその解決を図ることが望ましいという文言を概要にも追加いたしました。さらに学校、家庭、地域社会がそれぞれ教育を行っているわけであり、それぞれの役割分担があるところですが、それが十分に連携し補完し合い、一体となって行われるということが重要であろう、学校、家庭、地域が連携すればその子の為にできることは増えていくのではないかという思いから私の方で文言を追加いたしました。この会議でもこれまで学校と保護者が協力することが重要といった議論があったかと思います。また3ページ目ですけれども、高等学校についても言及すべきという御指摘が前回の会議であったかと思います。高等学校における入学者選抜における一層の配慮。それから選抜方法の多様化。評価尺度の多元化を図ることが必要。またはキャリア教育、指導支援の充実をはかっていくことが重要という文言を追加いたしました。
 3の基礎的環境整備のところについては、基礎的環境整備について一律に行われるものではなく、あくまでも合理的配慮の基となる環境整備として基礎的環境整備と呼ぶと整理をしております。項目としてはこれまで学校教育に求める環境整備として、整理してきた項目を整理しました。十分でない部分は課題といたしました。この部分、現状と課題に前回の議論等を踏まえて再度事務局に整理してもらいましたので、それについては後程の自由討議で御意見を賜りたいと思っております。ここまで前半で御議論いただきたいところです。残りは後半に回したいと思います。それでは続きまして事務局より資料2の報告本体についての御説明お願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今ほど尾崎主査の方から資料1の概要の方で、3の基礎的環境整備まで御説明いただきましたので、私の方からも資料2の方で少々繰り返しの部分もあろうかと思いますけれども、主な変更点について説明したいと思います。資料2を御覧ください。資料2の前回からの変更点としましては、まず表紙、目次を付けました。御覧ください。1ページの、はじめににつきましては、先ほど御説明もありましたとおり文言を整えておりますが、大きな変更はございません。それからはじめにの中で、○5のところで障害者基本法について言及しております。参考資料として27ページからになりますが、障害者基本法の関連部分を付けております。御確認いただければと思います。
 続きまして、2ページ中ほどからの、1合理的配慮の定義等についてのところです。先ほど尾崎主査の方からも説明がありましたが(1)の合理的配慮の定義のうち、3ページの中ほど、○2本ワーキンググループにおける合理的配慮の定義のところですが、ここの最後のところで前回の議論も踏まえまして留意事項として、障害者の権利に関する条約において、合理的配慮の否定は障害を理由とする差別を含まれていることについて言及しております。それから参考資料2としまして、障害者の権利に関する条約に本文で言及しているということで、29ページからになりますけれども、障害者の権利に関する条約について関連部分を抜粋しております。それから参考資料3としまして、会議の方でお出ししておりますが、合理的配慮について外務省に照会をし、回答を得た文章を付けております。それからまた本文に戻っていただきまして、(2)の合理的配慮と基礎的環境整備のところですが、前回お出しした共通的環境整備という文言から基礎的環境整備ということで文言を変えておりますので、(2)以降のところでは、基礎的環境整備として文言を整理しているところです。先ほど尾崎主査の方からも説明がありましたけれども、32ページには参考資料4としまして、前回からお出ししております合理的配慮についての整理ということで、図示したものを示しております。
 続きまして4ページですが、2の合理的配慮の決定方法等についてのところですが、(1)の決定にあたっての基本的考え方のところについては大きな変更はございません。(2)の決定方法のところですが、先ほど尾崎主査の方からお話いただいたとおり、まず○1の最後のところで個別の指導計画についても言及をしているところです。それから5ページにいっていただくと、○3のところで、学校・家庭・地域社会における教育の連携等についての記述を追加しているところです。それからその次の「合理的配慮」の見直しについてのところについては大きな変更はございません。それから(4)の一貫した支援のための留意事項のところですが、尾崎主査の方から説明がございましたけれども、○3として高等学校についての記述を追加しているところです。続きまして、6ページ(5)通級による指導、特別支援学級、特別支援学校と「合理的配慮」の関係についてのところですが、ここもいくつか基礎的環境整備ということで、文言を整えておりますが、大きな変更はございません。
 6ページ下からの、3基礎的環境整備についてですが、まず○1の最後のところですけれども、基礎的環境整備について参考資料5をお付けしております。ページで言いますと33ページからになりますけれども、それぞれの項目について、ワーキンググループの最初の方でも事務局から提出しました資料にさらにデータ等を追加したものです。前回からお示ししております8項目に沿った形で、参考となる資料を付けております。戻っていただきまして、7ページの○3のところで、それぞれの学校における基礎的環境整備の状況により提供される合理的配慮は異なるというような記述を追加しております。それから(1)から(8)までの項目は先ほど尾崎主査からも御説明がありましたけれども、項目名を簡素化しております。順に説明申し上げますが、まず7ページ中程やや上のところですが、(1)はネットワークの形成・連続性のある多様な学びの場の活用としております。ここでは前回との変更点としましては(ア)の現状の最後のところで、多様な学びの確保に関連しまして、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校への就学等の特殊事情を踏まえて措置されている特別支援教育就学奨励費についての記述を追加しております。次に7ページの下から5行目のところですが、(2)は専門性のある指導体制の確保としております。ここでは前回の議論を踏まえて課題の部分の書きぶりを充実しております。それから(3)につきましては、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成等による指導としております。現状と課題については文言を整理しておりますけれども大きな変更はございません。次に(4)の方は教材の確保としております。前回の議論を踏まえまして、9ページになりますが、(イ)の課題の冒頭のところに視覚障害のある児童生徒のための音声教材というような文言を付けております。次に(5)の方ですが、施設・設備の整備としております。現状と課題につきましては、文言を整理しておりますが、大きな変更はございません。次に(6)専門性のある教員、支援員等の人的配置のところですが、前回までの御議論を踏まえまして、(ア)の現状の最後のところに、専門性を確保するための研修ということで、研修についても言及しております。次に10ページにまいりまして(7)のところですが、(7)は取り出し指導や学びの場の設定等による特別な指導としております。前回の議論を踏まえまして(イ)の課題のところですが、最後のところですが、各学校段階の学習指導要領において、障害のある児童生徒の指導について更なる配慮事項を示すべきかを今後検討していく必要があるとしております。次に(8)につきましては交流及び共同学習の推進としております。前回の議論を踏まえまして(イ)の課題の最後のところですが、特別支援学級と通常学級の交流及び共同学習についても言及しております。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。続きましてワーキンググループの報告、資料2に基づきまして、自由討議とさせていただきます。前半の部分についてです。御発言のある方は挙手をお願いいたします。

【西滝委員】 はい。西滝です。

【尾崎主査】 西滝委員。

【西滝委員】 全日本ろうあ連盟の西滝です。まず資料1の、はじめに、のところです。資料1は概要ですので、資料2のどこかに書かれているとは思いますけれども、資料1で申し上げた方が早いと思います。まず一つ、はじめにの丸の二つ目になります。下から3行目「合理的配慮」について教育委員会、学校、各教員が正しく認識しなければならないというまでもないが、というそういう文面がありますけれども、その「合理的配慮」については認識の問題ではなくて、もう少し言葉については正しく認識し、取り組まなければならないことはいうまでもない。取り組まなければという、そういう言葉を入れていただきたいと思います。
 それから二つ目ですが、資料2の32ページ、基礎的環境整備ということで、基礎的な環境整備の中に特別支援学校が含まれるという考え方が6ページの(5)の○1に書かれています。基礎的整備はそのとおりだと思いますが、特別支援学校でくくってしまうとおかしくなる。ですから特別支援学校については、特別支援学校、盲学校、ろう学校という併記をして欲しいと思います。全体的に全ての特別支援学校というかたちの括り方は現状にはそぐわない。特別支援学校及び盲学校、ろう学校という書きぶりに変えていただけないか。あるいは特別支援学校とは何かという定義をきちんと盛り込んでその中にろう学校を含む、盲学校も含む、特別支援学校の現状に合わせた書き方に変更をお願いしたいと思っています。以上です。2点申し上げました。

【尾崎主査】 今御意見ということではあろうかとは思うのですが、特別支援学校についての定義、法律上の定義については事務局の方で説明をお願いしたいと思うのですがいかがでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。特別支援学校の法律上の定義ということですので、御紹介申し上げますと、学校教育法に第72条というものがございまして、読み上げますと特別支援学校は視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由、または病弱者(身体虚弱者を含む以下同じ)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識・技能を授けることを目標とするという定義になっております。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今の意見も踏まえてまた内容等は検討させていただきます。西滝委員お願いいたします。

【西滝委員】 西滝です。この定義につきましては、ろうあ連盟は特別支援学校にろう学校が吸収されるということで反対をしています。現実を見ますとやはり、ろう学校がなくなって、あるいは統合化するというような状況で、これは非常に問題があるという考え方を持っております。そういう定義があるのはもちろんですが、承知しておりますが、改めてこの場で申し上げておきたいと思います。

【尾崎主査】 御意見としてお伺いしたいと思います。他に御意見ありますでしょうか。前回御意見いただいたところで、かなりそれを踏まえて直した点もありますので、それを踏まえて御意見いただければ大変ありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。山岡委員。

【山岡委員】 3点ほどございます。まず資料2の方で2ページなのですけれども、今、西滝委員が言われたところとちょっと同じ近いところなのですけれども、2ページの○6の下から4行目から始まっている文章。また、から始まって最後のとこなのですけれども、ここを読んで、前回は気にならなかったですけれど、今回すごく気になっています。下から2行目で、保護者当事者も含めて地域における理解も進んでおらずとなっている部分が、凄くひっかかったのです。前回の同じ部分を見たら理解はになっていました。何が違うのかと思ったのですけれど、理解も進んでおらずというのは保護者当事者地域が悪いみたいな意味がちょっと出てしまいます。は、でいくと一般にそうだよねと言っている感じなのですが、も、にしたためになんとなく凄く、ここの部分がひっかかります。なので、は、にした方が良いのではないかという意見です。
 次です。3ページの真ん中○3のところです。均衡を失した過度の負担について。これは前回なかったところが今回加わった部分ですけれども、その一番最後に、全くできないとすれば何を優先するか、という文言があります。この○3のところの文章を読むと、要するに合理的配慮が個別に判断をすることであり、それから個別に判断する内容はおそらく、ここで言わんとするところは各学校の設置者、あるいは学校と当事者の間で話し合って決めていくと、そういうようなことを想定した箇所です。最後の部分を見るとその際現在必要とされている「合理的配慮」について、全くできないとすれば何を優先するかについて、と書いてあります。まず一つ目は、全くできないとすれば、という文言は必要なのかどうかということです。言わんとすることはよく分かるのですけれども、その時にまず個別に100%はできないということはもちろんあるかもしれないのですけれども、合理的配慮というとおそらく個別の問題はそうかもしれないのですけれども、実際にはその場でその行為ができなくても、別のところはできるとか、あるいは今できなくても来年はできるとかということもあり、全くできないとすればという言葉を付けることによって、否定から入っているように見えてしまうため、あんまりふさわしくないのではないかと思います。何をやめて何を優先するかということですので、この部分は前半の部分とどうも合ってないような気がします。何を優先させるかについて、関係者の共通理解を図り、取り組む必要があるとか、そのような文言の方が良いと思ったのですが、いかがでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 事務局から補足ですが、「全くできない」ではなくて、「全てできない」と記載しています。

【山岡委員】 理解しております。言い方を間違えました。全てです。それで意見は同じなのですけれど、そうですね、そこのところがちょっと、なんかこうできないところから入ってしまっているように見えるので、書きぶり等を変えた方が良いという意見です。
 それから6ページです。6ページの真ん中あたりに、「通級による指導、特別支援学級、特別支援学校と「合理的配慮」の関係について」の部分ですが、○4とありまして、前回も同じ文言がありました。ここに対してなのですけれども、まず、これも読んでいて、やらない前提から入っているような文言、文章になっています。やらないぞ、だけど嫌々やっているみたいな雰囲気のような文言に思えてしまう。消極的な姿勢からというのと、それから設置者の学校側はやりたくない方、障害がある人とか本人は求めている方のような対立の構図が頭にあるような文言に見えてしまうのです。それから後半の事例がすごく悪いです。ここでは通常の学級に在籍している障害のある児童に対して支援員を配置したものの、他の子どものための教室の学習環境の維持であったり、本人の安全面の補助のためだけになり、ということがあってと書いてあります。もう少しここでは、お子さんのためにどういう支援をするかという観点等、プラスの観点の方を書いていただきたいと思います。どちらかと言うとこれを見ていると、先日イギリスの例でビックリとしたのと同じで、他のお子さんの妨げになっているのを何とか防いでいるというようなことを書いてあって、ちょっとなんとなくここで出てくる文言としてはあまり良くはないのではないかと思います。おそらくお子さんのニーズに応じて、効果的な教育支援をするのにふさわしくない。あるいは通常の学級の大人数の中ではできないので、個別とか少人数とか取り出した方が良い例があるといった事例を挙げていただくと納得性があるのですけれども、なんとなくネガティブな例を挙げてあるように見えるので気になります。前回もあったのに申し訳ないのですけれども、ちょっとここの後半の部分の書きぶりを直していただきたいなと思います。以上です。

【尾崎主査】 3点について書きぶりについての御指摘だったと思いますので、また十分検討していきたいと思います。他に委員の方でいかがでしょうか。福島委員お願いいたします。

【福島委員】 福島です。私も議論の一つの材料として、資料4を用意させていただきました。少し説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。

【尾崎主査】 お願いします。

【福島委員】 資料4は、9月に行われました第4回のワーキンググループの資料6に、この数ケ月間に発生した事例を、反映したものです。★印の付いている部分が、今回加筆をしたところです。具体的に申し上げますと、校外学習が先日行われて、高校1年生の打ちの子どもも参加をしてまいりました。行った場所は電車の駅の近くではあったのですが、駅がバリアフリー化されてなかったため、こちらの側で車を用意して参加するという条件を示されまして、仕方なく障害福祉サービスを利用して参加をしました。ここに書いてあるような自己負担と言いますかお金も発生したということです。
 それからもう1点は修学旅行が今年の秋に予定をされておりまして、つい先日、学校経由で、埼玉県教育委員会からの基本的な考え方がこちら側に伝えられました。1点目は親が自弁で介助者を用意する、または親の付き添いを求めるということ。2点目が現地の移動や宿泊に関する経費の増額分については親が負担するべきだというお話がございました。これを具体的に申しますと、うちの子どもが参加をする為には、私が付き添うということであれば、4日間、平日に休みを取って、旅費その他増額分というのが20万円ぐらいだそうなのですけれども、つまり2、30万のお金を負担しなければ、参加ができないということであり、事実上排除をされているということではないかと考えます。
 このように通常の学級に就学している障害のある子ども、特にADLの自立のない子どもの場合、修学旅行を含む校外の学習活動において、このような事例というのは枚挙にいとまがないというのが現実であります。この事例においては小・中学校ではできていたことが、実施主体の異なる高校となってしまうと途端にできなくなってしまうという点も看過できないと思います。しかも高校生の生徒に親の付添いを求めるということに対する教育的視点が皆無な点について真に残念と言わざるを得ません。
 これらの問題につきましては、当ワーキンググループの当初から何度も具体的な問題として御指摘をしてきたところですけれども、今回の報告書案を見るところ、これらの点に言及したところが見当たらないというところを少し心配をしております。
 ここでこの事例が、当ワーキンググループの議論と密接に関連していると思われる三つの重要な視点について、指摘をしておきたいと思います。1点目は学習活動の一環として全員参加が原則の学校行事にもかかわらず、学校または教育委員会が合理的配慮の提供を行わない結果、子どもがその行事に参加できないということが許されるのかという視点です。2点目は子どもがその学校行事に参加をするために、親に過大な身体的あるいは経済的な負担を求めるのは許されるのかという視点です。3点目は本日の論点になっている基礎的環境整備と合理的配慮の概念整理に当てはめて考えてみますと、学校の種別によって基礎的環境整備の水準が大きく異なっているわけですけれども、それが今回のこの問題発生の大きな要因ともなっている。この状態は、今後のインクルーシブな教育下においても許されるものなのかという視点です。この3点目につきましては、学校の種別によって基礎的環境整備の水準が違うということを当面の間、是認するのであれば、前回のワーキンググループの資料4にて、私の方からお示しさせていただきましたように、通常の学級における基礎的環境整備の相対的な不足部分を、個々の合理的配慮で補うという方法を取らなければ、それは間接差別にあたるのではないか、と私は考えます。ただいま問題提起させていただいた事例はまさに学校現場において現実に、リアルタイムで起こっていることであります。こうした事例が、このワーキンググループ報告書がまとまった後にも、繰り返されるようなことのないようにとの思いから紹介させていただいたのですけれども、是非とも報告書に、参加を保障するという視点を盛り込んでいただきたいと思っております。以上です。

【尾崎主査】 親の付き添いの話とそれから学習の参加に伴う環境整備の違い等についての御意見だったと思いますが、これに関連する御意見はありますか。よろしいですか。校種によって基礎的な環境整備の状況が違うということを踏まえた上での御発言だったと思うのですが、整理もそのようにはしているところです。その辺りについて御意見ありますでしょうか。
 それでは学校現場の方からの御意見を聞きたいと思うのですが、最初に吉松委員よろしいでしょうか。

【吉松委員】 北九州視覚特別支援学校の吉松です。基礎的環境整備は確かに学校の種別と言いますか、盲学校、ろう学校、養護学校、いわゆる特別支援学校と通常の学校ではもう全く違うわけで、当然その基礎的環境整備の差を埋めるための合理的配慮というものがあるべきだと思っていますので、福島委員の言われることは当然のことだし、この報告案を見てもそういう内容は盛り込まれていると思っています。ちょっと違う内容ですけれど、この報告案を読んで一番ちょっと一つ気になったのが教職員の専門性というような項目がずっとあって、教職員定数の見直しが必要であるというような項目もありますが、どこにどのように書いて欲しいというわけじゃないのですけれど、特別支援学校へ特別支援学級、通級学級という通常の学校以外の負担と言いますか、そのインクルーシブ教育を支えていくための、いろんな支援がこれからずっと大きくなるだろうと思います。前回にも言いましたが、この報告案の中身にもあります、定数並みの教職員の配置の見直しみたいなことが必要だという文言もありますので、是非そういったところには今後特別支援教育界の中で力を入れていただきたいと思っております。報告案全体を見ますと、前回までに申し述べたことをだいぶ入れていただいたような気がしていますので、今細かいところをもう一度読んでいますが、だいたい私が述べた意見は、入っているのかなあと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。西滝委員お願いいたします。

【西滝委員】 全日本ろうあ連盟の西滝です。資料2が将来的に残るマニュアルとして大切な文章になろうかと思います。私はどうしてもこだわりたいところがあります。是非書いていただきたいので申し上げます。4ページの2合理的配慮の決定方法等のところです。(6)その他。これはもう6ページになります。まず障害者の権利条約では29ページにありますけれども、定義が頭にありまして「意思疎通」とは言語、文字表記、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用可能なマルチメディア並びに筆記、聴覚、平易な言葉及び意思疎通手段の様式などと書かれて、そういった文章を細かく書かれています。権利条約の方ではかなり細かく説明が書かれております。私は6ページの(6)その他。これは意思疎通についての説明のところです。障害のある保護者との意思疎通を図る際の合理的配慮や障害のある教職員を配置した場合の合理的配慮が必要に応じて、関係者間で検討をすることが求められ望ましい。これは権利条約に違反した書き方になります。望ましいことということではなく、意思疎通についてはこれとこれを、こういった手段を保障しなければならないということですから、私が言いたいのは全国にろう学校の先生の中で、ろうの先生というのが300人おられます。この300人の先生方は職員会議やいろいろな会議の場で手話通訳を必要としております。しかしながら手話通訳を保障するということが義務的には整理されておりません。やむを得ず会議に参加をし、何も分からない状態で置かれるといったこと、これは非常な差別であると思いますので、障害のあるろうの先生、聴覚障害のある先生がいる場合には手話通訳を配置するということをきちんと保証しなければならないと思います。それともう1点はろうの保護者が学校との懇談会に参加する場合にもやはり手話通訳が必要となります。これも義務とはなっておりません。そうしますと保護者が参加しづらい、話が分かりにくいという状況が起きています。この文章では関係者間で検討することが望ましいという書き方で、非常にこれはやらなくても良いのではないかという意味になってしまう。後退してしまう文章だと思います。必ず実施しなければならないという書き方に変えていただきたいと思います。これにつきましては成人のろうの先生方、あるいは成人のろうの保護者の問題。大人の問題ですけれども、これにつきましては全日本ろうあ問題としては全国の全ての会員の気持ちをこの場で申し上げたいと思っております。

【尾崎主査】 書き方の表現の仕方も含めての御発言だったと思います。他に御意見のある委員の方いらっしゃいますでしょうか。河本委員。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。この権利条約の中にも、障害を理由に差別されないということが基本なのだろうと思っております。先ほど福島委員のお子さんの話がそのことにも関連するかと思っているのですが、特別支援学級の設置校の立場で、設置校の立場というか、一校長の立場でお話をさせていただきたいと思います。福島委員のお話とはちょっと関連がないのですけれども、同じように差別が学校の中で起こる可能性があるか。この書き方によってということで。33ページの参考資料5のところです。ここに今の状況、特別支援学校のお子さんの人数だとか、特別支援学級に通っているお子さんだとか、通級の子どもの数だとか書いてあります。私が申し上げたいのは、ここの今のこの合理的配慮に、網をかけた時にその網からこぼれていってしまう子が学校の中たくさんこれだと出て来るのではないかと思います。是非、この中に通常の学級の中にいる発達障害のお子さんも含めてですけれども、合理的配慮を必要としているお子さんが、平成14年の2月に文科省が調べた6.3%の数値が未だに生きているのだろうと思うのですけれども、この同じように22年の数値で言うと、おそらく80数万人のお子さんが、学級の中で特別な配慮を必要としているお子さんがいるのだろうと思いますので、是非この通級の子どもの数の後に、通常の学級の中ということでそういった数字を入れていただきたいなと思います。そういった子どもたちにも是非この合理的配慮を、恩恵と言うか、網をかけてあげたいなあという感じがしますのでお願いしたいと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に。石坂委員。

【石坂委員】 日比谷高等学校の石坂です。私も一つだけ意見を述べさせていただきたいと思います。先ほど福島委員がおっしゃったことは非常に重大なことだと捉えております。私ほとんど要するに高等学校に関わって来たわけですけれども、その中で実際に私が関わった学校ではないのですが、そのようなことを聞いております。東京都では、東京都教育委員会ではこうするのだというようなことが、これがもし本当であるとすれば埼玉県の教育委員会がそのようにお示しをされたということであれば、私はもう差別に他ならないと思っております。つまり行けるか行けないかも含めて、少なくとも保障がどこまでできるかというのは一つ問題ですけれども、保護者とそれから学校とそれから本人、それから東京都教育委員会などを含めて、やはり少なくとも行きやすい状況を作るという、するというのが最低限必要なのではないのかと思っております。私の例で言いますと、修学旅行に行けるか行けないか、非常に厳しい状況にあった生徒がおります。その時に本人の意向で行きたいということで一つ間違うと命に係わる状況でした。今は改善されて良くなっているのですが、その時に現実には負担をかけることなく、例えば班別行動をする時に実は他の生徒と共に行動ができないために、私と養護教諭がべったりという感じになるのですが、付き添って1日過ごしました。その生徒は非常に楽しく1日を過ごすことができました。それによって、特別、保護者から福島委員の方で言われたような負担などは一切行いませんでした。結果的には非常に感謝されたわけですが、感謝される、されないに関わらず、それは学校として取るべき最良な方法だと思って私は判断しました。やはりその都度個々違う部分があるにせよ、少なくとも良い方向に進められるように、そしてまた本人が十分に納得できるようにするということは、最低限一般の通常の高等学校においても行われるべきではないかと思いますので、特にどういう形で入れたら良いのか分からないのですが、是非私もお願いしたいと思っております。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。当ワーキンググループでは合理的配慮をどのように捉えて、そしてどのように今後インクルーシブ教育を進めていくのかという観点を示すのが目的です。ですから書きぶりとして、なるべく前向きな表現にとは考えてはいるのですが、おのずから制度のことですので、限界もあります。しかし、その限界があることも踏まえながら、なおかつインクルーシブ教育が進むような形で合理的配慮がどうあるべきなのかということでの議論をしているのではないかと私としては思っているところです。書きぶりも含めて御意見があればどうぞよろしくお願いします。中村委員。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートから参りました、中村です。今の福島委員の御意見と全く直接関係することではないのですが、お話を聞きながら私は知的障害を伴う子どもの母親でありますので、その立場で少し考えさせていただきました。多分先ほど山岡委員がおっしゃった6ページの4番のあたりの、要するに記述の方法等にも関わってくるかと思うのですが、私は先ほどの基礎的環境整備のところで学校種別によって異なることについてという御意見については、逆に知的障害を伴う子どもを持つ保護者の立場としては、特別支援学校は十分な基礎的な整備をいただきたいと思っております。それがなければならないと逆に思っている立場です。というのがそれだけの環境を必要とするから、そこで教育を受ける権利というものもきちんと認めていただきたいということです。知的障害を伴う子どもたちの場合はいくら配慮を行って、学習の指導の内容をかみ砕いたとしても、どうしても通常学級の中で教育を受けることが難しい子どもというものは存在します。その場合にインクルーシブはとても大事です。ただ同じ場にいるということをあまりに重視するあまりに、その場ということの方を重視するあまりに、子どもにとって本当に成長に必要な十分な教育が受けられないという危険性があるということだけは記述云々ではないかもしれませんが、これまで敢えて意見を申し上げたいと思いました。その意味合いで4番のあたりで、是非本人の成長に十分に必要であるというあたりの明記をいただければ、先ほどの後ろ向きの意見という意味の記述という辺りは薄らぐのではないかと思います。本人の成長の為にあえていわゆる場を設置することも必要であるという意味合いを是非きちんと明記いただきたいと感じました。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。ここで言う合理的配慮を受けるのは当然通常の学級、それから特別支援学級、特別支援学校に在籍する児童生徒も含めての合理的配慮だということは前提として記述しているということのさらなる御指摘だったと思います。他に御意見ありますでしょうか。山中委員お願いいたします。

【山中委員】 意見というか感想のようなものになります。先ほど福島委員からいただいた意見も踏まえてということでもあるのですけれども、通級による指導だとか特別支援学級、特別支援学校を基礎的環境整備の方に入れていただいたので、そこでの指導も否定するわけではなくて、そういうものもあるということで、環境整備に入れていただいたので良いのですけれども、今現時点ではやはり例えば肢体不自由なお子さんだとか身体的なものも多く、知的障害のお子さんも多くなると思いますけれども、特別支援学校の方にやはり行くという法律が22条の3であるわけなので、通常の学級の方はどうしてもそういうお子さんは本来そっちに行くべきであったけれども、通常の学級に来ています。というような感覚で今やっているわけです。だからどうしても付添いだとかできない部分というのは、人為的な支援というのができなくて、やはり保護者の付添いをお願いするという現状は今も多くあると思います。自分の学校にも今車イスのお子さんがいるのですけれども、私たちもできる限りのことはいろいろするのですけれども、やはり宿泊行事などは保護者に付き添っていただくということはあるわけです。小学校なので仮に予算、人為的な支援の予算が付いたとしても、付添いは誰でも良いというわけにいかないのです。やはりその子のことを良く知っている人だとか、ある程度きちんと介助できる人だというと、なかなか人が見つからないというようなことがあるので、その辺のところはやはり保護者と話をしていって、どこまで学校ができるかというようなこともあると思います。この中で書いた先ほど山岡委員の方からもありましたけれど全てができない、今でも全てができないということがないと思うのです。やっぱり学校の方はなんらかの配慮できることをしていこうという前提でやっているとは思うのですけれども、なかなか難しい。その辺の方の学校の方の意識を、これから変えていかなくてはいけない。これが出てから、合理的配慮という言葉自体もまだまだ一般の学校、一般の社会の中でも理解されてないところなので、これが出ることによってできる限りのことからしていかなくてはいけないというようなところが、根本と変わってくると思うので、上手くまとまっていないですけれども、まず現状はいろんな課題があって福島委員が仰っているようなことがあるというようなことも重々承知の上で通級による指導、特別支援学級、特別支援学校というものも基礎的環境整備として認めていただきつつ、通常の学級の方の理解啓発というのを本当にかなりやっていかないと、いけないなと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。本文の方にもその件については触れられてはいるのですが、それを是非進めて欲しいという御意見ということでそのように受け止めたいと思います。他に委員の方で前半部分の合理的配慮の考え方等についての意見を今伺っているところですがいかがでしょうか。吉松委員。

【吉松委員】 北九州の吉松です。先ほど西滝委員が言われた6番のその他のところの文章ですが、前回出された部分のまとめと同じような表現になっていましたが、僕はこれを読んだ時にちょっと違和感として感じたのは、障害のある教職員や保護者へのその手立てというものが合理的配慮なのかというところが、なんとなく前回もちょっと疑問に思ったところです。本来その子どもたちへの配慮が基礎的環境整備やあるいは合理的配慮という形で述べられているわけで、保護者や教職員への配慮というのは学校だけができることではない、当然の絶対にやらなければいけないことというか、例えば僕も視覚障害があって学校に勤めていますけれど、別段私を雇っているから県から特別に予算を付けてくれるわけではないのです。やはり施設設備面であるとか、補助具みたいなことには非常に予算がかかるので、本当はそういうのを配慮してほしいのですけれど、それが合理的配慮という言葉はどうなのかという気はこの文書を読んだ時にちょっと思いました。望ましいというのが非常にこう消極的な表現だということを西滝委員も言われましたが、保護者や職員に対する配慮、その支援というのは児童・生徒に対する合理的配慮とはちょっと異質なものではないかという気がしていますので、もしこの文章を見直されるのならその全体を見直して、そういう合理的配慮が望ましいという非常に消極的な表現ではなくて、もっと違う形にできないのかということを感じました。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。合理的配慮は児童・生徒一人一人の児童・生徒に対して基礎的環境整備の基にあるものだという大前提がありますので、それを踏まえるとここで合理的配慮と言って良いかどうか。ではこの議論についてはどこでやれば良いのかというのもまた検討させていただきたいと思います。他にいかがでしょうか。熊坂委員。

【熊坂委員】 実態としてのお話をさせていただきたいのですけれど、本編の2ページ目でさっき合理的配慮のお話があったのですが、実はこれを進めていくのに教育委員会としての悩みというのは何かと言うと、最終的には財政当局とのやり合いなのです。ここの部分がクリアーできないと、先ほどの全くという、全てというところの非常に兼ね合いが大きくなるのです。ここが進んでいるとすべてに近い状態というのが少しでも前進はするのです。ですから教育委員会としての悩みというのは、実はそこがもう一つここの文章には出てこないのですがあります。これを皆さんにも知っておいていただきたいなと思っております。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。滝澤委員お願いいたします。

【滝澤委員】 今熊坂委員からありましたけれど、教育委員会の悩みもごもっともでしょうが、現場の校長の悩みはもっと大変でございまして、先ほど福島委員の、修学旅行の御指摘は本当にごもっともだと思うのです。これは、実は障害をお持ちのお子さんには限りません。これは例えば通常の中学校でいきますと、実例ですけれども直近の修学旅行で私が引率した件では、突然倒れてしまうお子さんがいらっしゃるいました。突然意識を失ってしまうお子さんです。しかし一生懸命他の子たちと同じように、今は体験的な修学旅行が多いものですから、様々な準備をしていって、親御さんと話をして、どうするのかと。でも連れて行ってあげたいわけです。私としてもそうだし、教員もそうだし友達もそうだし。でも倒れてしまう可能性がある。でこの時に、市教委に相談をしましたところ、看護師さんの人的な措置を付けていただくことができまして、それもあって私も安心しました。保護者の方はそれでも何かあったらということで、お仕事を休まれて、関西に住んでいる御親戚と連絡を取りながら、常にちょっと離れたところからそのお子さんを見守るという形で、三日間やり通したということがありました。それから先ほど日比谷高校の先生は、校長が障害を持ったお子さんにきちんとべったり付いたと言いますけれども、高校であればそれも可能かも、もしかしたら可能かもしれませんけれども、そのことによって例えば中学であれば校長がそのお子さんに付いたことによって、他の何百人の子の中で、突発的な事件が、何時何処でどのように起きるかわからない時に、その時に校長であれば、校長とは限りません。教員がどういう立ち位置にいたということが非常に問題になってくる。つまりやはり今熊坂委員からありましたように、財政的なそれから人的な裏付けというものが、このインクルーシブ教育の導入によって現状よりも大幅に改善されるということがとても必要で、そのことの共通的なものとしてどういうことがあるかということが、今日このワーキンググループの報告案に述べられている。私としては全体的な書きぶりと内容については、先ほどのそれぞれの非常にデリケートな部分での御指摘がなるほどと私は聞いておりましたけれども、全体としての書きぶり、それから内容については非常に今までの意見を踏まえて、良くやっていただいているなと思っております。後はやはり人的、財政的な裏付けをこの報告書によってどれだけ現場に還元していただけるのか。そこにかかってくると私は思いました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。本ワーキンググループの報告は特別委員会の一部の行動を請け負ってやっておりますので、これを基にまた特別委員会でも広い視点で御検討いただけるかと思っています。ワーキンググループとしての意見は、できれば今日中に出し切っておきたいと思いますので、そういう観点で是非御発言のある方、これだけは言っておきたいということがあればお願いいたします。河本委員。

【河本主査代理】 全特協の河本です。1点だけ申し訳ございません。8ページの個別の教育支援計画、個別の指導計画のところの文言です。これからそれぞれの小・中学校、高校も含めてなのだろうと思うのですけれども、そのお子さん一人一人にあった指導計画を作るというのは当然なのですけれど、個別の教育支援計画の深まりをどう高めていくかと言いますか、その必要性を認識しながら、より的確なと言いますか、そのお子さんにあった教育支援計画を作っていく必要があるのだということが伝わってくるような書きぶりと言いますか、例えばこれで言いますと課題のところの最後のところに文末で、終わっている言葉が望ましいです。前もこのワーキンググループでも望ましいというところの論議をされたと思うのですけれども、ここのところが非常に引っかかるのです。まさにあることにこしたことはない。望ましいということは当然分かるのだけれども、先ほどお話をしたように、やはりその必要性があるのだということが分かるような、そういう視点で文末を結んでいただければとちょっと思っております。その理由として、その3行上のところちょうど真ん中辺りですか。必要に応じて作成することになっています。では必要性を何処で誰が判断するかということなのだろうと思うのですけれども、そんなことも含めて、望ましいで良いのかというところでちょっと疑問を感じたので、もしできたらその辺りの書きぶりを訂正できたらと思いました。以上です。

【尾崎主査】 この学習指導要領等で書かれている内容とワーキンググループの報告との関係がどうなるかということもちょっと検討した上で表現の仕方を考えないといけない部分がありますので、その点はある程度任せていただくしかないかと思います。他に御意見ありますでしょうか。木舩委員、御発言がないようですがありましたらどうぞ。

【木舩委員】 広島大学の木舩です。全体を読ませていただきまして、まず1点。基礎的環境整備ということで前回の御提案の共通的環境整備ということから変わっておりますが、こういう文言の変更に伴って内容が非常に分かりやすくなったと私自身は思っております。そういう点では変更というか言及していただいて感謝いたしてしております。その上で先ほどからいろいろ御議論出ております基礎的環境整備と合理的配慮というようなところでいくつか申し上げますと、私自身実は特別支援学校を中心に教員養成に関わっておりまして、特別支援学校について、より一層基礎的環境の整備を進めていただきたいという委員の二方の委員の発言がありましたけれど、私はそれにつきましてはやはりそのように考えております。もちろん特別支援学校だけについて今申し上げましたけれども、それは特別支援学校だけという意味ではなくて、特別支援学級、通級による指導、あるいは通常の学級、幼稚園、小学校、中学校、高等学校全体を通して基礎的環境整備をさらにより一層推進していただきたいということで、そういった感じの内容としてまとめていただいていると受け止めております。それから財政面の課題と申しますか、それにつきましては先ほどの福島委員、石坂委員、他の委員からもございましたように、現行の中で私自身今北九州市の就学指導委員長を拝命しておりまして、その中で就学の相談を受ける時に、医療、それから教育関係者それに含めまして福祉の人にも参加していただきまして、通学支援とかいろんな支援がどのような形でできるか。現行の枠内ですけれども、そういう色々な財政的な支援の手立てを探していくという努力をしております。そういった形での就学相談もこれから一層充実していくという方向で行ければ良いと思っておりますので、福島委員が口火を切っていただきました課題につきましても、できましたら十分反映できるような形で、どういった形かということにつきましてはなかなか難しいところがありますが、御考慮いただくようよろしくお願いいたします。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。前半部分の討議でまだ御発言いただいていない方が藤本委員かと思うのですが、何かあれば、なければ結構ですが。よろしいですか。それでは西滝委員お願いいたします。

【西滝委員】 座長が最後なので言いたいことは言っておくようにと仰いましたので、何度申し訳ありませんが全日本ろうあ連盟の西滝です。申し上げたいのは1点。9ページです。(6)専門性のある教員、支援等の人的配置のところ。まずこのワーキンググループでヒアリングがあった時、盲学校のお母さんがおっしゃったことですが、盲学校には点字の分かる先生がいないので困ったというお話がございました。それをそっくりそのままろう学校で手話の分かる先生が短期で異動されてしまうということが普通一般化されている。手話をきちんと身に付け子どもたちと十分意思疎通をする為には10年間ぐらいかかります。それを三年で移動するということは本当に手話の分かるろう学校の先生がいなくなってしまう。これはマイナスだと思います。(イ)の課題のところですが、最後のところで、また専門性を持った教職員の移動については十分配慮するような文言を追記して入れていただきたいと思っております。以上です。

【尾崎主査】 はい。ありがとうございました。ワーキンググループの方は合理的配慮と環境整備についてのどういうふうに考える。そこから出た課題ということで今後この辺の記述があるわけですが、その扱いについても合わせて検討させていただきたいと思います。他によろしいでしょうか。それでは意見が出たと、出尽くしたということで先に進めたいと思いますが、いったん休憩に入りたいと思います。今の時間が45分ですので、このここにある時計で55分から再開ということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは休憩に入ります。

( 休憩 )

【尾崎主査】 それでは再開いたします。ワーキンググループの報告後半部分についてまず私の方から説明いたします。後半部分ですがまず私の方から資料1の概要案。それから資料3の合理的配慮の見直しに基づき説明したいと思います。
 次に4の学校における合理的配慮の観点の所ですが、前回の会議で総論をもっと書き込むべきという御指摘を受けまして、その記述の充実を図ったところです。また合理的配慮の観点についても前回の会議で少し整理をしてはどうかという御議論をいただいているところですが、私の方で河本主査代理と共に相談して資料の3のとおり23項目あったものを11項目にしてみました。それに伴ってそれぞれの合理的配慮の観点についての各障害種別の合理的配慮の例示を改めて整理をいたしました。この合理的配慮の例示につきましては資料2の16ページからを御覧ください。別表1から11として付けていますが、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校いずれの学びの場においても実施可能と思われるものに絞り込んでみました。資料1の4ページ以降で項目を確認いただければと思います。
 合理的配慮の観点(1)教育内容・方法は(1)―1教育内容として2項目と、(1)―2教育方法として3項目で整理をいたしました。(1)-1-1として学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮としております。(1)-1-2として学習内容の変更・調整としております。(1)-2-1として情報・コミュニケ-ション及び教材の配慮。(1)-2-2として学習機会や体験の確保。(1)-2-3として心理面・健康面の配慮。合理的配慮の観点(2)の支援体制は3項目で整理をいたしました。(2)-1として専門性のある指導体制の整備。(2)-2として幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解推進を図るための配慮。(2)-3として災害時等の支援体制の整備です。合理的配慮の観点(3)施設・設備は前回お示ししたものと大きく変更はありません。3項目として整理しております。(3)-1として校内環境のバリアフリー化。(3)-2として発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮。(3)-3として災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮。以上です。委員の皆様には事前に変更内容について御意見を賜ったところですけれども、改めて御覧いただき合理的配慮の観点、障害種別の合理的配慮の例示についてお気づきの点について御意見をいただきたいと思います。最後に5番目の関連事項については大きな変更はございません。
 それでは続いて事務局より資料2の報告本体について御説明よろしくお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。後半部分について私の方からは資料2の方で説明したいと思います。資料2の10ページからを御覧ください。10ページの下のところからですが、4学校における合理的配慮の観点のところです。先ほど主査の方からも御説明がありましたけれども、前回までの御議論を踏まえまして、4の最初のところ、留意事項○1から○5までを改めて整理いたしまして合理的配慮の観点を本ワーキンググループとして整理しました。それから各障害種別の合理的配慮○4のところですが、障害種別は網羅することができないため、その代表的なものと考えられる例を示しました。それからこれに示されているもの以外は合理的配慮として提供する必要がないということではないということです。それから障害を併せ有する場合には各障害種別に例示している合理的配慮を柔軟に組み合わせることが適当である。それから合理的配慮はすべてが同じように決定されるものではないことなど、留意すべき点について記述しました。それから参考資料としまして前回も説明しましたが、ICFについての参考資料6、37ページからですが、資料を付けております。
 11ページの方にお戻りいただきまして合理的配慮の観点については、項目を見直しましたので、一つ一つ順に改めて御確認いただければと思います。まず合理的配慮の観点(1)教育内容・方法ですが、教育内容・方法は(1)-1教育内容。それから(1)-2教育方法の二つに分かれておりまして、(1)-1教育内容については2項目で整理されております。まず一つ目(1)-1-1としまして、学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮としまして、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するため、また、障害の特性、個性、その持てる力を高めるために必要な知識、技能、態度、習慣を身に付けられるよう支援すると整理しております。この障害種別の例につきましては、16ページの別表1で御確認いただければと思います。別表順に見ていただくと、別表は項目の下に説明が付いております。本文と同様のものを付けておりますので、別表で御確認いただいたほうがよろしいかと思いますので、続けて別表の方で確認いたします。17ページを御覧ください。別表2です。(1)-1-2としまして、学習内容の変更・調整として、認知の特性、身体の動き等に応じて、具体の学習活動の内容や量、評価の方法等を工夫する。障害の状態等や年齢を考慮しつつ、卒業後の生活や進路を見据えた学習内容を考慮するとともに、学習過程において人間関係を広げることや自己選択・自己判断する機会を増やすこと等に留意すると整理しております。障害種別の例はその下に示してあるとおりです。続きまして(1)-2教育方法のところは3項目で整理しております。18ページにまいりまして(1)-2-1情報・コミュニケーション及び教材の配慮として、障害の状態等に応じた情報保障やコミュニケーションの方法について配慮するとともに、教材(ICT及び補助用具を含む)の活用について配慮すると整理しております。こちらの方の障害種別の例につきましても、下の方に示しております。続きまして19ページにまいりまして、別表4の方ですが、(1)-2-2学習機会や体験の確保としまして、学習機会が確保できないことや体験不足のために理解が困難であることに対し、学習機会や体験を確保する。また、障害の状態により、実施が困難な学習活動についての活動内容・方法を工夫するとともに、感覚と体験を総合的に活用できる学習活動を通じて概念形成を促進する。また、入学試験やその他の試験において配慮すると整理しております。障害種別の例につきましてはその下にお示ししているとおりです。続きまして20ページの方にまいりまして、別表5ですが、(1)-2-3心理面・健康面の配慮としまして、適切な人間関係を構築するため、集団におけるコミュニケーションについて配慮するとともに、他の幼児児童生徒が障害について理解を深めることができるようにする。学習に見通しが持てるようにして、心理的不安を取り除くとともに、周囲の状況を判断できるようにする。また、健康状態により、学習内容・方法を柔軟に調整し、障害に起因した不安感、孤独感を解消し自己肯定感を高める。学習の予定や進め方を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認できるようにすることで、心理的不安を取り除くとともに、周囲の状況を判断できるようにすると整理しております。障害種別の例については、下のところにお示ししているとおりです。
 続きまして21ページ、別表6を御覧ください。ここからが合理的配慮の観点(2)支援体制のところになります。合理的配慮の観点(2)支援体制のところは3項目で整理しております。まず(2)-1専門性のある指導体制の整備としまして、校長がリーダーシップを発揮し、学校全体として専門性の確保に努める。そのため、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成するなどにより、校内外の関係者の共通理解と役割分担を行う。学習の場面等を考慮した役割分担を行う。必要に応じ、適切な人的配置(支援員等)を行うほか、学校内外の教育資源(自校の通級による指導や特別支援学級、特別支援学校のセンター的機能、専門家チーム等による助言)の活用や医療、福祉、労働等関係機関との連携を行うと整理しております。障害種別の例示については以下に示しているとおりです。22ページの方にまいりまして、別表7、(2)-2幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解推進を図るための配慮としまして、共生の理念を涵養するため、障害のある幼児児童生徒に関して、他の幼児児童生徒の理解が進むよう配慮する。障害のある幼児児童生徒の集団参加の方法について、障害のない幼児児童生徒が考え実践する機会や障害のある幼児児童生徒自身が障害について周囲の人に理解を広げる方法等を考え実践する機会を設定する。また、保護者、地域に対しても理解増進を図るような活動を行う。障害によっては日常生活や学習場面において様々な困難が生じることから、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度、習慣等を養うことへの配慮を行うとしております。障害種別の例につきましては以下に示しているとおりです。続きまして23ページの方にまいりまして、別表8ですが、(2)-3災害時等の支援体制の整備としまして、災害時等の対応について、障害のある幼児児童生徒の状態を考慮し、危機の予測、避難方法、災害時の人的体制等、災害時体制マニュアルを整備する。また、災害時等における対応が十分にできるよう、避難訓練等の取り組みに当たっては、一人一人の障害の状態等を考慮すると整理しております。障害種別の例につきましては以下に示しているとおりです。
 続きまして24ページの方、別表9からですが、ここからは合理的配慮の観点、(3)の施設・設備の部分ですが、施設・設備のところにつきましては、前回同様3項目で整理しております。まず(3)-1校内環境のバリアフリー化としまして、障害のある幼児児童生徒が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるよう、障害の状態等に応じた環境にするために、スロープや手すり、便所、出入口、エレベーター等について施設の整備を計画する際に配慮する。また、既存の学校施設のバリアフリー化についても、障害のある幼児児童生徒の在籍状況等を踏まえ、学校施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進できるよう配慮すると整理しております。障害種別の例につきましては以下に示しているとおりです。続きまして25ページの方にまいりまして、別表10、(3)-2発達、障害の状況及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮として、幼児児童生徒一人一人が障害の状態等に応じた学習に十分に取り組めるよう、必要に応じて様々な教育機器等の導入や施設整備を行う。また、それぞれの障害の状態、障害の特性、認知特性、体の動き、感覚等に応じて、その持てる力を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・整備について、分かりやすさ等に配慮を行うとともに、日照、室温、音の影響等に配慮する。また、心理的ケアを必要とする幼児児童生徒への配慮を行うと整理しております。障害種別の例につきましてはその下で示しているとおりです。続きまして26ページの方にまいりまして、別表11ですが、(3)-3災害時等への対応に必要な施設・設備の配慮としまして、災害時等への配慮のため、障害の状態等に応じた施設・設備を整備すると整理しております。障害種別の例につきましてはその下に整理したとおりです。
 続きまして、本文の方の13ページの方に戻っていただきますが、13ページの中ほどからやや下のところの5の関連事項につきましては、(1)の早期からの教育支援について。それから14ページの方にまいりまして、(2)の学校外・放課後における支援について。それから14ページの下から5行目からの(3)教職員の確保及び専門性の向上についてのところですが、こちらの方は文言の整理をしておりますが、大きな変更はございません。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。それでは自由討議に入りたいと思いますが、最初に、学校における合理的配慮の観点。資料2の10ページからの、ですから下の段から○1から○5で、「合理的配慮」の整理の仕方について述べてあるのですが、これについてもし特断御意見がなければ、項目ごとの討議に入りたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。項目の立て方と考え方についてはこれまでも討議していますので、それに基づいてこういう整理をしたということで御確認いただければと思います。
 それでは11ページから(1)の教育内容・方法について御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。(1)、(2)、(3)という順番で自由討議を行いたいと思いますが、(1)いかがでしょうか。(1)にあたる部分は別表で言えば16ページから20ページまでが(1)になります。別表の項目とそれから本文の方は、本文と同じ一番上の文章は本文と同じになっております。ただ合わせて例示が障害種別に書かれているという構成になっておりますが、例示についてでも結構ですし、それから観点そのものについても結構ですので、御意見ある方いらっしゃいますでしょうか。西滝委員お願いいたします。

【西滝委員】 よく分からないのでちょっと確認をさせていただきたいのですが、ここのところは基本的な基礎的な環境整備も含めて配慮の内容ということになるのでしょうか。ちょっと確認をさせていただきたいのですが。と言いますのは基礎的な環境整備と言いますと、つまりろう学校も含まれている場合には、教育内容が現状の場合ですと聴覚口話法、ろうの子どもたちについて、例えば補聴器ですとか、人工内耳で自分の力での聴力、聞く力を育てていく日本語の指導をしているのです。聞こえないのに無理やり日本語を教えるということが今通常行われているのですが、権利条約では手話も言語であると規定されていますので、ここで手話を教育するということが大事になってまいります。それがここでは、この内容では読み取れません。ここで書かれていることが基礎的な環境整備ではなく、一般の学校の合理的配慮として取り上げて書かれているのかと私は思ったのですが、基礎的なことも含まれているのであれば、学習の内容に聴覚障害については手話を身に付ける。手話を言語として指導する。という文言が絶対に必要であると考えています。

【尾崎主査】 この構成の問題ですが、先ほどお聞きしましたとおり、11ページの○4のところに書いてあるのですが、障害種別に応じた合理的配慮はすべての場合を網羅することができないため、その代表的なものを考えられる例を以下に示しているということで、例ということで示しているということが1点。それから基礎的環境整備との関係では、前半の議論で言いましたように、基礎的環境整備については学校によって異なるけれども、基礎的な環境整備との関係において合理的配慮ですべての学校で必要とされる合理的配慮をここでは示しているという考え方です。ですから、それについての御意見ということでお伺いしたいと思いますがよろしいでしょうか。西滝委員の意見はこういうことも入れるべきだという御意見だということでよろしいでしょうか。

【西滝委員】 つまり基礎的にはすべての学校が含まれるということで、ろう学校も含まれるということですね。これにつきまして、特別な学習内容が必要ですので。配慮をすることとおっしゃっていると受け止めてよろしいでしょうか。

【尾崎主査】 すべての校種で必要な、どの校種でも必要な合理的配慮について、ここでは整理をさせていただいているという御理解でよろしいでしょうか。逆に。それで、ろう学校に限定しての御発言と受け止めてよろしいでしょうか。

【西滝委員】 先生のおっしゃるすべての学校というのは話し言葉で行われているのが一般的ですが、ろう学校だけは手話で教育をする必要がありますので、それがこちらでは読めない、見えないですので、ろう学校では手話が当然であるという考え方になっていただきたいのですね。

【尾崎主査】 そういう表現がろう学校の場合はあっても良いのではないかという御意見として伺っておきたいと思います。他にありますでしょうか。教育内容・方法について。合理的配慮の観点の本文の部分については、障害種別、校種を問わず、すべての障害のある人たちへの合理的配慮の観点ということで書かれています。そして具体例につきましてはすべての学校で必要だと思われる内容についての例示をしてあるという考え方で整理をしておりますので、その点も含めて御意見があれば、教育内容・方法について御意見があればと思いますがいかがでしょうか。なければそれでは続きまして、合理的配慮の観点(2)支援体制についてです。支援体制につきましては、別表で言いますと、21ページにある別表6から23ページの別表8までなのですが、これについて合理的配慮の観点、障害種別の例示についてはいかがでしょうか。山中委員お願いいたします。

【山中委員】 調布小学校の山中です。本当に細かいことで申し訳ないのですけれど、(2)-1の専門性のある指導体制の整備のところです。別表の6。1、2、3、4番目の学校内外の教育資源(自校の通級による指導や特別支援学級、特別支援学校のセンター的機能云々)とあるのですけれども、自校っていうのが入っているのですが、特に自校っていうのはなくても良いのではないかと思います。自校ではなくて他校のものを使う場合もあるので、もしもここに自校と入っている意味が特別あるのだったら良いのですけれども、なくても良いのではないかと思ったのです。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今のことも検討させていただきます。はい。他に御意見ありますでしょうか。細かいことでも結構ですので。藤本委員お願いいたします。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本です。21ページの別表6のところの実は言語指導のところの連携指導体制のところなのですが、他の障害はみな特別支援学校とか教育の制度をまずスタンダードにして、それから医療みたいな書きぶりの中にいきなりSTしか記述がございませんので、できれば通級指導教室、言語の機能を活用し、その上でまたST等というように、教育機関で頼れるところを例として上げてもらえればと思いました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他の書きぶりとの比較での御発言だったと思います。それも含めて御意見をたくさんいただければ、どんどん修正等が可能ですので、いかがでしょうか。指導体制の整備のところで、最初の方の観点のところでは関係機関との連携みたいなことも言っていますので、それの具体例ということであれば当然入れるべきかなあという意見はそのとおりだろうと思います。他にありますでしょうか。山岡委員もこれまでやり取りをいろいろしている中でこういう整理の仕方にしたのですが、いかがですか。

【山岡委員】 全体の項目とか内容について非常に良く整理されてきたと思っています。ちょっと実はこの私は自閉症のところ情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害の担当になっていまして、見させていただきました。実は自閉症・情緒障害のところについては項目1、2、3とありますが、自閉症のことしか書いてないなあと非常に気にしていて見ていたのですけれど、項目としては情緒障害にあたるところは後半部分に出てくるので、これで良いのではないかと思っています。よく整理いただいたと思います。大変細かいことを言いますのが、22ページの別表7で、すべて保護者への理解とか理解啓発を深めると書いてあるのですけれども、後半の三つ自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害のとこだけは保護者の理解となって、「へ」がないので、「へ」を入れてください。

【尾崎主査】 ありがとうございました。石川オブザーバーお願いいたします。

【石川オブザーバー】 すみません。オブザーバーなのですけれども、質問という形で発言させていただきたいと思います。後でワーキンググループの委員の皆さんのお考えがどうであったかということを単に推測するよりも、今直接確認をさせていただきたいということがあります。別表の7ですけれども、幼児児童生徒、教職員、保護者、地域の理解推進を図るための配慮は合理的配慮の観点として入れておくべきというか、合理的配慮ということなのかどうかについて、いかがでしょうか。

【尾崎主査】 これについては私としては、合理的配慮についての御意見をいただく中で、保護者、地域、教職員の理解を図るというところは、最初の本文のところでも述べていましたし、それを具体的化するための一つの方法として、載せる方向でずっと検討はしてきたと解釈をしています。そうではないという御意見もあろうかと思いますが、委員の方いかがでしょうか。石川オブザーバーの問題提起についていかがでしょうか。このままで良いのか、それともこれは別表、他のところに移し替えることも検討したらどうかという御意見だったと思うのですが、いかがでしょうか。木舩委員お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。石川オブザーバーの御質問の趣旨なのですけれども、タイトルの(2)-2のところにあります、幼児児童生徒、それと教職員、保護者までなら分かるけれども、地域も含めるのかというような趣旨として理解してよろしいんでしょうか。

【尾崎主査】 石川オブザーバーお願いいたします。

【石川オブザーバー】 このワーキンググループでは、環境整備では解決できない、対応できないものについて、個別のケースについて、合理的配慮として整理するということでやってきていると思うのです。しかしこの別表の事例は、これは個々の合理的配慮というよりは、むしろもっと一般的な啓発という意味に読めると思うので、この項目が要らないということではなくて、説明が本人への配慮という形になっていないような感じでちょっと収まりが悪いように思います。それと、先ほど学校行事等への参加の保障の話があったのですけれど、そういったことをこのあたりに入れるのはどうでしょうか。以上です。

【尾崎主査】 木舩委員お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩です。これは私自身の理解ということでお聞きいただければ結構かと思いますけれど、確かに石川オブザーバーがおっしゃったように、合理的配慮はあるお子さんという個別に行われるわけですけれども、何のためかと言いますと、共に学ぶため、それともう一つはある教育を受ける場において最大限の発達や可能性を追求するため。そうなりますと、例えば教材内容とかそういったふうなものはまだ分かりますけれども、ある子どもがある場で学習をするために、周りの幼児児童生徒さんあるいは教職員、保護者、そういったふうな方々の理解啓発、これがまたは具体的な教育の内容・方法、あるいは情報保障とかそういったものへ、良い影響を及ぼすだろうと思います。それをもう少し広く考えてみますと、先ほど石川オブザーバーが最後におっしゃったような、いろんなところ、行事、例えば行事に参加する、そのような時のための支援体制、そういったふうのものが充実していくためには、地域というようなものへの理解促進、推進を図ることが必要だろうということです。どこで整理したら良いかはちょっと迷うところはありますが、私自身はここに地域も入れておいた方が良いと理解しております。

【尾崎主査】 ありがとうございました。山岡委員お願いいたします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。石川オブザーバーの意見を聞いてなるほどと思ったのですけれど、別表7に書いてあることはどちらかと言うと、基礎的環境整備にあたることがたくさん述べられているような気がします。というのが結局、一般的な理解啓発をするとか社会的な理解を増やすと障害のある子がいるということを保護者とかが理解をするというのは基礎的な環境整備なので、A君はこういう時はこんな動いてしまうから周りで声をかけてあげようねとか。あるいはこういう体の不自由な子が通るから、ここはちょっと道を譲ってあげようねとか。そのような個別のことについてはこちらだと思うのですけれども、一般的な理解を啓発するとかいうことは、どちらかと言うと環境整備で、これらを分けた方が良いかなと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。基礎的環境整備なのか個別の合理的配慮なのか、その区別をどうしたら良いのか。あるいは場合によっては個別の合理的配慮を進める上でも、A君B君のための理解啓発というのもあるという考え方もなくはないわけですから、それも合理的配慮だという考え方も成り立つ。ちょっとそれはもう少し意見をいただきながら、他とのバランスも含めて整理をする必要があるということでいかがでしょうか。そのように受け止めていきたいと思うのですが。他にありますでしょうか。指導体制の整備に関わって、今、合理的配慮について(2)について行っているところなのですが、いかがでしょうか。支援体制について。滝澤委員お願いします。

【滝澤委員】 八王子市立松木中学校長の滝澤です。今のところにからんでよろしいですか。今、学校はとにかく学校だけで教育活動を展開することはできない。この特別支援教育、インクルーシブ教育だけではなくて、様々な教育課程が多様化しておりますので、常に地域の方々とともに教育活動を展開していくことを今求められていくわけですし、現実にそうなっているわけです。保護者と地域の方々の区切りっていうのは実は私などやっておりますと、保護者のお子さんが卒業した場合には既に地域の方になるわけで、その地域の方になった方だからこそ学校のところで、合理的配慮のところで、お力添えをいただくということも当然あるわけですので、私はその現場、保護者と地域ということはすっぱり分けるのではなくて、このように一括りにして、子どもの合理的配慮のための人材というところで盛り込んでいただくことが、私は現場としてはありがたいと思っています。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。この合理的配慮の保護者、地域の理解推進については前半の方でもその内容については考え方としては触れております。ただ具体的にどうするかまでは当然触れられていないので、ここで触れているというところがあります。それも含めてちょっと整理の仕方について御意見があればいただきたいのですが、いかがでしょうか。ではそれに離れて(2)のところで、全体として内容、具体的な例示も含めて、表現ぶり、書きぶりも含めて御意見があればお願いします。よろしいでしょうか。
 それでは(3)番の方にいきたいと思います。(3)番は施設設備の点ということで、三つの項目に分かれて、整理をしております。いかがでしょうか。ページで言いますと、24ページ、25ページ、26ページです。ここでは施設設備ですので、当然その合理的配慮を、環境の面で施設設備の面で見ると、こういう整備ができるというような整理をしておりますので、それは御理解いただければと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。そして災害時への対応に必要な施設設備の配慮という項目もこれまでとおりずっと残してあります。それも含めていかがでしょうか。
 それでは意見が出尽くしたということで、後半の自由討議を終わらせていただきますが、ただまだ後半の自由討議で今日出せなくても、例示についてはもっとこの方が望ましいとかという意見が委員からございましたら、早めに事務局の方にお寄せいただければ、さらにありがたいと思います。
 その次、関連事項についての自由討議に入りたいと思います。関連事項は本文で言いますと13ページから15ページまでです。いかがでしょうか。山岡委員お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。関連事項は特別委員会で検討されるということを望まれるということですので、そんなにこだわらなくても良いのかもしれませんけれど、このワーキンググループの報告自体がおそらくホームページに掲載されて、きちんと見られるところなのでちょっとこだわりを持って見ています。まず13ページの一番下のところなのですけれど、今言うところの2点は、書きぶりを丁寧に書いた方が良いということを二つ申し上げます。(1)-○1、の一番下のところですけれども、また保護者が障害に気づいた際に保護者への支援と適切な情報が求められる、となっています。これも思い込みが入っていると思います。何も気づいてない保護者がいるので教えてあげるぞと思い込んで書いてらっしゃるのですけれど、保護者の中には気付いている人もいるし、気付いていない人もいて、まず気付きを促すということです。それから気付いた場合に支援をしてあげるというような書きぶりが良かろうと思います。
 それから14ページの○3がありまして、ここもちょっと丁寧に書いた方が良いと思うのですけれども、書きぶりがちょっと雑なのです。最後の2行です。また、障害がある子どもが、できるようになったことを共有し、という部分は、何を言っているのでしょうか。例えば一つ一つの困難を克服した時とか、今までできなかったことが一つなんかできるようになったとか、できるようになったことというのは何を言っているのかよく分からなくてあまりにもアバウトなので、ちょっとここは丁寧に書いた方が良いと思います。
 それから32ページです。参考資料なのですけれども、今回後でちょっと申し上げようと思っているのですけれども、基礎的環境整備という言葉を作っていただいて、すごく分かりやすくなったと思っているのですけれども、この表題です。これは合理的配慮の整理ではなくて、基礎的環境整備と合理的配慮の関係を整理されたものだと思うので、これを変えていただきたいと思っています。
 まだ時間があるのかもしれないですけれども、今回いろいろワーキンググループを通して、この基礎的環境整備という言葉を使っていただいたら非常に分かりやすくなって、合理的配慮の関係で、筋立てていて非常にうまく整理されたと思っています。それからちょっと前回申し上げて、項立てをきちんとしていただいたので、すごく分かりやすくなって、全体が見やすくなって、理解がしやすくなりまして、良かったと思っています。それからこの残された部分については、特別委員会の方で、議論をさせていただきたいと思っているところもありますので、そちらの場に、私はそちらにも参加していますので、させていただきたいと思っています。全体として良くまとまっておりまして、後いろいろと注文を付けましたけれども、私としては主査、あるいは河本主査代理の方に、後はおまかせをして、この中でまとめていただきたいと思っているところであります。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。全体に関わる内容についての御意見もいただきました。他にいかがでしょうか。それでは関連事項以外でも前半に討議したことでも含めまして、合理的配慮等ワーキンググループの報告案全体につきまして、何か御意見あれば伺いたいと思います。福島委員。

【福島委員】 福島です。先ほど河本委員から、資料2の33ページの基礎的環境整備について、通常の学級の状況にも言及すべきだという御指摘をいただいたのですけれども、今後、通常の学級における基礎的環境整備が大変大きな課題だということが今日も確認できたと思いますので、その点について是非、報告書本文の方にも言及していただきたいと思います。例えば6ページの3の基礎的環境整備について○1に説明がありますけれど、この後に、特別支援学校等の等は特別支援学級、あるいは通級による指導を含めてということで、特別支援学校等において現に提供している基礎的環境整備の水準を維持、向上しつつ、通常の学級における基礎的環境整備の水準を底上げする必要がある、という文言を入れていただきたいと思います。
 それから2点目は全く別の話なのですけれど、先ほど別表の例示についてお話がございました。このまとめの前段で、担当の調査官の方々とかなり詰めた詳細な内容を作成したわけですが、それはもうボツと言いますか、使われないということなのでしょうか。せっかく詳細にわたって御丁寧にまとめていただいたので、この報告書本体に含めないとしても、何らかの参考資料のような形で活用できないかと思っています。

【尾崎主査】 それではどなたかそれについての御意見ありますでしょうか。調査官の先生方でよろしいですか。横井企画官、事務局の方で今の意見に対しては、これまでいただいた意見についての活用方法についてのお尋ねだったと思うのですが、いかがですか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。先生方におまとめいただいたものにつきましては、今回別表1から11という形で集約されたものと理解しておりますが、ここで言い足りない部分があれば、また御意見をいただいて、別表の充実をしていただくような方向でいかがかと考えております。

【尾崎主査】 特別委員会のワーキンググループとしては、ここ今日示したもので一応まとめさせていただく。それ以外についてはまた別の場所で御意見いただきながら、ということだと思うのですが、ワーキンググループとしては、これでやりたいということですので、よろしいでしょうか。いかがでしょうか、他に。それでは西滝委員よろしくお願いします。

【西滝委員】 すみません。私は先ほど山岡委員のお話の早期教育のところで意見を申し上げようと思っていたのですが。

【尾崎主査】 どうぞ。

【西滝委員】 よろしいですか。現状なのですけれども、医学の進歩によって、お腹の中に赤ちゃんがいる時から障害が分かる時代になっておりますが、新生児のスクリーニングが全国で行われており、これが非常に保護者に大きな不安を与えているわけです。聴覚で言いますと、生まれて1か月ではっきり聞こえないということが分かる。病院の3か月目の検診であなたの赤ちゃんは聞こえませんと告知をする。それから今後どうするか。例えば人工内耳を付ける。あるいは補聴器を使用する等々の説明が行われるわけです。ここでの問題は特別支援学校がそこに絡んでいないので、どうしても医学的な対応がメインになっていることです。それで人工内耳の赤ちゃんが0歳から人工内耳ということが増えている。医学の進歩につきましては、特段反対するわけではございませんが、申し上げたいことは新生児のスクリーニングに教育現場が関わる必要があるということです。例えば秋田県のやり方を見ますと、秋田県では3か月目で両親に告知をする際、必ずろう学校の人を呼ぶ。医者とろう学校の先生が一緒にいて、人工内耳の道もある。またろう学校に入って訓練をする、手話を覚える道もありますと御両親に話をします。いつにろう学校にいらして、見学にいらしてくださいというような具体的なアドバイスに入っています。このようなことによって両親の不安がなくなっていくという話もあります。この新生児のスクリーニング、0歳から両親が介入できるそのようなシステムが必要だと思います。早期教育というのは0歳からの教育と私は考えておりますので、○5ですね。(1)-○5、14ページです。教育行政と福祉行政があるいは医療機関が連携を更に密にして、新生児の時から取り組むというような書きぶりにしていただきたいと考えております。それが今非常に大事な課題になっていると思っております。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に意見はありますでしょうか。中村委員。

【中村委員】 若駒ライフサポートから参りました。中村文子です。今の西滝委員のおっしゃった御意見のことと繋がる部分なのですが、知的障害、発達障害等の方々についても、先ほど気付きという言葉を山岡委員が使ってらっしゃったのですが、要するにグレーゾーンも含めた支援がないと現実的には難しい状況になってきていると痛切に感じております。そうなるとこの5番のあたりは、いわゆる子育て支援の施策等もきっちり連携したものを作っていかないとならなくなってきます。だから一応入れてほしいということではないのですが、特別委員会の方も含めて、その部分の視点に触れない限りは現実的な早期教育、早期支援というのは難しいかということを個人的に感じております。

【尾崎主査】 はい。ありがとうございました。他によろしいでしょうか。それでは貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 さて本ワーキンググループですけれども、ここまで皆さんに一月に一回以上のペースで御審議をいただいて来たところです。それでは皆様の御協力により議論もだいたい整理されたと思います。表現ぶり、書きぶりをもっと丁寧にとかいう意見も今日いただきましたが、その後のことですが、私の方に一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【尾崎主査】 ありがとうございます。それではワーキンググループの報告につきましては、本日の御意見を踏まえ、河本主査代理とも御相談の上で、最終的に取りまとめたものを皆様に追って送付いたします。なおワーキンググループ報告につきましては、今後特別委員会で報告する予定としております。またワーキンググループ報告の取りまとめについては、私に御一任いただけるということになりましたので、本日を持ちまして本ワーキンググループの開催は一応の終了とさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましてはこれまで8回にわたり、合理的配慮等の環境整備について御審議いただき誠にありがとうございました。それでは本日はこれで閉会といたします。御出席くださいました委員の皆様方には改めて御礼を申し上げます。事務局の方から御連絡ありますでしょうか。よろしいですか。それではありがとうございました。終了とさせていただきます。

 

── 了 ──

 

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