特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成23年12月16日(金曜日)9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. ワーキンググループ報告について
  2. その他

4.議事録

【尾崎主査】 定刻となりましたので、只今から第7回合理的配慮と環境整備検討ワーキンググループを開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。まず、本ワーキンググループの委員として、新たに着任された委員について御紹介いたします。熊坂委員でいらっしゃいます。

【熊坂委員】 おはようございます。この10月に、全国町村教育長会の会長になりました神奈川県愛川町教育長の熊坂でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【尾崎主査】 どうぞよろしくお願いいたします。次に、本日の委員の出欠状況ですが、乙武委員は御欠席、その他の委員は御出席です。また、特別委員会の宮崎委員長、石川委員長代理をはじめ委員の方々にもオブザーバーとして御参加いただいております。なお、本委員会におきましては、御発言される場合には、必ず挙手をした上でお名前を述べてから御発言いただきますよう、お願いいたします。また、通訳の方のためにゆっくり御発言いただきますよう、お願いいたします。
 それでは、議事に入ります。本日は、前回の会議までに皆様からいただいた御意見を踏まえて私の方で主査代理と御相談の上、ワーキングループ報告案を作成させていただきましたので、これに基づき自由討議を行う予定としております。まず、事務局の方から配布資料の確認をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。まず、配布資料の確認ですが、議事次第のとおり、資料は1~4まで4点です。参考資料は、ワーキンググループの委員の名簿を付けております。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入ります。ワーキンググループの報告について自由討議を行いますが、最初に私よりワーキンググループの報告、全体構成、前半部分について説明をいたします。資料1のワーキンググループの報告、主査試案概要を御覧ください。親会議の特別委員会も含めたこれまでの各委員からの御意見、関係者からのヒアリング、事務局からの説明などを整理したものです。また、皆様方の御協力によりまして、非常に短期間で集中的に時間を取って御議論いただき、まとめました。今回のワーキンググループの報告においては、主な部分を以下の3点として整理しております。一つ目に、合理的配慮はどのようなものかを明らかにすること。具体的には、合理的配慮の定義、合理的配慮と共通的環境整備の関係、合理的配慮の決定方法などについて、整理しました。二つ目に、今お話した共通的環境整備について整理いたしました。三つ目に、合理的配慮の観点について整理いたしました。
 まず、会の前半では、一つ目の合理的配慮についての説明を行った後、自由討議を行っていただき、休憩を挟んで後半で二つ目三つ目の内容について説明を行った後、自由討議を行っていただくという形で進行を進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それではまず、「はじめに」のところですが、一つ目の○では経緯を記しております。二つ目の○では、合理的配慮は新しい概念であり、障害者基本法で新たに可能な限り、障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、と規定された趣旨を踏まえまして、障害のある子どもに対する合理的配慮の観点について整理を行った、としました。また、これまで配慮の観点と呼んでいたものを、合理的配慮の観点と文言を整えました。会議でも御意見をいただいたように、学校教育ではこれまでも障害のある子どもに対して、様々な配慮が行われてきたところですが、今回のワーキンググループの思いとして、合理的配慮の観点を整理することで、障害のある子どもの教育が一層充実したものになれば、と整理いたしました。また、合理的配慮は、教育委員会・学校・各教員が正しく認識すべきであると同時に、地域における理解はまだかと思いますので、理解促進のための啓発活動を必要としています。これは、各委員に整理をいただける中、これまで学校教育に求めることのうち、環境整備に関することに挙げられていた、理解推進のところを「はじめに」の形で整理したものです。
 前半で討議していただく合理的配慮の定義等ですが、(1)の合理的配慮の定義として、本ワーキンググループにおける合理的配慮は、障害がある子どもが他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対して、その状況において学校教育を受ける場合に、個別に必要とされるもので、学校の設置者及び学校に対して、体制面・財政面において均衡を失した、または過度の負担を課さないもの、と定義いたしました。また、合理的配慮の提供にあたっては、各学校の設置者や学校が財政面をも勘案して均衡を失した、または過度の負担について個別に判断すること、としております。ただ、各学校の設置者や学校は、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組みとして、合理的配慮の提供に努める必要があると整理いたしました。これについては、前回の論点で整理いただいたとおりかと思います。
 次に、(2)の合理的配慮と共通的環境整備についてです。前回、委員から合理的配慮と環境整備について、その関係を明らかにされたいという宿題をいただいた部分です。まず、法令に基づき、または財政措置により、国・都道府県・市町村は共通的な教育環境の整備をそれぞれ行っている。これらを共通的環境整備と呼んではどうか、としております。いわば、個々の子どものためではなく、皆のために共通的に環境整備をしている。それを前提として、設置者や学校が個々の障害のある子どもに対して提供するのが合理的配慮である、としております。この考え方につきましては、参考までに資料2の報告案の最後の方に合理的配慮として図を付けております。資料2の26ページの表です。御覧ください。共通的環境整備を前提として、Aさんのための合理的配慮、Bさんのための合理的配慮といった個々の障害のある子どもに対して、合理的配慮を行うというものです。資料1にお戻りください。今回、合理的配慮の前提となる共通的環境整備については後に説明いたしますが、現状と課題を整理いたしましたので、後ほど御議論いただきます。また、合理的配慮については、個別の状況に応じて提供されるもので、具体的かつ網羅的に記述することは困難ということで、これまで御議論いただきましたように、合理的配慮の観点として、1教育内容・方法、2支援体制、3施設設備について、列挙・累計化した上で、具体的配慮を例示するという構成で整理いたしました。
 次に、2の合理的配慮の決定方法等についてです。前回まで、学校教育に求めることのうち、教育内容に関することとして、6点挙げていただいていたところですが、これを整理していくと、障害者の権利に関する条約第24条第1項の目的のA・B・Cと方向を同じするものと整理できると思います。ここでは、合理的配慮の決定にあたっては、これらの目的に合致するかという観点から検討が行われることが重要だといたしました。
 次に、決定方法のところですが、合理的配慮は一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて、決定されるものですので、まずは設置者・学校が、児童生徒の興味関心や学習上・生活上の困難や健康状態といった障害のある児童生徒の状態把握を行う必要があろうかと思います。そこで、設置者・学校・本人・保護者が個別の教育支援計画を作成する中で、合理的配慮の観点を踏まえ、可能な限り合理的配慮について合意形成を図った上で決定し提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが望ましいと思われます。また、その下のところですが、合理的配慮の決定後も見直しができることを共通理解とし、必要に応じて合理的配慮を見直していくことが適当としております。
 次の○は、これまで学校における配慮事項の幼小中高の各段階についての留意事項としていた項目です。これらについては、各段階におけるそれぞれの留意事項というよりは、学校が変わることで、支援が途切れないこと、また一貫した支援の考え方について、主に御意見をいただいたので、それに合った項目に変えることが適当であろうということで、報告本文では(4)、一貫した支援のための留意事項といたしました。また、前回も御議論があった通級による指導、特別支援学級・特別支援学校についてですが、それぞれの学びの場においても、やはり合理的配慮を行うという視点・観点は必要という整理にいたしました。ただ、合理的配慮は、それぞれの学びの場の共通的環境整備を前提とした上で、提供されるため、それぞれに提供される合理的配慮は異なった形になろうかと思います。また、ここも御議論があったところかと思いますが、障害のある子どもが通常の学級で学ぶことを可能な限り配慮していくことが重要であるものの、やはり十分な教育を受けられるようにする観点からは、多様な学びの場を活用すると。もちろん、本人や保護者の理解を得ながら、ということになると思いますが、全てを通常の学級ということではなく、時には通級による指導など多様な学びの場を活用した取り出し指導を柔軟に行うことも必要な支援である、と考えられると整理いたしました。ここまでが前半で御議論いただきたいところです。残りは、後半に回したいと思います。
 それでは、続いて事務局より報告本体の関係部分の御説明をよろしくお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今ほど尾崎主査の方から、資料1の概要で3の共通的環境整備についての手前まで御説明いただきましたので、私の方からも資料2、尾崎主査に御説明いただいていない部分を幾つか3の手前まで説明したいと思います。お手元の資料2を御覧ください。
 1ページ目、「はじめに」のところです。丸番号の1、2、3、4、それから1ページおめくりいただいて○5のところは、経緯や背景を整理したものです。それから、○6については、尾崎主査の方から説明いただいた内容ですので、割愛いたします。
 次に、合理的配慮の定義についてですが、まず(1)の合理的配慮の定義としまして、○1合理的配慮についての条約上の定義、としております。障害者の権利に関する条約においては、教育のところで個人に必要とされる合理的配慮が提供されること、とされております。また、第2条の定義のところでは、合理的配慮は、障害者が他者と平等に全ての人権及び基本的自由を享有し、または行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ均衡を失した、または過度の負担を課さないものとされております。なお、負担については、変更及び調整を行う主体に課される負担を指すとされております。また、同じく2条の定義のところで、障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別、(合理的配慮の否定を含む)としていると記述しております。
 続きまして、3ページの○2ですが、本ワーキンググループにおける合理的配慮の定義、○3の均衡を失した又は過度の負担について、のところは先ほど尾崎主査の方からそれぞれ御説明のあったところかと思います。(2)の合理的配慮と共通的環境整備についても主査の方から御説明があったとおりですが、前回の会議で合理的配慮と環境整備について、その関係を明らかにされたいという宿題をいただいたことについて、今回合理的配慮と共通的環境整備という形で整理したところです。
 続きまして、4ページ目を御覧ください。4ページ目、2、合理的配慮の決定方法等について、のところです。(1)決定に当たっての基本的考え方のところですが、こちらも主査の方から御説明いただいたように、これまで各委員に整理いただいていた6つの項目、学校に求めるものの教育内容についてのところです。(ア)障害のある子どもと障害のない子どもが共に学び共に育つ理念を共有する教育。(イ)一人一人の状態を把握し、能力の最大限の伸長を図る教育(確かな学力の育成を含む)。(ウ)健康状態の維持・改善を図り、生涯にわたる健康の基盤をつくる教育。(エ)として、コミュニケーション及び人との関わりを広げる教育。(オ)として、自己理解を深め自立し、社会参加を目標とした教育。(カ)として、自己肯定感を高めていく教育という整理をいただいているところであります。こちらについては、障害者の権利に関する条約の教育のところの目的と方向性を同じくするという整理をさせていただいておりまして、合理的配慮の決定にあたっては、これらの条約の目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要だという整理をしていただいております。
 続きまして、その下の(2)決定方法のところ、それから(3)合理的配慮の見直しについて、(4)一貫した支援のための留意事項のところについては、先ほど主査の方から、それぞれ説明のあったお話です。こちらの方についても、指針を少し丁寧に書いてあるということで御確認いただければと思います。
 5ページ中ほどからですが、(5)として通級による指導、特別支援学級、特別支援学校と合理的配慮の関係について、整理しております。こちらも主査の方から、先ほど説明があったとおりですが、○1では合理的配慮は各学校において、障害のある子どもに対しその状況に応じて個別に提供されるもの、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の設置は共通的環境整備として行われているものと整理しております。
 ○2の方で、各学校で合理的配慮として、障害のある子どもが他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者や学校が必要かつ適当な変更調整を行うことが必要であると整理しております。
 ○3では、合理的配慮はそれぞれの学びの場における共通的環境整備を前提した上で提供されるため、それぞれの学びの場で提供される合理的配慮は異なることとなると整理しております。
 続きまして、○4のところですが、尾崎主査から御説明いただいたところです。必要な支援の例示として、通常の学級に在籍している障害のある児童生徒に支援員を配置したものの他の子どものための学習環境の維持であったり、本人の安全のための補助のみになり、十分な教育を受けられるようにするための支援になっていない場合などは、通級による指導を行ったり、特別支援学級・特別支援学校と連携して指導することなどの方が効果的と考えられると整理いたしました。
 続きまして、6ページの上から4行目(6)その他としまして、これまでまとめてきました意見の概要で指摘されていた点ですが、障害のある保護者との意思疎通を図る際の合理的配慮、障害のある教職員を配置した場合の合理的配慮についても、必要に応じ関係者間で検討されることが望ましいと整理しております。以上で、3、共通的環境整備の手前まで参りましたので説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。続きまして、ワーキンググループ報告について、自由討議とさせていただきます。発言のある方は、挙手をお願いいたします。
 福島委員、どうぞ。

【福島委員】 福島でございます。おはようございます。私の方で資料4を用意させていただきましたので、そちらも見ていただきながらお話をさせていただきたいと思います。まず、はじめに1点確認をさせていただきたいのは、前回第6回のワーキンググループの資料2で、環境整備と個別の合理的配慮という言葉が出てきたと思います。今日の資料を見ると、共通的環境整備と合理的配慮という言葉が使われているのですけれど、これは単に言葉が置き変わった、つまり環境整備というのが共通的環境整備に、個別の合理的配慮が合理的配慮という呼び方になったということで、中身としては変わっていないという理解でよろしいでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。基本的には変わらないという整理です。

【福島委員】 ありがとうございます。
 では、それに基づいて資料4について説明をさせていただきたいと思います。まず1の共通的環境整備と合理的配慮の関係について、ということでありますけれども、前回の資料は、言葉で書いてあったものですから、私自身、理解が少し難しかったということもあり、概念図を使って整理をしてみました。1の概念図は先ほどの資料2の26ページの図と同じことを示しているのではないかと思っております。この私のお示しした概念図は、1人の障害のある子どもが各就学先を選択した場合において、受ける合理的配慮を示したものであって、それぞれの学校における合理的配慮の総量を示したものではありません。あれこれと資料が飛んで申し訳ないのですが、第4回のワーキンググループの時に、私が提出した資料6というのが、ピンク色のバインダーの中に入っております。小さい字で見にくいのですが、横書きの各学校で受ける支援の一覧表、小学校・中学校・高等学校における支援をまとめているものがあります。これと関連する形で説明させていただきたいと思います。
 私の子どもは肢体不自由があって、今、通常の学級に通っているわけですけれども、そのようなイメージでこの1の表を見ていただきたいと思います。まず、就学先によって共通的環境整備の部分が異なるということになるわけですから、共通の配慮の観点に基づく合理的配慮というのは、特別支援学校・特別支援学級・通常の学級の順で多くなるという形になるのではないかと思いますが、その理解で正しいのかどうか確認していただきたいと思います。このワーキンググループでも今まで通常の学級における合理的配慮を検討すれば良いのではないか、という複数の委員の御意見もありましたけれども、この概念図を見ると、原則としては通常の学級における合理的配慮の部分を充足すれば、当然それよりも共通的環境整備としての度合いが高い特別支援学校あるいは特別支援学級の合理的配慮というものは満たすことができるのではないかと理解できます。ただし、学習集団の規模であるとか、設置校数が限定されるという特別支援学校における特有の事情もありますので、そのような特有の合理的配慮というものも例外として必要なのではないかと考えております。
 それから、裏側の2の概念図を御覧ください。これは、学校における配慮事項等と権利条約における合理的配慮との関係についてまとめてみたものであります。私の理解は、合理的配慮は権利条約の合理的配慮と同じ意味であって、かつ学校における配慮事項等は権利条約の合理的配慮とほとんど重なるという理解をしているのですが、このような理解で良いのかどうかを皆様で御議論していただければと思っております。つまり、共通的環境整備の部分については一部、権利条約の合理的配慮と言えないものもあるかもしれませんが、原則としては、環境整備の部分も権利条約における合理的配慮と言えるのではないかと思いますので、その辺りに関しても本日御議論いただければと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。環境整備と合理的配慮の関係についての考え方について、福島委員なりの整理がなされました。多少違いはありますけれども、それも踏まえた上で皆様から御意見を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 山岡委員どうぞ。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。合理的配慮と共通的環境整備ということで整理していただきまして、ありがとうございました。割とすっきりとして、分かりやすくなったのではないかと思います。これからの進め方について意見を述べたいと思います。これからこのワーキンググループでまとめて特別委員会に上げて、中教審の方に上げていくのだろうと思うのですが、合理的配慮や共通的環境整備について、例えば合理的配慮については、指針を示すというお話があったのですけれども、これは、別途ガイドラインを作るというような動きがあるのかどうか確認したいということです。それからもう一つ、細かい点は別途申し上げたいのですが、先ほどの福島委員のお話の図、事務局で御用意いただいた26ページの図を見て思ったのですけれども、この報告書、ワーキンググループの案の中にも入れていただきたいと思うのですが、この26ページの図で見ると、環境整備は一律に用意される。個々のニーズに応じて合理的配慮の大きさは違うということが見えるのですが、恐らく環境整備も個々のお子さんがいる学校となると、凸凹があって、それに基づいて合理的配慮の幅も変わるのではないかと。その両方を混ぜてはならないのかもしれませんが、そのような感じがしております。そのように考えると、環境整備は共通的という言葉も付いてしまっているので、かえってそうなるのかもしれませんが、一律に用意されるというように思えるので、その辺りのお考えですとか、工夫、合理的配慮の中身が変わることも言えるのか等、お聞きしたいと思います。

【尾崎主査】 山岡委員は質問二つということですね。
 まず指針のことについては、合理的配慮の観点という形で整備をするというようにいたしました。よろしいでしょうか。それから、共通的環境整備と合理的配慮については、資料2の26ページを御覧いただいたように、ここで言っているのは関係図で量を表すものではありません。ただし、本文の中では、合理的配慮は共通的環境整備の状況によって、十分できる環境などがあるということは認識しておいて欲しい。しかし、それを表す図ではないという話ですので、よろしくお願いいたします。考え方の図だということで提案はさせていただきます。ただ、それについても御意見があれば発言していただければと思います。どうぞよろしくお願いします。他に委員の方、御意見や御質問等も含めましてどうでしょうか。
 藤本委員どうぞ。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本と申します。実は、資料1の3ページの通級や特別支援学級、特別支援学校、合理的な配慮、共通的なところ、3ページの二つ目のところ、最下部なのですけれども、通級による指導など多様な場を活用した取り出し指導を重点に行うことが必要な支援と考えられるという言葉があります。文科省が例年出しておられる基礎資料を見ましたら、通級指導そのものの制度に対象とされていない障害者が現実にございまして、特別支援学級には対象とされているのですが、通級指導には対象になっていない。全て通級指導による多様な学びの場と言い切ってしまいますと、なかなか難しい部分もあるのではないかと思います。例えば、通級の指導に加えて現行の特別支援学級による支援なども、現実的には必要となる障害者があるのではないか、と思う次第です。意見です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。他に、御意見等いかがでしょうか。

【山岡委員】 細かいことでも構わないですか。

【尾崎主査】 山岡委員、どうぞ。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。細かいところに入ってしまうのですが、5ページの(4)の○4です。趣旨は受け止めておりますが、障害のある子どもが通常の学級に学ぶことを限りなく配慮していくことが重要であるが・・・となっておりますが、後半に続くところでは、必ずしもそうではなくて、取り出し指導のようなことも必要だと考える、とあります。私、趣旨については全く反対ではないのですが、前段の障害のある子どもが、通常の学級に学ぶことを可能な限り配慮していくことが重要である、と1回切っていただいて、一方、というように続けていただいた方が良いかと思います。これをずっと読んでいくと、前段を否定しているように受け取れるので、前段は前段として受け入れて、一方でこのような場合もある、というようにしていただければ良いと思います。以上が意見です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。表現の方法ということで、承りたいと思います。
 他に、御意見ありますでしょうか。できれば、今回資料2でお示しした試案の完成度を上げていきたいと考えておりますので、それらを含めてよろしくお願いしたいと思います。今日初めて全体像が見えたということで、今朝初めて御覧になった方も多いと思いますが、説明した範囲でお気付きになった点がございましたら、是非よろしくお願いします。権利条約との関係、合理的配慮と共通的環境整備の関係をこのような形で整備させていただいてはいるのですが。この辺についてもいかがでしょうか。指名して申し訳ありませんが、木舩委員いかがでしょうか。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。御指名いただきました。今、主査の方から権利条約の・・・とありましたけれども、実は別のところを考えておりまして。資料1が概要で、資料2が本体ということで、その関係を見ておりました。どこを見ていたかと言うと、資料2では4ページの真ん中から下辺り、(2)決定方法。概要の方では2ページ、大きな2の下の○のところを見ておりました。これを対照して見ますと、本体の方には(2)の決定方法の真ん中辺りに、なお、設置者学校と本人保護者の意見が一致しない場合には、第三者機関により、その解決を図ることが望ましい、とございます。概要の方にこの記載が見当たらないということで、就学の在り方についても合理的配慮についても、合意形成に十分な情報提供、そして合意形成という手続きや考え方を十全に行うということが前提ではございますけれども、やはり一致しない場合というのは、どうしても出てくるだろうと思います。その場合にどうするかということは、対応として非常に重要な課題です。ここに本体の方にございますので、できましたら概要の方にも書いていただけると有り難いというところが一つです。権利条約については、もう少し考えておりますので、申し訳ありませんが、以上が意見になります。

【尾崎主査】 概要と本体の関係について御指摘ありがとうございました。他に、御意見ありますでしょうか。
 では、吉松委員どうぞ。

【吉松委員】 2点あるのですが一つは、今の木舩委員も言われた決定方法のところに、個別の支援計画を作ることが望ましいという表現になっております。これは、今の特別支援学校では、個別の支援計画を作ることが義務付けられていますが、一般の小中学校に通った時に、そこまで強制することができないという観点で、望ましいという表現になっているのか・・・本来は、地域の学校に通う障害のある子どものために支援計画は作らなければならないと思うし、望ましいという表現よりもっと・・・義務付けるという言葉が難しいにしろ、それが必ず必要になるのではないかと思います。もう1点は、どの部分というわけではないのですが、多様な学びの場を設けるということで、通常の学校以外に特別支援学校・特別支援学級・通級学級などと協力して・・・という表現が色々なところで出てきます。この合理的配慮の対象として、高等学校に通う生徒の支援ということも想定されていると思いますが、高等学校の場合は通級も特学もありませんので、必然的に特別支援学校に対する負担が非常に大きくなってくるわけです。現在でも、ある県では、視覚障害で通常の高等学校に通う生徒の試験問題や教科書の点訳等を盲学校が全て引き受けている、という例があり、非常に過度な負担になっているということを聞きます。高校の場合は、多様な学びの場というのがありませんので、その辺りの支援体制などにも力を入れることをお願いしたいと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今の御発言は資料2の4ページ、決定方法についてのところ、真ん中辺りに・・・教育支援計画に明記することが望ましいという表現をもう少し・・・それが1点。それから、高等学校等における支援ということなのですが、一貫した支援のための留意事項ということで資料2の5ページに書いてあるのですが、そこを明確にしてほしいという御意見ということでしょうか。

【吉松委員】 はい。ありがとうございます。

【尾崎主査】 では、西滝委員どうぞ。

【西滝委員】 全日本ろうあ連盟の西滝と申します。先ほどの吉松委員の御発言と同じようなところなのですが、決定方法のところです。資料2も資料1も・・・資料1の場合は2ページ目、2の下の○のところになります。資料2につきましては、4ページの決定方法について、(2)のところです。合理的配慮というのは、そもそも努力すべきところではなく、その人に合ったことが満たされなければならない、という強い言葉で理解しております。この二つの文章を読ませていただきますと、合理的配慮という言葉があって、その上で可能な限りという言葉が付いておりますので。可能な限り合理的配慮というのは、一体何なのだろうと思います。合理的配慮の上に、さらに可能な限り・・・と付けますと、意味が理解できないわけです。資料1と2どちらにもございます、可能な限り合理的配慮について合意形成を図る、とありますけれども。可能な限りという言葉は要らないと思うので、削除してはいかがでしょうか。さらに、例えば聞こえない子どもが通常の学級に入ったとして、授業が全く分からなかった場合、当然サポートが必要になります。手話など様々な方法があると思いますが、それは可能な限り考えることではなく、当然合理的配慮すべきことですから。可能な限り、という言葉は要らないのではないかと思います。

【尾崎主査】 資料1と2にあります、可能な限りという文言についての御意見でした。他に御意見、いかがでしょうか。木舩委員お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。条約あるいは、条約の基本的な考え方、第24条の教育の考え方といったことで、少し考えてみました。資料1の概要の方で私の考え方を述べさせていただきます。1ページ目に条約の定義に照らし・・・ということで、合理的配慮についてまとめてございます。ここのポイントとしては、2行目から3行目にございますように、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更を行うこと。もう一つは、最後の2行目、均衡を失した、または過度の負担を課さないという記載がございまして、これについてはこのとおりだろうと思います。その次の○で、均衡を失した、あるいは過度の負担ということについては、個別に判断するのだけれども・・・ということなのですが。その前提で、以前のワーキンググループで髙橋委員の方から御指摘があったと思います。これがエクスキューズにならないように、という御指摘があったと思います。それを受けて1ページ目の二つ目の○のところに、最後のインクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組みとして、合理的配慮の提供に努める必要があるとまとめていただいたのだろうと考えております。そのような前提で概要の2ページ目を見てみますと、今度は決定にあたって、ということで、一般的に、広く教育ということについての合理的配慮を定義した上で、学校教育に求めることというものは、24条の1に述べられているようなA・B・C、これらを目指すためのものである、とまとめていただいていると考えております。私としては、条約の大きな合理的配慮の考え方を1の(1)で、述べていただいて、2の決定というところで、2のところで教育に当てはめて、おまとめいただいたと理解しておりまして、有り難いことです。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他の委員の方でいかがでしょうか。
 福島委員どうぞ。

【福島委員】 福島です。資料1の合理的配慮の定義1のところです。1ページの真ん中辺りの合理的配慮の定義ですけれども、先ほども御意見があったと思いますが、私も合理的配慮というのは、非常に重い言葉だと思います。従って、この合理的配慮が提供されないということは、差別になるのだということをきちんと定義の中に書き込んでいただく必要があると思います。もう一つは3ページの二つ目の○なのですけれども、就学等に関して可能な限り通常の学級に学ぶことを配慮すると書いてありますが、ここは配慮ではなく、実現や達成という前向きな言葉を使っていただきたいと思います。いずれにしても、この問題は就学システムの改訂と表裏一体の部分であると思いますので、このワーキンググループのミッションではないのかもしれませんけれども、是非、親委員会の方でインクルーシブの教育に相応しいシステムに変えるということで検討を進めていただきたいと思っております。
 それから、先ほどの初めに資料4について、私の方で図をお示しして、そのような理解でよろしいのかと2点ほど質問をさせていただいたと思います。もし、よろしければ事務局の方でこれに対する御見解を教えていただけると有り難いです。よろしくお願いします。

【尾崎主査】 それでは、質問に対して事務局の方お願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。事務局の見解というよりは、先ほど説明した主査試案に沿って、どうかということかと思います。一つは福島委員のお示しいただいた、資料4を御覧いただけるとよろしいかと思うのですけれども、1ページ目の下のところです。就学先によって環境整備が異なることから、合理的配慮の観点に基づく合理的配慮は、順に多くなるという理解で良いかというところは、そうとは限らないということになるかと思います。それぞれの環境整備がどの程度されていて、それに対してその子がどのような状態で、どのような合理的配慮が必要かというのをそれぞれに個別に決めることになろうかと思います。どのような形になるかというのは、必ずしも不等号で示されるものではないのではないか、という印象を受けました。なかなか四角に綺麗にお示しいただいておりまして、事務局でも尾崎主査に御相談しながら、資料2の26ページをまとめる時に恐らく福島委員が説明されたところによれば、一人の子どもで考えた場合には資料4の形になる、ということだったと思うのですけれども、26ページの図は、どちらかと言うと、多くの子どもがいて、全体として書いたらこうなる、ということになります。一人の子どもの場合、どのような図を書くのかということについては、今のところ考えが及んでいないところです。これがどうかということについては、現時点では分かりません。
 それから2ページ目の方ですが、環境整備、個別の合理的配慮、その全体を学校における配慮事項ということでして、学校における配慮事項等は、権利条約の合理的配慮と重なるのだという定義につきましては、報告や報告の概要で書いてある内容とは少々異なるのではないか、という印象を持っております。この報告概要で書かれているものは、基本的には合理的配慮という言葉は、条約における合理的配慮と一致する。では、環境整備が合理的配慮ではないのか、と言われれば合理的配慮ではない。国や都道府県、市町村は合理的配慮のために何もしないのかと言うと、そうではなくて、それを支えるための環境整備を行うのだということです。合理的配慮は、先ほど何名かの委員から御発言いただいた資料1で言えば、資料1の1ページの下から二つ目、1、合理的配慮の定義等についての(1)合理的配慮の定義のところですが、そこで、障害のある子どもに対し、その状況に応じて学校教育を受ける場合に、個別に必要とされるものということで、非常に個別性が高いものという整理をさせていただいております。その環境整備の部分に個別性が入るのかと言えば、そこは入らないのかと思います。ただ、その環境整備が関係ないのかと言うと、そういうわけではなくて、個別の合理的配慮を行うために環境整備があるという整理をしております。資料1で言えば2ページ目の(2)合理的配慮と環境整備の定義のところです。あくまで合理的配慮というのは、2ページ目の一つ目の○の3行目からですが、これらの共通的環境整備を前提として、設置者及び学校が各学校において障害のある子どもに対し、その状況に応じて合理的配慮を提供しているということです。環境整備が何もなしに合理的配慮ができるかと言うと、そこは難しいと思っております。ここの共通的環境整備として、何が必要かということについても、後半で御議論いただけるものと事務局としては期待しております。以上です。

【尾崎主査】 福島委員どうぞ。

【福島委員】 では、今の環境整備について一つ例を挙げて、お話をさせていただきたいと思います。例えば学校の入り口にスロープを設置するということが、法律によって決まっていて、この分け方でいくと、それは環境整備にあたるのではないかと思うのですけれども、しかし、車いすの子どもがその学校に通うためには、スロープを設置するということは、合理的配慮でもあると思うわけです。ですから、環境整備だからと言って、必ずしも合理的配慮にあたらないというのは、私としては少し違和感を覚えます。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今おっしゃったように、スロープを付けようという制度があって、それに基づいて実際にその子のために実施しようというのは、設置者及び学校になるので、そこは合理的配慮になります。ただ、制度があるから付けたと言っても、付いた状態だとすれば、その子の合理的配慮を考える時に、移動に関しては支障がないわけですから、その部分は、合理的配慮として考える必要はもはやない状態ではないか、と事務局として考えておりますが、いかがでしょうか。

【尾崎主査】 西滝委員、どうぞ。

【西滝委員】 今のことについて2点申し上げたいことがあります。全日本ろうあ連盟の西滝です。一つは、報告書の書き方なのですけれども。特別支援学校という言葉で出ておりますが、現状も含めて言うと、本来は特別支援学校(養護学校・盲学校・ろう学校)と書くべきだと思うのです。また、環境整備で言いますと、合理的配慮というのは、それぞれの障害に合った学校の整備ということで、とても大事な合理的配慮だと思っております。現状は、盲学校とろう学校が一緒になったり、あるいは知的養護学校とろう学校が一緒になったりと非合理的なことが行われています。その2点を申し上げました。

【尾崎主査】 ありがとうございます。他にはどうでしょうか。山岡委員どうぞ。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。もう1点、細かい点ですけれども、4ページの下の方です。2の(3)なのですが、合理的配慮の見直しについて、というところです。書いてある内容については、全く異存ないのですが、少し違和感を覚えております。就学先決定については、就学時に決まって、現行の制度では割と変わりにくいというところがあって、論点整理の中では、適宜見直して行くと書いていただいているところです。合理的配慮については、今回新たに出てきものですので、適宜見直すものだということを前提にしていただいているのだと思います。ここに書かれている内容は、最初からあまり変えないという考えがあるけれども、それは違うよ、と書いていらっしゃるのですが、前段が要らないのではないかと思っております。後から出てくる合理的配慮の観点を見ても、お子さんの成長や状況によって見直していくものだと思います。特に、知的や自閉、情緒など状況や状態はどんどん変わっていきまして、その時々に合理的配慮も変わっていくものと思っております。この書き振りの前提にある、一旦決めたら変わらないというお考えが前提にあって、その上でそれを否定されるのではなくて、最初から見直していくのが当たり前だという書き振りにしていただいた方が良いのではないか、という意見です。

【尾崎主査】 書き振りの問題ですけれども、合理的配慮の見直しができるものが全体としてあるのではないか、という御意見も含めて、このように提案された場合、学校現場ではどのように受け止めるのか、山中委員の方で、御発言があればお願いします。

【山中委員】 調布市立調和小学校の山中です。前回に比べると、大分整理されてきたと思いますけれども、全体的に見ての意見でよろしいでしょうか。
 まず一つは、概要の方の2ページ、最後のところですが、個別の教育支援計画との関連について書かれているので、通常の小中学校、高校も含めてですけれども、この教育支援計画を具体的に作っていった場合に、どのようなメリットがあるのか、まだ理解が進んでいないところですので。この個別の教育支援計画を謳っていただくということは、そのようなお子さんが入った時には、このようなことをすると書くものだということでして、個別の教育支援計画の有効性というものがはっきりするのではないか、ということはありました。ただ、資料2の方には、合理的配慮というものが、設置者と保護者で上手くいかなかった場合は、第三機関に委ねると出ているのですけれども、概要の方には、そこまで触れられていません。普通は割と概要を見ると思いますので、概要に第三機関のことも少し入れていただいた方が良いのではないかと思ったことが一つです。
 それから、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校ですけれども。そのことも資料2の方には否定されていることではなく、そのような場も必要だと5~6ページにかけて書いてあります。この6ページはインクルーシブというところに係るかもしれませんけれども、通級による指導を行ったり、特別支援学級、特別支援学校と連携して指導することの方法が効果的と考えられるということも、こちらにありますので。そのような場も否定されているわけではないということで、私の方としては、このような文言も概要に入れていただけると良いのではないか、と思いました。
 そして、合理的配慮の量と言いますか、先ほどのお話になりますけれども、例えば、私の学校ですとエレベーターがあるわけです。そうすると、今もいるのですが、肢体不自由のお子さんが入ってきた場合は、その子のためにさらにエレベーターを何か考えるとか、階を上がる時の移動手段というのは、考えなくても良いわけであります。このようなものは、うちの学校の場合であれば、合理的な配慮ではないのですけれども、他の学校に車いすのお子さんが入るといった場合は、移動手段のことも合理的配慮になるわけです。合理的配慮も学校の状況によって変わってくるので、可能な限りとか、こちらに示されている文言で学校や設置者によって大分違うというニュアンスは残していただかなければ、現状でもかなり違うということです。そのような感想ですみません。

【尾崎主査】 ありがとうございました。合理的配慮の内容の見直し等については、概要の方でも入れた方が良いという委員会の御指摘もありました。また、決め方等について、通級等の在り方の方向性についての御意見だったと思います。
 今、最後の方で御発言がありましたように、合理的配慮と環境整備等との関係について、さらに御意見がある方、いらっしゃるでしょうか。大丈夫でしょうか。では、河本委員お願いいたします。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。ありがとうございます。意見になるかどうか分からないのですが、合理的配慮のことでお話したいと思います。
 山中委員からの話がありましたけれども。それぞれの学校によって、まず条件が違うということがあると思っています。それから、その学校の置かれた環境も違うだろうと思っております。山中委員のお話でも出てきた、現時点でエレベーターが設置されている学校は、当然、かなりの数で増えていくのだろうと思いますが、車いすのお子さんが入学した時に、学校や自治体がどう考えていくか、ということなのだろうと思っております。例えば、学年進行によって、1年生では1階を使っていたのだが、2年生になると2階に上がる。当然、それぞれの学校で既存の考え方では、そのような考え方が基本になっていたのだろうと思うのですけれども、これからは、そうではなくて、学校の置かれた環境の問題等で安全面等を考えながら、2年生3年生へ学年進行すればするほど上階に行く、という考え方を方向転換していく必要があると思います。それも一つの合理的配慮だとすると、車いすのお子さんがいた時に、学年が上がったので2階という考え方ではなくて、そのまま1階でということもあるのかもしれません。そうした時に、それぞれの親御さんの考え方や自治体の予算的なものと勘案しながら、学校が独自に考えていくという余地は残していってもらいたいと思っております。
 それから、先ほどの福島委員の資料4ですか、大変参考にさせていただきました。ありがとうございました。資料2の26ページの図、これも横井企画官の方からお話がありました。私はこれについて大元は変わっていないと見ていたのですが、26ページの図で言うと、AさんBさんCさんの場合はこのように考えられる。それを縦に切った時に、福島委員の表になってくるのではないか、と思いました。ただ、それぞれの通常の学級あるいは特別支援学級や特別支援学校が、どこまでできるかということで論議しなければならない部分があるのだろうと思っているのですけれども、言わんとしているところは一緒なのではないかと思い、参考にさせていただいてみました。
 最後、もう1点だけなのですが、資料の2の5ページの(5)の○4です。まさにここに書かれているとおり、通常の学級に在籍している障害のある児童生徒に支援員を配置したもの、現在、各学校で色々な形で支援員が置かれているのが現状だろうと思っていますが、今の支援員の在り方がそれで良いのかと言うと、私は別問題だと思います。やはり、子どもの学びをどう保障してあげるかということを考えた時に、支援員のお子さんに対する働きかけがこれから重要視されていくと思います。言うならば、障害のあるお子さんの学びを保障するために、支援員の配置ということを考えていかなければならない。単なる学級の中の他のお子さんの学習を妨げないようにする配慮やそのお子さんの安全性を確保するための配慮だけではまずいのだということです。全てのお子さんの学習権あるいは学習することを保障するために、支援というものを考えていきたいと思っております。
 もう1点、通常の学級の中に特別な支援が必要なお子さんが入った時に、個別の教育支援計画をどうするかという話がありました。それぞれの学校の中でも、望ましいということで作っていないわけではありません。作りかけてきております。それをこれからどのような形にしていくか、ということをそれぞれの学校で考えなければならないと思います。やはりお子さんを交えながら親御さんと話をしながら、要望を取り入れる。学校で何をしていかなければならないか、ということを、その時点で最良の方法でしていく個別の教育支援計画を考えております。これは、親御さんとの約束事と言うよりも一つの方向性を見出すための個別の教育支援計画を考えているということです。ですから、これが全てだということで完成版を考えているわけではありません。その都度、適宜修正を加えながら、お子さんの状況を見ながら、勘案して徐々に完成版に近づけていくという考え方と言いましょうか。現時点では、完成版ではなく付け加えていくものなのだと。その基になるものをそれぞれの学校で作っていくということが現状なのだと思っております。

【尾崎主査】 ありがとうございました。学校の現状も踏まえた個別の教育支援等の考え方についてのお話でした。
 他に御意見どうでしょうか。では、前半部分は2人ということで終わりたいと思います。石坂委員お願いいたします。

【石坂委員】 日比谷高等学校長の石坂です。よろしくお願いいたします。
 お願いがあります。資料2の5ページになるのですが、(4)一貫した支援のための留意事項の○2の表現を少し工夫していただければ有り難いと思います。高等学校に勤務しておりますので、高等学校においても当然考えなければならない内容になってくるかと思っております。従って、高等学校のことが後には出てくるのですが、できれば○2辺りに入れていただけると有り難いと思います。例えばどういうことかと言うと、1行目の後方ですが、子どもの精神面の発達を考慮して、家族や介助員の付添等を検討する、となっているわけですけれども。願わくは、家族や介助員の付添等を、前向きに検討し、学校の意向を最大限尊重し、必要と判断した場合にはその実現を図る。つまり、検討はする。しかし、難しいということが往々にしてあります。特に夜間定時制に勤務していた時などは、指導をする上で今お話されている合理的な配慮等が非常に必要な生徒が結構おります。しかし、入学に際して、なかなか受け入れようとしない学校もあります。何故受け入れないかと言うと、その生徒をお預かりした時に、安全を確保するということが難しいからなのです。それを、管理機関である教育委員会等に御相談しても、学校の方で工夫して欲しいということになりますと、非常に難しいことなのです。そのような場合の人的な配慮という意味での付添者などをしっかりと前向きに、国としても保障するのだという方向性を報告書の中でまとめていただければ有り難いと思います。希望です。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 西滝委員、お願いいたします。

【西滝委員】 この資料2は、今月この会議に出席して初めて目を通しましたので、少し気になったことをお話します。合理的配慮について、このワーキンググループがスタートした時に、参考にいらしたのが、労働分野の合理的配慮です。労働分野での合理的配慮、過度な負担があるということです。例えば、企業、大企業や小企業にとっては過度な負担になるということがあって、小さな工場がエレベーターを作るのは、非常に過度な負担になるので対象外だという話がありました。しかし、この報告を見ますと、ワーキンググループの目的は、子どもたちにしっかり学べる環境をつくるということで、それを目指したのですが、例えば資料2の6ページの3、共通的環境整備、まだ議論に入っていない部分ですが、その前の部分でも過度な負担という言葉がありまして、ワーキンググループでは自らセーブする必要はないと考えております。例えば、財政面で過度な負担をかけないように、というような考え方であちこちに出ていっておりますけれども。それは、財務省に言われる言葉で、我々が財政面での負担をかけないように、という言い方は省くべきだと考えております。

【尾崎主査】 ありがとうございました。前半部分の議論の時間になっておりますが、御意見のある委員はいらっしゃいますか。熊坂委員、どうぞ。

【熊坂委員】 今、財政面の負担は省くというお話がありましたが。私は町村の教育委員会です。現実には、設置者が整備をしています。これはどうしてもしなければならないことです。基本的な考え方としては、必要なものはしていくということです。ただ、市町村全てを眺めてみると、予算的規模というものには大変ばらつきがあります。例えば、教育予算だけでも1億円に及ばないところもあります。そこで、エレベーターも設置するとなると果たしてできるかどうか、これは、現実問題としてなかなか難しいと思います。このようなことを考えると、しなければならないのだが、現実的には難しい。私たちは、そのようなことも知っておいていただきたいという立場にもあります。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他にはいかがでしょうか。
 中村委員、どうぞ。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートの中村です。資料2の決定方法についてです。決定方法の内容としては、とても良くまとめていただけて分かり易くなったと感じています。この中で合理的配慮について、個別の教育支援計画に明記することが望ましい、とあるのですが、私の捉え方が間違っていれば教えていただければと思います。合理的配慮については恐らく細かい部分になってくると、個別の支援計画というより、指導計画のレベルにまでいってしまう内容も入ってくる可能性が逆に高いのかもしれない。親の立場ではそう感じました。そうなると、両方書くと言うよりは、個別の支援計画等という形で、いわゆる噛み砕いたレベルの支援計画の方で、明記する内容が含まれるものがあった方が現実的ではないか、と感じました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。そのことについても検討したいと思っております。
 他にはよろしいでしょうか。
 それでは、ここで一旦休憩に入りたいと思います。今、10時55分ですので、11時05分まで休憩といたします。11時05分には再開いたしますので、よろしくお願いします。

( 休憩 )

【尾崎主査】 それでは、再開いたします。
 ワーキンググループ報告の後半部分について、私の方から説明いたします。資料1を御覧ください。まず3の共通的環境整備についてですが、本体ではそれぞれ現状と課題について整理しております。ここでは、前段と報告のみ示しております。合理的配慮の充実を図る上で、その前提となる共通的環境整備の充実は欠かすことができないこと。そのために必要な財源を確保し、国、都道府県、市町村は障害のある子どもと障害のない子どもが、共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組みとして、共通的環境整備の充実を図っていく必要があるとしております。その際も合理的配慮と同様に、体制面、財政面を勘案し、均衡を失した又は過度の負担を課さないように留意する必要があることも考えていく必要があろうかと思います。昨年12月に親会議である特別委員会で論点整理をまとめた際にも共生社会の形成に向けた国民の共通理解を一層進め、社会的な基金を醸成していくことが必要であるとか、財政的な措置を図る観点を含め、インクルーシブ教育システム構築のための施策の優先順位を上げていく必要があるという現実もあり、今回も同様の記述を入れてみました。この部分の充実を図ることが、合理的配慮の充実に繋がるのだと整理いたしました。項目といたしましては、前回まで9項目でありましたが、理解推進については、「はじめに」の方に回しましたので、全部で8項目として定義しております。この部分、現状と課題を事務局に整理してもらいましたので、それについては後ほど自由討議で御意見を賜りたいと思います。
 続いては、4の学校における合理的配慮の観点のところです。前回の資料同様、障害の状態が多様なだけではなく、障害を併せ有する場合や変化する場合もあり、必要な支援が異なっていることに留意する必要があるとしております。これも昨年12月に特別委員会で論点整理をまとめた際に、合理的配慮のところで、ICF(国際生活機能分類)について言及されており、当ワーキンググループにおいても言及していきたいと考えております。これについては、資料2の最後に参考資料として、ICFを付けておりますので、後ほど事務局の方から説明してもらいます。また、合意的配慮の観点を見ていく中では、現在必要とされている合理的配慮について、意識共有を図る必要があろうかと考えております。さらに、合意的配慮の観点は、全ての場合を網羅することはできないので、その代表的なものと考えられる概念のものを以下に示すとおりとしております。また、障害種別に応じた配慮を例示していますが、障害を併せ有する場合には、各障害に応じた配慮を柔軟に組み合わせることが適当である、といたしました。合理的配慮の観点の番号の付け方は、分かり易いように変えてみました。内容は前回同様に配慮の例示を示しております。これは、報告本文も同じ例示を付けているのですが、本文には最終的に各委員に整理いただいている障害種別のものを掲載したいと考えております。現在、作業中ということですので、まとめていただいている状況を、今回事務局に資料3の形でまとめてもらっております。御確認ください。重複障害については、特に各障害に応じた配慮を組み合わせても、対応が難しい状況である場合に、記述するような形でまとめております。
 それでは、合理的配慮の観点のところです。まず(1)教育内容の方法のところですが、最初に(1)-1教育内容は、1~3までの3項目となっております。これは、前回と変わっておりません。次に、(1)-2情報保障のところですが、1~5までの5項目となっております。これも前回までと変わっておりません。次に、(1)-3心理面等での配慮ですが、1~7までの7項目となっており、これも前回と変わっておりません。次に、(2)の支援体制のところですが、1~7までの7項目となっております。これも前回と変わっておりません。次に、(3)施設・設備のところですが、ここには大きな変更があります。ここは前回まで1~6まで6項目でしたが、3項目にしてみました。合理的配慮の決定を設置者、学校、本人、保護者が行う際に、きめ細かく行うことは良いと思うのですが、一方で、双方に負担にならないかという心配がございます。この項目のまとめ方についても、コンパクトにできないのか考えているところです。この辺り、皆様から御意見をお伺いできればと思います。最後に、5の関連事項ですが、これら3項目は、障害種別における合理的配慮の観点をまとめる際に、併せて整理を行ったものとして、特別委員会に報告し検討いただこうと考えております。
 それでは、続いて事務局より報告全体の本体の関係部分の御説明をよろしくお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別教育支援企画官の横井です。前半同様に残り部分について、資料2で尾崎主査に説明をいただいていないところを中心に幾つか説明させていただければと思います。
 資料2の6ページをお開きください。6ページ3、共通的環境整備について、というところです。冒頭の共通的環境整備の位置付けのところにつきましては、主査の方から御説明いただきましたので、私の方からは、各項目の現状と課題について説明させていただければと思います。6ページ中ほどですが○1教育のネットワークが形成され、連続のある多様な学びの場として有効に活用されること。(ア)の現状としまして、義務教育段階においては、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった多様な学びの場を確保している。幼稚園、高等学校段階については、通常の学級、特別支援学校により対応している。また、各教育委員会が専門家による巡回相談を行っているほか、特別支援学校はセンター的機能として、幼小中高等学校等への助言や援助を行っている。さらに、特別支援連携協議会の開催等により、教育機関のみならず医療、福祉、労働等の各関係機関との連携が進められている。一部の自治体では、特別支援学校に主籍を置き、副籍を地域の学校に置く、または逆の形などの弾力的な取り組みを行っているとしております。(イ)の課題ですが、障害のある子どもが十分な教育を受けられるようにするためには、個別の教育的ニーズのある児童生徒に対して、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備していく必要があるということでして、これにつきましては、昨年12月の論点整理でも言及されている点です。
 次に、6ページの下部ですが、○2専門性のある指導体制が確保されること。(ア)の現状ですが、こちらにつきましては、文部科学省で行っている体制整備状況調査の状況について記述いたしております。全体としては、体制整備が進んでいる。とりわけ、公立の小中学校においては、基礎的な支援体制は、ほぼ整備されているということ。また、各教育委員会の巡回相談、特別支援学校の外部的機能と外部の専門化を活用した専門性のある指導体制が進められている、としております。(イ)の課題としまして、幼稚園、高等学校における体制整備、国立、私立の学校における体制整備を一層進める必要があるとしております。
 ○3としまして、一人一人の状態を把握した上で、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成、活用、評価するなど、個に応じた指導が行われることとしております。(ア)としまして、特別支援学校においては、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成が学習指導要領等に明記されている。それ以外の学校につきましても、そのような計画を個別に作成することなどにより、指導内容や指導方法の工夫を計画的、組織的に行うように、指導要領に明記されているということです。(イ)の課題としましては、個別の教育支援計画、個別の指導計画を障害のある児童生徒と全てに拡大していくことが望ましいということで、これにつきましても12月の論点整理で言及されている点です。
 続きまして、7ページの真ん中やや下の○4です。教材の確保について(ア)の現状ですが、小中学校と特別支援学校では、教科書等を使用するほか、各学校の判断で適切な教材を使用することができる。国は、教材整備費について地方財政措置を講じている、としております。また、教科書につきましては、文部科学省が視覚障害者用の点字教科書、聴覚障害者用の言語指導と、知的障害者用の国語等を作成しております。また、いわゆる教科書バリアフリー法という法律に基づきまして、検定教科書に対応した拡大教科書は、小学校では全点発行済みであり、中学校用でも来年度以降、全点が発行される予定になっております。教科書発行者の教科書のデジタルデータを文部科学省等を通じ、ボランティア団体等に提供して、拡大教科書等の作成に係る負担の軽減が図られるということを書かせていただいております。(イ)の課題としましては、発達障害等のある児童生徒が使用する教材等の整備充実を図ること。高校用の拡大教科書の発行の促進がそれぞれ求められるとしております。
 続きまして○5のところですが、施設・設備の確保につきましては、(ア)としまして、各学校の設置者が施設設備の整備を行っている。公立の幼小中特別支援学校等の施設整備に要する経費につきましては、国が一部補助という形になっております。(イ)の課題としましては、各校におけるバリアフリー対策の推進が求められること。それから、特別支援学校の児童生徒数の増加に伴う教室不足を解消することが求められるとしております。
 ○6専門性のある教員、支援員等の人的配置がなされること、というところですが、(ア)としまして、それぞれの学級編成基準を記述させていただいております。また、教職員定数の改善としまして、通級による指導のための教職員定数の改善。それから、特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を果たすための教職員定数の改善がそれぞれ進められているところ。さらに、特別支援教育支援員の配置が地方財政措置においてなされているとしております。(イ)の課題のところですが、少人数学級の推進につきましては、一人一人のきめ細かい指導の充実や家庭との連携を緊密にする効果があるということで、特別支援学校の特別支援教育の推進に資するものとして、一層の教育環境の充実を図っていくことが求められるとしております。また、通級による指導のための教職員定数の改善、特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を果たすための教職員定数の一層の改善が求められるとしております。さらに、教員や支援員等の一層の能力向上を図ることが求められるとしております。
 続きまして○7ですが、取り出し指導や学びの場の設定など必要に応じて、特別な指導を行うことができること。(ア)として、現状、小中学校では、取り出し指導、通級による指導、特別支援学級での指導が可能。通級による指導や特別支援学級では、特別の教育課程による教育が可能としております。特別支援学校では、取り出し指導に加えて、特別の教育課程による教育が可能としております。(イ)ですが、課題としまして、通常の学級で、障害のある児童生徒一人一人に応じた特別の指導の在り方を検討する必要があるとしております。これは、昨年12月の論点整理においても言及いただいている点です。
 続きまして○8の交流及び共同学習が実施されることですが、(ア)としまして、学習指導要領に基づき、交流及び共同学習の機会を設けることとされているとしております。(イ)としまして、課題ですが、改正障害者基本法の理念に基づいて、障害のある子どもと障害のない子どもが可能な限り共に教育を受けられるように配慮するという観点から、交流及び共同学習を一層推進していくことが重要である。また、一部の自治体で実施している居住地校に副次的な学籍を置くことについては、居住地域との結び付きを強め、居住地校との交流及び共同学習を推進する上で意義がある。この場合、児童生徒の付添いや時間割の調整などは課題であり、それについて検討していく必要があるということでして、これについても昨年12月の論点整理において、言及いただいている点です。
 続きまして、9ページの中ほど、学校における合理的配慮の観点ですが。最初の留意事項のところは、尾崎主査の方から御説明があったとおりです。私の方からは、9ページ、ICF(国際機能分類)になっておりますが、(国際生活機能分類)が正しいので、訂正してお詫びいたします。
 27ページからの参考資料を御覧ください。これは、特別支援学校の学習指導要領の解説自立活動編からの抜粋です。27ページ中ほどのところですが、この間、障害のとらえ方についても変化があった、と始まるところですが、障害の捉え方については、元々WHO(世界保健機関)が発表しております、国際障害分類(ICIDH)というものが使われておりました。障害をインペアメント、ディスアビリティ、ハンディキャップに分類していたという記述がされております。27ページ最下部ですが、ICIDHの改訂版として、国際生活機能分類(ICF)がWHOで採択されたというところです。
 28ページを御覧いただくと最上部ですが、ICFはまず人間の生活機能は心身機能・身体構造、活動、参加の三つの要素で構成されている。それらの生活機能に支障がある状態が障害である、という整理をしております。障害の状態については、健康状態、環境因子、個人因子と生活機能がそれぞれ相互に影響し合うものであるという説明をしております。その下の図も併せて御参照いただければ幸いです。このような考え方を学習指導要領についても取っておりまして、28ページの下部ですが、今回の改訂で障害に基づく種々の困難といった従来の表現を障害による学習上又は生活上の困難と改めております。
 29ページ中ほどですが、二つ目の段落の最下部ですが、特別支援学校等で行われている自立活動の内容は、ICFで示されている生活内容と障害の双方の視点を含むものであると言える、としております。
 9ページの方にお戻りいただけますでしょうか。9ページ、これまで配慮の観点としてきたもの、合理的配慮の観点という形で改めて整理をしたものです。各項目について、尾崎主査から御説明があった点以外につきましては、特段変更はないのですが、少々例示が障害種別に入れ違いになったもの等がありまして、その点はお詫びいたします。少し整理して、後日訂正版をお配りするような形で対応いたします。障害種別に見ていただいて、変なところがあるとお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、それについては、後日訂正版をお送りするような形で対応できればと思います。
 項目については、尾崎主査から御説明いただいた、21ページを御覧ください。(3)施設・設備のところです。尾崎主査の方からも説明がありましたが、21ページの(3)-2発達、障害の状態及び特性等に応じた施設・設備の配慮のところです。これまでここの整理は四つの項目に分けておりまして、一つが認知特性、行動特性に応じた施設・設備の配慮。二つ目が健康の維持に必要な施設・設備の配慮。三つ目が心のケアを必要とする子どもに応じた施設・設備の配慮。四つ目が障害の状態に応じた指導ができる施設・設備の配慮という形で分けていたものを一つの項目にまとめたものです。それに伴って説明文の方も全体を整理しましたので、改めて御確認いただければと思います。
 先ほど、尾崎主査の方からも説明がございましたけれども、資料3の方は、障害種別に各委員に御整理いただいているものの現在案を整理したものです。こちらの方につきましても、資料2と同様の形で示しておりますので、若干障害種ごとの入れ違い等、お見苦しい点があることもお詫びいたします。これにつきましても、後日訂正したものをお配りしたいと思います。こちらにつきましては、合理的配慮の観点の説明文との関係ですとか、障害種ごとの表現の違い、各障害種のものを聴覚障害に活用いただけるようにする、ということに事務局の方で留意しながら整理をしているところです。各委員の方々にもお目通しいただいて、これからさらにその障害種別を御整理いただく時に、御活用いただければ幸いです。
 資料2にお戻りいただければと思います。資料2の真ん中からやや下、5の関連事項につきましては、尾崎主査から御説明があったとおり、障害種別における合理的配慮の観点をまとめる際に併せて整備を行ったものとして、特別委員会に報告するという整理をしております。これまでの意見の概要等を反映させたものです。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 それでは、引き続き自由討議とさせていただきます。後半部分は、大きく共通的環境整備の現況と課題、そして合理的配慮の観点と二つに分かれると思います。後半の最初の方は、共通的環境整備、現状と課題を中心に御意見等いただければと思います。いかがでしょうか。
 河本委員、どうぞ。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。3点、文言のことで少し気になったので、修正をしていただければ有り難いと思いました。
 1点目、6ページの○2専門性のある指導体制、校長のリーダシップ云々というところに関連して、7ページの(イ)課題です。公立の小中学校における体制整備は進んでいるが・・・というところがあります。確かに、進んでいるという見方もできるのだろうと思うのですが、果たして本当にそうなのかという疑問を持っております。進んでいるという形で言い切って良いのだろうかということで、少し疑問符がありますので、その点が1点。
 2点目は9ページ。これは何かと言うと、その前ページ8ページの下部の○7取り出し指導からの関連なのですけれども、9ページの同じく(イ)の課題です。その課題のところ4行ありますけれども、下から2行目の部分、通常の学級で学ぶ障害のある児童生徒一人一人に応じた特別の指導の在り方について、検討する必要があるとあります。当然だろうと思うのですが、指導の在り方と共に評価の在り方ということも検討する必要があるのではないかと思います。指導と表裏一体であると言えばそれまでですけれども、そのような文言が入るのでしたら、是非評価のことも入れていただければと思います。
 もう1点は、同じ9ページです。○8交流及び共同学習が実施されること、(イ)課題の部分。ここのところは、行数で言うと6行ほど書いてあるのですが、1段落で全て行っておりますので、特別支援学校の交流及び共同学習と誤解されることはないかもしれませんが、特別支援学級のお子さんと通常の学級のお子さんとの交流及び共同学習というところから、視点がずれてしまう可能性がある気がしましたので、できれば改行して、特別支援学級のことも含まれていることが分かり易い表現の方法をしていただければと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
 滝澤委員、どうぞ。

【滝澤委員】 八王子市立松木中学校校長の滝澤です。本校は、特別支援学級は設置しておりません。そのような学校の校長ですけれども、もちろん設置しておりました学校の経験もございます。7ページ、河本主査代理からもございましたが、課題の御指摘がございました。教職員の専門性のある指導体制が確保されること、というところで、公立の小中学校のおける体制が進んでいるか疑問だということですが、私もそう思います。現状の分析なのですが、基礎的な支援体制はほぼ整備されている。公立の小中学校においては、校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名といった基礎的な整備体制は、ほぼ整備されている。これは整備されているかと思います。今、全日中で、生徒指導部で夏季に全国アンケートを行いましたが、校内委員会の設置は、全国の中学校でも設置が進んでいますけれども、校長が問題としているのは、いわゆる中身の問題です。形はあるのだけれども、中身として機能していないとは言いませんけれども、インクルーシブが進む前の現段階で校内委員会の中身の充実に非常に校長が苦労しているということがあります。それは何故かと言いますと、6ページの下の○2のところで、専門性のある指導体制、つまり専門性のある教員の活用、活用どころか専門性のある教員がいないわけです。全然いないわけではありません。しかし、これは既に配置されているので、ここから先の話だというところで話が進んでしまうと、多くの特別支援学校など、そのような課題を学校の教育課程として持っている学校は別として、これからという学校にとっては、根本から条件を整備しなければならないところです。この現状と課題について、もう少し現実に踏まえた記述が少しあってもよろしいかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今の意見を踏まえて整理をしたいと思います。
 西滝委員、どうぞ。

【西滝委員】 全日本ろうあ連盟の西滝です。専門性のところで、8ページの○6です。(ア)の現状では、数字が書かれておりますけれども、こちらは、学級編成の基準数が書かれてあります。専門性のある教職員、支援員の配置については少しずれているのではないかと感じます。(イ)の課題について、この文章の中に付け加えていただきたいのは、9ページの○8(イ)課題に書かれてありますように、改正障害者基本法の理念に基づき、手話も言語として認めているということに鑑み、専門性のある教員を確保することが望ましいとそこまで書いていただきたいと思っております。この○6の課題では、専門性についての課題なのかどうか少し見えにくい内容になっていると思います。基本法の理念に基づく考え方が、とても大切だと私は考えております。すみません、望ましいではなく、求められる、でした。

【尾崎主査】 ありがとうございました。一つの視点をいただきました。他に御意見ありますでしょうか。
 藤本委員、どうぞ。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本です。9ページの4のところに、ICF(国際生活機能分類)を活用することが考えられるとあります。現在の学習指導要領は、ICFの概念を入れて変わってきているわけではございます。私の専門ではないのですが、事実としてICF-CY、ICFは成人一般ですけれども、児童生徒版というのが一昨年でしょうかICF-CYとして出てきておりますので。成人全体を見たICFと児童生徒のICF-CY、子どもに合わせてどこをどう視点としたのか、少し気になっておりまして。これが2012年辺りに出すものとして、ICFのままで行くのか、児童生徒ICF-CYの方で観点を確認して進むのか、意に留めてもらえたらと思います。以上です。

【尾崎主査】 御意見ということでよろしいでしょうか。

【藤本委員】 はい。

【尾崎主査】 そのことについて、事務局から補足説明等ございますか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。ICF-CYですけれども、ICF自体が研究者の方々で整理をされているものですので、事務局の捉え方としては、ICFの中にICF-CYも含んでおり、ICFと全体で捉えても良いのではないか、ということでICFとさせていただいております。

【尾崎主査】 補足ありますか。

【丹羽特別支援教育調査官】 特別支援教育調査官の丹羽です。ICFのことに関しましては、ICFの考え方をやはり様々なところで活用しているのであって、それぞれの項目については、ここで議論しているわけではありません。ICF-CYと言われる時、ICF-CYの項目とICFの項目との違いは確かにあるのですけれども、考え方はICFで統一しております。ここは、考え方としてしっかり押さえていただきたいということで、書かせていただければ良いのではないかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、学校における合理的配慮の観点についても話が始まっておりますので、そのことについてでも結構です。御意見のある方は、お願いいたします。それでは、山岡委員、吉松委員、木舩委員の順でお願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。7ページの○3のところです。個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成、活用、評価するなど個に応じた指導が行われること、ということで、趣旨については賛成です。現行の学習指導要領において、明記されていることでございますが、一つは学習指導要領の中に個に応じた指導をするということが、個別の教育支援計画とか個別の指導計画という名称は入っておりませんが、書かれていることはこのとおりであるわけです。ただ、ここの指導方法の具体的な内容につきましては、特別支援学校の学習指導要領の自立活動のところにそれらしい項目がありまして、それをひも解くような形になっております。ここの課題のところに書いていただければ有り難いと思い、申し上げます。ここで言っている課題のところの幼小中高等学校に学ぶ児童生徒に必要な指導方法については、特別支援学校で行われている指導方法に準じた指導ではないと思っております。通常の小中学校における障害のあるお子さん、例えば発達障害に関する指導方法というのは、特別支援学校の学習指導要領をひも解くのではなくて、通常の幼稚園、小中高等学校の学習指導要領の中にきちんと書き込むべきだと思います。そこに、指導方法が明記されていないということが、私は問題だと思っております。
 もう一つは、全体の学習指導要領の改訂の中で書かれていたところは、自立活動の中の項目です。主に行動面とか生活面の問題が中心ですけれども、教科指導の面というのは、ここでは全く触れられていないのです。教科指導についてどのように指導すべきか、ということは、学習指導要領の中に書き込むべきであるということですが、この報告書の中で学習指導要領に書き込め、とは書けないと思いますが、明記されていないので明記していくことが必要ということを書いていただければと思います。以上です。

【尾崎主査】 学習指導に関する考え方としての明記の仕方ですね。
 では、吉松委員お願いします。

【吉松委員】 2点あります。一つは、7~8ページにかけて○4の教材の提供です。主に視覚障害者の教科書の現状を述べてありますが、その課題の中に是非入れていただきたいのは、視覚障害者のために音声教材というものが少しずつ利用されております。先日、入試センター関係のお話を伺った時に、成人の視覚障害者だけではなく中学生高校生で急に視力が落ちていって、点字も駄目で、文字を拡大してもそれほど速く読めないという大学入試等の補助に音声教材の併用を考えているというお話も伺いました。課題のところに是非入れていただきたいのは、点字や拡大だけではなく、今後は多様な媒体を利用した教科書・教材の提供ということが広がるのではないか、と思っております。文字を単純に拡大するだけではなく、マルチDAISYというものも作られておりますので。音声を含めた多様な媒体での提供を是非課題の中に入れていただきたいと思います。
 もう1点は、9ページ○8の共同及び交流のところです。これは前回もお話しましたが、障害のある子どもが通常の学校で学ぶ時に、やはり孤立しないということが非常に大切なのではないかと思います。障害を持っている他の子どもたちとの交流、例えば、自分1人で悩むのではなく、障害を克服するためのアドバイスや示唆のようなことを他の障害を持つ子どもたちから教えられることもあると思います。これは、ろう学校の先生に聞くと、手話を学ぶためには、手話を使う子どもたち同士のコミュニケーションという中でしか発達しないというか、非常に必要だということも聞いております。是非、交流のところに入れるのか、あるいはそうでなければ、共通の環境整備のすぐ前のところに、その他ということで障害を持つ保護者あるいは障害を持つ教員のことが書いてありますけれども、そこに入れるか、他の障害を持った子どもとの交流が必要なのだということをどこかに明記していただきたいと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 2点、意見ということでお願いいたします。8ページ○6専門性のある教員、支援員等の人的配置がなされること。これが1点目です。(ア)の現状のところに、35人、40人という標準が書かれております。その後に特別支援学級については8人、特別支援学校では6人、8人、そして重複障害の場合は3人という記述がございます。その後、通級による指導の定数、センター的機能を果たすための教職員定数の改善とございます。このような現状から、次の課題がございますけれども、ここからが希望です。(ア)と(イ)を比べてみますと、特別支援学校の学級編成の標準、特別支援学校の学級編成の標準について触れられていないので。これについても明記という形で、改善検討ということを入れていただけると有り難いと思います。
 2点目は8ページの○7から9ページにかけてのところですが、(イ)の課題のところ、これが休憩前に藤本委員から御指摘があった内容と関係があると思います。私からもそのお願いという意見として申し上げたいのが、通級の対象となっていない障害等もございます。特別支援学級の対象となる障害種別として位置付けられている。そのようなものもございますので、多様な学びの場があると同時に、多様な学びの場を柔軟に活用する仕組みをここにも書き込んでいただければと思います。それに関しては、6ページを開けていただきますと、ここで書いてあることはあるのですが、○1の教育のネットワークのところ、(ア)の現状の2行目に多様な学びの場という表現がございます。(イ)の課題の3行目には、多様な柔軟な仕組みとございます。ですから、場があると同時に、それを柔軟にあるいは弾力的に活用する仕組みを9ページ(イ)の課題のところにも、何らかの形で書き込んでいただければ有り難いという意見です。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。学校における合理的配慮の観点も含めて御意見があれば。
 福島委員、お願いします。

【福島委員】 福島です。9ページの4、学校における合理的配慮の観点○2の部分です。これは前回もお話をさせていただいたと思うのですが、均衡を失した又は過度の負担についても個別に判断するという部分に、教育においては、合理的配慮というものが一般における合理的配慮よりも高いものが求められるということを書き込んでいただきたいと思います。前半でも御意見がありましたが、やはりこの文言があると、どうしても必要な合理的配慮へのエクスキューズになってしまうと思います。また、前回の会議で私から資料4、報告の総論という形で、場所だけに依拠しない、親に依存しない、個別の配慮は当事者と当事者の参加と同意による。一律に上限や制限を設けない、あるいは反対解釈はできない、ということを提案させていただいたのですけれども、この部分についても資料2の報告に盛り込んでいただければと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に御意見はよろしいでしょうか。
 合理的配慮の観点につきましては、このように障害種別の例示を示すということで、やっていきたいと思いますが、あくまでも例示であるということです。それから、最初に説明しましたが、どんな障害の場合においても、これを柔軟な仕組みとして使っていくという考え方で整理させていただいております。それらについても御意見をいただければと思います。
 藤本委員、どうぞ。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本です。障害種別の観点のところですが、これは前回も出てきたものですから、私共の中で他の研究者にもどのように読みこめるのかということで、今日の資料ですと、例えば12ページです。変更・調整のところで、知的障害の方の変更・調整のこと、肢体不自由の方の調整の観点、LDの方の調整の観点の文章が並んだ時に、知的障害が教育内容の理解の程度などに応じて、学習内容の焦点化を図り、それから肢体不自由も教育内容の理解の程度などに応じて、学習内容の焦点化を図る。このように学習指導要領に示されて調和的に理解ができるのですが、上から読んでいくと、LDの方になった時に、学習内容の精選という言葉が急に飛び込んできまして、ずっと読んでいった時に、LDの方の配慮が言葉的に大きな配慮が要るのだというイメージで飛び込んできます。まだ観点の整理中ということですので、通読した時に22条の3に該当する障害に関係するところと、そもそも通常の学級におられる方の合理的配慮の観点については、なだらかに繋がるような形で検討を願いたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。先ほど、山岡委員も学習指導の書き込み方についておっしゃったように思いますが、今の御意見に対して山岡委員、何かありますでしょうか。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。先ほどと少し違います。恐らく聴覚障害のところでお書きいただいたように、学習内容の変更調整とほぼ似たようなところでして、学習障害(LD)の場合は、視覚認知や聴覚認知などの困難に応じて、例えば、面積の計算などです。四角形の計算はできるけれども、三角形や円など難しいものについては、もう少しここで押さえておくとか、要するにその全てをやらなくても、そのお子さんの特性に応じて、学習内容を一部に絞るということができるということが書かれているのだと思います。その意味でいくと、精選という言葉に違和感があるのであれば、他の障害種と同様に、学習内容の調整や変更という言葉に合わせていただくのは良いと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。
 少し飛びますが、21ページの施設・設備の在り方については、括り方を大きく変えました。今日、初めて変わったものを見ていただいているのですけれども、内容的にはそれほど大きく変えているわけではなく、括り方を変えたということです。これについて何か御意見があれば、出していただきたいのですが、いかがでしょうか。
 それではもう一つですけれども、このように見ても観点が非常に沢山出ておりまして、例示を見ますと、さらに細かく色々なものが出てくるわけですが、このような括り方で大丈夫なのか、あるいは20項目以上あるけれども、個別の教育支援計画、あるいは指導計画等に何らかの形で落としていく、ということになっても実際に大丈夫なのかどうか、その辺りの御意見があれば、お願いします。山岡委員、どうぞ。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。聞き逃してしまったのかもしれませんが、今、議論されている9ページのところに、学校における合理的配慮の観点とあって、資料3は整理中ということで、もう少し詳しい内容があります。これは、ワーキンググループとしての報告の中では、9ページ以下のところに集約版を載せておいて、別途資料として付けるイメージで考えておられるということでしょうか。

【尾崎主査】 集約版で別にするかどうかも含めて今検討中ですが、報告書の中にもこのような形で障害種別の観点や例を入れたいと考えております。どのような見方をするかは、再度御意見があればいただきたいと思います。今のところ、全て入れたいと思っておりますけれども、かえって分かりにくいのかもしれません。それと項目の立て方も整理してきてはいるのですが、まだまだ工夫の余地があるのではないかと思います。それについては、どうでしょうか。合理的配慮の観点という形で示していくという方向で議論を進めているのですが、示し方についても御意見をいただければと思います。

【中村委員】 よろしいですか。

【尾崎主査】 中村委員、どうぞ。

【中村委員】 NPO法人の若駒ライフサポートから参りました中村文子です。私は本当に保護者の立場で拝見させていただいて素直な意見をと考えたのですが、今、観点ということでこのように整理し、その中にも是非障害種別の事例は入れたいというお話だったのですけれども、入れるとしても、例程度に入れなければ、正直少し多いのではないかと思いました。変に多くなってしまうと、そこに入っていない部分が、例えば保護者が見た場合は、確実に出てくると思うのです。ですから、挙げるとすれば数例と言うか、あまり多くならないようにしてまとめられている方が分かり易いのではないかという気がしました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。示し方、見せ方の問題でした。
 他にはいかがでしょうか。障害種別の例示については、ワーキンググループの各委員がそれぞれに分かれて意見を出しています。ただ、全体を見る機会はなかなかなかったものですから、全体を見回して、このようなまとめ方で良いかどうかという御意見も中村委員の方からいただきましたけれども。他にはどうでしょうか。
 それでは、貴重な意見を沢山いただきましてありがとうございました。予定の時間よりも早いですが、今日の大きな議論、何か追加等ありますか。大丈夫でしょうか。
 本ワーキンググループでは、年内の取りまとめを目指して皆さんに月1回以上のペースで御審議いただいているところです。しかしながら、今日も沢山の御意見をいただきましたし、全体を共有したことが初めてであることもございますので、私としては、今回を最後とせずに、1月にもう1度会議を開催したいと考えております。ワーキンググループの報告については、本日皆様からいただきました御意見を踏まえ、私の方で河本主査代理と御相談の上、修正を行ったものを次回までに作成し、改めて次回案として皆様にお示しをしたいと思います。
 では、最後に事務局から事務連絡をお願いします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 最後に、事務連絡が1点ございます。次回第8回ワーキンググループの日程につきましては、1月中旬を予定しておりますが、具体的な日程や場所につきましては、追って連絡させていただきます。以上です。

【山岡委員】 1点だけよろしいですか。

【尾崎主査】 山岡委員、どうぞ。

【山岡委員】 日本障害ネットワークの山岡です。この手の報告書で私はいつも頭の整理がつかないのですが、資料3の作り方で、もしこのように全体を出すのであれば、1ページ目に大きな項目の目次を付けていただきたいと思います。見ていくと、どこを読んでいるのか分からなくなるもので、1ページ目に大きな項目の目次を付けていただくと、頭の整理ができると思います。全体がどのような構成になっているのか、全てを見てもなかなか整理ができませんので、そうしていただくと、ここは見易くなるのではないかと思いました。意見です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。他に資料の示し方等、何かお気付きの点があればお願いします。後で気付いた点があれば、早めに事務局の方にお知らせ願えれば検討できるのではないかと思いますが、他にはありませんか。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席いただきました委員の皆様方には改めて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

 

── 了 ──

 

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