特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成23年11月28日(月曜日)14時30分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.議題

  1. 合理的配慮について
  2. 配慮事項の検討について
  3. その他

4.議事録

【尾崎主査】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第6回合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループを開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、石坂委員、乙武委員は御欠席。滝澤委員がまだお見えになっていませんが出席。その他の委員は御出席です。
 また、特別委員会の石川委員長代理をはじめ、委員の方々にもオブザーバーとして御参加いただいております。
 なお、本委員会においては御発言される場合には、必ず挙手をしたうえでお名前を述べてからご発言いただきますようお願いいたします。また、通訳の方のためにゆっくりご発言いただきますようお願いいたします。
 それでは議事に入ります。本日は二つの議事がございます。一つ目が合理的配慮の概念整理についての自由討議。二つ目が配慮事項の共通事項について。以上、二つの議事を予定しております。それでは、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 まず、配布資料についてはお手元の議事次第のとおり、資料1から資料4となっています。参考資料として、当ワーキンググループの委員名簿を付けています。不足がありましたら、事務局までお申し付けください。
 次に、資料1を御覧ください。資料1は、前回第5回の会議では意見の概要として、第4回の本会議と第12回の特別委員会における意見として御紹介しました。今回の資料1は、それに前回の第5回の会議における意見の概要を追加したものです。
 第5回の会議の終了後に第13回の特別委員会が開催されまして、ワーキンググループの審議状況について事務局から報告を行ったところですが、特別委員会の時間の関係もありまして、特に御意見等はありませんでしたので、報告します。
 資料1については、本日の審議の御参考として活用していただければ幸いです。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 さて、本日の議事に入ります。前回に引き続き、合理的配慮の概念整理についての自由討議を行います。まずは、事務局より資料の御説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 資料2を御覧ください。こちらは、前回までいただいた御意見を踏まえて、障害者の権利に関する条約の合理的配慮について、本ワーキンググループで一定の整理を行う上で、事務局で作成いたしました概念整理のためのペーパーです。まず1ページですけれども、前回の会議でお示ししているものとほぼ同様の内容ですが、若干修正した点だけ説明させていただければと思います。
 まず、(1)の定義についての○1です。条約における定義の解釈ですが、「特定の場合において必要とされるもの」を、前回、学校教育を受ける場合に必要とされるものという書き方をしていたのですが、より個別のものであることが分かりやすくなるように、具体的に書くようにしました。具体的には、障害のある子どもに対し、その状況に応じて学校教育を受ける場合に個別に必要とされるものとする、という形で書かせていただきました。
 また、前回の会議の説明の中でも触れましたけれども、参考の障害者の権利に関する条約の第2条に、前回、「合理的配慮」とは、のところだけを書いていたのですが、今回、障害に基づく差別としてあらゆる形態の差別を含むと書いています。その上で、あらゆる形態の差別の中に合理的配慮の否定を含むというところを、前回の説明の中でも触れましたけれども、新たに書きました。
 続きまして2ページを御覧ください。2ページは合理的配慮の概念ということで、御議論いただいた中で、更に御議論を深めていただきたい点について整理しております。まず○1ですが、個々の障害のある子どもが必要とする支援について、どのように整理するかということで、ここでは環境整備と合理的配慮という形で示しております。この部分を読み上げますと、個々の障害のある子どもが必要とする支援を整理すると、まず、教育環境の整備を、法令に基づき、又は法令に基づかないものの財政措置により、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、市町村は各市町村内でそれぞれ行っている。このことを「環境整備」と呼ぶ。一方、これらの環境整備の前提条件として、設置者及び学校が、各学校において障害のある子どもに対し、その状況に応じて、個別に「合理的配慮」を提供している。よって、「環境整備」と「個別の合理的配慮」を合わせて「学校における配慮事項等」と呼ぶ、ということでよろしいか、ということです。
 これについては役割分担の整理ですが、本ワーキンググループの第1回の資料としてお示ししたものを御覧いただきたいと思います。机上の赤いファイルは、これまでの配布資料を綴ったものですが、一番後ろのページから3枚めくっていただきますと、資料8の別紙1があります。ここでは、公立小・中学校についての国、都道府県、市町村、学校・校長等の役割分担という形で書いておりますが、アとして教員、支援員等の確保。そのaの中で教員の給与負担・定数。国は給与費の3分の1を国庫負担する。都道府県は給与全体を給与負担しますが、実質は国の3分の1国庫負担を受けて、3分の2を負担している。それから教職員定数を都道府県が設定している。国は総数の標準を設定している。
 それから、教員の研修についても、国は指導者層養成のための研修を計画・実施している。都道府県は研修を計画・実施している。市町村は研修の実施。都道府県が行う研修への協力を行っている。学校・校長は校内の研修を実施している。
 cの支援員の配置については、国は地方財政措置を行っていますが、実際には、市町村で特別支援教育支援員の配置をしている。
 3ページの施設・設備の整備で申しますと、国は国庫負担として3分の1又は2分の1の経費を負担している。市町村は学校施設・設備の整備に要する経費の負担をしていますが、上の国庫負担を受けますと実は2分の1であったり3分の2であったりする。それから施設・設備の維持修繕についても、国は維持修繕費として地方財政措置をする。市町村が自ら維持修繕を実施する。
 それから、ウの教育課程の編成や教材等の配慮についても、aで国は教育課程の基準の設定を学習指導要領等において行っている。市町村で教育課程の管理を行っている。学校・校長で教育課程の編成を具体的に行っている。bの教科書ですが、国は教科書の検定や無償給与、それから文部科学省著作教科書を作成している。都道府県は採択についての指導、助言、援助を行っている。市町村が実際に採択する。cの教材についても、地方財政措置を国が行っている。市町村は教材の届出又は承認を行う。学校が具体的な教材の決定を行っているという役割分担であるということで、そういうものを前提条件として個別の合理的配慮を提供しているという整理としてはどうか、ということです。
 続きまして○2ですが、合理的配慮の内容については、個別の状況に応じて提供されるものであり、これを具体的かつ網羅的にすることは困難である。本ワーキンググループにおいては、合理的配慮を提供するに当たっての観点を、「配慮の観点」としてそれを列挙・類計化するとともに、各「配慮の観点」に、障害に応じたより具体的な配慮の内容を例示するという構成として、それを指針案として取りまとめるということでよろしいかお伺いします。
 続きまして○3ですが、「均衡を失した」又は「過度の」負担の考え方ということで、まず一つ目ですが、合理的配慮の提供に当たっては、各学校の設置者が財政面、体制面も勘案し、「均衡を失した」又は「過度の」負担について個別に判断する、ということでよろしいかお伺いします。次に、学校の設置者が、財政状況が厳しい折であっても、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受けるというインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組として、合理的配慮の提供に努める必要がある、ということでよろしいかお伺いします。
 続きまして○4ですが、配慮の観点の類型化について、これまでも御整理いただいているとおりですが、○1教育内容・方法。○2支援体制。○3施設・整備についてそれぞれ類型化を行うということでよろしいかお伺いいたします。
 続きまして○5ですが、個別の合理的配慮の内容の決定についてです。まず一つ目ですが、設置者、学校と保護者、本人により個別の教育支援計画を作成する中で、本ワーキンググループによる指針(案)の「配慮の観点」を踏まえて、個別の状況に応じ、可能な限り個別の合理的配慮の内容について合意形成を図った上で決定し、提供される、ということでよろしいかお伺いします。二つ目ですが、設置者、学校と保護者、本人の意見が一致しない場合には、第三者機関により、その解決を図ることが望ましい、ということでよろしいかお伺いします。
 続きまして3ページですが、○6として通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の取扱いですが、一つ目として、合理的配慮は各学校において障害のある子どもに対し、その状況に応じて個別に提供されるものであり、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の設置は環境整備として行われるものであるから、合理的配慮ではない、ということでよろしいかお伺いします。二つ目ですが、本ワーキンググループにおける「配慮の観点」は、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校全てに共通するものであることから、学校種別で書き分ける必要はなく、それぞれにおける「環境整備」を前提条件とした上で、本ワーキンググループの指針(案)の「配慮の観点」を踏まえ、個別に決定し、提供される、ということでよろしいかお伺いいたします。
 以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。前回のワーキンググループにおける審議、それからその後に行われた特別委員会での審議について、全般的な説明を行っていただきました。会議の後半では、配慮すべき事項の共通事項について討議いただく時間を用意していますので、まずは合理的配慮の概念整理を中心に、当ワーキンググループの考え方を整理したいと存じます。
 それでは自由討議に入ります。発言のある方は挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。

【西滝委員】 はい。

【尾崎主査】 お願いします。西滝委員。

【西滝委員】 全日本ろうあ連盟の西滝です。一番初めに発言させていただきまして申し訳ございません。途中から入りにくいということもありまして、最初にまず用意していただいております。例えば、合理的配慮の概念についての(2)ですが、○1では環境整備と個別の合理的配慮を合わせて学校における配慮事項等と呼ぶ、ということで良いかということを質問されていますが、最近の例ですが、例えば徳島県で盲学校に聾学校が統合するということになっています。その環境整備は果たしてよい事なのかどうか。盲の子どもと聾の子どもが共に学ぶということが、個別の合理的配慮に当たるのか。
 私は、まず盲学校に聾学校が統合というのは、環境整備上大きな問題を持っていると思います。また、盲学校の先生が、聾学校の子どもを指導する。逆の場合は聾学校の先生が、盲学校の子どもを指導するというのは、非常に個別の子どもに対する指導の上でも合理的配慮を欠いていると思います。現実に徳島だけでなく、他のところでもそういう統合が計画されている。こういう現状を無視して、今こちらのように概念で良いかと聞かれても、現実にそぐわないように感じています。ですから現在の特別支援教育の進め方は、合理的な配慮の義務に違反しているのではないかと、強く感じています。そういうことを抜きにして、今回の議論は始められないのはないかという気持ちを持っております。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 西滝委員にお尋ねします。質問ということでの御発言でしょうか。

【西滝委員】 この文章と現実がかなり矛盾しているということを言いたかったわけです。

【尾崎主査】 御意見ということですね。ありがとうございました。
 他に御意見等ありますでしょうか。福島委員お願いします。

【福島委員】 福島です。各論部分については、大分議論が進んできましたけれども、合理的配慮というのは皆さんも御存知のとおり、国連の人権条約である障害者の権利条約に基づく人権、あるいは差別の禁止といった理念と一体であることももちろん忘れてはいけません。そのため、現在、実質的にはガイドラインという形でまとめられつつある当ワーキンググループの報告書の部分に、ガイドラインの総論として、各論の適用に関する諸原則のようなものを明記しておく必要を感じています。
 一般論としてガイドラインには法的拘束力はなくて、その解釈あるいは判断というのは、地方自治体に任されているわけですが、一例として国、地方の間の通知、昔は通達というのがありましたけれども、皆さん御存知のとおり地方分権一括法の施行で今は通知というものに変わっており、通知には法的拘束力はないにも関わらず、しかし実際は、地方自治体における運用においては、この通知というものがかなり大きな影響を与えている、ということも周知の事実だと思います。
 そこで、今日は資料4に、当ワーキンググループの報告の総論にあたる部分に明記されるべき原則について、7項目にわたってまとめてみましたので、簡単に説明させていただきたいと思います。今、御説明いただいた資料2の部分とかなり重複している部分もあるかもしれません。
 まず一番初めに、これはこの会議が始まって以来ずっと申し上げておりますが、原則としては場所だけに依拠をしないということです。通常の学級、特別支援学級、特別支援学校のいずれを就学先として選択しても、その障害のある子どもの個別のニードに即した合理的な配慮を確保するということが必要だと思います。
 二点目が、親に依存しないと書かせていただきました。学校や教育委員会は、非常に安易に親の付き添いを求めてきます。親の付き添いというのは、単に親の身体的、あるいは経済的負担だけではなく、親が付き添うことによって、学校が全て親任せの思考停止の状態になってしまう、あるいは、本人の自立を阻害し、周りの子どもたちとの間に不自然なバリアーのようなものを形成してしまうようなこともあって、非常に好ましくないというのが、私の経験上の結論です。
 三点目は、個別の配慮は当事者の参加と合意によるということです。個別支援に係る合理的配慮の提供については、本人又は親の参加による同意を条件とするということです。例えば、介助員の配置等の個別の支援については、この配置をするという合意形成の過程への参加というプロセスがとても大事です。つまり、支援の一方的な押し付けにならないような配慮が必要ということです。
 四点目が、一律に上限や制限を設けないということです。合理的配慮は、本人の個別ニード及び親の意見をもとに規定されるべきものであって、一律の上限や制限を設けるべきではないということです。
 それから五点目です。学校教育は私事一般よりも高い次元を志向するということです。均衡を逸した又は過度の負担を課さないものという但し書きの適用に関してですが、学校教育における合理的配慮というのは、やはり私事一般のものと比べるとより高い次元のものが求められて当然だと思います。この但し書きが、合理的配慮を提供しないというエクスキューズ、お金がないからしなくてもいいという言い訳に使われないように、きちんと押さえておく必要があると思います。
 それから下から二番目が反対解釈の禁止と書かせていただきましたけれども、当ワーキンググループの定める合理的配慮、あるいは配慮事項等はあくまでも例示でありますので、ここに書かれていないからといって配慮しなくても良いと解されないように、きちんと明言する必要があるのではないかと思います。
 最後が救済制度の確保ということで、疑義や紛争が発生した場合の解決の仕組みとして、先ほどもお話にありましたけれども、第三者機関による調整や判定、不服申立て等の救済制度が必要ではないか、とまとめさせていただきました。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。
 他に御意見ないでしょうか。山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。何度か同じようなことを申し上げているのですけども、この特別委員会とワーキンググループですけれども、国連の障害者への権利条約への批准に向けた検討ということで、各省庁において各分野の検討を行うという昨年6月の閣議決定を受けたものと理解をしております。
 それから、昨年の12月に論点整理において、特別委員会でインクルーシブ教育への理念とそれに向かっていく方向性に賛成するという基本的な考え方を示しておりますけれども、発達障害の団体の代表する者として、また、個人としても、この考え方に賛同しております。昨年来何度も同じ話をさせてもらっているのですけれども、今回の検討は障害者の権利条約に批准する、ということを最低限できるような内容にしていくことが、我々の責務だと思っております。
 昨年から申し上げてきた国立特別支援教育総合研究所で、各国の状況等についてこの春頃、一度御披露いただきまして、あまり杓子定規なところではなくて、各国において結構柔軟性をもって対応しているということも分かったのでありますけれど、我々ワーキンググループの中ではある程度の水準と言いますか、ミニマムなところは何か示しておく必要があるのではないか。我々の責務ではないかと思っているところであります。
 今回のワーキンググループの報告書では、合理的配慮について通常の学級、あるいは通級による指導、特別支援学級、特別学校の設置とか、その場に共通するものであるという御意見で今まとめられようとしております。この点について私は異を唱えておきたいと思います。報告書案の資料2でも引用されているのですけれども、障害者の権利条約の第二条において、「「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、」とうたわれています。ここの「他の者と」というところがありますけれど、何を言わんとしているかというと、権利条約の第二条、あるいはその他の部分、あるいは前の前段の定義を見て、アザーズという言葉がどう使われているかというところを見ると、恐らく障害のある方が一般の中に入った時にその一般の方、障害のない方と同等のあるいは差別を受けないということを、意識して書かれているものと理解をしています。
 ここのワーキンググループの中で通常の学級、通級における指導、特別支援学級、それから特別支援学校、どの場合においても配慮が必要だということは私も賛成しているのですけども、合理的配慮と言った場合にまずは通常の学級において障害のあるお子さんが入った場合に、最低限ミニマムでこのくらいの合理的配慮が必要だ、というところはまず言った上で、通級や特別支援学級や特別支援学校においてはこういう配慮が必要だ、という二段構えにすることが必要だと思います。しかし、どの場合にも配慮が必要だと言ってしまいますと、元々の障害者の権利条約の第二条で求めているところの合理的配慮の、私は多分一番大事だと思っている障害のあるお子さんが一般の中に入った時に差別を受けない、という大切な部分が薄れてしまってそこがきちっと示せないのではないか、と思っております。ですから、今いただいている案の中でいきますと、通常の学級の中における配慮ということを一段格上げして書くべきではないか、というのが私の意見です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。
 主に○6に関しての御意見だったというふうに受け止めてよろしいですか。はい。それも含めていかがでしょうか。ここは議論があるところではないかと思うのですが。それでは小中学校の立場からということで、河本委員。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。
 今、特に○6番のことということで指定されていますので、学校現場を含めて少しお話をさせていただきたいと思います。山岡委員がおっしゃっていることも私ももっともだなと思いながら聞かせてもらいました。特に、通常の学級の中にいる発達障害と言われているお子さんをどう支援していくかということと、現在の通級あるいは特別支援学級、あるいは特別支援学校に在籍しているお子さんと、やはり今は違う状況に置かれているのだろうと思います。当然、これからも同じような状況があり得るのだろうなと思います。
 例えば、特別支援学級なり特別支援学校の通級も含めてですけども、そういうお子さんがそこの学級あるいは学校の中にいること自体が、どちらかと言うと合理的配慮の一部分を享受しているのかもしれません。あるいは反対に考えると、通常の学級の中にいる先ほど申し上げた発達障害と言われているお子さんが、子どもさんのニーズに合わせて何らかの手を差し伸べる必要があると思います。どういった合理的配慮が必要なのかというところの論議というのは必要なのかなと思います。
 ただ、現在何もやってないということではなくて、国だとか地方公共団体だとかあるいはそれぞれの自治体だとかが、通常の中にいるお子さんに対しても様々な合理的な配慮が行われているのだというふうに思っています。具体的には介助員のこともそうですし、あるいは教材・教具のこともそうですし、あるいは教室の中のお子さんのグループ編成だとか机の配置だとか、様々な所で配慮されているということは事実なのだろうと思います。ただ、我々のワーキンググループで共通認識しているようなお子さんと保護者も含めてですけども、お子さんと学校と行政側とこの三者が合理的配慮について、そのお子さんに合った何が必要で何ができるかということの論議というのはしていかねばならないと思っています。そういう意味で言うと、通常の学級の中にいるお子さんは、これからどういう形で多くの手を差し伸べていくかということが論議する必要があると思います。ですから、現在の特別支援学級、特別支援学校と少し違った読み方をしていく必要があるということが、山岡委員と同じような考えをもって聞かせていただきました。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございます。
 ○6をもう1回見ていただきますと、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校の設置は環境整備として行われるものであるから合理的配慮ではない、ということで良いか。それを前提にした上で、更に配慮の観点は通常の学級・通級による指導、特別支援学級、特別支援学校全てに共通するものであるから、学校種別で書き分ける必要はない。そういう考え方でいいのかということで、これは解釈の仕方で色々な意見が出ると思うのですが、どうでしょうか。その辺も踏まえて。中村委員。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートから参りました中村文子です。今のことなのですが、文章的に私が感じたことは、多分この「通級による」の取り扱いについてというところの中で、合理的配慮には当たらないという文章の書き方をすることで、通常学級における配慮の共通点が薄れてしまうということだと思います。
 逆に、例えばこれを前段階で、合理的配慮については通常級におけるものであるという押さえをしてしまったらいけないのかなと、単純に思いました。私の捉え方が間違っていたら申し訳ないのですが、合理的配慮というのは決してないけれども、配慮は必要であるという意味合いでこういう文章にされていると思います。

【尾崎主査】 はい、御意見ということでよろしいですか。他に御意見ありませんでしょうか。○6だけではなくて、定義については、合理的配慮の整理の最後に、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるものとするという定義ではどうかということになっております。それも合わせて少し複雑な関係となっております。

【中村委員】 複雑ですよね。

【尾崎主査】 それも合わせて御意見いただければと思うのですが、いかがでしょうか。小中学校ということでの立場で山中委員、こういう整理の仕方でいいかどうか、もし御意見あればいただいきたいと思います。

【山中委員】 私もこの○6の解釈の仕方は、いろいろになるかと思うのですが、一つ目はいいのですが、特に二つ目ですが、環境整備を前提条件として本ワーキンググループの指針の配慮の観点が個別に決定し提供される、というところなのですが、ここが一番目的なのかなと思います。特別支援学校では環境整備というのはしていて、例えば学習障害とか注意欠陥、LDとかADHD、元々通常の学級にいるお子さんというのは今回いろいろ作業をしていただいているので、通常の学級で配慮するということはかなり明確になったと思いますが、それでは視覚障害とか聴覚障害・肢体不自由等のことを通常の学級に置き換えて考えてみると、例えば施設・設備的な面ではすぐにいろいろやるということが難しいなと思います。ここがいろいろな解釈の仕方はあると思うのですが、特別支援学校でそういう配慮をしているわけだから、通常学級ではしなくて良いというふうにも読み取れてしまうと思います。そういうふうにしてしまうと今までと何ら変わることがなくなってしまうので、表現の仕方が重要だと思います。今回ワーキンググループができたということは、配慮について、もう一歩踏み込んだ通常の学級でも少し配慮を、先ほど山岡委員が言ったような形でミニマムでとか、最低限やっぱりこれだけはというようなことがあると思います。今すぐこういう文案がいいというのは思い浮かばないのですけれども、これを反対に読んでしまうと通常の学級ではしなくてもいいということになってしまうのではないか、と思いながら読んでいるところです。

【尾崎主査】 一応○6の二つ目については繰り返しますが、配慮の観点は通常の学級から始まってそれぞれの学校に共通するものというふうに言った上での話だ、ということも踏まえての御意見ということでよろしいですか。はい、ありがとうございました。
 他に御意見いかがでしょうか。来た早々で申し訳ないのですが、滝澤委員ありますでしょうか。

【滝澤委員】 遅くなりまして申し訳ありませんでした。
 今の2で通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校全てに共通する配慮の観点はそうですけども、現実の特別支援教育の内容については大幅な違いがありますので、私はそれぞれにおける環境整備を前提とした上でそれぞれに書き分ける、個別に決定して提供されるというのがよろしいかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 この○6についての意見は大体出尽くしたでしょうか。もしあれば更に御意見いただきたいと思います。なければ○1から○5までも含めまして、こういう整理の仕方で良いかというふうに今日は資料が出ていますので、それについての御意見をいただければと思います。どこの番号でもよろしいかと思うのですが。いかがでしょうか。山岡委員お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。それでは2点ほど。
 ○3ですけども、ここに合理的配慮の提供に当たってはという記載がありまして、個別に判断することで良いか、となっています。ここも先ほどと多分同じようなところもあるのですけども、個別に判断すると言いますか、個々の自治体等の設置者が、個々の財政面や体勢も踏まえて個別に判断するということになると基準がないに等しくて、今と何が変わるのだということになるかと思います。ですから、保護者の立場からしますと、日本中どこにいても最低限守られるべき水準があるべきだと思っています。ガイドラインを示すのであれば本ワーキンググループで検討するのが良いと思いますけれども、ミニマムスタンダードと言ったようなものが示されるべきだろうと思っています。
 それからもう一つ○5で、設置者、学校と保護者、本人の意見が一致しない場合には、第三者機関によりその解決を図ることが望ましいということで良いか、というところがあります。福島委員からも出ておりましたけれども、教育委員会以外で第三者的なオンブズマンみたいな制度があるといいなということをお話したことがあったと思います。保護者が経済的な負担とか専門的知識がなくても仲裁を求めることができて、それを何らかの平等な立場で審判できるような機関があればいいな、というふうに思っています。前回8月頃の会議で行政不服審査法のことが照会され、その後意見募集みたいなことが行われて次の段階に進んでいるのかもしれません。その辺の情報もあれば教えていただきたいと思います。以上です。

【尾崎主査】 その辺の情報があれば教えていただきたいということですが、事務局で情報ありますでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今、山岡委員がおっしゃられたのは特別委員会で出した資料だと思います。簡単に説明させていただきますと、現在、行政刷新会議で行政福祉審査制度についての見直しが行われていて、前回8月の特別委員会の時点ではこれからパブリックコメントを行うという段階です。私の記憶が正しければ現在はパブリックコメントを終えた形のものが、先日11月に行われた行政刷新会議で公表されているような、そういう段階です。

【尾崎主査】 それでは他に○1から○6、あるいは定義そのものについてでも結構ですので、御意見があればお願いします。西滝委員、お願いいたします。

【西滝委員】 西滝です。合理的配慮についてですけども、今の推進会議、あるいは差別禁止法部会等との整合性が必要だと思います。特に差別禁止部会については、差別の定義が今大まかに三つの柱が考えられているようです。一つは直接差別。細かく申し上げなくても分かると思いますが、二つ目が間接差別。三つ目が合理的配慮義務違反。これらが差別であるということにまとめられる見通しがあると思います。文部科学省の資料を見ますと、合理的配慮というのはあくまで配慮の範囲であって、合理的配慮義務という言葉は一つもない。義務というのは権利条約でも明確に書き込まれております。合理的配慮義務を違反した場合これは差別になるのだと、そういう強い書き方が出ないと権利条約の批准にはつながらないのではないかと感じております。何か心配りのような、そういうことがない場合は第三者機関が学校そして保護者との話し合いを持つような、そのような形になっていって少し弱いかなあと感じます。以上です。意見でした。

【尾崎主査】 ありがとうございました。定義も含んでそして決定のあり方についての御意見だったと思います。他に御意見ありますでしょうか。髙橋委員。

【髙橋委員】  全国町村教育長会の髙橋です。合理的配慮の概念の中の○3ですが、私としては合理的配慮をする場合には、各市町村の財政面での裏付けというのがないと、いくら良いことを決めてもなかなか実行に移せないのだという話をしました。ですからこうした文言が入ってくるのは町村で行政に携わる者としてはある面ではありがたいです。当然だと思うのですが、ただ、この中でここまで具体的に書かれてしまいますと、非常に解釈が広すぎるため、私としてはあまり好きではない言葉になります。「均衡を失した、又は過度の」の中で、この「過度の」は受け取り方が解釈がまちまちで広いのです。そのことによってせっかくここで話し合われてきた合理的配慮というものが、薄められはしないかという心配もあります。この会議は障害者の権利に関する条約を日本政府がどう批准するかということでもたれているわけですし、しかも「障がい者制度改革推進本部」は内閣総理大臣の下で行われているものですから、この言葉については何かもう少しこう努力、義務とか何かないと、このまま我々市町村の教育委員会の個別の判断に全て任されてしまい、結果としてせっかくここで話し合われたことが非常に薄められてしまうという懸念がしております。ただここにありますように、財政面の国又は都道府県の支援がないと難しいことも事実です。
 それからもう一つ、先日発言しましたが各都道府県によってまちまちだということを聞きました。それは各学校にあります特別支援学級のあり方なのですが、私の県では、私が経験したところでは原則として、定数としては特別支援学級に籍は置いてありますが、その児童生徒の本来の籍は通常学級にあるということでそこに机も椅子も全部用意してあって、その子の事情に応じて取り出し指導の時は特別支援学級に行くことになっており、固定化されていません。したがってその子によって、例えば理科が好きだ、社会が好きだという子どもについては通常学級で授業も受けている。それから一般の体育とか他の授業については通常学級で授業をしている。ですから、何か都道府県によっては特別支援学級がもう固定化されているというふうに聞いておりますし、私の県のように固定化されておらず、原則として通常学級で授業をする。ですからその子の状況に応じて特別支援学級で授業を受けるというような形態をしている。これは国としてどうお考えになっているのか、又は傾向としてはどちらが多いのかということをお伺いできればと思います。以上です。

【尾崎主査】 今質問があったのですが、答えはよろしいでしょうか。事務局お願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。特別支援学級がどのように運営されているかという調査はありませんが、今おっしゃられていることは特別支援学級の児童生徒が交流及び共同学習の形で通常学級に入っていかれていると、そのように理解しておりますので、国としては交流及び共同学習を学習指導要領にも位置付けて進めていただきたいということでお願いしているような状況です。特別支援学級の子がどのくらい交流及び共同学習に入っていっているのかという調査は、今のところはしておりません。以上です。

【尾崎主査】 河本委員。

【河本主査代理】 全特協の河本です。関連して特別支援学級のお子さんがどういう状況なのかということについて、少しお話をさせていただきたいと思います。御承知のように、子ども達の在籍の籍を二箇所に置くことはできませんので、特別支援学校か特別支援学級かあるいは通常の学級に籍を置くことになります。通級による指導は通常の学級に籍を置いて必要に応じて、年間280時間以内の範囲で通級の指導を受けるということですので、基本は通常の学級だということになります。横井企画官からお話がありましたけれども、今、全特協でも交流及び共同学習をどう充実させていくかということを、大きな課題の一つとして取り組んでいるところです。全国規模で同時にそれぞれの学校の中の交流及び共同学習を底上げしていこう、ということで取り組んでいます。その実態調査等も今年度行いました。具体的にはそれぞれの学校で交流及び共同学習というのは行われていますが、行われている内容の問題があるので、今申し上げたように底上げをする必要がある。内容の充実ということです。そんなことで取り組んでいるところです。今回の学習指導要領、中学校の学習指導要領は来年からですけれども、小学校は今年度から全面的に進んで、実施されております。その中でも交流及び共同学習ということが成文化されて文言として入っておりますし、先だっての8月に公布された改正障害者基本法の中にも交流及び共同学習の充実ということで明言されておりますので、どの学校も通常の学級の子どもたちと障害があるお子さんとの交流及び共同学習というのは大きな問題として捉え、これから全国的にも進んでいくのではないかと考えています。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 合理的配慮の考え方や位置付けをある程度整理しておかないと、なかなか先に進めない現状もあります。それで今日事務局から案を示していただいたのですが、これについて議論を更に進めたいと考えています。こういうまとめ方でいいのかどうかということについて、もう一度見ていただいて、御意見をいただければと思います。
 吉松委員お願いいたします。

【吉松委員】 先ほどの髙橋委員の御意見と同じような内容なのですが、「過度の」という文章がありますけれども、過度の負担というのが何をもって過度の負担となるのかということが重要なことだと思います。それは自治体、学校の設置者だけの問題ではなくて、仮に過度の負担になってもやらなければ障害者の権利、あるいは教育権の保障ということにはならないというような状況になる場合もあると思うからです。同じ条件整備でも地方によっては非常に過度の負担になる。それから中央、例えば東京都等ではそれはそう些細な問題ではないというような事例もあるはずで、それを単に自治体だけの責任で言うと地方格差というか、地方ではインクルーシブ教育ができない、都会ではできる、みたいなことになってしまうのではないかという不安があるので、この均衡を失する、あるいは過度の負担ということは、観点というか何をもってそうなのか。誰がどういう視点で判断するのかということがどこかに定められていないと、なかなか難しいのではないかと思います。先ほども言いましたように、過度の負担になってもやらなければいけないことというものが障害者の問題にはあると思うので、その辺をもう少し明記していただきたいと思います。
 もう一つ、これは質問になるのですが、今後の本日の会議の進め方についてです。今、合理的配慮の概念やそれがどのようものかということを議論しているわけですけども、今日の資料2の中の二番目の配慮の観点について議論して、その後、障害について協議するということなのでしょうか。今日出されたこの資料3というのは、どのような位置付けになるのでしょうか。

【尾崎主査】 本日の会議は、最初に合理的配慮の概念等の整理をします。その後、配慮の観点について後半で協議をします。本日はそういう順番で考えております。

【吉松委員】 それではここで出されている資料3というのは、その配慮の観点の具体的なものということなのですか。

【尾崎主査】 まだ資料の説明をしておりませんので。

【吉松委員】 はい、分かりました。

【尾崎主査】 合理的配慮の概念をある程度整理していかないと、観点の整理もまた行ったり来たりという議論になってしまいます。それが予想されるものですから、ここで合理的配慮の概念はこういうまとめ方でとりあえずいいのかどうか、しかしここには問題があるとか、そういう御意見をいただければ大変ありがたいと思います。いくつか課題も御指摘いただいております。それでも結構ですので御意見をいただければと思います。中村委員。

【中村委員】 若駒ライフサポートから参りました中村です。先ほどはうまくまとまっていなかったのですが、その意見に関連した意見です。先ほど、山岡委員から合理的配慮というのは、本来は通常の学級における配慮という部分が始点となるべきではないか、というお話があったのですが、私は逆の意味でそれはすごく感じていて、本来どうして学校種別が通常の学級があって、通級があって、特別支援学級があって、特別支援学校があるかというところが、今現在少し薄れてしまっているのではないかと感じる部分があります。逆の意味で特別支援学校というのは、支援の濃度がとても濃い方に関してきちんと支援できる場所でなければいけないと私は思っています。そういう意味合いで、合理的配慮というものについて全ての学校の中で一つにまとめてしまうと、そこが逆に私は分からなくなってしまうような気がします。本来、学校種別というのはそういう部分の視点はなければいけないと思っているのですが、そこの部分が少し薄れているということを感じているものですから、そういう意味合いで最後の部分の配慮の観点辺りは学校種別である程度分かれてもいいのではないかというように少し感じています。

【尾崎主査】 ありがとうございます。
 他に意見はありますか。藤本委員お願いいたします。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本です。実は○5の合理的内容の決定についてというところで、基本的に書かれている決定はいつかしなければいけないものです。その中で決定しなければすぐに第三者委員会により対応のようなケースがあるのですが、私が研究で調査に行った外国では、当初の決定はそうでありますけれども、実は教育を行う中で子どもが成長・発達するものですから、決定の後、子どもの成長とかそういうものを見て、いいものに対応していくということを行っています。この書き方だと、もう運命の1回で終わりという感じがありまして、少しその辺、すぐ調停みたいな形ではなくて、成長を持った修正・変更というものが必要ではないか、そういう機会が必要ではないかと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。○5の項目が二つあるのですが、その間にもう少し記述が必要ではないかという御意見だったと思いますが、他に御意見ありますでしょうか。河本委員。

【河本主査代理】 全特協の河本です。今特別支援学級設置校の校長を十何年間やっていて気が付いたことは、障害があるお子さんの状況が全て違うということです。ですから、どこで線を引くかというのは非常に難しいと思います。私は、合理的配慮はそれぞれのお子さんにとってどういう合理的配慮が望ましいのかということを、その子の状況に合わせて考えていく必要があると思います。ですから、基本になることはやはり学校と本人と親御さん、そして行政と、三者が合意形成を図れる、どういう合理的配慮が必要なのかということの合意形成が図れる場を常に用意をして対応できる、というようなことがこれから必要になっていくのだろうとに思っています。分かりにくいかもしれないのですけれども、先ほど福島委員から提出していただいた7点のこの項目で、例えばなのですが、もう少し例を出させていただいてお話をさせていただくと、例えば福島委員の資料の2番目に、親に依存しない、ということが書かれています。正にそのとおりだと思っています。ただ、今学校現場で特別支援学級にいるお子さん、入学して1年生、2年生、3年生と上がっていった時に、将来的には5年生、6年生になった時に、当然一人下校、一人登校を目指して子どもたちに学習させていきます。東京都は御承知のように拠点校ですので、かなり離れたところから通ってくるお子さんがいます。将来を見越して交通手段も含めて一人で登校して一人で下校するようなことが、6年間の中で完成できるようにということです。ただ1年生、2年生から一人で来るのだよといっても、とてもこれはできません。その時に、親御さんに送り迎えをしていただいております。ただ、親御さんも色々な事情で送り迎えできないとなった時には、それぞれの自治体で名称は様々なのでしょうけれども、何とかボランティア制度とかを利用しながらボランティアがその子の送り迎えをしてくれるということになるのだろうと思います。中野区では、このボランティアの送り迎えで約300万から400万の予算を計上しているという話も聞きました。それではもっと額を増やして全員送り迎えをその方たちにお願いすればいいかというと、そうではないのだろうと私は思っています。やはり学校と親御さんと話しながら、いつ一人登校をさせることができるか。あるいは、一人登校させる前の段階でどこまで親御さんが来ていただいて、どこの段階でそれでは学校がそこまで行きましょうなどという話は、やはりお子さんの状況を見ながら将来的な自立に向けて、あるいは独り立ちすることに向けて細かな調整、打ち合わせをしないとこういった一人登校、一人下校というのはできないのだろうと思います。ですから人さえ付ければいいということではなくて、ここにはやっぱり親御さんの協力を得ないといけないということなので、一概に何でもかんでも親御さんに付いてもらうというのはもちろん私も反対ですけれども、そういう状況に合わせて親御さんの力も借りたいなと思います。そのためには冒頭でお話した合意形成が必要であると思っています。それは1回やればもういいということではなくて、状況に合わせて常に合意形成を図れるような場を学校と、あるいは行政で提供する必要があると考えております。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは合理的配慮の概念等について御意見他にありますでしょうか。この概念については○1から○6までがそれぞれ独立してあるわけではなくて、○1から○6までつながって読んでいかないと分かりにくい点があるのですが、それも踏まえてどこからでも結構ですので、御意見いただければと思います。木舩委員、いかがでしょうか。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。まず(2)の○3均衡を失した又は過度の負担、というところですけれども、先ほど複数の委員から御意見がありましたように、地域によって差が出てくるということはどうしても避けなければいけないだろうと思います。私は以前福岡におりまして、今は広島におりますが、福岡の中でも都市部、あるいは山間部と色々な状況があります。その中で、各自治体で個別に判断するということになると、なかなか辛い状況もあろうかと思います。そういう意味で全国的なミニマム的ガイドラインというようなものは欲しいと思います。ただこのミニマムガイドラインをどのように作るかということでいろいろ先ほどから考えています。技術的になかなか難しいところもあろうかと思いますが、そこは何かの形で作成していく必要はあると思っています。それがないと○3の2もなかなか難しいと思います。文末の「合理的配慮に努める必要がある、ということで良いか」ということなのですけれども、これについても何か小難しい問題が出てくると思います。結論として○3については、こういうミニマムなガイドラインをどのように作るかということをまたこのワーキングで議論するのか、あるいは別のところでこれを詰めていくのかは別として、そういう作業が必要だろうと考えています。次に○5ですけれども、○5の1に書かれている内容については、基本的にこれで良いのではないかと思います。ただ、先ほど藤本委員からありましたように、あるいは論点整理の中にも書かれているように、就学後も継続的に見直しに柔軟に対応していくということについての記載が必要だと思います。そういったことの前提の上で、この内容についても私自身は現在の内容で良いと思っています。ただ、○5についても先ほど申しましたように地域によっては個別の教育支援計画を作成するための資源、あるいは資源の中には人的資源も入りますけども、そういったものについてかなり厳しい状況の自治体や地域もあるということは経験してきております。そういったことについてどのように取り上げて対応策を考えていくかということは必要かと思いますが、内容的にはこういった○5の表現になると思っております。あと6番目について、ここは学校種別で書くかどうかということについては私自身もずっと迷いながら、あっちがいいのかな、こっちがいいのかなということで御意見を申し上げてきております。ただ、このワーキンググループの経過の中で配慮の観点を実際に考える際には、現行の特別支援学校ではどういう配慮がなされているのだろうか、特別支援学級ではどんな配慮がなされているのだろうか。あるいは、通常の学級ではという事例を探しながらその中でこういった配慮、というふうなところで私自身は考えてきております。そうしますと、特別支援学校、特別支援学級、通常の学級と色々な事例の配慮を見ていますと、共通するものもありますし当然それぞれの場にいらっしゃるお子さんの違いからとか、その場の違いによって共通しないものもある。そういうふうなところで書き分けるのがいいのか。いややっぱり書き分ける必要もあるだろう。しかしまとめられるものもあるのではないか。それからもう一つ論点整理、柔軟で連続的な学びの場ということで、通常の学級から特別支援学校まで色々な場を用意しようというふうに書かれておりますけれども、そうするとそれぞれについて書く必要もあるのかなというふうなところで、私自身ここについてはまだ非常に迷っているところです。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今日の議論の確信を突く部分の御意見だったと思います。
 他に御意見いかがでしょうか。私から木舩委員に一つだけお尋ねしてよろしいでしょうか。○6についての意見は分かりました。○1なのですが、環境整備と個別の合理的配慮を合わせて学校における配慮事項等と呼ぶ、というような整理をしたいという御提案なのですけども、これについてはいかがでしょうか。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。○1について何か申し上げるべきだと思いながらなかなか言えなかったのは、これはかなり難しい問題だと私自身の中でまだ整理がついておりませんでしたので申し上げませんでした。ここで一点気になるのは環境整備と個別の合理的配慮はどこで線が引けるのだろうかということです。具体的な環境整備はこれこれでこういったことをして、合理的配慮についてはこれこれをするという時に、どうしてもここら辺にグレーゾーンが出てくるだろうというところがあります。
 それは先ほど申し上げました○5の個別の教育支援計画を具体的に一人一人について考える時には、環境整備が呼応できるだろうか。その中で、ここで言う環境整備がどこまでできるだろうか。その上で一人一人に合わせてどれくらいの合理的配慮が提供できるだろうかというふうに考えるのか、あるいは合理的配慮を提供するためにはこれこれの環境整備が必要だと考えるのかとか、色々な方向から個別の教育支援計画を作っていくということになろうかと思います。その際に環境整備と個別の合理的配慮、どの辺がグレーゾーンとしてここでワーキンググループをまとめていくのかということが、一つ大きな課題になろうかと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に御意見ありますでしょうか。山中委員。

【山中委員】 調布小学校の山中です。○5の2の第三者機関のところなのですけれども、先ほど山岡委員からも御指摘がありましたけれども、均衡を失したとか過度の負担について個別に判断するということで、個別に判断したとしてその後設置者、学校ともし本人の意見が合致しない場合には第三者機関によりその解決を図ることが望ましいということで、今までここの中でいろいろ話をされてきているということは、今の学校でできることとか今までやってきたことの整理だったり、ある程度想像がつくと言ったらあれなのですけれど、第三者機関というところが、これはどのようなものかという御説明もありましたけれども、学校にとってみるとこの第三者機関というのがどういうものであって、どういう相談ができるところなのかというのが、特に通常の学級では分かりにくいところだと思います。今後、個別に判断するということがこれからこのガイドラインができて広く行われていったとして、設置者と学校と保護者との意見が一致しないということが通常の学級の場合は考えられますので、そうなった時にこの第三者機関、今具体的には出せないと思いますが、第三者機関というものがどういうものかということもある程度示していただくというか、こういうものであるというものが入っていただくと学校も分かりやすいと思います。今まで学校の問題というのは、例えば教育委員会であったりというところに上げていくということになると思いますけれども、設置者が教育委員会になるわけで教育委員会と保護者、本人の意見が一致しないという場合も出てくるわけですので、今度は第三者機関というものも一つの大きな課題になるののではないかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 概念に直接関係しなくても今のようにこういうイメージはどうか、という意見も含めてあれば是非言っていただければと思います。木舩委員。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。実はこの第三者機関ということについても、以前から話題になっておりましたので考えておりました。実は私は、就学指導委員をしている関係で幾つかの教育委員会の人とお話をした時に、この第三者機関というのはどんなものなのかという御質問がありました。その時私もうまく答えられなかったのですけども、第三者でなければいけないのだけれども、では特別支援教育についてある程度理解しているというか、そういった方でないと判断は難しいと思います。あるいはもう少し特別支援教育を広めて教育ということに携わっている方。あるいはそれこそ医療・福祉・教育の連携ということで、関連領域の方。ということになってくると、かなり広くはなりますけれど、話を元に戻しまして、特別支援教育について全く今まで経験がない、あるいは理解がない方が第三者委員として入って適切な判断が可能なのか、ということについてはどうなのだろうということを考えます。しかし今度は別の観点から見てみますと、これまで特別支援教育に携わってきている人間というのが純粋に第三者として位置付けられるのか、という難しい問題も出てくるかと思います。一応そういった辺までは考えていますけども、これも具体的にどう設置するかということになりますと、大きな課題になろうかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に御意見はありますでしょうか。藤本委員。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本です。質問に近い形になるのですが、○6の二つ目です。私は個人的な解釈が間違っていたら教えて欲しいのですが、これは非常に大胆な記述をされたのではないかと思っております。配慮の観点は通常の学級と通級による指導、特別支援学級、特別支援学校と共通であるということで、教員の定数や学級設置などは環境整備の法で決まっていますけれども、例えば特別支援学校の対象の子どもであっても通常級に入ったならば個別の配慮というものを考えて提供される、と読み取ってはいけないということでしょうか。共通と言ってしまいますと、つまり現実には子どもの程度に合わせて支援の配慮というのは深さが違ったりもするのですが、現実にこの四つの指導形態の中に様々な子どもがいろいろ居た場合、既存の法令の環境整備は譲れないけれども配慮はできると、そういうことでよろしいのでしょうか。

【尾崎主査】 それについては、次の配慮の観点を議論する時に、それを議論しながらの方が具体的で分かりやすいという思いもしているのですが、配慮の観点を議論する中で、もう1回この最後に書かれている内容についても皆さんで検討するという進め方ではいかがでしょうか。質問に答えるという形がなかなかできないものですから。今の御質問は本質論に近い質問ですので。よろしいですか。

【藤本委員】 はい。

【尾崎主査】 他に概念整理についてなんですが、それについて御意見のある委員はいらっしゃいますでしょうか。なければ先に進めたいと思います。本日いただいた御意見を踏まえまして、そしてその後の議論も踏まえまして河本主査代理と相談しつつ私の方で報告の素案を作成したいと考えています。
 それではここで10分間の休憩といたします。あの時計で16時ちょうどくらいから再開をしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

( 休憩 )

【尾崎主査】 それでは議事を再開いたします。前回も配慮事項の共通事項について御議論いただいたところですが、それを踏まえて事務局に配慮事項の共通事項を整理してもらいました。まずは事務局より資料を説明いただきます。

【横井特別支援教育企画官】  特別支援教育企画官の横井です。
 資料3を御覧ください。資料3は学校における配慮事項等(案)です。こちらは前回御整理いただいた共通事項にその説明書きを追加するとともに、いくつかの障害種の例示をして、イメージできるような形で整理したものです。まず1については前回からの変更点、追加部分を中心に説明させていただきます。1学校教育に求めること、ですけれども、ここでは教育内容に関することを(1)、環境整備に関することを(2)といたしました。(1)の教育内容に関することの中では、○1について、障害のある子どもと障害のない子どもが、という文言を冒頭に追加いたしました。それから○2についてはカッコ書きで、確かな学力の育成を含む、という文言を追加いたしました。○3、○4、○6については特に変更はございません。また(2)環境整備に関することの中では、○2の専門性のある指導体制について、カッコ書きを「専門性のある教員の配置」としておりましたが、その中身について「専門性のある教員の活用」という形に変更しております。教員等の配置については○6として新たに、専門性のある教員、支援員、介助員等の人的配置について配慮がなされること、を追加しております。また○7として、取り出し指導や学びの場の設定など必要に応じて特別な指導が行われること、を追加しております。更に○8として、交流及び共同学習が推進されること、を追加しております。1についてはそれ以外は特段の変更はございません。
 2の学校における配慮事項については、上記における学校教育に求めることの中で、求められている教育内容を実施するための必要な配慮、それから、求められている環境整備を踏まえた必要な配慮について整理したものですが、説明書きを若干加えております。1ページの下の2の冒頭ですが、障害のある子どもは障害の状態が多様なだけでなく、障害を併せ有する場合や、障害の状態等が変化する場合と、状況により必要な支援が異なることに留意する必要がある、としております。また本配慮事項は、全ての場合を網羅することはできないので、その代表的な配慮の観点と考えられるものを以下に示す、としております。障害に応じたより具体的な内容については例示する、としております。本日掲載しております例示は、障害種ごとに現在各委員に作業いただいているもののうち、いくつかを例として取り上げたものです。それぞれの項目のイメージが湧くように便宜的に示したもので、なぜこの障害種だけ取り上げるのか、というところに特段意味はございませんので、御了承いただければと思います。
 続きまして2ページの(1)教育内容・方法ですが、前回(1)については小見出しを付けるべきではないかという御意見もありましたので、まず○1から○3については教育内容という小見出しを付けさせていただきました。○1については、小・中学校等の通常の教育課程による教育にとどまらず、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度、習慣等を養うことへの配慮を行う、とさせていただいております。続きまして○2ですが、○2の指導目標の設定も同様に、地域や学校及び幼児児童生徒の実態に即した学校における指導目標を設定するとともに、幼児児童生徒の障害の状態に応じて、評価規準の調整、指導方法の変更、学習内容の調整、さらには指導目標・指導内容の個別設定を行う、とさせていただいております。3ページの○3の学習内容の変更・調整というところですが、これについては、一人一人の障害の状態に配慮し、学習内容の変更や、学習の量・時間の調整を行う、とさせていただいております。3ページの中ほどから下ですが、次の○4から○8については情報保障という小見出しを付けさせていただきました。○4の概念形成への配慮は、一人一人の認知特性を把握し、それに応じた感覚と体験を総合的に活用できる学習活動を通じて、概念形成を促進するよう配慮を行う、としております。4ページの○5ですが、○5は一人一人の障害の状態に応じた情報保障を行うとともに、コミュニケーションの方法を検討するなど一人一人に適した配慮を行う、とさせていただいております。その下の○6ですが、教材の配慮として、一人一人の認知特性、身体の動き等に応じた教材の配慮を行う、としております。5ページの○7ですが、一人一人の障害の状態に応じて、ICTや補助用具等を活用し、学習の充実を図る、とさせていただいております。○8は、治療やリハビリテーションのため不足している学習や障害の特性から不足している体験等の機会を補うことができるよう、学習内容・活動を設定する、とさせていただいております。5ページの下のところですが、○9から○15までは心理面等での配慮という小見出しを付けさせていただいております。○9として、障害の状態により、他の子どもと比べ時間を要することについては、本人の能力の発達を妨げないように、授業や試験について時間等の配慮を行う、としております。6ページの○10ですが、障害の状態により、実施が困難な活動についての活動内容・方法の工夫、指導上の配慮を行う、としております。○11は学習に見通しが持てる配慮として、学習予定を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認できるようにすることで、心理的不安を取り除くとともに、その都度、状況を判断できるようにする、としております。7ページの○12ですが、人間関係の構築への配慮として、集団におけるコミュニケーションについて配慮するとともに、他の子どもに対して障害特性等について理解を深めるような教育を行う、としております。○13ですが、障害の状態と健康状態により指導の内容・方法を柔軟に調整する。障害を起因とした不安感や孤独感を解消し、自尊心を高める配慮を行う、としております。7ページの下ですが○14として、自立と社会参加に必要な指導内容の設定として、障害の状態や年齢を考慮しつつ、人間関係作り、学校、家庭、地域での役割作りに配慮する。キャリア教育の充実を図る、としております。そのため、体験的活動や就業体験の充実、本人が自己選択・自己判断する機会を増やすこと。主体的に進路を選択できるようすること。それぞれの発達の進んでいる側面を伸ばし、自分の長所の自覚を促すこと、等としております。続きまして○15ですが、共生の理念の涵養として、それぞれの障害について、周囲の児童生徒や教職員が理解を深め、配慮や支援の環境作りを行う。集団活動への参加が難しい時には、集団を構成するメンバーで障害のある児童生徒の参加の方法を考える機会を設定する。障害のない児童生徒による支援する機会を設定する、としております。
 続きまして(2)の支援体制ですが、○1の専門性のある指導体制の整備として、校長がリーダーシップを発揮。学校全体として専門性の確保に努めること。個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成。校内の教職員の共通理解。学習の場面等を考慮した役割分担等とさせていただいております。○2の医療的ケアを行うための体制整備として、医療的ケアを安全に行うことができるよう体制を整備する、とさせていただいております。9ページの○3ですが、障害のある子どもの不安等の心理的負担を軽減できるよう、全体の学習活動に支障のない範囲で学習環境の整備等を行う、とさせていただいております。中ほどですが○4として、障害のある子どもについて、他の子どもの理解を推進する。必要に応じて全員に、その障害特性等について理解を深めるような教育を行う。教職員、保護者、地域に対しても理解増進を図るような活動を行う、としております。下のところ○5として、他の学校からの支援体制の整備として、必要に応じ、特別支援学校のセンター的機能や他校の通級による指導、特別支援学級を活用するなど域内の教育資源を活用して支援体制を整備する。また、小・中学校では困難な活動を特別支援学校でできるようにすると。更に教育にかかわる学校のネットワークによるノウハウの共有を行う、とさせていただいております。○6として教育センター等地域にある教育資源を最大限活用する。医療、福祉、労働等の関係機関と連携する。都道府県等の特別支援教育に係る専門家チームが校内委員会に助言する、とさせていただいております。○7ですが、緊急時の対応について、人の動き、避難誘導、危機の予測、避難の方法、避難時の人的体制等、校内体制の確立のためのマニュアルを整備し、一人一人への対応を考える。また、緊急時の対応が十分にできるように避難訓練等に取り組む、とさせていただいております。
 10ページの下のところ(3)の施設・設備ですが、○1校内環境のバリアフリー化として、障害の状態等に応じスロープ、手すり、便所、出入口、エレベーター等の施設の整備計画時における配慮。それから、既存学校施設のバリアフリー化についても、障害のある幼児児童生徒の在籍状況等を踏まえ、所管する学校施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進することが重要、とさせていただいております。11ページですが○2として、認知特性、行動特性に応じた配慮として、幼児児童生徒が、それぞれの障害の認知特性、行動特性に応じて、能力を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・設備について、見えやすさ、分かりやすさ、感覚等に配慮を行う、とさせていただいております。続きまして○3ですが、幼児児童生徒の学習及び生活の場として、日照、室温、音の影響等に配慮した良好な環境を確保するよう配慮を行う。特に、幼児児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しつつ、その健康の保持増進に配慮した快適な空間とすることが重要である、とさせていただいております。続きまして12ページですが○4として、心のケアを必要とする子どもに応じた施設・設備の配慮として、心にゆとりをもって学校生活を送ることができ、他者との関わりの中で豊かな人間性を育成することができるよう、生活の場として快適な居場所を確保するよう配慮を行う、とさせていただいております。○5として、障害の状態に応じた指導ができる配慮として、一人一人の幼児児童生徒の障害の状態等に応じた指導内容・方法が十分に展開できるよう、自立活動等の学習指導を支援する様々な教育機器等の導入や施設整備を必要に応じて行う、とさせていただいております。続きまして○6ですが、災害等への対応に必要な施設・設備の配慮として、地震等の災害発生時に障害の特性に応じた施設・設備を整備する、とさせていただいております。
 (4)幼、小、中、高等学校の各段階についての留意事項については、○1として、移行時における情報の引継ぎを行い、途切れることのない支援を提供することが必要である、等とさせていただいております。○2ですが、発達段階や年齢に応じた配慮を意識することが必要であるとして、具体例を列挙させていただいております。13ページの○3ですが、私立学校についても公立学校と同様の支援が受けられることが望ましい、とさせていただいております。
 続きまして3その他(1)早期からの教育支援ですが、○1として、生活行動の基礎を築く早期の専門教育が重要である。適切なコミュニケーション手段、社会生活技能の獲得に向けて最大限に発達を促すよう配慮することが望ましい、とさせていただいております。○2として、体験や経験が十分にできるように配慮することが望ましいとして、能動的な体験や経験ができるよう支援する。また、多様な実態に対応できるよう体験や経験を準備する、とさせていただいております。○3としては、保護者の障害理解や心理的安定を図るため、支援の充実を図ることが望ましいとして、具体例を列挙させていただいております。○4ですが、個別の教育支援計画を活用し、医療、保健、福祉の各機関等の関係機関の連携、情報共有、親の会や学校等関係機関との連携が望ましい、とさせていただいております。
 (2)の学校外・放課後における支援については、○1として、学校が放課後支援サービスや外部機関との連絡を密にし、児童生徒等の生活を一層充実させることが望ましい、とさせていただいております。14ページの○2ですが、通学時の移動支援等について、福祉サービスの活用や社会的支援の整備等の支援の充実を図ることが望ましい、としております。○3として、生涯学習等の機会が確保されることが望ましいとして、具体例を列挙させていただいております。以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは各項目に分けて共通事項を議論したいと思います。最後に先ほどの宿題だった学校種別にするかどうかも、少し議論したいと思っております。いかがでしょうか。まず(1)はまず一番目に学校教育に求めることということで、変更点についての御説明がございました。(1)、(2)合わせて御意見のある委員はいらっしゃいますでしょうか。これまでの議論の流れでは、この1については共通項目。したがって学校種別でも障害種別でもないということで、まとめとしてこういうものが具体的に出来上がっているわけですが、いかがでしょうか。吉松委員お願いいたします。

【吉松委員】 北九州の吉松です。(2)の環境整備の中の○8に交流及び共同学習のことが書かれています。交流及び共同学習というのは特別支援学級であったり特別支援学校に在籍している生徒にとって重要なことだとは思うのですが、逆に通常の学級通常の学校で学ぶ子どもたちにとっては、前回までのそれぞれの障害別配慮事項等の意見の中にもありましたが、同じ障害のある子どもたちと接することが逆に今度は重要になってくると思います。周りが健常者ばっかりで自分一人が障害を持っているというような場合には、同じ障害を持っている他の子どもたちとコミュニケーションを取ったり、接することが重要となってくると思いますので、ここは共通事項だと思いますがもっと交流及び共同学習という概念がある言葉ではなくて、そういった意味の表現にした方が良いのではないかという気がします。具体的にどう変えた方がいいという意見ではなく、何となく少し足りないのではないかという気がしています。

【尾崎主査】 ありがとうございました。今のような意見をいただければ大変ありがたいと思います。いかがでしょうか他に。滝澤委員。

【滝澤委員】 全日中生徒指導部長の滝澤です。(2)の環境整備、(1)にも関することですけれども、教員の問題です。専門性のある教員の活用、それから○6専門性のある教員、支援員、介助員等の人的配置について配慮がなされること、これは当然のことなのですが、今特に通常の学校において決定的に欠けているのが専門性のある教員の存在そのものなのです。ですから、専門性のある教員の育成とか、学校に求められる教員研修、校内研修とかありますけども、環境整備の中に入るのではないかと思います。もっと先に進めてしまうと大学における育成等に入るかと思いますけれど、そこまでは今は触れませんけれど、専門性のある教員の育成ということが一つ必要ではないかと思います。
 それからもう一つは、環境整備の中に、これは全て学校の中でのことなのですけれども、今学校教育に求められている様々な教育課題の多様性、これを鑑みた時に学校だけでとても様々なことに対応できません。これは通常の学級であろうと特別支援学級であろうと今のお子さんがどのような対象であろうと同じなのです。ですから、外部の専門機関との連携のことについてもひとつ触れていただけると良いかと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他に学校教育に求めることでの御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。西滝委員お願いいたします。

【西滝委員】 (2)環境整備に関することの○6専門性のところです。私は一般学校、普通学校、小中で障害を持つ先生の存在が大きいと思います。私が知っている例でも耳の聞こえない先生がクラスを持って、そのクラスの中に何人かの難聴の子どももいますけれど、クラス全体の子どもたちに対して手話で指導している学校があります。聞こえている子どもたちも手話を覚え、難聴の子どもたちと手話で自由に会話をするような、非常にインクルーシブな実践をされている例があります。それができるのは、やはり先生本人が障害者であるということに大変意味があると思いますので、書き方として専門性のある教員、というこの言葉ですと障害のない人が専門性を身に付けるというような感じになりますが、障害を持つ教師並びに専門性のある教員、というようなその必要性をどこかに言葉として入れていただきたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 他に意見はありますでしょうか。これまで議論した上で追加した項目もありますので、それにも注目されて、もし御意見があればいただきたいと思うのですが。よろしいですか。
 それでは次に進みたいと思います。2番の学校における配慮事項です。それについては1ページから13ページまでありますが、全体でやった方がいいのかそれとも小項目を立てていただいたので、小項目ごとでやってはいかがですか。それでは議論を集中するために、学校の配慮事項の(1)の教育内容・方法の教育内容の指導目標、あるいは学習内容の変更・調整くらいまでを一区切りとしたいと思います。よろしいですか。あんまり長いとどこを議論しているか分からなくなりますので。それでは、1ページの下の段から(1)の3ページの○3までこの中で御意見があればお願いします。最初に学校における配慮事項の考え方、整理の仕方については説明が書いてありますが、要するに網羅できないという趣旨で書いてあるのですが、これについての意見も合わせてあればお願いいたします。それでは学校における配慮事項については、配慮の観点と考えられるものを代表的なものを示した、ということを前提に議論を進めるということでよろしいでしょうか。吉松委員お願いします。

【吉松委員】 北九州の吉松です。最初に書いてあります、各障害への配慮事項は現在作業中というようなことが書いてありますけれども、これはもっとそれぞれの障害についての配慮事項の代表的なものがここに例示してあると思いますけど、これから先それぞれの障害についてはもっと詳しく例示するというか、具体的なものを更に挙げるという意味なのですか。とりあえず今回は現在での例示というものなのでしょうか。

【尾崎主査】 先ほどの説明では、たくさんある中での例示を少し選んだという御説明が事務局からありました。ということはまだまだこれ以外にもたくさんあるということです。

【吉松委員】 それぞれの視覚障害、聴覚障害というそれぞれの障害に対するある程度のガイドラインみたいなところを作るのだ、というふうに理解しておいていいですか。

【尾崎主査】 それでは事務局お願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今障害種ごとに分かれて視覚障害、聴覚障害といった形で、それぞれの障害種別における学校における配慮事項等をまとめていただいているところですが、そのまとめていただいた中の項目を今回いくつか使っておりますが、全てを使ってはいないということです。今回ここで御議論いただいた内容を踏まえて、また障害種別の学校における配慮事項等をそれぞれ項目について御検討いただくということだと思います。

【尾崎主査】 吉松委員、よろしいでしょうか。

【西滝委員】 はい。

【尾崎主査】 それでは例示の一部が示されているということを前提に、議論に入りたいと思います。
 それでは(1)の教育内容・方法の○1○2○3について御意見ある方お願いいたします。前回と違いまして今回はそれぞれの項目の共通事項の配慮事項についての考え方も先に示させていただいておりますが、それについての御意見もお願いいたします。それから具体的な配慮事項についても一部の障害種別に書かれていますけども、それについても御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。山岡委員、お願いいたします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。2ページの教育内容ということをじっくり拝見しました。私は発達障害の団体から来ておりますので、発達障害という観点でみますと、発達障害の子どもは、例えば目は見えても視覚認知が悪いとか、聴覚の認知が悪いとか、空間の認知が悪いとか、数の概念ができていないとか、色々な困難を抱えています。これは発達障害だけではなくて視覚障害の方も聴覚障害の方も言語障害の方もお持ちだし、そういうことがあると思います。○1で、ここは従来の書き方と同じなのですけども、困難を改善・克服するための配慮があります。それも一つ大事なのですけれども、お子さんたちが持っている認知特性とか理解度とか困難に対する、工夫をした指導と言いますか、個々の特性に応じた指導を行うというところが全体の中に散りばめられている感じはするのですけれども、明確には書かれていません。改定された学習指導要領では、行動面の問題については配慮・指導するようなことがうたわれましたが、私はLDの親の会から来ておりますので申し上げるのですが、教科指導に関すること、例えば数の概念がついていけないとか、抽象的な言葉についていけないといった困難を持っているお子さんに対して、それらの困難に配慮してどのように学習面の指導をしていったら良いかという点はうたわれていないのです。学習面の指導の工夫とかそういったものが必要ではないかと思いますので、どこかに一項目置いていただけないかと思っております。

【尾崎主査】 指導の工夫という文言が欲しい、ということでよろしいですか。

【山岡委員】 そうですね。個々のお子さんが色々な特性を持っていて、それに応じて指導する方が工夫をして教えなければいけないと思うのですけれども、そういう記述があっても良いと思います。

【尾崎主査】 他にこの項目で何かありますでしょうか。滝澤委員。

【滝澤委員】 全日中の滝澤です。これは質問なのですけれども、○1で教育課程のことでとあります。○2で、法律等で定められている云々とありましたが、この場合の学校における指導目標を設定するということは、これは校長の権限で教育課程を作成するわけです。その場合に、ここでは評価基準の調整、指導方法の変更とありますけれども、そうなりますと学校の教育課程の形式や内容そのものが、大幅変更を余儀なくされるということなのでしょうか。それがいいとか悪いとかではなくて、というのは全ての学校教育活動は計画的に当然行われるわけですから、その中にこの評価基準、それからそういう実態に即した指導目標の追加設定とか、そういうことも考えた上での指導目標の設定という事になっているのでしょうか。これは○3に内容にも関わることです。教えていただきたいと思います。

【尾崎主査】 それではこれについては事務局でお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。「大幅に」という程度がどのくらいのものかということは感覚によるのだと思うのですけども、ここで述べさせていただいておりますのは配慮ということですので、変更及び調整の範囲内であろうかと思います。

【尾崎主査】 他に意見はありますでしょうか。木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。先ほど山岡委員から御発言があった時に言えば良かったのですけれども、この後の3ページの情報保障と合わせて読んでおりまして、情報保障ということで小見出しが付いていますけれども、内容的に見ますと先ほど山岡委員がおっしゃったような指導法の配慮と言いますか、指導法の工夫みたいなものがこちらに全部ではありませんけれどもかなり書かれているのではないか、と私は読みましたけれども、いかがでしょうか。

【尾崎主査】 ありがとうございます。山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。木舩委員がおっしゃったとおり全体を見ると何となく散りばめられているのですけども、とても大切なことだと思っているので抜き出していただけないか、という趣旨で先ほど申し上げました。

【尾崎主査】 ありがとうございます。他に教育内容についての御意見はありますでしょうか。
 なければ次に進みます。情報保障については、3ページの下の段から5ページの下までありますが、それを一括していきたいと思います。情報保障について御意見いかがでしょうか。藤本委員。

【藤本委員】 国立特別支援教育総合研究所の藤本と申します。情報保障の○5ですが、ヒアリングの中で重複障害の専門の方にお聞きした中で、視覚障害とか聴覚障害の指導を合わせただけでは対応できないような、触手話であったりとか指点字であったりとかいう方法がありました。しかし、今回の資料を通読しますと、重複障害の方への配慮の言葉が例に少しでも入っていればと思うのですが、なかなか見つけられませんでしたので、このコミュニケーションのところに少しそういう代表的な配慮の記述が必要ではないのかと感じました。

【尾崎主査】 先ほどの事務局の説明では、あくまでもこれは例示の一部であるということですが、御意見ということでここには重複障害の例示があってもいいのではないかという御意見ですね。

【藤本委員】 例が一つも挙がってこないと、視野から漏れているような気がするものですから。

【尾崎主査】 はい、御意見として伺っておきます。
 他に情報保障についての御意見はありますでしょうか。西滝委員。

【西滝委員】 情報保障の○4です。例示の聴覚障害なのですが、少し飲み込みにくいところがあります。何かと言いますと、聴覚障害の子どもの実態としては聾学校にあって自由なコミュニケーションが行われています。これが現状です。書き方によると聞く経験がないのはそのとおりです。聞くことができないのですが、言語経験が少ないというのは少し正しくないかと思います。音声言語という意味で言語を使われていると思うのですが、言語は確かに障害があるということですが、言語という意味では障害者基本法でも手話は言語というふうに決められていますので、少しつかみにくいと思います。いわゆる耳学問の不足による体験と言葉の結びつきに勝る弱さを補うための指導ということで、聾学校では今は色々な体験ができているわけで、例示としては少し飲み込みにくい感じがしますので、修正できるのであれば事務局でもっと書き方を考えていただきたいと思いました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 他に情報保障についてお気づきになった点はありますでしょうか。
 では次に進みます。山岡委員お願いします。

【山岡委員】 ○7で例を挙げていただいているのですけれど、LDのタイプでディスレクシア、読み書き障害がある場合にもICT機器や補助用具などが活用されています。今、文科省で取り組んでいただいている教科用特定図書等の推進事業の中でも取り上げられているので、ここの部分で何か一つ入れていただけるとありがたいと思います。

【尾崎主査】 御意見として伺います。他にいかがでしょうか?
 他に意見がなければ、時間の関係で次に進ませていただきます。心理面での配慮、5ページの下の段から8ページの真ん中あたりまでです。御意見ございますでしょうか。木舩委員お願いします。

【木舩委員】 7ページの○14自立と社会参加に必要な指導内容の設定なのですけれども、この○14は心理面等での配慮の小見出しの中にあります。私の希望としては、自立した社会参加にむけたキャリア教育と申しますか、そういったものは心理面等という表現に馴染みにくいと思いますので、別の小見出しで書いていただくか、しかしそれを書くとやはり早期教育についても小見出しを載せるということも必要になるのかもしれません。これは意見として、できましたらこの内容については、最後の方のその他の(1)早期からの支援について(2)に学校外・放課後における支援についてとあります。できましたら学校外を(3)にしていただき、(2)に社会参加の自立にむけた教育についてというふうなところで位置付けていただけるとありがたいという意見です。

【尾崎主査】 全体の整理に関わる問題で検討させていただければと思うのですが、今の木舩委員からの御提案について、何か御意見ありますでしょうか。よろしいですか。
 それではまた全体を通してやらせていただきたいと思います。それでは、とりあえず7ページの○13の心理面までに区切りまして、御意見をいただきたいと思います。5ページの下の段から7ページの下の方まで、○13までで、いかがでしょうか。

【横井特別支援教育企画官】 8ページに○15がございまして、ここまでかと思います。

【尾崎主査】 そこまでにしますか。分かりました。それではそうします。
 吉松委員お願いいたします。

【吉松委員】 北九州の吉松です。最後の○15なのですけれども、共生の理念の涵養という表題で、僕はこれ一番大事だろうと思います。障害のある子どもとない子どもが同じ社会に生きていく上で、共生の社会というのが重要だと思います。共生社会というのは、一方的に障害がある子どもを障害のない子どもがサポートするという体制ではないと思います。ここに書いてあるのは、いずれも障害をある子どもを考慮して何らかの支援策をみんなで考えよう、というような表現になっているようですが、そうでなくて障害がある子どもの能力をいかに引き出して一緒にやっていくかというところが一番重要なのではないかと思います。全体の表現が障害のある子どもをサポートしましょうということになっているので、問題の共生理念というのとは少し違うのではないのかという気がしまして、具体的にどうかっていうと表現できないのですけれども、表現が一方的ではないかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 共生の表現、考え方、表現の仕方について配慮が要るということでした。滝澤委員。

【滝澤委員】 滝澤です。5ページ○9、今のお話に関連しますけれども、ともに学ぶということで、学びには評価ということが伴います。この時に授業や試験について時間等の配慮を行なっているという項目があるのですけれども、授業とか試験という言葉が難しいのかと思います。私は、評価とかそういう文言を使った方がいいのではないかと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 他に御意見ございますでしょうか。それでは次に進ませていただきます。○14を除いて○15まで見ていただいたということで、この次は8ページ(2)支援体制です。これについては10ページの下の段まであります。7項目ありますが、いかがでしょうか。支援体制の○1では、専門性のある指導体制の整備ということで、校長がリーダーシップ云々と書いてありますが、いかがでしょうか、河本委員。

【河本委員】 全特協の河本です。教員の専門性を含めてなのですけれども、特別委員会のときにも資料を提供してお話をさせていただいたことがあります。全国の小中学校の特別支援学級、通級も含めてです。教員の調査をしたところによると、経験年数0年から0~1、2年、3年の先生たち、0年、1年、2年目が全体の30%です。3年、4年、5年目の先生たちが25%、ですから、0、1、2、3、4、5年目の先生たちで55%を占めています。それでは、そのなかでどう専門性を高めるかというお話をさせていただきました。非常に難しい問題だと思っています。その要になるのは校長のリーダーシップだと、私はそういうふうに考えております。私はというか、全特協はです。校長のリーダー性をどう高めるかということが、ゆくゆくは教員の専門性を高めるというところに繋がるのであるというふうに考えて、全特協は今活動しているところです。私は、人を付ければいいと思っているのではないのです。一つは人材をどう活用するか。例えば、特別支援学級の専門性のある先生をどう活用するか、あるいは特別支援学校のセンター的機能をどう活用するかということも含まれるのだろうと思っています。
 東京は、先ほども少し申し上げましたけれども拠点校方式ですので、学級の規模が大きいです。例えば一つの学校の中に、特別支援学級で10人、20人のお子さんを抱えている学校がほとんどだろうと思っています。そうすると、そこにいる教員が、3人なり4人なりいます。そうすると、ある程度バランス良く配置されています。10年目の人、あるいは新採何年目の人といった具合です。ただ地方に行くと大部分が、1人、2人のお子さんを1人の担任が見なければならない、というのが現実だろうと思っています。そうすると、先ほどお話をした、55%の0年から5年目までの経験の方が、1人、2人の学級を担任しなければならないケースが出てきます。その場合に果たして学級は経営できるのか、子どもたちの将来に向けての自立あるいは社会参加に向けての教育がきちんと出来るかどうか。私は出来ないだろうと思っています。ですから、何回も言うように、校長のリーダーシップを発揮する。文言で言うと非常に簡単なのですけれども、ここをやはりこれから国、やはり都道府県ですね、どういう研修を提供するかだとか、あるいは校長自ら特別支援教育に携わって、携わるか携わらないかということを含めて、やはりその配置を考えていく必要があるというふうに考えております。まとまっておらず、ざくっとした意見です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。本委員会のテーマにも関する御意見だったと思います。
 他に、支援体制について、いかがでしょうか。福島委員、お願いします。

【福島委員】 福島です。○2の、医療的ケアを行うための体制整備というところです。安全に行うために体制を整備するということで、今、肢体不自由の例を挙げていただいているのですけれども、この医療的ケアというのはかなり大きな問題になっていますので、この部分は、例えば看護師の人的な配置とか、あるいは教員向けの研修体制とか、あるいは医療者との連携ですとか、そういったもう少し具体的な文言で入れていただくほうが良いのではないかなと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 他に御意見ございますでしょうか。山中委員、お願いいたします。

【山中委員】 例示なので、これでいいかなというのもあるのですが、9ページの○4の、障害に対する児童生徒などというところです。例に、聴覚障害に、聞こえにくさの障害について、学校での様々な指導場面を利用して理解啓発に努める、とあり、国語の障害理解に関する単元・教材の時間と、道徳と総合的な学習の時間という記載があるのですけれども、国語だけだと唐突な感じがするので、各教科とか、そのようにして、国語だけではなくても、他に教科に関するところもあるので、各教科とかにしていただくと誤解がないと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。他にございますでしょうか。
 それでは、次に進みます。10ページの下の段の、施設・設備についてです。12ページの真ん中より下ぐらいまでですが、これについて御意見をお願いいたします。共通事項として、施設・設備のことが書かれておりまして、その中に、施設・設備で配慮すべきことが幾つか分けて書かれてありますが、いかがでしょうか。書きっぷりも含めて、御意見いただければと思うのですが。木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。全体との関係ですけれども、この(3)の施設・整備になりますと、最後の文章の止め方が少し違うところがあります。例えば13ページのその他の○3、ここでは「望ましい」。それから、その下の(2)の○1では3行目に「望ましい」、最後が「求められる」というふうに表現が少し違っているのですけれども、ここはなにか使い分けとかそういったことをお考えなのかどうかという質問です。

【尾崎主査】 事務局、お願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今お尋ねの場所というのは、施設・設備の部分ではなくて、(4)でしょうか。

【木舩委員】 申し訳ありません。指摘の場所が違いましたけれども。10ページでいきますと、例が違っておりました。混乱しておりました。(3)施設・整備の○1では、上から4行目に「配慮を行う」、それから10ページの最後、「バリアフリー化を推進することが重要である」、で11ページの下、○3健康の維持では「重要である」というふうになっています。それから、やっぱり4のほうにも入っています。(4)のほうには「望ましい」という表現がありまして、(3)と(4)では表現が重要であるとか、行うとか、望ましいとか、色々あります。この部分について、何か方針とかございましたのでしょうか、という質問です。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今御指摘の点については、基本的には(3)の施設・設備においては、どう配慮するかという配慮事項を書いております。そういう意味では、○1の4行目で、スロープ、手すり、便所、出入口、エレベーター等の施設の整備計画時に配慮を行う、という形で、どう配慮したらいいのかということを書いております。また、というところは、既存の学校の施設です。新しく造るわけではなくて、既存の学校施設については合理的な整備計画を策定して、計画的にバリアフリー化を推進することが重要である、と書いているのは、施設整備指針というものを第二回目ぐらいに皆様方に情報提供しましたけれども、この施設・設備のところは、そこの部分を主に取り上げて書いているので、そこの書いてある文言が入ってきていると御理解いただければと思います。書き方で問題点等ありましたら、御指摘いただければ改めようと思っております。それから、11ページの○3の健康の維持に必要な施設・設備も、最初のところは、1文目は配慮を行うと書かせていただいて、特に云々というところについては、重要であるというぐらいの表現にしています。御指摘いただいたので、併せてという形になりますが、(4)以降で、望ましいという表現があるではないかということですが、これは、それまでのところとどう違うのかということだと思います。前回も少しそういった御指摘についてお答えしたつもりなのですが、学校における配慮事項については、(1)、(2)、(3)が主な内容だという認識で、(4)については、各段階についての留意事項だということです。ですから留意事項は、今回の書きぶりでも例示等載せていないのは、それほど障害施設によって差がないのではないのかということで書いております。例えば、障害種別によって特に際立った特徴があるようなものについては、ここは前回も御議論あったところですが、12ページの下から2行目です。(4)○2の、発達段階や年齢に応じた配慮を意識することが必要である、というところの最後で、特に知的発達に遅れがある場合には、という形で障害種別について言及しております。それから、13ページ、3.その他○2の、体験や経験が十分にできるように配慮することが望ましい、のその次の次の行ですが、特に視覚障害について自分で最初から最後まで行い云々というところは、障害種別に特徴的なところであるという理解のもとに言及をしているところですが、基本的には障害種別によって、それほど差がないところではないかという理解のもとにまとめておりますが、障害種別に差があるとか、例示等が必要だというところがございましたら、後ほど御指摘いただければありがたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。文言の整理の仕方はいろいろな要素が入ってくると多少表現の違いがありますが、まだ統一を図る必要がある部分があるかもしれません。また更に御意見、後で、それは後でもよろしいですね。今日でなくても。もし文言等で修正案があれば、お寄せいただければと思います。
 他によろしいでしょうか。それでは、(4)の、幼、小、中、高等学校の各段階についての留意事項、短いですが、○1から○3までありますが、いかがでしょうか、これについては。山中委員。

【山中委員】 ○3の私立学校に在籍する幼児児童生徒についてのことなのですけど、私立の学校ってやっぱりわざわざ書かなきゃいけないのでしょうか。一応学校教育の観点では私立学校も入っているのかなと思ったのですけど、あえて私立学校って書く必要があれば良いのですけれど、違和感があるような感じがします。

【尾崎主査】 私立学校っていうのはあえて入れているということです。前も確かありましたけれど。これは御意見ですか、質問ですか。御意見でよろしいですか。分かりました。福島委員。

【福島委員】 今の私立学校の件ですが、これは是非入れていただきたいと思います。
 例えば介助員の制度ひとつをとっても、公立の学校においては介助員の配置を自治体の責任でやっていただいているところが多いですけれども、私立の学校に在学した場合に介助員を配置してもらえるというケースはとても少ないと思います。それから入院している場合に私立学校に在籍していると辞めないと学籍が移動できないということで院内学級での教育が受けられないこともありますので、やはり私立学校の特殊性という観点からも、是非必要なので入れていただきたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございます。
 他に、幼、小、中、高の・・・。山岡委員、お願いいたします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。今の点ですけれど、ここは設置者がどう行うかっていうところで、公立学校の場合ですと設置者には市町村があったり、国であったり、県があったりするわけですけれども、私立学校の場合、設置者は経営している法人になります。そうすると最初の議論にあった、均衡を失した過度の負担を課さないという点で、一律ではなく少し対応に差が出るだろうということを考えた文言だと思うので、私立学校という表現を残すのかなというふうに私は思っています。

【尾崎主査】 ありがとうございます。(4)について他に御意見ありますでしょうか。
 それでは次に、その他をまとめていきたいと思います。(1)の早期からの教育支援、(2)の学校外・放課後における支援について、そして先ほど取り逃がしました○14の自立と社会参加についての御意見も併せてあれば御意見をお伺いしたいと思いますが。いかがでしょうか。7、8ページの○14の、自立と社会参加についての書かれてあることも含めて、いかがでしょうか。福島委員お願いいたします。

【福島委員】 これは前回も申しあげましたし、先ほど木舩委員からも御指摘があったことと重複すると思うのですけれども、この3についての表現で、望ましいという言葉が非常に多用されています。この望ましいという言葉が、この部分だけ突出しているのは、かなり違和感があります。前段の部分についても、望ましい、という点では変わりないわけで、この部分だけ望ましいと、強調している何か特別な意図があれば別ですけれども、そういうことがなければ、例えばこの○2であれば、配慮すること、というふうに、ここで止めていただく方が、前段との整合性というか統一性がとれていてよろしいのではないかと思います。

【尾崎主査】 はい。これについて、補足説明お願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。繰り返しになり恐縮ですが、学校における配慮事項等をまとめていただく上で中心となるのは、2の(1)の教育内容、(2)の支援体制、(3)の施設整備になろうかと考えております。例えばその3の(1)早期からの教育の支援については、特別委員会でも重要だという御指摘をいただいているところでございます。このワーキンググループでは、ヒアリングを本人、保護者の方々から項目としてお聞きいただいて、どういうケアが必要かということについてもおまとめいただいております。それでは実際に、この配慮するのは誰かと言ったときに、設置者、学校が配慮するものかどうかについて御議論いただければと思います。これは配慮事項なのかどうかということも含めて、御意見をまとめていただければと思っておりまして。そういう意味では事務局的には御意見としてまとめているということで、必ずしも配慮事項としてまとめているものではないというふうに整理させていただいております。いや、これは学校における配慮事項だ、そのようにまとめた方が良いということであれば、そのような御意見を賜ればと思います。

【尾崎主査】 これは大きな配慮事項のためだけの、大きな方向性を示すことですので。これを配慮事項としていくのがいいのか、それとも、御意見もあったっていうことで、まとめたらいいのか。その点、御意見ありますでしょうか?従いまして、学校における配慮事項ということであれば、望ましいというよりはきちんと言い切ったほうがいいというふうな書き方になってきますし、関係機関との連携等が前提になる場合は、望ましいという書き方にならざるを得ない部分もあるかもしれません。
 それではまた、御意見があれば後でまた寄せていただくということにいたしたいと思います。それでは、前半の議論で残された部分で、一つだけお願いをしたいと思います。資料2の3ページ○6の、配慮の観点は、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校すべてに共通するものであることから、学校種別で書き分ける必要はなく、っていう文言について御意見をたくさんいただきましたけれども、今、配慮の観点について学校種別ではなくて障害種別の例示を踏まえて議論をしていただいたところですが、これを踏まえて何か御議論があれば、御意見お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。御意見よろしいでしょうか。藤本委員。

【藤本委員】 最後の文章を読んでおりまして、この2番目の主語は、配慮の観点は、が一番の主語であると思います。配慮の観点は、個別に決定し、提供される、という文章だと思うのですが、その一行下の文のもう少し前に行きますと、配慮の観点は、配慮の観点を踏まえ、個別に決定し、提供される、という文章になっています。このガイドラインが、観点によって配慮の観点が決定される、そういう解釈になるのでしょうか。合理的な、配慮は配慮の観点を踏まえて提供される、配慮の観点を踏まえて提供されると、そういうことでしょうか。

【尾崎主査】 はい、それでは補足説明お願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。配慮の観点は書き分ける必要はないというところまで読み上げますと、「配慮の観点」は、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校すべてに影響するものであることから、学校種別で書き分ける必要はなく、というところで切れております。それぞれにおける「環境整備」を前提とした上で、本ワーキンググループの指針の「配慮の観点」を踏まえて、個別に決定し、提供される、ということで良いか、という文章になろうかと思います。個別に決定し、提供されるものは何かということかと思いますが、これは配慮の観点ではなくて配慮事項になろうかと思います。この配慮事項のことを合理的配慮と呼ぶのかどうかというのが、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校すべての場のそういった配慮事項のことを合理的配慮と呼ぶのかどうかというところは、御議論があろうかと思いますので。今の整理で、補足するとすれば、配慮事項は個別に決定し提供される、という形になろうかと思います。これについてもまた御意見賜ればと思います。

【尾崎主査】 藤本委員いかがでしょうか。
 そうしますと○1にあります、「環境整備」と「個別の合理的配慮」を合わせて「学校における配慮事項等」と呼ぶ、というところも同じような趣旨でよろしいですか。それは違う説明でありますか。2ページの(2)の○1の最後の読み方です。○1の、ここでいう配慮事項等っていうのは、個別の合理的配慮とそれぞれの学校の環境整備も含めて言うのだということで、そういう解釈でよろしいですね?という確認です。はい、ありがとうございます。
 という構造になっておりますので、御理解いただければと思います。他にこの件について。よろしいでしょうか?
 それでは、もう一度全体を通して、議論を進めてきたのですが、全体を通して言い残したこと、あるいはこれについてだけは言っておきたいっていうことがありましたら、御発言お願いいたします。髙橋委員お願いいたします。

【髙橋委員】 全国町村教育長会の髙橋です。13ページ、3番その他の中で、早期からの教育支援ってあるのですが、何度も話題になっております早期発見、早期対応のためにはですね、出来れば市町村単位でもって、発達支援センター的な機能のあるそういう機関っていうのは必要だと強く思っています。で、このためには相当の財政的な裏付けがいけないように思われるかもしれませんが。私の村でやっているところを見ていますと、指導員さんはいます。これは常勤ですけれども、それ以外はほとんど非常勤ですので、例えば臨床心理士にしても、臨床発達心理士にしても、言語聴覚士にしても、一週間に一度又は月に一度、こういう専門家は非常に少ないので常勤にするのはなかなか難しいです。そうしますと、月にかかる費用って言うのはそれほど大きな費用ではありませんので、隣の町、隣の市と共同で設置するっていうような方法も考えられるので、絶対に出来ない方法ではないと思います。前に聞いた時には相当な予算がかかりますよと言われたのですが、実際に計算してみると出来ないことではないのかなと、そういうふうに思っています。介助員さん的な予算でもって充分賄える。そのために、しかもですね、これが各保育所とか幼稚園を巡回相談に応じられる体制、それがないと早期発見無理だと思います。来初相談で、来れば応じます、ではなかなか来てもらえない。そういう意味では、そういう専門家に週に一回、月に一回、各市町村などを巡回して発見してもらう、それから、そういう親御さんの相談に乗ってもらうってことは、とても大事かと思っています。もしもそれが難しい場合は、各都道府県にあります特別支援学校が、そこも一応窓口にという話も出ているのですが、今現状の中では、人の配置の問題は非常に難しいです。特別支援学校も忙しいですので、それだけ余分な方はいませんので、巡回相談までは無理というのが私の県の状況です。したがって、そこにやはり同じような人を配置して、それだと巡回相談が出来るような体制がなければ早期発見、早期対応は難しいのではないのかなと思っています。是非これを国・県などでも取り上げていただきたいなと思っております。
 それからもう一つは先ほどから話題になっていました教師の専門っていう中ではやはり今60%強の小中学校の特別支援学級の担任は免許を持っていないという法律違反ではないけど、持っていないのは問題だと思います。免許を取るための認定講習その他を国・県にやっていただいて、そして各市町村ではそういうところに責任もって必要な先生を派遣する。そこで免許取得のために勉強することによって専門性は向上していと。これからはやはり管理職になられる方は勉強しろというよりも、当然必要になってくるのではないかというふうに考えています。
 長くなりました、もう一つは、本当は復学籍の問題もお願いしたいと思うのですが、この場では話題になっておりませんので取り下げさせていただきます。
 それからすみません、私事なのですが、長い間特別教育では勉強させていただきました。本日をもって次の方に交代ということになります。長い間委員の皆様ありがとうございました。

【尾崎主査】 どうもありがとうございました。
 それでは中村委員、そのあと西滝委員、他に意見のある方いらっしゃいませんか?それでは時間が迫っておりますので、一言ずつよろしくお願いいたします。

【中村委員】 その他の早期からの教育支援の部分が一番ボリュームが多いのですが、ここで話し合うべきか、本委員会で話し合うべきか悩んだので、それはここの御判断で結構なのですが、多分早期からの教育支援の3番は大きくひっくるめると早期の家族支援の意味合いかと思うのです。そうなってくると本来は早期だけではなくて全体を通して家族支援がないと特別教育は成り立たない現状であるのだと思うのです。あえてここで視点として入れるかもしくは本委員会の方できちんと押さえるかどちらかというのは結構なのですが、この視点は必要だなというのを感じました。あと1点確認なのですが、先ほど私が申し上げた意見で各学校ごとに書き分けた方がいいのかと私が申し上げたのは支援度の違いとかがあるからということだったのですが、環境整備の部分で学校ごとの環境整備が押さえられているから、項目としては同じ項目で構わないのではないかというのでよろしいですか。ありがとうございます。

【尾崎主査】 西滝委員お願いします。

【西滝委員】 西滝です。同じくその他早期からの教育支援について、からのところです。医学の進歩によって、今は新生児スクリーニングが都道府県において行われておって、1000人に一人聴覚障害をもつ子どもが生まれ、すぐに発見されるという現状になっております。今は1.36ルールといいますか、やり方が一般的で、1ヶ月で発見し、3ヶ月で親に障害を伝え、6ヶ月で補聴器をつける、そういうものが日本あるいは世界で共通しておりますが、問題は3ヵ月で親に障害を伝える時、それが医者の役割となっていて、非常に医学的な対応で終わっていることが多いです。その3ヶ月の時、髙橋先生がよくおっしゃったように、そのような医師だけではなく、学校の先生、あるいは専門家が一緒に居る場で医学的な治療もあるし、教育的な指導をしっかりと親にアドバイスできる体制をつくらないと、親は本当に医者から言われただけでショックを受けて、生んだばかりの子どもに対して愛情が持てない等々の問題があると思います。早期教育ということのみならず、療育といいましょうか、このような見方も入れていただきたいと思います。早期療育・教育ということで親へのアドバイスができる、このような教育体制を早期からつくることを考えていただきたいと思います。以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。吉松委員お願いします。

【吉松委員】 北九州特別支援学校の吉松です。私も同じその他の最後その他のところの望ましいという語尾で終わっているところですが、現場にいるものとして極端に言わせていただくと、ここにある早期支援であるとか、相談とか通学の支援であるとかは、本来的には学校の業務ではないと思います。ただ私の学校でも現実には通学の指導をしたり、放課後支援なんかもやってはいますが、学校側での配慮とは違うのではないかと思っています。現実に障害のある子どもが地域の学校で学ぶときに、学校にどうやって通うのか、いつも親が送り迎えしなければならないというのはやっぱりおかしいと思うので、社会資源なんかの活用にもなっていくと思います。そういったところを社会全体がフォローしないと障害のあるものが地域で生きていくっていうのは実現しないので、書き方としてはやっぱりインクルーシブ教育を実現するためには関係機関との連携である、社会の支援とかそういったことが、ここに書いてあることが支援できないとやれないのだというような表現になるのかと思います。そういう意味では望ましいという表現が使っているのはそういう意味かなぁと思いますけれども。書き方としては本来の学校の配慮ではないのかもしれませんが、やっぱり絶対に必要なことであるという気がしています。

【尾崎主査】 ありがとうございました。最後に山岡委員お願いいたします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークの山岡です。さっきの○5に関わりましてもう一度。障害者の権利条約の第二条に求めていることっていうのは、私の解釈では、障害を持つ児童・生徒が通常の学級で学ぶ際に、平等を保証するという点を示しているというふうに考えておりまして、少なくとも通常の学級における合理的配慮については、もう少し明確にしておくべきではないかという意見を繰り返しておきます。それで、もともと資料2に戻って、環境整備っていうところが、少し範囲が、私の理解が間違えているのか確認しておきたいのです。論点整理のときに、環境整備は人的なものとか、ソフト・ハード両面が必要だっていう話が確か出ていたのですね。その環境整備とここの環境整備と、なんかイメージが、今御説明あったのとなにか違うのかもしれないのですけれども、環境整備とは具体的にどの範囲、どこを考えて示されているのか、確認をさせていただければと思います。

【尾崎主査】 事務局で補足ありますでしょうか?

【横井特別支援教育企画官】 事務局では、環境整備について考え方をそれほど変えていないと思いますが、本日の御議論を踏まえて、次回までの宿題ということにしていただければと思います。

【尾崎主査】 山岡委員お願いいたします。

【山岡委員】 前の論点整理で、インクルーシブ教育システムを推進するための人的・物的な環境整備についてっていうところがありました。そこでは、発達障害も含め特別支援教育の更なる充実のため、現場での意識改革、指導方法の充実、人的・物的な環境整備等が必要となっているのです。ですから、おっしゃっている環境整備と当時言っていた環境整備が、少し違うかなと思えるところがあるので、そこを整理していただいきたいと思います。ここで言っているところでは、環境整備プラス個別の合理的配慮で学校における配慮事項等と呼ぶとなっていて、トータルでひとりひとりのお子さんに対する配慮事項が出来るみたいなことを書いてあると思うのですね。そうすると、環境整備って分けたところってどこまでなの?と。今イメージが私はつかめなくなっちゃっているので、次回にでも整理していただければありがたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。次回までの宿題ということで、承りたいと思います。
 それでは時間となりましたので、本日はこれまでといたします。皆様から貴重な御意見をいただきましたので、当ワーキンググループの取りまとめに向けて、是非活かしていきたいと思います。これについても、河本主査代理と相談しつつ私の方で報告の素案を作成したいと思います。また、委員の皆様におかれましては、本日の審議を踏まえて、引き続き障害種別の整理をお願いしたいと思います。
 では最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【前田特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課の前田です。次回第7回ワーキンググループの日程については12月中旬を予定しておりますけれども、また先生方には具体的な日程・場所等を追って御連絡させていただきます。以上です。

【尾崎主査】  それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席くださいました委員の皆様方には改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

── 了 ──

 

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