特別支援教育の在り方に関する特別委員会 合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成23年8月18日(木曜日)13時30分~16時30分

2.場所

三田共用会議所講堂

3.議題

  1. 障害者本人及び保護者からのヒアリング
  2. その他

4.議事録

【尾崎主査】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第3回合理的配慮等環境整備検討ワーキンググループを開催いたします。
 本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、乙武委員、滝沢委員が御欠席、その他の委員は御出席です。
 なお、西澤委員は、終了まで出席できないかもしれないという話がありました。
 なお、本委員会においては、御発言される場合には、必ず挙手をした上で、お名前を述べてから御発言いただきますようお願いいたします。また、通訳の方のためにゆっくり発言いただきますようお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 本日は、知的障害、肢体不自由、自閉症・情緒障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害、重複障害への配慮について、御本人または保護者の皆様からのヒアリングを予定しております。
 それでは、配付資料の確認、説明とあわせて、本日御意見を伺う方の紹介を事務局からお願いいたします。

【横井企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 まず、配付資料の確認をいたします。資料は議事次第のとおり、資料1から8までとなっております。枝番がついているものは、資料4が1から2、資料7が1から7までとなっております。参考資料は、ワーキンググループの委員の名簿をお付けしております。不足がありましたら、随時事務局までお申し付けください。
 それでは、資料の説明を若干させていただければと思いますが、現在開会中の通常国会で障害者の方々に深く関係のある法律が幾つか成立しておりますので、紹介いたします。
 まず、資料4-1を御覧ください。障害者基本法の一部を改正する法律が内閣提出法案として提出され、衆議院で一部修正され、成立しております。資料4-2に新旧対照表、それから衆議院、参議院における附帯決議、議事録をつけておりますので、併せて御参照いただければと思います。
 教育の条文につきましては、資料4-1の真ん中から下のあたりを御覧いただければと思います。資料4-2においては8ページを御覧いただきますと、教育の条文は、改正前、14条ということでしたが、16条に変更になっております。
 まず、16条の第1項ですが、第1項としまして、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるように配慮しつつ、必要な施策を講じなければならないとなっております。
 次に、衆議院の修正により第2項が追加されております。第2項は、第1項の目的を達成するために、十分な情報提供を行うとともに、可能な限り障害者である児童及び生徒並びにその保護者の意向を尊重しなければならないとされています。
 第3項では、特別支援学校や特別支援学級において教育を受けている場合に、交流及び共同学習を通じて相互理解を促進する施策を講ずるとしております。
 第4項においては、1項、2項、3項を実現する上で必要となるものとして、調査研究、人材の確保、資質向上、適切な教材等の提供、施設整備その他環境整備を促進することを規定しております。
 衆議院の修正により、この第4項においては、「適切な教材等の提供」という文言が追加されております。このような状況も踏まえながら、文部科学省としましては、今後、就学先決定の仕組みについて検討することとしております。
 資料5を御覧ください。障害者の虐待防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律が議員立法として国会に提出され、可決、成立しております。
 内容としましては、障害者虐待について、養護者によるもの、障害者福祉施設従事者等によるもの、使用者によるものをそれぞれ定義しております。また、学校については、障害者虐待の早期発見、啓発活動、障害者虐待を受けた障害者の保護及び自立支援のための国等の施策に協力するよう努めなければならない。また、学校の長については、研修の実施及び普及啓発、相談体制の整備、就学する障害者に対する虐待に対処するための措置その他必要な措置を講ずるものとする旨、それぞれ規定されております。施行は、平成24年10月となっております。
 続きまして、資料6を御覧ください。社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律が内閣提出法案として提出され、可決、成立しております。これまで、たんの吸引や経管栄養は医行為としまして、医師、看護師等の免許を持つ者以外が反復継続の意思を持って行うことが禁止されておりました。そのため、特別支援学校については、これまで一定の条件のもとに、たんの吸引等を行うことは違法性阻却の形でやむを得ないとされてきたところですが、このたびの法改正で、一定の研修を受けた者が一定の条件の下にたんの吸引等を実施できることを制度化することとしております。施行は24年4月となっております。
 続きまして、資料1に戻っていただきまして、第1回ワーキンググループで資料1及び2のとおり審議を進めていただくこととなりまして、前回、今回の2回にわたってヒアリングを行うこととなっております。今後の進め方としましては、資料1のとおり、今回までのヒアリング等を踏まえて、個々の障害種の配慮事項を整理していただいて、それを基に横断的な配慮事項について審議検討を行っていただくこととなっております。
 ヒアリング項目につきましては、前回も御確認いただきましたが、資料2のとおりです。資料2の2・のところ、ヒアリング項目のところを御確認ください。
 資料3を御覧ください。本日のヒアリングは、資料3の日程で行うこととしております。本日御意見をお伺いする方々を順番に御紹介させていただければと思います。
 まず、知的障害への配慮について、中村委員、石塚様。肢体不自由への配慮について、濱川様。自閉症・情緒障害の配慮について、市川様。学習障害への配慮について、山岡委員。注意欠陥・多動性障害への配慮について、高山様。重複障害への配慮について、岩城様ということで、それぞれお願いしております。
 なお、3時から10分ほど休憩を挟むこととしております。
 以上で説明を終わります。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、今ほど事務局から紹介のありました皆様より忌憚のない御意見を伺いたく思います。お時間は資料3のとおりで、質疑応答も含めての時間となっております。御説明いただく時間は、それぞれ10分でお願いいたします。
 それでは、知的障害への配慮について、中村委員よりお願いいたします。

【中村委員】 ただいま御紹介にあずかりましたNPO法人若駒ライフサポートより参りました中村文子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、ヒアリングに先立ちまして、本日、保護者の立場としてこのような意見表明の場を設定していただけたことに心より感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
 本日、私は、知的障害を伴う自閉症の子どもを2人持つ母親の立場で、知的障害、特に特別支援学級――私の子どものときには特殊学級という名称で伝わっておりましたが――に在籍する際に、どのような合理的配慮が必要かということで、私が保護者として感じたことをお話しさせていただこうと思います。
 私の意見に関しましては、資料7-1にまとめさせていただきました。いただきました8項目につきまして文章をまとめさせていただきましたので、細かな内容については、是非これを御一読いただければと思います。
 お時間に限りがありますので、この内容について、特に私が是非言葉で伝えたいと思うことをこれから述べさせていただきます。
 まず最初に、私の2人の子どもについて、一番最初に少し記述をさせていただきました。私、子どもが2人おりまして、長男が25歳、長女が23歳です。25歳の長男は、ここに書かせていただきましたように、3歳児の段階で知的障害を伴う自閉症という診断をいただきまして、その後は通園の療育施設を経て、現在の特別支援学級、その当時、東京は心身障害学級と名称がついておりましたが、そこに小学校の時期在籍し、中学から現在の特別支援学校、養護学校に在籍し、現在は、知的障害の方を中心とした方が利用される生活介護事業所に通所しながら、夜の部分はケアホームに移住しております。週末、自宅に帰るという生活を送っております。ここに記述させていただきましたが、知的なレベルとしては、東京都の療育手帳、愛の手帳という名称ですが、こちらで2度という認定を受けております。
 娘の方ですが、こちらも3歳児検診で発達の遅れの指摘を受けて、病院で、2年違うと違うものだなと思うのですが、広汎性発達遅滞という診断を受けまして、その後、病院の心理指導を2年経て小学校入学となりました。手帳の度数は、娘は愛の手帳、4度を認定いただいております。娘は比較的集団適応も良かったということで、小学校、中学校と通じて、その当時の心身障害学級、現在の特別支援学級に在籍し、高等部のみ知的養護学校に在籍し、卒業後、先生方、関係者の御尽力により企業就労ということで、現在、八王子にあります特例子会社で清掃業務に関わらせていただいております。
 この2人が教育を受けさせていただきました、延べ14年間という期間にのぼったなと今改めて感じておりますが、その期間に感じたことについてお話しさせていただこうと思います。
 まず、第1項目目としていただきました子どもの成長のために学校教育に期待することという項目では、一言で言うと、知的障害に関する専門性をどの先生方もきちんと身につけていただきたいという一言に尽きると思います。
 特別支援学校は、本当に最近、専門性のある先生方、コーディネーターの先生を中心に、専門性というのは大変向上してきていると感じますが、正直、特別支援学級に関しましては、大変な格差があるという状況が現在も続いているのではないかと感じます。
 念のために申しますが、私は、本当に幸いなことに、その当時の心身障害児学級の担任の先生も、きちんとした専門性をお持ちの学校の先生でいらっしゃいました。正直、その学級に在籍しているときに、先生の専門性について不満を感じたことはありませんでしたし、その当時、その先生に教わった内容を中心に子どもに関わらせていただくベースになったなと思っております。
 ただ、その学校を卒業して次の特別支援学級に進んだときに、他の学校からいらっしゃったお母様方が受けた教育の内容を聞いてがく然とした覚えがあります。子どもの見立ても正直満足できずに、子どものレベルに関係なく、一斉に同じような授業を行っている特別支援学級が私の子どもの在籍しているときは完全に存在しておりました。今でも多分決してないとは言い切れない部分があると思います。
 私たちの子どもたちは、知的障害という障害を兼ね備えておりますが、その障害に対する知識を持った方に配慮ある教育を受ければ、決して成長できない子どもたちではありません。現に、どんな教育を受けたかによって、その子どもの状態が明確に変化してきていることは、子どもたちを見れば、一目見れば十分に分かると思います。
 是非、配慮的事項と言ってしまっていいのか分かりませんが、この教育に関わる方々は、まず、基本的なことで結構です。知的障害に対する、様々な障害に対する基礎的な知識、及びその子どもの発達状態がどの程度にあるかをきちんとアセスメントできるだけのものを学級単位でもいいので、保持していただきたいなと思っております。
 あわせて強く感じているものとしては、まず、学校生活だけで一生が終わってしまうわけではないということです。いまだに保護者の方々、学校時代は良かったわよねという言葉を口にされる方がとても多いです。私は、長男が卒業するときに、その当時、PTAで少し役の大きい仕事をさせていただいていたものですから、学校の保護者の方の前で少しご挨拶させていただく立場があったんですが、そのときに、私は、私の息子とこれから生活していく生活の中で、学校時代は良かったなと思うようなことだけは絶対ないと思って暮らしていきたいと思います、卒業しても、やはりこの子たちは豊かな生活を送っていけると信じて卒業したいと思いますとご挨拶したことを今でも鮮明に覚えております。
 12年間教育を受けた後の人生の方が、何倍も彼らの人生は長いです。そのときに、あの学校で教育を受けたことが本当に良かった、そのように親子で思えるような将来を見据えた教育を是非展開していただきたいと思っております。
 この子どもたちに大して、小さいときに詰め込むことで過度な負担をかけてしまうと二次障害を生みます。しかし、多くの手をかけ過ぎてしまうために、その子どものできることを奪ってしまうことも現実です。私の知っている方で、とてもすばらしい言葉を私に教えてくださった方がいらっしゃいます。適量の支援は、その子どもにとって最高の成長を生むとおっしゃっていらっしゃいました。是非適量の支援を頭に置き、将来を見据えた教育を展開していただきたいと思っております。
 早期からの教育支援についての配慮事項につきましては、今まで就学時のことについても度々いろいろな委員会でお話しさせていただいたとおりです。まず、就学時の段階で、子どもの状態についてきちんと完全な障害受容ができている保護者は本当に少ないことを念頭に置き、その保護者の気持ちに寄り添いつつも、しかし、その子どもにとってどういう環境に置くことが一番良いのかをともにきちんと共通理解し合いながら、考えられる体制を是非考えていただきたいと思います。
 あわせて、療育の充実によって、最近、子どもが入学した段階の状態がとても変わってきていることは、いろいろな先生方がよくおっしゃることです。ただ、保護者の方にお聞きしますと、あそこであれだけ療育を受けたのに、学校に入ったら、どうしてこれだけ変わってしまうのだろうということを口にされる保護者の方が消え去っていないということも事実です。是非幼少期の情報をきちんと学校にも受け継ぎ、関係機関が共通認識しながら、同じような充実した支援を引き継いでいけるような配慮をいただきたいと思っております。
 1番、2番に関しましては、個別の教育支援改革、指導計画の充実という言葉の一言に尽きるかと思います。この部分、言葉は十分に最近浸透してきておりますが、内容が浸透してきているかというと、まだまだ足りない部分が多いと思います。特別支援学級については、本当に格差は大きいものがあります。この内容の充実を是非配慮としていただきたいと思っております。
 教育内容・方法につきましての配慮事項ですが、ここにつきましては、教材及び教科学習の部分に少し触れさせていただきたいと思っております。知的障害のある子どもたちに対する教育の中で、実は教材というのは大変大きなボリュームを持つものだと感じております。教材1つで子どもたちの理解はぐんと進みますし、その子どもに合った教育を提供しようと思ったときに、市販のプリントを使っていて、それが可能かというと、難しい部分があると思います。しかし、この部分に関しても、市販の低学年レベルのプリントを毎年毎年同じように繰り返している学級がいまだに存在するのは事実です。
 この教材の開発という部分にも是非御配慮をいただき、その内容をデータベースとしてまとめて、いろいろな方々がきちんと共通認識できる方向に進んでいただければと思っております。
 教科学習の部分については、保護者も含めてまだまだ誤解が多いように感じております。プリント学習だけをとらえて言えば、プリントの達成度がどんどん上がっていく子どもは、比較的たくさんいるような気がします。ただ、その子どもがその内容を日常生活においてきちんと応用していけるかというと、知的障害のある子どもたちにとって、そこの部分の教育なしには大変難しいような気がいたします。
 現実的に、2桁の割り算をする、また、方程式を解くことができるようなお子さんであったとしても、満足に金銭の計算ができなかったり、時間の感覚が身についていなくて、日常生活でそのあたりが十分にできないという方はまだまだたくさん存在されていらっしゃいます。
 是非先生方は、そのあたりもきちんと頭に置きながら、ボトムアップの教育から、ある意味、高等部段階においては、いわゆるトップダウン方式で、生活に必要なものをいかに子どもの中にきちんと伝えていくかという視点も持っていただきたいと思います。
 あわせて、特に低学年レベルでは、机上の学習のみならず、給食時間や他の生活単元の時間を利用しながら、重さや長さや時間の感覚を身につけることは大変重要な時間であると思います。各時間のあり方にあまりこだわりを持たずに、柔軟な視点を持つということが知的障害を伴う子どもたちに関わる先生方には大変必要な部分ではないかと感じております。
 また、この内容にも大変深く関わることであると思いますが、この子どもたちは本当に学校で学んだことが即実際の生活の中できちんと展開していけるかというと、本当に難しい部分があります。その部分に関しては、かみ砕いた体験をどのようにきちんと実践させていくかということがとても大きい部分だと思います。そして、その実践教育の場面というのは、いろいろな発達程度の子どもたちをまとめてやっていけるかというと、難しい部分があり、ある程度のグルーピングの中で、同じ達成度のグループ学習の中で体験学習を行っていくのが有効ではないかと私も感じております。
 そういう意味合いで、そういう形のグループ学習ができるような場の設定というのも大変重要ではないかと感じております。
 また、特別支援学校と違い、特別支援学級においては、学習指導要領が定まっていないという話も伺っております。ということは、その担任の先生のお考え1つ、さじかげん1つでその子どもの受ける教育の内容というのは大きく変わってくるということです。これは決してあってはいけないことだと思いますので、是非特別支援学級における教育の内容について、ある程度のガイドラインのようなものをきちんと定めていただきたいと思います。
 あわせて、大変残念なことですが、学校によっては、特別支援学級の担任は、通常学級を束ねることができないような方が配置されているという事実があるのも、決して避けて通れない部分であると思います。そういう方について、高い意識を持っていただけるかというと、大変難しい部分もあるかと思います。本当にそう思いますが、知的障害に限らず、支援の必要な子どもたちに関わる先生方は、通常の教員の専門性、プラスそれぞれの障害種に対する専門性を貪欲に学ぶという姿勢を持っていただかなければとてもやっていけない仕事だと思います。是非そのような高い意識のある教員を配置できるような体制をお考えいただければと思っております。
 また、学校における支援体制については、まず一言、特別支援学級もその学校の中のきちんと1つの学級であるという認識を、学校長と先生をはじめとして、学校全体がきちんと持っていただけるかどうかということがとても大きいと思います。
 交流学習の推進は、学習指導要領の中でもきちんと定められていますが、この交流学習という内容がどれだけの差があるかというと、大変大きなものがあります。年に1回の運動会に座席があるというだけの交流学習の学校もあれば、その子どもに応じて、一人一人違った形で交流学習をきちんと行っているという学校もあります。交流学習というのは、もちろん、その子どもを受け入れるその子どもたちにとっても大きな意義がありますし、その集団の中に入っていく子どもたちにとっても、とても大きな意味のある学習だと思っております。
 あわせて、特別支援学級に在籍する子どもたちの障害の程度の差も広がってきております。本当に少しの配慮で通常学級にいられるかもしれないというお子さんから、もしかしたら、中学校段階では特別支援学校に移されるだろうなというお子さんまで様々な差があります。ということは、交流学習の必要な時間数、量、内容も一人一人違っているということです。それを踏まえて、その一人一人に合った的確な交流学習をすることで、その子どもにとって将来につながる良い教育が受けられるのではないかと強く感じております。
 また、交流学習や校外学習等において、個々のニーズにきちんと応えるためには、やはり安全確保のための人員は大変大きなボリュームを持つものです。この部分に関して、十分な教育が提供できるだけの配慮をいただきたいと切に感じております。
 設備・整備に関しましては、やはり生活単元に必要な教室の整備ですとか、また情緒が多少不安になったときのクールダウンスペースの確保と大きなものがありますが、まず、子どもの数に応じてきちんとそれだけの広さが確保されているかどうかということは、大変大きな問題ではないかと思います。特別支援学級もそうですし、特に特別支援学校では、後ほどきちんとお話しいただくと思いますが、1つの教室をカーテンで仕切って2教室というのが今の現状です。そのあたりが人数に応じたきちんとした環境をいただけるかどうかが大きいのではないかと感じております。
 時間が短くなってきておりましたので、後ろの方、まとめて少し話をさせていただこうと思います。
 最後の部分でまとめさせていただきましたが、知的障害を伴う子どもたちの教育は、まだまだ実は皆様方に十分な御理解をいただいていないのが現状であると切に感じております。特別支援教育が展開されていく中で、特別支援学校はセンター的役割であり、そこから専門的な情報をいただきながら、地域の中で教育を受けていく方向に向かっていくという話がありましたが、その専門的な教育の提供という部分で、知的障害の学校については、少々、その専門性という意味合いが、あまり重視されていないかなと感じる節があって、私はそのたびに悲しく感じております。
 知的障害を伴う子どもたちの教育について、きちんとした専門性のある、その子どもに必要な教育を受けさせていただければ、その子どもたちはたくさん伸びる可能性を持っております。もちろん、世の中にきちんと貢献されるような子どもたちになっていきます。また、たとえ大きな貢献と感じられなかったとしても、自分で生活をきちんと見据えて、その中で安定した生活を行っていくことは十分可能です。しかし、配慮のない教育をいただくことによって二次障害を抱え、地域生活を行うことも難しくなってしまうような知的障害の方がいらっしゃることは、とても悲しい現実です。
 私は今、知的障害の子どもたちに対する教育の専門性の重要性、その専門性はどういうものなのか、そしてその専門性、合理的配慮の中には、ある意味、その子どもに必要な情報をきちんと提供し、調整していくために、場所をある程度区切るとか、学校のようなスペースを作るということも大変重要であるということを周囲の皆様方にきちんと理解いただくことがとても重要ではないかと強く感じております。是非この場をお借りして、その部分を皆様にお伝えできればと感じております。今日はどうもありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 続きまして、石塚由江さんよりお願いいたします。

【石塚氏】 このたびは知的障害のある子どもの保護者を代表し、特別支援学校における知的障害のある児童・生徒への配慮についてお話しさせていただく機会を頂戴し、誠にありがとうございます。不慣れなものですから、手元にあります原稿を読ませていただきます。
 私の娘は2歳8カ月のときに、都内の某病院で小児神経科にて精神発達遅滞の診断を受けました。3歳9カ月から地域の私立幼稚園にて健常児と同様の保育を受け、小学校は通学区域内の区立小学校に入学し、通常学級でティーチングアシスタントの支援をいただき、1年間教育を受けました。しかし、小学校2年生で心身障害学級を設置している区立の小学校に転校いたしました。中学部から高等部は、都立の知的障害特別支援学校にて教育を受け、現在は社会人1年生として区立の生活介護中心の実習所に通所しています。東京都の療育手帳、愛の手帳2度の重度の知的障害者の娘です。
 項目ごとに私なりの意見を述べさせていただきます。
 1、子どもの成長のために学校教育に期待すること。知的障害のある児童生徒の教育で最も困っているのは、知的障害のある子ども自身と考えることが大切です。知的発達の状態だけではなく、視覚や聴覚の特徴的なとらえ方や困り感、手先の感覚や緻密性の困難さがあること、一人一人の子どもの障害の特性を正しく理解した上で、個別の教育支援計画と個別指導計画を作成、評価し、授業に効果的に生かしていくことが必要です。
 知的障害のある児童生徒の将来の生活を考え、本人の能力を最大限に伸ばし、職業や生活に生かせる実際的な力をつけることができる教育を一人一人の子どもに合った指導内容と方法で提供することが期待されていると思います。
 2番、早期からの教育支援についての配慮事項。早期からの特別支援教育にかんがみ、特別支援教育コーディネーターが幼稚園、保育園などの就学前の相談に適切で十分な対応ができるようにするために、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの専門性の向上や、専任配置、加配などの配慮が必要だと思います。
 また、特別支援学校の小学部低学年の授業を地域の幼稚園、保育園、小学校へ公開し、知的障害のある子どもの能力や特性に応じた指導や教材の作成などについて、先生方がお互いに研究し合う場の設定が必要だと思っています。
 3、教育内容・方法についての配慮事項。学校、保護者、関係機関の間で作成した個別の教育支援計画をはじめとして、個別指導計画を活用、検証しながら、絶えず修正を図り、それを小学部から中学部、中学部から高等部へと学部の引き継ぎが行われる際の要とし、学部移行時に受ける教育をさらに前進させていただくことが必要です。
 一人一人の子どもの将来を見据えた教育内容を考えて、その子に合った指導方法を構築した教育ができるよう、教員の専門性をより一層高めていただくことが求められています。
 同時に、専門性のある教育を進める上では、特別支援学校教員の免許を保有することや、専門性をさらに向上させるための研修や研究活動が必要です。
 また、知的障害者を対象とする特別支援学校には、極めて多様な状態の児童生徒が在籍していることから、その多様さに応じるための様々な専門性のある教員の配置が必要だと思います。
 4、学校における支援体制についての配慮事項。支援体制を構築するには、校長先生方のリーダーシップが大変重要であることから、現在の在任期間は2年から3年かと思いますが、こちらを長くして、校長先生方が様々な目標、計画を形にしていくことができるようにすることが必要かと思います。最低でも3年から5年の在任期間が必要なのではないかと思います。
 特別支援学校には、自閉症を伴う知的障害のある児童生徒や、発達障害の二次障害による影響が強い児童生徒が多数在籍しており、先ほどの中村委員からの御説明でもありましたが、特別支援学級で配慮のない教育をいただいたために、特別支援学校に来て二次障害があらわれるというケースも大変多いものがあります。そのような児童生徒が多数在籍しており、指導上の困難さが見られます。このことから、現在の単一の知的障害在籍を基礎とした教員配置の基準の考え方を見直し、児童生徒の障害の状態などを踏まえた検討が必要となります。
 今後も、個別の教育支援計画、個別指導計画に基づく学習指導、生活指導、進路指導力、また外部との連携、折衝力、組織貢献力などを身につけた教員、マネジメント力を有し、教育現場で発揮できる人材を数多く確保することが必要です。
 5、施設・設備について配慮事項。図書室、視聴覚室、美術室、作業室などの特別教室を普通教室に転用し使用している学校が東京では大変多く、特に図書室の転用が多く見られます。図書室の転用がありますと、適切な環境で書物に触れることができない状況です。また、高等部では、将来に向けた取り組みのための作業学習用の教室が必要不可欠にも関わらず、普通教室への転用や併用により、作業学習が十分に行えない学校もあることから、特別支援学校の設置規模に応じた定員制を導入し、普通教室の確保、特別教室の整備を図れるようにすることが必要だと思います。
 学校間の格差が生じないよう、適切な設置規模による普通教室の確保、特別教室の整備を図り、教育環境を整えること、また、知的障害の特性を考慮しつつ、ユニバーサルデザインを基本にした施設や設備を整備する必要があります。
 多くの自治体では、バリアフリーからユニバーサルデザインの発想に転じたまちづくりを推進するようになってきました。特別支援学校においても、同様の発想のもと、校舎の新築、増改築を行い、使用する教材、教具についても、ユニバーサルデザイン化を推進する必要があると思います。
 6、学校外における支援体制についての配慮事項。特別支援学校は、保健所、児童相談所、教育委員会、通所施設、事業所、病院など、それぞれといつでも連携できる体制を構築し、子どもの状態、保護者の希望に応じて個別の支援会議を開ける体制を整備しておく必要があります。
 そして、知的障害のある子どもたちが地域で安心・安全に暮らすために、保護者からの希望があれば、特別支援教育コーディネーターなどは自治会、町会、民生委員などに対して、障害のある子どもの存在と障害特性の理解を進め、緊急時の協力、支援体制を計画しておくことも大切な役割ではないかと思います。
 7、幼、小、中、高等学校の各段階における配慮事項。幼稚部、幼稚園、保育園、発達支援センターなどでの幼児期には、保護者が障害のある子どもの日常生活や療育的な指導面を相談できる支援体制が必要であり、多くの公の情報と発達に応じた様々なタイプの教育の場の設定があることを保護者が理解できるような就学前相談、情報提供のあり方が求められています。
 小・中学部段階では、実際の生活に生きる技術や態度などの基礎づくりを大切にした、一人一人に応じた指導内容や指導方法の工夫が必要であり、教材なども一人一人に応じて作成する必要があると思います。また、知的障害があっても、先端技術の利用を考え、パソコンソフトを利用した教材を提供し、効果的な教育、指導を進めることも大変重要です。
 そして、高等部の生徒には、将来、仕事をしていく上で、その生活に耐えられるような技術や態度の育成が期待されています。そのための一人一人に応じたパソコンの活用を含んだ指導内容や指導方法の工夫が必要です。また、企業などでの実習を十分に行い、高等部の生徒が実際の卒業後の生活の様子が分かるようにすることも必要です。さらに、教員は、生徒の能力を信じ、意欲が湧くような導き方を配慮し、自分にはできることがあると認めていける、自己肯定感を生徒が抱くことができるような教育をすることが必要です。
 8、その他の配慮事項。地域が一体となって子どもたちを見守り、育んでいく社会を形成していくために、学校は医療、福祉、労働関係との連携を引き続き図り、学校のある地域の幼稚園、保育園、小学校、中学校、高等学校との交流教育、子どもたちとの居住地域での直接的な、そして間接的な交流がさらに発展するための支援が必要です。
 また、保護者は、学齢期には将来の不安を感じている場合も多いので、保護者支援の取り組み、相談支援体制の構築も重要になります。
 以上です。御清聴ありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。お二人の方から、知的障害への配慮についてお話しいただきました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問等ある方、委員の方、いらっしゃいませんでしょうか。
 河本委員、お願いします。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。ありがとうございました。前段の部分の中村委員から学級の話が出ましたので、設置校の校長の立場で話をさせていただきたいなということを含めて、お聞きしたいことが1点ありますので、最後の方でよろしくお願いしたいと思います。
 全特協でも、今の中村委員がおっしゃられたようなことと共通した課題を今幾つか抱えております。例えば教員の配置のことについて、東京都は御承知のように、特別支援学級の担任と通常の学級の担任と東京都の教育委員会が別枠で配置をしてきますので、その者が特別支援学級の担任になると。ただ、他府県に行きますと、そうじゃなくて校内の人事で、校長の人事権で、今年度はだれだれさんを特別支援学級の担任へ頼むねということが行われると。一長一短があるだろうと思いますが、そうしたときに、いずれにしても、専門性をどう高めていくかということが大きな課題となっております。
 研修制度をどう整理するかということも1つありますし、あるいは校内でどのように教員を育成していくかという課題もあります。それから、個別の教育支援計画をどう充実させていくかや、あるいは先ほど話が出ました交流及び共同学習をさらに充実させていくためには、どのような課題があって、どのようなことをやっていく必要があるのか等々、いろいろな問題があるだろうと思っています。
 大きな問題では、通常の学級では盛んに今授業改善が行われていますが、それと同じように特別支援学級でも授業改善が行われているかというと、はっきり言って、それほどはないと実感しております。中村委員が御指摘のとおりだろうと思っております。
 ただ、やはり専門性をどう高めるかということの話に戻りますと、全特協で一昨年、全校的に調査をしたときに、これも何かのときに話をしたと思いますが、全国で特別支援学級の担任をどれだけ経験しているか。これは大学卒業してすぐという人もいますし、あるいは通常の学級担任をやっていたが、何かの理由で特別支援学級の担任になったということも含めて、経験が0年、1年、2年、この方たちが全体の35%います。3年、4年、5年、この3年間を区切りますと、全体の20%います。ですから、0、1、2、3、4、5、この方たちが全体の55%を占めています。という実態です。
 この人たちの専門性をどのように高めるかということが今中村委員がおっしゃられたようなことと共通した課題を、我々も抱えているということです。率直にお尋ねしますが、母親の立場として特別支援学級の設置校の校長、あるいは設置されている学級の担任への要望や、どう見ているかということについてを話を聞かせていただきたいと思います。話の中で、学級によって格差が非常に大きいという話がありました。学級の格差ですか。設置校の中で並べて見ると、上から下までかなりの差が出てきてしまうということなのだろうと思いますが、その最大の要因として、中村委員が考えている要因としてどのようなことが一番に挙げられますでしょうか。お聞かせ願いたいと思います。

【尾崎主査】 中村委員、お願いします。

【中村委員】 ありがとうございます。私は保護者の立場ですので、専門的な視点ではございませんので、とんちんかんな回答になってしまうかと思いますが、まず、特別支援学級の場合の学級間格差が生じるというのは、一言で言うと、教員の専門性及び意識の差がそのまま出るということだと思います。特別支援学校の場合は、教員もある程度の集団になっておりますので、1人の教員の極端な特質によって、学校のあり方が変わるということはそんなにないと思いますが、特別支援学級の場合は、学級の中が幾ら複数担任といっても、やはり少ない人数で構成されておりますので、特にその中で中心となって動かれる先生の意識、専門性がどのぐらいなのかということで、その学級のあり方はとても大きく変わってくると思います。
 現実に、あの先生がいいと思って入れた、次の年にその先生がいなくなっていて、とんでもない状況になってしまう特別支援学級というのは、多分、現在でも多くあると思います。
 そうなってくると、その部分の専門性をきちんと維持しながら、どう教員を、先ほどもありましたが、異動させていくかという問題も出てくると思います。どの先生方もというのは、もちろん最高の希望ですが、少なくともトップで、その学級の中心となられる先生がどういう意識を持ってらっしゃるかで、ある意味、若い先生でも、その先生の下に1年いたら、見違えるほど変わります。今、学級の経験が少ないということをおっしゃっていらっしゃいましたが、その中でも多分実態はとても大きな格差があると私は思います。
 意識のある主任教員の下で1年過ごした新人教員と、わからないままで過ごした教員とでは、1年で見違えるほど変わってくると思います。ある意味、若い分だけ変化が大きいです。だから、まず、真ん中に核になる教員をどのようにきちんと配置していくか。なおかつ、将来を見据えた教育を考えたときには、特別支援学校との連携で、将来、自分たちが教えた子どもたちがどう変化しているかをきちんと見届けるという意識をどう持つかが大きいと思います。
 特に、これは別にいい意味でも悪い意味でもなんですが、中学の3年間の特別支援学級の過ごし方が、先ほど石塚氏からも話がありましたが、その後の生活に大きく影響することは大きいです。それは、私が先ほどちょっと触れさせていただいた、要するに適切な支援の問題だと思います。過度な負担がかかってしまうと、二次障害として高等部段階で問題行動が出る方もいらっしゃいますし、逆に、中学段階できちんと自分のできることをしない経験をしてしまったがために、高等部段階になって何も身についていないということもあると思います。ですから、まず1つとしては、真ん中に核にある教員をどう回していくかということ。
 もう一つは、特別支援学校ときちんと連携をとりながら、専門性の共有だけではなくて、卒業していった子どもたちがどう変化しているかをきちんと見届けるという意識を先生方がどう持っていただけるかが大きいと思いました。
 以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。ほかに意見や御質問のある委員の方、いらっしゃいますでしょうか。
 山中委員、お願いします。

【山中委員】 調布市立調和小学校の校長の山中です。通常の学級の立場からといいますか、交流及び共同学習、あるいは特別支援学校、例えば埼玉では支援籍とか東京都では副籍と言っていますが、そういったものをもっと盛んにしていかなければならないと思いますが、先ほど中村委員の話でも、交流及び共同学習については、随分学級や子どもによって差があります。行事のときだけ、例えば運動会などに席だけがある、年に1回のような場合もあります。それから、他県の様子などを聞くと、逆に、ほとんど通常の学級に行ってらっしゃるという場合もあります。それは教員の専門性との関係もあるかもしれませんが、様々だと思います。
 中村委員の御存じの中でで結構なのですが、交流及び共同学習や、通常の子どもたちと一緒にやっていくことについて、こういうことで良かった、こういうことでうまくいかなかったなど、今後、もっとこのような取組を進めていくためには、通常の学級でもう少しこのようなことをしてもらえればみたいなことがあればお話しいただきたいと思います。

【尾崎主査】 中村委員、お願いいたします。

【中村委員】 ありがとうございます。私の子どもは23歳ということで、今のリアルタイムにマッチしているかどうかわかりませんが、私の体験で少し話をさせていただこうと思います。
 良かったほうの経験は、私の娘の経験をお話しさせていただこうと思いますが、私の娘は小学校の6年段階で支援学級の6年生在籍が当初1名でした。行事等の場合は、遠足にしても移動教室にしても、参加できる範疇の授業に関しても、1名しかいないということもあって、子どものペースで参加をさせていただくという形、決して、必要以上に参加するわけではないでしたが、できる範囲で参加するという形を、とても幸福だったと思いますが、とらせていただきました。
 その際に、資料の後半で述べさせていただきましたが、とにかく良かったと思うのは、やはり交流学習の場合、その授業内容すべてをうちの娘が網羅できるかというと、難しいです。そうなったときに、その交流学習に行くときの子どもの目当てがはっきりしていたこと。目当てがはっきりしていて、それはまず支援学級の担任がきちんと把握することだと思いますが、目当てがはっきりしている上で、そのことについて交流学級側の先生とある程度共通認識がとれていたことです。
 だから、例えば移動教室に関しては、具体的に申し上げると、うちの娘の交流目標は、昼間の活動はすべてグループに入って行い、担任がそこにべったりつかないということでした。例えば日光であれば、滝を見るにしても何にしても、グループの写真を見ると、うちの娘は必ず入っていて、担任がそばにべったりついているということはしなかったです。要するに、普段一緒にいない人たちと一緒に1日過ごそうということが彼女の行動目標であって、ただ、細かなものについては、普段学級の中では、例えば食べ物の好き嫌い1つをとっても、目標としていることに関して、あえてそこでは必要以上、過度に求めないということをその先生はなさっていらっしゃいました。
 具体的に言うと、普段食べられない料理がたくさん出てくるような旅館の食事に関して、嫌いなものは別に今日は残しても構わないということを娘に伝えてもらって、ただしみんなと一緒に御飯を食べて過ごしてこよう。なおかつ、私はそばにつきませんが、グループの中で安全確保できる範疇ではお願いしますということをきちっと交流学級の担任に認識していただくという形をとっていただきました。
 ほかの状況に関しても、卒業式を1つとっても、うちの娘はそのような形で、担任が特に1人つかずに、列に並ぶという形で参加をさせていただいて、結果的に良かったのが、前、委員会でも申し上げたんですが、本当につい最近、地域の衣料量販店に私と娘で買い物に行ったときに、試着室に入った娘のところにいたアルバイトの方が、個人名を出しますが、「Aちゃんですか」と私にお声かけいただいて、「そうだけど、どうしてうちの娘のことを知っているの?」と言ったら、「私は小学校同学年で、一緒に日光も行ったし、運動会もしたし、授業もしました。だから覚えています」「覚えていてくれるんだ、ありがとう」と言ったら、「一緒の学年だった子は、みんなAちゃんのこと覚えています。道で会ったら声をかけます」というお言葉をいただきました。私は最高の財産をいただいたなと思っています。
 良くないほうで言うと、決してものすごく悪かったわけではありませんが、うちの息子が日光に行くときに、バスで移動しなければならなくて、東京から日光までのバス移動のときに、うちの息子はものすごく感覚過敏で、うるさい中にいるのが耐えられなくて奇声を上げる子でした。あのにぎやかなバスの中に長い時間いるのはとても苦痛だったようです。それで、帰ってきた後1週間、彼は夜中の12時に、必ず飛び起きていました。
 正直、でも、逆にそれがあったので、私は中学校は特別支援学校に移そうということを決心できましたので、決してものすごく悪かったということはありませんが、無理なことをしてしまうと、二次障害としてそういうことが出てくることはあるかと思います。
 以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 時間の関係で、次に進めさせていただきたいと思います。また御意見がある方は最後の方で、ヒアリングがすべて終わってから意見をいただく機会があるかと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、肢体不自由への配慮について、濱川浩子さんよりお願いいたします。

【濱川氏】 全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会会長の濱川浩子と申します。本日は保護者として意見を述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お時間は10分ということですので、資料を用意いたしました。資料の内容と私の発言をあわせて御理解いただければと思います。
 まず初めに、全肢P連は、昭和33年に東京の光明養護学校の講堂で結成いたしました。今から54年前のことです。近年、障害の重度、重複化が顕著になり、在籍する子どもたちに医療的な配慮を必要とする子どもたちが増加いたしました。保護者は、自家用車を運転し、そのまま校内待機をしておりました。現在は、看護師の配置も進み、その教育環境整備も着実に進んできております。私たちの学校は、そういった教育と医療体制と福祉制度の連携が不可欠な学校なのだということを御理解いただければと思います。
 障害のある子どもたちには、特別支援学校は必要な場所であり、私たち保護者にとっては、家族支援の場でもあります。私の子は、肢体不自由の特別支援学校に毎日元気に通っています。障害は、脳性まひによる四肢体幹機能障害です。日常的にも介助が必要な子どもです。
 私は、居住地校に学籍を置くことを原則とし、特別支援学校へ行きたい人は行けばいいという意見には疑問を覚えます。何か居住地校へ行くことが本道であり、特別支援学校を選ぶのは外れていることのような気がしてなりません。これは、差別的な見方と言えないでしょうか。子どもに合った教育環境や学習方針を求めて、小学校、中学校でも私立を選ぶこともありますし、国立へ行く子もいます。子どもの視点に立ち、より良い学習環境を選択することが親の役割です。
 特別支援学校へ通わせている私たち保護者がよく非難されることの1つに、見も知らぬ方から、子ども自身は普通校を望んでいるのに、親は障害があるからと特別支援学校へ入れていると言われます。一度も見たことのない子どもの何を知っていてそのように言われるのか理解できません。意思表示ができないのは、小学校入学時では、健常児であっても、障害を持っている子でも変わりはありません。親が我が子にとって一番良い選択をしているのです。それを普通校へ行けというのは、特別支援学校への御理解がないのではないかと思います。
 普通校でも特別支援学校でも、子どもが成長する教育環境を求めて選択できることが一番良いと思います。
 特別支援学校は、本人が主体的に取り組むことを大切にし、障害の重さで能力や学力を判断するのではなく、やりたい気持ちを引き出す、またできるためには何が必要か、どんな工夫が必要かというところから支援が始まります。
 ゆったりとした時間と子どもたちの特性を見守り、育てる環境があります。これは、普通校にない特別支援学校の良さです。それをもっと知ってほしいと思います。
 私たち保護者には、法律や条例で特別支援学校へ追いやられたという思いはありません。子どもたちに障害があってもなくても、それぞれの個性も違い、できることも違い、将来の希望も違います。インクルーシブな社会とは、特別支援学校、特別支援教育を含めた社会整備でなくてはならないと考えています。
 子どもたちの教育には、成長に合わせたカリキュラム、個々のニーズに応じた個別の支援教育を活用した教育制度の整備を進めることが必要だと考えています。
 乳幼児期からの必要に応じた家族支援が必要です。乳幼児期に障害と診断されると、保護者は経験のない将来の不安から、子どもの障害を否定したり、障害を将来にわたり受け入れられない心情になりやすく、その結果、子どもを虐待したりなど、家庭崩壊にもつながります。障害のある子を育てていく保護者の気持ちに寄り添った医療体制、福祉制度、教育の体制の連携のあり方が家族支援の最初の一歩です。この頃、私たち保護者は、経験のない子育てに戸惑っています。
 教育内容・方法についてですが、保護者は、子どもの生活状況などを情報提供者として担当教員に伝えることを大事にしています。教員が、保護者の気持ちを大事に受け取ることで家族支援にもつながっています。
 プール指導の充実。障害の重い子どもにとってプール指導は有効であり、重力から解放される有意義な体験です。これは、泳ぐことを目標にしたプール指導だけではありません。無理をしないリハビリにもなります。個々の障害を緩和するため、個々の力を伸ばすため、自立活動の指導体制の充実が必要です。
 相互理解ですから、普通校で学ぶ障害のある子も特別支援学校へ交流へ来ることが必要です。
 小中学校で体育などの授業に参加できない場合は、特別支援学校で自立活動に参加できるよう配慮も必要です。特に、高等部では、授業の単位として認める配慮ができるのではないでしょうか。
 施設・設備についての配慮はたくさんあるので、資料を参考にしてください。
 送迎には屋根つきの駐車場が必要です。20キロほどの重さのある車いすをおろし、小学部の子どもは10キロから30キロぐらいの体重ですが、高校生になりますと、体重も身長も親と同じぐらいです。その子を毎日抱き抱えているのが私たちです。雨の日は駐車場に屋根が欲しいです。
 給食室の整備が必要です。初期食、中期食、後期食、普通食、アレルギー食の調理のために必要です。東京ではかなり充実していますが、他県では肢体不自由校も十分な給食が提供できていない学校もあるそうです。
 肢体不自由校には保健室がとても大事です。医療的ケアに必要な医療機器等の設備のある保健室が必要です。また、ストレッチャー型の縦長の車いすのまま入れるように、普通校の3倍程度のスペースが必要だと思われます。
 温水プールの整備が必要です。子どもたちは無重力な状態になるプールが大好きです。特に脳性まひの子どもは、緊張の強い萎縮型が多いため、水に包まれる感覚が良いようです。現在でも温水プールが未整備の学校は多く、屋根がないなど、利用の頻度が下がる傾向にあります。また、排せつ器官に障害のある子が多いため、浄化設備にも配慮が必要です。
 また、車いすで利用可能な手すり等を整備したトイレ、ウォシュレット、暖房便座、また、おむつ交換に必要な簡易ベッドの設備、シャワーの設置、トイレ内にドアやカーテンなどを利用しての個室化にも配慮すること。肢体不自由校では、在籍児童生徒等の8割程度は紙おむつを使用しています。そのため、交換用の簡易ベッドは各階すべてのトイレに必要です。
 体温調節が難しい子どもが多いため、教室及び体育館、ホール等の冷暖房の設備が必要です。教室内にも必要に応じて加湿器や空気清浄機を設置してください。
 寄宿舎を見直してほしいと思います。自治体によっては、財政難を理由に廃止されている寄宿舎ですが、寄宿舎がないと学校へ行くことができない子どもがいると聞いています。時代とともに寄宿舎の役割は変わってきています。また、3月11日の東日本大震災の際には、障害のある子どもたちを一時保護するなど、寄宿舎があって良かったとの声が寄せられています。
 学校外における支援体制について。交流及び共同学習の充実が必要です。現在は、希望に応じて保護者付き添いのもと、交流等が行われていますが、移動支援など福祉の制度を利用できるようにしてください。また、個々の努力では交流に限界があります。学校間での交流を進めてください。
 私たち保護者は、障害のある子どもの親であり、健常児の親でもあります。どちらの子も大切に思っています。障害のある子の特別支援学校も必要ですし、また普通校の子どもの学校も、より良い教育ができるように学校運営の充実を求めます。
 特別支援学校が努力し、普通校へ出かけていく交流が多いですが、相互理解が必要なことから、特別支援学校の近隣の小、中、高等学校は積極的に特別支援学校を訪問してほしいです。
 以上です。ありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。
 木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。どうもありがとうございました。
 1点、交流及び共同学習についてお伺いしたいと思います。資料では3ページ目の下あたりから、いろいろな保護者のつき添い、あるいは移動支援、学校間での交流、あるいは次のページへ行きますと、丸4、あるいは丸9といったところに、交流及び共同学習について触れられておりますが、肢体不自由、あるいは肢体不自由特別支援学校というところでの課題、あるいは御経験に基づいて、さらに詳しく御要望などをお聞かせいただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

【尾崎主査】 濱川さん、お願いいたします。

【濱川氏】 ありがとうございます。
 現在、本校では、本校の話になってしまいますが、地域の小中高等学校との交流を行っておりますが、年に数回のみで、ほとんどがうちの学校から相手方に行くような形になっています。それなので、人数的にも少数の交流という形になっていますので、全部の子どもを知る機会がなかなか普通校にはないように思います。どちらかというと、教科クラスの子どもたちが相手方の学校に行って、一緒に給食を食べてくるというところが多いようなので、今の肢体不自由校の現状ですと、医療ケアのお子さんもかなりたくさんおりますし、教科学習のクラスの方が少ない人数です。ほぼ1割、2割程度かと思われますので、全体を見ることができない状態にあります。ですので、こちらから行くのではなく、普通校から来ていただけるような体制をとっていただくことを希望いたします。
 また、副籍等をしている子どもたちもいますが、区によってというか市によって、自治体によって受け入れ体制にかなりの格差が出てきておりまして、何回来てもいいよという学校もあれば、年に3回ですと区切られている学校等もありますので、なかなか私たちの子どもを素直に受け入れていただけない状況にあるかと思います。
 それと、これは子どもだけの問題ではないですが、普通校の保護者の方に私たちの子どもを理解していただかないといけないと思います。理解していただくことによって、私たちの子どもは子ども同士の間でも理解がもっと広がるのではないかと思います。できれば、保護者も含めて特別支援学校に足を運んでいただけるような仕組みができるとありがたいなと思います。

【木舩委員】 どうもありがとうございました。

【尾崎主査】 ほかに質問はありますでしょうか。
 福島委員、お願いいたします。

【福島委員】 難病のこども支援全国ネットワークの福島と申します。貴重なお話、ありがとうございました。医療的ケアについてお伺いしたいと思います。
 医療的ケアについては、最近、看護師を配置して医療的ケアを担っていただくというケースがかなり増えてきていると聞いております。実際には、教員が医療的ケアを担うケースと、看護師が担うケースの両方あると思いますが、私は、医療的ケアを行う関係性というんでしょうか、医療の専門性よりも、身近な特定の慣れた教員が医療的ケアを行うということも必要だと思っているんですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

【尾崎主査】 佐竹さんからお願いいたします。

【佐竹氏】 全肢P連事務局長を務めております佐竹と申します。今の質問に関して、私の方で回答させていただいてよろしいでしょうか。
 医療的ケアにつきましては、かなり長い期間をかけまして学校に導入された経緯があります。特に、3行為というたんの吸引等を含めたところで、教員ができる部分をすごく話し合った時期があります。特殊教育から特別支援教育へ移行する制度の中の1つとお考えいただければと思います。
 今御質問の、学校の先生でもできるのかという御質問と、看護師が導入されていて、今看護師がやっているのかという部分かと思いますが、先生がやれる部分は3行為までに限られております。根本的に、医療的ケアを学校で処置するということは、病院の役割とは違いまして、子どもが教育を受ける上で授業の妨げにならない、また体調管理をする上での医療的ケアでありますので、先生方は医療的ケアを必要とする子ども、その個人について研修を受けた上で3行為を行います。看護師は、医療的ケアを必要とする学校の中にいる生徒数を把握し、その状況を随時把握し、先生と協力し合いながらやっているということです。基本的には、看護師が医療的ケアをすると御理解いただけたほうがよろしいかと思います。先生方はあくまでも3行為に基づいたサポートです。
 詳しく御説明できてないかもしれませんが、よろしいでしょうか。

【尾崎主査】 福島委員、よろしいですか。

【福島委員】 ちょっと質問の仕方が良くなかったのかもしれませんが、私がお聞きしたいのは、たんの吸引、経管栄養、導尿等の3行為について、看護師が医療的ケアをするのと、教員が医療的ケアをする、2つのケース、どちらが保護者として安心できるか、という点についてお聞かせいただきたいと思います。

【佐竹氏】 保護者はということであれば、それぞれ個々のお考えが違うかもしれませんが、基本的には、看護師が行うということが安全であり、ベターだと親御さんは思っているかと思います。

【尾崎主査】 よろしいでしょうか。
 それでは、時間の関係で次に進めさせていただきたいと思います。
 次に、自閉症・情緒障害への配慮について、市川宏伸さんよりお願いいたします。

【市川氏】 それでは、私は、自閉症のある子どもの保護者の立場からということで話をさせていただきたいと思います。
 皆さんのお手元に、意見表明については一応書いてありますので、自分の子どものことをお話しさせていただきたいと思います。
 特別支援教育について、私自身、様々な立場で関わらせていただいておりますが、自閉症の親として、ちょっと違う視点で話をさせていただきたいと思います。
 私の子どもは1歳までおとなしく、全く手がかかりませんでした。1歳半から引っ越しを契機に、視線が合わず、呼びかけに反応が鈍くなり、幾つか出ていた言葉もなくなりました。これは医療的には折れ線型と言われる自閉症の特徴です。私が自閉症と診断しましたが、有意味語はありませんし、知的障害児の通所施設に通いましたが、あまり大きな変化はございませんでした。
 知的障害児を受け入れてくれる保育園に入りましたが、おとなしく、ほとんどお客さん状態でした。ある日、体の様々なところに歯形がついて帰ってきまして、おたくのお子さんは自傷行為が出ましたという説明がありました。家では全くそういう状況がありませんので、自宅で見たことはありませんと申し上げたのですが、きちんとお子さんの観察をしてくださいと逆にしかられました。その後、しばらくして園から済みませんでしたと電話がかかってきました。背中の真ん中に歯形ができたので、これは絶対違うということがわかったからだと思います。本人は自分から説明できませんし、逃げることもできませんから、こういうことが起きるのだろうと思います。多分、自閉症には、臨床的に積極・奇異型、孤立型、受け身型がありますが、私の子どもはこの最後の型であったからだと思います。
 心障学級に入学しましたが、小2の頃には何回かおしりに大きなあざを作って帰ってくることがありました。介助の先生が理解力がない子どもに腹を立ててたたいていたということが後で分かりました。学校ではほとんど問題を起こしませんから、いつもほうっておかれるタイプです。身辺自立は一応できておりますし、みんなの集団の中に後からついていくような立場でした。もっと手のかかるお子さんがいますから、当然、先生方にとってはやむを得ないのですが、こういう子どもを持ちますと、保護者から、うちの子の面倒を見てくれれば良いのにという台詞がよく出ることになります。
 また、音に対しては過敏ですので、私はどこかに書いてありますが、運動会が来ると大体調子が悪くなりました。これは非常にがんがん音をかけて予行演習をやるからでありまして、私はこれを運動会症候群と名付けているんですが、そのあたりをもう少し配慮していただきたいと思います。あるいは、運動会のときにピストルの音がすると具合が悪くなってしまう場合もあります。そのときだけホイッスルを鳴らしていただければいいのですが、先生によっては絶対譲らないと頑張ってくださる先生もいらっしゃるというのが現状です。
 それから、音に対しても過敏なところがあります。また、大体、卒業式の頃は暖房を入れますので、どうも暑いようで、調子が悪くなります。卒業式だから頑張りなさいというよりは、上着を1枚脱がしていただければそれですべて解決ということになります。
 小5の頃は養護学校に転校しました。担任の先生が毎日のようにうちの妻に、おたくの子どもはうちの学校にいるはずではないと言われ、あるいはほっとかれているのに、ついに切れてしまったということで転校させたということだと思います。
 小5、6は、本人の水準に合わせて、無理をしない先生でしたので、比較的安定して過ごしておりました。別に会話もないし、特に何かするわけでもありませんが、好きな先生がいるようで、その先生が研修でいない日は、自分のかさぶたをはがしてしまうという自傷行為が見られました。
 中学部に進学しましたが、小学部からの情報はほとんど伝わっていないようでした。これは、私が外来をやっておりまして、大体4月になると多くの保護者が、今年は当たりでしたとか、外れでしたという話をするのは、この先生はうちの子をわかってくれそうか、わかってくれなさそうかということを伝えているのだろうと思います。
 また、このときには、非常に熱心な、もちろん括弧つきですが、ベテランの先生が担任になって張り切られておりました。夏休みに自閉症の講習会をその先生は受けられまして、括弧つきの自閉症の専門家になったようです。2学期になりますと、自閉症児のためのドリルが配付されました。うちの子は字も書けないし、理解もできませんからとお断りしましたが、先生は胸を張って、私は自閉症の講習会を受けてきたんです、何を言うんです、自閉症ならできないわけがありませんと頑張ってらっしゃいました。妻が困りまして、どうしようかと相談に来たので、仕方がないからおまえが書いておけといったら、つたない線や字でドリルに記入して提出しておりました。2カ月ほどしまして、先生から、大分良くなってきましたとお褒めの言葉をいただきまして、おまえも自閉症だったのかという話になりました。
 自閉症には機能による違いがあるということを御存じなかったようです。しばらくして、私の子どもだけドリルが来なくなりました。どうも父親が自閉症の専門家らしいとうわさが飛んだからです。このときだけ妻から感謝されました。熱心な先生に当たりますと、うちの子は学校では問題を起こしませんが、自宅に帰って夜中になるとパニック状態を毎日起こします。嫌なことを思い出して多分騒ぐのだろうと思います。学校が休みの日は何事もないので、多分そうだったのだろうと推測しました。
 高等部に入ってからは、10数名のクラスに入って、担任はほかのお子さんに手をかけるため、ほとんどほうっておかれましたので、かえって落ちついたかなと思いました。担任の先生も正直な方で、おたくのお子さんがいるということをすぐに忘れてしまうと言っておりました。
 今は33歳になりましたので、現在は大分事情が違っていると思われますけれど、うちの子が在籍している頃はこんな状況でした。
 それからもう1点、私は約30年間、医学問診という形で就学相談に関わっておりましたので、この点から保護者のことを見ましたので、お話しさせていただきたいと思います。
 30年ほど前の就学指導は、保護者にとって極めて評判の悪いものでした。障害のある子どもをふるい落とすという色彩が強かったからだろうと思います。どんなに障害の重い子でも、うちの子はある日、急に良くなるのではないかという希望を保護者は持っております。この気持ちがあるからこそ、保護者は子どもにエネルギーを注げるわけです。この気持ちを大切にしなければ、この子はほうっておいて、ほかの、もう1人の子にエネルギーを注ごうということになってしまうかもしれません。子どもの成長とともに、障害についての理解が進んでいくと思います。
 一方的に就学指導を当時は拒否される保護者や、判定を不服として委員会の事務職員を責め続ける方もいました。以前も文部科学省の会議で申し上げましたが、就学指導というのは、あれほど人と時間とお金をかけて、あれほど保護者に恨まれる仕事はないと思ったものです。私の仕事は、親に責められて疲弊し切った事務職員の精神療法だったような気がしております。
 子どもが大きくなればなるほど、保護者は、早く子どもの障害を知れば良かった、早く教えてくれれば良かったとおっしゃいます。一方で、お子さんの年齢が小さいほど、子どもを特別扱いしたくない、子どもにレッテルを張りたくないと保護者は思うものだと思います。
 保護者が子どもの障害に気づき、理解することを手伝うことはできますが、一方的に障害を認めさせようとする姿勢は慎むべきだと私は思っております。まだ障害受容ができてない保護者などという台詞は、上から目線以外の何ものでもないと私は思います。
 教育にとって都合の良い論理を展開するのではなく、保護者目線を注視するべきだと思います。
 最近も就学相談をやっておりますが、そこまでの保護者にお会いすることはあまりなくなりました。行政単位にもよりますが、年少の頃から何らかの気づきをもとに療育を行っている例が増えているからではないかと思っております。
 また、通常学級、特別支援学級、特別支援学校の垣根が低くなったと感じるように思います。このことも保護者の意識の変化には大きいと思います。特別支援教育をハード、ソフトの両面でより充実させていただくということは、保護者の要望にも応えるものではないかと思っております。
 このような視点に立ちますと、平成19年に始まった特別支援教育は、確実に良い方向に向かっていると私は思っております。もちろん、地域による温度差はありますが、着実にこの歩みを進めていただければと思います。
 それから、皆さんに出しました意見表明につきましては、お読みいただければよろしいと思いますが、幾つか気になるところだけをお話しします。
 1つは、7ポツの3番目のところに書いておきましたが、義務教育を修了した特別支援学級等の生徒の受け皿の確立ということで、これにつきましては、高等学校に特別支援学級がないということで、高機能自閉症等の生徒の受け皿が明確にはないと思います。東京や埼玉では高等特別支援学校も今作っておりますが、私が関係している高等特別支援学校は、約3分の2の生徒は通常学級の中学を卒業しておりますし、残り3分の1の生徒は心障学級の中学を卒業している方です。その中に1人か2人、特別支援学級の中等部を卒業した方がいるというのが現状かもしれません。
 いずれにせよ、知的障害の存在が前提になっております。したがって、厳密に言えば、高機能自閉症等の方は入れないのかもしれません。また、民間では、サポート校が東京などでは随分ありますが、やはり経済的な余裕がないと通うことはなかなか厳しいという現実もあります。
 最後に、その他の配慮事項の2番目に書いたのですが、自閉症について、やはり私の印象としては、学校の先生はまじめですから、一生懸命自閉症の特性を直そうとされるのではないかと思います。このことは、その人の存在そのものを否定していることになってしまいますので、私は先ほどから何回か申し上げていますが、社会不適応の部分だけを直していただき、そこをうまくフォローしていただければ、それは非常にありがたいことだと思っております。
 もちろん、国によって考え方は違いますが、彼らの持つ異能性は重要であって、これを何とか生かせないかと考えている国もあります。そういう点を指摘させていただきたいと思います。
 以上で私のお話にさせていただきます。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問ある委員の方、いらっしゃいますでしょうか。
 それでは、ないようですから、私から1つだけよろしいですか。最後に市川さんがおっしゃられた自閉症の特性は残して、社会不適応の部分を改善するという話は、そのような教育を求めるという意味で受け取ってよろしいでしょうか。

【市川氏】 私はそのようにしていただくとありがたいと思っております。

【尾崎主査】 教育の内容ではなく、対応の部分でということでしょうか。

【市川氏】 そうですね。もちろんハードの部分も重要ですが、まだまだソフトでいろいろできる部分があると私は考えておりますので、今日お話しした中では、その点を強調したつもりです。

【尾崎主査】 石川委員、お願いいたします。

【石川オブザーバー】 オブザーバーですが、質問させていただきます。
 レジュメを拝見しまして、自閉症を中心とする発達障害という書き方が複数されていて、意識的というか自覚的にお使いだと思いますが、一方でミスリードする可能性もあるかなという感じがしましたので、どのような意味においてこの表現をあえてお使いなのかお聞きできればと思います。

【市川氏】 分かりました。私がなぜそういう書き方をしているかと申し上げますと、発達障害者支援法の中に発達障害が定義されておりまして、その中に広汎性発達障害、ADHD、学習障害等ということになっておりまして、数の上で多いのはやはり広汎性発達障害と思うので、そういう書き方をしておりますし、おそらく現在、厚生労働行政ではそのような使い方が一般の言葉だと考えております。

【尾崎主査】 よろしいですか。

【石川オブザーバー】 はい。

【尾崎主査】 それでは、これから10分程度の休憩をとりたいと思います。15時5分まででよろしいでしょうか。
 それでは、10分間の休憩をとりたいと思います。

( 休憩 )

【尾崎主査】 それでは、再開いたします。
 学習障害への配慮について、山岡委員よりお願いいたします。

【山岡委員】 それでは、日本発達障害ネットワークと全国LD親の会ということで出てきております山岡です。よろしくお願いいたします。
 今回は、学習障害について、その保護者の立場でということですが、いろいろな団体の役員もしております関係で、この日本発達障害ネットワーク、それから全国LD親の会、日本LD学会、あるいはディスレクシアの団体であるNPO法人エッジ、そういった団体からも意見を聞いてまとめさせていただいております。この意見につきましては、最終的には個人的な意見ですが、いろいろな団体の意見も聞いてまとめさせていただきましたので、資料としては7-5を御覧いただきたいと思います。
 まず、今回、学習障害を中心としまして、知的障害を伴わない発達障害の特性ということをまずお話ししたいと思います。
 知的障害を伴わない発達障害については、親部会でも出ておりましたが、発達障害は高頻度障害でありまして、2002年の文部科学省の全国的調査でも、通常学級の中に6.3%程度在籍するということが言われておりまして、各クラスに2人から3人いるということです。今回、この合理的配慮ということを考えるときに、通常の学級において、この子どもたちにどんな配慮が必要か、何ができるかということを考えるわけですが、障害のあるお子さんに対して、将来に向けてどうするかという対応ではなくて、この知的障害を伴わない発達障害の場合は、既に通常の学級にいるということです。ですから、将来こういう対策や配慮が必要ということだけではなくて、今必要だということと、発達障害のある児童生徒の大半は、現在も多数通常の学級に在籍しているということを念頭に置いていただきたいと思います。
 発達障害は、分かりづらい、分かりにくい障害です。能力にでこぼこがありまして、例えば忘れ物が多いとか、あるいは注意、集中が続かないとかいうことについては、怠けているとかやる気がないとかいうように思われがちで、そういう表面的な行動に対する対応をとられると、間違った指導が行われるということです。そのような障害の特性について理解をしていただいた上での配慮が必要だということです。
 ここで例として挙げていますが、読み書きは得意で、漢字も難しい漢字が書けますが、例えば算数、計算については小学校1年生レベルのものしかできないというようなことです。ぱっと見たところ、そんなことあり得ないと思うので、間違った指導や判断をしがちになります。
 それから、視力は正常なのに、文字、文章を読み取ることができない。これはディスレクシアというタイプです。ぱっと見たところ、分かりづらいですが、文章をきちっと読んで理解することが難しいお子さんがいます。
 ADHD系のお子さんもいますが、授業中に先生の声に傾聴できません。音を聞き分ける能力がないので、いろいろな雑音とか周りの声が同じように聞こえてしまって注意、集中ができないということです。そういうときに、やる気がないとか集中しろとか言われても、なかなかそれはできません。
 また、感覚過敏もあります。自閉症の話にありましたが、接触とかにおいとか、特に過敏なお子さんがいます。後ろから背中をたたかれることがすごく嫌なお子さんがいます。それから、コミュニケーションに問題があるお子さんがいます。
 このように、見た目ではちょっと分かりづらい障害なので、個々の特性をきちっと理解した上で配慮いただくことが必要だと思います。
 その発達障害のお子さんにもいろいろなタイプのお子さんがいらっしゃって、個々に特性が違うということです。先ほど市川先生も、自閉症だからこうだという話がありましたが、いろいろな特性のお子さんがいらっしゃるので、障害名だけで判断しないで、個々の特性を見て配慮いただくことが大切なのです。先ほども申し上げましたが、このような発達障害の特性を持つお子さんは、現に通常の学級にたくさんいらっしゃるのだということを前提に、必要な合理的配慮とは何かということを、今回いただいた8つのテーマに沿ってお話を差し上げます。
 1つ目の子どもの成長のために学校教育に期待することです。これは、通常の学校や学級に在籍していても、資料にお示ししたような教育・支援を受けられることが重要であるとしています。
 内容は、「一人一人のニーズや特性に合わせたきめ細かな支援」、「将来の自立や社会参加に向けた教育」、あるいは「社会性やコミュニケーションを身に付けられるような教育」としておりますが、実はこれは、特別支援教育とは何かという理念そのものです。これが通常の学級にいても、通常の学校にいても、きちんと受けられるような体制が必要だと考えております。
 2番目の早期からの教育支援についての配慮事項です。項目は一々申し上げませんが、どこの幼稚園や保育所においても、例えば早期発見とか早期の支援、あるいは就学に向けた早期からの相談支援や支援がきちんと受けられるような体制の整備が必要であると思います。
 3つ目の教育内容や方法についての配慮事項について、少し詳しく申し上げます。
 ここでは6点挙げさせていただいております。1つ目ですが、個々の子どもの表面的な困難だけではなく、認知特性や行動特性をしっかり把握して、個々の特性に合わせた支援を行うことが重要であるとしております。先ほども同じようなことを申し上げましたが、認知特性等の背景要因を考慮せずに、表面的な困難に対して一般的な対処方法、例えば努力をしろとか、あるいは頑張りましょうという対応をとると、逆効果になってしまうことが多いということです。
 例えば、先ほど言いましたが、計算障害のあるお子さんですと、数の概念がついてないケースがありまして、1桁足す1桁の足し算について、例えば小学校の中学年ぐらいになっても困難を持っているお子さんがいます。
 健常なお子さんの場合は、繰り返し練習することによってできるようになりますので、一生懸命頑張りなさいとか、繰り返し練習しなさいとか、5回ずつ練習でだめなら、20回練習してこいとか、そういうことが一般的に考えられるやり方なのですが、計算障害のある子どもは努力をしてもできないので、かえって本人が傷ついたりします。ですから、そこのつまずいているところ、数の概念がついていない、あるいは短期記憶が悪いとか、そういうことの認知能力とか、そういったところをきちっと鑑別していただいて、工夫した指導というものが必要だということです。
 例えば、もう一つは行動面になりますが、音とか声に傾聴する能力に欠けるお子さんがいます。学校の中では、授業中、先生の声に傾聴しなければいけませんが、窓の外で聞こえる自動車の音だとか子どもの声とか、隣で消しゴムを落とした音とか、そういったことに気を取られてしまって、先生の声に集中できないタイプのお子さんがいます。
 そういう特性をわかっていないと、集中力が欠けることに、あるいはよく聞いてなかったことについて、努力不足とか、一生懸命頑張っていないとかいうことになって、努力を強いたりしますが、それも、そういった認知能力の困難が原因だとわかっていただくと、対応が違ってくると思います。
 2つ目ですが、学習障害ということで言いますと、教科学習に非常に困難を持っているケースがあります。現在の教科課程の中ですが、例えば学習指導要領などで一昨年の改訂において、行動面の問題については少し書き込まれたところがありますが、教科補充とか教科の面についてはあまりうたわれてなかったと思います。ですから、学習面の困難は、学習障害を主訴とするお子さんだけでなく、実はADHDのお子さんや自閉症のお子さんも学習面に困難を持っているお子さんもあります。この学習面の困難については、1つ上の項目にもありましたが、認知特性等の特性に基づいた個々の特性に合わせた指導方法を学習指導要領等にうたっていく必要があるだろうと思います。
 それから、3つ目ですが、今度は行動面、生活面の問題です。小中学校の通常の学級において、発達障害のある児童生徒が持つ生活面、行動面の困難に対して、個々のニーズや特性に合わせた支援をしていくことが重要ということを言っています。
 例えば例としましては、45分間の授業時間中、注意、集中力が続かないお子さんがいます。15分ぐらいが限度だというお子さんが結構いたりしますが、そういったお子さんについて、単に45分我慢をしなさいとか、注意、集中しなかったら罰のように廊下に立たせるとか、そういう対応をするとかえって逆効果になります。例えば15分たったらタイムアウトをとってあげるとか、目標、決めた時間を達成したら御褒美シールを上げるとか、そのようなことを積み重ねることによって自信をつけたり、そのような指導をすることによって徐々に解決をしていく、そういう力をつけていくということができると思いますが、そういった指導の工夫が必要であると思います。
 これも一昨年改訂された学習指導要領の中では、特別支援学校用の学習指導要領をひもといていくと、解説編に、発達障害に関わるような中身がうたわれていて、ひもといていくと、そこの指導方法が書かれています。ここに書き込まれたことは実は画期的なことではあったのですが、小中学校におけるそういう面の指導方法というのは、本来は小中学校用の学習指導要領にきちっとうたうべきだろうと思っております。
 それから、4つ目ですが、小中学校や通常学級において、個々の特性に対する理解、配慮が行われることが望まれるとしております。感覚過敏とか集団行動が苦手とか、急な予定変更についていけないというお子さんがいまして、これらもちょっと目で見ると、わがままとかしつけがなってないとか我慢が足りないととられがちです。しかし、そういう特性を持ったお子さんであるということを理解していただいて対応していただくことが大切であると思います。
 次へ行きまして、5つ目は、個別の教育支援計画や個別の指導計画をきちっと使っていただいて、個々のニーズに合わせた計画的な指導、支援が通常の学級、学校においても行われるべきだということを申し上げております。
 それから、最後ですが、ここでICT機器等の利用について申し上げます。例えばさっき言いましたディスレクシアのお子さんでありますとか、聴覚認知とか視覚認知に問題のあるお子さんの場合は、パソコンその他のICT機器等を利用すると結構学習が進みやすいという例があります。例えばそういう機器を学校で使いたいと申し出ても、なかなか認められないというケースがあるとの意見が出ておりました。合理的配慮の観点から柔軟に対応いただくことが必要であると思います。
 それから、テーマの4つ目ですが、学校における支援体制についての配慮事項です。ここでは5つほど挙げていますが、重要な点だけ申し上げていきます。
 1つ目です。通常の学級において、適切な支援ができる体制づくりが重要であるとさせていただいております。通常の学級における支援体制につきましては、これは平成15年ぐらいから文部科学省で特別支援教育体制の推進事業ということで取り組んでいただいておりまして、学校の中には校内委員会ができたり、特別支援教育コーディネーターが設置されたりということが行われております。ただ、実態としまして、通常の学級において、これで支援体制ができているかというと、なかなかうまくいっていないところもあると思いますが、基本的には、特別支援教育あるいは通常の学級において、発達障害のお子さん等に支援するときには、お1人の先生の力ではなかなか難しいところがあるので、校内でのチーム支援体制を充実していただくことが大切であると思います。
 それから、2番目に挙げていますのは、担任教員に対する支援体制ということですが、今は担任の先生、頑張ってくださいとなっていますが、担任の先生もお忙しいですし、なかなか専門的な知識をお持ちでもないですし、頑張れと言われても、なかなか頑張れないと思います。大変お気の毒なところがあると思います。担任の先生に対する支援体制をきちんと拡充してあげる。学校でのチーム支援体制であり、あるいはTTの補充、拡充でもいいですし、巡回支援とか、先生が困ったときに相談できるような体制をとるとか、教材・教具に関する情報提供を充実するとか、そのような担任の先生方への情報提供や支援の積み重ねで、担任の先生がお1人で頑張らなくて良い体制を作っていただきたいと思っております。
 それから、学習支援員とか特別支援教育支援員、既に平成19年度からかと思いますが、今3万人以上の方が予算としてついて活用されていますが、現状、その質とか量の拡充ということ、研修をちゃんと受けてらっしゃるだろうかとか、あるいはちゃんと支援ができるような資質のある方であるかというところについて、まだばらつきがあると思いますので、これらを拡充いただきたいと思っております。
 それから、4つ目が非常に大事でありまして、通常の学級においてお子さん方に支援するためには、クラスメートなどの周りの方の理解が必要です。そこができないために、ネックになっているケースがあります。そこで、クラスメートや保護者の方の理解を醸成するような仕組みや取り組みを是非進めていただきたいと思っております。
 時間もありますので、5番目に行きます。施設・設備についての配慮事項です。現在、通級による指導が行われておりますが、合理的配慮という観点からしますと課題かなと思うところがあります。現在、通級による指導においては、他校に通級しているケースが比率として結構多く見られます。例えば東京でいきますと、通級制度は、拠点校方式をとっていますので、数校に1校、通級の教室を作って、そこに周辺の学校から通う形になっています。
 最終的には、合理的配慮というからには、自校通級が望ましいわけで、他校通級をするということは、それだけ通級をするために通学に時間をとられたり、保護者がそこに手を取られたりすることになっております。すなわち、合理的配慮という観点からすると、負担がかかっているところだと思いますので、是非、原則自校通級が原則できるように取り組んでいただきたいということです。それと、そこに行くためには、多分、特別支援教室構想とあわせて検討していかないと難しいかと思いますが、この「特別支援教室構想」についてもきちんと検討いただきたいと思っております。
 施設や設備につきましては、教室等の構造化とか表示の工夫とか、視覚認知や聴覚認知、あるいは感覚過敏のあるお子さんも結構ありますので、そういったことに対する配慮が必要だと思っております。
 それから6番目は、学校外における支援体制への配慮事項についてです。発達障害だけに限ったことではありませんが、障害のあるお子さんに対する支援は、学校だけでできるものではありません。基本的には、学校と家庭、あるいは周りの支援機関との連携ということが必要かと思いますが、こういった連携のときに難しいのが情報の共有化ということです。例えば個人情報保護法の関係とかでできないとか、いろいろなことがあるかと思います。個別の教育支援計画は、医療、福祉、労働等の関係機関との連携をもとに作るとなっていますが、この個別の教育支援計画を制度化していただいて、きちんとした連携がとれるようにしていただきたいと思っております。
 7番目ですが、幼、小、中、高の各段階における配慮事項ということです。この部分は大事なところだけ申し上げますと、小学校から中学校ぐらいの年齢の発達障害のお子さんは、二次的障害に陥るケースが結構あります。ただし、ここはきちっとケアをしていくことによって、二次的障害はかなり予防できるだろうと私は思っています。ですから、このことが重要だということが1つです。
 それから、高等学校の段階は、先ほど市川先生も高等学校のところをおっしゃっていましたが、入試における配慮とか、取組が遅れている面がありますので、ここを重点的に拡充していただきたいというところです。
 時間も来ておりますので、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。
 髙橋委員、お願いいたします。

【髙橋委員】 山岡委員、ありがとうございました。参考にさせていただこうと思っています。
 今発表されました学習障害ですが、学校現場で見分けにくい、見つけにくいということで、一番難しい問題であると思っています。生育歴その他もありますし、児童虐待の問題もあります。それから、教員の指導力の問題もありまして、果たしてこの子が学習障害(LD)なのかどうかを見分けることが難しくて、むしろ、学校で間違った指導がなされている。家庭的にこういう問題があるから、今こうなっている、こういう状況でいるということ、その前提に立ったカウンセリング、その他を実施しまして、今委員がおっしゃったような指導がなされてないケースが多いのですが、これを学校現場の校長先生に理解していただくこと。それから、家庭との連携のあり方について、家庭の理解を得る、これもまた難しいことですが、良いお答えがありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【尾崎主査】 よろしくお願いします。

【山岡委員】 ありがとうございます。まずは、私が答えることかどうか分かりませんが、お子さんの状態について、先生方が気になる段階があると思います。気になるお子さんというか、何かつまずきがあるお子さんという段階では、なかなか特性は把握できないと思います。各学校や地域においてこういうことをやられると思うんですが、気になる段階で学校で検討いただいて、今度は専門家チームに投げていただいて、必要があれば、そういった診断や実態把握をきちんとしていただくということです。発達障害のお子さんだけではないと思いますが、やる気がないお子さんや、家庭の環境の問題で勉強ができないお子さん、怠学というか勉強をサボってるお子さんに対する対応とは違いまして、背景に発達障害等があるお子さんについては、きちんとした認知特性や行動特性などをとらえた診断や鑑別をした上で、それに合わせた対応をしなければいけないと思いますので、そういった方法をとっていただくことが大事であると思います。
 それから、家庭との連携ということにつきましては、多くが保護者との間のコミュニケーションをきちんととっていただくことによって解決することが多いと思います。詳しくは今述べる時間はありませんが、そういった体制をとっていただくことによって役割分担をして、お子さんの発達の支援のために一緒に頑張っていただくといいますか、取り組んでいただくということが大事だと思いますので、まずはそういった姿勢が大切であると思っております。
 以上です。

【髙橋委員】 ありがとうございました。

【尾崎主査】 ほかに質問等ございますか。
 山中委員、お願いいたします。

【山中委員】 調和小学校の山中です。
 山岡委員の発表で、4ポツの学校における支援体制についての配慮事項の最後のところに、「必要に応じて、少人数・個別等の特別な場での支援が受けられることが望まれる」と書かれていますが、その下の施設・設備についての配慮事項では、「通級による指導拡充が重要である」の2つ目のところに、「特別支援教室構想の実現が望まれる」とあります。特別支援教室というものが今後いろいろ出てくると思うのですが、これが4ポツの最後のところに書いてある特別な場というのが山岡委員の今書かれていることでいいんですが、これが特別支援教室ということなのか、通級による指導の拡充、通級で他校に行っている場合があって、できれば自校にということをおっしゃっていましたが、自校通級を原則にする、そういうことが特別支援教室なのか、もしもこの特別支援教室構想について、お考えがあればお伺いしたいと思いました。

【山岡委員】 2つありまして、通級については、合理的配慮という観点でいきますと、他校通級をするということは、明らかに自校通級よりも負担がかかるわけで、障害のあることによって他校に通級しなければいけないということは合理的配慮の観点から見ると、自校で通級できるようにしていくべきだろうということです。
 それから、特別支援教室については2つありまして、1つは、通級を自校通級でできるよう、各学校に通級教室を作っていくときに、特別支援学級と通級を発展的に一緒にしていくことによって、各学校に特別支援の特別の場を作っていく考え方が、以前の検討の中であったと思います。
 それから、通級の制度は、基本的には、週に3時間から8時間の対応ですが、今は少し柔軟性を持って対応できるようになっております。一方、特別支援学級については、基本的には、週28時間、100%そこにいることが前提になっていて、その2つの間には結構落差があるということです。もちろん、交流や共同学習などもあるわけですが、その落差をなくして、柔軟性のある体制にしていこうということが特別支援教室の1つの狙いで、その2つがあるので、このような書き方になっています。
 それから、4ポツの最後の方にある、「必要に応じて、少人数・個別等の特別な場での支援が受けられることが望まれる」という記載は、通常の学級だけでは発達障害のあるお子さん、あるいは学習障害のあるお子さんについて、指導が十分にできないだろうということで、すべてが通常の学級での指導ではなくて、通級あるいは特別支援教室などの特別の場、通常学級を離れた場における少人数あるいは個別の支援、指導が必要であるということを書いております。
 お答えになったかどうか分かりませんが、以上です。

【尾崎主査】 それでは、時間の関係で、次に進みたいと思います。
 次に、注意欠陥・多動性障害への配慮について、高山恵子さんよりお願いいたします。

【高山氏】 えじそんくらぶ代表の高山恵子と申します。貴重な機会を与えていただいて本当に感謝しております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私自身、ADHDとLDの診断を受けています。日本にいたときは全く自分が障害者であるということは気がつかなかったのですが、約十二、三年前にアメリカの大学院で教育学を学んでいるときにADHDを学び、自分自身がADHDであるということが分かりました。えじそんくらぶは、ADHDの当事者支援と、親支援、それから学校の先生などの支援もさせていただいています。その中で日々感じることをお伝えしていきたいと思っております。
 私は巡回支援などもさせていただいていますが、親御さんの悩みをお聞きしたり、いろいろしていく中で、子どもの成長のために学校教育に期待すること、一番大きな点はいじめなどの防止ということで、人権教育をきちんとお願いしたいと思っています。違いを受け入れる。これは、ADHDだけではなく、すべての障害を持った、障害だけではなく、ちょっと人と違ったものを持っているというだけで排除につながりやすい価値観を持っていますので、非常に重要なところであろうと考えています。
 また、児童生徒のキーパーソンはやはり母親です。ADHDの子は、ADHDがあるということが発見できないと、多くの場合、虐待を誘発いたします。そして、杉山先生のデータにもありますが、ADHDプラス虐待があると、二次障害を引き起こしたり、非行に走る確率が高くなっているというデータが出ています。ですから、親への支援も是非お願いしたいと思っております。
 早期からの教育支援についての配慮ですが、私が巡回支援をさせていただいて痛切に感じることは、情報の共有ができていないということで、親御さんが何回も何回もいろいろなところに同じ説明をしなければいけない、そこでへとへとになってしまうというところがあります。例えばWISCのデータなど、児童相談所や療育機関でとったデータが幼稚園の先生や小学校の先生のところに来ない。もしくは、巡回支援をしている支援員のところに来ないということで、せっかく支援が進んでいるのに、とてももったいないと思っています。
 それから、ADHDの子は集団でのアセスメントということが非常に重要だと思っています。是非巡回支援を強化していただき、子どもの特性をきちんと理解していただければありがたいと思っています。
 教育内容・方法についての配慮事項ですが、ありがたいことに、最近は非常に研修が進んで、ADHDの定義を話せる先生は非常に増えています。大変ありがたいと思っています。もしかしたら、小児科医よりも学校の先生の方がADHDの定義について答えられるのではないかと思うぐらい、本当に研修が進んでありがたいと思っています。
 ところが、表面的な行動観察だけで、それがADHDによるものなのかどうかという、ここのアセスメント、日常生活での困り感のアセスメントが本当にポイントになってきていると思います。特に、不注意優先のADHDの場合は多動がありません。多動があると誰でも目立つわけですが、本当に見えにくい障害なので、ぼーっとしているということになりかねません。そこで、是非しっかりとしたアセスメントをお願いしたいと思います。
 専門性を高めるという話がよく出ていますが、それはやはり事例検討会、そしてフィードバック、次の学年、次の学校に行ったときのその子の状態のフィードバックというところがとても大切であると思います。私は高校時代に覚醒が悪くて大病院に行きましたが、不定愁訴と言われ、何でもないと言われました、しかし、ADHDということが知られていたら、薬が処方されて、そのときにまた人生が変わっていたのではないかと思っています。実際、薬を飲んで非常に集中力が高まったことがありました。
 現在、薬はまだ15歳以上しか使用できない等なかなか条件が厳しかったりしますので、やはりここは教育の力に私は期待しています。環境調整、その子の動機づけ、そこのところをきちんとやっていただくことによって、ADHD症状は緩和します。完治はしませんが、緩和します。是非この点をお願いしたいと思っているところです。
 そのような状況で、本当にうっかりなので、自尊感情の低下ということが一番の問題になっています。加配の先生に対しても、ぴったりくっついてしまい、それが不登校の原因になるということもありますので、御配慮をお願いしたいと思います。
 学校における支援体制の配慮ということですが、ADHDの子はスケジュール管理や提出物の管理、自己管理が非常に苦手です。カウンセリング以外に学習コーチングのような具体的な目標設定と、それに対する支援が有効ですので、こちらも研修などでお願いできればと思っています。
 また、人事異動によって、よく内容のわかった先生がいなくなってしまったりします。支援体制にギャップがないようにお願いしたいと思っています。
 設備・施設についての配慮事項ですが、イギリス、アメリカの学校などは、ADHDの子は情報収集が苦手だということで、学校のホームページに各クラスの宿題や課題など、また提出日などを記載していたりします。このようなちょっとした御配慮、それからDO-ITプログラム、東大の中邑先生が中心になって行っていらっしゃるスマートフォンなどを使っての支援なども是非合理的に使っていただきたいと思っています。
 あと、学校外における支援体制についての配慮ですが、ADHDの症状を一時的に緩和する薬があります。是非医療機関、保健所、養護教諭、コーディネーター、そして親と連携して、正確な薬の情報提供、そして薬の効果測定をしていただくのは、学校にいるときに学校の先生ということになりますので、よろしくお願いしたいと思っています。
 また、巡回支援の有効活用ということで、関係機関の情報の共有、これを是非お願いしたいと思っています。親御さんは関係機関に相談に行くことに抵抗を持っている場合がありますので、巡回支援時に親支援というか、親の面談がその現場でできると、非常に効果があると実際にそれを実施していて痛感しているところです。
 次に、各段階における配慮事項です。今まで発達障害関係の話のところで共通している部分もありますので省きたいと思いますが、ADHDのお子さんに非常に重要なのは、アンガーマネジメントやストレスマネジメントの個別指導です。これは、子どもによって違うということと、ADHDだけではなく、いろいろな障害の合併がありますので、これをきちんとやっていただくことによって、能力を最大限発揮することができます。
 また、高校、大学の進学、入学についても、配慮を是非積極的にお願いしたいと思います。
 もう一つ是非お願いしたいと思っていることは、大学などもGPで、障害学生のための相談室というものを設置していますが、障害学生とついただけで、実は相談に1人しか来なかったという実例があります。ですから、診断名がついてない学生も支援するという幅広いスタンスを持っていただけるとありがたいと思っています。
 最後になりましたが、是非お願いしたいのは、私立学校の特別支援教育です。ここは本当に欠落していて、例えば英単語とか漢字のテストがあったとき、合格点がとれないとノート1冊書くみたいな、そのような罰といいますか、そのような指導をしている学校が普通にたくさんあります。是非私立の学校の特別支援教育にも力を入れていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見のある方、いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、すべての方からのヒアリングが終了したらまた御意見を伺いたいと思いますので、次に進めさせていただきます。
 最後に、重複障害への配慮について、岩城節子さんよりお願いいたします。

【岩城氏】 全国重症心身障害児(者)を守る会の岩城です。本日は大変貴重な機会を与えていただきまして、ありがとうございました。また、日ごろより障害のある子どもたちの教育に対しまして、多大な御尽力をいただいておりますことにもここで改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 本日お手元に、急ではございましたが、委員の先生方に、「いのちゆたかに」と、それから「重症児に支えられて」という2冊を机の上に置かせていただきました。まだまだ重症心身障害というものが単に障害が重いという範疇に入っているようでございまして、多くの方々に理解をしていただけていません。どうぞ、ご理解につなげていただくように机の上に置きましたので、後で御一読いただけたらと思います。
 初めに、私どもの長い名前の会は、昭和39年に創立いたしました。当時は、国の重い障害者に対しての施策はなく、治る見込みのない子どもに国の大切な税金は使えませんと言われ、それでもなお真剣に生きているこの命を守ってくださいと社会に訴え続け、社会の皆様の共感をいただいて今日に至っております。
 重症心身障害とは、肢体的にも知的にも重い障害を重複して併せ持っているものです。ほとんどの者は常に医療的ケアを必要としております。昭和54年の養護学校の希望者全員就学までは、地域の通所施設などはまれにしかなく、ほとんどの親たちは在宅で子どもたちを見ておりました。現在、全国で3万8,000人の重症心身障害者がいると言われ、また私どもの会員数は1万1,000人です。
 重症心身障害児者たちは、誕生のとき、もしくは幼少時に脳を冒されており、発達障害でもあるわけです。本当に気の遠くなるようなスピードで、しかし確実に進歩、成長、発達しております。全員就学に、当時の親たちがどんなに喜んだことでしょう。お分かりいただけると思います。
 ここで娘の紹介をさせていただきます。私の娘は一人っ子で、強度の仮死で誕生しました。脳性まひの重い障害を負って今日に至っております。現在の状態は、首も据わっておりません。視力障害を併せ持ち、明るさが分かる程度です。話すこともできません。一人では寝返りも移動もしません。食事はミキサー食、排せつはおむつを使用し、着替えや入浴など、すべてに人の手を借りながら全介助の生活をしています。
 現在、32歳。私ども夫婦と3人在宅で暮らしています。幸いなことに、娘は非常に聴力が鋭くて、音楽、歌、話などを聞くのが大好きです。人とのコミュニケーションは大変難しく、親やよほど慣れた人でも娘の快、不快は分かりますが、そのほかのことになると、なかなか酌み取ってやれません。でも、性格が穏やかで、泣いたり、ぐずったり、あまり意味なく不快をあらわさないために、いつも笑顔を見せてくれて、おかげさまで私どもも32年間、楽しく毎日を過ごしてまいりました。
 2歳から6歳まで、早期療育の重要性を認識しておりましたので、現在の守る会が行っておりますあけぼの学園に母子通園いたしました。それから12年間、都立の養護学校で教育を受け、卒業後は、また現在のあけぼの学園が重症児通園事業をやっておりますので、そこでお世話になっております。全国重症心身障害児(者)守る会とは、それ以来の御縁になります。
 ここからは自分の娘、個人的なことにとどめないで、重症心身障害の子どもの受ける教育につきまして、今日の課題であります合理的配慮という言葉を念頭に置きながら話をさせていただきます。
 頂戴しましたテーマに6項目を私は挙げてみました。それぞれに重なるところがあるかと思いますが、御了承ください。
 数年前に、一人一人のニーズに対応した教育を行うということで、特殊教育から特別支援教育に移行いたしました。私たちは、そのとき、大変喜びました。しかし、昨今、学籍一元化という言葉が出たときには大変驚かされました。とても重症心身障害の子どもたちには、一般校の普通学籍に席を置いて教育を受けるなど、その姿すら私たち親には思い浮かびませんでした。一体これからどうなるのだろうかと大変大きな危惧を抱きました。今日は、そのことも踏まえまして、是非とも子どもたちの障害の特性を理解していただいて、また一人一人の障害にあわせた教育の場を作っていただきたい。やはりそれには、現在の特別支援教育のさらなる充実が良いのではないかと私たちは思っております。
 まず、1つ目の子どもの成長のために学校教育に期待することとしまして、はたから見ますと、重症心身障害の子どもたちは、ちょっと人様が見たときには、一体、この子に何が分かるのだろう、理解できているのだろうか、果たして教育など必要なのだろうかと思う方もおいでだと思います。でも、それは、また一方の考え方では本当にそう思うことが自然かもしれません。どんなに障害が重くても、必ず、一人ひとりの中に可能性があります。それを見つけ引き出してほしいのです。しかし、寝たきりの子どもたちは、家庭だけでは決して教育はできません。そして、子どもたちは非常に体が弱いのです。ですから、その上からも、健康体にならなければなりません。
 なお一番の大きなことは、親は誰でも、自分の子どもがどんなに障害が重くて弱くても、世間の皆さんと同じことを体験させたいのです。そのためにも、やはり同年齢の子どもたちの集団、これは学校以外にありません。そこに当たり前に通うことによって、やはりそこで培われることは、家庭だけでは決して培われない大切なものを受けてまいります。学校教育で受けてきた実績の中には、まずどの子どもも健康になります。そして、外にはなかなかあらわすことはできませんが、一人一人の子どもの社会性は確実に確立されております。
 ただし、これは先ほどから申し上げるように、重症心身障害児というのは身体が非常に弱いのです。そして、ほとんどの場合が医療的ケアを必要としています。ですから、そういうものが備わった場所で、専門的な知識のある方たちに守られながらやっていく教育の場でなければなりません。私たち親は、そこに大きな期待を持ちました。
 現在のところでは、子どもたち、まだまだ重い子どもたち、人工呼吸器をつけて在宅にいる者も、なかなか同じような教育の機会はありませんが、それでも1人ずつ少しずつその方向に向かっていくことに大きな喜びを持っています。学校教育は是非そういうところであってほしいと思います。
 それから、次の早期からの教育支援ということですが、これもまた大変重要です。学校教育、もちろん幼児期の教育も学校教育の一環ですが、やはり親自身が本当に重い障害の我が子の障害を受容するところからが大変です。その意味からも、やはり早期にそういう療育の場があって、親同士、専門家と、そしてボランティア、社会の皆さんとその中でこそ、我が子の障害を非常に冷静に受けとめていって、暗くなるのではなく、いい方向に一緒に向かえる、こういうことが非常に大事です。
 ですから、普通の幼児教育は、やっぱり重症児の教育にも必要であると思います。現在、あけぼの学園でもゼロ歳児から、呼吸器をつけたり、お母さんたちがつき添って、現在、療育をやっております。暗かった親の顔がまず一番、明るくなります。そして、それが家庭での療育、養育に大きく身をつながっていくのではないでしょうか。
 3つ目の教育内容、方法についてということですが、学校教育ですから、いわゆる教科がありますが、やはり重い障害の場合には、この教科の枠にとらわれるのではなくて、まずは命を守る、生命の維持、たんの吸引など医療的ケアであるとか、その子その子に沿った摂食指導であるとか、経管栄養、排せつ、介助などの生活支援まですべてが含まれている特別な教育内容であると思っております。
 医療的ケアとして、現在、たんの吸引などの3行為が実施されておりますが、また今度はたんの吸引等が先生や職員等にもできるようになりましたので、よりこれらも広がっていくのではないでしょうか。ただし、やはり決して見よう見まねで、どなたでもできるものではありません。その日、そのときの子ども一人一人の体調であるとか、心の中が読み取れる人でなければ、これはできないことです。ですから、先生たちにも、このような専門的な、子どもたちを見る研修等も積んでいただきたいと思います。先ほどちょっと話もありましたが、看護師さんと先生とどちらが医療的ケアを行うべきかということについては、教育の現場ですから、やはり先生たちにも今までどおり実施していただきたいと思います。先生たちも、やはりそれをひっくるめて学校の教育と受けとめてくださっているはずです。
 4つ目のところは、これは当たり前のことですので飛ばしまして、5つ目の施設・設備についてのことですが、バリアフリーというのは当然ですが、最近ではいろいろなところにユニバーサルデザインを整える必要があると言われています。この度の震災のときにも、学校が大変大きな社会資源として力を発揮しております。ただ、避難所になるためのものではないということです。そうではなくて、やはりどんな重い障害の人たちでも、その人たちが使える心地いい場所、そういう学校であれば、どなたでもそこは使えるということです。そういう意味でのことを申し上げておりますが、そのための設備は、本当に大変な財源が要ると思います。にわかな整備ではとても届かないと思います。
 現在、子どもたちはおかげさまで一人一人、体に合った車いすを利用している者がほとんどです。中には、ストレッチャーのような寝たきりの形もあります。そういう装備は、やはりかなりのスペースを必要としますので、廊下やエレベーターの大きさを考える必要があります。
 また、ほとんどの者が長時間、車いすに座ることができません。うちの娘でも首が据わっておりません。体が変形しておりますから、1時間がやっとです。1時間座ったら、次には横にさせます。そのときに、衛生的なスペース、やわらかいスペース、そういうものがなければ、子どもたちには適しておりません。そして、ほとんど子どもたちはおむつを使用しております。そのにおいであるとか不快感というものは、これは一緒に毎日いる親や学校、教師、そういう慣れた方たちでなければ、なかなか理解ができないことです。これは大変なことだと思います。
 こういうことから、6つ目のこともそうですが、やはり学校の外におけることにつきましては、これは自力で通学はできませんので、スクールバスということになりますが、現在でもスクールバスを利用するにはかなりの制約があります。その制約は、まず医療的ケアがあれば、スクールバスには乗れません。ただ、私どもが考えると、そうすると、重い子たちというのは、なかなか通常学級の皆さんと同じ生活が望めません。そのスクールバスに医療的ケアができる看護師なり、そういう方を、医療職の方を1人乗せていただけたら、一緒に楽しく通えるのではないか、そのようなこともありますが、現在ではそれがまだネックになっております。
 終わりに当たりまして、子どもたちはけいれん発作や視力障害を併せ持っている者がほとんどです。そして、全介助を必要とする、これもほとんどです。そのすべてが私たちは教育の一環と考えております。
 合理的配慮という言葉自体、私は障害のある子どもたちの処遇を考えるときに、ちょっとなじまないように思いました。無理な推進をされますと、健康児にも多大な制約を強いることになり、逆にいじめや差別が生まれてくるのではないでしょうか。重症児には、ただいまの一人一人のニーズにあわせた特別支援教育の場が一番ふさわしいのではないかと思います。
 ありがとうございました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等ある方、いらっしゃいますでしょうか。
 木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。ありがとうございました。
 1点お聞きしたいと思います。資料の1ページ目の一番下から2行目あたりから、「より専門性を充実した教育、支援体制をもって対応できる特別支援学校の機能の充実と、教育に期待しております」という文章があります。具体的には、次のページ、3番の教育内容・方法とか、(4)の支援体制、設備などで具体的なことを書かれておりますが、専門性を充実した教育ということにつきまして、教師の専門性としてどのようなものを御希望か御要望か。お子さんを育てられた経験からで、限られても結構ですので、お教えいただきたいと思います。

【岩城氏】 これは、私の個人的な考え方ですが、やはり重い障害ですと、どうしても教育の中で、教育の現場で、娘が卒業しましてから15年がたっておりますが、やはり小学部に入りました頃、重い子どもたちがどうしても隅におかれてしまうといいますか、声も出しませんし、おいておけば邪魔にもならない。それから、だまっている子どもと反対にあーとかうーとかかなり声を出したり、わかっても何でも、子どもの方から発するものがありますと、先生もそれに応えなければならない。そういうことがありまして、どうしても養護学校の中に、個別支援計画の必要性を感じました。私のちょうど12年間は、PTA活動で頑張った12年間でした。子どもたちの一人一人の個別支援計画を立てるということは、先生方にとって、やはり障害児ではあっても、養護学校であっても、全体的な先生としてのプロとしてのいろいろお力はあると思います。養護教育の研修も受けていらっしゃっていると思います。その中でも、やっぱり一人一人そういう隅に置かれるということは、もう既に先生としてのプロ意識も、専門性もお持ちでないと思います。
 そういうことで、一人一人の障害が違う、その子たちにとってどういう先生方が教育的なことを考えられるかということが専門性だと思います。よろしいでしょうか。

【木舩委員】 ありがとうございます。

【尾崎主査】 ほかに御質問、御意見はありますでしょうか。
 それでは、ありがとうございました。以上で予定しておりましたヒアリングはすべて終了したところですが、今回及び第2回のヒアリングを含め、御質問、御意見等がございましたら、委員の先生、あるいは今日お見えになった方からも御意見をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 市川さん、お願いいたします。

【市川氏】 先ほどの石川委員の御質問に対する答えですが、私、医療、福祉の考え方で発達障害があって、それが一番、今、数も多いですし、対応が難しいものは自閉症という意識で申し上げましたが、ここは教育の場であって、文部科学省の場ですので、数が一番多いというのは少なくとも間違いですので、その点については訂正させていただきたいと思います。

【尾崎主査】 よろしいですか。
 ほかに意見等ありますでしょうか。今日で合理的配慮についてのヒアリング、2回が終わるということですので、これまでの経過も含めて、各委員から意見等、感想も含めてお聞きしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、時間の関係で早く退席されるかもしれないということですので、西滝委員からお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。2回のヒアリングを受けての合理的配慮について、御意見をお願いいたします。

【西滝委員】 急な御指名を受けまして、まとまっていませんが、私はろう者で、御覧のように、手話を見て話す内容をつかんでいます。そして、この会議に参加することができています。ですから、そのフォローがなければ、何の話か全く分かりません。本日は、いろいろな発達障害ですとか、いろいろな話を私も知ることができました。とても良かったと思っております。それはやはり合理的な配慮がされた会議、3人の手話通訳者が頑張ってくれたということで私が参加できたと思っております。ありがとうございました。
 以上です。

【尾崎主査】 ありがとうございました。突然の指名で済みませんでした。
 もう一度戻りまして、2回のヒアリングを受けて何か意見あるいは質問等、今日の全体も含めて何かありましたら、御意見をいただきたいと思いますが、ありませんか。よろしいですか。
 それでは、副主査の河本委員から。

【河本主査代理】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。今回と前回、ありがとうございました。障害がある方本人の今までの小学校、中学校の生活や、あるいは現在の生活、そして保護者の立場からのいろいろな話を聞かせていただき、本当に参考になりました。先ほどもちょっと申し上げましたが、全特協としても、今、大きな課題を幾つか抱えております。我々もその課題に向かってどう解決していくかということで、何年か続けて同じような研究のテーマで進んできているわけですが、いつになったらその解決ができるかということは全く不透明で、何とも言えませんが、また皆様方と協力しながら進めていきたいとまず思っております。
 2回目、今日の3回目を聞かせていただいて、まさにこれからのインクルージョンの考え方の中で、合理的配慮と障害があるお子さん、児童生徒の方たちの合理的配慮、いろいろな面で考えていかなければならないなと思いました。一番大きなものは何といっても、やっぱり教員の専門性ということを痛切に感じました。専門性を高めるための制度的なことはありますが、それぞれの学校の中で校長がリーダーシップをとりながら、各学級の担任の専門性をどう高めていくかということは、冒頭でお話ししましたが、全特協としても大きな課題として今とらえているところです。
 ただ、我々、設置校の校長の立場で申し上げますと、通常の学級の中に、そういう障害があるお子さんが入ったときに、その障害があるお子さんの合理的配慮を考えなければならないということはもちろんですが、障害のない30人、40人の児童生徒にとっての合理的配慮ということも考えていかなければなりません。ですから、障害があろうがなかろうが、やはり合理的配慮で、どの子も学ぶ権利、あるいはもうちょっと大きな意味で言いますと、生きる権利を保障するために、障害があろうがなかろうが、合理的配慮を両側面から考えていく必要があるかなということを痛切に感じました。ありがとうございました。また参考にさせていただきたいと思います。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 それでは、ほかに意見などありますでしょうか、では、福島委員、それから石川委員の順番でお願いします。

【福島委員】 難病のこども支援全国ネットワークの福島です。
 意見ではなくて情報提供ですが、資料8として、私どもと一緒に活動をしております親の会連絡会の2団体から合理的配慮についての意見が出ておりますので、参考用として配付をしていただきました。
 1つは、もやもや病の患者と家族の会、もう一つは人工呼吸器をつけた子の親の会・バクバクの会です。後ほど御覧いただければありがたく思います。よろしくお願いします。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 石川委員、お願いいたします。

【石川オブザーバー】 このワーキンググループでの議論を踏まえて、委員会でまた議論することになります。明日も議論がありますので、そういった観点から1点発言させていただきたいと思います。
 前回と今回、ワーキンググループの話を聞かせていただいて、合理的配慮について、いろいろな考え方、いろいろな受けとめ方があるということ、予想以上にそれがあるということも分かりまして、そうであればこそ、なおさら、各障害別に合理的配慮について、例えば優先度を決めながら、それを単にリストしていったりというだけでは済まなくて、やはり合理的配慮とは一体どういうことなのかということについてきちんと整理して、それを報告書の中に生かしていく必要があるのではないかと感じました。
 例えば合理的配慮を行うことによって、かえって教育的には配慮にならない場合があるのではないかとか、あるいは合理的配慮がないことが、教育的配慮である場合があるといった話にならないようにというか、つまり合理的配慮という概念規定をきちんとして、現場でいろいろな解釈や、いろいろな見方が広がって収拾がつかなくならないような工夫が必要ではないかと感じました。
 先ほど河本委員がおっしゃったように、合理的配慮というものは、そんなに難しいことではなくて、一人一人の子どもに対して実質的な教育の平等を提供するということであって、例えば教育が適度な負荷を与えることだとすれば、一人一人の子どもによってそれは違うわけで、過度な負荷を与えてしまうと、それはやっぱり壊れてしまうし、負荷が足りないと育たない。せっかく育つ可能性を持っているのに育たないということにもなるので、それを障害という種別だけで横断的に、視覚の場合はこうだとか、聴覚の場合はこうだとかという話だけではなくて、個人個人で違いがあるだろうし、そういったことも含めて整理していくということではないかと思います。
 ですので、合理的配慮をどのようにとらえるかということについての共通の基盤となるような考え方をワーキンググループ及び委員会の中で合意形成をして、それでもいろいろな議論はあると思いますが、共通基盤を作っていって、その上に合理的配慮の指針というか、ガイドラインみたいなものを作っていく必要があるのではないかと感じました。

【尾崎主査】 西滝委員、お願いいたします。

【西滝委員】 済みません、先に出ますので、一言話したいと思っています。
 実は、前回のヒアリングのときも話がありましたが、視力障害の子どものお母さんの話では、盲学校の先生で点字のできる先生が減っているという話がありました。また、私も言いましたが、ろう学校では手話のできる先生が減っています。その理由としては、人事異動がありまして、3年でかわってしまうということがあります。そのような話がありましたので、合理的配慮が何かといいますと、やはり専門性、手話ができる、手話で子どもに教えられる、点字で子どもに教えられるという、そういう先生方の養成、研修が当面差し迫った現実的な課題だと考えております。
 昨年の6月に閣議決定をした内容、点字ができる、また手話のできる先生の養成ということが当面、24年までの課題であるということで、その考え方が出されております。24年、来年までにどういう方向づけができるのか。手話ができる、点字のできる教員の養成はどのようになるのか。差し迫った合理的な配慮の大事な宿題であると思っていますので、文部科学省においても検討委員会を設けるなり、何らかの取り組みが必要だと思っております。
 以上です。済みませんが、途中退席いたします。

【尾崎主査】 ありがとうございました。
 今、石川委員から、合理的配慮の考え方についても議論が必要だということで、ワーキンググループでも議論が必要という話がありました。そして、その考え方の1つとして具体的な内容として、ただいま西滝委員からも御意見が出たところだと思いますが、このことについて、委員から御意見をいただきたいと思います。石川委員から出された合理的配慮の考え方について、問題点や、このように考えたらどうかとかいう意見がありましたら、どなたでも結構ですので、御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。合理的配慮につきまして、私自身の考えということで申し上げます。
 障害者権利条約に書いてある第2条でしたか、書いてある合理的配慮は、教育だけではなくて、福祉、医療、いろいろな領域を考えた上での文章だと思っております。それを教育の場に当てはめて、またもう一度解釈し直すことが必要だろうと思います。
 それで、結論から私の考えを申しますと、合理的配慮を提供するということは、今まで特別支援教育の理念として言われてきた一人一人の教育的ニーズにきちんと対応していくことではないかと私自身は考えております。
 合理的配慮が権利条約で書かれている文章の中に、特定の場合において必要なものという文言があります。これを私自身は一人一人に適切なとか、一人一人に対応すると考えました。特定の場合、一人一人に適切で必要な変更及び調整、教育の場で考えてみますと、40人の学級でプリントを配る場合、必要に応じてちょっと文字を大きくするとか、いろいろな形の工夫みたいなものをするだろうと思います。それが必要及び適切な変更及び調整であると考えております。
 そういった一人一人に合った変更及び調整、その特別支援教育の理念の中で使われている言葉でいきますと、一人一人の教育的ニーズにきちんと合った形で対応していく。その結果、何を目指すかというと、権利条約で書いてある、可能な最大限の発達を目指すために、その教育的ニーズに対応する、あるいは変更及び調整があるという形で、今のところ考えております。
 簡単ですが、私見ということで意見を申し述べさせていただきました。

【尾崎主査】 ありがとうございました。私たちワーキンググループは、特別委員会のワーキンググループですので、その点を踏まえた上でのまとめ方をある程度していく1つの考え方として、明確に教育的ニーズに対応という御意見だったかと思いますが、ほかにこういう視点ではどうかという意見はありますでしょうか。
 宮﨑委員、お願いいたします。

【宮﨑オブザーバー】 2回のヒアリングを聞かせていただきました。本当に大事な視点、それから、これまで教育を受けてこられて困難な状況に努力をされてきた様子、あるいはいろいろないら立ちや不満もおありだったと思いますが、それを乗り越えて今日に至っていらっしゃる方々の貴重な御意見として受けとめさせていただけたと思います。
 それを踏まえて、具体的に学校教育の段階でどのような対応をしていけばいいかということでの整理をこれからしなければいけないと思いますが、特に横断的な事項と、具体的な個々の障害種の配慮事項ということが当然あると思います。基本的な考え方としては、石川先生、木舩先生に話をいただいたことは、そのとおりだと思います。まずは、私たちが少なくとも合理的配慮の概念規定をきちんと我々として作っておかなければいけない。その中身について、木舩先生がさらに突っ込んで、今話をいただいたことだと思いますが、それをきちんとお互いに再度確認をしていく作業をまずして、この後のワーキンググループの中で、基本的な理念を踏まえた上での、合理的配慮の理念を踏まえた上でのそれぞれの障害種についての対応を考えていただくとしていただくことが大事なのかなと思います。
 親委員会のところで、この点を進めるときに、ワーキンググループをと言われたときに、かなり個別に障害種によって違うという御意見がすごく強かったので、まず、原理、原則をきちんと押さえた上で対応しましょうということだろうと思いますが、私も木舩先生の御意見に賛同いたしますし、そこから出発をしてほしいなと思いました。ありがとうございました。

【尾崎主査】 ほかにこれだけは言っておきたいという委員の方、ありますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございました。それでは、時間となりましたので、本日はこれまでといたします。
 皆様から貴重な意見をいただきました。本ワーキンググループの検討に是非生かしていきたいと考えております。
 本日のヒアリングに関することでお気づきの点、御要望等がございましたら、後からでも結構ですので、事務局まで御連絡くださるようお願いいたします。
 今後の進め方ですが、資料1にあるとおり、第2回、第3回のヒアリングを通じて、皆様より貴重な御意見をいただいたところですが、今後、それぞれの障害種別の配慮事項について整理し、当ワーキンググループとしての取りまとめを行いたいと思います。
 取りまとめに当たりましては、各委員の皆様に御協力をいただき、各障害種の調査官に事務局としてサポートしていただければと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 では、この点を含めて、最後に事務局からお願いいたします。

【板倉課長補佐】 特別支援教育課の板倉です。事務局より2点あります。
 1点目は、次回、第4回ワーキンググループの日程につきまして、9月中旬を予定しておりますが、具体的な日程、場所につきましては追って御連絡させていただきます。
 2点目は、机上に配付させていただいております「障害種別の配慮の整理について」を御覧ください。1枚もので、座席表と一緒についていたかと思うのですが、こちらのところで、ただいま尾崎主査からございましたワーキンググループの取りまとめに関しまして、各委員の皆様には整理を希望される障害種について御協力いただくため、希望される障害種を記載いただいた上で、掲載のあて先にEメール、もしくはファクスでお送りいただきたいと思います。御担当いただく障害種につきましては、皆様より御回答いただいた上、主査と御相談の上、追って御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【尾崎主査】 最後の事務連絡にあったこと、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

 

── 了 ──

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)