資料8:第76回初等中等教育分科会(平成23年9月6日)における委員からの小・中学校間の連携関係の主な御発言

【小学校、中学校の役割に着目した御意見】

○ 小中連携は大変良い試みだと思うが、これが全体の流れになった時に小・中学校各々の役割が曖昧になっていくとしたらいかがなものか。連携する前にまず、各学校でどのように教育に取り組んでいくのか、ということを明確にする必要がある。初めに連携ありき、連携したらそれでよい、というのでは流れがおかしくなる。(荒瀬委員)
○ 中学校においては、学力向上もいいが、学習指導と健全育成、双方のバランスのよい教育を展開していかないと、また以前の荒れの時期を迎えるのではないかとの懸念がある。よって、小中連携する場合には、教育課程の接続と児童生徒の健全育成の接続両面を大事にしていってもらいたい。(大江委員)

【子どもの発達の早まり、学年の区切りに着目した御意見】

○ 昭和46年に出された「46答申」から始める必要がある。現代の子どもたちの心身の発達が前倒しになっているのは事実。占領軍が6-3制を持ち込んだ時代には、6-3の区切りが子どもの発達に合っていた。当時は、小学校の6年間は安定した児童期であり、中学校の3年間は心も身体も大きく成長する思春期であった。ところが、近年の発達の前倒しにより、低・中・高学年の授業のやり方が全く同じというようなところには無理が生じている。本当は、6-3を4-3-2にすればよいのだが、それは大変なので、教育課程において緩やかにやっていくのがよい。(梶田委員)
○ 中学になって問題行動が出てきたから対症療法的に出てきたものだけを鎮めていく、というのでは根本的な問題の解決にならない。小中連携を実施する際には、子どもの成長は6-3とは2~3年ずれるということを頭に置いておく必要がある。(梶田委員)
○ 子どもの発達の状況をきちんと見ながら議論すべき。(安彦副分科会長)

【学習指導方法に着目した御意見】

○ 講義型になってしまいがちな中学校の授業にも、小学校ではよく行われており学習者同士の結びつきを重んじる協同学習、グループ学習を取り入れるべき。(市川委員)
○ 子どもを教科ごとに細分化して見るよりも、小学校でやっているように、子どもをトータルに見ていき、その中で子どもに学びの習慣や方法を身につけさせていくことが必要。(市川委員)

【地域との連携に着目した御意見】

○ 小中連携を推進することで、地域との結びつきも強化していくのが望ましい。高校以上となるとどうしても県全域から集まってくるため、地域との結びつきは弱くなってしまうので、小・中学校連携の際にはぜひ地域との連携を強化してほしい。(市川委員)

【教員の意識に着目した御意見】

○ 小中連携は絶対に必要。小学校の先生と中学校の先生の間には風土、文化の違いがあることから、小中連携を図っている学校においては、例えば施設一体型の校舎としたり、職員室を一緒にするといった工夫により乗り越えようとしているのが現状。(輿水委員)
○ 中学校は受験を意識した教育を行っている。その意味では、高校まで含めた12年間を視野に入れ、議論していくことが望ましい。(輿水委員)
○ 中学校の教員の意識として教科の壁が大変厚いので、小中連携の中でこれを取り払い、子どもの学び方をトータルで捉える試みを進めて欲しい。(市川委員)
○ 先生方の意識を変えていくことにつながるので、小中連携を実施している学校での「保護者の受け止め」についても、併せて調べてもらいたい。(安彦委員)

【教員同士の学び合いに着目した御意見】

○ 中学校の先生は一方で小中連携、他方で中高連携と言われ、大変。中学と高校は教科毎のまとまりとなっているので中高連携は互いに親和性が高いが、だからこそ小中連携をもっとやってもらいたい。というのは、先生方にとっても子どもたちにとっても小学校と中学校の間の壁を高く感じている実態があり、問題だからである。先生方には義務教育の共通性を改めて意識していただき、互いに連携することで学び合うことが小・中学校ともにたくさんあると思う。(市川委員)
○ 日野市では、幼・保・小・中連携を実施しており、全学校で計画に位置付けるなどして対応している。各地域により課題が異なるため、中学校区毎に無理なく取組を進めている。小・中学校の教員が定期的に集まって授業を見合い、互いに学び合うことができればいいと思う。例えば、小学校は中学校の先生の生徒とのコミュニケーションの取り方や規律正しさを学び、中学校は小学校の創意工夫あふれる授業形態を見習うといったこと。(五十嵐委員)

【教員間の交流の必要性に着目した御意見】

○ 定期的に小・中学校の教員がそれぞれの授業を見合い、情報交換しても、やはり学校の中に入り込まないと小・中学校それぞれの生活は見えてこないので、1年間でもいいので、同じ中学校区内で小・中学校の教員の交換制度など、人事的な交流をする機会があるといい。(五十嵐委員)

【義務教育年限に着目した御意見】

○ 新しい学校教育法第21条(義務教育の目標に関する規定)を押さえた上で議論を進めて欲しい。義務教育期間は9年間が絶対ではない。年限についてはオープンな見方をしてほしい。(安彦副分科会長)

【中学校卒業時の成果に着目した御意見】

○ 小中連携をすれば指導上の効果があるはずなので、中1ギャップの解消、という中1段階だけでなく、義務教育が修了する中学校卒業時点での成果が見えるような議論にしてほしい。(安彦副分科会長)

【その他の御意見】

○ 全国的な取組の評価を、今後の作業部会における議論において精緻にやってもらいたい。小中連携はやり方次第でうまくいくので、いい方法を広めてもらいたい。その際、研究開発学校や教育課程特例校で行われている特例的な制度を使った取組と現行の教育課程を前提にした取組を分けて議論すべき。(安彦委員)
○ 方法論として、議論をするときにはゴール、目的を見据える必要がある。例えば不登校児童生徒数を減らすことなど、解決すべき問題を列挙した上で、問題解決に資する事例・データの抽出・紹介をきちんとしていくことが重要。(佐々木委員)

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)