特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第18回) 議事録

1.日時

平成24年5月25日(金曜日)9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 特別委員会報告について
  2. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 それでは、定刻を少し過ぎましたが、ただいまから第18回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、青山委員、安彦委員、岡上委員、乙武委員、北住委員、久保委員、品川委員、杉山委員、露木委員、山口委員が御欠席、それから清原委員は間もなくお見えになるかと思います。そのほかの委員は、御出席です。
 なお、本委員会において御発言される場合には、必ず挙手をした上で、お名前を述べられてから、御発言いただきますようお願いいたします。また、通訳の方のために、御発言の際にはゆっくり御発言いただきますようお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。本日は、前回の会議において皆様からいただきました御意見を踏まえて、私の方で委員長代理とも御相談をした上で、特別委員会報告案を修正したものを用意しております。これに基づきまして、自由討議を行う予定としております。
 それでは、まず事務局から、配付資料の確認と資料の説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。
 配付資料の確認ですが、議事次第のとおり資料1から資料6となっております。資料2は1、2と枝番がついておりまして、1が報告案の概要、2が報告案となっております。資料3として尾崎委員から、資料4として品川委員から、資料5として久松委員から、資料6として山口委員から、それぞれ資料を提出いただいております。参考資料は、本特別委員会の委員名簿となっております。不足がありましたら、随時、事務局までお申しつけください。
 続きまして、資料1を御覧ください。最近、文部科学省で取りまとめました調査結果も含めて、参考としていただきたいデータを改めて整理したものです。
 まず、1.特別支援教育の対象のところですが、どのくらいの子どもが特別支援教育の対象になっているかということで、小・中学校における特別支援学級の在籍者、小・中学校における通級の指導となっている児童生徒数を見て、概観いただく資料になっております。
 (1)としまして、特別支援学校における在籍者の推移ですが、平成21年度で11万7,035人、22年度で12万1,815人、23年度ですと12万6,123人ということで、大体4%ずつ伸びてきているような状況です。
 (2)は、特別支援学級の学級数と在籍者の推移ですが、在籍者の推移を見ていただきますと、平成21年度で13万5,166人、22年度で14万5,431人、23年度で15万5,255人ということで、大体7%ずつ伸びているという状況です。
 (3)は、通級による指導の児童生徒の推移ですが、平成21年度が5万4,021人、22年度が6万637人、23年度が6万5,360人ということで、22年度から23年度にかけては8%程度伸びているという状況です。
 (4)ですが、特別支援学校における医療的ケアが必要な児童生徒数ということで、平成23年5月1日現在の数字ですが、7,350人となっております。こちらは、7ページの(注1)に記載のとおり、23年度の調査については東日本大震災の影響を考慮し、岩手県、宮城県、福島県、仙台市においては調査を実施しておりませんので、注については御留意いただければと思います。これ以降、それぞれの調査に対応する形で注をつけておりますので、御留意いただければと思います。
 続きまして、2ページを御覧ください。2.としまして、幼稚園、小・中学校、高等学校の体制整備の状況について説明したものです。
 10ページの図5、図6等を見ていただくと分かりやすいかと思いますが、まず(1)としまして、国公私立、小中高別の項目別の実施率です。全体的な傾向としましては、ほぼ全ての調査項目で22年度を上回っているということで、全体として体制整備が進んでいる状況といえるかと思います。小・中学校に比べて、幼稚園、高等学校は依然として体制整備に遅れが見られるという状況です。
 (2)は、平成21年から平成23年度までの公立小・中学校の項目別の実施率ですけれども、公立の小・中学校においては、校内委員会の設置や、特別支援教育コーディネーターの指名といった基礎的な支援体制は、ほぼ整備されている状況です。個別の教育支援計画の作成、個別の指導計画の作成についても、着実に取り組みがされている状況になっております。
 その下の3.教員研修の受講状況、平成23年9月1日の状況ですが、○1、国公私立の幼小中高の教員研修受講率は、約63%の方が既に受講済みという状況です。○2、管理職の方の受講率ですが、約78%の方が受講済みという状況になっております。
 足早で恐縮ですが、3ページの4.就学指導委員会等についてですが、こちらも毎年、調査しております就学指導委員会に関する調査の状況の報告になります。
 (1)は、小学校、特別支援学校の小学部の就学予定者について、市町村就学指導委員会等の調査審議の対象となった者の数の推移です。平成21年度、22年度、23年度を比較していただくと、23年度は大きく減っているように見えますけれども、岩手県、宮城県、福島県、仙台市の状況を除いておりますので、そういった状況で減っていると御理解いただければと思います。
 (2)につきましては、就学基準に該当した子ども7,744人について、特別支援学校に就学した子が約70%の5,471人、それから小学校に就学した子どもが約30%2,242人ということです。
 (3)ですが、平成23年12月現在の就学指導委員会の設置状況です。12ページの図10、11も御覧いただければと思いますけれども、ほとんどのところで設置しているという状況で、多くのところで就学指導委員会という名称を使っています。設置形態については、単独設置のところが9割ぐらいですが、共同設置のところも1割ぐらいあるという状況になっております。
 4ページの就学指導委員会の開催状況ですが、13ページの図12、13も御覧いただければと思います。特に就学予定者向けの開催回数ですけれども、1回以下というところが4割ぐらい、2回から4回も4割ぐらいで、5回以上開いているところが2割ぐらいの自治体であるという状況になっております。
 その下の(5)都道府県における就学指導体制ですけれども、こちらも岩手、宮城、福島を除いた調査になっております。13ページの図14、15も参考にしていただければと思いますが、44都道府県全てが就学指導委員会等を設置していて、就学指導への協力援助を行っているという状況です。ただし、就学指導委員会が市町村の就学指導への関与をしているのは44都道府県中32都道府県と、全体の約73%程度になっているという状況です。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。(6)としまして、以前の特別委員会でも調査を平成23年度中に実施しますと報告していた、小・中学校における学校教育法施行令22条3に該当する者の数についての調査です。14ページの図16、15ページの図17も、あわせて御参照いただければと思います。
 小学校では、通常学級に在籍する、学校教育法施行令22条の3に該当する児童が2,026人、特別支援学級では1万2,277人となっております。参考のところでお示ししておりますが、特別支援学校小学部の在籍者数は3万5,641人となっております。中学校は、通常の学級に在籍している学校教育法施行令22条の3に該当する生徒が741人、特別支援学級に在籍している生徒が4,737人となっております。特別支援学校の中学部は、生徒数が2万7,275人となっております。
 1ページおめくりいただきますと、6ページ目に障害種別の在籍者数をお示ししておりますけれども、小学校、中学校ともに知的障害のある児童生徒の割合が高いことがお分かりいただけるかと思います。その次に多いのは、聴覚障害、肢体不自由のある児童生徒となっております。
 続きまして、7ページですけれども、今の調査と同時に、小・中学校における医療的ケアが必要な児童生徒数についても、平成23年5月1日現在の人数を調査しております。こちらにつきましては、小学校の通常の学級に在籍している児童が235人、特別支援学級に在籍している児童が337人。中学校ですと、通常学級に在籍している生徒が30人、特別支援学級に在籍している生徒が68人という状況になっております。これにつきましては、16ページの図18もあわせて御参照いただければと思います。
 以上で、説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 今の資料について、事実関係で何か御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、報告についての御議論をいただこうと思っております。前回の討議では、報告案に基づきまして一通り御議論をいただいたところです。前回、前半部分からいろいろお話をしていただきましたので、後半の議論で少し十分でなかった部分もあろうかと思います。今回は、前回からの皆さんの御意見、これまで事務局に寄せていただいた御意見を踏まえて作成をしたものを、資料2-1と資料2-2にお示しをしております。先ほど申し上げましたように、事務局と石川委員長代理とやりとりをしながら修文をしたものです。それで、今日のこれからの議論は、まず後半の4.及び5.の審議をいただきまして、休憩を挟んで、初めから3.までを御審議いただきたいと考えております。
 まずは、私の方から、大きく変更したことにつきまして幾つか説明をして、その後、事務局から補足をしてもらいます。資料2-2を御覧ください。
 まず、表紙を御覧いただきたいのですが、お気づきかと思いますが、表題をつけてみました。「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」としております。これについても、もっと適切なものがあるのではないかといったような御意見もあろうかと思います。皆さんから、この表題について御意見を承りたいと思っております。
 次に、4.からです。35ページを御覧ください。4.多様な学び場の整備と学校間連携の推進ですが、ここに関しましては教職員の確保について言及すべきであるといった御意見を頂戴いたしました。そこで、36ページの(1)に「多様な学び場の整備と教職員の確保」というタイトルを出しています。
 次に、40ページを御覧ください。40ページの○2ですが、特別支援学校のセンター的機能の部分です。これは、前回の会議の最後に、私の方からも少し問題提起をしましたが、これまでの機能のうち、特に発達障害をはじめとする障害のある児童生徒への指導・支援機能を拡充して、スクールクラスター内のコーディネーター機能を発揮するなどしてはどうかと考えておりまして、そこを少し入れています。特別支援学校が様々な形で、域内の特別支援教育の支援を行っていくということを念頭に置いているわけです。スクールクラスター内の交流及び共同学習なども、特別支援学校が中心になって進めていくことが重要ではないかということについて、少し記載しておりますので、これについても御意見をいただければと思います。
 また、43ページの5.特別支援教育を充実させるための教職員の専門性の向上です。四角囲いの最初の○ですが、全ての教員が何のために特別支援教育の専門性の向上を図らなければいけないかということについて明確にするために、最初にインクルーシブ教育システムの構築のためということを補っております。これは、下の(1)でも同じように前文を置いたということです。
 さらに、47ページを御覧ください。特別支援学級や通級による指導の担当教員の養成・研修ですが、一番下の○で、新任担当教員を対象とした研修を年度当初に実施することを提案しています。現在、教員の資質能力向上特別部会でも御議論をいただいているところですが、長期的には教員養成の段階でもそのような内容について学ぶことが大事だということで、検討していく必要があるといたしました。また、担当教員の配置についてですが、これもいろいろ御意見をいただきました。これについては、新規採用された教員1人に特別支援学級を任せる、つまり特別支援学級担任を1人で任せるような体制については適当でないとしております。
 以上のようなことを整理してみましたので、これをまた御議論いただければと思います。
 それでは、細かい補足について、事務局からお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今の宮﨑委員長からの説明の補足として、説明いたします。文言の表現を整えたところも多くありますので、主な変更点を説明する形になろうかと思います。
 まずは、35ページですが、4.多様な学びの場の整備と学校間連携等の推進です。
 今回、四角囲いのところで、三つ目の○ですけれども、専門家等の確保について記述の追加を行っております。
 五つ目の○ですが、幼稚園、高等学校の環境整備の充実についての記述も、四角囲いの中に追加しました。
 七つ目の○、センター的機能のところですが、先ほど委員長から御説明のあったセンター的機能の一層充実の機能を改めて整理しております。
 八つ目の○では、交流及び共同学習について、前回も御議論ありましたが、障害のある児童生徒にとっても、障害のない児童生徒にとっても意義があるというような形で、両方を書き分けずに、それぞれに意義があるということではなくて、双方に意義があるというような書き方にしております。
 九つ目の○、特別支援学級と通常学級の間で行われる交流及び共同学習では、計画的、組織的に取り組むというところを、「ねらいを明確化し、教育課程に位置付けたり、年間指導計画を作成したりするなど」という形で、具体的に書いております。
 36ページに参りまして、(1)の表題につきましては宮﨑委員長から御説明のあったとおりです。
○1、多様な学びの場における環境整備と教職員の確保ということで、ここについても教職員の確保と入れております。
 二つ目の○のところですけれども、「インクルーシブ教育システム構築のためには、特に、小・中学校における教育内容・方法を改善していく必要がある」という文言を入れております。前回も御議論がありましたが、障害のある子、それから周囲から認識されてないものの困難のある児童生徒にも、効果的な指導の在り方を検討していく必要があると書いております。
 三つ目の○ですが、この特別委員会でも資料を提出して紹介申し上げましたけれども、平成23年4月の公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の改正についての記述を追加しております。
 五つ目の○ですが、特別支援学級については、「今後、インクルーシブ教育システム構築の進展を踏まえつつ、その指導方法の工夫改善等について検討していく必要がある」との記述を追加しております。
 六つ目の○ですが、特別支援学校間の連携ということで、「特別支援学校における重度・重複化に対応した教育の一層の充実のため、教育内容・方法の改善についての特別支援学校間の連携を強めることが必要である」の記述を追加しております。
 続いては、36ページ、一番下の○ですけれども、四角囲いのところにも追加記述した旨、先ほど説明申し上げましたけれども、前回、支援員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについての記述と、OT、PT、STの記述を分けてお出ししていたものを、専門家等の確保ということで一つの文章にまとめて記述しております。
 次に、39ページ、(2)学校間連携の推進ですが、○1の学校間連携による地域の教育資源の活用の一つ目の○の最後、参考資料の手前のところですけれども、ここで「多様な仕組みの構築の方向を目指すことは重要である」と、前回、書いていたものを、具体的にもう少し書くということで、「多様な学びの場の設定、域内の教育資源の組合せ、柔軟な「学びの場」の見直しなどの仕組みの構築を目指すことが重要である」という記述にしております。
 三つ目の○ですけれども、分校、分教室の効果としまして「双方の児童生徒のみならず双方の教員にも良い影響を与える」との記述を追加しております。
 40ページの○2、特別支援学校のセンター的機能の一層の活用ですが、四角囲い同様、「今後、発達障害をはじめとする障害のある児童生徒等への指導・支援機能を拡充するなど、スクールクラスター内のコーディネーター機能を発揮し、インクルーシブ教育システムの中で重要な役割を果たすことが求められる」という記述にしております。
 (3)交流及び共同学習の推進ですが、最初の○で、四角囲いのところと同様、障害のある児童生徒、障害のない児童生徒、双方に意義があるというような記述にしております。
 41ページ、二つ目の○、ちょうどページの中ほどになろうかと思いますが、後段、特別支援学校と通常学級の間で行われる交流及び共同学習は、先ほど四角囲いのところで説明したとおり、計画的、組織的に取り組む具体化を図っております。
 42ページ、(4)関係機関等との連携の最後の○ですが、親の会、NPOについて、前回、組織的な取り組みが十分ではないという記述をしておりましたけれども、「組織的に不安定である場合もあることから」といった記述にしております。
 43ページですが、5.特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等ということで、「等」を項目名の一番最後に入れております。少しページが飛びますけれども、48ページの(3)教職員への障害のある者の採用・人事配置というお話もありますので、専門性の向上だけではないということで「等」という記述にしております。
 43ページに戻っていただきますと、まず四角囲いのところですが、一つ目の最初の○は委員長から説明があったとおり、「インクルーシブ教育システム構築のため」という文言を追加しております。
 43ページの(1)の○1、全ての教員が身に付けるべき基礎的な知識・技能の最初の○のところについても、同様の修文をしております。
 44ページ、○1のところで、前回まで高発生頻度障害、それから低発生頻度障害といったものについて言及しておりましたが、そういった名称を特段用いないということでございましたので、記述については削除いたしました。
 44ページの一番下のところになろうかと思いますが、特別支援学校における特別支援教育コーディネーターについても、今回、言及しております。
 45ページの一つ目の○ですけれども、前回、「特別支援教育コーディネーター」という形で言葉を使っておりましたが、「幼・小・中・高等学校における特別支援教育コーディネーター」という形で明示しました。
 45ページ中ほどからの(2)各教職員の専門性、養成・研修制度等の在り方のところです。45ページの一番下からの○2、全ての教員についての養成・研修の、少し飛んでいただいて、46ページの二つ目の○、「そのため」から始まるところですが、「教育委員会が主催する研修の実施に当たっては、教職員が研修を受けやすい環境作りを行うことが必要である」といった記述を追加しております。
 前回、(3)教員への障害のある者の採用・人事配置で記述しておりました、教員養成段階において障害のある学生がいることで、その支援を通じて周囲の学生の理解が深まる効果が期待できるといった文言を、46ページの五つ目の○に移動させました。
 47ページ、○4、小・中学校の特別支援学級や通級による指導の担当教員の養成・研修のところでは、宮﨑委員長から御説明いただいたとおり、47ページの一番下の○で記述を充実しております。
 48ページ中ほどの○6、特別支援教育支援員の研修ですが、文言を整えております。「特別支援教育支援員の資質向上を図るため、各教育委員会は、研修を計画的に実施するとともに、これまでの研修成果等を踏まえつつ、特別支援教育支援員の研修カリキュラムを検討し、採用時研修やフォローアップ研修を実施することが必要である」といった記述にしております。
 48ページ、(3)教職員への障害のある者の採用・人事配置のところです。49ページの一番最後の○ですけれども、前段を前に移動させたということで、「高等教育の教員養成課程において障害のある学生が入学しやすくなるための環境整備が行われることが望まれる」といった記述にしております。
 以上で、説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、35ページから49ページまでについて、これから自由討議をいたしたいと思います。どなたからでも結構ですので、御意見を頂戴できればと思います。
 では、尾崎委員、大南委員、木舩委員、それから久松委員、よろしくお願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。
 宮﨑委員長をはじめ、報告をまとめていただきまして、ありがとうございます。
 特別委員会の報告で述べられたことと関連をしまして、全特長でも全特長ビジョンというものを作って中身を検討しておりますので、その紹介と、委員会に関わる意見について述べさせていただきます。資料3を御覧ください。
 資料3は、特別支援教育のセンター的機能の在り方となっていますが、特別支援学校は、これまで蓄積してきました専門的な知識や技能を生かし、地域の特別支援教育のセンターとして、小・中学校等に在籍する教育上特別な支援を必要とする子どもに関して、必要な助言、援助を行うということが法律にも決められていまして、そのセンター的機能の役割をこれから果たしていくことが特別支援学校としても重要な責務であると考えております。
 この文章を作った根拠になります全特長ビジョンを添付しております。4ページを御覧ください。全特長ビジョンの二次素案がありまして、これは平成24年、今年1月の第4回理事・評議員合同会議で提案、討議されたものということで示しております。この中にセンター的機能に関しての記述もたくさんありますので、それについてまとめたものが最初のところです。
 1ページにお戻りください。まずは、小・中学校等への支援の充実を図るためのセンター的機能の整備を図ることが重要であるということ。二つ目に、地域社会の支援・連携体制を尊重したキャリア教育の推進をすることもビジョンとして掲げております。3番目に、小・中学校、高等学校等との学校間パートナーシップ、先ほど補足のまとめがありましたけれども、そういうことも受けとめております。
 そして、センター的機能の具体的な姿として、○1から○6まで書いてあります。一つは、地域の教育支援センター機能を発揮できているということ。そして、専門職の配置と活用ができていることが重要だろう。それから、スクールクラスターにおいてもそうですが、学校中継ステーションの役割を果たすこと。そして、共生社会の推進拠点になること。そして、国際的なネットワークを作っていくということも、我々、特別支援学校としては役割を果たしていきたいと、そういうビジョンを持っております。
 そして、本報告でも述べられております、インクルーシブ教育システムにおける特別支援学校のセンター的機能の在り方についても意見をまとめましたので、2ページの2から少し読ませていただきます。
 まずは、就学支援における特別支援学校の役割ですが、就学相談というものがありますけれども、今後は特別支援学校としても教育内容・方法、合理的配慮、それに基づく教育支援計画等についての説明をしていくことが必要ではないか、そのための専門性のある教員の配置が必要だと考えております。
 二つ目には、パートナーシップの構築をしていかなければいけないということですが、その前提として、地域にある小・中学校、高等学校、特別支援学校が、その学校で行っている特別支援教育の内容を相互に理解できていることがパートナーシップであり、そのことがスクールクラスターを構築するための条件になると考えております。小・中・高におけるそれぞれの特別支援教育が充実するように、小・中・高の教員向けの研修会も特別支援学校で実施するなど、センター的機能を発揮することが重要でありまして、どの校種にも対応できる専門性を特別支援学校が持っていなければいけないと考えております。
 3ページに行きます。合理的配慮に関する助言をこれからやっていくことも、センター的機能の一つと考えておりまして、小・中・高等学校が個のニーズに合わせて合理的配慮ができるように、特別支援学校が助言・支援する必要があると思っております。そのためには特別支援学校の専門性を生かして、指導内容・方法、教材などの情報を提供することが重要であると考えております。
 交流及び共同学習の推進の役割では、特に居住地域での交流及び共同学習を推進するために、計画的、組織的に行われるようにするためには、特別支援学校からの働きかけも重要であろうと思っております。そのためには、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの配置を一層拡充していくことも必要と考えております。
 5番目に、地域社会で暮らすための個別の教育支援計画の作成・活用に関する支援も、センター的機能として必要と思っています。そのためには、特別支援学校が地域支援のネットワークにおいても中心的な役割を果たせるような体制を作っていくことが必要だと思います。
 そして、共生社会の実現のためには、自立と社会参加を目指すためのキャリア教育に関する助言も必要だと思っています。特別支援学校は、小・中学校に対して障害のある子どものキャリア発達を支援する方法を助言したり、高等学校に対しては特別支援学校のノウハウを活用し、就労に向けてのキャリア教育を展開できるように助言したりすることが必要である。そのための専門性の確保も必要だろうと考えております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 この報告書の40ページあたりから、特別支援学校のセンター的機能の一層活用という記述が出ているわけですが、今、尾崎委員からお話があった件で少し修文をするとすれば、どんなところを入れていくとか、そういうことはありますか。

【尾崎委員】 今日見たものですから、もう少し検討して、もしよければ、時間があるようでしたら、全特長としてお答えをしたいと思っております。

【宮﨑委員長】 分かりました。場合によっては、全特長としてのセンター的機能の在り方をどこかで補足で、資料等を何らかの形で対応できると良いなと思いながらお話を聞いていたのですが、今回、提案をしたものの中にかなり含み込んでいる部分はあると思いますので、極端に修文が多くなるということではないと思いますが、そこはまた是非御意見ください。
 それでは、大南委員、お願いいたします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。
 委員長をはじめ、関係の皆様方の御努力で、大変良い内容の報告がまとめられつつあること、まずお礼申し上げます。
 先ほど委員長から、表題についていかがかというお話ございましたが、私はこの表題でよろしいかと思います。
 3点申し上げます。38ページの下から二つ目の○ですが、これは前回「また」以下のところを途中で文章を外したために、前半の2行と「また」以下がつながらないので、「また」以下をカットしたほうが良いのではないかと私は思います。それが第1点。
 第2点目は、39ページの学校間連携の推進です。これは前回も申し上げたかと思うのですが、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と特別支援学校との連携・協力というところはかなり述べられているんですが、特別支援学校間の連携・協力という点で○を一つ起こして述べる必要があるのではないか。それは、特に重複障害教育において、それぞれの障害種別でずれがあると私は思っています。ですから、情報交換を適切に行わないと、先ほど尾崎委員から、小・中学校の教員の研修もセンター的機能として取り扱いたいというお話がありましたけれども、そのあたりで、例えば視覚障害が中心の特別支援学校がセンター的機能を発揮していく場合と、知的障害の特別支援学校がセンター的機能を発揮していく場合に、ずれが出てくる。これは、もう既に小・中学校から指摘されているところです。ですから、特別支援学校間の連携・協力、むしろ情報交換を適切に行うということを、私は是非加えていかなければと思います。
 3点目は、45ページです。各教職員の専門性、養成・研修制度等の在り方の○1、校長等の管理職、教育委員会の担当者を対象とした研修で校長のリーダーシップのことが書かれています。これも、前回、申し上げたと思うのですが、今年度もまた校長の任期を2年で異動させている都道府県があります。2年で何ができるのかというのは、前回、申し上げたとおりですが、一つ目の○の最後のところに「なお、校長が学校経営においてリーダーシップを発揮できるようにするため、適切な任期を確保すべきである」というような表現を是非加えていただければと思います。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 大南委員がおっしゃった2点目のところですが、実はその件に関しては、少し場所が違ったのですが、どこで入れれば良いか大分意見を調整したのですが、36ページの下から二つ目の○のところに「特別支援学校間の連携を強めることが必要である」と入れました。ここではなくて39ページのところの方が良いだろうと、そういうことですか。

【大南委員】 そうです。そういう意味です。

【宮﨑委員長】 分かりました。そこは、とりあえずここには入れてあります。
 それから、3点目は、任命権者のことに関わりますので、なかなか難しい問題はあると思いますが、任期のことについては、校長のリーダーシップなどを考えると修文する必要があろうかと思います。ありがとうございました。
 それでは、木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。
 教員養成に携わっておりまして、5.特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等につきまして、4点、手短に述べたいと思います。意見を述べさせていただきます。
 44ページの一番下の○、特別支援学校における特別支援教育コーディネーターについて書かれております。それから、45ページの最初の○、幼・小・中・高等学校における特別支援教育コーディネーターについて書かれております。特別支援教育コーディネーターの役割につきましては、特別支援学校のコーディネーターと通常の学校のコーディネーターとで、やや違った面があると考えております。125号通知にも違った書き方がされておりますし、国立特別支援教育総合研究所の特別支援教育コーディネーター実践ガイド、こういったところを参考といたしましても、二つのコーディネーターについては役割の違いがあるだろうと思います。
 希望ということで申し述べますと、特別支援学校における特別支援教育コーディネーターのセンター的機能を果たすということでの専門性、これは非常に重要なことだと思っておりますが、特別支援学校のコーディネーターにつきましては、校内の特別支援教育全体に関する内容が一つ、2番目に個別的支援に関する内容、三つ目が各学校のセンター的な機能に関する内容と、私自身、理解しておりますので、そういった文言を特別支援学校におけるコーディネーターの箇所に追加して書いていただければ、ありがたいと考えております。
 2点目ですけれども、45ページ下、○2、全ての教員についての養成・研修の最初の○です。そこに書かれておりますように、現在、教員養成段階において、特別支援教育に関する内容を含む科目を単位取得するとなっております。免許法施行規則で、教職に関する科目第3欄、教育の基礎理論に関する科目というものがございます。その中に、幼児児童生徒の心身の発達及び学習の課程(障害のある幼児児童生徒の心身の発達及び学習の課程を含む)とありまして、この科目につきまして単位を取得するようになっております。ただ、これは2単位でございまして、含むとなっておりますので、15回の授業の中でどの程度、どの時間、どのような内容について触れるかということについては、具体的に定めはないように理解しております。
 この科目につきまして、以前、私は各大学のホームページでシラバスを調べてみたことがありますが、内容的には発達障害に関する内容が多かったと理解しております。触れられていないシラバスもありましたし、触れる程度の授業もあるかもしれませんけれども、確認はしておりません。こういうことで考えてみますと、障害の内容としては、現在、発達障害あたりが取り上げられている。こういった内容について、必修という形で別の科目としては取り上げられておりませんので、まだ十分とは申せませんけれども、こういった状況が現状である。ただ、幾つかの大学におきましては、特別支援教育に関する科目を教職科目として設置いたしまして、小・中学校の免許を取る学生さんに選択科目として置いているという取り組みをしているところもございます。
 46ページ、現行制度下でも特別支援教育についての科目の履修を推奨するということが書かれておりますが、特別支援教育の免許を取るための専門科目を履修することも含めて、それ以外に教職科目の中で特別支援教育に関する特化したような科目を、小・中学校の免許取得を目指す学生さん用の特化した科目として開設することも推奨すると、そういうようなことを記載していただければありがたいと思っております。
 3点目ですけれども、47ページの一番下、これは小・中学校の特別支援学級や通級による指導の担当教員の養成・研修に関することですが、新担任教員を対象とした研修を年度当初に実施する。私自身も、ある県で、この新担任特別支援学級担当教員の研修の講師として参加したことがございます。一緒に研修を担当した指導主事の先生は、学級を1人で預かるという状況の中で、できる精いっぱいの研修というようなことをおっしゃっておりました。是非、この新担任研修を実施していただくと同時に、出やすい状況を、もし書き加えられるのであればお願いしたいと思っております。
 最後の4点目です。47ページの一番下の○から続いて、めくっていただきまして、特別支援学級担当教員、あるいは通級による指導担当教員の専門性を担保するために、教員養成段階においてあらかじめ学ぶことについても検討する必要があると、私自身もこのように考えております。ただし、現行ということで御説明申し上げますと、例えば小学校一種免許を取るためには59単位の取得が免許法施行規則で定められております。大学の卒業要件単位は最低124単位ですけれども、先ほどの59単位に各大学の教養科目、大体30単位から40単位ぐらいが加わりますと、小・中学校の免許単位数と教養単位数でほぼ100単位、あと20単位分ぐらいしか余裕がございません。その中に卒業論文6単位が加わりますと、単位数としては非常にきつい状況というのが現行の制度です。さらに、小学校教員を養成する大学としては、小学校教員としての専門性向上も目指して、様々な選択科目を設定しております。
 このような状況の中で、現行、特別支援教育に関する内容・研修を追加していくことにつきましては、様々な課題があると私自身は認識しております。ということで、教員養成段階において、あらかじめ学ぶことについて検討することにつきましては、現在、教員の資質向上特別部会で議論されております一般免許状の動向をにらみながら、中・長期的な課題として取り上げていただければ幸いです。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 4点、お話をいただきました。具体的な提案なので、どういう修文ができるか難しいのですが、45ページから46ページにかけては大分やりとりをしたのですが、現行、木舩委員おっしゃったようなところというのは、課程認定委員会等でもかなり大学への指導というか、お願いはしているところかと思います。現実に、できるだけ増やしていただくような動きはとっておりますが、現状ですと、それすらも十分ではないということがあって、こういう書きぶりのままになっています。したがいまして、46ページの2行目の必修単位、必要な、必修ということを是非入れていただくような動きにしたいというのがこれになります。これ以上、書くとなると、なかなか難しいと思いますけれども、どうでしょうか。

【木舩委員】 背景を、少しルールを説明したということで、委員長のお書きいただいた内容に、新たに、さらにと申しておるわけではありません。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。分かりました。了解しました。でも、どちらにしても、資質向上特別部会で今、検討されている中身があるので、ここに要望は出していくというような動きでよろしいでしょうか。

【木舩委員】 はい、結構です。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。
 コーディネーターの件に関しては、小・中と特別支援学校の書き分けをもう少し明確にしていかなければいけないと改めて思いましたので、ありがとうございました。
 それでは、久松委員、お願いいたします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 特別支援学校のセンター的機能、それから教育の専門性、教職員の専門性の担保、資質向上についてということで、2点ほど意見を述べさせていただきます。
 まず、特別支援学校のセンター的機能という問題につきまして、私は以前から意見として、特別支援学校から独立した機能を持った形で分けたら良いのではないかと提案しております。特別支援学校がセンター的機能を包括するような方向性の確認ということですので、それによって意見を述べさせていただきたいと思います。
 今、特別支援学校の教職員の資質のレベルにつきましては、ベテランの方、また知識を有する先生と、それ以外の先生の差が大きいと思います。今のままですと、特別支援教育センターの機能を担う、特別支援学校の中で担える教職員が、特定の教職員になりがちではないか。特別支援教育センター的機能を担う教職員が実際に授業も受け持つという、兼務をさせることは非常に厳しい状況になるのではないか、兼務をさせないという考え方で運用する方法が好ましいのではないかと思っています。兼務させない方法のシステムを検討するという考え方を盛り込んでいった方が良いのではないかと思います。
 例えば、特別支援学校の先生が、地域の学校に通っている障害を持つ子どもたちをサポートするということは、結構なさっている先生も多いと思います。実際、特別支援学校の中でも授業を持っている先生、仕事をしながら、授業を持っている方も多いと思いますが、学校の子どもたちのサポートと、地域の学校に通っている障害を持つ子どものサポートという二足のわらじを履くとなると、非常に厳しいのではないかと思っております。兼務をさせない工夫が必要かと思っております。ですので、システム的な制度、運用を図ることが必要ということを盛り込んでいただきたいと思います。
 また、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所は全国で1カ所ですので、全国の特別支援学校の教職員がその研究所で研修を受けること、特に北海道、九州の特別支援学校の先生方が集まることについては、やはり距離的に非常に大変ではないかと思っております。地域の社会資源、教育資源を有するセンター、又は福祉関係のセンターという社会資源を活用する方法も検討する、連携を図ることが必要ではないか。研修センター的な機能をお願いする、盛り込むということも必要ではないかと思っております。
 もう一つは、遠隔地、北海道、九州などの地域の教職員が遠いところに行かないですむような、例えば出前教室のような、そこに出向いて教育が受けられるような、そのようなやり方も少し工夫すべきではないかと思っております。
 今回の特別支援学校に対する特別教育支援センターの考え方を見ますと、知的障害、発達障害の子どもたちが多いです。特別支援学校の中でも、盲学校、聾学校は県で1校か2校しかないという状況ですので、学校同士の交流、情報交換の機会を作っていく、仕組みを作っていくことが非常に難しい状況にあると思います。県をまたいで、地域をまたいでの交流という方法もあった方が良いのではないかと思っております。そのあたりの弾力的な運用を図ることも必要ではないかと思っています。
 大切なことですが、静岡県では、学校に入る前の子どもたちに対して、例えば聞こえない子どもに対しては、地域のろうあ団体に教育、療育に関する相談を委託して、地域のNPO法人団体のサポートを県の事業として実施しているところもあります。このような障害を持つ当事者の団体が、きちんとサポートしていくシステムを構築することは是非必要だと思っています。当事者、又は当事者団体が関与するシステムを作ることが望ましいと思っていますので、その考え方も入れ込むことを是非お願いしたいと思います。
 42ページの一番下のところを御覧いただけますでしょうか。「親の会やNPOの中には……」という文があります。「一方、親の会、NPO等の中には組織的に不安定である場合もあることから」とあります。実際、実情はそうだと思いますが、表現としてはもう少し工夫をされた方が良いのではないかと思っております。そのあたりも、是非工夫をお願いしたいところです。
 次に、教職員の養成についてですが、あらゆる障害の特性について、全ての教員が知識を有するという考え方は基本的には賛成です。ただ、そのために、それぞれ固有の専門性の習得がなかなか難しくなっています。現状として、盲教育や聾教育の分野からこのような意見が多々出ております。固有の専門性に関する知識、また専門性を習得できるようなシステムも是非必要であるということも盛り込んでいただきたいと思っております。
 次に、47ページの中ごろを御覧いただけますでしょうか。「障害者の言語・コミュニケーションの手段の取得や補装具等について知識を身に付ける研修を図る必要がある」という文言があります。これは、一歩進んだ非常に良い考え方だと思っております。しかし、現状として大学で手話を学ぶことについては、必要だと思いますが、実際は、全国の国立大学の教員養成課程で手話、点字が教えられる大学教員は非常に少ないという現状にあります。大学の教員が専門性を身につけられるような大学教員養成の在り方についても、必要であるという文言も盛り込んでいただきたいと思っております。大学へ行っている学生が手話を学べる、あるいは点字なども学べる、指点字も学べるというように、そう思って入ってみたら、実際、コミュニケーションの手段、技術を習得できるような、実は教えられる教員がいないということもあります。そういう現状を踏まえて、大学教員の養成もきちんと盛り込むことが必要ではないかと思っています。
 聾教育の立場から申し上げたいと思いますが、現在、手話が必要、あるいは手話ができる教員という考え方を盛り込むことは非常に良いことです。しかし、実際、手話言語の指導ができる教員は非常に少数です。ですから、手話言語を指導するマニュアルの開発、あるいは提供が必要だと思っています。また、手話に関する教材がないということがあります。その手話の教材の開発、全ての聾学校に提供でき、かつ特別支援教室においても聞こえない子どもが学ぶことができるような、また必要があれば、そういう教材を提供できるという環境づくりが必要であると思いますので、是非その一文も盛り込んでいただきたい。
 大学に聞こえない学生が入学した場合、あるいは特別支援学校に障害を持つ教職員が配置された場合の話ですが、特別支援学校の中で聞こえない学生、盲の学生、聞こえない教職員の情報保障の取り組みというのはあります。しかし、その書きぶりを全体的に見ますと「望ましい」という記述です。学校又は大学におきまして、情報保障の取り組みに努力されているところも多くあります。「望ましい」という言葉ではなく、「図るべきである」という言葉に変えていただければありがたいと思います。例えば、群馬大学、宮城教育大学、福岡教育大学、日本社会事業大学、私立におきましては早稲田大学、立命館大学、国立でいえば金沢大学等々におきまして、障害を持つ学生のための支援センターの機能を配置して、国から助成を受けているところもあります。その状況を見ましても、「望ましい」ということではなく「環境整備が必要である」という、もう少し踏み込んだ言葉の使い方が必要かと思っています。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。かなりの内容について御提言をいただきました。これは、事務局等と相談をして修文の検討をしたいと思います。
 それでは、清原委員、河本委員、太田委員、それで中澤委員、大江委員と参ります。
 では、お願いいたします。

【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 宮﨑委員長、そして石川委員長代理、事務局の皆様、ほぼ報告書も大詰めに来ているかと思われる、成熟した内容にまとめていただきまして、御礼申し上げます。
 まず、タイトルですが、副題として「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」としていただきました。障害者基本法に基づく、その理念を反映した報告書の取りまとめに向けて適正な副題であると思います。と申しますのも、共生社会を形成するために、インクルーシブ教育の方向性は皆さん共有しているところだと思いますが、そのためには、まずは現状の特別支援教育を改善し、向上し、そして、より良いものにしていくための議論がなされているとの内容が副題に反映されていることは、今、学んでいる児童生徒、そして保護者の皆さん、さらには教職員の皆さん、関係者の皆さんに方向性を示すことになり、良い意味で、これまでを全て否定してのインクルーシブ教育ではなくて、これまでを踏まえてのインクルーシブ教育だということが表明されていると思いますので、この副題を支持したいと思います。
 その上でも、報告書案、かなり成熟しているのですが、補強する意味で幾つか意見を申し上げます。
 1点目は、40ページの○2、特別支援学校のセンター的機能の一層の活用に関連しての補強意見です。○2の最後の○のところに、「特別支援学校がセンター的機能を果たすためには、域内のどこからでもアクセスしやすい場所に設置されることが望ましい」とあります。今後はそういうことが望ましいと言えますが、現状の特別支援学校は必ずしも地理的な条件で、利便性の高いところにのみ設置されているわけではないと思います。そうであるならば、現在、交通に不便な場所にある場合には、アクセスをしやすいように交通機関等の配慮をすることも提案することが必要でしょうし、あわせて、今は情報社会でございまして、必ずしも移動することだけが意義あることでもないと思います。久松委員もおっしゃいましたけれども、やはり隣接の、近いところと連携することも有用でしょうし、あるいは情報システムを活用することによって、情報の共有、相談にもそれなりの充実が図れると思いますので、移動のことについて触れていただいたので、移動支援の拡充、バリアフリー化とアクセスビリティーの向上に加えて、情報システム等による連携についても触れていただくと現実的ではないかと感じました。
 続きまして、42ページですが、(4)関係機関等との連携のことについてです。42ページ、一番上の○におきまして、基礎自治体であります、三鷹市も含む市町村の取り組みとの連携の重要性が指摘されています。市長としても、また市民の立場としても、この記述は重要だと支持をしたいと思います。そこで、補強意見ですが、実は基礎自治体では、障害者の皆様の地域での自立を支援するための組織を作っているところもありますし、これから作る用意のあるところもあります。それは、障害者地域自立支援協議会等々といった名称のものです。これは、障害当事者の皆さん、また支援をしている社会福祉法人やNPOの皆さん、さらに三鷹市の場合では、特別支援学校の校長先生にも入っていただいているような組織です。そうであるならば、こういう組織と教育委員会の特別支援の組織との一層の連携というのは、新たなものを作るというよりも、今、あるものをより一層連携、強化していくという意味があります。そこで、首長部局の中には、新しい組織をつくることには多少なりとも負担感を持つような傾向もないわけでなく、市長が言うのも何ですが、そうであるならば、やはり今ある組織の活性化と連携ということについて1行、2行触れていただくと、受け入れられやすいのではないかと感じました。
 関連して、これは久松委員も御指摘されましたが、親の会やNPO法人の取り組み、社会福祉法人の取り組みというのは極めて重要でございまして、ピアサポートというか、寄り添う形を強めていく上で必要です。そういう場合、42ページの最後の○ですが、「このような民間の力と連携した保護者支援や子ども支援が考えられる」とありますが、実際にもありますので、「既にこのような取り組みはあるけれども、一層、今後も推進していくことが求められる」としていただいた方が良いと思います。さらに、「連携」という言葉だけではなくて、基礎自治体、市町村では「協働」という言葉が定着しております。これは、関わる担い手がパートナーであるということの表明でもございまして、上下関係ではなくて、対等性を持って、共に課題を解決していくということですので、「連携」に加えて「協働」という言葉を入れていただくと、より良いのではないかと感じます。
 私からの最後ですが、46ページです。全ての教員についての養成・研修というところの最後の○に、「教員養成段階において、聴覚障害の学生がいると学生は手話を覚え、視覚障害の学生がいると点字を覚え、肢体不自由の学生がいれば、介助等様々な支援を通じて周囲の学生の理解が深まる、といった効果が期待できる」という部分を移動してくださいました。私、この点、重要だと思いますが、関連して、少し書きぶりの調子を変えていただければと思うところがございます。
 それは、48ページの(3)教職員への障害のある者の採用・人事配置のところです。今のような記述があることを受けまして、どうしてもまず来るのが「児童生徒等にとって、障害のある教職員が身近にいることは、障害のある人に対する知識が深まるとともに、障害のある児童生徒等にとってのロールモデルとなるなどの効果が期待される」という記述です。つまり、障害のある子どもにとっても、あるいは、ない子どもにとっても、障害のある教師にとっても、そうでない人にとっても、障害のある教職員がいることに効果があるので、だから障害のある人が教職員になるのが良いという調子です。でも、私は、共生社会というのは、本来、障害のある、なしにかわらず、職業の一つとして教職員という選択肢があるはずだと思っております。それは所与のこと、当たり前のこととして文章には隠れていますが、やはり私としては、まず障害のある人にとっても教職員という職業が、職業の選択肢として選ばれるべきであり、そのことが保障されるべきである。その上に、それが実現すれば、障害のある児童生徒にとっても、ない児童生徒にとっても、障害のない教職員にとっても、共生社会に向けて大変意義があるというような書きぶりにしていただいた方が、私たちの特別委員会の皆様の御発言を反映できるのではないでしょうか。ですから、隠れている所与を、最終報告書なので表に出していただいた方が、全体としてポジティブではないかと感じました。
 したがいまして、そうであるならば、49ページの○ですが、「高等教育の教員養成課程において障害のある学生が入学しやすくするための環境整備が行われることが望まれる」という、これは久松委員もおっしゃったのですが、何か入学しやすくなるというと便宜を図るかのような、特別に配慮するではなくて、合理的配慮なんだと思います。ですから、高等教育の教員養成課程においても、障害のある学生に対してしかるべき合理的配慮が、入学試験方法であるとか、授業であるとか、学習方法であるとか、情報保障であるとか、そういうところに図られる必要があるとまとめていただくと、この委員会の皆様の御議論が直接的に反映されるのではないかということです。
 以上、もう本当に内容が成熟しておりまして、最終局面の報告書案ですので、私としては、これまでの議論をより反映していただけるような補強意見として申し上げました。できる範囲で反映していただければと思います。よろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。42ページのところなどについては、正にそのとおりだろうと思います。それから、48ページの(3)の最初の○については、正に一番基本的な、私どもの委員会の一番大事な、もう一回、基本に立ち返るという、そのあたりについて御意見を頂戴したと思います。ポジティブな書きぶりを、少し修文を考えなければいけないところだろうと理解をしました。ありがとうございました。
 河本委員。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。大変分かりやすくまとめていただきまして、ありがとうございます。
 私も、この表題については、正にこのとおりではないかという感じがします。学校教育も含めた教育現場で、特別支援教育がこれからどう進むべきかということが、この文言で全て表されているという感じがしますので、これで結構かと思います。
 私の方から2点だけ、少しこのあたりも加えていただければというような話ですけれども、1点目は35ページと40ページに関係する部分です。内容は、交流及び共同学習のところです。
 具体的には、41ページの二つ目の○の一番最後の行に「一層の充実が図られるべきである」という文言がございます。正にそのとおりですけれども、昨年度、平成23年度に全特協で全国調査をしました。前にも少しお話をしたかもしれません。全国の約2万2,000ある設置校に対して、その中から約1万9,000の学校にアンケートをお願いいたしました。1万強の学校から回答を得たのですけれども、その中の一つが、特別支援教育に関連して、交流及び共同学習をどのぐらいやっていますかという具体的なことで答えてもらいました。そうすると、週に5回以上やっている学校が約5割です。時間数はと聞くと、5時間以上やっている学校がその中でやはり5割でした。ということは、1週間に何らかの形で、どこかの日に1時間程度、交流及び共同学習を実施している。
 これは、本部の予想をはるかに超える結果でした。この数値は、それぞれの学校の中で、複数お子さんがいらっしゃる場合は、そのお子さんの中で交流及び共同学習を頻度的に多くやっているお子さんをピックアップしていただいて調査をしたので、1回もやってないというお子さんがいるかもしれませんけれども、数字的にはそういうことが出ました。
 質問の中でもう一つ、来年度、ということは24年度、今年度ですけれども、さらに交流及び共同学習を充実することは考えていますかと。これは校長に聞いている質問ですけれども、答えは約1割しかありませんでした。充実を考えている学校は1割しかいないということで、これで良いと考えている校長たちが多いのかどうか分からないですけれども、先ほどの41ページの二つ目の○の一番最後の行に戻りますけれども、一層の充実を図るべきであると。ここをもう少し分かりやすくというんですか、例えば先ほど言った充実を図る必要があるかというときに、ある校長は、恐らく時間だとか回数で考えているのかもしれません。全特協で考えているのは、時間だとか回数はもちろんありますけれども、内容の部分です。どういう目的で、どういうときに、どういう計画を持って行っているのか、そして評価をどうするのかというような内容の部分なので、「一層の充実が図られるべきである」の中に、双方の幼児児童生徒が多くのことを経験する等、そのための機会だとか内容といったような、両方の側面がとれる表現にしていただければというのが1点目です。
 2点目は、47ページの一番下の○です。専門性のところですけれども、研修の問題です。2行目のところに、新任担当教員を対象とした研修云々とあります。この新任という文言ですけれども、非常にあいまいで、分かりにくいと思っています。学校現場で新任というと、新採教員とイコールで考えるところがあります。現実は、もちろん新採の先生たちに研修をすることは当然必要ですけれども、それ以上に、この会でも話題になった、何らかの理由で途中から特別支援学級の担任になった先生たちに対する研修の方に、より多くの時間だとか、あるいは労力をかけるべきという感じがしますので、新任という文言を両方にとれるような、並べて書いていただくと、より分かりやすいという感じがいたしました。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、太田委員、お願いします。

【太田委員】 品川区立鈴ヶ森小学校の校長で、全連小の特別支援教育委員会の委員長の太田です。よろしくお願いします。
 まず、私もこれまで発言された委員の方々と同じで、この報告書に大変適切な副題をつけていただいたこと、本当によかったと思っております。この委員会の趣旨がタイトルから伝わっていく、そういうことがとても大切かと思っておりますので、本当よかったと思っております。
 私の方からは大きく2点です。まず、今日、横井企画官の方から、改めて特別支援教育の対象の数を示していただきましたけれども、やはりこれを見ると、特別支援学校の在籍者12万6,000人程度に対して、小・中学校における特別支援学級の在籍者数15万5,000人、それに通級による児童の対象者6万5,000人を加えると、特別支援学校の子どものほぼ倍の子どもが、特別支援学級か通級による指導を受けているということなんですよね。ということは、特別支援学校にいる子どもではなくて、籍とすると小・中学校にいる子どもが、今、特別支援学校の倍近くの特別支援教育の対象になっているということを、もう一度、改めて私も痛感したわけです。それについて、小・中学校の担当者の意識を一層高めていく、さらにインクルーシブ的な教育システムの構築が入るわけですので、そこをもっと強調した部分が必要かと私は思いました。
 例えば、45ページの(2)各教職員の専門性、養成・研修等の在り方の○1に、校長等の管理職の次に、教育委員会の担当者を対象とした研修というのがあります。私も実は教育委員会で長く仕事をしておりましたけれども、こういう書き方をしてしまうと、教育委員会の担当者というと、本当に狭義の特別支援教育の担当者になってしまうんですね。この会議もそうですよね。本当は全ての校種にまたがる特別支援教育のことを話していますけれども、やはり御担当は特別支援教育課になります。それはやむを得ないと思いますが、こうしたことの研修については、より広く、教育委員会の全ての職員の方々にわかっていただく必要が、これからはあるのではないかと思っております。ですので、「教育委員会の担当者」という言葉を外していただくか、「教育委員会の全職員」という形で書いていただくことが、今後、これはとても大きな意味合いが出てくるのではないかと思っております。是非とも、御検討をよろしくお願いします。
 もう一点は、47ページあたりからのところで、先ほど申し上げた数に関わるんですけれども、小・中学校の特別支援学級や通級による指導の担当教員の養成・研修は数的にもやはり大変多い。それから、河本委員の方から前にも御指摘があったように、ここの担当者というのは非常に回転が早くて、なかなか経験のある者が根づいていかないところがあります。ですから、その中でOJTをやれといっても難しいのです。さらに、小・中学校の中の特別支援学級や通級による指導を担当しますから、ある意味では非常に専門性が求められます。
 なので、ここのところですけれども、1番目の○ですが、「特別支援学級や通級による指導の担当教員は、特別支援教育の重要な担い手であり、その専門性が校内の他の教員に与える影響も極めて大きい。このため、専門的な研修の受講等により」と、すぐそこに入るんですが、その前に「専門的な研修の受講の体制を整え」とか、そういうようなことを書いていただく。実は、各教育委員会とか、そういうところでは、通級による指導の専門性を高めるまでの研修というのはなかなかできにくい状況にありますので、そこに「研修の体制を整え」というようなことを入れていただけたらと思っております。
 それから、48ページの一番上のところですけれども、「さらに、新任担当教員を対象とした研修終了後も」というところで、いきなり「例えば、授業研究の指導ができる退職教員を講師として」となりますけれども、ここに是非「国や都道府県教育委員会や、専門性を有する大学等がリーダーシップをとり、研修体制を整えた上で」というようなことを入れていただけたらと思います。
 これは特に修文には関わらないですが、でも、この場でないと言えないので、どうしても申し上げたいので聞いていただきたいのですけれども、私、国立特別支援教育総合研究所の外部評価委員をしています。それで、新年度の研修計画を見せていただいて、そこの研修の内容は、やはり特別支援学校に関わることがとても多く、今、申し上げたように特別支援学級や通級による指導の講座が大変少ないです。それを是非増やしていただきたいとお願いをしているところなのですが、そちらのお話によると、文部科学省が認めてくれればそういうふうになるということでした。文部科学省から、国立特別支援教育総合研究所は中核的な教員を養成するための施設だから、初任者を対象としたものは企画ができないというようなことを言われて、私、2年間、この意見を出しているのですが、いつも受け入れていただけません。でも、この報告書が出れば、是非そういうふうにしていただきたいと思います。中核的といっても、特別支援学級や通級による指導について、中核的な教員そのものが本当は非常に少なくて、なかなか難しい状況にあります。是非、そういったところも、今後、この報告書が出た上で改善していただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。最後のところは、是非また御検討ください。具体的な修文について御提言がございましたので、検討していかなければと思います。
 若干、時間が押しつつありますので、少しまとめてお話をいただくようにお願いします。中澤委員、大江委員、山岡委員、佐竹委員、齋藤委員の順で参ります。では、御用意をお願いします。

【中澤委員】 国立特別支援教育総合研究所客員研究員の中澤です。また、横浜訓盲学院の学院長でもあります。
 とてもタイミングよく研究所の名前も出まして、情報提供を1点させていただきたいことがあります。また、プラス2点、追加していただきたい項目がございます。
 情報提供といたしましては、先ほど久松委員の方から、研究所だけでは遠方で、なかなか研修に行くことができない地域も多いという御指摘もありました。また、どういう研修をすれば良いかということは、これから地域で検討しなければいけない課題だと思います。そこで、昨年度から今年度にかけての2年間、研究所で行っている研究について、少し御紹介したいと思います。
 研究のタイトルは「インクルーシブ教育システムにおける教育の専門性と研修カリキュラムの開発に関する研究」というもので、担当者も本日、傍聴しております。短くその趣旨を申し上げますと、管理職をはじめとする学校関係者に求められる専門性を明らかし、その上で、各都道府県等教育センターが研修プログラムの企画、立案をする際の参考となる情報を提供するという趣旨の研究を、現在、行っておりまして、今年度末に報告書が出される予定です。
 どういった関係者をターゲットに考えているかといいますと、教育委員会までは入ってないみたいですけれども、学校の管理職、特別支援教育コーディネーター、特別支援学級担任、通級指導教室担当、通常の学級担任、支援員等外部人材、組織としての専門性、地域としての専門性、これらについての専門性はどういったものが必要かということを研究しつつ、研修プログラムの考えや案を出していくというものです。今年度末に発表されるときには、研究所ホームページにも出ますし、報告書としても出ますので、是非御活用いただけたらと思います。
 次に、少し意見を出させていただきたいことが2点ございます。それを申し上げる前に、まず清原委員がおっしゃっていたとても大事なポイント、まず一つは、私たちが議論をするときに、どうしても古い、恩恵を与える的なものから、権利として、障害のある方々と共生社会で共に生きていくというスタンスを、いつも忘れないようにしていかなければいけないということを改めて感じました。
 それに一つ関わることで、これは盲学校に関わる人間として、実は複数の盲学校長と話をしたときに、視覚障害、盲の教員に対する合理的配慮について、盲学校ではかなりそういう方もいらっしゃるわけですが、これから通常学校の中でも、先ほどおっしゃったように視覚障害、あるいは他の障害を持った方々も、教員を一つの仕事として目指す場合というのは、私たち共生社会の中では考えていかなければならないと思います。その場合、その人が職務を遂行でき、また職場環境の中で共生的に仕事ができるようにするためには、やはり合理的配慮という発想をきちんと入れる必要があるかと思います。
 それに関しまして、48ページ、(3)教職員への障害のある者の採用・人事配置というところがございますが、最後のセンテンスに「教職員の障害の特性等に考慮し、職務遂行に必要な支援を行う必要がある」と、ここは支援という言葉だけで記されております。しかし、盲学校のみならず、例えば視覚障害のある教員が通常学校で仕事をすることも、これからは視野に入れる場合、そして現在、既に行われているかと思いますが、支援というよりは合理的配慮、これは教育で行う合理的配慮ではなく、労働の場における合理的配慮という意味合いを持って、支援に変える必要があるのではないかと思いました。この報告書、あるいは法定雇用率がまた上げられることが明らかになっております。より多くの障害のある方が教職員を一つの仕事として選ぶ可能性が、さらに高まっております。是非ここでは、労働における合理的配慮が明記されることを望みます。
 もう1点です。今度は、重複障害の元研究者として、是非お願いしたい点です。36ページです。先ほど太田委員がおっしゃっていたように、やはりインクルージョンになりますと、インクルーシブな教育が進みますと、特別支援学校には重複障害、それから障害の重い子どもたちがどうしても増えていくことを考えますと、36ページの下から2番目の○、「特別支援学校における重度・重複化に対応した教育の一層の充実のため、教育内容・方法の改善についての特別支援学校間の連携を強めることが必要である」と明記されて、これはとても良いことだと思って、感謝しております。
 そこで、追加していただきたいのは、「教育内容・方法」だけですと実はなかなか具体性がなく、一方、実際に特別支援学校などを見ると、盲学校では当たり前に使っている補助具が知的障害の特別支援学校では全く知られていなく、生徒が非常に不便をこうむっている。あるいは、肢体不自由では当たり前のシーティングの配慮とか、いすの配慮がないために、盲学校で子どもにどんどん側湾が来ているというような残念な状況を見受けます。そこで、「教育内容・方法」のほかに、「教材」「補助具」、さらに「教科書」についても入れてほしいと思います。盲学校では当たり前に考えている教科書の配慮が、例えば視覚障害のある聾学校にいる子どもたちはなかなかアクセスできない状況に触れて、私は残念に思っているところです。文章の構成についてはお任せいたしますが、「教材」「補助具」、それから「教科書」という文言をここに入れていただけたら、より連携が具体化して、本当に良い形の特別支援学校間の協働が進むのではないかと思います。
 以上です。

【宮﨑委員長】 貴重な御意見、ありがとうございました。
 では、大江委員、お願いします。

【大江委員】 ありがとうございます。全日本中学校校長会、大江です。よろしくお願いします。
 表題につきましては賛成です。
 それから、内容ですが、教職員の確保とか、特別支援学校の役割とか、専門家の確保とか、非常に良い方向でまとめてもらえたかと思っています。また、各委員の発言も、とても学校の現場に寄り添った発言で、今日は感動しております。ありがとうございます。
 お願いが3点です。1点目は、教員の研修についてですが、今後、どのような内容を、どのような形でやるのか、研修と実践がリンクするような方法を国が主導をして、何らかの方法で実践的な検討を願いたいと、そんなふうに思うのがまず1点目です。
 2点目は、ここまで行ったのですから、実現可能となるように、予算確保について御努力願いたい。
 3点目です。書きぶりですが、40ページの中ほど、○2、特別支援学校のセンター的機能の部分です。「今後、発達障害をはじめ」という約3行の文章は、意味はよく分かるのですが、一般教員も読むわけです。その時に何か分かりづらい文章になってしまっています。これは委員長にお任せしますけれども、例えば「今後」の次に「スクールクラスター内のコーディネーター機能を発揮し」を先に持ってきてしまった方が、初めて見る人はすとんと落ちるのかなと思います。前に「特別支援学校は」という主語がつくと思います。それは冒頭に入っているので構わないと思いますけれども、そういうふうに順番を入れかえた方が、我々はずっと見ていますので、初めて見る人は分かりやすいと思います。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。実現可能でないと困るので、何とか、是非予算獲得もしてもらわなければいけないですが、修文についての御意見は考えなければいけないと思います。ありがとうございました。
 では、山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの山岡です。
 委員長及び委員長代理、本当にうまくまとめていただいて、ありがとうございました。これまで随分言いたいことを言ってきましたけれども、それを随所に織り込んでいただいたこと、あるいは発達障害や親の会、NPOについても意見を入れていただいたこと、本当に感謝申し上げます。
 申し訳ございません。私、本日所用がございまして、途中で中座させていただきますので、前半の部分を含めて何点か申し上げさせていただきます。
 42ページのところですけれども、先ほど久松委員から言われまして、親の会とかNPOのところについて書き直していただいて、随分よくなっているのですけれども、組織的に不安定であるというところです。修文の例として、今、前回の委員会の文章を読んでみて思ったのですけれども、「組織力や企画力が十分でない場合もあることから」とか、そういうふうにしていただくと、少し前向きな文章になるかと思います。これは提案です。
 次ですけれども、37ページのところです。ここは直さなければいけないところを申し上げます。真ん中あたり、一つ目の○の所ですが、1行目「平成18年4月から自閉症、LD、ADHDを新たに指導の対象としており」というのは厳密に言うと正確ではありません。法律的には、施行規則の140条が改正されて、LD、ADHDは新たに加わったのですが、自閉症は新たにではなくて、情緒障害から名称が分離されただけなので、ここは直していただきたいと思います。なお、7ページにも同じ記述がございます。
 それから、すみません、私、中座するものですから、前半の部分にも触れさせていただきます。

【宮﨑委員長】 はい。

【山岡委員】 17ページですけれども、就学先決定の意見が合わない場合のところです。この部分は前回御議論いただいて、機関として都道府県教育委員会が示されて、随分具体的になって良いかと思いますけれども、最後から7行目「例えば」と始まって例が示してあるのですが、下から5行目に「第三者的な有識者」とあります。ここは「例えば……望ましい」という文章なので、できることであれば保護者代表とかを入れていただけないかというのが希望です。一般に有識者というと、弁護士とか医師が思い浮かべられますけれども、保護者から訴えた場合に、保護者の意見も聞いてくれるような方が中に入っていることが大事だと思いますので、公平性とか中立性、納得性を高めるために、イメージとしてはPTA連合会の方とかが考えられますが、できれば保護者代表を入れることが適当ではないかと考えています。
 それから、もう一点、16ページです。一つ目の○のところをずっと読んでいたのですけれども、下から2行目、「子どもの健康、学習、発達、成長という観点を最優先する立場で」と書いてあります。これ、いわんとしているイメージが、先入観で、最優先する立場と書かれてしまうと、そういうところがないから最優先でやれよと言っているように読めてしまうので、例えば、そういう観点を大切にしてというように、先入観のない書き方に直していただけると素直に読めるのではないかと思います。
 今回の特別委員会の報告書ですけれども、例えば特別支援教室構想で一歩踏み込めなかったのは残念なところですけれども、全体としてはとてもうまくまとめていただいたように思っております。ただ、先ほど太田委員もおっしゃっていましたし、私も何回か申し上げたのですが、今や対象となる児童生徒の数という点で、特別支援教育の大勢は、通常の小・中学校に移っているということです。現在の法律とか、教員免許とか、いろいろな制度面で、太田委員がおっしゃっていたとおり、特別支援教育の大勢が通常の小・中学校に移っているにもかかわらず、通常の小・中学校における特別支援教育は、特別支援学校や、特別支援学校教諭免許状があって、それに準じたものとなっています。そうではなくて、通常の小・中学校における特別支援教育を中心に考えるような法律や制度、免許の在り方を、是非今後、考えていただきたいと思っています。
 現時点においてまとめていただいた内容については、委員長、委員長代理に非常に御苦労いただきまして、大変良い内容になっていると思いますので、私としては、この方向でまとめていただければ良いのではないかと思っております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。特に後段の部分については、今後どこかで、ここにそのことが書き込めるかどうか分かりませんが、引き続き具体の検討をしていかなければいけない大きな課題だという認識は、私もしております。ありがとうございました。
 それでは、佐竹委員、お願いします。

【佐竹委員】 全国肢体不自由特別支援教育PTA連合会の佐竹です。発言の機会をありがとうございました。
 文言について意見があるのではないのですが、皆様のお話をお伺いしていまして、疑問に思ったことが二つほどあります。例えば特総研に関してですが、特総研は中核的な人材育成ということで、ある程度のスペシャリストを育てるという研究所の使命があったと認識しております。初任者研修、新規採用研修まで行うというと、それは現実的であろうかどうかということです。自治体においても、初任者研修等、新規採用研修などはやっていると伺っております。また、10年研修、20年研修というようなことを先生方はなさっておりますので、その辺の役割の整理というのも少し必要かと思います。特総研がそれも担うということであれば、大変結構なことかとは思います。
 もう一つ、先生方の専門性についてですが、教員免許状を取得するパーセンテージを上げるということは、専門性を担保した方が増えると理解しておりますので、それは大変良いことだと思うのですが、では今現在、免許状をお持ちでない方が、どれほど免許状を持った方から劣るのか、ということが一つ浮き上がってくると思います。私たち親は、どの先生が免許状を持っていて、どの先生が免許状を持っていないか知りません。あくまでも先生のお力をもってして子どもたちが育つと考えたときに、学校側の背景に、あなたは免許状を持ってないから、これから研修に行ってきなさいということが現実的なのかどうか。頼りにしている先生が抜けてしまうのは、どういうことなのかなという疑問が少しわいてまいりました。そういったことも含めて、この委員会で出せるのかどうか分かりませんが、そういった研修の在り方の目安とか、方向性とか、制度の役割みたいなものをどこかに明記できないかと思っています。
 学校や先生方が障害のある子どもたちに対して理解を深め、専門性を高めることは、長期的な方向性の目安ではないかと考えています。今すぐ必要なのは、在籍している学校の障害種に対応できるスペシャリストですか、スペシャリストとは言わないでしょうか、専門性の向上ということが緊急に望まれています。例えば、肢体不自由校の先生が、肢体不自由教育の免許を持っていて従事している。でも、子どもたちは多様な障害を持っているので、もう少し発達障害の勉強をしたいとか、弱視の子どもたちのことを学びたいということは、将来に向かっての準備であり、今、ここにいる子どもたちの教育に関して免許状なり、専門性なりの向上という部分では、分けて考えていただいた方が現実的なのではないかと思います。

【宮﨑委員長】 確かに、免許状はまず基本的に持っているものです。その上で、中身の充実が図られなければいけないので、その点について佐竹委員から、先生方の資質向上の仕組みをどうするかというあたりについて、言及できないかという御意見だったと思います。これは、全体のトーンの中で踏み込めるかどうか、少し検討してみます。
 齋藤委員、お願いします。

【齋藤委員】 全国心臓病の子どもを守る会の会長と前足立区の教育長の、二つの立場から発言させていただきます。
 全体を通してというのは、また後で発言の機会があると思いつつ、3点だけ、指定されたページ以降のことで述べたいと思います。
 1点目は、40ページのところです。○の二つ目のところですが、前回発言したことと重複する場面もあると思っておりますけれども、病弱の子どもたちは、学校の中でも静かにしているものですから、そのままになって(放っておかれて)いる場合がすごく多いと、私は認識しております。その病弱な子どもたちは、入院のときは院内学級、退院してきますと、状態が悪い場合には訪問学級を受けられます。できれば近くの学校にというのが私どもの理想ですが、どうしても学籍制度があり、子どもが移動するたびに手続に時間を費やしてしまって、教育の空白が生まれてしまいます。
 そういうことを考えると、特別支援教育を受けている、特に病弱のお子さんで教育を受ける場所が変わっていくようなお子さんについては、特別枠みたいな形で、本人が学籍を持って歩いていくような考え方を導入ができないだろうかと以前から考えております。「柔軟な」という言葉の中に学籍の部分についての特別枠の柔軟性、このあたりが踏み込めないでしょうかということが1点です。
 2点目、その下の○の特別支援学校のセンター的機能です。先ほど、特別支援学校の方では非常にサポートも発揮できているというような御報告もありましたし、センター的機能も一定程度できている、さらに一層充実するためにという御報告があったように思っております。
 今回、40ページのところに「発達障害をはじめとする」という文言を入れてくださったことは、私としては非常に評価をしておりますが、もう少し、一歩踏み込んだ考え方ができないでしょうか、というのが提案です。例えば、特別支援学校の中に「発達障害系の通級学級を持つなど」というような例示を入れていただくと、具体的になるかと思います。と申しますのは、私どもは通級学級を普通の小・中学校に持っていますけれども、そこの学校独自で、あるいは教育委員会の指導のもとに専門性を持つことはが難しい。ですが、特別支援学校ですと、教員免許状の問題、研修の問題等々で、そのノウハウを培っている先生たちが多くいらっしゃると思っております。そこで通級学級を持つことによって、特別支援学校の専門性の一層の向上になるのではないかと思っておりますので、「通級学級を設置するなど」という文言がどこかに入ると良い、そんなふうに考えております。
 三点目ですが、46ページのところです。先ほど発言の中で、別の委員会に要望を出せるならという委員長の発言があったように思っております。もし別の委員会への要望として出せるのでしたら、先日、私どもの小学校にある大学から研修生が参りました。子どもたちと週1回、何でも、どういうふうに使っても良いという大学の要請で、遊びでも、放課後子ども教室でも、学習のボランティアでもいいということで、大学との協議の中で単位をくださることになったそうです。
 私は、どういうふうにして単位を大学が付与できるか、基本的なところは分かりませんが、もしそういうことができるのでしたら、特別支援教育を実際にやっている学校や学級等に行って、お子さんたちを見ていくということは、保護者、あるいはNPOの主催している集まりと同じように、効果的ではないかと思っております。単位の大幅な制限があると先ほど御報告もありましたけれども、こういう実質的な経験を単位として認めていくような、要望を出していただければありがたい。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 前半、11時ぐらいをめどにしていたんですが、大幅に時間を超過しています。12時半が約束ですので、あと50分ぐらいしかありません。それで、今日は休憩を挟まないで、もう一気に12時半までやってしまおうということでよろしいでしょうか。途中、どうしても休憩、休息の必要の方は、個々でお願いするということでよろしいですか。すみません。
 皆さんの御意見の中に、今回はこれでというような御意見があって、できることならば、今日で終わりにできればいいというのが私の頭の中にありました。ただ、大分いろいろ御意見がたくさんになっているので、場合によってはもう一回やらざるを得ないのかなと思い始めていますが、とりあえず後半部分、後半戦は初めから3.までについてもう一回やらなければいけないので、資料2-2の1ページから始まるところについて、私の方から、この点は変えましたというところだけお話をさせていただきます。
 まず、2ページの中ほどの下側ですが、○8というところです。前回も御議論をいただきましたけれども、特別委員会として、この報告書を踏まえて特別支援教育が推進されることで、障害のある子どものみならず、認識されていないものの学習上又は生活上の困難のある子どもにも、さらには、全ての子どもにとっても良い効果をもたらすことを強く期待する。これは、たくさんの委員から指摘されたことを修文してあります。
 次に、1.共生社会の形成に向けて、3ページのところですが、特に(3)です。10ページになるかと思いますが、これは目次のところでも分かると思いますけれども、「今後の進め方」と書いていたものを、「共生社会形成に向けた今後の進め方」と具体的にしております。その上でもう一回、10ページの最後の○ですけれども、評価を検討することについて言及をしております。これも御意見を頂戴したところです。例えば、各学校における評価項目に盛り込んでいただく、あるいは本日も紹介をしましたけれども、文部科学省が実施しております、体制整備状況の調査項目などの見直しを図った上で進めていくという考え方に基づいております。
 次に、2.就学相談・就学先決定についてです。ここは非常に難しいところでもありますが、15ページです。前回、提案しました市町村教育委員会の教育支援委員会(仮称)のところですが、これについては、就学先決定に際して事前に総合的な判断のための助言を行うものであり、あるいは、なかなか意見が一致しない場合において調整を行うことは難しいのではないかと、いろいろな御意見ありましたので、「その機能について」というのは削除をしております。
 さらに、17ページの○3です。意見が一致しない場合について、先ほど山岡委員からも御指摘があったわけですが、まず市町村教育委員会が調整を行うことを基本とすべきというような御意見だったと思います。それでも解決できないときに調整をどのように行うかということで、これも仮称ですけれども、都道府県の教育支援委員会を活用してはどうかといったような御意見もあったかと思います。ただ、これにつきましては、市町村教育委員会の自治事務として、今、実施をされておりまして、就学事務についてどのような形で都道府県教育委員会が関わることが適当であるか、というような考え方を整理する必要があろうかと思います。就学事務の調整自体を都道府県教育委員会が行うことはできないかもしれませんが、都道府県教育委員会は市町村教育委員会に対して指導、助言ができるので、そのことを念頭に置いて、都道府県教育委員会による、市町村教育委員会が行う調整の支援として位置づけたらどうかとしてみました。このあたり、非常に悩ましいことが多いですけれども、現在の法的な問題があるということを是非御理解ください。
 その上で、前半の部分について、事務局から補足をお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。今ほど宮﨑委員長の方から説明のあった以外のところを説明申し上げます。
 まず、3ページ、1.共生社会に向けてのところですが、三つ目の○の2行目の後ろの方からです。「個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して」の後に「自立と社会参加を見据えて」といった文言を追加しております。
 四つ目の○のところは、本文の方には以前から入っておりましたが、前回の御議論を踏まえて、後半の部分、「このような形で特別支援教育を推進していくことは……この観点から教育を進めていくことにより、障害のある子どもにも、障害があることが周囲から認識されていないものの学習上又は生活上の困難のある子どもにも、更には全ての子どもにとっても、良い効果をもたらすことができるものと考えられる」という文言を、こちらの方にも明示しました。
 7ページにまいりまして、○3、検討に当たっての現状と課題の整理のところです。一つ目の○のところ、これまでの就学基準の見直しですとか、多様な学びの場の整備等、取り組みについて記述を追加しております。
 9ページの下の方から始まります○5、地域と連携した支援の構築のところです。こちらの中で、10ページの一つ目の○のところですけれども、保護者、関係団体、ボランティアとの連携についての記述を追加しております。
 続きまして、12ページからの就学相談・就学先決定の在り方についてのところですが、四角囲いの一つ目の○ですけれども、3行目から挿入しております。「幼稚園等において、保護者を含め関係者が教育的ニーズと必要な支援について共通理解を深めることにより、保護者の障害受容をつなげ、その後の円滑な支援にもつなげていくことが重要である」という記述を追加しております。
 12ページの四つ目の○、教育支援委員会の記述のところですが、ここでは「多くの自治体が」としておりましたが、「多くの市町村教育委員会」という形で、「自治体」を「市町村教育委員会」と明示しております。
 五つ目の○ですけれども、前回まで「小学校段階6年間、中学校段階3年間」という記述にしておったものを、「就学時に決定した『学びの場』は固定したものではなく」という形で書きぶりを変更しております。
 先ほど四角囲いのところで説明した記述ぶりの変更、(1)以降でも変更しておりますが、そこについては四角囲いと同様の変更をしているということで、特に説明いたしません。
 17ページ、○3、就学先決定について意見が一致しない場合についてのところですけれども、一つは、アメリカやイギリスの仲介者の仕組みについても記述していたところですが、それはなかなか難しいという整理であったかと思いますので、それについての記述は削除しております。
 一番最後のなお書きのところですが、「市町村教育委員会は、あらかじめ本人・保護者に対し、行政不服審査制度も含めた就学に関する情報提供を行っていくことが望ましい」という書きぶりにしております。
 17ページの(3)一貫した支援の仕組みのところですが、18ページの一番下の○のところ、「国においては、文部科学省、厚生労働省」という表現としていたところを、「文部科学省と内閣府、厚生労働省をはじめとする関係府省との施策の連携が重要である」というような書きぶりに改めております。
 19ページ目、○3、「保護者支援」としていたものを「保護者との連携・支援」としまして、一つにまとまっていたものを二つに書き分けております。一つ目は、「学校と家庭が密接に連携することが障害のある子どもの支援を行う上で重要である。例えば、障害のある子どもが在籍する学校と家庭が、子どもの成長について定期的に情報共有することやそれぞれの役割を明確化することなどが考えられる」。二つ目の方ですが、「保護者の障害理解や心理的安定を図るため、保護者の気持ちに寄り添った支援を行うことが望ましい。例えば、保護者の悩みを聞くなどの教育相談の実施、障害理解のための研修の実施、「先輩」保護者の話を聞く機会の提供等が考えられる」という形で整理しております。
 21ページ、3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備の四角囲いの四つ目のところになりますが、これまで合理的配慮について、設置者・学校と本人・保護者の意見が一致しない場合については、第三者機関により、その解決を図ることが望ましいというような記述にしたところですが、前回、教育支援委員会の助言により、教育支援委員会にその役割を持たせてはどうかということでございましたので、ここの部分は「『教育支援委員会』(仮称)の助言等により、その解決を図ることが望ましい」という記述にしております。
 22ページの方に参りまして、四角囲いの一番最後、三つ目の○のところですが、データベースの整備と書いてあった部分ですが、明示するということで、合理的配慮のデータベースであることを明示しております。
 少し飛んでいただいて、27ページからの基礎的環境整備のところですが、その中でも28ページの下の○3、個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成等による指導の(イ)課題の一番最後の記述ですけれども、「個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成・活用について、一層の質の向上を図っていく必要がある」という文言を追加しております。
 その下、○4、教材の確保ですが、(イ)課題のところについても「様々な障害の状態に応じた支援機器の充実を図る必要がある」という記述を追加いたしました。
 以上で説明を終わります。

【宮﨑委員長】 少し時間が押しておりますので、簡潔に御意見を頂戴したいと思います。中村委員、貝谷委員、石川委員、久松委員まで参ります。お願いします。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートから参りました中村文子です。
 まず最初に、これだけの膨大な量をここまでまとめていただけたことに、本当に心より感謝申し上げます。
 1点のみ申し上げたいと思います。前回、私が支援計画のことで申し上げたことで、少し違った形でとらえられると不本意だと思いましたので、そこを少し説明させていただきます。
 前回、私が支援計画の状況にとても期待したのに失望していたというのは、作成自体については、先ほどパーセンテージもありましたように、本当に御努力をいただいていると痛感しております。言葉が足りなかったと思いますが、重ねて申し上げますと、やはり時期的に個人情報の保護がとても進んでいた時期でもあり、そちらの方が勝ってしまって、本当に必要な情報が、本当に必要なケースになかなか行き渡らないものがあるように感じられる、ということを申し上げたかったということです。
 これに関しましては、例えば保護者が動けるような人間であれば、足りない部分の情報というのは保護者が努力で補うことは可能だと思いますが、以前より齋藤委員等を中心に少し言っていただけていたように、無意識なうちのネグレクトの中で、子どもに対する無関心が進んでいる家庭がとても多く、そういう生徒が現実的には、特に高等部を中心に特別支援学校の方に進んできているという状況を考えると、やはりこの部分の活用については是非、本来であれば一歩踏み込んでいただきたいというのが私の思いであるということです。
 そのことに関しましては、私は保護者の立場として、個人情報の保護という視点も大事であるけれども、是非伝えることの大切さに重きを置いていただきたいと強く感じております。多分、この活用がとても有意義であるということを実感した保護者は、きっと同じように感じていただけるのではないかと、私は信じております。その意味合いで、できましたら17ページの「相談支援ファイル」や個別の教育支援計画の活用等のあたりで、例えば活用したものの有効なケース等を少しストックしておくとか、そのような部分を加えていただくことで、良かった経験をしていくことで、保護者の意識も高まっていくと思っております。
 重ねて、私も親の会等に所属している立場ですが、親の会等でもこの活用の部分の重要性について、また逆に伝わることが伝わらないより、とても子どもにとって幸せであるということを伝えていかなければいけないと感じました。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。次に貝谷委員、お願いします。

【貝谷委員】 日本筋ジストロフィー協会の貝谷です。
 少しもとの方に戻ってしまって申しわけありませんが、私、障害ということの一番根底には、やはり全て医学が関与していると思います。知的障害も、少なくとも二桁以上の医学的な原因があると言われているわけです。37ページですが、一番上のフレーズの最後の文章で、「また、医療提供ケアの観点からの看護師等の専門家についても、必要に応じ確保していく必要がある」とございますが、この文章からいくと、何か事故があったとか、けががあったときに看護するというような意味合いだけです。私はやはり、教育者でないから現実的なことは分かりませんが、特別支援学校には少なくとも医学的な専門家が1人はいる必要があるだろうと思います。非常に基本的なことになるかもしれませんが、ただ校医さんが時々行って予防注射を打ってくるというレベルではなくて、やはりもう少し障害、障害児の1人ずつの理解を深めるという意味で、それは非常に大切ではないかと思っております。
 これは私の個人的な経験ですが、あるとき、教育学部の教授五、六人と一緒に食事をして、その中に1人、精神科医で教育学部の教授をやっている人がいました。医学的に見ると、全く見方が違うと言います。日本の教育カウンセラーにしても、医学的な心理カウンセリングからはかなり遠いのです。そういう点で、根本的に直す必要があるように私は思っています。それから、医学的な関与を少しするだけで、教育カウンセラーが長いこと苦労していたことが今頃ぽっと治ることもあって、そういうシステムが日本の教育界に、今、ほとんどないです。そういうことも含めて、37ページのところには、医療的なケア、看護という意味以上の何かを入れていただきたいなと思います。少なくとも特別支援学校には医学的な専門家のアドバイザーを入れるとか、顧問を入れるとか、そういうことがこれからは非常に必要だろうと思っております。
 このあたり、非常に根本的なことなので、皆様の賛同が得られるか大変不安ですが、私の経験から、教育はもっと医療を入れるべきというのが私の気持ちであります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。とても大事なところですし、専門家の御意見を頂戴していかなければいけないのは、私どもの大きな課題だと思っております。ありがとうございました。

【貝谷委員】 それと、もう一つよろしいですか。国家資格ですが、一つだけスクールカウンセラーというのは国家資格ではないです。このあたりのことも含めて条文を。

【宮﨑委員長】 そうですね。それは存じております。次に石川委員長代理、お願いします。

【石川委員長代理】 石川です。先に発言させていただいて恐縮です。
 2点ありまして、一つは就学先決定の調整についてのところですけれども、ここは四つの文によって構成されていて、そのうちの第2文ですが、「市町村教育委員会の判断の妥当性を市町村教育委員会以外の者が検証することで、本人・保護者の理解が醸成される面もあり、何らかの調整のための手立てを設けておくことが望ましい」と、今は書いてございます。「面もあり」ということで、それ以外の形での一致ということも可能性としてあるとも読めるし、しかし主として市町村教育委員会の判断の妥当性、妥当であるということを第三者が確認することで親や保護者が納得するという可能性もあるというように、そちらの方に力点を置いた書きぶりになっていますけれども、調整の前に一つの方向を決め打ちしているかのような印象というか、誤解を与えない書き方の方が良いのではないかと思います。ですので、「本人及び保護者の理解が醸成される」というところを、「両者の意見、判断が一致する可能性もあり」という言い方の方がよろしいのではないかと、今日読んでいてそのように思いました。というのが1点です。
 さらに、同じ場所ですけれども、都道府県教育委員会はあくまで助言、指導しかできない。いわゆる調整というか、責任を負う立場にない。かつ、仲介者的な機関を立ち上げることも困難だとすると、市町村教育委員会の責任において、市町村教育委員会の判断の妥当性を肯定的に、あるいは否定的に検証するような外部性を持ったというか、第三者的な評価者を必要に応じてすぐに立ち上げられるような手立てを講じておくのが望ましい。現実にどこまでできるかという問題はありますけれども、そういう話をまず書いた上で、さらには保護者等の要望を受けた市町村教育委員会の依頼に基づいて、都道府県教育委員会は、第三者を含めた委員会による調整のための助言、指導を行うという書き方が良いのではないかと思います。これが1点目です。
 それから、もう1カ所ですけれども、教材の確保についてですが、教材の確保の課題のところに、最近、学校教育の情報化をめぐっての動きも活発になってきているような感じがしまして、民間の方からも政策提言が出されたり、いろいろな動きがあるように思います。そういう中で、学校教育の情報化を進める上では、アクセシビリティーというか、障害のある児童生徒にとっての使いやすさに十分配慮する必要があるといったようなことも、この委員会の立場として述べておくべきではないかと考えます。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただき、感謝申し上げます。時間もあまりないことから、手短に申し上げたいと思います。
 まず、17ページ、就学先決定について意見が一致しない場合という記述ですが、今回、非常に難しいテーマについて、委員長、委員長代理、事務局の皆様方、お取りまとめいただき、本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。今回、教育委員会が決定するという仕組みの中で、特に第三者機関的な有識者を加えた教育支援委員会という考え方が新たに盛り込まれたことが特徴ではないかと思います。私は、石川委員長代理のお話にもう少し踏み込んで、例えば教育支援委員会が市の教育委員会と意見が一致しない場合、もしくは不服があった場合には、行政不服審査制度を利用する手立てがあると思います。しかし、その前に、今回、新たに提案された教育支援委員会が決定するという仕組みを入れたらいかがかと思います。
 私の意見として提案できればと思っていますが、教育支援委員会という機能ですが、先ほど山岡委員から保護者代表という考え方も出ました。しかし、第三者的な性格も担保された方が良いのではないかと思っています。第三者として有識者というのがあってもいいかと思います。プラスして、当事者も入れた方が良いと思っています。当事者団体も、当事者として意見を言うということは、ある程度、全体的なバランスを考えたときには必要な手立てだと思います。例えば、静岡県の場合は石川委員長代理がおられますので、教育支援委員会に石川委員長代理も入っていれば、大方の保護者は石川委員長代理がおっしゃればほとんど納得できるのではないかと思っております。
 この分野でも非常に優秀な当事者、又は国家資格を持った当事者も、今、増えておりますので、そういう方々が一つの社会モデルとして、私たち保護者としても、また子どもたちとしても、そのモデルを見るということは非常に影響が大きいと思います。積極的にこれを打ち出していく必要があるかと思っています。
 もう一つ、全体的なことですが、前から繰り返して発言しておりますが、親の会、NPO、当事者団体との連携というものが必要だと考えております。静岡県は、就学前の保護者、子どもに対するサポートについて、相談するシステムを当事者団体が受け入れています。そういう意味で、当事者団体、又は当事者という言葉も、できるだけ文面化していただくようにお願いしたいと思います。
 次に、合理的配慮についてですが、私の方からJDFの意見として資料5を出しております。3ページを御覧いただけますでしょうか。合理的配慮をする場合の条件は、私自身の意見はありますけれども、今回、特別委員会の方向性としては、基礎的環境整備という新たな考え方が入っております。それを踏まえた上で、関係する団体が心配していることは何かと申しますと、基礎的環境整備ができない場合は合理的配慮ができない、障害者の権利条約の考え方に反するという問題指摘が出ております。今回の特別委員会の委員長試案の方向性は、基礎的環境整備をするという考え方が前提だと私は理解しておりますので、できないということはないだろうと思います。ただ、問題として前々から委員会議論の中で委員の皆様から出されているのは、学校が単に責任を持って対応していくには無理があるのではないかという意見もあったと思います。ですから、基礎的環境整備を学校側の立場で進めていくのではなく、国の責任においてサポートをするという考え方を整備すべきではないかと思っています。ですから、基礎的環境整備というのは制度として進めていく。合理的配慮の中身については、基礎的環境整備の上で、どのような内容で取り組んでいくかということが今後の課題になるだろうと理解しております。
 次に、教材についてですが、手話に関する教材は手話言語教育マニュアルを作る必要があるという意見を先ほど申しました。ですので、それも入れていただければありがたいと思っています。
 そして、今回、学校運営協議会という言葉、これは前々から使われておりますが、私自身も学校運営協議会に入っていますので、十分承知しているつもりです。コミュニティースクールという言葉が使われて、専門的な片仮名語が結構出ておりますが、できるだけ分かりやすい日本語を使っていただければありがたいと思います。先ほど、スクールクラスターという言葉が出ました。委員長が一生懸命使っておられた言葉ですが、括弧書きとして、平易な日本語で記述するように工夫していただければありがたいと思います。クラスターという言葉を使うと、どちらかというと爆弾というようなイメージが強いですので、やはりここのところは、読む側は現場の先生方ですので、現場の先生方に分かりやすい日本語を使っていただいて、括弧書きで、例えばスクールクラスターという言葉を記述していただければありがたいと思います。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。それでは、順に熊坂委員、それから齋藤委員、お願いします。

【熊坂委員】 熊坂です。
 15ページのところですが、就学指導委員会にかわって教育支援委員会ということが出ているわけですが、ずっと読んでみまして、(カ)までの内容は理解ができるかなと思います。それで、最後のところへ来て、意見が一致しない場合に、ここが助言をするというのですが、前半の(カ)までの内容をやっていると、第三者とみなされるかどうかは、疑問があるのではないかという感じを持ちました。私、以前に発言した中で、それほど一致しないケースは多くないだろう。ですから、都道府県に一つぐらい、第三者のこういうものが必要に応じて設置できる仕組み、こういうことを考えた方が良いのではないかというお話をしたわけです。
 就学指導委員会、現状の私の町の流れでいきますと、様々資料収集したものを委員さん、精神科医とか専門の方も入っておられまして、その委員会で現場の先生方の意見も聞きながら、個々のケースについて、この子の就学先はどこが良いだろうという判定を一応出すわけです。それをまとめたものが教育委員会の方へ提出されます。これが最終決定ではないというところが、私の方ではないわけです。それをもとに教育委員会で、担当者がもう一度、保護者といろいろ話し合いを持った中で、最終的に教育委員会として、その次の年度の子どもたちの就学先を決定していく。したがいまして、親御さんの意見が入ってきますから、当然、矛盾はない形でのものが決まるわけですが、そういう場合ではなくて、どうしても一致しない場合があるというほかの現状を考えますと、この流れの中でやるよりも、むしろ都道府県単位ぐらいに、今、お話ししたような第三者の、必要に応じて開催ができる会議等を持っていただく方がよろしいのではないかと、こんなことを思いました。
 以上です。

【宮﨑委員長】 ほかにいいですか。
 では、事務局からお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。15ページの(キ)については、就学先決定ということではなくて、合理的配慮について、その提供の妥当性についての評価ですとか、意見が一致しない場合の仕組みの調整ということで、就学先決定については、以前、(オ)ぐらいに入れていましたけれども、今回、17ページの方にまとめて書かせていただいたということです。先ほど委員長から説明いただいたように、「一致しない場合には、例えば、本人・保護者の要望を受けた市町村教育委員会からの依頼に基づき、都道府県教育委員会が、市町村教育委員会への指導・助言の一環として、第三者的な有識者を加えた教育支援委員会等を活用するなどして、市町村教育委員会による調整を支援するといったことも考えられる」という形で整理しているところです。
 (キ)の合理的配慮のところにつきましては、相場感ができるまではなかなか一致しない場合もたくさんあろうかと考えておりまして、そのために国としてデータベース等を作って、皆さんで情報共有いただけるための情報を提供することが必要としております。例えば、教育支援委員会の(ウ)の機能としまして、教育的ニーズと必要な支援について整理して、個別の教育支援計画の作成について助言を行うといった機能もございますので、その中で合理的配慮の提供の妥当性等についても御意見をお伺いすることは可能ではないかと、事務局としては考えております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 熊坂委員。

【熊坂委員】 名称が同じですと、受けた人は同じ委員会ではないかという誤解が生じる、そこの1点があるかと思います。ですから、違う、あくまでも第三者機関と当事者にも分かる形の名称を何か考えていただくとよろしいのではないかと、そんなことを思いました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、齋藤委員、お願いします。

【齋藤委員】 全国心臓病の子どもを守る会の会長と前足立区教育長としての立場と、両方から発言させていただきます。
 私も、今の教育支援委員会のことで発言させていただきたいと思います。今の件に関しましては、17ページのところに都道府県教育支援委員会と書けば、重複して2回書くことになりますけれども、誤解は生じないだろうと思います。それと、私どもは就学指導委員会だけで年間21回、開いておりますので、この機能を全部、支援委員会に持たせるとなると、やってくださる先生方は大変だなと思いながらいますが、機能としては15ページは大賛成です。それで、提案ですけれども、これは、新しいものですので、なかなか理解が一致しにくいと思いますので、図で表記して後ろの方に載せたらいかがでしょうか、というのが一つの提案です。
 2点目です。資料1で見せていただきましたが、16ページのところに小・中学校における医療的ケアが必要な児童生徒数が書かれております。小学校で、通常の学級で235人、特別支援学級の方では337人と書かれていますが、あまりの少なさにすごく驚いております。と申しますのは、ここの中に別添で表記してあるところには、経管栄養や、たんの吸引などということで小学校、中学校の方の通常学級、特別支援学級に在籍していると思いますが、経管栄養といっても、恐らく食事のときぐらいですから、多くても学校にいる間に2回から3回というお子さんだろうと思います。たんの吸引に至っても、同じようなものだろうと思っています。それから、私どもの心臓病の子どもに関していいますと、酸素ボンベを持って学校に行ってはいけないとか、酸素があると爆発するから怖いとか、そういう考え方のもとに通常の学級に行けないお子さんもいます。
 そういうことを考えると、この数というのは、本来だったらもう少し合理的配慮をしっかりやってくだされば入れるのに、これだけの数のお子さんが、どこの特別支援学級、あるいは在宅でいるのかと思いますと、非常に胸が痛む思いがいたします。その子に合った場所を選ぶという意味では、もう少し合理的配慮が今回のことで進んでいくと良いと思っております。
 何を申し上げたいかといいますと、今回、いろいろ議論を重ねて、できた報告書に基づいて、いろいろな仕組み、あるいは法律までも変わっていくのだろうと思っておりますが、その制度ができても、学校で、あるいは教育委員会も含めて、地域社会の中で運営がうまくいかないと、絵にかいたもちになってしまうということがあります。
 1点、私がすごく感じているのは、特別支援学級で病弱児が設けられることになっておりますが、東京都では恐らくないのではないかと私は思っています。私の狭い知識の中でしか分かりませんけれども、特別支援学級を病弱児が1人でもいれば設置できるということを、少なくとも保護者に私自身も知らせたことがありませんでした。一つの仕組みができて、国の方でもそれを作ってくださったにも関わらず、対象者である保護者、あるいはお子さんたちに周知をしない限りは、それが生かされていかないと思っておりますので、この報告書ができた場合に、でき上がった仕組み、それから報告書の中身、あるいは法律まで進んだ場合について、それをしっかり地域の中に、あるいは保護者の中に、あるいは御本人の中に周知していくということを、最後のところに望ましいぐらいの委員長の所見が書いてあるとうれしい、こんなふうに思っております。
 以上です。

【宮﨑委員長】 約束の時間まで、あと二、三分しかありません。どうしても、今日、お話をしておかなければいけない、今の時点でということがあれば。太田委員、お願いします。

【太田委員】 私の先ほどの発言について、佐竹委員からも御指摘いただいたので、失礼な言い方をしたのであれば、一言ここでおわびをしたいと思います。申しわけございませんでした。ただ、私の思いとしては、通級による指導や特別支援学級の教員に、本当に経験年数の少ない教員が多くいて、その専門性の充実については、やはり区市町村だけではうまくいかない、特に特総研の御協力はいただきたいと思っているところです。そのためには、文部科学省の御理解もいただかなければできないということをお聞きしましたので、ここで発言しました。申しわけありませんでした。

【宮﨑委員長】 これまで18回にわたって審議をしてきたところですが、皆さんから大詰めに来ているというような御意見をいただいていて、できることならば今日で終わりにしたかったのですけれども、非常に重要なところについての文言の整理をかなりしなければいけないと思っております。したがいまして、次回、予備日として皆さんにお諮りをしているところで、もう一回、再度確認等も含めて会議をさせていただくということでよろしいでしょうか。すみません。もう今日で終わりということでよろしいですか。どうも、そうもいかないような気がしてきたのです。
 もう一度、全体の修文、整理をして、もう一度、皆さんにお諮りをしたいということでよろしいでしょうか。その際ですけれども、できるだけ事務局等に、細かいところでも結構ですから御意見を頂戴して、次回で審議を終了させていただくということでお願いしたいと思います。
 それでは、事務局からお願いをいたします。

【三輪特別支援教育課課長補佐】 特別支援教育課課長補佐の三輪です。
 今、委員長からございましたように、次回、第19回特別委員会の日程ですが、先日御連絡をさせていただきました予備日、6月8日の金曜日に実施いたしますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席をくださいまして、ありがとうございました。改めて皆様にお礼を申し上げます。それでは、閉会といたします。

 

―― 了 ――

 

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初等中等教育局特別支援教育課

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