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資料4:品川委員提出資料

特別支援教育の在り方に関する特別委員会最終報告に関する追加意見○2

提出:教育ジャーナリスト
品川裕香
2012年5月23日

第18回委員会に参加できないため、下記、最終追加意見を申し述べます。

○1 第三者機関について

→ 前回の会議では都道府県の教育支援委員会(仮称)にお願いしてはどうかという意見が多かったかと思われ、また、合理的配慮の意見が一致しない場合については、基本的には、学校・市町村教育委員会と本人・保護者の両者で話し合い、調整がつかなければ、市町村の教育支援委員会(仮称)が間に入ってはどうか、という感じだと理解している。
 この『教育支援委員会(仮称)』の設置について異論はないが、都道府県立入試における合理的配慮で合意を得られなかった場合など都道府県教委VS本人・保護者となったときの公平性公正性の担保を考えておく必要があり、やはり第三の中立的な位置づけにしておくことの必要性を改めて強調したい。

○2 教科書バリアフリー法について

→ いわゆる『デジタル教科書』が指導者用でなく、児童生徒用として配付されるようになると問題は解消されるという意見があるのは承知しているが、その場合、『デジタル教科書』が視覚障害や発達障害のある児童生徒のニーズを踏まえた作り(デザインや構成など。情報が多くなることで注意集中や視覚的情報処理に課題がある子にはかえって大変になることも起こりうるし、パソコンの画面が光やドットの関係で読めないという少年も存在する)であるものを選択できることと、同時に従来通り、紙の教科書も配布されることが必要だ。
 現状においては、LDやADHD等の子どもたちの場合でいうと、マルチセンサリーでやれば注意集中や視覚処理の問題が少しでも補てんできるのにもかかわらず、ボランティア団体を介することでしかpdf等が配布されていないのは彼らにとって不利益が生じると考える。そういったボランティア団体に関わることのできない児童生徒は全国に多数いるからだ。ましてLDがあっても、教師にも保護者にも気づいてもらえない児童生徒に対して公正性が担保されない。この現状は、早急に改善されなければならない。

○3 障害がない周囲の子どもたちへの理解啓発について

→ インクルーシブ教育を効果的に行うためには障害のない(とされる)子どもたちへの理解は必須だ(Weimer, 2003)。その際、機械論的な指導(ADHDはこう、アスペルガー症候群はこうと言うような、限定的な指導)には限界があり、システム論的な指導に持っていくことが望ましい。そういった基礎知識を指導しながら、多様性を踏まえた学級づくり学校づくりをクロスカリキュラムで行い、また教師自身がモデリングしていくことも必要であろう。
 たとえば、脳の特性の多様性、障害・病気などの教育を道徳の時間だけでなく、保健体育や生物、理科などの授業を使いながら行い、まずは自己理解を、そこから他者理解につなげていくことが求められると考える。
 繰り返すが、偏見や差別といった暴力を無くしていくのは、すべての子ども若者に早期からの正しい知識の徹底指導を行い、同時にバランスのよい自己理解、達成感の積み重ねから得られる自己効力感、セルフコントロールする力や、面倒見のいい大人の配置、教師と子どもとのポジティブな目標の共有など、反社会的行動を予防するための保護要因を少しでも増やしながら、他者理解を強化していくことが必要である。

○4 分教室や通級による指導、医療機関、そういった学校に送り込む「教育的ネグレクト」について

→ 異質な人たちの集団のなかで生きる力をつける、自立や社会参加をさせるという視点がない指導は「個別指導」ではなく、子どものニーズを無視した「単独指導」でしかない。こういったことがらを盛り込むが難しいのは重々承知しているが、「単独指導」をするという名目で、一部の教育現場が排除の場になってしまっている現状があることを申し上げた。盛り込むのが難しくてもこういった単独指導が子どもの健全な成長発達圏や教育権の侵害にあたり、当該児童生徒にとって将来的なデメリットに直結することに触れ、文言として「排除の場にしない」ということを明言しておくことが、法や通知が遵守されない現状においては必要だと強く考える。こういった排除の論理があるのは、都会や山間地域などロケーションに関わらない。
 これに対抗するために、これまで繰り返し、IEPに書かれた通りの指導をしているかの監査監督する第三者的機関や、保護者本人が異議申し立てできる機関が必要だと申し上げてきた。問題は教師だけでなく、保護者自身も子どもを持て余していたり子どもに興味がないケース。そういうときに、子どもの権利を担保するには、「子ども若者育成支援推進法」の精神にあるように出生から子どもの健全育成を保障するように市町村がシステムを構築する必要がある(ex.滋賀県湖南市・新潟県三条市など)

○5 児童自立支援施設内の分校、分教室、通信制・単位制の高校、寄宿舎等についても連携が必要なことについて

→ これは○4と表裏の話であると同時に、教育の質(専門性)の担保の話になる。生得的な課題だけでなく、虐待やいじめ経験など環境的な要因を持つ子ども若者が逸脱してしまったとき、効果的な指導を行える教育現場がどれだけあるのか。これらが帰結していく先は子ども若者自身のデメリット(すなわち誤学習が修正されず、未学習・不足学習が補填されないまま、学ぶべき時期に学ぶべきことを学べないまま社会に出ていく)であり、そういったデメリットの連続が社会不適応を起こすリスク要因を強化している。
 こういた分校や分教室、通信制・単位制の高校、寄宿舎の指導については、都道府県教委や○1でいうところの第三者機関等が専門性の担保や指導の質が保障されていることを随時確認するようなシステムにしていくことが必要であろう。

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成24年05月 --