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資料8-1:就学先決定の際の意見が一致しない場合の調整の仕組みについて

1.本人・保護者が就学すべき学校の指定に不服がある場合、訴訟によらない現行制度上の手続

  • 学校教育法施行令第8条の規定に基づき市町村教育委員会が相当と認めるとき又は同令第16条の規定に基づき都道府県教育委員会が相当と認めるときは、保護者の申立てにより、その指定した小・中学校又は特別支援学校を変更することができることとなっている。
  • 行政不服審査法に基づく異議申立てにおいては、入学期日等の通知が到達した日の翌日から起算して60日以内に、処分庁(小・中学校の入学期日等を通知した市町村教育委員会、又は、特別支援学校の入学期日等を通知した都道府県教育委員会)に提起する。なお、就学すべき学校の指定は自治事務であり、上級行政庁が存在しないため、上級行政庁への審査請求はできない。そのため、処分庁である市町村教育委員会又は都道府県教育委員会に対し、異議申立てを行うこととなる。
  • 行政事件訴訟法に基づき、裁判所に対し、処分に係る取消訴訟とともに義務付けの訴えを行うことも可能。行政事件訴訟法における「義務付けの訴え」は平成16年の改正により法定化されたもの。

2.政府における行政不服申立制度の現在の検討状況

  • 平成22年8月、総務大臣及び内閣府特命担当大臣(行政刷新)を共同座長とする行政救済制度検討チームを立ち上げ、「行政不服申立制度の改革方針」を両大臣の案として提示し、平成23年6月、8月に論点を整理。
  • 平成23年11月を目途にチームとしての取りまとめを行い、行政不服審査法の改正案については、できる限り早期に法制化作業を進め国会に提出することを目指すこととしている。
  • そのポイントは以下のとおり(●は22年8月に示された改革の方針、○は論点整理)。

●基本方針

 行政不服申立制度について、審理官制度の創設等により、公正さにも配慮した簡易迅速な手続の下で柔軟かつ実効性のある権利権益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することとし、また、不服申立前置を全面的に見直すことにより、国民が救済手続を一層自由に選択できるようにするものとする。

●行政不服審査法の改革:目的の改正

 法律の目的において、「柔軟で実効性のある救済」の観点を明示するものとする。

○論点整理

  1. 改革方針が掲げる基本方針を受け、「柔軟で実効性のある救済」の観点を法の目的として明示する。
  2. 改革方針において、審理官制度の創設等により、現行の簡易迅速性を活かしつつ、審理手続の公正さにも配慮することとしており、「公正性への一定の配慮」も法の目的として規定する。

●審理官制度の創設〔任用の条件等〕

○1 審理手続を行う者として、処分に関与していないなど一定の要件を充足する「審理官」を審査庁となるべき行政庁に置くものとする。

○2 審理官の任用においては、行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を活用するものとする。

○3 審理官は、独立して職権を行使する職として規定し、身分保障に関する規定を設けるものとする。

○論点整理

  1. 審理官に期待される役割

 審理官は、独立して職権を行使し、法令と良心にのみ拘束されるものとし、処分の違法性はもとより行政不服審査のメリットを発揮して不当性についても判断するとともに、多様な裁決メニューから最適な解決策を選択すること等により、公正さにも配慮した簡易迅速な手続の下、柔軟で実効性のある解決を図るものとする。
 他方で、行政不服審査制度の公正性・信頼性を確保する観点から、合議による慎重な判断のメリットを活用できるような方策についても検討する。

  1. 審理官の除斥事由、職権行使の独立及び身分保障

(1)審理官について、処分に関与したなど一定の要件を除斥事由として定め、また、審理官は独立して職権を行使する職として規定するとともに、法令と良心にのみ拘束される(通達・内部基準に拘束されない趣旨)という規定を設ける方向で整理する。

(2)これらの規定により、審理官は、審理手続を行うに当たっては、審査庁の指揮監督に服さず、法令の解釈基準や裁量基準が通達として示されている場合であっても当該通達に拘束されることなく裁決意見書を作成することが可能となるものと考えられる。

(3)審理官が、関係行政庁への拘束力を有する裁決の案となる裁決意見書を自らの名において作成することを踏まえれば、当該審査請求の処理により不利益な扱いを受けないことについて強い要請があると考えられることから、特に降任、免職等に至らない事実上の不利益な取扱いの防止について規定する方向で整理する。

  1. 審理官の任用の条件

(1)審理官は大臣等のした処分について裁決意見書を作成することとなることを踏まえ、その任用においては、行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を活用するものとする。審理官に求められる素養としては、○1 個別の行政分野に対する専門的知識経験、○2 法律の基本的な知識、○3 争訟手続の主宰者としてのスキルが挙げられる。

(2)審理官の任用は、上記を踏まえて行政庁の実情に応じてなされるべきものと考えられるが、審理手続の公正性を高める観点からは、弁護士、税理士等の外部人材の登用が適当と考えられる。その際、○1 不当性審査をも担当する審理官には、行政実務に関する専門的知識経験も要求されること、及び、○2 人材確保のための適切な処遇について留意する必要がある。

(3)また、行政に関する高度の専門性を踏まえ現職の公務員を登用する場合であっても、国民の権利利益の救済を果たすというその職務内容に照らし、適性のある者を任用すべきであるが、不当性審査をも担当する審理官の職務内容に照らせば、局長級等のハイレベルの者も想定される。また、いわゆるノーリターン・ルールの適用も考えられるが、その際には人事運用上の柔軟性にも配意する必要があるものと考えられる。

(4)審理官の官職としての位置付けについては、独立して職権を行使する等の職務内容を踏まえ、審査庁となるべき各行政庁の実情にも配意しつつ整理する。

  1. 審理官が置かれる行政庁、任命権者等

(1)行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を各行政庁が実情に応じて任用する観点からは、審理官を審査庁となるべき行政庁に置き、各大臣や普通地方公共団体の長が任命することが考えられる。他方で、審理官の中立性・公正性・信頼性をより明確化する観点からは、例えば、国においては、内閣府に一括して審理官を置くなど、内閣・内閣府が任命に係る関与を行うことについて検討する。

(2)なお、国又は地方公共団体における審理官のトータルの必要人数については、第三者的裁決機関が別途置かれている場合等における審理官制度の適用についての整理、審査請求の事件内容等を踏まえ、定まることとなる。

●審理官制度の創設〔審理手続〕

○4 審査庁は、審査請求ごとに、当該審査庁に置かれる審理官のうち当該審査請求に係る原処分に関与した者その他審理を担当させることが適切でない者以外の者のうちからその審理を担当する審理官を指名するものとする。

○5 審査請求人、参加人、処分庁等(処分庁又は不作為庁をいう。以下同じ。)、審理官は、簡易迅速な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならないものとする。

○6 審査請求人等からの申立てがあった場合、審理官は口頭意見陳述の機会を与える義務を負い、その場合、すべての審理関係人を招集し、かつ、申立人から処分庁等への質問権を認めることにより、対審的な審理構造を導入するものとする。

○論点整理

  1. 申立てがあった場合の口頭意見陳述において、すべての審理関係人を招集するとともに、申立人から処分庁等への質問権を規定することにより、対審的な審理構造の導入を図ることとする。
     なお、こうした措置は、公正さにも配慮した簡易迅速な手続の下で柔軟かつ実効性のある権利利益の救済を図る趣旨によるものであり、訴訟における「対審」自体を行審法に導入するものではない。
  2. 審査請求人に反論の機会を与え、審理手続の公正性を確保する観点から、処分庁からインフォーマルな形で示された主張・証拠については、補充意見書等として処分庁から審理官に提出させるものとするとともに、審理官がその副本を審査請求人に送付する等所要の措置を講ずることを検討する。
  3. 平成20年に国会に提出された行政不服審査法案(以下「旧法案」という。)に盛り込まれていた審理手続に係る事項であって改革方針に特段の定めがないもの(主なものについて下記参照)については、改革方針を踏まえて所要の修正をした上で、改正案に盛り込むものとする。
  • 処分庁が提出する弁明書への行政手続法による聴聞調書・報告書、弁明書の添付義務
  • 口頭意見陳述の例外・口頭意見陳述における陳述の制限
  • 審理手続の計画的遂行(事件が複雑である場合等に「審理員」が審理手続の申立てに関し意見聴取)
  • 「審理員」による執行停止の意見書の提出
  • 「審理員意見書」の審査庁への提出予定時期について「審理員」から審理関係人への通知等

●多様な裁決のメニュー化(義務付け裁決等の導入)

 より柔軟かつ実効性のある審査請求人の権利利益の救済を図るため、認容裁決の際に、処分の取消しに止まらず、申請に対する一定の処分をすることを処分庁等に義務付けることができるものとする。

○論点整理

  1. 多様な裁決のメニュー化の意義

(1)求めることができる裁決について、一覧性をもって条文に明示しておくとともに、審理官が多様な裁決メニューから最適な解決策を選択することにより、柔軟で実効性のある権利利益の救済を図ることができるものと考えられる。

(2)審査請求人のニーズに応じた裁決メニューを用意しておくことにより、争訟を一回的に解決するなど、柔軟で実効性のある権利利益の救済を図ることができるものと考えられる。義務付け裁決又は差止裁決については、処分前に問題となるものであっても、「行政庁の処分・・・に関し、国民に対して広く・・・不服申立てのみちを開く」(行審法第1条)ものとして、救済の観点から行審法に規定する方向で整理する。

  1. 義務付け裁決の新設

(1)義務付け裁決の一応の区分としては、○1 申請権を前提とした申立てに対し申請に対して一定の処分をすることを処分庁又は不作為庁に義務付けるもの(申請型義務付け裁決)、○2 申請権を前提としない申立てに対し一定の処分をすることを処分庁又は処分庁となるべき行政庁に義務付けるもの(非申請型義務付け裁決)がある。

(2)申請型義務付け裁決については、現行行審法の不服申立ての規定を前提として、裁決の態様として規定するものとし、非申請型義務付け裁決については、現行の不服申立ての規定では対応できないことから、新たな申立ての類型として規定する必要がある。

  1. 差止裁決の新設

(1)差止裁決は、自らに対して一定の不利益処分をしないよう求めるもの又は第三者が別の者に対する一定の処分をしないよう求めるものとして整理できる。

(2)差止裁決については、処分についての不服申立てに関する現行規定では対応できないことから、新たな申立ての類型として規定する必要がある。

(3)処分の事前手続が定められている場合であっても、審理官による差止裁決が機能する場面があるものと考えられる。なお、不利益処分に係る聴聞手続中に本人から差止めの不服申立てがあった場合の調整規定を設ける方向で整理する。

  1. 義務付け裁決及び差止裁決に共通するその他の事項

(1)義務付け裁決又は差止裁決に係る申立要件及び認容要件については、行訴法における義務付け訴訟又は差止訴訟に係る訴訟要件等との関係に留意しつつ、他方で、柔軟で実効性のある解決を図る審理官制度の趣旨を踏まえ、整理する。

(2)行訴法第37条の5にあるような仮の救済の仕組みについては、行政不服審査の簡易迅速性に留意しつつ検討する。

(3)処分前に聴聞手続、諮問手続等を経ることとされている場合、義務付け裁決又は差止裁決を行う際に当該手続を履践する必要があるか否かについては、行訴法改正時の議論を参考に整理する。

(4)上級行政庁以外の審査庁による義務付け裁決又は差止裁決の可否については、一般法である行審法上は裁決の効果として可能とすることを原則とする方向で整理する。

●その他審理の迅速化等

標準審理期間の設定、審査請求期間の延長等についても、措置するものとする。

○論点整理

  1. 標準審理期間の設定等

(1)審理の迅速化を図るとともに、審査請求人の予見可能性を高めるため、審査請求の到達から裁決までに通常要すべき標準的な期間(標準審理期間)を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは適当な方法により公にしておくこととする。標準審理期間を設定する主体については、審理官の置かれる行政庁に係る議論を踏まえて整理する。
 審査請求の趣旨及び審理の内容は多種多様であるが、各行政庁が実際に設定する期間が大まか過ぎては、改革の趣旨を没却することとなる。そこで、各行政庁が審査請求の類型をどの程度細分化し、又はどの程度の期間の幅をもって定めるべきかの考え方について、運用のガイドライン等において周知徹底を図る。
 また、個別法に基づく裁決期間と行審法に基づく標準審理期間の関係について、整理するものとする。

(2)標準審理期間は審理期間の目安として定められるものであり、その期間の経過をもって直ちに不作為の違法又は裁決の瑕疵となるものではないが、審理の迅速化を図るため、標準審理期間の設定のほかにも、裁決意見書の提出予定時期の通知、裁決意見書の提出後の速やかな裁決義務といった措置を講ずることとする。
 なお、裁決の判断は、単純なものから複雑なものまで様々であり、行政としての最終判断であることを考慮すれば、裁決意見書の提出後、審査庁は速やかに裁決をしなければならないこととした場合であっても、相当の必要性がある場合には審査庁による調査等が認められる趣旨と整理する。

  1. 審査請求期間の延長

(1)現行の60日という主観的審査請求期間(処分を知った日の翌日から起算する請求期間。以下「審査請求期間」という。)についてはこれを延長し、権利利益の救済機会の実質的な拡大を図ることとする。

(2)延長後の具体的な審査請求期間としては、救済手続の選択可能性の確保の観点から、行訴法上の出訴期間と同様の6か月とする案、一般に審査請求は訴訟よりも簡易に行うことができ、審査請求期間の長期化により正確な事実認定が困難となるおそれがあること等から3か月とする案、4か月とする中間的な案、さらに、審査請求期間の経過後であっても職権取消しを促す可能性もあることを踏まえて12か月とする案がある。
 いずれの案が妥当か、救済手続の選択可能性の観点、実効性のある救済の観点を踏まえ、検討する。

(3)個別法に基づく審査請求期間の特例については、行審法上の審査請求期間の延長を踏まえ、合理的理由がある場合を除き行審法上の審査請求期間に延長する等の措置を講ずる方向で整理する。

●地方公共団体における措置

 特に、審理官制度、審査請求人の補助体制の整備については、地方公共団体の規模、不服申立ての実績等に応じて、条例に基づき任意に選択できるものとする。

○論点整理

  1. 地方公共団体における措置の意義

 行審法は地方公共団体にも一律に適用されているが、改革方針が新たに掲げる事項の実施に当たっては、地方自治の観点を踏まえ、地方公共団体の多様な実情に応じ、柔軟で実効性のある権利利益の救済を図る必要がある。

  1. 条例に基づく選択(審理官制度、審査請求人の補助体制の整備)

(1)現行行審法は、地方公共団体が審査庁又は処分庁である場合(対象が条例に基づく処分である場合を含む。)においても適用され、これは、全国一律に最低限度の手続保障を確保しようとする趣旨と解されるから、現行行審法に定める手続保障を条例で制限することはできない。
 しかしながら、今般の改革方針に基づき地方公共団体に対して一定の体制整備を新たに義務付ける「審理官制度」、「審査請求人の補助体制の整備」については、地方自治の観点を踏まえ、地方公共団体の多様な実情にも配意した制度設計とすることが適切と考えられる。

(2)地方公共団体が条例に基づき任意に選択した結果、審理官による審理手続を行わないこととした場合であっても、審査請求人・審査庁・処分庁の間において、審理官が行う場合と同内容の審理手続を確保することにより、一定の手続保障の水準の向上を図ることが可能であり、さらに、審査庁においては、職権の独立行使等が保障される審理官ではなくても、処分に関与していない者に審理手続を遂行させることも考えられる。

(3)以上を踏まえ、地方公共団体における多様な実情に応じた柔軟で実効性のある権利利益の救済を図る方策としては、以下が考えられる。
 まず、審理官を置くことについて、○1 条例に基づく任意の選択をすることができる地方公共団体の範囲について、特段の制約を設けないこととする方策、○2 条例に基づく任意の選択をすることができる地方公共団体の範囲から都道府県を除き、市町村に限定する方策(指定都市の扱いについては更に検討)、○3 条例に基づく任意の選択を認めず、審理官を必ず置くこととする方策がある。
 ○1~○3のいずれを選択した場合であっても、審理官を置くこととする場合の方策として、(ア)当該地方公共団体が単独で自ら置く方策(非常勤とすることを含む。)、(イ)複数の地方公共団体により共同設置する方策が考えられる。
 反対に、○1○2を選択した場合であっても、審理官を置かないこととする場合の方策として、(ウ)職権の独立行使等が保障される審理官ではなくても、処分に関与していない者に審理手続を遂行させることとする方策、(エ)市町村を包括する広域の地方公共団体である都道府県に審理手続に係る事務を委託する方策、(オ)○2で、審理官を置かない市町村が審査請求を受けた場合、都道府県に置かれた審理官が補完する方策が考えられる。
((イ)(エ)の場合、相手方の地方公共団体の了解が必要と考えられる。)
 具体的にどの方策を採るかについては、手続保障の水準を全国一律に確保する観点、地方公共団体の自主的な判断を尊重する観点を勘案しつつ、権利利益の救済について合理性のある一定の選択肢を提示することも含め、検討する。

(4)なお、改革方針においては、審理官制度の創設に伴う手続保障の水準の向上を踏まえ、不服申立ての構造を整理(異議申立ての廃止、再審査請求の見直し)することとしているところ、条例により審理官による審理手続が適用除外とされる場合であっても、審理手続の主宰者の公正性を確保することを含め、適切な措置を講ずることにより、一定の手続保障の水準の向上が図られることを踏まえ、不服申立ての構造の整理を行う方向で整理する。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成23年08月 --