資料7:佐竹委員提出資料

平成22年10月25日
佐竹提出

第5回 特別支援教育の在り方に関する特別委員会資料

 

1.全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会(略:全肢P連)活動報告

 全肢P連は昭和33年(1958)7月に東京都立光明養護学校の講堂に於いて、全国に開校した7校(都立光明、大阪府立、愛知県立、神戸市立友生、京都市立呉竹、静岡県立、尼崎市立)の参加を経て、全国肢体不自由養護学校PTA連合会が結成されました。
 特殊教育が京都発祥から、すでに130年余りが経過し、平成19年4月、文部科学省初等中等教育局長、通知「特別支援教育の推進について(19文科初第125号)」が示され、これまで積み上げてきた特殊教育から特別支援教育の理念を基にした教育へと転換が図られました。
 これにより、全国各地における特別支援学校等において、個別の教育支援計画が導入されました。
 また、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導および生活や学習上の困難を改善又は克服し、必要な支援を実現する為に学校と保護者、関係諸機関の連携は、一層重要なものとなりました。
 全肢P連は結成当初より、PTAが一致団結し、全国に於ける特別支援教育(肢体不自由教育)がさらに健全な発展を遂げることを活動の理念に、障害のある人もない人も互いに支え合う共生・協働の社会の実現に向け、理解啓発・充実を進めるPTA活動を推進して参りました。
 全肢P連ならびに全国特別支援学校肢体不自由教育校長会は、毎年8月の3日間、PTA・校長会合同研究大会『全国大会』を開催し、「子どもたち一人一人のニーズに応じた特別支援教育・肢体不自由教育の取り組みおよび共生社会づくりの為、PTA活動はどうあるべきか」を主題に研究協議を重ねています。
 本研究大会の分科会の共通テーマを「子どもたちをとりまくネットワーク」とし、6つに分けた分科会「学校」「地域」「福祉」「労働」「医療」「機器」の趣旨に沿って、全国の担当校の保護者が中心となって、実践報告や意見発表を致します。3日間協議された、共通理解に至った以下の重点事項を挙げ、子どもたちの育成と子どもたちの幸福な未来を実現していくことを掲げ、次年度まで全国(6ブロック)各地でPTAが活発に活動します。

 

(平成22年8月開催「山形大会」で承認された大会宣言文の重点項目)

○乳幼児期から生涯に渡り、教育・福祉・医療・労働等の各関係機関が協力し、幼児児童生徒一人一人のニーズに応じた「個別の支援計画」を策定し、計画の実施、評価を通して、障害の多様化、重度・重複化に対応する特別支援教育の充実を図っていきます。

○障害のある子ども達と障害のない子ども達が共に学ぶ、居住地域での小・中学校との共同学習を推進し、地域での交流などの基盤づくりを進めていきます。

○医療的ケア実施体制整備事業(厚労省:平成16年10月通知)を踏まえた組織の再編整備と看護師配置(非常勤看護師含)の充実と共に、幼児児童生徒の安全・衛生面を最大限に守りながら、子ども達の教育を支えるため、医療的ケアの管理と質の向上を進めていきます。

○障害のある幼児児童生徒が等しく教育を受ける権利を確立するために、義務教育国庫負担制度及び特別支援教育就学奨励費制度の堅持・充実とその財源の確保を求めていきます。

○特別支援学校は、その専門性を活かし、近隣の幼稚園や小・中・高等学校への相談支援や巡回指導などが実施できるセンター的機能の充実を図っていきます。

○特別支援学校としての教育を一層充実するため、特別支援学校等の教職員定数改善計画の実施を目指します。

また、障害に応じた知識・技能・経験等の自立活動の専門性を備えた、教員定数外のOT・PT・ST等の外部専門職の配置や導入を進め、校内の担任等と外部人材が互いに連携し、特別支援教育の向上を図っていきます。

○障害のある子ども達が利用できる、児童ディサービス、放課後ディサービス等、肢体不自由児施設(通園施設)、重症心身障害児者通園施設等の整備を進め、医療的ケアの必要な障害児・者も地域で安心して生活ができるよう、事業を拡充していきます。

○卒業後の自立や社会参加に向けて、市区町村に設置された就労支援センターを活用すると共に、労働関係各機関等と連携を図り、生徒の就業を促進していきます。

○ノーマライゼーションの理念に沿って、地域への移行の支援を進める為に、自立支援協議会を中心に相談支援事業を拡充し、就業や日中活動へ通う障害者のグループホーム・ケアホーム等の生活の場を確保します。

○独立行政法人国立特別支援教育総合研究所における肢体不自由教育の専門的な研修等の積極的な推進と、特別支援教育コーディネーターの資質の確保、養成、特別支援教育(肢体不自由教育)に携わる教員の専門性・資質の向上を図っていきます。

○情報機器の整備、AAC、その関連機器の開発および、肢体不自由児・者のためのコミュニケーション支援・就労支援など、機器を活用したIT指導の充実を図っていきます。

○公共・民間の施設・交通機関のバリアフリー、ユニバーサルデザインを活用した建物や設備の具体的な施策を促進していきます。

 

2.障害のある児童生徒の実態と様子(保護者の視点から)

 近年の重度・重複化にともない学校全体はその対応に追われている(医療的ケア)そのため、医療的ケアに対応できる看護師の配置が進み、保護者は安心して通学できることが望まれる。
 子どもたちの給食(食育)は医療的配慮の必要な子(注入の食事)も含め、給食の4形態(初期食・中期食・後期食・普通食)に加え、アレルギー対応のアレルギー除去食が守られるべきである。誰しも食べることは成長と健康維持のために保障されるべきである。
 発達障害の特性として、自閉傾向の子どもは耳からの情報(音、クラクション、人の声)などに極端に反応し、耳にヘッドホンなどをして、さえぎることで落ち着いて街中を歩くことが出来る。子どもは視覚からの刺激にも過激に反応するため、教室内の掲示物の配慮も必要。危険を回避するため、出入り口や窓などの設備、設置にも配慮が必要。
 周りの様々な刺激や突発的な出来事にパニックになり、奇声をあげたりして、周りを驚かすが、本人の意思や努力とは違うところに現実があり、そのことを周りも理解して声かけなどが必要、社会全体の理解促進が望まれる。
 特別支援学校は本人支援のみならず、家族支援の一端を担っている。未だ、発展、整備途中であり、現行の制度をより子どもたちのために充実させることを望む。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)