関係資料2
○ 「教育は人なり」であり、優れた資質を持つ教員が子ども一人ひとりに目を配り、適時適切な指導ができる仕組みへと改善していくことが必須。このような基本的視点に立ち、中教審初等中等教育分科会として提言。
○ 本提言の実現には、一定の財政支出を伴うため、国は、学級編制及び教職員定数の改善による効果と所要額を国民に対して分かりやすく説明するとともに、そのための恒久的な財源確保についても理解を得られるよう努める必要。
○ 義務標準法、高校標準法制定以来、数次にわたる教職員定数改善計画により学級規模の縮小や複式学級の解消等に取り組み、教育の機会均等と教育水準の維持向上に大きな成果。
○ 平成13年度から国の標準を下回る学級編制基準の設定が可能となり、平成22年度には、すべての都道府県において何らかの学級編制の弾力化を実施。
○ 平成16年度から総額裁量制の導入により、教職員給与や教職員配置について都道府県の裁量が拡大。
○ 平成18年度から市町村が給与費を負担することにより独自に教職員を任用することが可能に。
○ 新しい学習指導要領では、基礎的・基本的な知識・技能の習得と、それらを活用する思考力・判断力・表現力等をはぐくむ学習活動を充実。また、コミュニケーションや感性・情緒、知的活動の基盤である言語活動や体験活動などの充実を図るとともに、理数教科をはじめ指導内容や授業時数を増加。質・量両面での充実が図られた新学習指導要領を円滑に実施するためには、個々の児童生徒の興味・関心、理解や習熟度に応じたきめ細かな指導の一層の充実が不可欠。
○ 我が国の教員は、学習指導と並んで生徒指導が重要な職務。暴力行為、いじめ、不登校など生徒指導面の課題が大きくなっているほか、様々な障害のある児童生徒や日本語指導が必要な児童生徒など、特別な支援を必要とする児童生徒が顕著な増加傾向にある等、学校が直面する諸課題は、近年著しく複雑化・多様化。
○ 生徒指導面等の課題が複雑化・多様化し、学級の秩序が確保できなくなる事態も生じるなど、40人という学級規模では学級経営が困難。
○ 教員の超過勤務の増加や、子どもへの直接の指導ではない事務的な業務の負担が大きい状況が明らかとなっており、教員が子どもと十分触れ合いながらきめ細かな指導を行う時間をより多く確保することが不可欠。
○ 学級編制に関する権限関係について、市町村教育委員会の権限を拡大する方向で見直すとともに、柔軟な教職員配置や校内での効果的な活用を促進する必要。
○ 新学習指導要領の円滑な実施、生徒指導面の課題等への対応、教員が子どもと向き合う時間の確保等の観点から、小・中学校の学級編制の標準を、現行の40人から引き下げる必要。
○ 小学校低学年については、さらなる引下げを検討する必要。
○ 画一的な取扱いにより学級規模が小さくなりすぎないよう、柔軟な学級編制を可能とする仕組みにする必要。
○ 複式学級の指導上の困難性等から、複式学級の標準について引き下げる必要。
特別支援学級の学級編制の標準は現在8人とされているが、複数の学年の児童生徒を同一学級に編制することが認められている上、在籍する児童生徒の障害の重度・重複化等の学級の実態を踏まえ、学級編制の標準の引下げの要望が多い。一方、特別支援学級に在籍する児童生徒数は急速に増加しており、今後もその傾向が一定程度継続すると考えられる。また、通常の学級における比較的軽度の児童生徒を対象とした通級指導のための教職員配置も含め、小・中学校全体における特別支援教育の体制整備が求められている。従って、引き続きこれらに関わる教職員定数の改善を図っていくことが重要であることも踏まえつつ、学級編制の標準の在り方について今後検討する必要がある。
○ 高等学校においては、学級とは別の学習集団を形成して教育活動を行う場合が多いこと等から、学級編制の標準の引下げより、各学校の実情に応じて必要とされる教職員定数を確保することが重要。
特別支援学校の学級編制の標準は、小学部・中学部において6人、高等部において8人、重複障害児童生徒の場合は3人とされている。一方、特別支援学校に在籍する児童生徒数の増加傾向が今後も一定程度継続すると考えられること、現在特別支援学校の施設整備が課題となっていること等を踏まえると、特別支援学校においては学級編制の標準の引下げより、地域の小・中・高等学校等における支援を要する児童生徒の教育に係る助言・援助等を行うセンター的機能の強化など、現行の特別支援教育制度において必要とされる教職員定数を確保することが重要である。
○ 学級編制の改善だけでは、すべての学校の教育課題に対応することはできない。対応が必要と考えられる諸課題及びこれに対応するための教職員定数の改善方策は以下の通り。
○ 国が教育条件整備の責務をしっかりと果たし、都道府県等が計画的かつ安定的に教職員配置を行うことができるよう、早急に新たな教職員定数改善計画を定め確実に実施する必要。
特別支援学校、特別支援学級及び通級指導の対象となっている児童生徒の総数は、過去10年間で約12万人の増と近年顕著な増加傾向にあるほか障害の重度・重複化や多様化が進んでいる。このため、特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を十分に果たしながら特別支援教育を充実させることのできる教職員定数の改善が必要である。
また、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒だけでなく、通常の学級に在籍しながら、通級指導を受ける児童生徒も大幅に増加しており、学校種等を問わず、障害に応じた特別な支援を必要とする児童生徒へのきめ細かい指導・支援を行うことができる教職員定数の改善が必要である。
なお、「障害者の権利に関する条約」に示されたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえた特別支援教育の在り方について、現在行われている中央教育審議会の審議・検討の結果、追加的な措置が必要とされる場合には、適切に対応することが必要である。
○ 都道府県教育委員会による学級編制基準の設定や市町村教育委員会から都道府県教育委員会への同意を要する協議の義務づけを廃止し、市町村立学校の学級編制は市町村教育委員会の責任で行うことができるようにする必要。
○ 多くの学校に措置されるようになった指導方法工夫改善定数など加配定数の相当程度については、基礎定数に組み入れる必要。
○ 今後も学級数を教職員定数算定の基礎としつつ、例えば、1学級当たりの児童生徒数が多い学校について教職員を加算できるような算定方式を導入する必要。
○ 小・中学校の適正配置に向けた市町村の取組を支援するため、市町村合併に伴わない学校統合に対しても、教職員定数の激変緩和措置を講じることを検討する必要。
○ 地域や学校の実情を踏まえた弾力的な教職員配置を適切に行うとともに、各学校において、多様な学習指導の場を柔軟に設定し指導方法を工夫する必要。
○ 義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、税制抜本改革の動向を踏まえ、国庫負担率の2分の1への復元についても検討。
○ 少人数学級を実施する場合、新たに必要となる教室等の施設整備について全国で教育条件に格差が生じないよう、国として施設整備を支援するための所要の財源を確保する必要。
○ 校長のリーダーシップの下、多様な業務に対応できる学校体制を整え、学校全体で組織として業務遂行に当たるようにすることが重要。また、教員と事務職員の適切な役割分担や校務情報化が必要。
○ 我が国の学校では教員以外の専門的スタッフの配置が諸外国と比較して少ない状況にあること等を踏まえ、専門的スタッフの充実が必要。
○ 今後、国が教職員定数改善計画を策定し、着実に実施するとともに、加配定数を基礎定数に組み入れることにより、都道府県が計画的・安定的に教職員の採用・配置を行いやすくなることを期待。
○ 幼稚園の学級編制等については、義務教育における学級編制の標準の動向等を踏まえ、今後検討が必要。
○ 各地方公共団体の教育条件整備の状況が適切に情報公開されることを期待。
○ 教職員定数の改善に当たっては、その効果を最大限に発揮するための教職員の組織的協力体制や指導方法のあり方について不断の検討・検証を行う必要。
初等中等教育局特別支援教育課