障がい者制度改革推進会議における文部科学省ヒアリング(平成22年4月26日)ヒアリング項目に対する意見書

障がい者制度改革推進会議における文部科学省ヒアリング(平成22年4月26日)
ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

【総論】

○特別支援教育の推進に関する政府としての基本的考え方は、「インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえ、発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりのニーズに応じた一貫した支援を行うために、関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を進めるとともに、教員の特別支援教育に関わる専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図ります。」(子ども・子育てビジョン〔平成22年1月29日閣議決定〕より)とするものである。

○文部科学省としては、インクルーシブ教育システムについて、理念だけではなく人的・物的条件整備とセットでの議論が必要と考える。条件整備が整わない中での理念のみのインクルーシブ教育は、結果として、子どもの「能力を可能な最大限度まで発達させる」との目的(障害者権利条約(以下「権利条約」とする)第24条)を損なう恐れがあることに留意すべきであると考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○1

【ヒアリング項目】教育基本法 差別禁止条項の不存在

 教育基本法4条1項は、「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」としつつも、この中に、「障害」という文言はない。「障害」という文言を挿入して、障害に基づく差別の禁止を明文化すべきとの考え方について、どう考えるか。

回答

○第4条第1項は、憲法が定める法の下の平等や教育を受ける権利を保障するために、すべての国民が等しく教育の機会を与えられ、教育上差別されない旨を規定するものであり、同項に掲げられている事項は、憲法第14条第1項と同じくあくまで例示である。したがって、障害が明示されていなくとも同項の規定により障害の有無による差別は禁止されていると解すべきものである。(H18教育基本法改正審議における国会答弁と同旨)

    (参考)

    • 憲法第14条第1項:
      「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
    • 教育基本法第4条第1項:
      「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」

○なお、このような教育基本法の現行の規定ぶりについて、権利条約に照らして特段の問題があるとは考えていない。

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【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○2

【ヒアリング項目】学校教育法 異なる教育目的の設定

 学校教育法72条は、特別支援学校(従来の盲、聾、養護学校)について、「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施す」ものと規定している。

1、この普通教育と異なる「準じる」教育は、普通教育より一段低い教育ないしは一般とは異なる教育という響きを与え、障害児を普通教育から排除する結果や分離の根拠となっているという考え方について、どう考えるか。

2、この目的設定は、障害者の権利条約の差別(第2条)に該当するとの考え方について、どう考えるか。

3、障害者の権利条約第24条第1項が「この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現する(政府仮訳)」と規定している点に合致していないとの考え方について、どう考えるか。

回答

○特別支援学校に在籍する障害のある児童生徒等に対して、幼・小・中・高等学校と同一内容の教育を行うことは現実的に困難な場合があり、障害の状態等に応じて配慮した教育を行うことは必要と考える。(「準ずる」の解釈については、先般改訂された特別支援学校学習指導要領等においても、幼稚園教育、小学校教育、中学校教育及び高等学校教育と同一の目標を掲げていることに加え、障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知識、技能(幼稚園においては態度や習慣など)を授けることを目的としていることが解説において明確化されている。即ち、「普通教育より一段低い教育ないしは一般とは異なる教育」を含意するものではない。)

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【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○3

【ヒアリング項目】特別支援学校の設置

学校教育法80条は、普通学校の場合と異なり、都道府県が「特別支援学校を設置しなければならない」と設置を義務づけており、さらに、同法78条は、特別支援学校には「寄宿舎を設けなければならない」と規定している。

1、これらの規定は、障害者の権利条約第24条第2項(b)「障害者が、他の者との平等として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること(政府仮訳)」という規定に合致していないとの考え方についてどう考えるか。

2、また、親からの分離を禁止する障害者の権利条約第23条4項「締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。」に合致していないとの考え方について、どう考えるか。

回答

すべての学校において特別支援学校と同等の教育を提供することは困難な状況にあることを考慮すれば、障害のある子どもに対する教育の機会を確保するため、都道府県に特別支援学校の設置を義務付けることについて、直ちに権利条約の趣旨に反するとは言えないと考える。

○また、寄宿舎の設置義務については、特別支援学校の設置数が小・中学校に比べて少なく、在籍児童生徒の通学区域も広域となる実態に鑑み、通学が困難な児童生徒のために寄宿舎の設置が必要との考え方によるものであり、このことが直ちに権利条約の趣旨に反するとは言えないと考える。(保護者の意思に反し、特別支援学校在籍児童生徒の保護者からの分離を行うとの趣旨のものではない。)

○なお、「児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないこと」については、就学先の学校の決定に関する本人・保護者の選択権の保障の問題と関連するものと考える。(後述)

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【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○4

【ヒアリング項目】特別支援学級の設置

 学校教育法81条は、普通学校の通常学級の他に、特別支援学級(従来の特殊学級)の規定を置いている。
 この規定は、普通学級ではない学級での教育を前提にするものであるが、これは障害者の権利条約第24条第1項のinclusive education(インクルーシブ・エデュケーション)に合致していないとの考え方について、どう考えるか。

回答

○障害のある児童生徒に対して障害の状態・ニーズ等に配慮したきめ細かな教育を少人数で効果的に行うことを目的として、特別支援学級において教育を行うことが直ちに条約第24条第1項に反するとは考えていない。
 なお、特別支援学級に在籍する児童生徒と通常学級に在籍する児童生徒との「交流及び共同学習」を実施しており、特別支援学級に在籍する児童生徒が、通常の学級において学習したり、学校行事等に参加したりするなどの取組を行っているところである。
 (交流及び共同学習については、小・中学校の新学習指導要領(H20.3)及び高等学校・特別支援学校の新学習指導要領(H21.3)において明確に位置づけたところである。なお、全国連合小学校長会の調査(H21.7~8時点)によれば、全体の約95%の学校で、通常学級と特別支援学級との間の交流及び共同学習を行っている。)(本人・保護者の選択権の保障の問題については後述。)

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【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○5

【ヒアリング項目】就学先決定の仕組み

 学校教育法第17条は、保護者にその子どもを小学校、中学校に就学させる義務とともに、特別支援学校に就学させる義務を別個に課している。そしてその親の義務の履行として、学校教育法施行令は、障害のない人(子どもを含む)については、学校教育法施行令5条により、市町村教育委員会が入学期日等の通知や学校の指定を行うのに対して、障害のある人については、学齢期を迎える前の子どもを対象とする就学時の健康診断によって、同施行令22条の3が規定する障害と障害の程度に該当する障害の存在が分かると、同施行令11条により、原則として(例外は認定就学者)、都道府県教育委員会が特別支援学校の入学期日等の通知や学校の指定を行うことになる。

1、障害のある人の就学先の決定を法律ではなく施行令に委ねているが、立法府の関与を要しない政令に委ねるべきではないとの考え方について、どう考えるか。

2、学校教育法施行令5条、11条ならびに22条の3項による「障害に基く分離」制度を廃止すべきとの考え方について、どう考えるか。

3、障害のある人が生活する地域社会にある学校に学籍を一元化すべきとの考え方について、どう考えるか。

4、障害のある人及びその保護者が、特別支援学校、特別支援学級を選択する権利の保障がなされていないとの考え方について、どう考えるか。

5、「義務教育制度について、障がい者が障がい者以外の者と共に教育を受ける機会を確保することを基本とし、障がい者又はその保護者が希望するときは、特別支援学校又は特別支援学級における教育を受けることができるようにするものとする。」(第171回通常国会に議員提案により参議院へ提出された「障がい者制度改革推進法案」(以下、「改革推進法案」という。)第9条第1項)との考え方について、どう考えるか。

回答

(1)就学先の決定プロセス及び本人・保護者の選択権の保障、学籍の一元化、障がい者制度改革推進法案(以下「改革推進法案」とする)第9条第1項への対応について

就学先決定に係る現行の考え方(学校教育法施行令第22条の3に定める就学基準に該当する場合、原則特別支援学校に就学する法制度)については、文部科学省としても見直すことを検討している。【別添○1参照】

保護者に全面的に選択を委ねることについては慎重な検討が必要と考える。(通常学校における合理的配慮の内容にもよるが、本人にとって、その精神的・身体的な能力を可能な最大限度まで発達させるための教育(権利条約第24条第1項(b)による)が受けられなくなる可能性があるほか、他の児童生徒等への影響等に関する考慮が必要と考える。)

○また、就学先決定のプロセスにおいて、保護者の意見を最大限尊重する仕組みを構築するとしても、決定主体は義務教育の実施責任を有する教育委員会とすることが法制度上必然であると考える

○さらに、就学先決定後も、教育委員会が指導・支援に責任を負い、継続的な就学相談・指導等を行うなど適切かつ柔軟に対応することが必要であると考える。

○学籍の在り方については、特別支援学校の場合も、居住地の小・中学校に副次的籍を置く「居住地校交流」を推進することが有効な方策であり、東京都や埼玉県、横浜市他の先行する取組の成果・課題等も踏まえ、今後モデル事業の推進等を通じ、全国的な取組の促進を図っていくことが重要と考える。その際、「副次的籍」を含む学籍の在り方について、教員配置の在り方を含めて検討することが必要と考える。

○なお、上記について検討する際には、通常学校における教育内容、支援体制、教職員定数及び学級編制の在り方のほか、特別支援学校に必要とされる機能や、役割等についても併せて十分に検討することが必要と考える。

○いずれにせよ、就学先の学校において十分な支援体制を整えることが必要不可欠と考える。(合理的配慮の内容)

(2)就学先の決定手続きを政令で定めていることについて

○現行法令上、児童生徒等が就学する学校種を具体的に定める就学手続きは、学校教育法第17条第3項において保護者の(学校等に就学させる)「義務の履行の督促その他これらの義務の履行に関し必要な事項は政令で定める」とされている規定を受けた学校教育法施行令第1条から第22条の2までに規定する就学事務に関する事項により規定されている。

○就学先の決定を含めた就学事務については、義務教育の実施責任を有する教育委員会が最終的に判断すべきものであり、その手続きについて政令で規定することについて法体系上特段の問題があるとは考えていないところである。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○6

【ヒアリング項目】合理的配慮の具体化

1、合理的配慮の具体的内容について、障害のある人および保護者、学校、学校設置者の三者が合意形成をしながら策定すべきとの考え方について、どう考えるか。

2、「義務教育について、障がい者と障がい者以外の者の意思疎通を仲介する者の配置の促進、障がい者に係る教育に関する専門的知識を有する教員の充実等の人的体制の整備、障がい者が十分な教育を受けるために必要な学校の施設及び設備の充実、障がい者が使用するための教材の普及等の物的条件の整備その他の障がい者が教育を受ける環境の整備を行うものとする。」(改革推進法案第9条第2項)との考え方について、どう考えるか。

3、合理的配慮の内容について、障害のある人及びその保護者に不服がある場合には、異議申立手続きを用意すべきであるとの考え方について、どう考えるか。

回答

○合理的配慮の具体化については、本人・保護者、学校、学校設置者が合意形成をしながら策定することが重要と考えるが、一方で、現実的な合理的配慮の内容に関する検討が必要と考える。

○現在、各学校においては、障害のある児童生徒等一人一人の教育的ニーズを明確にし、必要な合理的配慮について検討するため、保護者及び支援の専門家等を交えて個別の教育支援計画の作成・活用の取組を進めているところである。

○また、文部科学省の「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」においては、就学移行期(就学前の段階から義務教育段階への移行期)に、市町村の教育委員会が中心となり、保護者や関係機関と連携して個別の教育支援計画を作成し、当該計画を就学先の学校に引き継ぐことが適当である旨提言されている(平成21年2月)ところであり、当該計画の作成過程において、保護者、学校、教育委員会の3者が合意形成をしながら「合理的配慮」の具体的内容の策定が図られるべきものと考える。

○合理的配慮の具体化に係る必要な人的体制及び物的条件の整備については、前項に述べた就学先決定プロセス等との関連において、必要な財源措置等について検討する必要がある。【別添○2参照】

○合理的配慮の内容等に関する不服の場合の対応については、推進会議等における議論等を踏まえた検討が必要と考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○7

【ヒアリング項目】聴覚、視覚に障害がある場合の教育

1、手話言語を学習する権利を保障すべきという考え方について、どう考えるか。

2、手話又は点字についての適格性を有する教員を確保すべきという考え方について、どう考えるか。

3、教育におけるあらゆる形態様式のコミュニケーションを保障すべきという考え方について、どう考えるか。

回答

○現在のような特別支援学校で保障される手話や点字を学ぶ環境は重要であると考える。

○特別支援学校等における聴覚障害等のある児童生徒等に対する指導に当たっては、意思の伝達を活発に行うため、児童生徒等の聴覚障害等の状態等に応じ、手話等のコミュニケーション手段を適切に選択・活用する工夫が行われている。なお、聴覚障害のある児童生徒等が効果的に手話を学ぶためには、一定程度の集団の確保が必要と考える。

○さらに、国立特別支援教育総合研究所において、手話を含めた多様なコミュニケーション手段を活用した指導が行われるよう、都道府県の指導的立場にある教員等を対象として、手話を活用した指導法を含めた専門的な研修を行っているほか、聴覚障害教育における指導法に関する研究等を行い、その成果の普及を図っている。

○なお、視覚・聴覚に障害がある場合の教育については、特別支援学校におけるICT機器・支援技術の活用の有効性も確認されていることから、今後、通常学校を含め、これらの取組を更に推進することが必要と考える。

○これらの取組を通じて、多様なコミュニケーション手段を活用した指導の一層の充実を図られるよう、指導内容・方法の工夫・改善や教員の専門性の向上に努めることが必要であり、今後検討してまいりたい。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○8

【ヒアリング項目】特別支援教育

1、特別支援教育が障害者の権利条約に定めるインクルーシブ教育に合致していないのではないかとの考え方について、どう考えるか

2、特別支援教育の強調は、通常学級における障害児への必要な支援、ないしは合理的配慮の確保をおろそかにし、分離教育につながるという考え方について、どう考えるか。

回答

○特別支援教育の推進に関する政府としての基本的考え方は、「インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえ、発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりのニーズに応じた一貫した支援を行うために、関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を進めるとともに、教員の特別支援教育に関わる専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図ります。」(子ども・子育てビジョン〔平成22年1月29日閣議決定〕より)とするものである。

○平成19年4月に特別支援教育制度の新しい枠組みがスタートして3年が経過した。この間の特別支援教育に関する評価として、内閣府調査(平成21年3月)によれば、現在受けている教育の満足度について、小学校段階では全体として76%(特別支援学校小学部在籍者については84%)、中学校段階では77%(特別支援学校中学部在籍者については83%)が「満足している」「やや満足している」との結果が出ているところである。

○また、特別支援教育体制整備に関する文部科学省調査(平成21年9月時点)によれば、公立小・中学校においては、ほぼ全ての学校で校内委員会の設置及び特別支援教育コーディネーターの指名が行われている一方、私立をはじめとして幼稚園や高等学校における体制整備に遅れが見られる。また、公立小・中学校においても、「個別の教育支援計画」、「個別の指導計画」を作成している学校の割合は、それぞれ59%、84%であり、これらの取組を一層充実させることが必要となっている。
 さらに、全国連合小学校長会の調査(平成21年7~8月時点)によれば、発達障害のある児童に対する指導について、対象児童の増加等により管理職である校長(14%)や教頭(20%)が自ら指導に当たる場合があるなど人員不足の状況が顕著であり、今後の対応として「指導できる教員の増配置」及び「指導補助員・介助員等の配置」を望む声が、それぞれ全体の73%、56%から寄せられるなど、今後の特別支援教育の充実のための人的資源の強化が強く求められている状況である。

○いずれにせよ、インクルーシブ教育と特別支援教育は相反するものではなく、同じ方向を目指したものであり、その時々の状況に応じて不断に促進することを、より適切に行っていくことに尽きるものと考える。
 具体的には、小・中学校等における校内体制整備(校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名、個別の指導計画及び個別の教育支援計画の作成等)を着実に進めているほか、通級指導担当教員や特別支援教育支援員を拡充するなど、特別支援教育を支える仕組みの充実を図る中で、小・中学校等における障害のある児童生徒に対する支援内容が向上・強化しているところであり、今後ともこれらの取組を更に推進することが必要と考える。

ヒアリング項目に対する意見書

【府省名:文部科学省】

ヒアリング項目○9

【ヒアリング項目】後期中等教育等

「後期中等教育(中等教育のうち義務教育終了後に行われるものをいう。)、高等教育その他の義務教育以外の教育について、前二項の措置に準ずる措置を講ずるものとする。」(改革推進法案第9条第3項)との考え方について、どう考えるか。

回答

○後期中等教育については、義務教育段階のインクルーシブ教育についての議論を踏まえ、今後詳細について検討していくべきものと考える。

○なお、文部科学省の「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」においては、平成21年8月に、高等学校における特別支援教育の必要性、特別支援体制の充実強化、発達障害のある生徒への指導・支援の充実、高等教育入学試験における配慮や支援等について議論をした結果を取りまとめているところである。

○高等教育については、各大学がどのような学生を受け入れてどのような教育活動を行うかは、その大学の特色等に応じて自主的に決定するものであるが、文部科学省としては障害のある者に対して高等教育の機会の提供を適切に図っていくことは重要であると考えている。

○大学入試センター試験においては、試験時間の延長、代筆による解答、別室における受験等の配慮を行うほか、毎年度各大学に対して発出している「大学入学者選抜実施要項」において、試験時間の延長、点字・拡大文字による出題、特別試験場の設定等の具体例を示し、障害のある者が不利にならないよう各大学に配慮を求めている。

○また、学生の入学後の学習支援については、各大学等において、聴覚障害を持つ学生向けのノートテイカーの配置、定期試験の試験時間延長、施設面ではエレベータやスロープの設置など、様々な措置が講じられている。

○文部科学省においては、このような取組を支援するため、国立大学に対しては、

    ○1国立大学の運営費交付金において、障害のある学生の教育環境の整備に対する支援を行っているほか、
    ○2施設の整備に際し補助金を措置し、障害のある学生に対する支援を行っている。

    また、私立大学に対しても、

    ○1私立大学等経常費補助金の特別補助において、各大学の障害者受け入れ人数に応じて、補助金を増額する措置をとっているほか、
    ○2私立大学の施設のバリアフリー化を推進するための補助を行っている。

○さらに、独立行政法人日本学生支援機構においても、各大学等で実施されている障害学生に対する取組事例等の情報提供や障害学生の修学支援のための研修会を実施している。

○文部科学省としては、今後とも以上のような措置を通じ、障害のある学生に対する支援の充実に努めてまいりたい。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)