2‐2 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ第6回~第11回における委員からの主な意見

教員の職務と学校の管理運営体制の見直し

1.教員の職務と学校事務の見直し

  • 学校事務職の機能強化や地域のサポートを取り入れることにも、前向きに取り組むべき。
  • 教職員の職務の明確化は非常に大事
  • 事務職員の一定程度の待遇改善について、もっと具体的な検討をしてほしい
  • 先生によってある程度役割分担化が進んでいるのではないか。役割分担は今後の議論でかなり大事な論点だと思う。
  • 教員が本来行うべき業務の範囲をはっきりとしておかないと、どんどん業務の中身が増えてくる。
  • 事務の共同実施、学校事務の効率化については、学校事務は区市町村によってやり方が全く違うし、より地域に開放された学校にするためにも、事務に学校事務職員の任命権を区市町村に移したほうがいいのではないか。
  • 教育委員会から送られる仕事が非常に非効率的なものが大変多いので、学校現場の努力だけでは業務効率は進まず、教育委員会の業務効率を上げることからスタートしなければ難しいと思う。
  • 事務の共同実施とか効率化は必要。教員がやるべきことと事務職員がやる部分をうまくアウトソーシングすることにより、教員の教育への専念時間を増やすことになると思う。
  • 地域と家庭と学校の3つの役割分担をきちんとしないと、教員の本来やるべき業務も決められない
  • 効率化については、家庭に任せたいところはいっぱいあるが、学校が今引き受けていることを放棄することはできないと思う。
  • 事務の共同実施については、特に小学校で非常に必要になってきていると思う。その待遇改善の中で、事務長をつくらないと統率できないものも出てくると思う。
  • 地域運営学校のような形態がこれから増えていくと、地域の方々を活用しながら、学校も教員のやるべきことをちんと定めて、これをやるからこの給料という合意形成が必要だと思う。また、本来学校がやるべきことを明確にすることは、今家庭の教育放棄とか育児放棄といった問題がかなりあることを考えると、大きな意味があると思う。
  • 昔と変わったことは、業務の増加というより、非常に難しい問題が増えていることだと思う。問題が非常に深刻化したり、専門的知識が必要になったのならば、複雑化して、1人の教師ではできなくなっていることにどう対応するかが問題なのではないか。その方法として、研修とアウトソーシングがあると思う。
  • 先生を進路指導やいじめなどの問題ごとで役割分担し、担任の先生が自分では手に負えないことを相談できるような仕組みをつくっていけばいいのではないか。そして、役割、責任、職務の内容をきちんと整理し、給料に反映していくのが正しい道だと思う。
  • 子供との関係、生徒指導の関係で、業務の範囲が広がっていることは事実だし、学校として組織的に教育課程を編成し、教育活動の目的、目標を達成するための業務としての校務分掌は組織的に対応しなければいけないので、学校、地域社会、家庭それぞれの役割分担を考えても、実際の業務範囲の整理はかなり難しい問題だと思う。
  • 教員の場合、専門職としての自発的な業務をどう評価するかという問題がある。また、現在の学校を取り巻く状況、学校の業務の状況等を踏まえて、勤務時間や給与の在り方を考えるためには、勤務の中身を精査することが必要
  • IT化やアウトソーシングが進んでいないのは驚き。学校事務の効率化を進めるため、まずは、学校毎にバラバラの校務システムを統一する必要があると思う。
  • 教員が教育に専念できる環境をつくることが大事。事務体制の充実には事務長制度を作るべき。

2.学校の組織運営体制の見直し

  • 給与は仕事に準じて与えられるものなので、給与だけを考えるのは難しい。学校組織をどう運営していくのかについても、検討が必要
  • 主幹のような新しい職をつくって一定程度優遇をしていくことは非常に大事
  • 主幹等のいろいろな制度を試みながらあるべき姿を見ていくことはすごく重要。主幹制が教員、学生、生徒、保護者の意識に与えた効果について幅広く調査し、給与のメリハリの効果があるのかを見出す価値は十分ある
  • 主幹の職としての位置づけは、学校の組織運営全体として新たな時代の変化、社会のニーズ、学校の実際の取り組むべき課題等を考えると、1つの前進ではないか。そこで、待遇面や給与面の扱いとともに、学校の組織運営体として主幹が必要かをさらに検討する必要がある。
  • 主幹という場合には、標準職務の内容を提示するべき。そして、その職務は一体今までだれが担っていた職務を切り分けたのかも議論するべき
  • 主幹の問題、在り方、効果について、ある程度の共通認識をしっかりと認識しあった上で論議を進めていくべき
  • 主幹制の効果は、どこの自治体もわからないというのが現状だと思う。まだ都道府県で答えの出ていないものを、この委員会で制度化してしまうのは時期尚早なのではないか
  • 現在の4級制を5級制にして、職務内容の量的な面と責任の度合いと学校運営を果たす役割という面から、主幹を職として明確に位置づけて処遇をすれば、単に給与上の点からだけではなく、学校運営の実態や運営の体制の実態から言っても、十分に説明できるのではないか
  • 学校の組織運営の中で、鍋ぶた式の組織運営を少し変形させて起動させるという意味で、間に中間管理職的な役割として主幹を置くという方法を考えるのは、有効だと思う。ただ、学校規模によって差があるから、各自治体の判断にゆだねるべき
  • 主任や主幹のような新しい職務については、職務内容をきちんと書いて、責任をはっきりさせれば、給料に差をつけることができると思う。
  • 授業をしない人はもう授業をしないように専門職化していくように精査し、新しい職種をつくることにも大胆に踏み込むのはどうか

3.指導力に優れた教員の処遇

  • スーパーティーチャーについては、明確に職として位置づけられれば、新たに設ける特2等級なる新たなる級に位置づけることができるのではないか
  • マスターティーチャーのような従来型の教育力については、細かく評価して、給料に差をつけることは不可能だ。
  • スーパーティーチャーが毎年入れかわるやり方もあると思う。

能力と実績に見合ったメリハリのある教員給与体系の構築

1.優秀な人材の確保

  • 教員の水準の確保のために、人確法は必要
  • 給与の額を減らすだけが民意ではない。人確法を存続し、総額を減らしつつも、まじめに努力する人がむくわれるような制度に改めるべき。
  • 優秀な人材を確保し、より高い専門性のある教師の育成を担保するために人確法は不可欠
  • 10年後には、先生の半分くらいが入れ替わるので、今後、教員の質は大きく変わってしまう危惧がある。優秀な人材を確保するため、人確法の趣旨の堅持は必要
  • 「人確法の堅持」という文言を明文化してはどうか
  • 人確法があることにより、養成段階で教員を志す人は増えることはあると思う。
  • 人確法を堅持するためには、教員の職務の特殊性を全面に出し、子供たちに良質な教育環境を与えるという意味で、それに応じた待遇を考えなければならないという趣旨が伝わればいい
  • 給与だけの評価ではなく、教員のモチベーションや今後の研修に対する意欲の面での評価が大事。教員の給与の差については、きちんとした評価システムができれば、納得できるものではないか。ただ、一部の人だけではなく、きちんと仕事をしている人間が優遇措置を受けられるようにしてほしい
  • 専門職大学院や教育大学へ行って修士課程をとった人に対する優遇措置についても、給与全体を検討する中でのひとつの課題であると思う。
  • 優遇措置の方策はいろいろあるが、給料だけでなく、研修などを通じて自ら向上していける職場環境は非常に大事。
  • 優秀な教員の表彰について、表彰した教員に特別昇給などをするということになれば、メリハリある教員給与の一環ということになると思う。

2.教員の給料の見直し

  • 教員としての自覚をしっかり持つようにというのであれば、それに見合った給与体系が必要
  • 実績・能力に応じたメリハリある給与体系については、頑張っている人を認める点で重要なポイント
  • 教員の俸給表の見直しについては、管理職よりも指導者として力を伸ばしていく道も検討してほしい。
  • 俸給表の級の増設にも、前向きに取り組むべき
  • 給与は職務級が原則だから、職務の責任とか重さに違いがあるからメリハリがつくという議論のロジックでないと、公務員制度の世界では通らない
  • 職務の内容と責任がはっきりしていないと、給与に差をつけることは大変難しい。教職員はどういう責任を果たさなければならないかをきちんと把握した上で、新しくつけ加わった役割、職、をきちんとあぶり出さなければならない。
  • 教諭の賃金を、行(一)との比較だけではなく、専門性の中でどう加味できるか。教職員の給与や手当については、ある程度の管理職の出現率等を加味して優遇していく必要があると思うが、その中で、やはり新しい職や給与表をつくるべきではないか
  • 教職経験を積んで頑張っている先生がごく一部だけ褒められるのではなくて、教員のモチベーションを上げる給与体系を考えていくべき

3.教職調整額の見直し

  • 教職調整額等の見直しについては、管理職が先生の勤務をしっかりと評価して処遇に反映していくことが求められると思う。
  • 教職調整額は、不適格教員をのぞいて一律にするのが現実的
  • 教職員については、正規の勤務時間内で仕事を終えるのは無理なので、超過勤務手当は絶対そぐわない
  • 教職調整額の4パーセントにあまり大きな根拠はないと把握している。勤務実態調査では、30分以下の残業の教員が1割いて、4パーセントがその教員に適しているのか問題があるので、調整額の中で差をつけていくのが現実的だと思う。
  • 教職調整額を超過勤務手当に変更すべきかという論議が財源的に成立するのか疑問
  • 教員は、厳密に超過勤務を日々何時間だと測定することが非常に困難な職務なので、超過勤務手当をどれだけ出すかということは難しい問題。むしろ、教職調整額に差をつけ、一月単位で評価していくほうが現実的なのではないか。
  • 頑張る先生にものすごく仕事が集中していると思うので、このあたりで教職調整額が一律に4パーセントは不公平だという意見が出てくるのではないか。
  • メリハリの付いた見直しを行うためにも、教職調整額についても評価の観点をある程度入れるべき。
  • 教職調整額について、超勤手当の代わりに4パーセントが支給されていたのであれば、これを俸給扱いにしているのは世間的な納得は得られないのではないか。
  • 調整額の配分を議論する前に、調整額が今の額で妥当かどうかを議論する必要がある。
  • 教職調整額が超勤手当の代わりに1日数パーセントを支払っている性質を考えると、本給に含まれるのはおかしく、パーセンテージに応じた金額を手当として支払うべき。また、時間数に応じて手当を払うことが馴染まないとした場合、勤務時間内外を問わず勤務態様を包括的に評価できれば、手当を本給に含めた方が合理的である。
  • 勤務態様を包括的に評価し、調整額の支給率にメリハリをつけることがしっくりこない。外国のように、時間に応じて測定するだけでなく、仕事に応じて差をつけるという見方もある。
  • 休職中の場合など、実際に労働を伴っていないのに教職調整額が払われているのはいかがなものかと思う。
  • 教職調整額の4パーセントは、退職金や地域調整額などに跳ね返ると4パーセント以上であることは認識しておくべき。明らかに超過勤務を行っていない者に対しては教職調整額を支給しないというのは当たり前である。
  • 教職調整額の支給対象から休職者は除いた方が国民の理解が得られやすいと思う。
  • 教員のモチベーションを維持させるためには、教職調整額の考え方は必要。メリハリのある給与はつけるべき。その考え方は、教員の実態にあった本給があって、それに職務に応じたメリハリをつけるのが望ましいと思う。
  • 教職調整額の支給対象は絞るべき。財源に応じて、教職調整額の部分でメリハリをつけるべき。その上で、教職調整額を本給ではなく、手当という形にしなければ財源の問題が解決されない。
  • 今の教職調整額を超勤手当と限定した場合、解決できない大きな矛盾が出てくると考えている。勤務形態の特殊性で包括的に見直しを図ることでいいのではないか。超過勤務時間についてはかなりデータの分布のバラツキが見られた。このバラツキをベースにして、超過勤務の長さで教職調整手当をどれくらいつけるかというのは慎重であるべき。主任手当や部活動手当など、職務に応じたメリハリをつけることで考えた方がよい。
  • 平日の部活動のように、現行の手当では評価されていないが、勤務実態として給与の面で評価すべきということもある。

4.諸手当等の見直し

  • 部活動に対する手当は、改善が必要な手当の1つだと思う。
  • 部活動などの特勤手当は別枠でぜひ確保し、増額する方向で検討してほしい
  • 部活動手当は本当に少ないので検討してほしい。
  • 部活動は、一生懸命やっている先生に何らかの措置をしたいし、土日にやっている先生が事故を起こした場合にどうするのかも問題。自発性に任せた部活動とはいいながらも、なくなると生徒指導上非常に問題が多くなると思うので、教職調整額4パーセント以外の問題として位置づけたほうがいいのではないか
  • 廃止した方がいいという手当については、この会議の議論の中で廃止していくことも大事だと思うが、必要なものは残すべきであり、何が何でも削減というのではなく、教員のモチベーションを高めることを考えていただきたい。
  • 管理職手当については、忙しいから手当が付くのではなく、校長という位置づけに対する手当だと思うので、これから校長に権限が与えられ、様々な仕事が増えていくことを考えると、もう少し手当を付けてもいいのではないかと思う。

5.教員評価と処遇への反映

  • 学校教育活動を行う上で、教員の資質向上につながるような評価システムが望ましい
  • 教員への評価は、適格性だけをクローズアップしており、管理職の目から見た管理的な側面で見られている評価が非常に多い。根本的に教員の評価がどうあるべきかを考えるべき
  • 評価については、幅広く教育活動全体を含めて議論してほしい。
  • 教員が最低限やらなければならない仕事を明確にすれば、評価は困難ではないと思う。
  • 評価システムの確立が大事。評価システムについてもっとしっかり議論するべき。そのためには、都道府県や市レベルで、積み上げて、時間をかけて確立していくべき。評価システムがしっかりしないのに、細かく給料に差をつけるのはやめたほうがいい
  • 評価については、教員がいい先生のイメージがわくことは非常に大切で、それは単に評価をするというだけではなく、能力を自主的につけていく道しるべにもなると思う。宮崎県のような参考事例をもとにして、なるべく早く評価の処遇への反映を行ってほしい
  • 教員の資質は、子供への愛情にかかっている。それを中心に、最低限必要な仕事とその評価についての評価点検項目をきっちりと出すべき評価は、被評価者の意見を十分に聞いて時間をかけて進めるべき
  • 評価者に対する研修や指導も非常に大事なポイント。望まれている教師像について時間をかけて議論して、それが決まれば、評価自体はそれほど難しくないと思う
  • 評価の処遇への反映は、自分自身の能力や組織全体の機動力の向上のためにも必要評価をした場合、最下位層の教員の使い方も考えておかなければならない
  • 勤務評価の給与への反映については、プラス評価だけではなくマイナス評価も徹底すべき。国民の多くが不満を感じている、やる気はあるがやれない教員には、きちんとした対応をして欲しい。
  • 評価は環境条件をある程度考えないと非常に不公平になる可能性がある。また、教職員の合意を得た学校の目標も必要
  • 評価については、評価される人が具体的に何をやればいいのかが明らかになる制度である必要がある。ある程度教員にとって一般的に重要と思われる資質を評価するような制度であれば、評価の基準は客観性とか定型性というのは相対的に高いので、うまく機能する制度がつくれるのではないか
  • 評価制度は、給与の配分を先に決めた上で、納得できるような評価になっていく可能性があるので、制度が非常に脆弱な時期にメリハリに反映させていくことは極めて危なく、慎重にやる必要がある

教員の勤務時間の弾力化等

1.勤務時間の弾力化

  • 変形労働時間制については、民間でいう時間外手当が発生する部分を少なくする上で非常に有効だと思う。
  • 超過勤務については、労働期間の長さを規制する問題と割増賃金に対する規制をする問題を分けて考える必要がある。長時間勤務のような実態があれば、手当の問題とは別に、時間の長さを規制することも考えなければならない
  • 勤務実態調査の結果で、勤務時間の中でどれだけ休んでいるかにも注目するべき。教員の勤務の過酷さを見ていく場合に見逃してはならない点だ。
  • 今後、本来の業務を議論する上で、持ち帰り仕事も検討することが必要
  • 教員の業務について、実際に行っている期間が長過ぎると評価するかどうかがまずあって、長過ぎるならどこをどう短くできるかを、給料の問題とは別に分けて考えていくべき
  • 勤務時間を実態として調整額に反映するよりも、総労働時間自体を短くする工夫がされないのは、時代としておかしいと思う。閑散期の労働時間をいかにうまくシフトするかによって、教職調整額をどうするかという考え方もあるのではないか。
  • 現場の実態を考えると、教員には1年間を通じた変形労働時間の導入が可能ではないかと思える。
  • 勤務時間をいかに弾力化させるかが重要。教員の意識調査からも1年間の変形労働時間制を取り入れることによりかなり負担感を緩和できる。併せて事務の役割分担によって更に意識的にも負担感を軽減することができる。
  • 変形労働制を導入することを強く打ち出していかないと、超過勤務の問題がしっかりと解決されないと思う。

2.部活動の見直し

  • 部活動については、勤務時間の非常に大きな割合を費やしているので、給与を考えるときには、教育課程外だから給料として加味しないという議論は実情としてできないと思う。部活動をやっている先生とやっていない教員に勤務時間の違いがあることは、メリハリをつけるという点で非常に大きなポイントになると思う。
  • 部活動について、教員の本務にすることは問題がある。

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