資料1‐2 ヒアリング結果の整理表

団体名 人材確保法 給与体系 教職調整額 その他の手当 教員評価
教育長関係団体 都道府県教育長協議会
  • 優れた資質能力や専門性を有する教員の確保が求められることから、人材確保法による優遇措置は必要
  • 人材確保法に基づく優遇措置の縮減(2.76パーセント)については、ワーキンググループの検討結果を踏まえた上で、20年度以降の対応とすることが必要
  • 大量退職・大量採用時代を迎えようとしており、教員の給与が魅力あるものであることが必要
  • 教員の雇用及び勤務の実態を踏まえた時代に即した見直しが必要
  • 一律支給を見直し、不適格教員や病気休業中の教員には支給しないことや、長期研修中の教員については減額することと等について検討が必要
  • 勤務実態調査等を踏まえ、実態に即した制度となるよう総合的に検討することが必要
  • 部活動指導業務手当、引率指導業務手当、修学旅行等指導業務手当は、充実する方向で見直すべき
  • 特殊学級担当教員などの給料の調整額、へき地手当、義務教育等教員特別手当、入学試験業務手当については、廃止・縮減する方向で見直すべき
全国都市教育長協議会
  • 人確法の精神は重要で、この存在意義は失われておらず、全国で高い水準の教育を維持・向上していくために必要な法律
  • 職務が適切に評価され、相応の優遇措置は維持されるべきであるが、個々の能力や勤務実績に応じた給料や手当の在り方になるよう再検討が必要
  • 個々の能力や実績等が適切に評価され、それを処遇に反映することができる、教員のモチベーションを高めるような給与体系にすべき

【主幹制】

  • 組織的に学校運営を行っていくため、新たな段階を設けるために「主幹制」を導入することの検討も必要
  • 主幹を管理職として位置付けるかどうかについては検討が必要
  • 主幹の配置方法については、各学校の状況により一律ではないと考える
  • 4パーセントという基準が妥当かどうかは、勤務実態調査等の分析結果を踏まえて検討が必要
  • 教員の勤務態様、職務内容の特殊性から超勤手当は馴染まないが、実態に応じた支給が行われるべき
  • 一般的には、教員間で差がつくことはあり得ると考える
  • 各手当の必要性、支給要件、支給方法、支給額など、職務の専門性・特殊性を再検討しながら見直すことが必要
  • 個々の職務遂行能力を向上させるため、的確で透明性の高い評価システムの構築が必要
  • 運用にあたっては、多様化する教員のニーズに対応できる研修制度の充実が必要
  • 評価結果を処遇や給与に反映することについては、より慎重な議論と検討が必要
全国町村教育長会
  • 大量に教員採用が見込まれる時代が迫っている現在、人材確保法の存在意義はますます重要
  • 人材確保のためには優遇措置は不可欠であるが、職責、能力、業績などを考慮したメリハリある給与体系づくりが必要
  • 管理職は責任が重い割には一般教員との給与の格差が少ない状況であり、校長と新採用教員との給与差は5~6倍程度あるべき
  • 神奈川県のような総括教諭制度を導入し、給料表上の位置づけを明確にしたところもある
  • 勤務実態を把握して、それに見合う支給方法を工夫するなどの検討が必要
  • あわせて、休日のまとめ取りなどの勤務条件等も視野に入れた検討が必要
  • 各手当の実状を把握し、必要性、支給方法等について検討することが必要
  • 適正な評価により、教員に意欲を持たせ、学校に活力を与えることが必要であるが、評価結果を給与に反映することは慎重であるべき
校長関係団体 全国連合小学校長会
  • 優秀な人材確保に大きな役割を果たしており、今後も必要な法律
  • 教員のモチベーションを高めるような給与体系とし、能力や実績等が適切に評価され処遇されることが大切
  • メリハリある給与体系の検討が必要
  • 4パーセントという額が、教員の勤務実態に相応したものであるかは疑問
  • 一律支給については検討すべき
  • 勤務実態調査等を踏まえ、教員の勤務態様、勤務時間の管理、勤務の特殊性を踏まえた処遇の在り方について慎重な検討が必要
  • 時代や社会の変化に伴った見直し、新たな創設・拡充は必要
  • 管理職に有能な人材を得るためには、管理職の処遇改善が必要
  • 評価結果の処遇への反映方法については検討が必要
  • 制度の趣旨の周知徹底が必要
全日本中学校長会
  • 給与は勤務実態、職責に見合うものにすべき
  • 給与体系の見直しに当たっては、給与総額を増やす方向で行うべき
  • ミドルリーダーの育成の観点や担当する職務に応じた処遇の観点に立って検討すべき
全国高等学校長協会
  • 教員の優遇措置がなくなった場合、教員の志望者が減少し資質が低下することを懸念
  • 教員には高い専門性が要求されていることから、他の公務員よりも優遇された措置は必要
  • 給料表の複数化を進め、教科指導・生徒指導能力や組織運営上の職務遂行能力に基づき、上位の給料表に移行できる制度にすべき
  • 教諭と教頭の間にいくつかの職務の給を設け、能力や実績に応じた給料表にすべき
  • 部活動を学習指導要領に位置付けを「公務」扱いとするとともに、部活動指導手当の拡充が必要
  • 管理職の職務の範囲が拡大していることから、責任の重さを配慮した管理職手当にすべき
  • あわせて、管理職の職務の在り方についても検討が必要
  • 日常の仕事、遂行の過程を公正かつ適正に評価するシステムで、教員の人材育成と能力開発につながる評価システムの構築が必要
職員団体 日本教職員組合
  • 現場教職員が納得し、意欲が持てるような処遇改善をすべき
  • 教諭は、一定の年齢・経験年数など客観的基準により上位級への格付けを図ることを検討すべき
  • 管理体制を強める懸念を排除した上での新級の創設を検討すべき
  • 勤務実態調査の結果に見合う教職調整額の増額などの措置をすべき
全日本教職員組合
  • 教員採用試験の競争倍率が高まっているので人材確保法の必要性がないという主張があるが競争倍率は採用者数と受験者数に左右されるものであり、今後、教員の大量退職期を迎える中人材確保法は必要
  • 教員給与が地域間でバラバラとなり底割れする危険がある中、教職の専門性を確保する教員の給与水準を維持する上でも人材確保法の堅持が必要
  • 専門職として初任給を大幅に改善するとともに、ベテラン教職員の適正な賃金を保障する賃金体系にすべき
  • 職の新設に伴う級の増設など評価結果による賃金・処遇への連動は行うべきではない
  • 測定可能な時間外勤務に対しては、労基法第37条に基づく時間外勤務手当を支給すべき
  • 測定不可能な時間外勤務に対する措置として教職調整額は存続すべきである
日本高等学校教職員組合
  • 制定当時とは社会や学校の状況は大きく変化しているが、教員に優秀な人材を確保する必要性は何ら変わらないと考える
  • 職務の責任と特殊性を給与に反映させるためには、優遇措置は必要であり、格差を設けずに一律にすることを基本とすべき
  • 4級制を11段階の8級制に抜本的に改正すべき。2級から5級は同じ教諭という立場であるが、経験や研修、免許更新の結果により職務上、上位に位置付けられるのが妥当であるべき
  • 義務と高校の給料表の一本化については、管理職への登用率に差があること、専門性の違いを考慮し、一本化は避けるべき
  • 現行の教職調整額を一律に支給すべき
  • 勤務実態調査の調査結果を踏まえ必要に応じて引き上げを検討すべきであるが、4パーセントは最低基準として維持すべき
  • 義務教育長教員特別手当は、教員給与における優遇措置を決めた人材確保法の下で必要な手当
  • へき地手当は、支給地域や支給水準の見直しは理解できるが、手当そのものは今後とも必要
  • 部活動指導手当や修学旅行に関する特殊勤務手当は、一般行政職、民間企業の水準と比較して相応しい水準とすべき
  • 教員評価の処遇への反映については、4原則(公平性・客観性・納得性・透明性2要件(評価の本人への開示、苦情処理対策)を具備したものとすること
全日本教職員連盟
  • 「教員に優秀な人材を確保する」という人材確保法の重要な観点を抜きに、歳出削減ありきで議論がスタートしていることは残念
  • 学校における諸問題が叫ばれる中、教育の質の向上を図り、教員の力量を高めるために、人材確保法の目的は今後も尊重することが必要
  • 優遇措置は継続して残すべきだが、一律に優遇するのではなく、個々の教員の能力と実績に応じた優遇措置となるような制度化が必要
  • 現行の4級制では職責、職務遂行能力や実績を給与に反映させることは困難であり、教員の意欲や資質の向上につなげるためにも5級制にすべき
  • 管理職にならなくても、指導力に優れた教員を管理職同等の職務の級に処遇することが必要
  • 一般行政職と同じ勤務時間の管理は馴染まないものであり、現行どおり本給に含めた支給であるべき
  • 支給割合は、例えば0パーセント~10パーセント程度の幅を持たせ、勤務状況に応じて支給することの検討も必要
  • 主任手当は、月額支給として、職責給としての位置付けるべき
  • 部活動指導手当を含めた特殊業務手当は1時間単位で支給すべき
  • 養護教諭の職務の範囲が拡大していることから、養護教諭に対する手当の新設の検討が必要
  • 義務教育等教員特別手当については、教職の専門性を保障するものであることから定率で支給すべき
  • 評価結果を処遇に反映させるためには、公平・公正な基準による評価制度の確立が必要。あわせて、教員の養成、採用、研修が大事である
PTA関係団体 全国高等学校PTA連合会
  • 教員への保護者の期待は高まっていることから、「教員に優秀な人材を確保する」という人材確保法の精神は今後も堅持すべき
  • メリハリある給与体系、給与査定の導入に賛成
  • そのために、評価者、被評価者双方が納得できるような客観的で公正な評価方法を早急に検討すべき
  • 超過勤務の内容を客観的に判定することは困難であり、仕事の内容が本務であるかどうかの区別がつきにくいことが問題と考える
  • 部活動指導、PTA活動についての取扱いについて明確にすべき
社団法人日本PTA協議会
  • 義務教育は、子供の成長段階において最も大切な時期であり、それを担う教員に優秀な人材を確保するため、それ相応の処遇がなされるべき
  • 教員の能力・実績等が適切に評価され、処遇に反映されることは当然であり、一律支給ではないメリハリある給与体系にすべき
  • 評価に当たっては、PTAの代表者を加えるなどした外部評価を取り入れるべき
関係省・機関 総務省自治行政局公務員部給与能率推進室稲山室長
  • 地方公共団体において、国の給与構造の改革を踏まえた速やかな見直しが必要
  • 画一的な国公準拠の考え方から、地域の民間給与の反映を重視する考え方に変換することが大事
  • 職務と責任の特殊性があること、全国的な教育水準の維持・向上が必要であることなど一般の行政職とは違う観点からの議論が必要
財務省主計局中川主計官
  • 人材確保法制定時と近年の雇用情勢は変化しており、人材確保法の必要については検討が必要
  • 教員の給与は一般行政職より優遇されており、年金、退職手当等への反映を含めて、その必要性を検討することが必要
  • 教員の給与は、人材確保法により7.26パーセント優遇されているが、今後5年間で一般行政職を上回っている2.76パーセントについて縮減することが必要。残りの優遇分については今後引き続き検討
  • 日本の教員の給与は、OECD諸外国と比較して、初任給と最高給与との差が大きく、最高給与まで達する年数が長くなっており、フラット化することが必要
東京都人事委員会事務局任用公平部任用給与課恒松課長
  • 給与決定に関しては、地方公務員法に情勢適応の原則、均衡の原則、給与条例主義の原則、職務給の原則、平等取扱いの原則が規定されている
  • 「職務給の原則」は、具体的には各給料表における級の区分によって実現されており、各級内の号給の区別は、同一職務における能率の向上に対応するものである
  • 教員の給料表は、各人事委員会において、全国人事委員会連合会が作成した「モデル給料表」を参考にしつつ、主体的に作成し勧告している
有識者 日本人事行政研究所清水理事
  • 能力、実績に応じた給与体系という話題は昔からある
  • 昨年の人事院勧告で勤務成績に応じて昇給の幅を変える仕組みとなり、能力、実績に応じた給与体系が実現化したと理解
  • 「優れた教員を教頭と同じ格付けにする」という意見もあったが、現在でも実現していない。同じ「教諭」でありながら、2級の教諭と3級の教諭がいることについて、保護者が納得するか疑問
宮崎県立図書館総務・企画課樋口課長
  • 1年で1号給の昇給を前提としている仕組みや、教諭、教頭、校長で給与の差がなく管理職になるインセンティブがない仕組みは問題
  • 初期段階の号給の通過年数を短くし、上位の号給の通過年数を長くすることにより、給与をフラット化すべき
  • 評価には、能力評価と業績評価があり、前者は職に、後者は給与に反映すべき
  • 教諭の職を多段階化する場合、組織への貢献力やマネジメント力など指導技術以外の能力を評価すべき
花王株式会社人材開発部青木執行役員
  • 報酬の体系は、基本報酬とインセンティブによる部分からなり、基本報酬は役割、職務に応じて決まることが必要
  • 職員のやる気、モチベーションは給与だけではなく、組織の中でどのように成長しているかが大事であり、能力開発、教育の機会といった人材育成の視点が必要
  • 人材の評価、報酬、人事・人材育成の仕組みは、組織全体の価値観・考え方が反映していくべきものであることが大事
  • 評価した後に、その人材をどう育成し教育し、次の配置異動に結びつけていくかというサイクルが重要
杉並区立和田中学校藤原校長
  • できる教員もできない教員も給与がほとんど同じというのでは、納税者は納得しないと考える
  • 30代後半ぐらいに、プロ教師をめざすのか、管理職をめざすのか、そうではないのかの決断を迫り、それぞれにふさわしい給与体系とすべき
  • 現状として、教頭になっても校長になってもあまり給与が上がらず、責任だけが重くなっており、昇進への動機付けが希薄
  • 例えば、部活動指導を熱心に行っている教員に対しては4パーセントでは足りないと考えるが、時間外勤務手当としてタイムカードで管理することは困難(仕事ができない新人が遅くまで残っている現実もある)であり、ある程度は見合いで一定割合とすることはやむを得ないと考える

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初等中等教育局財務課