平成18年9月13日
全国町村教育長会
会長 内田 弘之
教育基本法第9条には、「‥教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期せられなければならない」とあり、人材確保法第1条には「すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする」とある。
法文を引用するまでもなく、教育は国家百年の大計であり、それを担う優秀な教員の確保は教育界の至上命題である。人材確保法ができた時代もそうであったが、大量に教員採用が見込まれる時代が迫っている現在、人材確保法の存在意義はますます重要なものとなってくる。
こうした法制上や教職員人事権移譲に関する課題、さらに大量に教員を必要とする時期に人材確保法は極めて重要な措置である。
魅力ある職業として、人材を確保していくためには、優遇措置は不可欠なものである。しかし、現在のように一律に優遇するという内容では、教員の志気に必ずしも反映しているとは言い難い。それぞれの職責、能力、業績などを考慮したメリハリのある給与体系づくりが必要である。
教員の能力や実績が適正に評価され、そのことが給与に反映されることが大切である。特に、校長・教頭という管理職の責任が重いわりには、一般教員との格差が少なく魅力あるものになっていない。校長と新規採用教員との給与差は、5~6倍あってしかるべきである。
また、神奈川県のように総括教諭制度を導入して、給料表上の位置付けを明確にしたところもあり、今後こうした具体例を参考に検討していくことが必要である。
教員の勤務の多様性、特殊性を考慮したこの制度は、あまり議論されていないまま継続されてきた。4パーセントを超える勤務実態がありながら、一律支給ということもあって、議論を避けてきたという背景があるのではないか。昼休みに休憩時間がとれない、自宅に持ち帰る仕事量のこととか、教員特有の状況を考えると、包括的に考慮された現行制度は維持されるべきである。
ただ、一律支給ではなく、勤務実態を把握して、それに見合う支給方法を工夫するなど検討する必要がある。また、給与だけで解決が困難な場合には、勤務条件等も視野に入れた検討が考えられる。
教員の勤務態様、職務内容等を考慮して、多くの手当が創設され継続されてきた。しかし、時間の経過とともに、その使命を果たしたと思われるものや時代にそぐわないものも見受けられ、検討が必要になっている。この際、各手当の実状を把握し、必要性、支給方法等について検討していくことが大切である。
教員評価は手段であって目的ではない。教員評価は、あくまでも教員の資質向上がねらいであり、適正な評価をすることによって、教員に意欲を持たせ、学校に活力を与えることである。
そのためには、評価は公平公正でなければならないし、それを給与に反映することは慎重でなければならない。
平成16年3月に中教審は、「今後の学校の管理運営の在り方について」を答申したが、これについては、今後の検討課題である。現在、学校が直面していることは、一人ひとりの子どものニーズや保護者からの負託にきめ細かく応えていくことである。
そのためには、今以上にニーズや課題の解決に向けて簡素で効率的かつ組織的な学校運営ができるよう組織整備を図るべきである。
初等中等教育局財務課