資料2 「教職員給与の在り方」に関するWG意見発表について

平成18年9月4日
全国都市教育長協議会
会長 内藤 泰夫
(宮崎市教育長)

1.人材確保法の在り方について

(1)人材確保法の必要性について

 次世代の日本を担う子どもの人間形成の基本をなすものは学校教育であると考えます。「教育は人なり」という言葉が示すとおり、学校教育において中核をなすのが教員であるため、優れた教師を採用することは大変重要なことであります。国におきましても、その点を重視し、教員には一定の優遇措置を与えてきたところであります。
 昭和49年に制定された、「人材確保法」におきましても、「教員の給与は優れた人材が進んで教員を希望することを助長するにたる高い水準」が必要であるとの理由から制定されたものでありますが、その存在意義は失われておらず、全国で高い水準の教育を維持向上していくために、基本的には必要な制度であると考えます。

(2)人材確保法による優遇措置について

 教員という職務における特殊性と責任を考えたとき、その職務が適切に評価され、相応の優遇措置は維持されていくべきだと考えます。しかし、現在の給料表の級、号給などに応じて与えられる優遇措置ではなく、それぞれの能力や勤務実績等に応じた給与・手当の在り方になるよう再検討していくことは時代の流れとして必要であります。例えば、従来どおりの給料表の級、号給などに応じて与えられる優遇措置などから、教員の能力・実績等に応じて優遇措置が上乗せできるようにするなど、これまでの給与体系に捉われることなく様々な検討をしていくことが重要であります。

2.教職員給与の在り方について

(1)メリハリのある給与体系について

 学校現場の実態に即して、教務主任、生徒指導主事、学級担任など、その職責に見合う給与を支給できるよう給料表を変更したり、新たな職位を設けることなど、教員の能力や実績等が適正に評価され、それを処遇に反映することができるよう、教員のモチベーションを高めるような給与体系にしていくことは必要であります。そのためには、教員勤務実態調査の分析結果をもとに学校現場の実態を適切に把握した上で、十分な検討をすることが必要であると考えます。

(2)教職調整額について

 現在、支給されている教職調整額の4パーセントという基準が、教員という職務の特殊性を考慮した上で妥当かどうかは、教職員勤務実態調査の分析結果など踏まえて検討することが必要であります。また、教職調整額を廃止し、超過勤務手当を導入することについては、教員の勤務態様、職務内容の特殊性により、超過勤務手当は馴染まないのではないかと考えます。
 しかし、現在の勤務時間の内外を問わず包括的に支給されている現状については、教員の勤務状況を踏まえ、実態に即して支給が行われるべきでありますので、十分に検討することは必要であります。

(3)教員特有の手当てについて

 教員の勤務態様、職務内容の特殊性を踏まえ、その必要性は評価されるべきであります。しかし、各種手当については、必要性、支給要件、支給方法、金額など、教員の専門性・特殊性を再検討しながら、見直しをしていくことは必要であります。

3.その他

(1)教員評価について

 教員評価制度については、教員一人ひとりの職務遂行能力を向上させるために、的確で透明性の高い評価システムを構築する必要があります。ただし、その運用にあたっては、適正な人材育成のための指導助言等により教員の職務に対する意欲を高めたり、多様化する教員のニーズに柔軟かつ的確に応えることのできるような職員研修の充実を図っていくことも必要であります。
 しかし、評価結果を処遇や給与に反映することについては、評価基準と評価結果が公正・公平でなければならず、より慎重な議論と検討が必要であります。

(2)学校の管理運営について

 特色ある学校づくりを行っていくためには、全職員が学校の教育的課題に対する共通理解をもちつつ、組織的に学校経営を行っていく必要があります。そのためには、校長、教頭、教員のみでなく、新たな段階を設けるために「主幹制」を導入するなどの検討も必要であります。
 また、校長の裁量権の拡大も含めて、学校の自主性・自立性を確立していくことが、これからの学校経営において重要であると考えます。

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