教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第12回) 議事録

1.日時

平成18年12月26日(火曜日)13時~15時

2.場所

学術総合センター 2階 「中会議室1」

3.議題

  1. 教員勤務実態調査(第3期)暫定集計について
  2. 教員に支給される諸手当の見直しについて
  3. 論点整理案について
  4. その他

4.議事録

【井上副主査】
 定刻になりましたので、ただいまから第12回中央教育審議会初等中等教育分科会教職員給与の在り方に関するワーキンググループを開催いたします。
 本日はご多忙中、また足元の悪いところをご出席いただきまして、まことにありがとうございます。実は田村主査が途中、車の渋滞で30分ほど遅れるということで、田村主査がお見えになるまで、かわって進行を務めさせていただきます。
 それでは、本日の議事に入ります。
 まず1つ目の議題の「教員勤務実態調査(第3期)の暫定集計について」です。教員の勤務実態調査につきましては、11月24日に開催いたしました第9回のワーキンググループにおいて、第1期及び第2期分の暫定集計について説明いただいたところであります。このたび、第3期の暫定集計ができたとのことですので、事務局より説明をお願いいたします。

【松浦課長補佐】
 それでは、事務局からご説明を申し上げます。教員勤務実態調査の暫定集計でございます。資料は1‐1、1‐2の2つを用意してございます。
 なお、本来ですと、この調査研究は本会の副主査でございます東大の小川先生からご説明をいただくべきところでございますが、公務のため、ご出席できないということでございますので、先生が用意された資料につきまして、私のほうからかわりにご説明を申し上げたいと思います。
 資料1‐1をごらんいただきたいと思います。
 まず、調査の時期でございます。9月分ということでございまして、8月28日から9月24日間の28日間の調査期間でございます。なお、7月分、8月分と同様に、特に7月分と同様に9月分の8月28日では、まだ夏季休業に入っている学校もございますので、夏季休業の学校を除いた通常授業を行っている日についての集計という形をとらさせていただいております。
 調査対象の学校につきましては、7月、8月と同様、それぞれ180校に依頼をいたしまして、回答がございましたのが、小学校162校(3,446名)、中学校157校(3,934名)、約7,000人程度の先生方から回答をいただいております。
 早速、中身に入らせていただきたいと思いますが、2ページ目をごらんいただきたいと思います。今回の集計で第3期ということになるわけでございまして、比較ができるということで、1期、2期、3期をそれぞれ並べて掲示をさせていただいてございます。勤務時間、それと勤務時間の中で残業の時間、そして持ち帰りの時間でございます。
 ポイントを下のほうにも入れさせていただいてございますけれども、今回の勤務時間につきまして、第3期でございますが、おおむね第1期の勤務時間と同程度、これは教諭のところをごらんいただきたいと思いますけれども、小学校では13分、中学校では16分短くなってございますが、おおむね第1期と同じぐらいの勤務時間が行われております。したがいまして、真ん中の残業時間につきましても、これは小中の教諭のところでございますが、第1期は2時間8分が夏季休業期では21分でございましたけれども、1時間54分ということで多少短くなってございますけれども、おおむね2時間程度の残業が行われているというのが見て取れます。また、職種ごとにごらんいただきますと、第1期、第2期でも出ておりましたけれども、教頭あるいは副校長といった職の方々のほうが、勤務時間、残業時間が長く出ている傾向が見て取れると思います。
 続きまして、3ページをごらんいただきたいと思います。3ページは教諭の勤務日・1日あたりのデータを示したものでございます。今回の特徴について申し上げますと、eの「成績処理」でございますが、第1期のときには、小学校は1時間12分、中学校は1時間3分、平均で1時間7分。これは7月の特有の業務というご説明を申し上げたと思いますけれども、そういうことが確かに反映をしてございます。第3期になりますと、この成績処理の時間は、小学校37分、中学校28分、平均32分ということで半減をしております。かわりにでございますけれども、jの「学校行事」が、第1期では小学校10分、中学校18分でありましたものが、第3期におきましては、小学校48分、中学校1時間12分、平均1時間1分ということでございまして、成績処理は減ってございますけれども、新たに学校行事、特に運動会ですとか、学園祭等々の準備にかかった時間が多くなっているように見受けられます。
 また、pの「保護者・PTA対応」でございますけれども、第1期の7月期におきましては、小学校16分、中学校23分、平均20分といった時間が、第3期におきましては、小学校4分、中学校4分、平均についても4分ということで時間が短くなっております。これは時期的に個人面談等がこの時期に少ないという事情が反映されていると思われます。
 したがいまして、下のほうで4つの色に分けてございますが、児童生徒の指導に直接かかわる業務につきましては、第1期に比べまして多少長くなっておりますのは、先ほど申しましたjの「学校行事」の時間が延びているということから緑色の時間帯が多少延びている。かわりに、外部対応の時間等が減っております。あるいは、オレンジ色の児童生徒の指導に関する成績処理の時間といったものが全般的に減っているということから、教員全体の勤務時間につきましては、第1期よりも多少減っているというところが見受けられるところでございます。
 次の4ページ目でございます。これは部活動の顧問をされているか、されていないかということについて残業時間が変わるのかといったものの比較でございますが、9月期におきましても、7月期あるいは8月期と傾向は同じように、「運動部顧問」、「文化部顧問」、そして「顧問をしていない」という順で残業時間が違っているというのが見て取れると思います。
 大まかな点といたしまして以上の点をご説明を申し上げさせていただきました。

【井上副主査】
 ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がございました「教員勤務実態調査(第3期)暫定集計について」、ご質問がございましたら、お願いいたします。

【本城委員】
 質問ではないですが、3ページ目の勤務日・1日あたりのデータというものについて少しコメントです。確かにこのような形で1日当たり何に対して何分かかっているというのは非常にわかりやすいですけれども、これはあくまでも平均ということであって、このような形で細切れに業務をしているかというと、そうではないはずです。これは確かに平均なのでしょうが、このように平均の形で働いている教諭、校長、教頭先生がいるかというと、そうではないでしょう。これが一般的なものとして扱われるのは誤解を与えるのではないのかなと思います。
 例えば「校内研修」が、第1期では小学校の場合は7分となっていますけれども、7分で校内の研修ができるかというと、そうではないわけです。実際はおそらくこれは、ある日には1時間半かけて校内研修をしている、それがたまたま1ヶ月で平均すると7分になっているということだと思います。ですから、平均のデータを出されることで誤解を与えかねないかなという印象は、これを見たときに感じたところです。
 すいません、感想的なものになりますけれども、以上です。

【井上副主査】
 ありがとうございました。

【新田委員】
 このデータを見ていて、自分自身の学校が今、3学期制のままなので、今、このデータの説明をいただいたとおり、7月がやっぱり成績処理で時間が特にかかるし、9月に運動会がありますので、当然、その用意で放課後等に残ることが多くなるのは事実なんですけれども、今、2学期制の学校も随分増えてきて、5月に運動会をしたり、成績処理が7月にならない学校も多くなってきていると思うんです。そのあたり、このデータをとるときにバランスみたいなものはあるのかないのかということなんですけれども、一般的に成績処理が多くなる7月というのは載っているんですけれども、今の時代ではそうでないところも出てきているのではないかなと思って質問させていただきました。

【井上副主査】
 今の質問について、松浦補佐、お願いします。

【松浦課長補佐】
 本城先生のご質問について、やはり先生のおっしゃったとおり、確かに平均という形をとりますと、どうしても細切れのように時間がとられてしまうということから、十分な検討を行う際には、それをきちっと考えた上で判定をしなければならないというのはごもっともだと思います。ただ、いずれにしろ、こういう形で業務を分類してみた中で、先生方の業務の軽重がどこにあるのかというものを比較するには、平均的なものをとるというのも1つの手法だろうと思いますので、今回、そういうものをとらせていただいたと思います。
 また、新田先生からご意見がございましたけれども、正直言って、このような形で調査をするのが40年ぶりで、前回も4月から1年間の超過勤務の時間をグラフでお示しをさせていただきましたが、果たしてそのとおりになっているのかどうかというのがよくわからないという意味で、こういう調査をさせていただいておりますので、今回、第3期まで出ておりますが、これを12月まで調査をしてございます。そういった結果もさらに見ながら議論を深めていただければと考えております。

【井上副主査】
 ほかにございますか。

【渡久山委員】
 部活動の顧問をしている、していないという形で、残業時間というものをはかられているわけですが、ここにはないんですけど、これは勤務実態なんですが、部活動手当がどれぐらい出ているということについても調べられて、最終集計では出てくるんですか。

【松浦課長補佐】
 今回の勤務実態調査では、部活動に、どの程度の人が、どのぐらいかかわっているかという回数的なものが出てこない調査ではございますけれども、後ほど手当のところでご議論をいただく際には、文科省独自でとった数値もございますので、その際に少しご紹介できればと考えております。

【吉野委員】
 この表で教えていただきたいのは、ウエートが全部1かどうか、先生がやるべきこととして1時間を1として考えていいかどうか。よくわかりませんが、l番目の「学校経営」というのは、本来であれば校長先生とか教頭先生のより仕事であって、それを教員の方がやっているとすれば、この時間をもう少し減らしてあげる方法がないか。それから、この中でaからvの中で、前回申し上げたアウトソーシングのように、先生がやらなくて、どこかほかの方にお願いするようなことができるのかどうか。そういうようなことも、もしどなたかおわかりになれば教えていただければと思います。

【松浦課長補佐】
 あくまでも、こういう項目につきまして時間をとらせていただきました。今回まとめさせていただいたのは教諭というところでございますので、校長とか教頭先生、あるいは他の職の方々で見れば、もちろんこういった勤務の形態になっていないだろうと。特に校長、教頭先生につきましては、学校経営という観点の業務、どちらかといえば、黄色っぽい「学校の運営にかかわる業務及びその他の校務」、あるいは「外部対応」といったところに時間が当然多く使われていると思います。校長、教頭先生というのは管理職手当という形で出されているということもございますので、超過勤務ということを考えるならば、教諭というところに力点を置いて、こういう形で整理をしていただいたものだろうと思います。
 以上でございます。

【井上副主査】
 ありがとうございました。

【金井委員】
 今もお話があったかと思うんですけれども、教職調整額との関係で、超過勤務を命じることのできる4項目の時間というのがどれぐらいなのでしょうか。この場合の勤務時間は働いている時間というか、学校にいる時間という意味なんですけれども、いわゆる4項目の超過勤務に当たる項目というのが、まずどれに当たるのかというのが1つ目に教えていただきたいことです。2つ目は、実態として超過勤務を命じている時間というのはデータとしてとることができているのかどうか、その2点ですね。いわゆる超勤4項目に当たる時間を最大限とると、この数字からいうと、どこまで出てくるのか。それから、実際に超過勤務として出された、やれと言われた時間というのがどれぐらいなのか、この2点を教えていただけますでしょうか。

【松浦課長補佐】
 まず、超勤4項目と言われる項目についてご説明をいたします。生徒の実習に関する業務、学校行事に関する業務、教職員会議に関する業務、非常災害等のやむを得ない場合の業務、これが時間外勤務を命ずることができるものとして限定されているもの4つ、いわゆる超勤4項目でございます。例えば生徒の実習に関する業務というものを、もしa以降の区分にはめるとすれば、これは「授業」というところに入ってくるのではないかと思います。また、2点目の学校行事に関する業務というのは、まさにjの「学校行事」のところに入ってまいります。また、教職員会議に関する業務につきましては、mの「会議・打合せ」の時間ということになろうかと思います。4点目の非常災害等のやむを得ない場合の業務につきましては、例えば「生徒指導」でありますとか、あるいは、ここに出てこないとすれば「その他の校務」、こういったことになろうかと思います。
 なお、この超勤4項目に係る、いわゆる超過勤務を命じたということについて、その時間が何分なのかということにつきましては、この調査からは見て取れないということになってございます。

【金井委員】
 関連してご質問させていただきますと、行事と会議についてはjとmで大体実態はわかると。命じた範囲ではなくて、命じられ得る可能性のある範囲として――要は時間内にやれば別に命じる必要はないんですけれども、それがあり得るということなんですが、実習と災害についてはよくわからないというのがお答えであったかということです。もう一つは、実際どれだけ命じているのかということは、この調査ではもちろん出てこないんですけれども、使用者側といいますか、校長の側でそういう記録は別途とることができないのかどうかということはいかがなんでしょうか。

【松浦課長補佐】
 もちろんそういう超過勤務を命じたということであるならば、それは何らかの形で記録として残っているだろうと思いますが、今回のこの定量的な勤務実態調査の中では、そこまでの調査を行っていないということでございます。

【金井委員】
 別途のデータはあり得るということですか。

【松浦課長補佐】
 それは各学校の中にあるかどうかということだと思います。

【金井委員】
 文科省にはないということですか。

【松浦課長補佐】
 もちろん文科省にはございません。

【井上副主査】
 今のところで、mの「会議・打合せ」があって、それからtの「会議」も「学校の運営にかかわる業務及びその他の校務」と書いてあるんですけれども、これは違いますか。

【松浦課長補佐】
 表示の仕方が確かに十分でないかもしれませんが、mのほうは校内で行う会議・打合せでございます。tにつきましては、校外における会議ということでございまして、ちょっと言葉が足りないのかもしれませんが、sとtは校外ということでございます。

【井上副主査】
 ほかにご質問ございませんでしょうか。

【吉川委員】
 先ほど校長が超過勤務を命令簿によって命じておる現場の実態があるかといった含みの質問があったんですけど、私はほとんどないと思うんです。日常的にそういうことではなくて、超勤をして何とかそれぞれの学校の学校教育が成立しておるわけですから、現状、学校現場のほうで超勤が異例なものであるとか、特別のものであるということではなくて、恒久的に超勤をやって、それぞれの学校が成り立っておるというのが全国的な状況ではないかと思います。それが1点。
 それから、質問があるんですけれども、1つは、感想として、相変わらず休憩時間が10分前後というのは、教員の仕事の困難性を如実にあらわしておると。世の中のどの職種にも、こういった職種はないということで、きちっとここは押さえておく必要があるんですよ。つい残業がどうであるとかいうことで見ていくんですけれども、1日の仕事の中で疲労回復の時間がほとんどないということは強調しておきたいと思うんです。
 質問としては、残業というと、5時15分以降の勤務を私どもはよく留意しがちなんですが、子供たちは、朝の始業が例えば8時からだとすると、元気なお子さんは7時ごろから登校してきておる。そういう場合に、当然、教員は始業時間、勤務開始時間以前に朝早くから学校へ来て事前の準備、子供の世話をしておるが、そこのところは残業の時間の中に含まれおる調査になっておるのか、なっていないのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。

【松浦課長補佐】
 この調査におきます休憩・休息の時間につきましては、調査を記入した先生各自が、仕事を離れて休憩がとれたと思われた時間があれば、その時間を15分単位で記入していただくということでございますので、何時から何時までの間でのみということではなくて、朝、実際に先生方が学校に着いてから帰るまでの間に、いわゆる休憩をとれたと感じられた時間を書いていただくというような調査になっております。

【吉川委員】
 質問の意味は、先ほどの感想でございまして、私が申し上げたかったのは、学校の始業の時刻が例えば8時からだとすると、教員の中には7時、あるいは7時以前から来ておる者がおるんですよ。子供が来ますので、ローテーションを組んだり、自主的に来たりしておるんです。授業が始まる前ですから残業という言葉がイメージ的になじまないでしょうが、始業開始前を残業時間として入れておるのか、入れてないのか、この確認をいたしたいと。

【井上副主査】
 朝の業務に、それが入っているかどうかですね。そこを明確にしてもらいたいと思います。

【松浦課長補佐】
 お答えを申し上げます。資料1‐2をごらんいただきたいと思います。その4ページでございます。まず、調査のとり方の確認をさせていただきたいと思いますけれども、今回、勤務時間という形で上がっておりますのは、上の勤務日を見ますと、2の「早出残業」、3の「規定勤務」、4の「残業」という3つを足したものを勤務時間と、この調査では定義をさせていただいております。ですから、例えば通常の勤務時間が8時半、そのときに子供たちの関係もあって7時から学校に来ているといった場合には、2の「早出残業」というところに先生方の勤務時間としてカウントをしていただくという形で今回調査をしていただいてございます。

【吉川委員】
 理解しました。

【井上副主査】
 ほかに質問はございませんか。

【川田委員】
 資料1‐2のところで、わかる範囲で結構なんですが、19ページ、20ページあたりに分布のデータがありますね。特に第1期と比較した場合に、第1期というのが期末の成績処理が行われるというところに特徴があるとすると、結構多くの人が、ある程度長い時間働いているということが予想されるわけですが、第1期と第3期を比較した場合に何か顕著な違いがあるのかどうかということが1つ。
 あと、これはもしかすると以前にも問題になったかもしれませんが、中学校のほうでは残業時間の最長が11時間というのが出ていて、このデータというのは一体どういうものなのか。調査期間全体の平均をとったら11時間と答えたという人がいるということなのか。

【松浦課長補佐】
 この「勤務日・1日あたり平均の残業時間の分布」につきましては、前々回のこのワーキンググループでもお示しをさせていただきましたけれども、時間的なばらつきがございまして、小学校ではたしか1時間から1時間30分といったところが山として一番大きかったと思います。また、中学校につきましては、2時間から2時間30分のところがたしか一番多かったと思いますので、傾向としては、ほぼ同じようにばらつきがある。残業を全くしないという方がいらっしゃるのに対して、非常に長い時間、残業を行っているという方が非常に分布があるということだと思います。
 また、最長時間でございますけれども、これは一応この期間の平均でございまして、それの最も時間が長い人をここに挙げさせていただいております。ただ、どの学校のどの先生かというような特定をしない調査になってございますので、この時間がほんとうにそういう時間なのかと問われますと、実は検証のしようがない。特に中学校で最長11時間と出ておりますのは、1カ月にわたった超過勤務の時間が、平均してこの方が11時間というデータの意味を持ちますので、相当長い時間をやっておるようなことに出ておりますけれども、実は検証のしようがないということでございます。あくまでも参考としてごらんいただければと思います。

【川田委員】
 あと1点追加で確認ですけれども、第1期、第2期、第3期は、それぞれ別々の学校というか、要するに同じ人がずっと長期間にわたって長時間勤務しているかどうかということは、このデータからはわからないということでよろしいでしょうか。

【松浦課長補佐】
 この調査につきましては、6カ月の間を1カ月ずつ交代で調査をさせていただいておりますので、同じ人がずっと半年間かどうかということについてはデータとしてはわからないということでございます。

【井上副主査】
 まだご質問もあろうかと思いますが、第3期の暫定集計で、今後、10月、11月、12月分、あと3期分が残っておりますので、このワーキンググループではトータルを見て、また改めてご議論いただくことになると思いますので、第一の議題はこの程度で終わりにいたします。
 あとは田村主査がお見えですから、よろしくお願いします。

【田村主査】
 今日は大渋滞に巻き込まれてしまいまして、遅参をいたしまして申しわけございませんでした。
 それでは、資料3に移ります。教員に支給される諸手当の見直しについてのご議論をお願いしたいと思います。
 まず、松浦課長補佐から、ご説明をよろしくお願いいたします。

【松浦課長補佐】
 それでは、資料3をごらんいただきたいと思います。資料3につきましては、前回も諸手当の検討ということでお出しをさせていただいた資料をつけてございますけれども、改めて各都道府県の取り組み例といいますか、それぞれの手当についての現在の支給状況等につきまして新たに資料をつけさせていただいております。
 なお、今回、手当の見直しについての議論をしていただくに当たりまして、まず、2つ、ご説明を申し上げたいことがございます。
 1点目は、各都道府県、あるいは市町村の公務員の給与につきましては、総務省から相当いろいろと手当の見直し等についての要請が実は出ておりまして、各都道府県、市町村では、そういう指導も踏まえて、いろいろと見直しが実は進められております。ただ、その見直しそのものが行財政改革の一環として議論が進められてございますので、特に教員の給与、諸手当をご議論いただくには、やはり教育論としてどうあるべきかといったことをご議論いただくためにも、単に財政論ではなくご議論いただきたいというのが1点ございます。
 もう1点は、給与そのものの検討に当たりましては、一生懸命頑張っている先生に対して、どうやって報いるかという観点、いわゆるめり張りのある給与体系の構築ということを前提とした議論をしていただいていると思っておりますけれども、諸手当の中につきましても、制度創設のときからいろいろと時代背景も変わってきておりまして、ある意味、その仕事、あるいはその学校にいるということだけで、仕事の軽重を問わず、一律に出ているといった手当も現実的にあるわけでございます。めり張りといったものの議論の中には、そういった種類の手当について、このままでいいのかということにつきましても議論いただきたい。
 そういう2点の基本的な考え方を踏まえていただきまして、簡単にご説明を申し上げたいと思います。
 まず、給料の調整額につきましては、前回もちょっとご説明をいたしましたけれども、特殊学校ですとか、特殊学級の教員であれば、ある意味一律に支給されておりますし、これは本俸扱いになりますので、ボーナスですとか、退職金にも、このものがはね返る。給料の大体6パーセント程度でございますから、場合によっては退職金にも6パーセント、それが上積みされるということになります。論点として、現在、特別支援教育というもので、来年度以降、教育の在り方が変わってまいります。特にLD、ADHDと言われる子供たちに対する指導は、わりと各学級の中に、こういった子供たちが通常いらっしゃるということであれば、特定の先生方が担うということではなくて、学校全体として、こういった子供たちに対するきちっとしたケアを行うということが必要になる。そういった中で、現状のように特殊学校や特殊学級を担当しているということをもって出ている給料の調整額が適切かどうかといったことが出てくるのではないかと思います。
 また、義務教育等教育特別手当につきましては、人確法に基づいて設立をしてございますけれども、今回の骨太の方針では2.76パーセントの縮減の中の半分の部分を占める義務特手当を見直しますと、残り1.4パーセント程度の手当となる。そういった手当を引き続き残しておく必要があるのかないのかといった議論が必要ではないかと。
 あるいは、部活動手当ですとか、次の非常災害時等緊急業務手当等々でございますが、ここは、いわゆる特殊勤務手当ということで出ている手当でございます。1回当たり、ある意味1日当たり、こういう業務をした場合に出るということでございますけれども、教育長協議会のご意見等では、もう少しこの辺を充実したらどうかといったご意見が出るということは以前ご紹介をさせていただいたところでございます。
 次のページの多学年学級担当手当につきましては、いわゆる規模の小さな複式学級で担当する場合に日額として出されておりますけれども、論点といたしまして、通常の普通学級でも役割が大変複雑、困難化している。そういった中で比較的人数は少ないけれども、複式を持っているということで、その手当が支給されるということについてどう考えるかということだと思います。
 また、教育業務連絡指導手当、これは主任手当でございますが、これも日額で定額として出ておりますけれども、「主幹」といったものの議論もいただいております中、この主任手当については現状の200円といった形で一律に支給するということが適当かどうかという議論が出てくると考えております。
 管理職手当でございますけれども、管理職手当は、学校の場合は、今、校長、教頭先生に支給をされてございますけれども、そもそも校長で一般的に12パーセント、教頭で10パーセントの管理職手当が支給されております。各都道府県の本庁の課長では、おおむね20パーセントから25パーセントの手当が出ている中で、校長は12パーセントという管理職手当が、その職務と責任上、果たして適切なのかどうか、こういった議論。教育長協議会等のご意見では、もう少しこの辺の充実が必要ではないかというものをいただいてございます。
 へき地手当につきましては、へき地教育の振興という観点で手当を支給してございます。級地によって異なりますけれども、最高25パーセントの手当が支給されるということでございますけれども、今日的な議論の中では、道路や交通機関が非常に発展をしてきた中で、へき地を取り巻く環境は大きく変わっているということから、引き続きこのような高率な手当を支給する必要があるのかないのかといった議論が必要ではなかろうかと思います。
 次に、これは高校のみの先生方の支給の状況でございますけれども、産業教育手当と定時制通信教育手当でございます。これもそれぞれ産業教育に従事する教員、定時制教育、通信制教育に従事する教員に給料の10パーセント程度の支給がなされているものでございますが、産業教育、あるいは定通教育、それぞれの困難性や特殊性といったものが、従来とはその差が縮まっているのではないかといったご意見もあるわけでございますので、その辺をどう考えていくか。こういうことがこの辺の手当のポイントになろうと思います。
 なお、次のページ以降、4枚にわたりまして、各都道府県のそれぞれの手当の支給状況をまとめさせていただきました。一番上に黄色で帯で入れておりますのが、現在、国が国庫負担をしている際の基準として使わせていただいているものでございまして、これは平成15年まで、国のほうで給料表、あるいは手当を定めておりました。その国の水準のままのものを現行として国庫負担の基準とさせていただいております。
 これに対して異なっているという事情がある場合には、それぞれ手当ごとに青色で浮き出してございます。こういった点が各都道府県独自な改正点ということでございますけれども、4枚目の一番最後に47都道府県全部の合計をしたところで見たときの見直しの状況を赤い字で入れさせていただいております。傾向として見ますと、例えば給料の調整額といった部分については、2つの県で廃止が既にされております。義務教育等教員特別手当についても5つの県で見直しが行われております。また、特殊勤務手当という部分につきましては、多学年学級担当手当などについては廃止が2県、あるいは縮減といった県がございます。17県で見直しが行われている。あるいは教員特殊業務手当の部活動指導手当については25の県で見直しがされている。これは改善が25県となっておりますので、これは国の国庫負担の基準を超えて高く設定されている県が25県ある。そういうことを概略的にまとめさせていただいております。
 こういったこともご参考にしていただきながら、教員の諸手当の在り方についてご議論をしていただければと思います。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 前回のこのワーキンググループの会議でこの問題は提案されたんですけれども、もう一つ説明を詳しくしてからにしようという議論になりまして、これは井上副主査からのご提案で、かなり詳しい資料を用意していただいたわけです。ごらんになられて、ご論議のほどをどうぞよろしくお願いします。

【吉川委員】
 おそらく全国の都道府県教委、市町村教育委員会すべて、この諸手当の中で教員の努力、働きのわりに最も安価である、絶対に大幅に引き上げるべきだと共通して出てくる手当は部活動手当と修学旅行等指導業務手当、さらに対外運動競技引率指導業務手当だと思うんです。詳しくは言いませんけれども。
 1つは、私の意見なんですけれども、給料の調整額で私が申し上げたいのは、特殊学級の教員、私どもは小学校は1校しか持っておりませんので、公立の小中学校内に設置されておる、例えば知的、情緒、難聴、弱視、肢体不自由、病虚弱、障害児学級の担任に平均6パーセント程度一律に支給されておる。これはやっぱり問題があると認識をしております。
 理由としては、これはもとは障害のお子さんの教育は負担過重になるので、こういうことで手当をつけるべきであるということがあり得ると思うんですが、現実的に、本市の場合もそうなんですが、障害児1名で担任1名というケースがかなり多うございます。先ほど障害種別に申し上げたんですが、もともと公立の小中学校内に設置される障害児学級の役割というのは、障害児を通常児の中で教育していくということで、障害のある子も障害のない子もともに共生をしていく、ともに学んでいく、それぞれが教育成果を生み出していくということで、公立の小中学校内に障害児学級が設置をされておるわけでございます。
 そういう目的でございますので、障害種別、あるいは個人によって多少異なる状況があるものの、障害児学級で、その子供の障害種別に合った専門教育が行われる。行われるけれども、大半は通常の学級で授業を受けて、障害児学級担任がそばについているという状況が多いと思うんですよ。当然、障害を持ったお子さんは学級担任のもとで授業を受けるわけですから、そこで一番負担が重くなるのは、むしろ学級担任のほうでございまして、ここの論点の中でLD、ADHD等への指導と書いておりますけれども、これはこれとして新たな問題点があるんですが、先ほどから申し上げておる、いわゆる障害児とされてきたお子さん、くどいですけれども、知的、情緒、難聴、弱視、肢体不自由、病虚弱、このお子さんが通常の学級で授業を受けておる状況が多く見受けられるわけですから、そういうことで言いましても、障害児学級の担任に過重負担になっておる状況は私はないのではないか。そういうことであるので、特殊学級の教員に一律支給されておる平均約6パーセント程度の支給についてはやめるべきではないかという提起をいたします。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【井上副主査】
 前回、実態がどうなっているかわからないので調査結果を出してほしいというので、事務局のほうで非常に詳細な資料を出していただいて、ありがとうございました。この中で手当として果たして支給する必要があるかどうかという問題を考える場合に、教員の本来業務と深く密接にかかわっていて、今、吉川委員がおっしゃったような特別支援学級的なものについては、教員の条件整備を定数上でずっと措置してきていて、負担が、昔、調整額を考えたときほど、勤務の対応の困難性が軽減されてきたというようなものについては、本来業務のほうで見れば、調整額は果たして必要かどうかというところを十分議論すべきところじゃないか。
 それから、手当のところで、1つは、教員の本来業務ではなくて、学校の業務として校長が職務命令を発した場合に従事するような部活動手当とか、あるいは時間外4業務に入っている修学旅行手当とか、このようなものについては、勤務の困難性から手当の額について見直すというのは、さらに実態に合うようにしていくという必要性はあると思うんです。そして、こういう手当の中で、例えば入学試験業務は、これは考えてみると本来業務で、果たして手当を支給する必要があるかどうかというのは見直すべき点ではないかと思います。
 それから、へき地教育手当ですが、これは現行のへき地手当を何年前に直したのか知りませんけど、現状に合ってなければ、へき地の指定基準を現状に合うように見直すということで、かなり是正されるのではないかという気もしますが、その辺、他の公務員に対するへき地手当とのバランスというのも考えないといけないと思いますから、その辺も含めて検討をぜひしていく必要があるんじゃないかと。全体の感想として申し上げました。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【金井委員】
 大変詳細なデータで非常に貴重なものかと思いまして、大変ありがたいなと思って、何点か教えていただければと思うのは、1つは、諸手当は既に自治体のほうで、かなり裁量的にめり張りをつけようと思えばつけられるという条件になっているように見受けられるのですけれども、それについて、まず、これは人事委員会勧告で、どういうふうに制度的に検討されていたのか、プロセスはどうであったのかというのが第1点の質問です。
 第2点は、それに絡めて、人事委員会勧告で行われるであろうときに、教育委員会側から、どういうふうに要望を入れるのか、つまり、教育論をそこに反映させるようなメカニズムがあるのかどうか。実際に働いているのは、多くの場合、市町村立学校である場合が多いので、都道府県教委から、果たしてそういうイニシアティブがちゃんと働いているのかどうかということですね。手当を見直すというようなことについて実態に合わせて、つまり、勤務の軽重に合わせて働くようなメカニズムに意思決定上なっているのかどうかというのが2点目の質問ということになります。
 3点目の質問は、これはまさに自治体がやるということで、果たして文科省と中教審でやってどういう意味があるのかと初回に申したことと関連するんですけれども、結局、ここで何を見直すことになるのかということなんですが。1つは、国庫負担金の積算基準の金額を見直すということで、事実上、一種の標準を示して、これぐらいの金額は枠どりしてあるので、これぐらいできますよという国庫負担金の枠という形で一種のアドバイスを示していくということになるのか。それとも、さらに踏み込んで、こういう手当についてはこの際なくしてしまおう、手当を出せる項目からなくしてしまって、自治体が出したいと思っても出せなくさせるというような法制的なところまで考えるのか。それとも、いや、それは自治体のほうで、例えば給料の調整額でも、LD、ADHDを普通学級に集めてという方針はありますけれども、いや、そうじゃないという自治体があった場合には給料の調整額も可能とするのか。それとも、分けるということはやっぱりいけないとして、それを国として禁止するのか。あえて、そういうところもなお必要なんだという自治の判断があった場合、それを認めるような手当をつくれるようにしておくのか、あるいは調整ができるようにしておくのか、という法制的な縛り、あるいは余地をどこまで考えるのかということについてです。
 以上3点ないし4点の質問なので、それを教えていただければと思います。

【田村主査】
 それでは、お答えをお願いします。

【松浦課長補佐】
 まず、人事委員会とのかかわり合いですとか、教育委員会からの要望が通るのかといったことの実態だと思いますけれども、まず、最初に申し上げたように、現在、総務省から各地方公共団体に対して、行財政改革の観点から給料諸手当について見直しを行うというものが指導されております。そうなりますと、要は行財政改革の一環でございますから、県でいえば、知事部局のほうから教育委員会に対しまして、こういう手当についての見直しができないか、こういった要請が参ります。それを受けて、教育委員会で議論をして、今回議論をいただいたような形の中で教育論としての議論がなされた上で、人事委員会勧告になるものと教育委員会の規則で改正できるもの、現実的に2つ給与制度がございます。
 特に特殊勤務手当などについては、条例上、具体の金額を規則で定めるとおりているのがございまして、そこは教育委員会のほうで規則として変えるということができるということになってございますから、あるものについては、県の人事委員会勧告としてきちんと乗って、それが条例上認められて改正されるというものと、教育委員会の最終的な判断で規則として変更をされるというものがございます。いずれにしろ、現実的に教育委員会に対して、知事部局のほうから非常に厳しい財政問題としての見直し要請というのがあるのが多分事実であろうと思います。それを踏まえた上で、各都道府県は教育論も当然議論した上で、それぞれこのような形の手当になっているのではないかと考えてございます。
 それと、ここでこれを議論してどうなるのかということでございますが、この会の最初にもお話を申し上げたように、国とすれば、最終的には義務教育費国庫負担金という形の中で、どこまで財源保障するか。これをきちっと示すことで、各都道府県で適正な給料、諸手当の執行をお願いしたい、こういうことになろうかと思いますので、基本的にはそういう考え方の中で議論をいただければと考えてございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。よろしいですか。応援団として、いろいろとアドバイスをしないと非常に問題があるという。手当は特にそうなんですよね。例えば部活動の手当というのは確かに大変なんだけど、部を持っている先生だけじゃなくて、周りの人が手伝うから部活動ができるわけですね。そうすると、部を持っている人だけ手当をもらっていいのかという議論に必ずなるんですね。だから、すごく難しいので、やっぱりちゃんと議論する必要があるだろうという気がします。
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、基本的には、多分、この中には本俸で教員の給与改善ができない状況の中で手当で何かやろうというような手当もあると思うんですね。それから、井上委員が言われたように、本務に付随してどうしてもやらなくちゃならない、しかし、それは本俸に入っていないという場合、やはり手当で出していくという必要があると思うんですね。
 もう一つは、部活動手当。ここでは部活動手当と書いていますけれども、実際はこれは規則等では特殊勤務手当になるんですね。そうすると、果たして特殊勤務というのかどうなのか。だから、今度は手当の名称についてもずばりわかりやすく名前を変えていくというのも非常にいいんじゃないかなという気がいたします。
 ですから、そういうことを前提にして整理をしていくということも大事でしょうけれども、例えばこの中の2枚目に主任として日額で支給されている主任手当というのがございますね。これなんかは、いつまでもこれでいくのかですね。200円というから定額で最初5,000円で決まって、ずっとそのままなんですね。これは何十年になりますかね。そうすると、あのときに決めた趣旨が、その手当の意味になっているかどうかですね。これにも書いていますように、教育業務連絡指導手当という形になって主任を入れたんですが、この主任手当はどうなのか。特にここにも問題点と指摘してありますように、東京都も主幹と主任とがダブるようになっている人が多いらしいですね。そうであれば、両方支給されていると。支給というか、1つの措置としては、主幹としての給料表上の優遇というか、若干差がついているのと今の手当ですね。ということになったら、この辺は整理すべきであるかどうかというのは、ずばり言って、今の省令の主任を廃止するということで、今これから討論になります主幹という新しい職種を入れていくとすれば、それとの関連でそういうことができるのかどうなのか。逆に言うと、法律からとってしまえば、その財源確保ができないというような実態がまだまだあるわけですね。ですから、そういうことも非常に気になるわけなんですが、そういうことを考えて整理をするというのも1つじゃないかと思います。
 それから、先ほど出ました手当のめり張りについては教育長協議会で出ていた最後の棒グラフがありますね。これは一定程度妥当じゃないかなと思うんですね。吉川委員からもありました。彼は教育長だから、特に自分たちで整理したのかもしれませんが、そういうようなことで、手当については今のような観点できちっと整理していくということが僕はいいんじゃないかと思います。
 ただ、1つだけ申し上げたいのは、今、本俸を含めて、民賃とか、そういう形で本俸を下げていこうという攻撃が来ていますから、その際に本俸も下がるし、手当もとられていって、実際には優遇や待遇というものが非常に悪くなる。そうすると、例えば今の教員体制は適正な処遇になるかならないかですね。こういうことを考えていきますと、これは教員政策としてどうあるべきかという観点も含めながら検討していかなきゃならないんじゃないかなという気がいたします。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【金井委員】
 先ほどの質問の続きなんですが、委員会にゆだねられているというのは、最後の根拠規定は全部条例で定めるということになっているんですけれども、条例からかなり包括的な教育委員会規則への委任があるという理解でよろしいのかということと、具体的にどれが委任されているんでしょうか。

【松浦課長補佐】
 これは各都道府県の条例の書き方によっても違うと思いますけれども、例えば1つの例示でございますが、義務教育等教員特別手当について幾ら支給をするかということについては、細々と条例で書いて規定をしておりますのが全国で1県、その具体的な金額については規則でおろしているのが46県。そういうふうに県の条例の書きぶりによって規則のほうに落ちるものがございます。それぞれについてそこまで具体的に持っておりませんけれども、わりと特殊勤務手当あたりの細々とした数字が入っているような部分につきましては、規則のほうにおりているというのが多かろうと思います。

【金井委員】
 規則というのは、人事委員会規則ではなくて教育委員会規則なんですね。

【松浦課長補佐】
 それは教員の部分でありますと教育委員会の規則におりているというのがございます。

【金井委員】
 あと、義務特手当は教特法でかなり決められていて、それを受けた条例なんですけれども、ほかはおそらく地方自治法なので、そんなに簡単に委任できるのかというのがよくわからないんですが、それは条例の書きぶりで、かなり裁量があるということなんですか。

【松浦課長補佐】
 それは各都道府県のほうのご判断だと思います。

【田村主査】
 裁量はあるということですね。ありがとうございました。

【井上副主査】
 勤務実態調査を見ても、教頭、それから校長も全体の勤務時間が非常に長いというのがあって、それと少子化に伴って学校の統廃合が進んで、学校の通学区域も非常に広くなって、生徒指導上のいろいろな問題も出てくるということから考えますと、管理職手当の見直しをする必要があるのではないか。特に先ほど事務局からの説明では、教育委員会の課長に20パーセントの管理職手当が出ているということですので、そういう点からいうと、学校の校長、教頭の責任の度合いというのは非常に大きくなってきているわけです。
 そういう意味において、今、大規模校が校長が16パーセント、教頭が12パーセントというのもありますが、その辺の職務と責任の度合いを考えたら、管理職手当として果たして妥当かどうかというのを検討する必要があるのではないかと思います。規模によって、今、ある程度、管理職手当の支給区分を決めているわけですが、今後、学校数も少子化で減ってくると、高校の校長、教頭の管理職手当に近づけるということも検討する必要があると思いますが、今、高等学校の管理職手当は校長、教頭は幾らずつですか。ここに出ているのは義務制ですよね。

【松浦課長補佐】
 基本的には同じ割合です。ただ、高校の例えば校長でいけば、校長は今、最高16パーセント出ておりますけれども、この割合が小中学校でいけば5パーセントの学校しかないんです。今、数字がございませんが、高校になると、その割合がもう少し高かったのではないかと思います。高校につきましては、先ほどの16パーセントの適用が小学校は5パーセント、中学校は10パーセント、高等学校は30パーセントというふうに支給率は変わりませんが、対象者が広がるという意味では高校のほうが適用が多いということでございます。

【井上副主査】
 管理職手当の支給区分を見直して、その辺、調整していくという見直しが必要じゃないかと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【吉野委員】
 ここにいただいた表は、ほとんどが一定率とか定額となっているんですが、それぞれの先生、あるいは管理職の方の能力に応じて差をつけるということも必要じゃないかと思いました。例えば管理職手当ですと、学校のマネジメント能力と書いてあるわけです。あるいは、学校の教育の質が向上したのであれば、そういう先生には余計に支給して、そうでない方には減らすというように、もう少しめり張りがいろいろな項目で必要なように思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【吉川委員】
 関連してでございますが、学校長の管理職手当の現行の率というのは私は低いと思います。世の中の1つの組織の長として考えたときに明らかに低いと思います。従前の学校長の職務等、最近見ていましても、子供の問題が大変多様化してきておりますし、保護者の権利主張もひときわ大きいものがございます。また、開かれた学校づくりとか、説明責任とかいった渉外的なところでの仕事も大変負担を増してきておる状況から、高校は全体に管理職手当を引き上げるべきだと。そのことによって学校長としてのさらに自覚を持たせて、1つの学校を自分の責任でレベルアップを図っていくと持っていくべきだと思います。
 校長12パーセント、16パーセントという、教頭もそうなんですが、これは学校規模での率の違いですよね。そういうことも含めて考えると、学校規模で、例えば30学級以上あって、部下の教職員、それを市町村で考えれば、市町村費の職も含めて考えれば六、七十おると思うんですよ。六、七十の部下、職員を抱えた学校長の管理職手当がたかが16パーセントというのはあまりに低過ぎるんじゃないかということもございますので、学校規模によって若干の格差をつける、全体をぜひ引き上げていただきたいとお願いをいたします。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【帯野委員】
 先ほどの金井先生のご質問のご参考になるかどうかわからないんですが、新しい職や制度を設置するときの教育委員会と人事委員会の関係ですが、教育委員会が新しい制度や職を定める。その定められたものに対して、どれぐらいの手当、あるいは給与の支給率、額が適当かは人事委員会で定め、議会で承認するなり、あるいは人事委員会規則で定めるものは定めるという関係でつくっております。
 そこで私、ちょっとお伺いしたいんですが、財源の問題なんですが、例えば大阪府の場合ですと主席――東京の主幹に当たるものを申請するとき、廃止をした手当の中からその財源はやりくりしたという状況です。例えばこの委員会で、先日から議論されております主幹制度を国で定め、級を増設した場合に、その財源というのは財務省に認めてもらえるんでしょうか。というのは、今まで、国立学校準拠制の場合は人事院が勧告したものを、財務省がそのまま受け入れていたのが、今度、文科省のほうで新しい級をつくりますよということを定めた場合に、財務省のほうは、はい、じゃ、わかりましたということで、その財源を確保されるのかどうか、その点を教えていただければと思います。

【尾ざき財務課長】
 実際、財務省とやってみなければわかりませんけれども、新しい級をつくるときには、義務教育費国庫負担法の基本的な考え方というのは、それにふさわしい基本的な俸給があって、その実額の一定割合を国で保障するという考え方ですから、国庫負担額は基本的には実額の3分の1です。ただし、地方、地方であまりに高い給与設定をされた場合には、国としておつき合いができない限度があるということで、政令及び省令に基づいて限度額というのを定めておりますので、例えば新しく主幹というものを制度として学校教育法を改正して導入するということになりますと、今までの教諭の給与表とはまた別の主幹に相当する給与表というものをつくっていって、国としては、こういう給与単価までは、その限度額までは国庫負担をいたしますといったものをつくるというのが本来の筋であろうと思います。そのときの財源を全体の中でどういうふうに捻出していくのかということは、これはまさに財政当局と折衝していかなければいけないということかと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 例えば管理職手当1つとっても、夕張市みたいに5つも6つもある学校を1つにするというとき、これで縛るよりは、もうちょっと幅を広げたほうがいいだろう。全体を上げるというと、またいろいろ問題があるでしょうけれども、幅は広げておかないと、これからの変化の時代には対応できないのではないかという気は確かにします。
 たくさんのご意見をいただきましたので、時間の関係上、これで終わりにいたしますが、次回にワーキンググループで事務局のほうで意見をおまとめいただいて整理をしていただきまして、中間報告案として次回にはご報告という予定にしております。よろしゅうございましょうか。
 続いて、次の議題に移りたいと思います。前回までのワーキンググループでのご論議を踏まえまして、教職員給与の今後の在り方に関する論点整理案について議論をしたいと思います。
 まず、事務局から論点整理案について提案されておりますので、ご説明を渡辺専門官からよろしくお願いいたします。

【渡辺専門官】
 それでは、まず、お手元の資料2‐2をごらんいただけますでしょうか。こちらがこれまでのワーキンググループ第6回から第11回における委員からいただきました主な意見をまとめさせていただいたものでございます。このようにさまざまな論点について、さまざまなご意見をいただいておるところでございますが、いただいた意見を参考とさせていただきまして、今回、資料2‐1にございますような形で、「公立学校教員の給与の在り方について(論点整理案)」ということをまとめさせていただきました。概要を簡単にかいつまんで説明させていただきます。
 まず、1ページ目の「基本的な考え方」でございますが、ここでは基本的な考え方の理念を示した上で、4つ目のパラグラフで、例えば「指導力に優れ、熱意や使命感を持って頑張っている教員が適切に評価され、教員の士気が高まり、教育活動が活性化されていくためにも、能力・実績に見合っためり張りをつけた教員給与体系を構築していくことが必要である」というようなことでございますとか、一番最後のところで、「学校の組織運営の在り方を見直し、学校事務の効率化を図り、勤務時間の弾力化を図ることなどにより、教員が子供たちの指導により専念できるような環境を整備していくことが必要である」ということを示してございます。
 2ページをごらんいただけますでしょうか。次は、「教員の校務と学校の組織運営体制の見直し」ということで、まず1番目に、「教員の校務と学校事務の見直し」ということでございます。これにつきましては、2番目のまるでございますが、「教育の質の向上を図っていくには、何よりもまず、教員が子供たちと直接向き合う時間を確保することが重要である」ということで、その次に、「このため、教員の校務について見直しを行い、校長、教頭、教諭、助教諭、講師や事務職員などのそれぞれの職に応じた役割分担の明確化を図り、教諭等が子供たちと直接向き合う時間をしっかりと確保できるようにする」としてございます。
 その次のまるのところで、「教員の校務を整理した上で、なお教員が行う必要のある学校事務については、以下のような方策を通じて効率化を図り、業務時間を縮減していくことが必要である」ということで、具体的にEメールや電子掲示板の活用、調査の縮減・統合、業務日誌等の様式の簡素化などを示してございます。
 その次のまるのところで、事務体制の充実。その次のまるのところで、さらに教員の負担を軽減するサポート体制の構築というものを示してございまして、最後のまるのところで、3ページ目でございますけれども、教職員の配置の充実なども必要になるだろうということを記載してございます。
 それから、2番目として、「学校の組織運営体制の見直し」でございますが、こちらにつきましては、3つ目のまるのところで、「学校の組織運営上の必要性に応じて、教頭の複数配置の促進、特定領域における副校長の配置、管理職を補佐して担当する校務をつかさどるなど一定の権限を持つ主幹の設置など、学校の規模などを踏まえつつ、教育委員会の判断により配置できるように制度の整備を行うことが必要である」と記載してございます。
 さらに3番目、「指導力に優れた教員の処遇」ということで、一番最後のまるでございますが、「各学校の必要性に応じて、指導力に優れ、他の教諭等への教育上の指導助言や研修に当たる職務を担う指導教諭を設け、教育委員会の判断により配置できるように制度の整備を行うことが必要である」としてございます。
 次のページでございます。次のページは「能力と実績に見合っためり張りある教員給与体系の構築」という項目を考えてございますが、こちらにつきましては、本日、諸手当の見直しのご意見をいただきまして、また、教職調整額の見直しなどについても、さまざまなご意見がございますので、こちらについては、今、事務局のほうで整理させていただいておりまして、次回以降のワーキンググループで整理したものを示していこうと考えてございます。
 続きまして、5ページ目でございますが、「教員の勤務時間の弾力化等」ということで、1番が「勤務時間の弾力化」ということでございます。こちらにつきましては、5つ目のまるのところでございますが、「通常期における超過勤務の状況を改善するため、通常期と長期休業期とで業務に繁閑が生じる教員の勤務態様の特殊性を勘案して、特に忙しい教員については、通常期の勤務時間を多く割り振り、その分、長期休業期の勤務時間を短縮することで、1年間を通じて平均すれば1日当たり8時間労働となることが可能となるよう、1年間の変形労働時間制を導入することを検討する必要がある」ということでございます。こちらにつきましては、労働基準法との関係がございまして、さまざまな調整が必要になりますので、「検討する必要がある」という表現にさせていただいてございます。
 それから、最後のまるですが、「部活動や学校行事等により週休日や祝日に勤務を行う場合に、代休日の指定を弾力的に行うことにより、繁閑の格差の大きい教員の勤務態様の特殊性を踏まえて、長期休業期などの勤務時間に余裕のある期間の活用を促進する必要がある」ということを記載してございます。
 それから、2番の「部活動に係る勤務体系の在り方」につきましては、6ページ目のまるのところで、「教員勤務実態調査暫定集計の結果に見られるように、中学校の教諭にとって部活動指導に従事する時間がかなり多くなっており、今後、中央教育審議会初等中等教育分科会の教育課程部会等における検討も踏まえつつ、部活動の位置づけを整理していくことが必要であるとしてございます。さらに、「各学校の実情等を勘案し、教員及び子供たちにとって過度な負担とならないように十分配慮した上で、平日の部活動について、より弾力的に実施できるよう、1年間の変形労働時間制の導入を検討する」ということを記載してございます。
 以上、ざっと論点整理でまとめさせていただいたものの主な論点を報告させていただきました。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。ただいまの渡辺専門官のご説明を3つの部門に分けまして議論を進めていきたいと思います。まず、1ページの「基本的な考え方」の章につきましてご意見をちょうだいしたと思いますが、いかがでございましょうか。

【金井委員】
 これは前にも申し上げたと思うんですけれども、このワーキンググループ自体が給与の在り方を検討しろと言われているんですけれども、基本的考え方として、給与に入る前に、ここにも書いてありますけれども、まず、教育論と公務員制度としての仕事がまず最初にあるということを書いていただかないと、とにかく本末転倒な議論として受け取られかねないということが1点、ちょっと気になりました。
 それから、2点目はまるの4つ目なんですが、能力と実績に見合ったというのは、一応観念的には理解できるんですけれども、これは公務員制度の職務給の観点からいうと、能力、実績以前に、まず、その職務の困難とか責任に応じて給与というのを考えていくべきであって、少なくとも能力等級制度が導入されていない現状においては、能力とか実績はそれほど前面にまず出てこないということを踏まえて設定していかないと、やや勇み足になってしまうかなと。ただ、別途、教育公務員だけは能力等級的なものをやるんだという大がかりな議論をするなら別なんですけれども。現状では、まず責任とかが重い人に十分な処遇がされていないのではないかということについて、責任の重い人と軽い人がいるにもかかわらず、同じように処遇されているというアンバランスを是正するというところからまず始めないと、ちょっと勇み足になってしまうのではないかなと。それは4ページの「能力と実績に見合った」という大きな柱にかかわるんですけれども、まず、職務の責任に応じた、それが実態としては軽重があるというのを踏まえた上で、それに対応できる給与体系をするというように組み立てていったほうが現実の制度との整合性がとりやすいのではないかなと思います。
 以上です。

【田村主査】
 続いてどうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、2ページ目の一番最初のまるの子供の指導に直接かかわる業務以外の業務に多くの時間が割かれているというのが今度の実態調査から出てきたものだと思うんですね。そうすると、本務として、教諭は児童・生徒の教育をつかさどるという――これはちょっと幅があるんですけれども、それを基本にして本務というものと、それから今ここに書かれていますように業務以外の業務というのがありますね。じゃ、それは何なのかということをちょっと整理しないと、ここには部活動の部分は出てきますし、また、管理体制の部分は出てきますけど、これがはっきりしないんですね。ですから、ここは基本的にもう少し今の実態調査から必要、不必要、あるいは逆に準校務的なものの整理をしておく必要があるのではないかと基本的に思います。
 もう一つは、ここに学校事務の問題がありまして、この間、学校事務研究会の皆さんからヒアリングを受けました。例えば給食事務は担任が今とっているんですね。それをどうするんだといったら、それも事務職員が引き受けると。これは僕は非常に画期的な話で、事務職員の意欲的なものを感じて、そうでありましたら、ここに書いていますように、事務の共同実施ということを含めて、そこには事務長を置くというような形の1つのめり張りのきくような管理ができていて、集約できるようにすることが1つです。
 それと同時に、学校事務職員とか事務職員といっていますけれども、この名称もひとつ考えたらどうだろうか。例えば学校の経営・企画に参加をするという意味で、学校経営企画官だとか、あるいは学校経営に参加するにふさわしい名前だとか、そういうことはひとつ考えられるんじゃないだろうかというのが1つです。
 それから、3ページ目に主幹というのがあって、その3行目に、「一定の権限を持つ主幹(仮称)」というのがありますね。これは広島や東京では1つの管理職になっているんですね。そうすると、ここで規定をして新しい職をつくるという場合に、なべて管理職に位置づけるのかどうなのかというような部分がひとつ、これはきちっと検討せんといかん。
 というのは、私なんか気になるのは、今の定数法の定数なんかで授業を持たない職が非常に多いわけです。例えば主任なんかも時間を軽減しているわけです。しかし、実際は定数法上はきちっと授業を持つようになっているわけですね。しかし、それを非常に軽減化している。主幹もそうなっていくということになって、今、それぞれのところでは主幹と呼ばない、あるいはスーパー教員と呼んでいるところなんか、指導をするべきとの感じの位置づけをしてなかったですね。結局、授業の軽減をしているということになったら、いつまでたっても教員の持ち時間というのが減らない。
 そうなってくると、少人数学級だとか、あるいは少人数指導という方向性というものが出てこないんじゃないだろうかというような気がしますので、例えば職種を限定して、それぞれの定数を別にするとか、そして、授業については、きちっと何時間が持てるようにというようなことで、本務の見直しのことについて、きちっとそういうようなものの、それこそめり張りのある持ち時間の調整をしていく必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございます。司会の手際が悪くて申しわけありません。議論を3つに分けると申し上げた、1ページ目と2~3ページと5~6ページと3つに分けて議論したいと思ったんですが、今、金井先生がおっしゃった能力と実績というものは、今、事務局のほうで整理してもらっている最中で、4ページにも細かい形では示していないわけで、次回用意させていただこうと思っていますので、それが金井先生に対するご回答になるのかなと思っていますが、今、お話をお聞きしていると、3つに分けるよりも全部一緒にやったほうがいいみたいですから、どうぞご意見をお願いします。

【箕浦委員】
 学校事務の部分なんですけれども、2ページの4つ目のまるのところにICT化というようなこととか、その次のまるに事務の共同実施の促進というようなことが盛り込まれているのは非常にいいかなと思います。
 それとともに、事務の部分は、本来的な教員の業務から離れたところでもありますし、例えば専門的な機関を使うということも非常に有効だと思いますので、やはりアウトソーシングというようなところの業務の効率というものも盛り込んでいただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【吉野委員】
 1ページと2~3ページと両方ですが、1ページのところは、優秀な人材の確保ということはぜひ必要だと思いますので、そういう意味では優秀な方には少したくさん払い、そうでない方には、申しわけないですけど、下がるというような格好ということは、ぜひ1ページにお願いしたいと思います。
 それから、2ページ目の、今ご議論のありましたICTとかパソコンのところなんですけれども、ここの書き方ですと、学校だけでそういう人を確保しようという書き方なんですが、おそらく周りに市町村とか都道府県の事務所がありまして、ここに昔あったんですけれども、ある方を雇ってしまいますと、5年、10年すると、その方は使えなくなっちゃうんです。というのは、技術がものすごく進歩しますから。そうであれば、アウトソーシングをして、それで市町村、都道府県、国、公共団体を含めた、学校も含めた、そういうところをぐるぐる回ってくださる方を雇ったほうが全体としてのコストは安くなるわけですね。ですから、学校だけで雇うのではなくて、全部のところで雇ってアウトソーシングしたほうが絶対にいいと思います。これを中で抱えれば、失礼な言い方ですけれども、5年後、10年後に使えなくなると思います。
 それから、今ご議論ございました2ページ目の一番下から2番目のまるですけれども、教員のOBの方とか、これから退職される方々が随分増えてくるわけですけれども、そういう方々をアウトソーシングとして、よりよく活用して、それで本来の先生方の本務ということを現場の先生はできるようにし、それから、その周りのことはOBの先生方をうまく活用していただいてアウトソーシングするというような方策がいいのではないかと思います。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【本城委員】
 2点あります。
 1点目ですけれども、今の吉野委員と同じポイントですけれども、2ページ目の4つ目のまるの1のところです。ちょっと気になるのが、「ICT活用指導力に優れた教員の確保」とありますけれども、これは誤解を受けると思います。「ICT活用指導力に優れた」となると、ICTを活用して授業をするということを意味すると思うんですが、そういった教員を確保することよりも、パソコンですとかイントラといったものを仕事環境として整備できる教員以外の職員を確保し、そういったサービスを提供することが大事だと思います。ここに書かれている表現だと教員がICT活用指導力を高めて、いわゆるインフラの管理もするというイメージに受け止められる可能性があると思うので、それでは本務以外の仕事が増えて本末転倒になりますから、ここは表現を変えていただきたいと思います。
 2点目なんですけれども、5ページ目の「教員の勤務時間の弾力化等」のところの冒頭の部分ですけれども、これは現状について触れられている部分ですが、今回の勤務実態調査からわかったこととして、休憩・休息がとれていないという実情も明らかになっているわけですから、これについてはしっかりと明記していただきたいと思います。
 また、今回のこの会議の中に出てきたかどうかわかりませんけれども、いわゆるメンタル面で療休をとっている職員が増えている。これも学校の現状の厳しさをあらわしているデータだと思いますので、それについても追記していただければと思います。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

【川田委員】
 まず、全体的な整理の仕方と、あと、特に1ページ目の基本的な考え方のところのまとめ方ですが、ここは金井先生が先ほどおっしゃったのと大部分重なりますが、現行の給与制度にどういう形でここで挙げる論点がかかわっていくのかということは、それぞれの点について明確に整理しておく、そういう形でまとめることが必要なんじゃないか。そう考えていくと、特に浮きやすいような気がするのが教員の職務の効率化のようなところで、ここは1つは、職務給の中で教員に求められる職責を効率的に果たしていくために必要なことという整理の仕方があり得ると思います。そういう観点からは、2ページ以下も含めて、ここに挙がっていることはおおむね妥当するのではないかと思いますが、あと1つは、教員の給与を勤務時間の長さに必ずしも対応しないような形で設定した場合には、超過勤務手当という形での長時間勤務に対する歯どめがなくなってしまうというところから、何かそれにかわる、長時間勤務に対する歯どめを考える必要があるという観点も、勤務体制の能率化ということとの関係では必要なんじゃないか。特にその辺が1ページ目、あるいは5ページ目以下、そういうところにはそういう視点が入る必要もあるのではないかと考えます。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【赤井委員】
 今の意見とほぼ同じなんですけれども、タイトルが「公立学校教員の給与の在り方について」となっているので、これを見ていると、全般的な教育の在り方、当然それを議論するのは重要だと思うんですけれども、このワーキンググループのポイントとしては、4ページ目のところをうまくつくり出していくと。裁量がある程度主体というか、教育委員会のほうに任せられている状況では、あくまでも給料でそういうインセンティブをつけていくということが大事なわけですから、全体として現在どういう問題点があって、それに対して基本的な考え方が、まあ、問題点ということですから、今後の在り方というのがどういうふうに関係していて、その結果として4ページ目がどのように出てくるのか。5ページ、6ページの弾力化というところも、給与体系をどう変えることが弾力化というものとか、勤務実態の適正化というものにつながるのかというところがつながるような形でまとめられたほうがいいのではないかなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【森委員】
 「指導力に優れ、熱意や使命感を持って頑張っている教員が適切に評価され」というこの文章は、基本的に私は反対するものではないんですけれども、しかし、能力、実績というのをどういうふうにはかるのか、あるいはインセンティブが必要だというのは私は反対しないんだけれども、間違ったインセンティブをつけるおそれはないのか、そういう議論が十分にないときに、つまり、能力とか実績、あるいは熱意や使命感を持って頑張っている人をどう判断するのかということがほんとうは一番大事なことで、それができると思っているところに私は非常に危険があると思うんです。現実に私の長岡市の職員を評価するときに非常に難しいです。
 ですけど、金井先生がおっしゃったように職務給というのは、例えば係長にするとか、課長補佐にするとか、課長にするということと能力の評価は違うんです。同じ職務内容で同じ責任を持っている職員の能力を判定して、それに差をつけるときに最も大切なことは客観化するということですね、全員がみんな、自分は能力があると思っているんですから。それを客観化するということは試験か何かをして点数をつけるとか、あるいは市長が評価したことをオープンにするとか、それがないと、とてもじゃないけど、できないと思います。私はオープンにするということと客観化という2つが大条件だと思うんです。それがないとどういうことが起きるかというと、これは現実に民間でもあると思いますが、民間で例えば営業部員が営業成績という簡単な尺度ならいいですよね。営業成績を上げた人がいい給料をとるというのはわかりますよ。だけど、先生の能力とか資質とか、あるいは成果って一体何だろう。先生の成果というのは、例えばいい大学にいっぱい上げることだと国民全員が思うなら簡単ですけれども、そうじゃないでしょうね。10年後、20年後に出る成果だってあるわけですね。そういうものを一体どう評価するのか。そうすると、多分、評価の問題を突き詰めていくと、いわゆる第三者評価とか、親、子供が投票するような話にしかなり得ないと思いますね。僕は反対ですけどね。これは余計なことです。
 評価軸をきちんとつくるということが実は最も大切なもの。それがない限りは、給与に差なんかつけられないと私は思います。ですから、理想は理想ですね。私もつけたいと思いますけれども、それがほんとうにできるのかという議論をきちんとしないと……。民間だってうまくいっているなんていうことはないじゃないですか。テレビのドラマでも漫画でも、それこそ、ごますり、えこひいき、セクハラですよ。それが民間だって横行していますよ。でも、何で民間がおさまるかというと社長が絶対ですからね。2年か3年しかつき合わない校長先生が評価につき合えるかというところは、ほんとうに議論したほうがいいと思いますよ。市長ですと、まだ選挙がありますから、職員の評価を間違えますと落ちるかもしれないという市長も評価されますからね。一体だれがどう評価するか、あるいは理想の教員とは何かという議論抜きにして、僕はこの議論をするのは危険だろうと。
 ですから、僕は金井先生がおっしゃっているように職務給の方向を目指すべきじゃないか。例えば生活指導を熱心にしている先生に手当じゃなくて、それは給料でもいいと思いますね。あるいはPTA対応がしっかりした先生とか、後輩の指導をよくする先生とかにきちんと役職を与えて、そこに給与を出していくと。それはどういう効果があるかといいますと、例えば昇任にもミスはあります。何であんなやつを係長にしたのか、課長にしたのかというミスがありますが、責任がはっきりしていますから。職務内容と責任がはっきりしているので、評価の基準がはっきりしているからおさまるんですよ。あれは課長に適さないということはみんなわかりますから降格したりできるわけですよね。職務というのは評価基準がしっかりしているからだと思いますね。ちょっと水を差すようなことを言ったかもしれませんが、私はそう思います。ですから、この場でそういう議論をすることがないのであれば、中教審の上のほうで、一体、いい先生とは何かという議論をしてもらいたいですね。それがしっかりしないうちは危険だと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。市長のご経験から適切な……。
 それでは、井上委員、お願いします。

【井上副主査】
 まず、基本的に、従来の教員の給与の在り方は、教育基本法の6条の教員の職務の特殊性と責任の度合い、そういうものを勘案して適正な処遇をするということから発していて、それに基づいて、教員の給与について適正な給与とは何かということから現在の給与体系ができてきたと思います。
 今度、評価のところは、初中分科会でも、評価システムというのは客観性を持って、だれしもがそれに納得するような評価基準というのを果たして見出せるかどうかということについて、今は議論が途中までだと思うのですが、そういうものによって評価をして、校長の説明責任というのは、どうしてもそれに伴ってくるのではないかと思っております。ただ、その評価も、教員がたまたま、その年度ではそういう評価であっても、さらに翌年度からは、それをばねに自分の能力を高めるとか、そういう教員の資質向上の役に立つような評価システムではないと、これまた意味がなくなってくるわけですから、そういう観点の評価基準というものを研究して見出していこうという方向だと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。4ページのところですね。

【森委員】
 すいません。評価システムについて、いろいろ研究したり実践することに私は反対はしません。それはやるべきです。ですが、固まるまではちょっと危険ではないかと言っているだけです。そこの点はご了解いただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 じゃ、4ページ、これからおまとめいただくわけですが、よろしくお願いします。

【吉川委員】
 今の論議がポイントになるところだと思います。1ページの4つ目のまるの文章なんですが、「指導力に優れ」というのは置くとして、「熱意や使命感を持って頑張っている教員」というのはイメージとしてしっかり浮かびますし、こういう教員こそ評価しなければならないと思うんですが、後段の、ひっくり返りまして、そのことが「能力・実績に見合った」となってくると、これはかなり用心をしていきませんと、教育という営みの成果をどう見るかということなんですが、これは皆さん、お思いのとおり、すぐに出る部分と、そうではなくて、今は成果として見えないけれども、後年度、ひょっとしたら5年後、10年後に大きく花開く子供もおるわけですから。これは象徴的な言葉なんですが、教員の一言が子供の人生を変えてしまうと。能力・実績となってイメージ化するのは、例えば高校進学、大学進学、あるいは学力標準偏差の数値、ほかにもあると思うんですけれども、そういう実績をもとに評価をされる。能力といっても、さまざまな能力があるわけですので、何をもって教員の理想とすべき能力とするかというところがあるわけですから、ここはかなり用心をすべきであると思うんです。結果で見るよりも、教員の日々の勤務のありよう、態度評価、現在進行形、子供に愛情を注いで、その子供の先の人生を考えて、ひたすら頑張り続けるといったイメージでぜひとらえるべきではないかと思うんです。
 この文章からいうと、そういうことで能力とか実績に見合った、それに即したそのことで教員給与に格差をつけていく。こういうことになりますと、日本の国の教員全体の中で競争をあおったり、人間関係を損なったり、職場の風通しを悪くしたりという大変危険な方向に行くことを懸念いたしますので、重なるところもありましたけれども、あえて……。ですから、めり張りをつけた教員給与をしていくもとのもとになる評価というものは、かなり慎重に検討して、客観性、妥当性、公平性のあるものに、これはかなり時間はかかると思うんですけれども、そこにこそ精力を注いで討議をすべきであると考えます。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【吉野委員】
 お二人の意見とちょっと違った意見で、まことに申しわけないんですけれども、私、アメリカでずっと教師をやらせていただいたものですから。あちらは最初に就職するとき、給与からプロ野球と同じで交渉なんです。それで、引っ越し代も出すか出さないか。各大学ごとに競う。そこの評価は非常にクリアでありまして、教育に関しましては学生に毎年アンケート調査をとります。それが1番からビリまで出ます。それから、大学ですから論文をどれぐらい書いたか、それにポイントがありまして、その2つで大体給与は決まる。みんな、それを知っていますから、その2つを頑張る。ですから、先ほどのように大学のほかの業務というのは、そこの学部長なり、またほかの職種がありまして、そこだけでいろいろやられている方もおられるというわけです。
 今、お二人のご意見では、小学校、中学校というところで、大学などと違って、そういう評価は難しいかどうかということだと思うんですけれども、私は、教育に関しては、それぞれの学級の子供さんの評価というのは、ある程度、学年がたてばできるんじゃないかと思いますし、それから、先ほどどこの学校に入ったかというより、やっぱり教育の質がどれぐらい上がったかということですから、それを評価するような、ある程度、全国的な知力、あるいは徳力、体力、全部を含めた評価の基準が必要ではないかと思います。
 それから、いろいろなところでいろいろな評価をやりながら、いい評価に近づいていくということが私は重要で、最初からこれは無理だというのは、お二人には失礼ですけれども、無理ではないかと思います。

【吉川委員】
 無理だとは言ってないです。

【吉野委員】
 それから、言葉の問題ですが、5ページ目のところと6ページ目のところで「1年間の変形労働時間制」という言葉が、「変形」というのが引っかかりまして、5ページの5番目のまるのところ、それから6ページの上から2番目のまるの最後の行のところで、これは1年間でめり張りをつけて、それで夏休みとそうでないところで大きく時間が変わってもいいということだと思いますので、私はこれはぜひ検討していただきたいと思いますが、言葉としては「弾力的な労働時間制」というように変えていただいたほうがいいかなと。個人的な意見です。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【森委員】
 反論じゃなくて、クリアにするために申し上げますと、私は今のご意見を伺って全然反対だとは思っていません。それはどういうことかというと、先ほど申し上げたように評価というのは必要です。ですが、誤った評価をしたときのマイナスが非常に大きいと申し上げているので、いきなり給与に反映するのではなくて、それは何年か試しながら固まって、先生も納得できるような評価基準ができればそれでいいと言ったんですから、全く私は反対じゃないと思っています。
 もう一つ、給与だけがインセンティブじゃないと思うんです、少なくとも長岡の先生と話しますとね。評価されること自体、きちんとしたインセンティブになると思います。

【田村主査】
 私も、その点は全く同感でして、教員というのは給与だけじゃないところがありますね、日本は特に。

【森委員】
 それで、いい先生像が国民的合意ができるのは大変結構だと思います。

【田村主査】
 しかし、給与も大事ですから。

【渡久山委員】
 評価と給与の連携の問題は、先ほどのように非常に難しいなと思うんですね。どれぐらい違うのかというと、現場の教員を全部ひっくるめて、それほど違いはないんじゃないですかね。しかし、経験年数というのは非常に大きく左右しますから。それから、学歴というものについては一定程度の評価をされていますからね。そうすると、入職時に一定程度そういう配慮というのは、今でもなされていますけれども、そういうことをしていくというのは妥当性があるんじゃないかと思っています。
 それから、この間、財務省のヒアリングを受けていたときに聞いたのは、外国の教員の給与は、給与表が何本もあるんじゃなくて、ある程度プラトウ状態になっている。ですから、ある程度の経験年数が来たら、ずっと上がっていて、それからそれほど上がらない。しかし、今のように何かの手当をつけて上げていくというような格好を、将来的にはそういう検討が必要ではないかなという気がします。
 もう一つは、ここにもリタイアした退職者を使おうということもありますけれども、今、再雇用制というのがありますけれども、近い将来、定年の延長というのを考えていったほうがいいんじゃないかと思うんですね。例えば大学でも70歳というのはありますけれども、今日の新聞なんかを見ると、どこかの会社が65歳、無条件定年制というので延長したといいますから、公務員全体の制度として、この辺もそろそろ手をつけていくということは非常に大事じゃないかと思っています。
 最後に、ここに教員の勤務時間の変形制がありますね。1年間を通じて平均すれば1日8時間当たりの労働になるとここに書いていますが、これは言葉では非常にきれいですけれども、果たしてそうなるかどうか。現在でも1カ月であっても結果的にはとれないんですよ。土曜、日曜で部活動で対外試合に連れて行って、次の週に代休がとれるかというとなかなかとれない。その1週間の中でもとれていないんですよ。ですから、超勤がずっと出てきているわけですから、超勤をまず解消するのにどうするのかというようなことがメーンテーマではなくてはならないと思うんですね。ですから、実態があるからといって、じゃ、変形労働時間でフォローしましょうというようなものにはならないと思うんですね。そこはきちっと踏まえておかないと、なし崩し的に超勤の常態化というのがあって、それに対する手だてが全くできていかないというような状態が出てくるという気がしますので、これはそういう感じで考えていただきたいなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【新田委員】
 今、渡久山委員に言っていただいたので、そのあたりから関連させて意見をいろいろ言いたいんですけれども、5ページの変形労働時間のところなんですが、今も言ったように、1日当たり平均8時間といっても、勤務実態調査のほうで、第1期、第2期を見ても、夏季休業中であっても超過勤務が多少なりとも出ている実態があると思うんです。そういうことを考えると、平均8時間ということが可能かどうか。実際、自分が現場にいて思うのは、夏季休業中とかに研修が随分多く組まれております。教員が自分の資質を高めるために、どうしても必要な研修が、ふだん子供たちがいるときに、子供たちを置いて研修に行くというのがやはり難しいものがあるので、夏季休業中に多くなっていますし、免許更新制というのが今議論されていると思うんですが、それにもある程度の研修を受ける必要性というのが明記されてきているのではないかと思うんです。それがこういう長期休業中に入ってくるのではないか。
 それから、長期休業中に校外に出る研修だけでなくて、校内の研究体制というものを見直す時間、ふだん子供が帰ってからでは十分とれない時間をここに集中的にとってやっていく現状があります。それから春であれば1年間のまとめであり、1年間の最初の用意もありますし、実際問題、長期休業中に時間を短くすることが可能かどうかということも、今、実際に長期休業中にどんなことを教員がしているかという実態も踏まえて議論していただかなければいけないのではないかなと思います。学校が週2日休みになる前、毎週土曜日に出ていて、月1回の休み、月2回の休みという段階を経ていったときに、私たち教員のほうには長期休業中に週休というのをくれていたんです。結局、土曜日に勤務しているかわりの代休的なものを長期休業中にとりなさいと。これは絶対とらなければいけないものですから、勤務予定に全部入れていくんですけれども、実際は週休と書きながら、学校へ出て行かなければいけないという実態がありましたので、そういうあたりも、変形労働時間を考えるというのは、私たち教員の勤務のことを考えてくれている面ではすごく評価できるんですけれども、実際問題、可能かどうかということは、もっと深く議論していかなければいけないのかなと思います。
 それから、本城委員にも言っていただいたんですが、5ページの1番の1番目のまるのところなんですけれども、実態の中に休憩というのを十分考慮していただきたいなと思います。超過勤務が1時間47分、2時間26分というんですが、実際、休憩が45分とれずに10分ぐらいしかとれていない。じゃ、それも入れると、本来の超過勤務は1時間ぐらい上乗せになるのではないかということもあります。表記の問題もあると思うんですけれども、休憩がとろうにもとれない。実際に給食指導であり、休み時間も遅れている子供に対する指導であり、それから安全管理もしていますので、ほんとうにほっとして、子供を忘れて休憩をとることができないし、とる気も教員としてはないんです。子供たちのことを考えれば、必要な時間ですのでやりますので、そういう教員の特殊性ということは、やはりここに明記していただけるとありがたいなと思います。
 それから、2ページのほうに戻るんですけれども、これも先ほど渡久山委員に言っていただいたんですけれども、1つ目の勤務実態調査の結果によれば、子供の指導に直接かかわる業務以外のほかの業務に時間が割かれていると。これは読み方によっては、余分なことをしているような感じにもとれないことはないかなと私は個人的に感じたんです。だから、子供に直接かかわるもの、間接的にかかわるもの、それから学校運営に関しても、すべて子供にかかわるもので、一般的に、どうしても子供がいなければ先生はすることがないのではないかと誤解される方も、私の周りにもそういうふうに言われる方がいらっしゃるんですけれども、実際には、ここの実態調査にも出ているように、子供たちの教育をするためには、直接授業をする以外にも、これだけたくさんの仕事があるということを、もう少し文章表現としてあらわしていただきたいなと思います。
 それから、1ページに戻ったところで、「能力・実績に見合った」という幾つか議論になっているところに対しても、私なりに意見を言わさせていただきたいんですが、実際問題、学校長が校務分掌を決めるときに、生徒指導であるとか、校内研修であるとかというところには、ある特定の先生に偏りがちになります。どうしてもスムーズな学校運営をするためには、それは仕方ないと思うんです。そこのあたりを能力というのではなくて、それなりの職務が与えられて、職責があるのであれば、それに見合った給与が出されるというのを今回の給与の在り方で考えていったらいいのではないかと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 たくさんのご意見をちょうだいしましたが、そろそろ時間でございます。
 実はお手元に今日やむを得ず品川区の教育委員会の会合で欠席された細川委員からメモが入っております。お手元にお届けしてありますので、ごらんいただきながら、またお考えをまとめていただきたいと思いますが、いずれにせよ、ただいま皆様からいただきましたご意見を踏まえて、事務局のほうで整理をさせていただいて、大変ですけど、よろしくお願いします。
 次回のワーキンググループで中間報告案という形でまとめさせていただきたいと思っております。そういうことでよろしゅうございましょうか。

(「はい」の声あり)

【田村主査】
 今日は大分核心に迫った議論がたくさんいただけたんじゃないかと思って喜んでおります。
 それでは、時間でございますので、公立学校教員の給与にかかわる平成19年度の予算に関しまして事務局からご報告があるということでございます。よろしくお願いします。

【松浦課長補佐】
 資料の4をごらんいただきたいと思います。「平成19年度義務教育費国庫負担金予算額(案)」と一枚紙で用意をさせていただきました。
 今回、この資料を出させていただきましたのは、いわゆる歳出改革の中で「骨太の方針2006」によって義務教育費国庫負担金についての記述がございますけれども、それが19年度予算にどのような形で反映をされているかということをご紹介を差し上げるということで用意をさせていただきました。
 「骨太の方針2006」では、義務教育費国庫負担金の関係では3点指摘をされております。
 1点目が、教職員の定数でございますけれども、教職員の定数につきましては、子供の数に応じた削減を行うこととし、具体的には今後5年間で教職員1万人程度の純減を確保することとされております。この観点につきましては、ここには具体的な数字は出ておりませんけれども、平成19年度の教職員の自然減として900人を計上しております。子供の減少に応じて教職員定数が900人減るということで、その分の減を立てております。
 なお、1「教職員定数関係」ということでつけております「教育課題対応緊急3カ年対策」の実施もございます。これはそういった自然減を立てつつも、今日的な教育課題として特に緊急性の高い特別支援教育及び食育の推進ということで、「教育課題対応緊急3カ年対策」というのを今年から3カ年として策定をいたしまして、こちらに重点的な教職員の配置を行うというものでございます。3年間で1,510人の改善でございますが、そのうち、平成19年度は特別支援教育311人、食育20人、合計331人を定数のやりくりの中で措置をしたというのが1点目でございます。
 そして、「骨太の方針」の2点目でございますが、地方公務員の給与構造改革や地方における民間給与水準への準拠の徹底というのもございました。これにつきましては、この表の一番下のまるにございますように「給与構造改革等への反映」ということで、増えるものとすれば地域手当の改善等ございますけれども、教員だけということではなくて、一般公務員全体として地方の民間企業水準へ準拠するということで所要の予算措置をしてございます。これによりまして義務教育費国庫負担金そのものは約100億円の減ということになってございますけれども、これは制度的な改正ということではなくて、教職員定数の自然減ですとか、民間準拠等への影響ということで、当然減的なものとして、そういうものが出てございます。
 なお、3点目、これは今回のワーキンググループにも非常に影響を及ぼす点でございますが、「骨太の方針」では、人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、めり張りをつけた教員給与体系の検討を行うということが盛り込まれております。この表の2の最初のまるでございますけれども、この取り扱いについては、財務省のほうから歳出改革期間の初年度である19年度から縮減を行うべきだということで非常に強い圧力があったわけでございますが、文部科学大臣のリーダーシップのもと、平成19年度予算からの縮減は行わないということが決定をされております。それは教育再生は安倍内閣の最重要課題、現在進行中の教員の勤務実態調査を踏まえためり張りある給与体系の見直しというものと、人確法に基づく優遇分の縮減につきましては、あわせて平成20年度の検討とするということがはっきりと示されたわけでございます。したがいまして、このワーキンググループでの結論を踏まえ、政府としての結論を踏まえた上で、要は具体的な制度設計につきましては、平成20年度の概算要求の中でめり張りある給与体系の見直しというものと人確法に基づく優遇分の縮減をあわせた中で予算措置を具体的に講じるということが決定されておりますので、ご紹介を申し上げます。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ご質疑ございませんか。

【渡久山委員】
 食育というのは栄養職員のことですか。栄養教諭ですか。

【銭谷初等中等教育局長】
 栄養教諭です。

【井上副主査】
 1つ質問があるんですけれども、「教育課題対応緊急3カ年対策」の1,510人ですが、この3年間の自然減は何ですか。

【松浦課長補佐】
 自然減は、平成19年度が900人、20年度が1,300人、21年度が1,900人ということで、3年間の合計では4,100人の自然減が生じます。

【田村主査】
 ご質問、よろしいでしょうか。
 それでは、時間となりましたので、ただいまのご報告を終わらせていただきます。
 なお、事務局からご報告、日程等についてのご説明がございますので、よろしくお願いします。

【渡辺専門官】
 資料5をごらんいただけますでしょうか。第13回のワーキンググループにつきましては、年明けて1月11日(木曜日)13時から15時、場所はKKRホテル東京11階「孔雀の間」でございます。第14回ワーキンググループにつきましては、同じく1月19日(金曜日)13時から15時でございます。場所は同じくKKRホテル東京の11階「孔雀の間」でございます。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【吉川委員】
 このワーキンググループの会は終了のめどを置かれていますか、置かれておりませんか。会の流れによってなのか、今の1カ年、教員給与の指名が下がりましたから、校務との兼ね合いでさばきをしておかないと、なかなか出てくることができないんですよ。ぜひめどを……。

【渡辺専門官】
 スケジュールにつきましては、検討につきましては18年度中に結論を得るということについては変わりございませんので、結論を得ないといけない。それを逆算していきますと、今考えてございますのが、1月中に2回ワーキンググループをさせていただいた上で中間報告というのをまとめて初中分科会総会にかける。中間報告をパブリック・コメントさせていただいて、その結果を受けて、2月にまたワーキンググループを2回から3回させていただいて、また総会のほうに、最後に答申というのをまとめていきたいということで、めどとしては2月中に何とかまとめたいと考えてございます。

【帯野委員】
 事務局にお願いなんですけれども、私たちが、これから具体的なことを論じていく前に、この中の幾つかは教育再生会議のほうでも取り上げられているようなテーマがあると思うんですね。問題意識というか、そこを共有しているのが当然のことだと思うんですが、例えばこちらでこれから議論しようとする点で向こうと重複するような点、例えばこの中の評価の問題だけでも構いませんので、教育再生会議はどんな方向性で、どのあたりまで論じていくのか、何かそういうところがもしわかれば……。マスコミでできるだけ追うようにはしているんですが、なかなか着地点が見えないところがありますので、口頭のご説明でも結構ですので、教えていただけたらと思います。

【渡辺専門官】
 次回以降で、教育再生会議の状況がまとまりましたら報告させていただきます。

【帯野委員】
 すいません。よろしくお願いします。

【田村主査】
 では、局長からどうぞ。

【銭谷初等中等教育局長】
 私から一言申し上げますと、教育再生会議は、先週、総会を開きまして、1月の中下旬に予定をしている報告案についてご議論をいただいたところでございます。ただ、先週の総会では、またいろいろな委員の方からご意見が出て、1月に出す予定の第1次の報告案の内容というのが、まだはっきりしていない部分がございます。いずれ教育再生会議としては、1月には第1次の報告を出し、そして、できれば第2次を5月ぐらいに出したいということのようでございますので、次回の会議に間に合うかどうかわかりませんが、教育再生会議の議論の状況は、私どもなりにまたフォローして、ご説明できればご説明したいと思っております。

【田村主査】
 それでは、今日はお忙しいところ、ほんとうにありがとうございました。
 閉会させていただきます。

‐了‐

お問合せ先

初等中等教育局財務課