教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第10回)・教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第11回)合同会議 議事録

1.日時

平成18年12月11日(月曜日)13時~17時

2.場所

KKRホテル東京 11階 「丹頂」

3.議題

  1. 諸外国の教員給与調査中間報告
  2. 教員意識調査・保護者意識調査中間報告
  3. 学校事務の在り方について
  4. 教員の勤務時間と教職調整額について
  5. 学校の管理運営体制の在り方について
  6. 教員特有の手当の在り方について
  7. 教員の優遇措置について

4.議事録

【田村主査】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第10回・11回の中央教育審議会初等中等教育分科会教職員給与の在り方に関するワーキンググループを開催いたします。
 きょうは、泊まり込みではないけれども、かなり長い時間になりますので、よろしくご協力のほどお願い申し上げたいと思います。大変ご多忙のところ、委員の先生方にご出席賜りましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。なお、文部科学省の局長、審議官の先生方は、大事なほかの公用がありますので、ちょっとおくれて来られるということです。布村審議官がおられますのでスタートさせていただきたいと思います。では、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事に入らせていただきます。まず1つ目の議題の「諸外国の教員給与調査中間報告」についてでございます。文部科学省の委託で、諸外国教員給与研究会により進められております諸外国の教員給与調査については、国立教育政策研究所研究企画開発部の渡邊主任研究官より中間報告をお願い申し上げたいと思います。きょうお見えいただいていますので、よろしくお願いいたします。

【渡邊主任研究官】
 ただいま主査からご紹介いただきましたとおり、本日、諸外国の教員給与の状況について報告させていただきます国立教育政策研究所の渡邊恵子と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。恐縮ですが、座らせていただきます。
 私どもは、本年度、私の所属しております国立教育政策研究所の所長を代表者として、諸外国教員給与研究会を組織しております。この研究会におきまして、文部科学省さんからの委託研究として、海外8カ国、具体的には、アメリカ、イギリス、韓国、シンガポール、スウェーデン、ドイツ、フィンランド、フランスの8カ国の教員給与についての調査研究を実施しております。この調査研究の期間は今年度いっぱいとなっており、最終的な取りまとめは、来年3月に行う予定としておりますが、文部科学省さんより、こちらの教職員給与の在り方に関するワーキンググループにおけるご検討の参考としていただくために、年内に各国の概況を報告してほしいとのご要請を受けましたため、中間的にではありますが報告を取りまとめました。お手元にお配りしております資料1‐1が本研究会としての中間報告でございます。本日は時間が限られておりますので、中間報告の中のハイライトに沿って報告申し上げたいと思っておりますが、ハイライトにつきましては、本日の資料の1‐2としてお配りしておりますので、資料1‐2をごらんいただきながらお聞きいただければ幸いです。
 現時点におきましては、まだ実地調査を行っていない国もございまして、本中間報告は、先行研究や文献、あるいは各国において公表されている資料を基に整理したものでございますので、いまだ十分に明らかにできていない点も残っておりますことをご容赦いただければ幸いです。ハイライトにつきましては、文部科学省さんともご相談しながら、各国についてポイントになると思われる点を簡単にまとめたものでございます。
 それでは、ハイライトに沿って報告申し上げます。まず、アメリカでございますが、最近の施策の動向としまして、全米優秀教員認定証、これは非営利団体が認定する資格制度ですが、その取得者や教員が不足しがちな分野の教員を対象に賞与を支給している州がございます。また連邦の、本年10月から始まりましたティーチャー・インセンティブ・ファンドは、各州・学区が数学・科学教員などの必要な分野の教員の給与の優遇に活用することも可能と聞いております。
 給料表につきましては、各学区が教員組合との交渉を経て策定いたしますので、各学区・各州によってその内容は異なります。州が最低基準として給料表を策定する場合もあります。一般教員の給料表の場合、取得学位や大学院において取得した単位数と経験年数によって給料額が決まることが多いようでございます。
 諸手当の支給の有無、内容ともに学区により異なります。住居費等の手当が支給されることはほとんどないそうです。
 能力・実績に基づく給与につきましても、各学区により異なりまして、連邦、あるいは州レベルでの規定はございません。
 勤務時間につきましては、通常、授業時間を含めた学校内勤務時間として学区と教員組合との間の協約で定められております。教員は連邦法においては、割増賃金規制の適用対象外とされております。
 教員は通常、学期中の期間(9カ月~10カ月)の雇用契約を結ぶため、長期休業期間中には勤務を要せず、給与も支払われません。このため、長期休業期間中に学区の業務以外の職につくことは可能ですが、その割合は教育関係で約8パーセント、教育関係以外で約9パーセントという調査結果がございます。また、このほかに学区の業務としてサマースクールなどの指導に当たることもあるようでございます。
 アメリカでは、1980年代以降、教員の質の向上を提言した各種報告が出ておりまして、各州は優秀な教員の確保と教員の質の向上を目指し、特に教員養成制度改革、教員免許制度改革を展開しております。
 教員給与の優遇措置につきましては、「最近の施策の動向」で述べたとおりでございまして、以下のことは優遇措置と位置づけてよいかどうか悩んだところではありますが、学区との契約に基づき成人教育講座の講師など、通常業務以外で収入を得る教員が約4割、平均収入で約32万円、夏期休暇中にサマースクール等の指導により収入を得る者が約2割、平均収入が約30万円であったという調査結果もございました。
 次にイギリスでございますが、1998年以降、質の高い教員の採用・確保のための教員給与水準の引き上げが行われております。引き上げを行う際には、実績に応じた給与制度としております。
 給料表は、第三者機関の勧告に基づき教育技能大臣が定めます。教員には基本給料表と上級給料表がありまして、ほかに優秀教員、上級教員、管理職の給料表がございます。
 諸手当につきましては、指導学習責任手当、特別教育ニーズ担当手当、代理手当、臨時校長手当、通常の勤務日や勤務時間外に行う業務がある場合の追加手当、教員の採用確保のためのインセンティブ手当があります。これら以外にも、過去に廃止した手当がありますが、これらの手当については、3年間は同額の支給を保証しております。
 能力・実績に基づく給与につきましては、教員が基本給料表から上級給料表に昇給するためには、学校内における審査が必要です。上級給料表では、業績評価を経ないと昇給できません。優秀教員や上級教員に昇格する際にも、学校内外における審査が必要です。上級教員給料表では業績評価を経ないと昇給できません。
 教員の年間勤務日数は195日、校長等の具体的指示を受けて働く時間は1,265時間と決められております。1,265時間以外の専門的職務を果たすための時間は雇用者が具体的に定めてはならないとされており、1,265時間以外の時間も含めて包括的に給料で評価していると見ております。
 教員は、校長の指示を受けない限り長期休業期間中に勤務することはありません。ただし、1,265時間以外の専門的職務については長期休業期間中に行うことも可能です。教員の給料は年額で定められており、それを12月に分割して支給することが一般的でございます。
 都市部と特定の教科における教員の欠員が著しいため、質の高い教員の採用、確保が重要な政策課題になっております。また、新任教員の定着も課題でございます。このため、給与水準の引き上げに加え、教員の仕事量の軽減方策などを実施しております。
 優秀な大学卒業者に対して教員を魅力ある職業とするため、第三者機関が勧告を行う際には、他の職種の平均初任給伸び率と同程度の伸び率を確保したり、ロンドン地域については給料水準を一層上げるなどの工夫を講じております。
 次に韓国でございます。1999年の「教育計画5カ年計画」において、教員給与を民間企業と同水準にまで上げることが提案されました。その際、能力や功績に応じた人事・給与制度の構築が1つの方針とされております。
 給料表は、他の国家公務員同様、「公務員報酬規程」に定められております。幼稚園、初等学校、中学校、高等学校の教員は、単一の給料表の適用を受けております。
 多様な諸手当がございますが、大別しますと、賞与手当、家計保全手当、特殊業務手当、特地勤務手当、超過勤務手当に分けられます。
 2001年からは、業績に基づく給与として、成果賞与金(一時金)を導入しております。業績評価に基づき一定期間の教員の勤務に対し等級をつけて、等級に応じて支給しております。評価の際には成果給審査委員会の審議を経ておりますが、担任の有無、授業時数、表彰実績、学習及び生活指導力などを基準としております。
 国家公務員服務規程によって1週間の勤務時間数が定められております。勤務時間外の勤務については、月67時間以内で1時間を単位に給料額に応じた額が超過勤務手当として支払われております。
 長期休業期間中も学期中と同様に勤務時間が割り振られており、学期中と同様に給料も支給されております。また、条件を満たす場合には手当も支給されます。
 人材確保の方策としては、初等学校教員希望者の減少と中学校・高等学校の教員希望者の増加が課題です。初等学校教員に優秀な人材を確保するための供給計画の策定、中学校・高等学校の教員志望者の雇用率を上げるための教員1人当たりの児童生徒数の引き下げなどを実施しております。
 次にシンガポールでございますが、2001年から能力・業績に基づく給与として業績賞与を導入しております。
 給料表は、教育省が定めます。教員は学士の学位の有無で適用給料表が異なり、管理職等はまた別の給料表が適用されます。
 諸手当に関しましては、教科や生徒指導等の部局主任、教科主任や学年主任に対してその職務に応じた手当を支給しております。その他、各種賞与などがございます。
 2001年から導入された業績賞与は、校長推薦に基づき教育省が対象教員に支給しております。
 勤務時間につきましては、教員は通常の公務員と同じ週44時間勤務で、時間外勤務手当は支払われないとのことです。
 長期休業期間中の年間12週間は休暇扱いとなりまして、勤務を要しません。ただし、急務などにより校長から公務・研修命令が出た場合は勤務しなければならないことになっております。
 人材確保の方策として挙げさせていただきましたのは、唯一、学士レベルで教員養成を行う国立教育学院の学生が訓練生として教育省に雇用され、給料が支払われているということでございます。
 教員給与の優遇措置につきましては、特に講じられておらず、他の国家公務員と同程度の給与水準でございます。
 次にスウェーデンでございますけれども、1996年に給料表が廃止され、個々の教員の能力・実績に基づく給与制度に移行しました。これに先立ち、1991年から教育制度の地方分権が進められ、国がそれまで有していた教員給与を含む学校運営の権限が大幅に地方自治体へ委譲されております。
 給料表はございません。ただし、教職員組合とスウェーデン自治体連合、こちらは雇用者側の組織でございますけれども、との協定によって最低賃金が決められています。
 諸手当の支給の有無、内容ともに学校により異なります。全国レベルでの諸手当に関する規定はありません。予算不足から教職員を十分に雇用できない自治体へは、国が手当に充てる予算を措置しておりますが、その配分方法については、事前に自治体から国に報告することになっております。
 能力・実績に基づく給与につきましては、「最近の施策の動向」で述べたとおりですが、能力・実績に基づく給与の基となる評価は、各自治体が大まかな評価軸を定め、具体的な評価項目を学校が独自に設定するケースが多いとのことです。評価は校長が行います。
 教員の勤務時間も従来は国が定めておりましたが、現在は地方自治体の権限になっております。多くの場合、年間の法定勤務時間は1,767時間、そのうち、学校内勤務時間は1,360時間でございます。
 長期休業期間中、一般的に教員は6月中旬から8月中旬まで休暇を取得します。
 1998年以降、優秀な人材を確保するためには、まず教職を魅力的なものにしなければならないという認識のもと、「魅力的な学校プロジェクト」など、幾つかのプロジェクトが国レベルで行われております。
 教員給与の優遇措置に関しましては、現時点において未調査でございます。申しわけございません。
 次にドイツでございますが、東西ドイツの統一により、教員給与制度についても双方のシステムを統合することに時間を要してきましたが、現在でも違いを残しております。また、2007年1月からは、連邦制度改革の一環として、連邦給与法に基づいてきた州の官吏である教員の給与制度が、各州政府の給与法のもとに置かれることになります。以下は、現時点での状況のご報告になります。
 州の官吏である教員の俸給表は、連邦給与法に規定されておりまして、一般官吏と同じ俸給表の適用を受けております。私法上の雇用契約に基づく雇員である教員も存在するのですが、こちらは州政府と雇員の組合間で締結されている労働協約に基づき処遇されます。
 州の官吏である教員には、家族手当、職務手当などが支給されます。
 州の官吏である教員については、1990年代後半の法改正により、州の権限によって実績賞与や実績手当を支給できることになりましたが、財源が手当できないために実施していない州があるなど、州によって取り組みが異なります。
 教員の勤務時間に関しては、各州の規定によって担当授業時間数のみが決められており、州、学校の種類、学校の規模、年齢などによって異なります。ただし、職務の内容としては、授業以外の授業準備、授業後の添削、成績評価、会議、保護者との面談、研修なども含むものと認識されております。
 長期休業期間中は、基本的には勤務を要しません。ただし、学校外での授業準備のほか、休業期間最終週に会議が行われる場合があるなど、勤務がないとは言えない状況です。また、給与は通常どおり支給されます。なお、およそ30日間の有給休暇は、原則的に長期休業期間中に取得すべきものとされております。
 人材確保の方策としましては、州によっては教員のイメージアップキャンペーンを行ったところもあるという程度でございます。
 教員給与の優遇措置に関しましては、一般の官吏に適用される俸給表が教員にも適用されており、優遇措置はとられていないと考えます。
 次にフィンランドでございますが、2006年6月、本年6月に締結された労働協約により、能力・実績を給与に反映させることが可能となりました。詳しい内容は、現在検討中です。
 教員の給料表は、雇用者団体である地方自治体雇用者機関とフィンランド最大の教職員組合が交渉し、その合意に基づき決められます。基礎学校教員、教科担当教員、特別支援教員、校長の給料表がございます。
 手当についても、雇用者団体と教職員組合との合意に基づき決められます。定期手当、へき地手当、1、2年生担当手当、複式学級担当手当などがあります。
 能力・実績に基づく給与は、「最近の施策の動向」で述べたとおりでございます。
 年間の勤務日数は、校長・教頭が225日、教員が190日程度(授業日のみ)とされております。決められた授業時間数を超えた授業に対しては、1回につき給料の約3パーセントから4パーセントが支給されます。
 校長・教頭などの管理職以外の教員は、原則として長期休業期間中には勤務を要しません。給料は、年間給料を12等分して毎月支払う仕組みになっていることから、長期休業期間中にも支給されます。
 数学と自然科学における教員不足や農村地における質の高い教員確保、新任教員の高い離職率が課題となっており、能力・実績に基づく給与制度を導入することにより人材確保につながることが期待されております。
 教員の給与につきましては、他の公務員と同程度の給与水準とのことです。
 最後になりますが、フランスは、1989年に初等教育教員の資格要件を引き上げるとともに、給与の改善を行いました。
 教員は国家官吏であり、国が俸給表を定めます。
 諸手当につきましては、一般の公務員と共通のものとして居住地手当と家族扶養補助金があり、教員特有の手当として進路指導手当、補習授業手当、優先教育地区勤務手当、交代教員特別手当などがございます。
 昇給や昇格を決定する際に考慮する勤務評定を実施しております。勤務評定の結果が良好なほど、昇給・昇格に要する期間が短くなります。
 勤務時間は授業時間で決められ、授業時間以外に学校にいる義務はありません。ただし、授業時間以外に授業準備、宿題や論文の出題と採点等に多くの時間が必要とされております。
 授業の行われる年間36週以外は、原則として勤務を要しません。国家公務員の給与は年俸額が決まっており、その12分の1が毎月支給されるため、長期休業期間中にも支給されます。
 人材確保の方策としましては、1989年に初等教育教員の資格要件を引き上げるとともに、給与の改善を行いまして、以後は教員人気が高いこともあり、特別な人材確保方策はとられておりません。
 教員給与につきましては、同等の学歴を有する他の国家官吏と比較した場合、給与水準は低いほうであるとされています。最後にあります「1」というのは誤植でございまして、申しわけございませんが削除していただければ幸いです。
 以上、大変駆け足でハイライトに沿ったご報告をさせていただきましたが、1点最後に補足したいと思います。給料表などの作成に当たって、教員組合との交渉を経て作成しているアメリカ、スウェーデン、フィンランドにつきましては、他の地方公務員や公務部門で働く職種につきましても同様の手続きで給料表を作成しておりますので、日本とは公務員全体の給与体系の決定過程が異なるということをご理解いただければと思います。
 以上でご報告を終わります。時間の関係で十分にご説明できていない点が多々あろうかと思いますので、ご質問を賜れれば幸いです。ありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。ただいま、渡邊主任研究官からご説明がありました諸外国の教員給与調査の中間報告について何かご質問がございましたら、どうぞお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 どうぞ、帯野先生。

【帯野委員】
 この幾つか調べられた項目の中で、例えば身分保障の制度がどうなっているのかというようなこともお調べになったのかどうか。それから、加えて、月額の給与の支給のされ方以外に、退職金とか年金の問題も調べられていらっしゃるのかどうか、それも教えていただけたらと思います。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございます。身分保障のあり方につきましては、そこまで特定してではございませんが、教員の身分という形で、公務員身分を持っているのかどうか。公務員の身分を持っております場合は、ある程度、身分保障が強い国もございますし、そうでない国もあるんですけれども、全体としてどういった身分を持ち、どういった採用形態で教員というものが動いているのかということは、最終報告までには調べたいと思っているところでございます。
 退職金と年金につきましては、一応調査項目としておりますけれども、各国、制度が大分異なりますので、苦労しているところでございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、ほかにご質問はございませんでしょうか。
 どうぞ、井上先生。

【井上副主査】
 教員の給与について、大変貴重な調査をしていただいてありがとうございました。その中で、教員給与がアメリカなどのように年額で決まっている、年俸で決まっているような国もございまして、今、ここのワーキンググループで検討対象になっている時間外勤務手当の話は必ずしもよくわからないところがあって、例えばアメリカのような場合には、長期休業中給与を支給しないし、また時間外勤務については適用対象外というのが連邦で決まっているということもあるようですが、全体的に、例えばイギリス、韓国の2国についてだけは、時間外勤務をした場合、イギリスは追加手当がある、韓国は超過勤務手当が支給されるというようなところもあります。シンガポール、そのほか、あとを見ても、時間外勤務手当を支払っていないというのが一般的のようですが、その違いについて、共通してどのようにこの調査結果からお考えなのか、その点をちょっと教えていただきたいと思います。

【田村主査】
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございます。まず、私どもも、時間外勤務手当の制度を調べたいと思いまして、一番気をつけなければいけないと思いましたのは、まず勤務時間というものが、日本のように授業時間以外の時間も含めて、1日8時間、それが52週分と決まっているところが少ないということでございました。勤務時間が、イギリスの場合1,265時間となっておりますけれども、日本の法定勤務時間は1,900時間を超えているんです。授業時間で決めているのがフランスやドイツ、あるいは授業だけではないけれども、具体的に校長の指示を受けて働かなければいけない時間というような形ですとか、学校内にこの時間はいなきゃいけないという形で決まっているところが大変多うございまして、日本のように勤務時間が決まっているのは、この中では韓国とシンガポールのみでございました。そうしますと、時間外勤務手当といいましても、もともと基本となる時間が異なりますので、イギリスの場合ですと、1,265時間より多く働く分に関しては、中身によっては追加手当というものが出るんですけれども、普通に教員が行います授業準備とか、授業後の採点ですとか、成績評価というものは、いくらやっても追加手当は出ません。あるいは、フィンランドにつきましては、授業時間数が決められておりますので、授業時間数を超えた授業に関して時間外授業手当のようなものが支払われたりいたします。これも日本で言う時間外勤務手当と同列のものと考えるのはちょっと難しいのではないかと考えました。
 私の現時点での感想といたしましては、確実に管理職が捕捉できる時間の授業ですとか、指定できる、例えば研修に行ってきなさいとか、そういったことについて追加的に手当を出しているところはありますけれども、それ以外の形で出しているのは韓国だけではないかと思っております。ただ、韓国の超過勤務手当が実際にどういうふうに運用されているのかというところまではまだ調査が及んでおりません。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 こう幾つか見ますと、最近の施策の動向として、給与水準を引き上げるというのが傾向としてあるわけですね。これは1つには、フィンランドの場合は、最初から相対的に高いというのがあって、その国の中で高いと聞いているんですが、例えばイギリス、韓国とか幾つかのところでそういうように行われているんですけれども、その傾向の裏づけになっているのはどういう理由からだろうかということが1つの質問です。
 それから、もう一つ、イギリスの場合、質の高い教員の採用確保というのがございますけれども、情報によると、イギリスの場合、退職教員が非常に多いということも聞いているんです。ですから、ここにもありますけれども、再就職手当みたいなやつをわざわざ出したりしているんですが、そういうイギリスの教員の採用状況と待遇との関係を教えてもらいたい。以上です。

【田村主査】
 よろしいでしょうか。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございました。まず、2点目のイギリスの状況からお答えしたいと思います。先生ご指摘のとおり、イギリスでは、学校単位で教員の採用を行っているということも関係していると思いますが、教員の離職率が大変高うございます。全般的な離職率は毎年10パーセント。ITですとか数学ですとか、特定の教科では20パーセント台、あるいはロンドンの都市部でも20パーセント台の離職率でございまして、この教員をどう引きとめるかということも、新任教員として質の高い教員を教職にどう引き入れるかということともに、イギリス政府の大きな課題でございます。そのため、他の労働市場と比較しても遜色のない給与を提供しようという施策につながっていると理解しています。
 1点目のご質問に関しまして、私の感想も含めてしまいますけれども、特にイギリスで顕著に見られますように、多くの国では、現在、知識基盤社会への移行に伴い、教育の質の向上を図るための1つの方策として、教員の質の向上を目指しております。その1つの手段として教員給与の引き上げを行っていたり、あるいは行おうとしているという状況にあると感じております。以上でございます。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。どうぞ、細川委員。

【細川委員】
 ざっと見た印象なんですけれども、日本の先生方に比べて、学校等にかかわる時間が少ないのかなという印象なんですが、それは先生たちの職務というか、本務としてここからここまでですよというのがどの国もかなりはっきりとそのあたりが定められているんでしょうか。ここからここまでの仕事内容としてこのお給料という形になっているのか、そのあたり附属してもしお調べになったようであれば教えていただきたいと思います。

【田村主査】
 よろしいですか。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございました。各国でどう規定がなされているかといいますのは、規定のある国もない国もございまして様々ですし、日本でも教員は児童の教育をつかさどるということしか書いていないので、規定がどの程度あてになるのかということもあるかと思うんですけれども、実際にどういう仕事をしているかということを考えますと、思っていたよりも授業以外のこと、生徒指導、あるいは保護者の対応、そういったものを実際にやっていますとお答えになっている国が多うございました。ただ、部活動に当たるようなものというのはあまり該当がないようでした。
 イギリスの場合で申し上げますと、職務の規定に関しては、網羅的に規定されているのですが、教員の勤務時間が実際には非常に多くなっているということも離職率の高い原因ではないかということで、2003年から教員の職務内容の見直しというものが行われておりまして、それは中間報告の中に少し書いてあるんですけれども、そこでは教員に常にこういうことをやらせてはいけないというような形で、集金業務ですとか、ICTのメンテナンスですとか、事細かにリストにして挙げております。そういったことを受けまして、教員資格のないティーチングアシスタントという職種の採用が各学校で進んでおりまして、そういった方たちとの役割分担も行われているというようなことを聞いております。網羅的なご回答にはならなかったと思いますけれども、以上でございます。

【田村主査】
 よろしいでしょうか。どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 大変おもしろい調査をしていただきましてありがとうございました。
 幾つかまず教えていただきたいんですけれども、まず第1点目は、公務員制度一般について各国比較をする場合に、単純に言うと、ポジションシステムとキャリアシステムというような二分法によって行われて、ドイツ、フランスの形態と英米、ないし北欧的な、海洋ヨーロッパ的なものとが若干違うというような形です。英米・北欧のほうは職務給の原則に比較的合っているというような分類があるんです。ざっと見させていただくと、ドイツ、フランスは確かにそういう感じで、ぎりぎりと職務内容を詰めていないで、身分といいますか、人に対して払っているのかなという印象があったんです。教育の分野で、教員制度のあり方についてどういうような類型論といいますか、各国間比較をするときの大体の通念的なイメージがあるのかというのをまず1つ教えていただければと思います。
 それから、2点目なんですけれども、それに関連するんですけれども、一番難しいのは、どこまで時間で把握できるのかという点があろうかと思うんです。ぎりぎり詰めていくと、結局授業時間だけ、大学流に言えばコマ数だけという把握になって、その前後、どれだけ準備しているかというのはよくわからないという話になっているタイプがどうもドイツ、フランスのような感じなのかなと。イギリスも、1,265までは把握できるけれども、あとはよくわからないというのに近いのかなと思うんです。そうして見ると、アジアは最後まで全部把握し切るという1つのタイプなのかなと。つまり、一月とか、週何時間というので把握し切れるという発想がどうもありそうです。多分、日本はドイツ、フランス的なものと韓国、シンガポール的なものの中間にあるような気がするんです。韓国とシンガポールでは、どうやって時間把握し切れているのか。逆に言うと、教員も普通の行政職の職員のように、言われたままに仕事をしている。だから全然問題なく、時間で全部把握できるというような考え方に立っているのかどうか。
 つまり、最初の質問は、国ごとの公務員制度のくせがあらわれているのかどうかという話。2つ目は、どちらかというと、教員が時間で把握できるというものと把握できないという教員の特殊性を重視しているのかどうかで、見たところ、韓国、シンガポールではそれほど時間では把握できないという発想はあまりないような印象を受けないわけではないんですけれども、そこら辺、比較の検討をされた中でどのような感触をお持ちなのか。簡単に言えば、教員の特殊性が、時間が把握できないというところにあらわれているのか、それとも教員の特殊性というのはそれほどなくて、結局時間で把握できるんだという考え方の国とどういうような違いがあるのかというのをわかる範囲で教えていただければと思います。

【田村主査】
 よろしいですか。大変おもしろい質問です。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございます。ポジションベースドかキャリアベースドかということにつきましては、日本での先行研究ではそういった分類をしているものは過去ないように思うんですけれども、OECDが2005年に『ティーチャーズ・マター』というレポートを出しておりまして、日本では当研究所が『教員の重要性』というタイトルで邦訳しているんですけれども、そこの中で、ポジションベースドとキャリアベースドの公務部門の分類が教員の雇用形態にも影響があるとの分析をしています。キャリアベースドの顕著な例がフランス、日本、韓国。ドイツもおそらく、時によっては入ってきます。
 ポジションベースドはイギリス、スウェーデン、アメリカなどが出てきますけれども、そういった形での分類で、やはり教員の確保なり、各国が抱えている課題につきましては、特徴が見られるのではないかという分析をしているのが、先ほど申し上げたOECDのレポートでございます。それは意識をして今回、調査研究を進めたいとは思っているところでございます。
 2点目の勤務時間管理につきましてですけれども、これはなかなかお答えするのが難しいと感じております。フランスやドイツにおいては、他の公務員、官吏につきましては、やはり日本と同じような形で勤務時間が決まっておりまして、教員だけが授業時間数での管理ということになっております。日本と同じような法定勤務時間があるのは、日本と韓国、おそらくシンガポールもそうだと思うんです。とは言っても、シンガポールの場合は長期休業期間中は休暇扱いとなったり、やや違っておりまして、その違いが何から出てきているのかということについて分析するのは興味のある問題ではありますけれども、おそらくいろんな事情、公務員制度との関係、あるいは教育の世界での事情があると思いますので、最終報告に向けての宿題にさせていただきたいと思います。

【田村主査】
 よろしいですか。変形労働とか、裁量労働とか、いろいろ議論されていることとちょっとかかわってくるんですけれども、ここでは今、時間外を議論しているものですから、今の話は非常に重要なご指摘なんですが。よろしいですか、ほかには。
 では、新田先生。

【新田委員】
 この表の中に能力・実績に基づく給与という欄があると思うんですが、このワーキンググループの中でも、結局、教員給与をどうするかというところで、能力・実績に応じて給料表をつくるのかどうかというようなことも今まで話題に出たと思うんですが、この縦のラインを見ていると、一時金で出すところとしっかり給料表を決めているところとがあると思うんです。その中で、イギリスなんかは、資料1‐1の17ページを見ていても、上級教員、優秀教員ということで、きちんとした給料表をつくって、自分の学校とか自分の学校以外にも指導に行くというような職務内容もはっきりしているんですけれども、イギリスで言ったら、大体の割合みたいなのは調査としてできているんでしょうか。例えばドイツなんかは、実際に、能力や実績に応じてするけれども、財源がないから結局できていないというところがありますけれども、日本の場合も同じような問題があるのではないかと思うんです。イギリスなんかは、そういう割合みたいなのがはっきりできているのかどうか。優秀ならどんどん出していくような状態なのかどうかというのを教えていただきたいんですが。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございます。ハイライトのほうで、能力・実績に基づく給与として分類したものは、実は多種多様なものが含まれておりまして、日本での勤務評定と同じような仕組みを持っているに過ぎないもの、フランスですとか、日本で言う勤勉手当的なものを持っているに過ぎないというような、韓国とかシンガポールが当たるのではないかと思っておりますけれども、そういったものもございますが、イギリスの場合は非常に特徴的に職務を分けて、職務ごとに給料表を定めるということをしております。割合としては、基本給料表という自動的に上がっていく、これは6段階目までしか上がらないんですけれども、こちらが今の段階で4割5分ぐらい。上級給料表のほうもやはり4割5分ぐらいだったと思います。すみません、今、正確なデータを持っていないんですけれども、半々に近くて、やや基本給料表のほうが多いかなというぐらいです。上級教員といいますのは、0.何パーセントという位で、1パーセントおりません。優秀教員は、この2006年の9月からスタートした制度で、まだ全国に一けたしかいないだろうと言われております。
 イギリスの場合は、学校に教職員の給与も含めて包括的に予算が行くようになっておりますので、校長ですとか学校理事会がスタッフの構成も含めて判断をすることになっております。そういった形ですので、学校によっては上級給料表教員を雇いたいんだけれども、ちょっと予算的に難しいですとか、あるいは上級給料表教員を雇うことにするので、例えばあまり授業時間数のない特定の教科につきましては、フルタイムの教員はやめてもらって非常勤にしようとか、そういった判断も行われているようでございます。上級教員が普及しないのも、私が話を聞いた校長先生は、自分の学校で高いお金を払うのに、勤務時間の2割もほかの学校にとられてしまうので、校長としてはあまりうれしくないかなというような話もございました。ただ、今現在の割合としてはそういったことで動いております。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、時間がそろそろ来ておりますが、よろしゅうございますか。では、どうもありがとうございました。

【渡邊主任研究官】
 ありがとうございました。

【田村主査】
 ご報告いただきました諸外国の教員給与調査の中間報告は大変貴重なものでございます。今後の論点整理に当たっては、ぜひこの中間報告も踏まえて検討していきたいと考えています。ありがとうございました。
 続きまして、次の議題に移らせていただきます。現在、文部科学省において行っている教員の意識調査、保護者意識調査について事務局から中間報告をお願いしたいと思います。お手元にございます資料2‐1に基づきまして、松浦先生から教員意識調査、保護者意識調査の中間報告について説明をお願い申し上げます。

【松浦課長補佐】
 それでは、ご紹介いただきましたように、資料2‐1、2‐2をごらんいただきたいと思います。資料2‐1が、教員意識調査、保護者意識調査の中間報告書(案)の概要ということでございます。今回、時間もそれほどございませんので、この概要版を使ってご説明させていただきたいと思います。また、資料2‐2のほうが全体版ということでございまして、補足として、教員と保護者にそれぞれ調査をさせていただきました様式につきましても添付させていただいてございます。
 それでは、早速中身についてご説明を申し上げます。今回のこの保護者、教員の意識調査につきましては、文部省の委嘱調査ということで、株式会社リクルートマネジメントソリューションズに委託いたしまして対応していただいたものでございます。
 まず、1ページ目をお開きいただきたいと思います。この調査の概要を書いてございます。教員の職務や給与・評価制度等に関する意識について教員、保護者それぞれの立場から回答をいただいております。教員の意識調査につきましては、対象者は全国の小・中学校の校長、教頭、教員でございます。保護者につきましては、調査させていただきました先生方の保護者ということになってございます。調査の期間は、平成18年10月。調査対象校は、小学校176校、中学校178校、合計354校でございます。先生方につきましては、8,976人の先生に依頼をいたしまして、8,059名から回答をいただいております。回収率といたしまして、89.8パーセントとなってございます。保護者意識調査につきましては、注1ということで書いてございますけれども、その学校の中の、ある学年の一番最初の学級の子供たちの保護者等にご協力をいただくという調査の形をとりまして、調査様式につきましては、それぞれの学級の子供の数が正確にわかりませんので、最大限40名ということで、40名分の資料を、余部を2部追加してございますが、40部として送付させていただき、その中から6,723名の方の回答をいただいたということでございます。ですから、正確な回収率は、ここには47.5パーセントと出ておりますが、実際のクラスは40人以下のクラスが実質的に多いわけでございますので、もう少し回収率は高いものだろうと思われます。
 資料の3ページをごらんいただきたいと思います。教員の意識調査の部分でございますけれども、ここでは調査項目につきまして書いてございます。はじめにというところから第1部、仕事や職場での満足感や負担感について、第2部、仕事や職場で感じるストレスの状況について、第3部、忙しく感じることや負担に感じることについて、第4部、教員としての役割について、第5部、給与や評価制度等についてということで、この1部から5部につきまして、以下のとおりまとめさせていただいております。
 4ページをごらんいただきたいと思います。仕事や職場での満足感や負担感についてということでございます。まず満足感についての回答でございますが、下のほうの表をごらんいただきますと、仕事や職場での満足感というものにつきまして10の項目で調査をさせていただきました。これにつきまして、先生方につきましては、それぞれの項目について、1:当てはまらないというのが1点、2:どちらかといえば当てはまらないというのが2点、どちらともいえないというのが3点、どちらかといえば当てはまるというのが4点、当てはまるというのを5点といたしまして、全体の回答の平均点というのを出してございますし、その分布につきましては、表の右のほうにございますような形で示してございます。これを踏まえまして、その状況についてご説明いたしますと、例えば1:今の仕事にやりがいを感じている、2:今の仕事を通じて成長できていると思う、3:今の仕事に誇りを持っている、こういった部分につきましては4点台、全体として点数、例えば1が4.23と出ております。これは5点満点の中で8,059人の回答の単純平均が4.23ということでございます。右の棒グラフを見ますと、青い数字と水色の数字、この部分が非常に高いということでございますので、平均点として4.23という数字が出てございます。ここの1、2、3を特にごらんいただきますと、仕事に対する充実感や適応感は非常に高い傾向が見受けられる。全般的に高いというのが見受けられますが、今言った部分が特に高く数字として出ているのが傾向としてわかるところでございます。
 右のほうでございますが、負担感について調査させていただいたものでございます。11から25という区分で項目を立ててございます。同じように、5点の中でどれに当てはまるかということで点数、平均点をはじき出してございます。下の表を見ますと、ちょっと表が小さくて申しわけございませんが、11:同じような仕事の繰り返しでマンネリ感を感じているということについては、それほど感じていない、あるいは12の今の仕事は単調で手ごたえが感じられないということについては、それほど強く感じられないというような回答がございます。13以降につきましては、どちらかといえば点数が高く出ております。これはどちらかというと、どちらかというと仕事の負担感が高い、こういう部分の項目で点数が高く出てございます。したがいまして、仕事の量や質に対する負担感が非常に高いという傾向が見受けられるとともに、休みをとることが難しく、残業や休日出勤しなければならないほど忙しいと感じている割合が高いというものが見てとれるわけでございます。
 続きまして、6ページをごらんいただきたいと思います。6ページは、教員の調査に対しまして、同様の調査につきまして一般の企業の方々にもご協力いただいたものを参照としてつけさせていただいております。教員が8,059名の回答に対しまして、一般企業の方々は3万1,538名から回答をいただいてございます。それを項目ごとに比較したものでございます。1番目、2番目、3番目の調査項目などからも、一般企業と比較しまして教員のほうが仕事の満足度が高いという傾向が見受けられるところでございます。また、負担感につきましては、11、12につきましては、先ほどと同様に、教員については、それほどマンネリ感等は感じていないわけでございますが、こういう部分は教員が低く出てございます。13から18にございますように、仕事が忙しいですとか、仕事量が多いというものに対しましては、教員の点数のほうが高く出ており、そういう傾向が高いと言えるのではないかと思います。
 続きまして、7ページでございます。仕事や職場での満足感や負担感につきまして、職名別に比較したものでございます。まず満足感でございますが、傾向としまして、校長先生が1から10の項目に対しまして、縦でごらんいただきますと、全部青になっているということから、全般的に仕事や職場での満足感は教員のほうが高いわけでございますが、一般の教諭等に比べまして、校長のほうがそういうものが高い傾向が見受けられます。また、負担感でございますが、今度は逆に、教頭、あるいは教諭のほうが校長よりも点数が高いということで、負担感を強く感じている傾向が職名別で見ると見受けられると思います。
 続きまして、8ページでございます。第2部、仕事や職場で感じるストレスの状況についてということでございます。下にございます調査項目は20項目ございますが、それぞれ当てはまるものに丸をつけるという形で回答をいただいております。ですから、ストレス度について当てはまるという方、もし20項目全部当てはまると思われた場合にはすべてのところに丸がついている。あるいは1個も当てはまらないと思った方については丸が1つもないという形で回答をいただいたものであります。質問項目の20項目中、平均いたしまして4.2個のチェックがございました。これは後ほどご説明いたしますが、平均値から見れば、ストレス状態は良好であるということをあらわしていると言えると思います。また、下の表をごらんいただきますと、朝から頭や体が重い、あるいは教育雑誌を読まなくなってきた、職員室の自分の机が散らかってきたなどのパーセンテージが高くなってございます。これは8,059人の先生方の中で、それぞれの割合で丸がつけてあったということを示すものでございます。
 9ページをごらんいただきますと、職名ごとの割合が出てございます。表の上のほうの「教員のストレス」というところで、「評価:(○の個数)」と書いてございます。これは中島一憲先生、日本学校メンタルヘルス学会運営委員の先生の評価としてこういうものがとれるということでございます。今言いました20個の中で、0から5個の場合はストレスコントロールが良好と分類されるということでございます。順次、6個から10個は、ストレスの予備状態、要注意状態、11個から15個がストレスコントロールが不良である、休養が必要である、16個から20個が不適応状態、これはだれかにきちんと相談して対応しなければならないということでございます。下のほうに棒グラフが出てございますけれども、青い色が0から5個のストレス等をあらわしております。おおむね、そういう意味で平均の、先ほど申しましたように、青い色が多いわけでございますので、ストレス度はどちらかというと高くないという傾向が出てございます。その中でも教諭のほうが、赤の数字が20パーセントを超えているということもございますが、一部の教員の中で過度なストレスがかかっているというのが傾向として見受けられると思います。
 続きまして、10ページをごらんいただきたいと思います。忙しく感じることや負担に感じることについてということの調査でございます。下にございますような二重の項目を用意いたしまして、特にそう感じるというものについて3つを回答してもらうという形でまとめたものでございます。そうしますと、成績処理とか、授業の準備、事務・報告書作成といったものについて、先生方は忙しさを感じているという傾向が見受けられます。また、ちょうど真ん中あたりになりますけれども、授業というのが番号として2番、10.3パーセントと出てございます。先生方は授業そのものを忙しいと感じているというのが度合いとしては少ないというような傾向が出てございます。
 11ページでございますが、それを職名別に見たものになります。職名別に見ますと、校長や教頭先生、あるいは教諭というのが、それぞれ学校の中で担っている役割が異なっているということでその分布が変わっているようでございますけれども、校長先生、教頭・副校長という方々は、どちらかというと12番の学校経営、14番の事務・報告書作成、16番、17番、18番にあるような外部対応、こういった部分に非常に忙しさを感じております。これに対しまして、教諭につきましては、丸で囲ってございますが、授業の準備、成績処理、生徒指導(個別)、10番目の学校行事、こういったものに忙しさを感じているというのが見てとれるわけでございます。
 続きまして、12ページでございますが、そういった負担を解消するためにどのようなことが必要なのかということについて確認をいたしました。回答につきましては、前と同じように、特にそう思うというものについて3つ回答してもらう形で調査をいたしました結果、忙しさを解消するためには、1クラス当たりの子供の数を減少したり教員の数を減らすといったものが一番高く出てございます。また、教員は子供の指導に業務を特化し、学校内の事務職員や他の職種の人たちを増員して役割を分担する、あるいは教育委員会や他の行政機関からの調査を精選し、合理化を図る、こういったところが非常に高く出ております。
 また、5番目のほうに25パーセントという数字が出てございますが、学期初めは多忙であるが、夏休みなどは比較的余裕があるなど、忙しさとそうでないものの差があるという認識のもと、年間を通じて勤務時間の割り振りを可能とし、忙しいときには勤務時間を長くする。かわりに、夏休み等の長期休業時期につきましては、勤務時間を短くするなど、勤務の割り振りにめりはりをつけたらどうかという回答も多く寄せられてございます。
 13ページでございますが、これは、先ほどの負担を解消するために必要なことについての職名別に見たものでございます。これも特徴的なものとして挙げさせていただきますと、校長先生、あるいは教頭先生・副校長は、8番目の教育委員会や他の行政機関からの調査などを精選し、業務の合理化を図るというところに非常に強く意識を持っているということに対しまして、教諭につきましては、1クラス当たりの子供の数を減らしたり、教員を増員し担当する授業時間を減らすなどをするというところに関心が高くなっているというのが見てとれると思います。これも具体的なそれぞれの職務、あるいは役割といったところからそういうものが出ているのだろうと思われます。
 時間もございませんので、大変恐縮でございます、14ページでございますが、教員としての役割ということで、次のページにございますような18の調査項目の中で、教科指導以外で特に教員としてなすべきことは何かということを最大で3つ選ぶようにさせていただきました。また、反対に、これはAでございますが、Bという区分は、教員がやるのではなくて、教育委員会や保護者、地域の方々などが主に担ってもらいたいと考えたものをBというところであらわしてございます。この表記の仕方でございますが、そういう意味で、それぞれの1から18の項目で、それぞれがAかBかという評価をさせてもらったものではありません。本来、こういう形で1つの項目で同じように並べて比較するのは適切ではないのではないかというのもございます。今後、この部分につきましては、最終報告を出させていただく中でもう少し精査したいと思いますが、そういう部分につきましてはご承知いただきたいと思います。
 特にこの中で見てとれるのは、2番目の集団生活を通じて他人への思いやりの心を育てるということにつきまして、先生は強くそう思っているというのが出てございます。また、保護者に強くお願いしたい、あるいは地域の方々にご協力いただきたいと思っているのは、しつけをすること、礼儀やマナーを含むとございますが、そういった部分につきましては、学校の先生は保護者や地域の方々等にお願いをしたいというものが出ていると見てとれるわけでございます。
 続きまして、16ページでございますが、給与や評価制度等についてということでございます。これも下に表としてまとめてございますが、1から12の項目につきまして、ここは給与や評価制度等ということでございますけれども、1:当てはまらない、2:どちらかといえば当てはまらない、3:どちらとも言えない、4:どちらかといえば当てはまる、5:当てはまるということで点数をつけさせていただきました。その上でご回答いただいたものでございます。見ますと、1番目、教員の能力は人により差があるということにつきましては、4.29ということで平均が出てございます。多くの先生方はそういうものを認識している。また、2番目にございますように、教員は一般の公務員よりも高い倫理性が求められているとも感じているようでございます。また、3番目にございますように、仕事の内容や量から見て、一般の公務員よりも教員の給与は高くていいんだということにつきましても、点数が高く出ているところでございます。4番目以降は、どちらかというと教員の能力や成果・実績などを評価していくべき、あるいは給与についても差をつけるべきということにつきましての調査でございますが、これについては、回答にばらつきが出ていると言えると思います。
 17ページでございます。17ページは、人事制度全般についての調査でございまして、ここで見てとれますのは、調査項目の5番目にあるように、AとBのどちらにその比重があるかということで点数が出てくる。1点台に近いほうがAという項目についてそう思う、3点から5点の間になりますと、Bというものについて意識が強いということでございます。5番目の評価の部分でございますが、Bの結果に至るプロセスや環境要因を加味して評価してもらいたいという部分につきましては点数が高く出ている傾向がございます。また、6番目の部分で、だれが評価をするかということにつきましては、上司のみが評価を行うということに対しまして、上司だけでなく、ともに仕事をする同僚などの声も参考にして評価を行ってもらいたいというものについて点数が出ていると見受けられます。
 18ページでございます。18ページは職名別の部分でございまして、傾向とすれば、4番目、5番目、7番目など、そういう評価につきましては、校長や教頭のほうが一般の教員よりも高く能力や成果・実績に応じて評価をしたり、給与について差をつけるべきだという回答が多くなっているところでございます。
 また、19ページをごらんいただきますと、今後の人事制度につきましては、前のページと同様に、校長や教頭・副校長はどちらかというとめりはり、きちんとした評価というものを強く認識しているのに対して、教員はそれほどでないというようなものが出てございます。
 時間も大分過ぎました、大変恐縮でございます。21ページをごらんいただきたいと思います。ここからは保護者の意識調査でございます。21ページの下にございますように、第1部、学校の先生に対する満足度など、第2部、学校の先生に期待すること、あるいは期待しないこと、第3部、学校の先生の給料や評価について調査をさせていただきました。
 22ページでございます。保護者が見て学校や学校の先生についての意識でございます。先生方はどちらかというと、学校が忙しくなった、自分の仕事が忙しいというような意見が多かったわけでございますが、保護者から見ると、学校の先生が忙しくなった、あるいは仕事が難しくなったということに対しては意見が分かれているというものが見てとれるわけでございます。それを多少、年齢ごと等に分類して見させていただきますと、上の表でございますけれども、学校の先生は忙しくなった、あるいは仕事が難しくなったということの年齢別で見ますと、年齢が上がるにつれて、傾向的にそういう答えが多くなっています。若い人よりも年が上がるにつれてそういう認識を保護者の方等が持たれているというのが出ております。また、下のほうでございますが、学校へ行く頻度というもので、全くないから月に2回以上という部分で見ますと、全くないという回答よりも、月に2回以上と回答された方々のほうが、先生の仕事がどちらかというと忙しくなったと回答される方が多かったと思われます。また、塾や家庭教師の回数ということで、月に5回以上、塾や家庭教師に習うという方よりも、全くないという方からのほうが点数が高く出ている傾向が見受けられます。
 次、24ページでございます。学校の先生に授業以外に期待すること、しないことということでございます。これは先ほど、教員に申しましたように、それぞれの項目でAかBかをつけるということではなくて、優先順位として18項目から3つを優先度に応じてつけてもらうというやり方をしておりますので、ここの部分につきましても、表示の仕方については今後、検討が必要だと思います。ただ、傾向として、先生と同じように、2の集団生活を通じて他人への思いやりの心を育てることについては、学校の先生方にやってもらいたいというものが強く出ております。また、15番目の学校の教育方針や学級における子供の様子、学校行事の予定などの情報提供をちゃんとやっていただきたいということについても、強く意識が出ているように思われます。これに対しまして、キャリア教育ですとか、地域行事への参画といったものについては保護者のほうでやっていただきたいというものが出ていると思われます。
 26ページでございます。「学校の先生の給料や評価について」ということでございますが、教員は人により能力の差があるという認識については、学校の先生方と同様でございますけれども、違いが出ておりますのは、先生は高い倫理性が求められ――そこまでは同じでございますけれども、指導力不足教員や問題のある教員は厳しく処分したり、給料を減らすべきだと考えている、あるいは年功的な給料よりも実績を評価した処遇をすべきというのが点数として非常に高く出ている傾向が見受けられます。
 続きまして、27ページ以降につきましては、教員と保護者の意識を比較したものでございます。28ページ、「教員としての役割についての意識比較」ということでございます。これは繰り返しになりますけれども、教員の意識、保護者の意識をそれぞれ同じように並べてございますが、教員がするべきことにつきましては、2番目にありました集団生活を通じて他人への思いやりの心を育てる、これは教員、保護者ともにそうだという回答が高かったわけでございます。しつけという部分につきましては、教員が保護者等にお願いしたいというのが高いのに対し、どちらかというと保護者は、学校の先生方にもきちんとやってもらいたいというのが出ております。
 最後になりますが、29ページでございますけれども、教員の給与や評価制度についての意識比較につきましては、教員の能力に個人差があるということにつきましては、教員、保護者ともに認識をしてございますし、高い倫理性が求められているということについても認識が一致してございます。一方、一般の公務員よりも給与を高くすることについては、教員と保護者の意見に違いが見られるということでございまして、評価制度の導入につきましても、保護者の意見がより積極的でありますし、能力や成果、実績に応じて給与に差をつけるということについては、保護者のほうが積極的であり、教員のほうが消極的である。あるいは、指導力不足教員や問題のある教員は厳しく処分したり給料を減らすといったことにつきましても、教員よりも保護者がそういうものについて強く求めているということが見受けられるわけでございます。
 時間がなくて駆け足になりましたが、教員意識調査、保護者意識調査の概要につきましてご説明させていただきました。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。ただいまの松浦補佐さんからのご説明について、教員意識調査、保護者意識調査、それからこの前に、外国の教員給与調査の中間報告もございました。ひっくるめまして、どうぞご質問がございましたらお願いしたいと思います。
 どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 大変興味深い調査だったのではないかと思うんですけれども、いただいた調査をどういうふうに理解すべきなのかというのは、多分解釈は個々人で幾つか割れるのではないかと思うんですが、私なりの感想を言わせていただければと思います。1つは、教員と保護者で違うのは、地域安全について必ずしも28ページでそれほどクローズアップされていなかったような気がするんですけれども、どうも学校のほうは地域安全というのは地域がやるべきだと思っていますし、地域のほうは、安全はどちらかというと学校でやってほしいという意識があるのではないかとちらっと見ながら思っていたところです。端的に言うと、学校の登下校の安全というのは、教師でも地域の問題でもなく、おそらく本来市町村の責任じゃないかという気がして、現状は学校と地域社会の両者で押しつけ合ってるのかなという印象を持ちました。これは私の解釈ですけれども、そういうふうに解釈するということはある程度可能なのかどうなのかというのが第1点のご質問ということになります。コメントのような質問です。
 それから、2点目は、例えば指導力不足であるとか、評価による差をつけるというので、保護者と教員の間でどうも理解が食い違っている、あるいは期待するイメージが違っていると思うんです。私の解釈が正しいかどうかわかりませんが、親のほうは悪い例を見てこれは何とか避けろという意識がどうもある。教員の側は、大多数、自分はまともであるという前提のもとで、だからそれほど差をつけなくても当然なのではないかと、どうもイメージしているものが違うのではないかという気がします。実は、個々の親から言うと非常に微妙な問題がありまして、自分の子供にとってよくない教師というのは処分してもらいたいんだけれども、教師に合わない子供だけではなくて、ほかの子供にとってはよい場合には、クラス40人のうち38人くらいの子供にはいい先生で2人くらいに悪い教師だったりというようなことがあったりしますと、若干、そういうことから乖離が生じているのかなという印象を持ったというのが2点目ということになります。
 それから、3点目は、以前、主幹制とかの関連でも出てきたんですが、多忙感というか、仕事の負担感を見ると、校長先生が比較的楽と言ったら語弊があるんですけれども、ほかよりも負担感、多忙感がどうも少なく見えて、教諭、あるいは教頭レベルに負担があるんだなという印象を持ちます。これは単純に言えば、校長のところ、1級の水準を下げればよいと。むしろ、その間に、より大変な3級のレベルあたりでの処遇をどういうふうにしていくのかというのが、非常に単純に見ると見えてくる。校長先生は、むしろ非常につらいという前提のもとでやっているから、主観的にはそれくらい大したことないというふうに頑張っておられるのかどうかよくわからないんですが。非常に単純に見ますと、校長先生は、楽と言っては語弊があるんですが、そこそこちゃんと処遇はされている。それに比べると、教諭のレベルのほうにストレスというか、負担感がたまっているのかな、そこら辺の処遇が、負担とバランスしていないように見えるのかなと。教諭の間では、もうちょっと負担がある人にはサポートしてもらいたいけれども、校長のほうから原資がとってこられるのかなと。この委員会には校長先生もいらっしゃるので言いにくいですが、別に特定の方をイメージしているわけではないんですが、少なくともこのような主観的な調査結果から見るとそういうふうに見えるので、そういうふうに解釈してみたらどうなのかなということで、コメントのような疑問のようなことを述べさせていただきました。

【田村主査】
 よろしいですか。お願いします。

【松浦課長補佐】
 細かくご説明ができなくて大変恐縮でございました。先生がおっしゃっているような部分につきまして、特に安全対策といったところにつきましては、確かに点数から見ればそういう傾向が見てとれますので、今後は、教員の職務のあり方ということを考えるときには、教員の意識と保護者の意識でいろいろずれが出ているということについてはきちんと評価をすべきだろうと思います。
 また、指導力不足の点につきましても、保護者の考えはいろいろあろうかと思います。また、1点、保護者の年齢ですとか、あるいは学校に通う回数ですとか、塾等に通う回数によっても点数が違っているというのが見てとれましたので、この辺、おそらく先生方と家庭の間できちんとした意見交換といいますか、情報交換がなされていないというような部分につきましてもあるのではないかというのが、1つの今後の課題ではなかろうかと考えます。
 また、校長先生の負担感がどちらかというと少ないということでございますけれども、仕事の役割がいろいろ違うということについて着目すべきではないかと思います。私は、先ほど申しました、時間もなかったので詳細にご説明できなかったわけでございますが、もう少し属性について見てみたらというのがございまして、実は厚いほうの資料2‐2の18ページを参考にごらんいただきたいと思います。「第2部 仕事や職場で感じるストレスの状況について‐全体傾向‐」と書いてございまして、ストレスは、先ほど、平均4.2と申しましたけれども、それをもう少し、これは3.72となってございますけれども、性別、あるいは年齢、職名等々で見てみますと、例えば年齢で見ますと、31歳から35歳、あるいは36歳から40歳というところにストレスの平均の数値が高いというのが出ております。その下の職名というところでは、先ほどご説明したように、教員のほうが高く出てございます。また、学級担任というところにつきましては、大きな差は見られないかもしれませんが、どちらかというと、傾向的に中学校のほうが高く、中2、中3の先生方のほうが点数が高くなっているのが見受けられます。教科についてはそれほどの差はないのではないかと思いますが、一番下の中学校の部活の顧問につきましては、運動部の顧問、文化部の顧問というのが4点台前後、それに対しまして、顧問をしていないというのが3点ということで、単純に職名だけではなくて、こういう違いの部分、あるいは仕事の内容の違う、特に部活などにつきましての負担感といったものが、前回ご報告させていただきました勤務実態調査、定量的な調査でございますが、そういったものにもある意味かぶさっている部分があるのかなという感じを持ってみたところでございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。ほかにはよろしゅうございますか。
 どうぞ、小川先生。

【小川副主査】
 調査にかかわる単純な質問なんですけれども、1つは、一般企業との比較がありますよね。概要のところでは6ページですけれども、この一般企業との比較のところに使われている一般企業といった場合には、どういう分野、ないしはどういう規模かも含めて、どういうふうに抽出した企業なのかというのが1つ。
 もう一つ、保護者を対象とした先生方の仕事ぶりに対する評価とか、先生方の給与や評価に関する調査結果に関する質問です。使用されたアンケート調査票を見てみますと、3のところの「どちらとも言えない」という回答項目には「分からない」という性質の回答も含まれざるをえないのではないかという疑問を持ちます。僕もこういうふうな類の調査をいろいろするんですけれども、意外と保護者の方々というのは、教員の、例えば評価とか給与のシステムとか、先生方の勤務の実態というのがあまりよくわからないということもあって、このアンケートの回答項目の「どちらとも言えない」という回答の中に、「よくわからない」という方もこの3のところに丸をつける傾向が強いような感じがして、そういうふうに読めないのかなと。そういう点でこのアンケート調査票には少し不正確な面もあるのかなということを感じたんですけれども、その辺はどういうふうに理解したらいいのでしょうか。例えば22ページなんかを見ると、保護者の学校の先生に対する全体的な傾向のところ、大体3のところに収斂していますよね。3に収斂しているそうした傾向はそういうことも含めて考えられるのかなという印象を持ちました。

【田村主査】
 では、よろしくお願いします。時間がありませんので。

【松浦課長補佐】
 まず、民間企業の比較の部分で、どういったところということでございますけれども、これはリクルートさんのほうで、うちのほうの調査項目と同様な調査項目で調査したものがあるということでございまして、約40社程度に協力を依頼したものであります。業種につきましては、特別にこの職種ということではなくて、非常に幅広な職種を調査の対象にしたと聞いてございます。
 それと、保護者の意識について、よくわからないという部分があるのではないかということにつきましては、そういう部分は確かにあろうかと思います。例えば26ページのところで、先生の給料や評価についての中で、黄色の部分がどちらとも言えないというところで占めているのが、3番目とか5番目とか6番目、あるいは8番目といったところもそうかもしれませんが、教員の給与をどうするかといった部分については、わりと黄色の部分が多い。これはおそらく、先生が先ほどお話しいただいたように、そもそも保護者自体が一般の公務員、あるいは特に教員の給与がどうなっているかという部分については多くの情報を持っていない。その中でどこにあらわすかといえば、どちらとも言えないというところについて丸をつけたということではなかろうかと思います。先生からご指摘をいただいたようなことも踏まえた上での評価というのが必要ではないかと考えます。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、井上先生から渡久山先生、それぐらいでよろしいですか、ちょっと時間がないので。

【渡久山委員】
 1つは、この調査は現場の今の状況をわりと反映しているんじゃないかという気がするんです。特に全体傾向の中で、今の仕事はやりがいがあるとか、こういうものについて高く出ているのは、教員の使命感みたいなところで出ているんだろうと思うんです。だがしかし、実態は5ページなんかにありますように、例えば職場の人間関係に非常に悩むことが多いとか、学校での休息がとれないとか、実際に労働条件から見ますと、非常に劣悪な条件で、これは前の小川先生の研究調査とも非常に似ておりまして、土日の出勤が非常に多いとか、休息がとれないとか、仕事で残業で残る、持って帰るという。実際、気持ちの上ではやりがいとか意識は高く回答しているんだけれども、実際の職務ではそういう条件にはなっていない。特に6ページの全体傾向で、他の一般企業との関係で見ますと、僕もこれでいいのかなと。要するに今までの経験だけでは対応ができなくなってきているというようなことや、仕事が忙し過ぎてほとんど生活がそのままになってしまっているとか、今のままでは長く続けられそうもない、あるいは保護者、児童生徒との関係で疲れやすいという、これは非常に教員の職場が一般企業の職場と対照的に劣悪な状況にあるという現実を示していると思うんです。そういう意味では、私は今後の教員の問題を考える際には、労働条件や給与のことだけではなくて、労働環境の改善というようなものをもっと積極的に進めなければならないのではないかというのを示唆しているのではないかという気がいたします。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、どうぞ、井上先生。

【井上副主査】
 今、渡久山委員が発言されたことに若干関連するんですが、この調査結果で、確かに5ページで土日等の休日出勤が多いとか、勤務時間後も仕事のために残ることが多いという現場の実態から、12ページの負担を解消するために必要なことについてという、そこの現場の声として出ているところは、条件整備のところ、スクールサイズを小さくするとか、教員を増やすというのは、今の財政状況からなかなかそれは困難なところで、現実的な問題として、負担解消をどうするかというので、4のところと上から5番目に、学年初めは多忙であるが、夏休みなどは比較的余裕がある、そういう点から勤務時間管理のところ、勤務内容をどう見直すかとか、勤務時間をどうするかという問題と絡んで、全体として1年間を通じた変形労働時間制というのが、先ほどの海外の調査でも、かなりそういう点で長期休業期間中に休暇をとるとか、勤務を要しないとか、そういうことがありましたので、年間を通じた変形労働時間制が教員には可能ではないかと思うんです。ただ、これは法制的に、事務的に詰めていただいて、勤務の負担感の解消策として、現実にどういう方法がとり得るかというのも、今後、このワーキンググループでも検討していただきたいと思っております。以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。非常に大事な指摘がございました。いかがでしょう、ご質問。どうぞ、川田先生。

【川田委員】
 2点に絞ってお伺いしたいと思います。1つはちょっと細かい点で、お配りいただいた18ページの一番下のところを見ますと、主幹職等の必要性について、教諭については、平均が3割込んでどっちかというと要らないという結果になっている。そこのところを現時点でどう評価しておられるのかということです。
 それから、2点目が、今度は23ページの下のほうで、学校へ行く頻度と塾や家庭教師の回数というのをクロースする際の指標に挙げていて、学校へ行く頻度というのは、おそらく教員の実態を知っている、あるいは知ることに欲があるということを示す指標だということはわりあい理解しやすいわけですが、塾や家庭教師の回数というのはいろいろ解釈のしようがあって、1つは学校に不満を持っているということの指標ととったら、これはある程度、学校に対する不満と同じような結果になる、塾や家庭教師の回数が多くなれば不満が多くなるというのは当たり前のような話ですし、あるいは学校以外の教育に関するサービスを受けていて、それと学校教育を比較できるという趣旨でとられたのかもしれませんが、1つはどういう趣旨の指標なのかということ。これは、今言ったように、解釈の仕方がいろいろあって使い方が難しいような気もするので、どう使っていこうとされているのかということ、その2点です。

【松浦課長補佐】
 最初にご指摘がございました18ページの一番下の主幹などの職を新たに設けるべきであるということにつきましては、ご指摘のように、校長、教頭・副校長のほうが高いわけでございます。現場感覚として、教諭から見れば、上司といいますか、そういうものがない世界がこれまで、校長、教頭以外にそういう職はなかったわけでございますから、そういう認識に対するとまどいといったものがこの部分に出ているのではないかと思います。
 それと、23ページの部分につきましては、特に塾や家庭教師の回数、これもとらまえ方によってはいろいろあるのかもしれませんが、学校へ行く頻度と同様に、学校に対する信頼度といったものから見たときにどういう回答が出るかということで調査をしたものでございまして、そういう意味で、必ずしも回数が多いからということは言えないのかもしれませんけれども、一定の学校への満足度や信頼度というものがこういうのではかれるのかなと思った上で調査をしたということでございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。それでは、時間が大分押しちゃっているものですから、次に移ってよろしいでしょうか。
 平均労働時間というやつは、私も井上委員と同じような意見なんですが、あれは時間外をやるという前提で考えたやつなんです。だから、そこら辺の整理をかなりきちんとしておかないと、いろんな法制上の問題が出てくるなという感じがちょっとあるんです。その辺はひとつ、よく研究されてお調べいただきたいと思います。
 それでは、続いて、ご報告いただきましたものは、ぜひひとつ論点整理に出させていただきたいと思うんですけれども、時間もございますので、次の議題に移らせていただきたいと思います。前回のワーキンググループで教員の業務の整理・効率化について議論いたしたところでございます。その際、学校事務職員の方の声をまとめてほしいというご意見がございましたので、本日は、全国公立小中学校事務職員研究会のほうから、学校事務の現状と課題などについてのヒアリングをさせていただきまして、今後の議論の参考にしたいと思います。
 それでは、全国公立小中学校事務職員研究会の会長の廣田様にお見えいただいております。お忙しいところ、きょうはありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【廣田会長】
 全国公立小中学校事務職員研究会の会長の廣田と副会長の檜山がきょうは伺っております。よろしくお願いいたします。本日は、この意見発表に私どもをお招きいただきましてほんとうにありがとうございます。私どもは、全国公立小中学校事務職員研究会と申しまして、全国の小中学校に配置されております事務職員の全国的な組織でございまして、学校教育の推進に寄与することを目的としております。
 現在、学校は「生きる力」「確かな学力」の保証とともにいじめの撲滅などに向けた子供一人一人のよりきめ細やかな教育が求められております。さらに、信頼される学校づくりとして、保護者や地域の皆様の声を反映した学校経営の実現が今重要となっております。これらに対応していくためには、学校経営力の向上と教員が教育活動に専念できる体制、この2点が必要不可欠だと考えております。これを実現するためには、唯一の私ども行政スタッフであります事務職員の専門性を発揮し、より一層活用していただくための施策が必要であろうと考えております。
 教員が教育活動に専念しているとは現在言いがたい状況でありますと、常日ごろ学校現場で私どもは実感しております。そのあるべき教員の姿とは、本来の業務であります子供と向き合い、教育活動に専念している姿であると思います。そのためには、現在、教員が担っております学校事務を私どもが引き受けること、事務職員への移行が必要だと考えました。
 現在、教員の抱えております業務は複雑で多岐にわたり、そしてますます拡大しているものでございます。また、大変事務に忙殺されまして、教材研究の時間も十分確保できず、子供と触れ合う時間も足りないという現状にあります。教員は、子供に直接かかわることに関して大変だとは申しますが、決して忙しいとは申しません。会計処理や公文書作成など、本務以外の時間にとても時間がかかり、そこに多忙感と疲労感をつのらせているようです。私たち事務職員にお任せいただければ、もっと早く正確にできるのにと思うことがございます。現在教員が担っている業務のうち、事務職員がその専門性と能力を発揮して担当したほうがより効率的にできることがたくさんあると思います。
 先生はなぜ忙しいのかということを取り上げた新聞記事でございます。最初の事例は、教務主任に、慣れない補助金関係の書類作成をはじめといたしまして、さまざまな事務処理が集中しているというお話でございます。会計処理に詳しい私ども事務職員が担当したほうが、早く正確に処理できるものと思います。
 次に、進路指導主事が膨大なデータ処理に追われているという話でございますが、入学案内の分類などは教員が授業の合間になさるよりも、事務職員が文書管理の一環として集中して行ったほうが効率的であり、またデータ処理なども、事務職員の情報処理能力が発揮できると思います。それ以外にも、事務職員にお任せいただいたほうが効率的に執行できるものがたくさんあると存じます。このことは今回の教員勤務実態調査からも報告されております。
 移行する事務といたしまして、その一例として、校納金の会計処理や学籍データ処理、学習データ処理、また教育課程処理ということを挙げさせていただきました。
 次は、児童生徒の学籍データ処理システムの件でございますが、児童生徒情報データベースをもとに校内LAN、庁内LAN、あるいはグループウェアを活用することによりまして総合管理が可能と考えられます。校外活動費、あるいは学年学級費、また教材費など、学校徴収金の会計処理ですが、見積もり、契約、集金、支払い、決算などの一連の業務をそれぞれ会計ごとに教員が担当して行っておりますが、事務職員が一括して行ったほうが効率的であります。さらに、このシステムを活用しまして、転入学データと集金データをリンクさせることで、中途からの転入児童生徒の集金額の決定、あるいは転出児童生徒の返金処理が可能となります。就学援助データと給食費データをリンクさせまして、学校徴収金額を決定することもできます。出欠情報と遠足や芸術鑑賞費の返金処理も連動して行うことができます。
 また、学籍データ処理ですが、欠席・遅刻の情報を教職員間で共有化すると同時に、付随するさまざまな書類作成や学校徴収金精算処理も一元化して行うことができるという例でございます。出席簿や健康観察簿の記載、あるいは集計、そして通知票や指導要録への反映、教育委員会への長期欠席者調べなどの統計報告が可能であり、速やかになります。
 さらに、この図には書き込みきれませんでしたが、転出入情報と証明書作成や教科書給与証明などの事務にも反映することができます。これは学籍データばかりではございません。このシステムで体力テスト、学力テスト、進路適性調査等々、さまざまな学習データを一括して総合的に管理することができます。これまで教職員がそれぞれに行ってきた煩雑な事務処理を事務室で一括して行うことにより、より迅速、かつ正確な処理がなされるとともに、多くの教員の事務負担が格段に軽減され、その結果、事務従事の時間を大幅に削減することができると考えます。
 教育課程に関して、これもですが、先ほどの新聞にもございましたように、教務主任は、毎月の学校行事、教職員の出張予定などの一覧化の作業、さらには年度初め、年度終わりには時間割づくり、あるいは学級編成などが重なり最も忙しいようでございます。毎月の行事予定や年間予定はもちろんのこと、年間授業時数の算出や担当時数の管理、年間行事予定などの時数管理、あるいは教室利用管理などの教育課程に関することも、今後、条件整備が進めば、これは事務室で担っていくことができると考えております。
 現在、教員が担っている学校事務を、事務職員へ移行することが考えられる業務を考えてみました。今後、事務職員の職務内容、特に給与、旅費、福利厚生は縮小すると考えられております。こういった中で、教育課程進行管理をはじめといたしまして、児童生徒情報管理や学籍情報管理、あるいは学校徴収金事務や外部対応などさまざまでございます。これによりまして、教員は直接的な教育活動にかかわる時間が増えまして、これに専念することになると考えられております。
 次に、教頭は報告書の作成、あるいは施設設備の管理などの事務作業に追われまして、本来の業務であります「校長を助け、校務の整理及び必要に応じ児童の教育をつかさどる」ことが非常に困難になっております。事務は事務職員に任せていただきまして、校務全体の調整をするとともに、教育活動をつかさどり教員へのサポートを充実していただきたいと考えております。教務主任や進路指導主事など、学級担任以外の教員は事務に従事している分だけ授業時数が少ない傾向にございます。このベテラン教員の時間を授業に向ける、このことで学校全体の教育活動の質が高まるとともに、ゆとりと工夫が生まれるようになると思います。教員が担っているさまざまな学校事務を事務職員に移行し、子供と触れ合う時間にいたしまして、直接的な教育活動に専念できることが望まれることでございます。それぞれの本務を十分に果たすことで、全体といたしまして、効果的な学校運営が推進され、学校教育力の向上につながると考えます。
 教員が現在担っております学校事務を事務職員に移行することによりまして、学校全体がより効果的・効率的に動き、そして教員が教育活動に専念できる体制が整うと考えられます。これを実現するために必要な条件整備を挙げさせていただきたいと思います。1点目、まず学校運営組織を再編する必要があると考えます。資料3の記事にもございますように、事務細分化されました校務組織が非効率を招いているからでございます。事務職員がやれば済む仕事がほとんどで、必要のない分類であり、なるべく多くの教員の名前が出るようにという、これは平等意識が働いていると指摘されております。どのような状況にも柔軟に対応できるシンプルで機動的な運営組織が求められていると思います。
 次に、学校運営組織の再編の課題の1つとして挙げられておりますのが、事務処理体制の整備でございます。このことにつきましては、学校の組織運営に関する作業部会におきまして、未整備である事務処理体制をどうすればよいのかという検討がなされております。引き続き、ここでも学校運営のICT化が課題として挙げられておりました。校務の効率化や迅速化を実現する校務支援システムの開発導入とICT化は不可欠でございます。しかし、学校現場は教育におけるICT活用の環境整備は進んでおりますが、教職員へのパソコン配備、あるいはシステム導入など、校務処理に関しては驚くほど立ちおくれておりますのが現実でございます。
 昨年度の中教審答申におきまして、事務の共同実施や共同実施組織に事務長を置くことを検討することなど、学校への権限委譲をさらに進めるための事務処理体制の整備を進めることの必要性が提言されております。学校への権限委譲や裁量拡大に伴いまして、責任ある安定した事務処理体制の整備が急務となっております。事務の共同実施とは、より効果的な教育活動を展開し、円滑な学校運営を推進していくため、複数の学校が連携、共同して事務業務を組織的、効率的、効果的な処理改善を行っていくための組織であると考えます。これは、複数の学校の事務職員が定期的に集まりまして、そして組織をつくり、学校事務に関する課題を整理させていただきまして、これを計画化するとともに、これまで受け身だった学校事務に創造性を付加する取り組みだと考えております。
 ここは事務の組織化と権限が移譲されているところでございますが、地区内の各学校におけます「学校会計総合管理システム」をはじめとする11のシステムと共同実施組織における「地区内の学級文庫学校間回覧システム」をはじめといたします7つのシステム、そして市内全域の学校に対する「児童生徒情報管理支援システム」ほか、7つのシステムの計25のシステムを開発し、実践することで、教員の事務負担軽減と円滑な教育活動の推進に現在効果が上げられております。この県では、すべての市町村で学校事務の処理規程が定められ、共同実施の組織運営についても明確に規定されております。また、事務職員の研修制度も比較的充実しております。これらのことがこの取り組みを可能にしています。ところが、全国では事務職員の職務は「学校事務に従事する」と規定されているだけで、任命権者によります「事務職員の標準的職務」も明示されていないところも数多くございます。また、任命権者によります研修もほぼ初任者研修のみというところもあります。学校で事務職員は何をし、どんな役割を果たすのかということを明らかにお示しいただき、それを遂行していくため、その専門性を高め、資質能力を向上させる研修をぜひ充実させていただきたいと願っております。
 これを実現させるためには、これまでの既存の学校事務観を転換する意識改革、あるいは制度改善、またシステム改善や資質能力の向上などが必要です。共同実施によりまして、学校事務が組織化され、この共同実施組織に事務長を配置することで責任体制が明確になり、権限をおろすことができます。学校事務を統括する事務長の配置は不可欠でありまして、学校教育法の施行規則等によりこれは規定すべきだと考えております。現場での判断が可能になり、より適正で迅速、的確、かつ効果的な事務執行ができ、事務の組織化と権限が付与されることにより、学校経営企画を支援する組織が実現するものと考えます。専門性を持った事務職員が学校事務をより多く担っていくことで、教員の事務負担軽減は格段に推進され、教育活動に専念できるようになってまいります。私ども事務職員は、基幹職員として事務を統括し、校長を助け、円滑な学校運営を支えるスタッフとして、子供の豊かな育ちを支援する学校事務を念頭に、日々の業務を推進しております。どうぞ学校事務の重要性をご理解いただきまして、事務職員の活用、事務職員がその力量を十分に発揮できる条件整備についてぜひご検討くださいますようにお願い申し上げたいと思います。以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。学校事務の現状と課題について、非常に情熱的にたくさんの問題をご指摘いただきまして、ありがとうございました。
 引き続きまして、渡辺専門官からご報告、ご説明をいただきます。

【渡辺専門官】
 それでは、時間も押してございますので簡単に説明させていただきます。資料の3‐2をまずごらんいただけますでしょうか。学校事務の効率化について検討していくに当たって簡単に論点を整理させていただきました。
 まず、考えられるものとしては、教員の職務の整理・明確化、校務分掌の適正化。なお、この中に書いてございます業務内容を数値であらわすジョブサイズというものにつきましては、これも読売の教育ルネサンスに出ておりましたが、沼津市立の沼津高校で教員の仕事をポイント化しまして、1週間に40ポイントを教員は当てはめるというようなことをやっているという例を入れてございます。それから、校務分掌の整理・簡略化など、それから、会議・打ち合わせの縮減、学校・学級経営に係る業務の縮減・効率化、事務報告書作成業務の縮減、事務の共同実施、事務職員の充実、教員のサポート体制の充実といったことが考えられるかと思います。
 続きまして、1ページめくっていただきまして、資料3‐3にございます、今回、事務の効率化を検討するに当たりまして参考とするべく私立における事務の効率化の例を聞いてこようということで、都内の私立の中・高一貫校における事務の効率化をヒアリングしてまいりました。簡単に説明いたしますと、まず、学校事務の効率化としては、すべての教員にパソコンを配付し、校内LANによって電子回覧板や電子掲示板を活用して情報の共有化を実施している。それから、校務分掌につきましては、法人事務、学校事務、現業事務を事務職員の校務として整理。それに対しまして、教務、広報、国際交流、生徒指導、生徒会、総務関係を教員の校務として整理する。かつ、すべての教員が1つの校務を基本的に担当するということ。それから、学年主任や教科主任、各校務部長は担当授業時間を軽減しているということでございます。それから、勤務時間管理に関しては、教員及び事務職員に1年単位の変形労働時間制を3年前から導入しているということ。それから、教員は、通常期は、平日に8時から午後6時、土曜日に朝の8時から午後2時を勤務時間としまして、夏期休暇期は1日5時間の勤務時間とするとともに、11日間の夏期休暇を割り振っている。さらに、8日間の冬期休暇、5日間の春期休暇というものを割り振っている。それから、変形労働時間制はおおむねうまくいっており、教員からの不満は特にないということでした。それから、すべての教員が部活動の顧問をすることとなっていますが、活動が盛んな部を担当する教員とそうでない部を担当する教員とで負担感の違いがあるということでございました。
 次のページですが、処遇に関して。教員については、給料の4パーセント相当を上乗せするということで超過勤務分としているということで、認識としては、教員の勤務時間の管理は困難であるという認識だということでございました。それから、その他でございますけれども、教員は教育に熱意を持っておりまして、子供と接している時間が長くなることには不満はないが、それ以外の事務処理などの業務が増えることには不満を訴える傾向があるということでございます。なお、概要を最後に載せてございますが、職員数のところで、専任職員が6人とあるように、通常の公立に比べますと、かなり事務職員のスタッフが充実しているという印象を受けたところでございます。
 それから、資料3‐4でございます。これは今後、教員のサポート体制というものを考える参考ということで、杉並区立和田中学校において、地域本部というものを導入してございますので、それを簡単にまとめてございます。卒業生、PTA、地域住民、学生など、さまざまな立場の大人で構成される学校運営組織ということで、16年4月に発足しておりまして、現在、100名以上のボランティアが登録されている。実際に土曜日学校を運営したりとか、図書室の司書業務のサポート、コンピューター室、ノートパソコンの貸し出し、グリーンキーパーズによる学校の緑の保守、スポーツ振興サポート、芸術・文化サポートなどをしているということでございました。1回当たり1,000円から2,000円程度の手当というのがこのボランティアの方に出されていると聞いておりまして、その予算は区教委からの予算と文科省の委託事業の事業費などから出ていると聞いてございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。今の先生方の勤務時間、それから学校の事務の効率化ということで言いますと、大事なポイントが1つあったような気がします。つまり、先生方は、生徒と接しているときは多く時間があっても全然気にしないと。それ以外のことをさせると時間外、ばーばー言うというようなことがどうもあるようでございます。今回議論する中で1つのポイントかなと思います。
 それでは、どうしますか、時間を大分オーバーしてしまったんですが、ご意見をいただいた後で休憩ということでよろしいですか。

【渡辺専門官】
 そうですね、後ろのほうは余裕を持ってございますので。

【田村主査】
 そうですか。では、ご意見をぜひひとつ。本城先生、どうぞ。

【本城委員】
 どんな組織でも、バックオフィスというか、事務方が非常に強ければ組織はかなり強力になると僕は思っていまして、学校事務の強化というのは非常に重要だと考えます。教師がやらなくてもいいような仕事を教師がやっているという実情は、私もかなり驚きましたし、提言でも触れられているように、いわゆるICT化、IT化が進めば、教師以外の人たちに仕事を任せられる。任せる相手は、学校事務の方でもそうでしょうし、ほかにもアウトソースできる先があるのかなと思っています。
 その点で1つ教えていただきたいんですが、小林市ですとか、ほかの例も出ていましたが、事務職員にいろんな部分の仕事を移行するときのポイントが2つあると思います。まず1つ目が、各校でばらばらの校務システム・情報システムの部分を共通のものに変えていかない限り、なかなか共同事務というのは難しいのではないかと思っています。学籍の管理のシステム・ソフトウエアとかもばらばらのものを使っているようでは、正直厳しい。同じものを使っていく。例えばここで紹介されている愛知県の小牧市ですとか春日井市は、EDUCOMという同じソフトを使っていますが、そういったような形でかなりの先行投資をまずして事務の共同実施ということをやらなければいけないとすると、その投資の部分が現状の財政状態の中でできる自治体がどれほどあるのか、その点について意見を聞かせてほしいところです。
 もう一点が、本校の場合は、クラス数が多いものですから事務職員は2人いますが、1人は正規の職員、1人は臨任という対応です。ただ、ほかの学校を見てみると、大学を卒業したばかりの新卒の事務が1人だけいるという学校もありまして、学校事務に多くの仕事を逆に任せることで、もっと事務の職員の数を増やさないと回っていかないということになると、結局人件費の部分ではプラスの面は少なくなる。そこら辺で1つの学校に対して事務が複数いたほうがいいのか、それともそうじゃなくて、1人だとしても、共同事務というような形で対応できるのか、その点について教えてください。

【田村主査】
 よろしいですか。どうぞ。

【檜山副会長】
 ご質問をいただきましてありがとうございます。ICT化、IT化のことについてまずお答えさせていただきます。全国的なシステム開発が徐々に進んでいると伺っています。資料の中にも入れさせていただきましたが、京都市・横浜市・千葉市・宇都宮市の4市が合同で、保護者負担経費会計処理のシステム化に取り組んでおられます。私ども全事研も連携して協力させていただき、全国の知恵を集め、全国標準となるシステム開発が進められているところです。そういう取り組みが増えていけば、現場は大変心強いと思っております。
 事務職員の配置の話がありましたが、高校並みの事務室体制ができればいいというような思いもありますが、現実的には難しく、1人配置の不安定があります。そこを、共同実施で、地域全体の学校事務を見ていくことで、安定性を確保しております。さらに配置の充実を願っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、私も現場にいたわけです。皆さんからありましたように、給食費とか学年学級費、あるいは修学旅行費、教材費というのは担任が集めるんです。この間も、小川先生のところでも雑務――雑務じゃないな、あれは本務というのか、あったんですが、今のいじめの問題も、例えば給食費を払っていない子供たちは、親が払っていないんだけれども、結局、子供に食事を食べさせられないようにするわけです。だから、子供と担任との関係というのは非常にいざこざになってくるわけです。そういうようなこともあって、基本的に担任がああいう事務をやってはまずいんじゃないかと僕は現場のときに思っていたんです。しかし、あのときだったかわかりませんけれども、学校事務職員にとったらどうだと言ったら、いや、反対ですと言われたことがあったんです。ですから、学校事務の本務じゃないのかなと思ってみたり、どっちの本務かわからんけれども、どちらにしろ給食費はとらなくちゃいけないというのが現実だったんです。
 しかし、それから言うと、きょう、この研究会で提起された問題は、僕は非常にすばらしいと思うんです。特に教員が教育活動に専念できる体制をつくりたいということで、学校において各職種を超えて協力・協働の関係で子供たちのために教育をつかさどろうという考え方は僕は非常にすばらしいと思います。そういう意味では、この考え方でぜひとも進めていただいて、今、文部科学省からもありましたように、そういうような方向性もあるということですので、これは非常にすばらしいことだと思います。そういう意味では、ぜひともそれを進めてもらいたいというのが1つです。
 それから、もう一つは、そういう関係で、私が現場にいたときはそれほど、例えば複数校による共同実施という部分、これはなかなか見えてこなかったです、現場の学校でどういうものをやっているか。このことについてはちょっと質問したいと思いますので、これはどうするのか。同時に、そうなってくると、1つの共同実施を含めますと、複数校になってきますよね。そうすると、コーディネーターというか、ここで言われている事務長制度というのをつくっていくということで、きちんとした責任体制というのをつくっていく必要があろうと思いますから、事務長制をつくるということに対しては賛成です。そういう形で1つの学校事務の管理面もきちんと強化していくという意味では、これは僕はすばらしいと思います。
 そういうようなものの中で、ただ、1つ、事務が今、アウトソーシングになっていたり、先ほど出たように、事務職員の複数化、あるいは市町村職員への移行というようなことも出ていますよね。そういうようなことについてもありますので、実際、本来の学校事務をつかさどる学校事務職員のあるべき姿というのを教えていただいて、今のような形で、1つは教員がやらなくてもいいような事務がありましたら、積極的にそれを担っていただけるような体制というものをつくってもらおうということと、先ほどの問題について教えていただきたいと思います。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。

【檜山副会長】
 ありがとうございます。学校徴収金の問題は、今、学校現場で大変問題になっております。お金に関することは複数で対応しようということで、学級担任と事務職員が一緒になってお話しに行っておりますが、やはり教育現場では、できるだけ学級担任は、そういうナイーブな部分については携わらないほうがいいと思っております。事務職員1人で当たるのではなく、共同実施等の組織によって、複数の事務職員で対応できるという体制ができればもっとうまくいくのではないかと考えております。
 また、共同実施ですが、単数より複数で、地域と一緒に行うほうが、同じ取り組みにしても、より質が高くなることがあります。例えば保護者にお配りする行事予定も、1枚だけのものではなく、小・中あわせた行事予定、さらに地域のコミュニティ、公民館等の行事予定も一緒にし、お配りすれば、地域教育情報として興味・関心も非常に高まります。同じように、地域教材データ等につきましても、地域全体で収集しデータバンクを構築していくほうが充実します。単に一緒に事務を処理していくというではなく、今後、この共同実施により、地域全体の教育を創っていくという役割も大きくなると思っております。
 最後に、市町村費への移行について、お答えさせていただきます。学校の運営を支えている財源ですが、県費、設置者である市区町村費、それから保護者負担経費などさまざまです。保護者負担経費等に関しては、全国どこでもほぼ同じように行われております。学校がある限り、やはり学校財務そして学校事務があり、そこには全国どこでも変わらないスタンダードな部分があるのではないかと思っております。それを担当し、統括する事務職員として、それに応じた必要な資質能力を持った一定のレベルの者が全国どこでもきちんと確保できるような仕組みが必要であり、ぜひ、お考えいただきたいと思います。私どももそれに向けて努力していきたいと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。細川委員で終わりにしてよろしいですか。では、どうぞ。時間が大分詰まっているものですから。

【細川委員】
 共同化をする場合には、どういう範囲内での共同化というのを想定してらっしゃるのか。例えば中学校区でやるのかとか、そういうことを教えていただきたい。それから、1校1人ということは、財源的なことも含めてなかなか変えられないということなんですが、これだけの事務を事務職員の方たちにやっていただくことになると、いくら共同化をしたとしても、それが何校でやるかということで実際の人数というのが出ると思いますが、実際には私立中学校ですと、非常勤も合わせて8人で1校についてやっているということを考えると、1校1人ということでほんとうにできるのか。トータルの人数を大体何人ぐらいと想定していらっしゃるのかということ。
 それから、もし増やしていくということになると、その採用というか、今は都道府県教育委員会のほうが人事権を持った事務職員なんですけれども、以前、こちらのワーキングでも、中村東京都教育長がおっしゃったように、市区町村のほうにというお話もされていましたが、どういう形で人員的な補充というか、そのあたりをカバーされていくのかを想定されているのか教えていただければと思います。

【檜山副会長】
 共同実施でございますが、全国的に多いのは、中学校1~2校ぐらいの地区です。中には、自治体全域を共同実施のエリアとし、そこに支援室等を置いて全域で実施するというようなやり方もあります。地域に合ったやり方で進めていると思っております。
 また、人員配置ですが、細川先生におっしゃっていただいたように、業務に合わせた人の配置というのが今後必要になってくるだろうと思っております。その共同実施組織の抱える業務の困難など、業務の量と質を加味した人数配置、基本はやはり業務に合わせた人の配置というのが必要になってくると思います。
 最後の市町村費の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、全国どこでも質の高い事務職員の安定的な確保、配置、それが基本になるだろうと考えます。そして、その上に、さらに市区町村費の事務職員もあわせて事務組織が構築され、事務処理体制が確立されるといいなと考えております。

【田村主査】
 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。どうぞ、では、最後に。

【帯野委員】
 では、手短に1つだけ。加配の問題ですけれども、規模に応じた人員の必要ということで、それはそのとおりだと思います。しかし、今は府費、県費負担になりますと、自治体によりましては、なかなか財源の確保が難しいというところも現実出てくると思うんです。そういう場合に、事務職の中の一部でもアウトソーシングであるとか、地域のNPO、NGOの皆さんと一緒に取り組むというような可能性はあるのでしょうか。そういうことは検討されているのでしょうか。

【檜山副会長】
 事務職員が担当している事務ということに限らず、学校全体を見渡して、学校事務・業務の中で、例えば子どもの安全確保など学校全体としてどうしても人手が足りないというところをボランティアや地域の皆様の支援をしていただくということは今後さらに多く進んでいくのではないかと思っております。地域の方やボランティアの方に来ていただき有効な支援をいただくためには、情報をお伝えし、十分に調整していくコーディネーターの役割が重要になってくると思っております。そして、それは事務職員の役割であると思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。アウトソーシング、これは当然1つの視野に入ってくるだろうと思います。夕張市が中学を一緒にして1つでやると。あれはスクールバスでやるわけですよね。経費は明らかに安くなるんだけど、学校教育はものすごく変わるわけです、部活動はできなくなるわけだから。ですから、そういうことまで踏み込んでいいのかという議論をしないと、なかなか経費削減には踏み切れないわけです。余計なことを言いましたけれども、ご議論をいただきました第1部のご意見をいただいたんですが、要するに私たちが検討しております教員の給与については、一般の国民の方々のご理解が得られるということが基本だと思いますので、いろんなご意見、ご要望をお伺いして中間報告にまとめていくという段取りになっていくと思うんですが、一応、1部はこれで終わらせていただいて、休憩に入らせていただくということでよろしいでしょうか。では、ちょっと事務局のほうから時間等をおっしゃっていただけますか。

【渡辺専門官】
 大変時間が押してございまして恐縮でございますけれども、休憩を、およそ10分程度ということで、今、20分過ぎでございますので、3時半から再開ということでお願いできますでしょうか。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、3時半からということで、2部のほうもご出席のほどよろしくお願い申し上げます。きょうは、ご説明いただきましてどうもありがとうございました。

( 休憩 )

【田村主査】
 定刻になりましたので再開したいと思います。前回に引き続きまして、教員の勤務時間と教職調整額という、これは非常に大きな問題なんですが、これを渡辺専門官のほうからご説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【渡辺専門官】
 資料4‐1をまずごらんいただけますでしょうか。「教員の勤務時間と教職調整額の在り方についての論点」というペーパーでございます。こちらは前回のワーキンググループでの議論を踏まえまして、論点を幾つか再整理させていただいてございます。
 まず、勤務時間。教員の勤務時間の在り方をどう考えるか。教員の勤務時間の弾力化についてどう考えるか。今回、特に、勤務実態調査の結果を見ますと、通常期と夏期休暇期の勤務時間に開きが生じているという実態を踏まえまして、教員に1年間の変形労働時間制を導入すべきかどうかという論点を加えてございます。それから、超勤4項目の在り方をどう考えるか。教員の勤務時間の把握・管理をどのように実施するか。
 続きまして、教職調整額につきましては、前回の議論を踏まえますと、教職調整額を時間外勤務手当に変えるということには、教員の特殊性などを考えると困難ではないかという意見が多かったことを踏まえまして、今回は、教職調整額を維持するということを考えた場合に、具体的に現行の支給対象・支給率をどう考えるかという論点に整理させていただいてございます。
 前回のワーキンググループにおきまして、教職調整額の経緯を説明してほしいという意見がございましたので、次のページにございます資料4‐2に経緯等についてまとめさせていただいてございます。簡単に説明いたしますと、まず、そもそも戦後の公務員の給与制度改革(昭和23年)におきまして、教員の勤務時間は単純に測定することは困難であるということなどを踏まえまして、教員の給与については一般の公務員よりも1割程度有利に切り替えられたということがございまして、教員に対しては、超過勤務手当は支給されないということで整理されました。しかしながら、毎年の給与改定の結果、教員給与の優位性が失われた上に、当時の文部省からの超過勤務を命じないとの指示にもかかわらず、実際には超過勤務が行われているということが多くなりまして、多くの都道府県で時間外勤務手当の支給を求める訴訟が提起され、いわゆる「超勤問題」として大きな社会問題となったという背景がございます。このような状況を踏まえまして、文部省としては教育界の混乱を収拾するとともに、教員の勤務状況を把握するために、昭和41年度に1年間をかけて全国的な勤務状況調査を実施しました。
 この勤務状況調査の結果を踏まえまして、昭和43年4月に義務教育小学校の教員に対して、その勤務の対応の特殊性にかんがみ、当分の間、俸給の月額の4パーセントに相当する教職特別手当を支給することなどを内容とする「教育公務員特例法の一部を改正する法律」案が閣議決定され、国会に提出されましたけれども、結局廃案となってしまった。さらに、昭和46年2月におきまして、人事院が「義務教育小学校等の教員に対する教職調整額の支給等に関する法律の制定についての意見の申し出」というものを行いまして、義務教育小学校等の教員について、その職務と勤務態様の特殊性に基づいて、新たに教職調整額を支給する制度を設け、超過勤務手当を支給しないこととすることを提言いたしました。この人事院の申し出を踏まえまして、政府は「国立の義務教育小学校等の教諭等に対する教職調整額の支給等に関する特別措置法」を国会に提出いたしまして、同年5月に制定され、昭和47年1月より施行されているというところでございます。
 1枚めくっていただきまして、「給特法の趣旨・概要」というものにございますように、まず、教員の勤務態様の特性というものがございます。こちらは、教員は勤務態様の特殊性、すなわち修学旅行や遠足など、学校外の教育活動であるとか、家庭訪問や学校外の自己研修など、教員個人での活動、さらには夏休み等の長期の学校休業期間などがあるということで、教員固有の勤務態様によって勤務時間の管理が困難であるという特殊性を踏まえて、一般行政職と同じような勤務時間管理はなじまないという整理をしているところでございます。
 その特殊性を踏まえた処遇といたしまして、教員については、勤務時間の内外を問わず、包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当を支給しないということとして、こちらは前回も説明しました、いわゆる超勤4項目という形で時間外勤務を命じる場合を限定しているというところでございます。そのかわりに、給料月額の4パーセントに相当する教職調整額を支給としてございます。こちらの教職調整額は本給と見なして、本給を基礎とする退職手当などの算定の基礎となってございます。この4パーセントにつきましては、昭和41年の勤務状況調査の結果を踏まえて算定してございます。
 さらに2枚めくっていただきますと、「4パーセントについて」という1枚ものがございます。考え方としては、勤務時間の長短にかかわらず、教員の勤務時間の内外を問わず包括的に評価するということで考えているわけでございますが、この給特法制定当初においては、41年度の結果を便宜的に用いまして、こちらにございますように、超過勤務時間が1週間平均で1時間48分だったということを踏まえて、これが年間44週にわたって行われた場合の超過勤務手当に要する金額が手当算定の基礎となる給与に対して約4パーセントに相当するという算定をしまして、この時点で4パーセントの調整額というものを決めたというところでございます。ただ、もともとの趣旨としては、勤務時間にかかわらず、勤務時間の内外を問わず包括的に評価するという趣旨でございますので、その後、勤務時間の実態に応じて、毎年度それを調査して、その支給率を変えるという考え方にはそもそも立っていなかったということでございまして、そういった経緯を踏まえまして、その後、現在に至るまで特段の勤務実態調査というものを行って、この率を変えるということが行われたとことはないということで現在に至っているという状況でございます。
 続きまして、それでは、今後、教職調整額をどのように見直すかというのが次のページにございます資料4‐3でございます。仮に教職調整額を維持するとした場合に考えられる方向性として2つ案を考えてございます。まず、案の1が、4パーセントを基準とする教職調整額の支給率は変更しない。ただし、例えば求職者であるとか、長期研修中の者など、明らかに超過勤務を行っていない者については、教職調整額の支給対象外とするという案でございます。ただし、この場合の課題としては、支給対象外とする者の範囲をどこまでとするか。例えば給料が支給されている求職者、長期の研修を受けている者、長期の出張をしている者などが考えられます。
 また、超過勤務手当を支給対象外とする長期というものをどの程度と考えるかということでございます。これについては参考として、国立大学の法人化以前においては、産業教育手当、定時制通信教育手当は月のうち、引き続き16日以上研修中・出張中である者に対しては支給されないということが法律で定められていたところでございます。
 それから、給料が支給されている者に対して、給料に相当する性格を有している教職調整額を支給しないということについて問題はないかというそもそもの課題があると考えてございます。
 それから、もう一つが、案の2でございますが、それぞれの教員の職務と勤務対応を勘案して、例えば通常の教員、勤務負担の少ない教員、勤務負担の多い教員とで教職調整額の支給率にめりはりをつけるという案でございます。こちらにつきましては、課題としては、教職調整額の支給率を段階的に変えることとする場合、どんな基準に基づいて支給率を変えればいいのかという非常に重要な課題がございます。さらに、その支給率を段階的に変えるとする場合、それぞれの支給率を何パーセントとするのかという課題がございます。さらには、勤務時間の内外を問わず、教員の職務と勤務態様を包括的に評価して支給するという性質の教職調整額の支給率に差をつけることについて問題はないかというそもそもの課題がございます。
 さらに、こちらには書いてございませんが、仮に教職調整額に支給率のめりはりをつけるということになった場合、現在、教職調整額は給料相当ということで、退職手当などの算定の基礎となってございます。したがって、調整額に差をつけますと、例えば退職前に高い支給率を受けていた教員については、その退職手当がはね返るということで、不適切な運用をされるおそれがあるということも留意していく必要があると感じてございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明を踏まえて、ご意見、ご質問をぜひお願いしたいと思います。非常に大きな問題です。教員の勤務時間と教職調整額の非常に重要な問題、核心に入ってまいりましたので、よろしくご意見をいただければ。
 本城先生、どうぞ。

【本城委員】
 案の1、案の2、どちらもだと思うんですけれども、教職調整額を、現行だと特措法などで本給という位置づけだと思うんですけれども、それが本給でいいのか、それともそうではなく手当的にするのかという点について説明を。何かどちらかの方向で行くというものがあれば教えてください。

【渡辺専門官】
 現時点において、教職調整額というのを手当化するかどうかというのはまだ検討してございません。ただ、1つ注意というか、留意していただきたいのは、例の骨太の方針などを踏まえて、縮減ということが言われています。その中の縮減の1つに、その縮減の結果に退職手当が少なくなるようにというような趣旨のことが書かれてございますので、1つ、退職手当の額のはね返りを少なくしようとした場合には、調整額を手当化するという選択肢は1つあると思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 1つは、調整額ができた経過からして、教員には超勤手当は出さないという原則があるんです。これを前提にしてこれが出ているんです。それを考えると、例えば調整額、ここの案1にあります明らかに超過勤務がない場合というんだけれども、そもそも超勤はなじまないというわけだから、超勤はないんです。ないことを前提にして4パーセントと出ているんです。包括的にという言葉もありますけれども、実際はそうでなくて、超勤は支給しないという話から始まっているから。しかし、実際、一部の県で、例えば病休で休んだり、あるいはここにもちょっとありますように、実際、超勤がないような場合に、減額支給をしているというところがありますけれども、これは実際には約束に反しているんじゃないかと思うんです。この問題をどう考えるかですね。基本的にこの問題を整理しないとまずいだろうということが1つです。
 もう一つは、今ありましたように、超勤手当を実質超勤で支払う、調整額を外してやるという場合は、36協定というのをきちんと持たなくちゃいけなくなってくるんです。そうすると、そういう形で地方公務員法、国家公務員はいないとしても、そうすると、そこの法律までいじくって、そして職員団体と理事者側とで36協定で超勤協定を結べるかどうか、そういうようなものまで踏み込んで考えるのかどうか。この2つは質問なんですけれども、こういうことが解決しないままにそのままこれができていくような感じはしないんだけれども、どうでしょうか。

【田村主査】
 よろしいですか。後にしますか。ご検討されてからお返事されます? すぐに返事がしにくいのであれば、後で検討されてからお返事されても。

【渡辺専門官】
 今の段階で答えられる範囲でお答えいたします。まず、36協定との関係など、労働法制とかの関係もございますので、これは教職調整額を何パーセントにするとか、そういう単純な話じゃないと我々も認識してございます。現在、この調整額のあり方も含めて、総務省、厚生労働省とも同時並行的に協議をしているというところでございます。ですから、現時点でどこまで踏み込んでということはまだわかってございませんが、当然、調整額を何らかの形で改変するということになれば、そういったところについてもしっかりと詰める必要があると考えてございます。
 それから、一部の県で減額支給をしているということにつきましては、法律の規定からいたしますと、特に国立大学の法人化に伴いまして、国の準拠がなくなったということを踏まえまして法律改正がなされました。現在では、給料月額の100分の4に相当する額を基準として条例で定めるところによりという規定になってございます。ですから、ぎりぎりのところで考えたときに、4パーセントでないからということで、直ちにそのことをもってヒョウであるということではなくて、合理的な理由があってということであれば、それは法律上、許容され得るんじゃないかと考えております。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、本城先生、どうぞ。

【本城委員】
 案の1と案の2とあるんですけれども、これは両立しないというか、案の1の方向で行くのか、案の2の方向で行くのかという方向性なのか、それとも案の1をやった上で案の2も同時並行でできるわけですよね。そういうふうなとらえ方でいいんでしょうか。案の1、まずは支給対象を絞る、その上で、且つめりはりをつけるということで私自身は認識したんですけれども、そういうふうな認識でしょうか。それとも、どちらかということなんでしょうか。

【渡辺専門官】
 どちらかということでもありますし、両方とるということもあると思います。さらに言えば、案の1のような形で、支給対象外とする人を決めた上でめりはりをつけるということもあるでしょうし、逆に、めりはりをつけるけれども、支給対象外とすることまではやらないという選択肢もあると思いますので、幾つかの組み合わせは考えられると考えています。

【田村主査】
 どうぞ、井上先生。

【井上副主査】
 このワーキンググループが発足する際に、教員の給与についても画一的な優遇措置ではなくて、めりはりのついた優遇措置として給与体系をどう見直すかというのが1つの大きなテーマだったと思うんです。その場合に、教職調整額をどう考えていくかというのは1つのテーマではあると思うんです。そこで、教職調整額の経緯というのは、先ほど説明がありましたように、もともと戦後の公務員の給与の設定の段階から、教員の給与については1割程度高くしていったほうが、人事勧告で目減りしてほとんど差がなくなったので超勤訴訟が起こり、それによって実態調査の結果、教職調整額4パーセントが支給されるようになったと、簡単に言えばそういうご報告があったんですが、そういう点から言うと、もともとは、勤務時間の内外を問わず、包括的に評価して勤務時間が困難だという点から調整額が発足したことは事実なんですが、今回、ことしの4月から本給も1級を4段階にして4級化して、一律の昇給ではなしに、本給自体も勤務評定等を入れて、そのまま勤務成績が良好な者は4級にするとか、あるいは勤務成績良好は3級にするとか、あまり良好でなければ2級にするとか、不良なら昇給しないとか、1級だけ上げるとか、こういう評価システムが本給自体にも入ってきたわけです。そういう給与のあり方から言うと、教職調整額も本給と同じような扱いになってるが、それをどう見直すかというのは別の問題として、調整額自体についても、ある程度評価を入れないとめりはりのついた給与体系のついてる見直しをしたことにならないわけで、それが本給と同じような性格であっても、この際、評価システムが入るような教職調整額を検討する必要があるんじゃないかと考えているわけです。ですから、そういう点で、それをゼロに4、6とかそういうふうにするのかどうか。現在でも対象外になっているものをゼロにはしないで1か2支給するというようなことを考えるかどうか、その辺も含めてさらに検討する必要があるんじゃないかと思っております。以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、細川委員。

【細川委員】
 この調整額の経緯をいろいろ詳しく見させていただいたんですが、実態はいろいろほかにもあるのかもしれないんですが、これから拝見する限りでは、超勤手当のかわりで4パーセントが支給されていたという意味づけがあるのだとすると、これを本給扱いにしているということにはなかなか世間的な納得は得られないのではないかと思います。それで、まず本給から外して、調整費に率の差をつけるのであれば、そこには評価を反映させるなり何なりということが、勤務実態を含めて勤務の内容についての評価を反映させるということがあるんだと思うんですけれども、本給のままにしていると、ほんとうに超勤手当のかわりだったのかというところの区別がつかないように私は思います。そうすると、多少なりとも退職手当を含めた削減ということになるのかもしれませんが、ただやはり、削減という方向性だけではなくて、4パーセント以上の仕事をしている、あるいは能力があるという人たちにとっては、今までよりも給与の面で手厚くなるとか、そういうことをするのがめりはりだと思います。教職調整費のこれまでの役割というのは、経緯も含めて1つあったとは思いますが、私はここで一たん、これからの調整費のあり方としての役割を改めて定義づけることが必要なんじゃないかと思いました。

【田村主査】
 ありがとうございます。では、渡久山先生、川田先生、それから箕浦先生の順番で。

【渡久山委員】
 すみません、4時に出るので、ごめんなさい。「教職調整額4パーセントについて」という説明が今あった。これを見ますと、昭和41年度に実施した教員の勤務状況調査の結果をやりましたね。そうすると、小川先生の委員会でできましたあれによりますと、ほぼ1日平均が大体2時間だったですよね。そうすると、1週間に約10時間ですよね。これで見ますと、小学校で1時間20分になっていますね。そうすると、明らかに、これの10倍じゃないけれども、8倍ぐらいかな、どれぐらいかのを持ってこないと、この考え方をそのまま踏襲すれば4パーセントにはね返ってこない、こういうのが長期の実態ですよね。もちろん、10時間をどういうようにして減らして8時間にするかというのは一番の課題です。しかし、どうしても10時間の常態的な超勤があるとすれば、この考え方でいくと、絶対に4パーセントでは今の超勤実態に合っていないということが明らかになるわけです。
 ですから、1つは、調整額の配分の問題を議論する前に、調整額の今の額で妥当かどうかということをまず議論しないといけないと思うんです。これが1つです。それをやらないと、ひょっとすると、今の額でとる総原資を、今度はめりはりで分けるということになれば、今の超勤実態を全く無視したことになります。そうすると、小川委員会があれで苦労されている意味が全くなくなってきますから、この辺をきちんとしていただかなきゃいけないんじゃないかという気がいたします。これは意見として申し上げておきます。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、どうぞ、川田先生。

【川田委員】
 まず、幾つかあるんですが、案が現行の調整額をベースにしたような形で出てきているとすると、まず最初に、今問題になり得ることとして、お配りいただいた4‐1の3ページ目ぐらいですか、現行の制度が、先ほど来出てきていることと関係がありますが、一方では、ちょうど3ページ目の真ん中辺で、教員については勤務時間の内外を問わず包括的に評価というふうに。一方では、ここだけ見ると、超過勤務というのがあり得るということを前提として、ただ、時間に応じた超過勤務は支給しないという制度設計があるように見えるけれども、他方で、その下の点線の中では、原則として超過勤務を命じない。超過勤務というのは原則としてないから超過勤務手当は払わないと言っているようにも見える。そこのところがちょっとあいまいですので、現行制度をベースに議論するというのであれば、そこは明確化する必要がまずあるのではないか。
 自分の意見ですが、実態としては、現状で超過勤務がないから超過勤務手当を払わないという制度設計はあまりにも実態とかけ離れ過ぎているのではないか。前々から言っていますが、どうもこの研究会の中で、時折明確な職務命令に基づかないようなものは自発的に行われる行為であって、超過勤務とは呼べないというような認識が示されることがあるわけです。公務員法的な法律の根拠がなければ適当な活動はできないという発想からいくとそうなるのかもしれませんが、他方で、労働法的な観点から考えますと、もとになる命令とか労働が違法だったから労働者が保護されないというのは明らかにおかしいわけで、むしろ勤務の実態から見ていく。
 そうすると、実際、最近の、これは労働基準法の解釈にかかわるものですが、下級審裁判例なんかを見る限り、こういう教員の超過勤務みたいに所定外に所定内と同じような活動を労働者が引き続き行っているようなケースで、残業命令がないからその時間は労働時間ではなくて割増賃金を払わなくていいというような主張は、ここのところの下級審の裁判例を見る限りはまず成り立たない。ある程度、実態として使用者側が認識できるような形で労働者側が自発的な形で時間外に労働している場合であれば、幾つかケースはありますが、明確に残業禁止というような命令でも出していない限りは、まず労働時間と判断される傾向があるということで、そういう労働法的な評価はある程度、教員の問題を考えていく上でも意識すべきだと思います。あるいは、その実態から見ても、教員が時間外にやっていることを法的に超過勤務と評価できないとは言いにくいような状態にあるのではないか。ただ、その上で、仮に時間外勤務があるとしても、その時間数に応じた超過勤務手当を払わなくてもいい、そういう制度設計もあるのではないかというふうに考えを進めていくことは可能だろうし、むしろそっちのほうが教員の専門性なんかには見合った制度になるのではないか。
 次に、今度は調整額の性質について、もともと超過勤務手当が払われるべきである。でも、その時間数に応じた形では払われていないので、その代償として一律何パーセントという整理の仕方をすると、おそらく本給に含めるのはおかしいというような結論にもなるだろうし、あるいは額、パーセンテージの数もある程度実態の勤務時間に応じた勤務時間をもとに計算した額に使い、パーセンテージを払うべきという議論になっていくと思います。
 それとは別に、ある程度、教員の勤務というのは、時間数に応じた給与を払うということに必ずしもなじまないもので、むしろ、勤務時間の内外を問わず、ある程度、包括的な評価が可能なんだと考えていくと、これは必ずしも調整手当に当たるものを本給ではないと考える必要はない。むしろ、本給に含めるほうが合理的だということになると思います。その額の決定の仕方も、必ずしも労働の時間というものとの関連は意識しなくてもいいかもしれない。ある程度、別の観点から額を決定していくことも可能という、そういう整理になるのではないか。
 それから、最後、大分長くなっちゃいましたが、言いたいことをまとめてしまいたいと思います。案の2のほうなんですが、包括的に評価するということと、一人一人の支給率にめりはりをつけるということが何となくうまく結びついてこないような気がするので、ここは外国の制度なんかとの対比もありますが、外国の制度だと、必ずしも時間外勤務に当たるようなものを、時間に応じて見るだけではなくて、仕事に応じて、こういう仕事をしたら何パーセントとか、そういう見方もあると思いますので、単純に全部ひっくるめて何パーセントという率の決定以外にもある程度差をつける。例えばこういう仕事についていれば何パーセントとか、いろんな考え方があるのではないかということもここで言っておきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。大変難しい問題であることはよくわかってきました。まあ、もともと難しかったんですけれども。
 では、箕浦先生、どうぞ。

【箕浦委員】
 まず、教職調整額そのものをはかる上で、労働時間の実態調査があるわけですが、いろいろなものが全部さまざまに関連して決めていかざるを得ないと思っています。特に勤務状況の実態調査自体は、すべての労働時間を勤務時間を含んでいるという実態があって、その中に部活動手当などの部活動の部分も入っているという状況が、学校で行われている時間帯についてすべて把握されているというわけです。そうしますと、そこが現状では労働時間として、教職員の職務と位置づけられていないという状況であれば、そこの部分を含めて議論するかどうかという問題にもなると思います。それから、逆に、現状がこうだということだけではなくて、資料4‐1もそうですが、勤務時間というものをいかに弾力化するか。それから、変形労働、これは諸外国も含めて、それから教員の意識調査からも、そこは弾力化、あるいは変形労働を入れることによってかなり緩和されるということもございます。あるいは、先ほどの事務の役割分担によって、そこもかなり意識的にも労働時間、あるいは負担感が軽減されるという問題がございます。したがって、教職調整額を、私の意見としては、あまりここで今の実態がどうのということで大きくいじるということはどうなのかとは考えます。逆に、もともと、それぞれの超過勤務時間というものを算定の根拠として行ってきているわけですから、その部分というのはベースとして尊重しておいたほうがいいだろう。ただ、今回の実態調査を見て、この中で労働時間の弾力化、それから1年間の変形労働というものをうまく組み合わせること。あるいは、部活動というものをこの中に職務として位置づけないのであれば、そこの手当の是正というのはかなり大きな意識を皆さん持っていらっしゃるということで、そちらのほう、あるいは修学旅行とか、職場を離れて行う特殊性のあるもの、そういうものの手当の見直しというところで行う必要があるのではないかと思います。それから、先ほど申し上げました事務の部分、ここの簡素化、役割分担を変えるというのは相当大きなものだと思いますので、そういった部分だと思います。
 ただ、いずれにしても、案の1にありますように、実際の労働とかけ離れたところにいらっしゃる方たち、休職中などの部分で、これは趣旨からしても、実際の労働を伴っていないという状況がある中で、そこに教職調整額が払われているという状況はいかがなものかなと。あるいは、教職調整額のベースとして考えられていますものが、あくまでも、いわゆる基準法上で言うと、みなし労働時間的な考え方でできているという状況からしますと、みなし労働時間に合致しない部分については、そういう職務については支給しないという考え方がよろしいんじゃないかと思います。以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、帯野先生、新田先生といきましょう。これは非常に重要なので、全員に言っていただきたいんですけれども。

【帯野委員】
 まず、調整額の4パーセントについてなんですが、我々として認識をしておかなければいけないのは、実は4パーセントではないということだと思うんです。これに期末勤勉退職金、それから、本年度から地域調整額、このはね返り分を入れると、金額として6、7パーセントぐらいになるんじゃないか。私、それを調べたことはないですが、少なくとも4パーセント以上であるということは認識しておかなくてはいけないんじゃないかと思います。
 それで、まず案の1のほうですが、明らかに超過勤務を行っていない者に対しては支払わない、これは当然のことであると思います。それから、案の2のほうですけれども、質問なんですが、めりはりの部分で、通常の教員、勤務負担の少ない教員、勤務負担の多い教員とありますけれども、これは業績評価の結果、成績について優良である者、優良でない者という考え方でよろしいんでしょうか。というのは、このワーキンググループとして、さきに人確法を存続させるという大きな決断をしておりますので、国民の理解を得るためには、指導力不足等の勤務成績のよくない教員をどうするかということ、あるいはゼロパーセントにするぐらいのことをしないと国民の理解も得られないし、ひいては学校の先生がいつまでたっても国民から尊敬されないと思うんです。そういう点で質問と私の意見を述べさせていただきました。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、新田先生。

【新田委員】
 今の意見なんかを聞くとドキドキするような、現場の立場としてはあるんですが、まず、案1のところで、私も国民の理解を得るという意味では、休職者や長期研修中なんかで、実際の業務と本来の教職員の業務とまた違うとか、それをしていないのであれば、私もこれは述べていくほうが理解を得られるんだろうとは思います。これは先生方も理解できるのではないかと思うんです。
 教職調整額のほうなんですが、ここにもありますように、勤務時間の内外を問わず、包括的に評価したというところで、自分が今まで教職員をしていて、これまでも何度か言わせていただいたんですが、この前も出た勤務実態を見ても、2時間前後の、これは必要な勤務時間だと思うんです。だから、通常の朝8時から夕方5時までの仕事ではどうしても子供たちに対する教育が十分にはできない、必要な時間だと思うんです。それを勤務時間外というふうに教員の仕事はとらえ切れないんじゃないかというのが率直なところで、一番最初に、下のほうに、教員のモチベーションの問題も出していただいたと思うんですが、私自身も含めて、精いっぱいやっている教員にとっては、調整額という考え方は必要ではないかなと。それが超過勤務のかわりではないんだというようなところはしっかりと、言葉をかえてもいいですから説明をしていくことが必要ではないかと思うんです。その上で、めりはりのある給与は当然つけるべきだと思うので、調整額も踏まえて、全体として給料全体にめりはりをつけるということのほうがいいのではないか。調整額でもめりはりをつける、本給のほうでもめりはりをつけるというのではなくて、教員の勤務実態に合った本給とはどういうものであって、じゃあ、それに対して仕事の内容とか職責とか職務に応じてめりはりをつけるというのが望ましいのではないかというのが、うまくまとめられないんですが、教員としての意見です。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、最後に小川先生。先になさいますか。

【本城委員】
 自分の意見を言ってなかったので。

【田村主査】
 ごめんなさい、失礼しました。

【本城委員】
 さっき、質問ばかりで自分の意見を言っていませんでしたので。私自身は、まず案の1の部分は当然だろうと思いますので、支給対象を絞る。必要のない人に対しては支給しないというのは当然やるべきことだと思います。その上で、案の2、調整額については、指導力不足等教員やほかの者も含めて、ゼロパーセントは当然いるだろうと。その上で、上を何パーセントにするかというのは財源の問題等がありますので、6パーセントなのか8パーセントなのかわかりませんけれども、本給ではなく教職調整額の部分でめりはりをつけるべきだと思います。その上で、教職調整額を本給ではなくて手当という形にしていかないと、財源等の問題も解決しないのかなと思いますので、その部分については避けて通れないんじゃないかと思います。
 あと、最後ですけれども、勤務実態調査等の結果を受けても明らかな超過勤務というような日常化はあるわけですから、変形労働時間制を導入するということを強く打ち出していかないと、超過勤務等の問題がしっかりと解決されないのではないかと思いますので、変形労働時間制の導入は強く、私自身は必要であると考えています。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、小川先生で終わりにしてよろしいですか。松浦さん、最後に。先に言います? じゃあ、先に。

【松浦課長補佐】
 帯野先生からのご質問でございます。教職調整額は、本給の4パーセントの支給でございますけれども、ご指摘いただきましたように、地域手当ですとかボーナスといったものがございます。これにもはね返りますので、それを計算しますと、約6パーセントになります。本給の4パーセントということは、ほかの手当にもはね返りまして、4パーセント相当の手当が出ているということになろうかと思います。また、退職金の中にもその4パーセントということではね返ります。これは単純に計算しますと、退職時、大体、教員の場合は2,500万から3,000万程度の退職金が現在出ているということであるならば、そのうちの4パーセントでございますから、100万程度は教職調整額のはね返りとして上積みされているという状況でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、小川先生。

【小川副主査】
 もう皆さん、お話しされているので、手短に自分の基本的な考え方を述べたいと思います。僕は基本的には、案の1をベースに必要な手直しができないかというようなことを考えています。まずその前提ですが、先ほど、川田さんが論点整理をされているところが1つポイントだと思うんです。つまり、今の教職調手当を超勤の手当だと捉えるのか、それとも教職調整手当は勤務形態の特殊性というものをベースにした勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇だというふうにとらえるかということですけれども、僕は、超勤の手当だと限定してとらえた場合には、解決できないいろんな大きな矛盾が出てくるんじゃないかと考えています。先ほど、渡久山さんがおっしゃったように、実際の教員の残業時間というのは、はるかに今の4パーセントを超えるような状況です。それらの実際の残業時間を手当てする時間外手当の財源を本当に確保できるのでしょうか。そうした矛盾を回避するという意味ではないんですけれども、現実的な解決の難しい問題を今回、今の制度をベースとして見直していく場合に、基本的には、前提的には今の教職調整手当は、先ほど言ったように、勤務態様の特殊性というようなものをベースとした処遇なんだととらえた上で、案の1をベースにして必要な見直しを図るというようなことでいいのではないかと思っています。前回、勤務実態調査をしたときに、確かに超過勤務の時間というのがかなり分布にばらつきがあったんですけれども、ただ、ばらつきの理由は一体何なのかということについてのきちんとした実証的な検討というのは進んでいませんけれども、基本的には、その背景には、例えば主任をされている先生とか、部活の担当の先生とか、そういうさまざまな職務上に伴うものが背景にあってあのような超過勤務のばらつきがあるということだと思いますので、基本的には、前回のようなばらつきをベースにして超過勤務の長さに応じて教職調整手当にランクをつけるとかいうことは少しまだ慎重であるべきじゃないかと思っています。むしろ、そういうふうなことではなくて、主任手当とか、部活動手当等々のほうで、職務に応じためりはりをつけていくことで、むしろそういう問題というのは処理したほうがいいんじゃないかと思いますし、それでもなおかつ残業時間の差があるのであれば、それは基本的にはそうした仕事を公平に負担し合うというような工夫のほうでむしろ努力していくことであるんじゃないかと考えます。
 そういう点で、案の1をベースにして、基本的に、提案でも課題として挙げているような現場を長期的に離れている教員の方々については、実際現場で働いていませんので、教職調整手当の支給の問題については検討するとした上で、基本的には案の1のところをベースにしてやっていく、めりはりのところについては、ほかの職務給等々を含めたところできちんとやったほうが、今の制度の矛盾というか、そうしたものをうまくおさめながら対応できるんじゃないかと考えています。

【田村主査】
 どうもありがとうございました。時間がありませんので、申しわけございません、一応、これでこのテーマは終わらせていただきたいと思います。実は、この部分に関しては、次回のワーキンググループで論点整理をしていただいて、そこでもう一回議論をしてまとめていただくということになります。時間がほんとうにないので申しわけないのですが、まだ議論していないこととして、今出てきた教員特有の手当のあり方についての問題があるんですが、その前に、簡単に管理運営体制のあり方について、既にこれは議論を重ねてきておりますので、あまりご意見はいただかなくてもいいのかなという気もしますが、最初に渡辺専門官のほうから、この辺についてのご報告をいただいて、次の教員特有手当のほうに移らせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。

【渡辺専門官】
 資料5‐1をごらんいただけますでしょうか。第7回、第8回におきまして、学校の管理運営体制のあり方については既に議論をしてございますが、教員の勤務実態調査、本日の教員や保護者の意識調査の結果、それから、本日議論した学校事務のあり方などの検討を踏まえまして、再度整理したものがこちらでございます。
 まず資料5‐1が、現在の学校の組織運営のイメージということで、ごらんのように、通常、学校には校長がいて、教頭がいらっしゃって、その下に教諭がいる。その中に主任や主事というものを担当している者がいるということで、いわゆるなべぶた型の組織となっているというのが通常言われてございます。今までの調査結果などを踏まえますと、特に教頭の忙しさというのが勤務実態でも明らかになってございます。それにつきましては、資料の3枚目をごらんいただけますでしょうか。こちらが前回、18年度調査の4月の暫定集計で出させていただきました教諭の業務分類別勤務時間ということでございまして、この表の一番下にございますように、教諭においても、学校の運営にかかる業務その他の校務というのが、大体1時間43分ほどあるということになってございます。
 それに比べまして、教頭のほうを見ていただけますでしょうか。次のページでございます。同じく7月分の通常期における教頭の業務分類別勤務時間でございます。こちらを見ていただきますとわかりますように、教頭におかれましては、学校の運営にかかわる業務、その他の校務というのが約9時間8分ということで非常に大きくなっている。イエローのところの中の内訳を見ますと、例えばiの学校経営が1時間59分、事務・報告書作成が4時間、その他の校務が1時間23分ということで、教頭におけるこういった事務作業の割合が非常に大きくなっているというような状況が出てございます。前回、昭和41年度からこういった業務がどれくらい増えているか比較をしてほしいということが出たんですが、現時点におきましては、昭和41年の調査が年間のデータしか残ってございませんので、今回の調査との比較というのはまだできてはいないわけでございますけれども、この実態などを見ましても、教頭にかなりの業務が重くなってきているというような状況が見てとれるかと思います。
 そういった状況、それから今までの議論を踏まえまして、資料の2枚目でございますが、学校の組織運営の新たなイメージということで、考えられるものをポンチ絵で整理させていただいております。まず、このワーキングの中でも議論がされましたけれども、教頭を補佐するものとして主幹というものを設けてはどうかということで、校長及び教頭を助け、校務の一部を整理し、生徒の教育をつかさどるという主幹でございます。例えば学校に2名、教務主任を兼務したり、生徒指導を兼任したり、主幹を置くというようなイメージでございます。なお、これはあくまでイメージでございますので、当然、制度設計上、主幹を必置とするということまで考えているわけではございませんし、管理職とするということまで考えていることはございません。さらに、主任と兼任するのが適切かどうかなど、主任との関係については今後整理が必要と考えてございます。
 さらに、今度は右のほうを見ていただきますと、指導教諭ということで、ほかの教諭の職務の遂行に必要な事項について指導及び助言を行い、並びに生徒の教育をつかさどるということで指導教諭という職を設けてはどうかというイメージでございます。
 さらに、教頭につきましても、非常に忙しくなっているという状況が出てございますので、現在は、小学校で27学級以上、中学校で24学級以上に複数教頭の定数措置がされてございますけれども、こういった点も見直して、複数教頭というのを充実していくかどうかということも今後考えられるのではないかと考えてございます。
 簡単ですが、以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。この点につきましては、既に2回ほど議論をいただいておりますので、次回のワーキンググループで論点整理をしていただきます。表が出てきますので、そこでもう一回ご審議いただくということで。きょうは、実はまだ議論していません非常に重要な問題が残っておりまして、それは教員特有の手当のあり方でございます。こちらに移らせていただこうと思いますが、よろしゅうございましょうか、ちょっと時間がないものですから。それでは、そういうことで、松浦補佐ですね。よろしくお願いいたします。

【松浦課長補佐】
 資料6をごらんいただきたいと思います。資料6‐1では、教員に支給される諸手当について並べてございまして、それの見直しについての論点を整理してございます。例えば給料の調整額というものでございますけれども、これまで手当の検討につきましては、教職調整額を中心にご議論いただいたわけでございますが、教員に固有に支給される手当というのは以下のようになっているわけでございます。例えば給料の調整額というのは、現在、特殊学校といわれる盲・ろう・養護学校及び小・中学校の中にございます特殊学級の担任の先生について支給されるものでございます。概要といたしましては、本給の約6パーセントで、これが本給扱いになりますので、先ほどの話では、教職調整額ははね返りで6パーセントとなりますが、給料の調整額というのは、本給の6パーセントではね返りを入れますと9パーセント程度。退職金になりますと、150万程度がこの特殊学校、あるいは特殊学級を担任することで支給されるという状況になってございます。来年以降、この特殊教育といったものが特別支援教育ということで変わります。学校全体としてそういう障害を持っている子供たちに対する全面的な支援をするという中で、特殊学校の先生、あるいは特殊学級の先生のみに支給されている給料の調整額といったものについてどうすべきなのかといったような議論、あるいは退職金やボーナスにもはね返るわけでございますので、そういったもののはね返りの是非といったことについてもご議論をいただく必要があろうかと思います。
 次に、教職調整額はこれまでも議論しておりますので割愛させていただきまして、義務教育等教員特別手当でございます。この義務特手当は、人確法の制定に基づいて創設された教員に支給される手当ということでございまして、現在、3.8パーセント相当の定額が支給されてございます。ただし、骨太の方針2006におきまして、教員給与の縮減2.76パーセントの中で、1.38パーセント、縮減の半分を義務教育等教員特別手当で引き受けるということになります。そうしますと、義務特手当が、本給の1.4パーセント程度の小さな手当になるということでございますので、引き続き、義務教育等教員特別手当を支給するかどうかといったことについてご議論が必要なのかと思います。
 次に、特殊勤務手当の中の教員特殊業務手当でございます。これは勤務時間の内外を問わず包括的に評価するという教員の勤務の原則のもと、ただし、それ以上に、勤務の特殊性とか困難性を評価すべきものということで、非常災害地等の緊急業務、あるいは修学旅行等の指導業務、対外運動競技等の引率指導業務、部活動指導業務、入学試験業務、こういったものがございますけれども、特に部活動指導業務の部活動手当の議論はこれまでもしていただいておりますが、あわせてほかの区分の業務についての手当をどうするのか、こういったことが議論として必要かと思います。
 また、多学年学級担当手当というのがございまして、これは複式学級を担当する教員ということで手当の支給になってございます。複式学級と申しますのは、例えば学級の規模が極端に少なくて、小学校の1年生と2年生があわせて授業を受けるという場合に、その学級を担当します先生に、現在、日額で290円ほどの手当が出てございます。こういった手当につきまして、複式学級の先生だけが非常に困難な業務を行っているのか、あるいはもっと言えば、今、1学級40人のクラスを担当する先生がさまざまな困難さを訴えているという中で、単に複式学級であるということで多学年学級担当手当の支給ということについてどうなのかといった議論が必要ではないかと思います。
 また、教育業務連絡指導手当、これはいわゆる主任手当でございますけれども、主任手当につきましても、先ほど来の主幹制の導入、あるいは校長、教頭の給与のあり方といったものの議論の中で、主任の職務に見合ったものが現行の主任手当でいいのか、そういった議論が必要ではなかろうかと思います。
 次に、管理職手当でございますけれども、これは校長先生や教頭先生に管理職としての職務に対応するものとして手当が出ているわけでございますが、勤務時間の調査からも、例えば教頭先生が非常に帰りが遅いというようなもの、あるいは仕事に対する負担感が多い、こういったものから現行の管理職手当というものが現行の支給率のままでいいのかどうかといったことの議論が必要ではないかと思います。
 残り3つでございます。へき地手当、定時制通信教育手当、産業教育手当でございます。それぞれそれを定めた法律がございまして、その法律に基づいてそれぞれの手当が支給されてございます。支給基準そのものは、各都道府県の条例で定めるということになってございますが、それぞれ大変古い法律の時代のもと制定されてございます。
 へき地手当につきましては、文部科学省で定めますへき地級地の指定基準を踏まえて、へき地の学校ということで指定されるわけでございますけれども、それぞれの級地に応じた手当の支給というものが、現在の教員の職務といったものからも適正であるかどうか、あるいはへき地手当については、その学校に勤務をするということで手当が出る、いわゆる属地主義の手当をとってございます。現在、山間部の学校におきましては、都会部から車で通えるような条件が整備されているということから、車で通っている先生が非常に多くなっているということからも、その辺の併給されている部分をどう考えるのかといったことについてご議論が必要ではないかと思います。
 また、定時制通信教育手当につきましては、これは高校でございます。定時制の教育課程で指導される先生、あるいは通信制教育の課程で勤務される先生につきましては、基本的には各都道府県の条例で定めることになってございますけれども、おおむね10パーセント程度の手当がその勤務ということで出てございます。今日的な状況の中で、こういった支給割合というのが適正なのかどうかといった議論。
 最後でございますが、産業教育手当、これは産業教育――農業、水産、工業、電波、商船といった課程の中で勤務される先生に対して支給される手当でございます。産業教育の振興という観点と教育条件の整備という観点でございますけれども、やはり同様に10パーセントの手当が支給されているというのが現状でございます。今日的な教育の現場の中で引き続きこのような手当が支給されるべきかどうかということについてご議論をいただきたいと思います。
 次のページをごらんいただきますと、これは第4回、第5回のこのワーキンググループで都道府県教育長協議会のほうから配付された意見の中から手当の部分を抜粋した資料でございます。都道府県教育長協議会の中でアンケート調査をされたものでございますけれども、資料3ということで囲ってございますが、例えば給料の調整額、あるいは義務教育等教員特別手当、そして14のへき地手当といった部分につきましては、その下のほうに出てございますけれども、廃止・縮減する方向で見直しと、こういった部分が出てございます。また、充実する方向で見直しというのが、修学旅行、あるいは対外運動競技、あるいは部活動といったものが出てございますし、管理職手当の部分につきましても見直して充実する方向というようなご意見がアンケートとして出ておりますので、こういったご意見も参考にしていただければと思います。
 次のページは、資料6‐2として1枚紙でまとめてございますけれども、先ほど申しました費目につきましての制度概要、あるいは支給額の現状、創設年度、あるいは背景、これまでの改定経緯、そして根拠規定を設けてございます。こういった部分を参考にしていただきながら議論を深めていただければありがたいと思います。
 ちょっと駆け足でございました。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。お手元の表6‐2のところに表が詳しく出ていますけれども、手当と言いながら、本俸にはね返させているという部分のものをどうするかという議論をしてもいいんですかね。よろしいですか。それから、額がどうかという議論がありますよね。それから、手当そのものも存在に意味があるかどうかという、いろんな種類の議論がこれから出てくるのではないかと思うんですが、きょう、すぐできますかね、これ。どうしましょうか。これはおそらくいろんな意見が出てくると思うんです、質問もあるだろうし。

【渡辺専門官】
 額とかをどうするかとか、そういったことはまだ今回難しいと思いますので、それぞれの手当についての感想というか、方向性を少し大きな枠でご意見をいただければと思います。

【田村主査】
 そうですか。では、手当を本俸にはね返させることの意味というか、そういうのもあるし、全然はね返らないのもあるし、こういう手当があっていいのかどうかということで、ご意見があればおっしゃっていただくということで。これはもう一回やらなきゃ無理ですかね。次回もう一回やりますけれども。
 どうぞ、川田先生。

【川田委員】
 細かい話は実は私もよくわからないので、根本的なところで、今あるものを前提に議論するだけでいいのか。例えば先ほど、小川先生がおっしゃったような、調整手当のところを、ある程度実際の勤務実態と切り離して考えていくという考え方でいくとすると、例えば平日の部活なんかが典型的だと思いますが、現行の手当の中では評価されていなくて、しかし、勤務実態として給与の面で評価すべき教員の活動というのがもしあると、それは現行制度の中になくても考慮すべきということになるのではないかということです。

【田村主査】
 よろしいでしょうか。何かご意見ございますか。

【松浦課長補佐】
 川田先生のご意見はもっともの部分だと思います。例えば先ほどの平日の部活動の評価をどうするかといった部分につきましては、勤務実態からも、一生懸命されている先生は大きな時間を使っておられるというのが実態として出ているわけでございますけれども、先ほどの資料4‐1で、例えばでございますけれども、教職調整額のあり方の中の、案の2といったところの中にそういった部分についての評価を加えるという中でめりはりをつけるといった考え方もとれるのではないかとも考えてございます。

【田村主査】
 よろしいですか。

【渡辺専門官】
 部活動手当については、そもそも部活動の位置づけをどうするかというのが課程部会であまり議論が進んでいないようなところもあって、なかなか申し上げにくいんですが、いずれにしろ、部活動をどうするかということのそもそものところとセットで考えていかなくてはいけないと思っております。

【田村主査】
 いかがでしょうか、何かご意見。では、新田先生と細川先生、順番でどうぞ。

【新田委員】
 この一覧表を見ると、先ほど、教職調整額の話があって、また義務教育特別手当があって、ほんとうに学校の先生っていっぱいもらってるねと。これは新聞に1回載ったことがあったと思うんです。そのときに、私の教員じゃない知り合いからそう言われたんですが、例えばなんですけれども、今までの資料で、第6回の会議の資料の中の資料1‐3‐1ですかね、教職員給与についての分析結果というやつの8ページの資料なんですけれども、こういうグラフが文科省のほうから出ていると思うんですけれども、私も昨年、このグラフを見て、えっ? と思ったんです。優遇されている、されていると言いながら、教職員と一般の公務員のいろいろな手当をすべて足したものを見ると、確かに40歳ぐらいまでは教員のほうが優遇というか、給与をたくさんもらっているけれども、40歳以上になると、逆に一般行政職のほうが高くなっている現状。結局教員の給与表が4級しかないという現状からそういうふうな実態もあるんだと。手当ばっかりが並んでいると、いかにも先生方はいっぱいもらっているととられがちなんですけれども、そのあたりもきちんと議論に乗せていただいて、実際、勤務実態とか、教育専門職であるというところで、先ほどの議論にも出たんですけれども、私、同じ先生の仲間としてもやはり不的確な先生は除いてほしいんです。同じ現場に勤めていても、自分たちがいくら頑張ってもその人たちが、言葉は悪いんですけれども、足を引っ張る現状があります。学校というのは1つのチームでやっていますから、そのあたりはどんどん改革をしていっていただけたらいいと思うんです。
 ただし、勤務時間も含めて、ほんとうに先生方が子供たちに何か教えようとするときにモチベーションが高まる給与体系のあり方をこのワーキンググループでは話し合っていくということだったと思いますので、先ほども言いましたけれども、今までの名前をそのまま残すのではなくて、なぜそれが取り込まれて新しい手当として入ってきたのかということも考えていっていただきたいなと。手当の一覧なんかを見ると、昭和何年とか、全部ずれていると思うんです。実態を見ながらだんだんいい形になっていったと思うんです。その中で、確かにどう考えてもこれはもう退けたほうがいいというものは、この会議の中で述べていくことも必要だと思いますが、これは必要だという考え方のものは残していって、何が何でも削減というのではなくて、先生方のモチベーションを高めることを考えていっていただきたいと思います。
 それから、ここに特殊勤務手当もいろいろ出ているんですけれども、実際、例えば学年主任手当にしたって、日額200円程度しかもらっていませんし、200円ぐらいの業務しかしていないかといったら、それ以上のことをしていると思うんです。どうしても手当がこれだけ並ぶとすごく感じて、なかなか時間内にすべてを整理できないところもあると思うんですけれども、必要な手当というものは、都道府県の教育長協議会の意見なんかも参考にしながら、もう一遍精査することが大事かなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。細川委員、どうぞ。

【細川委員】
 次回出席できないもので、今まだあまり考えがまとまっていないんですが、ちょっと意見だけ申し上げたいと思います。基本的に手当を本給にはね返らすというのは、私としては理解がいま一つできないと思っていまして、手当は手当として支給されるべきではないかと思います。
 それと、個別の手当で言いますと、管理職手当で、先ほど、校長先生がそんなに忙しくないんじゃないかという話もありましたが、忙しくないから手当を減らすとか、そういうことではなくて、校長先生という位置づけが、教頭・副校長の先生方とは違うという意味の管理職手当ということだと思いますので、むしろ、校長先生に今後、例えば権限が増えていくというような学校運営形態が増えていくとすれば、そこの部分はむしろもう少しつけてもいいのではないかと私自身は考えております。
 あと、全体として縮減をしなくてはいけないという方向性なんだろうと思うんですが、当面、骨太2006で人確法に基づく優遇措置を縮減するということになっているんですが、そうすると、人確法に基づいて新設されたこの一覧でいう青い部分については、全体として縮減という形で考えていくということなのか、とりあえず当面、義務教育等教員特別手当を何パーセントか削るということにはなっていますが、そこのところで納得が得られることになっているのか、そこのところだけ教えていただきたいと思います。

【田村主査】
 どうぞ、お願いします。

【松浦課長補佐】
 次に用意しておりました資料7‐1をあわせてごらんいただきたいと思います。「人材確保法に基づく教員給与の優遇分の縮減についての基本的考え方」ということで、もう一度整理をしてみました。いわゆる骨太の方針の中で、義務教育費国庫負担金について、人材確保法に基づく優遇措置を縮減するということが明記されておりますけれども、その具体的な中身は、6月21日の自民党歳出改革プロジェクトチームにおける検討の中で、枠に囲ってございますようなことが了承されております。1つは、人材確保法に基づく教員給与の優遇分というのは、7.26パーセントと書いてございますけれども、これは本給での優遇分、本給部分と義務教育等教員特別手当部分の2つである。当面の縮減とございますのが、2.76パーセントでございますけれども、これは内訳と書いてございますけれども、本給にかかわる部分と義務教育等教員特別手当で半分ずつ縮減するということについては、基本的に了承されています。ですから、給与の縮減といった部分につきましては、この本給と義務教育等教員特別手当の部分は縮減することは決まっておりますけれども、それ以外の手当等につきましては、まさにここでの議論の中でめりはりをつけた手当としてご検討いただければありがたいと思います。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、今、松浦補佐からご説明がありましたので、7‐1もごらんになりながら、ご一緒に何かご質問があればしていただければと思っております。よろしくお願いいたします。どうぞ、井上先生。

【井上副主査】
 今、7‐1の説明で明らかになっているわけですが、骨太の方針2006で削減を検討すべき事柄というのはある程度提示されているわけでして、それ以外の、今度、特殊学級手当、あるいは特殊学校の教員の6パーセントの分が特別支援学校になって一体的にやる場合に、その必要性があるかどうかというのは実態を見ないとわからない点がありまして、それについては、特殊教育関係者、あるいは勤務実態がないと我々では判断できないのではないかという点がある。
 それから、へき地手当、定通手当、産業教育手当、それぞれ法律に基づいて政策的に手当ができていると思うんです。だから、その手当をここで議論して見直すといっても、実態がわからないと、どういうふうに手当が支給されているのかを見ないと、軽々に結論は出せないんじゃないかというような感じがしているんです。
 そして、そのほかの、特殊勤務手当も、今の勤務の実態に対する支給額が、この間、説明は受けているんですが、その中で特に部活動指導業務手当については教育長会議で一番増額してくれという要望があるんですが、これをほんとうに教員の勤務として扱うかどうかというような、46年の給特法の関係の経緯から言って、一応、学校の教育活動そのものではないが、事実上、学校の管理下で行われるということから特殊勤務手当が支給されていると思うので、本来の位置づけをどうするのかというのがないと、これについても非常に判断が難しいというように、これを見直ししてくれと言われても、実態と考え方が、それぞれどう考えるかというのが提示されないと議論が進まないんじゃないかと思うんですが、その辺について事務局はどう考えているのか。

【田村主査】
 よろしいですか。お願いします。

【松浦課長補佐】
 井上先生からのご指摘はそのとおりでございます。きょうは、大変たくさんの資料をこちらのほうからご提示させていただきまして、十分にご議論いただく時間がとれなかったわけでございますが、次回の議論に間に合うものは間に合うというような形で、資料のほうも充実させていただきたいと思います。

【田村主査】
 ということでよろしゅうございましょうか。ですから、次回も必ずご出席いただきたいということで。細川先生がちょっと無理だとおっしゃっていて困りましたね。何とか都合をつけてお願いいたします。
 では、どうぞ、帯野先生。

【帯野委員】
 先ほど、細川委員がおっしゃった手当と本給とのことなんですが、やはり手当というのは、一部の人しかもらわないから手当であって、全員がもらうのは手当ではないと思うんです。そういう意味で、手当を本給にするのは、この際、少し整理したほうがいいんじゃないか。というのは、このワーキンググループの仕事の目的として、先生にやる気を起こさせる、めりはりをつけた給与体系というのもありますけれども、もう一つ、この際、国民にわかりやすい給与体系をつくるというのが大切だと思いますので、そこのところはもう一度検討したほうがいいんじゃないかということが意見です。
 それから、1つ細かな質問で、わかりにくいところがあるので教えていただきたいんですが、この手当の中で、一番問題になるのが主任手当ではないかと思うんです。この間、主幹との関係でいただいた資料、主幹のことを検討した委員会のときにいただいた資料の中で、今現在、新しい級をつくっている東京都、神奈川県、大阪府で、主幹と兼務しているというのが東京、神奈川でしたよね。大阪は主任との兼務が避けられないという表現だったと思うんですが、そうすると、この主任手当の4,000円というのは、この表で一般の教員との差額というところで、東京、神奈川、大阪と出ておりましたが、その中に……。ごめんなさい、言い方を変えると、現在、主幹をしている人は、主任手当というのはもらって、それで新しい等級になるとか、3級の給与を適用されているということなんでしょうか。

【松浦課長補佐】
 東京都の場合は、まさに主任手当をもらいながら主幹を兼ねているということになってございます。

【田村主査】
 管理職にしているのとしていないのがあるということですかね。

【松浦課長補佐】
 管理職手当の支給ということではなくて、東京都が、新たに3級に主幹という職を設けて、その職に見合う処遇、いわゆる給料表という形で措置をされてございますが、あわせて主任手当も主幹に対しては支給されているというのが現状でございます。

【帯野委員】
 神奈川県もそうなんでしょうか。

【松浦課長補佐】
 失礼しました。神奈川県の場合は、主幹制を導入した際に、従来の主任を廃止し、手当も廃止し、それらの業務を主幹が担うような級体系の変更がなされております。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、ほかにご質問はございませんでしょうか。7‐1ですけれども、事務局にご説明いただくだけの時間がないんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。それともおやりになりますか。では、どうぞ、お願いします。

【渡辺専門官】
 7‐1につきましては、先ほど、松浦のほうから説明がございましたので、7‐2をごらんいただけますでしょうか。資料7‐2でございます。このワーキンググループの中でも、給与以外の教員の優遇措置のあり方についても検討すべきではないかというご意見をいただきまして、それを踏まえて整理させていただいたものがこちらでございます。給与以外の教員の優遇措置として考えられるものといたしまして、まず「優れた教員の表彰」ということで、優れた教員を表彰し、それを処遇に反映させたり、教師の表彰を通じて、社会全体に教師に対する信頼感と尊敬の念が醸成されるような環境を培うということで、平成17年度現在におきましては、35都道府県・11指定都市におきまして教員の表彰等の取り組みを実施してございます。その次のページ以下に具体的な取り組みの例をつけさせていただいてございます。
 それから、研修ということで、校内研修や任命権者などによる体系的な研修と教師の主体性を重視した自己研修の双方の充実を図って、教員の意欲、質の向上を図るということで、教育公務員はその職責にかんがみまして、ほかの一般公務員と比較して特段の配慮が要請されるということで、教育公務員特例法におきまして、「その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」という規定がされておりますけれども、それを踏まえて、職務専任義務の免除による勤務場所を離れて行う自主的な研修でありますとか、現職のままで長期間、企業、社会教育施設等に派遣される長期社会体験研修などが認められてございます。こういった研修を充実するという方向があるのではないかと考えてございます。
 それから、さらに、大学院修学ということで、幅広い視野と高い専門的知識を兼ね備えた教員を育成していくため、大学院修学制度を活用して、より多くの教員が大学院修学の機会を得られるようにするということが必要ではないかということを考えてございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。どうも司会の時間の配分が悪くて駆け足になっちゃって申しわけないんですが、非常に重要なことが幾つも出ておりますので、ご意見をいただければと思います。
 まず最初に、7‐1の4.5パーセントの扱い、めりはりをつけるのか、一律でいくのかということについてご意見があれば。それから、表彰制度等々、ご意見をいただければと思います。諸手当の問題は次回にもやるんだよね。そこでもう一回整理していただいたものを出していただくということで。それでは、いかがでしょうか。ご意見ございませんでしょうか。

【井上副主査】
 給料以外の優遇措置のところですが、優秀な教員の表彰等の取り組みについては、中教審でもたしか、教師の日、あるいは教育の日を設けて、各県で優秀な教員の表彰をすることによって先生方のモチベーションを高めたらどうかというご意見がかつてあって、そういうことも検討課題になっていると思うんですが、これらについて、表彰した教員に何らかの特別昇給とか、そういうものをやるかどうかということになると、めりはりのついた給与の一環になるのではないかと思っているんです。そこまでは今のところはそういう扱いにはなっていないわけですね。ですから、その辺のところの扱いというのも1つの検討課題じゃないかと思っております。
 それから、教職の専門職大学院等ができたり、あるいは既にある上越、兵庫、鳴門教育大学の大学院に国内留学と申しますか、行って、そこで修士課程をとった人に対して優遇措置をするというのも従来から検討されてはいるけどなかなか実現していないというところがあって、その辺のエンカレッジ策というか、奨励策をどうするかというのも1つの検討課題ではあると思います。これも給与全体のあり方の中で検討する課題ではないかと思っております。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。今のご指摘は、実はほんとうに重要なことでございまして、現職教員の質の向上の方策として、大学院に行っても実は何もやられていないんです。給料が上がるとかそういうことは全然ないので、やっぱりどこかで言わないとこれは進まないんじゃないかという気がするんです。ほんとうにご指摘のとおりだという気がします。
 ほかに何かございますか。どうぞ、細川委員。

【細川委員】
 次回出席できませんので、すみません。
 最初のほうの9月にあったヒアリングのほうで、花王の方がいらっしゃったと思うんですけれども、その中のお話で私が一番印象に残った点が、優遇ということに直接どう結びつけるかはいろいろ制度設計があると思うんですけれども、研修などを通じて自分たちの能力とか意識を向上させるということをあわせてやっていると。それがそこの組織にいることの魅力と理解されているようなお話をしていたのがとても印象的でしたので、やっぱり給料だけではなくて、自分自身が向上していける職場であるということを確信できる職場環境というか、そういう制度というのはとても大事ではないかと思いました。あまり比較するには乱暴なんですけれども、私のように個人で仕事をしていますと、研修の場というのが与えられるわけでは――与えられるというのもおかしいんですけれども、なかなか自分でやっていくというのも難しい。それに比べると、組織に所属している中で自分自身を高めていくことができるというのはとても恵まれている環境だと私自身は思いました。今の段階で申し上げられることはこれだけなんですけれども。

【田村主査】
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、箕浦先生。

【箕浦委員】
 今のことに関連してですけれども、そういう研修を行う機会ということについては、幅広くそういった機会を設けるということが非常に大切だと思います。そのことによって、非常に大きな経験をしたり、あるいはさまざまな観点から知識を吸収するというものが、実際に職場に帰ってきてどういった影響を及ぼすかということは非常に大切だと思います。そのときに、研修を受けたことに、給与とか処遇がどうという部分は、受けたことで直接等級が変わるとか、そういう話ではなくて、実際に戻ってきたときにどういった成果が出せるかということだと思いますので、そういった観点からしますと、めりはりのある給与という部分で、いわゆる等級制によって現状行われている、評価によって給与の差が行政職の場合あるというようなものが、これはすべてに差をつけるということではなくても、優秀な部分、優秀でないという部分についてめりはりをつけるということは本来の趣旨としては非常に大切なんじゃないかと思います。以上です。

【田村主査】
 ありがとうございます。いかがでしょうか、ほかに。小川先生、よろしいですか。

【小川副主査】
 いいです。時間が……。

【田村主査】
 それでは、以上でよろしゅうございますか。
 きょうは、長時間にわたりまして委員の方々からさまざまなご意見をいただきましたが、本日、長い時間、ほんとうにありがとうございました。時間の関係上、この継続をさせていただこうと思います。いただきましたご意見を踏まえて、論点整理をさせていただいて、大分論点整理をする項目が多くなりましたけれども、事務局、大変ですけれども、おまとめいただいて、次回のワーキンググループでご提案をして、議論をいただきたいと思っております。
 それでは、今後の日程につきまして、事務局からのご説明をお願いいたします。

【渡辺専門官】
 次回、第12回ワーキンググループにつきましては、12月26日火曜日の13時から15時までで、場所は、学術総合センターの2回の中会議室を予定してございます。以上でございます。

【田村主査】
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。ほんとうに長い時間、ありがとうございました。お疲れさまでございました。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局財務課