教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第9回) 議事録

1.日時

平成18年11月24日(金曜日)15時~17時

2.場所

キャンパス・イノベーションセンター 1階 「国際会議室」

3.議題

  1. 教員勤務実態調査(第1期・第2期)暫定集計について
  2. 教員の業務の整理・効率化について
  3. 教員の勤務時間と教職調整額の在り方について

4.議事録

【田村主査】
 それでは定刻となりました。ただいまから第9回中央教育審議会初等中等教育分科会の教職員給与の在り方に関するワーキンググループを開催させていただきます。
 本日は会場が変わりました上に、大変お忙しいところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは、早速、本日の議事に入らせていただきます。まず1つ目の議題でございます。待ちかねていました教員の勤務実態調査が、暫定集計が出始めておりますので、きょうは1期、2期の暫定集計についてご報告をまずお願いするということになると思います。
 文部科学省の委託によって、小川副主査を中心にして、教員の勤務実態調査が進められておりますけれども、きょうは暫定ということで、今までの分をまとめて、小川副主査より現時点ということでご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【小川副主査】
 それでは私のほうから教員勤務実態調査の第1期、第2期の暫定集計の結果を報告させていただきます。今日使用させていただく資料ですけれども、資料1‐1から5を確認ください。今日の報告は膨大な内容ですので、重要と思われるポイントを押さえた概要である、資料1‐1に即して報告させていただきます。
 ただ、内容が多岐にわたりますし、また情報の量もかなり多いですので、その詳細な内容については、7月分の第1期が資料1‐2、第2期、つまり夏休み分、8月の分が資料1‐3でご確認下さい。そして、実際、今実施している勤務実態調査の調査票、「教員個人調査票」が資料1‐4として添付しています。最後、資料1‐5ですけれども、これは昭和41年度の同じような教職員の勤務状況調査結果に関する資料です。これも後で説明させていただきたいと思います。
 まず、この調査の目的ですけれども、公立義務教育学校の教職員の勤務や給与の在り方を検討するに当たりまして、全国の教職員の勤務実態を把握することを目的としています。そして、この7月から12月までの6カ月間、1カ月単位ごとに全国の公立小学校、中学校の中から小中それぞれ180校を無作為で抽出して、その抽出された各学校の先生方、管理職を含めて1人1人の教員に4週間、毎日30分単位でもって勤務の実際を記入してもらうというものになっております。実際に使用されている調査票、教員の個人調査票は、先ほどお示ししました資料1‐4として添付してありますので、後でお時間のあるときに内容をご参照いただければ幸いです。
 今日は暫定ではありますけれども、集計が現在整っております7月分と夏休み期間中の8月分の2カ月の勤務実態について、それぞれ報告をいたします。ただ、現在もこの調査は進行中でありまして、12月までの6カ月間、すべての期間の調査が終了して、データが全部そろった段階で検討するのがよろしいかと思うんですけれども、このワーキンググループの任期、ないしはその審議進行の予定などもありますので、とりあえず今日は7、8の2カ月分暫定集計をご報告し、9月以降の集計につきましては、事務局とも相談をさせていただきながら、またこの会議の場に適宜報告をさせていただければと考えております。
 では、これから7月と8月の暫定集計を説明したいと思いますけれども、私に今日与えられた時間がおよそ20分ということでございますので、本来であれば詳細な資料データが入っております資料1‐2と資料1‐3に基づいて説明すればよろしいんですけれども、それをしてしまいますと、大幅な時間の超過となりますので、先ほど言いましたように、重要と思われるポイントを整理した資料1‐1を使って説明させていただきたいと思います。
 まず、この調査で問題にする勤務時間をどう把握するかですけれども、これは資料1‐1の1ページの一番下をごらんください。きょう問題にする勤務時間の考え方ですけれども、始業時間から終業時間までのいわゆる規定勤務時間以外に学校において勤務をした時間を、ここでは残業時間としてとらえて、規定勤務時間と残業時間の合計時間数を勤務時間という形できょうはあらわしています。
 また、きょうの報告のポイントは、残業時間の量的な問題だけではなくて、どんな業務の内容で勤務時間ないしは残業時間がどのようになっているのかという、質的な問題も考えたいと思いますので、これから見て行くように、業務の内訳に即して勤務時間と残業時間も見ることにしております。
 資料1‐1の一番最後の8ページをごらんください。教員の1日の仕事、業務の内容をこのようにaからvまでの22項目の業務に分類しております。この内容をさらに児童・生徒の指導、例えば教科指導ないしは生活指導等の児童・生徒の指導に直接かかわる業務は、色としてグリーンであらわしております。
 2番目に児童・生徒の指導に間接にかかわる業務、例えば授業の準備等々とか成績処理等々のような業務については茶色であらわしております。
 さらに学校の経営とか運営にかかわる業務、その他の校務につきましては黄色であらわしています。
 さらにPTAとか保護者、ないしは地域への対応という、外部への対応については水色であらわしております。
 このように、教師の仕事を業務内容別に分類し、それを22項目に分けた上で、先生方が1日の勤務時間でどのような仕事の割り振りをして仕事をされているのか、そしてまた残業時間はどういう業務に割かれているのかということを見ようというものになっています。ほかに色のついていないvの項目は休息・休憩時間ということになっております。
 以上の勤務時間と残業時間を業務分類に基づいて調査した結果をこれからご報告させていただきたいと思います。そこで、まず2ページをごらんください。これは7月分通常期の教員の勤務時間全体をあらわしたものです。上のaから下のv、そしてそれを小学校の教員、中学校の教員、小学校・中学校の平均ということであらわしています。
 これを見ていただければおわかりのように、授業というのが小学校、中学校とも一番多く時間が割かれております。そのほかにfの生活指導というのが1時間ちょっととなっています。
 もう1つ気がつくのは、夏休み前の月ということもあって、eの成績処理の時間も1時間を超えるものとなっています。これは7月というか学期末特有の業務かと思われます。
 もう1つ特徴的なのは、中学校で授業に次いで長くなっているのがhの部活動・クラブ活動で、1時間を超える時間になっています。
 さらにもう1つは、学校の運営にかかわる業務、及びその他の校務と外部対応の時間が小学校、中学校ともに2時間程度行われているというのも目を引く数字になっております。
 以上、aからvまでの22項目を、さらに先ほど説明した領域別ないしは性格別の4つの大きなくくりで見ますと、児童・生徒の指導に直接かかわる業務というのがやはり一番多くなっておりまして、その次に間接的にかかわる業務、学校の運営・経営にかかわる業務、最後に外部との対応という順になっております。
 以上が7月分の勤務の時間です。
 次に3ページをおめくりください。これは、今度は夏季休業期間における小学校、中学校、そしてその平均をとったものです。これを見ますと、明らかに7月と大きく異なっていまして、1日の勤務時間の合計が7月と比べて小学校では約2時間30分、中学校では約3時間ほど減少しております。また、児童・生徒の指導に直接かかわる業務につきましては、7月分と比べ、hの中学校の部活動とかクラブ活動は増大しておりますけれども、授業がない分、例えば朝の業務とか授業とか生徒指導等々が減少して、小学校では5時間程度、中学校では3時間程度減少しております。
 それにかわって増えている時間というのが学校の経営・運営にかかわる業務、及びその他の校務ということで、事務、報告書作成、校内研修ないしは校外研修、校務としての研修、その他の校務などの業務が増加しております。小学校では3時間30分ほど、中学校では2時間ほど増加をしているというのが見てとることができると思います。ですから、月によって業務内容がかなり大きく変わっているというのが、この7月、8月の比較から見ても了解できるかと思います。
 次に4ページ以降は、今度はその中から残業時間を取り出して、1日当たりの平均残業時間を見たものになっております。
 まず4ページから見ますと、勤務日1日当たりの平均残業時間ですけれども、ここでは職務ごと、校長、教頭・副校長、教諭、講師、養護教諭というような職種ごとに見ておりますけれども、全体の平均が小学校1時間48分、中学校が2時間25分ですけれども、その中でも教頭・副校長の時間が小学校、中学校でも飛び抜けて長くなっているというのが了解されます。
 さらに、中学校と小学校を比較すると、中学校のほうの残業時間が長くなっているということが了解されます。これはおそらく部活動等の中学校の特有の業務の特徴が出ているのかと思います。
 ただ、すべての先生が超過勤務をして、忙しいのかというと、決してそうではなくて、下の図を見ていただければわかるとおり、30分くぐりで、残業時間の長さの分布を見たものですが、小学校、中学校ともかなりのばらつきがあります。小学校では1時間以上から2時間以下のところに、中学校は1時間半から2時間半のところにピークがきていますが、中学校では、残業時間が2時間以上のパーセンテージが非常に多くなっているというのが特徴かと思います。
 次の5ページをごらんください。この図は、中学校の業務のところで、部活動の時間が長いという話をしましたが、部活動の顧問をしているかしていないかで、勤務日1日当たりの平均残業時間がどの程度違うかというのを取り出してみたものです。運動部顧問、文化部の顧問、そして顧問をしていない先生方の平均の残業時間の長さの違いが明確にあらわれています。
 次に6ページですけれども、今度は夏休み期間中、8月分の残業時間ですけれども、ここでは先ほどの全体の勤務時間の長さで見てわかるとおり、7月と比べると、はるかに勤務時間も少なくなっていますし、残業時間も大幅に減少していることがわかるかと思います。ただ、その中でもやはり、教頭・副校長の残業時間が長くなっているということと、中学校のほうが小学校よりも残業時間が長くなっていることは傾向としては読み取れます。
 ただ、8月は夏休みということもありまして、平均残業時間の分布を見てみますと、0分というパーセンテージが小学校で52.5、中学校でも41.4パーセントとなっております。これは7月と比べても大きな違いかなと。
 最後ですけれども、7ページは7月で見た部活動顧問の有無による平均残業時間の比較ですけれども、やはり夏休みということもありまして、運動部、文化部顧問、顧問をしていない先生、それぞれ見ますと、全体的に7月と比べると大幅に残業時間は減っていますけれども、それでも運動部、文化部の顧問の先生は、顧問をしていない先生と比べると、8月の夏休み期間中でも若干多目になっているのがおわかりかと思います。
 以上、与えられた時間、ほぼ20分になりました。
 ただ、資料5をごらんいただきたいんですけれども、これは昭和41年に文科省で実施した教職員の勤務状況調査の参考資料ですけれども、1年を通じていわゆる残業時間というのが非常にばらつきがあります。昭和41年の年間のグラフを見ておわかりのとおり、7月というのが一番のピークになっておりまして、その後夏休みということで減るという特徴をもって1年間変動しておりますので、きょう報告した7月分と8月分というのは、こうした年間の、これはあくまで昭和41年当時のデータですので、今の時点で年間を通じてどういう残業時間の変動があるのかというのは、これから調査してみないとわかりませんけれども、一応、議論する目安として、やはり7月というのが年間を通じて最も忙しい時期であるということをある程度想定した上で、きょうの7月のデータはご検討いただければと思います。
 それともう1つ、きょう資料1‐1でご報告できませんでしたけれども、休日の残業時間の実数とか、また自宅に持ち帰っての仕事、持ち時間の実数というのは、資料1‐2と資料1‐3に入っております。おそらく自宅に持ち帰っての仕事も、これは残業時間の中に入れて考えるべきではないかというご意見もあるかと思いますので、その辺はまた資料1‐2と資料1‐3を参照していただいて、もし必要であればここの場で議論していただければと思います。
 さらにこの資料1‐2と資料1‐3のデータの中には、学級担任をしている教諭としていない教諭との勤務時間、残業時間の長さの違いとか、年代別の勤務時間の長さ、残業時間の長さ等々もデータとして入っておりますので、これも必要に応じて参考にして、議論していただければと思います。
 20分という制約時間の中ですべて説明できませんでしたけれども、一応ポイントということで、資料1‐1に即してご報告をさせていただきました。

【田村主査】
 ありがとうございました。1‐5で教員の勤務の全体的な傾向はおわかりいただけたと思うんですが、なおかつ7月と8月の分についてのご報告をいただいたわけです。私たちが議論していくところで大事なことは、おそらく先生と生徒が接する時間がどれぐらいあるかという、これが一番大事なところだと思うんです。そこができるだけ多くなるようにするというのが1つあると思いますし、それから、それ以外のこともあって残業がどれぐらいになるかという議論が広がっていくんだろうと思うんですが、そういう意味では、非常に細かいきちんとした資料をいただきましたので、ご意見をいろいろといただけるのではないかと思っております。
 それでは、ただいまの小川副主査からのご説明について、ご質問がございましたらどうぞ。どうぞ、吉川先生。

【吉川委員】
 小川先生、大変ご苦労さまでございました。この会が実際に現場の教員の実態がどうであるのか、勤務の状態がどうであるのかということを共通理解の上で討議をしないと、論議が浮いたものになってしまうということがありましたので、私も発言し、急がせてしまいました。申しわけございません。
 7月のまとめの概略をお聞きいたしましたが、授業の時間と残業にかかる時間が、私などが把握しているよりも少ないという印象を持ちました。この7月分については、結局、平均を出すときの分母が問題になるのではないかと考えます。7月は自治体によって異なりますが、7月の20日ないし24日ごろからは夏季休業に入るわけでございます。課業日、授業があった日で割っているのか、それとも、それ以外も入れて割っているのかによって大きく異なると思うんです。正確に言えば、5月、6月、一番わかりやすいのは6月。5月は連休がございますので、この6月の授業をしている課業日で割れば、一番正確な数値が出ると思うわけでございますが、ここをまず質問いたします。
 この授業の超過分は別として、級外教員、小学校の場合、基本的には全教科が学級担任の授業に任されている。級外教員で、専科の教員がいる場合もありますけれども、TTや児童生徒支援、あるいは指導方法の工夫改善の教員だけで授業をしているケースはほとんどないと思います。学級担任がおり、その支援としてTT、児童生徒支援、指導法の工夫改善等が横についている状況で、側面的な支援をしながら授業を行っていると思います。そうすると、そのことも考え合わせると、やっぱり小学校の1日3時間51分というのは、私どもからすれば大変少ないという印象を持ちましたので、あえて質問をいたしました。
 以上です。

【小川副主査】
 調査の方法で、例えば7月の夏休みが途中に入りますよね。その辺をどう考えたかということですけれども、これは、例えば資料1‐2の2ページをごらんください。7月分と言いましたけれども、あくまで7月の授業のある日だけ取り出しております。夏季休業の開始日というのは地域によって異なりますので、それはすべて調査では、夏季休業日の開始日がいつかということを特定していただいて、7月については、そういう授業のある期間と夏休みに入った期間を分けて集計をしております。7月の通常期というのは、あくまで通常の授業のある期間ということで、7月の夏休み期間のデータは入れておりません。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 質問だけですね。2ページ目に大体残業時間がどのぐらいかというのが出てきますけれども、これは勤務時間ですよね。先生が言われる勤務時間ですよね。そうですね。規定で決められた時間を勤務時間というんですね。しかし、ここは残業まで入れて勤務時間といっているから、この定義はどうかと思うんですけれども、それはそれとして、これで見ますと、大体8時間勤務としたら、10時間だから、超勤というか、いわゆる残業時間は2時間ぐらいですね。先ほど先生がご説明いただきました東京都の資料ですか、折れ線グラフですね。資料1‐5ですね、昭和41年ですけれども、これによりましたら、大体7月は8時間以上行っていますね。そうすると、今のこの東京都の昭和41年ですが、現在はまだ東京都の場合わかりませんけれども、もっと可能性もあるんですけれども、ただ、読売が最近「教育ルネサンス」で書いていますよね。あれでも5時間ぐらいやっているんですよね。大体8時とか10時ごろに帰る人もいるみたいだけど、それは別として、7月分で見て、わりと少ないような感じがいたしますけれども、これは何か原因がありますか。

【小川副主査】
 この資料1‐5は、東京都ではなくて全国のもので、なおかつこれは週の時間ですので。

【渡久山委員】
 そうですね。

【小川副主査】
 きょうお話しした1‐1については、1日当たりの勤務時間と残業時間のものです。資料1‐5は、どういう方法で調査したのかというのは、今の段階でまだ詳しくわかりませんので、できれば昭和41年文科省でやった勤務実態の調査と、今回の調査をきちっと比較考察はしたいと思うんですけれども、ただ、いろいろな調査方法とか、全然違うようですので、その辺は今後検討させていただきたいと思っています。
 あと、今日報告した残業時間の実態は、先ほど言いましたように、学校における規定勤務時間以外で、学校で行った時間を残業時間ととらえていますので、家に持ち帰っての残業時間というのは、資料1‐1の中に入っておりません。おそらくかつての残業の調査というのは、そういう家に持ち帰っている時間も含めて残業時間として算定しているということで、その辺のところで数字の違いというのが出ているのかもしれません。ただ、先ほど言ったように、家に持ち帰った仕事の時間というのは、資料1‐2、資料1‐3のほうには記載しておりますので、ご参照いただければと思います。

【田村主査】
 続いてどうぞ、細川委員。

【細川委員】
 4点ほどあるんですけれども、まず1つ目はその他の校務というのが例えばどういうことなのかというのを教えていただきたいと思っております。8月のほうが多くなっておりますので、それがどういう内容かということが1つ目と、調査をした対象で講師という方がいらっしゃるんですが、これはどういうことを具体的にされている方なのかということが2点目と、1‐1の4ページの一番下に、残業時間、1日当たりで最長が小学校、中学校出ているんですが、この6時間38分と7時間42分は大変長いと思うんですが、これの内訳がもしおわかりになれば、どういうことでこれだけ長い時間されているのか、この方が継続的にこういう状況があるのかどうかということもあわせて、おわかりになれば教えていただきたいと思います。それから、今ざっと見ただけなので、正しい認識になっているかどうかわからないんですが、1‐2の5ページに、持ち帰りと休日の時間が出ているんですが、持ち帰りよりも、休日のほうでの持ち帰り残業時間が全体として多くなっていると思うんですが、これは今回の統計の中で、あわせて1‐1で含めなかった理由を教えていただければと思います。
 以上です。

【小川副主査】
 まず最初のその他の校務ですけれども、これは例えば校務としての研修ということで、校外研修等々になりますと、その会場に移動しますよね。その移動時間であるとか、部活なんかでも、引率していろいろなところに行きますけれども、そういうものを含めてその他の校務というところに入れるようにしております。ですから、ここで書かれている業務以外の雑務の時間ということではないんですけれども、列記している業務項目に入らないようなものをその他の校務としています。
 講師はどういうことをしている人かという質問ですが、これは文科省のほうから説明していただくのがよいと思います。

【今泉課長補佐】
 法律上は教諭及び助教諭を助ける業務を行います。教諭・助教諭は子供たちの教育をつかさどる形なんですが、実際には教諭たちと同じような職務についております。授業をやるだけではなく、校務もこなすことになります。

【小川副主査】
 あと、残業時間が最長の先生というのは、どういう勤務の流れでこうなっているのかというのは、まだきちっとしたデータとして分析していません。後で時間的な余裕がありましたら、こういう長期に残業をされている先生方の働きの形態を少しピックアップして整理して見てみようかと思っています。
 休日の持ち帰りを今回資料1‐1のところに含めて報告しなかったかということですけれども、家でやる仕事というのは、誤解を恐れずに言いますと、他の民間企業の方とか、公務員の方でもやっていることでして、そうした家に持ち帰ってやる仕事をすべて教師特有の残業時間として議論できるのかどうかというところは、いろいろな意見があるところですので、その辺は少し自由にこの場で意見交換していただく必要があるのではないかと考えています。その辺のところがまだきちんと方針が決まっていませんので、今日はその点については除外して、あくまで資料1‐2と1‐3のところで、基本的なデータとして組み入れさせていただいたということでございます。

【田村主査】
 非常に重要なご指摘をいただきました。先生と生徒がかかわる時間というのがとにかく中核ですから、そのために残業のことを議論するということがある。森先生、どうぞ。次は本城先生ですか、順番にいきますから。それから中村委員。

【森委員】
 おそらく先生によって、例えば学校の中である程度役割分担化が進んでいる傾向があるのかなという気がいたします。例えば生徒指導とか、部活動の面ははっきり出てましたけれども、生徒指導とか、あるいは保護者、PTA対応、地域対応といった業務は、ある特定の先生が非常に多くて、ほかの先生は少ないということもあると思うので、これはおそらく平均値ですよね。ですから、その役割分担というのは、今後の議論でかなり大事な論点だと思いますので、これはおそらくそういう集計はいずれされるということでございましょうか。

【小川副主査】
 今のご指摘はごもっともで、きっと教師の仕事の在り方を考えていく際には当然配慮しなければならないことかと思います。一応、資料1‐2と資料1‐3には、そうしたことを少し考えていただける基礎的な整理として、例えば学級担任をしている先生と、学級担任をしていない先生の比較も少し挙げております。例えば資料1‐2の9ページをごらんください。これを見ますと、学級担任をしている先生方の勤務時間というのが、上から2番目のb授業、学級担任をしている先生方は授業が4時間2分、学級担任をしていない先生は2時間46分ですけれども、下のほうを見ていただけると、例えばiの学級経営の項目を見てみますと、逆に学級担任をしている先生方は、学級経営とかの時間が11分、それに対して学級担任をしていない先生が1時間11分ということで、大きく違っています。ですから、このように学級担任をしていない場合には、学校経営、校務とかそういう管理的なものを含めた仕事がきっと多く割り振られていることかと思います。こうしたことをさらにいろんな観点で見ていきたいなと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございます。いかがですか。中村先生。

【中村委員】
 先ほどお話がありました持ち帰り残業なんですけれども、これはいろいろなとらえ方があると思うんですけれども、これは自己申告だと思うんですけれども、持ち帰り残業で何をやっているのかという実態が果たしてわかるのかどうかという点が1つと、一般的な残業という概念は、命令を受けてやってこいと言われたから残業が成立するわけで、勝手にやっているのは、我々の常識では残業と位置づけておりませんけれども、持ち帰り残業が命令を受けてやっていたということなのかどうなのかということが1点です。
 それから、あと1点は、土日の扱いの中で、土日の部活のために出てきたと。夏休み中はわかりやすいんでしょうけれども、7月の通常の週に、部活のためにどのくらい出てきているのかなというのが、わかるのかどうなのかという点をお聞きしたい。
 以上です。

【小川副主査】
 持ち帰りの時間等々につきましても、この資料1‐2とか1‐3にはデータとして一応整理しておきました。例えば7ページを見ていただければ、勤務日1日当たりのデータということで、全体の勤務時間、その中から残業時間、そして持ち帰り時間というものを抜き出して整理したものがこういう形になっています。このように、この7ページのデータからいいますと、小学校の場合、全体の持ち帰り時間は53分、中学校の場合には27分となっていまして、業務別から見ますと、多い時間が上から5番目のeの成績処理のところが、例えば小学校の場合、全体の持ち帰り時間53分中の28分が成績処理という形でなされております。
 ほかに休日に家でやっている仕事というのが次の8ページのところに出ています。これによりますと、先生方が休日家でやっている仕事、小学校では2時間36分、中学校が1時間55分になっていますけれども、その内訳を見てみますと、やはり7月の場合、小学校の場合には成績処理は1時間47分となっていまして、学期末等々のそういうことになっているのかなと。
 これが命令でやっているかやっていないかということにつきましては、今回の調査ではそういう項目は入れておりませんので、それについてはお答えはできませんけれども、命令ではないとは思います。
 それと、持ち帰り時間と学校でやる残業の関係ですけれども、これは若干ですが、学校で仕事をしている時間が長ければ、家に持ち帰る時間は少なくなっているという関係が見られるのかなということです。
 最後はどのような質問だったでしょうか。

【中村委員】
 土日の部活。

【田村主査】
 7月の土日の部活が調査の中で抽出されているのか。

【小川副主査】
 入っています。これもデータを見ていただければ、8ページですね、休日の部活というのはhのところに出ています。8ページの休日1日当たりのデータというところで、hの部活、中学校の場合は1時間27分ということで、かなり大きな時間を占めております。

【田村主査】
 ありがとうございます。帯野先生、どうぞ。

【帯野委員】
 この残業時間のデータは私も意外に少ないので驚いたんですが、このデータの読み方として、例えば一部の頑張っている先生に仕事が集中しているという見方はできないのでしょうか。例えば4ページなんですけれども、この下の棒グラフは百分率ですよね。そうしますと、中学校で4時間以上残業している人が11パーセント、小学校が同じく約5パーセント、それと、中学校で30分以下で帰ってしまう先生が5.3パーセント、小学校で10パーセントですから、1つの見方として、頑張る先生はものすごく仕事が集中していて、やらない先生にはあまり仕事がこないというところから、ヒアリングの中で、一律に4パーセントは不公平だと意見があったのは、このあたりで出てくるのかなという気がするんですけれども、いかがでしょうか。

【小川副主査】
 ご指摘のとおりかと思います。

【田村主査】
 じゃあ、金井先生、次ですね。

【本城委員】
 統計の処理についてですが、まさか最終的に平均値を出しておしまいとはならないですよね。例えば、中間値をとるとまた全然違うと思うんです。平均値だけでおしまいということではないという認識でよろしいでしょうか。帯野委員がおっしゃっていたような部分などが、これだと全くわからないと思うので、やはり一部に集中している部分、全くしていない人がいるということもわかるようなものも出してください。正直言って、この平均値だけだと何も言えないかなと思います。

【小川副主査】
 それは前の会議でもご指摘がありましたように、例えば主幹、主任とかそういう人たちの勤務の時間の長さと一般の先生方の違いはどうかとか、その辺のところは今後データを整理しながら分析作業はやっていきたいなと思っています。
 ただ、ほんとうにこの7月、8月は、初めてのデータ整理ですので、なかなかその辺の時間的な余裕もございませんので、ご了承いただければと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、金井先生。

【金井委員】
 大変貴重な調査データかなと思うんですけれども、私もほかの分野で幾つか調査していただいたことがあるんですが、1つは消防士、もう1つはいわゆる行政職じゃないですけれども、地方議員。この両分野は、普通の行政職のように同じ場所にいて、命令を受けて決まった時間に仕事をするというタイプとかなり仕事の入り方は違うという。行政職給料表を適用する場合、あるいは議員の報酬を考える場合、時間で見ることが、つまり、ある場所にある命令によってある時間に行ったということで見切れるのかどうかというのが最大のポイントになりました。例えば議員の場合、時間ではなくて、深夜とか突発的に入ってくることの重みですね。消防士もそうでありまして、突発的に、通常休んでいるんだけれども、呼び出されて行くという形で、勤務の質がどこまでデータで追えるのかというのは一番ネックになったところでございます。
 教員について、どこら辺まで把握できるのかということなんですけれども、例えば連続的にある時間で行われているのか、それとも家に帰ったけれども、何か生徒が事件を起こして呼び出されて行くという重い時間は、時間が短くても非常に重い勤務になったりするようなことがあったりするわけです。これは回数が低くても、労働的には非常に重要なインパクトがあったりするんです。それとか、ちょっとした電話であると、例えば夜10時ぐらいにかかってくる電話であっても、それは5分で終わるかもしれないけれども、意味が違ったりする。可及的速やかに対処しなければ大問題になるというような、勤務の質を考えた場合、普通の行政職のように朝何時から何時まで来て、残ったものを自発的だか命令を受けたか知らないけれども、持ち帰って仕事をしたというのとかなり意味が違っている場合があったりするんです。そういうところをどこまで把握できるかというのは非常に興味あるところなんですけれども、大体どのくらいまでそういうことが把握できるでしょうか。このデータは、一種の勤務者的な、人から命令を受けて、同じ工場とか同じ事務所で仕事をして、時間が足りなかった分を家に持ち帰るという仕事のタイプで見ている調査、だから時間で把握できるということになるんですけれども、どこまでそういう勤務の特殊性を今回のデータで読み取れるかどうか、その辺を教えていただけますでしょうか。

【小川副主査】
 今回は定量的なところでの分析にとどまっております。今、金井先生がおっしゃったような定性的な処理は難しいですね。ただ、例えば自宅で突発的な生活指導の仕事が云々というところは、個票をきちっとそういう目で見て処理すれば、分析や整理は可能かもしれませんけれども、今回の報告の段階では、基本的にはそういう定性的な分析というのはかなり難しいのかなと思います。

【田村主査】
 じゃ、吉野先生、どうぞ。

【吉野委員】
 私もこれ、非常に貴重なデータだと思うんですが、回答率が86パーセントと高いんですけれども、どういう特性があるかで、バイアスがないかどうか調べていただきたいと思うんです。それから、地域別にこの7,700というのがわりあい平等に北から南まで出てきているのか、それとも都会中心なのか、そこも気をつけていただきたいと思います。
 それから、いろいろ集計していただくときに、単純に時間数を足しているわけですけれども、ウエートというのはないんでしょうか。例えば授業とか成績処理とか、全部1時間は1単位という形でやられていますけれども、学校のいろいろな仕事の中で、こういうところは非常に重要な点であるとか。そうしますと、単にこれをただ時間だけを足すのではなくて、ウエートづけして加えてみるというやり方もあるような気がするんです。

【小川副主査】
 最後の質問から言いますと、これはウエートはつけていません。24時間どういう働きぶりかというのを時間で測定するということです。
 地域別云々というのは、研究者としては関心があり、色々分析してみたい気はありますが、おそらく地域によって残業時間の長さは違ってくるのかなと予測はしていますけれども、今回はそういう地域別の比較云々というところで今回のデータを使用して公表するということは、調査対象者にはお知らせしていませんので、今回の集計では行わないつもりです。また、調査の地域別バランスですが、基本的には、これは全国の地域からバランスよく、小学校、中学校それぞれ180校、無作為抽出でやっておりますので、ここには全国的な平均が出てきています。

【田村主査】
 ありがとうございます。そろそろ時間がかなり大幅に超過してしまいましたので、次の議題に移らせていただこうと思います。要するに、もたもたしているから残業しているということが言われないように、きちんとできるだけ調べてみたいと思っているところです。
 次は、先ほど小川副主査からご説明がありました、勤務実態調査の暫定集計を踏まえまして、教員の業務の整理・効率化について議論を進めさせていただこうと思います。これは渡辺専門官、よろしくお願いします。

【渡辺専門官】
 それでは、お手元の資料2をごらんいただけますでしょうか。先ほど報告いただきました教員の勤務実態調査を踏まえまして、検討すべき論点を整理させていただいたものでございます。
 まず先ほど見ていただいた資料1‐1の2ページにございますように、児童・生徒の業務に直接的にかかわる業務以外の学校の運営にかかわる業務や外部対応の業務時間などが非常に大きくなっております。このような実態を踏まえまして、まずは教員の業務の整理効率化をどのように行うべきかという点について議論をお願いしたいと考えてございます。
 具体的には、教員が本来行うべき業務の範囲をどう考えるか、すなわち資料1‐1の2ページにあるような業務の実態を踏まえまして、教員が本来行うべき職務や業務とは何なのかということでございます。
 また、同じく資料1‐1の2ページや5ページなどを見ますと、中学校の教諭で、部活動の顧問をしている教員の部活動の業務時間が非常に長くなっているということで、結果として顧問をしていない教員よりも残業時間が長いということになってございます。これを踏まえて、部活動の指導の位置づけはどうあるべきかということを検討する必要があるのではないかと考えてございます。
 なお、そもそも部活動につきましては、特に希望する生徒によって行われる教育課程外の活動ということで、学校の計画に基づいて、学校の管理下における教育活動の1つとしての性格を有してございます。したがいまして、教職員にとっては、校長から出された部活動の監督・顧問という職務命令によって命じられた付加的な職務でございます。このため平日に行われるものであれば給与が、週休日などに4時間以上従事した場合であれば、いわゆる部活動手当というものが支給されてございます。ただし、勤務時間外の部活動指導につきましては、いわゆる超勤4項目に位置づけられてございませんので、職務命令を発して勤務させることはできないということで、制度上は教員の自発的行為として位置づけられているという性格を持ってございます。こういった部活動の在り方をどうするかということ。
 さらに、教員が行う業務について、どのように効率化を図っていくかという論点、さらには、前回のワーキンググループにおきましても、ご意見いただきましたように、学校の事務職員の在り方も含めて、事務の共同実施など、学校事務についてどのように効率を図っていくかという点を論点として整理させていただいています。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。先ほど金井委員からもご指摘がありました勤務の質の問題に絡んで、今のような議論を展開していただければ大変ありがたいと思います。
 ただいまのご説明に何かご意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、吉川先生。

【吉川委員】
 場面的に言い難かったことがございます。関連は全くないことはないですが、1点構いませんでしょうか。先ほどの教員の勤務にかかわってでございますが、どれだけ働いているかということともども、8時間の勤務時間の中でどれだけ休んでいるかということは、どうしても注目して見ていく必要があると思うんです。これは先ほど授業時間、超過勤務が少ないという印象は相変わらず持っていますが、ここの2ページの平成18年度調査の7月分の通常期の2ページ、vの休憩・休息時間、はまさに予想どおりでございました。小学校がわずか9分、中学校がわずか10分、平均すれば9分、10分足らずということで、明らかに労基法違反の勤務の状況でございまして、ここは教員の勤務の過酷さを見て行く場合に、どうしても見逃してはならない項目であると思いますので、ちょっとぬかりましたけれども、あえて発言いたしました。小川先生、この件で何か感想がございましたら。

【小川副主査】
 ほんとうにその指摘のとおりでして、一応、労働基準法では45分から1時間の休憩時間をとることになっていますけれども、実際には昼でも給食指導等もありますし、いろいろな生活指導、教科指導も生徒がおりますと生じてきます。それを全部断って、教師1人が休憩室にこもって休息するということはあり得ないことですので、これはやはり教師の勤務の在り方を考えていく際に考えなくてはいけない問題の一つかと思っています。

【吉川委員】
 休憩時間・休息時間を入れると1時間を超えるでしょう。1時間を超える法的に与えられている休みが、ほとんど休めることができていないという確認だけはさせていただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。じゃ、ほかに、細川委員。

【細川委員】
 学校事務というのは、この1‐1の2ページの中の業務の分類の中に入っている内容としてのものなんでしょうか、それ以外のことを指しているのかということが1つと、事務の職員の方のやる仕事ということになってくると思うんですが、小中学校は1人で事務職員という方が担当していて、高校は複数だと思うんですが、そうすると、高校ですと、それぞれ分担があって、それぞれがそれぞれをやればいいんですが、小中学校だと1人でやらなきゃいけないということで、結局できる、できないということと、やる時間がないということで、教員の方が随分その分を負担しているという話を聞いているので、学校事務の内容というのがどういうことなのかというのを明確に教えていただきつつ、それでどういう体制を図るべきか、教員が負担している部分が相当あると思いますので、逆のほうに持っていかないと、教員の負担は減りませんから、そのあたりを、学校事務ということを教えていただければと思います。

【田村主査】
 これはどうしましょうか。事務局から。

【渡辺専門官】
 はい。まず調査上で申し上げますと、1‐1の8ページに業務の分類がございます。この中で特に事務、報告書作成という形で特出ししてございますのが、nの事項でございます。ただ、広く学校事務ということを考えた場合には、例えばlの学校経営の中で、機器点検とかその環境整備といったこともあったりとか、広くとらえるとそういったものが入ってくるのかなと思っています。
 ですから、この資料の論点の整理の中で申し上げた学校事務ということにつきましては、教員が本来的に行うもの以外で事務職員などが中心としてやっていくべきものについてどう考えていくかということで整理したものでございます。

【田村主査】
 よろしいでしょうか。色分けしてあるということで。箕浦委員、どうぞ。

【箕浦委員】
 業務の整理・効率化をどのように行うべきかという点で、先ほどの資料の部分なんですけれども、教員が本来行うべき業務の範囲とか、部活動指導の位置づけというところは、ある程度以前との比較ということも少しあると思うんです。定性的にはいろいろと本来、教員の業務ではない、業務が広がってきていると言われているんですが、例えばこの昭和41年の教員勤務状況調査の、本来業務とそれ以外で従来どんな業務をしていたかという内訳みたいなものがあるんでしょうか。そういうものがあれば、そこからの比較ということもひとつ必要かと思いました。

【田村主査】
 じゃ、事務局からお願いします。

【渡辺専門官】
 はい。昭和41年の調査におきましても、このような形で分類をして調査をしてございます。ただ、この業務の分類という分類の仕方が、昭和41年と今回でちょっと違うものですから。ただ、何ら形で比較はしなきゃいけないなと考えてございますので、そこは今、整理をさせていただいている状況でございます。

【田村主査】
 どうぞ、渡久山先生。次、中村先生ですね。順番にどうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、教員が本来行うべきなのは、学校教育法で、児童・生徒の教育をつかさどるというのが原則ですよね。それを前提にして見たときに、だがしかし、教員というのは1日8時間労働ですよね。今、小川先生にやっていただいたのは、規定勤務時間というのが8時間と見ていいのか、あるいは残業まで入れて、これを8時間でやるべきと見るべきか。なぜかというと、今ここでいっている業務で分類されているものが、本務に属するのもあるような感じがするし、本務じゃないような感じのものもあるわけです。そうすると、残業時間等を含めた、小川先生の規定による勤務時間内で、本務も本務でないのもやられているという感じがするんです。そうすると、それを含めて教員の勤務内容と見るべきかどうかが1つの問題なんだと思うんです。
 ですから、非常にすばらしいデータなんだけれども、それを今のような問題提起で見たときに、このデータをどう使うんだというようなことが出てくるんです。ですから、本務と本務外という形にして、このデータを、今出ているデータから読み取れるような構成ができるかどうかですね。これは1つの問題というような気がするんです。
 それから、先ほど言われたように、部活動はどうしても、勤務時間内にやる部活動は本務ですよと言われたらそれでもいんですけれども、どうもそうはいかないんです。大体ほとんど延長していて、それが土日まで入ってくるんです。だから、部活動はどうといったときに、これは全く勤務時間との総合的なものを有機的に考えると、部活動で勤務時間を決定するのはなかなか難しいんです。
 ですから、そういうことを考えると、結局勤務時間内にできる本務というものと、しなくちゃならない本務というようにしてとらえないと、どうも部活動で何かするというのは少し難しいと思います。土曜、日曜の部活動は時間外ですよと言って結構ですけれども、月曜日から金曜日までの部活動で、特に大体4時ごろからやるんだけれども、4時ごろから1時間で部活が終わるかといったら、ほとんど終わらないです。そうすると、2時間やる。じゃ、1時間は超勤として見て、それを含めて部活動を本務にするという形になってくると、これは少し乱暴じゃないか。だから、私の感じでいうと、部活動というものについては全く別な議論にしておかないと、どうも勤務時間、あるいは本務という形でくくると、非常に難しいんじゃないかという気がするんですけれども、いかがですか。

【田村主査】
 これは、これからの調査の上で判断していくことになるとは思うんですけれども、何かございますか。

【渡辺専門官】
 補足させていただきますと、部活動の在り方につきましては、中教審の教育課程部会のほうでも学習指導要領の位置づけを含めて検討しているということもございまして、この調査では具体的にまだどうあるべきかということまでは正確に整理していないという状況でございます。

【田村主査】
 よろしいですか。次、中村先生、どうぞ。

【中村委員】
 まず、この教員が本来行うべき業務の範囲、いただいた資料の8ページによく整理されていると思うんですけれども、時代によって中身はそれぞれ違うとは思いますけれども、この中でやらなくていいよというのはないと思うんです。やらざるを得ないということなんですけれども、ただ、この中身だと思うんです。例えば学習指導という名の中で、例えば本来家庭で行うべきしつけまで学校でやらざるを得ないとか、あるいは家庭でやるべき放課後の子供対策も先生方がやらざるを得ないとか、時代とともにやむを得ないことではあるんですけれども、教員が本来行うべき業務は、時間外をどうするかとか何とか以前に、もっと大きな観点から、教育課程部会の問題だろうとは思うんですけれども、先生がやるのは、学校がやるのはここまでで、これ以外のここは家庭がやってくださいと。本来学校はやりませんよくらいの宣言をしておかないと、最近のいじめの問題にしろ何にしろ、常に学校が学校がということで、どんどん業務の中身が増えてくるという気がしております。
 それから、部活動につきましては、今お話がありましたように、特に土日の部活動、これが4パーセントの中に含まれているという理屈にはなっているようではありますけれども、それにしても一生懸命やる先生とやらない先生とでは格段の相違があって、私どもとすれば、やっぱりやっている方には何らかの措置をしたいとも思いますし、土日に現在やっている先生方が、例えばけがをした、事故を起こした場合にどうするのか。私どもの東京都の場合は、これは本務ですよと位置づけちゃいましたので、けがすればもちろん面倒を見ますよということにはしてあるんですけれども、自発性に任せた部活動とはいいながら、現在、特に中学生、高校生の部活動は、これがなくなったら、生徒指導上、非常に問題が多くなるだろうという実態がありますので、やっぱり4パーセント以外の問題として部活動は位置づけたほうがいいんじゃないのかなと。これも教育課程部会でご議論いただければと思っています。
 それから、事務の共同実施、学校事務の効率化ですけれども、これはかねがね私どもは主張しているんですけれども、教員の任命権を市町村に当面、中核市に渡すのであれば、まずは学校事務を県費負担職員から、学校事務も事実上は市区町村職員ということになっておりますので、県費負担のままでもいいんですけれども、その任命権を区市町村に移したほうが、より地域に開放された学校事務、例えば住民票をもらいたい方が、学校の事務のところへ行って、住民票もらいたいよとか、あるいは事務職が、東京都の場合は、東京都の学校に移るんじゃなくて、例えば八王子市の職員が学校事務になって、3年たったらば、八王子市の何とか事務所に移るとか、本庁に戻るというふうにしたほうが、より学校が地域の中での学校なんだという位置づけができるのではないのだろうか。
 それから、1つかわいそうなのは、県費負担で東京都の職員が学校事務で行って、例えば千代田区から新宿区に変わるということになると、区市町村によって経理事務のやり方が全く違う、電算処理のやり方も違う。そこで経理事故じゃないですけれども、なれないがための事件・事故が起こりやすい。これは私どもは制度上の欠陥じゃないかと思っておりますので、学校事務については、できうれば、県費負担制度はもう早速にやめていただいて、財源をどうするかという問題はありますけれども、区市町村に移したほうがいいんじゃないだろうかということを思っております。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。次の議論の教職調整額の在り方にかかわっての発言もいただきまして、ありがとうございます。じゃ、本城委員、どうぞ。

【本城委員】
 私も中村委員と同じように、資料1‐1の8ページに挙がっている業務分類は、やはり現実問題として現場の教員がやっていることですから、非常に大事な、必要な仕事をやっていると思います。もちろんその中には、もう少し効率的に進められる、要は時間を短縮できる部分もあると思いますが、これは残念ながら学校現場で工夫をしても改善できません。むしろ、教育委員会から送られてくる仕事が、例えば紙ベースであったりとか、非常に非効率的な仕事が大変多いと私は感じています。学校現場の努力だけでは業務の効率化は進まず、まず教育委員会の業務効率を上げることからスタートしなければ難しいと思います。
 部活動の件ですが、私も現場で校長をしていて、教員の勤務の終了は17時10分なんですが、部活動の終了時刻は、夏場ですと18時半です。勤務時間終了後に部活動を大体1時間20分間やりますから、正直言って、教員を帰せない。そこに非常に大きな矛盾を感じていますし、休憩・休息も、とってくださいとは言えない状態です。言えないというのは私の管理能力がないということかもしれませんけれども、正直そういう状態ではないというのが実情だと思います。
 このデータに基づいてお話しすると、部活動は1時間6分、中学校の部活動は1‐1の2ページ目を見ると、1時間6分、66分ですから、この合計からすると、1割ぐらいが部活動の時間に費やされているのではないかなと思います。非常に大きな割合を部活動に費やしていると思います。
 教育課程のほうで部活動を本務にする、本務にしないという議論は行えるかもしれませんけれども、ここで給与を考えるときには、部活動に大きな時間が割かれている、それを教育課程外だから、それは給料として加味しないとかという議論はやはり実情としてできないのではないかと思っています。
 ただ、部活動をやっている先生とやっていない教員ですと、1‐2の資料ですか、1時間程度の勤務時間の違いがあるということも、部活動をやっていない方は、もしかしたらほかの学校経営的な仕事を非常に一生懸命やっていらっしゃる先生かもしれません。そこら辺についても、めりはりをつけるという点で、非常に大きなポイントになるのではないかと感じています。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは次、吉野先生ですが、ちょっとその前に時間になりましたので、今の問題を議論しながら、続いて次のテーマで、教員の勤務時間と教職調整の在り方についての論点というものがございますので、それをまずご説明いただいた上で、今の話はまだ終わっていませんので、吉野先生、またご質問を続けていただければと思います。すみません、時間の関係でそんな形で進めさせていただきます。今、これはもう終わりませんので、まだ次の会にもやらないきゃいけないかもしれません。それでは、どうぞお願いします。

【渡辺専門官】
 はい。資料2をごらんいただけますでしょうか。今回の暫定集計はあくまでも6カ月間の実態調査の一部の結果でございまして、12月までの全体の調査結果を踏まえて勤務実態、勤務時間を分析していく必要があると考えてございますけれども、今回の暫定集計による勤務時間や残業時間の結果を踏まえて、教員の勤務時間の在り方をどう考えるかという点について議論をお願いしたいと思います。
 具体的には現在生じております残業時間を吸収するために、例えば変形労働時間制の導入でありますとか、週休日等の勤務時間の割り振りの工夫など、教員の勤務時間の弾力化についてどう考えるか。また、現在、教員に時間外勤務を命じることができる、いわゆる超勤4項目の在り方をどう考えるか。また、教員は自発性に基づく勤務が期待されるということで、勤務時間の把握が難しいと言われてございますけれども、教員の勤務時間の把握・管理をどのように実施するかといった点で勤務時間の論点があるかと考えてございます。
 さらに、このような勤務時間の論点に加えまして、時間外の勤務をいかにして評価し、処遇するかという観点から、現在、教員に一律4パーセント支給されております教職調整額を、例えば超過勤務手当に変更すべきかという点、もしくは教職調整額を維持するとした場合におきましても、休職中の者など、超過勤務の実態のない者の扱いをどうするかとか、教員の勤務実態を踏まえて、支給率を変更するかといった、現行の支給対象、支給率についてどう考えるかといった点を論点として整理させていただいております。
 これを踏まえまして、教員の勤務時間について、資料3のように整理いたしましたので、今泉補佐から説明をお願いいたします。

【今泉課長補佐】
 現在の教育公務員の勤務時間の考え方について、資料3に整理させていただいております。勤務時間等を含めて、勤務条件の在り方については、原則は3つございます。1つが、条例制定主義でございまして、所属する地方公共団体の条例によって定められることになっております。ただ、県費負担教職員の場合には、例外として都道府県の条例で勤務条件について定められるという形になっております。それが1つの原則です。2つ目の原則は、労働基準法の基準を下回らないことという原則がございます。3つ目が、国またはほかの地方公共団体とのバランスを失わないようにすること。そういう条件のもとで、勤務時間については、休憩時間を除いて1週間について40時間を超えて労働させてはならないという労基法の規定と、休憩時間を除いて1日について8時間を超えて労働させてはならない規定が適用されることになります。
 先ほど休憩・休息時間の取り扱いについてございました。今、労基法上は6時間を超える場合においては45分、8時間を超える場合においては1時間という形の休憩の規定がございます。これは使用者が休憩時間を与えなければならないという規定になっております。
 なお、今年の7月から国家公務員については、休息時間というものが民間重視の考え方から廃止されております。それを踏まえて、各都道府県において、まだこれは都道府県の条例が変わってないところが幾つかございますけれども、休息時間の制度を廃止しているところが幾つかあるところでございます。休息時間については、法律事項ではなく、条例事項でございます。
 時間外勤務の考え方についてでございますが、公立の義務教育小学校等の教育職員の正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令というものがございます。その政令の中では、教育職員については正規の勤務時間の割り振りを適正に行って、原則として時間外勤務を命じないものとするということが書いてあります。もし、時間外勤務を命じる場合には、臨時または緊急のやむを得ない必要性がある場合に、例えば実習に関する業務、または学校行事に関する業務、職員会議に関する業務、及び非常災害の場合など、やむを得ない場合、児童・生徒の緊急の措置を必要とするやむを得ない場合、この4つに限られているところでございます。
 それ以外に教育公務員、地方公務員の関係で、変形労働時間制というものがございます。1カ月の変形労働時間制は、地方公務員に対して適用されておりますが、1年間の変形労働時間制については、地方公務員法上適用除外という形になっております。なお、1年間の変形労働時間制というのはどういうものかというと、1カ月を超えて1年以内の期間に限って、業務が特に忙しい期間については先ほど話した1週間40時間の定めを超えて、この対象期間内であれば、平均して40時間ということが担保されれば、例えば特定の週において40時間以上、または特定の日において8時間以上の労働をさせることができる仕組みでございます。例えば1日当たりの労働時間の限度としては10時間まで、または1週間の労働時間の限度は52時間まで広げることができます。ただ、幾つか制限があるところでございます。
 あと、最後でございますが、週休日・祝日等の勤務についてございますが、これについては条例で定められておりますけれども、通常、週休日の振替制度、または休日の代休制度というものが設けられているところでございます。これは国家公務員と同様の取り扱いが通常なされているところでございまして、国家公務員の場合には、例えば週休日に1日丸々または4時間の勤務時間を割り振ることができることとなっています。また、その場合には、あらかじめ代休日を指定して、その代休日には勤務をしないという取り扱いをされているところでございます。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。ただいまご説明がございましたが、前項目がまだ議論が尽くされていませんので、前項目を含めて、ただいまのご説明についてのご質疑等がございましたらお願いしたいと思います。最初に吉野委員からどうぞ。

【吉野委員】
 前のところも含めてで恐縮なんですけれども、1つは事務の共同実施とか効率化は、ぜひ必要ではないかと思います。これは教員がやるべきことと、事務の方々にやっていただく部分をうまくアウトソーシングするということが、やはり教員の方々の教育への専念時間を増やすような気がいたします。
 私、個人的には、国立と公立と私立、3つ行ったことがありまして、アメリカでも私立大学と公立大学すべて参りまして、そういたしますと、大学の例でございますけれども、事務の方々の質が相当違います。やはり事務の方々の質が高いところは、少ない人数でほとんど教員の負担をかけずにやってくださいますし、そうでないところに参りますと、今度はほとんど教員がやらなくてはいけないということになります。
 先ほど中村先生からも、いろいろ職場を移られるということは必要だと思うんですが、専門的な学校に属した専門的な事務というのはあると思いますので、ぜひそこも考えながら、それに合った方々、事務の質を上げることによって教員の先生方の負担が下がるような気がいたします。
 それから、今まで学校のいろいろな業務というのはアウトソーシングというのがこれまであまり考えられていないと思うわけです。つまり、外部の方々にある程度ゆだねて、それでその専門のプロフェッショナルの方にやっていただいたほうがいい部分というのがあるかもしれません。それをうまくやれば、例えばOBの事務の方なり、OBのさまざまな部活動の指導とか、こういうものに使えると思います。ですから、ぜひ、どこまで最低限教員がやらなくてはいけないのか、それから、アウトソーシングできるところはどういうところか、アウトソーシングするのであれば、それに適した方々の人材が必要だと思います。
 それからあとは、これまでずっと述べられておりますけれども、地域と家庭と学校、この3つの役割分担がちゃんとしませんと、教員の本来やるべき業務というのも決められないような気がいたします。
 以上です。ありがとうございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。そのとおりだと思いますので、いろいろこれから審議して、新田先生どうぞ、現場からの意見で。

【新田委員】
 これ全部を含めてでよろしいですね。まず最初に、今説明していただいた教職調整額のほうの意見を先に言わせていただいて上に戻りたいんですけれども、私はやっぱり自分が現場の教員として考えたら、教職員へは超過勤務手当というのは絶対そぐわないのではないかという気持ちがあります。それは、上の本来行うべき業務の範囲になるんですけれども、この前の会のときも多分お話ししたと思うんですが、実際問題、私の場合、勤務時間が8時から16時45分です。実際子供たちが学校にいるのは、7時半から4時半ぐらいまで子供がいます。子供がいる間は、8ページの資料でいくと、グリーンで色分けされている仕事は子供がいる時間帯にできる仕事なんです。でも、オレンジや黄色や青の仕事というのは、子供がいるときはまずできない仕事で、これを結局しなければいけないとなると、子供たちが16時半に帰ったら、もう15分しかないです。
 私、小学校の教員の場合は、大体6時間の授業のうち、この資料の中にもありましたけれども、平均5.1というのが出ていたと思うんですが、1時間ぐらいはあき時間というのが、交換授業等で専科の先生が入ってくれたりしてあるんですが、その1時間を含めても、毎日毎日これだけの仕事をしようと思うと、物理的に正規の勤務時間では絶対無理だと思うんです。
 確かに持ち帰り仕事がどの仕事、教員でなくてもあるのはわかるんですが、教員の勤務実態調査というのを今ここで明らかにするのであれば、やはり教員の場合は持ち帰り仕事がなかったら、次の日の授業にならないわけですから、教員の仕事は毎日毎日、小学校と中学校で多少違いはあるんですけれども、高校でも違いはあるんですけれども、小学校の場合でしたら、次の日に行う授業は毎日毎日全く新しいものを教えなければいけないし、その日に行ったことを反省して次へ次へ、これはほかの仕事にも当然言えることなんでしょうが、例えば8ページの仕事内容を一般の人たちは、ここまで先生方はいろいろな種類の仕事をしているかどうかという実態も、これを見たら、えっ、こんなこともしているのということはあると思うんです。
 ちょっと話がまとまらなかったかもしれないんですけれども、本来の業務を考えるときは、今後の勤務実態調査は持ち帰り仕事のことも、時間がどうこうでなくて、実態としてこれだけのことをしなければ、子供たちに今求められているような確かな学力であるとか、いじめも含めた心の問題とかは解決できないということは、議論する上で必要ではないかと思っております。
 それから、効率化の問題は、先ほども意見が出ましたけれども、確かに家庭に任せたいところはいっぱいあります。ここまでは家庭でやってほしいという気持ちのところが当然あるんですが、たとえ家庭がやってくれても、やはり個人差がありますから、学校が今引き受けていることを放棄することは絶対できないと思うんです。そういうことも議論の中に入れていただきたいなと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございます。渡久山先生、次、川田先生ですね。どうぞ。

【渡久山委員】
 1つはですね、先ほどありましたけれども、小川先生の資料1‐1の8ページですね、あれをここにありますように、aからuまで、これが全部教員の本務だと、雑務も入っているんですけれども、教員が今やらなくちゃならない仕事だといったら、これは大体1日10時間かかっているわけです。そうすると、今泉課長補佐からあったように、10時間といったら、それはもう労基法違反になる。そうすると、これだけはできないということなんです。これが1つ。
 もう1つは、児童・生徒の教育をつかさどるということになったら、これの中身は何だろうかというと、例えばいろいろな外国でも違いがあるかもしれませんが、フランスあたりは授業しかやらない。教員は授業しかやらないんです。そうすると、この中で明らかに授業以外で教員がやっているような仕事、これはやる必要がないという見方もできると思うんです。そういう形でこれからネグっていくという方法が1つある。
 例えば学校経営なんていうのは教員がやるものじゃないんです。管理職と経営者がやるという形もありますし、またいろいろな学校事務ですね、特に僕なんか現場で一番困ったのは、給食費を取るとか、修学旅行費を集めるという、非常にこれはぐあいが悪いんです。給食費を取らなければ、結局、今度は、あなたは給食ないよという管理的な形が出てくるから、そこではラポートが成立しないです。そういう形まで、学級担任といっているからおかしいんだけれども、授業を主とする教員にやらせているという実態が、それでいいだろうかということも1つの例ですけれども、考えてみたらこれはどうだろう。
 そういう面では、僕は部活動は今、中村教育長も必要だと言われた。僕も必要だと思う。だが、教員の本務にすべきかどうかというのは問題があると思います。部活動なら、例えば外部講師を中心にしてやるとか、学校の設備を使って、グラウンドも大きいですから、欧米の学校、もうグラウンドのない学校はたくさんあります。そこではできないけれども、日本は幸いにもグラウンドがありますから、そこを地域に開放してやる。こういう形でもう一度精査してみるというのは非常に大事なことで、ここにあるのをやるのはもう10時間かかるんだから、もうこれじゃだめだ、2時間分はこれから切るという前提でやってみたらどうだろうと思います。
 それから、事務の共同実施というのがありますが、これは特に僕は小学校で非常に必要になってきていると思うんです。それが今、中村教育長が言われたように、市町村職員にするかどこにするかということはいろいろあると思うんです。ただ、待遇改善の中で、例えば事務部長というものもつくっていかないと、統率ができないものも出てくると思うんです。それと同時に、今の8ページの中から、必要であれば、例えば生徒指導だったら、生徒指導教諭という専門を当てて、もう授業は持たない教諭の定員をつくるというものだとか、学校経営だったら、例えば今、教頭あたりも校長の補佐という形で学校経営に携わっているんです。僕はそれは逆に校長の権限を弱めている面もあると思うんです。ですから、逆に校長がマネジメントをやるんだったら、もう徹底的にマネジメントをやっていくという感じがいいようなんです。僕は民間校長を入れるのは基本的には反対なんですが、民間校長がやられている仕事を実態として見ていると、教頭の補佐はほとんど使ってないです。だから、そこら辺を考えてくると、やはり教頭も、あるいは教務主任ももう一度あるべき姿を見て、あまり授業をしない現場の人間をあまり増やさないで、授業をしない人はもう授業をしないような専門職に持っていくという感じのようなとらえ方で、少しそういう精査してみたらどうかなという気がします。そして、新しい職種をつくっていくということにも大胆に踏み込むという考え方はどうだろうと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは川田先生。次、帯野先生ですね。

【川田委員】
 この場というのは、基本的には給料に関心があるところで、その中で教員の勤務時間、あるいは業務内容について考えていくということになった場合に、これは労働法的な観点からということかもしれませんが、最初に考えるべき必要があるのは、教員について、勤務時間の長さに応じた給料が払われるべきなのかどうか。あるいは、場合によっては個々の業務ごとに分けて、そういう業務なのかどうかということを最初に考える必要があるんじゃないかと思います。
 教員の仕事というのはこのワーキンググループの中でも専門職という言葉が何回も出てきていると思いますが、私も確かにそういう面はあると思うので、そう考えていくと、どちらかというと、勤務時間の長さと給料というのはダイレクトに結びつくような性質のものではないということになっている。実際、給特法の制度というのも、前回、労基法上の労働時間の制度との関係ではもちろんあるんじゃないかということも言いましたが、逆に言うと、裁量労働という概念が労基法の中で確立していない時期に、それに近いことをやろうとしたという面もあるのではないかと思うわけです。
 そういう観点から見ても、ただ、それで実際に働いている時間があまりにも長時間であれば、それはそれでまた別途それを何とかする必要があるだろうということはあると思います。これはちょっと給料の話とは外れちゃうかもしれませんが、そういう意味では、この論点の上のほうに出てくるような話というのは、私はあまり教員のことをよく知らないせいかもしれませんが、まず教員が本来行うべき業務の範囲を考えてというよりは、実際に行っている期間が長過ぎると評価するかどうかというのがまずあって、仮に長過ぎるというのであれば、これまで出てきたように、本来行うべき業務かどうかというのを考えるのは難しいと思いますから、長過ぎるということであれば、どこをどう短くできるかということを、これは給料の問題とは別に分けて考えていくべきことなんじゃないかと思います。
 あと、すみません、実態調査との関係で1点、打ち出したいんですが、今まで出てきたように、この調査からわかる範囲で、単純な時間の長さ以外で教員の負担を知る上でデータが取れそうなものとして、1つは既に出てきた休憩の話がありますが、あともう1つは、おそらく休日です。週の中に、特に完全に労働から解放されている日というのが確保できているのかどうか、その辺は詳しくデータを整理する際にはぜひ出していただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは金井先生。次、帯野先生。どうぞ。

【金井委員】
 今、川田先生から既にご指摘があったと思うんですけれども、資料3で教育公務員の勤務時間について資料をつくられているときに、やはり裁量労働制の観点をどう入れていくのかというのは1つ重要な点なのではないか。単純には入れられないわけかもしれませんけれども、少なくとも教育公務員にふさわしい裁量労働制の余地があるかどうかというのは、ぜひ次回以降でお願いしたい。まず一般の裁量労働制はこういうものであるというものを踏まえた上で、教員についてどういうものがあり得るのか。裁量労働制というのは、ある意味で時間が限りなく長くなりかねないということで、健康上非常に問題があり得るというのも一部で指摘されているわけでありますけれども、特に教員についてはそういうことが十分あり得るので、裁量労働制の制度とその可能性、あるいは危険性について資料をいただければ大変ありがたいかなと思います。
 それから、2点目は、資料2で教職調整額の仕組みなわけでありますけれども、教職調整額、それから超勤4項目、超過勤務手当に変更すべきかどうかという、この制度自体がどういう経緯でこの4パーセントというものに決められたのかということ自体を振り返るような資料をいただければ大変ありがたいかなと。逆にいいますと、教職調整額一律4パーセントというのは、あるとき法律を決めたら、それ以降、どういう実態かよくわからないけれども、そのままになっている。一方、超過勤務手当というのは、日々といいますか、超過勤務があるごとにちゃんと見ていけということで、極めて両極端な発想の制度になっているわけです。普通、給与制度とか予算制度を考えますと、毎年調査をして、毎年、例えば今年は一律何パーセント、実態を仮に反映して、この4パーセントが決められているとするならば、普通は毎年メンテナンスするはずなわけです。にもかかわらず、これを全然メンテナンスしていないというのは、ほかの制度との比較からいって、極めて不整合としか言いようがない。なぜこうなっているのかも含めてお教え頂きたい。逆に言うと、超過勤務手当にすると、毎日毎日ちゃんと管理しなければいけなくて、一方、今までの制度というのは、昭和41年の調査をもとに決めた以降、ずっとメンテナンスしていないという、あまりに乖離の大きい両案が出ているんです。制度のつくりとしては不可思議な感じがします。普通だったら、義務教育国庫負担金にしろ、毎年調査やって、毎年人数とか一々調べて毎年出すわけですよね。なぜここについて毎年のメンテナンスをしていないのかなというのが大変不思議なところであります。そもそも俸給表の3本立てからいって、たまにメンテナンスするという仕組みが教育公務員給与ではどうも、歴史的に見るとある。たまに問題化して、たまにメンテナンスして、しばらくはずっとほうっておいて、その後また、問題化して、たまにメンテナンスして、また今回久方ぶりに、ずっとメンテナンスしてなかったから問題になっているという印象を受けるのです。ややそこら辺の制度の考え方が、導入のときの考え方とその後何故やってこなかったのかということについても、資料として教えていただければと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。今現時点で事務局から何かお話ございますか。

【渡辺専門官】
 補足でございますけれども、教職調整額につきましては、お手元の給与関係基礎資料集の40ページに簡単な1枚紙は記載してございます。ただ、経緯については簡単に記載しているだけでございますので、次回以降、少し整理したものが出せれば、用意したいと考えてございます。

【田村主査】
 では、後で資料ごらんになりながら、また説明の時間をとりたいということですので、よろしくお願いしたいと思います。じゃ、帯野委員、どうぞ。

【帯野委員】
 時間外勤務に関しては、その時間外の勤務に対してどう対価を払うかということと、どう減らすのかという2つの論点があると思うんですが、もう一度どう減らすかというほうで、各先生から何を減らすのか、事務的な仕事を減らせばどうかといったご意見が出たと思うんですが、事務的な仕事というのは、もう少しプロフェッショナルな言い方をすれば、つまり学校管理、マネジメントという仕事だと思うんです。
 それで、この表の、例えば資料1の1日の勤務時間の割り振りを見た場合、確かに減らせる仕事があまりないなという気がします。それは当たり前の話で、今まで日本の学校で一番欠けていたのがマネジメントで、学校のマネジメントという概念がなかったところから、どうマネジメント的なところを減らすのかというのは非常に難しいことだと思いますので、それで、できれば、先生方に、こんな仕事はやってもらえればいいなと思える仕事、例えば中村委員がおっしゃった、ちょっと住民票をとりに行くとか、渡久山先生がおっしゃった給食費を集めるとか、どんな仕事があるのかを聞いていただけたらなと思うんです。
 それからもう1つ、先生だけじゃなくて事務職の方にも聞いていただきたい。事務職の方ももっと自分たちもプロフェッショナルに仕事がしたいという部分があると思うんです。だから、こんな仕事を自分たちができれば、先生たちがもう少し楽になるんじゃないかというようなこともあると思いますので、たくさんの数は要らないと思うので、ぜひそういうところを何校かの方に聞き取りをいただいて、まとめていただければ、その中で、学校の中のマネジメントというのがどんな仕事か、もう少し論理的にあぶり出せると思うのですが、どうでしょうか。

【田村主査】
 今のご意見に何かお話しいただけますか。

【松浦課長補佐】
 本日は定量的な勤務の中身についてご説明いただいているんですけれども、文部科学省では意識的な調査も今、全国的にやっておりまして、集計が入っております。この中には、保護者が見た、今やっている教員の勤務の中で、どれが特に重要だと感じているのかということですとか、あるいは先生自身がどう考えているのか、そういったものを定性的なものとして調査しているものがございますので、これは12月に入った段階で、またこのワーキングの中でお示しをさせていただきたいと思います。
 また、事務職員の先ほどの話につきましても、実は今回のワーキングの中では、事務職員の方の生の声を直接お聞きしている場合がなかったものですから、それを何とか吸い上げるような形については、事務方のほうで検討させていただければと思います。
 以上でございます。

【田村主査】
 どうぞ。じゃ、細川委員、それから森委員ですね。

【細川委員】
 私は質問というより意見なんですが、私がこれまでにヒアリング、それからそれ以外で調べた限りで把握している範囲ですと、この教職調整費の4パーセントの4というのには、あまり大きな根拠はない数字ではないのかなと私自身は把握しております。
 過去の経緯という中で、教職調整費を置いた経緯というところにかかわってくるんだろうと思うんですが、なかなか時間外勤務を把握することが難しい職種であるということがまず1つで、これはもう皆様もよく認識されていると思うんですが、それと、発端としては、教員の仕事というのは基本的には自発的行為がベースになっているというところにあって、そして時間外勤務、超勤手当をつけることには限りをつけましょうというのが発端としてあったのではないかというのが私の認識です。ですから、自発的行為が時間外勤務にならないのではなくて、自発的行為はいわゆる本務の中に入っていると考えて、4パーセントという数字を置いたのかなと。ただ、そこにはあまりさしたる根拠がないというのが、今まで私が調べた限りの範囲ですので、それ以上のことがあればぜひ教えていただきたいと思っております。
 それで、実際に30分以下の残業の方が1割いるということは、やはり4パーセントという数字がその方に適しているのかどうかというところがあると思いますので、私は、時間外勤務として時間というのを把握するよりは、調整費の中で差をつけていく、その4パーセント以下ということも含め、もちろん当然それ以上というところで差をつけるというのが現実的な方法なのかと思いました。
 それから、業務の内容なんですが、1‐1の8ページの分類なんですけれども、この分類の項目を見ると、委託も含めて削れるところはないということなんですが、その内訳を見ると、例えば動植物の世話とか、教室環境管理、備品整理とか、機器点検、点検立会いとか、細かく見ていくと、結構まだまだあるのではないのかなと私自身は思っておりまして、やはり地域運営学校みたいな形態がこれから増えていくとなると、団塊世代を中心とした退職の方がたくさん出てきますから、そういう地域の方々も活用しながら、学校のほうも、教員のやるべきことというのはきちんと定めた中で、これだけのことをやるのでこの給料という合意形成が必要かなと思います。
 その意味で、中村委員がおっしゃったように、本来学校がやるべきことは、これだけと言ったらおかしいんですが、これですよということを明確にするというのは、実際子供を目の前にして、何もやらないというわけにはいかないというのが教員の方々の思いだと思いますが、今家庭の教育放棄とか育児放棄ということがさんざん言われて、実際問題としてかなりあるということを考えても、そこを明確にするということに1つ大きな意味があるのかなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。それでは、森委員。次に箕浦委員ですね。

【森委員】
 この8ページの表を拝見いたしますと、例えば私が小中学校の時代とどこがどう変わっているのかなという観点で見たときに、昔なかったけれども、今あるというのはあまりないような気がするんです。要するに何が変わったのかというと、非常に難しい問題が増えているということじゃないのかと思うんです。例えば家庭訪問、これは昔からあったわけです。ところが、おそらく昔のようにはいかなくなっているんでしょう。それから、地域安全活動は、これはちょっと新しいのかもしれませんね、通学路の安全なんていうのは昔はなかったから、これは新しく増えたことかもしれないですね。それから、栄養指導と書いてある。これも少し意味が違ってきているのかもしれない。進路指導が私のころに比べてかなり複雑になった。そういうものを見ていったときに、昔はなかったけれども、今新しく増えたというものはあまり入ってないような気がする。
 要するに問題の本質は、非常に深刻化しているとか、専門的知識が必要になったとか、そういう問題だとすれば、どれが本来業務でどれが本来業務じゃないかという議論も、これも私は否定しませんけれども、そういうことよりも、複雑化して、1人の教師ではできなくなっているのをどう対応するかという問題じゃないか。
 そうすると、1つは、先生は一生懸命ありとあらゆる部分を見ると、非常にみんな複雑になっているのが多いですから、一生懸命頑張ってこなしてこられたけれども、もう手を挙げているという問題に対して、1つは、先生自身の質の向上のために研修をどう、例えばいじめの問題なんかは、教育学部じゃ習ってこなかったんじゃないですか。教育学部で教えてもらえなかった問題に、現場で直面して悩んでいる。それが全部の先生にかかっているということを何とかしてあげなきゃいけないと私は思うんです。そのためには、1つは研修、もう1つは、先ほどの先生がおっしゃったアウトソーシング。これも基本は非常に複雑な問題を外に出すという考え方じゃないかと思います。家庭訪問なんか、やっぱり僕、先生はやったほうがいいと思うんです。家庭へ行くと、先生自身も勉強になりますし、成長すると思うんです。だけどその中で、例えばドメスティック・バイオレンスとか手に負えない問題があったときに、それはもう外に出すみたいなことかなという気がします。
 3つ目は、役割分担ですね、先生の専門化。進路指導に非常に長けている先生とか、いじめの問題に非常に対応できる先生とか、資格なり称号なり何でもいいですから与えていく。そうすると、担任の先生が自分では手に負えないことはその先生に相談するような仕組みをつくっていくという3つぐらいじゃないかと思います。
 そんな感じがして、それに私はきょうの結論じゃないんだけれども、今みたいな役割とか責任とか職務の内容をきちんと整理する中で、それを給料に反映していくというのが正しい道じゃないかという気はいたしますけれども、そんな感じがいたします。

【田村主査】
 ありがとうございました。それじゃ、どうぞ、松浦さん。

【松浦課長補佐】
 事務的にご報告させていただきたいと思います。細川委員から教職調整額の関連についてお話がございましたけれども、教職調整額の根拠について簡単にご説明申し上げたいと思います。
 この教職調整額は昭和41年、先ほど資料として出させていただきました資料の数値が基本的に基礎になってございます。41年度の教員の勤務実態調査を行ったうえで、8月期を除く11カ月の平均の週当たりの勤務時間というのを出しております。その中から特に服務時間の中でも自主的な研修を行っているとか、そういう超過勤務としてカウントするものではないようなものについては、除去させていただいた結果、当時の数値の中で、小学校については平均1時間20分、中学校は2時間30分ということで、ならすと大体、これが今1週間の超過勤務でございますので、月に直しますと、約8時間程度の超過勤務が行われていると。これに基づきまして、本俸にかかる手当として逆算的に置き直しをした結果、超過勤務手当の8時間相当の金額を本給の4パーセント相当のカウントにしたというものが教職調整額でございます。ちなみに、この教職調整額は41年調査の後、46年に給特法ができまして、その際にあわせてできたという経緯がございます。
 次回、その辺の部分につきましても、紙の形で整理をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【田村主査】
 じゃ、箕浦委員。そろそろ時間になりましたので。

【箕浦委員】
 今の勤務時間と教職調整額の在り方のところで、41年の調査に基づいて、本務と思われるところということで出していると思うんですけれども、実態がそうであるからといって、今回の労働時間という観点からすると、実態としてそれを調整額に反映するというよりは、総労働時間自体を短くするという工夫は、この時代に全くなされていない。それはどうも、時代としてはおかしいんじゃないかと思います。
 弾力化についてどう考えるかというところで、昭和41年の年間のグラフを見ても、相当繁閑があるわけです。今回、7月と8月しか出ていませんが、8月の時間外労働を見ますと、実際、平均で22分と。平均で22分というのは1日ですが、やってらっしゃる方、やはり忙しい方もいらっしゃるのかもしれませんが、30分以下が中学、小学校とも70パーセントぐらいいらっしゃる。ということは、民間からいいますと、これだけ時間外がないということは、逆に労働密度ですね、その中にどれだけの職務があるのかというのが逆に少し疑いたくなります。
 したがって、8月という時点の部分をいかにほかにシフトできるかということで、8月、年末年始、そういったところの労働時間をいかにうまくシフトするかによって、その目標も含めて教職調整額をどのあたりにするかという考え方も1つあるのかなと思います。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。結果が出てきたので、変形労働時間の話とかいろいろ出てまいりました。じゃ、吉川委員。最後にまだ井上委員がまだ何もおっしゃってないので、このまま帰すわけにいかないので。

【吉川委員】
 教職調整額を超過勤務手当に変更すべきかという論議が財源的に成立するのか、当初から疑問に思っているところがございます。早口で申し上げますけれども、一日2時間残業しているとして、週に5日、10時間ですね。月に換算すると、教員1人当たり月に40時間の時間外勤務がある。これを、例えば給与月額が40万円の教員を例にして試算をいたしますと、超過勤務手当は、1時間3,000円として、単純計算で月額12万円支払わなければならない。ちなみに、現在の40万円の教職調整額は1万6,000円でございますから、10万4,000円が増額となる。一律の支給は困難である。濃淡をつけるにしても、さっきの表にあるように、ごく一部の教員は残業時間が大変少ないが、大半の教員は上回っています。このことは、教員の勤務のあり様を十分にわかった上で申し上げているんですが、果たしてこの議論を詰め込んで、じゃ実質に見合う形で超過勤務手当を出していこうという方向での論議をした上で、いや、それは財源的に困難ですと言われますと、その論議そのものは何のためにしたのかなということになります。あえて要望するとすれば、今、小川先生がご苦労されて出した超過勤務の実態からして、およそどの程度日本の国の教員には超過勤務手当を支払わなければならないのか。文部科学省の方で、金額を出せますかね。

【田村主査】
 今それをやっているところなので、お答えはすぐには出ないと思います。

【吉川委員】
 ですから、そこが難儀なんです。論議をしても、お金がないので出せないと言われると。ちょっと論議を冷やすような中身になって大変申し訳ないが、当初からこの問題、このところが気になっているところでございますので、あえて申し上げました。

【田村主査】
 何かおっしゃることありますか。

【尾崎財務課長】
 すみません。超過勤務手当として総額どれだけ支給できるかということと、実態との乖離が生じるのではないかというお話、これはおそらく教員も一般の公務員も同じことなのかもしれません。我々もそうかと思いますけれども、予算の範囲内で、出せる範囲で超過勤務手当が出されていくということですので、自発的になされた勤務を全部総体として出た時間数にきちっとどこまで出せるのかということは、実は一般の公務員も、総務省にお尋ねをしたんですけれども、全体の勤務実態について、超過勤務の実態についての資料が、全国ベースでお持ちではないということもありますので、その比較もなかなか難しゅうございます。
 そういう意味では、吉川委員のおっしゃるとおりで、自由気ままというと言い過ぎかもしれませんが、自発的に積み上げられた勤務時間に、財源的にそのまま言い値で対応できるのかという話になりますと、おそらくそれは超過勤務命令を出さないという仕組みから考えても、財源の問題から考えても、なかなか難しいお話ではないかと思います。

【吉川委員】
 自己申告をすべて認めるという意味ではなくて、実質、例えば本市の学校を見ても、7時、8時、職員室の電気は消えてないんです。家に持ち帰る分を差し引いても、1日2、3時間の超勤は常態のものとして全国の学校現場にはある。このようにまずは理解されておいたほうがいいと思いましたので、あえて申しました。

【田村主査】
 ありがとうございます。これはでも、手続を踏んでないわけですよね。命令が出て時間、残っているわけではありませんから、公務員の勤務時間を、時間外ということで考えた場合、その辺の整理をきちんとしないと、一般の世の中の理解は得にくいですよね。実際残っているんだから出せというのでは、ちょっとこれは、そうはいかないという話になるので、難しいですね。

【吉川委員】
 そういう意味合いで申し上げているのではないのです。時間がもうございませんから、やめますけれども、ご理解願います。

【田村主査】
 非常に難しい問題があるということですね。これから進めていきたいです。

【井上副主査】
 1つは勤務実態調査がこのワーキンググループで初めて出ましたが、小川副主査が大変ご苦労してまとめていただいていることに感謝したいと思います。
 そして、この実態調査に基づいて、教員の給与の在り方というものについて、どのようにメリハリのついた給与体系にしていくかということをこの場で議論していくわけでございまして、この実態調査をそのまま給与にどう反映させるかというのは、勤務の定量的なものと質の問題で、それが結びつくかどうかというのは、さらにこの場で議論をしていく必要があると思います。特に、教員の場合には、やはり専門職としてかなり自発的に授業の質を高めるための教案の準備とか、子供たちの世話とか、かなりその辺で量的にそういうものをどう評価するかという問題はどうしても残ってくると思います。
 先ほど、今の学校現場が非常に複雑困難にして、それぞれ適切な対応をするために役割分担を的確にしていく必要があると発言されましたが、それはまさにそのとおりで、今そういう点で、いじめなどについては、生徒指導主事等が経験を持って、それについての知識、識見、経験などを有する人を対応させてやっているにもかかわらず、いろいろ学校全体としての、1人1人の教員まで、そういうものに全体として組織的に対応しなければいけないという問題が出てきているわけで、そういう意味では、教員が本来行うべき業務の範囲をどう考えるかというのは、学校教育法上は確かに児童の教育をつかさどると、主な業務を書いてありますが、実際にはそれから派生して、子供との関係、生徒指導の関係で、いろいろその業務の範囲が広がっていることは事実でございますし、また、一方で学校として組織的に教育課程を編成し、その学校の教育活動の目的、目標を達成するための業務としての校務分掌というのは、やはり組織的に対応しなければいけないわけですから、そういう意味では、ここの1‐1の8ページに書いてある業務というのは、今、学校現場で起こっている実際の業務というのがここに書いてあると思います。これをどう整理するかというのは、学校、地域社会、家庭それぞれの役割分担を考えても、この業務範囲というのは、それを整理していくというのはかなり難しい問題ではないかと思います。
 そういう意味では、こういう現在の学校を取り巻く状況、学校の業務の状況等を踏まえて、勤務時間というものを考え、また給与の在り方を考えるというのは、かなり勤務の中身を精査するということと、勤務時間との関係、給与の在り方ということで、特に教職調整額の関係はやはり勤務時間の内外を問わず、包括的に評価して、調整額を支給することになっているわけで、教員の場合は厳密に超過勤務を日々何時間だと測定することが非常に困難な職務ではないかと思いますので、そういう意味では、先ほど、超過勤務手当をどれだけ財源出すかという命題はなかなか難しい問題で、むしろ勤務時間の内外を問わず、包括的に評価して、教職調整額を差をつけて、小学校では30分以下が10パーセントぐらいいますし、小学校で3時間以上が10パーセントを超える方々がいるというのを考えますと、教職調整額の支給で、そこで2とか4とか6とか差をつけるとか、それによって一月単位とか、評価していくというほうが、むしろ学校現場の職務の遂行状況からいうと、現実的なのではないかとも考えられますが、今後さらにそういう点を踏まえて議論を進めていただきたいと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうも、司会の手際が悪くて、いろいろな議論をいただいたんですけれども、やっぱり実態調査が出てきたので、随分議論が具体的になってきまして、非常にいい意見をたくさんいただきました。吉川先生からは、厳しいご意見、これはきちんと世の中で理解してもらえるような努力をこれからしていかなければいけないだろうと思います。順調に会議は進んでおります。
 どうぞひとつ、次回、ちょっと時間がたちますが、場所が変わって開かれますので、ご出席の際はお間違えのないようによろしくお願いしたいと思います。それでは、次回のこと、お願いいたします。

【渡辺専門官】
 お手元の資料4をごらんいただけますでしょうか。第10回、第11回につきましては、12月11日の月曜日の13時から17時を予定してございます。場所といたしましては、KKRホテルの東京の11階、「丹頂」でございます。
 第12回のワーキンググループにつきましては、12月26日火曜日の13時から15時でございます。場所は学術総合センターの2階、中会議室1でございます。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、次回以降、引き続きまして教職調整額及び教員の勤務時間の在り方について検討を進めていきたいと思いますので、ご指導、ご協力をお願いしたいと思います。どうもきょうは、お忙しいところ、ありがとうございました。本日はこれで閉会させていただきます。

‐了‐

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