教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第8回) 議事録

1.日時

平成18年11月10日(金曜日)10時~12時

2.場所

東京国際フォーラム Gブロック6階 「G610」

3.議題

  1. 職の在り方とメリハリある教員給与体系について
  2. 教員評価について

4.議事録

【田村主査】
 おはようございます。時間になりましたので、定刻ということでただいまから第8回中央教育審議会初等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループを開催いたします。ちょっと会場が変わりましたということもありまして、委員の先生方もちょっとおくれてお見えになられるという先生もいらっしゃいますので、ご連絡はいただいておりますので、定刻でございますので、始めさせていただこうと思います。
 本日はご多忙の中、ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。それでは座ってお話しさせていただきます。
 それでは本日の議題に入ります。まず1つ目の議題についてですが、前回のワーキンググループに引き続きまして、主幹制、スーパーティーチャー等について議論したいと思います。まずは事務局から主幹制等に関する論点、そして前回のワーキンググループの際に委員から要望のありました主幹等を導入している都府県における詳しい状況について、ご説明をお願いいたします。これは今泉さんからですね。よろしくお願いいたします。

【今泉課長補佐】
 資料1から資料3までをご確認いただきたいと思います。まず資料1についてでございます。本日議論いただきたい観点で、特に学校の組織運営体制のあり方について、その前提となるものがございます。まず今回、このワーキンググループの目的は給与のあり方について検討するというところでもございますが、それと同時に、この職を設けるというところは、まさに給与の級とかかわる部分でございます。その級とかかわる部分について議論する前に、果たしてその職というものが、この学校の組織運営のあり方について、ほんとうにそれが必要なのか。それをやることによって、この学校の組織運営がより有効なものとなるのかどうか、そこについて考えることが重要でございます。その観点で、この前提として、この検討に当たっては、教育の質の向上に資するものが必要であるということを書いております。
 さらにその2番目のところで、これまで国が設けております、この職については全国共通に必要な教職員、それについて学校教育法の中で規程してございます。現在、具体的にどのような組織とするかについては、各学校の規模とか人員体制、各学校の実情、地域の実情に応じて教育委員会、校長先生が判断するという形になっております。その観点で学校教育法の28条の第2項のところでは、必要な職のほかに栄養教員などの職を設けることができるという、できる規程がございます。そのできる規程に基づいて、例えば東京都においては主幹制みたいなものを現在でも必要な職については、設置を可能としているところでございます。それが前提としてございます。そういう中で、必要な学校の組織運営体制のあり方を検討していただきたいと思っております。
 この組織運営体制の検討に当たって、論点が幾つかございます。1つ目の論点は学校の特性にかんがみて、どのような組織運営体制が望ましいのか。例えば鍋ぶた型組織と言われておりますけれども、その現状のどこに課題があると考えるのか。また教員の業務の特殊性をどういうふうにこの組織運営体制に反映させて、より学校が組織的な体制となるようにしていくのか。また新たに必要な職について、職を今、校長、教頭、そして教諭、間に教諭に付加した業務として主任というものがございますけれども、これをさらに新たな職を設けて多層化すること。それにおけるマネジメントの必要性はどの程度存在しているのだろうか。
 またそもそも、この教員が行うべき業務というのは、どの程度のものなのか。さらに国がそういう必要な職を新たに設置することについて、もう既に学校教育法の28条第2項において、設置が可能となっている状況の中で、どの程度誘導していくべきなのか。その点についてご議論いただきたいと考えているところでございます。
 その前提のもとに、2ページ目をごらんください。昨年10月の中教審答申に書かれている内容を踏まえて、幾つか新たな職については選択肢がございます。まず学校管理関係としては、主幹制だけではなくて、その主幹制、教頭の複数配置、または上級校長の配置みたいなものが考えられます。
 教育指導関係で、いわば現在の主任については独立した職ではなくて、教諭にその職務命令によって付加されるものでございますけれども、例えばその主任というものの職化、あとスーパーティーチャーなり、まだ名称は固まっておりませんけれども、高い指導力を有して、他の教員への指導・助言を行う職として指導教諭の創設。
 一番下に事務体制関連として、教員の事務の軽減策を図るものとして、例えば事務長の配置なり、または複数の学校における事務の共同実施というものが考えられるのではないかと考えているところでございます。
 それぞれの内容、メリット、デメリットについては、ここに整理させていただいているとおりでございます。
 3ページ目以降は参考でございます。3ページが昨年の中教審の答申における学校の組織運営関係の関連部分についての記述でございます。4ページ目が学校規模の現状について、小学校、中学校について書いたものでございます。5ページ目が現在、主任制のもとで設置されている各主任の職務、要件、またはそれが必置なのかどうかについて書いたものでございます。その次が現在、各国公私立における主任の設置状況についてでございます。その次は関係の参照条文をつけさせていただいております。
 次に資料2をごらんください。前回の会議において、主幹制について簡単にご説明申し上げたところでございます。その際、それぞれの人数規模がどうなのかということ、あと主幹と主任の役割の違いについてどうなのか。これについて、ご下問がありました。それを改めて調査いたしまして、その結果をまとめたものがこの資料2でございます。まず人数規模については、ごらんのとおりでございますけれども、それぞれまちまちでございます。例えば小学校の部分を見れば、小学校未設置のところもあれば、神奈川県のように4人設けているようなところもあり、また京都市のように校長の判断によるとしているところもございます。中学校、高等学校、特殊教育小学校についてもそれぞれ同様な形で、統一的なものはなくて、それぞれ必要に応じて校長の判断によって決めていたり、また多いところだと五、六名設置しているところがあったりするような状況でございます。
 その配置の考え方についてでございます。配置の考え方は右の配置基準のとおり、それぞれ任命権者が決めて配置している場合もあれば、京都市のように校長の判断に基づいて配置している状況があるようなところです。
 主幹制と主任との関係についてでございます。これは大変恐縮でございます。埼玉県の主幹制、主任との関係の部分について、文章が意味不明でございますが、ここについては調べさせますので、ここは置いておいてください。それ以外のところで見ますと、主幹と主任を兼任するというところがやはり多いような状況でございます。
 主幹に期待する役割としては校長、教頭の学校運営を補佐すること、あと所掌のグループの公務を統括すること、そして教職員の人材育成の3点を挙げているところが多い状況でございます。
 主幹の選考方法でございますが、校長の推薦をもとに、各任命権者において選考を行う。その選考方法については面接なり、または書類審査を行っているようなところもあるところでございます。
 さらに資料3でございます。前回、指導教諭、まだ名前が固まっておりませんが、そのスーパーティーチャーの説明をさせていただきましたときに、選考基準はどうなのか。またメリット、デメリットはどうなっているのかというご下問がありました。それをもとに、各設置しているところに改めて聞きまして整理したものがこのペーパーでございます。今、11の教育委員会において、このスーパーティーチャーなるものを設けております。平成11年に岐阜県において文化スポーツ専門指導員というのを設けて、それ以来、平成15年に1つ、平成16年に2つ、平成17年に3つ、平成18年に4つという形で増えてきているようなところでございます。ただ、これについて給与上の処遇を行っているのは3教育委員会のみでございます。
 そういう状況の中、これまでの成果、または効果、あと課題についてでございますが、成果については、まずこのスーパーティーチャーに任命された者の自信なり職務への貢献度が高まってきているということ。あと学校の教科指導面での活性化に大きく貢献しているということが書かれているところでございます。ただその一方、課題についてはまだ導入して間もないというところが多くて、その観点から、現在の課題については検証中であると回答してきているところが多い状況でございます。
 選考方法についてでございますけれども、各学校の校長の推薦に基づいて、教育委員会が選考しております。その選考のあり方については、関係の機関、または関係の校長先生、あと場合によってはPTAの役員たちを設けて、広く選考委員会というのを設けて、その選考委員会の意見を踏まえて、教育委員会が決定していくという状況でございます。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 それでは引き続きまして、今度は松浦課長補佐から資料4についてのご説明をちょうだいします。よろしくお願いいたします。

【松浦課長補佐】
 それでは引き続きまして、資料のご説明をさせていただきます。資料4をごらんいただきたいと思います。先ほど来から、主幹制あるいはスーパーティーチャー等の制度についてご説明申し上げましたが、実際の処遇、給与についてどうなっているのかを簡単にまとめさせていただきました。制度的に置かれておりますのが、先ほどご紹介ありましたように3件、東京都、神奈川県、大阪府でございます。東京都につきましては主幹ということで、従来4つの級の中にありましたものに、主幹というための新たな級が設けられております。神奈川県、大阪府についても同様でございます。
 この表の見方でございますが、高校ということになってございます。まず上のほうでは高校の3県の給料の比較ということでございます。それぞれ大学を卒業し、高等学校で勤務してと。22歳で大学を卒業して、そのままずっと勤務しているという状況モデルとして、それぞれの県の給与条例にあります給料表を毎年1個ずつ上がっていくと、昇給するという前提でつくらせていただいております。
 なお一般教諭という部分につきましては、基本的に主任を兼任しているということもございますので、一般教諭の給料は50歳の主任の給与ということにしてございます。なお、50歳とさせていただいておりますのは、実はこの主幹等の任用が東京では38歳以上、神奈川県では42歳以上と、大阪では主席が33歳以上、指導教諭50歳以上ということで、それぞれ条件が異なっておりますので、一応最も高いところの50歳というものについて、モデルとして適用をさせていただいた比較ということでございます。
 東京都についてごらんいただきますと、一般教諭2級でもらっている給与が主任手当も含めて、44万8,300円。それが主幹ということで級が上に上がりますと、主任手当も含めまして、46万1,800円ということでございますから、差額が毎月1万3,500円ということになります。同様に神奈川県の総括教諭につきましては、同じような比較で1万5,700円、大阪の主席につきましては1万8,200円、指導教諭につきましては1万2,400円という差になってございます。それは次に各県ごとに給料のグラフをつけてございますので、次のページをごらんいただきたいと思います。
 22歳で採用されましてという表でございますが、右のほうに級の具体的な職を書いてございます。1級は講師で一般的な教員としては2級からということで、教諭が2級、従来は教頭が3級、校長が4級ということでございますが、東京都の場合には教諭と教頭の間に特2級という主幹がはめ込まれているということでございまして、少し主幹が窮屈な感じになってございます。
 神奈川県におきましても、同様に従来の4級だったものに総括教諭ということで、新たな3級を入れてございます。これも2級と4級の給料表をいじっていないということもございまして、やや3級のところが少し窮屈な感じになってございます。
 大阪府につきましても、同様に従来の4級制に特2級というものを入れてございますので、東京都と神奈川県と同様に多少特2級が窮屈な感じ、要はそれほど大きな処遇改善が図られてまではいないという状況でございます。
 次に、小・中学校でございますけれども、小・中学校で新たな給与を設けておりますのが東京都と神奈川県だけということでございまして、それぞれまた小・中学校の教員の給与として同様に比較をさせていただいております。東京都の場合につきましては差額が1万400円、神奈川県につきましては1万5,700円ということでございまして、東京都は高校に比べて、さらにその差額が小さいということになってございます。その辺の状況につきましては、また次のグラフにもつけてございますが、大体傾向につきましては、高校と同様ということでございまして、既にこういう3県で新たな主幹等のための処遇が行われている。その給与の現状についてはこのような状況ということでございます。
 以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 ただいま今泉補佐、松浦補佐から主幹制をはじめとする学校の管理面での充実方策についてのご説明及び、スーパーティーチャーをはじめとする学校の指導面での充実方策についてご説明をちょうだいいたしました。
 ここでそれぞれに分けて、まず主幹制をはじめとする学校の管理面での充実方策について、ご議論をいただきたいと思っております。ただいまの事務局からのご説明について、何かご意見がございましたら、ぜひお願いしたいと思います。どうぞ、吉野委員から。

【吉野委員】
 吉野でございます。
 主幹制に関しまして、先ほどいろいろ制度の条件とかご説明がございましたが、その効果がどうであったかというのをちょっとご説明いただければと思います。

【今泉課長補佐】
 制度の効果については申しわけありませんが、今回の調査には入れておりませんで、把握していないところでございます。
 もう一つ、せっかくマイクを持ちましたので、先ほど埼玉県の主幹制と主任との関係の文章の部分が意味不明な部分があって大変申しわけございませんでした。これについて、埼玉県に確認したところでございますが、主幹を優先的に主任に兼任させるという意味でございます。大変失礼いたしました。

【田村主査】
 ありがとうございました。先ほどの資料2のところの埼玉県の主任と主幹の関係のご説明をいただいたんですが、吉野委員、何か。

【吉野委員】
 この資料2の表を見せていただきますと、例えば0の県とか、それから非常に多い県がございますので、ぜひその効果がどうあったかというのが一言、1列ここにありますと、今後の議論として非常にいいのではないかと思いますので、ぜひ調べていただければと思います。

【田村主査】
 それでは事務局のほうでご調査お願いしてよろしいですか。よろしくお願いしたいと思います。では、どうぞ次。

【本城委員】
 主幹の効果はおそらく前回か前々回に東京都の方が来てくれて、多分その効果は議事録にも載っているかと思います。それが非常に私は参考になるのかなと思っています。
 「主幹と指導教諭」という名称でいいんでしょうか、指導教諭よりもスーパーティーチャーのほうがいいのかわかりませんけれども、それについては、各自治体で効果があると思っているところは導入しているでしょうし、そうではないというところは導入していないということでしょうし、例えば大阪府のように新しい級を適用するということを、自治体レベルで進めているのであれば、あえてこの場でその効果ですとか、指導教諭の意義ですとかという議論をする必要はそれほどないのかなと思います。全国一律で主幹だとか指導教諭を導入するという時代ではなく、各自治体、各学校でそれぞれ判断してやっていく時代なのではないでしょうか。
 こういう事例があり、こういう問題点、課題、もしくは効果があるということをよく知らしめていくということで十分ではないかと思います。主幹とか指導教諭によって教職員の給与の問題を考えるということが大事なのではなくて、もっと評価ですとか、職務がほんとうに何なのかということによって議論するのが、この場の役割としてはふさわしいのではないかと思っています。

【田村主査】
 本城委員のご意見はよくわかります。そのとおりだとは思いますが、しかし、ほかの県での経験をここで報告していただいて、それを参考にして議論することは、決して不必要ではないのではないかという気がします。

【本城委員】
 もう十分じゃないかなと思います。正直言って、ほかにもっと時間をかけて議論すべきポイントがあるのではないかと、私は思います。

【田村主査】
 そうですか。わかりました。では、そういうご意見もございますので、次回にでも要領よくご報告いただくということで、あまり時間をとらないということでよろしくお願いしたいと思います。
 引き続いて、主幹についていかがでしょうか。

【金井委員】
 前回、前々回と所用で欠席させていただきまして、いささか懸念がある運営かなと正直思っております。私は出が教育分野ではございませんで、行政学ということで、公務員制度一般について研究させていただいているんですけれども、この運営の流れは、大変公務員制度から見ると、非常にまずい議事進行をしていると思わざるを得ない。
 と申しますのは、給与というのは職務給が原則でありますから、ある仕事があって、仕事にメリハリがあるから、つまり職務の責任とか重さに違いがあるから、メリハリがつくという議論のロジックでないと、教育の世界では通っても、公務員制度の世界では通らない。正直言うと一番まずい立論の仕方になっているのではないかと懸念します。
 つまり、このワーキングでの議論は、当初給与を議論するという議論だったと。給与の中ではメリハリをつけたほうがいいのではないかというご意見が出てきた。しかし、メリハリをつけるために、主幹という職があるというので、それを活用するというロジックになると、これは大変まずいことになります。給与に差をつけるために、つまり、ある特定の人をプラスアルファの方向で処遇するために、ある職を設けると。これは自治体のレベルで言うと、一番まずい給与制度の考え方になってしまっているのではないかと。そういう意味ではワーキンググループの運営自体に私は大変心配を持つという感じがいたします。
 つまり、ここの場ではこれで通るかもしれませんが、自治体や自治体の人事とか、給与の担当のところに行ったら、これは明確に処遇であると言われかねない。つまり実態の職務がひょっとしたら、ないのかもしれないけれども、とにかくメリハリをつけるためにある人はプラスアルファのほうで処遇してあげなければならないという理由で、やむを得ず、新たな職をつくっていくという動きが現実には起きやすいというのが、公務員制度の一番の悩みです。
 自治体のレベルでは、例えば課長でもないのに、課長相当という処遇したいがゆえに主幹を置いた。まさに文字どおり主幹という言葉を使うんですが、いろいろな県で主幹というのは大体課長職なんです。課長というポストをつくれないのに、課長相当に処遇したいがゆえに主幹という職をつくるという動きがあり、これを是正するのが大変であるということを考えますと、ここでの議論の流れは正直言うと、大変心配といいますか、これでほんとうに大丈夫なんだろうかと思わざるを得ないかなと。
 もともとこのワーキンググループの設定の仕方が、最初から職のあり方も含めて設定しておけば、職務から入って、学校管理上、こういう職務が必要だから、こういう職をつくる必要がある。こういう職があるから、職務に応じて、結果的にメリハリがつく給与にならざるを得ないというロジックとしておけばよかったんです。最初から給与を、どのようにメリハリつけて払うかということで議論してしまったがゆえに、この場で議論が出てしまった。中教審の親委員会では通ったとしても、外部に行ったときに、処遇ではないかといわれないかということが非常に心配になる。
 2回ほど欠席していたので、もっと早い段階で申し上げればよかったのですけれども、若干そこが疑問があると。それが大きな1点。
 それから、それに関連しますと、やはり主幹という場合には職務分析といいますか、標準職務の内容をまず提示しないといけない。給料表のカーブなんていうのは、その後から出てくる話であって、一体だれが今までやっていた仕事を新たに切り分けたのかということ。具体的にどういう仕事なのかという話から入っていかないと、ますます、どんな仕事をやるのかよくわからない。効果もよくわからないけれども、何かメリハリをつける。これを処遇人事と言うわけで、これはちょっと公務員制度の観点から言うと、まずい進行になっているという懸念を持ちます。
 追加資料としては、標準職務表を具体的にどういう職務ということで人事上設定されているのか。その職務は一体今までだれが担っていた職務を切り分けたのか。これによって、校長の職務を切り分けたのであれば、校長の給料は下げなければいけないはずです。あるいは副校長の仕事を切り分けたのであれば、副校長のほうを下げなければいけない。その意味では、そこのメリハリはなくなるわけでありますが、一般教諭から何人かが選ばれて、上のほうに位置づけられるのが増えるという意味では、結果的にメリハリができますけれども、一体だれの職を分割したのかということも含めて、職務から議論しないと、ちょっと危ない進行になってしまいます。
 先ほど吉野先生からもどういう効果があったのかということについて、なかなか事務局のほうとしてお答えできなかったんですけれども、これはまさに処遇人事状態になっているということの傍証になりかねないことなわけでありまして、ちょっと私は心配、懸念を持ちます。
 ちょっと公務員制度の観点からご意見を申し上げさせていただきました。

【田村主査】
 ありがとうございます。ちょっと尾崎課長から。それから吉川先生。

【尾﨑財務課長】
 事務局から先に発言を申し出まして、恐縮でございます。
 ご指摘のとおりでございまして、ちょっと資料のつくり方が悪うございまして、おわび申しわけたいと思います。我々はその問題意識は持っておりまして、処遇のために職があるという話は本末転倒でございまして、職務給の原則ということは、つまり職があって、それに見合う処遇がいかにあるべきかという論点で、実はこの会議でも既に井上副主査をはじめ、その辺のご指摘は既にいただいているところでございまして、きょうはそういう意味では、議事進行というよりは、実は我々の例えば資料1のつくり方で、その前提のところの書き方がまさにご指摘を受けるような、例えばメリハリのある教職員給与とするために、必要な学校の組織運営に対する検討をするという書き方が、まさにご指摘のような書き方になっているものですから、その辺の不都合はおわびを申し上げたいと思います。
 それで、実は資料のつくり方が悪いので、その辺はまた改善、改良して、審議の材料を用意するようにしたいと思いますけれども、基本的に我々が検討すべきであると思っておりますのは、今、金井委員からご指摘がありましたとおりで、学校の中で、例えば主任との関係で、主幹という新たな職が必要なのかどうなのか、教頭との関係で、主幹という職が必要なのかどうなのか、そういったご議論をいただく必要があるだろうと思っております。そのためにご議論いただくべき材料がまだ十分整っていないというのも事実でございまして、これは次回以降の会議で、その辺のご指摘を踏まえて、我々のほうで軌道修正を正しくやっていきたいと思っております。どうも申しわけございませんでした。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 では吉川委員、どうぞ。

【吉川委員】
 ここのところ、ずっと継続して参加しておりますが、学校という組織を活性化して、教員にさらにやる気を持たせるためには、教員給与にメリハリをつける必要がある。これは後の教員評価でもそうであるわけですけれども、そのために1つの手立てとして、主幹制があろうと。それからスーパーティーチャー制度もあろうと。ほかにもあるかもしれないということで、流れ的には違和感をあまり感じておりません。以上。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 それでは君島委員、どうぞ。

【君島委員】
 先ほど金井委員から、明快にこの場の持ち方についてのお話がございましたが、私はお聞きしていて、やはりそれは全く財政論というものを全面に打ち出してきて、教育論というか、そういったものが非常に中身としては希薄だったのではないかと。今、教員の給与の問題もさることながら、教育の現場において、今、何が起きているかということを考えたときに、それは先ほどもありましたけれども、必ず教員一人一人の人材の質の問題が問われているわけですよ。
 ですから、前にレジュメでありましたけれども、見直しの方向性、論点に対する考え方というまとめの中に、教員の給与は教員の職務の専門性、特殊性を重視すべきだという一項目があったわけですけれども、その職務の専門性、特殊性というものをきっちりと踏まえて教員の給与というものを見ていかないと、やはり教育の現場そのものに今生じているさまざまな問題というものを、この先10年、20年、あるいは半世紀、1世紀かけて、どういうふうに克服していくかというときに、それがうまく機能していかないんじゃないかと考えられるわけで、その中の1つとして、主幹制を設定するということがどうなんだということについて、その効果も含めて、やはり共通理解をしていかないと、教員のきちんとした給与体系というものが将来にわたって、さまざまな方面からの理解を得られながら、そしてまた教員一人一人がほんとうにやる気を起こせる。そういったメリハリのついた給与体系の確立というものができていかないのではないのかなと。
 財政論だけ、全面に打ち出していく、あるいは制度だからという形で、外から固めていくということも、それは1つの切り口としてはあると思いますけれども、そこにやはり教育論、教育の現場で何が起きているんだと。それを克服するために何が必要だと。そしてそこで教員の果たす役割は何なんだということをきっちりと共通理解していかないと、有効な教員の給与体系というものはうまくできていかないのではないかと思っています。
 そういう意味では、先ほど来、出ている主幹の問題、あり方、効果についてはある程度の共通認識は今後もしっかりと認識し合った上で論議を進めていただきたいと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 では帯野委員。

【帯野委員】
 先ほどから主幹等の配置の効果についてのことで、事務局からも明快なお答えがなかったということなんですけれども、これは具体的に調べても難しいので答えがないのだと思います。それで答えがないと思うんです。というのは、1つの例ですが、大阪府の場合、大阪府は主席と指導教諭でございますが、平成17年度の人事委員会の勧告で出して、高校のほうは本年度平成18年度から導入されています。小・中学校のほうは本年度の勧告で出して、来年度から導入されることになっています。
 これを導入するに当たって、人事委員会で随分議論がありました。1つは主席のほうですが、これは管理職なのか管理職でないのかというところについてです。一部にどうも東京都でうまくいっていないんじゃないかというような認識もありまして、大阪府は管理職には位置づけず、特2級で位置づけました。
 それから指導教諭のほうですが、これに対しては、やはり処遇にならないのか、手当でいいんじゃないかという意見もありましたが、最終的に教育委員会にも来ていただいて、継続審議で議論いたしましたが、最終的にはこれはやってみないとわからないんじゃないか、もしうまくいかなかったら、これは廃止するということも含めて様子を見ようということで今承認して、現在進行中ということです。検討中という答えもたくさんございますし、おそらく他の都道府県も同じ状況ではないかと思います。
 ということで、今はまだ始めたばかりで、その効果というのはどこの自治体もわからないという現状だと思います。ただ私も個人的に、まだ都道府県で答えの出ていないものを、この委員会で制度化してしまうというのはちょっと時期尚早なのではないかと考えております。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 では井上委員、どうぞ。

【井上副主査】
 ただいままでのご議論を伺っていて、確かに東京都から主幹制について中村教育長からも前にお伺いして、今、学校の運営組織を考える場合に、やはり学校の活性化、教育の質の向上とか、あるいはいじめ対策等、指導上のいろいろな問題、そういうものを総合的に考えて、学校の教育の質的な向上をどうして図っていくかというのが、運営組織にも反映されるべきだと考えております。現に学校教育法あるいは施行規則の上で、職として規定されているのは、学校教育法の28条等が小学校について、また中学校、高等学校と準用されている校長、教頭と教諭、事務職員と規定しており、施行規則では主任が規定されているわけです。
 その点から言って、主任制以前はどうだったかというと、教頭についても、学校教育法上の規定が整備されたのは昭和49年ですから、それ以前は施行規則で職として規定していましたが、給与上は教頭の4等級制があったわけで、そういう点から言うと、東京都が主幹制に踏み切られたというのは、主任の中でも非常に重要な職、例えば教務主任とか、生徒指導主事に当たる人たちを校長及び教頭を補佐する主幹に登用されているという実態があるわけで、学校の現場から言うと、教務主任と生徒指導主事は重要な役割と、また職務の量的な面から言って、ほかの学年主任とか、あるいは進路指導主事と比べると、非常に量的にも責任の度合いも大きいと。そういう点からいって、学校運営上、非常に重要な役割を果たしているので、そういう主任の中から主幹に登用しているというのが実態だと思うんです。
 そういう点で、公務員法の上から言っても、職として既に施行規則で規定がありますから、その中で同じような扱いでいいのかどうかというのが、職務の責任と量的な面と、それから職務遂行上の役割、そういうものをやはり十分検討した上で、主任についても、これは管理職としてではなくて、職務内容の上から、職としてそれらを主幹とする位置づけは可能じゃないかと、考えているのですが、そうすれば、現在の4級制を5級制にして、一般教諭と比べると、職務内容の量的な面と責任の度合いと、学校運営を果たす役割という面から、職として明確に位置づけて、それらを処遇するというようにすれば、単に給与上の点からだけではなくて、学校運営の実態、運営の体制の充実から言っても、十分に説明ができるんじゃないかと思っているわけでございます。
 それとともに、スーパーティーチャーについても、やはり職務内容が授業力の向上のためのアドバイザーなり、授業力リーダーとして、そういうものが明確に職として位置づけられれば、新たに設けた3級に位置づけることができるのではないかと思うわけで、それらも学校教育法の施行規則に職として位置づければ可能ではないかと思っているわけです。
 それは先ほども公務員法制上というのがございましたが、学校については学校教育法なり、施行規則に位置づければ、職としての独立性とその職務内容を明示することができるわけですので、そういう点をさらにこのワーキンググループでも検討していただくし、学校運営組織は単に給与上の問題だけじゃなくて、初等中等教育分科会のほうでも、学校の中の組織として、十分検討していただくべき課題ではないかと、思っています。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 では中村委員。

【中村委員】
 ありがとうございます。
 東京都が随分話題になっておりますけれども、私どももまだ完成形に至っておりません。途中経過でございますけれども、うまくいっているところと、正直申し上げて、期待ほどうまくいっていない。これは個人差が当然出てきます。それから、その主幹を使う教頭なり校長の力量というのも問われるわけですけれども、総じて私どもは、この制度を完成形に向けてやっていきたいと考えております。
 この職として位置づけたほうがいいというのは、まさにおっしゃられるとおりで、私どもが今、主幹にやってもらっている、例えば教務主任だとか生活指導主任、それを主幹にしているわけですけれども、ご案内のとおり必修漏れだとかいうことになると、これは教務の経験が相当ある者でないと、時間割だとか見てもわからないんですね。だからそういう意味では専門的な分野の教員を育てたい。
 それから、いじめがまた大変なことになっておりますけれども、これも生活指導主任、主幹を中心にして、学校が組織的に動かないと、どうにもおさまらない。以前は主任という制度のもとで、手当をもらってやるということなんですけれども、これは実態としてたらい回しで、主任が順繰りにやっているということで、どうしても無責任になるし、そんなに専門性を身につけようとも思わない。当番で回ってきたからしようがないと。こういうことで、私どもとすれば、やっぱり主任制度の形骸化された制度を何とか職として位置づけたいということで、主幹制度をとったわけであります。
 ただ、このワーキングでこれを決めたとしても、現実に給与体系をつくるのは、各都道府県のように人事委員会ですので、多分、国庫負担金の積算上、各都道府県が主幹制度をもし取り入れれば、国庫負担上認めるよということになろうかと思いますので、先ほど委員からご発言があったように、極端なことを言えば、やりたい都道府県はやればいいですし、その場合は国庫が来ると、実態としてそんなものは要らない、うまくいっているよというところは、その制度を取り入れなければ、その分国庫が減りますというふうには考えております。
 それから、ちょっと私は途中で退席させていただきますので、本題とはちょっと関係ないんですけれども、以前から気になっておりますのは、部活手当なんですけれども、部活手当は特勤扱いになっておりますけれども、特勤手当というのは、総務省からどんどん削れという指示が逆に出ております。部活手当、本来の特勤は根っこがあって、特別に不快だとか何とかだから、手当を出しますよということなんですけれども、教員の場合は超勤という考えがもともとありませんし、そういう意味では、一般的な公務員の特勤とはちょっと違うんじゃないのかなと考えておりますので、特勤は別枠でぜひ確保し、増額する方向でご検討いただきたいと考えています。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 それから細川委員、どうぞ。

【細川委員】
 私もかねてから、大変危惧をしておりましたのが、メリハリをつけるということと結びつけて主幹制を置くということは無理があるのではないかと思っておりました。主幹という職を置いても、その主幹にある人たちのメリハリもつけなければならないということだと思いますので、やはり教員個人の評価、あるいは学校全体の評価の中で、メリハリということを考えていかなければならないのではないかと考えております。
 それはやはり、何のためにメリハリをつけなければならないかといえば、優秀な人材を集めたいからであって、それはなぜかといえば、それは子供たちに良質の教育環境を与えるという、一番大事な目標があるからだと思うんです。そのために教員の方たちにどんなインセンティブがあるのか、やった人たちと全く怠けている人たちと、どう差をつけるかということが出てくるんだと思うので、職を設けるということが、イコールメリハリに結びつくとは、私は全く思っておりません。
 ただ学校の組織運営の中で、今は管理職と教諭という、いわゆる鍋ぶた式の組織運営をある種、少し変形させて機動させるという意味で、間に中間管理職的な役割として、主幹なり何なりを置くという方法を考えるのは、有効なことだろうと思うので。ただ、それも例えば東京都の中においても、学校の規模には大きな差がありますから、小規模の学校に一律に小学校であれば2人必要なのか、そういうことも含めて、各自治体の判断にゆだねるべきではないかと思っております。
 それから効果についてなんですが、まだ結果というか、調査自体が出ていない。前回のワーキングの議事録を一字一句、私は丹念にもう一度読み返してみましたが、東京都のほうからの説明ではまだわからない。ただ平成15年度から導入していることが、今をもってまだわからないというのは、それも少しほんとうかなという思いがいたしておりまして、私自身も品川区の教育委員会に主幹の効果や問題点を聞いてみましたが、いまひとつよくわからない。そこはやっぱりきちんと出して、そしてそれをまた参考に考えるべきではないのかなと。出ていないわけはないと、私は思いますし、ある意味では品川でも小学校の主幹の充足率は48パーセントしかありません。ですから、そういう数字自体で少しは大方予想がつくところではないかと思っております。
 それとちょっとついでなので申し上げたいんですが、前回、人確法の堅持ということが出たと思うんですけれども、昨今のいろいろな教育にまつわる事件ですとか問題を冷静に考えてみても、今のこの状況の中で、教員の給与を優遇するという言葉は、やはり世間は納得しないのではないかと思っております。別の言い回しを含めて、やはり教員の職務の特殊性ということを全面に出し、かつその子供たちに良質な教育環境を与えるという意味で、それに応じた待遇を考えなければならないとか、そういう趣旨が伝わればいいと思うんですが、優遇と出してしまうと、その言葉が必ずひとり歩きをしてしまいますから、その点については、もう一度考える必要があるのではないかと思います。
 ワーキング自体は今回が第8回目ですので、いろいろな情報をご提供いただき、それぞれの委員の先生方もいろいろな認識を深めてこられた時期だと思いますので、ここで一度立ち返ってみて、また一からやらなければならないことについては、勇気をもってそこに踏み込んでいくということもあってもいいのかなと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございます。非常に重要なことを今、議論しているんですけれども、いかがでしょうか。この程度でよろしいでしょうか。こちらから順番に。

【金井委員】
 すみません、何回も発言して、大変恐縮でございますけれども、若干私の問題提起をもう少し補足説明させていただければと思うのですけれども、流れがこういう流れになってきてしまって、ここの場で違和感がないということ自体が危ないのではないかということをまず申し上げた。事務局のほうはおそらく内々に危機感を持っておられたのではないかと思うんですけれども、そもそもワーキングの立ち上げを給与のあり方としてしまったのが非常によくなかったといいますか、振り返ってみれば、「教職員公務員制度のあり方」と書いておけばよかった。財政論に推されていたため、そもそも最初の設定がやや狭過ぎたというのが、この問題を若干危険な方向に流してしまったということの一つの原因ではないかと思っております。
 それから公務員制度の論理は学校教育法にどういう職が位置づけられているかということとは、必ずしも直結しておりませんで、端的に言えば、例えば校長という職位を一つ設定したとしても、給料表の級は3つでも4つでも、級を分けることができるわけですね、職務の重さに違いがあれば。ですから、学校教育法あるいは施行規則というところで位置づけられているということは、明確な根拠には必ずしもならないと。
 校長の間でも職務や責任が違えば、これは明らかに別の級を設定するということは可能なわけで、例えば県警の本部長などが同じ本部長でありますけれども、たしか別の級の位置づけがされていたという、これは記憶は正確ではありませんけれども、そういうことは十分可能なので、逆に言えば主幹であっても、あるいは主任・教諭であっても、級を分けるということは職務分析さえできれば可能であるということを申し上げているのです。学校教育法の世界で位置づけられているということと、それから給与の級が分かれるということとは、若干差があると。
 逆に言えば、学校教育法でなくても、職務が違えば、当然条例に基づいて、さまざまな役職を設定して、それに基づいて分けるということは、根拠さえあれば、十分できると。ですから、私が申し上げているのは、公務員制度の論理からそういうことはできないと申し上げているのではなくて、級を分けるロジックが立っていないのではないかというか、ロジックを立てないといけないのではないかと。
 東京都が主幹制を導入されたときには、基本的にはまず教育委員会のほうがこういうものをつくりたいというのがあって、人事委員会のほうの勧告のほうが出たというのは、私も以前調査研究したことがあります。その経緯は聞いておりまして、そのときに文部科学省に対して、学校教育法上に位置づけられていないものについて、つくれるのかという内部照会をして、それは可能だというのをたしか答えたと聞いたことがあります。そういうことで可能であるということは聞いております。まず職務を分ける論理を立てないと、処遇人事だというふうに批判されるのではないかということであります。
 それから3つ目は、国庫負担金との関係なんですが、人事委員会勧告は、国庫負担金があるかないかということとは全く切り離されて勧告されています。これは東京都人事委員会で同じく調査したときにも、国庫負担金がどういうふうに積算されているかということは、給与の勧告には必ずしも影響していないというのが当時の東京都人事委員会の勧告の作成方法であったということであります。
 ただ、その当時は、いわゆる教特法の国公準拠の時代での調査だったので、今はちょっとどういうふうに影響しているのは定かではない。もう一つ、総額裁量制になったということで、国庫負担金がどうなるのかということが必ずしも人事委員会勧告に影響しているかどうかというのは、おそらくこれは関与していないでしょう。財務局主計部のほうでも、歳出予算、つまり給与の歳出予算を積算するときには、国庫負担金は実は計算していないというのが多くの都道府県の予算作成の方法なので、実は給与国庫負担があるということは、必ずしも給与の水準や量を決めるときに、実際の自治体、都道府県レベルの予算部局の運営では関係ないと。少なくとも現行では関係がないと、私が調査した限りでは。当然文部科学省の方にはいろいろ違うのではないかというご意見があるのかもしれませんけれども、私が見た限りでは、そこは必ずしも影響していないと。
 当時、影響していたのは、教特法の国公準拠のほうで、教2、教3がばっちり決まっているということが大きく影響していたということで、それが現状では切れましたけれども、とりあえず経年的に今まで残っているので、経路依存性といいますけれども、これまでの制度が残っているということで、それほど大きくずれていないということではないかと思います。若干、異分野な人間なもので、情報提供をさせていただければと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。大変ご参考になります。
 森委員、どうぞ。

【森委員】
 今の金井先生のことは、私は市長ですので、非常に身につまされるところがございまして、つまり職務の内容がはっきりして、その責任がはっきりしていないと、給与に差をつけるというのは大変難しいことです。同じ役職で、同じ責任を持っている人間の能力を評価して、能力の評価はできますが、その評価した結果で給料に差をつけるというのは現実には多分できないだろうと、私は思います。それをやりますと、嫉妬とか情実とか、そういう非常に暗い組織になると、私は思います。ですから、金井先生のおっしゃっていることは、非常に妥当なことだろうと。
 そのときに、この委員会でこれをどういうふうに解釈するかといいますと、私はきょうの資料1の論点に書いてあることに尽きるんじゃないかと思うので、これをもう一遍我々は見直すべきだと思うんですが、金井さんのおっしゃっていることは、どのような組織運営体制が望ましいのか、まず議論するということをおっしゃっているわけで、このレジュメに沿って議論すればいいような気が私はいたします。ただ資料がそれに沿っていなかったという面があるだけのことではないかという気がいたします。
 そのときに、大変大事な論点が2つ多分あると思いますのは、本来の、従来の教職員にどのような職務が要求されていたのかということをまず明らかにすることが必要だと思います。そこにまずコンセンサスがないわけですね。私が思うに、今、いろいろマスコミ等の議論というのは、ありとあらゆることが教職員の責任になりつつあると。そのことと、例えば教育学部で教えている内容が一致していないわけです。それが大問題なのであって、教職員というのはどういう責任を果たさなければならないかというのをきちんとまずしっかり把握すること。その上に立って、新しくつけ加わった役割、職、2番目に書いてあることをきちんとあぶり出す必要があるんだろうと。そうすると、論点は多分2つになって、境界ははっきりしませんが、従来型の教育力の問題と、現代に新しくつけ加わってきたいろいろな職務等を分けて考える必要があるということです。
 従来の教育力というのは、簡単に評価できるものではないので、評価基準が問題ですから、例えば評価基準をどこかの有名高校に入る数でつくっちゃえば、そういう教師ができ上がるということですから、これは大変難しいことだと思います。ただもう一つ、新しくつけ加わった仕事に対して、どういうふうに給与の面、職務の面で対応するかという、その2通りあると思うんです。
 それで、主任とか主幹というのは新しくつけ加わった部分のことを言っているんだと思うし、マスターティーチャーは従来型のところを言っている。そこのところが大体文部科学省である程度結論を創造されていて、こういう資料になったのかと、私は思うんだけれども、そこのところを我々は徹底的に議論すべきだと。
 私の考えを申し上げてみますと、従来型の教育力と、新しくつけ加わったのは境界線をはっきりしませんよ。議論が簡単なためにはっきりさせると、従来型の教育力については、細かく差をつけるのは非常に困難ですから、マスターティーチャーというのとだめ教師をどうするかという、その2つぐらいしかできないんじゃないかというのが私の意見です。それを細かく評価して、給料に差をつけることは不可能だと、私は現場で思います。これは私の意見です。
 それからもう一つ、新しくつけ加わった部分が、この主幹とか主任のことだと思うんです。これはもうそれこそ、都道府県の教育委員会にどう対応すべきかとか、文部科学省の通達にどう対応すべきかから始まって、困った親とどう対応すべきか。あるいは地域の人をどう味方につけるべきか。困った生徒にどう対応するかというようなことをやる。それは従来校長、教頭の職務だったものを主幹ということで補っていくという考え方をはっきりさせるということじゃないですか。そこは私は給与に反映させることはできると思うんです。
 結論から申し上げますと、教育力については、非常に優秀な人か、あるいは非常にだめな、極端なところに差をつけることは可能だと思います。
 もう一点、新しい職務については、金井先生のおっしゃるように職務内容をきちんと書いて、責任をはっきりさせた上で、給料に差をつけるということだと、私は思います。あまり先に進んじゃったので、申しわけないけど、この後、あまり出られそうもないので、申し上げておきます。
 以上、感想でございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。次の議題のスーパーティーチャーの問題にも触れていただきまして、ありがとうございました。かなりはっきりしてきたんですが、渡久山委員からどうぞ。

【渡久山委員】
 このワーキンググループができた際なんですけれども、ほんとうはこのタイトルとしては、教職員給与のあり方ということになっていますね。そうすると、教職員給与というのはどうあるべきかというのは根本的にいろいろ考えていいわけですね。
 だが、実際に提起されたのは、この財務省と文部科学省とで、ある程度合意を得た、結局行政と教職との賃金格差ですよね。ですから、2.76というのが出てきて、これをどう、どこで削るかという話ですよね。だからこそ、人確法があっていいのか、なかったほうがいいのかという話になってきたわけですから。
 1つには、だからもしもそうでありましたら、教諭の賃金がどうあるべきかということでやってみたらいいと思いますね。そうすると、専門性の中で、どう加味できるかどうかです。別に行政(一)表との比較だけじゃなくて、やっぱりあるべき姿というのがあってもいいと思うんです。しかし、基本的にそういう議論というのは、我々は最初から立てていないわけです。ですから、最初からそういう議論にはなっていなかったと思うんです。これが強いて言えば、この議論をすべきかどうかという問題です。これが一つあると思うんです。
 しかし、ただ財政的な問題から来て、来年度の予算の中にどう反映していくかということになってくると、必ずしも時間がないわけですね。ですから制度論まで行けるかどうかという問題があったんじゃないかなという気が一つはします。
 それからもう一つは、やっぱり今の教職員の給与や手当の実態が一つの問題になりますね。50歳、あるいはそれ以上になってくると、ずっと給与表が寝ていまして、それでは全然中高年の労働意欲がなくなる。あれじゃ、どうしようもない。それをどういう形で優遇していくのかという実態が出てくると思うんです。
 特に何かというと、行政と比べて、管理職への出現率が非常に少ないと思います。そうであれば、校長とか教頭になってやめていくという教員は少ない。そうでありましたら、教職についている公務員の場合は、一般論として、生涯賃金が果たしてどうなっているのかという問題が出てくると思うんです。そうであれば、やはりある程度の出現率等を加味して、優遇していくという必要が出てくるんじゃないかという気がするんです。そういう中から、やはり新しい職というものをつくらないとだめなのか。2つ目はそのために、また新しい給与表というのをつくっていくべきかどうかという議論になってきたと思うんです。ですから、その議論を今やっていたんじゃないかという気がいたします。
 3つ目は手当問題と、あるいは新しい具体的な職、これはまだ政府あるいは文部科学省では決めていなくても、ちゃんと各県では何らかの形でやっているわけですね。例えば主幹という形で、ある程度管理職の補佐的な仕事で、管理に携わるような形。あるいは今の困難な状況の中で、教育指導にあって、後輩を指導していけるような体制のスーパーティーチャーというか、あるいは総括教員というのかわかりませんが、そういうニーズがあるわけですね。
 それからもう一つは、今まで井上副主査も言われたんですが、省令主任が置かれたままずっと行っているわけですね。手当も増えていない。それと今の総括、あるいはスーパーティーチャー、あるいは主幹との関係ですね。先ほど中村教育長も言われたんですが、その辺をずっとほっときながら、新しい職をどんどんつくっていくという形が各県でできていて、それでいいのかどうなのか。やはりこれは文部科学省としての指導性がもっとあってもいいんじゃないかという問題も出てくるんですね。
 それからもう一つ、私が非常に気になっているのは、先ほど金井委員も言われていたけれども、今、国公準拠というのがなくなったでしょう。そうすると、何を基準にして各県では給与を決めていくのか。基本的には各都道府県で決めることになっているけれども、実態としては全人連のある程度の標準的なものが出てきて、それで決めていく。
 それから各県で決めろといったって、今、文部科学省は総額裁量制というのを決めていますけれども、このことによって、各県ちょっとずつバランスが崩れてきていますね。例えばずばり言って、5パーセント減らしているところなんかもありますから、そういうバランスが崩れていることがありますが、その辺をどういう形で教員の給料を上げていくか、それは各民賃との関係で、各都道府県で決めろと言ったら、各都道府県でばらばらに決めていいのかどうかという問題等もありますから、そういうような問題等を含めて、新しい職や新しい処遇の問題等も議論する。こういう3つの課題を持ちながらやっているんじゃないかという気がしているんです。ですから、そういう観点でもう一度、今のテーマについて議論をしたらいいんじゃないかと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。
 議論がスーパーティーチャーも入っておりますので、それも含めたご意見をどうぞひとつ、非常に重要なことを今、議論しているところなので、ご意見がありましたら、ぜひおっしゃってください。
 どうぞ、新田委員。

【新田委員】
 問題になっているところで、メリハリをつけるために新しい職をつくることも出たんですけど、私自身考えているのは、今、実際にスーパーティーチャーにしても主幹にしても、実施したり、検討中のところが多いと思うんです。この前の資料にも出ていたと思うんですが、それは実際問題、今のままではいけないからということを各自治体のほうが感じているのではないかと思うんです。そういう意味で、ここでそういうことを話し合うのは非常に私は、自分が現場の教員として考えたときに、やはりこういうことを話し合ってくれるのは、非常にありがたいことなんです。
 実際問題、自分が教職員、20年近くなるんですけれども、ほんとうの現場の職務とか、それから能力に応じた給与体系になっているかというと、やはり私はなっていないような気がするんです。22歳で新採で先生になった人と、40ぐらいの先生、当然能力も違いますし、その40の中でもほんとうに先ほどから話が出ているように、学校の中心となって後輩の指導もする。それから研究主任みたいなのがあって、学校全体の教育力を上げるために、人よりも多くの計画立案をして、それをフィードバックする担当教員もいます。
 小学校であっても、今、非常に子供たちが難しくなっていますから、生徒指導の問題とか、それから特別支援のほうもそうなんですけれども、やはり核になる人が出てきて、その人がいろいろと管理職の意向もくみながら、それから先生方との橋渡しもしながら仕事をしています。そういう意味では、もうちょっと現場の職務の実態というのを見つめ直してもらった上で、それが自然にスーパーティーチャーや主幹という考え方になるのではないかと思うんです。
 個人的な意見にはなるんですけれども、スーパーティーチャーというのはごく一部ではなくて、やはり今の現場、確かにマスコミ等にはたたかれますけれども、頑張っている先生のほうがはるかに多いはずなんです。そういう意味では、教職経験を積んで、頑張っている先生がごく一部だけが褒められるのではなくて、やはりそれだけの教員のモチベーションを上げる給与体系というものは考えていくべきではないかなと。
 なかなかうまくまとまらないんですけれども、自分自身、やっぱり教員の立場で考えると、最初、この会の初めにも言ってくれたと思うんです。教員のモチベーションを上げることが大事だと。結局、それが子供たちにより質の高い教育を与えるための一番の手段だと思うんです。そういう意味で、話し合いは進めていっていただけるとありがたいなという意見を持っております。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 吉野先生、どうぞ。

【吉野委員】
 スーパーティーチャーに関してなんですけれども、これを職種として、パーマネントにある方をそういう処遇とするか。あるいはスーパーティーチャーをしていて、いい方をグループの中から毎年、表彰のような形で何名かをその職として認めてあげると、2つ方法があるのではないかと思います。
 私はアメリカの大学に行っていましたときは、スーパーティーチャーって、まさに後者でありまして、それは毎年学生のアンケート調査と、それから論文がどうあるか。それでもランキングがちゃんと決まりまして、1冊の本が出て、クリアにもそこでだれも何も言えない。そういう形でスーパーティーチャーというのがあったと思います。ですから、基準ははっきりしなくてはいけないんですけれども、私は職種というよりは、毎年いい先生で、もちろん毎年表彰される先生もおられるかもしれません。しかし、入れかわるというようなやり方もあると思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。非常におもしろいご指摘をいただきました。ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、吉川委員。

【吉川委員】
 現在、学校の教員が学校現場で日々どういう勤務をしているのか。これは皆さんそこのところが承知されずに、論議がされているなということが大変気になります。
 きょうは当初に、今、文部科学省が実施されている、勤務の実態調査が出てくるものと思っていたんです。そういう約束でなかったかと思うんですが、そういう実際に今、学校で教員がどれだけいじめ、教育課程の未履修問題等があって、袋だたきに遭っていますから、私の高知市の教育長でございますけれども、大変頑張っている教員が大半です。一部そういうことがあった。その一部が全体かのような状況になっているわけでございますが、その学校の教員の特殊性という言葉が出たんですが、私はこの厳しさ、難儀さ、困難性と言いたいところがあるわけでございますが、そこのところを全体に皆さんで、すべては無理でしょうけれども、一定ご理解を願った上で、じゃ、この職のあり方とメリハリのある給与体系はどうするのか。教員評価をどうするのかということに話が入らないと、どうも何かここに先ほどお一人現場の先生からご意見がございましたけれども、学校の教員がいた場合に、ほんとうに自分たちのことをわかってくれて論議をしてくれているのかという意見が出てくると思うんです。
 ですから、この実態調査がどうなっているのか、今、お聞きしとうございますが、やっぱり一定、そういうベースがあって、くどい言い方になっていますが、幾分か理解していただいて議論すべきではないかと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。スーパーティーチャーのことも含めての議論をぜひお願いしたいと思います。
 そろそろ時間になっていますので、この問題についてはよろしゅうございますか。
 実は私、個人的には最近なんですけれども、経済同友会というところで、企業と学校の合同の活動をいろいろ続けてきているんですが、その委員の1人でやってきているんですが、そこでつい数日前にその会がありまして、そこで言われた、ある委員から、その人は企業の社長さんですが、非常に熱心に学校に行っておられるんですね。現場を見ての感覚で言うと、一生懸命やっている先生にとっては非常に安い給料だと。だけど、少しそうでないような人にとっては高い給料だということを言っておられまして、やっぱりメリハリというのは、そういう実態から考えると、どうしても工夫しなければいけないんだなということを痛感しました。
 確かにそういうことがあるんだろうと思いますので、今回の議論も、その議論はそういう方向でしていかないと、鍋ぶた型ではこういった非常に複雑な社会に対応するには、もう無理が来ているということなのかなと思いました。
 事実、今、吉川委員もおっしゃったように、ものすごくよくやっている先生もいるんです。それは明らかに給料のほうがずっと安いわけです。でもそうでない人もいるので、5時になると居酒屋に行ってしまうという人もいるということを聞いていますけれども、そんなような方にとっては、やっぱり給料は高過ぎているということがあるんだろうと思うんです。これは公務員制度になっていますから、そう簡単には解決できないと思うんですけれども、やはりそういうことを一般の人に感じられてしまうというのはよくないことだと思いますので、きっかけは金井先生のおっしゃったように、財政論から始まっているんですけれども、ちょうどいい機会ですから、そういう誤解を解くような、みんな先生方がやる気になって、教育に頑張れるような勧告をここで出せるといいなと感じております。
 余計なことを申し上げました。
 それでは次の議題に移らせていただきたいと思います。またこの問題については、今後の議論の中でも、何回も繰り返して議論していただければいいのかなと思っていますが……。

【本城委員】
 吉川先生がおっしゃっていた勤務実態調査はどうなったというのは……。

【尾﨑財務課長】
 申しわけございません。ちょっと先にそのご報告をすればよかったんですが、前回の会議のときに、小川副主査のほうからお話をいただいたんですが、当初の予定ではご指摘のとおり、前回ぐらいから、勤務実態調査をまとめたデータに基づいてご議論いただくということだったんですけれども、物理的にその調査のまとめが間に合わないということで、前回東京都のほうにご苦労いただきまして、主幹制その他のヒアリングをやるということで、組織論として管理面、指導面の重層化という議論を先にやっていただいているという状況でございます。
 それで前回、小川副主査のほうからお話がありましたけれども、何とか11月24日、次回の会議にはもちろんこれは毎月毎月で、五月雨でまとめていくような性格のものなんですけれども、可能な限り、議論の役に立つような整理をしていただければということで、やっていただいているということでございます。
 まだ100パーセント約束ができる状態かどうかわかりません。非常に膨大な数の集計分析をやらなければいけないということなんだろうと思いますけれども、前回伺った限りでは、次回の11月24日の会議のときには、その資料をこの場でごらんいただいて、それに基づいてご議論いただければというスケジュールでございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでよろしいでしょうか。

【吉川委員】
 仕方ない。

【田村主査】
 ちょっと渡久山先生からどうぞ。

【渡久山委員】
 先ほど提起いただきました、学校の組織運営の関係、その中であまり議論できていないのが、学校事務職員の関係なんです。ちょっと提起されましたから、ぜひとも、これはこの間答申でも出していることで、事務の共同実施、あるいは共同組織をつくって、事務長制をつくるという形で、事務職員の一定程度の待遇改善をしないと、今のままではぐあいが悪いだろうという気がしますので、これももっと具体的な検討をしていただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。そうですね。落ちていましたね。それは1つ、議論の中に入れていただくということで。
 それでは次に残っておりますテーマで、教員評価に関する論点とか、全国的な状況についての報告を、前回でしたか、前々回でしたか、お願いしてございまして、その点について、これは今泉さんからよろしくお願いします。

【今泉課長補佐】
 それでは失礼いたします。資料5と資料6を用意させていただいております。ただ、資料5のほうは今回の論点とは少しずれております。ご説明を主に申し上げたいのは資料6でございます。
 なぜ資料の5をつけたのかと申しますと、教員の職務というのは非常に各学校の規模とか、その学校にいる児童生徒の状況、またはその学校の教師の数なり、それぞれの能力に応じて、非常に同じ教師の職務であったとしても、さまざま変わってまいります。その観点で、その職務の位置づけと、その職務に関して付随に考えなければいけない部分について、簡単に頭の整理として書いたものでございます。
 そういう意味では職務というのは、なかなかどの部分まで教師がやらなければいけないのかというのが、各学校それぞれ変わってきますので、一概に定義するのが難しいものでございます。概して、定義すればこのような形になると。
 さらにその職務の位置づけの中で考えていけないのが、それが勤務時間内か外か。または職務として位置づけるか位置づけないかで、職務専念義務のこと、または職務専念義務の免除ができなければ、例えば有給休暇をとらなければいけないとか、兼業、兼職の承認が必要になるとか、または公務災害の対象となるかならないかという議論が出てまいります。
 また勤務時間外のことであれば、教職員については、正規の勤務時間の割り振りを適正に行って、原則として時間外勤務を命じないものとするというふうになっているところでございます。その前提のもとに、ただ臨時、緊急のやむを得ない必要がある場合には、超勤の4項目に限定されて、超過勤務をさせることができるという形になっております。
 つまり、意味するところはそれ以外の場合においては、この超勤4項目の変更をしない限りは、教員の自発的行為として整理せざるを得ません。そうすると、そういう自発的な行為に対して、公費支給がほんとうになじむのかどうか。または公務災害の対象となるためには、公務の遂行性と公務の起因性が必要になってまいりますが、そもそも自発的行為というふうに位置づけるとすると、公務の遂行性ということがなかなか立証しづらくなる。そうした場合には、公務災害補償の対象ともなるのがなかなか難しくなるということがあります。
 あと事件、事故が起きた場合の責任体制と賠償の問題もございます。この国賠法上、その職務に関するもの、故意または過失、さらに損害との直接な関連性、この3つの要件が国賠法の関係で出ております。その該当する場合には、国賠法の対象となるところでございます。それで、そのときにその職務として位置づけるか位置づけないかで、そのあり方が変わってきます。
 また処遇のことで言えば、平日で行われるその職務であればその給与が、休日であれば、特殊業務手当が支給されております。職務ではないものについては、もちろんこういうものの対象とはなってまいりません。
 あと勤務時間の弾力化のこともあわせて検討する必要がございます。職務として行うべきものであり、なおかつそれが普通の勤務時間内に終えることができないような状況になっているのであれば、仕組みとして超勤4項目の見直し、または1年間の変形労働時間制というものが必要かどうかということの検討が必要になってまいります。
 また週休日等に職務を割り振らなければいけないような事態が生じているのであれば、それについて現在、各都道府県の条例では前4週、後8週の振りかえ期間というのが通例でございますけれども、例えば埼玉で行っている前4週、後16週という振りかえのあり方もあり、そういう長期休業期間中への振りかえのあり方についても検討する必要があるかと思っております。
 次に資料6でございます。これが本日のこれから議論していただきたいとことの論点の部分でございます。この新しい教員評価システムの取り組み状況でございますが、ここでぜひご議論いただきたいのが、教員評価のシステムのあり方について、今後どうあるべきなのか。また処遇への反映をどういう形で行っていくのか。そこら辺についてご議論いただきたいと思っているところでございます。
 現在のこの取り組み状況でございますが、資料の一番最後のページをごらんいただけますでしょうか。この新しい教員評価システムについては、既に地方公務員法第40条に勤務評定のことが書いてございます。その勤務評定として位置づけているものが62の都道府県、指定都市の中で27ございます。地方公務員法の勤務評定と併用する形で行っているというものが33教育委員会ございます。さらにまだ新しい評価システムを実施していないというものが2教育委員会ございます。さらに、27の勤務評定として実施している教育委員会の中で、評価の結果を処遇へ反映させているものが6ございます。勤務評定と併用しているもので、新しい教員評価をもとに、その評価結果を処遇へ反映させているというものが1ございます。新しい評価システムを実施していないもので、処遇への反映については0でございます。
 さらに勤務評定として実施しているところでは、処遇への反映を検討しているところが15、併用しているところでは17ございます。それ以外のところについては、まだ処遇への反映については未定でございます。
 本制度の本格実施の予定でございます。62の都道府県指定都市の中で、平成18年度からこれを実施しているものが5、平成19年度からは6、平成20年度からは5、平成21年度からは3、それ以外の未定、もしくはバーとなっているものが48あるような状況でございます。
 簡単ではございますが、以上でお願いいたします。

【田村主査】
 ありがとうございました。いろいろな評価が今、試み始められ出したという感じでございますが、方向ははっきりしてきているという感じもいたします。このことにつきまして、まだ時間がございますので、ご意見をぜひいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

【渡久山委員】
 1つは資料5の教職員の職務の問題です。ほんとうに明確化していくということは非常に大事なことだと思います。何かというと、非常に無定量、あるいはどこまでやっていいのかどうかという、いろいろなことがございます。極端な言い方をすれば、ほんとうに子供たちに接している、教える時間をどう確保していくのか。それから生活指導についてどうしていくのかという、教職員、特に教員としての本務というものをきちっと明確にしていくという形にしていって、そうではないものについては、本務外、または雑務という形で位置づけることができたとすれば、雑務とは言わなくても、例えばそれが事務であったり、あるいは管理業務だったりすると、それはそれとして、教員以外の職種で担当するというような形も大胆に考えていっていいと思うんです。日本の学校ほど職種の少ないところはないわけです。ですから、それは大いに考えていったほうがいいと思います。
 それから、この時間の処遇の問題については、今ありましたけれども、ぜひとも11月に出る、先ほど尾﨑課長が言われた実態から踏まえて、少なくとも教職4パーセントではフォローできない部分が私は必ずあると思うんですね。ですから、それをどうするんだということで、これはぜひお願いしたいし、特殊業務手当の要するに部活動、これはほんとうに少ないですね。先ほど中村教育長も言われたんですけれども、これもどうするか。ほんとうにこれはよく言われますように、一番最低賃金よりも低いと言われている実態ですから、これが一つ。
 ただ勤務時間の弾力化の問題、実は今でもある程度ありながら、全くとれていないんです。とれていない中で、これをもっと変形労働時間もつくると、ますますとれない実態にならないかというような気がします。ですから、これは検討するにはやぶさかじゃないんだけれども、ほんとうにこれをやるまではまだ行かないかもしれませんけれども、現在の問題点をもう少し洗って、なぜ現在超勤でフォローできないのか、こういう問題を少し具体的に議論してから、この問題には触れていただければと思います。
 それから評価の問題については、やっぱりいろいろ今、言われているように、学校は非常に厳しいところに立っているわけですが、ただ財政論的な考え方で、どれくらい投資したから、どれくらい儲かったとか、あんな考え方が非常に多い議論になっていますね。学校は儲ける仕事を最初からしていないんですね。あるいは100年、あるいは200年後に儲かっているかどうかわからないけれども、そういう問題ですから、この評価の場合も、ややもすると、教員評価が管理的な側面に十分シフトしている部分が非常に多いんですね。
 しかし、よく学校がいい学校か悪い学校かといったら、よく学力をつけているかどうか、楽しい授業をやっているかどうかという、そういうように、子供たちにとってよい教員というのは、管理職から見たら、必ずしもいい教員でない場合もあり得るんです。ですから、そういうことから考えたら、この評価の考え方として、幅広く教育活動全体を含めて、その中からどういうような評価の方法、あるいはスケールをつくるほうが妥当性があるのか、これをぜひとも議論して、深めていただいて、それから考えてもらいたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 それでは本城委員。森委員、お急ぎでいらっしゃる。

【森委員】
 いえ、大丈夫です。12時までありますから。

【田村主査】
 時間がおありにならないので、よろしいですか。じゃ、本城委員からどうぞ。

【本城委員】
 評価の話でいくと、もちろん子供にとっていい教員が管理職にとってそうじゃないというご議論もあるのかもしれませんけれども、教諭という職があった場合に、やっぱりこれはやらなければいけない仕事というのが必ずあるはずです。やらなければいけない仕事をやっていなければ、低い評価でしょうし、やらなければいけない仕事をしっかりやっていれば、それなりの評価だと思いますし、それ以上に一生懸命やっていれば、メリハリのある形で評価はされるということだと思います。まずそういう教諭という職は何をしなければいけないか、最低限やらなければいけない仕事というのは何かをしっかりと明確にしていれば、評価というのは逆に言うと、それほど困難な作業ではないかと考えます。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 それでは森委員。

【森委員】
 評価システムというものは、私は日本の教育政策のところでもってほとんどカバーできるぐらい大切な問題だと思っています。というのは、だれでも何を期待されているのかというのはわからないで仕事をするなんていうのは、本来あり得ないわけで、これを確立するということが、すべての基礎になるほど大事なことだと思います。ですから、前回のヒアリングで、宮崎県の評価システムでしたか、あれを伺ったときに、実に時間をかけて現場の声をよく聞いて、下から積み上げた評価基準になっているのを見て、私はほんとうに感心しました。これはやっぱり時間をかけてきちんと積み上げて、国民的議論をしながら固めていくべきものだと思います。そこが今、あいまいだから、マスコミでいろいろな議論がなされてしまうんですね。
 簡単に言えば、テレビドラマでいろいろな教師が出てきますね。東大にいっぱい入れるのがいい教師なのか。極端なことを言えば、あるいは塾の先生がよく取り上げられますけれども、私は当たり前だと思うんですね。非常に意思がしっかりした子供たちしかいない教師は楽ですね。そういうことをもっとしっかり議論するべきことだと思うし、そのためには私は都道府県、あるいは市のレベルで、もっとこういうものを積み上げて、時間をかけて確立していくべきものだと思います。
 先ほどの議論に戻りますけれども、これがしっかりしないうちに、細かく給料に差をつけるのはやめたほうがいいというのは、私はそういう意味で言っています。
 以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。方向性について、非常に貴重なご意見をいただきました。順番、どちらから行きましょうか。先ほどから手が挙がっておられますので。

【箕浦委員】
 まず職務の位置づけのことなんですけれども、仕事をやっている上で、自発的行為という部分で行っている部分が職として位置づけられないという部分は仕事である以上、考えられないと思います。したがって、その位置づけの中で、部活動の部分もそういう位置づけになっているかと思いますが、ですから、そこの部分はやはりきちんと位置づけていく必要はあるんだろうなと。ただ法的な部分で超勤4項目というところに入れるものなのかどうかというところは、ご議論とか専門的なお話を伺わなければちょっとわからないかなというところがございます。
 結局、そこは時間外の問題になってくると思うんですけれども、民間であれば時間外が発生する部分をどう少なくしていくか。その反映の仕方をする上で、年間の変形労働をうまく使うということは非常に有効なことではないかと思います。生徒がいないとき、多分、夏休み、冬休みが仕事がないということではないと思うんですけれども、やはり実際にお預かりする生徒がいる部分でやらなければいけない仕事というのは絶対的に多いというのは感覚的には思いますので、そのあたり、長期のお休みの部分をうまく使って、あるいは仕事によっては休み、部活動の担当をやっていらっしゃるのであれば、その部分でも繁閑が少し違うのかもしれませんが、そういったものをうまく組み合わせた変形労働をやるということが必要じゃないかと思います。変形労働も1日の労働時間を変えるということもあるかもしれませんが、基本はお休みを休める、休めないということは労働の上では非常に大切な部分だと思いますから、そういった単純シフトの部分で、まずできることがあれば、やってみることは大切じゃないかと思います。
 それからあと評価の部分、これは皆さんがおっしゃっている意見と同様なんですが、やはり宮崎県のを見せていただいても思ったのは、先生像、教師像というものを非常にきちんと皆さんで議論してつくられていると。そういったものが評価等にきちんと反映されて、よりいい先生をつくっていくと。こういう先生を目指せばいいんだということが、教員の皆さんそれぞれ、それを見ればイメージがわくということは非常に大切で、そのことが単に評価をするというだけではなくて、能力をご自分たちが自主的につけていく道しるべにもなると思いますので、これを一から議論していくというよりは、非常にいいそういう参考事例もありますから、そういったものをもとにして、なるべく早く評価がきちんと処遇に反映できるというものをつくっていただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。では、吉川委員。

【吉川委員】
 この昇給、評価結果の処遇への反映にかかわってでございますけれども、ここの39ページに高知がございますが、ほとんど回答していないようで、補足をこの場でしておかなければなりませんが、高知県の場合、今、もめにもめ込んでおります。この昇給査定、査定項目をどうしていくのかということで、県教委は平成19年度から実施したい。私もその委員の1人、そうはさせじと、合意形成できておりませんので、とにかく十分にあるべき教師像をきちっと押さえて、この評価項目をしっかりさせて、それをもう一度学校現場に返して、現場の意見を聞いて、修正をかけて、またその検討委員会で検討をして、また現場に返すと。その繰り返しを重ねていく中で、合意形成ができると。客観妥当性のあり、公平性のある評価項目ができるということで、かなりしつこく県教委には迫りながら、先送りを意図的にさせているつもりはないですけれども。
 ただ民間の会社で売上がどうだとか、こうだとかいうようなことで、教職員に査定できませんので、結局私が思いますのは、教員の資質は信念として持っておりますのは、子供にどれだけ愛情を注いだ実践が、日々の取り組みができるか、愛情を持てるか、大切にできるか、この1点にかかっていると思うんです。その思いの強さによって、結局その後に知識、技能というものは自然にくっついてくるものですから。
 子供に愛情を持てない、子供を大切にできない教員は、まさに教壇を去れです。それは子供にとって不幸なことですから。そこを中心に、先ほど出ていたんですが、教諭なら教諭として、こういう仕事が最低限必要。こういうことをしていれば、ここは評価できるという、評価点検項目をきちっとすることだと思うんです。
 そのためには、決して事を急いではならない。全国的に見ても、どうも教員について評価結果の処遇への反映状況をずっと見てみましても、管理職を反映しているというのは管理職のみのようでございまして、全国的に教諭にこれをかけていないと。これは学校教育で、これまでにない大きな変革であるわけですから、ここは時間に時間をかけていきませんと、下手すれば、先ほど長岡市長がおっしゃられた、しっとそのものの世界ですから。
 どうしても学校の教員はどちらかというとお金のために仕事をしていない傾向の方が多いと私は思うんですけれども、やっぱり同僚教員で、勤務の評価によって給与に差がつき始めると、結局職場の風通しが悪くなる。やる気をそいでいくということになるわけですから、このワーキングのグループの中でどうこう言えないでしょうけれども、基本的には時間をかけて、非評価者、評価をされる側の意見を可能な限り十分に聞いて、走らせていくべきである。一たん走り始めても、また現場の意見を聞いて、再修正、再々修正をかけていく中で、一定安定した方向に行くのではないかと思っております。
 高知県のほうも今、かなり真剣に検討しておりますが、いまだ、まだ合意形成がなされていないという状況でございます。以上。

【田村主査】
 ありがとうございます。
 では本城先生、それから細川先生という順序でどうぞ。

【本城委員】
 皆さんおっしゃるように、どういった視点で評価するかというところに関することにの合意形成については非常に時間をかけるべきだと考えます。例えば校長が評価をして、処遇に差が出るというふうになったときに、職場の雰囲気が悪くなるかというと、悪くなる場合もたしかにあると思います。それはなぜかというと、優秀な人にそれなりの評価をしていない、もしくは全く仕事をしていない人にいい評価をして、他の教員がおかしいと感じる場合は、当然雰囲気は悪くなると思います。雰囲気が悪くなるとどうなるかというと、私はこの学校を去りたい、ほかの学校に行きたいだとか、もしくは意欲がなくなって、しっかりとした仕事がしてもらえるような職員が減るということになると思うんですね。当然、しっかりと評価をすればその逆のことが起こります。
 だからこそ評価者に対する、どういう視点で、いかに評価するかということもちゃんと研修というか、指導していかないと。もしかそういった評価ができない人でなければ、管理職にはなれないということも、評価制度を導入し、それを処遇に反映させるということであれば、非常に大事なポイントだと思います。
 一般の企業であれば、しっかり評価をしていかないと簡単に転職されてしまいます。何で、おれはこれほど成果を上げているのに評価されないんだと。もしくは何であいつはあんなにさぼっているのにおれと同じ給料なんだ、となったときは、すごく反発を食らいます。マネージャーというのはそれで針のむしろになるということは重々わかっていますから、真剣に評価をしていると思います。そういったことが学校現場でも必要になってくる。
 それがあれば、どの人をモデルにして自分は仕事をしたらいいのか、子供に向き合ったらいいのかということが明確になっていきますし、これはしてはいけないとか、ああなっちゃいけないということも逆に明確になりますから、どういった教師像が望まれているのかということを時間をかけて議論する。だけれども、評価するときには、それが決まっていれば、評価自体はそれほど難しくはないと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ細川先生。

【細川委員】
 ちょっと私自身の考えがいま一つまだまとまっていない段階での発言なんですけれども、評価を処遇に反映していくというのは、一般論からすれば、ある種当たり前のことというか、それはやはり何らかのメジャーが必要ですから、自分自身の能力を向上させるためにも、それから組織全体の機動力を上げるためにも、私は必要な評価制度だろうと思っております。
 それがやはり組織によって、評価の項目であるとか、その内容は違って当然だと思いますが、何かはかる基準がなければ、何をもってちゃんとやっているのか、何をもってだめなのかということもわからないのではないかと思っているんですけれども、そのときに評価を仮にやったとして、当然、最下位の部類に入る方たちというのをどういうふうに使っていくかということも考えておかなければならないのではないかと思います。
 異動というのか、例えば東京都であれば、大体3年から6年の間に先生たちがちょこちょこと異動するんですけれども、異動のたびに区を変えて、違う学校に赴任していく人というのは、明らかにやはり能力が足りないというのに尽きてしまうんですが、ただ今、そういう方たちもどこかに当てはめなければならない。本来ならばほとんど、例えば50を過ぎて、5つも6つも回った先生方は教員としての資質に欠けていると言ってもいい方たちだと思うんですが、今、どこかに当てはめなければならないということで、評価をやれば、そういうものが異動の履歴だけではなく、はっきりしてくると思うんですけれども、そういう人たちを公務員という立場上、なかなかそこをやめさせるというわけにもいかず、非常に現場としては苦労している点になってくるので、評価を厳密にやっていくと、そういうものがもっと明らかになってくると思いますので、そこをただ単に手当の差だけで考えていいのかというところがひとつ懸念をしているところです。
 それと、この処遇への反映で、実際東京都などは手当の成績率で書いているんじゃないかと思うんですが、実際に今反映しているところがどういう形で、どれぐらいの差がついているのかというところを知りたいなと思っております。
 それから教員一人一人の資質向上がまずあり、そして学校という組織の能力というか、期待されている役割にきちんと対応していくという能力が上がっていくということに結びついていくんだろうと思うんですが、品川のように学校選択制をしておりまして、各学校が特色を出して学校運営をやっていると、それぞれの学校の目標というのが当然違ってきてしまうんですね。
 そういう点から考えると、品川では校長先生のヒアリングをやって、各学校に予算措置をとっていますが、学校の評価をすることによって、その学校が掲げている目標に対しての達成度とかそういうことについて、そこにメリハリをつけて、そこに所属する教員に何らかの優遇ですとか、そういうものができないかということも、私個人は考えているんですが、その教員一人一人の評価と、それから学校の評価というのが合わせてできないものかなというのが、ちょっとまとまってはいないんですが、私自身の今現在の考えでございます。

【田村主査】
 ありがとうございます。評価は教員だけではなくということですね。
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 これは具体的に宮崎の評価を見せていただいているんですけれども、例えば授業実践力ということについて、児童生徒の実態に応じて学習目標を十分に達成させているかといったら、ABCで分けるわけですね。これは教員そのものが何をやったかという話なんだけれども、実際は、私は教育現場というのは、極めて実践をしている環境条件が非常に影響すると思うんです。だからそういうことがこれにはほとんどないんですよ。そうすると外的条件をある程度規定しておかないと、評価できない。そうでないと、非常に不公平になる可能性がありますね。ということも一つ考えられると思うんです。
 ですから、これはクラスサイズの問題もありますし、またこんなことを言っていいかどうかわからないけれども、非常に質のいい子供たちが集まっているところと、そうでない学級ではまた違ってきますね。そうなってくるから、そういう外的条件まで含めた形で、ある程度考えられるのかどうなのか。宮崎の場合もそういうものはほとんどこれには出てこないんですけれども、こういうのをどうするか。
 それと同時にもう一つは、ねらいに沿ってわかったかという、ねらいというのが教育目標ですよね。これは最近の未履修の問題、ねらいは何なのか、全くないんでしょう。だからあれが出てくるわけですね。だからねらいはどうなのかというんだけれども、ねらいはだれがどこで、どう決めたのか。そういうことできちっと合意をしないままに、ねらいはどうというのは、自分は知らない。自分のつもりはそんなねらいはないと思っているのに、そのねらいを達成したかというのも、またそれもちょっとおかしいもので、やっぱりそこにはきちっとした教職員の合意を得た学校の目標、ねらいはこうだというものもないといけないと思うんです。
 ですから、学習指導要領の問題等含めて、そういうねらいから、あるいは方法論から、あるいは結果論、それから条件というようなものも、総合的な条件というのを見ていないといけないというような部分があるんじゃないかという気がします。

【田村主査】
 ありがとうございます。慎重にということで、先生方だけはぜひという、十分に反映させろというお考え、そのとおりだと思いますが、きょうは実は発言されておられない、川田先生、もうそろそろ時間でございますので、よろしくお願いします。

【川田委員】
 1つは、教員の職務についてにかかわることですが、これはおそらくこの議論の中では超過勤務の扱いなんかに、後々かかわってくるんじゃないかと思いますので、その点に関して、議論を先取りする形になるんですが、労働法的な観点から、この超勤の問題を考えていくときに、労働期間の長さを規制するという問題と、割増賃金に対する規制をするという問題は、実は分けて考える必要がある。そういうことを意識して、今後議論を進めていく必要があるんじゃないか。
 民間部門でも、あるいは公務員でも両方が実際上一体に近いような形になっているので、しばしばごっちゃにして議論されやすいんですが、制度論を考える際には、これは分けて考える必要がある。要するに時間外勤務に対して手当が払われるべきかどうかという問題とは別に、簡単にというか、わかりやすく言うと、健康を害するような長時間の労働というのは、時間外勤務に対しては手当が払われるか払われないかとは別に規制されなければいけないということです。
 そういう観点から見ると、現行の教員の時間外勤務制度というのは、わりあい手当のほうに重点が行ってしまっていて、民間企業の労働法的な考え方でいくと、労働基準法の労働時間に該当して、一定の規制の対象になるような時間が、この教員の制度のもとではそもそも超過勤務として扱われないというケースが結構あるのではないか。詳しい話はおそらく実態調査なんかを踏まえてしていく必要があるとは思います。特に長時間勤務のような実態が仮にあるとすると、手当の問題とは別に時間の長さを規制するということも考えていかなければいけないということを意識する必要があるということです。
 あと評価のほうについても、そもそも評価の制度のあり方を考える場合に、その評価によって具体的に何をやろうとするのかということをある程度明らかにしておく必要があるんじゃないかということです。ちょっとこの今回の資料6からだと、それがよくわからなかったんですが、要するに極端にだめというか、能力的に問題がある人と、極端に優秀な人だけをピックアップする制度と、もっと細かく差をつける制度というのはもちろん違ってくるだろうし、その辺そもそも何をやろうとするのかということをある程度明確化して議論する必要があるのではないかということです。
 ただ、それとは別にある程度共通に評価制度が備えておくべきことというのも多分あると思いまして、それは既に議論の中で出てきますが、その評価される人が具体的に何をやればいいのかということが明らかになるという制度である必要があるということ。これはどんな評価制度でも大事であろうと思います。
 そういう点から見ると、あまり細かく評価しようという制度でない、ある程度教員にとって一般的に重要と思われる資質を評価するような制度であれば、これは感想ですけれども、これも議論の中で出ていましたが、ある程度これも民間企業で労働者を評価する場合と比べると、評価の基準というのは教員の場合には客観性とか定型性というのは相対的に高い。そういう意味では制度をつくれば、うまく機能するような制度はつくれるのではないかと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございました。

【本城委員】
 実際に評価を受けられているという立場で新田先生の意見を伺いたいと思います。

【田村主査】
 じゃ、新田先生、どうぞ。千葉県ですね。

【新田委員】
 香川です。突然言われたので、今、動揺しているんですけれども、評価については、また意見を言いたかったところなので、それもあわせてお話しさせていただきたいんですけれども、結局、先ほどのメリハリのある給与のところで、教員仲間で、そういう給与体系について話し合うんですが、必ず出るのは、じゃ、だれが評価するのかと。正当に評価をしてくれるのかということを必ずどの先生方も言います。
 それを恐れていたら、結局そういうメリハリのある給与はできないんですが、先ほど意見も出たんですけれども、宮崎県なんかの例を見ると、一たん教育委員会がつくった評価シートの上に、全部の教職員の意見を聞いて、また訂正していくと。そういう意味では、先ほどから出ているように、慎重にそういう評価ができているのかなとは思います。
 自分が評価される立場のほうなんですけれども、香川県の場合でしたら、第一評価者、第二評価者ということで、教頭、校長というのが評価シートに基づいて評価をしていくシステムになっております。どう評価されたかは、直接は当然見せていただけないんですけれども、個人面談がありまして、この先生のあなたが持っているこういう目標に対して、この行動はどうであるというような評価は、面談的な形で今、受けています。
 時間的な問題もあって、私も十分ではないと思うんですが、やはり先生も人の子ですから、ここはよく頑張ったねと褒められると非常にうれしくて、次の年もより頑張って研修しようという気になっております。そういう意味では、ただ給与をもらうためだけの評価じゃなくて、やはり教員のモチベーションであるとか、今後の研修に対する意欲の面での評価というのは絶対大事ではないかと思います。
 あとせっかくマイクを持ったので、もう一つ言わせていただきたいんですが、先ほど教員に給与の差をつけるという問題があったと思うんです。絶対それも心配事ではあるんですが、でもきちっとした評価システムができれば、それは納得のできるものではないかと。それからごく一部の人だけが優遇措置を受けるのではなくて、やはりきちっとした仕事をやっている人間に関しては、割合がどれぐらいとは言えないんですけれども、そういうふうにしていけば、教員の雰囲気が悪くなることはないのではないかと。
 実際、私たちが見ていても、この先生がこれだけやっているということは教諭仲間でも十分わかっていますし、主任等になれば実際問題、私が8時から5時の間で、これは生の勤務実態調査なんですけれども、子供たちは3時半まで授業があります。それから30分ぐらいは帰りの会等で、子供たちにあしたの予定とかを言います。4時から4時半ぐらいの時間はやはり外で遊んでいる子は遊んでいるんですけれども、どうしてもその時間内ではついていけなかった子供たちに個別指導もします。それが終わったら、4時半です。4時半から5時までの30分で果たして何ができるかというと、やはりあしたの授業の用意もあります。先生方の中で計画立案しなければいけないこともあります。それはこの中に出ているような超勤4項目に絶対に当てはまらない、それこそ自主的な活動なんです。でも、その自主的な活動がなければ、次の日の授業もできなければ、先生方と一緒に学校でスクラムを組んで、よりいい学校にすることもできません。そういう勤務実態もあるということも現場の声として言わせていただけたらと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。よく実態もお話しをいただいたので、何となくおわかりいただけたと思いますけれども、そろそろ時間ですが、最後に金井先生、どうぞおまとめも含めて。

【金井委員】
 幾つか教えていただきたいのは、この資料6でいきますと、地公法40条に基づいて、勤務評定を行っている場合と、そうでない場合があって、地教行法46条ですと、要は教員における勤務評定の特殊性というのは、だれがやるかということについては、特殊性は書いてあるんですけれども、どうやるかについては、特殊性は特に書いていないというのが、制度上非常に興味深いなと思ったので、それはなぜかなのか。
 これは任命権者、評価権者、評定権者の非常に大きな裁量にゆだねられているという趣旨で、あえて法律的に書き込んでいないのか。それとも評定の主体は違うけれども、やることは同じなんだと。だから査定昇給というのを地公法一般のほうでやるんだとなれば、それはそのままストレートに教員のほうに反映すべきなんだという立法趣旨なのか、そこら辺の制度の仕分けはどうなのでしょうか。つまり地教行法における勤務評定は単にやる主体が違う。要は任命権者ではなくて、任命権者の権限のもとに市町村教委がやると、だれがやるかだけの違いで、中身は違わないという趣旨なのかというのが、第1点目。これはちょっと後で教えていただければと思います。場合によっては法改正が必要になるかもしれません。もし勤務評定に特殊な要因があれば何なのかなという印象を持ったというのが1つ目の感想です。
 それから2つ目の感想は、これまた先ほどの議論と絡むんですけれども、メリハリをつけるというねらいのもとに始まってしまうと、またこの評価制度というのは、さっきの議論と似たような形で危ない形になり得るということが大変多い。大体ギアが逆にかかってきてしまうわけですね。いい評価をつくってメリハリをつけようとしたつもりなのが、給与に反映されるということがわかるや否や、給与配分のほうから納得できるような評価になっていく。つまり給与の配分を先に決めた上で、納得できるような評価にせざるを得ないと。
 結果的には、かつての勤務評定は、そういうふうになっていったということがあると思いますので、おそらく個人的には将来的に非常に納得できる評価であればともかくとして、制度も非常に脆弱な時期に給与に反映させていくというのは、評価制度としては極めて危ない。評価制度自体を逆の方向に軸を回転させる危険があるからです。これは個人の人事評価のほうもそうですし、行政評価一般もそうなわけでありますが、いい評価が出ると予算がつくという話になれば、だれでもいい評価にしていくということにならざるを得ないので、虚心坦懐の評価ができなくなっていくということがあるので、若干そこだけは慎重にやる必要があるのかなというのが、2番目のコメントです。
 それから3番目はあまり議論されないかもしれないんですが、勤務評定や評価がただ評価であればよいのですけれども、これが勤務条件といいますか、給与に反映してくるとなると、若干公務員法制上微妙な問題が出てきて、簡単に言えば、勤務条件事項になるかどうかという、ちょっとややこしい話があります。現状では必ずしも直結していないので、人事院、人事委員会が必ずしもあまり口出さなくてもよいということになっている。
 逆に言えば、だからこそ給与に反映しないから、形骸化しているという面もあって、ある意味で任用上の任命権者の裁量権の範囲内だと、管理運営事項的な位置づけが可能だったと思うん出すけれども、若干、もし給与に反映させるということが入ってくると、これは労使関係上といいますか、公務員の基本権制限の問題で、ひょっとするとややこしい話が発生しかねないかなと。
 特に大多数の市町村は人事委員会がありませんので、つまり評価制度の主体に対して交渉ができない状態になり得ると。都道府県人事委員会が勤務条件について代償措置をとるというのが法制上の建前になっているわけでありますけれども、都道府県人事委員会ができるのは計画に対する代償だけということになると、若干現状の公務員法制度の根本にかかわるところで、やや議論がどんどん広がりかねないというのがちょっと懸念としてあるかなと思っております。それが感想でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。非常に重い感想をいただきまして。事務局のほうでひとつよろしくご処理をいただくように。
 非常に重要なことを最後にご指摘いただきましたが……。

【今泉課長補佐】
 金井先生から3点出て、そのうち1点目のことについてお答えいただきたいというお話がございましたので。

【田村主査】
 どうぞ、お願いします。

【今泉課長補佐】
 もう既に金井先生がおっしゃったとおりのことなのでございます。地方公務員法の40条で任命権者が職員の執務について定期的に勤務成績の評定を行い、その評定の結果に応じた措置を講じなければならないとなっているところでございます。その地教行法の46条で書いてあるのは、県費負担教職員については、任命権者が都道府県でございますけれども、ただこの46条の趣旨はそうであるにもかかわらず、市町村教育は都道府県の計画のもとにこれを行うという形で、結局地公法の任命権者が勤務評定を行うという部分を任命権者でない市町村教育委員会がこれを行うという形にしているものでございますので、先生がおっしゃったとおり、評定者が違うというだけの規定でございます。
 さらにこの勤務評定の教員の職務の特殊性に応じた評価のあり方がどうかというところで検討しなければならないというのは、おっしゃるとおりでございまして、そこは今後検討するべきことだと考えているところでございます。

【金井委員】
 法的には「だれが」は書いてあるけれども、「どのように」が書いていないわけなんですね。

【今泉課長補佐】
 おっしゃるとおりです。そのとおりです。

【金井委員】
 「どのように」が書いていない場合は、反対解釈として同じやり方でやるべきという意味なのか、それとも当然違うという意味なのか、それともどっちでもいいということなのかというのは、法制度上、どうなんですか。

【今泉課長補佐】
 そこら辺、現在はあいまいになっております。

【井上副主査】
 私も県で勤務評定にかかわった者として申し上げますと、実際には教員の職務は一般公務員とはやはりその専門性や職務の特殊性から違うわけで、評定項目は公務員とは違っているわけです。それは教育委員会側が評定項目を定めて、それに基づいて、学校で校長なり教頭が一般教員の評定をするというシステムだと思うんです。だからそういう意味では必ずしも地公法ストレートではなくて、地教行法とか、そこに委任された規定に基づいた教員の職務の専門性や特殊性に基づく評定をしてきていると理解しているんですが、その辺の実態も、必要があれば調べて報告してもらえばいいと思います。

【田村主査】
 それでは、その点につきましては、ぜひひとつ調べておいていただきたいということ。同じようじゃなきゃだめだということになってしまうと、議論が全然広がっていかなくなりますので。
 それでは大変さまざまなご意見をいただきましたが、時間の関係上、一応ここで打ち切りたいと思いますが、今後教員評価につきましては引き続きご検討いただく機会があると思いますし、ちょっと答えが出てきていないという気がしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、本日の審議はこれまでとしたいと思います。今後の日程等について最後に事務局からご説明をお願いしたいと思います。

【渡辺専門官】
 資料7をごらんいただけますでしょうか。次回以降の開催予定でございます。第9回のワーキンググループにつきましては、11月24日の金曜日の15時から17時まで、芝浦のキャンパス・イノベーションセンターの1階で開催させていただきます。次、第10回、それから第11回を2回まとめて、12月11日の月曜日に、13時から17時まで、KKRホテル東京の11階で開催させていただく予定でございます。さらに第12回のワーキンググループにつきましては、12月26日火曜日の13時から15時で学術総合センターの2回で開催の予定となってございます。
 なお、本日はこの後昼食を用意してございますので、閉会後、お持ちいたしますので、お願いいたします。

【本城委員】
 次回、確実に勤務実態調査の結果は出ますよね。100パーセントじゃなくても。「出すつもり」ではなくて、絶対に出してください。2回遅れているということですから。

【尾﨑財務課長】
 私が作業しているわけではないので、今、100パーセントお答えできないんですが……。

【本城委員】
 いや、出させてください。

【尾﨑財務課長】
 議題でその予定にしております。実態調査をもとに議論していただくと。

【本城委員】
 いや、出させるんですよ。途中段階でもいいから、出すということが大事なので。

【尾﨑財務課長】
 そうですね。100パーセント努力いたします。

【田村主査】
 それでは一応、本日はこれで閉会といたします。次回以降、会場が変わりますので、お間違えのないようにひとつ、前回も井上副主査からそういうふうにお伝えしておいたほうがいいということで、確かにそうなので会場が変わりますので、ちょっとお気をつけいただいて、ぜひご参加、ご意見をいただきたいと思います。大分、大事なところに、山場に差しかかってきていますので、ぜひご参加をいただき、ご意見をいただきたいと思っております。
 本日はどうもありがとうございました。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局財務課