教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第4回)・教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第5回)合同会議 議事録

1.日時

平成18年9月13日(水曜日) 10時~12時 13時~16時30分

2.場所

学術総合センター 1階 特別会議室

3.議題

  1. ヒアリング・質疑応答
  2. その他

4.議事録

【田村主査】
 おはようございます。おくれてお見えになる委員の方も何人かいらっしゃいますが、定刻となりましたので、ただいまから第4回・第5回の中央教育審議会初等中等教育分科会教職員の給与の在り方に関するワーキンググループを開催いたします。
 それでは本日の議事に入りますが、本日の議題は前回に引き続き、関係団体ヒアリングということでございます。地方公共団体、教育関係団体、総務省、財務省の皆様から、教職員給与のあり方についてのご意見を伺いたいと思っております。
 お手元にございます資料1にありますとおり、本日は12人の皆様からのヒアリングを予定しております。皆様におかれましては、大変ご多忙のところ、長丁場で恐縮でございますが、よろしくご協力のほどをお願い申し上げます。
 ご出席に御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 本日の進め方としましては、1人に対して25分ずつの時間を設けさせていただいております。最初、25分の中で10分、ご意見を発表していただき、その後の15分で、それに対する質疑がありましたら各委員からお願い申し上げたいと思います。意見をご発表される皆様におかれましては、時間の都合もございますので、時間内での意見発表にご協力くださいますようお願い申し上げたいと思います。
 では早速、皆様からのご意見を伺ってまいりたいと思います。
 最初に、総務省自治行政局公務員部給与能率推進室 稲山室長様からご意見を発表いただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

【総務省】
 総務省の公務員部の稲山でございます。おはようございます。
 総務省の公務員部で地方公務員全体の給与・定員などを担当いたしております。事務局からは、地方公務員で今進んでおります給与構造改革の取り組みなどを中心としてご紹介なりご意見をということでございました。お手元の資料2で、若干説明も加えながら申し述べさせていただきたいと存じます。
 ご案内のとおり、一口に地方公務員と申しましても、一般行政あるいは教育、警察、公営企業、あるいは福祉職でありますとか技能労務職ですとか、担当します行政分野なり職種も多様でございますが、今日は一般行政職を中心とした、総体としての地方公務員給与につきまして、現在どのようなことが課題となっていて、今後どのような方向で取り組みが進められようとしているのか、大まかなポイントに絞りましてご説明をさせていただきながら、若干の意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
 と申しますのも、ご審議がなされております教職員給与のあり方に関しましては、もとより教育という観点から、特有の考慮なり検討が何より必要であると私自身は考えているところでございますが、あわせて、広く地方公務員全体としてどのような動向があるのか、そういったことを踏まえた幅広い観点からのご審議をいただくという視点も必要ではないかと思いますので、そういうことでご説明をさせていただきたいと思います。
 資料の1ページでございます。ここ数年来、公務員給与、とりわけ地方公務員給与に対しまして、国民・住民の皆さんから大変厳しい視線が投げかけられていることはご承知のとおりでございます。また、財務省あるいは財界からも、人件費あるいは地方財政制度を含めて様々なご指摘がなされてきたところでございます。
 ということで、ここに掲げさせていただいておりますのは、総務省公務員部といたしまして、こういった状況を踏まえ、あるいは経済財政諮問会議ですとか今般の歳出改革における議論など、さまざまな機会に、今後こういう改革をやっていくんだといったことを示しているものでございます。
 ここにありますように、今後、3つの柱で地方公務員給与に関する取り組みを進めるということでございます。1つは給与構造の見直し。それから地域民間給与の適切な反映。それから、いろいろ不適正な問題もございますので、情報開示の徹底による適正化の推進。こういった3つを柱として取り組みを進めることをご説明し、理解を求めているところでございます。
 2ページ、まず給与構造の見直しでございます。ご案内のとおり、国・地方を通じまして、公務員給与につきましては年功的な給与構造を抑制するということ。そして、より職務・職責、勤務実績に応じた適切な給与を確保すること。こういったことが非常に重要な課題となっています。さらにもう1つには、最近、非常に地域の民間賃金の動向が変貌しておりますので、地域民間給与の状況をより適切に反映する。こういった2つのことが大きな課題となってきたわけでございます。
 こうしたことから、ご承知いただいていると思いますが、昨年の人事院勧告で給与構造の改革が勧告されまして、地方におきましても、ここにあるように、これを踏まえた給与構造の見直しを推進しているところでございます。
 本俸の水準を下げて、民間企業が高いところは地域手当を積んでいくといったもの、あるいは職務・職責等をよく反映した査定・昇給をやっていくということでございます。
 現状としては、46の都道府県、8割を超える市区町村で、ことしの4月から、この構造見直しが実施されているという状況にございます。これは教育職を含めましてすべての地方公務員にかかるものでございますが、給与水準という面から見た場合には、この4月から5年間で一定の現給保障措置を講じながら、平均で約5パーセント程度、給与水準の自主的な引き下げとなる団体が大半でございます。地域手当が支給されるごく一部の団体を除きまして、地方団体にとりましては極めて厳しい内容となっているものでございます。
 したがいまして、第1にご留意いただきたいことでございますが、まさに地方公務員の給与におきましては、このような大変大きな改革が全体として進行しているということでございます。
 それから第2に、この地方公務員給与に対しまして、民間賃金との関係ということで、水準面における地域差といったことに昨今ひときわ大きな注目が集まっております。ただ、私自身は、むしろ構造面による職務差をより強めていく、すなわち職員が果たしております職務の困難さ、あるいは責任の重さ、勤務実績などをより適切に反映した給与制度に転換していく、こういったことこそが本来極めて重要であると考えております。
 この職務・職責を重視するという観点は、地方公務員のいずれの職種においても軽視すべきことではないと考えております。
 このことに関連して、私は教育現場の実情に知見があるわけではございませんので意見というわけではございませんが、1つだけ申し述べさせていただきたいと思います。
 ご承知のように、教育職給料表の構造は、従来より4級制となっております。教員の職務の複雑さの程度とか責任の軽重等、いろいろ観点はあろうかと思いますが、より多様に職務差を強めてメリハリをつけていくといった方向の是非については、ぜひともご論議いただくべき重要な論点ではないかと思っているところでございます。
 もちろん、人件費の増高を来すようなことになっては、これはなかなか基本的には難しい問題だと思います。その点は留意する必要がありますが、今後の教員の職務・職責のあり方といったことも含めてご論議をいただければ、大変いいのではないかと考えております。
 3ページでございます。地方公務員給与については、今申し上げましたように、地域の民間企業の状況が正確に反映されていないのではないかという手厳しいご批判が強うございます。このようなことから、総務省では、実は一昨年の平成16年10月に研究会を設け、「分権時代における地方公務員の給与のあり方」も含め、これは一般行政職が中心でございますが、さまざまな観点から提言をいただき、3月にまとめていただいたものでございます。
 4ページをご覧いただきたいのですが、これは民間と比べて、47都道府県の一般行政職において、県間の格差の状況と地方公務員の現状を、どう認識すべきかということを分析したものでございます。
 研究会の結論といたしましては、地方公務員給与の現状については、調整手当という地域差を出す手当を含めて分析しても、地域間の格差については民間企業に比べると画一的傾向にあるのではないか。このため、今後それぞれの地域の民間企業の状況がより的確に反映されるよう、都道府県政令市にございます人事委員会による公民比較方法の改善など、様々な取り組みを行っていく必要があるといったことが示されているものでございます。
 これと関連しまして、5ページをご覧いただきたいと思います。これは地方公務員の給与決定の一般原則である、地方公務員法の均衡の原則(第24条第3項)でございます。
 ご案内のとおり、公立学校の教員の給与につきましては、16年度から従来の国立学校準拠という規定が廃止されまして、ここにあります地公法24条3項、いわゆる均衡の原則という一般原則のもとで、教育公務員特例法13条などにのっとって、それらの方の職務と責任の特殊性に基づいて、条例で決めるということになったところでございます。
 地方公務員の給与決定の重要な考え方を定めます均衡の原則につきましては、真ん中に書いておりますように、長年にわたり、実際の運用といたしましては国家公務員の給与に準ずることによって実現されるというふうに解されてまいりました。これがいわゆる地方公務員における国公準拠という原則でございます。
 これによりまして、地方公務員の給与、これも一般行政職についてでございますが、かつては国の給与水準を大きく上回る団体が大変多かったわけでございますが、その適正化が進んだといったことが1つの事実でございます。
 今後ともそういう意味では重要でございますが、現在はむしろ地域民間給与との関係で、この国公準拠という考え方が地域によってはかえって給与水準を下支えする機能を果たしているのではないかという指摘も見られるわけでございます。
 そういった意味で、住民等の地方公務員全体に対する視点が変化してきているということかなと理解しているわけでございます。
 もとより公務員の給与は職務給が原則でございまして、職務と責任において決定されるべきものでございます。委員の皆様には警察の職務の例を引くまでもなく、十分ご理解いただけると思いますが、地域の民間企業の給与水準が高ければ公務員給与は高い、あるいは低ければ低いといったものでは決してございません。しかしながら、その一方で、例えば同一労働・同一賃金の原則だから地域差をつけるべきではないとか、あるいは人材確保が重要だから給与水準の引き下げは望ましくないといったようなことだけで何らかの結論が出るほど単純なものではないのではないか、というふうに考えております。
 いずれにいたしましても、公務としての特質を踏まえつつ、人材確保の観点など幅広い検討が必要でございまして、何より国民・住民の納得が得られるものであることが基本でなければいけないと、私どもは考えているところでございます。
 そういった意味で、3ページでまとめておりますように、民間との格差がどうかといった実情を踏まえた場合、地域民間給与の状況をより的確に反映する方向で、地方公務員給与の考え方を、例えば刷新するとか、あるいは公民比較の見直しをするとか、人事委員会の機能の強化等についてご提言をされているところでございまして、こういったことを今後速やかに地方公務員について実施していきたいと考えているところでございます。これが大きな基本的な方向でございます。
 したがいまして、今後の地方公務員給与の大きな方向性に鑑みますと、一般行政職を中心とした地方公務員給与は、結果としてより地域間のばらつきといいますか、そういったものが出る、あるいは強まるという方向で見直しが進められることになろうかと存じます。具体的には、例えば都道府県における給与改定は今後地域の民間企業の状況をより重視する方向で、全国的に見ますと若干ばらつきが出てまいりましょうし、給料表の改定なども、これまでのように国の人事院勧告と同じ率で全国一律ということにはならないということになってくるだろうと考えております。
 今申し上げたことの当否は、国民の間でもいろいろご意見があろうかと思いますが、いずれにしても、現実問題として、地方公務員の全般的あるいは一般的な方向として、このような動向になることは避けられない状況かなと認識いたしております。
 したがいまして、その場合、より職務の均質性と申しますか、全国画一的な給与水準といいますか、そういったものがより求められる職種、例えば公安職、警察官ですとか消防職、あるいは教育職もそうだというご意見もあるかもしれません、そういった職種におきましては、今後、よりばらつきが出てまいります一般行政職との、いわば部内間の均衡というものについてどのように考えていくのかといったことが非常に重要なポイントになってくると私は考えております。
 このように、公務員給与におきまして、より地域間のばらつきを強めていくという大きな時代のベクトルの中に、教育職も含め、地方公務員全体があるのだという事実だけは、今後の教職員給与のあり方を慎重にご審議いただく上で、1つの重要な視点ではないかと考えている次第でございます。
 このほかにも、非常に厳しい環境ではございまして、職員の士気あるいはモチベーションの維持・向上をいかに図るか、地方公務員全般について、これは非常に重要かつ緊急な課題と実はなっております。非常に難問ではございますが、そこのところも、例えば適切な人事評価に基づくメリハリのきいた処遇の充実、例えば給料もそうですし、勤勉手当等もそうです。そういったものについて、できるところから進めていくということで、一般的に公務員給与について進めてまいりたいと考えております。そういったことも非常に重要なことではないかと考えるところでございます。
 10分程度で公務員給与の状況をご説明するのはなかなか難問でございますが、中途半端であることはお許しいただきまして、今申し上げたようなことが、今後の地方公務員給与の大きな流れの中で、少しポイントになってくるのではないかということを申し上げさせていただいて、何らかの参考にしていただければ大変幸いに存ずる次第でございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それではご質問のほうに移らせていただきます。

【君島委員】
 ただいまのご説明では、地方公務員の給与水準について、国家公務員給与から各地域の民間給与に準拠すべきであるという、これが基本的な方向だというふうに受け取ったのですが、またそのことによって地域の賃金の下支えも可能なんだというご発言もありました。
 地方によっては大企業が全くないような地方もありまして、その地方準拠、民間給与に準拠するということで行けば、給与水準がさらに低くなっていく。いわゆる地域格差がさらに拡大されるという、深刻な状況が出てくる可能性もあるわけです。
 そこで1つお聞きしたいのですが、地方公務員の給与水準を各地域の民間企業の給与に準拠していくという場合、公立学校の教員の給与についても各都道府県によって給与水準がばらばらになってしまう。そうすると教育水準が地域によって大きく変わっていくことになるわけで、全国的な教育水準の維持・向上を図るという観点からいうと、少し問題が出てくるのではないでしょうか。その辺はどのようにお考えでしょうか。

【総務省】
 時間の関係でご説明を端折らせていただきましたので、ちょっと誤解がございますので、5ページをもう1回ご覧いただきたいと存じます。
 これは広く一般原則として、地方公務員の給与決定に当たっての均衡の原則というものを定めるものでございます。このもとに、先ほど申し上げましたように、教員の給与につきましては一定の特例法の規定に基づいて、その職務と責任の特殊性に基づいて条例で決めることになっているわけです。一般論としてでございますが、この規定は、一定の生計費、国・他の公共団体の職員の給与、あるいは民間事業者の給与、その他の事情を考慮して地方公務員の給与というものは定めなければならないという、考慮要素を書いている規定でございます。
 しかしながら従来は、民間企業の状況などもすべて国家公務員の給与に織り込まれているのだから、国家公務員の給与にならっておけば、この均衡の原則は一番実現されるというふうに、地方公務員について解されてきたわけです。
 そのことが逆に、例えば地域によっては、かえって地域民間給与との関係で差が出過ぎるのではないかという議論があるので、この考え方を少し改めていってはどうかというのが刷新ということでございまして、地方公務員の給与を全く民間準拠にするということではございません。これは、従来は画一的に国公にならっていくとされていたものを、より民間というものも重視しながら、この原則をバランスよく考えていくべきではないかということでございます。
 ただ、そういう方向を考えていきますと、ご指摘のありましたように、一般職の地方公務員の給与を中心として、今までよりはばらつきが出てくることは間違いないかと思いますが、単純に、民間の企業があるからないからということで決まるということでは、もとより先ほどご説明したとおり、ないということでございます。
 したがって、先ほど申し上げましたように、おそらく今回、まさにそのことが大きなテーマだと思うのですが、全国的に均質的な一定のサービスというものを考えていこうとしたときに、例えば教育職の給与水準というものをどういうふうに考えていくのかということは、まさしく政策としてどう考えるかということでございまして、この原則からそのことが出てくるということではないのではないかと、私は思っております。

【田村主査】
 どうぞ。

【井上副主査】
 今の質問に関連してですが、資料の2ページの「地方公務員の給与構造の見直し」の見直し後を見ますと、民間と公務員を同じ水準にするため、これは国家公務員も同じですが4.8パーセント引き下げて、地域手当がゼロから18パーセントとする。すると地域間格差は、東京は18パーセントだけれど、ほかはかなりの部分が、北海道も九州も四国も中国地方も大部分がゼロになるわけです。そうすると、今、国立大学法人でも同じ問題が起こっているのですが、同じ国立大学でも、東京と地方で給与差が18パーセントあると、人材がみんな東京に集中して、地方の国立大学に優秀な人材が確保できないという非常に大きな問題になっているわけです。
 それと同じように、義務教育で全国的に同じ教育水準を維持するためには、やはり同質の優秀な先生方を、東京であろうが北海道・沖縄であろうが確保していくという上で、給与というのは大きな影響があると思うのです。
 先生方の実際の現場のモチベーションをどう高めていくかという場合でも、東京はいろいろな生活条件がよくて18パーセントも給与が高い、ところが沖縄の離島などはゼロだということになると、ほんとうに優秀な先生、東京と同じような水準の先生が確保できるか、また同じような教育が実施できるかというのは、非常にこれは問題でございます。
 今回の給与水準の見直しは、あくまでも本俸レベルでは民間と公務員を同じにする、あとは同じ職種であれば地域手当だけの差ですよと、そういう発想だと思うのですが、その場合、教育公務員特例法の13条で、教育公務員の職務と責任の特殊性ということから、一般の公務員とはある程度違った給与体系も可能であるようなお話があったと思うのですが、そういうことによって全国的にバランスをとるということは、これはどのように考えておられるか、その点についてお聞かせください。

【総務省】
 申し上げるまでもないことですが、まさしくそれがご審議いただいていることかと思うのですが。
 地域間の給与の状況というものを冷静に考えますと、調整手当というもので、ある程度の地域差は、12パーセントの地域があったりゼロの地域があったりと、従来からもあったわけです。そのことが国家公務員給与の見直しの中で大きく議論になったわけですが、やはり現下の社会経済情勢の変化の中で、民間動向等を踏まえたときに、もう少し地域差を出していくことが全体的に適切ではないかということで、地域差を12パーセントから18パーセントに拡大し、やや傾斜しながら配分を変えていこうという方向で見直しがなされております。
 その際、委員のご指摘がございましたように、人材確保の観点などでいろいろな影響があるかもしれないし、この点、おそらく人事院の中でも議論があったろうと思います。率直に申しまして私どもも、そういったことについてはいろいろ影響があるのではないかと考えているところでございます。
 ただ、先ほど縷々申し上げましたように、国民・住民からの地方公務員への一般的なご指摘の中で、そうは申しましても、民間企業の動向が大きく変わっていくときに、やはり少し画一的過ぎるといったことも、非常に強くご指摘としてあるわけでございます。そういった議論と職務の均質性をどう保っていくのかということとの、おそらくバランスの議論ではないかと考えているわけでございます。
 この点は、地公法の24条3項でもバランスを欠くということを考えているわけではなく、それはおのずから織り込まれていくものではないかと思っております。

【田村主査】
 渡久山先生、どうぞ。

【渡久山委員】
 どうもいろいろありがとうございました。
 今の民間準拠の関係は、今度人事院が100人から50人にしたということは、明らかに国家公務員においては民間給与の反映がなされてくるだろうと思うんです。
 それはそれとして、1つ質問したいのは、職務給については、専門性等を含めて非常に大事だということは言われますね。それはそれでいいのですが、特に教員の場合は、職業資格として教員免許が必要なんです。職業資格としての教員の賃金について、特にこれは一般行政職との関係でどういうふうに考えていらっしゃるのか。
 それともう1つ、今財務省なり、いろいろな形で合意を得ているものの中に、一般行政と教員との比較で2.76という数字が出ているわけですが、それは人確法による分も含めて比較されているんです。しかし、もともと教員賃金は人確法を含めて考えるべきものではなかったと思うんです。これはご案内のとおり、田中内閣のときにわざわざ優遇措置として、一般行政よりプラス25パーセントぐらい、3年間で上がっていたんです。それを含めて、今はそういう優位性がほとんどなくなっているという現状です。
 これを前提として見た場合、先ほど言われたメリハリをつけるといったとき、平均よりも上位に、本俸で行くのかあるいは手当で行くのかわかりませんが、何しろ行くんですね。
 しかし財源が一定であると、今度は逆に平均よりも下がっていく教員も出てくるわけです。平均というか、一般行政と比較して見てですね。そういういう形になってくるのですが、その辺についてはどうお考えか、この2つについてお願いしたいと思います。

【総務省】
 まず、1点目のご質問に関して、職務給の原則というものも、ある意味かなり抽象的な面はあるかなと思います。例えば、職務の内容と責任といった場合、役職によって差をつけるという職務の複雑、困難さのほうはわかりやすいのですが、職務の内容をどう考えるかと点は、いくぶんあいまいなところも、現実にはあると考えております。
 例えば、職務給の原則が制度的に一番現実的にはっきりしておりますのは、職種によって給料表を変えているということでございます。一般行政職とは違う職務体系にある教員について、給料表を変えて、それなりのしかるべき形の給与というものを行っていることも、その一例でございます。
 したがって、職務給の原則なり、その専門性から、一義的にといいますか、直接的に優位性が出てくるかということについては、なかなかそうでもないのかもしれません。ここは何か確固たる考え方といいますか見解があったとか、例えば今までに裁判で問題になったとか、そういうこともございません。はっきりはしないところでございますが、職務給の原則から、教員について一定の優位性が直接に出てくるかというと、そこまではっきりした原則ではないのではないかと思います。
 ただ、おっしゃっておられることはそういうことではなくて、そういう一定の資格なり専門性があることについて一定の給与上の処遇が必要かどうかという、これは一般論として申しますと、専門性があるところ、例えば税務職については一般的なものよりも高い給料になるとか、公安職でもそうでございますので、一般論として考えれば、専門性があるところについては少し特殊な考え方も十分成り立つということはあろうかと、私は考えております。
 それから、財源一定の中でメリハリをつけると、一般行政職との比較で平均より下がる者も出てくるのではないかという点については、これは少しやむを得ない面もあるのではないかと思います。と申しますのは、平均的なといいますか、全体で見たときの優位性ということは非常にわかりやすいのですが、例えば経験年数とか年齢で見たときに、すべての階層で、例えば一般行政職と比べてどうなるかといったことまで考慮して制度的に組み込むのは、これはかなり難問だと思います。
 したがって、平均的な全体の中での一定の優位性として、ある程度メリハリをつけるということが、政策として必要と判断される場合には、一般行政職との関係で見たときに少し出入りがあるということは、ある程度やむを得ない面もあるのではないか、と私は考えております。

【田村主査】
 ありがとうございます。ほかにご質問はございますか。

【川田委員】
 どうもありがとうございました。
 2点ほど、今までの質問の続きのような感じのところもありますが、お伺いしたい点があるのですが。
 まず1点目は、レジュメの3ページ目の一番上に出てくる、国公準拠に関係ある部分です。これは国公準拠ということと、さらにそこから地域ごとの特殊性を考慮していくという考え方もあるように見えるのですが、国家公務員制度の中でも、地域手当という形で一定の地域間の賃金格差への対応はあると思いますので、地方公務員に関しては国家公務員の考え方に準拠する以上にさらに地域間での差をつける、要するにレジュメでは、民間企業が著しく高い地域ではむしろ国家公務員に準拠し、それ以外は原則としては国家公務員に準拠というよりむしろ地域の民間給与を重視ということで、国家公務員とはちょっと違う要素が入ってくるようにも見えるのですが。
 その辺で、国家公務員制度の中でも地域間格差は考慮していて、そこからさらに地方公務員独自の考慮をするというような関係にあるのか、その辺がどう整理されているのか。
 2点目ですが、今の点も含めた、レジュメの3ページ目あたりに出てくる、総務省さんの基本的なスタンス、地方公務員の給与改革に関するスタンスというのは、主として職種というのはあまり細かく見ない。全体的な水準の話であって、先ほど来出てきているような、職種を細かく見ていく、教員などはまさにそういう点が問題になると思うのですが、その辺は、全体的な水準としてここに挙げているようなことがあるということを、ある程度職種ごとに細かくどう見ていくのかというのは、政策的な課題と位置づけているという理解でよろしいのかということです。

【総務省】
 まず1点目の、画一的な国公準拠の考え方を刷新することについてのお尋ねでございます。
 国家公務員でも、先ほどご説明したように、一定の地域差は出していくといったことが今回の給与構造改革において盛り込まれているので、それとの関係はいかがかということでございますが、この点は、国家公務員の地域差と地方公務員の地域差というものをどのように考えるかという基本にかかわることでございます。
 まず国家公務員については、1ページに書いておりますとおり、俸給表水準を全体として4.8パーセント引き下げて地域手当をつけていくという形になっております。この4.8パーセントの引き下げは、国公の各ブロックごとの給与水準を前提にして、一番低いブロックである北海道・東北ブロックにまず俸給水準を合わせましょう、高いところについては地域手当を積んでいきましょうという考え方でございますので、同一のブロック内でも、例えば宮城県と北海道の地域差というのは多少はあることは事実であります。
 私どもは、極端に差が出るというのは果たして本当に良いのかという基本的な問題意識は持っております。ただ、この構造見直しをすることによって、大きな意味で地域差をつけた給与制度の骨格はほぼ形づくられる。
 ただ、そうは言っても、微調整と言ってはおかしいですが、多少はブロック内でも、まだ少し地域差があることから、そういったレベルの話は、人事委員会機能をより強化しながら、よりきめ細かく反映していくといったことは、やはり今後取り組むべき課題ではないかと考えております。こういう改革の姿勢を示すことによって、国民のご理解をいただくよう努力しているということでございます。
 ここに掲げさせていただいておりますことは、ご指摘がありましたように、全般的な話でございます。もとより、例えば警察でございますと警察法に基づく考え方がございますし、教員でございましたら教員にかかわる特有の考え方がございますので、全体的な水準をどうするかといった中で、それぞれの職種におけるあるべき給与水準の考え方や仕組みというものが検討され、論じられるというふうに考えてございます。

【田村主査】
 よろしゅうございましょうか。

【細川委員】
 この地域手当にかなりの幅で差を持たせるということですが、それ以外の手当で、例えば住居手当ですとか通勤手当が一般行政職員にあるのかわかりませんが、そういう生活にかかわる部分の手当については特に改善はないのか、そういうあたりは現在も一律なのか一定額なのか、そのあたりをちょっと教えていただけますか。

【総務省】
 あくまでも、ここに考えておりますのは、地域差というか民間給与との差を出す手当の問題でございまして、それは従来でございましたら調整手当であり、この4月からは地域手当というものでございます。扶養手当でございますとか住居手当でございますとか、それぞれの主旨目的に沿った手当については、地域差をより高めていくということとは、ちょっと違う話かなと考えております。
 現状はどうかということでございますが、従来より、手当につきましても、国民の納得を得るという観点から、国公との均衡を図るということを我々は申しておりまして、例えば手当の支給対象でありますとか額について国公とかけ離れた実態にあるとは思いませんが、かといって、それぞれの団体の条例で定めておりますので、全くないということでもございません。多少のばらつきはありながら、それぞれの団体の条例で定められているというのが、現状であります。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。どうぞ。

【新田委員】
 いろいろと教えていただいてありがとうございます。
 今までの質問と重なるところもあると思うのですが、先ほどのお答えの中で、各地域の中で民間と公務員が極端な差が出るのには、総務省としては問題意識を持っているという話が出たと思うんです。でも結果的に、この改革をすると、教育というフィールドで考えると、県とその隣の県とか、都会と地域ということの極端な差が、12が18になることによって生まれてくると思うんです。そういうことに関しては、総務省としてはどんな話し合いをしているのか。こちらの差を埋めようとすると、教育というフィールドで考えると、逆に私は差が出ると思うんです。
 それから、先ほど一番最初の説明の中で、全国均一にしたほうがふさわしい職業として公安とか消防などという話も出たと思うんです。一般的には教育もどうだろうかというふうに説明していただいたのですが、具体的に総務省としては、教育はどうあるべきだという意見が今まで出ているのかなというところをお聞かせいただければと思うのですが。

【総務省】
 地域間で極端な差が出るのは私もどうかといったことを先ほど率直に申し上げたわけでございますが、そんな中で、2つ目の質問とも重なるわけですが、今回の給与構造見直しに伴う地域差の拡大が、教育なり、一定のサービスとしての均質性がより求められているものに影響が出るのではないかとのお尋ねについてでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、国民・住民の様々なご批判の中で、従前のような画一的なものではなく、より民間給与の状況を反映した形に、少しベクトルを振って努力すべきだという大きな流れの中で、私どもはこういった取り組みを進めているわけでございます。これは国も同様でございますが、公務員全体について、そういう取り組みを進めているわけでございます。
 確かに、例えば警察官の職業を考えましても、また同様の話がございます。ほかの一般行政職の中でも、福祉とか、ある程度均質性が求められるような仕事もあるかもしれません。そこはいろいろ、程度と有すべきサービスの内容によってそれぞれ多様でございますので、なかなか一概には申し上げられないことかなと。それは究極的には、住民なり国民がどう納得するのかということに尽きるのかなと。申し上げにくい答えですけれど、そういうことかなと思うわけです。
 したがって、まさしく今、お尋ねがあったように、教育というものがそういう均質的なものを要請することと、それから大きなベクトルで今後は地域差を出していこうという一定の住民なり国民からのご指摘の中で、今後あるべき教職員給与をどう考えていくのかということは、まさしくこの審議会でご議論いただくべき重要なテーマではないかなと思うわけでございます。
 私ども総務省公務員部のほうが、「教育はこうあるべきだ」といった形で申し上げるのは、少し遠慮させていただいたほうがいいかなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、どうもお忙しいところ、ありがとうございました。

【総務省】
 ありがとうございました。

【田村主査】
 次に、全国連合小学校長会からのご意見をちょうだいいたします。

【全連小 小滝】
 全国連合小学校長会の対策部長をやっております小滝と申します。現在、新宿区立津久戸小学校の校長をやっております。平成5年から校長として、間で指導行政に3年ほどお世話になりまして、現在、全国連合小学校長会の対策部長ということで、特に人事問題・給与問題等に携わっておりますので、そういった中から、全国連合小学校長会としての考え方を述べさせていただきます。このような場で考えを述べることができますことを大変うれしく思います。どうもありがとうございます。
 資料3で、意見ということでまとめさせていただきましたので、それをもとに、補足・説明をしながらご説明させていただきます。
 まず、現在、昨年出ました中央教育審議会の答申にもありますように、教育条件の確固たる整備が求められています。この中で「質の高い教師」という言葉が使われていますが、まさに優秀な教員が必要だということであります。
 現在、学校では、中教審の答申を踏まえて、既にさまざまな実践が行われておりますが、ここに書きましたように、さらに国際的に質の高い教育の充実が求められています。これらの実現のためには教育界に優秀な人材が必要であり、国家の根幹である義務教育に携わる人材確保の上からも、また教師のモチベーションを高めるためにも、この教師のモチベーションということには、実際に現場を預かる校長として、多少現実的なところも後ほど申し上げたいと思うのですが、教師が自信と誇りを持って教育を推進するということが大事だと。そのために次のようなことをということで、幾つか申し上げます。
 まず、人材確保法の必要性と優遇措置ということなのですが、先ほど来、私もここで座って聞いていましたが、人材確保法が教育界に優秀な人材を確保することに大きな役割を果たした、これは事実でありまして、最近、ある新聞に、やはり田中首相は偉かったというような文言が何回か出てきたコラムがありました。実際に教員一人一人が、人材確保法で優遇されているんだという意識をどれだけ持っているかというところは甚だ疑問もあります。しかし、現実的には非常に教育界に優秀な人材を確保する役割を果たしてきました。
 その見直しが現在進められている中で、法制定当時とは教員採用を取り巻く状況は大きく変化しているという文言で説明されています。教員に優秀な人材を確保することの大切さは法制定当時と私は変わっていない。むしろ現在だからこそ、つまり大きく教育改革が進行している現在だからこそ、より優秀な人材が必要である。
 優秀な人材が必要であるということは、一般的には当たり前なことのようですが、現実に毎年新規採用教員を受け入れている学校としては、どういう人材が入ってくるかということは大変大事なことです。これは地域・保護者の皆さんも同じだと思います。そういう意味で、過日、人材確保法による優遇措置の2.76パーセント分を縮減することが合意されたと聞いているわけですが、これは極めて遺憾であると思っています。
 本会としては、教員の給与を一般行政職と一律に比較するという考え方には賛成できません。決して一般行政職よりも我々教員が優秀であると言っているのではなく、教員というのは、教員免許という資格を取得した上で採用試験に合格して仕事をしている専門職であるわけです。また今後は免許更新制が導入され、より一層専門性が問われる職種だからであります。
 次に、教職員給与のあり方について申し上げます。教育の質の向上を図るためには、教員のモチベーションを高めるような給与体系が重要であり、教員の能力や実績等が適切に評価され処遇に反映されることは大変大事であると考えております。全連小としても、今まで主張してきたところであります。
 まず、教職調整額について申し上げます。教職調整額は、ご存じだと思いますが、教員の勤務の特殊性に鑑み、時間外勤務手当を支給しないかわりに、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して、4パーセントを本給に繰り入れているものであります。ただし、校長・教頭は除きます。これはいわば、教員の時間外勤務手当に当たるものともいえます。
 さて、その教員の勤務ですが、その時々の社会状況、それから保護者・地域の意識の変化、教育的ニーズの多様化などへの対応のため、時間的・精神的に非常に複雑化しております。私ども全連小が平成18年2月から3月にかけて実施した調査によれば、圧倒的多数の教員が勤務時間外に仕事をし、自宅にまで仕事を持ち帰っているという実態があります。職場での勤務時間外に仕事をした時間が、1カ月に最多で140時間を超え、平均でも35時間となっている。これ以外に自宅に持ち帰るという実態があります。
 多少余談になるかもしれませんが、電車の中で、ふと座っている方を見て、荷物を持って、多少疲れた顔をしている。そうすると、ああ学校の先生だな、小学校の先生だなと、私はすぐわかります。そういう実態がある。
 ですから、4パーセントという額そのものも、これらの実態にふさわしいものかどうか、甚だ疑問であります。しかし一方で、校長・教頭を除くすべての教員に一律に支給されているということに対する疑問については、理解ができるところであります。
 これからは、文部科学省が現在進めています勤務実態調査や、あるいは関係各団体の十分な調査等をもとに、教員という職種の勤務様態や勤務時間の管理、勤務の特殊性を踏まえた処遇のあり方について、慎重な議論を期待したいと思っております。
 また多少余談になるかもしれませんが、先週、私は北海道の校長会の研究大会に、「教員評価について」というシンポジウムのシンポジストとして、東京が比較的早く取り組んでいるということもあって招かれて行ったところ、北海道の先生たちもほんとうに一生懸命やっているなという実態がありました。
 特にそのときに、この教職調整額の話になりまして、人員確保による優遇措置を廃止したり、あるいは教職調整額を廃止したりするならば、当然ながら時間外手当、超過勤務手当を支給すべきであろうと考えている方が圧倒的に多かった。
 その時間外勤務の実態というのは、後ほどまた文部科学省の調査でも上がってくると思いますが、大変な時間外勤務をしております。それが全部支払えるのかどうか。一定程度の歯どめをしようということになるならば、つまり優遇措置もない、時間外手当も十分にすべてを支払ってくれるわけではないということになれば、当然ながら中には、5時だから帰ろう、これ以上は仕事をしなくていいだろうというような教員が出てこないとも限らない。これが1年2年、10年20年とたったら、一体学校というのはどうなってしまうんだろう。みんな、教員という職業に自信と誇りを持ってついているんです。その意識がだんだん薄らいでいくことが、長年の間には考えられます。そうしたときに、日本の教育はどうなるんだろう。大変心配をしております。
 校長がリーダーシップを発揮して教員のモチベーションを高めるんだということについては十分わかっておりますし、日々、各校長はそのような取り組みをしておりますが、しかし、それに対する具体的な処遇というものは、やはり長年の間には影響が出てくると考えます。
 次に教員の手当てについて申し上げます。教員というのは非常にいろいろな手当が支給されているのですが、それらは必要性があって制度化されたものであり、基本的には尊重すべきだと思っています。しかし、時代や社会の変化に伴い、全く意味がなくなってきた手当等については、これは見直すべきでありましょう。
 次に全連小として、ぜひ、教職員の処遇改善と同時に、管理職の職責に合った処遇改善ということについて申し上げていきたいと思います。
 実は近年、教育管理職を目指す者が大変減少しています。東京都が新たに導入した主幹職、現在導入されていますが、本校にも2名の主幹がおります。しかし、一定の処遇の改善を図ったにもかかわらず、受験者が今非常に少ない。
 きょうも、実は中村委員さんは東京都の教育長でありますが、主幹を受けないかという誘いが後から後から来るんです。何回も何回もです。つまりそれだけ足りない、受験者がいない。そういう実態があります。
 それから、東京でいうと副校長・校長、一般にいう教頭・校長ですが、非常に受験者が足りなくなっております。しかし一方で、教育改革を進めるにはやはり教育管理職のリーダーシップが大変必要であることから、管理職を目指す者に夢と希望を与えてほしいという意味合いで、教育管理職の処遇改善をぜひ進めていただきたいという、切なる願いであります。
 次に、教員評価制度についてであります。これについては多分、教育関係のほかの団体からも報告があるかと思いますが、私どもが平成17年に行った調査によっても、33県以上で、この教員評価制度が平成18年度から導入または施行されております。おそらく2年後あたりまでには、すべての都道府県でこの教員評価制度、人事考課制度が確立してくるであろうと考えられます。
 ただ、東京都は平成12年度から導入をして、平成16年度から処遇に反映させるということで進めておりますが、実は年々、少しずつ改善を加えてきているんです。そして現在の制度があるということを考えますと、多くの道府県で、去年から今年にかけて、ほとんど一斉にこの教員評価制度が導入されようとしているという実態がありますが、これらについては、十分に教員評価制度の主旨の徹底に努めることが大事であると考えています。
 最後に、学校の管理運営や教員の勤務管理についてですが、これらについては先ほど来話をしていることでかなり重複しますので、基本的には割愛をさせていただきます。読んでいただければと思います。
 一番最後ですが、最後の4行のところで、教員の勤務は、授業以外にも家庭訪問や校外での指導、さまざまな相談・対応など多岐にわたっていて、気を休めることができない職種であります。このような実態を踏まえ、教員が安心して自信と誇りを持って教育に従事できるような処遇と勤務管理が必要であるというふうに思い、ぜひ、慎重なご審議をお願いしたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、時間が大分押しているのですが、ご質問ございますか。

【帯野委員】
 教員の手当等についてのところで1つお伺いしたいのですが。管理職に有用な人材を登用するためには処遇改善が必要であるというご意見をいただいているのですが、東京都が導入された主幹職に、処遇を改善したにもかかわらず応募者が少ないというのは、これはどういったことなのか。例えば処遇の改善の幅が少なかったのか、あるいは処遇の問題を改善しても管理職へ応募される方が少ないのか、どのあたりに問題があるのか、それをちょっと教えていただけますか。

【全連小 小滝】
 これは私の個人的な考えになりますが、まず処遇の改善の幅が非常に微々たるものであるということ。これは東京都の問題になるかと思います。
 もう1つは、主幹職が学校の中で果たす役割というものが非常に大きい。非常に大きいということはやることがたくさんあるということで、その姿を見ていて、とても主幹になる気持ちになれないというのが、先生たちから聞く実態であります。

【小川副主査】
 今の話をもう少し具体的に聞きたいのですが、たしか、今主幹の手当の金額は月2万円ぐらいですよね。

【全連小 小滝】
 主幹は給料表での額ですので、手当ではないです。

【小川副主査】
 ですから、手当が微々たるものだと言っていますが、一般の教員と比べた場合、主幹はどれぐらい。

【全連小 小滝】
 申しわけありません、具体的な数字は今はちょっと。

【井上副主査】
 この間、東京都の教育長にお尋ねしたら、主幹職は特2等級を新設して、ほぼ1万円程度だという説明を聞いております。参考までに。

【小川副主査】
 もう1つ聞きたいのは、校長の処遇改善の話も出ていたのですが、これも具体的に聞きたいのですが、すべての校長の給与を大幅に上げるというのは、やはり今の財政状況を見ると非常に厳しいところがあるので、1つの方策として、例えば今の管理職手当は学校の困難度等によって若干の差がありますが、さらにそれをメリハリをつけるために、校長の等級をさらに2つぐらいつくって、スーパー校長にはさらに特級というところで差をつけるという考え方が、例えば東京都などにはありますよね。
 そういう考え方も1つあるかと思うのですが、僕はある自治体の教員給与の改善の委員会に入って、いろいろ総体論を議論したときに、結構校長先生から、校長の中でそういうふうに等級に差をつけるということについてはかなり厳しい抵抗もあって、その委員会では結局それを案として答申には盛り込むことができなかったのですが、このあたりは全国の小学校長会などでは具体的にどういう考え方なのでしょうか。

【全連小 小滝】
 いろいろな方法があるかと思うのですが、基本的には管理職の給与の数値そのものを上げるというのが1つ。それから、確かに東京では統括校長という言葉が出てきていまして、校長をさらに2つに分けて、校長の中でも例えば最終的にさらに昇給しますというものをつくることによって、管理職としてのモチベーションを上げるということであります。
 全連小としては、各都道府県の数字そのものを集めて比較検討はしていますが、特にこのことに関して、どういった形で管理職の処遇を改善するかということについては、今申し上げたように本給を上げることと管理職手当をアップすること、もう1つは管理職手当を退職金に繰り入れ算入するということです。年齢にもよりますが、管理職手当が退職金に繰り入れられませんので、やめた校長先生と最終的に最高額で終わった一般の教諭の退職金の数字が逆転をするということもあるという実態があります。以上です。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ。

【本城委員】
 主幹について教えていただきたいのですが、単学級ということだと、おそらく教職員の人数は全体でも15人に満たないはずだと思うのですが、にもかかわらず、校長と教頭という管理職が2人いて、主幹が2人いる。4人もいるというのは、ちょっと一般の企業からするとマネージメントとしては多過ぎるかなと思うのですが、それが必要なのか、それとも主幹を置かなければいけないぐらい校長や教頭のマネージメント力がないのか、どちらなんでしょうか。

【全連小 小滝】
 私の学校の例で先ほど申し上げましたので、その例で申し上げますと、主幹が2名いるうちの1人は病気休職中であります。したがって実質的には1人です。そして教務主任を兼任しておりまして、高学年を担任しております。そうしますと、高学年の担任、それも単学級での担任ということになりますから、学級担任としての仕事がまずかなり多くなるわけです。さっき言いました、時間的にも精神的にもと申し上げたところはそこなんです。
 それにプラス教務主任という仕事、仕事内容についてはご存じかと思うのですが、教育課程全体の編成実施、そして評価の中心になるということがあります。もう1つは、東京都がいろいろな、例えばトラブルであるとか子供の事故であるとか、あるいは地域の保護者の皆さんのニーズであるとかいうものに、積極的にすばやく迅速に対応するためにということをこの制度の中で言っているんです。
 そうすると、当然ながら学校にいろいろと入ってくるものを、中心としてそれをすべて受けとめるということになるわけで、当然、そこに今度は副校長の役割、そして最終的には校長の役割というものがあるということであります。

【本城委員】
 主幹の必要性は感じられていますか。

【全連小 小滝】
 感じています。

【田村主査】
 時間がないので、これでよろしいですか。どうぞ。

【渡久山委員】
 1つは、今管理職の関係がありました。僕も、今の非常に多忙な状況を見ると、手当でするのか給料表で上げるのかわかりませんが、優遇すべきだと思うんです。それがやはり管理職の自信と誇りにつながると思うんです。ぜひとも校長会のほうで、あるべき姿というものを提起していただいて、提言していただきたいというのが1つ、要望です。
 もう1つは、ここに教職員の調整額がありますね。今、先生の資料によりますと、最多で140時間とあります。このような状況はほんとうに異常な状況だと思うんです。これは部活動とかをやって、東京でも振りかえ休日が制度化されていますが、実態としてほとんどとれないという実態があります。
 そういうことから考えますと、「今の実態にふさわしいものか甚だ疑問である」ということではなくて、先生としては、これはどうすればいいと思われますか。先ほど幾つか意見を言われたのですが。

【全連小 小滝】
 まず第1点目の、校長会でぜひ提言をということについては、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。
 それからもう1つは、私どもが行った実態調査の中で、これは東京の方ではないのですが、ある6年担任で教務主任をやっている方の数字が140時間、2週間で74時間という数字が上がってきています。
 これらについては確かに、もう少し仕事の仕方で精選できる部分というのはまずあると思います。これは学校の努力だと思います。その中で、校長・教頭がどういう役割を果たして学校全体を経営していくのかという、これが1つ、確かにあります。
 もう1つは、例えば教務主任といいますと、学校の中だけではなくて、外へ出すさまざまな届けや調査等についても行わなければならないということがあります。学校が本来やるべき仕事ではないと言うと大変語弊がありますが、非常に事務的に学校に入り込んできている部分というものがたくさんあります。この辺は文部科学省の皆さんともよく話題にはするんですが、どの程度整理できるのか、そういったことも見ていかなければならないと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございました。時間がないので、よろしいですか。ご質問ございますか。手短にお願いいたします。

【君島委員】
 先ほど、主幹が2人でその他管理職がいて、一般企業との比較の中で、そんなに必要なのかというお話があったのですが。
 私は、この資料で言うと3ページの最後の4行ですが、教員の職務はこれこれがある、その中でさまざまな相談、対応がある。この対応というのが、一般の方にはほとんど知られていないような、例えばトラブル処理。いちゃもんをつけてくる、そういう保護者がいっぱいいるわけです。ちょっとしたことでも学校に文句をつけてくる。そういうものの処理に1日費やされたり、何日にもわたって時間をとられるというような部分については、一般の方は多分ほとんどわかっていないと思うんです。
 ですから、そういうものも含めて、教員の特殊性、勤務の特殊性は、ほんとうに大変なんだということを、もっとどんどんPRしていただきたいなという要望でございます。

【全連小 小滝】
 ありがとうございます。

【田村主査】
 時間がありませんのでお答えは結構でございます。ただ、1つお聞きしたいのは、教員の中で管理職希望者が少なければ民間から登用するということについてはどう思われますか。

【全連小 小滝】
 非常に厳しいと思います。厳しいというのは、現在、確かに、東京都の場合ですが、小学校1校だけ民間の校長先生がおられて、非常にすばらしい校長先生でやっていらっしゃいますが、私どもは基本的には校長の仕事は学校経営だけではないと。つまり、教育に関する指導もすべて、つまり先生たちに対する指導……。

【田村主査】
 時間がないので、賛成か反対かだけ。

【全連小 小滝】
 賛成か反対かですか。……賛成しかねます。

【田村主査】
 反対ということですね。希望者はいないけれど民間から登用する気はないという、こういう意見ということですね。ありがとうございました。それでは、ほんとうにありがとうございました。時間がオーバーしまして恐縮です。

【全連小 小滝】
 どうも申しわけございません。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【田村主査】
 ちょっと時間がオーバーしまして失礼いたしました。次に、全国都道府県教育長協議会からご意見をいただきます。よろしくお願いいたします。

【教育長 竹内】
 おはようございます。大阪府教育長の竹内でございます。
 本日は、教員給与ワーキングにおきまして意見発表の機会をいただきましてありがとうございます。きょうは、全国都道府県教育委員会の代表ということで意見発表をさせていただきます。私自身、今、全国都道府県教育長協議会理事ということでありますが、教育財政部会の主査県を仰せつかっております。そういう立場で発表させていただくものであります。
 本日、「教職員給与のあり方に関する意見 全国都道府県教育長協議会」という資料を持参しております。それをごらんいただきたいと思います。
 去る6月2日に交付・施行されました「行政改革推進法」、また7月7日の「骨太の方針2006」において、教員給与については人材確保法に基づく優遇措置を縮減するという方針が打ち出されました。これを受け、財務省においては一般職員の給与を上回る2.76パーセントの部分について、平成19年度から削減の方向で検討されていると聞いております。
 これに対しまして、私ども都道府県教育長協議会では、教育水準の維持向上は教員の質にかかっているとの立場から、優秀な人材を学校現場に確保するという人材確保法の精神は今なお重要であり、今後とも堅持しなければならない。また、優遇措置の縮減については、本ワーキングでのご検討の結論を踏まえ、20年度以降、地方の意見を十分に尊重し、適切に検討していただきたいということを強く求めているところであります。
 現在の状況を申し上げますと、団塊の世代の大量退職に伴う大量採用が求められております。また、民間の雇用情勢が非常に改善している中、優秀な人の取り合いということが労働市場において顕在化してきています。この時期に、教育論に立脚せず、財政論からの歳出削減という観点から提唱された「骨太の方針」等による教員給与の縮減方針に関しては、私どもとしては大変遺憾に思っているところであります。
 そのため、当ワーキングにおかれましては、義務教育水準の維持向上に向け、資質の高い教員を安定的に確保するという最も重要な観点を踏まえた、教育論からの検討をしていただくよう、申すまでもないことでありますが、あえて強く要望させていただきたいと思います。
 では本題に入らせていただきます。本日、意見発表するに当たりまして、47都道府県教育委員会教育長に対しましてアンケートを実施してまいりました。その結果を取りまとめましたので、その内容を中心に意見を述べさせていただきます。
 まずお手元の資料、「教職員給与のあり方に関する意見」の2ページをごらんいただきたいと思います。
 まず人材確保法のあり方についてですが、ご存じのとおり、いわゆる人確法は、学校教育が時代を担う青少年の人間形成の基本をなすものであることを鑑み、義務教育諸学校の教職員の給与について特別の措置を定めることにより、すぐれた人材を確保し、もって学校教育水準の維持向上に資することから、児童生徒急増期の昭和49年に制定され、今日に至っております。
 人確法が目的とする教育水準の維持向上のための優れた人材の確保につきましては、今日でもいささかも変わることはなく、教育長協議会としては、今後とも本法律の必要性は高いと考えております。
 加えまして、昨今の状況でありますが、上段四角囲みの中に示しておりますように、いじめ・不登校など、児童生徒の心の問題、学校安全の確保など、教員の職務につきましては一層複雑・多様化・広範化しております。その中におきまして、優れた資質・能力・専門性を有する教員の確保が必要であります。
 また、先ほどの話にも関連しますが、児童生徒の急増期に採用した教員が退職のピークを迎えております。この時代に資質の高い教員を、他の職業分野との間での競争に打ち勝って大量に確保する必要があります。この2点に代表されます今日的な課題を踏まえますとき、引き続き法の精神は堅持の必要があると考えるものであります。
 次に、人確法に基づく優遇措置につきましては、下段資料1のグラフが示しておりますように、1県を除くすべての都道府県でその必要性を認めておりますが、そのあり方につきましては、6割の都道府県が、一律的な措置の是正など、見直しの必要性を感じているところであります。
 次に、その内容につきまして、項目ごとに詳しく説明させていただきます。
 3ページの「今後求められる教職員給与のあり方について」をご覧いただきたいと思います。まず、教職調整額についてでありますが、資料2に示しますように、一律の支給を見直すべきであるという意見が87パーセントに上っております。ただし、見直しの方向としましては、下のグラフに示しますように、不適格教員や病気休職中の教員、あるいは長期研修中の教員には支給しない方向で見直すべきというものでありまして、教職調整額の意義自体を否定するものではないと思います。
 むしろ、本来、時間外勤務手当を支給しないかわりとして教職調整額が支給されているにもかかわらず、実際は月8時間程度の超過勤務手当にしかならないなど、現実の教職員との働き方のギャップも指摘されておりまして、現在、文部科学省のほうで調査を進められております教員勤務実態調査の調査結果を踏まえ、単価の改正等を含め、総合的な検討が必要であると考えるものであります。
 次に4ページをご覧いただきたいと思います。教員特有の手当につきましての考え方であります。資料3に示しますように、1から14までの各手当につきまして、廃止・縮小の方向での見直しが好ましいか、充実する方向での見直しが好ましいかを調査いたしましたところ、廃止・縮減する方向で見直すという項目が相対的に多いものといたしましては、障害を持つ児童生徒の教育を担います特殊学級担当教員及び特殊教育諸学校、特別支援教育学校となっておりますが、その教員を対象とします給料の調整額。2番目に、義務教育等教員特別手当。教員特殊業務手当(入学試験業務)、へき地手当といったものが、廃止・縮減の方向で見直してもいいのではないかという意見が相対的に多いものであります。
 しかし、1の給料の調整額を除きましては、47都道府県中、過半数のところがそういうことを問題提起しているという状況にはございません。
 なお、本日出てくるに当たりまして、この義務教育それぞれの項目につきまして、どういう観点から見直しの議論が必要なのかということにつきまして、全県ではありませんが、数県につきまして聞き取りをいたしましたをお話いたします。
 まず給料の調整額につきましては、現在の障害を持つ子供に対する学校教育のあり方が、ノーマライゼーションの観点から、障害のある子供・障害のない子供、等しく教育の機会を与えていくべきである。また、相互理解のためにもできるだけ同じ状況の中で教育を行っていくべきである。また、障害を持つ子供に対する教育も、特別の担当教員あるいは特別の学校の教員が担うということではなく、全教職員がこの問題についてかかわっていくべきである。そのような考え方、理念的な立場に立ちますとき、特別にその教務を担当する教員に給料の調整額を支給するのは、必ずしも適切ではないのではないかというものであります。
 義務教育等教員特別手当につきましては、先ほどの教職調整額と同じく、なべて同じように手当を出すということがどうなのかということでありまして、この義務教育等教員特別手当についても、それを全否定するというものではございません。
 教員特殊業務手当(入学試験業務)については、入学試験業務の位置づけについては、当然のことながら、今の時代であれば学校の当然の業務として位置づけるべきであるという考え方のもと、教員特殊業務手当をことさらに支給する必要があるのかということであります。
 へき地手当につきましては、この制度が創設されて以降のモータリゼーションの状況、あるいは道路整備の状況等々、社会環境の変化を踏まえたときに、へき地手当を現状のものでそのまま続けるべきなのかという問題意識が前提としてあるようです。
 次に、充実の方向での見直しとしましては、教員特殊業務手当の修学旅行等指導業務、対外運動競技等引率指導業務、また部活動指導業務手当で、学校部活動にかかわる教員に対する手当についてはぜひとも充実が必要であることが問題提起されております。特に、これまで4時間部活に対応したことで1,200円程度の支給となっておりました部活動指導業務手当につきましては、現状に即しておらず、その大幅な拡充を求める声が強く寄せられているところであります。
 次に5ページをご覧ください。給与体系の改善についての考え方であります。資料4に示しますように、平成16年度から、各都道府県の条例でそれぞれの教員給料表が定められるようになりました。これに伴い、13県が1~4級以外に独自の級を導入した、あるいは導入を検討しております。また、そのほとんどが2級と3級、いわゆる教諭と教頭との間に特2級を定めようというものであります。
 その特2級を定める主な理由でありますが、東京都が実施している主幹制、私どもの場合は首席という名称で呼んでおりますが、そういうものや、私どもの場合は指導教諭という名称で呼んでおりますが、スーパーティーチャーなどの新たな職の設置であり、管理職を補佐して、担当する校務をつかさどる職位の設置、キャリアの複線化などが進められ、その職に見合った給与体系の構築が必要である、またそれが進んでいるということが、ここから見えるようであります。
 次に6ページをご覧いただきたいと思います。最後に教員評価と給与反映についてでありますが、資料5に示しますように、教員評価につきましては、ほぼすべての都道府県が導入している、あるいは導入を検討しておりまして、今年度、18年度に導入する予定の県が多うございます。
 また、その結果の給与反映につきましては、反映するかどうかの検討まで含めますと、95.6パーセントの都道府県が検討を進めております。導入の時期につきましては、今のところは「未定・その他」が大多数であります。今後の検討課題としているということです。ちなみに、私ども大阪府の場合は16年度から評価を実施しておりまして、18年度の評価結果につきまして19年度から反映するという方針を示して、今進めているところであります。
 以上、説明してまいりました内容につきまして、私どもの思いを7ページに示しております。昨年10月にまとめられました中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」におきまして、「人間は教育によってつくられると言われるが、その教育の成否は教師にかかっていると言っても過言ではない」と記述されておりますように、優秀な教員の確保は、教育の水準の維持向上を図る上で必要不可欠な要素であります。特に教員の職務が多様化する一方で、大量採用時代に突入するこれからの時代であるからこそ、人確法の持つ精神を今後も堅持し、現行の給与水準の維持が必要であると考えております。
 また、教員がより魅力のある職種となるためには、教員の職務の専門性、勤務態様の特殊性というものを十分留意しながら、やる気のある教員あるいは苦労をしている教員が報われる、メリハリのある給与制度の構築が必要であると考えるものであります。
 今日的には、教員評価の適切な給与反映、指導力不足など不適格教員及び病気休職者等に対する教職調整額の減額、今日的課題に対応した手当の見直し等により、魅力があり、やる気を喚起する制度を構築することが求められていると考える次第であります。
 なお、総額裁量制の導入や教員給料表の条例制定など、第一義的には都道府県がそれぞれの実情に応じてメリハリのある給与制度を構築しうる環境が整いつつあります。一方、その実現のためには十分な給与財源の確保が不可欠であるため、国におきましては義務教育費国庫負担制度の拡充、人材確保法の堅持など、教員給与財源の確保につきましては、何とぞよろしくお願いしたいと考えております。
 特に、教員の高齢化に伴い、教員給与の標準単価と実績が乖離し、地方に多額の超過負担が強いられており、それが地方財政危機の1つの要因ともなっているのではないかと思う次第であります。また、先ほど見直してもいいという項目がありましたが、それらを実際なくす場合にありましても、充実とのセットで検討がぜひとも必要であると思います。
 国にとって都合のよい、いいところどりでの見直しということにつきまして、私ども教育長協議会は承服できないということを申し上げたいと思います。なお、先般の教員給与が、月額ベースで見まして、一般行政職に比べ、金額が月額1万1,323円、2.76パーセント高いということで、これの削減の議論が出ているわけですが、一般行政職につきましては、時間外勤務手当その他諸手当等、すべて入っております。
 教員につきましては、義務教育特別手当は、教員の給与水準を一定分、他の行政職に比べて高めようという性格のものです。これはある意味では本給的な性格のものとして考えてもいいのではないかと思うわけですが、一方で、教職調整額としましては先ほど申し上げましたように8時間程度しか入っていないということで、そもそも人確法がつくられて義務教育特別手当というものが設定された、この効率的な考え方ということを考えれば、一般行政職公務員との間で2.76パーセント程度の差しかないということは、むしろ逆に私どもとしては釈然としないものが残るわけであります。そういうことをあえて非難させていただきたいと思います。
 以上、繰り返しになりますが、決して財政論からではなく、教育論から、魅力のある教員という職種としての給与制度をさらに検討していただくよう、お願い申し上げます。
以上で私からの発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。多少時間が押しておりますが、ご質問をお願いしたいと思います。

【箕浦委員】
 教職調整額について質問させていただきたいのですが。3ページにあります教職調整額について、現在一律の支給が適当であるかということに対して、見直すべきだというアンケートの結果でございます。その下に、見直しの必要があるということの、特に1から3あたりについては、民間の企業からすると、一律に支給すると言っても、この調整額の基本的な主旨からすると当たり前に支給されていなくてもいいものではないかと思います。このことが見直しの必要の対象になるかどうかということからすると、これは当然だろうと思います。
 ただ、実際、この調整額自体を1つの財源の中で見直す際に、時間外手当を付けていくという考え方もあるのかもしれませんが、一定の何かの段階をつけて配分を変えるとか、そういった変え方について、ご意見があれば逆に教えていただきたいと思います。

【教育長 竹内】
 見直しの方法としては、ぶっ込みでというこの仕組みよりも、時間外の状況等に応じて出すという、一般行政職と同じような仕組みに切りかえる方法。あるいは、今ご指摘いただきましたように、教員の働きぐあいについて一定の繁忙状況等を類型化した形でやる方法等、いろいろあると思います。
 この問題につきましては、理念的にはそういう方法が十分考えられると思うのですが、特に時間外、超過勤務ということになりますと、教員の仕事の場合、超過勤務としてどこまでを認知していくのか。現実に8時まで残っていたとしても、夕方5時まで部活の指導をやって、明くる日の教材研究のために3時間残る人もいれば、部活をやらずに2時間ないし3時間教材研究をやる。その場合には、その分は時間的には減るわけです。
 そのときに校長として、この部活は必要だからやれとか、あるいは部活についてもどこまでの熱心さでそれを求めていくのかということになりますと、私は現実には非常に難しいと思います。だからこそ、この調整額というものに結実していったのではないかなと思う次第です。
 そういうことで、一律のものではなくメリハリのついた、働きぐあいに応じたものにするというのは、理念としてはあり得ながら、それを現実のものとして学校の管理体制、管理職が校長・教頭という2人しかいないわけですから、こういう状態の中で時間外管理まできちっとやれるのかどうなのかというのは非常に難しいのではないかと思います。
 今申し上げたことはすべて私の個人的な見解でありまして、教育長協議会で十分議論したわけではありませんが、私としては、以前は今おっしゃったような方向に切りかえるべきではないかという思いが強かったのですが、教育長の職を長く続けているうちに、現実にはそれは非常に難しいのではないかと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございます。どうぞ。

【君島委員】
 4ページの教員の手当についてですが、グラフを見ますと8の部活動指導手当が群を抜いているわけであります。この部活動につきましては、学校教育活動で非常に重要な役割を果たしている。にもかかわらず、その位置づけが学習指導要領の解説の中で触れられているに過ぎないという、非常にあいまいな状況にある。
 この部活動指導手当そのものも、人確法によって支給がなされるようになったという経緯があるわけですが、教育長協議会としては、部活動の位置づけについては、今の状況を踏まえながら、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

【教育長 竹内】
 この点につきましても、教育長協議会として十分な議論をしておりませんので、教育長協議会としての見解というよりも、私、竹内の見解ということでお聞きいただきたいと思います。このことにつきましては、多くの教育長は、学校教育活動における部活の位置づけというものをきっちり職務の中に位置づけてほしいという思いが強いと思います。
 ただ、その取り組みにつきましては、現実の問題として、それを位置づけたときの部活動手当の問題であったり、あるいは旅費の確保の問題とか、いろいろなことが現実の問題として出てまいります。また、それを位置づけたときに、それぞれの学校において、部活動のための備品整備についても、どこまでを公費で見なければならないのか等々、非常に微妙な問題が現実にあるのではないか。そういう中で、どこも思い切った整備ができていない状況にあるのではないかと思っております。
 ただ、大阪府につきましては、昨年度、部活動につきましては勤務上の取り扱いについて整理いたしまして、休日の振り替えの問題とか、あるいは部活動手当につきましても、私どもは給料の調整額につきましても見直しをやっておりますので、その財源をもちまして部活動手当の引き上げ、実態的には2,500円というレベルでありますが、その水準まで引き上げました。
 そういう取り組みをやっておりまして、現時点ではそれぞれの県がそれぞれの才覚の中で、それの置かれた状況の中で判断してやるというのが、今のところの状況ではないかと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。大分時間が押しておりますので、もうお一方ぐらいで、ほかによろしいですか。

【新田委員】
 貴重なデータをありがとうございます。2ページなどを見ると、人材確保の優遇措置は、ほぼ98パーセントの方が、改善は必要であるけれども残すべきである、というところがあって、4ページの資料の中に隠れていることを教えていただきたいのですが。
1の義務教育等教員特別手当ですが、これを廃止・減額する方向が非常に数が多いのが目立ったのですが、先ほどのお話の中でも、実質今2.76パーセントの優遇でも少ないぐらいだという話があったと思うんです。では、この12名の人が廃止・減額と言うのは、言いかえると多い手当として振り替えた方がいいという意見だったのか、それとも本俸自体を見直した方がいいということなのか、それとも、今議論の中で出ていますメリハリという形で変えていくという意見があったのか。どういう意見があったのか、教えていただきたいのですが。

【教育長 竹内】
 教職調整額についても、一律の支給ではなく見直すべきであるという議論があったわけですが、ほぼそれと同じような考え方で、病気休職に入っている人とか、あるいは指導力不足で教育センターでの研修に送られている人とか、そのような人にまで同じくこのかさ上げ分を出すべきなのかという、そのような考え方が中心というふうに報告を受けております。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、よろしゅうございますか。どうもいろいろありがとうございました。

【教育長 竹内】
 どうぞよろしくお願いいたします。

【田村主査】
 次に、午前最後でございます。財務省主計局の中川主計官からご意見をちょうだいすることになっております。
 今、資料をお配りさせていただいております。ごらんいただきまして、大分時間をオーバーしてしまって申しわけございません。よろしくお願い申し上げます。

【財務省】
 文教・科学技術予算を担当しております、主計官の中川でございます。今日は貴重な機会にお招きいただきましてありがとうございました。
 今、お手元に資料5という形でとじたものと、A3判の1枚の大きなグラフの資料をお配りさせていただきますが、これに基づきまして簡潔にご説明させていただきたいと思います。
 まず、財政における教育への関与の状況でございます。1ページおめくりいただきますと、ご承知のとおり、義務教育には国・地方で分担して公教育費という形で支出をしておりますが、平成年間に入りまして、児童生徒数が29パーセント減少してくる中、国・地方合わせた公教育費支出は8パーセントの増になってございます。児童生徒1人当たりにいたしますと、国・地方の公財政の関与の度合いは1.5倍になっているというのがまずあります。
 また、国の関与といたしましては義務教育費国庫負担金となりますが、同じくこれも平成元年と16年の推移を比較いたしますと、児童生徒数の減少が30パーセントになっていることもございまして、一方、国庫負担金のほうは、いろいろな制度改革を経ましたが、その制度改革なかりせばという形で比較している数字でございますが、25パーセントの増。
 したがいまして、国の財政だけを見ますと、児童生徒1人当たりの財政の関与は、平成年間に入りましてから1.8倍に増えているというのが、一番大きな財政としての姿でございます。
 しかるに、2ページをおめくりいただきますと、これは1年ほど前の内閣府のアンケートでございます。新聞等でも報道されておりますのでご承知だと思いますが、実際の義務教育のサービスの受け手であります保護者ないし児童生徒の側に立った、今の義務教育サービスに対する満足度を見ますと、「不満である」「非常に不満である」という人の合計が43.2パーセントとなっております。
 不満を持つ納税者が4割強に達しているという状況は、財政当局としましても、今のような財政の関与の仕方、あるいは国民負担の財源の使われ方がこのままでいいのかということを問題にせざるを得ないという状況だと思っております。
 3ページ目以降、教職員給与をめぐります昨年来のさまざまな政府レベルでの方針が決まっております。それを3ページには今年の「骨太2006」、4ページは、時間が遡りますが、昨年末の行政改革の重要方針ということで閣議決定されました文書の該当部分、及び5ページには、それを受けましたいわゆる行革推進法の該当部分を、傍線をつけてお示ししたものです。既にこの場でも説明されている資料だと思いますので、説明は割愛させていただきます。
 6ページは、今問題になっております人確法でございます。既にテーブルの上に配られている資料の中にもありますが、人確法制定時と近年の状況を比べますと、当時の高度成長期で労働市場が非常に逼迫していた状態から、近年は有効求人倍率の点で見ましても、あるいは公立学校の教職員の採用試験の競争倍率という観点で見ましても、人確法という形で処遇を優遇することによってより優秀な人材を確保しなければいけないという経済情勢は、少なくともそういうバックグラウンドは失われてきたのではないかということを、我々としては考えているということでございます。
 こういう議論を踏まえまして、ご承知のとおり、人材確保法につきましては、その廃止を含めて見直しを行うという方針が、今、政府決定されているという段階でございます。
 7ページは、これまでもご覧いただいている資料でございますので、これも説明を割愛させていただきますが、教員と一般行政職の給与月額を比較したものでございます。
 ご承知のとおり、人材確保法に基づきまして、教職員の本俸・手当、それぞれ優遇がされてきていたわけでございますが、この7ページの表にありますように、その優遇幅はそれぞれ推移をもって変遷してきたということだと、我々も理解はしております。
 ただし、8ページにありますように、これは給料月額でございますので、教職員の場合は本俸と教職調整額をベースに、一般行政職のほうは本俸だけをベースに比較したものでございますが、各年齢層にわたって一律に、教職員が一般行政職よりも優遇をされているという現在の給与カーブをお示ししたものでございます。
 我々としましては、もちろんこの給与カーブの構造をどのように見直していくのかということがこの場を通じて議論されているということを理解しておりますし、またそれは今後の教育のあり方、いわゆる教育論の観点からも、この給与構造のあり方を見直すということが非常に重要なことだと思っておりますので、今後とも機会がありましたら積極的に議論の中に参加していきたいと思います。
 ただし、給与の水準の問題だけではなくて、我々として、もう少し視野を広く考えなければいけないのではと思っておりますのは、9ページと10ページにお示ししました、生涯賃金ベースで見たときの教員の処遇をどのように考えるのかという問題もあるということでございます。
 9ページの上の表は、給料月額、本俸ベースと、諸手当込みの給与月額が、教職と一般行政職あるいは消防・警察といった大きな地方公務員の他の職種との比較でどのようになっているかということをお示ししたわけです。
 ご承知のとおり、教職調整額を教員の場合は本俸扱いします。したがいまして、いわゆるボーナス、期末・勤勉手当ですとか、あるいは退職手当や、年金額の算定の際の標準報酬月額のベースにも込みになっているということでございます。
 例えば、地方公務員の年金支給状況を見てみますと、これは地方公務員共済組合の事業年報からの数字でございますが、公立学校共済組合の1人当たりの年金支給額は、15年度の年報におきましては24万3,777円となっておりまして、地共済全体の平均支給月額22万5,032円をほぼ1割上回っている状況でございます。この1割上回っているというのは、今言いました構造から来ますとおり、給料月額、いわゆる本俸と教職調整額を含めた額が、教職の場合、他の職種よりも1割ほど高くなっているという上の表の状況が反映されているものだと考えているところでございます。
 また、公立学校共済の場合、もう1つ特色がありますのは、組合員数を見ていただいておわかりのとおり、男性組合員数と女性組合員数がほぼ1対1の割合になっているということでございます。これは都道府県職員の中に占める女性組合員数が約3割であること、あるいは地共済全体を通じて見ましても女性組合員の比率が4割程度になっていることに比べましても、非常に女性組合員数が多いというのが1つの特色となっております。
 我々は、よく教育現場にも精通している代議士などとも意見交換する機会があるわけですが、「教職員の場合はお父さんも教員、お母さんも教員というケースが多くて、お父さんの年金、お母さんの年金、いずれもが他の人たちよりも高い年金で優遇されているということが、どうしても目立ってしまい、それが故に非常に地域の中で話題になっている」という話を聞いたりするのも、こういう数字が反映したものかと考えているところでございます。
 10ページを見ていただきますと、これは退職手当の比較でございます。これも17年度の公務員給与実態調査結果からでございます。教育公務員の場合、大層の人が受けとります整理退職等に伴う退職手当の1人当たりの平均手当額は2,954万9,000円となっております。地方の一般公務員の平均額2,651万5,000円に比べまして、やはり1割以上高い水準にあるというのが現状でございます。
 以上が、教職員給与を見直してみるべきだというバックグラウンドにある背景でございます。
 ここでもう1つ、これまでは、おそらくこの場でも、教職員給与と地方の一般職の給与の比較ということが議題の中心かと思っておりますが、A3判のグラフを見ていただきたいと思います。これは非常に細かくて、見にくいグラフで申しわけないのですが、各都道府県の民間賃金と、各都道府県の地方公務員の給与水準を比較してみたグラフでございます。
 各県にそれぞれ濃い網かけのグラフと薄い網かけのグラフが2本ずつになっておりますが、濃い網かけのグラフの水準は、上の注にありますように、厚生労働省のいわゆる毎勤統計、毎月の賃金構造基本統計調査による、それぞれの県での民間賃金の水準でございます。一方、その右側にあります、より高くなっているグラフは、各都道府県の人事委員会勧告が勧告をする際に、地方公務員の給与の比較対象としています民間賃金の水準でございます。
 このグラフを見ていただいてわかるとおり、各県すべてにおいて、人事委員会が勧告のベースとしております比較対象の民間給与の水準は、厚労省の毎勤統計の数字をはるかに上回る水準を比較対象として勧告を行っているということでございます。
 もう少しわかりやすく言いますと、この高い民間賃金給与水準をベースに勧告が行われるものですから、教職を含めました地方公務員全体の給与水準が、地場の民間賃金水準と比べると相当高い水準で設定されているというのが現状ではないかというふうに、我々は理解しているところでございます。
 したがいまして、教員の給与のあり方を考える際には、もちろん地方公務員の世界の中で一般職との比較をすることも大事かと思いますが、一方、地域の中でより優秀な人材を確保するという観点から見ますと、地域の民間賃金との比較で、地域の教職の給与水準がどういう水準にあるのかということを考えることも重要ではないかと思っております。
 2.76パーセントということがもう相当流布しておりますが、一般職と比べて教員給与は2.76パーセント優遇されているということかもしれませんが、地場の民間賃金と比較してみると、まだ相当高い水準に教職の給与は設定されているのではないかということを、我々としては問題意識として持っているわけでございます。
 したがいまして、こういう比較も含めて、地域の中でより優秀な人を確保していくためにはどうしたらいいのかということを考える視点も必要かと思っております。
 もとの資料に戻りまして、11ページから14ページまでは、こちらの場でも既に説明があったかもしれませんが、春以降の政府与党の歳出改革の議論の中で、教職員給与の優遇分をどのように取り扱うかということを整理した紙でございまして、財務省と文部科学省の共同のクレジットでつくったものでございます。
 ポイントは、13ページの絵にありますように、詳しい説明は省きますが、我々の理解といたしましては、まず第1段階で、人確法に基づく優遇が教員給与のどこの部分にあるのかということをきちっと認識するということが議論の出発点かと考えております。それが、いわゆる本給が一般行政職よりも優遇されている部分、1万6,096円の部分と、もともと第1次改善以降本給の中に入っていた、いわゆる教特手当が切り出されて今手当になっているわけですが、この1万3,692円の、この両方を合計した部分、3万円弱ですが、7.26パーセントに相当するところが、人確法に基づく優遇の部分であるという認定が、まず第1にあるべきかと考えています。
 第2に、当面、何が考えられるかということを考えた場合、一般行政職と教員で、とりあえず現段階で背比べをしたところで教員給与が上回っている、この2.76パーセントの部分を見直すということが最低限必要なことかと考えております。
 第3に、その上で議論になっております時間外勤務手当と教職調整額の関係をどうするかといった議論を踏まえた上で、残りの7.26パーセントの部分をどのように考えるかという議論をさらに進めるべきだと考えていますし、また先ほど来説明しておりますように、この教職調整額が本給扱いになっているという構造から来る、教職員の生涯を通じた処遇の優遇、そしてそれが地場の民間賃金との比較でどのような関係になっているのかといったことも踏まえながら、今後さらに検討を進めていく必要があるかと考えている次第でございます。
 最後に15ページと16ページですが、先ほどもちょっと見ていただきました教職員の給与構造、給与カーブが諸外国と比較してどのようになっているのかということも、1つ念頭に置いていただきたいと思います。
 いずれもOECDの「Education at a glance」からのデータでございますが、見ていただいてわかりますとおり、これは初等教育の段階での給与比較を購買力平価において米ドル換算したデータでございます。
 日本の教職員給与のカーブは初任給から最高給与までが2.34倍の立ったーブになっているということでございまして、これはここに上げましたアメリカ・フィンランド・スウェーデン・ドイツ、あるいはその他のG5諸国などと比べても非常に立ち方が急な給与カーブになっております。ちなみにOECD平均の初任給と最高給与の倍率は1.70倍となっておりまして、日本の2.34倍はそれをはるかに上回る形になっております。
 また、ここにデータは書き込めませんでしたが、初任給から最高給与に達するまでの年数を見ますと、日本の場合は31年。ほかの国も、例えばフィンランドですと20年、ドイツでも28年といった形で、ある程度の生涯の変遷を経て給与が高くなっていくという、ある意味では年功序列的な給与構造をとっている国が多いのですが、一方でイングランドの場合ですと最高給与水準に達するまでが6年ですとか、デンマークの場合ですと8年ですとか、非常にある意味ではフラットな構造をとっている国もございます。
また、16ページを見ていただきますと、これは勤続15年の教職員給与を国際比較したものでございます。そもそも、その水準でございますが、年間法定給与額は前のページで見てもらった数字のとおりでございますが、日本が年間4万5,515ドルであるのに対しまして、アメリカで4万3,999ドル、イギリスで4万1,807ドル、フランスに至っては3万1,082ドル等々、いずれも日本の教職員給与の15年段階ですが、諸外国と比べて非常に高い水準になっております。
 また、15年目の年間法定給与額のOECD平均額は3万3,336ドルとなっておりまして、OECD平均の約1.5倍の給与水準になっているというのが日本の現状でございます。
 また、それを国力と比較するために、各国の1人当たりGDPとの関係で見ますと、日本の場合は1.6倍となっておりまして、この表にありますとおり、いずれの国よりも相当高い水準になっております。ちなみに、1人当たりGDP比でのOECD平均は1.31倍となっておりますので、OECD平均を相当上回る水準になっております。
 また、このOECDのデータでは、実質的に授業1時間当たりの給与が幾らになっているかというデータもございまして、日本の場合は1時間当たり70ドル。アメリカで39ドル、フランスで35ドル、非常に高いと言われているドイツでも59ドル、フィンランドでも46ドル。OECD平均は41ドルとなっておりますので、いろいろ物価水準の問題もあるかもしれませんが、そこは購買力平価でございますので、物価水準を捨象して考えているデータだというふうにご理解いただきたいと思います。
 ちなみに、このデータで使われております日本円の購買力平価は、1ドル143.7円となっておりまして、マーケットの時勢レートよりは相当円安水準になっていることは間違いありません。
 以上、いろいろな問題があるわけですが、我々としましては、人確法による優遇をどのように考えるか、その際にはもちろん一般職と比較することも大事だと思っていますが、一方、地方の地場でより優秀な人を確保するという観点からは、地場の民間賃金と比較して見て、教職員の現在の処遇がどうなっているのかという観点も忘れてはならないということが、考えていることの第1点目でございます。
 第2点目は、この給与カーブの構造をどのように見直すのか。先ほど15ページで見ていただきましたように、諸外国と比べても相当立った、年功序列型の典型の給与構造になっております。しかも、この立った構造、給与カーブが、一般職や民間賃金に比べて相当優遇されている。しかも、それが年金・退職金にも反映されているという形になっておりまして、こういう給与構造のもとでは、前回のヒアリングの際に藤原校長もおっしゃっていたと思いますが、教育現場で知恵の競争をするためのインセンティブとして給与構造というものが働いていないのではないかという問題意識を持っております。
 教職という、いわば専門職でございますので、専門職にふさわしい、よりフラットな構造へどのように変えていくべきなのか。あるいは、その際には地場の民間賃金とのバランスをどのように考えるのか。あるいは教職の中でも、生涯教壇に立ってプロの教師として一生涯を通す人と、地域や家庭との連携も含めた、学校のあり方としての学校マネージャーになっていく人と、いろいろな機能分化が、教職の中にもこれから起こるのだと思います。そういう状況をどのように考えて、今後の給与構造をつくっていくのか、そういう問題意識を持っているというのが現状でございます。
 今後とも、主計局としましては、教育現場の皆さん、あるいは文部科学省で教育政策を担当されている幹部の方々ともいろいろ議論を詰めながら、日本の将来の教育、そして21世紀の日本を支える人材の基礎になります義務教育を、どのように納税者がより満足するものに変えていくのか、そういう観点から、これからも積極的に議論に参加したいと思いますので、これからもよろしくご指導お願いいたします。どうもありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。ちょっと時間がオーバーしておりますが、お時間をちょうだいしまして、ただいまのご説明にご質問をいただきます。どうぞ。

【細川委員】
 データとして教えていただきたい点が1つあるのですが。1ページ目の公教育費の支出、それから2番目の義務教育国庫負担金の状況の、平成18年の最新の数字をすべて教えていただけますか。
 それが1点と、組合員の構成で女性比率が男女比率で約1対1ということですが、これについて、地域で話題になっているということ以外に、給与制度を考える上で何か必要になってくる点が、このデータからあるのかどうかを教えていただけますか。

【財務省】
 まず、義務教育費国庫負担金でございますが、ご承知のとおり、18年度は負担率が3分の1に引き下げられるという、昭和28年あるいは昭和17年以来の改革が行われたこともございまして、負担金の金額としましては1兆6,763億円になってございます。あと18年度の国・地方あわせた公教育費全体の支出がどうなっているかというのはまだ出ておりませんので、そこはご容赦いただきたいと思います。
 2番目の公立学校共済の組合員数の男女比率の問題でございますが、もちろんこの男女共同参画の時代に、こういうプロフェッショナルな仕事を経た上で年金生活に入られる組合員数の比率がほぼ1対1であるというのは望ましいことだと思っております。
 ただし、おそらくこれは今後の議論の話だろうと思いますが、まさしく教職というのはプロとしての仕事で、先般もNHKの「プロフェッショナル」という番組の中で、カリスマと呼ばれている中学の島根県の英語の先生のことが取り上げられておりましたが、ああいう仕事、いわば天職を遂げていただくためには男女の関係はないと思っておりますので、今後の給与構造カーブを考える際には、組合員が男性であるか女性であるかという考慮は必要ないのではないかと、私は思っております。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。ほかにどなたか。

【渡久山委員】
 1つは、現在、学校教育に対する満足度というのがありますね。これは教員の賃金を主にやられていると思いますが、ほんとうは日本の学校は、子供たちの学級規模を含めて非常に劣悪な状況にあるんです。それに対する不満というのが非常に大きいんです。ですから、それは経済効率だの財政論ではなくて、国はやはり条件整備をきちっとしないといけない。
 例えば、OECDの比較をされていますが、初等・中等教育に対して、OECDは大体平均でGDPの3.5パーセント出ているんですね。日本は2.7パーセントなんです。財務省は、その辺をきちっと考えておかないとならない。今は教員の給料の問題だけれど、教育に対する不満はそういうトータルで見ないといけないだろうと思うのが1つです。
 それから、年金についての問題は、これは掛け金が高いんだから、その分高くなって年金が支給されるのは当然のことです。
 それから、先ほど男女の問題を言われたのですが、これは妬ましいような言い方をされているのですが、逆なんですよね。男女共同参画社会というのは政府が進めていることなんです。でありましたが、やはり半々、あるいはより適正な仕事であれば教育界に女性が多くなるという、これもまた一つの当然な成り行きであって、だから田舎で夫婦が教員をしていたら賃金が高いから下げろというのは、理屈にもならないと僕は思うんです。その辺は少し考えを変えてもらわないと、教育現場にいる者としてはとても賛成できないです。それが1つです。
 それから、行政との比較の場合、職業資格として教員免許がいるという専門性について一定程度評価されているようですが、それに対して、ある程度のメリットがなければならないと思うんです。
 基本的には人確法というのは、あのときの政府が行政プラス25パーセントでやったわけです。今は中にも入って、なおかつ教員の賃金が保たれていると考えれば、人確法の法律のあるべき姿から見れば、今は逆に異常な状態です。行政よりプラスアルファで持っていた歴史的な経過から見れば。それを問題にするなら、ほんとうは別枠に考えないといけないだろうと。主旨からしてですよ。しかし、今言われたように、今の経済的な状況から見て果たしてどうかというのですが、ただ、残念ながら、教員の全体的な職業選択上における質の問題というものが問われるんです。それから、他の国と比較して、日本の教員の場合の構成の特徴は皆免許なんです。ほとんどが免許を持っている。数学の先生は数学の免許を持っている。しかし、これは外国では必ずしもそうではないんです。ですから、これは非常に日本の特徴なんです。そういうところから来て、賃金が高いというのは必然性もあるんです。そういうことで、もう一度、そういうことについての考え方を。

【田村主査】
 ちょっと時間が押しておりますので、手短にご質問をお願いしたいと思います。

【帯野委員】
 データについてお伺いしたいのですが。私、関西経済同友会から来ておりますが、経済会でもよく、公務員の給料は高いのか、どれぐらい高いのかということについて議論になりますが、総務省の出されたデータと財務省の出されたデータが違うということが、とてもコンフュージングなんです。
 改めてお伺いしたいのですが、別表にいただいたこの民間賃金ですが、厚労省の調査というのは、おそらく総人件費を総労働者数で、単純に頭で割られたもので、片や総務省や人事委員会から出されていますラスパイレス比較のほうは、同種・同業・同年齢を基本にしているので、当然、そのデータが変わってくると思うんです。
 この委員会でも、民間の企業の賃金と比較する場合にどちらをベースにするかというのは、やはり整理しておかなければいけない問題かと思いますので、どちらをベースに民間企業の賃金を考えたらいいのか、アドバイスがございましたらお伺いしたいのですが。

【田村主査】
 本城さん、ご質問ございますか。

【本城委員】
 今のと同じです。

【田村主査】
 では君島先生。

【君島委員】
 1つは、16ページの外国の教員給与の国際比較で、非常に日本は高いという。そのやっている中身が違うと思うんです。日本の場合は、単に教室で教えるだけではなくて、部活動をやるとか、あるいは塾の講師まがいのこともやるとか、あるいは対外的に同窓会・PTA、そういったいろいろなものをごちゃ混ぜにしてやっている。その辺のところを抜きにして数字だけ並べて、日本はべらぼうに高いんだというようなことは、ちょっと説得力がないのかなという気持ちでお聞きしていました。
 もう1点は、これはもし間違えたらごめんなさい、私がちょっとお聞きしたのは、この人確法優遇の2.76パーセントについて、来年度から縮減すべきだというお考えが財務省の中におありなのかなと。なければそれでいいのですが、もしあるとすれば、来年からすぐ縮減しろと言っても、それはやはり条例主義というのが、地公法の24条であるわけですから、これはちょっと、各県としても、人事委員会勧告が出て、それを受けて条例を変えていくという作業が残っているわけなので、厳しい、無理なんじゃないのかなと思うのですが、その辺のところについてお願いしたいと思います。

【田村主査】
 では、川田先生でおしまいにさせてください。

【川田委員】
 2点、国際比較に関してなのですが。1つ目は、16ページで、こういうデータで比較しようとする場合、国ごとに賃金プロファイルの違いがあるのではないか。そうすると、この場合にも、例えば民間企業で、同一企業で勤続15年の人との同じデータとの比較ということが必要になってくるのではないかという気がするのですが、そういう観点からの検討があるのか、あるいは必要性を感じているのかどうか。
 2点目は、レジュメは1ページ戻りますが、先ほどのプレゼンテーションの中で、専門職の賃金であればフラット化が本来あるべきではないかということがありました。そういう観点から見るとちょっと気になるのが、素朴に考えると結構そういう観点が徹底していそうなアメリカが、意外と初任・15年・最高の格差が大きい。むしろ日本に近いようなプロファイルになっている。この点について何らかの分析があるのかどうか。それが2点目です。

【田村主査】
 それでは、よろしゅうございますか。まとめてお答えをお願いいたします。

【財務省】
 いろいろご指摘をいただきましたので、なるべく簡潔にしたいと思います。
 まず第1に、私の説明ぶりで誤解を招くといけないと思って念押しをさせていただきますが、教職員組合の中での男女比率が問題だと、私自身あるいは財務省として思っているわけでは全然ございません。ただ、触れましたのは、地元でこういう話を聞くぞということを言っている国会議員などが結構多数いるということでございまして、いろいろ客観的なデータに基づく分析はもちろん必要なわけですが、一般の住民ないしは納税者から教職員というものがどのように見られているのかという1つの切り口なのかもしれないと思いまして、いわゆるエピソードとしてご披瀝したまででございまして、別に特に問題視しているわけではないということでございます。
 順次答えさせていただきますが、学校教育に関する満足度というのは非常に漠としたアンケートの聞き方ですので、この不満の原因は教職員給与にあるのか、学校の施設にあるのか、クラス編制にあるのか、あるいは個々の個人の担任の先生によるのか、いろいろな要素があると思います。もちろん、これをもって今の教職員の給与水準に納税者が不満を多く持っているということには直結しないというのはご指摘のとおりだと思っていますし、我々もそう思っていますが、いずれにしても、私が言いたかったのは、納税者として負担し、受けるサービスの中身について全般的に満足を必ずしも感じているわけではないんだと。したがって、やはり何らかの改革が、いろいろな面において必要なんだろうと思っているということを示すデータかと思います。
 年金の掛け金が高いからだというご指摘でございましたが、今、年金制度を通じて、ほぼ掛け金率は同じような水準になっていく。ないしは統合を目指しているところでございまして、掛け金率の違い以上に、もちろんベースになる標準報酬自体が高いからコントリビューションのほうも多くて、それなりに多くの年金をもらっているというのはそのとおりでございます。
 ただし、なぜ受給額が多くなるかというと、これは年金制度の給付設計上、ベースになる生涯賃金が高ければ、つまり現役時代の給与水準が高ければ年金も高くなる。またその期間が長ければ長いほど高くなるということでございますので、やはりベースが高いということは否定はできないのではないかと思っております。
 民間賃金との比較でございます。確かに、このグラフの中では、厚労省のいわゆる毎勤統計はラス比較を通したものではありませんので、より厳密な比較は必要かと思いますが、1つだけご承知おきいただきたいのは、ラスパイレス比較をする際には、地方公務員の給与では極めて限定した部分しかとっていないということもご理解いただきたいと思います。
 例えば、公務員の一般職はラス比較の対象となりますが、いわゆる国家公務員で言えば2種職員に相当する人たち、地方公務員の世界では技術職と言いますが、これは実は大変ボリュームが多いのですが、そういう人たちの給与は、このいわゆるラスパイレス比較の中では一切考慮されていません。また、ラス比較をする際にはいろいろ問題にもなっております地方公務員のさまざまな諸手当があるじゃないか、闇手当もあるじゃないかといった手当の世界が、大層が比較の対象から外れているといったこともございますので、実際にどういう形で民間賃金と公務員の賃金を比較するのかというのは非常に技術的で難しいことがあります。
 1つは、総務省のほうは近年、ラスパイレス指数も低くなってきた、100も下回ったという主張もありますが、それは今言いましたように非常に限定された、地方公務員給与全体の中でいうとほんとうに数割のところしか対象にしていない比較においての話であって、こういう場でこういうふうに申し上げるのもあれかもしれませんが、まだ相当きちっとした比較がされていない、隠れた世界が、地方公務員のほうにはあるということでございます。
 一方、ご指摘のありますように、民間賃金というのは何をとるのかということも非常に難しい問題です。これは主に人事院などで、今、民間給与の比較をどのようにするのかということを、もう少しどのようにブラッシュアップするのかという議論をしておりますので、またいろいろコントリビューションができるのではないかと思っております。
 あと、国際比較でございますが、これももう一度お断り申し上げたいのは、これはOECDが、30カ国にまたがるOECD諸国を数字で比較しなければいけないという制約の中で、一定の統計データをつくるために割り切りをした上での統計データでございますので、今ご指摘を受けたようなことはカバーされていない点が多いかと思います。ですが一応、OECDが正式に加盟国を通じて比較できる数字として挙げているものだということはご理解いただきたいと思います。
 したがいまして、川田先生からもご指摘がありましたように、教員の勤続15年だけではなくて民間の15年の賃金との比較などは、実はこのOECDの「Education at a glance」の中では行われていないところでございますので、その実態はよくわからないと思います。
 また、アメリカがよりフラット化の構造化と思っていたらそうでもないんだなというのは、実は私も同感でございまして、そういう意味では、先ほどちょっと口頭で申し上げましたが、おそらくイングランドとかデンマークとか、初任給から最高給与に達するまでの期間がものすごく短い国のものが、ほんとうにフラットな構造になっているんだろうと思います。もう少しそこら辺はデータなども探して分析してみたいと思いますが、いかんせん、我々としましても、ハンディに入手できる情報がこれぐらいしかないものですから、きょうはこれぐらいしかお見せできませんでした。
 最後に、君島先生からご指摘がありました、優遇分の見直しをどのようなペースで進めていくのかということでございます。もちろん、ご指摘のように、条例で実際の支給額が決まっていくという現実がある中、どのようにこれを国の予算として対応していくのかというところは難しい問題をはらんだ問題だと思っています。
 ただし、政府としましては、あるいは国としましては、公務員全体を通じた人件費の給与構造改革を今後5年間で進めていくという方針がございます。また、そういう意味では地方にも、国の方針に準じて、それぞれの地域の中で、地方でそれぞれの公務員の給与水準を見直してくださいということも要請しているところでございますし、総務省もそういう方針で今、地方公共団体を指導しているところでございます。
 ですから、優遇分の見直しにつきましても、やはりそういう国全体を通じた、あるいは国・地方全体を通じた政策のオリエンテーションを示すような予算づくりを、今後5年間はしていかなければいけないと思っております。もちろん、教育現場で無用の混乱を招くような予算では困ると思いますが、そういう政策オリエンテーションがはっきりした予算をつくっていく必要があると思っております。
 したがいまして、19年度からの削減は全くないということではなくて、19年度から削減をしていく。そして最終的には、優遇分は2.76パーセントだけではなくてもっと大きなところがありますし、それの最終的な結論は教職調整額との関係をどうするかといった別の問題もございますので、最終結論を出していくためにはもう少し、19年度予算編成を超えて時間がかかるかもしれませんが、少なくともこの優遇分を見直していくんだという方向性がはっきり見える予算づくりをしていく必要はあるかと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。時間が大分オーバーしてしまいました。司会のできが悪くて申しわけございません。
 それでは、大変お忙しいところ、主計官においでいただきましたが、これで終わらせていただいてよろしいですか。ありがとうございました。

【財務省】
 どうもありがとうございました。

【田村主査】
 以上で午前の意見発表を終わらせていただきます。午後の日程につきましては、事務局からご説明いただきます。

【小幡専門官】
 それでは午後の日程について説明をいたします。この後、皆様には昼食を用意させていただいております。昼食をとりまして、予定としては12時45分からとなっておりますが、それは少し厳しいと思っておりますので、皆様の準備が整い次第、適宜、再開させていただきたいと思います。おおむね1時ちょっと前ぐらいに始めることができればいいなと思っております。
 午後については8人の方から意見発表をいただく予定でございます。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、午前の部は終了いたします。午後、また長時間になりますが、よろしくひとつご協力のほどお願いいたします。ありがとうございました。

【田村主査】
 それでは、午後になりました。午後の部を開会をさせていただきます。お昼休みを十分に取っていただけなくて申しわけありません。時間が詰まっておりますので、引き続き意見発表をお願い申し上げたいと思います。
 大変お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございます。座ってお話しさせていただきます。
 ヒアリングの進め方は、午前と同じように、1人に対して25分ずつの時間を設けております。その25分の中で、最初の10分は意見発表をしていただき、その後の15分で、それに対する質疑がありましたらそれを各委員からお願いをしたいと思います。
 午前中の経験から、どうしても時間が押せ押せになりますので、恐縮でございますが、時間の範囲内で意見発表をいただき、また質疑をいただくということで、午後はできるだけきちっと時間どおりに進めたいと思います。午前と違いまして、午後は押せ押せになっていることが目に見えてますので、お互いにご了解いただきながら進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、午後の最初の、日本教職員組合からのご意見発表をお願いいたします。時間は10分ということです。一応めどにして、よろしくお願いいたします。

【日教組】
 日本教職員組合で書記長をしています中村と申します。よろしくお願いいたします。

【日教組】
 生活局長をしております藤川です。よろしくお願いいたします。

【日教組】
 ヒアリングに当たりまして、新しい資料を今日出させていただきました。私どもの静岡県の教職員組合がつくった、「まずは教員の1日を探検してみませんか!」というリーフレットでございます。後ほど目を通していただければ、今現在、学校職場に働く者が1日どういうような勤務状況にあるかということを、昔と違いまして、ご理解をいただけるのではないかなと思っております。
 それからもう1つ、入職時のモチベーションというので、これは事前に配付させていただきました。めくっていただきまして、とりわけ民間の初任者と、それから教育職に携わる人間のモチベーションの違いというのをお読み取りいただければ大変ありがたいなと思っております。昇進より好きな仕事をしたい、あるいは仕事には社会的意味や使命感が必要と考えている、成果等で減給や降格もやむを得ない、あるいは大胆な抜擢人事を行ってほしい等々で民間の部分との開きがある、そういう志望を持った人間たちが日々、学校職場で働いておるということであります。
 現在、文部科学省が勤務実態調査等々で教員の勤務のありようを全国的に、総合的に調査をなさっておりますけれども、教職員給与の在り方に関するワーキンググループの場ではありますけれども、総合的な教育職に携わる政策の判断根拠となるような調査の分析をお願いしたい。例えば具体的には、免許職であったりとか、あるいは条件つき採用が1年間であったりとか、研修が義務づけられている、あるいは奨励されているというような職であるというような、単に残業を何時間したからこの辺の給与水準が適当だという判断ではないだろうというふうに、総合的な分析をお願いしたいなと思っております。その中で教職調整額等々、あるいはその他の手当等も含めてご検討いただければ、大変ありがたいと思っております。
 3点目に国公準拠という部分がなくなったわけでございます。人事委員会勧告等は今後、地場民間の賃金を反映した勧告が出されてくるだろうと思いますが、今言った職のありようから含めて、当然、単純にならないわけでありまして、そして公務ということ、それから教育ということから言えば、一定程度の全国水準の担保はどうしても必要なことになるだろうと思っております。景気の動向によって賃金が左右されるというのは、極力避けるべき職だろうと。安定した持続的な給与のありようというものをご検討いただければと思います。
 それから次に、管理職にならない人間のモチベーションをどう維持向上させるかということについても、ご配慮いただきたいなと思っております。行政職との見合い、あるいは民間との見合いでいっても、教育職というのは経験というものが、子供との関係、あるいは自分の授業実践、学級経営、あるいは親との関係でも、さまざまな場面に出くわして、それを乗り越えてきた、いい解決の方法を見出してきたという、経験がものすごく大きい職だと、私は実感としてもそういうふうに思っております。管理職にならなくても、50代の部分の教職員がモチベーションを維持して、専門性を十二分に発揮できるような給与システムの在り方というものをご検討いただければと思っております。
 それから、ワーキンググループの名前も教職員給与とあります。最近、学校の安全というものも非常に心配視されておりますので、安全点検や環境の整備等に携わる職員についても、併せてご検討をいただければと思っております。全体的な賃金の削減というのが大きな流れになっておりますけれども、例えば市単独の非常勤講師等々も、各県の最低賃金に照らしても非常に低い賃金で仕事をしている、逆に言うとなり手がない、そういう職を希望する者がいないというような状況もあるわけで、その辺も併せてご検討いただければ大変ありがたいと思っております。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました、ご協力くださいまして。短い時間で要領よくご説明いただきました。ご質問いかがでしょうか。どうぞ、小川先生。

【小川副主査】
 この会議での一つの論点は教職調整額と超過勤務手当の関係、どうするかという議論になるかと思うんですけれども、今日出た資料で、教職調整額の問題を扱ったのは7ページの最後のところにありますね。組合というスタンスからすれば、教職調整手当ではなくて、超過勤務の実態に合わせて時間外手当をきちっと出せというのが組合なんかの筋かなと思っていたんですけど。実際、ほかの組合員の、例えば全教なんかを見るとそうした方向性を出しているんですけど、日教組の場合にはそういうふうなことではなくて、教職調整額の今の仕組みを踏まえた上で、さらに勤務実態調査の実情に見合った増額という1点で要求するというような主旨で理解していいんでしょうか。

【日教組】
 はい。

【小川副主査】
 時間外勤務の管理、超過勤務の管理とそれに合わせた時間外手当を出すというお考えについては、今のところはないと理解してよろしいですか。

【日教組】
 教職員の仕事の特殊性というのが、教育公務員特例法が設けられたときの非常に議論になった点でございます。そういう意味でいきますと、今日的には子供の行動に臨機応変に対処するということが社会的な要請であるということが1点。そういう意味でいくと、極めて不確実性の仕事であるということが2点目。なおかつ、仕事について境界性がないということが3点目でございます。
 そうしますと、当時、教育公務員特例法を設けるときに人事院が勧告をした中で、その特殊性というのは今日でも重要性を増しているだろうという判断に至っております。ですから、勤務時間を明定すること自体が、教育職の場合は極めて困難であると。つまり、教育職の仕事はどこからどこまでかということを明確にする作業が、今の教育学の中でもなかなか進んでいないという現実がございますし、日本の教職員の働き方というのは、海外の教職員と比較すると、いわゆる教科外活動等に随分携わって、心身のストレスも抱えているという今の働き方から考えると、教職調整額の在り方というのは当を得たものではないかなということです。

【小川副主査】
 もう1つ、その点に加えて、今までは一律の手当支給がされていたんですけれども、前回と今回、いろんなヒアリングをすると教職調整手当の支給というのは体制を維持するとしても、従来のような一律支給は見直してよいというふうな意見がかなり多いんですけれども、それについては日教組はどのようにお考えでしょうか。

【日教組】
 一律の支給というのを見直すための論議というのは、当然だろうと思っております。ただ、公教育という形でいえば、できるだけ多くの教職員がどのような仕事ぶりなのかというところの、その平均値的な部分はきちっと担保していただきたいなと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、君島先生。

【君島委員】
 今回の見直しの中で、やる気のある教員が報われるメリハリのある給与という点が、盛んに言われているわけですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
 それからもう1つ、これにも関係するんですが、いわゆる免許更新制、この免許更新制を、メリハリのある給与体系に結び受けていこうとするような、そういう考えもある部分では言われているということについて、その辺も含めてどんなふうにお考えでしょうか。

【日教組】
 前提が公教育ですから、全員がやる気を持つのが当然なわけでありまして、私の場合は小学校ですけれども、やっぱり学年全体でチームワークよく仕事をしていくというのが最善な形であって、教員一人一人がやる気があるないということではなくてですね。実態としてそういうような人がいるという、それは理解しますけれども、公教育であるということからいって、全体が元気が出るといいますか、やる気のあるような給与ということであって、個々、一人一人を取り上げて、優秀な教員であるとかそういうことでの評価ということについては、あまり私どもは積極的には評価しないという立場でございますね。そのことも給与に位置づけていくということも、基本的にはあまり評価しないと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、渡久山委員から。

【渡久山委員】
 1つは、4ページの、52歳で昇給がストップするという10の図がありますね。これはどうしなくちゃいけないかという感じが1つありますが、それと同時に、そこにベテラン層のモチベーションって書いてますけど、昨今、主幹だとか、あるいはスーパーティーチャーだとか、あるいは新しく給料表を新しいショックとして新設するという考え方が出ているんですが、どう考えますかというのが1つです。
 2つ目は、5ページの実習教員ですね。実習助手といわれている、これ高等学校、あるいは寄宿舎もそうなんですが、非常に給料表が寝ているんですね。何年勤めても勤めても、ほとんど生活できるような給与になってないんですね。ですから、これの改善についてどういう考えを持っているかというのが2つ目です。
3つ目は、7ページの部活動手当です。これは1,700円、1,600円といって、ここにも書いてますように、地域の最低賃金の3分の1程度だというようになっていますね。これについてどう考えるかです。今、部活動の本務性も出ていますし、あるいはまた、その手当を上げるのか上げないのかというのも出ているんですけど、この3つについて考え方を聞かせていただきたいと思います。

【日教組】
 まず最初の君島先生のご質問に対して、少し補足をさせていただきたいと思います。私どもも、メリハリをつけるという問題につきましてさまざまな面から検討しました。そのときに必要なのが、今の教職員の働くモチベーションというか、どこから生まれてきているかということを調査いたしました。それが、先ほど書記長が述べました、民間との比較でございます。
 そうしますと、仕事そのものに意義を見出しているという教職員の特殊性がここにあります。評価制度については、昨今、いわゆる仕事そのものにやりがいを持つことから、金銭的報酬を是とするような仕事の仕方に変わっているじゃないかと。この点について、『虚妄の成果主義』と書かれた東大の高橋先生等からも随分ご批判がございます。そういう観点からすると、教職員の仕事というのは極めてやりがいを重視していると。だから、やりがいを重視している職員に対して金銭的報酬をつけるということについては、かなりの納得と合理性というものが担保されないと、金銭的報酬を求めて働く教職員の増加というのは、モラルハザードを起こす危険性があるんじゃないかということを危惧しているというのが、1つの理由としてございます。
 それから、渡久山先生からご質問がありました点につきましては、資料の10ページに、昨年、人事院が勧告しました給与構造の見直しを受けて、各都道府県人事委員会の連合体でございます全国人事委員会連合会が示した「教員給与に関する『参考モデル』給料表」を基に、なおかつ、査定昇給というのも全都道府県で実行に移されております。そういうふうに来ますと、メリハリの問題については、昨年の人事院勧告及び人事委員会勧告を受けて、かなり各都道府県では実行に移されてきていると。
 そういうのを前提にした上で教育職(三)表2級のイメージを書いたところ、常に標準評価であるC評価を得た職員は57歳で最高号俸に達してしまうと。若干、良好の評価、つまり、良好評価が生涯のうち平均してあるということを換算したときには、52歳で昇給ストップになってしまう。
 私どもの調査でも、中高年齢層のモチベーションが非常に下がっているという危惧を持っております。そうしますと、それを今の給与カーブ上でとめておくということは、中高年齢層のモチベーション並びに生活について極めて深刻な影響を及ぼしかねないということですから、本ワーキングにおいても2級の最高号俸が149号俸でモデル給料表上はとまっている。それは各都道府県の人事委員会勧告では伸ばしている県もございますけれども、全国平均するとそれは10県足らずということでございますから、そのあたりのことをご検討いただきたいということ。
 先ほど、新しい級を設けるということにつきまして、図の11に上位級の出現率を積算をしてまいりました。これは人事院勧告並びに文部科学省の学校基本調査を元に、国行(一)と教育職(三)表、(二)表のいわゆる上位級の出現率を見てみます。国行(一)の場合は上位級出現率が24.4パーセント、教育職(三)表の場合は10.8パーセント、(二)表の場合は8.8パーセントというように、上位級の出現率が落ちております。給与構造の見直しをやったときに職務職階制を強めるという構造の見直しの方向でございますので、給料表構造が単純な教育職においては、どうしても構造上、給与が上がらなくなるという問題点を持っておりますから、そういう賃金という面から上位級の格付並びに新しい級を設けるということについては、私どもの本日出しましたこのペーパーでも、その検討を私どもとして否定するものではないと。
 ただし、それに当たっては、学校運営組織の充実と伴って、どのような職が要るのか。つまり、新しい級の新設と職の創設というのは表裏一体のものでございますので、どういう職が今の学校教育に求められているのかということもぜひともご検討いただきたいという意味で、私どもが考える新しい職の在り方、並びに新しい職、新しい級を創設するに当たっての留意点等を6ページ等にまとめておりますので、ぜひとも参考にしていただければと思います。
 実習教員につきましては、今、学校の安全体制というのが極めて国民的な関心も高く、子供たちの安全が脅かされていると。そのときに、日常的に学校教育の中で学校の安全または安全な学校体制――それは学校の設備等も含めてですね、そのような職員が要るということは重要だということで、例えば現況の職員の問題等は学校教育に必要な職員であるということを一つ念頭に考えていただきたいということと、実習担当の職員につきましては、やはり免許を持っている職員もいますので、そうしますと2級への格付ということも必要ではないかなと思っております。
 また部活動の手当につきましては、ことしの全国都道府県の最低賃金も上がりました。最低賃金と比較しても2分の1以下ということなんですね。なおかつ、部活動を土日にやっている教職員は、子供の安全に対してやっぱり責任を持っているわけです。責任を持っている職員が最低賃金の2分の1以下で働いているという実態そのものが、私は、国民の皆さんに知られてないんじゃないかと。責任を持って働く以上はそれなりの手当が支給されてしかるべきだという考えに、今、立っております。

【田村主査】
 ありがとうございます。ほかにご質問ございませんようでしたら、次の方がお見えになっておられますので、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 次に、東京都人事委員会事務局任用公平部の任用給与課長恒松様から意見発表をお願いすることになっています。よろしくお願いをします。お忙しいところをありがとうございます。

【東京都】
 東京都人事委員会の任用給与課長をしております恒松と申します。

【東京都】
 同じく、副参事の渋谷と申します。よろしくお願いいたします。

【東京都】
 それでは、こちらのほうで教員給与の在り方の検討ということできょうお話をさせていただきますけれども、人事委員会につきまして、人事委員会の権限、それから給与との関連につきまして最初にご説明し、また給与、それから給料表の考え方についてご紹介をさせていただきたいと思っております。
 まず、お手元の資料の1ページでございますけれども、最初には人事委員会の権限、それから給与勧告の意義ということで若干ご説明をさせていただきたいと思います。
 人事委員会につきましては人事行政の専門機関ということと同時に、任命権者と職員の中立機関であるという、そういう立場で人事行政に関する主な権限を有しているところでございます。1つ目につきましては人事行政に関する研究調査、それから職員の条例に関する意見の申し出等を行っているところでございます。また、ここの4つ目、4としてございますように給与、勤務時間、その他の勤務条件に関し講ずべき措置について議会及び長に勧告すること、これが主な権限として与えられているものでございます。
 (2)として勧告制度ということがございます。今申しました4の給与等に関する勧告でございますけれども、人事委員会の給与勧告制度につきましては、労働基本権の制約を受けている公務員の利益を保障するための代償措置として役割や意義を有して要るものでございます。
 勧告について若干、この後、触れさせていただきますけれども、勧告制度の根拠につきましては地公法に定められておりまして、毎年1回、給料表の適否について報告、増減の必要があるときについては勧告することが適当であるとされているものでございます。
 (4)の給与の根本基準としましては、その際の適否の判断の材料になりますけれども、これも地公法で定められております。職員の給与については生計費、国及び他の地方公共団体の職員並びに民間の従業員の給与を考慮しなければならないということで定められており、これが人事委員会の適否の判断の根拠となるものでございます。
 (5)に勧告の考え方、東京都の人事委員会におけるこれまでの考え方をここに記載してございますけれども、都においては民間給与の実態調査を行い、これを勧告に反映させるということを行ってございます。民間の賃金に準拠させる理由として3のところに記載してございますけれども、民間従業員の給与については生計費、物価経済等の動向が反映されていること、また、全国的なレベルにおいても民間準拠の方式をとっているということで、都において民間準拠を行っているところでございます。
 2ページ目には勧告の流れというのを、概括の手順として、勧告の手順をここに記載してございます。勧告に至るまで、いわゆる給料表の適否でございますけれども、民間従業員の調査、これは国の人事院と各都道府県の人事委員会が共同して調査を行うという手法を取ってございます。またその調査結果と、それから一方で職員の給与の実態調査についても行っております。それをもって民間従業員と都職員の給与を比較して、その格差を求めて、それについて給料表を改訂する必要があるかどうか、また改訂するとすれば、その給料表を勧告するというような形を取ってございます。
 次に、3ページになりますけれども、給与決定に関する原則としてここに幾つかあげております。地方公務員の給与に関しては地方自治法、地方公務員法において、給与決定に関する原則が幾つか述べられてございます。こちらの第1回目のワーキンググループの資料にもございましたので、簡単に説明させていただきたいと思いますけれども、まず情勢適用の原則というのがございまして、給与それから勤務時間については、社会一般の情勢に適用するように適当な措置を講じなければならないということがございます。
 これと関連するところですけれども、その次の均衡の原則。これは、職員の給与については、先ほど述べたところですけれども生計費、国、他団体、民間従業員の給与を考慮して定めなければならないとされているものでございます。
 また、次の給与条例主義につきましては、法律に基づく条例により支給するとなってございまして、これは給与の支払いを保障するということが一つあるとともに、住民の代表である議会が制定するというようなことで、住民監視の元にその支給をガラス張りにするという意義がございます。
 次が職務給の原則でございます。職務給の原則について、給料は職員の職務と責任に応ずるものでなければならないと考えておりまして、同一の職務に対しては同一の給与ということが給与の原則の一つとなってございます。
 最後は平等取扱の原則ということで、給与決定、運用に当たっては不平等な取扱いがあってはならないとするものでございます。
 次の4ページ以降でございますけれども、給料表について触れさせていただきたいと思います。現在、東京都において定めている給料表につきましては、5ページから7ページまでに記載してあります給料表がございます。簡単に申し上げますと、5ページの一番最初については、事務や技術の職員が適用されている行政職(一)の給料表。行政職給料表(一)というもの。2番目は、機器の操作とか現業系の職員に適用される行政職給料表(二)。ハとしまして公安職給料表、これは警察職員及び消防職員が対象になってございます。ニは研究職の給料表。ホからトまでは医療職給料表関係になってございます。(一)については医師、歯科医師等。(二)については栄養士さんとか薬剤師。医療職給料表(三)については保健師とか看護師さんが対象になってございます。教育関係の給料表については、7ページに記載してありますように小・中学校の給料表、高校の給料表、それから高等専門学校の給料表を定めてございます。都でいいますと、10の給料表を定めているわけでございます。
 この給料表のそれぞれの違いを見ていただきたいと思うんですけれども、大きな違いとしては、それぞれ給料表が職種の違い、職務の種類に応じて給料表が定められておりまして、その中でも、ここに1級から9級とか1級から4級というのがございますけれども、級の数の違いがございます。級の数が多いものとしては、イにあります行政職給料表、それからこのページでいきますとハになります、3番目の公安職給料表ということがございます。それぞれ役職段階の数とか、あるいは公安職については階級の数。この役職段階、階級の数、それから職務の仕事の段階に応じて、このような給与の構成になってございます。
 一方、級の数が少ないものといたしましては、ロにあります行政職(二)とか医療職(一)、お医者さんの給料、それから教育職の給料表、この辺が級の数が少ない構成になってございます。それぞれ職務の種類、職務遂行の仕方の違いに応じて級の数の設定が違ってきているところでございます。
 7ページの教育職給料表のところをご覧いただきたいと思います。小学校・中学校の給料表、それから高等学校の給料表について、ここに1から4級までございますけれども、真ん中に特2級というのがございます。ここにありますように小学校・中学校の主幹の職務ということで、特2級というのが東京都では設けられております。これは平成15年より設けられたものでございますけれども、この級を新しく設置した意味を、若干ご説明させていただきたいと思います。主幹の職務につきましては東京都の教育委員会で、学校運営組織に新たな職として主幹を設けることが必要だというような方向性が打ち出されておりました。主幹の職務につきましては、担当する職務については教頭を補佐していく、あるいは教諭等の指導・監督する職として位置づけられたものでございます。それに対する給与上の措置が必要かどうかということについて、人事委員会としては、この職務の内容や職務の複雑さ、困難の度合いから、一般の教諭とは異なるものと認められるということから職員に応じた処遇を行うということで、2級と3級の間に特2級という新たな職を設けた経緯がございます。
 このように、級につきましては職務の種類、職務の責任の度合い等に応じて、級というのをこれまで設定してきているところでございます。給料表の級の考え方ということでご紹介させていただきました。
 こちらのワーキンググループについては、メリハリのある給与体系ということで、給料表の構造についても検討の対象になっていると伺っております。何かのご参考になればと思っております。また、きょうはペーパーを用意してございませんけれども、年功的な給与の抑制については、昨年それからことしにかけて人事院とか、あるいは各地方公共団体の人事委員会におきましても、年功的な給与上昇を抑制する、それから職務職責に応じた給与にするということで給料表の級構成の見直しとか、あるいは給与カーブ、昇給カーブ、これの見直しということを行ってございます。構造と同時に運用についても、勤務実績を給与に反映していくということで、昇給を定期昇給から査定昇給に変えていく、あるいは査定、勤務評定をボーナスに反映させるというような方法もとっております。そのようなことで、年功の見直しについては地方公務員全般的に見直されているということをご案内させていただきたいと思います。
 最後に、8ページに【参考】としてつけさせていただきました。今、前の日教組の方からもご紹介がありましたけれども、全国の人事委員会連合会の事務局を東京都が務めておりますので、全国の教員給料表についてご案内させていただきます。
 1つには、先ほどもありましたが、教員給与に関する国準拠制が廃止されたということがございます。そういうことの背景を踏まえて、各人事委員会の現況からすると、当面の間、各人事委員会が勧告に向けて参考にし得る具体的な指標としての給料表が必要となってきております。その関係もありまして、平成17年度におきましては全国人事委員会連合会がモデル給料表を作成して各人事委員会に提供するということを行ってございます。各人事委員会においては、そのモデル給料表を参考にしつつ、主体的に給料表を作成、勧告しているという実態にございます。参考までにですが、ご説明させていただきました。以上でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。大分、地方公務員の給与の対応が明快になってきたところでございますが、何かご質問ございませんでしょうか。どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 どうもありがとうございました。それでは、幾つか教えていただければと思います。
 1つは、人事委員会さんで勧告する場合に、人確法という法律があると。それは公務員の中での部内均衡にある程度影響するかもしれない法律だということなんですが、東京都人事委員会さんにおいてこの人確法の存在というのが、勧告の中において具体的にどのように影響しているのか。逆に言えば、人確法が廃止されたら、急に給与水準というものが変わっていくのかどうかということについて、まず1つ教えていただければと思います。
 それから2点目は、同じく、こういう国の審議会ですと、最終的には義務教育費国庫負担金の積算基準の話になっていくんですけれども、現在のところ、義務教育費国庫負担金というのは総額裁量制ということで配られているわけですが、義務教育費国庫負担金を決めるときにいろいろ算定の根拠として、給料はこうだという根拠の数字はあるわけでありますが、義務教育費国庫負担金の積算の在り方は実際の人事委員会勧告において何か参考にされているのか、それともまったく国庫負担金の積算というのは関係なく、人事委員会さんの論理として勧告を行っているのかどうかというのが、2点目のご質問でございます。
 それから3点目の質問は、2ページを拝見させていただくと、最終的には公民比較格差是正方式でしたっけ、東京都人事委員会さんは。結局、行政職と民間の給料の比較になっているわけで、最初の職員給与調査で行われている教育職の調査はこの比較には使われないということなんですけれども、結局、それはどこに使われるのか。要は部内配分ですね。部内均衡を考えるときに、結局、どこで部内均衡は判断されているのか。簡単に言えば、1ページ目に「総合的に勘案して」と書いてございますけど、具体的に、総合的にって何を検討されているのかということが3点目の質問でございます。
 それから4点目は、結局のところ、恐らく全人連でつくられているモデル給料表というものが重要になってくるのではないかと思うんですけれども、逆に言えば、モデル給料表をどのような総合的勘案で配分のときに決めているのか。今までの国法準拠の旧教特法の時代であれば、官民比較、公民比較をやって全体の配分率が決まったとしても、教員の改定は全部教(二)、教(三)に連動して自動的に決まっているので、その残りで配分しているというのが多くの人事委員会の勧告だったんですけれども、基本的にはこのモデル給料表で決まったものを前提に、先取り的に教員の給料表というのが決まっているのか、それともそれとは別途に、やはり部内配分というのをどこかで考えているのかということがちょっと影響してくるので、このモデル給料表というのは一体どのようにつくっておられるのか。
 さらに5点目は、このモデル給料表が実際の人事委員会勧告においてどの程度準拠されているのかということについて教えていただければと思います。すみません、ちょっと長くなって恐縮でございます。

【田村主査】
 よろしくお願いします。

【東京都】
 最初のご質問ですけれども、人材確保法が廃止になったらどのようになるかと。一番最初に一番難しい問題というふうに思っております。
 現在のところ、東京都においても教員の給料表については骨格、構成とかそのものについては国のこれまである給料表を元につくってきてございまして、今回、公民格差、行(一)の格差、行政職の格差に基づいて給料表を引き直すわけですけれども、東京都においてはモデル給料表の格差を使わずに行政職と均衡した格差を用いて給与の、結果として引き下げになったんですけれども、引き下げを行ったということになってございます。
 そういう意味では、国準拠、準拠すべき国の給料表がなくなったという事態はございますけれども、これまで現存する給料表については国に準拠した考え方に基づいてつくられていることがございますので、それをベースにやっていくということが一つ考えられるのかなと。また、新たに人確法にかわる、国準拠にかわる考え方が示されれば、それに基づいて教員給与については考えていかなきゃいけないのかなと思っております。
 それから2番目で、国庫負担金の積算等に関連するご質問ですけれども、一言でいいますと、それは給料表作成上では関連させておりません。これは行政職についてもそうですけれども、財政問題とは切り離して、先ほどの均衡の原則、生計費、国、他団体、民間ということを基準に給与の高さ、給料表の高さを決めているところでございます。
 それから3番目の行政の部内均衡というところでございます。先ほどちょっと申しましたように、考え方としては現存の給料表がベースということで、今のところ、平成15年までの国準拠でやってきたものがございますので、それをベースとして考えているところです。具体的には行政との格差といいますか、差については横目でにらみながらということはあると思いますけれど、基本的には現存する給与をベースに、どうこれから変えていくかというようなことで検討してございます。
 最後に、全人連のモデル給料表について、どのようにつくっているかということでございます。やはりこれも各団体、各地方公共団体で利用している給料表について、これまでの給料表については国をベースにした給料表というのがございます。それがベースになってございますので、そこから新しい給料表、皆さんの参考になる給料表という点について言えば、そういうベースは引き継がざるを得ないということでございます。モデル給料表をどのようにつくっているかということについては、ちょっと誤解を与えることになるかもしれませんけれども、簡単に15年までのように、人事院が仮につくっていたとしたらどのような給料表になるかというようなことを念頭に置きながら、モデル給料表というのをつくってきたところでございます。

【田村主査】
 以上でよろしいですか。もう1つ何かなかったですか。

【金井委員】
 具体的に東京都はこのモデルには従ってないと、最初に。それは特2級があるから、構造が違うからということなのか、それとも改定率が影響してくるからなんですか。

【東京都】
 とっていないということは、主には改定率の問題です。

【金井委員】
 改定率を反映させるために、このモデルを使って個別に積み上げていくと改定率は全然うまくフィットしないので、総額の部内配分が前提になっていると。

【東京都】
 はい。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。それでは、ご質問ございますか。

【金井委員】
 もしなければ、人事院がつくっていたらという仮定で、バーチャルなものとしてモデル給料表をつくっておられるわけですが、実際にこの作業をやっている方というのは、どういう方がやっているんですか。

【東京都】
 専門機関ということで、人事委員会の各委員会についても、内部にその携わってきた方がいらっしゃらないので、人事行政の専門機関というところに研究委託をしまして、そこから研究の成果を出していただくということで、その専門機関につきましては、人事院との関係が深いところで、名前は……。

【東京都】
 人事行政研究所というところです。

【金井委員】
 実は人事院のところにしかノウハウがないということでやっておられるということですね。わかりました。

【田村主査】
 よろしゅうございましょうか。前回、人事院のOBの方がご説明されましたが。

【東京都】
 そちらでございます。

【田村主査】
 そうですね。よろしゅうございますか。それでは時間でございますので、大変いいお話、ありがとうございました。お忙しいところをほんとうにありがとうございました。
 次に、全国の町村教育長協議会からご意見発表をいただきます。よろしくお願いいたします。

【町村教育長】
 こんにちは。本日はワーキンググループにお呼びいただきまして、ほんとうにありがとうございます。あいにく全国の町村で9月の議会が開催中でございまして、内田会長始め町村局長が出席できず、申しわけなく思っているところでございます。

【田村主査】
 どうぞお座りください。

【町村教育長】
 せっかくの機会でございますので、今回、内田会長の考えを読ませていただき、町村教育長の考えや願いをお伝えしたいと思っております。申しおくれましたけれども、私は全国町村教育長会事務局長の高橋毅でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
 初めに人確法の在り方について述べます。1つは人確法の必要性についてです。教育基本法第6条には、「……教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」とあり、人材確保法第1条には「すぐれた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的とする」とあります。
 法文を引用するまでもなく、教育は国家百年の大計であり、それを担う優秀な教員の確保は教育界の至上命題であります。人確法ができた時代もそうでありましたが、大量に教員採用が見込まれる時代が迫っている現在、人材確保法の存在意義はますます重要になってくると思われます。
 こうした法制上や教職員人事権移譲に関する課題、さらに大量に教員を必要とする時期に人材確保法は極めて重要な措置であると考えております。また、一定の教育水準を確保した教育を、国民に対して公平かつ安定的、継続的に保障するためには、本人確法は欠くことのできない制度であると考えております。
 2つ目に人材確保法による優遇措置であります。魅力ある職業として、人材を確保していくためには、優遇措置は不可欠なものであります。しかし、現在のように一律に優遇するという内容では、教員の士気に必ずしも反映しているとは言い難いところがあります。それぞれの職責、能力、業績などを考慮したメリハリのある給与体系づくりが必要であると思います。
 次に、教職員給与の在り方について述べます。1つはメリハリのある給与体系についてです。教員の能力や実績が適正に評価され、そのことが給与に反映されることが大切であります。特に、校長・教頭という管理職の責任が重いわりには、一般教員との格差が少なく魅力あるものになっていない状況です。校長と新規採用との給与差は、5~6倍あってしかるべきと思われます。
 また、神奈川県のように総括教諭制度、東京都でいいますと主幹制度を導入して、給料表上の位置付けを明確にしたところもあり、今後こうした具体例を参考に検討していくことが必要であると考えます。
 2つ目に教職調整額についてです。教員の勤務の多様性、特殊性を考慮したこの制度は、あまり論議されないまま継続されてきた経緯があります。4パーセントを超える勤務実態がありながら、一律支給ということもあって、議論を避けてきたという背景があるのではないかと思われます。昼休みに休憩時間が取れない、自宅に持ち帰る仕事量のこととか、教員特有の状況を考えると、包括的に考慮された現行制度は維持されるべきであると考えます。
 ただ、一律支給ではなく、勤務実態を把握して、現在調査中の勤務実態調査の結果を待って、それに見合う支給方法を工夫するなど、検討が必要であります。また、給与だけでは解決できない場合には、勤務条件も視野に入れた検討が考えられます。
 3つ目に教員特有の手当についてです。教員の勤務実態、職務内容等を考慮して、多くの手当が創設され、継続されてきました。しかし、時間の経過とともに、その使命を果たしたと思われるものや時代にそぐわないものも見受けられ、検討が必要になっています。この際、各手当の実情を把握し、必要性、支給方法等について検討していくことが大切であると考えます。
 終わりに、その他について述べます。1つは教員評価についてです。教員評価は手段であって目的ではありません。教員評価は、あくまでも教員の資質向上が狙いであり、適正な評価をすることによって、教員に意欲を持たせ、学校に活力を与えることであります。そのためには、評価は公平公正でなければならないし、それを給与に反映することは慎重でなければならないと考えます。
 次に学校の管理運営についてです。平成16年の3月に中教審は、「今後の学校の管理運営の在り方について」を答申しました。1つは地域運営学校であり、2つは公立学校の管理運営の包括的な委託の仕方についてであります。これについては、今後の検討課題であります。現在、学校が直面していることは、一人ひとりの子どものニーズや保護者からの負託にきめ細かく応えていくことであります。そのためには、今以上にニーズや課題の解決に向けて簡素で効率的かつ組織的な学校運営ができるよう組織整備を図るべきであると考えます。以上、会長の考えをお伝えいたしました。

【田村主査】
 ありがとうございました。何かご質問、いかがでございましょうか。どうぞ、細川さん。

【細川委員】
 裏の(2)の教職調整額のところで、給与だけで解決が困難な場合には、勤務条件等も視野に入れて検討が考えられるとあるんですが、具体的な何か検討項目があれば、そのことをお話しいただきたいという点が1点。
 それから、「3.その他の評価」のところについてなんですが、評価は手段であって目的ではないと書かれていらっしゃるんですけれども、評価は公平公正でなければならないし、それに給与を反映することには慎重でなければならないというところが、評価が手段であり公平公正であれば、給与に反映する手段としても有効に活用できるのではないかと思いますが、そのあたりはどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

【町村教育長】
 1点目の勤務条件のことであるわけですが、現在、職員が学校週5日制になる過程を通しながら、勤務の状況がさまざまに変わってきている経緯があります。そうした中で、例えば土曜日隔週に勤務をして、そして夏休みにまとめ取りをしたという経緯があるんですが、このときの教員はかなり生き生きしていたようにつかまえているわけでございます。5日制がいいとか悪いとかという論議ではなくて、かなり押し込められた中での状況がございまして、土曜日であろうと日曜日であろうと、さまざまなところでもって職員は子供たち、また地域の中で活躍しているわけでございます。そうした部分を、どこかでまとめ取りできないものだろうか、例えば夏休みにそういうのを蓄積してできないものだろうかとか、それから勤務日数が例えば5日間であるところを、少しどこかで削っていく方法があるんだろうかとか、また、時間・日数以外に、そうした手だてをする方法が幾つかあるのではないのかなということであります。
 ただ、教員というのは、子供がいるとなかなか休めないものでございまして、部活動で引率して出かけていって、次の日にその代休を取るかというと、それがまたできないものでございまして、そうした場合にでも、今申し上げたようなそういう勤務条件、勤務方法で何かやりくりができないものだろうかということでございます。
 それから2点目でございますが、教員の評価でございます。評価というのは、私ども、子供たちとやり取りしている中で、何が一番評価の中で難しいかと申し上げますと、人が人を評価するという状況で、いわゆる信頼関係のある中での人間同士の行ったり来たり、またさまざまな能力を発揮したり、それから実績を上げたりするということは、かなり信頼関係のあるところでは、その人の能力というのは相互に発揮される部分がたくさんあるわけでございます。これがそうでない、片方に何か違いがあった場合には、それがうまく発揮できないで、引き上げられないで、引き出せないでいる場合があるわけでございます。これは管理職と教師、教師同士、また、教師と子供という関係もそうなんですが、すべてそういうことがあるわけでございまして、そういう中でどういうふうにして業績等を評価していけばいいのかという部分になりますと、非常に難しい状況があるわけでございます。
 ですから、かなり大ざっぱなところで見ていくのが一番いいのかなと。でも、大ざっぱにすると非常に雑駁になって、逃げ道ができてしまったりする部分があるわけでございますが、基本的には、まずそうした信頼関係があることが大事でありまして、ないところでもって評価しますと、非常に評価のレベルが低い状況になってしまう部分がございます。そうしたところをどのように修正していけばいいのかというところが、かなり課題になっているわけでございます。以上でございます。

【田村主査】
 よろしゅうございますか。ほかにご質問は。どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 それでは教えていただければと思うんですが。
 せっかく町村の教育長会さんとしてのご意見ということで、きょうお伺いしている内容も、ある意味で都道府県の教育長さんでも言うかもしれないなというご意見があるような感じがするんですが、町村の立場として、特に給与に関する負担を負ってない、それから最終的な人事権を持ってないということなんですが、町村の立場からこの教員給与の在り方について、特別に町村の立場としてのご意見というものがあれば、その箇所を教えていただければというのが第1点目です。
 それから第2点目に、特に今関連してくるのは、恐らく給与に反映するということは、これは現在では都道府県の決定に影響してくることを、現場の市町村教育委員会を通じて評価が来たものをそのまま上げるということは、これは現行制度上、そもそもあり得ないことではないかと私なんかは考えておりまして、そういう意味で、都道府県教委側が現場でやられた給与の評価を、そのまま給与に反映させるなんてとんでもないと思うのは非常によくわかるんですが、むしろ市町村サイドととしては現場に近いということで、どちらかというと評価をそのまま給与に反映させるという、ある意味で市町村の教育の主体性、自立性を回復する一つの手段なのではないかなと思うわけです。しかも、市町村のレベルで完結すれば、先ほどおっしゃったように、より信頼関係とかも増し得ると思うんですね。それが都道府県まで全部一括してやってしまうと、だれがどう評価しているのかわからないところで給与に差がつくのでは困ると思うんです。そういう点から、3の(1)というのは、町村の立場としてどういうふうにまずいとお考えなのか、特に教えていただければと思います。

【町村教育長】
 十分把握しているわけではないんですけれども、いわゆる昇進の中でも、例えば大都市で島しょ、へき地を抱えているところと、それからそうでないところでは、かなりの違いがあるわけでございます。
 私ども、そうでないところを対象に考えておりますと、例えば管理職手当が、16パーセントだったものが14パーセントに落ちていたり、それからまた一方に、町村だから物価が、生活の程度が安く生活できるから、給与は低くてもいいだろうというような状況もあるわけでございます。現在の場合、そこに行ったり来たりする職員というのは、そう長くいてくれるわけではない状況がございまして、やはりある一定の水準の給与は出していただければということでございます。
 また町村として地方分権が進展してまいりますと、今でもそうなんですが、さまざまなところで、いいところはいい、そうでないところは、停滞していれば下がってしまうかという、何か絶対値があって、いいところが上になってくるとこっちは下がってくるような、そのような圧力を感じているようなところがございまして、教育はそうあってはいけないなと。いいところはよくて、それで進んでいいんですけれども、私どもも一定のところは確保したいなというところがございます。町村として、大きく申し上げるとそんなようなところでございます。
 あともう1つ、評価を給与に反映する部分のところなんですが、教員そのものを時間と金で計算したら、かなり教員が自分の職務を遂行するのに、私はやりにくくなりはしないかなと考えるわけでございます。それは、ある一定の金額をいただいて、それで生活の保障がされて、そして思う存分子供たちとやり合いながら、またよりよい教育をするための努力をしていきながら、お金ではない部分で教育をしている部分が、教員たちにはいっぱいあるわけでございます。それが教育の原点の部分ではないかなと思うわけでございます。
 いわゆる児童理解、また子供に対して愛情を持って指導するという部分は、お金では部分。だからあまり細かく、あの先生がこれで、この先生がこれでと、こういうふうになってくると非常に難しくなってしまいますし、子供がそれを感じたときに、あの先生は高いから信頼していいんだとか、あの先生は低いから信頼できないんだとかということになってしまいますと、これは大変なことになってしまう。いわゆる教育ができなくなってしまう。
 例えば学校の中でこの先生にレッテルが張られたら、その先生はどんなにいい授業をしていても、なかなか認めてもらえない部分がたくさんございます。早くいえば、場所を変えればいいんですけれども。そうした部分というのは、ある程度、大まかであってはならないかなと。ですから、一律に即お金ということじゃない。例えば相談授業も、今はかなり多くなってきております。子供と、また親ともかなりやり取りをしなきゃならない部分もあります。じゃあ、1時間あれしたら幾らですかということになったら、とてもじゃないけど、恥ずかしくてそんなこと言えるわけありません。
 ですから、どこかがバックでそういうことは担保していただいて、そのことについて先生は全力をあげて子供たち、親たちと一緒にやりながら、子供を育てていくというのがいいかなというわけでございます。
 なんとか教師たちが思い切って教育に携われるような、そういう給与体系であってほしいなと思うわけでございます。これだけやったからこれだけ上がるんだという、そういうふうなじゃないほうが、私は教育というのは成立するのではないかなと思うわけでございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、特にご質問よろしゅうございましょうか。よろしゅうございますか。それではどうもありがとうございました。

【町村教育長】
 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

【田村主査】
 それでは引き続き、休憩前にもうお一方お願いしたいと思います。全国高等学校PTA連合会からの意見発表でございます。よろしくお願い申し上げます。

【高校PTA】
 よろしくお願いいたします。全国高等学校PTA連合会の会長の藤井でございます。座ったままで失礼します。

【田村主査】
 どうぞ。

【高校PTA】
 私どもは全国会員240万人、そして学校が4,500校ほどあります。公立高等学校を中心に、それから一部私立、そして特殊教育諸学校も入っている団体でございますが、先ほどから各団体の方々が、実際の教職員給与の在り方についての具体的な現場での立場という切り口の中でお話しされていることが多いわけでございますが、私どもはPTAという立場で、あるいはPTA活動の面、それから家庭教育、社会教育、そして学校教育という面から、改めて教員としての先生方の状況を考えるということでお話をしたいと思います。
 要旨に関してはこの3枚で出ておるわけですが、あと添付資料が2つほどございます。いずれも全国高等学校PTA連合会での調査に基づくものでございます。
 まず、私どもPTAといたしましては、教育というものは国家百年の計と言われるように、明治維新から第二次世界大戦の復興の時期には、ほんとうに日本の教育の果たしてきた成果ははかり知れないものがあったと思うわけです。教員の人材確保法ができた昭和49年の時代と、今の子供たちを取り巻く環境というのは非常に変わってきていると思います。改めて、教員の方々の処遇というものをしっかり今日風に考えていく必要があるのではないかということを、お話しさせていただきます。
 結論から先に申し上げますと、昨年も義務教育費国庫負担制度の問題もございましたが、そういった財政危機の観点からの人材確保法の見直しという切り口での短絡的な廃止論というものには反対と考えるわけでございます。
 まず初めに、今の子供たちの状況ということで少しお話しさせていただきたいと思います。まず1番目ですが、子供たちの規範意識、それから価値観の多様化といったものは大人の社会と連動しておりまして、そういった意味で、大人の社会の変化に合わせて子供達の教育も迅速に対応する必要があると思います。
 資料の青い表紙のものでございますが、「平成17年度 高校生の心身の健康を育む家庭教育の充実」というものでございます。これは、平成15年から毎年、私どもが全国の高校生に対してアンケートを取っているものでございます。その時代の子供たちの意識状態、生活態度といったものを調査しています。これは高校2年生、大体6,000人を対象としているわけでございます。8ページの図1でございますが、これは出会い系サイト、援助交際、薬物使用、万引き、暴力、それから自傷行為、これはリストカットもボールペンで突くこともございますが、それらリスク行動と言われるものの頻度です。こういったデータを見ると、非常に時代が変わってきているなと思うわけでございます。特に気になりましたのは万引きで、私たちが思う以上に非常によく行われていまして、男子でいうと16.5パーセント、女子が12.2パーセント。それから自傷行為は、リストカットを含めて、女子は10パーセントと多いですね。100人いれば10人リストカットするわけです。男子は5.3パーセントです。
それから、9ページの図3でございます。性経験があるかどうかということでは、男子が19.0パーセント、女子が23.5パーセントということでございます。
 それから、性関係の容認についてが9ページの図2にございます。子供たち、特に男子は81パーセントが、高校生が性関係を持つのは別にいいんじゃないか、75パーセントの女子もいいんじゃないかと容認するわけでございます。
 しかし、親たちはどうかというと、父親は、性関係の容認ということに関して14パーセント、母親は4.5パーセントということでございました。大変なディスクレパンシー(不一致)がある。つまり、こういうような状況の中で、もっと親たち、大人が子供たちとかかわり合う必要があるのではないかと思います。
 昔は、家庭で子供たちを育て、地域で子供たちを見守り、学校でしっかり先生も指導していきました。それを改めて強調する必要があるの。と同時に、大人たちも価値観だとか道徳観、あるいは人間的な心のつながりというものを、これはPTAも含めてでございますが、しっかり考えることが大切です。そういう時代であるからこそ、なおさら学校教育の重要性は高まるのではないかという意味で、改めて学校の先生方の処遇ということを考えていただきたいというのが、最初に申し上げておくことでございます。
 それから2番目に、学校・教師の役割と責任ということでございます。ともすると、学校の先生方というのは大変なバッシングを受けるわけでございますが、果たしてそれが本当に学校の先生のせいなのか。日本という国は、諸外国と比べて、学校の先生の力が落ちているのかどうかといいますと、どうもそれは、大人たちが自ら棚上げして学校の責任、あるいは教師の責任にしているのではないかということでございます。改めて考えてみますと、先生方は特に学習指導、生徒指導、進路指導、部活動指導もございます。社会へ出ていく子供たちを見守るという指導もいろいろあるわけで、今日ますます多様性を求められ、いろいろな意味での技術、あるいは資質というものの向上が求められるわけでございます。そういった中で、先生たちは非常に頑張っている。
 この青い資料の44ページの問23の6と、45ページの問23の7がございます。先生のことについて子供たちに質問しました。「あなたの話を聴いてくれる先生がいますか?」。「はい」と言った高校生が、男子生徒が46.6パーセント、女子生徒が47.5パーセント。それから、「あなたをわかろうとしてくれる先生がいますか?」、男子学生は30.4パーセント、女子学生は29.7パーセント。このパーセンテージが低いか高いかはちょっと別として、子供たちはやはり先生たちを頼っているということが、こういう時代でも言えるのではないかと思われました。子供たちも親も、先生の子供たちとのかわり合いをやはり求めているんです。先生方たちの役割、責任というものを考えて、私たちは期待を含めて、それに見合うだけの給与というものを確保する必要があるのではないかというのが、親として当然考えることではないかと思うわけでございます。
 さて、3番目に移りますが、人材確保法の精神の堅持をということでございます。先ほどからも話がありましたように、実質的に2.76パーセントのアップに過ぎないというような考え方を私たちは持っています。
 資料も見ていただきたいんですが、これは「高校生と保護者の進路に関する意識調査」で、先生という職業をどう見ているかというのが21ページにございます。将来、高校生が希望する職業のランク2位が教師ですね。しかし、次のページを見ますと、就きたくない職業のランク3位も教師なんです。彼らの意見を聞いてみますと、就きたくない理由は「とてもツラそう。給料とか割に合わなそう」「自分のような人に教えていくのは、自分ではできないから」選ばないといった意見がございました。子供たちも先生たちの仕事が大変だと思っているわけでございます。
 そういったことを含めて、ほんとうの意味でのメリハリのある給与体系、あるいは職責、職位を考えた細かなものを考えていただきたいと、PTAとしては思うわけでございます。
 先ほども評価するのは難しいということがございましたが、学校での授業だけでなくて、PTAの活動だって、私たちは先生方を必要としているものでございます。そういった意味で、先生方の給与を考えるに当たり、メリハリがあり、しかもきめ細やかな対応の中で給与体系を考えていただきたいと思います。大変長くなりましたが、ありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。それではご質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、ご質問が出る前に一言。高等学校と義務教育のそれぞれの先生方の違いというのは、何かお感じになっておられますか。

【高校PTA】
 そうですね。私は特に富山という地方から出てきておりますので、ちょっと東京のほうとはニュアンスが違うのかもしれません。高校のほうがいろいろな意味で、学校によっての雰囲気が違います。専門的なことをもっと突っ込んで教えたりするので、専門性という意味では教員にとってはちょっと難しいのかなと思います。それから、今の高校生というのは、ある意味では小中学の子供のような行動をとったり、また、ある意味ではティーンエージャーと言われる若者が抱えるような問題もよく起こしますので、そういった意味で非常に幅の広いことを教えなければいけないというのが、高校の先生には大変じゃないかなと思っています。

【田村主査】
 給与にも差があるようですけれども、その点については何かご意見ありますか。

【高校PTA】
 その辺は私のほうも細かいところはわかりませんが、ただ、専門性という意味の中で、最近の先生方のすることは非常に分化されてきていて、現在、職責によって4段階の給料表しかないのかもしれませんが、もっと細かく考えるべきではないかなということを考えています。

【田村主査】
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 最後のページの教職調整額のことなんですが、そのことよりも、ここにも書かれていますように部活動など、学校にとっては非常に大事な活動の一つなんですが、部活動に教員が当たっていて非常に大きな超勤、超過勤務になっているんですね。その辺をどう考えていらっしゃるのか。部活動をどうしたほうがいいと思われるか、保護者の立場で。これが1つ。
 もう1つ、PTA活動は教員にとってはボランティア活動だということで、非常に遺憾に思うと書かれていますね。これはPTA活動について教員にどういうことを期待、あるいはしてほしいというような感じを持っていらっしゃるんですか。

【高校PTA】
 まず部活動のほうでございますが、私は実際、現場で働いているわけではないので、その辺のところも詳しくわかりませんが、二、三、聞くところによると、結局、ある程度通常の勤務時間内であれば、部活動というのはその中に含められるんですが、それ以外の時間帯、土日のことに関しては、実際のところは超過勤務としての届けをしないでやっているという先生方が非常に多い。それから、部活などで遠征したりいろいろ子供たちが行きますが、それについていくことにしても、ほとんどそれは教員のプライベートの時間を潰してということでも、時間外勤務としてしっかり請求してないのではないかなというところが多かったと聞いております。その地区、地方によってはちょっと違うのかもしれません。
 それからPTAに関してでございます。これは地方に多いと思いますが、私どもは、例えばある教科を強化していこうということになった場合には、先生方とPTAが一緒になって補講として取り組むという姿勢がございます。これは高校とPTAが学習という面について一緒にやっていくということで、単なるPTAだけのイベント行事じゃなくて、教育の中でお互いに役割分担をしてやっていくものです。これに関しては、校長先生を中心に先生方全体が一生懸命やってくれます。そういった意味で、先生方もおつき合い的なボランティアではありませんし、PTA活動はお遊びだというニュアンスで思われるのもまことに遺憾でございます。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、細川先生。

【細川委員】
 先ほどの学校への期待というのが、子供の多様化ですとか子供の問題の多様化という面で高まっているというのは、小中も共通している課題ではあるんですけれども、高等学校として先生方に期待をする親の気持ちとしてをお聞きしたいんですけれども、例えば教科も含め、勉強も含め、あるいは生活指導面ですとかカウンセラー的な精神面のフォローとか、そういう専門性の面でより高い能力を持った方がそれぞれそれに当たるということで、幅広い人材を学校現場に求めていらっしゃるのか、それとも、先生はある程度マルチで対応できるような能力の方を学校教育の場に求めていらっしゃるのか。高等学校のP連としてはどういうことが考えとしておありなのか、お聞かせいただけますか。

【高校PTA】
 少し意味合いがわからないんですが、少なくとも高等学校における一つ一つの学習面、科目における教育というのは、その子供たちに見合って、同じクラスの中でもそれぞれ習熟度別にしっかり教育してほしいというのがございます。そういう意味ではプロというものを要求します。ただ、その人たちがそれだけでいいのかというと、全人的な教育の中で、その人の熱意、人格、いろいろなものを含めて全体的なものを要求しております。英語もできて、国語もできて、社会もできるなんていうような、それをマルチとおっしゃるのであれば、そんなことはまったく求めているわけではございません。
 これから巣立っていく、自分たちで自立していくとき、ある意味では高校というのは一つの区切りになります。将来の進路、あるいは自立していく子供たちをしっかり育てていくという、高校はそういう場面ですし、そういった意味で期待が高いわけでして、先生はマルチというよりも、ほんとうに人間性と熱意が大切で、その上で教科に対する専門性もしっかりとお願いしたいと思っています。

【田村主査】
 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。それでは、どうもありがとうございました。これで午後の1部が終わりまして、ここで5分間ほど休憩を取らせていただきます。次は何時から?

【小幡専門官】
 30分ぐらいから。

【田村主査】
 それでは、2時半ということでよろしくお願いしたいと思います。

(休憩)

【田村主査】
 それでは時間になりましたので、午後の議事を再開させていただきます。お疲れのところでございますが、もう一息でございますので、よろしくご協力のほどお願いしたいと思います。では最初に、全日本教職員組合からのご意見をちょうだいします。よろしくお願いいたします。

【全教】
 全日本教職員組合の副委員長をしております新堰といいます。
 本日は、教職員の関心が大きく、また子供と教育にも深くかかわる教職員の給与の在り方について意見表明の機会を設けていただいたことに、まずお礼を申し上げたいと思います。
 教員の勤務実態調査にかかわってですけれども、言うまでもなく、給与は勤務に対する対価であり、給与の在り方を検討する前提は教職員の勤務実態を踏まえることです。今回、40年ぶりに教員勤務実態調査を実施し、調査対象教員数延べ6万人、しかも持ち帰り残業を含む24時間の生活を対象に行われれていることを私たちは高く評価し、調査結果に注目しております。今後の検討の重要な基礎的資料として活用されることをお願いします。
 ところが、教員勤務実態調査が始まる矢先に、歳出・歳入一体改革の策定の中で、財務省の強い圧力があったとはいえ、財務省と文科省の間で、教員給与の優遇2.76パーセント削減で合意がなされたことは、極めて遺憾に思っております。なぜなら、メリハリある給与体系が本ワーキンググループの検討の一つに挙げられておりますけれども、民間企業において成果主義を導入したところも、「人件費隠れみの型」は失敗していると言われているからです。
 次に人材確保法の必要性、教員給与水準の確保についてです。今日では教員採用試験の競争倍率が高まり人気職種になっているから、人材確保法の必要はなくなったとの主張がありますけれども、競争倍率は採用数と受験者数に左右されるものです。今後、教員の大量退職期を迎えており、その動きが全国に先駆けて起こっている東京都の教育委員会も、新卒の受験者数が飛躍的に伸びることが期待できない状況にあり、「競争性の低下によって、優秀な人材の確保が困難となってしまう懸念が生ずる」と分析しており、私たちは人材確保法の意義は失われていないと思っております。
 教員は教員免許状が必要な職種であり、教育公務員特例法の適用を受け、1年に及ぶ条件付採用期間など、一般行政職と法制度上の扱いが異なっております。職務給の原則を無視して、ただ機械的に給与だけで教員と行政職員を比較することでは筋が通りません。
 公立学校の教員給与の国準拠性が廃止となり、各都道府県で主体的に決定できることになりましたけれども、私たちは、公教育におけるナショナルミニマム確保と「同一労働同一賃金」の原則に基づいた全国共通の標準的な教員給料表・諸手当が必要があると判断し、モデル給料表の策定を求めてきました。ところが、自治体の財政事情による地方公務員給与の独自削減が広がり、さらに総務省では「地域の民間給与をより適正に反映させる」ことを強く求めております。このような状況のもと、教員給与が地域間でばらばらとなり底割れする危険があり、教職の専門性を担保する教員水準を維持する上でも人材確保法の堅持が必要と考えております。
 教員給料表の体系、在り方などについてです。中等教育学校が設立され、小中学校と高等学校教員の学歴差や職務の困難などにも大きな違いは認められず、高校教員給料表と小中学校の教員給料表を、実習教員・寄宿舎指導員に適用されている1級を中心に抜本的に改善する中で格差を是正することを求めます。
 教員の場合、新採用者であっても、「教諭は、児童の教育をつかさどる」職員として、子どもたちや保護者からは、一人前と扱われます。専門職として初任給を大幅に改善するとともに、教職としての経験と専門能力の向上を考慮し、ベテランの教職員の適正な賃金を保障する賃金体系とすることを求めます。その際、ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」の給与にかかわる諸条項を参考にすべきと考えております。資料としてつけておきました。
 また、増大する臨時・非常勤教職員の処遇改善が急務となっており、劣悪な賃金を大幅に引き上げるとともに、教職員の職種間の賃金格差を拡大しないことが大事だと思っております。
 時間外勤務手当、教職調整額の扱いについてです。「教育困難」が増大する中で、教材準備、生徒指導、部活動指導など勤務時間を超えて頑張っている教職員が多数います。しかし、こうした実態があるにもかかわらず、給特法においては、教員の「職務と勤務の特殊性」に基づいて労基法37条に基づく時間外手当の支給は適用除外となっており、このことを不服であるとして訴訟も起こされています。時間外手当の請求を棄却した札幌地裁判決に関して、会計検査院のある専門調査官の方は「判旨に賛成」しておられましたけれども、その解説の中で、「限定4項目に該当しない時間外手当等勤務が常態化しているとしたら、その事態は違法な状態であると考えざるをえない」と指摘しておられます。
 教職員の長時間過密労働はますます深刻化しており、いのちと健康の面からも、違法なサービス残業状態は速やかに是正されるべきと考えております。私たちは、給特法を改正し、測定可能な時間外勤務には、労基法37条に基づく時間外手当を支給すべきと要求しています。ただ、時間外手当制度では、管理職の事前承認と事後確認が要件となっており、私たちの組合員の中にも教員の自主的自律的教育活動が妨げられるのではないか、などの危惧の声もあります。また、持ち帰りの仕事の扱いはどうするのかなどの疑問の声もあります。これらを踏まえ私たちは、学校職場にふさわしい超過勤務時間数の把握方法などを工夫すべきと考えます。
 現行の教職調整額4パーセントとの関連については、「教育行政が教員の時間外勤務に対する割増賃金支給に踏みきり、労使交渉の進展の中で支給対象業務が拡大するに伴って、教職調整額のあり方と水準を見直すことはありうる」という立場で、今、討議を深めております。教員に時間外手当制度が適用されたとしても、測定不可能な時間外勤務に対する措置として教職調整額は存続すべきですが、その支給割合は、時間外手当の支給対象業務のカバー率がどうなるか、確保される時間外手当の予算が勤務実態に見合って十分かどうかによって、最終的に決まっていくと考えております。
 いずれにしても、労基法37条が適用除外となっているため、学校職場では管理職・教職員とも勤務時間の概念が希薄となっており、教員への時間外手当制度の適用は、働き方の意識と態様を見直す画期的な契機となるに違いありません。
 最後にメリハリのある給与体系についてです。日本経団連の経労委報告などでも「何よりも従業員個々人が、自ら課題を見つけ出し、目標を設定し、方策を考える力、それを実行する行動力を持たなければならない。さらに、チームワークを尊重する気風をつくり、あらゆる職場でリーダーシップを発揮する人材が必須である」と述べ、そして、「日本企業では従来から職場の中で『普通の人』たちが、この役割をまじめに果たしてきたことが強みとなってきていたのであり、今後とも、その大切さが減じることはない」と述べています。
 そういう意味で、私たちは成果主義・業績主義による人事管理は、民間企業においても、マスコミで明らかなとおり、問題点・矛盾点が顕在化しております。「子ども参加、父母共同による学校づくり」の中における評価そのものを否定するものではありませんけれども、学校教育の成否は教職員のチームワークにかかっており、職の新設に伴う級の増設など評価結果による賃金・処遇への連動は行うべきではないと考えております。
 最後に、教職員の生活を守り、誇りと働き甲斐が持てる教職員賃金の実現を心から要請し、結びとさせていただきます。どうもありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、ご質問のほうよろしくお願いいたします。小川先生、どうぞ。

【小川副主査】
 2ページのところに時間外勤務手当と教職調整額の扱いがかなり踏み込んで提言されています。このワーキンググループでもこの間、いろんな団体からヒアリングをこれまでしてきたときも、やっぱりこれが1つの大きな論点としてクローズアップしてきているんですが、ほかの団体の多くは、超過勤務が管理できて、それに見合った時間外勤務手当が支給できるという、そういう仕組みが現実のものとして構想できるのであれば、そういうふうな考え方は原理としてはあっていいと思うけれども、しかし、現実的に教員の超過勤務がどこからどこまでとか、その管理をする体制というようなことを考えるとかなり難しいのではないかということで、これまでの教職調整手当の支給、それを実態に則して増額せよというような、そういう主張の団体がかなり多かったんですけれども、それに対して、今日のお話はそれとは違ったスタンスで提言されています。具体的に測定可能な時間外勤務と言ったときの測定可能な時間外勤務というのは、具体的にどういうふうな職務、仕事を想定されているのかということと、あと、その超過勤務の時間の把握の仕組み、体制というのをどのようにお考えかというのを、何かお考えがありましたらお聞かせください。

【全教】
 では、今の問題についてお答えします。私たちは、勤務時間外制度が適用されればすべて問題が解決すると思っているわけではありません。というのは、今日の財政状況から考えると、勤務時間のための予算がどれだけ確保されるかはっきりしないからです。しかし、それでも私たちはこの制度を入れたほうがいいと思うのは、先ほども言いましたけれども、時間外手当の制度がない結果、教職員の中に勤務時間という意識が非常に希薄で、平たく言えばダラダラ勤務する。学校に長くればいいというようなところがあるのではないか。今の、命や健康にかかわるような深刻な状況を考えると、そういう意識と働き方を変えるためにも、メリハリある勤務をするためにも、今ここで使われた言葉で言えば、私たちは必要だと考えております。
 同時に、勤務時間の把握方法が、学校職場は一般業種と違って幾つかいろいろ困難があると思っています。当然、時間の把握をしなければならないわけで、先ほども言いましたように予算の制約がありますから、私たちは、学校の先生が自己申告したものをすべて時間外勤務手当の対象になる、そんなことを考えているわけではありません。ですから、予算の関係もありますけれども、例えば職員会議だとか分掌会議だとか、それから研究発表の準備だとか、みんな学校で共同してやっていて時間把握できるようなものから、まず適用していくという方法もあるのではないか。困難なものについて言うと、例えば家に持ち帰って教材準備するようなものは、これはなかなか時間管理にはなじまない、困難ではないか。だけど、いろいろ私たちが議論している中ではテスト用紙を持って採点するとか、子供たちの生活ノートを家に持ち帰って採点して、その成果物が翌日管理職によって確認できるようなものはグレーゾーンになるのかなという議論をしているわけで、繰り返しになりますけれども、一挙にすべて勤務時間手当で解決するわけじゃありませんけれども、導入に踏み切ることは、さっき言ったように働き方を見直す意味で有意義だというのが、私たちの考え方です。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 今のこととかかわって、部活動の時間というのが超勤として大きな要素だと思うんですね。特に土曜、日曜日あたり、対外試合等で引率していっても、結局、振替休日で取るということはなかなか難しいですよね。だからこれを今の中に、果たして部活動というものを超勤として計算し得るということになるかならないか。それともう1つは、今、部活動手当が1,600円とか1,700円ということが各県で出ているわけですが、その問題についてどう感じられているか、これが1つですね。
 それから、メリハリのある給与体系というのはここでも今議論しているところなんですが、給与表上の問題について、これは反対だというお話ですけれども、そうであれば、手当という形のものになっていいのかどうかですね。ただ、これは問題は、同じ財源でやったときには、1人優遇したら、1人は必ず冷遇されるんですよね、同じ財源であればですね。そういう状況もありますから、この辺についてのご意見を聞かせていただけませんか。

【全教】
 今ご指摘あったように、部活動の問題というのは古くて新しい、学校の大変な問題です。まず、時間外手当の対象にすることを前提として、職務ということできちっと位置づけるかどうかという問題があろうかと思います。この問題については、職務として位置づけられると嫌だ、今、自主的にやれるから希望でやっているんだという先生も現実におられるんですけれども、今、委員ご指摘のように、時間外手当にするとかきちっと振りかえを行うということを考えると、職務ということに位置づけなきゃいけないのかなと思います。ですから、職務ということに位置づけることになれば時間外の対象になり得るわけですけれども、今その問題については、にわかに結論は出しておりません。
 それから最後のメリハリのところについては、ちょっとよくわかりません。ですから私たちは、時間外手当の適用を求めているということは、当然、勤務時間を超えて働いている人と勤務時間できちっと帰っていく人については、当然、給料に差が出ることはあり得ることだと考えております。そういう範囲ではメリハリが出てくると思います。

【田村主査】
 どうぞ、君島先生。

【君島委員】
 今の件に関連してくるかと思うんですが、先ほど、同一労働同一賃金というお考えを披瀝されたわけでありますが、2ページの下のほうになりますが、長期研修の受講者に対して東京都が2パーセントに減額しましたよと。これに対して、これは問題あるんじゃないのという書き方かなと。

【全教】
 いえ、そうでは……。

【君島委員】
 そうではなかったですか。

【全教】
 この問題。ここではそのことは一切触れておりません。

【君島委員】
 そうですか。では、その辺のお考えをお聞きしたいと思いますが。長期研修の実行者ですね、不適格教員に対して、この2パーセントも多すぎるんじゃないか、ゼロでいいんじゃないか。つまり、一般の教職員と違う勤務形態になっているので、ゼロが当然だろうという考え方もあるわけですね。その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

【全教】
 私たちは、東京都教育委員会が長期研修などを受けている人の問題で、4パーセントを2パーセントに減額したことについては批判しております。その理由は、時間外手当を適用しないで、教職調整額4パーセントで包括的にやるんだ、法律の趣旨はそうなっているんだといって、時間外手当の問題を放置したままその4パーセントを減額したことを批判したのであって、先ほど言いましたように、時間外勤務手当制度を導入して、さっき言いましたように予算化されてほぼ教員の時間外がそれでカバーできるとなれば、教職調整額は限りなく4パーセントからゼロに近づいていくというふうに考えておりますので、その中でその問題も解決されていくだろうと思います。
 念のために。ほんのちょっとだけ制度は入ったけれども、予算がほとんどつかないと。前より一層サービス残業というか、それが広がる状況で4パーセントをなくすことは反対ですけれども、どれだけカバーされるか。他の団体の意見などでも一番懸念されているのは、制度が入っても、一体、時間外手当の予算がどれだけ確保できるかということで、皆さん懸念されているという意味では、私たちと同じ認識だと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。それではどうぞ。

【箕浦委員】
 2ページの最初のほうの、給料表の体系のあり方なんですけれども――5行目ぐらいですか――専門職として初任給を大幅に改善することは必要だということは、水準的なところは私もよく存じ上げないんですが、少なくとも優秀な方を採用するという点での一つの材料としては、必要なところもあるかと思うんですけれども、傍らで、ベテラン教職員の適正な賃金を保障する賃金体系ということも確保すると。水準的な問題からすると、生涯賃金ということからすると、これは海外と比べても少し寝た賃金体系がいいでしょうということなると思います。そういったことになると、今の水準より下がること自体は、これは差し支えないというふうにお考えの部分があるかどうか。いわゆる初任給ベースで水準を上げると、寝たカーブにしますと、一定の水準を確保しますということからすると、それを一定の財源の中で言えば、今の最終的な賃議というものが高いんだということもその中には含まれた是正をしなければ、実際はできないんじゃないかなということは一つあります。そのことについてのご意見を。
 それから、そういった中で、やはりモチベーションをきちんと持っていくためには、先ほど職務手当でというようなお話もあったかと思いますが、それぞれの皆さんの評価というんですか、役割に応じて行われた成果というものに対して、評価をしたメリハリをつけるということによって、一定の水準を優秀な方たちには持ってもらいたいというものを確保するということが必要だと思います。それも評価についての賃金連動を行わないということになると、非常にモチベーションが低下するんじゃないかと思いますが、その辺についてのご意見をお願いします。

【全教】
 では、前半の問題について手短に言うと、イメージしているのは欧米型というか、初任給の分が高くて、その後、比較的寝る形を考えております。ですから、初任給も高く、かつ行政職のああいうのをその上に乗せようということじゃなくて、専門職ということから言うと、初任給が高く、寝ていくような、そういう体系がいいのではないかと考えております。
 2番目の後段にお話しされたことについては、私たちも、一般的に努力した者が報われるというのは当然だと思うんですけれども、今の考えられている評価とかかわるものは、努力した者みんなが報われるわけではありません。そこでは、努力した人、頑張った人もみんな必ずその中で選ぶということになりますので、それが必ずモチベーションにつながるかどうか。先生たちのモチベーションの一番大もとは、やっぱり子どもたちの、「できた」「やった」という、そういう歓声こそが一番のやる気を起こしている大もとではないかと私たちは考えております。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、以上でよろしゅうございましょうか。どうも、先生、ありがとうございました。
 次に、全日本中学校長会様からの意見発表でございます。よろしくお願いいたします。

【全日中】
 全日本中学校長会給与対策部長、阿部と申します。よろしくお願いいたします。

【田村主査】
 どうぞお座りください。

【全日中】
 本日はこのような場を与えていただきましてありがとうございます。それでは、全日本中学校長会を代表いたしまして意見を述べさせていただきます。資料11、レジュメに沿ってお話しいたします。
 教育は人なり、また国の繁栄は人にある、そういうふうに思います。厳しい財政状況の中ではありますが、いかに教育に力をそそぎ、いかに教育に優秀な人材を確保できるかが、日本の将来を大きく左右すると考えます。現代社会の動きの根本は経済の合理性である。人もやはりよい待遇を志向します。崇高な志ある者が、低待遇でも教職を志望することを期待するのは現実的ではないと思います。今や景気を回復しつつある大企業を中心に、優秀な人材が民間へとなびいています。教育の危機と受けとめております。現在の財政状況や5年先、10年先のことではなくて、50年先、100年先の先を見据えた国家戦略として慎重に結論を導いていただきたいと思います。教育はまさに国家百年の大計であると思います。ぜひ給与制度改正が教員の質の低下、ひいては公教育の質の低下を招くことのないように、切にお願いいたします。
 4点述べさせていただきます。まず1、給与は勤務実態に即したものとしていただきたい。教職調整額の部分でございます。現在、文部科学省では教職員勤務実態調査を行っています。4月には試行調査がありましたが、その折の結果では、教員の超過勤務の1日平均は3時間強という結果が出ています。しかも、昼食時間も給食指導のため、労働基準法の趣旨にも反する長時間の連続勤務をしているのが実態です。4パーセントの調整額は、勤務実態に比べはるかに低いものであると思います。
 全日中では、昨年の教職員配置等のあり方に関する調査研究協力者会議において、教諭一人当たりの授業時数の軽減を視野に入れた教員定数の増員と見直しの必要性を主張いたしました。これは学校週5日制、総合的な学習の時間への対応や新しい業務の増加、昨今の安全対応や地域対応などの業務の増加のため、授業時数や授業準備や生徒と直接かかわる時間の確保が困難になってきているとの理由によるものです。ところが、第8次教員定数改善計画の凍結、それから教職員定数の純減などにより、教員一人当たりの業務量は今後さらに増大する方向にあるかと思います。教員は授業や生徒指導が主たる業務であるため、合理化可能な業務は非常に少ない、そういうふうに思います。
 2点目。教員給与は職責に見合う魅力あるものとしていただきたい。人確法に関することでございます。教員の給与は給与の高低を論じるとき、免許を有しない一般行政職との比較は論になじまないと思います。教員給与は免許を有する専門職に見合うべきものである、人材確保法の精神もそこにあるかと思います。教員は人づくり、ひいては国づくりを担っている。大学で専門科目を学び、教育実習を経て免許を取得し、採用試験、県によっても違いますけれども、半年から1年の仮採用期間を経て正式採用、そして今回新たに免許の更新制が導入される、これは教員の職務に対し高い専門性が求められている、そういうふうに受けとめていただいていると思っております。教員免許の取得が一層困難となることがこれから予想されますが、その中で優遇措置をなくすということは、優秀な人材の教員志望の減少につながると思われます。
 人材確保法制定時、教員は確かにかなり優遇されていたと思います。32年が経過し、現在、一般行政職よりわずかに優遇されていますが、学歴、職階制、退職金、退職後の処遇などを考慮に入れると、実質的には既に逆転しているとする考え方もあります。こういう実態が今後明らかになっていけば、教員志望者の減少は免れないと思います。
 次に、メリハリのある給与体系でございますが、これはぜひ人材確保法堅持の前提で、それから教員体系の見直しに当たっては給与総額を増やす方向で、ぜひ行っていただきたいと思います。教員給与全体を下げる中でメリハリをつけていくと、多くの教員が一般行政職より低い給与となる、そういう可能性があるかと思います。そのようなことになれば職責、それから勤務実態に比べ、非常に理不尽な待遇となり、大きく士気に影響し、学校力の低下を招くことがあるかと思います。いわゆるメリハリをつけるに当たっては、ミドルリーダーの育成の観点や担当する職務に応じた処遇の観点に立って検討していただきたいと思います。
 それから教員評価との連動が言われておりますが、これについては各都道府県の実態がそれぞれ違いますので、実態を踏まえた上で慎重に検討していただきたいと思います。
 それから最後に、管理職の処遇についてお話をさせていただきます。現在、教育管理職は教育者として、また経営者としての資質と職務が求められています。数年前と比べ、あるいは十数年前と比べて人事考課や評価、その他多くの職務・職責・責任が倍増して、長時間勤務をやむなくされ、激務となっています。ところが、給与や、特に退職金では一般教員とほとんど差がない実情があります。特別支援学校の教諭、手当がついているそういう教諭と比べると逆転現象も起きております。このままでは管理職志望者がどんどん減っていくことが懸念されます。全国的な調査はありませんけれども、現実に管理職志望者が、ほとんどというとオーバーかもしれませんが、非常に不足して悩んでいる都道府県は少なくありません。
 昨今、家庭・地域の教育力が低下し、学校に大きな負担が強いられています。家庭及び地域社会との対応にも、管理職が中心の役割を果たさざるを得ません。管理職の職責はまさに重責と言うにふさわしいと思います。それに見合う処遇があってしかるべきかと思います。
 以上、全日中ではこの8月に全国都道府県校長会の意見を集約してこのヒアリングに臨みました。全国の校長会の意見は非常に熱く、厳しいものがあります。財政主導の今の教育施策に非常に強い危惧を抱いております。その思いをうまく伝えられたかわかりませんけれども、ぜひワーキンググループの先生方のお力で日本の教育がよい方向に導かれますよう、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。ありがとうございました。

【田村主査】
 ありがとうございました。それではご質問のほう、お願い申し上げます。いかがでしょうか。どうぞ、本城先生。

【本城委員】
 仮にの話ではあると思うんですけれども、例えば人確法が廃止されましたといった場合に、教員志望する学生が減る、ないしはあまり優秀ではない学生が教員を志望するようになった場合に、学校現場の中、もしくは教育委員会のいろいろな研修の中で、入ってきたときには優秀ではない教員をある程度そこそこのところまで持っていくような、いわゆる学校現場での研修というか、OJT的なものはできないものなのでしょうか。それともそれは可能でしょうか。

【全日中】
 全くできないということはないと思います。今でもやっているかと思いますが、今回、メリハリというようなことが言われた陰には、一つは指導力不足の教員の問題とか、そういうのもあるのかなと思っております。ただ、やはりその辺の問題を考えるときに、採用の時点で資質の低い教員が採用された場合には、かなり指導力を上げていくことには困難があると思います。例えば、今の状態でも仮採用1年ということがございますけれども、その間に、あるいは1年終わったところで退職者が結構出ております。これは自らか、あるいは「君には向かないよ」というような働きかけなのかはっきりしないところはあるんですが、いずれにしても採用の時点で、今の時点でもなかなか難しい。そういう教員を引き上げていくというのは、かなり労力が要ります。研修は大切ですし、やっていかなければなりませんが、研修をするということは、実際の業務を離れてやるわけですからその時間の保障も必要になってきますし、自分がカバーする、あるいはほかの人がカバーする、長時間の研修についてはそういうことも考えなければなりませんので、かなり困難があるかなというふうには思っております。

【田村主査】
 どうぞ、渡久山先生。

【渡久山委員】
 2ページ目の、いわゆるメリハリですね。それでミドルリーダーの育成が非常に必要だと。それに見合う処遇をしてほしいということですが、この処遇という場合、手当で処遇をする場合と、それから給料表をつくるという場合がありますね。どちらを選んだほうがいいと考えられますか。これが1つ。
 その下に、教員評価との連動は、これは慎重に検討してとありますね。たまたまそういう可能性、あるいはそういうことがあるかもしれませんけど、それはなぜ慎重でなくちゃならないか。以上でございます。

【全日中】
 まず、ミドルリーダー養成に給料表か手当かというのは、かなり難しいところがあると思いますが、今、東京都では主幹制を敷いております。そのような形でミドルリーダーの育成を図っていく、あるいは、そこの下に書いてありますが、慎重にと申し上げましたけれども、そういうような面。あるいは顕彰制度とかそういうことでミドルリーダーの育成を図っていく――お金の面でですね――それはあり得ることだし、難しい面はないわけではないんですが。と思います。
 難しい面はと申しましたのは、給料表を変えた場合に、選考というようなことが考えられるかと思うんですが、なかなか選考を受けたがらないというようなことも現実には起こっております。というのは、よく、教頭になりたくて管理職試験を受ける者はいないというふうに言いますが、中間管理職で終わるようなことを希望して試験を受けることはそんなにないかと思います。やはりトップへいって、管理職になるからには力を発揮したいというような気持ちがあって、管理職を志望するようなことが多いのかなと思います。
 そうしますと、ミドルリーダーとトップと、人数を比べても、なかなかトップまで行き着くのに人数的には難しいということがございますので、私どもも後輩を育てたり、あるいは勧めたりするときに、この先生はトップまで行き着くかなというようなことも考えながら勧めることはございます。ですから、現実に選考という形でやった場合に、要するに受験する人材がそれだけ数が集まるかという危惧はございます。ちょっとお答えになっているかどうかわかりませんが。
 後半のほうを申し上げます。教員評価との連動がどうかというお話でございますが、実は校長会での意見集約の中でも、かなり地域差がございます。人事考課制度、あるいは業績評価等がかなり進んできている地域もございますので、そういう地域については特に反対意見は出ておりませんけれども、まだまだうちの県では時期尚早であるというようなご意見も少なくなく、ございます。ですから、その辺についてはあまり強引にやることなく、都道府県の実態に沿ってゆっくりと進められるような形を取っていただけるとありがたいなと思います。

【田村主査】
 ありがとう。どうぞ。

【新田委員】
 失礼します。全国の校長先生方、全日中の先生方の意見の集約ということで、この文章の中をもう少し掘り下げてお聞きしたいんですけれども、(1)の給与は勤務実態に即したものにしていただきたいというところで、勤務実態に比べてはるかに低いものであるということは、この会の中でもいろいろそういう意見は出たんですが、では、勤務実態に即したものというのであれば、4パーセントより上のものもおれば、極端にいったら0のものもつくるという意見もやはり出てきていたのかどうかいうことが1点。
 もう1点、2ページ目なんですけれども、メリハリのある給与体系の導入については人材確保法の堅持が前提とあるとなっていますが、人材確保法の堅持が行われたとして、じゃあ、メリハリのある給与体系はどんどん推進していくべきであるのかどうかというのが、この文章からははっきり見えてこないので、そのあたり、どういう意見が出たか。多分、1つには集約できないと思うんですけれども、教えていただけたらと思います。

【全日中】
 まず、4パーセントのほうの件でございますが、4パーセントに満たない超勤の教員というのは極めて少ないかなと。4パーセントというと1日に20分弱になるかと思うんですが、極めて少ないかと思っております。これは今、文部科学省さんのほうでも勤務実態調査されていますので、どの程度の超勤をしている教員がどの程度のパーセンテージで存在するのかというのが明らかになるかと思いますが、そこでご判断いただければよいのかなと思います。現実に超勤の量についてはかなり個人差があることは確かです。ただ、今申し上げました重複になりますが、ゼロと非常に多い部分を、どういう形で超勤を計るのかわかりませんが――タイムカードになるのか――なかなか難しい点があるのと、重複になりますが、やはりゼロはいないだろうな、4パーセント以上がほとんどだというふうに私は思っております。少なくとも自分の学校はそうです。
 それから、見えてこないとお話しになりました人材確保法でございますけれども、メリハリでございますが、この辺は非常に難しい問題がありますね。全体的な意見集約の中でということで問いかけがございましたので、申し上げますと、メリハリは必要であるという意見は7割ぐらいでございます。いろんな部分で問題があるというのが、その逆、3割弱でございます。それが現実のところでございます。ただ、その中の意見は千差万別でありまして、メリハリの部分を超勤でやれ、それから担任手当で、あるいは給料表でと、いろいろございます。ただ、全日中としては主幹等の中間管理職というんでしょうか、給料表を分けていくのは、ある程度はやむを得ないと思っています。ただ、異動の問題もございまして、教科で動きますので、行った先でどうなるかとか、いわゆる給料表と主任と整合させるのかどうかとか、その辺については非常に問題があるかと思います。いわゆる警察なんかで、同じ署長でもいろんな階級があるとかございますが、そういうことにするんだろうか、どうなのかなというのは、難しい問題があるなと思っております。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 管理職の処遇の改善の方法なんですけれども、現在の教育職の別枠での給料表ですと、部内バランスを考えるとかなり難しいと思うんですが、現実的に中身を拝見させていただくと、大体、行政的な仕事が増えてきているということなので、これは行政職の給料表のほうにどこかに格付れば、学校の大きさとか職務に応じてかなり柔軟な対応が可能になると思うんですけれども、管理職について、教育職給料表から分けて行政職給料表のほうに位置づけるというのは、どういうふうにお感じになるでしょうか。

【全日中】
 考えてもいませんでしたのでお答えしにくいんですが、ここでお答えするとすれば、優遇につながるとすれば、そういうこともあり得るかなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。それではどうぞ。

【細川委員】
 2ページ目、裏の面のメリハリのある給与体系の導入というところで、給与総額を増やす方向でいっていただきたいというのがあるんですが、これは生涯賃金というレベルでの給与総額ということなのか、それとも校長職とか教頭職の給与総額ということなのか、それぞれの年次での給与総額を全体として上げるということなのか。こういうご時世の中での議論で給与総額を増やすということには、それなりの根拠がないと難しいことだと思うんですが、ここで大ざっぱに書かれている具体的な内容を教えていただきたいということ。
 もう1つ、管理職だけではなくて、職務に応じた処遇ということを考えていくと、ポストを与えられ、それに伴った処遇を与えても、その人がそのポストに見合った能力を発揮するのかどうかは、必ずしも全ての人がそうではないと思うんですね。そうなった場合に、例えば簡単な話をすれば、校長先生の中にもいろいろな能力の差がかなりあると。それは本質的なことから、もう少し努力をすればという部分までいろいろあると思うんですけれども、そうなった場合に、やはり何らかの能力評価がないことには、そもそもメリハリということには結びつかないんじゃないかと思うんですが、それでもなおやはり評価ということを給与などに反映していくということには慎重というお考えでいらっしゃるんでしょうか。

【全日中】
 まず、全体の給与ということでございますが、これはやはり人確法が制定されたときには何パーセントということではなくて、かなりのものがあったかと思います。それがだんだん一般行政職と近づいてきて、今を迎えているかなと思います。これがなんでこういうことになってきたのかというのは、はっきり言ってよくわからないですが、もしかすると私どものPR不足もあったのかななんていうふうにも思っております。職責の重さを十分に認めていただいてないのかなというところが、はっきり言ってございます。ですから、お答えするとすれば、生涯賃金ということでございます。
 それから、メリハリと能力給、業績給のことでございますが、これは流れからいって、今、校長のというようなお話もございましたが、決して反対とかいうことではございません。慎重にというのはやめてくれということではございませんので、その辺はご理解いただきたいと思います。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、そろそろ時間ですが、よろしゅうございますか。
 じゃ、ちょっとお聞きしにくいんですけれども、行政職給与でもというお返事でしたが……。

【全日中】
 これ、よくわからないんです。申しわけないです。

【田村主査】
 そうですか。それに関連しまして、民間校長についてはどういうふうにお考えでございますか。

【全日中】
 刺激にはなったなと思っております。私どもは教育者ではあるわけですが、経営者としての欠けていた部分があったんだろうと。その部分での刺激にはなったと思っておりますが、私自身は、校長も経営者だけではなくて、教育者であるべきだろうと思っております。よろしいでしょうか

【田村主査】
 ありがとうございました。3分の1ぐらい民間にしようというご意見もあるものですからね。

【全日中】
 はい?

【田村主査】
 3分の1ぐらいの人を民間校長にしろというご意見もあったものですから。

【全日中】
 ああ。どうなるんでしょうか。(笑)

【田村主査】
 ありがとうございました。お疲れでございました。ありがとうございました。
 では次に、日本高等学校教職員組合からのご意見をちょうだいすることになります。よろしくお願い申し上げます。

【日高教】
 本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。日本高等学校教職員組合の中央執行委員長を務めています小林と申します。高校・障害児教育諸学校の教職員の立場からご意見を申し上げさせていただきたいと思います。資料を用意させていただいていますので、資料に沿いながらお願いできればと思います。
 まず、人材確保法のあり方についてでございます。(1)の人確法の必要性ですが、1としましては、教員の職務は一般行政の職員と比べまして非常に特殊性が高く、かつ時代の変革とともに多様化しているということが言えると思います。特に高校の現場では、進学率が向上しまして生徒が多様化し、社会構造の変化によりまして、従来の職務に加え、進路指導、生徒指導と多岐にわたっております。本来家庭で行われるべき教育の一端も担っているのではないかという指摘もございます。
2につきましては人確法の効果でございます。これまで言われているとおり、効果は確かにあったと思いますが、制定された当時と時代背景は非常に変わってきておりますが、人確法に記されております目的は、制定当時と何ら変わらないものであると思っております。
3、4は都市と地方の採用の実態の違いを書いております。それぞれ状況は違いますけれども、人確法は必要であるというようなことで考えております。
 以上のような理由から、人確法は必要であり、引き続き堅持されるべきであると思います。
 (2)人確法による優遇措置でございます。まず1、2で、ことし6月23日に自民党プロジェクトチーム、財務省、文科省で合意されました2.76パーセントの縮減につきまして、お話をさせていただきたいと思います。人確法の廃止も決まっていないのに、歳出削減のために一方的な縮減ということは全く理解できないところでございます。私たち公務員の給与は、労働基本権の代償措置として人事院勧告制度のもとで決定されるものと考えておりますが、説明責任が全くなされておらず、一方的な削減ということは全く理解のできないところでございます。
3から6に関しましては、教員の特殊性について書かせていただきました。教員の職務は人を育てるという点で非常に特殊なものでございます。児童生徒の健全な育成という、極めて重い責任を担っております。近年は児童生徒の安全確保、多様化する保護者への対応など、本来の教科指導以外にも仕事が増加している、教員の職務が際限なく広がっている、同時に責任の度合いも高くなっているという傾向がございます。
 また、教員になるには教員免許を取得しなければなりません。私事でございますが、私、農業の教員なんですが、単位取得は他の学生と比べて非常に大変でした。40単位以上余計に取らなければならない。授業、実験、実習の単位を取る必要がありまして、最初、80人ほど私の科で教職課程を履修した者がいるんですが、最後には四、五人になってしまったというようなことがございます。極端な例かもしれませんが、こういうことから見ても大変さがわかるのではないかなと思います。
 また、免許の更新制も現在、検討されておりまして、10年で更新できなければ職を失うような可能性もあるということで、希望者は減っていくのではないかと危惧されるところでございます。
 さらに学校現場でございますが、いろんな経験を持った人、また年齢もさまざまな教職員がそれぞれ個性や特性を生かして、友好な人間関係の中で学年・教科・分掌等を単位としました「チーム」として教育を行っております。それが非常に重要なことでして、一部の教職員のみをこの人確法の中で優遇するということは、学校現場の実態、教育そのものを考えて、決して好ましいことではないと考えております。
 以上の観点から、職務の責任と特殊性を給与に反映させるためには、人確法による優遇措置は必要であると考えます。それには格差を設けず、一律であるべきと思っております。ただ、人確法による措置とは別に、教員評価制度に関しましては、制度の導入と運用については慎重でなければならないと考えますが、制度そのものを否定するものではございません。
 続きまして2ですが、教員給与の在り方で、(1)メリハリのある給与体系でございます。まず、1と3について説明させていただきます。現在の給料表は4級制になっておりますが、ほとんどの教員、特に高等学校の教職員は管理職登用率に差がありますので、生涯2級のままで終わる場合が多い状態でございます。今年度から給与構造改革に伴いまして賃金カーブがフラット化され、高齢者の給与はほとんど上がらない状況になっております。賃金改善が人事管理上、有効な方策であることを考えれば、給与表を抜本的に改正する必要があると思います。あと、義務制と高校の給与表の一本化というような考えもあるかと思いますが、先ほど申し上げましたように管理職登用率の差があること、教科指導の専門性の違いを考慮すれば、一本化は避けるべきであると考えます。また、中高一貫教育校もありますけれども、特殊な例でございますので、運用で対処すべきであると思います。
2でございますが、参考までに、私たちの組織内で議論しました教育職給料表の標準職務表を載せさせていただきました。別表をつけさせていただきましたので、ご覧いただければと思います。
 今後、免許更新制が導入されれば、更新によりまして教員の質は保証され、経験や研修の積み重ねによって職務遂行能力は向上し、職責は高くなると考えます。2級から5級は同じ教諭という立場でございますが、免許を更新した結果、職務上上位に地位づけられるのが妥当であるとの考えに基づき、作成をしております。2~5級につきましては特級というのが設けられておりますが、同じ級でも校務分掌等で係の主任ですとか学科長ですとか学年主任など、上級位の特級の教諭、または管理職の指導のもと、各担当におきましてリーダー的な役割をする職務として位置づけを考えております。
 (2)の調整額でございます。1から3をまとめて言わせていただければ、行政職と異なりまして、教職員は時間外の職務管理ができないと考えております。例えば、放課後または昼休みですが、生徒がわからないことを質問に来まして、「今、勤務時間外だから」とか「今は休憩時間だから後にしてくれ」とは、なかなか言えないと思います。また、突発的な事故、または問題が頻繁に起こるような現状もありますし、また部活動なども日常的に時間外実施をしております。そのための超過勤務手当は必要と思います。
個人的に時間の差はあると思いますが、平均すれば4パーセント以上の時間を実施しているのではないかなと思います。もし仮に時間管理ができたとしましても、超過勤務の時間に合わせて行政職と同等の水準で支給することになれば、現在以上の原資が必要になることが避けられないのではないかと思います。原資が不足しまして、超勤手当の支給が頭打ちで抑制されるというよりは、現行の制度で一定率支給するほうが、現場の職員の理解は得られるのではないかと考えております。
 (3)教員特有の手当でございますが、これ、3と4のみ説明させていただきます。部活動の手当についてでございます。部活動は教育的に非常に有効なものでございます。多くの教職員が熱心に指導しておりますが、児童生徒、保護者から信頼を得ております。一方、部活動中の事故で指導者の監督責任が問われることも、最近、目立ってきております。指導者に対する適正な手当を確保するというのは、非常に重要なことだと思います。また、指導者の人材確保の観点からも、このことは重要だと考えております。
 また、週休日の部活動にかかわる交通費が、現在、支給されておりません。場合によっては高速を使って学校に来るというような方もいますが、そういった方の高速代、燃料費が出ていないという実態もございますので、その辺は考慮いただければと思います。
その他に関しまして、教員の評価でございます。1から5に関しましては、教員評価は恣意的な評価にならないことが、まず重要だと思います。教員の資質・能力・モラールの向上及び学校の活性化が得られなければならないと考えております。教員評価は非常に難しい部分が多いと思いますが、その処遇への反映は、きちんとした評価制度の確立が大前提となると思います。処遇への反映に関しましては4原則(公平性・客観性・納得性・透明性)2要件(評価の本人への開示・苦情処理対策)を具備したものでなければならないと考えております。また、評価者の研修とか資質向上も合わせて行っていかなければならないと考えております。この件に関しましては、導入を否定するものではありませんが、拙速は避け、慎重な対応を求めていきたいと思っております。
 次に(2)学校の管理運営についてです。1.教員の給与の在り方のところで触れましたが、教員の免許の更新制の導入と関連づけまして、10年を目安に、勤務成績が優秀で研修等にも自主的に参加している教員は、1つ上の級に格付けする方法が考えられるのではないかと思います。そのことによりまして士気が高まり、結果的に学校運営がスムーズになるのではないかと考えます。
2ですが、私たちの考えている3級から5級につきましては、これは中間管理職というような位置づけとしてではなくて、学校運営が円滑になるよう、十分な研修または経験を積んだ方の、調整役といいますかリーダー的な存在としての位置づけとして考えております。
3を飛ばしまして4ですが、現在、学校5日制が導入されまして学力低下などの指摘を受けまして、学校教職員を取り巻く状況は大きく変化しております。それに対応して勤務管理を検討する必要があると思います。現在、土曜日に補習をしている高等学校が、かなりの進学校ではございます。週休日に勤務した場合、現在は手当で補っているところと、それを割り振りを取れるように休める環境をつくっているところがございますが、我々の立場からすれば、直近で休める環境をつくることが大切であると考えます。ただ、授業とか、他の校務分掌もこなさなければなりませんのでなかなか休みづらい環境がありますので、定数改善等を求めまして、代休が取れるような環境をつくっていただけたらと思っております。また、どうしても取れない場合には、それなりの手当が必要ではないかと考えております。また、部活動につきましても、東京都のように管理運営規則を変えて、公務として位置づけることも考える必要があるのではないかと思いますが、るる問題も考えられますので、この辺に関してはもうちょっと慎重な議論の必要があるのではないかと思います。
 最後にパソコンの導入ということで、6に書かせていただきました。自治体によっては、行政職に関しては1人1台パソコンが導入されております。教員に関しましても、数県では導入されている県もあるとお聞きしますが、ほとんどの県で個人へのパソコンの導入はされていない現状です。パソコンを導入していただければ、学校運営が今以上に効率化されると考えますので、そういったことも考えていただければと思います。以上でございますが、どうぞよろしくお願いします。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは、ご質問のほどをお願い申し上げます。いかがでしょうか。どうぞ、金井先生。

【金井委員】
 済みません。大変興味深いお話を伺いました。1つは別表に出ている教育職給料表で、組織内でのアイデアというので大変興味深く拝見させていただいたんですが、これを見ますと、実質的には12級制度ということですよね。事実上、ランクが12個に分かれると。これは行政職と同じくらいの級の数、あるいは一般の行政職よりむしろ多いくらいなんですけれど、ここまで細分化すると、行政職給料表を適用しても、適正な格付さえ行えばほぼ問題ないのではないかという印象を持つんですけれど、その点についてどういうふうにお考えなのか、一つお教えいただければと思います。
 それから2点目は、また標準的な職務を拝見させていただきますと、どちらかというと免許更新制とかと関連させているので、職務給原則というよりは、公務員制度改革でつぶれた能力等級制の考え方に近いのではないかと思われるのですけれども、そこら辺の格付を違える論理ですね。通常、今までの教育職給料表の考え方ですと、同じ担任なのにランクが分けられるかというのが非常に単純な議論で、職務が同じなのにもかかわらず級、格付が違うというのは、要は松竹梅じゃないですけど、うちの担任は低いけれど隣の組は高いと、そういうことを認めるということになるんですが。そういう職務給の概念からいくと、多段階に分けるのは非常に困難であると考えられてきていたんですけれど、そこら辺は能力等級的な、あるいは免許によって理屈を変える、つまり、職務給の原則をある意味逸脱するといいますか、変える趣旨なのか、それとも、依然として職務給の原則に従って、仕事の中身は違うんだというふうなお考えなのか、そこら辺をちょっと教えていただければと思います。

【日高教】
 まず最初の1点目の、行政職の給料表ということがございましたが、現在、教員の俸給表は国ではつくられておりませんで、行政職をまた引き直してつくっているのが現状だと思いますので、そういう可能性もあるのではないかと考えております。ただ、そのときにも人材確保法の趣旨は反映させるような形で引いていただければと思います。また、細かい部分は、私どもも人事院ではございませんので細かい部分はわからないところがございますが、そういった可能性もいずれはあるのではないかというようなことで考えております。
 あと能力等級制の云々とございましたけれども、確かに職務給というよりは、能力等級制の概念のほうが強い形にはなっているかと思います。同じ担任なのに級が違うというのはおかしいじゃないかということでありますが、子どもたちの前ではだれも教諭なんですね。教諭という形は同じ。ただ、教諭の中でも、学校の中で十分経験を積んでいる先生というのは、同じ学年にそういうベテランの先生がいれば、指導的な役割をするということは今でもございますので、そういった面では、あまりこの辺は難しく考えてないんですけれども。こういうことで能力等級的な発想でもいけるのではないか。10年間という十分な経験を積んで、あと自主的な研修をさまざま積んでいるというのは、その人の職務遂行能力にかかわってくることだと思いますので、そういう面ではこういう制度もあっていいのではないか。また、免許更新制を受ける動機づけが一番大きいのではないかなと考えています。今現在検討されていますような、30時間20単位の講習を受けるという、ただそれを受けるだけで更新されるというよりは、10年間のスパンでさまざまな自主研修を受ける。また、必要な研修は、これはやらなきゃならないと思います。法律が変わったですとか、教育課程が変わるということで、必要なリニューアルは必要だと思いますが、それ以外の件につきましてはやはり自主研修を評価して、それで1個上に上がるということであれば、教員の研修する意欲というのは非常に上がるのではないかなと考えておりますので、一般国民からの信頼も得やすいのではないかなと考えています。

【田村主査】
 ありがとうございました。どうぞ、君島先生。

【君島委員】
 ただいまの最後の件に関して、昇格の条件として免許更新というのを考えておられるわけですけれども、日高教というのは職員団体という、そういう立場があると思います。そういう立場からいったときに、免許更新というのは現場の職員にとって大変な負担になる部分があるわけであって、特に現職もまた更新していかなきゃならないということがうたわれているときに、その辺のところ、この制度について日高教として、今、一部お話は伺いましたが、もう少し、どうお考えなのかを端的にお話しいただければなというのが1つであります。
 それから部活動についても、先ほど説明の中でちょっと触れられたのでありますが、東京都では管理運営規則を改正して校務に位置づける方向だと。今、学習指導要領の中でもあいまいであるというその辺で、日高教としては部活動のあり方というか、きちんとした位置づけをするかしないか、その辺についてどのようにお考えなのかを聞かせてください。

【日高教】
 まず最初に免許更新制でございますが、日高教としましては、現場に負担と混乱を来すということで、これまでは慎重な対応を求めてまいりました。しかし、指導力不足教員ですとか不適格教員等の問題等もございまして、保護者などから見れば信頼が揺らいで、その信頼を担保する必要があることは認めざるを得ないのかなと考えております。免許制度として現職に入れるのは不利益変更ということもございます。しかし、この信頼を回復するために、この制度を受け入れることもいたし方ないのではないか。
 教員は、職務遂行のために積極的に研修を受けることが認められております。官製研修が今、主任ですとか、5年、10年、20年というような節目でございますし、そのほかにも各自の判断や、管理職からの指示によって受けているものもございますが、自発的な研修というのを積極的に認めていただいて、10年間というスパンの中で、それぞれ研修を受けたものが更新の評価になれば、そんなに現場にも負担にはならないのではないかなと。例えば20単位ということであれば、10年で割れば1年間で2単位程度でございますね。それぐらいでしたら、担任を持ちながらでもそんなに負担にならないのではないか。現在考えられているような、2年間で20単位というような形ですとかなり負担になるし、そのとき逃したら、今度、免許を失うという大きな可能性もあるわけですから、その辺、慎重にしなければならないなと考えておる次第でございます。
あと部活動に関しましては、現場の教職員に非常に温度差がありまして、積極的に持ちたい方と、あまり持ちたくないけどやむを得ず持っているというような場合がございます。部活動の教育効果というのは非常に高いものがありますので、学校教育にとって、その役割は非常に高くて必要なものであると考えております。教員の職務が、今5日制になりまして現場が非常に忙しくなってきまして、部活動まで見るのは非常に負担が大きくて、持ちたくないという人が出てきているのも事実でございます。そのような中で、現場の教職員が部活動をボランティアと考えて、持たなくてもいいというような風潮が強まってきたときに、やはり管理運営事項として、職務として位置づけることが必要になってきているところではないかと考えております。日高教としても、この流れは仕方がないのかなと。部活動を盛んにするために、強制的に休日に部活動させるとかそういう職務命令が出されたり、不本意な部活動の顧問の割り当てが行われたりする、そういったことがないように、現場のチェック機能をつくる必要があるのではないかなと考えております。そういった環境がきちんと整えば、管理運営事項に位置づけることも必要かと考えております。そうなれば、休日の部活動の手当も、現在の1,200円とか1,700円というより、もっと多い手当が出されてもいいのではないかなと考えております。

【田村主査】
 ありがとうございました。よろしゅうございましょうか。では、お疲れさまでございました。どうもありがとうございました。それでは、お疲れでございますが、最後になりました。意見発表ということで、社団法人日本PTA全国協議会の方々からご意見をちょうだいいたします。よろしくお願い申し上げます。資料はお手元に今、配られていると思いますが、ご覧いただいて。どうぞお座りになってください。

【日P】
 それでは、どうも失礼いたします。社団法人日本PTA全国協議会の副会長をしております本部と申します。宮崎県PTA連合会の会長をしております。どうかよろしくお願いします。
 まずをもちまして、このような機会を与えていただいたこと、ほんとうにありがとうございました。また、資料が後送になってしまいまして、ただいまお配りをしましたことをおわび申し上げます。どうも失礼いたしました。
 それでは、私ども教職員の給与の在り方についてということで、意見を述べさせていただきたいと思っております。一、二、三という項目でございますけれども、この内容に若干、肉づけをして説明させていただきたいと思っております。
 私ども社団法人日本PTA全国協議会では、昨年来、全国の子どもたちがどこでも等しく教育が受けられるように、一貫して義務教育の国庫負担制度の堅持を強く求めまして、昨年8月の緊急アピール――こちらは別紙の2枚目にございますけれども、「子どもたちの未来に責任を」ということで出させていただきました。これは関係団体と連携しました640万にも及ぶ署名活動等いろいろな形での活動を展開してまいりました。結果として、同制度の堅持はできましたけれども、まことに遺憾で、残念でございましたけれども、国庫負担率が2分の1から3分の1へと引き下げられたということでございます。ただし、今後はまず元の2分の1にぜひ早急に戻して、そしてさらには、できれば全額の国庫負担制度というということへ同制度を変えていく活動を、私どもとしてはあってはならない教育の地域間格差、これは絶対に生じさせないようにということで展開をしていこうと考えております。
 こちらにつきましては広告でございます。これは新聞のほうでの広告でございますが、633万人の声ということで、日本の教育改革を進めるとともに、義務教育国庫負担制度は絶対必要ですということ。今、日本が危ないということでの広告、これは昨年10月28日に新聞に出させていただきました。それと633万人、この後、若干増えましたので約640万人になりましたが、こちらの署名が集まって、義務教育の国庫負担制度は絶対必要だということの説明の、きちんとした広告を出させていただいたということでございます。
 2番目でございますけれども、実は私ども社団法人日本PTA全国協議会、1,000万人の会の組織でございますが、いろいろな委員会がございますけれども、教職員の給与の在り方についての検討、こちらについての意見を集約したことはございません。それで教職員の給与についての具体的な意見、日本PTAの全体の意見は申し上げられないということは事実であります。
 ただし、義務教育というものは子供の成長段階において最も大切な時期であります。そして、それを担う教職員に優秀な人材を確保するため、それ相応の処遇がなされなければならないとはもちろん考えております。また、本来、家庭教育で行うべき道徳教育やしつけ、こちらにつきましても、正直申しまして、一部、学校での対応をせざるを得ない状況であることも合っております。本来であれば、先生方は授業というのが一番のメーンでございますけれども、それ以外にもさまざまな形での対応を考慮していく必要が、残念ながらあるということも事実でございます。それらもかんがみまして、給与とは直接関係ないかもしれませんけれども、大きな財政負担がかかるかもしれませんが、少人数学級の導入等も取り入れていくことも切に要望いたします。
 3番目といたしまして、先生方の特に教育の質の向上を図るために、先生方の能力・実績等が適切に評価され、処遇に反映されることは当然であります。一律支給でないメリハリアルのある給与体系にすべきであるということは、もちろん私ども考えております。なお、評価に当たりましてはPTAの代表者を加えるなどした外部評価、ぜひこちらのほうを取り入れていただきたいということで要望いたします。
 今、多面評価といいましょうか、先生方の評価というものも、各都道府県を含めた中で、いろいろな協議を含めて進んでいることは事実でございます。その中に、今までは上からの評価ということもございましたが、ぜひ多面的な評価、それが参考意見でも結構でございますけれども、私のような保護者も学校に非常に密接にかかわっている部分がございますので、そういう意味での外部評価を取り入れるように、切に希望するということでございます。
 全体といたしまして、実はこの本題であります先生方の給与の在り方という部分の細かい中身については、この中での意見というものはないんですが、子どもたちを全国等しく同じように教育をさせていただくという意味での義務教育国庫負担制度の問題、そして先生方のそのための給与の問題、そしてそれに携わる評価、そちらにつきましての問題ということで、我々は各都道府県を中心に個別に対応をさせていただいているということも事実でございます。私も宮崎県の中では学校評価というものに携わらせていただいておりますし、ぜひそういう意味で、先生方の給与の在り方につきましては、総論的なものになってきますけれども、教育の質の均衡という意味でも、いろいろな意味でこの形としてはぜひ取り入れていただければありがたいと思っております。
 意見として私どもの中では具体論はないんですけれども、一応、意見としての発表にかえさせていただきたいと思います。以上でございます。

【田村主査】
 どうもありがとうございました。それでは本城先生、どうぞ。

【本城委員】
 3番目の、評価に当たってPTAの代表者を加えるという部分について意見を聞かせてほしいんですけれども、済みません、小学校の保護者さんでしょうか。

【日P】
 私は小学校になります。

【本城委員】
 例えば小学校の保護者として、学校を評価するという点ではなくて教師を評価するといった場合において、もし実際に評価する立場だとしたら、小学校の教師に、たくさんの評価ポイントがあると思うんですけど、優先順位の高いものから3つ挙げるとすると、どのポイントで評価を保護者としてはされるでしょうか。

【日P】
 保護者全般としての意見というのももちろんあるかと思います。それと、実は管理職の方々の評価というのもあると思います。私どもPTAの役員――会長、副会長という役員になりますけれども、私どもの立場で申し上げますと、例えば校長先生、教頭先生といった、いわゆる学校としての評価というのも当然ございますよね。学校としてこういう意向ですよという。もちろん、それも今取り入れていただいておりますので、その部分がきちんと学校の中で、こういうふうに1年間の総会の中でやっていきます、総会が終わってこうでしたねということがきちんと言えるという部分を、例えば役員としては一番見ていく部分があると思います。
 それと、例えば教頭先生というものが窓口に大体なられるわけですけれども、教頭先生が、我々の情報も含めて、学校の情報をどれだけ教えてくださるかという中で、その情報の共有化を図っていただけるかということも、私ども役員にとっては管理職の評価ということにもつながっていくと思います。
 あと、一般の会員の皆様方が先生方をどう評価するのかというのは、正直、これは難しい問題だと思います。いろいろな考え方、意見があると思います。例えば授業が本当にいい授業であるかということを見るのであれば、どうやって見ていくのかという問題もあるでしょうし、学校のクラスの運営ということを考えるのであれば、例えば学級通信をどれぐらい出して情報を出していらっしゃるか、そういうものを評価していくということもあるでしょう。また、授業がおもしろいかおもしろくないか、楽しいか、ほんとうにいい授業ができているかどうかというのは、例えば専科の理科ダイヤルを出している中で、すごく共有ができる部分も出てくるでしょうし、いろいろなとらえ方があると思いますので、管理職の方々の評価の部分は役員として、また先生方の評価は一般の会員の皆様方にどれだけできるかというのは、ちょっと難しい部分があるとは思います。ちょっと答えにはなってないかもしれませんけれども。

【田村主査】
 ありがとうございました。それではほかに。君島先生。

【君島委員】
 少し漠然としていて答えにくいかもしれませんが、実はきょう、午前中に財務省からのお話がありまして、その中で、現在の学校教育に対する満足度ということで内閣府が平成17年10月6日に取ったアンケートについてのお話があったんですよ。それは、保護者に現在の学校教育に対して満足しているかどうかを尋ねたところ、満足しているの合計13パーセント、どちらとも言えないが43パーセント、つまり不満が43パーセントだと。不満を感じている保護者が4割に達しているじゃないか、こういうお話がありまして、それが教員に対する給与削減の一つの、はっきりと言わなかったんですが、考え方の中に少しあるんだみたいなお話があったと記憶しているんですが、この不満があるというのが43.2パーセントある、その辺のことについて、今、唐突で申しわけないんでありますが、感想などいかがでしょうか。

【日P】
 私どもも学校と家庭の教育に関する意識調査というのも取っておりまして、この中で学校とのコミュニケーションの問題でありますとか学校の評価、いろいろな問題を取っている部分は事実なんですが、ですから一概にどれがどうだということは言えないかもしれませんけれども、保護者のとらえ方も、正直、あるかと思います。要するに、学校が評価して、開かれた学校としての部分を出しているけれども、保護者がそれを感知してない部分もあるかもしれません。それと先生方の問題も、正直、あるかもしれないということも事実でございます。個人のいろいろな部分は別にして、例えば先生方の教え方ということもあるかもしれませんし、また、学校が今どうしたいかということが見えない部分があるかもしれません。それと、安全・安心にかかわる部分で、今、かなり我々も入っているんですけれども、一番学校というものが見えない部分、開かれた学校というのがなかなか認知できてない部分ということも含める中で、このようなアンケートの結果が出ているんじゃないかなと思っております。
 実はこれ、私ども役員をやっている人間と、ほんとうに一般の、学校にあまりかかわってこない方々との中では、全く答えが違ってくることも事実ですね。私どもみたいに学校によく行って、学校の内部を知っている人間は、先生方がどれぐらい苦労されて、一生懸命に取り組まれているということもよくわかっているけれど、そうじゃない方々については、ちょっとした子供の端々の中で、学校がすべて悪いんじゃないんだろうかという一方的な思いを持ってしまう保護者もいらっしゃるということも事実でございます。ですから一概に言えませんけれども、そういう部分、いろいろな部分が輻輳して学校の評価、満足度という部分については出ているんじゃないかなと思います。

【田村主査】
 ありがとうございます。どうぞ本城先生。

【本城委員】
 いわゆる教員免許についてご意見を伺えればと思うんですけれども。教師が非常に専門性が高いという根拠の一つとして、教員免許を持っているという部分が言われることがあるんですが、保護者の立場として、大学時代に教員免許を取っていることが、どれほど専門性があると認められるのか。例えば教員免許を持っていなくても、学生時代に一生懸命、家庭教師だとか塾の講師のバイトをしていた、もしくは子供向けの野外教育だとかそういったもので活動していたと。免許は持っていないけれども、教育について関心がある学生も多かったりだとか、一般企業で働いていて教師を目指す、ただ教員免許を持っていないといった方もいらっしゃると思うんですね。そういった場合に、大学時代に教員免許を取っていることが、保護者の方にとってどれだけ教師とのしての専門性を保証してくれるものかについて、もしご意見があれば聞かせてください。

【日P】
 ある程度、免許というのは、当然ながら国のカリキュラムの中でできているものですから、それがあるということは、当然のことながら、必ずないといけないということは思います。
 ただ、私も正直、都道府県の先生方の面接官という立場にもある中で、先ほどの専門性の部分というのは知識の部分ですね、当然ながら。それで非常に勉強している部分と、当然ながら、現場というのは違う部分がやっぱりありますので、実際に勉強した部分がどれだけ生かせるのかというのと、生かせない部分というのは、正直、あると思うんですけれども。ちょっと答えにはなりませんけど。
 先生の中にはすごく知識のある先生もいらっしゃれば、ほんとうに自分なりに勉強して、子供のいろいろなニーズもとらえて進化していらっしゃる先生方もいるということも事実としてとらえておりますので、今の質問の答えにはなってないと思うんですけど、ある程度の免許というのは必ずないといけないというのは事実ですし、それで勉強した方々が生きているというのも、また事実だととらえております。

【田村主査】
 ありがとうございました。ほかにはございませんでしょうか。

【本城委員】
 ちなみに、今、お子さんが通っていらっしゃる学校に教員が多分いると思うんですが、その中の何割ぐらいの先生たちに対して、保護者として満足されていますか。

【日P】
 もちろん全員を知っているわけではございませんので、どの先生が個別にどういう教え方をしてどうだいうことは一概には言えないんですけど、私は8割以上の先生方が、今私が知る範囲ではですね。やっていないという意味ではないんですけど、先生方のすごく一生懸命な部分では、やっていらっしゃるということは事実だと思っております。その前に中学校にもいたことがあったんですけど、中学校はまた小学校と違って部活動という問題がありまして――土日も含めて、その辺についてはほんとうに頭の下がる思いでした。自分の時間を犠牲にしてやっている先生がたくさんいるのも事実なのでございますけれども、その辺も含めると、9割ぐらいの先生方は、この言い方は非常にあれかもしれませんが、一生懸命やっていらっしゃるということは、事実として受けとめております。ただ、全員と面接をして、授業を見ているわけではございませんので、一概には言えませんけれども、私の認識の中ではそれぐらいの先生方は非常に一生懸命やっていらっしゃって、自分なりに勉強してやっていらっしゃるということは、事実としてとらえております。

【田村主査】
 ありがとうございました。そろそろよろしゅうございましょうか。もうこれでおしまいでございますので。よろしゅうございましょうか。
 1つ私のほうからお伺いしたいのは、実はメリハリのある給与体系というのが今議論されている中心になるんですが、PTAのお立場で現場の先生方をごらんになって、メリハリのある給与体系があるのが自然というふうにお感じになるか、どういうようにお感じになられますか。

【日P】
 私は自然であると思っております。先ほどもちょっと触れましたけれども、これ部活動がすべてではないんですけど、ほんとうに土日も犠牲にして一生懸命やってらっしゃる先生がいらっしゃるのも事実です。それじゃない先生方がいらっしゃることも、その後に自分なりに勉強しているかもしれませんけれども、それが感じられない部分があるということもまた事実としてございますので、その評価も含める中で、メリハリのあるということは、やっぱりある程度必要だというふうに考えます。

【田村主査】
 ありがとうございました。それでは時間がそろそろ。随分長い時間拘束させていただきまして申しわけなかったんですが、これで一応、きょうのご意見をお伺いする会は終わりますが、ほんとうにどうもありがとうございました。
 以上で、予定しておりました関係団体からのヒアリング、お伺いする回はすべて終了いたしました。次回からはいよいよ、いただいたご意見を踏まえまして、委員の皆様方の意見をいただき、審議を進めていきたいと考えております。
 では、事務局から次回の日程等についてご連絡をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【小幡専門官】
 ほんとうに長い時間、お疲れさまでございました。
 次回以降の日程でございますが、資料の15をご覧いただければと思います。皆様に事前にご予定を伺っておりましたが、それを参考に日程を組ませていただきました。次回につきましては、第6回でございますが、10月3日火曜日、13時30分から15時半まで、KKRホテル東京で開催をさせていただきたいと思っております。出欠の確認票を机の上に、資料の後ろにつけて配付させていただいておりますので、ご記入をいただきたいと思います。後で事務局で回収いたします。
 また、第7回以降でございますが、それぞれ日程といたしましては、第7回が10月26日(木曜日)13時30分から15時30分、第8回が11月10日(金曜日)10時から12時、また第9回が11月24日(金曜日)15時から17時とさせていただいております。まだ場所等については未定でございます。後ほどご連絡をしたいと思います。以上でございます。
 なお、資料15の後ろに、前回のヒアリングの際、日本人事行政研究所の清水理事からご紹介をいただきました資料についてお配りをさせていただいておりますので、ご覧いただければと思います。よろしくお願いをいたします。以上でございます。

【田村主査】
 それでは大変、本当に大変長い時間ありがとうございました。以上で今日の審議はすべて終わりました。ご苦労さまでございました。ありがとうございました。

―了―

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(初頭中等教育局財務課義務教育費総括プロジェクトチーム)