教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成18年7月31日(月曜日) 13時~15時

2.場所

KKRホテル東京 11階 「白鳥」

3.議題

  1. 教職員給与の在り方に関するワーキンググループの設置等について
  2. 教職員給与の在り方に関するワーキンググループにおいて検討すべき事項等について
  3. 自由討議
  4. その他

4.議事録

 この概要は、事務局の責任で取りまとめたものであり、今後訂正される場合があります。

会議の冒頭に銭谷局長から挨拶があった後、本ワーキンググループ(WG)の主査が選任され、田村委員が主査に、副主査には井上委員と小川委員が就くことが決まった。資料確認後の事務局説明と自由討議の概要は次のとおり。

【主査】
 それでは、議事に入らせていただこうと思います。まず、1つ目の議題についてでございますが、本日は第1回目のワーキンググループですので、本ワーキンググループの設置の趣旨について事務局からご説明をお願いしたいと思います。あわせて、委員の中には教員給与について大変お詳しい方もいらっしゃいますが、教員給与の基本的な制度やこれまでの自民党等での議論の経緯についても念のためにご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 それでは、私のほうから説明をさせていただきます。
 まず、資料2をご覧いただければと思います。ここにございますように、7月10日に開催されました初等中等教育分科会におきまして、本ワーキンググループの設置が決定されたところでございます。
 設置の理由といたしましては、教職員給与の在り方に関する重要事項を調査、審議するため、初等中等教育分科会にワーキンググループを設けて審議することが適切である。具体的な検討項目といたしまして、人材確保法や教職員給与の在り方、その他ということになっております。
 2枚目をご覧いただければと思います。中教審のワーキンググループで議論を進めていくわけでございますので、諮問を受けて議論していくという整理になっております。平成15年5月に文部科学大臣より、今後の初等中等教育改革の推進方策についてといたしまして、上の四角の中の(2)にございます、義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方ついてという諮問が出されているところでございます。これを受けまして、今回、ワーキンググループにおきまして、教職員給与の在り方を検討していくという整理とさせていただいているところでございます。
 それでは、先ほど主査のほうからお話がございましたように、本日、第1回のワーキンググループでございますので、基本的な教職員給与に関する諸制度の在り方でございますとか、これまでの議論等について説明をさせていただきたいと思います。
 資料3をご覧いただければと思います。1ページをご覧ください。まず、教職員給与制度の説明をする前に、その前提となります地方公務員の給与制度について簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 地方公務員の給与制度は、地方公務員法上に職務給の原則、均衡の原則、条例主義が定められているところでございます。
 1つ目の職務給の原則とは、地方公務員24条第1項におきまして、職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならないとされております。給与の額は、職務内容の難易、あるいは複雑さの程度に応じて差をつけ、また責任の軽重によって差を設けて決定されることになっております。このため、教員についても職務と責任を踏まえた給与とすることが要請されているところであり、一般行政職とは異なる給与体系になっているところでございます。
 2つ目の均衡の原則でございます。地方公務員24条第3項におきまして、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公務員団体の職員並びに民間事業の従事者の給与、その他の事情を考慮して定めなければならないとされております。地方公務員の給与額の決定に当たりましては、国民全体の標準的な生計費、国家公務員の給与、地方公務員の給与、また民間企業の給与等を考慮して定めなければならないというものでございます。
 3つ目の条例主義でございますが、地方公務員法24条第6項におきまして、職員の給与、勤務時間、その他の勤務条件は条例で定めること。さらに、地方自治法におきまして、給料、手当及び旅費の額、並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならないとされております。この趣旨といたしましては、地方公務員の給与は住民自治の原則に基づき住民の同意が必要であり、条例によってこの同意が与えられている。また、条例により勤務条件を定めることにより、労働基本権の制約を受ける地方公務員の勤務条件が保護されるとされているところでございます。
 以上が地方公務員の一般的な給与制度の概要でございます。
 それでは、2ページをご覧いだたければと思います。県費負担教職員制度についてでございます。市町村立小・中学校等の教員の場合、一般の地方公務員とは異なり、基本的に市町村立学校の教員でありましても都道府県が給与負担を行っており、任免や懲戒、給与の決定等の任命権を持っているという、いわゆる県費負担教職員制度が適用されております。ちなみに、今年度から市町村がそれぞれの負担で独自に教職員を任用することが制度化されております。現在、それほどたくさんいるわけではございませんが、すべての教員が県費負担教職員ではなくなっているところでございます。
 県費負担教職員制度の趣旨、目的としては上の段に書いてあるとおりでございますが、教職員給与は義務的な経費であり、かつ多額な教員の給与について、市町村より広く財政力が安定している都道府県の負担として、給与水準の確保と一定水準の教職員の確保を図り、さらには都道府県が広く市町村を超えて人事をすることによりまして、給与の適正配置と人事交流を図ることを目的としているものでございます。
 続きまして、3ページをご覧いただければと思います。公立学校教員の給与についてでございます。公立学校の教員の給与につきましては、平成15年度までは、1つ目の○でございますが、国立学校の教員の給与を基準として定める、いわゆる国立学校準拠制がとられておりました。しかしながら、平成16年度以降、国立学校が法人化されたことに伴いまして、国立学校準拠制は廃止されたところでございます。したがいまして、現在は、各都道府県においてそれぞれの人事委員会がさまざまな事情を勘案して勧告等を行い、それを受けて各都道府県が教員の職務と責任の特質性等に基づいて条例で決定することになっております。
 下の国の関与の方でございますが、したがいまして国の関与につきましては、国立学校準拠制の廃止の後、基本的には各都道府県が主体的に給与が決定することになっているところでございます。ただ、人材確保法におきまして、後ほど人材確保法については説明させていただきますが、一般公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置を講ずることを都道府県に義務づけしているところでございます。また、地方自治法におきましても、文部科学大臣の一般的な都道府県に対する指導、助言、援助が定められておりますが、これによりまして教員の給与の決定につきましても指導、助言、援助等を行うことができることになっているものでございます。
 続きまして、4ページをご覧いただければと思います。人材確保法についてでございます。正確には、学校教育の水準維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法という法律でございますが、一般的に人材確保法、または人確法という形で呼ばれております。
 これは、教員の給与を一般の公務員より優遇することを定め、教員にすぐれた人材を確保し、もって義務教育水準の維持向上を図ることを目的といたしまして、昭和49年に制定されたものでございます。制定の経緯といたしましては、昭和40年代、優秀な人材が給与の低い教職を避け、ほかの職種を目指すようになる、いわゆる「でも・しか先生」とよく言われたわけでございますが、そういった問題が問題視されてきたことを受けまして、優秀な人材を確保するためには教員の処遇を改善する必要があるということで、昭和46年、中央教育審議会の答申、さらに47年には自民党の提言等が出されました。それを受けまして、48年に国会に人材確保法が提出され、翌49年に制定、公布、施行されたものでございます。
 この法律の制定により、48年度から53年度までに3次にわたる計画的な給与の改善が行われ、教員給与を合計25パーセント引き上げる予算措置が講じられてきたところでございます。この改善により、教員の採用倍率は大幅に上昇し、結果として優秀な人材が確保されてきたものと認識しております。
 現状といたしましては、一般行政職に対する教員給与の優位性は年々低下しているのが現状でございます。ここの表にございますように、平成13年から平成17年度の5年間の平均ベースで、一般行政職と教育職員の給与月額を比較いたしますと、教員給与が2.8パーセント程度上回っているのが現状であります。この比較については後ほど説明を改めてさせていただきたいと思います。
 続きまして、5ページをご覧ください。教員の手当一覧でございます。いろいろありますが、教員の手当については教員の職務と責任の特殊性等から一般行政職にはない特例的なものが幾つかございます。なお、オレンジ色の部分でございますが、ここについては、今、説明いたしました人材確保法による改善として新設された手当でございます。
 幾つか主なものを説明させていただきます。一番上の段、給料の調整額でございますが、これは特殊学校担当教員及び特殊教育諸学校の教員が対象となっています。
 2つ目の段、教職調整額でございますが、これは校長、教頭を除く教員を対象といたしまして、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当を支給しないかわりに、給料月額の4パーセントを本給として支給されているものでございます。ここについては改めて後ほど説明をさせていただきます。
 次の段、義務教育等教員特別手当でございますが、これは人材確保法による改善措置として新設されたものであり、定額の手当として支給されているものでございます。
 次の段でございます。教員特殊業務手当でございます。これは非常災害時等の緊急業務、修学旅行等指導業務、さらには部活動指導業務などに対して、定額の手当が支給されております。なお、部活動指導業務手当は人材確保法の改善により設置されたものでございます。
 2つ下の段でございますが、教育業務連絡指導手当、これはいわゆる主任手当でございます。主任手当は、校長や教頭のような独立した職ではありませんが、公務を分担するそれぞれの分野の連絡調整、指導、助言を職務としており、主任のうち特にその職務が困難である者に対して、主任手当として日額200円が支給されているところでございます。
 その下の段、管理職手当は校長、教頭等に支給されている手当で、これは人材確保法による改善措置として支給割合が引き上げられたところでございます。
 一番下の段でございます。へき地手当は、へき地にある学校に勤務する教員に対して支給されているものでございます。
 こういった形で、一般の行政職とは異なる特別な手当が幾つかあるところでございます。
 続きまして、6ページをご覧ください。教職調整額についてでございます。教職調整額は、昭和46年、公立の義務教育諸学校等の教員職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法とも言われていますが、これが制定されたことにより設けられたものでございます。
 経緯といたしましては、上の○2つに書かれておるところでございますが、当時、超過勤務を命じないとの指示にもかかわらず超過勤務が行われている実態が多くなり、多くの都道府県で時間外勤務手当の支給を求める訴訟が提起され、いわゆる超勤問題ということで大変大きな問題となってきたところでございます。これを受けまして、当時、文部省がこの混乱を収拾するとともに、昭和41年に全国的な勤務状況調査を行ったわけでございますが、こういったことを踏まえて給特法が制定されたことになっております。
 この教職調整額は、教員の勤務態様の特殊性を踏まえて設けられていますが、具体的には教員には修学旅行や遠足など学校外の教育活動があること、また夏休み等の長期の学校休業期間があることなど、一般行政職と同じような勤務時間の管理がなじまないという特殊性等を踏まえたものでございます。このため、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、時間外勤務手当は支給しないかわりに、教職調整額を本給として給料月額の4パーセントが一律に支給されているものでございます。したがいまして、教職調整額は本給を基礎として算出される手当、例えば期末・勤勉手当、退職手当、年金などの算定の基礎となっているものでございます。
 以上が教職調整額の概要でございます。
 続きまして、7ページをご覧いただければと思います。一般行政職と教員の給与を比較した横の表でございます。これは平成13年から17年度における5年間の平均ベースで比較したものでございます。ただし、基本的に教員は大卒ということ、また一般行政職より年齢が高いこともございますので、平均年齢や学歴を補正しているものでございます。また、給与水準の比較に適さない、例えば通勤手当だとか住居手当、地域手当等は除いて比較をしております。そうした結果、このように一般行政職と教員の給与月額として、一般行政職が39万9,128円、教員が41万451円ということで、教員のほうが少し上回っている状況でございます。
 斜線が引かれている部分がございますが、ここが教員の優遇分とされているところでございます。本給部分におきまして一般行政職より上回っている部分、さらには義務教育等教員特別手当の部分、合わせますと2万9,788円、7.26パーセントが優遇されている状況にございます。ただ、教員については時間外手当が支給されずに教職調整額が支給されていることなどから、給与全体として比較したときは、この表にございますように2.76パーセント上回っているというのが現状として示されているものでございます。
 以上が教員の給与についての簡単な説明でございます。
 それでは、これまでのさまざまな議論の経緯について説明をさせていただきたいと思います。8ページをご覧いただければと思います。
 教員給与見直しに係る経緯でございますが、昨年12月24日に閣議決定された行政改革の重要方針というものがあるのですが、この中で、人材確保法について、教職員をめぐる雇用情勢の変化等を踏まえ廃止を含めた見直しを行う。具体的には、教職員給与関係法令を含め教職員給与の在り方について検討を行い、平成18年度中に結論を得て、平成20年春に所要の制度改正を行うことが盛り込まれたところでございます。
 これを受けまして、下にございますが、さきの通常国会におきまして簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法が成立したところでございます。この中の第56条第3項におきまして、人材確保法の廃止を含めた見直し、その他、公立学校の教職員の給与の在り方に関する検討を行い、平成18年度中に結論を得て、平成20年4月を目途に必要な措置を講ずるものと定められたものでございます。
 続きまして、9ページをご覧いただければと思います。また、自民党におきまして、今年の4月以降、政調会長のもとに歳出改革に関するプロジェクトチームが設置され、政府全体の歳出改革の議論が行われてきたところでございます。そうした議論を踏まえて、今年の6月に、上の段にあるように経済・財政一体改革の今後の進め方がまとめられました。
 こうした議論等を踏まえまして、下の段にあります、本年7月7日に骨太の方針2006が閣議決定されたものでございます。これは先ほど局長のあいさつの中でもありましたが、大きく2つ指摘がされているところでございます。1つ目が、人材立国実現のため、学習指導要領改訂、全国的な学力調査、習熟度別・少人数指導、能力・実績に見合った教員の処遇、これらにより教員の質の向上を図り、2010年までに国際学力調査における世界トップレベルを目指すということが盛り込まれました。
 もう一つが、ここにありますように歳出改革ということで、義務教育国庫負担金について、給与面の見直しとして地方公務員の給与構造改革や地方における民間給与水準への準拠を徹底させること、人材確保法に基づく優遇措置を縮減するとともに、メリハリをつけた教員給与体系を検討する。その結果を退職手当等にも反映させるということが盛り込まれたところでございます。
 したがいまして、先ほどの行政改革推進法で盛り込まれたこと、さらに骨太の方針に盛り込まれたこと、この2つが宿題となっているところでございます。基本的にこの宿題を、政府として今年度中に結論を出していく必要があるわけですが、このワーキンググループにおきましてさまざまなご意見をいただき、議論を進めていただきたいと考えております。
 以上でございます。大変駆け足でございますが、よろしくお願いいたします。

【主査】
 ありがとうございました。
 2つのポイントがあるというご指摘をいただきました。大変重要な役割をこれからしていかなければいけないわけですが、ただいまのご説明にご質問、あるいはご意見ございましたら、どうぞお手をお挙げいただきまして、特にございませんですか。

【委員】
 今、人確法による人材確保の問題がありますが、それは2つ内容があると思うんです。1つは優遇措置の問題だし、もう一つは優秀な人材を教員に集めようということです。ここにもありますように、1974(昭和49)年、人確法という法律ができて、今、ありましたように3年間で25パーセント、主任手当を含めてそれぐらい改善になったんですが、今、ここでご説明いただいたものになりますと、パーセンテージが出ていないんですけれども、1万3,692円は何パーセントぐらいに当たるかということ。もう一つは、この何年かの間に総体的に目減りしているわけです。その目減り理由は何ですかということを言いたいです。要するに、人材確保が十分できたのか、それとも何なのか。人確法による手当が目減りした理由が一つ。
 それから、主任手当は5,000円、日額200円、これは今まで一切変わっていません。ほかのところも定額ですけれども、その定額もほとんど変わっていないんですけれども、文部科学省としては、主任制度について一定程度制度化してきたわけですから、今までずっと定額で来ていますから、総体的な率は減っていくという形は当たり前のことですよね。この際、人確法全体のものではなくて縮減という方向がありましたら、主任手当を外すのか外さないのか。そういうことを含めて、定額が続いてきたことと、新しい考え方で縮減という問題についてどう考えていらっしゃるのか。これが人確法にかかわる一つ目です。
 もう一つは、今、説明いただいた表の中で、2.76パーセント、1万一千何がしかが行政よりも出ているということです。これは今のような図解をしていけばそれなりに、そうかなと思ったりするんですけれども、新聞によりますと、既に2.8パーセントの削減については一定程度合意を得ているということで、当然切られていく、切ることによって行政とのバランスをとるんだ、既に合意を得たものだと聞いているんです。これは6月22日の新聞各紙に出ているものですが、この辺はどうなっているか。
 この2つについて教えてください。

【主査】
 2件ご質問ございました。では、よろしくお願いいたします。

【事務局】
 それでは、事務的にご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、人確法に基づきまして制定された、表にございました義務教育と教員特別手当でございます。これにつきましては、お手元の分厚い手持ちの資料のほうにも少し入れさせていただいてございますけれども、最初のほうからご覧いただいて52ページ、大きくインデックスで4とついておりますけれども、4のインデックスの数枚後、ページ52というところをご覧いただきたいと思います。
 教員給与改善の経緯等一覧と出ておりますけれども、昭和49年、人確法が制定をされまして、その後、3次にわたり給与の改善が行われました。その経緯が書いてございます。特に、義務教育等教員特別手当につきましては、第1次改善、いわゆる本給の給与改善というものが人事院勧告で示されまして、49年1月から適用を受けているわけでございますが、第2次の改善といたしまして、本給の改善3パーセントのほかに義務教育等教員特別手当が制定をされております。これは本俸の4パーセントに当たるものということで制定を見ております。50年1月から適用でございます。続きまして、第3次改善といたしまして、義務教育等教員特別手当は、第1回目で4パーセントのものがさらに6パーセントと上がっておりまして、これで義務教育等教員特別手当は当時の俸給の6パーセントの手当として制定を見たわけでございます。
 ただし、義務教育等教員特別手当は、ほかの職の給与と比べまして、もともとは本給に上乗せするという考え方もあったわけでございますが、人事院等の考えの中で定額の手当ということになりました。その後、物件費等が上昇し、人件費も上がったわけでございますが、義務教育等教員特別手当は定額の手当ということもございまして、実質的に目減りをしたということでございまして、現在の水準では本給の約3.8パーセント程度の水準となってございます。
 これが義務教育等教員特別手当でございます。
 2点目の主任手当についてでございます。主任手当につきましては、同じく52ページの表の中の第3次改善の第1回目のところでございますけれども、主任制度につきましては昭和50年に法制化されまして、手当として新たに月額5,000円、もともと日額200円ということでスタートしてございます。これにつきましても定額の手当ということでございまして、現在でも基本的には日額200円で支給をされているところでございます。
 これが1点目にご指摘ございました、義務教育等教員特別手当と主任手当の概要でございます。
 そして、2点目の、2.8パーセントについてはもう削減が決まっているのかということでございます。これにつきましても、先ほど小幡のほうから概略はご説明をいたしましたけれども、資料につきまして、大変恐縮ですが、同様に98ページをご覧いただきたいと思います。
 98ページでございます。教員給与の優遇分の取り扱いについてということでございまして、これは平成18年6月21日の自民党の歳出改革プロジェクトチームの会議で配付をされた資料でございます。プロジェクトチームの座長でございます河村元文部大臣からのご指示で、教員給与の取り扱いについて文科省と財務省で優遇分の在り方についてよくよく検討するようにというご指示がございまして、それを踏まえまして、21日に財務省、文科省の両省名で提出をされた資料でございます。
 次のページ、99ページでございますが、少し細かい数字が書いてございますけれども、こういう資料の中で教員給与全般で優遇分がどの程度かすり合わせをされまして、99ページでいけば、大きな1の教員給与の縮減の(2)でございますように、先ほどの横の表で示されております2.76パーセントにつきまして、当面の縮減額という形で報告されております。
 これが自民党の歳出プロジェクトチームで了承されているということでございまして、7月に出ております骨太の方針には教員給与の縮減を図ることになっておりまして、具体的な数字は出ておりませんが、18年6月21日の自民党のプロジェクトチームで示されたこれに従いまして、教員給与につきましては平成19年以降5年間で2.76パーセント相当の経費を縮減することが決まっているということでございます。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございました。
 よろしゅうございましょうか。

【委員】
 今のことにちょっと関連しますけれども、今の自民党の2.76パーセント、1万一千何ぼというのはもう決まって、必ず削減しなければいけないという前提のもとに我々は議論を始めるということでしょうか。その場合に、2.76パーセントは、いただいた資料の7ページの色づけのどこを切るのかは決まっていないので、当面5年間で2.76パーセントの財源をどこから出すのかまで我々が決めるのか。それとも、2.76パーセントを5年間で削減した後に、なお輪をかけて人確法そのものに、本体に触れろとか、あるいは給料表自体に手を伸ばして検討しろということなのか。我々が審議すべき対象はどこまでなのか。この2点をお伺いしたい。

【事務局】
 改めましてお手元の資料、先ほどご覧いただきました99ページをもう一度ご覧いただきたいと思います。説明が十分でございませんでしたので、今のご指摘の部分、まさに漏れておりまして、大変恐縮でございます。
 当面の縮減額ということで、1の(2)1のところで、教員給与月額が一般行政給与月額を上回る額、1万1,323円が2.76パーセントに相当する金額でございます。この縮減につきましては、その下に内訳が出てございまして、本給の減額5,662円、義務教育等教員特別手当の減額5,662円ということで、この2つを合わせまして1万1,323円になります。つまり、今後、平成19年以降5年間に2.76パーセントの削減が決まっているわけでございますが、削減の仕方といたしましては、退職手当にもはね返ることもありまして、本給そのものについて5,662円相当、そして義務教育等教員特別手当、先ほどの横表でご説明をいたしました斜線の2カ所の部分から半分ずつ財源を捻出することによって、給与水準の2.76パーセント分を削減することはこの段階で決まっているわけでございます。したがいまして、この削減をすることも踏まえた上で教員給与の在り方全般についてご議論をいただくことになります。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございます。
 よろしゅうございましょうか。要するに、減らさなければならないんだけれども、ただ全体を減らしたのではおもしろくも何ともないし、ただ志気が下がるだけだから、減らし方を考えて、結果的には増える人もいるし、もっと減ることもあり得るという議論をすると理解してよろしゅうございますか。そういうことですね。つまり、給与体系がやる気を引き起こすような形に、ちょうど全体が減ってくるところで、そういったことができないかという議論をしたい。ただ機械的に一律に下げても何にもなりませんから、それだったらこの会議を持つ意味がないわけですから、その辺のところも踏まえて議論したいと理解いたしましたけれども、よろしゅうございますか。
 大体問題点がはっきりしてきたような気がするんですけれども、何かほかにご質問があればぜひひとつ。どうぞ。

【委員】
 この意見はちょっと時間が早いかなと思うんですが、教員の時間外手当でございますが、教職調整額4パーセントによって担保されているものを、私などから見ておりまして、現場教員の時間外勤務は思われている以上にかなり長い状況になっておるわけです。今、国のほうでは勤務実態調査をされておるようですから、その時点で当然、時間数等明らかになると思うんですが、議論的に早過ぎるというのは、その後を見て意見を言おうと思っておったんですけれども、人確法を廃止しても、時間外勤務の状況によっては決して実際の教員給与の削減にはつながらない。むしろ、時間外勤務手当の支給によって、全体の経費そのものは増額をするのではないかと思っておるところでございます。そのあたり、文部科学省の今時点での考え方を聞いておきたいと思います。

【主査】
 調査の結果ということだと思いますけれども、よろしいですか。今、お答えになれますか。

【事務局】
 勤務実態調査は7月からやっておりまして、その結果は全く出ていない状況でございますので、今の時点でというのはなかなか難しいということで、今後、そういう結果が出てきましたら、また皆さんにそのデータを見ていただきまして、ご議論を進めていただければと考えております。

【主査】
 ありがとうございます。
 それでよろしゅうございますか。

【委員】
 ええ。私、高知市の教育長でございますので、高知市の教員の勤務実態については既に把握はいたしておりますが、全体的な勤務実態調査が出た上で、また意見を申し上げたいと思っております。はるかに上回るのではないかと思っております。

【主査】
 ありがとうございます。これはどうなるか、結果を見て、また議論を展開するということでご了承いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 ほかにはございませんでしょうか。
 ちょっと何かご説明があるそうですから。事務局。

【事務局】
 すみません、一つ資料の訂正をお願いしたいと思います。資料3の4ページでございます。一番下の表でございますが、一般行政職の平均給与月額が「33万9,128円」となっておりますが、これは「39万9,128円」の間違いでございます。大変失礼いたしました。修正をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【主査】
 よろしゅうございましょうか。4ページの平均給与額、一般行政職「39万9,128円」ということです。
 それでは、どうぞ、委員。

【委員】
 ここでは義務教育が中心になっていますけれども、私ども都道府県ですと高校の給与負担も当然やっているわけです。それは一応考慮のほかということで考えていくのか、あるいは高校の給料も従前国準拠でやってきて、国庫はいただいていないんだけれども、高校まで含めて検討するのか。
 あと一点、中教審で、例えば教員の免許更新制だとか、人事の任命権については、時に中核市、将来的には市町村におろしていこうということも検討しておりますけれども、ほかの制度の改革をどの程度前提にして議論すべきなのか。その辺、現時点でわかりましたらお教えいただきたいと思います。

【主査】
 事務局、どうぞよろしくお願いします。

【事務局】
 まず、今回の検討の中に高等学校等は入るのかということでございます。6月2日に公布、施行されました行革推進法では、教職員の給与につきまして人確法の廃止を含めた見直し、そのほか給与の在り方全般を検討するとなってございます。そこで言う教職員につきましては、公立の小・中・高も含めた全体の給与ということになってございます。18年7月7日の骨太の方針2006につきましては、特出しといいますか、義務教育費国庫負担金についての見直しとなってございますけれども、前半申しました行革推進法の趣旨からいけば、小・中学校だけの見直しということではなくて、やはり同様に人確法の適用を受けている手当が出ております高校につきましても今回の検討に含めることになろうかと思います。
 なお、教員給与の負担の在り方等につきましては、今現在、別に検討もされておりますけれども、その辺の部分につきましては、そういう検討も横目でにらみながら検討をいただくこともあろうかと思っております。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございます。
 制度変更はどうなるかまだわからないから、いいですか、今は無理だと思います。更新制とか人事権の移譲はまだ議論の最中ですから、それは外すよりしようがないと思います。よろしいですか。
 ほかに何か。お手が挙がっておられましたね。

【委員】
 はい。人確法の趣旨として、優秀な人材を集めることが挙げられているということですが、その優秀な人材をどういうふうに定義するのか。それから、メリハリをつけるということになると、要は一生懸命やっている先生と、半ば怠けているのではないかと思われる先生の区別を、どこでどういう基準を設けてするのかというのは、やはり人事の制度に大きくかかわってくることだと思いますので、このワーキンググループは給与の在り方ということですが、やはり途中経過も含め、制度改正の審議がどの程度行われているのかは一応頭に入れつつ、教員の養成も含め、今の制度を前提に議論し、答えを出せばいいのかというあたりを確認させていただきたいと思いました。

【主査】
 お答えいただけますか。

【事務局】
 多分、次の議事、議題かと思います。資料4で、事務局として今、検討すべき事項、考えている部分がございますので、それを説明させていただいて、またご質疑いただければと考えております。

【主査】
 今のご質問については議題として予定していますので、この次にということでご了承ください。ほかには何か。どうぞ。

【委員】
 人確法の中に部活動指導業務手当というものが入っているんですが、4時間程度で1,200円、これについては、人確法廃止をいじることになれば当然その中にかかわってくると思うんですけれども、その辺はどうかということと、これをいじることになれば部活動の在り方という点からも議論を深めなければならないのではないか。その辺をどのように考えていったらいいか。

【主査】
 どうぞ。

【事務局】
 委員ご指摘のとおりだと思います。人確法の制定を受けて、部活動手当につきましても、資料の5ページにございますように創設をされております。現在、部活動手当につきましては平日は出ておりません。土日に4時間程度の活動をされた場合について、ここでは1,200円、県によっては1,600円等々の単価もございますが、そういったものが支給されることになってございます。教職調整額の在り方、時間外勤務をどういうふうに評価するかといったことに合わせまして、部活動手当についてもご検討をいただくことになろうかと思いますし、どこまで範囲を広げるかということでございますが、部活動手当を支給するかしないかということになりますと、やはり部活動の在り方につきましても、教員勤務の在り方の中で十分ご検討いただく事柄だと認識しております。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございます。
 そういう問題があるということです。よろしゅうございましょうか。次の議題に移らせていただこうと思いますが、特にご質問がなければよろしいでしょうか。
 それでは、先ほど委員からご質問あったようなことも含めて、次の議題ということで、ただいま説明がありましたように、政府としては今年度中に結論を出すことになっているんですが、本ワーキンググループでの今後の検討すべき事項、あるいは検討の進め方について、事務局からもう少し詳しくご説明いただければと思います。お願いいたします。

【事務局】
 皆様から、今後、検討すべき事項についていろいろ意見をいただいたところでございますが、資料4をご覧いただければと思います。「中教審教員給与WGにおいて検討すべき事項(案)」という資料でございます。
 本ワーキンググループで検討すべき事項については、先ほど資料2で説明させていただきましたが、初等中等教育分科会において具体的な検討項目としては、1つとして人材確保法や教職員給与の在り方、その他、この2つが示されているところでございます。これを踏まえまして、今後、皆様に議論していただくに当たりまして、現段階におきまして事務局として本ワーキンググループで検討していただきたいと考えている事項について、議論の前に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、人材確保法の在り方に関してでございます。これは先ほど説明したとおりでございますが、行政改革推進法において人材確保法の廃止を含めた見直しが求められていること。また、骨太の方針において人材確保法に基づく優遇措置を縮減することが定められていること。こういったことを踏まえまして、人材確保法の必要性について、人材確保法による優遇措置を中心に検討を進めていただければと考えております。
 人材確保法の必要性につきましては、昭和49年に法律が制定されて以来、教員に優秀な人材を確保することに一定の役割を果たしてきたことは認識しているところでございます。しかしながら、今日、法制定当時とは教員採用を取り巻く状況が大きく変化しており、改めてその必要性を検討することが必要であると考えています。
 その際、社会の価値観の多様化とともに、学校における課題も多様化していることから、教員の職務は以前より困難度を増しているのではないかという指摘があること。さらには、今後、教員の大量退職期を迎える中で、どのように優秀な教員を確保していくのかといったことにも留意しながら、人材確保法の必要性について検討をお願いしたいと考えております。
 2つ目の○、人材確保法による優遇措置についてでございますが、これも先ほど来説明をしているところでございますが、教員の給与は、一般行政職の給与より本給部分及び義務教育等教員特別手当で優遇されているところでございます。平成19年度より5年間に、一般行政職の給与を上回っている2.76パーセントを縮減することが財務省との協議の中で決定されているところでございます。その上で、教員は児童生徒の人格の完成を促すという特別な職務と責任を有しており、このような特殊性をどのように給与に適正に反映させるのか。さらには、次の教職員給与の在り方とも関連するのですが、能力や実績に関係なく、現在の一律に優遇措置がされているという状況でいいのか。こういったことも含めて、さまざまな観点から検討をお願いできればと考えております。
 2つ目の教職員給与の在り方でございますが、これについても先ほど説明しましたとおり、行政改革推進法において人材確保法の廃止を含めた見直し、その他公立学校の教職員の給与の在り方に関する検討を行うことが求められていること。また、骨太の方針においては、メリハリをつけた教員給与体系を検討することが定められております。こういったことを踏まえ、メリハリのある給与体系について、給与調整額について、教員特有の手当を中心に検討を進めていただければと思っております。
 メリハリある給与体系については、現在の教員俸給表が基本的に講師、教員、教頭、校長の4段階のみであり、義務教育等教員特別手当や教職調整額等の支給においても、基本的に一律に優遇されている傾向がございます。しかしながら、教員の質の向上を図るためには、教員がモチベーションを高めるような給与体系にすることが重要であり、そのためには教員の能力や実績等が適正に評価され、それが処遇に反映されることが求められていると考えています。このため、例えば現行の4段階から多段階の俸給表にすることや、メリハリある手当の支給方法などについて検討をお願いしたいと考えております。
 続きまして、2つ目、教職調整額についてでございます。これは先ほど委員からご指摘があった部分でございますが、教職調整額は、教員の勤務について勤務時間の内外を問わず包括的に評価し、超過勤務手当及び休日給の制度は適用せずに、これにかわるものとして、俸給相当の性格を有する給与として支給されることになったものでございます。基本的に給与月額の4パーセントの額がすべての教員に支給されているところでございます。教員の職務と勤務対応は当然特殊性があり、一般行政職とは異なるものではございますが、現在の教職調整額について、時間外勤務手当と比較しつつ、現行制度のままでいいのか、または4パーセント相当という基準や一律に支給されていることが適当なのか、こういったことも含めまして検討をお願いしたいと思っております。
 3つ目でございます。教員特有の手当についてでございます。これも先ほど説明しているように、さまざまな教員特有の手当がございます。教職調整額のほかに、義務教育等教員特別手当でありますとか、へき地手当、さらには特殊教育等の教員に対する給料の調整額、また先ほど委員からも話がありましたが部活動の手当、こういった手当がございます。各手当について、それぞれ手当が創設されたときとは学校や教員を取り巻く状況が大きく変わってきているところでございます。したがいまして、改めてその必要性や支給方法等について検討をお願いできればと考えております。
 さらに、その他でございます。人材確保法や教職員給与は教員制度の基本的かつ重要な事項でございまして、この検討に当たりましては、さまざまなほかの教員に関する制度と関連するものと我々としても考えております。検討する期間が限られているので、どこまで議論を広げていくのか限界がございますが、少なくとも先ほど委員からもご指摘ございました、メリハリある給与をする前提とした評価の部分、教員評価でございますとか、学校管理体制について、現段階において我々として、事務局として検討を行う必要があると考えているところでございます。
 教員評価につきましては、教員の能力や実績に応じた処遇をするためには、その前提となる能力や実績の適正な評価が必要不可欠であると思います。現在、各都道府県教育委員会におきましては、双方向の評価、複数による評価など、新たな教員評価システムの導入を進めておりますが、教員評価の在り方や、その評価結果の処遇への反映方法等について検討をお願いできればと思います。
 学校の管理、運営についてでございますが、学校運営を支える機能の充実のためには、教員、教頭、校長のみではなく、新たな段階を設けることも一つの選択肢だと考えております。このため、例えば主幹制の導入など学校の管理体制の在り方や、それに応じた、新たな職に対応した給与体系の在り方についても検討をお願いしたいと思います。
 また、教員の勤務に関しては、例えば夏休みのように長期の学校休業期間中は比較的余裕があると考えられますが、学校行事がある時期などは非常に忙しくなるという実態も伺っております。このため、教員の勤務の特殊性を踏まえた勤務管理の在り方などについても検討をお願いできればと思います。
 さらに、教員の職務について、授業以外でも部活動指導や家庭訪問、校外補導など、個々の教員によって大きな負担があること、また職員会議があったり、いろいろな会議があるということで、本来の教育活動に専念できないという状況も伺っております。このため、教員の職務の在り方や学校の効率的な運営についても、あわせて検討をお願いできればと考えております。
 以上、現段階におきまして非常に盛りだくさんとなってはおりますが、今後、議論していく中で、新たにこういったことも検討すべきというものが出てくることも考えられますが、現段階で事務局としてこういったことをワーキンググループで具体的に検討していただきたいと考えているところでございます。
 続きまして、今後のスケジュールでございますが、資料5をご覧いただければと思います。今後のスケジュール(案)でございます。本日、第1回、7月31日開催でございますが、当面、8月、9月にはいろいろな関係団体、例えば教育委員会関係や校長会の関係、あとは教員組合の関係、PTAなどの団体、さらには有識者の方からヒアリングを何回か開催したいと思っております。基本的には8月、9月に2回ずつ、計4回やりたいと思っております。
 そういったヒアリングを踏まえまして、9月末以降、月2回程度、具体的に中身の討論をしていただければと思っております。その間、今実施している勤務実態調査の結果や、ほかのいろいろな調査を行っておりますが、そういった結果が出てくることになりますので、そういう調査結果を議論にも反映していけるように準備を進めていきたいと思っております。それで、年度内に政府として結論を出すことになっておりますので、できればこのワーキンググループにおきましては来年1月に取りまとめをしていただきたいと思っています。そうした上で、初中分科会に報告していくようなスケジュールで考えております。
 なお、下にも書いておりますが、現時点の予定でございます。もっと議論をすべきだとか、回数を増やすべきだということになりましたら、こちらとしては柔軟に対応させていただければと考えております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【主査】
 ありがとうございました。
 非常にテーマが大きくて、審議する時間が少ないという実感がありますが、それも踏まえて、とにかく非常に緊急なことですから何とかいい結論を出したいので、今後ご指導いただきたいんですが、ただいまのご説明につきまして何かご質疑、ご質問等、どうぞひとつ、いかがでしょうか。どうぞ。

【委員】
 一つ確認というか、本来は給与ということですから、給与について議論するのであれば、まず仕事がどうあるべきかと仕事の内容を確認した上で、その仕事をする人材はこういった能力、こういった知識がある人が望ましい、もしくはこういったものが必要だからということで評価という問題が出てきて、最終的に給与という議論がされるべきだと思うので、先ほど部活動についてどうなのかという議論もありましたけれども、仕事の内容、評価、給与という順番で議論するのが王道だと思いますが、時間的な関係で言うと、むしろ先に給与のことについて徹底的に議論した上で、こういった評価が望ましいだとか、仕事内容についてはという逆の順番で議論されていく流れなのかなと思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

【主査】
 よろしいでしょうか。

【事務局】
 委員のおっしゃるとおりで、まず教員の職務、責任は一体どういったものなのかということも給与を考える上で大事な論点になると思いますので、これからヒアリングを進めていく中で、現場の実態でありますとか、PTAの方からは教員にどういうことが求められているのかとか、校長会からは学校の管理体制がどういう状況なのか、現場の先生からはどういう学校の勤務状況なのか。そういったこともヒアリングをさせていただきますし、勤務実態調査でそういった面も含めて調査をしておりますので、結果は10月以降に出ることになっているので、こうしたことを踏まえて、並行して進めていければと考えております。

【主査】
 よろしゅうございましょうか。並行して、とにかくいろいろと要素を踏まえながら議論を展開していくことになると思うんですが、先ほどご指摘ありましたように養成、採用、研修が、今、教員の質について大きく変わろうとしているわけです。これは社会が教員に要求しているものが変わってきているから、今までのように一律的な色彩の強い人確法だけでは優秀な人材が集められないという面も確かにあると思うんです。ですから、その辺のことも踏まえて議論する必要があるだろうと思います。決まった年齢の先生をある年に採用して、それを育てていくだけではいかなくなっている面もあるでしょうし、教員に求められる資質も非常に変わってきているわけです。多様になってきていますから、その辺も踏まえて、ちょうどいい機会ですから、議論したらいいかなと思っているんですけれども、何かご質問、ご意見ございませんでしょうか。どうぞ。

【委員】
 すみません、失礼します。最初、主査が、教員のモチベーションの問題ということを言ってくださったんですけれども、私自身、現場の教員ということでここに参加させていただいて、既にモチベーションが下がっているんですが、今の説明の中で、資料3の7ページで、1万1,323円、2.76パーセントの削減はもう決まっているという話があったと思います。それが斜線の中の義務特手当と本俸から半分ずつ引かれるということですけれども、資料4の検討事項になると、教職調整額をどうするかとか、人確法そのものをどうするかという話が出ていると思うんです。2.76パーセントを引いても、その表の中に教職調整額は今、丸々残っている状況だと思うんですが、話し合いによってはこれ以上削られる可能性があるのか、2.76パーセントが最低限、これ以上は削られないで、この枠の中でメリハリだけを考えていくのか、というあたりをちょっとご質問させていただきたいと思うんですが。

【主査】
 実態調査を踏まえないと、ちょっと議論、難しいかと思うんですけれども、今の段階でお答えになれることがあれば。どうぞ。

【事務局】
 もう一度厚い資料の99ページをご覧いただきたいと思いますけれども、人確法優遇分の縮減ということでございます。その中の、先ほど私のほうからは1の(2)についてご説明をさせていただきましたけれども、(3)もございます。(3)といいますのは、先ほどの表の中の本俸と義務教育等教員特別手当、斜線を引いた部分の割合でございます。合計で7.26パーセントあります。その中から、(2)であります当面の縮減額が2.76パーセントということでございますので、差し引き、この表では残る優遇分1万8,465円と書いてございますが、その部分につきましても18年度末までに、ここに書いてございますように、今後、教員の勤務実態調査の結果等に基づきまして、教職調整額と時間外勤務手当との関係や、教職調整額の本給扱いの是非も含め、教員給与の在り方について全般的に検討し、その取り扱いについて結論を得るとなってございます。
 ということなので、2.76パーセントというのは一つの決定事項でございますが、残る部分ににつきましても、年度末に向けて包括的に議論する中で結論を出していただくということでございます。最終的に取りまとめの中で、教員の給与の在り方として現状では低いとか、問題があるというご判断をいただきますならば、そういう形で取りまとめをいただいてもよろしいのではないかと考えてございます。

【主査】
 よろしいでしょうか。モチベーションを高めるために、ひとつ頑張りましょう。いい案が出せると思います。
 ほかにはございませんでしょうか。どうぞ。

【委員】
 たびたび申しわけありません。今の、既に決定されている5年間で2.76パーセント削減という決定事項ですが、いただいた資料で拝見すると自民党の歳出改革プロジェクトチームでの決定事項と見受けられるんですが、この決定事項の最終的な意思決定機関はどこになるんでしょうか。

【主査】
 どうぞ。

【事務局】
 この資料は、先ほど申しましたように自民党の歳出改革プロジェクトチームで配付をされ、その検討の場で了承されたものでございます。これらの具体的な数字を積み上げまして、資料として配付をさせていただいております資料3の9ページにございますように、最終的に骨太の方針2006として閣議決定をされておりますので、2.76パーセントというのは閣議決定、骨太の方針の中には具体に数字としては出てきておりませんが、先ほど十数兆円の削減を図る、骨太の方針に従って十数兆円の削減を行うというものの中には、2.76パーセントに伴う影響分につきましては削減額の数字として含まれているということでございます。ですから、現在、2.76パーセントはどこで決まっているのかということになりますと、骨太の方針2006の閣議決定として決められていると理解をしているところでございます。

【主査】
 要するに、財政再建の5年計画の中の歳出削減としてもう組み込まれている。ですから、それを前提にして、いい智恵がないか議論をしようというスタンスだと思います。よろしいでしょうか。

【委員】
 すみません、もう一つ。最初に確認をしておきたいので、そうしますと自民党の中にこの会と同じような、教員給与の在り方に関しての何かプロジェクトチームが設置され、あるいは設置される予定などがあるのでしょうか。そのあたりをご存じでしたら教えていただきたいと思います。

【主査】
 どうぞ。

【事務局】
 今回、自民党の歳出PTの中で議論をしていただいて、それがベースとなって骨太の方針に反映されたわけでございますが、その中では、歳出改革PTというチームと、そこでは財政論で議論をしていただいて、片や、当然、各部会がございますので、自民党は文教部会というものがございまして、その中でも議論していただいて、やむを得なしという結論になって、最終的には骨太の方針に反映をされたということになってございます。
 過去の経緯は、一応、文教部会でもご議論いただいた上での結果になってございますが、今後、ではどうするかというのは、自民党のほうで何か新しい部会を立ち上げてということにはなってございません。ただ、今回ご議論いただく中教審の議論なども、その文教部会にご報告申し上げながら進めてまいりたいと考えてございます。

【主査】
 ありがとうございました。それでは、どうぞ。お待たせしました。

【委員】
 私は財政学と経済学がベースで、その面から教職員の在り方、教育の在り方を考えている者ですけれども、特に教員の給与の、私、今年初めのほうでは財政諮問会議で歳出・歳入一体改革の議論もしていたんですけれども、教員のところを合わせていくという背景には、やはり透明性というか、ここでも議論になっていますけれども人材確保法の在り方、給与の在り方が見えにくい、どういう効果があってやっているのか見えにくいというところがあります。それをまず高めていく在り方を議論すべきだということで、それは今後の議論なんですけれども、ちょっと質問させていただきたいのは、ここの資料の中で幾つか、人材確保法を導入したことによって応募の倍率が上がったという資料があるんですけれども、以前から確保法を入れた上で、これまでに導入の効果とか、評価とか、調査研究がどのくらい文科省の中でされてきて、どういう資料があるのか。私、経済学なので法令関係はあまり強くないんですけれども、根拠とか、文書での書類はたくさんあるんですけれども、人確法を入れたことによってどうなのか。事例分析は多分ヒアリング等でこういう効果があったというのはあると思うんですけれども、客観的にデータで分析したものとか、調査研究、さらに内外問わず、国外でもいいんですけれども、諸外国では同様の法律、手当等でこういう効果があったという研究があるとか、そういうものをあらかじめ持ち合わせておられましたら、次回でも今回でもいいんですけれども、ぜひお示しいただいて、それをあらかじめ委員が基礎資料として読んでおいてから議論を始めるのがいいのではないかと思うんですけれども、そういう研究等の蓄積をお持ちなのか、ちょっと教えていただきたいんですが。

【主査】
 今回でなくてもいいというお話ですが、どうしましょう。どうぞ。

【事務局】
 人確法の成果につきましては、数字等で具体的に示すのはなかなか難しいと思っております。なお、資料につきましては、また分厚い資料でございますけれども、51ページあたりに人確法制定前の小学校や中学校の採用倍率、あるいは学部の倍率なども出てございます。51ページをご覧いただきますと、人確法の制定前、昭和49年の採用で見ますと、小学校は倍率が2.2倍だったものが、人確法による給与改善後は2.2倍が3.2倍になっている。中学校につきましては、6.4倍だったものが14.3倍になっているということで、給与も一つの魅力となって、多くの人材が教職を目指すということが客観的に数値として出ているものと思います。なお、先ほど委員からお話になったように、さらにどのような効果が生じたのかということにつきましては、正直そういうデータを今、持っていないところでございます。
 なお、今回、勤務実態調査と合わせまして、諸外国の給与の状況等にも調査を入れてございます。その項目の中には、諸外国で人確法に相当するような制度があるのか、あるいは諸外国の中で一般の公務員に対して教員の給与はどういう水準になるのか、そういったことについても調査をしてございますので、今回、ご議論いただく期間に、そういったデータについても提出をさせていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

【主査】
 ありがとうございました。

【委員】
 先ほどからの説明にありますように、資料3の7ページ、行政と比較して2.76パーセント、これは削減が前提ということであれば、それで内容が斜線の部分からということであれば、今、人確法の在り方で議論をしなさいという中身、赤いところから約7,000円という形になりますから、6,000円から7,000円が残るわけです。それがなくなったら、もっと行政は悪くなるわけです。そうであれば、人確法の必要性なんて言えるかどうか。逆に人確法を廃止して、今の何千円か分をどこかで埋める財源ができることが前提なのか。そうであれば、人確法を外してもいいだろうと思うんですけれども、これはどうか。
 それから、人確法による優遇措置というのは、それがなければ明らかに2.7パーセントも減らされるし、それ以上も減らされる。ですから、その辺は議論になるのか。逆に、人確法を残して、それによる優遇措置をもっと増やすべきだという意見ならわかるんですけれども、そうでもないと。その範囲内で減らすか、減らさないかということであれば、残ってもなおかつ減っていく可能性がある。これが一つです。
 もう一つは、教員の給与の在り方というんですが、それを見ましたら、メリハリをつけるということであれば、どちらかは高くしないといかん、どちらかは低くしないといかんですね。そうなると、高くした部分については行政よりも増えると思います。その分、逆にほかの人は減るわけですから、減った部分は行政職より減っていくことになるんです。そういうことであれば、教員は実際待遇としては、行政よりも低くなる可能性を持っているということも言えるわけです。同じ原資で配分すれば。そういうことになるから、メリハリの問題についてはそういう部分も含めて検討することなのか。そうであれば、優遇どころか行政と同じ保障ができないという形になるんです。
 もう一つ、本俸で増えている部分については、両方とも大卒でやられているか知りませんけれども、教職の場合はご案内のとおり大卒が基本になっていますから、学歴は大卒を基本とするとなっている部分。それから免許制度で、職業選択、あるいは教員になるためにはどうしても免許を持っていなくてはいけない、職業資格が必要になってきます。そうすると、一般行政職とはその部分が違っています。その専門性がどういう形で優遇されているかというと、ここに来て優遇されているとすればそうだと思うんです。しかし、その部分を削っていくとなれば、逆に行政と比較して、いわゆる職業資格としての免許制度が何も生きてこない形になる。
 特に、7月11日には中教審は免許の更新制、10年間で免許の失効があり得るということです。そうすると、非常に不安定職場になっていく。あるいはまた、そういう職業選択をしていく場合、不安定のリスクに対してどういう給与上の措置をするのかという部分は、今の考えていくとほとんど考えられていないです。決められた範囲内で、行政と同じものの中で適当に配分しろというようにしか聞こえてこないんです。そうでありましたら、教員給与の在り方ではなくて、原資の配分の仕方にしかならないです。
 そういう議論をするのか、もう一度、教員給与の在り方は何なのかということを抜本的に検討して、そういう中で給与のべき論で言ってくる、具体的には数量化して数字にしていくという議論ができるのか。そして、やっていった場合に、それが果たして保障されるか、担保されるか。こういう部分が今後の問題として非常にあると思うんです。全く担保がないような感じもするので、その辺の部分を議論していって果たしてどうなるのか。ここにおける議論で、若干未知の部分、わからない部分がある。
 それから、委員からもありましたけれども、確かに今、調整額をどうするかという部分がありますが、これは4パーセント分です。そうすると、ほぼ6時間か8時間分だと思うんです。しかし、超勤は既にそれ以上のことが実態としてあるわけです。実態として超勤分があったとして、今の調整額を外して実態で支給しろと言った場合に、果たして実態で支給されるか。例えば、ここにいらっしゃる国家公務員も、随分超勤されていても支給額は実態からずっと減っています。財政的な問題として。そうであれば、外せば調整額の4パーセントより逆に少なくなる可能性もあるわけです。そういうことにもなりかねないわけです。そうすると、この辺をどうするかという部分もありますから、やはり財政保障の部分と兼ね合いがなければ、議論をしていく意味があるのかちょっと疑問になります。

【主査】
 ありがとうございました。ご意見として、そのことをこれから議論するわけですので、貴重なご意見としてお伺いするということでよろしいでしょうか。

【委員】
 1点、事務局へのお願いでもあるんですけれども、例えば資料3の7ページのような資料、こういうグラフを見ると、一人一人の給与が、それこそ全員2.76パーセント削減されるというふうに誤解を受けやすいと思います。やはりこれから議論すべきはそういうことではなくて、総額で言うと2.76パーセント削減します、それをどういうふうに、今まで以上に高くなる教職員もいれば、逆にこれ以上低くなる教職員も当然いると思うんです。
 これを見ると、まるで全員がこういうふうになりますよと。これを見ると現場の教職員は、私も43名抱えていますけれども、やはりモチベーションは下がると思います。だから、資料というか情報の提供の仕方もちゃんと吟味していかないと、モチベーションが上がるような形になりませんので、そこについては十分ご留意いただければと思っています。
 やはり企業もそうですし、国家もそうだと思いますけれども、給与ですから枠があります。その枠が今、減っている現状の中で言うと、個々に配分されるものも減っていくのは当然だと思いますが、世の中には優秀で、もっともっと給与を増やさなければいけない教職員もたくさんいると思いますし、逆に明らかに削減しなければいけない教職員もいると思います。そういった形で、主査が何度も何度もお話しされているように、私立の学校では一律ということはあり得ませんから、そういった形も参考にしながらメリハリをしっかりしていくことは大事ですけれども、こういうふうに全員が削減されるような、誤解を受ける資料の作成だけは避けていただきたいと思います。

【主査】
 ありがとうございました。それはこれから気をつけてやっていきましょう。給与というのは社会的なものだろうと思うんです。この額なら絶対だれも納得するというものはないわけですから、社会的なものだという意味でこの会議をやる意味があると思うんです。社会的なものであることの存在を確認していくという作業を、これからしていくんだろうと思うんです。

【委員】
 すみません、今ごろこんなことをお伺いして申しわけないんですけれども、一般行政職の職員の給与との差を埋めるための2.76パーセント、これに相当する1万1,323円をまず削減するんだと理解しておりますけれども、これを今年度中に結論を出して、平成24年をめどに必要な措置ということになっておりますが、今後6年間は一般行政職の給与はあまり変動しないことを前提に考えておられるんでしょうか。例えば、今年、小規模事業調査を入れますので少し減ると思うんですが、その後、今、経済がよくなっておりますので上がることもありますし、あまり変わらなければもう一度政治主導で行政職の職員の給与が下げられることもあります。そこのところは、あまり連動性は気にしないで、とりあえず1万1,323円を下げるということで理解してよろしいでしょうか。

【主査】
 どうぞ。

【事務局】
 配付をさせていただきました資料7ページにつきましては、委員のご指摘もございましたように、これは平均的なものとしてとらえていただきたいと思います。すべての先生が一律に1万1,323円削減されるということではなくて、平均的に見ればこういった経費、全体的に2.76パーセントの削減が決まっているということでございますので、今後の取り扱いにつきましては十分に注意をさせていただきたいと思います。
 それと、教員給与にかかわらず、地方公務員全般の教員給与の取り扱いにつきましても、実は今回の法律の中でも削減がうたわれてございます。具体的には、これも新聞紙上に出てございますけれども、国の人事院勧告制度におきましても、今、いろいろな検討が行われておりまして、例えば給与比較の民間事業の規模でございますけれども、これまでは従業員100人以上の規模を対象にするというものにつきまして、新聞情報でございますが、今年度の人事院勧告では50人以上に対象規模を引き下げて調査を行っていると聞いてございますので、教員給与だけということではなくて、地方公務員全般、国家公務員全般の給与の在り方そのものが今、大きく検討されてございます。それはそれで一定の結論が出ると思いますが、もちろんそういうものも横目に見ながらということになりますが、教員特有の給与、職務、責任に応じた給与としてどうあるべきかということにつきましてご議論をいただくことになろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

【主査】
 ありがとうございました。

【委員】
 今、1万1,323円の削減が決まったというお話をいただいたんですけれども、ちょっと私、この分野は詳しくないもので教えていただきたいんですけれども、文科省と財務省で決められるのは基本的には義務教育費国庫負担金の削減であって、義務教育費国庫負担金の積算の根拠となるものの計算上の数値は下げられると思うんです。及び、その前提となる地方財政計画の数値は下げられると思うんですが、実際の給与自体は、給特法25条の6でしたっけ、この資料にありますように全部なくなってしまいましたので都道府県で決める、それから都道府県の人事委員会の勧告によって決める。かつ、人事委員会の勧告は基本的には地公法が適用されるわけですから、地域における均衡原則で決まっていくのであって、配分については必ずしも明確ではないわけです。にもかかわらず、全体の配分及び教員の水準がこういうふうに下げられ、かつ本給と義務教育等教員特別手当で削減を配分できるというのは、一体どういう根拠でそういう話が決まったとなっているのか。
 そこら辺、制度的なこと、単なる技術的助言で行うのか。これはどういうことで決まったと言われているのかがちょっと理解できない。義務教育費国庫負担金の積算根拠、及び地方財政計画の積算根拠が決まったということであって、その後は技術的助言であると理解させていただいていいのか。つまり、最終的に細かい中身を決めるのは、都道府県人事委員会、及び都道府県の、簡単に言えば知事部局、つまりここの会合に出てきていない人々が決めるのか。そこら辺の制度的な仕組みをちょっと教えていただければと思います。

【主査】
 よろしいですか。

【事務局】
 今、委員からいただいた意見ですけれども、まさに先ほど説明しましたとおり、教員の給与に関しては、公立学校の教員の給与については国立学校準拠制というものが平成15年度まではございましたが、平成16年度に国立大学校が法人化されまして、準拠制が廃止されている状況です。したがいまして、今、公立学校の教員の給与は各都道府県が主体的に、それぞれの人事委員会等の勧告を受けて条例で決定する。まさに委員の言われているとおりでございます。
 したがいまして、今回、自民党におきます縮減の決定につきましても、基本的には義務教育費国庫負担金に関して削減するという決定でございます。そこら辺がなかなかリンクしづらいというかできない部分も確かにあるわけでございますが、こちらについては義務教育費国庫負担金の削減という決定で、教員の給与はまた別、都道府県が主体的に決定するという制度になっているところでございます。

【主査】
 ありがとうございました。技術的なアドバイスというご意見ですけれども、そういう性格が強いということですね。どこかで言わなければしようがないということもあるんだと思います。

【委員】
 私からは、人確法の法律的な位置づけについてちょっと確認しておきたい点がございます。人確法、お配りいただいた資料、関係法令の199ページを見ますと、具体的には3条で、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。それだけが条文では規定されていて、この書きぶりだと、全く優遇しないということであれば違法になるでしょうが、どういう優遇をするのかというのはかなり幅があるように読める。そうすると、今、議論になっている人確法の在り方が、給与の具体的な制度とか水準に一体どういう影響を及ぼすのか。現に、先ほど来話題になっている決まったという減額も、原則、人確法を前提とした枠の中で行われているということですよね。
 それで、具体的には2点ありまして、1つは、現行の人確法は一律の優遇措置を論理必然的にもたらすと整理されているのか。理屈としては、優遇措置は残した上で、それを一律でない形で導入することもあり得ると思うんですけれども、そういうものが現行の人確法との関係でどういう位置づけになるのか。
 2点目ですが、さっき言った極めて簡素な人確法の規定であることからすると、教員の優遇に関しても、考え方としてはむしろ優れた人材の確保という観点を意識して、地方公務員法なり、地方自治法の原則を運用しなさいと。例えば、職務給の原則のもとで、一般の公務員とざっくり比較すると有能な人材を必要とする職務である。教員の職務はそういうものであるという前提で、地方公務員法の原則を運用しなさいと言っている。そういうふうにこの条文を読むこともできるのではないかと思うんです。仮にそう考えると、人確法がなくなったとしても、実は地方公務員法の枠内でなお教員の優遇についてどう考えるかという問題が残るような気もするわけです。そういう意味で、2点目は、人確法がある、ないという問題が、ただちに現在の教員の優遇分とされている、あるいは教員の給与が一般の公務員よりも高いとされている部分を吐き出すことに論理必然的に結びつくと考えられているのか。
 その2点について、人確法の制定当時であるとか、行政実務上何らかの整理がされているということであれば教えていただきたいんですが。

【主査】
 よろしいですか。どうぞ。

【事務局】
 2点ございましたが、まず1点目、人確法のつくりについてでございます。委員ご指摘のとおり、基本的に3条になっております。ただ、国立準拠制廃止以前は4条になっておりまして、4条には人事院勧告という規定がございました。結局、そのときには、国家公務員と地方公務員と2人おりまして、この法律自体は直接国と地方公務員を縛っていたということになります。それで、人事院が基本的に技術的に給与の妥当性、適当性を決めまして、それに基づいて国準拠で自動的に勘案して地方で決められる。さらに、それを人事委員会が補完するという仕組みになってございました。
 今、どうかといいますと、準拠制がなくなった、要するに国家公務員たる学校の先生がいなくなったわけでございますので、4条がそのまま削除された。ただ、3条の優遇措置は残っておりまして、これは現実、実際に教員を抱える地方を縛る規定になっている。では、何パーセント優遇すればいいのか、平均を問うのか、個別に見ていけばいいのかというところは極めてプログラム的な規定になっておりまして、そこは基本的には人事委員会がフォローしていく。当然、先ほどお話しありましたように、教員の給与については財政上の話もありますし、それは条例で責任を持って決めていただくことになってございます。
 これが人確法の現在の位置づけかと思っております。
 2点目の職務給があるから大丈夫ではないかと、まさにご指摘のとおりですが、先ほどのちょっと評判の悪い7ページに戻っていただきますと、わかりやすく言いますと、緑の部分と青の部分を差っ引いて見ていただくと、例えば行政職で見ますと本給プラス時間外手当、教員について見ますと本給プラス――その中には教職調整額が含まれております――義務教育等教員特別手当がある。義務教育等教員特別手当というのは明らかに人確法に基づいてつくられたものでありますが、中には当然、人確法に基づいて給与のげたを履かせている部分がある。その部分で足し込みますと7.26パーセントあるのではないかと言われています。要するに、残りの2.76パーセントを引いた部分も全部出してしまえという乱暴な議論が実際にあるわけでございます。その議論に対して、どういうふうに世の中は考えていくのかというのが一番大きな話で、さらに教職調整額を見ますと時間外手当と比べると少ない。これは少なくていいのか、それとも多いほうがいいのか、さらにはもっと少なくてもいいのかという議論をこの場でしていただければと思います。
 それで、委員のご質問にありました人確法に基づく優遇分と、職務給に基づく優遇分、プラスアルファしている部分がどこからどこまでかというのは明確に決まっていなくて、だから、人確法がなくなったから職務給に基づく原則をそのまま適用すれば一定の優遇性を担保できるかというのは、この中で明確にどの部分が職務給に基づくもので、どの部分が人確法に基づくものかというのは、人確法ができた後、制度改正が進んでごちゃごちゃになっているので、その部分を明確に出し切ることがほんとうにできるのか。ただ、我々としては両方があるだろうと考えておりまして、とにかく人材確保という教育政策上必要な措置が今後とも要るのか、要らないのか。さらには、先ほど来話になっている教師の職務というものが実際どうなっていて、その職務に基づく適正な給与単価は大体幾らなのか。この2つの議論を重ね合わせると、大体2.76パーセントを引いたほかの部分で残す必要があるのか、ないかという結論が出るのではないかと当方としては考えております。

【主査】
 ありがとうございました。
 それでは、時間になってまいりましたので、実は両副主査にまだご発言いただいていません。非常に参考になるお考えをいっぱい持っておられますので、ぜひひとつお願いしたいと思います。

【副主査】
 既に皆さんお話しされていることで、重複は避けたいので2点だけ。
 1つは、委員から人確法の効果に関する調査研究はあるかというご質問があったんですけれども、幾つかそういう調査はございます。実際、その効果についての基本的な見解は、日本の場合には教員養成系の目的大学が、特に義務教育段階では主流ということもありまして、人確法の成立による教員給与の優遇措置が、教員養成系の学生の行動変化を著しく変えたことはないようです。しかし、一般大学からの教員受験者が増えたという行動変化があったというデータは幾つかあるようですので、それは機会を見つけて事務局に提出したいと思っています。
 あと、これはお願いというか、今後の審議についての基本的なことですけれども、先ほど資料4で、事務局から、ここで検討する事項ということで3点にわたって提案がありました。基本的には、人材確保法とか給与の在り方で、教職調整額、国の法令に基づく給与については当然ここでも中心的に議論すべきだろうと思うんですけれども、メリハリのある給与体系にかかわって、例えば教員評価を給与にどういうふうに生かしていくかという運用等々のところにつきましては、これはおそらく地方の裁量にかかわることですので、そういう問題についてはかなり地方のさまざまな実情とか、状況判断でもって多様な試みが現在も試みられていますし、今後もやはり展開されるだろうと思いますので、そうした地方のさまざまな裁量権限をある程度頭に入れながら、ここで議論すべきことは何なのかということは、少し注意しながら議論していく必要があると感じました。これは今後の審議の方向についてのある意味でのお願いです。

【主査】
 ありがとうございました。

【副主査】
 今回の教員の給与の在り方に関するワーキンググループは、今後の我が国の教育界全体に非常に大きな影響を与える課題だと思っております。ご案内のとおり、教育基本法では、学校の教員というのは全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚して、その職責の遂行に努めなければならないという規定がございまして、このためには教員の身分は尊重され、その待遇の適正が期せられなければならない。こういう教育基本法の精神を踏まえて、具体的にそれぞれの財政事情に応じながら、教員の皆様方が職務と責任を十分に発揮できるような意欲を高めるための教員の在り方が今まで策定されてきたと思うわけで、その過程で昭和49年の人材確保法、あるいはその前の昭和46年には先ほど来お話がございます、勤務時間の内外を問わずに包括的に評価する教職調整額を創設した教員給与の特別措置法が制定されております。そういういろいろな経緯を経て、今日の教員の給与が形成されてきたと思うわけでございます。
 そういう段階で、先ほど初等中等教育局長からも、財政論だけではなくて世界のトップレベルの学力を形成するために、協力論としても教員給与について十分議論してほしいというお話がございましたが、まさに教員の給与は他の教育条件の整備とともに、教員の皆様が、教育は人にありと言われるように、学校教育の成果が先生方お一人お一人のモチベーションによってあらわれてくるわけでございます。そういう意味で、今回の教員の給与をめぐる議論は非常に重要な意味合いを持っていると認識しているわけでございます。
 そこで、今後の検討すべき事項として示された資料4で、人材確保法の在り方、あるいは教職員給与の在り方の2つの点と、その他の教員の評価とか、学校の管理運営については、相互にある程度関連はするものの、それぞれについて十分ご議論を進めていく必要があるのではないかとも思っております。
 その中で人材確保法は、私、昭和49年にこの法律にかかわった者として、当時、教員志望者が非常に減ってきたこともあって、先ほど資料でもございましたように、この人確法の成果としてかなり教員志望者が増え、それによって優秀な人材を確保することができたと。人確法ができた当時はそういう評価が一般的でございましたが、その後、社会の変化、学校現場の状況の変化等があって、今日、やはり一律な優遇措置ではなしに、先生が実際に勤務をし、それぞれ実態に応じた評価がどうしても必要ではないか。一律配分から、ある程度評価に基づいた給与の在り方を教員給与についてもせざるを得ないという方向が、今回の一つの底流としてあるのではないかと私は認識しているわけでございます。
 ただ、先ほど事務局から示された、平均で2.76パーセント、1万1,323円の削減が合意されているということですが、やはりその中で先生方がモチベーションを高めるような教員給与の在り方をどうするかということについては、いろいろな観点から、このワーキンググループのメンバーの皆さん、いろいろな観点からのご意見をお持ちでございますから、十分議論を詰めながら、教員の先生方が納得できるような報告案ができればいいと、このように現在考えておるところでございます。
 以上です。

【主査】
 ありがとうございました。
 どうも私の手順が悪くて時間が少しオーバーしてしまったんですが、そろそろ時間になってしまうので、最後に局長にお話をいただいて締めたいと思うんですけれども、何かこれだけは言っておきたいということ、よろしゅうございますか。まあ、これから始まりますので。
 では、最後に局長、よろしくお願いします。

【事務局】
 きょうは2時間にわたりまして、いろいろとご質問、ご意見等をいただきましてありがとうございました。
 私、初等中等教育局長になりましてちょっと2年たったんでございますけれども、この2年間の教育の議論を振り返ってみますと、大きく3つぐらいの側面から、今、教育界に課題が投げかけられていると思っております。
 1つは、ご案内の地方分権という側面でございます。代表的なものが税源移譲を含む三位一体の改革ということでございまして、義務教育に対する国の責任は何か、結論として、教職員給与費について国庫負担をすることは堅持になったわけでございますが、負担率は3分の1ということで、この4月から新しい制度に移行しています。この三位一体の改革を含めて、教育における国の責任と地方の責任、役割をどう考えるかということが大変大きな課題になっております。
 2つ目は、総人件費改革でございます。これは学校教育に限らず、公的部分の歳出改革の中で、公務員全般についての人件費の圧縮ということでございます。これは給与と定数、両面から今後大きな見直しが必要だと。その中で、公立学校の教員についても定数と給与について、ご案内のような、今、ご議論いただいたような話になっておるというのが2つ目でございます。
 3点目は、規制改革という観点でございます。例えば、教職員についても免許制度ではなくて、ほんとうに優れた方なら教育の仕事に参入できるようにしてはどうかといった議論まで含めまして、いわば事前の規制による質の確保に対して、結果責任でそれを問えばいいのではないかという観点から、さまざまな民間参入を容易にしてはどうかということで、大きな議論になっているわけでございます。
 こういった地方分権、それから総人件費改革に代表される歳入改革、そして規制改革という中で、ほんとうに私どもとしては、設置義務を課し、就学義務を課している義務教育を中心として、公的セクターが大部分を担っております学校教育について、例えば学力の保障、いわば生活観を含めました子供たちの心をどう育てるかということも含めて、学校教育の充実をどう図っていくのかということが大きな課題でございます。
 教育内容については、今、同じ中教審の教育課程部会のほうで十分ご議論をいただいているところでございますけれども、やはり環境整備に関して、今、申し上げましたような観点の中で、特に教職員給与に関しては、今までるるご検討いただいた状況の中で、これから私どもとして教職員の職務の専門性や特殊性を十分踏まえて、しかも教育界に人材が十分確保され、さらにそこに働く教職員の方がモチベーションを持って仕事ができ、親や地域の期待にこたえていけるような体制づくりをしていかなければいけないと思っておりまして、このワーキンググループに寄せる私どもの期待は大変大きいものがございます。
 ちょっとハードなスケジュールになりますけれども、先生方にはよろしくご議論賜ればと思う次第でございます。きょうはありがとうございました。

【主査】
 ありがとうございました。
 最後にハードなスケジュールということでしたので、この表を見てほんとうにそう思いましたが、どうぞひとつご協力、ご指導のほどをお願い申し上げたいと思います。このハードなスケジュールをうまく乗り越えて、いいものをつくりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 きょうは大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ご論議を賜りました。短期間で大変重要な課題を議論することになりますので、どうぞひとつご協力をお願いいたしまして、きょうの会議を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、最後に、今後の日程について事務局からのご説明をお願いいたします。

【事務局】
 次回でございますが、8月末に第2回、第3回ワーキンググループを開催させていただきまして、ヒアリングを行いたいと思っております。本日、皆様の資料の一番後ろに日程調整表を配付させていただいておりますので、今週中に返事をいただければと思います。また、皆様お忙しい方ばかりですので、3回目以降は先の日程も含めてできるだけ早目に決めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【主査】
 どうもありがとうございました。
 本日はこれで閉会させていただきます。ありがとうございました。

-了-

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初頭中等教育局財務課義務教育費総括プロジェクトチーム

(初頭中等教育局財務課義務教育費総括プロジェクトチーム)