資料4 第35回教員養成部会(7月26日)において出された主な意見

1.教員養成における専門職大学院の在り方について

  • 8ページの5.教育課程で、学級経営と学校経営は併記されているが、学校経営部分を充実させる必要があるのではないか。学校経営は重要なので、経営者としての責務の果たし方、教員の学校経営への参画意欲の喚起等、経営の大局的な部分も重視して欲しい。教育課程の具体的な内容として、学級経営と学校経営は分けても良い。
  • 13ページの12.学位の種類で、米国の例として、M.EdとEd.Dの2つを示し、「教師」や「学校管理者や行政担当者」を対象としたと記述しているが、本当にそうなのか。M.Edは、学校現場における実践家の意味であり、必ずしも教師を対象に限っていない。Ed.Dも、学術研究か、教育現場における実践的な研究・調査・指導かの違いである。
  • Ed.Dは、研究者の意味としても指す。米国の上位大学でも、Ed.Dしか授与していないところがあるので、直ちに現場教員や管理職を指すということではない。記述するのであれば、「等」を入れる必要があるのではないか。
  • スクール・オブ・エデュケーションでは、アカデミック・プログラムとプロフェッショナル・プログラムの2つに分かれているとあるが、分けていない大学もあるので、誤解しないよう記述を工夫すべき。
  • 大学院における履修が、教職専門科目にプラスして教職専門科目あるいは教科専門科目等を履修できる仕組みであれば、学生は教科専門科目あるいは教職専門科目を履修する形になるので、修了者に授与すべき免許状は、現行免許制度が、学位の種類によって普通免許状の種類を定めている建前から、専修免許状とすることが適当である。
  • 12ページの10.連携学校等で、連携校以外の教育センター等との連携が望ましいとされているが、指導体制を専門職大学院の中に限らず、教育センター等の地域に近い場所で現職教員が学び、授業力を高められるようにしていただきたい。
  • 教職大学院に対するニーズがどれくらいあり、設置規模をどの程度見込み、いつ頃の設置を目指すのかが問題である。
  • 現場では、専修免許状を取得している教員に対する風当たりが強く、評判が良くない。専門的知識はあるが、同僚性や指導性等に乏しいという見方がある。また、専修免許状を取得しても処遇に関係しない。例えば、学歴を1.5~2倍に評価して処遇に反映させる等、具体的な措置も検討しなければならない。
  • 教職大学院の創設は、1つのショック療法であり、これを基とした議論の中で、今までの教員養成カリキュラムを考え直す、あるいは既設の教員養成大学・学部や大学院の在り方も問い直すことが必要である。
  • 現在、再来年4月から開校するスケジュール・イメージで、各大学で教職大学院の準備を進めているが、最初の1~2年のうちに約15~20校の規模で設置されるのではないか。教職大学院のニーズは、ある程度の見通しが立つのではないか。
  • 現在の教育学研究科が、教科専門科目と教職専門科目のどちらを選択しても良い仕組みであることが、理論の実践化や実践の理論化ができない現状を生み出している。
  • 大学院で学びたいと思っている教員は多いが、希望が果たされないのは、教育委員会が教員を大学院へ送り出さないからである。専門職大学院も、教育委員会が教員を送り出さなければ、設置しても意味がない。現場を変えるためには、力量ある教員を送り出せるシステムをつくらなければならないし、現在の修士課程の在り方も変え、専門職大学院との質的な違いを明確にしなければ、現場が混乱するのではないか。

2.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について

  • 教員を養成する大学には、教員を志望する学生をいかに集めるか、学生にどのような動機付けをしていくかという課題がある。更新制は研修や適格性の観点で大きな問題を含んでおり、その部分を厳しくし、有効期限を設けるとなると、教員を志望しない学生が出てくる可能性がある。
  • 現行の初任者研修を2年くらいに延長して、不適格教員を見抜き、その期間内で教壇から降りてもらうのが良いのではないか。適格性や専門性は大事だが、教職の安定性や持続性も必要ではないか。例えば、大学卒業で取得した免許は、基礎免許として一生通用するものとし、初任者研修を受け教員になった段階で、親免許にする二段構えの方法など、安定性の観点も入れる必要があるのではないか。
  • 直近の勤務実績を評価して、適格性や専門性を確認して更新の可否を決定する考え方は問題ではないか。教員免許状の保有が民間企業の採用で考慮される実態もあることから、教員免許には、社会的に一定の力を評価しているという役割がある。教職に就けば、職務上、一定の力量を維持してもらわなければならないため、更新制によりそれを維持するという考えは良いが、更新要件を直近の勤務実績のように学校の中に限定するのではなく、一般社会でも認められる講習等で資格更新を判定することが、教員の資格を社会的に信頼されるものとするために重要ではないか。
  • 免許は、個人の力量や適格性を証明するものとして、雇用とは関係なく存在する。雇用関係における勤務の問題は、分限制度等の中で適格性の問題となり、雇用を停止する・継続するという判断となるが、これは免許とは別問題であり、整理が必要である。
  • 都道府県教育委員会は形式的な授与権者に過ぎないので、大学が実質的に免許状を授与するという根幹部分は変えるべきではない。したがって、免許状の更新の可否を判断するのも、実質的な授与権者である大学なのではないか。
  • 大学が自ら行う講習や大学が認定する講習等を通して、更新の可否を判断していくのではないか。更新にあたっては、各大学が自ら講習内容や方法等を決定し、責任を持って行うことになるが、一定水準が必要になるので、国としての役割は、大学における講習等について、一定の考え方や基準を示し、全国的な水準を維持していくことになるのではないか。
  • 3~4ページの(2)教員に求められる資質能力では、義務教育特別部会の審議経過報告を加えて、第一次答申を補完するとしているが、補完の中身を考えなければならない。補完という言葉では、第一次答申の内容が不足しているという印象を与える。
  • 29ページ以降の別紙を載せるのであれば、「考えられる」ではなくて、別紙の各事項に対して、新しい見解をきちんと示すことが必要である。
  • 大学が免許を授与するのであれば、教員となった後も責任を持ち、品質保証を行って欲しい。充実した講習を開き、きちんと評価し、修了させ、結果についても保証するシステムを構築する必要がある。例えば、教員が問題を起こした場合には、出身大学を公表したり、場合によっては課程認定を取り消すくらいのことをしなければ、形式的な取組みに終わる。
  • 現行のように必要単位の修得だけで免許状を授与するのではなく、大学で一定程度適格性を担保し、その前提で免許状を授与すれば、更新時に一定程度関わることができるのではないか。
  • 20ページの5.教員免許状の失効について、免許の保有を前提として教職に就いているので、免許が更新されない場合は、直ちに失職となる。この仕組みは厳しい内容であるため、失職のケースをもう少し議論する必要がある。
  • 現職教員には様々な厳しい更新要件があるので、ペーパーティーチャーにも厳しい要件がなければ公平でないので、客観的な更新基準が必要となる。
  • 22ページの9.現に教員免許状を有する者(特に現職教員)の取扱いについて、現職教員は現行法に基づき免許を取得しているので、それを前提に慎重に検討しなければならない。
  • 学部4年+修士2年を最終的な基礎資格に持っていくことを前提に、待遇改善を考えたらどうか。将来4年+2年の形で行くこととし、それだけの現職研修の体制をつくることも含めて検討すれば、専門職大学院も生きてくるし、知識を更新するという更新制の問題も解決できるのではないか。
  • 教員の資質能力は総合的なものであるが、免許状の授与や現職教育の仕組みは全て単位制であり、単位を積み重ねれば、資格が取得できる仕組みなので、教員に求められる総合性と、単位の積み重ねにより認定される資格の性質がうまくつながらないという問題がある。しかし、医師養成では最近、単位の積み重ねだけで資質能力が保証されるという考え方から抜け出してきているようなので、教員の資格もどうすれば良いのか、問題提起していただきたい。

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