資料4 これまでに出された主な論点と意見

(下線部分は第29回教員養成部会における意見を踏まえて追加した部分)

主な検討事項 主な意見
1.教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について  
(1)教員養成・免許制度の改革の基本的な視点
  • 教員としての適格性、専門性、信頼性の確保が免許制度全体における大きな問題であり、更新制もこの観点から議論することが必要。
  • 現在の日本は、教育者が尊ばれる社会とはなっていないため、頑張る教員を励まし、やる気を高め、さらに教職を目指す若者を増やしていくような取組みが必要。
  • 教職が社会的に尊敬を得られるのかが大きなポイントであり、全体の方向として、高学歴化や資格の向上など、外から見えるものにすべき。
  • 養成・採用・研修の中で、更新制がどのような位置づけとなるのかを議論すべき。
  • 更新制だけでなく、免許制度の抜本的な改革も視野に入れた検討が必要。
  • 抜本的な免許制度の改革は現実的でなく、現行制度の中で考えていくことが必要。
  • 専修免許状の基準が、一種免許状に量的な基準をプラスしたものとなっており、質的な基準を議論することが必要。
  • 現在の上進制度は、教員の資質能力と関係なく免許状が付与される仕組みとなっている。
  • 上進制度による専修免許状の取得については、再検討することが必要。
(2)教員免許更新制の導入の意義及び位置づけ
  • 今の社会は、経験が通じなくなってきており、新しい流動する社会に対応する仕組みとして、更新制を導入することは考えられないか。
  • 教育改革国民会議で更新制が取り上げられたのは、社会の目を導入することで、更新制により保証される教員であれば、教員の尊敬は回復するのではないかというねらいもあったが、このような視点も必要。
  • 大学に期待される役割は教員としての最小限必要な資質能力の養成であり、教員となった後にどのように育てるかという観点から、更新制のメリットを考える必要がある。
  • 教員免許状の価値や重みに鑑みて終身有効でよいかという問題がある。
  • 現行の免許制度では上進制度が取られており、これとの関係で更新制にどのようなメリットがあり、どうすれば機能するのかを議論すべき。
  • 更新制は、1.自己又は教員全体の資質能力を高めるためのインセンティブとして、2.教員の能力が高まっていくという考えに相応しくない、あるいは免許状の信頼を損なうような場合のチェックとして、機能させることが考えられる。
  • 教員の意欲を高めるようなプラスの評価と同時に、きちんとして欲しいという観点での外部評価も必要であり、その一つの方策として、更新制を議論することが重要。
  • 更新制を導入しなければ教員の専門性や指導力が向上しないのか、更新制の下での研修でなければ実があがらないのか、あるいは更新制を導入することで研修の効果が飛躍的にあがり、個々の教員の資質能力が著しく向上することが見込まれるのか、確実性があるのか、という視点から考える必要がある。
  • 更新制は、今の評価や分限に関する取組みにさらにメリハリをつけていく上で、良い方向に機能するならば、検討の価値はある。
  • 更新制は、不適格教員の排除ではなく、キャリアの中の節目節目で、専門性を高めていくためのものとすべき。
  • 研修の機会をオープンにした上で、教員自らの職能開発の計画や、長所短所を踏まえた研修計画を立案して受講するなど、裁量を拡大することが、更新制の可能性を検討することに値する。
  • 教員は、教職経験を積むことで新たな課題やニーズが出てくるので、これに対応する更新制が必要。
  • 上級免許状やマスターティーチャー、管理職等、特別な資格を付与する免許状への上進のための更新制は考えられる。
  • 更新制で教員を排除するのではなく、再度チャレンジできるシステムを作ることが大切。
  • 更新制は、教員の自覚を高め、自己啓発を促すという意味もあるが、排除の論理が不可欠。
  • 問題のある教員に持たれた子どもは被害者であり、そのような者を出さないためにも更新制が必要。
(3)教員免許更新制と他の制度(現職研修、公務員法制、他の資格制度等)との関係
  • 更新制と教員の自主性や創造性を高めていく取組みとをどのように連動させていくかがポイント。
  • 更新制の代わりとしての10年経験者研修の意義・目的について理解されていない。更新制と研修との乖離が出ている中で、両者の関係について吟味することが必要。
  • 初任者研修や現職研修の成果が上がってきている中で、さらに研修を充実させ、教員の意識を高めるためには何が必要なのかを検討することが必要。
  • 教育委員会による指定研修だけでなく、自主研修も組み合わせて、どのように教員の資質能力を向上させていくのかを考える必要がある。
  • 今の分限制度など公務員法制との関係について整理することが必要。

2.改革の具体的方策

 
(1)教員免許状の授与の仕組み
  • 大学の教職課程は単位認定をするだけとし、採用選考試験に合格し、1年間の条件附採用期間を経ることで、免許状を与えるという形にすべき。
  • 初任者研修終了後に正規の免許状を授与し、これらの教員を更新制の対象とすべき。
  • 1~2年の仮免許状の期間を設けることが考えられる。
  • 最初は全て仮免許状とし、2~3年の条件附採用期間を経た後に、パーマネントの免許状を授与する仕組みがうまく機能するのではないか。
  • 医療職のように、教員について、統一的なレベルを確保する試験が必要ではないか。
(2)教員免許更新制の制度設計  
1.更新制の仕組みに関する主な事項
  • 教科の指導力以上に大切なのは、児童生徒の扱いができるかであり、ペーパーテストでどこまで見ることができるか疑問。
  • 管理職の判定やペーパーテストで基準以下の人を絞り、その人を対象に教員や子どもの目で評価するという2段階の判定とすることも考えられるのではないか。
  • 米国の更新制においては、ペーパーテストで判断するのではなく、専門性を高めるような研修を課している。
  • 米国では、免許更新の際の研修について、教科のみならず、カウンセリング、学級経営、生徒指導、学習指導全般など様々なものがある。
  • 米国では、免許更新の際の修得単位は、申告時にチェックされるため、全く関係のない単位を簡単に修得することはない。
  • 更新の基準として、授業力や子どもを見る目に加えて、学校を率いていくのに必要な能力というものも必要。
  • 上進制度との関連を明確にして、更新制と資格認定とを連動させれば、教員の資質能力をレベルアップできるのではないか。
  • 更新制と資格認定を連動させ、ステージに対応した更新のあり方を考えるべき。
2.対象者や対象となる免許状に関する主な事項
  • ペーパーティーチャーの免許状について、終身有効とするのは問題。
  • ペーパーティーチャーについては、免許状が自動的に失効するような仕組みが必要。
  • 毎年20万人の免許状取得者を対象にペーパーテストを行うことができるのか。
(3)教員免許状の種類の在り方
  • 専門職大学院修了相当の免許状を授与することは当然である。
  • 幼稚園の教員については、80パーセントが短期大学卒であり、資質能力を高める観点から、抜本的に改革しなければならない。
(4)教員免許状と教員の処遇との関係
  • 専修免許状を取得しなければ教頭や指導主事などになれないという方向を示すべき。
  • 更新制と資格認定とを連動させ、最初の更新をした人に認定教諭、次のステップとして専門教諭、さらに指導教諭の資格を与えることとし、校長となるためには指導教諭の資格が必要としてはどうか。
  • 普通の教員と指導資格を持つ教員とでは給与、処遇、学校内の役割が異なるようにすべき。
  • 校長や教頭になるためには、このような資格が必要であると一律に定めることは、適任者を幅広く登用するという観点から、慎重に検討する必要もあるのではないか。
  • 免許や資格、学歴を超えたところで立派な教育をする教員がいる一方、その逆の教員もいるなど、様々であるため、制度設計の際は柔軟な要素を入れる必要がある。
  • 免許状の更新の問題と教員の人事や採用、キャリアパスとは切り離して考えて良いのではないか。
(5)その他
  • 課程認定の在り方について、開放制の原則は大切だが、節度ある開放制を前提にすべき。
  • 米国では、開放制のもと、認定機関の基準に合致すれば教員免許状を取得できるが、例えば、成績が4段階で2.5以上が必要とされるなど要件があることが日本と異なる。
  • 教員養成部会として、大学の教職課程のシラバスのモデルをつくることも考えるべきではないか。
  • 教員の養成は、大学により相当の差異があるため、これらを判定する入り口論を考える必要がある。
  • 現行制度では、学校側に教育実習生を受け入れる義務がないため、教育実習を法的に明確にすることが必要。
  • 学習指導要領の見直しと、教員養成カリキュラムの見直しとが連動していくようなシステムを検討することが必要。
  • 今回、学習指導要領の見直しがなされるという状況の中で、現行の養成における教職専門、教科専門、それぞれの必要単位数について、もう一度見直す必要があるのではないか。

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