小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第4回) 議事録

1.日時

平成20年7月29日(火曜日)(第3回)10時~12時(第4回)12時40分~15時

2.場所

ホテルフロラシオン青山 3階「孔雀の間」

3.議題

  1. 地方自治体からの学校の適正配置に関するヒアリング ・広島県神石高原町 ・三重県伊賀市 ・東京都北区 ・神奈川県横浜市
  2. その他

4.議事録

 小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第3回)

【小川主査】
 では、定刻を5分遅れましたけれども、始めさせていただきたいと思います。加藤委員と山重委員は後ほど見えられるかと思います。池田委員は午後から出席というようなご予定のようです。
 第3回小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会を開催いたしたいと思います。お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございました。
 まず、今日の審議にかかわる関連の資料を事務局のほうから確認していただきたいと思います。

【淵上教育制度改革室長】
 失礼します。本日配付させていただいております資料は、議事次第にございますように、資料1から資料7までございます。資料1はこの作業部会の名簿、資料2から5までが、本日、意見を発表していただきます4つの自治体からの発表の資料でございます。なお、資料4の北区の後ろに1枚紙がついてございます。「赤羽中・岩淵中 統合推進委員会だより」というのがございますのでご確認をお願いします。それから、資料5が横浜市さんの発表の資料でございます。資料6が小・中学校の適正配置の基準に関する検討項目例ということで、私どものほうで今後の検討に際する参考の資料として項目だけ確認させていただいております。資料7が今後の開催予定でございます。
 このほか机上に、委員の先生方のお手元には、今日ご発表いただきます伊賀市さんからの「上野市校区再編計画」という緑の冊子がございます。それからドッチファイルが2冊ございまして、一つは基礎資料、もう一つはこの作業部会の前回までの配付資料をとじたものでございます。
 資料は以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございます。
 では、早速議事に入りたいと思います。今日はご案内のように、4つの自治体から学校の適正配置についての取り組みを発表いただきたいと思っております。今日は午前中、午後にわたってかなりハードなスケジュールとなっておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 まず午前中は、広島県の、これは「じんせきこうげんちょう」というふうにお読みするそうですけれども、その広島県の神石高原町と三重県の伊賀市の2つの教育委員会からご発表いただきたいと思います。それぞれ25分程度のご報告をいただいた後、一括して1時間程度の質疑応答、意見交換の時間を取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、昼食を挟んで午後からは、東京都北区と神奈川県の横浜市の発表を、それぞれやはり25分程度と、そして1時間程度の質疑応答、意見交換の時間を取りたいと思います。一応、きょうはそのようなスケジュールになっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、早速最初の発表ということで、神石高原町の佐竹秀明教育長のほうからご報告をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いいたします。

【佐竹教育長】
 それでは、失礼いたします。ただいまご紹介いただきました、広島県神石郡神石高原町の教育委員会の教育長の佐竹と申します。私は、従来、行政の出身でございまして、ちょうど3年前に教育委員会のほうにお世話になることになりまして、初めて教育行政畑に入ったと。そして、今回の学校再編の取り組み、これにつきましても、初めての取り組みということで、現在努めているところでございますけれども、住民理解に向けた取り組み、このことが、こと統合ということになりますと、大変な作業であるというふうに実感いたしているところでございます。
 限られた時間でございますので、早速発表させていただきますけれども、資料といいましても、20分のヒアリング資料、どんなものをつくればいいのかなということで、大変簡単なもので申しわけありませんが、これにより発表をさせていただきます。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思いますけれども、本町の地勢や動向についてでございます。本町は左の上にありますように、広島県の東部、岡山県との県境に位置しまして、標高400から500メートルの中山間地域に位置する町でございます。平成16年の11月に神石郡の3町1村、これは4町村でございますが、合併をいたしまして、誕生した町でございまして、下の表につきましては、旧町村の境を緑で色分けをいたしているところでございます。面積につきましては、381.81平方キロということで、大きい行政区域ではないかと思っております。
 それでは、続きまして2ページでございますけれども、人口の推移でございます。国勢調査をもとに記載しておりますけれども、昭和50年から平成17年までの30年間、この間で約5,500人が減少しております。最近の動向といたしましては、年間約200人程度の減少となっております。
 その下の表でございますけれども、年齢の表でございますが、本町の高齢化率、神石高原町のところの65歳以上の高齢化が42.8%と、大変高い状況でございまして、本町のある集落におきましては、50%を超す集落、いわゆる限界集落と言われておりますけれども、そういう集落も増加しつつあるという状況にございます。
 表にはございませんけれども、特に少子化の現象が著しいということで、出生数でございますけれども、平成18年度、50人という出生でございました。そして、平成19年度が55人という状況でございまして、今後とも子供の出生という、増える要素がなかなか見つからないというふうな状況でございますので、本来であれば町内に小学校、中学校が1校あれば足りるという状況でもございます。ただ、先ほど申し上げましたように、面積も381平方キロと広大でございまして、豪雪地帯には指定されておりませんけれども、冬の最低気温、気候の下のところにもありますように、最低気温として年間でいきますとマイナス13度からマイナス7度という状況でありまして、雪が降れば解けない。また、道路の凍結など、通学が困難な地域特性があるということで、通学時間を考えますと、1校では到底困難な状況であるといえます。
 次に、3ページのほうをごらんいただきたいと思いますけれども、人口に比べて世帯数のほうは、これは減少率は低い状況でございますけれども、これで見ますと、どうしても高齢者世帯が増えてきているという状況や、田舎におきましても核家族によるものが大きいというふうに考えております。そして、その下の表でございますけれども、小学校児童数・中学校生徒数の推移表を載せておりますが、現在、小学校が7校、そして中学校が4校でございますけれども、小学校全体で461名、中学校で299名ということで、単純に計算してみますと、学校数割る6学年とか3学年とかで割りますと、小学校は平均で11人、中学校は25人という状況でございます。学校によって格差はありますけれども、単純計算でいけばそういう形になってまいります。
 それから、次の4ページでございますけれども、過去30年間で統合した学校の状況でございます。黄色の三角印がございますけれども、これが15の小学校をあらわしておりますが、これが統合して廃校となった学校でございます。今回の再編計画で25年度までに統合計画をいたしておりますけれども、小学校でいきますと、1がございますが、ここの小学校へ4を統合していくと。これは緑のラインを入れておりますが、旧町村を越えた統合という形になります。また、5、下のほうでございますけれども、ここに3、6、7、これを統合していく。そして、中学校では、先ほどの1の隣に黒のアというのがありますが、ここへそのちょうど右のウという中学校を統合していくということで、これによりまして小学校が7校から3校へ、中学校が3校という形への統合でございます。
 旧町村から先ほどの学校がなくなるという地域からは、大変反対というふうな強いものが出ております。反対署名までは出ておりませんけれども、要望書というものが教育委員会のほうへ提出されている状況でございます。
 それでは、続きまして5ページのほうへ入らせていただきます。ほんとうに見にくい資料で、羅列したということで大変申しわけなく思っておりますけれども、まず、項目として学校の適正配置について検討することとなった背景と検討経緯でございます。まず、背景についてでございますけれども、児童・生徒数の減少による教育効果の低下であります。本町におきましては、複式学級の解消や、中学校におきましては10人以下の学級が発生してくる状況がございます。こういうことから集団の中で社会性を学ぶことが大変重要であるということにかんがみまして、また、中学校におきましては、クラブ活動等を多能にしていくということから、そして複式学級ということになりますと、教員の弾力的な運用に困難が生じてくるというふうなところから一つの背景として挙げております。
 また、道路改良、スクールバス等の交通環境の改善が図られてきているということから、時間の短縮化が図られてきたというものがございます。
 そして、近年、進められております耐震構造化の推進でございます。安全面の確保ということから、これは統合も含め進めておりますけれども、本町で先ほど小学校7、中学校4ということで11の校舎がございます。そのうち8つの校舎が昭和56年以前の建築ということでございまして、耐震構造でないというものでございます。現在、診断の加速をしていこうということで調査を行っているところでございます。
 そして、財政の硬直化というものもございます。また後ほどお話をさせていただきますけれども、財政調整基金という貯金もございますが、これも4、5年で底をつくという状況でございます。特に財政の硬直化というものは大きいものがございます。
 そして、町村合併による旧町村の一体化といたしておりますけれども、合併によりまして住民意識の一体化というものが図られてきているのではないかということも一つの背景にございます。
 そして、学校の効率的な運営ということで、すべての整備を行っていくというのはなかなか困難な状況がございます。施設整備とあわせて、やはり事務の効率化というふうな部分も含めております。
 次に、検討の経緯でございますけれども、実は、合併当時、この統廃合というのは積み残しとされていたものでございました。このため、平成18年度に行政、議会、教育委員会、住民、学校、PTA等の19名による代表によります学校再配置等検討委員会を設置をいたしまして、いろいろご審議をいただく中で答申をいただいたところでございます。教育委員会では、この答申を尊重し、基本方針を策定し、19年度から住民理解を前提として、現在まで説明会を開催しているところでございます。この8月、9月をもって現状での一定の方向をまとめていく計画ですが、一部見直しも仕方がない部分も生じてきているところもございます。特に、これにつきましては、設置者、議会へ協議をしながら進めているところでございますけれども、議会につきましては、総論賛成、各論反対という部分もございます。合併して4年目を迎え、ちょうどこの11月に選挙を迎えるということもございまして、やはり地域に帰れば、どうしてもその地域の代弁者ということとなり、厳しい部分もございます。
 続きまして、適正配置を進めていくための基本的な方針の内容でございます。適正規模の児童・生徒数の確保ということで複式学級の解消であり、先ほど申しましたように中学校ではある程度スポーツクラブの人員確保ができるという10名以上のクラスをつくっていくというものでございます。通学手段の確保につきましては、基本的にスクールバスの運行としておりまして、また、学習環境の整備という部分につきましては、本町は山村の町でございます。やはり木のぬくもりを取り入れた学校建築、また通学に配慮した場所の選定というところで検討しております。
 特色ある学校づくりや児童・生徒の一体感の形成というものでございますけれども、小・中連携というものを本町におきましても強化いたしております。これに加えて今後におきましては、小・中一貫を視野に入れた学校の整備、建設というものも含めて考えてまいりたいと考えております。特に、生徒たちの一体感の形成という部分につきましては、統合前における統合校との交流活動を重点的に行っていくという取り組みを過去には行っております。こういうことは大変重要なことであろうと思っております。
 それから、学校規模、通学等、適正配置を進める基準の内容とその算定方法、考え方についてでございますが、特に本町におきましては複数学級の確保は困難であるという状況でございますので、単式学級を確保するということでございます。また、1時間以内の通学時間の設定というものを入れておりますけれども、現在、一番長いのが56分程度スクールバスでかかっております。ただ、スクールバスの乗車場所まで徒歩で子供が来るということになりますと、56分プラス徒歩の時間ということになりますので、どうしても1時間を超えるという子供も中にはおります。
 続きまして、6ページでございますけれども、統合を具体的に進めた際の課題や、特に留意したことということでございますけれども、保護者の方からは、どうしてもスクールバスというものが大きなウエートを占めておられます。スクールバスの補助対象といたしまして、10名以上の利用規定があるということで、送迎ルートの設定を行っておりますが、児童・生徒の乗車定数確保というためには、ある程度広範な走行となり、通学時間の増大とつながっている部分がございます。
 それから、バス乗り入れが困難な地域におきましては、単独でタクシーの運行を実施している地域もございます。小学校4キロ、中学校6キロ未満について、原則徒歩、自転車通学を指定しておりますけれども、先ほど言いました冬季の積雪や凍結、夜間の安全確保のため、スクールバス乗車への条件緩和への要望というものが保護者の方から強く出ているところがございます。
 学校統合先の課題でございますけれども、やはり総合的に通学時間が偏らないように、校舎の場所の設置というものを設定を行ってきておりますが、どうしても町の中心部へ偏ってくるということで、周辺地域の方からは地域が衰退するという住民の課題が出てきております。特に、合併で本庁が1か所、支所3か所がございますけれども、合併によって地域活力がほんとうに低下したという実態が見受けられ、旧町を越えた学校の統合ということになると、強い反発も出ている状況がございます。
 統合したことによる具体的な教育効果と課題でございますけれども、複数クラスであれば人間関係上配慮したクラス編成ができやすい、可能になるということが大きいと思っております。また、クラブ活動が大種目、大人数で活動できるということで、生徒たちのモチベーションの高まりも見られる。新しい学校への特色づくりに向け、教職員のベクトルがそろい、学校の活発化が見られること、また統合加配や児童・生徒数の増加に伴う加配の措置という人的措置がございます。そういう部分で効果があると思っております。
 それから、スクールバス通学による安全確保という面で、特に保護者の方から安心できるという声が多く上がっております。統合前につきましては、いろいろな不安が出されておりましたけれども、統合後では、別段、統合して悪かったというふうなご意見もなく、本当によかったと思われるような発言を多くいただいているという状況がございます。
 それから、課題という面でございますけれども、スクールバスということになりますと、決められた時間に下校と、多少早い下校ということになります。放課後活動の推進が困難であるということや、早朝練習も取り組むことができず、近くの学校の生徒のみで自主練習ということで、学校全体とした取り組みができないという部分もございます。また、バスでの乗り物酔いというもの、これは新入生とかがあるわけでございますけれども、当分の間、なれるまで負担が生じております。
 統合により一学級の生徒数が多くなったり、細やかな指導が徹底しにくいという部分から見ますと、本町におきましても、ちょうど40名を切るという中学校のクラスもございますけれども、なかなか落ち着きがとれないという学級になっているように思っております。
 また、中学校における特定教科に対し、少人数指導ということで、30名以上の学級に非常勤講師の配置ということで県の制度がありますけれども、特定教科の非常勤講師の持ち時間というものが大変少なく、また、数学とか英語等の特定教科の人材がなかなか見つからず、幾ら制度があっても確保が困難というような状況もございます。
 そして、スクールバスの利用により、体力の低下というものが必然的に起こってまいりますけれども、各学校での早朝や、大休憩でのマラソン、また体育指導者の研修等にも力を入れて体力向上に努めているところでございます。
 それから、地域と学校のかかわりでございますけれども、どうしても統合いたしますと広域化するということで、地域の協力体制というものが必然的に弱くなってまいります。統合ということも含めて、また地域支援ということも含めまして、ボランティアの募集、そして学校支援地域本部の活用ということで、今年度から国においてこの制度が運営されておりますが、この9月から本町におきましても、統合に向けてより広域的な地域支援を図るため、この取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 それから、統合による財政面への影響でございますけれども、財政の硬直化ということで先ほど申し上げましたけれども、経常経費の比率、これは70から80%、これが標準と言われておりますが、本町におきましては、平成19年度で93.6%という状況でございます。
 そして、公債費率でございますけれども、実質公債費率、これは18%を超えると、公債費負担の適正化計画を立てなければいけない。25%を超えると、単独事業の起債が認められなくなるという起債制限団体となってまいります。本町におきましては、平成19年度、21.1%で、このため公債費負担の適正化計画を策定して、改善に努めているところでございます。
 交付税措置による一般財源化と記しておりますけれども、統合により段階的な交付税の削減がございます。統合によりまして、廃校となる学校を町で維持管理していくという今後の課題というものが出てまいります。また、一般財源化ということで、図書とか教材の充実について、交付金が入ってきておりますけれども、不明瞭な部分がございまして、本町でも図書費、教材というのは充足をしていない状況でございます。統合していくということになりますと、この充足率カバーという部分も出てくると思いす。
 学校の統合の整備費でございますけれども、これにつきましては、補助基準額というものがございまして、特色を出していこうとすれば単独事業費をかけていかなければならないというものもございます。現在、原油燃料等の高騰ということで、建設費の高騰や設計審査の長期化、そして財政負担への加重というものが、これから統合建設を行う場合に懸念されてくるというものがございます。
 7ページでございますけれども、統合後の校舎の跡地利用についてであります。統合を進める中で、跡地利用につきましては、住民意見を聴取し、対応していくということで進めておりますが、過去に行われました統合において、学校跡地リニューアルの50選でしたか、1か所選ばれたことがございますけれども、社会福祉法人によるグループホーム、託児所、放課後児童クラブ、そしてこの中には高齢者への食事の配食サービスという施設を1つの施設の中へ、元中学校でございますけれども、高齢者と子供の触れ合いというものも大切にしながら跡地利用を図っている施設もございます。
 また、学校法人のほうから、これは不登校の生徒のためのスクーリングの施設でございますけれども、私立の高校へ無償で貸与し、残る施設につきましては、町の管理ということで、研修施設や資料館、また社会教育施設として整備をいたしております。多くの学校施設が廃校となってまいりまして、管理運営費というものがやはり負担ということになってまいりますけれども、昭和56年以前に建った建物でございますので、今後また耐震化の問題というふうなものが追随してくるのではないかと思っております。
 最後に、その他、学校の適正配置を進めるに当たって特に留意した事項ということでございますけれども、保護者、住民への徹底した説明ということで、これは過去において多い地域では50回、1か所に通ったということもございます。やはり粘り強い説明というふうなものが必要になってまいります。また、安心して通学できる交通手段の確保というものがございますが、雪が降ると1時間を超えるという状況もございます。やはり時間短縮に努めていくということが必要であります。
 そして、統合学校の教育方針の明確化ということで、統合を進める上に当たりましては、教育基本構想研究会等の組織を設置して教育方針を定めてまいりますけれども、やはり先ほど申し上げました小・中連携一貫、その統合学校の特色づくりというものについて留意していくことが必要と思っております。
 続きまして、統合関係校の相互の交流ということでございますが、やはり子供たちの不安を取り除くというものに努めていくということが大切であり、また、保護者、地域の理解に努めていくというためには、十分な粘り強い説明が必要になってくるというものでございます。
 箇条的に物事を書いておりまして、なかなかご理解いただけなかったと思いますけれども、ちょうど時間が来たのではないかと思いますので、発表を終わらせていただきます。失礼しました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 ご質問等々があるかと思いますけれども、先ほど言いましたように、もう一つの伊賀市の発表が終わった後、2つまとめてご質問とか意見交換を進めたいと思いますので、ご了解ください。
 じゃあ、続けて恐縮ですけれども、次の伊賀市のほうの発表をお願いしたいと思います。伊賀市の教育委員会教育総務課の宮崎主幹から発表をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。

【宮崎主幹】
 失礼をいたします。伊賀市からまいりました伊賀市教育委員会の教育総務課、宮崎と申します。
 伊賀市はご存じのように、名古屋市と大阪市をまっすぐ直線で結んだ中間地点にございます。伊賀市、滋賀県、それから京都府、奈良県と近接をしておりまして、どちらかというと文化は関西圏の文化でございます。それから、松尾芭蕉の生誕の地、あるいは伊賀忍者等で知られているところでございます。
 当市の学校区の再編計画の取り組みについては、資料3、それからお手元に本日配付をさせていただきました「上野市校区再編計画」という緑色の冊子を随時参考にしながらご説明をさせていただきたいと思っております。
 まず資料3の1ページでございますが、少子化あるいは地方財政の悪化、地方分権社会の到来、こういう社会潮流の中で、平成14年12月に市長からの諮問を受けまして、上野市校区再編計画検討委員会を設置いたしました。今は平成16年11月に6市町村が合併をいたしまして、伊賀市となっておりますが、当時、まだ上野市という時代でございました。その諮問を受けて、委員20人──20人の中には公募の委員5人も含まれております。その内容等については、緑色の冊子の52ページ、あるいは53ページのほうに、構成委員名簿、あるいは諮問書の内容等が入っております。この2002年の12月から検討を開始いたしまして、2004年、平成16年2月に最終答申をいただきました。最終答申をいただいて、それを議会で協議をいたしまして、上野市校区再編計画として、行政計画として進めていこうというふうになったわけでございます。その後、16年11月に市町村合併がございまして、これを伊賀市上野地区校区再編計画という位置づけに変更いたしまして、現在、推進・実施をしているというようなところでございます。
 資料3の2ページをお願いしたいと思いますが、やはりこの校区再編計画検討の背景となっておりますのは、少子化、それから行財政改革、それから教育改革、この3つがベースにございました。伊賀市上野地区の場合ですけれども、昭和58年から平成19年までで児童数が40%、また生徒数も40%減っております。
 計画書のほうの7ページをごらんいただきたいと思います。すみません、あちこちで。7ページには、当時の上野市の小学校ごとに、ずっと昭和58年から、いわゆる四半世紀の間の児童数の推移、あるいは学級数の推移というものを小・中学校別に表にさせていただいておりますけれども、平成14年には既に100人を切る小学校が5つ生じてきております。これは実は、昭和の合併時に、それぞれの旧村に1校ずつありました小学校が、その後も統廃合されずに残ってきた。おらが学校的な存在でずっと残ってきたのですけれども、それが少子化により複式学級等を生じてくるような、平成14年で見ると、学級数が4となっているようなところがございますけれども、複式学級を生じるようになってきた学校です。これでほんとうに教育環境としていいのかどうか。そういうことを含めて検討する必要があるということで始まったということでございます。
 その当時、1校当たりの、これは平成13年の数ですけれども、全国平均では小学校1校303人の児童がおりました。それに対して三重県の平均は244人、上野市の平均は192人ということで、かなり全国平均に比べて低い状況になっておりました。これが財政的にどういう影響を及ぼしていたかということでございますけれども、当時の児童1人当たりに90万7,855円のお金がかかっておりましたのですけれども、そのうちの上野市の負担といたしまして約27万円で、三重県の他の市町村の平均よりも、ちょうど2万7,000円ずつ、児童1人当たりに対して市の持ち出しが多かったということで、中学校のほうも同様に約1万円多いというような状況でして、トータルいたしますと、この児童数を掛けていきますと約1億円ずつ、財政負担がかかってきておるというようなことでございます。
 次の3ページにございますけれども、住民人口3,625人で上野地区は小学校の1つを支えている。例えば、近隣の名張市、あるいは津市を見ますと、小学校1校を支えている住民人口が4,621人であり、あるいは7,447人であると。こういうところから、かなり住民1人当たりに乗っかってきている学校運営経費、こういったものが大きいといったような視点がございました。
 また、求められる時代潮流や教育課題への対応、ちょうどこのころ、教育再生会議や、また教育審議会のほうでもいろいろご議論をいただきまして、「21世紀を切り開く心豊かでたくましい日本人の育成」などを掲げて、「生きる力」などということも大分議論をいただいておったところでございますけれども、やっぱり当市としてもいろいろな教育的な課題を抱えてきておりました。子供同士のトラブルの増加や、不登校の子供の増加、校内暴力の深刻化、それからこうしたものに応じながら、複式が出てきたので、複式解消教員の市費での張りつけを行うなど、介助員の単独配置、こういったいろいろな課題も出てきておりまして、こういう課題にフレキシブルに対応するには、適正規模による学校運営、あるいは適正な教員配置が欠かせない条件であろう。それから、生きる力をはぐくむには、集団活動の中で切磋琢磨することにより、社会性や協調性、たくましさなどを身につけることが必要であろう、こういう視点で学校区の再編を始めたわけでございます。
 4ページでございます。先ほども、児童1人当たりに対する財政負担の多さという話もさせていただいておりましたが、これは地方教育費調査の中で見ていただいても、市内16小学校があったのですが、1校平均資本的支出を除いて4,852万2,000円、平成14年当時で運営費がかかっておりました。これは、学校用務員さんとか給食調理員さんの人件費をはじめ、消耗品等、いろいろなさまざまな経費でございます。また、6中学校では1校平均5,800万程度、経常的な経費の部分でかかっていました。行財政改革が市の中でも言われる中、教育も例外ではなくなってまいりました。こういう厳しい財政改革にも、教育も何とか対応していかなければならない。そういう背景をも背負っておりました。
 そんな中で、学校区を再編していく。これをどのようにするか。先ほどの校区再編検討委員会の中で進めたわけですけれども、2,300人を対象に、20歳以上の一般住民の方、それから300人の15歳から16歳の方、合わせて2,300名の方を市民から無作為抽出をいたしまして、アンケート調査を実施いたしました。それをベースにして一応、この学校区再編の基本的な考え方をつくらせていただいたということです。5ページに書いてございますけれども、適正な学校規模をどのように配置するか。これは小学校では1学年当たり最低2学級で2から3学級を基準とし、中学校では最大5学級で、4から5学級を基準とするというふうにさせていただきました。
 これらの検討過程については、6ページをごらんいただきたいと思いますけれども、6ページ、7ページ。市民アンケートの中では、一般の方、それから15歳、16歳の方、ちょうど高校に入ったばかりの方ですね。その方もやはり「小学校の1学年のクラスはどうあるべきだと思いますか」という回答としては2から3クラスというのが64.1%であり、一般の方でも51.2%、このような高い比率を占めていたということです。
 それぞれの学校長さん、それからPTAの会長さんに、この小規模校、大規模校のメリット、デメリットについて聞き取り調査をさせていただいてまとめたのがこの6ページ、7ページの表でございます。これは地域へ説明に行きますと、じゃあどちらがいいのかと言われたときに、どちらもメリットがあって、どちらにもデメリットがありまして、地域の住民を「だから統合して大規模にしたほうがいいんだよ」と説得するところまで行く材料ではございません。こういう学校運営面や教育効果面でいろいろメリット、お互いに小規模校、大規模校ではメリットもあるし、デメリットもあるよというような形。
 それから、資料の8ページ、9ページには適正な学級規模というふうに書かせていただいてございます。これは、当時、まだ三重県は導入されていなくて、現在は小学校1年生、2年生、中学校1年生を対象に、30人学級、あるいは35人学級が導入されておりますが、この平成14年、15年の検討をしているときにはなかったのですが、1学級30人から35人を上限として、成長段階に応じた柔軟な対応を行うことが望ましい、一応こういう基準をつくりました。この2つが学校区の再編を検討していくための大きな基準でございました。この基準についても、学級数の基準についても、アンケート調査結果が一番ウエートの置かれているところでございます。
 この2つを用いて、伊賀市のほうでは、じゃあ先ほどの小規模校、大規模校のメリット、デメリットそれぞれございますけれども、両方のメリット、いいところばかり取り寄せて学校区の再編を進めたらいいじゃないかと。つまり学校の規模として、学級数としては多く、学校の児童生徒の数としては多く、それから1学級当たりの子供たちの数を少なくすることによって、先ほど言っていた、両方の学校のメリットを取り入れていけるんじゃないか。そういう視点を中心として、学校区の再編をしていったらどうかというのが、そのときの検討委員さんたちの考えでございました。
 そして、やはり統合を進める、学校区の再編を進めていくということはどうしても通学区域が広くなります。通学の安全性を確保しないことには、この計画というのは進めることはできません。そういったことで、また5ページに戻っていただいて恐縮ですが、3で安全な通学手段の確保、これをどのようにするかというようなことで議論をいただきました。出てきました結論は、小学生においては、各地区の基準値──この基準値と言っておりますのは、集合場所。まずスクールバスですと集合場所。あるいは公共交通機関ですと駅とか路線バスの停留所。こういうところから3キロメートル以上、中学校では5キロメートル以上はスクールバス、公的交通機関による通学を原則とする。公共としていないのは、市のコミュニティーバスとか、いろいろとあったものですから、こういうふうになっているのですが、ただし、徒歩、自転車通学における安全な通学方法、通学経路の確保や、スクールバスの運行方法等については、今後新しい校区単位での地区協議により検討するということで、これは集合場所を単位にして決定していかないと、個人の家までの距離を基準としております義務教育小学校の施設費の国庫負担等に関する施行令ですか、その基準にあります4キロ、6キロというので、個人の家まで4キロ、じゃあこの子はスクールバスで、この子は違うのかというような話にもなってまいります。集合場所としますと、地域の集落の集合場所を決めますと、その集合場所まで、大体歩いてくるのに1キロ以内でそこへ集合してきてくれるだろうというような見込み、配慮、そういったものの中で3キロ、5キロというような数字が設定されております。
 それから小学校区と中学校区の関係としましては、同一小学校区はできるだけ同一中学校区となるように考慮し、同一小学校区が2つの中学校区に分かれる場合は、多数と少数に分かれることのないように、集団で分かれるように配慮する。どういうことかといいますと、今まで上野市では、1つの小学校を卒業して、多いところでは3つの中学校に分かれて進学していることがございました。これは小・中を連携させる、そういった意味でも大変困難な課題を抱えることになりますから、この再編にあわせて、一緒の小学校を出た子供たちみんなは一緒の中学校へ進学することにしましょうというふうにさせていただいたところです。
 それから、地域コミュニティと校区。このとき、校区の自由化を先導的にやられている自治体もあったわけですが、この地方都市において、交通機関が発達していない、交通手段が確保できない部分においては、やはり校区の自由化を前提とした校区再編の策定はできない、困難である、そういうことからそういう策定は行わないということにされました。ただ、再編の結果、再編後の学校までの距離が近隣の学校までの距離より遠くなる地区においては、その地区、自治会単位で校区を選択できる方法を残す。いわゆる自治会単位で、隣接区域選択制といいますか、そういう制度を一部残していこうというふうにしたところです。
 小学校区、中学校区とも原則として同一字名の自治会が校区再編により分断されることのないように配慮する。すなわち、市街地区で何々通りより南とか、何々通りより東はどっちの学校ですよというようなケースもあるんですけれども、それをやりますと地域の自治会が非常に分断して、地域で守っていただける子供会の活動、福祉会活動ですとか、そういうものに影響を出すということから、これには配慮しましょうということになりました。
 その当時、小・中一貫教育についても、いろいろ議論が、研究指定校などを設けてされていたのですけれども、この段階では今後の研究成果を見極めながらの検討課題とするというふうにされました。地域の連携と地域に開かれた学校づくりの連携をするための学社融合を一層充実を図るということにされました。ちょっと市町村合併前でしたので、7番目には、市町村合併に関わる1つの基準が設けられております。
 それで、こういった内容の中間答申案を出し、それから具体的には上野市内に当時16あった小学校を8つの小学校に、6つあった中学校を4つの中学校に再編する。いわゆる8小4中案と言っておりますけれども、そういう改革を中間答申の段階で出させていただきました。市民からは、もう大変、ドラスチックな改革で、全く住民の意向を無視しているのではないか、こういった声も大分いただきました。それで、シンポジウムや、それぞれの中学校区ごと、あるいは小学校区ごとに説明会等に行って説明をするわけです。その後に、それぞれ、どうですかということでアンケート調査をして帰ってくるわけですけれども、その段階で、学校区を再編する必要性は理解できるというのが66%ぐらいありました。「理解できる」「どちらかというと理解できる」、そういったのが66%ぐらいございました。しかし一方で、「反対である」という意見も3割程度ございました。「どちらともいえない」というのが残りというような形でございまして、これをほんとうに進めていくのは、非常に困難なことだということで、協議会の中でもいろいろ話をしたのですが、ばっと、学校区なんかを変えられる、あるいは学校区が地域のよりどころである、地域活動の中心である、そういう感覚を行政都合で変えられることに対しては、ほんとうに厳しい現実が見られました。しかし、学校はもともと子どもの教育の場である、これは中心ですよという話と、それから、新しい学校づくりには地域の人が参画をしてくださいと。10ページの上にありますけれども、地域の参画による学校づくり。基本計画は検討委員会のほうで出しましたけれども、協議会はこれから地域の代表者の皆さん方、保護者の皆さん方が、地域から参画をして具体的に決めていってもらうんですよと。これが新しい学校名の検討でありますとか、学校配置場所をどこに持っていくのか、あるいはスクールバスの運行計画をどのように持っていくのかとか、通学路を整備していくのにはどういうふうにして整備していくのか。こういうさまざまな計画は、地域の皆さん方が入って協議をしてくださいというような話で、資料の12、13ページがございますけれども、こういったそれぞれの協議会を設置いたしました。
 ここには、この要項で第3条になっていますが、新校区内の地域を現在の学校区とする小・中学校長、それからPTA会長、それから新校区内の自治会委員等の各地区代表者、それから伊賀市教育委員会が必要と認める者、こういった方でそれぞれの新しくなる、再編するというようなところの地区の代表の方にも出ていただいて、地域との連絡を密にしていただきながら進めるというようなことで進めて、地域主体型で進めていただくようにお願いをしてやってまいりました。
 ここの実施計画、策定の指針として表示させていただいておりますにはいろいろございますが、まず地域の参画による学校づくりを進めましょう、それから学校の配置の検討はやはり再編期間の短縮と財政負担の軽減から、新校区内の既存施設の利用を原則として考えてくださいというのがまず前提に、そこから出発しましょうということにしております。
 それから、再編の実施方法については、4つの実施原則がありまして、新校区構成地区自治会単位の合意と移行時期、移行方法との三者協議を原則とします。すなわち、新しい学校へ異動するというので、自治会単位で同意を取って進めていきますよということで、この同意を取るのに、本当に何十回と先ほどの話もありましたけれども、かなり多くの時間が必要になります。
 それから、中学校区再編の小学校区再編に対する先行実施。これは、行政の都合で、うちの場合、小学校、中学校と一手にやるのですが小学校区の再編のときも転校を余儀なくされ、中学校の再編でも余儀なくされる子どもが生じないとは限りませんものですから、中学校の再編を先にやりましょうというふうにさせていただきました。
 それから、全学年一括転校方式による校区移動と。通学区域の見直しも一部あわせて考えておりましたものですから、そういう通学区域の見直しにおいても、全学年一括転校方式でやるんですよというようなこと。
 それから、通学区域見直し時における自治会別の柔軟移行。通学区域の見直しもやはり自治会の同意を得てやりますというようなこと。
 それから、スクールバスの運行はこういうことで、自主運行をやるのか、委託方式でやりますとどうしても経費が高くなります。それから、行政の必要性の中でも福祉バスやコミュニティーバスというのは地方でではどうしても廃止代替路線等で必要になってきます。こうしたものとどう組み合わせていくのかというような必要性があります。
 それから、少人数学級の実現には、実は先ほど言っておりました学級数減に伴う教員人件費の減が学校数の減に伴う学校運営費の減を充てたいというような希望があります。
 それから、再編後の既存施設の利活用ですが、これはほんとうに難しいです。何もしなくても、そのまま学校を維持管理するのに、1学年1学級規模の学校が廃校になりましても250万円程度、年間かかってまいります。それを地域で受けて、地域の活性化のために使えとか、あるいは福祉施設に転用する。しっかりした次の使い方を考えていかないことには、ほんとうに難しいことです。ただ、新しい時代の公といいますか、地域の住民が、今までは学校があるからこの地域が活性化してきたというようなことを言っているような地域があるんですけれども、いや、そうじゃなくて、地域の住民の皆さんが自分らでどういう取り組みをするかということで地域は活性化していくんですよという、新しい時代の公の流れ、こういったものをかみあわせながら、廃校された学校でホタルの里づくりとして、それを拠点施設に理科室なんかを利用されて取り組んでいるところもありますし、これはほんとうに地域での皆さん方の取り組みが一番キーポイントになるだろうと思っております。
 以上、大体説明をさせていただいておりますが、附属資料として資料3の後ろのほうに「統廃合の状況」をつけさせていただいております。今までで市町村合併をするまでに進めてきた統合は、青山地区におきまして5つの小学校を1つに、その過程の中では暫定統合、議論の結果として、平成16年に1つの学校になるんだよということで進めているのですが、複式学級が増えてきて困る。その中で早く何とかしてくれと、そういった声も地域の中から、あるいは保護者の中から出てくる場合もあります。そうしたときには早く、できるだけ早く統合を進めて、暫定統合してその次の統合に移っていくというような形態もとられております。
 ここ、平成14年から今まででこれだけが統合。それから、この比自岐小学校については、休校となっていますが、これは近くの学校へ暫定統合といいますか、通学することになったということです。
 それから、現在進めております校区再編のスケジュールで、来年度に桃青中学校、府中中学校の統合校が21年4月に開校するということで、現在、建設工事等が行われております。
 今後の計画は以上のようになっておりますが、もうここら辺まで来ますと、地域の人が、何といいますか、これはあきらめというのではないのですけれども、ああ、しっかり校区再編をやっていくんだなというようなことで、やっと一定の理解を得てきたかなというようなところでございます。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、残り50分ぐらいありますので、今お話のあった2つの報告についての質問、その後、意見交換等を進めていきたいと思います。最初に質問、いろいろあるかと思いますので、ご自由に出していただければと思います。どうぞ。

【國定委員】
 私も市長という立場で非常に関心を持って、特に果敢な挑戦をほんとうにされているなということで、敬意を表しながら伺っていたのですけれども、それぞれの市と町の方々にお伺いをしたいのですけれども、まず、伊賀市さんの場合には、一番最後の資料のところで、全体の建設事業スケジュールというものが出てきていると思いますけれども、伊賀市さんの場合は行政、地域、学校の三者協議の中で具体的なスケジュールを決めていきましょうというような中で、これが決まったというふうに理解しているのですけれども、大体いつぐらいのタイミングでこのスケジュール案というものがお示しされて、まとまったのか。もしくは、多分、このスケジュールというのは一番地域住民の反対を喚起しやすい分野だと思いますので、そこのところを表出ししたときの留意みたいなものがあればお聞かせいただきたいと思います。特に、神石高原町さんの場合は、実際にそういうものも検討委員会の中でお示しした上で今、説明会に当たられているのかどうかということについて伺いたいと思います。
 それから2点目ですけれども、必ず新設されることは多分ほとんどなくて、どこかの旧小学校だったら旧小学校、旧中学校だったら旧中学校を新しい統合校の場所にされていると思うんですけれども、結果としてその統合校の場所を選択した最大の理由は何なのか。例えば、耐震の問題であるとかいったようなことなのかなというふうに思うのですけれども、そのあたりについてお聞かせをいただきたいというのが2点目でございます。
 3点目は、跡地利用というふうになると、仮に耐震化の問題とかで比較的校舎の新しい、またキャパシティーの大きいところを統合校の対象にするとなると、跡地の利用に回る側のほうは、逆にいうと旧耐震の校舎だったというようなことが想定されるわけですけれども、それをいつかは必ず解体をするなり耐震補強しなければいけない。それはまたものすごく莫大な財政出動が必要になると思うのですけれども、そのあたりについての中期展望なり長期展望をどう見据えた上で、今の跡地活用というような方向に踏み切ったのかということ。
 それから4点目は、この話を進めていくときに教育委員会側と首長部局との間でどういう役割分担をして市民を説得というか、説明を進めてきたのかといったところを、ちょっと聞いてみたいなと思いました。

【小川主査】
 4点、それぞれお2人に順番にお伺いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。じゃあ、神石高原町のほうからよろしくお願いします。

【佐竹教育長】
 まず、この建設スケジュールの発表のタイミングということでございますけれども、本町におきましては、再配置検討委員会というものを、これは先ほど申しましたように19名の方で組織をしていただきました。そして、教育委員会が諮問して答申を受けるという形で進めております。そして、その答申を受けましたものを、これは報告書ということで、まず町長に提出しまして、協議のうえ議会のほうにも提出をしていると。そして、この答申につきましては、町民に対しても広報等で周知する中で、教育委員会においても基本方針を立てていきました。そして、この推進に当たっては、住民の理解のもとに進めていくんだよと、一方的に進めるものではないということで進めておりますが、行政側も「地域住民の意見を十分に聞いてくれ」ということで、教育委員会が地域住民に対し、説明会に回っているところです。この経過について随時町長、議会へ報告しておりますが、ある程度まとまった地域、まだ課題のある地域など、方針を、部分修正も含めて、協議しながら進めております。 それから、統合校舎の関係でございますけれども、現状から申し上げますと、これから進めようとしている予定の校舎は昭和35年に建ったものであり、すでに50年近くがたっています。これはもう利用が困難であり、そして、統合してくる学校につきましても、相当古く、耐震工事等をしなければ到底無理であるという状況です。また、統合小学校の通学区が中学校通学区と同様となり、小・中連携、小・中一貫という取り組みのためには、同一の敷地内に建設をしていくべきであるということで、方向性を出しておりますけれども、今後、建設委員会の中で決定をいただくという取り組みといたしております。
 それから、跡地利用についてでございますけれども、学校の体育館というのはそれぞれ避難場所に指定されております。耐震構造を備えたものが校舎よりも多くありますが、計画的に耐震構造化を進めていかなければならないというふうに思っております。ただ、先ほども言いましたように、現在、廃校となった学校が15校ございます。また今回統合を進めていけば、20ぐらいになるということでございまして、管理運営や安全面についてどういうふうに対応していくか、財政的にも大変逼迫しているという状況がございます。代替施設というものはある程度地域にありますので、施設の集約を行い、財産処分も含めて、検討しております。
 そして、教育と行政の役割分担ということでございますけれども、行政と教育委員会の連携をもって進めていかないと、統合というのはなかなか困難な状況がございます。教育委員会が前面に出た形でこの統合を進めておりますけれども、元々は町村合併協議の中で、検討事項にもなりましたけれども、大きな課題であり、合併時の選挙も含めて、ちょっと計画にのぼらなかったという部分もあります。町長部局と協議を進めておりますが、設置者としての財政的基本方針と教育委員会の教育方針を足並みをそろえて進めていくことが重要と思っております。

【小川主査】
 では、伊賀市のほう、よろしくお願いします。

【宮崎主幹】
 まず、こういうスケジュールの公開タイミングはいつかということなんですが、実は、先ほど少し話に出ました、再編計画の検討協議会、この会議がオープンなものですから、話をしたら新聞記者とかも入ってきて、もう、どんどん情報が出ていってしまうような格好になって、逆に議会の側から、議会側への説明もなしに先にどんどん情報が出ていくと非常に苦言を受けているような状況です。しかし、オープンにすることによって、住民の方と近くなり、また住民の方の希望がかなえられるのかなと思っております。
 統合の場所をどのように決めるかということです。これはまず皆さんに協議をいただいて、既存の施設が利用できるかできないかということをまず判断をしていただきます。その既存の施設という中には、やはり立地場所もございますし、現在抱えている敷地の大きさ、それから先ほど出ているように、耐震施設として使えるのか、あるいは改築して使えるのか、補強して使えるのか、そういった部分ですね。今、伊賀市の場合は、大体1学年1学級規模の学校が多いものですから、統合して1学年2学級規模の目指そうとしているわけです。1学年2学級規模の学校にすると小さいような格好ですので、どうしても改築ということが必要になってまいります。しかし、この改築するのと、例えば小規模のままの学校を継続させていくのとどちらが財政的にいいのかという問題になってきますと、長い目で見ると、改築をしてでも統合を進めていくほうが施設の上では有利ではないかというような、そういう結論を得ているところです。
 それから、庁内の、これはやはり市長部局の財政的な部分、それから統合するには通学路、いわゆる学校施設だけではなくて通学にかかる経費というのがかなり出てまいります。新しい学校設置場所で通学する方向が変わってまいりますと、この方向は歩道がないじゃないかとか、それが県道であれば県のほうにも影響が出ます。国道にも影響が出ます。この協議会の会長さん以下、自治会長さん、皆さん協力いただいて、そういうところにも計画の陳情にも行っていただいたりしながら進めているところでございます。
 ただ、そのために庁内の建設部局、それから下水部局、水道部局、ここらでプロジェクトチーム──それほどのレベルではありませんが、連絡会議的なものを設置いたしまして、今ここまで進んでいるよ、用地取得どこまで来ているよとか、そういった連絡会議をさせていただいて、これをするにはどこまでやらなきゃならん、そういった話をさせていただいているところです。
 それと、耐震力不足の校舎が当市でも実はIs値で0.3以下、非常に劣るとされているのが体育館で7つあります。ところが、その7つがちょうどここのスケジュール、先ほど示した15ページのスケジュールで統廃合していくエリアに入ってくるわけです。3つの小学校とか4つの小学校を1つに統合しようとこういうスケジュールがあります。そこの中の1つとか2つが体育館の耐震力がありませんよと。じゃあ、この期間までどうするのと。二重投資はできないし、ただ、最近、財政的に3分の2補助という有利な状況になってきましたけれども、それまでにこういうスケジュールを示しますと、ここまで辛抱しなければ一度にそれはできないということはもう住民の方もわかっていただけますから、ある程度理解はしている。でも、それまでの間どうするんだという批判はやはり出てくることは出てまいります。
 以上でございます。

【小川主査】
 首長との連携で何かありますか。教育委員会の首長さんとの連携のところでは。

【宮崎主幹】
 連携の部分はプロジェクトチームというか、建設部局、それから水道、下水道、都市計画課、そこらの課の建設関係との連携を図ったプロジェクトチームを設置させていただいております。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 國定委員、何か今のお2人の……。

【國定委員】
 もう一つだけいいですか。
 特に神石高原町さんに伺いたいのですけれども、私どもの市も平成17年に合併したてなので、とても旧町村を超えて統廃合をするというのは、少なくとも私の市では絶対できないというふうに思っているんですけれども、そんな中で、先ほど、ちょっと私が聞き違えたのかもしれませんけれども、一部、検討委員会のほうで示された計画の見直しを余儀なくされているんだというようなご発言があったように聞こえたんですけれども、これはやはりそうしたところのものなんでしょうか。

【佐竹教育長】
 再配置検討委員会で提案されたことを尊重しながら、教育委員会で基本方針として、年度を定めて住民に方向性を示し、これに対して意見聴取をする中で、一部、その年度を後へずらしたものがあります。統合して、2年先にまた統合するという形もありましたので、これは玉突きみたいなことはやめて、年度をずらし一度に統合しようというものでございます。
 ただ、旧町を越えての統合ということになりますと、先ほどありましたように、地域からも要望書が出てまいりますし、その後、地元の教育を考える会というものも設置されております。ただ、中学校の生徒が1学年10名を切ってくるという状況であり、ある程度中学校については、統合に向け地域の中で前向きな意見も出てまいっておりますけれども、小学校については到底そういうふうな意見に現段階で達していないというものがございます。
 ただ、生徒数の減少について、保護者の中からも、もっと現状を見て一緒に考えていきたいという声も高まっており、今後、地元の教育を考える会と継続して協議をしていこうということで、計画年度が遅れてくるという状況でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。よろしいですね。
 ほかにどうぞ、ご自由に。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 どちらのご報告も小規模校を適正化する、または大規模校をそれなりに適正化するというお話からすると、もう全く小規模校、それも人口減にこれからますますというような、そういう中での統廃合のお話だと伺ったのですけれども、小規模校を適正化するときのメリット、デメリットというものが伊賀市の資料3の6ページにありますけれども、例えばデメリットをよくわかっています。クラスがえもなく云々、切磋琢磨に乏しく云々、多種多様な個性との交流が乏しく云々とありますが、例えば義務教育をこのようなデメリットにさらされたままで卒業されたら、これはもうとんでもない話だと思うんですけれども、ご両方とも1点、視点で触れられていないのは、高校の進学率だと思うんです。
 私は仙台からの参加ですけれども、高校進学率が限りなく100%に近いと。高校は今どういうことをしているかといえば、小・中学校に比べれば、私立も含めて非常に適性規模といえば、小・中学校から見れば適性規模化して部活動もフルラインアップでそろっているような、そういうところへの進級がまずかなりな率があると。であれば、そういう経験をなしに社会人になるのではなくて、きちんとそういう体験をした進学をして大人になるのであれば、ここはひとつ落ち着いた議論をというのが当然出てくると思うんですけれども、それが直接何か統廃合の意見を出した途端にものすごい地元の反対があるとか、そういうことにもつながると思うんですが、まあ、限界線はあると思います。複式学級ではいかがなものか、そういうものはあるんですけれども、統廃合を急いだり、やらなければならないときには、子供にとっても不利益変更以外の何者でもないわけです。
 ですから、子供のための教育の活性化というふうにはおっしゃいましたけれども、複式学級の限界は十分承知はしておりますけれども、スクールバスの配置にしても子供にとっていいような提供ができるとも思えませんし、その辺を踏まえて、これから実施するに当たって反対派の方ですとか、そういうものとどのようにお話しするんでしょう。
 また、極端に高校進学率が低いですとか、何とか15の春までにきちんとした教育をしなければならないとかいうふうな特異なケースではないと思うんですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。

【小川主査】
 お2人にそれぞれお伺いということでしょうか。

【加藤委員】
 どちらでも。一般論ですから。

【小川主査】
 じゃあ、よろしいでしょうか。

【宮崎主幹】
 そうしたら私のほうから。このメリット、デメリットは複式学級を抱えている学校に入って統合の議論をしても出てくる話で、例えば学力一斉検査、これによって複式学級の学校と大規模校、4学級ぐらい持っている学校と、学力差があるのか。ありません。それはやはり複式学級は複式学級でそれぞれの先生方が一生懸命それに対応した教育をしていただいていますので、そんな学力差がありません。したがって、それが高校進学率にはね返っているというようなうちのデータも持っておりませんし、また、そんなことも言えないような状況です。
 ただ、子供の不利益というのも先ほどおっしゃったとおりあるのですけれども、その地域、地区がずっと継続していくためには、たまたまそのタイミングで統合された子供だけではなくて、将来そこに20年、30年とずっと生活をされていく子供たち、こういった子供たちの教育環境もあるわけです。
 特にこのケースで一番もめた点は、附属資料1で、比自岐小学校が休校と。26人になりまして複々式学級で、暫定統合的にいくのかという話が出て、保護者の方が教育面ではデメリットがないではないかと。スクールバスで5キロも離れたところへ連れていくほうが子供に負担が大きいと。だからこのまま継続してほしいと言いますし、地区の方々が、子供たちはもっと広いところへ出て切磋琢磨をしていかないと、次、もう中学校の段階もある、高校もある、社会がグローバル化しているのにこんなところでどうなんだと、地区と保護者が対立するような形になりました。
 地区の自治会長さんが保護者の方を説得しまして、今行っている自分の子供だけじゃなくて、これからの子供のことを考えても、これは行くべきなんだということをしっかり説得をいただいて、今、暫定統合しまして、次にはワンステップ大きい学校への統合という状況になっております。

【小川主査】
 神石高原町さん、何かございますか。今の質問で。

【佐竹教育長】
 メリット、デメリットの関係についてでございますけれども、やはり保護者の方も複式の学校でずっと過ごしてきたという状況の方が多いわけでございます。ということから、メリット、デメリット、また集団の中での社会性の育成という教育効果についても、私たちは複式だったから悪いのかというふうなことも出て参ります。総合的な判断の中で進めるということで、財政面や子どもの安全性、そして社会性の伸長など総合的な教育効果として進めております。社会性の伸長というものについては、集団生活の中で経験を積んで高めていくものであり、保護者の方に理解を求めるというところでございます。特に最近では複式学級になって、その次の年は単式に変わる。その組み合わせの関係で、単式、複式、単式、複式というふうな形で進んでいく学年もございます。ということになりますと、子供の学習面で、大変これは負担が大きくなるのではないかと私たちも受けとめております。
 メリット、デメリットという部分でどちらがいいのかといったときに、やはり総合的に判断する中で、複式を解消し単式にもっていく形で本町では進めているところでございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 その後、柳澤さんと、あと草野さんですね。他にあと。じゃあ、山重さんという順で。で、あと、貞広さんということで続けていきたいと思います。どうぞ。

【柳澤委員】
 はい、失礼します。今出た議論と関係することですが、両方の方に、同じようなことを事例が違うので別々に聞かせていただきます。
 まず神石高原町さんのほうからです。6ページのところで教育効果と課題というところがございました。これを見させていただくと、効果と同時に課題もあります。例えばクラブ活動がありますが、実は放課後には困難である、あるいはクラス編成を配慮したということですが、細かな指導が徹底しにくいなどです。先ほどから出ている議論で、メリット、デメリットの両方があって、非常に決めがたい部分があります。
 この他に教育論として何か論じられたことがあるのか。教育論ではなかなか決着がつかなくても、やはり他のいろいろな効果、例えば財政であるとか安全面であるとかが一番の説得になっているのか。50回に及ぶ説明会というお話もありましたが、そういうところでどういう議論になっているのかということをお聞きできたらと思います。つまり、教育論というのはどれだけ決定力があるのかといったことです。
 それから、同じようなことですが、伊賀市さんのほうです。協議会の議論の中で、6ページ、7ページに、メリットとデメリットが出ております。メリット、デメリットを見た上で教育論としてこの観点でこっちという議論があったかどうか。あるいは、やはりここでどうしても決められなくて、別のいろいろな方向で意見が決まっていったのかと。
 同じようなことですが、教えていただけたらと思います。

【小川主査】
 よろしいですか。じゃあ、神石高原町さんから。なかなか難しい質問かと思いますけれども。

【佐竹教育長】
 教育論と申し上げますのは、私も3年程度で、また学校の現場というものも勤めたことがございませんので、再配置検討委員会でそれぞれの学識経験者の方が論じられた課題をもとに、これを的確に伝えていくというふうな形で進めさせていただいております。そして、一つは、小学校、中学校ということであれば、現在、本町におきましても、小・中連携というものを強化していっております。この取り組みについて、その条件がそろうような学校環境の整備についても、あわせて説明を行っているところであります。メリット・デメリットについて、教育論をもってどんどん突き進んでいくということは難しい部分がありますが、子どもの教育の向上を主眼とした答申を前面に出し、説明に努めているというところでございます。

【小川主査】
 じゃあ、伊賀市さん、お願いします。

【宮崎主幹】
 このメリット、デメリット、いろいろ議論するわけですけれども、小規模校ではどうしても越えられない壁というのが1つ。それはやっぱり数という壁です。これは音楽の合唱の指導をする、あるいはスポーツ活動、サッカーのチームを組んで対抗試合をする、そういった集団活動において、小規模校ではこれは物理的にというか数的に絶対超えられないことでして、そういう集団活動を通じて学ぶことというのは非常に多いんだよといったような話は、地域へ行ってよくさせていただいているところです。
 そして、小規模校の、ここの表に挙がっておりますメリット、子供たち1人1人に目が届きやすい、きめ細かな指導ができるとか、先生と子供、子供同士が親密であるとか、異なった学年との交流が図りやすい、こういった部分のメリットについては、少人数指導でありますとか、先生方の加配とか、違う部分で何とかそっちに近づけていくことが可能な条件なのではないか。ところが、先ほど言いました、何人いなければ野球ができないとか、そういう部分というのは、これはどうしようもないような部分ではないかというふうな感じで説明はさせていただいています。理解してくれるかどうかは別ですけれども。

【小川主査】
 柳澤さん、時間ないのでよろしいですか。

【柳澤委員】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、草野委員、どうぞ。

【草野委員】
 お2人からの発表、本当にありがとうございました。大変貴重な資料をいただきまして感謝しております。
 伊賀市さんにお伺いしたいのですけれども、今、教育論が出ていますけれども、私の個人的な意見では、この適正配置は教育論でやったら無理なんですね。はっきり言って。絶対無理が来ると思います。大体、小規模校だって、私はへき地校が教育環境が劣悪だとはちっとも思っていないし、いい先生がいれば、学力で絶対引けをとらないですよね。だけど、確かにそれは社会性の問題というのは、あまりはっきり言えないけれども、それはそれでクリアできると思う。ただ、中学校はだめですね。専科制ですから、小規模校でそのために全部の教科の教員をそろえるとなると、非常にこれは財政的にも問題があります。これはわかるんです。
 今、わかりやすいのは、だれもが納得するだろうというのは、複式学級の解消というのが、教育論を煮詰めていくとどうなるかわからないけれども、一般の方は納得なさいますよね。それで進める場合はすんなり統廃合できると思う。ところが、伊賀市さんの場合、中学校も統廃合を計画なさっておられますよね。一応、桃青中と府中中ですか、例えば21年度が開校というふうになっています。これ、6学級・6学級なんですよね。2学級・2学級・2学級で6学級で、どっちも6学級ですよね。こうすると、じゃあ何で統合だという意見が必ず出てくると思うんですね。そのときに、何か今までのよりもメリット、付加価値、例えば施設設備がよくなるとか、あるいは教員が増えるとか、教育条件のプラスの面がある程度見通されなければ、おそらく住民というのは多分全部反対だと思いますが、その点をどのようにクリアされたかと思って、お伺いしたいと思います。
 あと、それから表なんですけれども、ちょっと教えてください。その前のページに小学校の統廃合の状況があります。この図で見ますと、平成16年度から5つの小学校の統合をして青山小というのができています。青山小ができていて、こっちの緑の資料の7ページには、青山小というのがないんですけれども、これはどういうふうに見たらよろしいのか、それも教えていただければと思います。

【宮崎主幹】
 まず先に今の後のほうの質問ですけれども、実は市町村合併が16年11月に行われまして、16年4月に青山小が統合しております。この上野市校区再編計画でございましたものですから、旧青山町地区でありましたものですから、ここには入っていない。ただ、伊賀市となったときに、14年まで振り返ったときに、こういう統合があったというようなことでございます。
 それから、今進めております府中と桃青中学校の統合です。これ、実は、府中中学校、今現在40人超えるか超えないかぐらいの学校でして、もうあと五、六年すると1学年1学級になることが見込まれている中学校でございます。現在、野球部はあるんですけれども、サッカー部がない。男子バスケットボール部はない。こういう、クラブ活動の面でほかの学校に比べますとデメリットを大分抱えているという部分があります。
 それと、桃青中学校という学校が非常に老朽化した学校でして、昭和41年ぐらいの建設で、非常に校舎も老朽化しておりますものですから、そこを新しく建てる。城東中学校については、2つの中学校のほぼ中間地点に3ヘクタールぐらいの土地を買いまして建設をしております。そこには、地域の希望とかも入れまして、武道場を備えたり、スポーツ施設なんかも充実させて、新しい学校づくりをやっているというか、魅力づくりをやって、それからなおかつ、コミュニティースクールを導入する予定で、今、桃青中学校のほうでは文科省の支援を得て推進事業をやっているというようなことであります。

【草野委員】
 ありがとうございました。

【小川主査】
 よろしいですか。じゃあ、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 本日はどうもありがとうございました。現場のお話を聞いて参考になることがたくさんありました。どうもありがとうございます。
 それぞれお伺いしたいことを短くお尋ねしたいのですけれども、まず伊賀市のほうで、先ほどのご説明を伺っていると、やはり複式学級というのはデメリットのほうが大きいので、これについては解消するということが、一つの目指す方向としていいのかなと思ったのですが、ただ、基本的な方針として小学校で1学年当たり最低2学級という、複数学級にするということを目標とされているのは、そこまで必要かなというのがちょっと疑問に思うところです。1学級でもかなりのデメリットというのは防げるんじゃないかと。むしろ、先ほどのお話を聞くと、人数が問題であるとすると、学校規模についてはむしろ人数で考えられたほうがいいのではないかというような印象を持っているので、その点についてちょっと教えていただければと思います。
 それから神石高原町の方にちょっとお伺いしたいのですけれども、こちらはもう既に統合が始まっているということでお伺いしたいのですが、一つはまず財政面で、この統合によってほんとうに財政的な負担が軽減されたのかというのをちょっとお伺いできればと思っております。というのは、このスクールバスを措置したりするのにやっぱり費用がかかりますし、また、新しい学校をつくったり、あるいは増設したりするときに費用がかかるわけですので、それほど財政的に余裕が出てくるというような印象もないのですけれども、その点についてお伺いしたいというのが1点。
 それから、もうちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、先ほど来の話で、地域が変わるというのは、ほんとうにこれは十分あり得ることではないかと思っています。特に、私が親として統廃合の地域に住んでいたとしたら、遠いところでも住まないと思うんです。若い夫婦というのは、学校が遠い地区には住みたくないので、学校の近くに住むという行動をとると思うんですよね。統廃合というのは、長期的にやっぱり人口動態を変えていくことがあると思うんですけれども、こういうことが神石高原町では少しずつ起こっているのかなという気もしているのですけれども、その辺を少しお伺いできれば。
 逆に言うと、財政的にいうと、親が、あるいはこれから子供を持とうという人たちが学校の近くに住んでくれるようになれば、スクールバスの問題も長期的にはある意味で緩和されていくという効果がありますので、そういう長期的な人々の行動というものの変更というか、変わっていくだろうということまで考えられておられるのか。あるいはそういう動きが見られるのかについて、特に神石高原町の方にお伺いできればと思います。どうもありがとうございます。

【小川主査】
 じゃあ、最初、伊賀市のほうから、2学級ということで、学級数よりも人数じゃないかという指摘なのですけれども。

【宮崎主幹】
 2学級というふうな設定は、スポーツでクラスの対抗戦ができる。それから担任の先生が2人つくことによって相互に先生方が指導方法等について協議ができる。例えば、3年生なら3年生同士の話し合いができる。そういった意味で指導を行っていく体制と。それから2学級になると12学級になるわけですけれども、12学級規模になって配置された先生の数でいきますと、現在増えている校務分担、それぞれの先生はかなり校務を抱えておりますけれども、そういったものの緩和にもつながってくるだろうということ。それから、伊賀市の学級規模再編を見ますと、統合後、このぐらいの児童数・生徒数になりますよという表が出てございますけれども、大体1学年50人から60人程度の小学校ができる。必然的にこの統合をやっていきますと、1学級が25人から30人程度の子供たちができる。だから、逆に地区の方々は数合わせだと。こんな数合わせの統合はどうだといっておしかりを受けるところで、そういうことの批判もございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、神石高原町さん、お願いします。

【佐竹教育長】
 財政負担の軽減につながるかということでございますけれども、いずれにいたしましても、学校施設が大変古いものが結構ございます。運営に関してはこれは交付税措置で、相当な部分を受けるということで、財政の大きな負担というものは運営部分ではないのではないかというふうに思っておりますけれども、今後の大規模改修から、そして施設の改修の面から見ると相当な経費というものがこれはかかってくるであろうと思っております。それと、行政といたしましても人員の削減といいますか、町職員の定数削減というものもどんどん進めております。
 ということになりますと、学校施設のある程度の統合で、事務の効率化というものも進めなければなりません。施設の管理、運営、改造、改築、備品配備、そういうふうな部分が統合によって1つに集約化ができることが経費軽減につながると思っております。
 それから、説明会に行きましても、自分の地域に学校があるから帰ってきたんだよという住民の方もいますし、そして住宅開発もやっているところがあります。この住宅開発で、ここの住宅から徒歩何分で学校がありますというキャッチフレーズでやっているところもございますけれども、人口の増が見込めないという将来的展望でございますので、これにつきましては、安心してスクールバスで通学し、充実した施設の学校を設置する。保護者・住民に対し情報を十分提供し、統合を進めていかなければならないと思っております。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、最後の質問にしたいと思います。貞広さん、よろしくお願いします。

【貞広委員】
 政策的な知恵を絞られた貴重なご報告をいただきまして、大変ありがとうございます。時間がありませんので、2点お願いしたいと思います。
 神石高原町さんにお伺いしたいのですが、伊賀市さんに規模と配置についてそれぞれ1点ずつ伺いたいと思います。
 ご報告の資料の11ページの5少人数学級の実現というところがございます。非常に痛い思いをしなければならない統廃合ですけれども、幾つかの地域で私もこうしたものにかかわったところの経験からすると、2学級以上、または適正規模以上の、ただし少人数学級の指導というところが落としどころとして一番理想的であると。どうしても統合しなければいけないのであれば、学級規模を小さくしてくれというような要望、そのメリットがあるなら統合してもいいというところがあろうかと思うんです。
 これ、先ほどご報告で、こういう希望ですというふうにおっしゃっていたのですけれども、これはどれぐらい実際にこの希望が実現できたのかということ、そしてもし実現できなかったとするならば、どういう理由があってそれが実現できなかったのか。そのまま伊賀市さんの知恵だけに任せている状態だと、実現できないのであれば、例えばここの一つの我々の見解として、もし統廃合するのであれば、そこで浮いたお金を教育に必ず向けていただいて、それも学級数を少し小さくしていただくという、例えば市費の非常勤をつけるというような形の施策ということを考えていただけないかということを申し上げなければ、なかなか実現できないのかということを1点伺いたいということです。
 もう1点は配置の問題なんですが、先ほど5ページの3の安全な交通手段の確保というところで、スクールバスの集合場所を起点として通学距離を考えられているということでしたよね。4キロ、6キロというのはスクールバスの集合場所ということです。神石高原町さんは自宅からスクールバスの集合場所まで行って、そこから56分というお話でしたけれども、スクールバスの集合場所起点とすることによる反対というのはなかったんでしょうか。通学距離を考える場合に、集合場所を起点にできるとかなり簡便に考えられるようになると思うんですけれども、それについて伺いたいと思います。よろしくお願いします。

【小川主査】
 じゃあ、よろしくお願いします。

【宮崎主幹】
 まず少人数学級の実現のほうなんですが、これは実は、統合しますと統合加配という形で最初の年度については県のほうから加配の人をいただきます。その後も継続して人員をつけようということになると、市が一定のお金を負担しなければならなくなります。そうしますと、予算的な部分で、緊縮財政で右肩下がってきております。昨年度要らなかったものが急にまた必要になってくる。そんな中で、財政当局と非常に厳しいやり取りがございます。もう支援員程度の配置で済ませておいてほしいというような話で、ほんとうに介助員とかそのぐらいのレベルでないと、臨時職員の講師の方まで雇って加配していくというのは、今の当市の財政状況では非常に厳しいことになっております。
 この計画書の34ページです。実は、うちの校区再編によってどれだけの教職員の数が減るのかということを試算をした表がございます。34ページの真ん中では、再編前の40人学級規模で、必要教員数が171人であったのが、再編後に8小4中のうちでいいますと、小学校では130人になり、これは校長先生を入れておりませんけれども、41人要らなくなると。要らなくなるというのはあれですけど。35人学級で30……。ところが、これらの恩恵というのは市町村には全くないわけなんですね。人件費の部分で。したがって、うちがもしこれを努力してやっていこうとしても、今度の中学校を統合するのに、スクールバス等も出しまして試算をしましたら840万という経常経費が安くなることになりました。中学校の見込みとして。その840万をそのまま1人、教員、講師さんを雇うのに投じるかというと、なかなか財政当局は、それ、非常に難しい話になってきておりまして、何とかここらの統廃合した場合の財源措置が継続されると、もっといいのかなというような希望は持っております。以上です。
 それからもう1点ありましたけれども。

【小川主査】
 スクールバスの件で、集合場所を選定するという考え方に反対等はなかったのかと。

【宮崎主幹】
 反対等というのは特別ありませんが、この3キロ、5キロということを基準として統廃合をするときに、無償でスクールバスを利用できますよということを打ち出しております。そうしますと、3キロの集合場所まで来るのに、学校へ行くのとは逆方向から来る人、実は家まで行くと4キロを超える人、それから集合場所が違うので、ほんとうは家までは3キロ以上あるんですけれども、途中乗車すれば2キロしかない。そういうときはどうしてくれるのかといった意見を頂戴することはあります。そうした場合には、障害を持っておられるとか、そういう場合には特別にバス停を設けて乗せていきますよというのと、あと、バス乗車定員に余裕があれば、有償で運行を検討しますよと。しかし、有償で運行を検討するのも、道路運送法上の課題も抱えておりまして、まだちょっと今後検討していかなければならない部分もあります。

【小川主査】
 よろしいですか。

【貞広委員】
 はい。ありがとうございます。

【小川主査】
 予定の時間をちょっとオーバーしてしまいました。他にもお聞きしたいことがあるかと思うんですけれども、ちょっと時間がオーバーしていますので、残念ですけれども、この辺で午前中の審議を終わらせていただきたいと思います。
 佐竹さん、宮崎さん、ほんとうにきょうはお忙しい中ありがとうございました。
 これで午前中の審議を終わりたいと思います。午後の審議に向けて、あと昼食の件を含めてよろしくお願いいたします。

【淵上教育制度改革室長】
 本日これから昼食をご用意させていただいておりますので、席のほうにお持ちいたします。
 午後の審議は昼食休憩を挟みまして12時40分ぐらいを目途に開始をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【小川主査】
 じゃあ、これで終了します。午後は12時40分からできれば始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

( 休憩 )

小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第4回)

【小川主査】
 では、定刻になりましたので、午前に引き続き午後もヒアリングを継続していきたいと思います。午後は、ご案内しておりましたとおり、東京都北区と横浜市の2つの自治体からのヒアリングを進めたいと思います。まず最初に、北区教育委員会の教育改革担当の、きょうお2人、伊達部長と茅根課長のお2人からご報告をいただくということになっております。では、大体20分から、長くて25分ぐらい構いませんので、よろしくお願いいたします。

【伊達教育改革担当部長】
 皆様、こんにちは。それでは、私ども東京都北区でございます。東京都北区教育委員会から参りました、私、教育改革担当部長の伊達でございます。北区では、今、第三次の学校適正規模審議会を設置して、開催しておるところでございます。会長には、今そこにいらっしゃいます葉養先生にお願いしてございまして、貞広先生にも委員に入っていただいて、大変お世話になっているところでございます。北区の進め方につきまして、教育改革担当課長の茅根からこれから説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

【茅根教育改革担当課長】
 北区教育委員会教育改革担当課長、茅根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料に従いまして、私のほうから東京都北区における学校適正配置への取り組みについてご説明申し上げたいと思います。
 1枚まずおめくりいただきまして、右下のほうにページを振ってございますので、それに従ってお話をさせていただきたいと思います。まず東京都北区の概要でございます。左側のほうに、大ざっぱでございますが、地図のほうを載せさせていただいております。その名のとおり、東京都の一番北側に位置しておりまして、隣接は、荒川を挟みまして、埼玉県川口市、文京、荒川、足立、豊島、板橋、この各区に隣接しているところでございます。この地図をごらんいただけるとおわかりかと思いますが、ちょうど南北に長い地形になっておりまして、ちょうど真ん中を背骨のような形でJRの京浜東北線が走っておりまして、私どものほうは、行政7地区という言い方をしております。北区というと、よく「どこの北区ですか」とお話をいただくことが多いんですけれども、赤羽、王子、滝野川という、個別の地名を申し上げるとおわかりいただけるかと思いますが、その大きな3つのくくり、さらに今申し上げましたJR京浜東北線、それから環状7号線、石神井川、一番北側のほうに新河岸川というのがございますが、これで7つに区切って、私ども行政を進めさせていただいているところでございます。面積については、お示しのとおりでございます。
 3つ目の丸の人口でございますが、32万人をちょっと切った状態でございまして、3階層のパーセンテージ、ごらんいただけるとおわかりかと思いますが、老齢人口が7万五千人余いらっしゃいまして、23.8%ということで、これは23区のうちでいきますと、台東区についで2番目の高齢化率ということで、非常に少子高齢化と。一方で年少人口が9.6%でございますので、1割を切っている。そういった背景がございます。
 区立小学校、区立中学校の4月現在の学校数とクラスはお示しのとおりでございます。
 2ページのほうをお開きいただきまして、これまでの北区の人口推移と予測という形で、私どものデータに基づいてこちらのほうにお示しをさせていただいております。平成20年を真ん中といたしまして、15年刻み前後でお示しをさせていただいているところでございますが、総人口といたしましては、平成5年の34万人からかなり落ち込みと申しますか、そういった背景がございます。平成18年でしたか、前回の国勢調査のときに、いっとき総人口そのものが上向きになったんですが、やはりそれも今回のところ、かなり減少傾向にある。年少人口のほうをごらんいただきますと、落ち込み方が平成20年以降は少し下げどまりなのかなと。その分、生産人口と老齢人口の中のやりとりをごらんいただきますと、老齢人口のほうが、平成35年になりますと、3割弱ぐらいということで、その分生産人口がかなり減っているといった、これまでの人口推移と予測があるところでございます。それでおおむね北区の場合は、小学校の入学時に3%から4%ぐらいのお子さんが国立、私立のほうに流れております。それと、中学校につきましては、大体おおむね2割ちょっと、20%ちょっとの方が国立、私立のほうに流れているというのが現状でございます。
 1枚おめくりいただきまして、3ページでございます。こちらは、今回適正規模に関するお話をさせていただく中で、私ども北区が進める一番の根拠、よりどころとしております適正規模等審議会についてお示しをさせていただきました。こちらは、1つ目の丸にも書かせていただいているとおり、平成4年の9月に設置いたしまして、所掌事務といたしましては、この区立学校の適正規模に関することと区立学校の適正配置に関することということでさせていただいております。
 審議会自体は、全体で24名構成ということで、先ほど部長からもお話ありましたが、今回第三次ということで、学識経験者、また葉養先生、貞広先生にもご助力いただいておりますが、3番目の区内関係団体代表ということで、こちらは先ほど冒頭の地図でお示ししました王子地域、赤羽地域、滝野川地域という3地域をお示しいたしましたが、そこの自治会、町会のトップの方、それと、幼稚園、区立幼稚園、小学校、中学校のPTAの会長、それと青少年委員の代表にお入りいただいて、7名以内となっております。それと、区立学校の教職員でございますが、小中の校長とそれぞれ主幹クラスの、現場により近い先生にお入りをいただいているといったところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、4ページでございます。これまでの学校適正配置に関する流れということで、今申し上げました審議会、過去2度にわたりまして答申を出させていただいております。第一次が平成6年の2月ということで、それぞれ、この諮問事項、お示しの諮問事項にのっとりまして審議を重ねてきたわけでございますが、適正規模については後述させていただきますが、適正配置ということで、最終答申が平成6年の2月に出されたわけでございますので、その段階で、1から3、この3つの視点に基づきまして、先ほど1枚目の地図でお示しをいたしました7地区ごとに総合的に検討するといった内容でございます。その中で、具体的には、学校名こそ挙げておりませんけれども、7つの地区のうち5地区6校の統合についての検討が必要とか、通学区域改正についても視野に入れて検討が必要だろうと。中学校について、均衡がとれた学校配置について引き続き検討を加えるといった答申が出されております。
 1枚おめくりいただきまして、5ページでございます。これまでの学校適正配置の流れ、2と書かせていただいておりますが、第二次答申、平成14年11月に出されたわけでございますが、この第二次答申自体が、今、私どもが進めております適正配置のよりどころと申しますか、事実上の出発点になっているところでございます。諮問事項といたしましては、大きく2つでございます。区全体の区立小・中学校の適正配置とその実現に向けた具体的な対応及び適正配置実施に当たっての基本ルールのあり方と、学校と地域の新しいきずなづくりに関する方策といった、この2つの諮問事項に対しまして、大きく3点、ポイントだけで挙げますと3点でございます。
 1つは、やはり区内全域、北区全域を1つのくくりとして適正配置を考えていくのはなかなか無理があろうと。先ほど王子、赤羽、滝野川という地域のお話をいたしましたが、それぞれ地域ごとに抱えている状況ですとか、成り立ち、経緯等が違いますので、これをもう少しブロック化ということで、北区そのものを何個かに分けて、その中で検討をしていこうといったところでございます。
 それぞれ、中学校、小学校、ブロック化のお話をさせていただきまして、さらにその具体的に適正配置をどう進めていくかといったところ、着手のルールということで、学校ファミリーに着手ということで後ほどお話しいたしますが、ここでは中学校を優先して適正配置を進めていこう、そういう答申をいただきました。
 それと、話し合いのルールといたしまして、各区内を複数に分けたブロック単位での協議会を設置し、統合校は原則として新校と。このルールそのものを条例または規則でルールをきちんと定めていくべきだろうということで答申をいただいております。
 3点目の北区学校ファミリーの構想ということで、これに関しましては、諮問事項の2の学校と地域の新しいきずなづくりの1つということで、小学校と中学校の通学区域の重なりを利用して、学校ネットワークを構築し、より広い通学区域で教育効果を実現していこう、そういった考え方でございます。現実、今、北区の中でも、学校ファミリーが、区立の幼小中が連携をしながらさまざまな取り組み、活動をしているところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、北区立小・中学校における適正規模等に関する考え方といったところでございます。先ほど第一次答申の話をいたしましたが、第一次の議論の中では、先に適正規模を議論して、平成5年の段階で中間まとめを出しまして、その後適正配置に移った。その中間まとめの段階がこちらでございます。小学校における適正規模が、1学年2~3学級×6学年ということと、中学校における適正規模ということで、3~5学級の3学年ということでございます。
 それぞれ小学校、中学校の当面の存続規模というのをこちらでも定めさせていただいて、それを原則、今、第二次、第三次もこの考え方を横引きをしながら検討を進めているというところでございます。
 それと、第二次の最終答申の中で、小学校の適正配置をあわせて検討する目安といたしまして、連続する2学年においてそれぞれ10名を下回る児童数になった場合ということで定めさせていただいております。このときは現実的にそういった小学校はなかったんですが、平成20年の4月現在で、区立が小学校が38校中、連続する2学年が1けたになってしまった学校が2校ございます。そういった意味で非常に小規模化が加速しているといいますか、そういった状況でございます。さらにつけ加えて申し上げれば、38校中、これは小学校ですけれども、いわゆる単学級、全学年単学級の学校が19校、半分がその規模になってしまったといったところの状況でございます。
 次の7ページのほうをお開きいただきたいと思います。ここから7ページと8ページに関しましては、これまで北区が、これらの答申に基づきまして実施してきました学校の適正配置でございます。具体的には、中学校優先というのは第三次以降でございますが、第三次のところ、赤羽台東小学校閉校となっておりますが、こちらは非常に小規模化が進みまして、PTAさんの総意で、いわゆる自主閉校みたいな形をとらせていただいたというのが実態でございます。それ以降、第四次、第五次、おめくりいただきまして、8ページのほうにお示しをいたしました第六次、第七次、こういった、続けて中学校のほうの適正配置を進めさせていただいております。
 8ページの下のほうにも書かせていただきましたが、来年の第七次適正配置をもって中学校の適正配置自体は一応終了と。その時点で小学校が46校が38校に、それから、中学校が20校が12校になるといったところでございます。先ほど部長の冒頭のあいさつございましたが、小学校の適正配置のあり方について、3月より審議会のほう、入っているところでございます。
 その次でございますが、第二次答申以降の経緯ということで、9ページのほう、このようなブロックごとに会議体を設けて実施してきたわけでございますが、白抜きのところが、区民の方にお入りいただきながら進めている会議体でございます。第二次答申を受けまして、区内のブロックごとの協議会を設けまして、そこでまとめ切れなかったものを3段目の四角の適正配置計画(案)ということで、行政が決めさせていただいて、それをもう1回、各地区検討会にフィードバックをしたといったところでございます。さらにその地区検討会の中で統合する該当校、当該校同士の関係者が集まって、統合推進委員会というものを進めさせていただいているところでございます。北区の場合は、基本的には、統合校は改築新校ということで、今まで中学校の改築を優先しながら、さらに統合するところは改築新校というやり方でやってきておりますので、この後、学校改築の着手といった形が出てくるところでございます。
 それと、10ページのほうは、手続上の話で、条例改正で学校の統合だよということをお示しをさせていただいております。
 11ページのほうですけれども、先ほど当該校同士の統合推進委員会のお話をいたしましたが、その役割をここに書かせていただいております。いわゆる学校名ですとか、校歌、校章、標準服、そういったものですとか、施設の改善。北区の場合は、当該校同士が統合するに当たりまして、改築しないほうの学校を当面暫定的に使いますので、そのとき一瞬クラス数が4年とか5年間増えたりとかしますから、そういったところの改修なんかが、ここでお示ししております施設改善でございます。教育課程、生徒指導等は基本的には学校の先生にお願いをしているんですけれども、やはりPTAの方のご興味はこういったことのほうへ最近はかなり強くあらわされているところでございます。
 12ページのほうは、これは1つの構成の案でございまして、連合町会長をトップに中学校の校長、副校長、それとPTAの関係者で構成をいたしまして、どこの会議体もおおむね30名ぐらいで合議制で具体的な統合について進めているところでございます。それと、13ページのほうでございますが、こちらにつきましては、先ほど全体会だけで物事はなかなか進みませんので、具体的にはワーキングを設けてやっているところでございますが、昨夜も別の会議があったんですけれども、一番、地域の関心、いろいろもめると申しますか、議論がかなり出てくるのは、学校名をどうするかといったところが、最難関といったのが実情でございます。
 それと、14ページのほうでございますが、こちらは、統合のルールに関する要綱ということで、いわゆる新校だよといったところをお示しをさせていただいております。先ほど教育委員会のほうで、規則、条例で定めるといったところを要綱という形で定めさせていただいているわけですが、ルールといたしまして、第2条のところに、いわゆる対等統合だよと、それから、校歴もクリアしますよといったことをお示しをさせていただいております。
 それが原則なんですが、なかなか正直進まない部分もありますので、そうはいっても、第3条といった形で、もし全員で第2条と異なる結論が出された場合には、例えば校名は引き続きA中学校とB中学校のうちA中学校という学校名を残すといった、皆さんが合意がなされた場合はそちらを尊重しますといったところでございます。
 お時間の関係がありますので、あと何点かだけかいつまんでお話をさせていただきますけれども、私のほうは、具体的に、適正配置というよりも、今、統合のほうを同時に進めていますので、特に留意したことといったところでは、一番はやはり風評のたぐいでございます。会議体も全部公開でやっていますので、隠し立てはしないんですけれども、一部の皆様にとってみれば、自分の学校がなくなるとか、保護者同士でそういうお話がなされて、あの学校がなくなるですとか、そういったたぐいのは、いくら万難を排してもやはり出てきてしまう。それと地域の声がかなり、中学校は学制改革からですから、60年ですけれども、これから小学校も100年を超えるところ、適正配置、統合を進めていく中で、相当地域の声といったものが出てくるのかなと。現実に中学校でも出ていたといったところでございます。
 それと、きょうの資料の中にはないかもしれませんが、統合推進委員会だよりみたいな、広報の紙を我々のほうでポイント、ポイントでつくりまして、町会、自治会、それから児童・生徒を通じて各保護者に配って、正しい情報が迅速に正確に伝わる、そういったことに最大限配慮をしているところでございます。
 ちょうど20分なんですけれども、あと、何点か制度改革さんのほうからいただいているポイントで、もう一、二点だけお話しさせていただきますと、統合による具体的な教育効果ということで、これは学校の校長先生とお話をさせていただいて、どうしても、私ども中学ですから、部活の話、団体競技の話が盛んになったという話と、A中学校、B中学校、お互いの教員が質的向上、お互い気づきですとか、互いに刺激をし合って、いい形になっているという、おおむね好感を持って受け入れられているのかなといったお話も聞いております。
 あと、学校跡地のほうでございますけれども、基本的に私ども北区の場合には、政策経営部というところで跡地に関する検討組織を設けまして、学校施設そのものの跡地は区民共有の財産、そういった視点から区政の課題解決のために検討していくよといった形でございまして、そういった意味では、ほかのものに転用していくといったことを視野に入れながら検討を進めているわけですけれども、やはり地域の中では、自分たちの学校と、それをもっと有効に活用させてくれとか、なかなかあれだけの大きな土地、場所があるわけではございませんので、そこら辺を有効に使わせてくれという声は引きも切らないといったところでございます。
 それとあと最後になりますが、北区の場合は、今、協働ですとか、区民との関係がありますけれども、区民とともにという基本姿勢を掲げている関係もございまして、非常に地域の声がいい意味で強い。ですから、北区の場合は指定校制度をとっておりますけれども、指定校変更制度の運用、北区の場合15項目ありますので、その辺についてもう少し考えてくれないかと。地域の子たちの顔が見えなくなってきているよといった声が結構出ておりまして、その辺は、私どもも、今、国の大きな流れの中でどういうふうに対応していったらいいのかなということで、頭を悩ましているところでございます。
 ちょっとお時間オーバーしましたけれども、以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。質問等々があるかと思いますけれども、これも午前中と同じように、もう一つの横浜市の報告を伺った上で、2つ一緒に行いたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、すみません。横浜市のほう、よろしくお願いします。

【新倉学校計画課長】
 横浜市教育委員会学校計画課長、新倉でございます。どうぞよろしくお願いします。
 では、お手元の資料で説明させていただきます。横浜市でございますが、政令指定都市としては一番大きい規模ということで、行政区18区、人口で364万人を擁しております。そういった中で、横浜市立の学校数というのは、特別支援学校、高等学校合わせて512校ございます。そのうち、今年の5月現在で、小学校は346校、約児童数19万3,000人、中学校145校、生徒数約7万5,000人という状況でございます。
 横浜市も、総人口自体は増加、微増の傾向がございますが、年少人口ということで見ますと、平成20年代の前半でピークを打つという統計が市の統計の中では出ております。
 横浜市でございますけれども、昭和40年代から50年代にかけまして、人口急増期を迎えておりまして、その際に毎年10校以上の新設校を設置してまいりました。その後、資料の中段にございますとおり、児童・生徒数は、ピークを打ちまして、児童数でございますけれども、平成15年には昭和55年のピークの64%、生徒数でいきますと、昭和61年のピークの54%というような減少の傾向が出ております。
 またその一方で、横浜市域のうち、北部地域、東京、川崎に隣接する地区でございますけれども、ここを中心に、現在でも区画整理事業等、大規模住宅建設が行われております。また、市の中心区でも、工場ですとか、民間企業の社宅が撤退した跡地に、大規模な集合住宅が建設されるということが並行して起こっておりまして、局所的には、児童・生徒数が急増している地区もまだ数多く抱えているという状況でございます。
 そういった中で、学校規模の問題でいきますと、小規模化、大規模化、学校規模の不均衡といった課題が混在しているという状況と、あとは、人口急増期に、短期に集中して学校整備を行ったということがございまして、自治会、町内会、コミュニティと通学区域が一致してない、もっと言うと分断してしまっているというような状況ですとか、直近の学校に通うような通学区域になっていないというふうな問題、課題も解決する必要が求められているということがございました。
 そういった状況の中で、資料の下のほうにございますが、平成14年に学識経験者、保護者、地域の代表の方、市民代表、学校関係者からなります検討委員会を組織いたしまして、都合5回にわたる審議をいただきました。その中で、平成15年3月に通学区域のあり方に関する提言をいただいたということでございます。これに基づきまして、15年12月に小・中学校の規模及び配置の適正かに関する基本方針というものを定め、現在、横浜市の学校規模の適正化をするための検討を進めているという状況でございます。
 めくっていただきまして、資料の2ページをごらんください。この基本方針の中では、学校の適正規模についての考え方というのを整理させていただいております。整理に当たりましては、その囲みの中にも書いてございますが、教育効果との相関、教員配置など教育指導面の充実や学校の管理運営面、学校施設の効率的な使用の観点から総合的な判断を行うという中で、その下に書いてございますような、適正規模の範囲というのを小中共通で12~24学級と定めさせていただいたというところでございます。 これを定めるといった場合に検討した項目でございますけれども、その利点ということで書いてございますが、まずクラス替えができるということ、また学校の規模が一定以下であるということで、個々に応じた適切な教育が行えるというようなことを視点に考えたということでございます。また、学習面ということでは、総合学習等の個別の課題別の学習がしやすい規模というようなこと、また、中学校におきましては、12学級以上あるということが、教科担任制をしていく中で、教科担任を複数配置できるというような中で、組織的な教科経営や指導がしやすいというような点も考慮しているということでございます。
 そういった中で、この規模を、上下に外れる学校については、この方針に基づきまして、適正化を推進するというふうにしているところでございます。
 小規模校対策ということでございますけれども、これにつきましては、単級、学年単級を代表とします、そういった環境を改善しまして、また、学校として効果的・効率的な学校経営を行うというような視点で、地域と十分調整を図りながら、地域の理解とご協力を得ながら進めていくということとしております。
 また実際には、小学校11学級以下、中学校については8学級以下で複数近接している地区と、それから小規模化の進展が著しいような地区、ここを優先して再編統合を行っていくということでございます。
 統合の方法といたしましては、統合新設という形で、新設校を設置するというような考え方もございますが、横浜市では既存の学校施設を活用して統合するというようなことを掲げてございます。
 また統合に当たりましては、先ほど言いました地域の理解とご協力が得られるような形で、地域に小規模校の再編委員会というものを設置させていただきまして、その中で、十分調整、ご議論をいただくという形で進めてございます。
 再編統合を行う場合の配慮事項ということでございますけれども、これにつきましては、統合後の学校規模が当然適正規模校の範囲に入るということ、それから資料の3ページの上段のほうにも書いてございますが、基本方針で定めました望ましい通学距離、横浜市の場合は小学校おおむね2キロ、中学校おおむね3キロと定めてございますので、こういった距離、通学時間の問題、また自治会などのコミュニティとの関係を考慮する項目ということで掲げてございまして、これらについて客観的なデータを、先ほど言いました小規模校再編検討委員会のほうにご提示しまして、ご検討いただくということでございます。それに当たりまして、横浜市の教育委員会としては、統合された学校が魅力ある統合校ということで再スタートするということについて積極的な支援を行っていくということでございます。
 また統合によって生み出される旧学校施設というものがございますけれども、その活用につきましては、学校ということでは地域の施設という役回りは終わるわけですけれども、貴重な行政財産でもありますので、地域の方々のニーズにも十分配慮した形で、幅広な形で全市的な有効活用を検討するということを定めているということでございます。
 また、横浜市では、小規模校だけでなく、まだまだ31学級以上になるような過大規模校が今後発生するというようなことが見込まれている状況でございますので、こちらにつきましても、通学区域等の変更で対応できるもの、また増改築等が必要なもの、それらの対応で解消が困難な場合については、学校の予定地の問題もありますけれども、学校の分離新設を考えていくというようなことをこの基本方針の中で改めて確認をさせていただいているということでございます。
 右側の3ページのほうをごらんいただければと思います。こちらに学校規模とあわせて、この基本方針の中で、通学区域制度の考え方について改めて確認をしたものを書かせていただいております。横浜市は、住所によって就学すべき学校を指定させていただく通学区域制度を基本としております。そういった中で、各学校が地域に開かれた学校をつくるということを目指しておりまして、町とともに歩む学校づくりというようなことを全校で展開しているという状況がございます。その中で、通学区域の設定に当たりましては、先ほど言いました学校の規模、通学時間、通学距離、地域のコミュニティの関係を総合的に考慮するということでございまして、通学距離については、先ほど申し上げました、小学校概ね2キロ、中学校概ね3キロということを基準としております。
 通学区域の適正化についても、この中で触れておりますが、通学区域の変更というのを基本としながら、その地域とご相談をしていく中で通学区域の変更にまで至らないというような場合に、地域にご理解をいただけるような場合であれば、特別調整通学区域というような設定をさせていただく場合がございます。下に細かく説明が書いてございますが、これにつきましては、文部科学省の用語定義ということで定めている中では、特定地域選択制というような類型に当たるような制度だと認識しているところでございます。
 また学校では、それぞれ学校の特色づくりを進めている中で、保護者の方からすれば、学校を選びたいという市民要望も確かに出てきているということがございますので、通学区域制を前提とした通学区域の弾力化というのも推進すべきであるというようなことをいただいております。
 弾力化の方策としましては、その下に矢印で書いてございますが、まず1つは、指定地区外就学許可の充実ということでございます。許可をするに当たっては、いろいろ条件をつけているわけでございますけれども、平成16年からは学校の受け入れの能力が前提ということになりますが、先ほど申し上げました望ましい通学距離を超えるような場合については、指定校より近い学校への就学を認めていますと。また、中学校に就学する際に、小学校時代に行っていました特定のスポーツ、もしくは文化等の活動を中学校に入学後も継続したいというような場合で、住所で指定された学校にそういった部活動がないという場合について、直近の学校でそういう部活動がある学校へ就学指定校の変更をするというようなことについても、弾力的な取り扱いをさせていただいているところでございます。
 また、特色ある教育を受ける機会を設けるという視点で、通学区域制度の例外ということで、平成18年度の就学分から、通学区域特認校制度という制度を立ち上げさせていただいております。これにつきましては、各学校の教育の特色を保護者の方に理解していただきまして、その内容に応じて、教育を自分のお子さんに学ばせたいというようなことがある場合について、例外的に認めているというような制度でございます。
 次に中段でございます。学校規模の適正化の取り組み状況ということでございますが、先ほど申し上げましたように、小規模校の複数近接している地区について、再編統合を行うということでございまして、まず地域に対しそれぞれの学校の現状のほうをご説明するというようなことをまず行いまして、そういった中で、学校統合への地域の理解が深まったところから、先ほど申し上げましたような小規模校再編検討委員会を順次設置をして検討しているという状況にございます。
 統合に当たりましては、一方の学校が残るというようなことではございませんで、北区さんの説明の中でもございましたが、両方の学校を一旦廃止させていただきまして、統合校ということでの新たな学校を誕生させる。これを地域でサポートしていただくというようなことを考え方として統合を進めているところでございます。
 平成16年から横浜市は、再編統合を着手したわけでございますけれども、18区ある行政区の中、6つの区で、小中合わせて18校を8校に再編統合をしたという状況にございます。また今年度、平成20年度でございますけれども、1つの地区で同様の検討委員会を立ち上げて、今、ご議論をいただいているというような状況にございます。
 こちらの再編統合の対象になった学校、関係校ということで書いてございますが、いずれも、先ほど言いました人口急増期に学校を建設した地区、昭和40年代の後半から50年代に開校した学校がほとんどという状況でございます。
 小規模校対策ということでは、再編統合だけではございませんで、学校規模の平準化ということで、隣の学校との学区調整をすることで小規模校を解消したという地区も2カ所ほどございます。これにつきましても、再編と同じような形での通学区域の調整委員会等を立ち上げまして、ご理解をいただきながら進めているという状況にございます。
 また、小規模校の対策と並行しまして過大規模校ということで、平成16年以降も市域の北部地区を中心にしまして、小・中学校合わせて3校の新設校の開校を行っておりまして、また、今後2校の中学校を開校するということを今、予定しております。
 おめくりいただきまして、4ページのほうをごらんください。先ほどのような学校規模適正化の結果ということでございますけれども、小学校につきましては、小規模校、平成15年の段階で55校ございましたが、平成19年には34校ということでございます。これは、再編統合の取り組みということと、また、ここ近年の児童数の増加傾向とあわせて、着実に減少しているということでございます。また一方、適正規模を超える25学級以上の学校、これについては、まずは増加傾向にあるということがございます。
 中学校につきましては、横浜市の場合は、小規模校は8学級以下という定義をしておりますけれども、これでいいますと、10校から15校に増えているということでございます。また、学校教育法の施行規則のほうでいいます標準規模、これは12学級を下回るということでございますが、こちらについては、微増という状況にございます。また、大規模校についても微増の傾向が出ているという状況でございます。中学校については、再編統合ということでは、市域全域で、まだ2校を1校にしたという実績しかございませんが、学校の通学区域が中学校の場合は広域になってしまうということと、生徒数の推移ということで見ますと、ほぼ全市的に見ると横ばいという状況がありまして、なかなか中学校については再編が進んでないという状況がございます。
 統合を進める際の課題、留意点ということでございますけれども、特に留意して進めたことということでございますが、学校はいろんな意味で地域の拠点ということの位置づけがされています。ある意味では防災の拠点だったり、文化・スポーツの活動拠点ということがございますので、この点を考慮しない再編統合というのはうまくいかないのかなと思っております。そういった中で、横浜市については、そのあたりを踏まえながら、学校の状況を地域の方に順次ご説明する中で、教育環境の向上を中心にご説明を進めているという状況でございます。
 再編統合を進める際の課題ということでございますけれども、学校の現状を地域の方が目にするような機会がなかなか設けられていないということがかなりございます。そういったことをまず地域にきちっとお知らせするということと、あと、学校に対するそれぞれ愛着や思いをお持ちになっているということもありますので、それをいかに新設する統合校へ引き継いでいっていただけるのか。そういったことを時間をかけながらご説明して、ご理解をしていくというようなことに時間がかかるというようなことが課題として考えられると思います。
 また、統合できないような、いわゆる単独の小規模校、これを今後どうしていくのかということと学校配置でいいますと、統合した学校が統合後の通学区域の真ん中にあるというわけではありませんので、通学距離をどういうふうに考えていくのかというようなことが課題ということでございます。
 また、事業と考えた場合は、時間がかかります。再編統合の事前準備から委員会の立ち上げ、ご議論、また施設改修、統合後の教育内容の構築というようなことをしなければいけないんですが、横浜市の例でありますが、大体3年ぐらい、最短でもかかっておりますので、そのあたりが課題かなと思っております。
 再編統合について具体的な効果ということで下に列挙してございますけれども、まず再編統合につきましては、学校からはこれをきっかけとして、学校や地域が新しい学校づくりをするという機会を改めて与えられたということを言っていただいております。また、学級数が増えたことによる人間関係の固定化の解消ですとか、教職員が増えることによるチーム対応というようなことも評価をいただいているということでございます。
 また、いわゆる集団行事、体育祭ですとか、音楽会ですとか、こういった発表系の教育についても、十分効果が上がっている。また、これを契機にして、魅力ある学校づくりを検討する中で、小中の連携プロジェクトが立ち上がるということで、効果が上がっていると考えております。
 統合事業全般として見た場合は、統合前はいろいろご意見をいただきますけれども、全般的に否定的な意見はいただいていないというのが現状でございます。
 その中で、統合したことによる課題ということでございますけれども、繰り返しになりますが、通学区域が広がったことによる通学時間の延長、また通学安全の確保策、このあたりが課題と考えております。またうまくはいっているという中でも、やはり統合前の地域性とか文化が見え隠れするようなことがありますので、これについては、いろんな面で教職員スタッフのフォローが必要になっているということがございます。
 最後のページ、5ページになりますが、統合による財政面の影響ということでございます。再編統合を行うことで使用しない施設が生じることにより、教職員人件費ですとか、光熱水費など、学校を運営する経費が削減されていると考えております。
 横浜市の例でいいますと、平成18年から平成20年にかけて18校を10校ということで再編統合していますが、こういった中で、統合前と統合後、単年度ベースで比較した場合の合計額ということになりますけれども、全体では約13億5,000万ぐらい、そのうち、市費ということで負担をしている部分では4.5億ぐらいの縮減効果があるのではないかなという試算をしております。市費でいいますと、1校当たり5,000万弱の経費節減効果があると考えております。この数字については、統合校として使用するための増築ですとか、内部改修の経費というのは含まれておりません。
 また、再編統合につきまして、使用しない施設については、他用途への転用を、今、積極的に進めているという状況がございます。
 再編統合の校舎の後利用ということでございますが、こちらにつきましては、横浜市の管財業務を総括しております局が教育委員会の他にございまして、そちらのほうで一括して検討しております。教育委員会につきましては、そちらが本格利用として事業化するまでの間の当面の施設維持について対応しているという状況にございます。
 10カ所廃止された学校がございますけれども、内部検討中、アイデア公募中を除きますと、6カ所で具体的な後利用の準備が現在進められているという状況にございます。後利用に関していいますと、本格利用が決まるまでの間、これまで学校で地域に提供してきたような機能、地域の防災の拠点であるとか、コミュニティハウスとしての維持、また学校開放事業の継続などをあわせて求められるということがあります。また、本格利用に当たりまして、既存の校舎を使用しないような用途に転用しようとする場合については、当然経費がかかってくるということがございますので、今後、再編統合をより推進していくという中では、こういった点もさらなる検討をしなければいけないのかなと考えております。
 横浜市の説明は以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。残り50分ほどありますので、50分ぐらいをめどに質疑、ないしは意見交換を進めていきたいと思います。あらかじめ今の2つの自治体に関して質問のある方は、挙手をお願いしたいんですけど。草野委員から、どうぞ。

【草野委員】
 ありがとうございました。大変きめ細かく着実に計画しておることにほんとうに驚きを感じました。ありがとうございます。ちょっと質問させてください。先ほどの2つの市のお話では、基準を決めるとき、教育論みたいなものはあまり出てこないで、それはそれでいいと思うんですけれども、例えば北区さんの場合は、適正規模を中学校の場合、1学年3~5で3学級、つまり、9~15ということですね。横浜市さんの場合は、適正規模が12~24。かなり差がありますけれども、これは地域性ということがあるのかもしれませんけれども、そこで、この基準を決めるに至った経緯、それを簡単にで結構ですからご説明いただけないかと。これが1点です。
 北区さんの場合は、統合の場合は新校であるというふうにして、かなりこれは経費がかかると思います。それでも、これはかなり大きな魅力だと思うんですけれども、片や、横浜市さんのほうは、特に新校ということではなくて、旧の校舎を改修等をしてやるということで、違いがあるんですけれども、例えば横浜市さんの場合は、1校それで統合したことで、1校市費で5,000万程度浮くであろうという計算を立てられました。これだとかなり経済面では、財政面ではメリットがあると思うんです。先ほど午前中のところ、伊賀市さんは、統合しても840万しか浮かないということを聞いたので、これだと統合の意味がないのかと思いましたが、5,000万浮くとなれば、かなり財政面でも影響あると思います。お伺いしたいのは、この5,000万浮いた経費で、もちろん全部ではないまでも、教育条件の整備・充実にこの浮いた金を還元する。例えばスタッフを増やすであるとか、施設設備を充実するとか、そういうふうなご計画があるのかどうか、この点についてお教えください。以上でございます。

【小川主査】
 以上2点、じゃあ、北区さんのほうからよろしくお願いいたします。

【茅根教育改革担当課長】
 先ほど資料のほうでご説明いたしました平成6年の第一次答申の審議の中で、今お話がありました規模論というのが実は議論されています。15年以上前の話ではあるんですが、それを基本的には横引きをしていると。その答申が今、私の手元にありますけれども、ずばり何か数値的にそこでこうだという形で区切ってはありません。巷間言われているような、例えば小学校でいけば、1学年の複数学級を維持することが教育効果を高める意味では重要だよとか、学校という小さな社会で、社会性を培うためには、当然このぐらいが望ましいでしょうといった形、あと、小学校でいえば6年間ですから、単学級を6年間も続けること自体がどうなんだ、そういった側面のほうから議論がなされた経緯がございます。
 結局そこのところで、あと、中学校でいえば、同一教科に複数の教員が配置されるとか、そういったメリットも示しはされておりますけれども、そこでの議論の結実したものが、先ほどお示ししたような形で出させていただいて、それを基本的に北区としては、考え方は、まさにこれからこのワーキングの中でいろいろご議論いただくような話だと思うんですが、それまでは特に大きく変更がないのでということで、第二次においても、それから、今行っています第三次においても、横引きでやらせていただいているといったところでございます。
 あと、新校の。

【小川主査】
 そうですね。

【茅根教育改革担当課長】
 北区のほうは今、中学校先行で、改築新校ということでやらさせていただいています。学校改築ですので、非常に多額の経費がかかりますけれども、正直申し上げて、結果として、その辺の話をしながら進めていかないと、というのはやっぱりあります。あと、北区の場合は、鉄筋コンクリート化が非常に早くて、どこの建物も、中学校、学校施設、ほとんどがかなり老朽化がひどいということもありますので、そういった意味では、学校施設そのものの更新需要のタイミングが正直来ているといったのもありますので、そういった意味で、地域の理解を得る1つの方策としてはあれですけれども、もともと更新需要があるところにそれをうまく活用しながら、地域の方のご理解を得ているといったところでございます。ただ、ハード的に難しいところがありますので、それをほんとうに現実的に落とし込むと、ちょっと難しいところもあるのかなというのは正直ございます。

【小川主査】
 じゃあ、横浜市さん、お願いします。

【新倉学校計画課長】
 横浜市でございます。適正規模の中、基本方針ということで考え方をいただいた中で、1ページで児童数、生徒数の推移をお示ししておりますけれども、急激な児童数、生徒数の減少というようなこと、横浜市としては小規模校という、そういう学校が非常に少なかった中で、緊急対応しなければいけないというようなことがまずあったということと、それから学校の分離新設する際の31学級以上というのは、これは以前から横浜市、それを基準にやってきておりますので、今回の平成15年でいただいた提言の中では、小規模校と大規模校、過大規模校の問題にスポットを当てる中で、適正規模としては12学級~24学級と。国の標準でいいますと、12学級~18学級ということがございますけれども、実態として横浜市の場合は、19学級を超えるような学校もかなりあるという中で、この規模について12学級~24学級というようなことを定めさせていただいたということでございます。
 また、先ほどの財政的な効果の話で、5,000万というお話が出てまいりましたが、基本的には学校が毎年経常的に行うランニングコスト、光熱水費ですとか、あと、教材関係の経費ですとか、こういったものが中心でございます。5,000万円削減されるという中で、横浜市の場合は、統合に際しては新設校を建てるということをしておりませんので、既存の学校の施設整備の更新サイクルに合わせた形で学校施設の機能アップというようなことをさせていただいています。そういった中で、学校施設の機能アップということに先行投資を逆にさせていただいて、ランニングということで、それを回収しているという状況でございます。

【小川主査】
 草野委員、どうですか、今のお2人のお話を伺いまして。

【草野委員】
 そうしますと、文部科学省の基準から、少しずれて、24としたのは、あくまでも教育的な見地からではなくて、政策的な見地からと解釈してよろしゅうございますか。実情と政策的な見地から。

【新倉学校計画課長】
 19学級~24学級の学校規模の中で、12学級~18学級の学校規模で行われているような教育活動については当然行い得るだろう、そういうことが前提の判断とお考えいただいて結構だと思います。

【小川主査】
 よろしいですか。

【草野委員】
 結構です。

【小川主査】
 じゃあ、岩﨑委員、どうぞ。

【岩﨑委員】
 どうもありがとうございます。午前中も、それから北区の場合も、学校規模の統合性ということでございましたけれども、今、横浜市さんが過大規模校の対策ということで挙げていただきまして、実は私の教育委員会も、過大規模校になっておりまして、分離新築ということになりまして、財政面からの大きな抵抗がございます。2回目の学区編成審議会を持ったところでございまして、非常にたくさん参考にさせていただくところがございました。過大規模校の対策として、2点質問させていただきます。1点は、分離新設を検討する場合に、児童・生徒の運動場面積が狭隘な場合、校舎面積との関係からも、1人当たりの面積を考えておいでになりますが、それがどのぐらいのものなのかというのをお教えいただきたいと思います。
 2つ目には、教育効果というところからも関係するかもわかりませんけれども、どうも過大規模校になりますと、子供たち一人一人を教職員が把握していくというようなところが非常に難しくなって、ひだに隠れる部分に生徒が入っていくんじゃないかなということもありまして、私どものほうは、生徒指導上の問題点というものが出てきておりまして、そのようなことが横浜市さんのところではないのかどうかということを、大変あつかましい質問でございますが、お教えいただきたいと思っております。

【小川主査】
 じゃあ、横浜市さん、よろしいですか。お願いいたします。

【新倉学校計画課長】
 まず1点目でございます。そこに書かせていただいているもので、著しく狭隘な場合等について総合的に検討するということでございまして、横浜市の学校も、近年開校しました学校もありますし、学制発布からあります学校もありまして、学校の施設状況ということでいうと、校地面積から比べて千差万別でございます。ですので、そういった中で、著しく狭隘というものをどこに基準を置くのかということについては、ある意味明確な基準がございません。そういった中で、置かれた状況の中で、児童・生徒数が増加するということが見込まれていて、今以上に状況が悪くなるという中で、近隣に学校予定地が確保されているという状況にあれば、31学級にこだわらずに、学校の分離新設をさせていただくというふうなことをこういう表現で書かせていただいたという状況でございます。
 また2点目でございます。教育効果ということでございますが、いわゆる大規模校、過大規模校で生徒指導上の問題がというようなご質問だったと思いますが、横浜市の場合については、当然、学校の規模の大小にかかわらず、生徒指導上の問題、特に中学校でございますけれども、発生するということがやはりございます。そういった中で、学校だけでは当然対応できない部分も多うございますので、教育委員会事務局の生徒指導担当を含め対応することや、また緊急対策チームというのも別途つくっておりまして、学校が抱えている課題を、生徒指導だけということではありませんけれども、解決するような、そういったチーム編成、専門家を入れて、そういった取り組みも今年度からスタートするというようなことを行う中で、今の課題については対応しているという状況にございます。

【小川主査】
 よろしいでしょうか。

【岩﨑委員】
 はい。

【小川主査】
 ほかにどうでしょうか。じゃあ、池田委員、どうぞ。

【池田委員】
 すいません。横浜さんにお伺いしたいんですけれども、3ページの上のほうには、基本方針で、通学区域制度の考え方があると、ここに書かれております。それで、その下に、指定地区外就学許可制度の充実という形で、これに縛られないで弾力的に取り扱っていきますよということが出されていると思うんですね。そのときに、例えば2ページの上のほうに小規模校と適正規模校というのがあって、11学級以下と12学級~24学級となっているわけですけれども、そのとき、11学級になってしまうという中で、例えば1学級38人ぐらいだというときに、この学校は38人ぐらいしかないから、2人ぐらいはこっちの学校に移ってくれる人いませんかと。その情報というのは出したことあるんでしょうか。学校のクラスの人数が例えば40人で、41人で2クラスになるわけですから、そのときに3人足らないから、3人どこかから希望して移ってくれればここのところは維持ができるんだけれども、そういうことは考えたことはないのか、あるのかということなんですけど。区民に情報提供しているかどうかというような面で。

【小川主査】
 よろしくお願いします。

【新倉学校計画課長】
 結論から言うと、そういう情報提供はしておりません。

【小川主査】
 その確認だけでよろしいですか。

【池田委員】
 今後そういう情報提供するようなことは考えていませんか。

【新倉学校計画課長】
 就学時に、新1年生、例えば何人いるのかということについて、公表はしていないですね。ただ、当然就学時健診が就学前にありますので、そこに来た方は、見渡せば、何人ぐらいこの学校に新1年生で来るのかというのはわかりますので、その後にどんな動きをされるのかということは、当然保護者レベルでは、あると思います。ただ、市としては、それを改めて公表するようなことは今のところ考えてないです。

【小川主査】
 今のところで、池田委員、よろしいですか。

【池田委員】
 いいです。

【小川主査】
 他にどうでしょうか。山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 お話ありがとうございました。今日午前中のお話、過疎地域での統合の話と都市型のとは随分性格が違うなと思って、その1つの理由は、多分過疎型の場合には、通学距離が長くなって、子供への負担が非常に大きいというのが、個人的には教育面から考えて難しいところの1つだなと思っています。その点に関して、都市型の場合はそれほど問題ないという印象があるんですけれども、ただ、若干通学距離が長くなったという話がありましたので、そこのところは問題になっていないのか。例えば長くなった子供でどれぐらい、例えば30分以上、あるいは1時間近くという子供たちも出てきたのかとか、その辺を教えていただきたいのと、あと、文科省の1つの適正規模の議論の中で、距離が入っているんだと思うんですけれども、その点については、これまでの議論の中では、通学距離の問題については全く触れられていなかった。それは実質的には考えられていなかったのかどうかというのを教えていただければと思います。

【小川主査】
 2つの自治体ともに?

【山重委員】
 できれば。

【小川主査】
 じゃあ、北区からお願いいたします。

【茅根教育改革担当課長】
 先ほどの資料の冒頭で簡単な地図をお示ししましたとおり、その意味では、通学距離、北区の場合、運用の中で小学校がおおむね1キロで、中学生が1.5キロという形で、38校と14校というお話をさせていただきました。今現在、円を描いていっても、きちんとはまると。ただ、地図でいうところの向かって右側のほうがいわゆる平野部というんですか、左側のほうが武蔵野台地の縁辺部になりますので、そういう意味での高低差がありますから、ある1つの中学校は学区域が広くなって、1.5キロはクリアしているんですが、坂道をちょっと登るとか、そういった問題はありますけれども、基本的な距離的には問題ないです。

【小川主査】
 横浜市さん、どうですか。

【新倉学校計画課長】
 距離の問題でございますが、横浜市は、小学校2キロ、中学校3キロということでお示ししているわけですが、これにつきましては、横浜市、非常に平らな土地が少のうございまして、山坂、丘の連続ということでございます。ですから、2キロ、3キロと言いましても、距離以上にアップダウンがあるので、これについて、地元にお話をすると、通学距離が長くなることについては非常に抵抗がございました。実際保護者の感覚でいうと、15分ぐらいが限界なんですね。20分というとちょっと長い。30分だと、かなり長いというような感じなんですね。実際に再編統合した中では、一番遠いところで、25~26分のお子さんがいらっしゃったと記憶しております。

【小川主査】
 山重委員、それでよろしいですか。

【山重委員】
 はい、結構です。

【小川主査】
 ほかはどうでしょうか。じゃあ、大嶺委員、髙岡委員、西岡委員、そしてあと柳澤委員、あと奥野委員、その順でやらせていただきます。

【大嶺委員】
 ありがとうございます。横浜にお伺いしたいんですけれども、横浜の教育委員会の方とお話をした際に、私どもの学校、小中一貫をやっておりますので、横浜市のほうに情報を提供していったんですけれども、平成18年の4月からずっと統合を推し進めていって、小学校が18校から8校へという形になっております。横浜市の教育委員会のほうでも、横浜の新しい学習指導要領というのをつくられましたよね。そういった中で、小中連携というか、小中一貫という、そういうような話が出ております。その中で、横浜市としてとても困難を感じている点は、小学校が複数の中学校のほうに分かれていってしまうという。なかなか一貫校として一体化を図っていくのは非常に難しいんだというお話をしていたんですけれども、こういう形で18年度から20年にかけて統合していった8つの小学校というのは、縦のつながりというのはどのようになっていくのか、教えていただければなと思います。

【小川主査】
 じゃあ、横浜市さん、よろしくお願いします。

【新倉学校計画課長】
 先ほどのご説明の資料のほうで3ページをごらんいただきたいと思います。こういった中で、いわゆる縦のつながりというのを再編統合する場合には意識せざるを得ないと考えています。そういった中、この表でいいますと、例えば緑区ということで、霧が丘の第一小・第二小・第三小の小学校が、霧が丘小となる再編統合を行っていますけれども、これについては、1中3小ということであったわけなんですが、再編統合をやったことによる1中1小の形式で、通学区域が小中ともぴったり合っているという状況になっています。また、19年度統合の旭区の若葉台北・東・西が若葉台小学校になったものについても、中学校との縦の関係を意識した1中1小という形式になっています。それ以外の地区につきましては、統合校を受ける中学校がそもそも複数の中学校から卒業生を受け入れているというようなこともありますので、すべてが、今言ったように、中学校と小学校が対応を完全にするような形の統合ということにはなっておりませんが、再編統合する際には、学区調整をする部分はさせていただいて、極力小中の学区が重なるような形での調整をさせていただいた上での統合を進めさせていただいたところでございます。

【小川主査】
 今の回答でよろしいですか。

【大嶺委員】
 はい。

【小川主査】
 まだ何かございますか。

【大嶺委員】
 いいです。

【小川主査】
 じゃあ、髙岡委員、どうぞ。

【髙岡委員】
 午前中のお話と午後から聞かせていただいたお2つ、全く様子が違うので、実は戸惑っておりますが、ただ、私、非常にいい勉強させていただいたと思いました。それは、横浜市にしても、北区さんにしても、統合、小規模校の統廃合というところだけを考えただけでも、極めて綿密な論理構築ということが一方にあり、同時に周到な準備がなされていて、ある意味で私がそこに住んでいるとすれば、何となくその説得の論理と準備に対して、そういうことならば仕方がないなというような印象を持つほどに、非常に説得的だったんですね。しかし、それは単なる理屈や口先の話ではもちろんないわけで、例えばそこには十分戦略が込められていて、北区さんの場合には、校舎の新築ということが前もって前提にあるとか、あるいは横浜市の場合ですと、新設校にするんだと。つまり、前を引きずらないということが前提になっているというあたりが、行政サイドの知恵としてはすぐれたものがあると思います。私自身は、細かいところで、小規模校11学級以下というふうに言われたり、きょうの午前中のお話の中で、複式学級が単級になれば大規模校だと思うような地域も逆にあったりするような、そういういろんな、日本の人口動態や地域の様子でいうと、8学級以下、つまりクラス替えもできるのに、でもクラス替えがなかなか難しいということになってはいけないのだというようなところ、ほんとうに説明が地域に、あるいは親御さんに伝わっていくのは大変だろうなと思いました。質問と言えば質問なんですけれども、横浜市と北区さんに伺いたいのは、地域や保護者は、検討の組織にはこうやって入ってこられて周到な準備のもとで、わずか1年半か2年ぐらいのところで結論が出て、次の年の4月には新しい学校ができるという流れをつくっていかれるわけですけれども、地域社会のほうは、案外そうでもないような気もするんですが、親御さんの感じ方、このことについて手ごたえといいますか、統合問題を出したときの反応のあり方というのは、市やこの中でも地域性があるものなのか、あるいは学校ごとによってやっぱりいろいろあるのか。それとも、保護者の見方というのは、できるだけ適正規模に持っていく方向で、わりあい早くから一致するものなのかどうか、そのあたりを伺いたいと思います。

【小川主査】
 2つですね。

【髙岡委員】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、北区さんからお願いします。

【茅根教育改革担当課長】
 保護者、親御さんの反応というお尋ねだと思うんですけれども、正直申し上げまして、全員で会議をやるという、すべてのPTAの方にお入りいただくというのはなかなか無理ですから、当然代表の方にお入りいただいてやっていくわけで、そういった意味では、その方々の意見というのは、もともと地域に根差して、例えば自分の親も、おじいさん、おばあさんもその学校とか、そういった方が結構場面として出てくる場面が多いので、そういう意味ではあまり抵抗感がないのかなと……。ごめんなさい。逆に、きちんとやれば抵抗感がないのかなと。手続だけ。ですから、ある意味PTAの、私が統合を実際担当している中で、地域に顔が利く方というと言葉が悪いですけれども、地域でもかかわりを、活動されているような方が、例えばPTAの代表とかで出てきますので、そういった意味では、例えて言うなら石を投げるとパーッときちんと反応があって、それに対するリアクションがあるというのが1つあるのかなと思います。
 あともう一つは、一般的な保護者の方で、先ほど風評とか、そういった話も一方でありながらも、具体的に、私ども進めていくときに、象徴的な項目として、学校名とか、そういったものをどうしていくかということを気にはしているんですけれども、やはり学校の中身、例えば中学校優先でやっていますから、部活がどうなるんだとか、教員の先生が、あの先生がいるからあそこの中学校は何とか部が強いんだけど、ちゃんと担保してくれるんだろうねとか、一般の方からはそういった声がかなり寄せられているといったのが現状です。ですから、統合そのものを否定というよりも、それはそれで粛々と受けとめるけれども、そのかわりのソフトも含めた条件整備をきちんとやってくれるんだろうねといったご要望、ご意見というのはいただいています。

【小川主査】
 ありがとうございました。じゃあ、横浜市さん、お願いします。

【新倉学校計画課長】
 横浜市でございます。横浜市の場合でございますけれども、保護者の方にご説明をすると、最初は当惑されてしまうんですが、学校のPTAの中に入っていただいている保護者の方は、学校の現状がよくわかっておりますので、小規模校ではどういう課題があるのかということをわかっていただいているので、そんなにもめないですね。どちらかといろいろとご意見をいただくのは、未就学の方ですね。これから学校に就学するお子さんの保護者の方が、再編統合はどうなんだということでご意見をいただくようなケースが非常に多かったです。それについても、ある意味ではPTAの方と歩調を合わせながら、学校というのは、今こういう状況なんですということをご説明する中で、理解を深めていくということを進めてまいりました。
 また、地域の方々のとらえ方ですけれども、先ほど言いましたように、地域の拠点という意味合いが、学校についてはどうしてもついて回ります。そこをどう考えるかということになるんですが、学校の個々の日々の課題を地域の課題でもあるというような理解をしていただいている方が非常に多うございまして、学校のためなんだから、最終的に再編統合もやむを得ないなということを言っていただく方が非常に多かったかなと思います。
 また保護者のほうでちょっと言い漏らしましたけれども、横浜市中学校の再編を1カ所行いましたが、この際には、保護者のほうからは、中学卒業後の進路指導ですとか、もしくは生徒指導が今までの学校のようにほんとうにできるのかどうかというようなことについては、かなり真剣に、ご質問をいただいて、それについては学校長からご説明をして、統合後もきちっと対応はさせていただきますということでご理解をいただいたというようなことがございました。

【小川主査】
 髙岡委員、よろしいですか。

【髙岡委員】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、西川委員、どうぞ。

【西川委員】
 恐れ入ります。午前中草野委員からおまとめがありましたように、学校統廃合が教育の論理だけではほとんど推進できない、説明できないというのは、私も全く同感でございます。適正規模におきましても、学級を見ましても、北区と横浜市では数が違う。校区審議会にかかわっている皆さんはご存じのように、その地域の状況を見ながら、政策的に適正規模を決めていくのが実態です。
 その中で、北区にご質問いたしますけれども、きょういただきました資料、例えば5ページ、6ページに考え方が書いてあります。審議会の当事者もいらっしゃるようですけれども、この答申、例えば6ページの答申だけで、それに続く7ページ、8ページの学校統廃合がスムーズに行われたというのであれば、我々の仕事はとても楽で、その地域が適正規模を設定し、その適正規模に合致するように統廃合を行うべきとすれば終わりなんですが、私は、外部から見ておりまして、北区さんがこの答申内容で統廃合を実施できたのは、校舎の新設、新しい学校をつくるというポリシーを出しておられて、それに対する住民の期待というものが非常にあったのではないか。冒頭、一番最初の回で申しましたように、京都もその方式ですね。統廃合はするんだけれども、新しい学校をつくるんだと。ところが、私が関係しておるような自治体は、それだけの財力がない。土地もない。新しい学校はつくられない。せいぜい、少し新しい学校を改修して、そちらへ全部移動してもらうというやり方がほとんどですね。そうなると、なかなか統廃合は進まない。ですから、問題を変えますと、北区にご質問は、もし北区さんが学校の新設というものをできないという状況であれば、この答申でもこれだけの統廃合ができたかどうか、どう思われますかというところが1問、質問です。
 次は、横浜市さんに逆の質問で、横浜のほうは、なかなか新設まではいかないということなんですが、横浜市さんのほうがこれまでの答申、学校の統廃合を進めてくることができた最大の要因は一体どこだとお考えでしょうか。私は、財政的なものをきちっと説明されて、学校統廃合によって教育サービスの低下を来さずにより質のいい教育を提供できるような財源的な裏づけをしながら、地域住民に説明されたことかなと思っております。違うようでしたら、違うふうに説明をお願いいたします。北区のほうでは、例えば学校ファミリーの構想が、もしこの統廃合推進の1つの要因であれば、それもあわせて教えていただきたいと思います。お願いいたします。

【小川主査】
 統廃合が、いろいろ紆余曲折あったんだろうけれども、基本的にはスムーズに進んだ事例として、成功の秘訣は何かという話だと思うんですけれども。

【茅根教育改革担当課長】
 大きく2点のお尋ねかと思います。学校改築、今、中学校優先ということで、私どもは学校改築ということでお話をさせてはいただいてはおりますけれども、それがハードの側面から見ていったときに、今、そういった必要性というのがあると先ほどご説明したかと思うんですけれども、最初のプロセスの中でも改築新校、改築新校と言っていたということでは正直ないというのはあります。ただ、先ほど西川委員さんのほうからお話がありました、いわゆる教育論だけで進んだかと言われてしまうと、おそらくなかなか難しかったのかなと。ですから、最初から新築ありきといったことで進めたわけではないんですが、途中からさらに背中を押すような形で、説明の中で、政策的に2005年の北区の長期総合計画の中で、学校改築を、10カ年の計画でございますので、10カ年で9校やっていこうという位置づけをしていきましたので、そういったのとセットみたいな形になったのかな。その意味では、それがなかったらなお難しいのかなというのがあります。
 それと、学校ファミリーに関するお尋ねで、要因かというお話があります。逆の意味で学校ファミリーそのものはより広域的な通学区域で学校間のネットワークで教育効果を補完しながら効果を上げていこうといった視点でありますので、そういった意味では、統廃合そのもの、適正配置そのものと直接はリンクはしてないのかなと私個人としては思います。というのは、逆に、ファミリー構想をすることによって、いわゆるガラガラポンをしているんじゃないかといった、ここの学校がバッテンだよみたいな形にしているんじゃないかといった、時々ご意見、ある種、私どもからしてみれば誤解なんですけれども、そういったのも事実としてはあるのが、ファミリーに関するお答えだと思います。以上です。

【小川主査】
 じゃあ、横浜市さん、お願いします。

【新倉学校計画課長】
 横浜市がどう考えているかということなんですが、先ほどもちょっと申し上げましたが、学校が置かれている状況を保護者だけでなくて、地域の方にきちっとご理解をいただいて、このまま小規模校のままにしておいたときに、ほんとうに地域で子供を支え育てていくということについてプラスになるのかどうかというようなことをきちっと情報開示をするということ。それから、これは横浜市の財政状況の話も若干ありますけれども、基本的にそういった点をきちっと、再編統合を行うに当たって情報開示をするというようなことが再編統合を進めていく中でプラスになったのかなと思っております。
 また、再編統合をするに当たりまして、施設面の改修というのは当然、建物の建築年に応じた改修プラス、新しい教育活動を行うための改修というのを機能的に付加して整備をするということになりますが、統合校として新たに生まれ変わるという中で、新設校に何を望むのか、地域として、保護者として何を望むのかということをきちっと地域とお話ししていく中で、ある一定のものが出てくれば、それを受けとめて、新しい学校づくり、教育目標づくりというんでしょうか、そういったものをしていくということで、地域と学校が両輪で新しい学校をつくっていくといった価値観を共有していくというようなことが再編統合を円滑にしていくためにプラスになったのかなと考えております。

【小川主査】
 今のご回答を聞いて、西川委員のほうから何かご発言……。

【西川委員】
 また後で。

【小川主査】
 よろしいですか。はい、わかりました。じゃあ、柳澤委員、どうぞ。

【柳澤委員】
 失礼します。午前中の議論では、教育のメリット、デメリットというので、教育論では論じにくいものがたくさんあるという印象を持ちました。今のお話を聞いて見方が変わったのが、小学校と中学校の連携です。都市型の適正配置の場合、1つの教育論として成り立つ部分としては小中連携があると思って聞いたのですが、部分的にお答えいただいた中で、北区さんの場合では、学校ファミリーは配置とはリンクしてないというお答えがありましたが、このあたりが、地域を含めた小中連携ということなのか。中身がよくわからないので、そういう意図があるのかどうかということです。
 横浜市さんのほうでいうと、統廃合によって小・中学校の連携プロジェクトが立ち上がったお話がありましたが、どのようなプロジェクトとか中身なのかということをお聞かせいただけたらと思います。

【小川主査】
 質問の趣旨はわかりますよね。

【茅根教育改革担当課長】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、北区さんのほうからお願いします。

【茅根教育改革担当課長】
 学校ファミリーそのものは、先ほど申し上げた教育力の補完ですとか、広域的なネットワークということで構築されたものでございます。一方で、適正配置の話につきましては、先ほどの資料でもお示しをいたしましたけれども、地域の方々、もちろんPTAさんもお入りになっていますけれども、そういった合議体で、一方で別のサイクルと言うとちょっと変ですけれども、そういった中で検討させていただいておりますので、結論が例えば学校ファミリーの単位というんですか、そのグループと適正配置の考えるグループがミスマッチしているようなところも現実に今出てきていますので、そういう意味で関係がなくはないんですけれども、直接的に云々ということはない。そういった意味でございます。

【小川主査】
 じゃあ、横浜市さん、お願いします。

【新倉学校計画課長】
 横浜市の場合でございますけれども、再編統合を行った地区で必ずしも小中連携ですとか、そういうことを前提に再編統合をやったわけではなくて、先ほど言いましたように、地域とお話をしていく中で、地域の学校として望まれるものという中で、どこにウエイトを置くかということの中で小中連携も進めてほしいというような、そういう部分について、そちらに重きを置いてやったというようなことが多かったと思います。また、小中連携につきましては、横浜版の学習指導要領ということで、昨年度総則をつくりまして、全校でそういった小中連携については展開をしていくというようなことも抱えておりますので、再編統合校だけのそういった特色ということでは今後はないのかなと思っております。

【小川主査】
 柳澤委員、よろしいですか。

【柳澤委員】
 はい。

【小川主査】
 あと、貞広さんが北区の統廃合にかかわってきているわけで、今の北区に対するいろんな質問とかをお伺いして、改革担当の方とは違った研究者としてのかかわり方があったと思うので、何か感ずることがありましたら少し。

【貞広委員】
 実態として難しかったのかなというような感想を持ったんですけれども、学校ファミリーという構想を審議会のほうで打ち出させていただいた経緯としては、初めに統合ありきということではなくて、北区全体の学校のあり方をどうするかと、まず教育論から夢を描いた上で、その中の一環として、統合が必要なのであればファミリーという構想の中で統合していきましょうと。また、統合することができないような小規模な学校があった場合、こうした学校ファミリーという教育論的な夢の枠組みの中で、それを補完するような役割を果たしていきましょうということで、どちらかというと、最初に学校ファミリーの構想があって、義務教育9年間、小中一貫で地域で子供を育てていくというコンセプトのもとに、必要に応じて統廃合というものがあるかもしれないというような考え方の経緯があったんです。ただ、実際に運用という面では、なかなか教育論に関する理解というのが地域の方になかなか得られない。あまりにも統合のほうのインパクトのほうが強過ぎるんですね。ですから、初めに学校ファミリーという構想があって、教育力を高めていくという構想があるんですというふうにご説明をしても、じゃあ、学校はどうなるの、統合はどうなるの、新しい学校はどうなるのという、そちらのほうに地域の方の興味対象がいってしまうというところが、やはり難しくて、実際に統合にかかわられる行政の側のご苦労もまさにその点にあったのかなと思います。西川委員がおっしゃったように、または草野委員が午前中おっしゃったように、教育論で規模が語れないというだけではなくて、なかなか規模、統合、教育論というものが並んだときに、地域住民の方が、統合以外のものに目が向けにくいということを証左している1つの例になっているのかなと、感想的で恐縮ですが、思いました。

【小川主査】
 ありがとうございました。あと、奥野委員、どうぞ。

【奥野委員】
 ありがとうございました。私、京都市内で生まれまして、私の母校というのは、御所南小学校という、全国的にも有名な学校に統合されまして、地域住民の方とか行政の方とか、いろんな方のお話を聞いて、統合の大変さというものを私自身も肌で感じてきたんですけれども、統合した場合、地域性だったり、学校性というのが、横浜市さんの統合したことによる課題というところにも載せられています。4ページの下のほうなんですけれども。多くの児童・生徒さんたちに戸惑いがあるものの、統合前の地域性、学校文化を意識する場面では、個別にフォローが必要になってくるというところで、具体的に、統合された後というのは、職員の加配とか、いろんな難しい、大変なご苦労があると思うんですけれども、具体的にはどのようなフォローをなさっているのかというところをお聞かせいただきたかったんですけれども。

【小川主査】
 横浜市だけでよろしいですか。

【奥野委員】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、よろしくお願いします。

【新倉学校計画課長】
 教員の配置の関係につきましては、こちらの教職員人事担当と県教委とで調整をしていただきまして、統合時に一定の加配をお願いをするというようなことをさせていただきました。また、当然教員だけでは対応できない部分もいろいろ出てまいりますので、統合を機に、例えば地域スタッフのような形で、地域の方に学校の運営の中に入っていただくことによって、学校の運営をフォローしていただくような取り組みも、統合を契機に進めている学校もございます。あと、学校の教職員の配置に関しては、統合された学校に当然統合前の学校から一定程度の割合の教員を配置するということで、バランスがとれた、統合校の教員配置を実現して、統合校の開校後の生徒・児童の見守り、それから学級運営の円滑な履行ができるような形での配置上の考慮を行っております。

【小川主査】
 奥野委員、よろしいでしょうか。

【奥野委員】
 はい。

【小川主査】
 じゃあ、岩﨑委員、どうぞ。

【岩﨑委員】
 何度も申しわけございません。統合によりますと、財政面ではある程度余裕が出てくると表現するのもまずいかもしれませんが、分離新設ということになりますと、土地確保の問題、建築の問題、それから、新設した場合にはランニングコストの問題等がありまして、大変財政面では大きな負担になると考えるわけですが、横浜市さんの場合は、過大規模校に対して分離新設も考えるということの中で、私どもも検討しておりますが、通学区域の変更ということをされた場合は、成果もあったでありましょうけれども、課題はどんなものがあったのでしょうか。お答えいただける部分で結構でございますので、お教えいただきたいと思います。

【小川主査】
 じゃあ、よろしくお願いします。

【新倉学校計画課長】
 過大規模校で、隣が小規模校ですので、そちらのほうに学区変更させてくださいというようなお話をする場合に、変更のある区域の方ですが、「なぜ私たちが小規模校に移らなければいけないんでしょうか」、そういうほんとうに当たり前なご質問をいただくわけなんですが、このまま学区変更しない場合の学校の状況、これをきちっとご説明するということが一番重要だと思っています。例えば25学級以上であれば、週5日制ということであれば、学校の屋内運動場なんかもそうですけれども、当然1週間に1回使えないという状況が生じるとか、雨天の際に屋内運動場の広さが足りなければ、全校が集まれないということで、放送で朝礼をやらざるを得ないとか、あとは、学校に学んでいるときに災害が起こった際に、学校の校舎からグラウンドに実際は一時避難をしていただくんですけれども、そのときに、学校の規模が大き過ぎてしまうと、皆さんが避難が完了するまでに時間がかかり過ぎてしまうですとか、いろいろ課題があることについて、実態に即したご説明をさしあげる中で、やはり学区変更というのは必要なんだなということを時間をかけてご説明をしていくしかないのかなと思っています。

【小川主査】
 よろしいでしょうか。

【岩﨑委員】
 はい。

【小川主査】
 そろそろ時間が来てしまったんですが、最後、加藤委員のほうからよろしくお願いします。

【加藤委員】
 すいません。横浜市さんにちょっとお聞きしたいんですけれども、学校再編の実践をお示しいただきましたが、霧が丘の第一、第二、第三ですとか、若葉台北、東、西小学校というのは、もともと同時に開校した学校なのか、それとも基幹校があって、人口増に伴ってサテライト化していった学校が、ある時期から人口減少に伴ってこのような再編になったのかというのをまずお聞きしたいのと、もう1点は、私のほうの地元でもこういう取り組みがあるんですけれども、例えば平成6年に開校した新設の中学校が10年も待たずに再編統廃合の俎上に乗るようなケースがありました。ということは、何らかの人口の推移ですとか、そういうものを、非常に言い方はひどい話になるんですけれども、都市計画のある程度の失敗みたいなもののツケを子供たちに払わせるのかというふうになりますので、今後そういうような事例がおありなのか、どうなのか、その2点をお聞きしたいと思います。

【小川主査】
 じゃあ、お願いします。

【新倉学校計画課長】
 今ご質問にありました霧が丘というのは、自治会組織としては1つの地域でして、数字であらわしているように、この順番で学校が開校しております。開校している期間も、2年から3年をあけて、第二、第三ということで、それは児童数の増加に応じて開校しているという状況です。若葉台の北、東、西についても、東、北、西という順番で開校していますので、おっしゃるとおり、サテライト化していったものが、人口減によって小規模化しているということだと思います。
 また新設校が開校後10年程度で小規模校化した例があるのかというご質問だと思いますけれども、そういったケースは現時点ではありません。

【小川主査】
 加藤委員、よろしいですか。

【加藤委員】
 はい。

【小川主査】
 長い時間、ありがとうございました。北区さん、横浜市さん、ほんとうにご苦労さまでした。ありがとうございました。
 これでヒアリングは終了したいと思います。あと、一応3時ごろまで予定していますので、これまでのヒアリング等々を通じて、今後の審議の作業に向けて、今後の検討の項目を残りの時間、整理したいと思っております。まずそれに関連して、資料6、これは淵上さんのほうからご説明をお願いします。

【淵上教育制度改革室長】
 私のほうから資料6について簡単にご説明させていただきたいと思います。資料6は、「小・中学校の適正配置の基準に関する検討項目例」ということで、私どものほうでとりあえずのたたき台として用意させていただいたものでございます。
 この作業部会で、小・中学校の適正配置についてどう考えるかということで、いろいろなテーマがあるわけですけれども、まず適正配置の基準をどう考えていったらいいんだろうかということがあるかと思っております。それを検討するに当たって、まずその前提として、学校の適正配置というのはどういう目的で、どういう必要性に基づいて行われるべきものであろうかという点があるのではないかと思います。とりわけ公立の小・中学校ですので、義務教育を提供する機関、あるいは最終的にそれを保障する機関として位置づけられているわけでございます。それを適正配置するといったことは一体どういうことになってくるのかということでございます。
 それから2番として、学校の適正配置を検討する際にどういう視点で検討したらよいかということでございます。まずは、学校の規模についてどう考えていったらいいんだろうかということ。それから、通学についてどう考えていったらいいか。そして3番目として、適正配置に当たってどういう点に留意していったらいいかということがまず考えられるかなと思って、確認させていただいております。
 学校の規模についてもどういう側面から考えていったらいいかということで、けさからずっとご審議いただいているわけですけれども、教育的な側面から見てどうかというのが学習面、あるいは学校での生活面といったような側面があろうかと思います。また、学校運営面として、先生方の配置といったような問題、あるいは先生方自身の切磋琢磨といったような問題もあるかと思います。それから、財政面をどう考えるかといったような側面があるかと思います。
 また、視点としましては、本日4つの地域の発表をいただいたわけですけれども、非常に大きな地域の違いが存在しているという中で、全国的な標準というものをどういうふうに考えていったよいかということがございます。
 また、本日のご発表にもありましたけれども、標準としての規模という設定と、それから具体的にいろいろな動きをとっていくといったときの基準といったものと、そういうものを設けているようなところもあるわけですけれども、そういうことについてどう考えるかということが視点としてあろうかと思います。
 それから、通学については、子供たちの肉体的、あるいは心理的な負担というような問題。また、安全面についてどう考えるかと。それから、現行では通学の距離というものを基準として示しているわけですけれども、通学の時間というものをどう考えていったらいいだろうかということでございます。
 それから3つ目が、さまざまな留意事項が考えられるわけですけれども、地域との関係、あるいは小中の連携、統合が困難な地域の学校への対応、こういったようなことをまず掲げさせていただいております。
 本日のヒアリングをする前の案でございますので、きょうのご審議を踏まえて、またさらなる追加の点があるかと思いますし、また、それぞれの側面について具体的なご意見などをいただければということで、とりあえずつくらせていただきました。よろしくお願いします。

【小川主査】
 ありがとうございました。ちょっとお聞きしたいんですけれども、一応きょうのペーパーでは、小・中学校の適正配置の基準に関する検討項目であるということで書かれているんですが、きょうの午前、午後の議論の中でもう一つ重要なのは、基礎自治体における学校統廃合を進めていくに当たっての国のさまざまな支援のあり方というのは必ず議論せざるを得ないテーマだと思うんですけれども、それは今回の場合には、国のさまざまな支援策のあり方というのは、意識して、それは後の検討課題ということでここからは抜いているのか。その辺はどういうふうに考えられるか。

【淵上教育制度改革室長】
 私ども、事務局の現時点の考えといたしましては、まずは現時点としては、学校の適正配置についての基本的な考え方というのをまず整理してはどうだろうかと考えて、こういう整理をさせていただいております。学校の適正配置についての基準、あるいは基本的な考え方がまずあって、じゃあ、その次にそれに向けてそれぞれ学校の設置者である市区町村の教育委員会や、あるいは公益自治体である県の教育委員会、あるいは国、それぞれの役割というのは、適正配置に向けてどういう役割を担っていくべきかというのを、その次のステップとしてご審議いただければと、今、考えて、こういう整理をさせていただいているところです。

【草野委員】
 すいません。事務局の説明なんですけれども、ちょっと納得しかねます。いろいろヒアリングを聞いてもわかるように、地域によってものすごく差があるんですね。財政規模はみんな違うし、例えば我々が、もちろんここで決めるわけじゃないんだけど、一定の基準を出しますよね。そうしますと、その基準に、これはあくまでも努力目標ですから、でも、その基準にはめるように、外れているところについては何らかの対応をとるように自治体は努力しなきゃいけないわけですね。だけど、我々、出すときに、無理なというか、あくまでも一例だということはわかっていて、附帯の意見をつけなければ意味がないと思うんですね。当然附帯の意見については、例えばの話、非常に大規模校がある。国の定めた基準から大きく外れる。新設したいんだけど、自治体に金がない。財政的に無理だと。だとしたらば、そういうことをつける基準を出した以上、国が援助するのが望ましいということを附帯意見をつけるのは当然じゃないですか。これは諮問に対する答申でしょう。だったら、我々のこの会議でそういう答申をつけてはいけないわけですか。

【小川主査】
 淵上さん、何か説明ございます?

【淵上教育制度改革室長】
 この作業部会でトータルとしてご審議いただいて、最終的に出していただくときには、当然国が何をすべきであると。あるいは、必要があれば、県にはどういう役割を担ってほしいとか、そういうことはトータルのパッケージとしてご提案いただければと思っております。ただ、これもご判断ですけれども、議論の順番として、全部一遍にやっていくよりは、まず基本的な考え方を整理した上で、その次にそれに向けたそれぞれの役割をご審議いただいてはどうかと考えたところでございます。

【草野委員】
 そういう順番なら……。

【松川委員】
 違うことでよろしいですか。

【小川主査】
 どうぞ。

【松川委員】
 ちょっと別の視点なんですけれども、今日、朝からご説明を伺い、いずれのところからも出てこなかったので、よっぽどマイナーな視点だと思うんですけれども、大変気になっていることがあります。特に午前中の過疎の中山間地の例で実は伺いたかったんですけれども、全体として子供の数は、トータルで見れば非常に減っている。その中で、ここ数年気になっているのは、子供の数は減っているにもかかわらず、いわゆる障害のある児童・生徒、それから特別の支援を必要とする子供の数というのが、過疎の中山間地でも増えているんですね。今日の午前中の広島の神石高原町の例でも、かなり小さい規模で、特別支援学級というのが幾つかあったわけです。都市部の場合はどうなのかよくわかりませんけれども、私も岐阜にいまして、ああいうところで、こんなに小規模なのに特別支援学級があるんですね。特別支援の必要なお子さんがいらっしゃる。このことは、今後の学校の適正配置というのを考えていく上で、学級数の問題だとかがいろいろ出ていましたけれども、かなり大きな観点ではないかというのが1点なんです。
 それから、今回ここでやるテーマは義務教育段階の学校の適正配置ということかもしれませんけれども、高校への進学率が97%を超えて、ほとんど義務化している段階では、つまり、高校の配置ということと小・中学校の配置ということは極めて重要な関連があるわけです。また、再び言うようですけれども、神石高原町は近年の出生数、50人とかというふうに言っていましたけれども、あの地図の真ん中のあたりに県立高校が1つあったと思います。あの高校の存廃というのはどうなっているのかというようなことと小・中学校の配置というのは非常に関係があるわけです。今のこの資料6のペーパーで、小学校と中学校の連携ということが書かれていますけれども、実は中高連携校というのが幾つか出てきております。これについてはいろんな観点があるんですけれども、とりわけ郡部のほうでは、中高の連携校、特に連携型の中高一貫校をつくることによって、ある地域に高校を残そうというような動きが非常にあるわけです。ですので、ここは小中の適正配置かもしれませんけれども、高等学校との関連ということですね。中高じゃなくて、小中高連携ということをかなり考えなくてはいけない地域があるわけでして、そういう観点もできたらば入れていただきたいなと思いました。

【小川主査】
 今の特別支援の問題と高校……。これはただ、小中の適正配置のところがメーンで、高校まで正面に据えてやるというのは、高校入試の問題もあるので、かなり議論が広がるんですけれども、ただ、小中の適正配置の問題を考えていく際に、高校の問題も避けて通れないところはそれとしてきちっと留意事項として考えざるを得ないと思いますので、それは少し意識しながら議論を進めていければなと思っています。
 ほか何か、全体にかかわる基準に関する検討項目例ということで、きょう、1つのたたき台を事務局のほうから出していただいているんですけれども、今のような大きな枠組みにかかわるような点と、あと、先ほど淵上さんのほうから説明があった内容面にかかわって、こういうような点をもう少し膨らますべきだとか、もう少し新しい論点があるんじゃないかというようなことがあれば、30分ぐらいしか時間がありませんので、きょうすべてできるわけではなくて、次回がもう1回ヒアリングですよね。それ以降、少し詰めた議論に入っていけるかと思いますので、それの1つの整理という意味になるかと思いますけれども、皆さんからのご意見を伺いたいと思います。じゃあ、貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】
 確認なんですが、以前も一度申し上げたかと思うんですが、2番目の(1)に学校の規模に関する基準という検討項目をお出しいただいています。今、松川委員のほうからもご指摘があったかと思うんですが、この規模を考える際に、現状の教員の配置の基準を前提として考えるのか、それとも、そこ自体に、何らかの形で手を入れて配置を考えるのかということによって、例えば今、特別支援の視点が出されましたけれども、かなり議論の方向性も違いますし、我々の方針としても違うと思うんですが、それはどの程度検討可能であるのか、実現可能であるのかということを若干情報提供をしていただけるとありがたいなと思います。

【小川主査】
 よろしいですか。

【前川審議官】
 淵上君は、初等中等教育企画課の室長なんですね。今のお話は財務課の問題なものですから、私は両方担当していますので、私のほうから。これは草野先生の問題意識ともつながる話であって、例えば統合したときに、今の標準法のもとでありますと、6学級と6学級の小学校が統合しても、また6学級だということで、標準法上の定数は同じだと。教職員の定数は単純に2分の1になるというようなことになるわけですよね。これをこのままでいいのか。先ほどの横浜市のご発表の中でも、13.5億円の財政メリットのうち、市に生じるのは4.5億円だというお話だったですね。残り9億円は県のほうに生じるメリットだということですが、その多くは、県費予算教職員の給与費のことだと思うんですけれども。これは、ですから、どうしても基準のあり方ということを考えるときに、財政的な仕組みとの関係を考えざるを得なくなってくるんだろうと思うんですね。議論の順番としてまず配置の基準のことを議論していただこうと思っておりますけれども、当然そのことを考えるときに、裏づけとなる財政のあり方、特に教職員の定数の配置のあり方ということは、考慮の中に入ってこざるを得ないだろうと思います。ですから、まずは配置のあり方を考えてしまうと財政支援のあり方を考えるというふうに順番を、一応大きな順番を考えておりますけれども、あまりそれにとらわれずに、教職員の定数配置のあり方も含めてご議論いただいて構わないと思います。それは最終的にどういう形で国が財政的にそれをバックアップするのかということとつながってくる話だと思っています。最終的に私ども、そこを着地といいましょうか、そこを結論出していただかないと、作業部会をやっていただく意味もないと思っています。大きな順番は、基準を考えて、財政的な支援のあり方を考えるという順番ではありますけれども、あわせてご議論いただいて構わないと思っています。

【小川主査】
 淵上さんのほうから何かつけ加えることございますか。

【淵上教育制度改革室長】
 いえ。

【小川主査】
 いいですか。はい。標準法を含めた見直しも視野に入れて大胆に議論してほしい。してほしいじゃなくて、大胆な議論も可能な作業部会のようですので、いろんなアイデアを出しながら議論を進めていければと思います。
 じゃあ、髙岡委員。

【髙岡委員】
 きょう1日、私、先ほどもちょっと触れましたけれども、午前中と午後とでこれだけ違うんだなという印象が強かったんですね。したがって、適正配置の基準ということを考えるときに、どこに目を置くかということが基本的に重要じゃないかと思います。先ほど松川委員さんが特別支援のことをおっしゃっていただいたので、まさにそうで、3学級しかないところだって、今、特に情緒障害系の特別支援学級は大体つくってもらえるという状況があって、どこの学校にも、特に小学校は特別支援学級を1クラスぐらいつくる。ただ、この問題は、特別支援学級というものを今後永続的に学級として考えていくのか、そうじゃないのか。つまり、教員はつけるけど、学級は置くのか、置かないのかという議論は、まだ終わっているとは思ってないんですが、その問題が1つあります。ですから、このことは、学校規模ということを考えるときに、附論としてでもひとつ踏まえるということが重要だなと、先ほど伺って勉強させていただきました。
 もう1点は、先ほどの神石高原町じゃないですけれども、中国地方という、中山間地域にたくさん人の住んでいるところ、これは実は昔から複式学級がたくさんあって、少子化なんか起こらないところからもともと学校は複式学級がいっぱいあったんですね。これは北海道と、どうもあのあたりと鹿児島とか、そういうところには複式学級が結構あって、それが常態化されている。しかし、一方で国の基準で言えば、それは基準の話の中には入っていないわけです。全くその問題とは別の学校が存在しているということがある。つまり、適正配置という考え方の、国がおっしゃる12~18学級というものが、実態としてはそうじゃないところも、大規模校、極大規模校は何とか調整するけれども、小さいところを何とかしろと言ったって、なかなかそうはいかない。通学路の問題もある。だから、これまでおそらくあまり議論の対象になってこなかったところじゃないかと思うんですね。実際そういう学校があるということを承認するというぐらいのことで。
 ですから、その点では、適正配置という考え方の中に、もう少し弾力的な適正配置というんですか、過疎地域、あるいは過疎地域でなくても、極めて小さな学校があって、それらが現実には統合の対象になりにくいところ、これについてどんな手当てをするかということを具体的に言えることがあれば、答申の中に加えるべきじゃないかなと思うんですね。
 例えば学校に配置する教員というのは、定数法の問題ですけれども、これはおそらくどこにもそういう法的基盤はないんだと思いますけれども、今、市町村の中で、結構融通してやっているのは、市町村教育委員会に教員を雇っておいて、学校に派遣をする。何カ所も学校を回る教員がいて、巡回教員というわけじゃないんでしょうけれども、そういう制度や仕組みを持っていることを場合によっては認めるような仕組みというんですか、小規模校を存続させるという積極的な考え方ではないんですけれども、やむを得ずそうしかならないところに対する手当て、これを少し検討しておく必要があるんじゃないかと思います。

【小川主査】
 なかなかおもしろいアイデアというか、今までの配置基準にはないあれですよね。つまり、学校単位で教職員配置というよりも、1つの地域、ブロックとして配置を考えるとか、そういうふうなことも含めての新しい1つの考え方だと思いますけれども、ほかはどうでしょうか。じゃあ、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 すいません。話が全くそれるかもしれないんですけれども、全体のこれからの審議の流れについての質問でもあるんですけれども、適正配置とともにコミュニティ・スクールとか、学校選択の話がテーマとして挙がっているわけですけれども、きょうのお話を伺っていても、統廃合を機に地域の方に運営にかかわってもらうとか、現実にコミュニティ・スクールとしてやっていらっしゃるところもあるようですし、そういう適正配置と例えばコミュニティ・スクールというのがリンクしていくものなのかなというかようなことを感じたんですけれども、今後、1つの報告なら報告をまとめるというのは、適正配置についての報告ということになるのか。それとも、3つなら3つをまとめて出すことなのか、そのあたりの方向性はどうなんでしょうか。

【小川主査】
 よろしいですか。

【淵上教育制度改革室長】
 この作業部会でご審議いただくことは3つございますので、3つとも、大きな意味で言えば、学校と地域、あるいは学校と保護者との関係を全体としてどうとらえるかということと関連してくると思いますので、3つ、全体としてご審議いただければと思っていますけれども、まず当面考えているのは、次回は学校選択制とコミュニティ・スクールについての有識者、あるいは実践事例について発表いただいて、ちょっと審議を深めていただく。夏前に可能であれば適正配置についての基準をもう少し深めていただいて、秋以降、適正配置とコミュニティ・スクール、学校選択制について、どういう順番でやるかはこれからまた主査ともご相談させていただきたいと思いますが、年末ぐらいまでに大きな方向性を出していただく際には、できれば、適正配置だけではなくて、コミュニティ・スクールとか、選択制についても論点を整理していただけたらと。年末ぐらいまでかけてですね。というふうに思っております。

【小川主査】
 中西委員、何かありますか。

【中西委員】
 いや、結構です。

【小川主査】
 この3つ、一応この作業部会に諮問されていまして、この3つをどういう関係でまとめるかというのは、個々の作業部会でまだ議論しているわけでもないので、今の段階でこういうふうな方向でまとめたいという思いが、私も、また事務方のほうもあるわけではないんですが、ただ、配置のところについては、一定度の方向性は出していかざるを得ないと思うんですけれども、ただ、コミュニティ・スクールの話とか学校選択の話については、そういうふうなあらかじめある方向があるわけじゃなくて、中教審からこの作業部会に諮問された事柄は、私自身の理解とすれば、コミュニティ・スクールの場合には学校評議員制度とか学校運営協議会ということで、多様な形の、地域によってかなり多様なものがつくられているというような事実とか、あと、学校選択制にしても、一定の広がりを持ち始めていて、また、それが地域によってかなり違った形の学校選択制の実態もあるという中で、ともかく今、それらについて検証作業をきちっと進めてほしいと。ある一定度の検証作業をした上で、そこに何らかの問題とか、国として何らかの方向性をもしも出すようなものがあれば、その時点でそれは考えていきたいという趣旨じゃないかなと私は受けとめていますので、適正配置の報告と、あと学校選択制、コミュニティ・スクールの検証作業というのは、少し切り離して議論したほうがいいのかなと、今の段階では思っています。ただ、今後いろんな審議の中で、その辺のところは審議の中身を検証しながら、方向性は定めていけばいいと思いますけれども。一応そう理解しているんですけれども、事務方のほう、それでよろしいですかね。

【大嶺委員】
 主査のおっしゃるとおりだなと思うんですけれども、また別の観点から、一番最初に私も意見として申し上げたんですけれども、適正配置に関してと、それから学校の適正規模ということで、横のつながりだけではなくて縦のつながりというお話をさせていただいたと思うんです。そのときに出てくるのが、小中一貫という。小中一貫に関しては、別の作業部会か何かでお話をされているんですか。なのかな。そういう形ではここでは出てこないのかななんて思うんですけれども、学校の配置に関して、地域とのつながりをどうつくっていくのかということで、コミュニティ・スクールと学校選択制というのはリンクしていくだろうなと思います。今おっしゃられたような形で、全く別個にばらばらにこれは審議を進めていくということなんですか。私なんかの頭の中では、それぞれ3つがいろんな形で、つじつま合わせているわけではないんですけれども、つながっていくような感じを持っているんですけれども。

【小川主査】
 何かありますか。

【淵上教育制度改革室長】
 小中の一貫については、親分科会の小中分科会そのものの審議要請事項として、学校主幹の連携・接続のほうが、お願いをしておりますので、分科会の審議テーマとしては出ておるんですけれども、それは今、どこか別の作業部会でやっているということではございません。この作業部会には、まず学校の設置運営のあり方などについて検討をお願いするということで、適正配置とコミュニティ・スクールと選択制の3つをお願いしているわけですけれども、分科会でご審議いただいたときも、適正配置の議論をする中で、小中の連携という話は出てくる可能性があるというふうなご意見をいただいております。その議論、審議を深める中で、連携・接続の話が出てくるのであれば、それはそこで深めていただいたらいいという状況にはなっておりますので、それは必要に応じてご審議を深めていただければいいんですけれども、途中途中で、分科会にもこの作業部会の審議状況を報告することになりますので、分科会に状況を報告しながら、新たな作業部会としての審議事項が付加されてくれば、さらに小中一貫についてももう少し審議を深めていくということになってくるかと思います。
 適正配置とコミュニティ・スクール、あるいは学校選択制というのは、具体的にどういうふうに議論を関連させて進めていったらいいかというのは、これからご相談しながら進めていけたらと思っております。クロスする部分が出てくるのも事実でしょうし、ただ、次の回はこっちやって、次の回はこっちやってというふうに、あまりに毎回ごとにテーマが違うということになっても、十分議論が深まらないかもしれないということもあるかもしれませんので、その辺は、今後よく相談をさせていただきたいと思います。

【髙岡委員】
 よろしいでしょうか。私、最初に発言させていただいたときに、こういうことを申し上げたんですが、つまり、市町村合併がどんと起こったときに、学校統合の問題も同じように、世の中が動いたことによって学校の問題もわっとクローズアップされて動こうとしているという実感があったんですね。学校の統合の問題をきょうも4件聞かせていただいて、統合問題ということが起こるときに、じゃあ、新しくつくる学校ってどんな学校にするかというと、やっぱり夢を語ろうということになって、その中にコミュニティ・スクールの問題があったり、選択制の問題があったり、横浜の事例なんかは非常にそこをうまく切り分けておられて、やっぱりすごいなと思うんです。そういう問題は、一貫してつながっているようにも、大嶺委員さんおっしゃるとおり、私もそういうふうに見えるんです。だから、議論は一緒にしたほうがいいように見えるんですが、実は逆に、うがった言い方をすれば、統合ありきの話に選択制の問題やコミュニティ・スクールの問題が議論として中へ織り込まれていく可能性も、市町村行政のレベルでいうとあるような気がするんですね。ですから、そこの切り分けはむしろ大事で、コミュニティ・スクールの問題と学校選択制の問題は、それはそれとして独自にデータを出していただいたほうがいいような気がします。先ほど小川先生がおっしゃっていた、まずここの分科会では、データの精査をやりたいとおっしゃったのは大賛成ですね。あまりそこを、議論を一緒にすると、政策レベルのところ、行政レベルのところの議論をちょっとやり過ぎてしまうのかなという気がしています。

【小川主査】
 わかりました。今後の進め方については、先ほど私のほうから、ないしは事務方のほうから説明された方向でやりながら、先ほど言いましたように、コミュニティ・スクールとか学校選択の議論もかなり適正配置のことに絡みますので、その辺は交通整理しながら適宜進めさせていただきたいと思います。しばらくは適正配置のところを軸にしながらこの作業部会は審議を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ほかに今後の進め方とか、きょうの検討項目の内容について何かご意見があれば。きょう朝10時からやっていますので、正直言ってかなり疲れが皆さんたまっていると思いますので、5分ぐらい早く終わっても何もおとがめはないかと思いますので、もしもなければこの辺できょうは終わりたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 じゃあ、次回以降についての説明、アナウンスをお願いします。

【淵上教育制度改革室長】
 資料7に今後の開催予定を載せさせていただいております。8月5日、13時から15時30分、先ほどちょっと申し上げましたように、次回は学校選択制とコミュニティ・スクールについての有識者の方、あるいは実践事例についての発表とご審議をお願いしたいと思っております。8月21日に、それまでの議論を整理しながらご審議を深めていただきたいと考えているところでございます。場所はまだ未定でございますので、詳細決まりましたら、またご連絡させていただきます。以上でございます。

【小川主査】
 じゃあ、長い間、きょうはありがとうございました。これで第3回、4回の会議を終わりたいと思います。ご苦労さまでした。

― 了 ―

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(初等中等教育局初等中等教育企課)