小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第10回) 議事録

1.日時

平成20年12月19日(金曜日)13時~15時

2.場所

旧文部省庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 1.学校の適正配置について 2.コミュニティ・スクールについて 3.学校選択制について
  2. その他

4.議事録

【小川主査】
 ちょっと遅れましたけれども、始めさせていただたいと思います。佐藤室長は、国会の関係で、今すぐには来られそうもないということですので、始めさせていただたいと思います。
 12月はほぼ毎週のようにこの会議を開催しまして、皆さん、本当にハードなスケジュールの中、ご参加をいただきまして、ありがとうございました。今日は12月最後、今年最後の会議ですので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、最初に今日の審議にかかわる資料を、事務局のほうから説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【小野教育制度改革室専門官】
 失礼いたします。教育制度改革室長にかわりまして、教育制度改革室専門官の小野から説明させていただきます。配付資料の確認でございます。お手元の議事次第に従いまして、枝番をつけたものを含めまして、資料1から資料5までをご用意させていただいております。
 資料1の名簿の次に、資料、枝番2-1、2-2が、前回第9回までのご議論の中でも出していただきました、学校の適正配置に関する考え方の論点例と、それに関連します主な意見等でございます。これは前回いただきましたご議論を、下線を引いた形で追加させていただいた部分でございます。後ほど、その部分につきましてはご説明をさせていただきます。
 資料3-1、3-2、こちらが適正配置についての考え方と同じような形で、コミュニティ・スクールに関する考え方の論点例、あとはそれにつきまして、これまでにいただきました主なご意見等をまとめさせていただいたものでございます。
 同じく資料4-1、4-2が、学校選択制に関する考え方の論点例と、その論点例に合わせまして、これまでいただいたご議論を整理させていただいたものでございます。
 また、資料5といたしまして、今回、前回ご欠席の國定委員から文書の形で意見提出をいただきましたので、こちらを資料5という形でつけさせていただいております。國定委員の意見につきましては、また後ほど各論点につきましてご紹介するときに、事務局のほうから簡単に説明させていただければと思います。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 今日は、関係する資料が若干多目になっておりますけれども、不足していた資料がありましたら、また事務局のほうにご連絡いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 今の説明にありましたとおり、今日は年内最後の作業部会の会議であるということですので、適正配置と学校運営協議会と学校選択制というこの3つについて、年内最後の会議ということで、これまで出てきました論点と様々な意見の内容を整理するという会議にしていきたいと思います。
 今日は、適正配置にかかわる、資料2-2ですね、ここに前回いただいた意見を加筆したものをもう1度出していただいています。今日は最初にこの資料2-2に基づいて、前回いただいた意見を踏まえて全体を、もう1度皆さんに見ていただいて、少しお時間をとって、できれば15分から20分程度、この議論をしていきたいと思います。
 この適正配置が終わりました後は、今度コミュニティ・スクール、学校運営協議会に関する論点と、これまでの意見の整理について、これも事務局のほうから説明いただいて、大体40分前後の意見交換をし、残りの時間、最後に学校選択制のテーマに関わる論点と、皆さんからのご意見を賜りたいと考えています。一応今日はそういう段取りで進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 また、國定委員から出ております資料5の意見につきましては、そのテーマごとに関係する内容については、事務局のほうからその都度読み上げていただくとしていきたいと思いますので、お願いいたします。
 では最初に、学校の適正配置に関する資料についての説明をお願いしたいと思います。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。そうしましたら、資料2-1、それから、資料2-2というものを適正配置の関係で入れさせていただいてございます。資料2-1のほうにつきまして、論点例を入れてございますけれども、こちらは前回と特段変更点はございませんので、説明は割愛させていただきたいと存じます。
 資料2-2をご参照ください。こちらは前回特に集中的にご議論、ご検討いただいたところでございました。こういったものの中に、前回のご意見等に少し下線を引かせていただく形で、それぞれの項目の中に溶け込ませていただいてございます。少し説明させていただきたいと存じます。
 まず、1点目でございます。適正配置を現在、この段階において検討する背景や意義という1つ目のポイントでございます。その中で、すべては申し上げませんけれども、まず大きなところ、1ページ目の下でございます。財政論からどう考えるかというご意見を前回ちょうだいいたしました。ここはちょうど市町村や都道府県や国の役割ということを少し書かせていただいているところでございましたが、その下の部分に2つほど意見を追加させていただいてございます。
 まず、当作業部会として適正配置を財政論で進めることをどう考えるべきかといった論点、それから、次でございますが、適正配置を考えるのは、次世代を担う子どもたちをどのように育てていくのかという教育論で考えるべき、一方、子どもたちの教育をよくしていくという上で、財政は現実の制約として存在しているのも事実である、こういったご意見をここに入れてございます。
 それから、おめくりいただきまして、2点目の論点でございます。適正規模、それから通学に関する現在の標準についてというところでございまして、現在の標準についてというところで、これも2つほど追加してございます。おおむね同じ意見でございましたけれども、12学級から18学級という現在の学校規模をはかる1つの標準としてどう考えるかということについて、1つ目でございますが、クラス替えなど、教育的な配慮という観点からは、12学級以上18学級以下という標準は、現在もおおむね妥当であると考えられる。それから、現状の12学級以上ということはそのままとしつつ、それを下回る場合の扱いをもっと弾力的に考えるようにすべきではないか、こういったご意見をちょうだいしたところでございます。
 それから、それよりも下のところの2つの「○」、それから次のページにわたって3つ目がございますけれども、こちらもご意見を新たにちょうだいしたところでございます。質的、定性的な要素であっても、各地域の適正配置の審議会等で結論を出すのに用いたデータを集めれば、各地域の現場の意見を集約したものとして、検討の裏づけになるのではないかと。
 それから、国は適正配置の標準を示した上で、小さな学校をどうするかなどの考え方を情報として提示し、ある程度地域の特性に配慮できる都道府県が指針のようなものを出すことが望ましいのではないかといったものでございます。
 それから、次のページに行きまして、現在の標準を変えないこととしたとしても、これを機に大きく学校統合にかじを切る市町村が出てくることが予想される。その影響についても想定しておく必要があるのではないかというご意見を入れてございます。
 それから、基準の考え方ということの中には、小規模校の実態なども踏まえてということもございます。そういった中でご指摘をいただいた意見でございましたが、学校行事の数は大規模校でも小規模校でもおおむね同じである。小規模校で一定の教員数がいない場合、特別活動などにおける役割分担ができず、役割が集中した教員は教材研究などに十分な時間がさけないことがある、こういった意見を入れてございます。
 それから、次の通学距離の関係でございます。1枚おめくりいただきまして、項目は通学距離、通学時間というところに入れてございますけれども、学校規模を維持するために、現行の4キロ、6キロという基準におさまり切れなかったり、逆に4キロ、6キロという距離の基準にこだわると、学校規模が小さくなるという状況が生まれているのではないか、その場合、子どもの教育上、学校規模を優先すべきではないかというご意見でございます。
 それから、次でございますが、通学距離等の児童・生徒への影響というところでございます。こちらはそれぞれのデータ、2回目の朝倉先生のデータに関してのご意見をそれぞれ入れて、同じ意見でございましたけれども、4キロを超えた場合、もしくは6キロを超えた場合、ストレスという観点で子どもへの影響はどうなんだという判断に当たっては、お示しいただいたデータの背景を考えたときに、あくまでも気象等に関する特異な考慮要素は比較的少ない場合におけるデータであるということを踏まえる必要がある、こういったご意見をちょうだいしましたので、それぞれ関係部分に入れてございます。
 それから、次のページに行きまして、3つ目の項目でございますけれども、実際に標準に満たない場合において、教育条件の向上を図る観点から、特に克服が求められる課題とは一体何かということをご検討いただいたときに、小規模校の課題ということで、こちらもご意見として1ついただいたところでございます。人間関係が固定化すると争いを避けて、ディスカッションができないなど、コミュニケーション能力が育ちにくい、教員の努力だけで解決が難しい問題がある、こういったご意見をちょうだいいたしたところでございます。
 次でございますけれども、おめくりいただきまして、6ページでございます。4つ目の大きな項目でございます。標準に満たない場合において、適正配置を進めることが困難であるとの状況として、どのような状況が考えられるか、その場合、どのように取り組むべきかといったご指摘の中で、項目の中で、1つ目の項目でございますが、適正配置を進めることが困難な場合の、特に同一市町村内に1つしかないようなケースという記述の中に少し加えております。通学の関係で難しい場合もあるけれども、事務委託等により、他の市町村内にある学校へ、市町村の境を越えて通学するということも考えられるという後に、また複数の市町村で協力して学校を設置するということも考えられるのではないかといったご意見を追加してございます。
 それから、次は7ページでございます。通学距離、それから時間、負担感といったところで、生徒の立場でご意見をちょうだいしたところでございます。特に、小学校の場合、低学年と高学年の体力の違いというものを考慮する必要がある。低学年については分校に通い、高学年になったら本校に通うというのも1つの対応策として考えられるという、こういう形で入れてございます。
 それから、おめくりいただきまして、8ページ、9ページでございます。項目としては、特にそれ以外で取り組むべきことということで、それぞれ保護者や地域住民への説明という部分であったり、統合できない小規模校対応といった項目がございましたが、この点について、特に保護者や地域住民への説明というところで、9ページの上の部分に入れてございます。統合で単に学校を1つにまとめるということだけではなくて、小中一貫教育や、学校運営協議会を積極的に導入するなどして、これを機に地域と学校の関係といったものをつくっていくという道筋を示すべきである、こういったご意見をちょうだいしてございます。
 それから、最後の項目でございますが、上記のほかに適正配置の検討に当たって留意すべきことは何かといったところで、特に人事配置等の中に、新たな学校づくりを進めるための支援として、激変緩和措置を積極的に利用することも重要だといったご意見を入れてございます。
 おおむねこういった部分が前回ご議論、ご検討いただいた上で、新たに主な意見等の中にこうやって追加させていただいた部分でございます。ちなみに先ほど主査のほうからもお話がありましたように、本日、國定委員のほうからご提出いただいているご意見の中の、特に適正配置に関する部分を、この場をおかりいたしまして、ご紹介させていただければと存じます。
 資料5に少しお目通しいただければと存じます。かなり広範な視点でご指摘いただいておりますので、特に適正配置のところに限定してということになりますと、まず、1つ目、すべて読み上げることはいたしませんが、関係箇所ということで、1つ目の小・中学校の適正配置についてというところで、1番目に適正配置に関する市町村の役割や責任ということでございます。中教審では、国全体の教育水準確保の観点から、市町村の判断が参考となる考え方を示すことが必要、実際に各地域の実情を知り、その地域の将来像を打ち出していくことが市町村の役割ということで、その役割分担、責任という点での意見でございます。
 それから、2点目に国や都道府県の考えている適正配置の基準という点でございますが、国や都道府県の考える適正配置の基準は、市町村が検討を行う上であったほうがよい。また、学級数についても特段変える必要はないのではないか。ただし、基準は基準として実際には各市町村が地域の実情を考慮して判断できるようなものとすべき、確かに地域により、さまざまな事情はあるけれども、都市部と郡部で基準として分けるというよりは、基本となる基準を参考としつつ、市町村ごとに判断できるようにしたほうがよいといったご意見をちょうだいしております。
 それと、次にちょっと飛びまして恐縮でございますが、1ページおめくりいただきまして、全体の5番の通し番号、統廃合の際に、小中連携や小中一貫教育について検討してはどうかといった点が5番目に挙がってございまして、内容については、これまで、先ほどご説明させていただいたような内容と軌を一にするものでございますけれども、三条市では、統廃合のための小中一貫教育ではなく、いわゆる地域ギャップの解消など、小中一貫教育そのもののメリットに着目して既にやっていらっしゃるということをちょっとご紹介いただいているところでございます。
 それから、6番目でございますけれども、統廃合と地域コミュニティの関係で、これは市長のお立場で、大変難しい課題であるということを率直に言っていらっしゃる部分でございます。大変難しい課題であって、特に中学校の統廃合については、いかに適正基準があるとはいえ、おのずと限界もあるのではないかといったところでございますとか、あと三条市のお取り組みとして、現在は代表者による検討委員会により、基本方針を策定し、住民に説明会を行い、行政で青写真をつくりながら進めていくというパターンが一般的であるが、三条市では統廃合を視野に入れた小中一貫教育の在り方を話し合う際に、住民全員参加型の協議会を模索しているといったことがございます。
 それから、最後でございますが、7番目に通学距離の記述がございます。統廃合によって、スクールバスの事業が拡大し、自治体の財政負担が増える、増やすということは、ある程度やむを得ないことではないかと。国が子どもの負担の目安として通学距離や乗車時間の線引きを標準として示されることは、市町村にとっても、今後統廃合や学校の区割り等を検討する際の一定の目安になってありがたいと思う、こういったご意見をいただいているところでございます。
 以上、簡単でございますが、前回の本作業部会でご指摘をいただいた部分で、追加をさせていただいた部分のご説明と、國定委員からご提出いただいたご意見の紹介をさせていただきました。以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 適正配置については、前回も時間を大分とって、皆さんからご意見をいただきましたけれども、皆さんからいただいたご意見が、今日の内容に反映されているかどうかを含めて、また新たなご意見があれば、お聞きしたいと思います。また、前回参加されていなかった岡上委員のほうからも、何かございましたら、どうぞご発言いただければと思います。

【岡上委員】
 前回の記録を読ませていただきまして、ここにも國定委員のところにも書いてありましたけれども、本当に一つ一つの地域によって違うので、都市部、郡部という基準を分けるというより、基本となる基準を参考にしつつ、市町村ごとに判断できるようにしたほうがいい、本当にそれは私も同感です。こういうことを決めるときに、どうしても基準が出ると、そこから外れるものについて、なかなか厳しい対応があるかと思いますので、その点をぜひ十分配慮していただければ、ありがたいと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 他にどうでしょうか。山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 2点ご考慮いただければという点があります。4ページの2番目なんですけれども、これは私が申し上げたことを反映していただいたんだと思うんですが、最後の結論のところで、「その場合、子どもの教育上、学校規模を優先すべきではないか」ということでまとめていただいているんですが、私の発言の趣旨は、学校規模と通学時間で適正基準を定めていくべきではないかというようなことなので、ペアでご紹介いただければと思っております。
 それからもう1点が、都道府県の役割についてちょっと申し上げたんですが、それについて、特に追加がないようなので、ちょっとこれもご検討いただければということで、6ページの複数の市町村で協力して、学校を設置するということも考えられるのではないかというときに、都道府県による仲介なども、コーディネーションみたいなものを通じてというのを少し加えていただけると趣旨が出るかなと思います。ご検討いただければと思います。

【小川主査】
 はい、事務局のほうは、よろしいですか。
 他はどうでしょうか。前回も皆さん方から多くの意見が出されましたので、特別なければ、次のコミュニティ・スクールと学校選択制もかなり分量が多いので、そちらのほうの議論に進んでよろしいですか。
 では、次のコミュニティ・スクール、学校運営協議会のほうに入っていきたいと思います。これはまた事務局のほうから、最初に資料の説明をいただきたいと思います。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございます。失礼いたします。資料でございますけれども、資料3-1、それから、資料3-2がコミュニティ・スクール関係の資料でございます。
 まず、資料3-1でございますけれども、適正配置の場合と同様に、大きな論点、もしくはこれから検討いただくに当たってのいろいろな視点というものを、これまでのご意見等を踏まえて、大きく整理したものが論点例で、この項目に沿って、それぞれちょうだいいたしましたこれまでの先生方のご意見、それから、この場でご紹介をいただきました日本大学の佐藤教授のバックデータ、こういったものを入れ込みまして作成しましたのが、資料3-2でございます。
 まず、資料3-1のほうから大まかなアウトラインをご説明させていただければと存じます。項目といたしましては、大きく分けて3点入れてございますが、コミュニティ・スクールの意義や成果といった点、コミュニティ・スクールの運用上の課題と今後の方向性といった点、それから3点目、他の関連する制度との整理、もしくは将来的にどういうふうにもっていくのかというあたりについてのご意見、こういったところを、ちょうだいしたご意見の中で大きく交通整理をしてみたところでございます。
 それで、例として書かせていただいているものは、おおよそ代表的なご意見、もしくは検討の視点といったものを入れているわけでございます。ちょっとご紹介させていただきますと、学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールは保護者や地域住民が一定の責任を持って主体的に学校運営に参加する仕組みとして、これまでの成果を踏まえ、その積極的な導入の促進を図るべきではないかといったことを踏まえまして、実際に成果の判断基準、もしくはその例として入れてございますのが、学校が地域に情報提供を積極的に行うようになった、特色ある学校づくりが進んだ、地域が協力的になった、学校が活性化した等々、こういった代表的なご意見、もしくは佐藤教授のアンケートやデータといったものの中で、こういったものが主なものとしてございましたので、ここに入れてございます。これは後ろのほうの資料にまた出てまいりますので、後ほどまた詳しくご紹介させていただきます。
 それから、2点目でございますが、コミュニティ・スクールの運用上の課題と今後の方向性といった点についてもご意見をちょうだいしました。学校にメリットが理解されていないという意見もある中、どのように情報発信を行っていくかといった点、それから、学校運営協議会の法律上の権限(学校運営方針の承認、教職員の任用に関する意見の申出等)、そういった点について、積極的な活用という視点からどういうふうに打ち出していくのかといったところでございます。
 それから、学校運営協議会の運営を継続させ発展させるためには、今後どのような方策が必要かということで、主に、メンバーの構成なども含めての人選上の工夫、事務局の強化、教員の負担軽減、それから、資金の管理や権限の工夫、こういった点が主にちょうだいしたご意見でございます。
 それから、最後に3点目でございますが、他の関連する制度・施策等との関係を将来的にどう考えるかということでございます。まず、1つ目が、学校運営協議会制度以外の、保護者や地域の意見を学校運営に反映させる仕組みとの関係をどう考えるか。特にご意見等が多かったのが、そこにございます、例示として入れてございます学校評価の観点から、学校評価委員会でございますとか、学校評議員などの機能を、学校運営協議会が担うこととすべきか、それとも地域の実情で判断すべきかというような視点。
 それから、地域の力で学校や子どもを支援するさまざまな他の仕組みや活動との関係をどう整理するかといったところで、主なご意見としてございましたのが、学校支援地域本部でございますとか、放課後子ども教室、こういったそれぞれの取組と、具体的な学校支援の活動を行うことを学校運営協議会の機能の中でどのように位置づけていくかという視点でご意見をちょうだいしたところでございます。
 それから、教育委員会や校長の権限と、この学校運営協議会制度との関係という点で、今後新たに学校運営協議会に付与すべき権限や役割といったものがあるだろうか、こういった観点を入れてございます。
 この整理、こういった観点に従いまして、資料3-2に、これまでちょうだいいたしましたご意見等を中心に少し整理してございます。少しご紹介させていただければと存じます。
 まず、1つ目でございますが、先ほどありましたように、コミュニティ・スクールの意義や成果といったものをどう考えるかと、その意義の部分でございます。これは、主に、上から5つ目ぐらいまではおおよそ総論、システム全体についてのご意見をちょっと入れてございますが、少しご紹介いたします。
 教育は、学校と家庭の両輪で進めるものである、ということが言われてきたが、現在では、学校・家庭・地域・行政が一体となって、四輪駆動で進めていくべきものであり、それがコミュニティ・スクールの理念である。
 学校運営協議会は、保護者や地域が学校に意向を伝えるとともに、学校からも保護者や地域に意向を伝える、相互に交流できるシステムである。
 地域・家庭の教育力の充実という観点について十分な環境整備ができていなかったという指摘があることも踏まえ、コミュニティ・スクールを進めていく必要がある。
 学校運営協議会制度は、親や地域住民が学校に意向を伝える仕組みとしてメリットが大きいものであり、基本的には推進すべきものである。どうすれば学校運営協議会制度が全国に広まるのか、という検討をしていくことが必要である。
 学校運営協議会の制度化以前より、学社連携・融合といった動きの中で、学校と地域のつながりを深めるということが地域社会の中で進められ、学校運営協議会につながってきた部分もあるということでございます。
 もう既に今の部分に入ってございましたけれども、さらにコミュニティ・スクールの導入に当たっての背景や経緯といったものについて、主に3つ、ご意見をまとめてございます。
 学校運営協議会を設置する学校に指定される経緯を考えると、地域と学校の関係が十分できてから指定をしていくという側面もあるし、指定を受けたことを契機に地域との関係をうまく作っていく努力をするという側面もある。
 それから、各地域、学校により、コミュニティ・スクールとしての指定までには様々な経緯があり、コミュニティ・スクールの実態は、非常に多様である。
 地域によっては、地域コミュニティの基盤が弱いため、学校選択制で学校改善を図ろうとする地域もあれば、コミュニティ・スクールで地域力を活用していく地域もある。どちらを選択するのか、またはどちらも選択しないのかは、あくまでもそれぞれの自治体の権限に属するものである、こういった点を入れてございます。
 それから、次でございますが、今度は成果の部分で、最初ここの部分はデータに属するものでございます。およそ4つ目までデータでございますが、平成20年4月現在で343校が指定を受けている。
 それから、導入校で成果として考えられているのは、「学校が地域に情報提供を積極的に行うようになった」「地域が協力的になった」「学校が活性化した」、そういった項目で高く評価されているということでございます。こちらは佐藤先生のデータを少し引かせていただいてございます。
 次もそうでございますが、「地域が活性化」「地域教育力向上」「家庭教育力向上」などの校外環境が、校内環境との対比で十分な成果を感じていない関係者も多く、学校運営協議会を置いたから地域が直ちに活性化するというわけでは必ずしもなく、一定の年数が必要なのではないかということでございます。
 それから、次もデータでございますけれども、全般的に、指定から数年を経ている学校については肯定的な回答が多くなっており、ある程度実績を重ねた結果、成果が上がっているものと考えられる。また、校長の意識として、学校や保護者・地域の意向により指定を受けたと認識されている学校の方が、教育委員会や首長の主導で指定を受けたと認識されている場合よりも肯定的な回答が多くなっている。これはアンケート調査の結果から、佐藤教授のほうからご説明をいただいたところでございました。
 こういった点を受けまして、次に2点ほど入れてございます。コミュニティ・スクールがうまく機能している地域では、学校運営協議会で出された提案などを具体的に実行する下部組織、実行組織を持っている場合が多い。学校運営協議会が会議を行っているだけの場合にはあまり成果が上がっていない傾向があるのではないか。
 それから、例えば学校支援ボランティアが盛んな学校では、地域の方が日常的に学校に出入りしているため、学校や教員のことをよく理解し、教員も地域のことや制度趣旨をよく理解しているため、学校運営協議会における提案が実現しやすいようである、こういったご意見をちょうだいしておりますので、ここに入れてございます。
 それから、大きく分けて2点目でございますが、学校運営協議会制度の課題と今後の方向性ということでございます。大きく分けて3点、ここでポイントを入れてございます。1つ目は、メリットの情報発信をどのようにうまくしていくかということと、学校運営協議会の権限の活用、体制や組織の維持強化等といった点、大きく3つの視点を入れてございます。
 まず、メリットの情報発信という点で入れてございます。制度を導入していない学校からすると、学校運営協議会制度のメリット・デメリットが見えにくいという意見もあるため、この制度により、教育の内容・質がどのように変わったのかといったメリットを情報発信していくことがもっと必要である。
 それから、学校運営協議会を進めていくのは子どもたちのためである。指定を受けている学校について、例えば、子どものためになる教育課程を実現できているのか、もしくは教員が育っているのか、という観点や、実際に子どもたちがどう育っているのかという観点から、しっかりと見る必要がある。
 それから、成果を整理して、情報発信というご意見もございます。学校運営協議会制度を導入したことによる成果なのか、合わせて実施している学校支援地域本部事業等による成果なのかが明確に判断しにくい場合がある。地域や学校の特性を考慮し、どのような場合にはどのような成果、特色が出やすいのかを整理することはできるのではないか、というご意見でございます。
 それから、学校運営協議会の権限の部分でございますが、総論として、校長に意見を述べる、教職員の任用について意見を言うといった制度上の趣旨よりも、地域が学校を支援するという観点から制度を活用している場合が多いのではないか。
 データとしても、教職員の任用に関する意見が出された学校の割合は2割に満たない。意見の内容として佐藤教授のほうからご紹介があったのは、若い教員が欲しい等の「任用に関する一般的要望」ということでございます。教職員の任用の部分について、以下3つほど事例がございますけれども、教職員の任用に関して意見を言うためには、日常的に学校の様子を知らないと難しい。学校運営協議会の下におかれた部会の人が、頻繁に学校に出入りしているような場合には、教員の動きがよくわかっている。そのような学校では学校運営協議会の任用に関する意見が通ったりするようである。
 それから、教職員の任用に関する意見については、特定の教職員を排除したりするための仕組みとして誤解されているために、活用されていないという面もあるのではないか。実際にあった例として、任用に関する意見を活用した例として、小学校で学校支援ボランティアの活動をしていた学生が教員採用試験に通ったため、都道府県教育委員会に意見の申出をして、そのままその小学校に採用することができたという例があったということを実例として入れてございます。
 残り2つが機能面、運用面というところでございますが、地域との連携であれば、学校運営協議会制度をとらずとも可能である、と。学校運営協議会の役割を、よりガバナンス(管理組織としての機能)の部分を強調した上で地方へ広めていくべきではないか。
 それから、学校運営協議会をうまく運営していくためには、最初は「学校の支援活動」から始まり、次に「学校運営の基本方針の承認」をしていくようになり、そして最終的には「教職員の任用に関する意見」も述べていくというように段階を追って活動に取り組むという考え方があるのではないか、ということを入れてございます。
 それから次に、体制・組織の維持強化といった点でございますが、これは校長、教員等の意識の部分が上の3つでございます。学校運営協議会が機能するか否かは、管理職の意識によってかなり異なってくると思われるので、管理職の果たす役割や管理職の人事は大きな要素である。
 指定年度当初はそもそも学校の中で教職員の共通理解が十分でない場合がある。2年目になると、今度はある程度要領を得てきて、そして前年度の積み重ねの上に活動が充実してくるのではないか。
 学校運営協議会の委員と、(委員ではない)学校の教員とが懇談していく場を持ち、教職員の意識の向上を図っている学校もある。
 次がデータの関係でございますが、学校運営協議会を設置する学校を対象とした調査によると、コミュニティ・スクールが教育委員会に期待する役割として「予算措置」がもっとも多くあげられている、ということでございます。これも佐藤教授からのデータでございます。
 それから、学校運営協議会の活動が盛んになれば、活動するための資金が必要になるので、これからはファンド(活動資金の調達・運用方法)の問題を検討しなければならないのではないか。
 活動資金については、NPO化した団体がお金を管理する仕組みをとることも考えられる。
 全体的なご意見として、地域の協力を得て行う施策は教育に限らず多い。地域を取り込むことは非常に重要だが、結局は特定の意欲のある人だけが動いていて、頼り切っているという状況がある。
 予算や権限、その他の工夫により、その組織を継続していくための仕組みが必要である、という意見でございます。
 それから、最後でございますが、他の類似制度との関係ということで、主に、先ほど大きな論点の中で少しご説明申し上げましたけれども、学校に保護者・地域の意見を反映する仕組みという視点、それから、2つ目が保護者・地域が学校を支援する仕組み、そういった点で、これまでのご意見等を少し整理してございます。
 1つ目が、学校に保護者・地域の意見を反映させる仕組みという観点からのアプローチでございますが、学校評議員制度や学校関係者評価といったものがこれに該当するかと思われます。最初の1つ目の「○」は、これは制度の話でございますから、飛ばしますと、2つ目以降で、平成19年の学校教育法施行規則の改正により、保護者等による学校関係者評価を実施することが努力義務化された。この学校関係者評価を行う学校関係者評価委員会と、学校運営協議会の関係についても整理すべきである。
 すでに学校運営協議会の下部組織に、学校関係者評価を行う部門を設けている場合もある。学校評価のための評価委員会も、学校運営協議会の下の一部門として位置づけるという整理も考えられる。
 それから、地域や保護者の声を学校に伝える方法は、学校運営協議会制度のほかにもいろいろあるが、学校運営協議会制度は一方向ではなく、双方向に想いを伝えるような仕組みであることが特徴である。
 それから、2つ目の保護者・地域が学校を支援する仕組みという観点で、学校支援地域本部事業でございますとか、放課後子ども教室事業など、こういったものが該当するかと思いますけれども、そういった点に関するご意見等でございます。
 学校運営協議会は、校長や教育委員会に対する権限や役割が法令に規定されており、保護者や地域住民の意見が学校運営に直接反映されることを制度的に担保し、保護者や地域住民と学校とが、学校の教育目標の設定や達成に協働して責任を果たす仕組みである。
 その一方で、学校地域支援本部に関しましては、地域との連携を強めるという点において目的は同じであるが、予算事業として進めているものであり、法令上に役割や権限の規定があるものではなく、地域のボランティアが学校を支援するものである、こういった点が制度の違いでございます。
 こういった点に基づきまして、ちょうだいいたしましたご意見を下に整理してございます。実態として、コミュニティ・スクールが地域住民による学校支援という面に着目した取組として進められている場合もあるため、学校運営協議会と学校支援地域本部の役割の違いがわかりにくいという指摘もある。
 コミュニティ・スクールは、学校運営協議会という制度だけによる成果ではなく、学校支援地域本部や放課後子ども教室等の事業との組み合わせで成果を上げているという面もあるのではないか。
 それから、コミュニティ・スクールがうまく機能している地域では、学校支援地域本部のような実行組織を持っている場合が多いという見方もあるのではないか。
 コミュニティ・スクールの目的を果たす上では、学校運営協議会制度だけではなく、学校支援地域本部のありようについても議論すべきであるという指摘がある。
 地域によって多様性があってよいと思うが、教育委員会が指定しさえすればコミュニティ・スクールとなるため、教育委員会の運用の仕方によっては学校支援地域本部との違いがわからないような場合もある。学校運営協議会とは何をするものなのかを明確にしていくことが必要である。
 それから、実際に関係を整理する場合、どういう形で整理すべきかという点での総論的なご意見を2つ入れてございます。一つの整理の仕方として、学校運営協議会が方針を決め、その方針の下で学校を支援する実働組織が、学校支援地域本部のような役割を担う、ということが考えられる。
 それから、学校や地域によっては、ボランティアや保護者の学校参加という段階から、学校評価や学校支援地域本部のような取組からスタートしていく中で、それらがある程度の規模になってきたら、総括するためのものとして、学校運営協議会を置くという流れも考えられるのではないか、こういった相互間の関係についての記述がここにございます。
 最後に、國定委員からご提出いただいた意見の中で、コミュニティ・スクールの部分についてのご意見をちょっとご紹介させていただきますと、資料5の2枚目、2番目でございます。現在行われている学校と地域との関わり方の整理という中で、必ずしもコミュニティ・スクールのことだけはございませんが、ご意見をちょうだいしておりまして、現在、学校と地域との関係においては、PTAをはじめ、放課後子ども教室、もしくは放課後児童クラブ、学校支援地域本部事業、学校運営協議会、学校評議員など、様々な取組がある。
 これらは、縦割り行政の問題もあり、煩雑な実態となっているので、一定の整理が必要ではないかと思う。
 ただし、類似のものは整理すべきであるが、何でも一本化してしまうよりも、複数のメニューから、市町村側で地域の実情に応じて選べたり、段階を追って取り組めたりするとよいのではないか、こういったご意見をちょうだいしてございます。
 以上で、走り走りでございましたけれども、資料の説明を終わります。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 これまでのコミュニティ・スクール、学校運営協議会制度の問題について、主に事務局のほうから、論点の柱として3つぐらい載せていただきまして、その3つの柱ごとに、これまで皆さんから出された意見を少し整理して入れてみたというようなものが資料3-2、今日の議論のたたき台として提案されているものです。
 まだまだ各意見の内容も少し調整するなり、整合性があるような形でもう少し詰める必要もあるかと思いますけれども、これを1つのたたき台として、自由に議論をしていただければと思います。大体35分から40分ぐらいは時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 私自身は、コミュニティ・スクールはとてもいい制度だと思うので、そのような観点から2点お話しさせてください。まず、具体的な内容について、記述のところで気になった点が1点ありまして、3ページの体制・組織の維持強化の前の2つなんですけれども、ちょうど真ん中あたりなんですけれども、地域との連携であれば、学校運営協議会制度をとらずとも可能である。学校運営協議会の役割を、よりガバナンスの部分をというところで、管理組織という言葉を使われているんですけれども、管理というのは、いわゆるマネジメントで、管理職というときには、おそらく校長先生を指すと思いますので、通常は経営と監督の分離という形で、ガバナンスの部分に関しては、監督という言葉を使って、経営、あるいは管理とは違う表現をしたほうがわかりやすいと思いますので、監督、あるいは監督というのもやや強いような気もするので、私はよく監督・助言といった、助言というのも含めていると思うんです、ガバナンスの意味の中には入っていると思うので、少なくとも管理とは違う言葉にされたほうがわかりやすいかなと思います。
 それからもう1点、これは非常に雑駁な意見になってしまうんですけれども、コミュニティ・スクールというのが、どうも日本ではまだ理解されていないというか、海外のいわゆるコミュニティ・スクールとはちょっと違う制度なので、私も「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」と書かれていると、ああ、このことなんだなとわかるというような状況ですので、そこのコミュニティ・スクールというのが、日本型のコミュニティ・スクールというのがどういうものなのかについて、一般の方々にももう少しわかるような工夫をしていただくのが1つの課題かなと思いました。コメントです。

【小川主査】
 確かに学校運営協議会と書かれているところと、無条件にコミュニティ・スクールと書かれているところといろいろあるので、確かに今のご指摘はそうかなと思います。文章の流れの中で、少し使い分けはそれぞれの意味が、生まれてきた意味がありますので、うまく使いながら、あまり混乱が生じないように、少し整理してみたいと思います。
 他はどうでしょうか。西川委員、あと中西委員ということでよろしくお願いします。

【西川委員】
 ただいまのご意見にちょっと関連いたしまして、ガバナンスでございます。確かにガバナンスという言葉は、ここには管理として訳されて、今、山重委員のほうから、監督・助言というのが適切ではないかとおっしゃられましたが、教育行政学、小川先生がご専門ではいらっしゃいますが、教育統治などという言葉で今訳されています。ただ、一部の論者は、ガバナンスという概念は、日本語に乗りにくいのではないか、それぐらいまだあいまい、かつ定着していない概念、少なくとも教育行政では、という立場を私はとっております。一部の研究者の中には、日本語訳が合わないので、ガバナンスという言葉で使っている人もたくさんいらっしゃいます。そういうあいまいな言葉をこの中に使うことが果たしていいのかどうか、かえって、学校運営協議会の役割をあいまいにしてしまうという気もいたします。これは私の意見でございます。

【小川主査】
 何かありますか。

【山重委員】
 ご指摘のご意見はよくわかるんです。ガバナンスというのがなかなかなじみのない言葉であるということはわかるんですけれども、私自身はこの学校運営協議会の役割というのをきちんと明確にすることが、この仕組みを定着する上で非常に重要なのではないかと思うんです。どういう位置づけなのかがよくわからないで始めるよりは、期待されている役割、つまり、いわゆるガバナンスとしての役割を明示化したほうがいいのではないかと思うんです。そういう意味では、避けるよりは、ガバナンスという意味について、この中でもう少しきちんと議論して使うというほうが、健全な方向に行く……、いや、望ましい方向に行くのではないかという印象を持っています。
 さらにコーポレートガバナンスという言葉に代表されるように、もうかなり普及している言葉だと思いますので、教育行政の中で、このガバナンスというのをどういう意味として使うのかというのは、ご専門の方を中心にでも構わないと思いますけれども、きちんと議論されたほうが、今後の方向にいいのではないかという印象を持っていますので、コメントですけれども、追加させていただきます。

【小川主査】
 どうしましょうか。確かに、研究用語としては、これは一般的に流布しているけれども、人それぞれいろいろな使い方がありますから、これも事務局と検討しまして、少し考えさせてください。こういう言葉を使って、ここで少しある程度きちんと定義して、かなり意識的に学校運営協議会という言葉の中に、ガバナンスということを明確に意味づけて、ある方向性を出すような形で意識して使うか、いろいろと誤解があるからということで慎重に使うとか、その辺は事務局とまた相談して、今お二人のご意見を踏まえて、検討させてください。よろしいですか。

【西川委員】
 いや、結構です。ご検討ください。

【山重委員】
 私も結構です。

【小川主査】
 じゃ、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 ありがとうございます。今のガバナンスについては、新聞の場合は、やっぱり片仮名で表記すれば、必ず何か日本語で説明をしなければいけないので、どうなのかなとは思いますけれども、まあ、それは議論していただければといいと思います。
 コミュニティ・スクールに関しては、この会議に合わせてやったわけではないんですけれども、今連載をやっておりまして、かなりいろいろな学校のことについて調べているので、その辺の印象も含めてお話ししたいんですけれども、そもそも教育ルネッサンスのタイトルとして、地域が伝える学校などというタイトルをつけたんですが、実際コミュニティ・スクール、イコール地域が伝える学校なのかというと、本当はそうではないと思うんです。というのは、本来は学校運営協議会制度という、それこそガバナンスなのか何かわかりませんけれども、もっと違う管理というか、運営参画のところに重点を置いたものがコミュニティ・スクールだと思うんですけれども、現実には役割がまだそれほどはっきり見えてきていないような印象が強かったです。
 つまり、コミュニティ・スクールだからこういうことができるということが、どの程度あるのかというのが、現状としてはあまり明確ではなくて、もともとそういう基盤があるから、そういうところがコミュニティ・スクールになった、あるいは基盤がないところでは、現在進行形としてそういうものをつくっている、それにコミュニティ・スクールというのが有効な制度ではあるんだということは感じました。
 それから、情報発信は間違いなくコミュニティ・スクールになることによって、活発になると思うので、その点はより強調していいのかなと思います。
 それから、既にもう出ている意見ではあると思いますけれども、学校支援地域本部だとか、放課後子ども教室、あるいは学校評議員だとか、ここは絶対整理をしないと、もう現場でもよくわからなくなっているような印象が強いので、この作業部会で何らかの整理をしたものがちゃんと文章化されることを望みたいと思います。
 それから、先ほどのお話にちょっと戻るんですけれども、学校運営協議会制度、コミュニティ・スクールだからできる部分というのは、人事を含めた、意見を言う権限の部分だと思うんですが、必ずしもその点もちゃんと使われていない。まだ時間が経っていないということなのかもしれませんけれども、そのあたりはもっとアピールしないと、もともと先生の首を飛ばす制度だみたいな、最初にかなり強く学校関係者に印象づけられてしまったので、でも、そういうところを乗り越えないと、この制度はうまくいかない、何のためにやっているのかわからなくなる面もあるなということも感じています。
 以上です。

【小川主査】
 なかなか重要な問題を幾つか指摘していただきました。実際協議会をやられている校長先生もいらっしゃいますし、あと自治体関係者の方もいます、あと父母代表の方もいらっしゃいますので、ご自身の立場を含めて、少し何かあるかと思いますので、よろしくお願いします。じゃ、大嶺委員から。

【大嶺委員】
 私の場合には、実際うちの学校が学校運営協議会を取り入れて、コミュニティ・スクールがスタートしたのが、昨年度なんです。ですから、まだ1年ちょっとしかなっていなくて、まだまだ基盤づくりというレベルです。
 先ほど山重委員のほうから、日本型のコミュニティ・スクールとはというお話がありましたけれども、当初スタートしたときには、文部科学省から出されてきた図入りのがありますよね。あのパターンでスタートしていったんですけれども、だんだんみんなであれもやろう、これもやろうと話が広がっていって、それにさらに地域支援本部的な活動もしていくようになりました。要するに、実働部隊です。そういうのも広がっていっているというところで、本当にコミュニティ・スクールとはこれなんだと、文部科学省のあれだけではすくえないような部分がいっぱい広がっていくというところがあります。
 それから、学校運営協議会で3つの役割がありますけれども、人事に関してというのは、これは学校長の経営方針なり、経営計画を承認していくということと、意見を上げていくということ、それから、人事に対しての意見を、私は東京都ですから、都教育委員会のほうに上げて、それを尊重していただくと、そういう動きもどんどん出てくる。
 それをやっていくためには、やはり委員の方たちが、ただ単に協議会で意見を交換しているだけではだめなんです。実際に学校の中に入っていって、具体的に教員がどういう動きをしているのか、どういう教育活動をしているのかというのを本当に見て、見るだけでは彼らは今度たまらなくなる、じゃ、一緒になって参画してやっていこうじゃないかと、どんどん形態が変わってきているなと。まさに、学校運営協議会は生きているなという感じがしております。これが1点です。
 それから、情報発信の部分ですけれども、これはただ単純に学校が地域や保護者に対して情報を発信していくという形だけではなくて、情報が相互に流れるという、これが私は学校運営協議会を運営していく上で大切なことなんだろうなと。学校が一方的に、あれをやっています、これをやっています、こういう方針でやっていますと流していくだけだったら、これまでと大して変わらないだろう。発信量が増えただけだというところになってしまうと思います。それを受けとめて、地域の方や保護者がどういうふうに考えているのかというのを学校に返してくる、これがなければだめだろうと。だから、1つには学校評価の部分なんかはそれが1つのツールとしてあるわけですけれども、情報が双方向に流れていくというところが、私は大切なんだろうと思います。
 それから、3点目は、この1ページ目の学校運営協議会制度の意義や成果をどう考えるかというところの「○」の4つ目の2行目の後半、どうすれば学校運営協議会制度が全国に広まるのか、という検討をしていく必要があるという部分に関して、文部科学省のほうでもいろいろな場面で、年に何回もコミュニティ・スクール推進フォーラムというのをやっていただいているわけです。本当にご努力には頭が下がる思いなんですけれども、この学校運営協議会制度を取り入れている地域、コミュニティ・スクールを取り入れているところというのが、今のところ何か特定の地域になってしまっていると。じゃ、取り入れないところというのは、一体どういうのがあって、ネックというんでしょうか、何かがあって取り入れていないんだろうか、その辺のところも少し分析していくことによって、学校運営協議会の持つ性格というのも出てくるのかなと思います。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。他にどうでしょうか。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 私はPTAから代表で来ていますので触れさせていただきますけれども、PTAは単なる保護者の会ではなくて、学校運営協議会もそうなんでしょうけれども、こういう会を持つと、声が大きい人がいて、必ずしも地域の真ん中の議論をなさる人がもしいらっしゃらない場合、声が大きい人がいる場合に、例えば、PTA的な反応というのは、反論しないで遠巻きにするんです。PTAというのは、保護者と教師がともにという会なんですけれども、我が子に対しては、自分の子どもに対しては愛情も関心も非常にある、あるけれども、非常に遠巻きにして、我慢強く見守る会だと。ですけれども、それはもっと積極的に評価されるべきインフラなんだと思うんです。あたかも黙っている人たちが考えもなく、ただ何もしないんだ、無関心なのではなく、本当に、非常にいろいろなことを考えながら、なかなかアクションには移らない。だけれども、自分の子どもの、それこそ地域の安全から、学習内容から、先生方一人一人の資質に至るまで、本当に心を痛めて考えている会だと思います。
 ですから、先ほど三条市の國定委員の意見の中でも、PTAなり、放課後子ども教室といったいろいろなプランなりがありますけれども、まず、きちんとしたインフラがあってこその新しいステップになるんだろうな。例えば、PTA活動がなっていない、黙っている人は何も活動していないから、こういうふうになるんだとなっていくと、やっぱり遠巻きにしている人というのは、無関心ではないんです。ですから、本当にいい効果が出るためには、そういう黙って遠巻きにしている人がどういうふうに見ているのかという視点はぜひとも必要なんだろうと思います。
 ですから、PTAの会議なんかをやってもそうですけれども、大きい声を出す人がいると、その意見がそのまま通ってしまうケースがあります。確かにPTAがない、または組織されていない地域も大分増えてきているとは聞いていますけれども、例えば、私は仙台市から来ていますけれども、190の小・中学校の組織率は100%ですし、常に教育委員会との教育懇談会等、会員の総意を集めまして、どんどんやると。家庭学習ノートを教育委員会と一緒に作成するですとか、いろいろなことをやる、それだけの土壌ができていると、その上にさらに地域でのというのがあれば、成功への近道になるんだろうなと、そういう感想を持って、今のお話を聞いていました。

【小川主査】
 ありがとうございました。他はどうでしょう。

【髙岡委員】
 ありがとうございます。私もまだ学校運営協議会という名前が、どうでしたか、出ていたでしょうか、ただ、全国的にそれほどの影響力というか、法的な整備はまだなかった時期ですけれども、小さい町で教育長をやらせてもらっているときに、やっぱりこれは見てみないとわからないと思ったことの中に、学校というのは生き物なんです。つまり、ここでいう、例えば、学校運営協議会制度の法的根拠、あるいは法的に見ると、これは何をやるところなのか、学校支援地域本部は何をやるところなのかというような分類というか、整理以上に、実態としては、学校と地域社会のかかわり方の、その地域地域での、あるいは時間列で言うときのかかわり方の違いとして普通は理解されるんです。
 つまり、学校支援地域本部でかなりのことがやれるとなる地域もあるし、学校運営協議会をぼんと持ってくることによって、その学校が変わっていくという姿を見せるときもある。ということは逆に言えば、このコミュニティ・スクールを持ってきたことによって、ちぐはぐなことが起こるところも少し見えるんです。
 そういう意味では、もちろん学校が生き物だという言い方は、何を言いたいかというと、学校は成長するものだと言いかえてもいい。その場合に、その時々に必要な地域と学校のかかわらせ方、かかわり方、そこにどれだけ行政が施策として自分の町の仕組みを、何を今ここで取り入れるといいのかというポイントのつかまえ方というのが、成果を上げる上では非常に大きいような気がするんです。
 そういう点でいうと、この学校運営協議会というのはもう制度化されている。学校支援地域本部というのは、事業要綱がある、そこにお金がついているという形。学校評議員というのも、一応制度化はされているけれども、これは学校評価ということに限定的にかかわっているので、コミュニティ・スクール、学校運営協議会とはちょっと違う側面があると。
 そうすると、それぞれの持っている性格、あるいは制度の視点がどんな形で、シークエンスでいうと、ちょっと違うのかもしれないし、その場、その場でというと、場当たり的になって、私にはどうもうまい表現がまだ見つからないんですが、選択の幅を広げていて、どれを使うかを市町村がみずから主体的に決めていけるような仕組みとして提示するほうが、法的な問題として提示するよりも、つまり、これはこういう役割なんだというよりは、使いやすいかなとも思ったりします。

【小川主査】
 他によろしいですか。貞広委員。

【貞広委員】
 ありがとうございます。若干細かい点になりますけれども、今、コミュニティ・スクールと類似の制度の、他の制度の話が出てきていましたが、今までの議論の中では、コミュニティ・スクールVS学校選択制という視点もあったかと思うんです。今、髙岡委員のお話にもあったとおり、このコミュニティ・スクールか、学校選択制かということに関しても、どっちがベターかというのでなくて、どちらを選ぶかというのは自治体の問題であるという発言をさせていただいたかと思います。
 それで、私の発言を反映していただいて、1ページ目の一番最初の下の、一番最後に、地域によっては、地域コミュニティーの基盤が弱いため、学校選択制で云々という下りを書いていただいているんですが、これは学校選択制をとっている自治体が必ずしも地域コミュニティーの基盤が弱いというわけではないと思います。積極的にそういう政策選択をしている場合もありますので、この地域コミュニティーの基盤が弱いためというのは削除していただいたほうが、あたかも学校選択制をとっている自治体が、地域コミュニティーの基盤が弱いということになってしまうので、そこは抜いていただければと思います。
 それともう1点。では、学校選択制とコミュニティ・スクールの違いは何か。どうもここの作業部会では、コミュニティ・スクールの評価のほうが、トーンとしてはどうも高いようなんですけれども、学校選択制が、人が動くということで定量的に非常に目に見える成果なり、結果なりをすぐに得られる一方で、コミュニティ・スクールというのは、佐藤先生の調査にもありますし、皆さん方の意見にもありますけれども、成果のようなものが出るのに非常に時間がかかり、かつそれが捉えにくいという面があります。じゃ、成果がないからもうやめてしまおうとか、成果がないからうまくいっていないんじゃないかということにならないように、成果が上がるのに非常に時間がかかって、長期的な視点が必要であるということをぜひ積極的に書き込んでいただいて、腰を据えて取り組んでいくことをサポートするような視点をぜひ持っていただければなと思います。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。岡上委員、どうぞ。

【岡上委員】
 今のご意見を伺っていて、私は疑問に思っていたことがちょうど同じことだったので、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今の地域によってはというところで、どちらを選択するのかということは意味があるんでしょうか。ここの基盤が弱いためということだけではなく、学校運営協議会制度の意義という項目のところで、どちらを選択するのか、どちらも選択しないのかということは、本当に2つだけのような形で、この意見全体に、表記の仕方と言えばいいんでしょうか、読んでいて、そこにあらっとずっと思っていたので。

【小川主査】
 わかりました。今の、わかりましたね。

【佐藤教育制度改革室長】
 はい。

【小川主査】
 他はどうでしょうか。西川委員、どうぞ。

【西川委員】
 十分に練れているわけでありませんが、あくまでも論点ということでお許しください。1ページ目の最初の「○」ですが、現在では学校・家庭・地域・行政が一体となって、四輪駆動で進めていくべきものであり、それがコミュニティ・スクールの理念である、と書かれています。さっと読めばわかるんですけれども、コミュニティ・スクールという1つの車を、この4者が、行政というと、一般に教育委員会が連想されますが、教育委員会とコミュニティ・スクールの関係が僕には少し見えにくいです。教育委員会の役割は多分コミュニティ・スクールづくり、環境整備、あるいは支援だと思っています。もし、それが本当に四輪であるということも、まあ、一応踏まえたとすれば、個別の学校がもっと予算の裁量権を持つ。例えば、児童、生徒数に応じて予算が配分され、その費目などは学校で決めるということが必要だし、コミュニティ・スクールではそういうことも十分に求められますし、実現しますという書き方もどこかでするほうが、実態が伴うと思っています。
 2つ申し上げました。コミュニティ・スクールにおける教育委員会の役割、そして、もしそれが非常に重要であるとすれば、個別学校における予算の裁量権、費目決定等をもっと学校裁量でできるようにするべきであるし、そうなるんだという書き方ができればいいなと思っていました。

【小川主査】
 ありがとうございました。他にあとは、髙岡委員と角田委員、よろしいですか。では、髙岡委員、どうぞ。

【髙岡委員】
 今の西川先生のお話を伺って、何となくもやもやとしていてものが少し整理できかけたので、思わず手を挙げてしまいました。
 私はさっき教育行政をちょっとやってみたと申し上げましたが、そのときに非常に難しいなと感じたことがあります。それは何かというと、家庭、学校、地域が一体となって学校の運営、子供の教育に本気になって、責任を持ってくださいというわけです。そのことを、その管理・運営の責任を持つべき教育委員会が言っているというその薄ら寒さがちょっとあったんです。つまり、じゃ、そこで教育委員会は何をやるのかということを、何となくずっと考えていたような気がするんです。
 そうすると、今、西川先生がおっしゃったような、例えば、どこかから持ってきたというのは、大概国ですけれども、そのお金を投入してあげること、できれば人をつけてあげる努力をすること、それから、学校ではよくわからないであろう地域の運営や子供の教育にかかわれるような人たちを探すこと、もっと広範に言えば、今でいうと、学校支援地域本部のような組織が、自前で立ち上げたりしたんですが、そこのボランティアをどうやって、誰が探してくるのかというときに、行政というのは機能するのかなということがありました。
 ただ、そういう関係だとすると、いわば管理的に、経営的に物を考える行政が、一つ一つの学校に自立的な経営を、しかもコミュニティーを中心に、そこが経営権を持ちながらやってくださいということが、言葉で言えば、非常に簡単なんだけれども、非常に微妙な問題、かじ取りが非常に難しい。そうだとすると、この学校運営協議会制度そのものを運営していくことの難しさというのをいつも抱えているはずだと思うんです。そう簡単に、一筋縄ではうまく回っていかないなということを感じました。

【小川主査】
 わかりました。終わる時間帯になると、大体意見が多く出ますので、少し時間を延ばします。

【大嶺委員】
 じゃ、ちょっとだけ、1番目の発言は私の発言だと思うんですけれども、学校、家庭、地域、これはもういつも一緒になってですけれども、そこに行政というのは、学校の自主性、自立性ということで認められて、私たちはいろいろと活動していきますけれども、やはりそれだけでは動けません。この行政が入っているのはなぜかというと、条件整備をきっちりと、私たちの努力だけではできない部分がたくさんあります。それは先ほど先生がおっしゃられたように、お金の問題がそうです。自治体が持っている教育予算というのも限りがあります。それを越えて、自治体を越えて上からとってくるとか、そういうのもやっていただくとか、地域に出ていく、あるいは地域から力を貸していただくときに、そのルートを開いてくる。私たちも学校も地域もそれぞれ開くように努力をしていきますけれども、私たちの力だけでは開けない部分というのもあります。そういうところのルートを行政がやってくださるとか、そういった意味合いでここのところでは、条件をある程度つくっていただくというところで発言させていただきました。

【小川主査】
 3-2の資料のところでは、教育委員会の役割とか、支援については、確かにあんまり明確に書かれていないのは事実ですね。今のご指摘を含めて、事務局とも相談して、少し考えたいと思います。
 今までにいろいろなお話を聞いて、難しいのは、学校運営協議会と言葉はあるんですけれども、それをどういう形で実際導入しているかというようなこと、見ただけでも現在ある学校運営協議会の役割とか、権限というのは、地域によってかなり違います。ですから、学校運営協議会をどう全国に広めていくかというのは、なかなか難しいところがあるのは確かです。大体、基本的には、学校運営協議会を普及していくためには、いろいろな成果等々を含めた情報を発信し、各教育委員会等々に理解していただきながら、広げていくというボトムアップ型の普及をベースに考えていて、それは地域の様々な事情を考えると、そういうアプローチは当然だと思うんですけれども、もう1つ何か、ただ単なるボトムアップではなくて、もう少し学校運営協議会をもう1歩、2歩進めていくための仕掛けを考える必要があるのかなという思いもあります。 他にどうでしょうか。時間もあまりないんですけれども、他に学校運営協議会にかかわって、ご意見、よろしいでしょうか。加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 これはその他のその他で削除してもらって構わないんですけれども、今お話を聞きますと、学校に地域から、ボランティアから、行政のアプローチやらいろいろ、学校現場にどんどんプレーヤーが増えていく状態ですね。例えば、スクールカウンセラーだったり、スクールソーシャルワーカーであったり、やはり今学校に必要なものは、本当に親の立場から言えば、落ちつきが欲しいです。先生と児童・生徒との信頼関係が欲しいです。尊敬が欲しいです。
 例えば、学校の先生はプロじゃないんですというような情報が子供にストレートに入るような、教育相談に関してはあの先生は素人だから、カウンセラーにとか、そういうふうなことがニュアンスとして子供に伝わるのはいかがなものかと。
 確かに地域を上げて、保護者も、先生方も上げて、子供たちの健全育成を願う、学習の効果を非常に高めたいという気持ちはよくわかりますけれども、それにこのようにいろいろな制度がどんどん上に重なってきて、プレーヤーがどんどん増えていくというときには、きちんとしたコンセンサスを各々が持たない限りは、後から来たバッターがバッターボックスでぶんぶんバットを振るようになってしまいますので、そこを一度、この提言の中のベースには必ずうたいたいなという気持ちでお話を伺っていました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、よろしいでしょうか。また学校運営協議会の内容にかかわっても、幾つか重い宿題を出していただいたという感じもします。これも踏まえて、次回また再整理して、ご提案したいと思います。
 では、学校運営協議会の柱はこれで終わりまして、また急ぎますけれども、今度は学校選択制にかかわる柱、論点に移っていきたいと思います。これも佐藤室長、よろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。そうしましたら、資料4-1と資料4-2を中心に、ただいまの学校運営協議会制度と同様に、学校選択制についても、大きな論点、それぞれの論点に沿って、これまで出していただきましたご意見、それから、こちらは具体的に品川区、前橋市からのヒアリングでございますとか、あとサンプリング調査、アンケート調査のようなものをやらせていただきましたので、そんなデータも少し盛り込んでございます。若干ご紹介をさせていただければと存じます。
 まず、資料4-1でございますが、(1)でございます。学校選択制の実態やメリット・デメリットをどのように考えるか、ということでございます。例としては、メリットもデメリットもあるという観点から、各市町村の実情に応じて検討すべきと書いてございますが、具体にメリット・デメリットで、ここは、お話の中で特に多かったもの、調査の結果、データなどから出てきたものなどを入れてございます。保護者の学校教育への関心が高まる、子どもが自分の個性にあった学校で学ぶことができるようになる、選択を通じて特色ある学校づくりが推進できるようになる、学校の方針を積極的に発信するようになる等、これらがメリットでございます。それから、デメリットとして、通学距離が長くなることに伴う安全確保の問題、学校と地域の関係の希薄化、入学者の減少により適正規模の維持が困難になる等、こういったご意見でございます。
 それで、学校選択制の課題や留意点を2点目に挙げてございます。こちらは保護者が子どもの教育のためによりよい学校選択を行うために、どのような情報提供が必要か、という視点、保護者が積極的に学校に関わるようにするために、どのような方策が必要か、何らかの課題を抱えているために選択されず、子どもたちの数が減った学校に対して、市町村からどのような対応が行われることを期待するのか、それから、学校選択制と関連して、「児童生徒の人数に応じて学校に予算を配分する」という考え方についてどう考えるか、こういった点がご意見としてございます。
 こういった面を少し、先ほど既にこの辺に触れたご意見もございましたけれども、入れてございますので、これに沿って、これまでのご意見を整理したものが資料4-2でございます。論点に沿って、ちょっとご紹介をさせていただければと存じます。
 学校選択制の実態やメリット・デメリットということで、まず、総論としては、学校選択制については、地域によって様々な事情があり、全国一律に推進すべきというものではないのではないか。地域が抱えている課題によっては、学校を改革する一つのツールとして使うという目的がはっきりしていれば、学校選択制を導入することも有効な選択の一つであると考えられる。一言で学校選択制と言っても、市町村内全域やあるいは一定のブロック内から自由に学校を選ぶような仕組み、いわゆる自由選択制やブロック制と言われているものと、特認校制度や通学区域の再編などによる一定の範囲内においてのみ学校を選べる仕組みとでは、意味や課題等が大きく異なるのではないか。学校選択制は、メリットもあるし、デメリットもあるというように、中立的な立場で議論を進めるべきである。こういった総論的なご意見を1つまとめてございます。
 それから、次はデータ的なものを入れてございますが、それぞれメリット・デメリットに、導入に当たっての検討の課題や背景、導入の成果、それから、今後の課題といったところで3つのデータを入れてございます。
 大きく分けますと、まず、保護者や地域住民からの学校選択制に関するニーズがあったこと、市町村合併や学校の再編に伴うもの、地域内の住宅事情や交通事情の変化に伴うもの、少子化や学校・地域の活性化を背景としているもの、こういったものが検討の課題や背景として、導入に当たってご検討いただいた視点でございます。
 それから、導入の成果として挙げていただいているのが、保護者の学校教育への関心が高まった、子どもが自分の個性にあった学校で学ぶことができるようになった、選択を通じて特色ある学校づくりが推進できるようになった、学校の方針を積極的に発信するようになった、といった声がある。
 それから、課題のほうでございますが、実施している市町村では、特に課題はないと回答している地域もあるけれども、通学距離が長くなることに伴う安全確保の問題、それから、学校と地域の関係の希薄化、入学者が大幅に減少したことで適正な規模が維持できなくなった学校が出てきたこと、こういった点を指摘していただいてございます。
 それから、次でございますが、学校選択制を導入する場合、一般には地域間格差や学校間格差が発生すると言われる。地域によってはそれが大きな問題になっていない地域もあれば、導入時に想定された以上に問題が大きく生じたという地域もある、ということで、問題になっていない地域と想像以上に、事前の想定以上に大きくなっている地域と両方あるというご意見でございます。
 おめくりいただきまして、特色ある学校づくりという視点からの整理でございます。まず1点目が、今後の学校の特色は、例えば、体験活動や総合的な学習の時間、特別活動などにおいて、その学校の置かれている地域社会の特色を活かして、学校と地域の連携を行っていくことが一つの鍵となると考える。
 特色ある学校づくりはそれ自体が目的ではなく、課題を解決するための手段であるべきである。学校では、学習指導要領に記載されている内容をきちんと実施し、どの学校でも教育の水準が維持されるような努力をし、子どもにとってよりよい教育を行うということがもっとも重要ではないか。
 学校側も特色を出すために努力をしているが、実態としては、それでも児童生徒を集めるのは難しい。保護者の学校選択の判断基準は、必ずしも各学校の特色や教育方針に着目しておらず、友人関係や立地条件、生徒指導上の問題があるかどうか、などが優先してしまいがちである。
 それから、保護者の学校への関心や協力といった点からのご意見でございます。保護者の声を伝える手段として、コミュニティ・スクールは「ボイス(声を上げる)」、学校選択制は「エグジット(退出)」という形で学校に言いたいことを伝える仕組みであるという整理もできる。一方、「エグジット(退出)」という方法が本当によいのかは慎重に判断すべきではないか。
 それから、保護者に学校を選択するという権利があるとすれば、責任も表裏の関係としてあるはずである。しかし、保護者には選択権は主張するが学校の約束事や決まりをあまり守らない状況があったりする。
 それから、コミュニティ・スクールは学校運営の責任の一端を担うような意識で、保護者が学校を一緒につくろうとしている学校が多い。一方で、学校選択制については、保護者が消費者の感覚で学校を選び、後は学校に任せるという意識であり、学校の活動への参加意識があまり高くない傾向があるのではないか。
 それから、学校と地域との関係という点での整理でございます。学校は地域に根ざしたものでなければならない。学校現場の立場からすると、学校選択制自体を否定するものではないが、特に、どこからでも通える完全な自由選択にした場合には、学校と地域の関係においては、デメリットが大きいのではないか。
 それから、小学校の生活科や総合的な学習の時間では、自分たちの生活に密着したところのものを題材にして扱う学習指導を行うため、学校選択制を行うことにより地域との関係が希薄になることへの危惧がある。教育内容への影響ということでございます。
 それから、地域の祭りなどの行事について、もともと学校の参加が少なかったのを、学校選択制の導入を機に意識して積極的に参加するようになったという地域もある。一方で、もともと子どもたちが多く参加していたのが、学校選択制の導入により、区域外の学校へ通学する子どもが参加しにくくなったという地域もある。
 地域住民が、子どもの登下校の安全確保のために集団登下校に協力してくれている地域などでは、学校選択制の導入によりそうした安全確保が行いにくくなることになる。
 学校選択制により、従来の通学区域を越えたところでの地域の連携がどのような形で進められていくのかが一つの課題である。
 それから、教職員との関係ということでございます。学校選択制は、目に見える形で教職員の意識改革を迫ることができる一つの仕組みである。学校選択制を下支えするのは校長を含めた教職員の意欲である。学校選択制の下で、教職員が学校改革に前向きに取り組むことができるような条件整備も必要である。
 学校選択制の中では新入生の数が入学直前まで予測できず、教員の配置に支障が生じることがある。
 我が国の教員の人事異動システムは、学校の特色を出すというよりも、定期的な人事異動により、様々な才能を持った教員を各学校に平等に配置できる機会を確保してきた。教員が定期的に異動することと学校選択制をどのように関連させていくのかを考える必要がある。
 それから、学校の「特色」の中には、部活の指導者のように、特定の教員の力量に依っている場合もあるが、いつまでもその教員を当該校に留め置けるわけではない。そもそも市町村の行政として部活動をどう考えるのかという観点も必要である。
 それから、学校規模や通学という観点からでございます。学校が選ばれる理由として、学校側の努力ではどうにもならない、通学の利便性や立地条件などで選ばれている面もある。
 学校選択制のメリットを認めつつも、通学上の安全との関係で、選択の幅に一定の制約を設けた自治体もある。
 学校選択制を行っている中で少子化が進むと、児童生徒数が自然減となっている小さい学校ほど学校選択制により選ばれなくなり、児童生徒数の減少に拍車をかける場合もある。
 学校選択制を議論する際に、多様な規模の学校を選べるように配置することで住民のニーズに応えていくという地域もある。小規模校の良さをどのようにサポートしていくのかという議論も必要である。
 おめくりいただきまして、最後の論点でございます。学校選択制の課題や留意点ということで、1つ目が、学校の情報提供の在り方、2つ目が教育委員会から学校への支援ということでございます。
 まず、1点目でございますけれども、学校の情報提供の在り方という点でございます。学校の選択と学校への参画や参加、協力を併せて認識してもらえるような情報提供の在り方や環境整備が、学校選択を進める上で必要である。
 保護者が学校の提供する情報よりも風評に基づいて学校を選んでしまうのは、学校の提供する情報が、親にとってあまり役に立つものになっていないという問題があるからではないか。
 学校は、適切な情報を提供していくための工夫をしていくことが必要であり、そのような工夫がなければ、高校進学率や学力テストの結果などのわかりやすい数値だけが一人歩きしてしまう危険性がある。保護者が風評を含めた評判に敏感に反応することを前提として、学校の情報提供の在り方について考えていくことが、学校選択制の重要なポイントになる。
 保護者が学校を選ぶ上で、紙媒体による情報発信などだけではなく、子どもたちが地域の中でどういう活動をしているのか、例えば通りがかりの人にあいさつができるかなど、地域の中で、子どもたちが生活している様子そのものを保護者に見てもらうことが大切ではないか。
 それから、教育委員会から学校への支援という視点でございます。学校選択制の課題としてあげられているいくつかの事柄は、学校選択制の問題というよりも、小規模校の問題と言い換えることもできる。適正配置の議論と通じるが、小規模校を支えるという観点も必要ではないか。
 学校選択制を進めていくためには、選択されなかった学校に対する支援をどのようにして行い、そこで豊かな教育を行わせるのかが重要である。
 義務教育である以上、ある学校が、何らかの教育的な課題があることにより選択されないという状況があれば、その課題を克服できるよう、行政が学校を支援することも必要である。
 学校選択制を通じて学校それぞれが抱えている課題が浮き彫りになり、その部分で学校に手厚く支援を行えば、学校選択制を通じて学校間の格差を埋めることができるという見方もある。
 次は実例でございます。課題を抱える学校への市町村からの支援としては、課題への対応のために必要な予算を措置すること、優先的に希望する人材を配置するなど人事面で支援すること、それから、指導主事や退職校長等が校長の学校経営の相談に乗るなどの支援を行っている例がございます。
 それから、学校統合については、子どもの数が自然に減少していく中で、地域として学校の在り方をどう考えるか話し合っていく中で、議論するべきであり、学校選択制の結果により児童生徒数が減少したことをもって学校の統廃合を行うのは望ましくないのではないか。
 それから、米国の学校選択制においても、課題を抱えている学校については、保護者に選択権を与えるだけでなく、問題克服のために指導主事に相当する専門的職員が学校を支援したり、研修や人事異動等により学校の教育改善のための取組が行われる。
 小規模校には小規模校の良さもあるため、小規模の学校を希望する者もいるし、希望しない者もいる。学校を選択できる域内に、多様な規模の学校を配置するような学校選択制の設定方法も考えられる。
 その他の論点、いただいた議論として、3つ入れてございます。コミュニティ・スクールで地域の力を活用していくことができる地域もあれば、コミュニティの基盤が弱いため、学校選択制で学校改善を図る市町村もある。どちらを選択するのか、またはどちらも選択しないのかは、あくまでもそれぞれの自治体の権限に属するものである。これは先ほどのご意見をちょうだいしましたので、修正を踏まえて対応させていただきたいと思います。
 それから、就学校の指定変更についても、運用によっては事実上、学校選択制と同様の仕組みになる場合もあり、同様の観点から考える必要があるのではないか。
 それから、地域の事情で学校選択制の見直しを行う場合、存続するか廃止するかという二者択一だけでなく、小中学校のうち一部だけで行うことや、人数制限をかけることなど、部分的に実施する方法も考えられるのではないか、といったものでございます。
 最後に、國定委員からご提出いただいたものの中で、学校選択制についてお触れいただている部分が若干ございますので、一部でございますが、資料5の2枚目の大きく分けて3番のところに、学校選択制についてというところがございます。三条市の実態においては、学校選択制は現在行われていない。様々な事情により、通学区域の変更という形で対応している。これらは地域の事情による部分が大きいため、一律に学校選択制を導入するということではなく、市町村の主体的な判断を尊重することが必要ではないかといったご意見をちょうだいしてございます。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。では、残り30分ほどしかありませんけれども、またこれも同じように、皆さんからご意見を伺っていきたいと思います。なかなか難しいテーマかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

【山重委員】
 すみません、毎回1番バッターで恐縮ですが、これまで申し上げる機会がなくてコメントできなかった点なんですけれども、学校選択制を考える上で、公立学校と私立学校の選択の問題というのは、意外と重要ではないかと思っています。つまり、近くの公立学校に行きたいんだけれども、変な言葉で言えば、近くにいい学校がないので、私立学校を選ぶという選択が行われている可能性があって、そのような状況の中で、公立学校も選べますという選択肢が増えることで、公立学校に戻ってきてくださる親御さんもいるのではないかと考えているんです。
 そういう意味では、特にこの問題は都市部で典型的な問題になり得ると思うんですけれども、公立学校の全体としてのクオリティー、学校では、多分教育においては、多分pure effectというのは非常に重要だと思うので、公立学校をよくしていくために、公立学校を選んでもらいやすくするために、学校選択制をとるという視点も1つあり得るのかなとちょっと思っております。もちろんそれは地域によって事情が違いますけれども、私立学校との選択の中で、公立学校における選択制度というのを考えてみる必要もあるというのも1つ視点としてご検討いただければいいなと思います。
 それから、改めて発言するまでもないんですけれども、私自身はメリット・デメリットがある中で、この制度を導入する際には、やはり問題が出てきた学校に対する支援というのを手厚くするということが一番望ましい状態で、学校選択制があるにもかかわらず、誰もそれを利用しようとしないという状況が、本当は一番いいんだろうな、目指すべき姿であり、そのための過渡期として支援をしていくというのが非常に大事ではないかという視点を持ち続けていますので、コメントさせていただきました。

【小川主査】
 2つとも大変重要なんですけれども、最初の私学との競合というか、そういう文脈の中で、学校選択制の意味みたいなことは、この報告書では書けますか。難しいですよね。

【佐藤教育制度改革室長】
 そうでございます。学校選択制というのは、やっぱり通学区域の中でどういう学校に行くかということであったり、通学区域を乗り越えて、公立学校同士での選択というのが前提には、議論にはなっていますので、本来もう少し大きなレンジで考えていかないといけないんだと思うんですけれども、当面ここの中のお話は、やはり公立の中で、就学校の指定というのがあって、その就学校、通うところのある程度、就学校の指定の変更ということ、さらにそれ以前に親御さんが選びたい学校を選んで、それに基づいて、市町村が指定するという手続を前提にした議論ではありますから、少し違う視点での議論に加えていかないと、今論点というのは入ってこないかなと思います。ただ、非常に重要なところだと思いますので、そこはまた別の観点に入れていただくということはあり得ると思います。

【山重委員】
 入れていただく必要もないんですけれども、多分視点としては、これまでの親御さんが、学校を選ぶという環境にもう既に直面されていて、選ぶという環境変化が起こっている中で、公立学校もやっぱり変わっていかないといけないというのも、1つ要素としてあるのかなと思いますので、環境の変化という中で、少し、もし入れていただけるのなら、入れていただければと思います。

【小川主査】
 当然のご指摘だと思います。
 あと、これも今のお話を聞いて、学校選択制のメリット・デメリットは当然あるわけで、そうした両側面を持ちながら、あえて学校選択をする場合のポイントは、教育委員会の重点的な支援ですよね。それはこの文章の後半のほうでは、散らばって書いているんですけれども、学校選択制を考える際の大きなポイントは、導入した際にさまざま出てくるであろうデメリットについては、教育委員会が最大の覚悟を持って支援するというスタンスが重要だというようなところをはっきりさせる意味で、この辺の意見は総論のところでまずきちっと押さえておいたほうがいいような気がします。これは各論で論ずるような話ではなくて、総論で論ずる重要なポイントだと思いますので、今の山重委員のご意見も踏まえて、その辺は少し工夫してみたほうがいいのかなと今思いました。
 他にどれだけご意見がありますか、髙岡委員とあと西川委員ですね。よろしくお願いします。

【髙岡委員】
 まず、今のお話は、この作業部会でも若干議論が出たような気がするんです。品川区の話を伺ったときに、たしか松川委員から今の質問が出て、お答えは私立からの公立回帰はあんまりないというお話があったような気がします。私もそのときに、同様の質問をしようかなと思っていたんですけれども、お答えを聞いて、ああ、そうなのかというのが率直な感想でした。あれだけの大騒ぎというと失礼ですけれども、もうとにかく全国に有名な品川区でさえ、私立からの公立回帰は、パーセンテージでいうとほとんど見られないという話ですから、ああ、親の学校選択というのは、公立と私立という関係で言えば、全然別の観点で何か選んでいるということで、決して公立の学校選択制が入ってきた、それをつくったからといって、私立学校のシェアを奪うというようなことにはならないのかなということは、そのときに思ったんです。
 そういうことも含めて、実は私は、この学校選択制というのは、それをそもそもやめようかという前橋市のお話なんかも伺って、1つの社会の流れの中で出てきた考え方だし、制度だろうということを強く感じました。だから、メリット・デメリットというのは、やってみてのデメリットもまた解消するからやめんだという話だとか、現在の学校があって、それをメリット・デメリットと考えて、メリットを採用してやってみるんだと、やる前からほとんどわかっている話じゃないかという感じがしているんです。ですから、規制緩和という社会の大きな流れの中でこの話も出てきたということをもう一度踏まえ直したほうがいいかなというのが、第1の感想です。
 それからもう1つは、学校改革のツールとして、学校選択制というものが非常に有効に働くんだということが、特に品川区のお話の中で強調されていたような気がいたします。前橋市もおそらくそういう見方で導入されたと思うんだけれども、学校改革のツールという認識の仕方は、学校選択制そのものは学校改革ではないのと、ちょっと揚げ足取りみたいな話になるんですけれども、要するに、入り口のところに手を入れることで、学校をがちゃがちゃと揺さぶってみる、動かしてみる、変われと言ってみるためのツールだったのかと。それは、もともとの出発が、認識の問題で、教育の問題として認識すれば、ちょっと違っていたんじゃないかというぐらいにも、話を伺っていると私は思いました。
 ですから、特にやったことによって起こるデメリットを解消して、学校選択制という大きな社会の規制緩和という大勢の流れの中でこれを育てていこうと考えるか、それとも、まさに公立学校が担う公教育というものに、例えば、通学区域というものの規制が本当に、全く必要のない規制なのかどうかということを考え直してもいいような気もしているんです。ただ、これは世の中がどっちへ動いているかということとの関係だと思うので、私には説明がつかないというか、理解が十分じゃないというところがあります。

【小川主査】
 西川委員、どうぞ。

【西川委員】
 申しわけございません。全く私の理解が間違っていたのかもしれません。もし、そうであれば、もう議事録から削除していただきたいんですが、品川区教育委員会からのヒアリングの中で、学校選択制導入、10年間の成果として、私立学校から区立小・中学校を選ぶ子どもたちが増えたと報告があったと僕は間違って理解をしていたのでしょうか。その辺、事務局、いかがでしょうか。あまりそれは見られなかったということだったんでしょうか。髙岡委員はそうだったということだったんですが、私の理解が間違っていたのなら、もう本当に時間の無駄でございます。失礼しました。

【佐藤教育制度改革室長】
 ちょっと確認をさせていただきます。

【小川主査】
 ちょっといいですか、今確認してもらいます。

【西川委員】
 申しわけございません。そこに関連して、少しつけ加えさせていただきます。10年間実践してこられた品川区のヒアリングの中で、学校選択制の成果として、区立学校の教育の質的なものがどう向上したかというのは、少し具体に見えなかった。むしろ私立から公立へ来る子どもたちの数が増えてというご説明ではなかったかと理解しておりましたので、もし、その理解が間違っておりましたら、私のこれ以上の話は無意味でございます。時間の無駄ですから、他に話していただいて結構です。

【小川主査】
 はい、どうぞ。

【角田副主査】
 今のことに関連するんだと思うんですが、やっぱり小学校と中学校で違いがあるんじゃないかと思うんです。学校選択制をとったことによって、中学校の歩どまりというんでしょうか、公立に行く率が、今まで私立に流れていたものが、中学校の場合には、公立のほうに少し多めになってきたという感覚で私は受け取ったんです。ですから、選択制を導入することによって、中学校が私立に流れるのは止まったという感覚で、今回のこの整理の集約を見ていて思うんですけれども、メリット・デメリットといったときに、どっちかというと、デメリットのほうが強いような感じがするんです、これを読んだときに。これはなぜかというと、どちらかというと、小学校の学校選択制については、やや否定的といいましょうか、やっぱり地域に近いところで、安全を確保してというふうな感じがややするんじゃないだろうか。中学校になると、その辺のところが自分自身で判断もできるし、安全についてのこともできるし、それから、ある程度高等学校ということを見据えた上で、親が選択をするということもあって、そういうことから考えると、私は小学校と中学校の学校選択制ということについて、もうちょっと吟味していく必要があるのではないかと思っています。
 先ほど品川区のことが、果たして品川の私立、流れが止まったと。私は流れが止まったというので、私立から公立回帰という、流れが止まったという感覚で私は受け止めると思っております。そのことで、小学校と中学校とは分けて考える、そうなったときに、今度中学校をどういうふうに支えるのか。つまり、通学の自由選択制は、私は中学校にはあってもいいだろうと、あってもいいけれども、今度は生徒が流れ過ぎてしまって、少なくなってしまった学校に対してどういうサポートの仕方を考えるかということが次に問題になってくるのかなと思っています。
 以上です。

【小川主査】
 事務局のほう、少し先ほどの質問も含めてお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。まず、品川区の、今お手元に配付しております中教審の資料の中を見ますと、確認しましたが、そこには書いてございません。あとは、議事録で確認したいと思います。あと、実際に品川区ということではなくて、前回サンプル、アンケート調査でお示ししたデータの中に、私学のほうとの関係で、必ずしも私学に流れたわけではないというようなご意見も一部、それは品川区ではなくて、アンケート対象の中のご意見の1つに入っていたものがございました。そこはいずれの地域から出たかというのは、裏がとれていませんので、またわかりましたら、ご紹介できれば、させていただきたいと存じます。品川区のほうも、聞いてみて、もしくは、議事録に当たって、書いてあれば、そちらをご紹介させていただきたいと思います。

【小川主査】
 その問題は確認するまでペンディングにさせてください。すみません。他にご意見、どうでしょうか。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】
 ここで発言させていただくことが適切かどうかはわからないのですが、今日3つの論点、3つの課題が出ていまして、学校の適正配置についてとコミュニティ・スクールについてと学校選択制について、先ほど来、この3つを貫く観点といいますか、共通した課題というのを考えていたんですけれども、どうも皆さんのご意見、私の個人的な意見もそうなんですが、市町村の教育委員会の役割というものも再検討するというところが非常に大きな視点になってくるんじゃないかと思います。
 例えば、適正配置に関しても、粗い標準を示した状態で、最終的に小さくなってもう適正配置できなくなった学校をどうするかという知恵は市町村にお任せします、また、学校運営協議会の在り方も市町村が知恵を絞ってください、そこで学校支援地域本部を使うかどうかも市町村の判断です、どのようにやるというのも市町村の教育委員会の役割が非常に強い。コミュニティ・スクールか、学校支援地域本部か、もろもろのメニューの中から、どれをどのように使うのかということも市町村の教育委員会の役割であるし、学校選択制によって選択されなかった学校のサポートも市町村の教育委員会の役割が非常に強いということです。
 そのように考えると、独立して学校の適正配置、コミュニティ・スクール、学校選択制とそれぞれの項目を丁寧に考えていくことももちろん大事なんですけれども、全体のトーンとして、市町村の教育委員会の役割の再検討というか、再確認というか、そういうものがどうしても必要になってくるのではないかという感想的な意見で申し訳ないんですけれども、つけ加えさせていただければと思います。

【小川主査】
 私も同感なのですが、どういう形で書き込みますか。

【貞広委員】
 最低限ですけれども、それは皆さんのご意見をぜひ伺ってと思いますけれども、最低限どの観点からしても、最終的に責任を持ったり、知恵を出していくのは市町村の教育委員会なんだということを、まず一番最初に確認していくべきことだと思うんです。
 そうでないと、例えば、ここで適正規模の数を出すかどうかはわかりませんけれども、数を出したら、一気に統廃合にかじを切ることになったりとか、学校選択制になっても、サポート役を担わない教育委員会が出てきたりというようなことがないように、とにかく最終的な責任を持つのが、学校設置義務を持っている市町村の教育委員会なんだということをきっちりと確認するという作業が、この3つを貫く一番最初の作業として必要なんじゃないかと思うんです。
 それで、その後に、市町村の教育委員会の判断をサポートするものとして、例えば、ここの作業部会が出すというわけではないとは思いますけれども、適正配置に関する知恵を集めた事例集を後々出していくことを考えるであるとか、学校選択制を使ったときの、学校のサポートにこういうやり方があるというような事例を出していくとか、市町村の教育委員会の判断や、実際の事業をサポートしていくような作業がどこかで行われる、それが望ましいのではないかというトーンになるかなと、個人的には思っています。

【小川主査】
 おそらくそれプラス、適正配置1つをとっても、地域づくりの問題が出てくるので、首長部局と教育委員会との連携の問題とか何かというのに触れながらですね。その辺もまた少し検討させていただきたいと思います。髙岡委員。

【髙岡委員】
 何度も申しわけありません。今の貞広委員のお話に触発されてなんですけれども、実はこの問題、この作業部会が7月に立ち上がって以後、おそらく市町村はかなり固唾をのんで結果を見ていると思うんです。つまり、極端に言えば、財政的観点から学校配置を、平成の大合併以後、そろそろ合併のごたごたがおさまったので、さあ、本格的に何かやりましょうというときに、実は首長が1つの財政再建策として持ち出そうとしているのがこれである可能性は非常にあると思うんです。市町村教育委員会の面々、教育長なんかは、この作業部会がどういう結論を出すのかということに非常に注目している。ですから、その文章の頭に、市町村で考えなさいと来たら、多分肩透かしなんです。ですから、このまま部会の議論で何回も出ていたような気が私はしたので、これは大事にしたほうがいいなと思うのは、あんまり直接的な権限はないんだけれども、ある意味で指導・助言、行政の中で都道府県教委の役割というものがむしろ書かれてもいいかもしれないと1つは思います。
 それともう1つは、小川先生がおっしゃった、首長との対話といいますか、首長を巻き込んだ議論、これは言わないと市町村教育委員会の問題ですと言っただけでは、首長が押さえ込みに来る可能性が非常に強いので、その2つは何かの形で書き込んでいただきたいなと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。今、学校選択制を越えて、少し大きな枠の話にいっていますけれども、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 屋上屋みたいな発言になりますけれども、貞広委員のご指摘はもっともだと思います。そもそも何で適正配置とコミュニティ・スクールとか、学校選択制の3つがテーマになっているかということの、上のところ、3つをまとめるところの総論的なものがないと、何でこれが出てくるのかよくわからないと思うので、おっしゃるとおり、おそらく教育委員会の役割ということが、まとめるときの総論の中の核になるだろうと私も思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。佐藤室長、何かございますか。

【佐藤教育制度改革室長】
 もし、お許しいただければ、すみません、第5回の議事録で、先ほど髙岡委員からお話があったように、松川委員から、「学校選択制が私立の小・中学校への進学率にどういう影響を与えているのか、あるいは与えていないのかということについてお尋ねしたい」というご質問があったときに、品川区の課長から、「小学校については当初90%程度でありましたけれども、本年度は95.5%ということで、正確な数字ではございませんが、区立小学校への入学率は上がっているところでございます。一方、中学校でございますけれども、中学校につきましては、従来75%程度、年々変化しておりますが、区立学校は75%、品川全体では、23区の中ほどなんですけれども、私学、国立への進学は25%程度で推移してきておりますが、区立中への入学率の推移ということですと、72%前後ということで、実は大きな差異は見られないというか、区立中学校以外の数が一定程度、それほどの差が見られないということが実際出ています」ということですので、軽々には言えませんけれども、おそらく実は大きな差は見られないということが、言いたかったことなのではないかと、議事録を見た限りはそういう気がいたします。すみません、遅くなりました。

【小川主査】
 ありがとうございました。今の説明のとおりです。よろしいですか。何かあります。

【西川委員】
 いや、小学校の数字をどう見るかというのは少し難しいところですよね。

【佐藤教育制度改革室長】
 難しい、ここは判断が……。

【小川主査】
 じゃ、大嶺委員、どうぞ。

【大嶺委員】
 今、市町村教育委員会の役割云々という話が、1つの適正配置、コミュニティ・スクール、学校選択制を貫く1つの柱というところでありましたけれども、私も同じように考えますが、もう1つ、適正配置にしても、コミュニティ・スクールにしても、学校選択制にしても、地域なんです。適正配置のところで出てきたのは、やはり学校というのが地域の1つの文化として存在している。これも学校と地域です。それと、コミュニティ・スクールと学校選択制に関しては、学校と地域の距離の問題だと思います。ですから、その辺のところ、地域と学校の関係をどのように位置づけていくのかということを押さえておかないとまずいなのかと考えます。

【小川主査】
 今の点はもう3人の方からもご指摘がありましたように、私もそう思います。おそらくこの3つの柱は、個々ばらばらの問題ではなくて、1つの大きな、先ほど中西委員からも出たように、大きな社会経済的な背景を含めて、そういう大きな変化の中で、地域の重要な課題として浮上してきているものですので、これはまた事務局とも相談ですけれども、この3つのテーマそれぞれ、各論をまとめていくわけですけれども、その前段のところで、少し総論みたいなものが必要なのかなということは感じました。それをどういう形で整理するかについては、お任せいただきたいと思います。1月以降の審議の際には、その辺も少したたき台として出してみたいと思いますので、よろしくお願いします。
 他はどうでしょうか。もう時間がほとんどないんですけれども、最後に、1人、2人、もしもございましたら、よろしいですか。じゃ、終わります。今日も非常に貴重なご意見、また全体の構成にかかわるようなご意見、ご提案をいただきましたので、1月にまた作業部会が再開するかと思いますので、その際には今日ご意見をいただいたものを踏まえて、もう1度全体と各論のたたき台というのをご提案して、皆さんからのご意見を伺いたいと思います。ありがとうございました。
 では、1月以降の日程とか、今後の進め方について、事務局のほうからご連絡がありましたら、よろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございました。1月以降の日程につきましては、また先生方の日程を確認させていただいた上で、主査とご相談の上、決めていきたいと思います。そしてまた、この文案の今後のいろいろな形、スタイルのことも含めて、今日いただいたご意見のところもございますので、そういったところもあわせてご相談させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【小川主査】
 ありがとうございました。一応中間まとめという形とすれば、3月が1つのめどですよね、この作業部会は。

【佐藤教育制度改革室長】
 そうでございます。そこも含めて、ちょっといろいろご相談させていただければと思ってございます。

【小川主査】
 そうですか、わかりました。では、また1月、日程は皆さんのスケジュールの調整をさせていただいて、決まり次第またご連絡させていただきたいと思います。皆さん、よいお年を、また新年、元気に再会したいと思います。どうもご苦労さまでした。

─ 了 ─

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