小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第9回) 議事録

1.日時

平成20年12月11日(木曜日)15時30分~17時30分

2.場所

旧文部省庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 1.学校の適正配置について 2.コミュニティ・スクールについて 3.学校選択制について
  2. その他

4.議事録

【小川主査】
 定刻になりましたので、第9回小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会を開催したいと思います。お忙しい中、ご出席いただきまして本当にありがとうございました。
 では最初に、事務局のほうから今日の審議に関係する配付資料の確認をお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。議事次第のほうをご参照いただければと思いますけれども、資料1といたしまして、委員の先生方の名簿を入れてございます。それから資料2から4までということで、主に本日のご検討いただくに当たっての資料でございますが、資料2が学校の適正配置に関します考え方ということで、これは前回お配りいたしました論点の例としての資料と全く同じものでございます。ご参考に本日も入れてございます。それから資料3、こちらがメーンになるかと思いますけれども、適正配置に関する考え方に沿いまして、少し整理をさせていただいた資料でございます。小・中学校の適正配置についての考え方に関連するこれまでの主な意見等ということで、資料を入れさせてございます。資料4といたしまして、学校規模によるメリット・デメリット、これも前回お配りしたものと全く同様のものでございます。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。資料の確認、よろしいでしょうか。
 では、今のお話にありましたように、前回、資料2に基づいて学校の適正配置に関する議論をしてまいりました。これまでのヒアリング等々も含めて、いろいろ出された意見を、今日は事務局のほうで資料3という形で、これまでの議論で出てきた主な意見を中心にしながら、各項目ごとに整理していただいたものがあります。今日は前回に引き続いて、学校の適正配置に関する考え方を、資料3に基づいて、少し整理していきたいと思います。できますれば、いままで8回ぐらいの議論がありましたので、そのことを踏まえながら、基本的な考え方とか論点等々について、できれば年内に一定の論点整理をしていければいいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、資料3を中心に少し事務局のほうからご説明いただきたいんですけれども、今回はこの議論にかかわっては、例えばコミュニティー・スクールの話とか、学校選択制の内容もかかわる部分が多いんですけれども、また資料3の中では若干触れている面もありますが、今日は時間等々もありますので、できましたら小・中学校の適正配置のところを中心にしながら、論点を整理していただければと思っております。今後、コミュニティー・スクールや学校選択制にかかわっては、時間をとってまた改めて議論をする機会もありますので、今日はできましたら学校の適正配置を中心にした意見交換にさせていただければと思います。
 じゃ、資料をよろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。それでは、資料3に沿いまして、今主査のほうからお話がございましたように少しお時間をいただきまして、私のほうからご説明をさせていただければと存じます。
 この資料の位置づけでございますけれども、前回お配りした資料、要するに本日配っております資料2につきまして、学校の適正配置に関する基本的な考え方を今後整理していくに当たっての視点や観点として、4つほどこちらのほうで課題を提起させていただきまして、ご議論を前回していただいた次第でございますが、こういったものをさらに深めていただくに当たり、今回、前回までのご意見をすべて、委員の先生方のご意見、それからヒアリングの際に出たご意見、もしくはご説明の際に出たご意見、それからバックデータとしていろいろご紹介いただいたものを織りまぜまして、観点別に整理をしてございます。ですから、これからそういったものを若干読み上げる形になってしまいますけれども、改めて大分昔のお話になる部分もございますので、そういった点も想起していただきながら、少し整理をするためにご説明をさせていただければと存じます。
 4つの論点というのは大きく変わってございませんが、最後にさらに何か留意すべきことはないかということで、5番目として、後ほど触れますけれども、これまでのものに加えて適正配置の検討に当たって留意すべきことは何かということを、前回の論点に加えてございます。トータルで、要するに4プラス1で5つの論点になっているところでございます。
 それでは、資料3、1ページ目からご説明を若干させていただければと思います。まず1つ目の論点でございますが、現在、適正配置を検討する背景・意義をどうとらえるかということでございます。特に白丸の上2つでございますが、これは総論的な意見として拾わせていただいてございます。公立小・中学校の設置主体は市町村であり、適正配置の進め方については、最終的には市町村教育委員会が教育的な観点から判断をしなければならないものである。中央教育審議会は、教育的な観点から、適正配置を進める際に考慮すべき要素や留意点といったものを検討することが必要。それから現在における適正配置の在り方については、今後、少子化がさらに急激に進むことが予想される中で、子どもが「生きる力」を培うことができる学校教育を保障する観点から検討することが必要と、こういったものを入れてございます。
 それからさらに検討の視点として、おおよそ次の3つを入れてございます。児童生徒の急増期に建てられた施設が老朽化を迎えていたり、交通環境の整備、それから市町村合併が進むなど、学校の適正配置について中央教育審議会が答申を行った昭和31年当時とは、学校を取り巻く状況が変わってきている。それから校舎の耐震化に合わせて学習環境の改善に取り組むため、集中的な財政投資を行って適正配置を進めようとしている例もある。合併成立後の新しいまちづくりの動きの一環として学校の適正配置を検討する動きもある。こういったものを入れてございます。
 それから次はデータでございますけれども、これは2回目の葉養先生のほうからの説明資料の中にあったデータを引かせていただいてございます。全国の市町村の教育長に対する意識調査として入れているものでございますが、小・中学校の規模縮小への対応策として、「困難はあっても小・中学校の適正規模の維持を基本として統合方策を検討する」といったものが、回答数の全体の4割で、これが最も数として多かったということを1つ入れてございます。
 それから次でございますが、これはどちらかというと、都道府県の役割や国の役割といったことで拾わせていただいてございます。まず1つ目でございますが、市町村としてはさまざまな事情の中で、地域のしがらみや財政問題の中で身動きがとれなくなってきているところがある。そのような市町村に対し、都道府県教育委員会が、当該都道府県の事情を踏まえた適正配置の指針等を示したりすることが、適正配置を進めようとする後押しとなるのではないか。次いで国の役割でございますが、国はナショナルミニマムとしての義務教育の質の維持や、より高い質を保証する観点から、学校の適正配置についての考え方を示すことにより、都道府県や市町村における検討を進めやすくすることが必要である。こういったご意見を拾わせていただいてございます。
 おめくりいただきまして、2番目の論点でございます。適正規模や通学に関する現在の標準について、どのように考えるかということでございます。1番目として、学校の規模の問題でございますけれども、現在の基準につきましては1つ目の白丸のところに引いてございますが、学教法の施行規則の中の現在の規定が、小・中学校ともに「12学級以上18学級以下を標準とする。地域の実態その他により特別な事情があるときはこの限りではない」とされています。その上で、まずデータとして葉養先生の調査結果から2つ拾わせていただいてございますが、全国の教育長に対する意識調査ということで、学校規模の標準について、現在の標準が適正であると考えている割合が約半数、それから都市部と郡部で学校規模の標準を分けて設けるべきだと考えている割合が約4分の1ということでございます。
 それから次も同じ調査からでございますが、適正規模の判断理由について、小学校についてはクラス替えのできる規模、それから運動会や学芸会等である程度の活性化が図れる規模ということが上位でございます。それから中学校につきましては、主要教科について各学年それぞれの担任教員を用意できる規模、部活動やクラブ活動等の種目数を一定数維持できる規模という回答数が多うございました。こういったデータを拾ってございます。
 それから次の2つの白丸でございますが、これはそれぞれ和歌山県、それから東京都北区、横浜市のヒアリングの際にお聞きできた話、その際の説明の資料等から引いたものでございますが、都道府県・市町村によっては適正配置の検討に当たり、地域の実態にかんがみ、国が定める標準と異なる標準を設定している場合もある。1つ目の例として挙げております12学級以上24学級未満というのは、横浜市の例でございます。それから次の9学級以上18学級未満というのは、中学校の場合について和歌山県の場合に別途、独自に定めている基準でございます。
 それから2つ目でございますが、小・中学校の適正配置に際して、標準規模とは別に、1学年の学級数や人数、それから連続する学年の人数の下限など、小・中学校の適正配置を見直す具体的な基準を定めている自治体があるということでございます。ちなみに北区のほうでございますが、適正規模につきまして、小学校の場合は12学級から18学級、中学校の場合が9学級から15学級ということで定めていらっしゃいます。それから横浜市の場合につきましては、小規模の定義として、小学校の場合は11学級以下、中学校の場合は8学級以下ということでございます。最後に、各地域によってさまざまな状況があるので、事例やデータに基づいて客観的に検討することが必要であるということでございます。
 それから次でございますが、基準についてのそもそもの考え方ということで、これは少し総論的なご意見をここに拾ってございます。まず1つ目でございますが、一定の規模があることにより、子どもが集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて、1人1人の資質や能力をさらに伸ばしやすい。それから各学年2学級とすると、人間関係に配慮したクラス編成ができる、習熟度別指導等多様な指導形態をとることができる、スポーツでクラスの対抗戦ができる、部活動がより多くの種目、多くの人数でできるため、生徒のモチベーションが上がるなどの利点がある。それから3つ目でございますが、教員配置に関しても、学年複数学級とすることで、教員同士が指導方法について協議ができるようになったり、組織的な校務分掌をすることもやりやすくなる。教員が互いに切磋琢磨するために、必要な教員数を確保するという観点は重要である。次もほぼ同様でございますが、中学校について、中学校の場合につきましては教科担任制であり、同じ教科を担当する教員を複数配置できるという組織的な教科経営や、それから多様な指導方法の工夫がしやすくなるということを入れてございます。
 次の2点は、どちらかというと都市部と郡部の相違という点からのご意見でございましたが、同一県内でも都市部または郡部の中でも中核的な町に人口が集中している実態があり、都市部と郡部を同様に考えることにはかなり無理があるのではないかという意見もある。それから適正配置を考える際に、都市部か郡部かという二分法ではなく、個々の学校の置かれている地域の条件を整理していくべきではないかということで、それぞれ都市部、郡部というものに着目するかどうかという点からのご意見でございました。
 それから大きく分けて2つ目でございますが、通学距離ということからの整理が次でございます。まず1つ目といたしまして、通学距離と通学時間ということで入れてございます。まず現行の規定につきまして、一番最初に拾ってございますが、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する政令でございますけれども、現在の規定では通学距離については、小学校でおおむね4キロ以内、それから中学校でおおむね6キロ以内ということが適正とされているのが現行制度でございます。
 次の2つのご意見が総論的なものでございますが、通学できる地域を考える際には交通機関の発達などにより、生活圏が拡大していることなども含めて考えるべき。インフラの整備に伴い、バス、電車等により通学距離が4キロ、6キロを超えても通学できる場合があるため、通学に関する基準について柔軟に考えることが必要ということでございます。次のご意見が、通学時間というものに着目したものでございますが、現在の法令上では適正基準は距離で示されているが、通学と心身の負担に関する調査を統計学的に分析すると、時間で定めることのほうが適当ではないか。それから通学に関する基準については、時間と距離を併用するとともに、交通手段にも考慮した形で工夫していくということも考えられるのではないかといったものを拾ってございます。
 それから今の中にもございましたが、通学距離と児童生徒への影響という点の、これはどちらかというとデータが主なものでございますけれども、いずれも第2回の作業部会で朝倉先生のほうからご提示いただいたデータを拾ってございます。まず小学校でございますが、小学校5年生の通学と心身の負担に関する調査によりますと、徒歩の場合、4キロまでは特に顕著な問題は見られないけれども、4キロを過ぎると少しストレスがかかってくる可能性があると。それから小学校のバスの場合ということでございますが、長時間通学でのストレスは確認されていないけれども、脳が活性化されていないことも懸念されるため、学習に入っていくまでの間には、学校に到着後、体を動かす時間を設けるなどの工夫が必要ではないかというお話がございました。
 次、中学校でございますけれども、中学2年生を対象とした調査でございますが、通学と心身の負担に関する調査によると、徒歩の場合、不明な部分もあるけれども、距離が長くなるにつれてストレスが増大してくる可能性がある。自転車の場合については、6キロを超えるとストレスを感じている生徒が増えるので、これを1つの目安として設定することも考えられる。バスの場合は小学校と同様の傾向であるといったようなことが調査結果としてご報告いただいてございます。次は少し総論的なものでございますが、単なる距離だけではなく、安全などの観点、それから地理的な事情や降雪などの気候についても考慮することが必要であるというご指摘を入れてございます。
 それから次はバス通学についてでございますが、バス通学になると部活動や放課後の教育活動が行いにくくなる、生活時間に影響が出ているなどの課題があることに留意が必要。それからバス通学については歩かなくなることによる体力低下の懸念への対応も必要。学校への活動内容の工夫をしたり、遊具や運動場の整備などの対策をとることも必要であるというとでございます。それから最後でございますが、安全面の配慮。統合によって、通学時間、通学距離が延びて、徒歩通学、バス通学のいずれについても安全面が課題になってくるということでございます。これが2つ目の整理でございます。
 それから3つ目でございますけれども、標準に満たない場合において、教育条件の向上を図る観点から、特に克服していくべき課題はどういったものかといったことでの整理でございました。まず大きな論点、最初に入れてございます同じものでございますけれども、統合等により適正配置を進めるに当たっては、標準規模に満たないことによる教育上の具体的なデメリットについて、どのように克服していくかという観点から検討すべきだということでございます。小規模校一般といたしましては、子どものことを考えると、次でございますが、義務教育において小規模校のデメリットに対して何ら対応しないということは問題である。こういったご意見をいただいたところでございました。
 データとして次に拾っておりますのは、また葉養先生のデータでございますが、校長先生を対象とした調査の中で、小規模校の問題点として挙げていらっしゃっていたのが、よい意味での競い合いや切磋琢磨の機会が少ない、それから組織的機能的な子どもの集団づくりができにくいというご回答が多うございました。こういったデータも踏まえながら、子どもの立場を重視したご意見として次の2つを入れてございます。子どもが少人数であると、人間関係が固定化して、9年間その集団で過ごさなければならないことがある。高校に進学した際に、急に大きな集団の中に入ることになり、その中で自分を発揮できないことがあるなどの問題もある。それから児童生徒数の減少で、部活動やクラブ活動の数が少なくなるだろう、子どもが自分を発揮できる機会が少なくなるという見方もあるというご意見でございます。
 次の白丸につきましては、前回メリット・デメリットということで、都道府県・市町村が今現段階で作成していらっしゃる計画等から引いてきたものをここに入れてございますので、これはデータのほうとほぼ同一でございますが、まず小規模の学校では、集団の中で多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なくなりやすい。それから単学級で学級間の相互啓発がなされにくい、グループ学習や習熟度別学習など、多様な学習・指導形態をとりにくい、男女比に偏りが生じやすいなどの指摘が多うございました。
 それから次でございますけれども、次は教員の指導力でございますが、教員配置といった視点からのご意見でございます。特に複式学級における指導効果を見たときに、教師の力量によるところが大きいため、安定的に学習成果を維持できるかを保護者が懸念しているという指摘もある。それから教職員の配置という点では、規模が小さくなると教職員数が少なくなり、経験、教科、特性などのバランスのとれた配置が行いにくい。それから特に小規模の中学校では、各教科の免許状を有する教員を配置することが困難であり、免許外指導の解消が困難であるというご意見でございます。
 それから最後でございますが、小規模校のメリット・デメリット双方の観点からでございますが、小規模校の学校では、子ども1人1人に目が行き届きやすいというメリットがある。しかしこういったメリットについては小規模校でなくても、少人数指導等により可能になる。一方で、人数が少ないことによりスポーツのチームが組めないなどのデメリットは、小規模校では解消が困難である。小規模校のメリットを損なわず統合を進めることもできるのではないかといったご意見もございました。
 次に4番目の大きな論点でございますが、標準に満たない場合において、適正配置を進めることが困難であるとの状況について、そういった場合、どのような状況が想定されるか。その場合、それに対してどう対応するかということを入れてございます。この点につきましては、前回大きく分けて地理的、物理的な要因、心理的な要因、それからその他の予算や跡地の利活用といった点で大きく3つに分けてございましたが、それをもう少し細かく分けて、具体的にいただいたご意見等につきまして、ここに整理をしてございます。
 まず1点目でございますが、適正配置を進めることが困難な状況とその対応の中の同一市町村内に1個しかない場合ということでございます。同一市町村内に1つしか小学校・中学校がない場合には、統合対象となる学校がないことになる。それから通学の関係で難しい場合もあるけれども、一部事務組合や事務委託等により、他の市町村内にある学校へ、市町村の境を越えて通学するということも考えられる。それから小中連携という点でございますが、小学校同士、中学校同士の統合ができない場合でも、小学校と中学校の縦の統合により、集団性、社会性を涵養する機会を確保することも1つの方法であると考えられるというご意見でございます。
 それから2つ目でございますが、再開発等による人口変動が繰り返される可能性がある場合ということで、例を入れてございます。主に都市部では、同じ地区内に人口が急増している地域と急減している地域があることがある。また、再開発によるマンション建設や宅地造成により、一時的に子どもが急増した後、減少に転じるということもある。2つ目でございますが、学校の規模が大きくなった場合、分離新築によらず、近隣学校との通学区域の変更によって、適正配置を図るという方法もあるといったご意見を入れてございます。
 それから3点目でございますが、地理上・気象上、それから安定的に通学可能な範囲に他の学校がない場合ということで入れてございます。小規模化が進んでも、特に離島や山間部等の場合、他の学校と遠く離れている等の理由により、他の学校と統合できず、小規模なまま残らざるを得ない学校が必ずある。それから豪雪地帯の場合、バス通学であっても通学が困難な場合もある。統合後も、標準規模に満たない場合や、統合を行った後に、またさらに少子化で児童生徒数が減少する場合もあり、通学可能な範囲でこれ以上の統合が難しい場合もある。それから統合が難しい地域では、小規模の学校をどのように支援していくかという仕組みについても考えることが必要といったご意見を入れてございます。
 それから通学距離、そして通学時間、負担感という整理でございます。保護者から教育条件がさほど変わらないのに通学距離が長くなるということで、統合に反対する意見が出た例がある。地域によっては4キロ、6キロという補助の基準に満たない場合でも、通学路の安全確保などの観点からバス通学を望む声もある。都市部の場合、保護者の感覚では2キロ、3キロでも長く感じるという地域もあるというご指摘でございます。
 それから統合に必要な施設や費用等が不足している場合ということでございます。都市部においては、学校施設の収容規模による制約で、統合が困難な場合があると考えられる。建築基準等の関係で校舎の増築に制約がある場合もあり、一定規模以上への統合が困難な場合が考えられる。既存の校舎を利用した統合の場合には、費用面での負担は比較的小さいが、増改築を伴う場合には市町村の財政上の負担が大きいということでございます。
 それから、教育条件がその前後であまり変わらないという場合のご指摘でございます。6学級の小学校同士が統合しても、学級数が6学級のままである場合には、学級数以外の付加価値がないと、統合のメリットが見えにくい場合がある。それから現時点では標準的な規模である学校や、デメリットが実感されていないような学校であっても、将来的に児童生徒数の減少が不可避である場合には、先を見越した適正配置を検討すべきではないか。次でございますが、統合による教育条件がよくなったと実感できるようにするためにも、市町村教育委員会は、統合したらあとはすべて学校に任せてしまうのではなく、統合後の学校が新しい目標を持って学校づくりができるよう、理念を持って学校に対する支援を行う必要があるというものを入れてございます。それから、統合してもなお標準規模に至らず、規模によるデメリットがある学校に対しても、市町村教育委員会が教育環境の維持・向上の観点から学校を支援していくことが必要ではないかというご指摘でございます。
 次でございますが、学校が持つ地域の文化の拠点としての性格から、統合について地域の理解を得られていない場合という観点からの整理でございます。学校には、防災の拠点だったり、文化・スポーツの活動拠点だったりと、さまざまな意味で地域の拠点である。地域によっては、合併前の旧町村内のつながりが強く、旧町村内から学校がなくなるような統合への反対が強い場合がある。保護者は子どもに適度な競争を経験させたい、多くの友人関係の中で育てたいという意向から統合に賛成しつつ、地域住民が地域の中に学校を残してほしいという意向から、統合に反対し、ずれを生じている場合もある。小・中学校は地域の精神的支柱、文化施設の側面も持つが、小・中学校は義務教育のための施設であるから、適正配置を考えていく上で最終的には子どもの学習の場としての機能を高めていくという教育論で考えていかなければならない。
 それから跡地の利用という点からのご意見でございますが、都市部等では廃校となった学校の跡地の利用方法を決めることが大きな問題となる場合もある。廃校となった施設をそのまま維持するだけでも、年間数百万の予算がかかるという例もある。学校がなくなることは、地域コミュニティーに一定の痛みを与えるため、跡地利用を地域コミュニティーのための施設としての役割を持つようなものとして活用するという観点から検討することが重要ではないか。それから地域住民みずからの取り組みで、廃校施設の利活用を行っている地域もある。統合による校舎の跡地利用について具体例を示していくことは、市町村教育委員会の役に立つのではないかといったご意見でございます。
 さらにここに加えまして、今回特に取り組むべきこととして、前回お示しをした状況の例に加えたものを2つ入れてございます。1つはまず保護者や地域住民への説明という点でご意見をいただいたものが多うございました。地域住民は学校の現状を目にする機会がなかなかない。地域の理解を得ていくためには、学校が置かれている状況を保護者や地域住民にも十分に説明し、このまま小規模なままにしておくことが地域で子どもを育てていくということにプラスになるのかどうかということを問題提起することが重要であるというのが1つ目でございます。それから、市町村は保護者や地域住民に対して財政面の説明だけではなく、統合によってよりよい学校になる、夢のある学校づくりにつながっていくという道筋を見せることが必要である。それから、保護者や地域が新設校に何を望むのか、十分に対話を行って要望を受けとめ、新しい学校づくり、教育の目標づくりを行い、地域と学校が両輪で新しい学校をつくるような価値観の共有ができれば、再編統合が円滑になる。
 それからもう1つの視点でございますが、統合できない小規模校への対応ということでございます。標準規模に達しない学校のそれぞれの教育条件について、どのように支援し、改善していくかが重要である。小規模校の学校では、小規模校で機会が不足しがちな、社会性の涵養やさまざまな体験を積ませるという観点から、学校同士の交流活動を積極的に行うことにより、教育活動の充実を図っている例もある。複式学級での指導の充実のため、教員養成大学と教育委員会が連携して、複式学級での指導を視野に入れたトレーニングを行うなど、教員養成段階での工夫を行っている例もあるということでございます。
 最後に、先ほど申し上げましたように1つ加えた論点、これ以外の適正配置の検討をするに当たっての留意点として幾つか整理をしてここに入れてございます。まず1つ目が、人事配置等についてでございます。市町村の小・中学校の教員の任命権者は、都道府県教育委員会であり、統合前と統合後の教員配置について、都道府県教育委員会と市町村教育委員会が連携して新たな学校づくりを進めることができるような人事上の配慮を行うことが求められる。それから小規模校の教員の中には、大規模校での指導になれていない場合もあるため、統合後の人事配置に配慮が必要である。
 それから小学校と中学校の連携という視点でございますが、適正規模については小・中学校それぞれの規模を確保するための横の統合だけではなく、義務教育の9年間全体で一定の規模を確保する縦の結合という考え方もあり得る。地域によっては学校の統合によって小中一貫教育を推進しているところもあり、適正配置と小中一貫教育をあわせて検討することも必要でございます。小中一貫教育という視点や、コミュニティー・スクールという視点も取り入れながら、学校の在り方というものを検討していくことが必要。それから広域的な区域内の小学校、中学校間のネットワークを形成することになり、教育効果を補完していくという考えもある。統合や通学区域を再編する際、小学校と中学校の連携という点からは、同じ小学校の卒業生が同じ中学校へ進学できるよう、通学区域の設定を行うことも望ましいということでございます。
 それから大規模校の問題ということを、これもご意見をいただいた部分がございましたので、ここに入れてございます。世界的な学校の規模についての検討を見ると、教育的観点からは小さな学校が望ましいという見方もあり、大きな規模の学校の上限をどうするかという視点もある。大規模な学校については、学級数が多くなることにより、屋内運動場などの施設の効率的な使用に支障を生じてくることがある。災害が起きた際の校舎からの避難に時間がかかる、屋内運動場に全校児童生徒が集まれないといったことが生じることがある点にも配慮が必要である。それから新たに学校を設置する以外にも、学校の状況を丁寧に説明した上で、通学区域を変更することにより、学校規模を調整するという方法もあるということでございます。
 それから学級の規模という点でのご意見もございました。少人数指導等を実施している現状を踏まえると、学校の規模を考える際には学級の適正規模についても留意する必要がある。それから学級の人数を引き下げると、学級内で切磋琢磨する環境ができなかったり、学校行事が盛り上がらなかったりする場合がある。活力のある学校をどうつくっていくかという考えから、一定程度の人数を確保していくことは必要。
 最後に、それ以外のところで分類できなかったものをここに入れてございますが、特に都市部において適正配置を考えるためには、私立学校の影響を考える必要がある。子どもの数は減少しているが、特別な支援を必要とする子どもの数は、過疎地域でも増えている。学校の適正配置を考えていく上で、特別支援学級の取り扱いについても留意する必要がある。それから統合を機にコミュニティー・スクールとして地域住民が学校運営にかかわる仕組みとすることも考えられるのではないか。最後でございますが、過疎地域では、高等学校の存続も問題となっており、小・中学校の配置、特に中学校と高等学校との連携という観点から、高等学校との関連に留意する必要があるということで、以上こういった形で、それぞれの論点は大分広がり、また細かくなりましたけれども、これまでちょうだいいたしました委員の先生方のご意見やヒアリングの際の、ヒアリング対象者からのいろいろ情報提供いただいたもの、それからデータとして入れたもの、幾つかこういった形で整理をさせていただいてございます。あと資料4につきましては、同じものでございますが、メリット・デメリットをまた入れてございますので、こういったものもご参照いただきながら、ご意見をちょうだいできればと思います。
 少し長くなりましたが、以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。前回の学校の適正配置に関する考え方、論点例の柱、1、2、3、4、そして最後にその他という項目を加えて、5つの項目にわたって、これまでのヒアリングで出てきた意見、データ、またこの作業部会の審議で各委員から出された意見等々を整理したものが資料3という形で、今説明がありました。
 今のご説明でもおわかりのように、それぞれの意見が関連性を持って、ないしは構造化されて、全体としてある方向性を持って整合的にまとまっているという段階ではありません。これからこれを1つのたたき台としながら、報告書全体としてどういう主張とか方向性を持った報告書にしていくのか、またそれぞれの意見をどういう考え方でつなげて、全体として構造化していくかというのは、おそらくこれから数回、いろいろ議論しながらなされていくんだろうと思いますので、今日のペーパーをベースにしながら、お考え、ご意見を出していっていただければなと思います。
 それで、進め方ですけれども、1から5を全部一緒にやるというのは、それぞれ関係があるので、いいとは思うんですが、ただやはり、議論を進めていく上ではそれだとあまりにも論点が拡散する嫌いもありますので、そうかといって1つ1つやっていくとなかなか議論が難しいので、5つの柱のうち1と2は、つまり現在適正配置を検討する背景・意義をどう考えるかということと、現在の標準という問題についてどう考えるか。これはかなり関係することですので、1と2をセットにして、30分前後議論をしていただく。次に3と4も関係する内容ですので、これもセットにして大体30分程度議論していただく。最後に、その他で出された1から4以外の適正配置の検討に関する留意点とか検討すべき課題について、少し自由にご意見等々を出してもらって、これも15分とか20分ぐらいということで進めさせていただければと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。そのようにさせていただきたいと思います。
 まず、1と2をセットにして意見交換していきたいと思います。質問含めて、どうぞご自由に出していただければと思います。
 じゃ、山重委員どうぞ。

【山重委員】
 ありがとうございます。前から思っていたことなんですけれども、標準に関して12学級以上18学級以下というのが1つの標準である一方で、通学距離に関して4キロ以内、中学校の場合に6キロ以内というのが標準ではなくて適正と考えているんですけど、これらは多分矛盾する状況が今生まれているような気がするんです。12学級以上18学級以下にしようと思ったら、通学距離は4キロではおさまらない地域がたくさん出てくると思いますし、4キロ以内、6キロ以内という規定、標準にこだわると、学校規模は12学級にはならないという地域がたくさん出てきていると思うので、そもそもこの標準なり適正という言葉は、現時点で矛盾を抱えていると私は思っているんです。そういう意味では、どちらかを変えないと矛盾が解消されないと思っています。
 個人的には、やっぱり子どもたちの教育は、みんなで学ぶという要素が特に小・中学校の場合には強いと思うので、規模が優先されるほうがいいなと思っているんです。そういう意味では、学校規模に関して12学級、ここはまた議論があると思うんですけれども、一定の規模を確保するということをメーンにして、通学距離に関しては個人的には時間という形で、おおむね1時間以内という形で適正あるいは標準ということを考えることで、2つの矛盾を解消する方向を目指したほうがいいのではないかと思っています。最初にコメントさせていただきました。

【小川主査】
 重要な指摘だと思いますけれども、はい。どうでしょうか、他に。はい、西川委員。

【西川委員】
 今のご質問に加えて、私のご質問ということでよろしいでしょうか。おまとめいただいた1、2のところ、1ページ目の丸の4つ目に、財政投資という言葉が出てまいりますが、それ以外に統廃合に関しては財政的な側面はほとんど考えない、統廃合は教育的な課題として考える、教育論として統廃合を考えるというのが、この部会の共通理解かというふうに今日判断させていただいたんですが、一部の自治体では、もちろん人件費は県費でありますが、市費負担の職員もあって、老朽化した校舎を維持したり、あるいはこのまま小規模校を維持することが財政的に苦しいという理由を統廃合に挙げている例もあると思います。私がお尋ねしたいのは、この部会ではそのランニングコストという言葉が適切かどうかはわかりませんが、市町村が小規模校を維持するためのランニングコストで統廃合を考えるというのは、この統廃合問題としては論外なのである、教育論で考えるべきであるというスタンスをとるのか、これがまず1点です。
 2点目は、本当に市町村で学校を減らすことが、財政支出の削減につながるのかどうか。これはいろいろな調査があります。ある自治体では、平均規模の小学校を1校クローズすれば5,000万浮く自治体もあれば、変わらないという自治体もあるし、実はどうやら1つの自治体が幾つの学校を持つかによって、コストが違ってくるんだと。単純には正比例していかないんだと。2校なら2倍、4校なら4倍にはならなくて、一定の分岐点のようなものがあるんだという結果を見たこともあります。
 長くなりましたが、要するに市町村の財政負担が統廃合によって軽減される、あるいは耐震化等で必要な投資が望まれる段階で、それを統廃合の要因とすることがあり得るのかどうか。この部会ではそれはないとするのかどうか。あるとすればどのようなものかということを教えていただきたいと思っています。あいまいなことで申しわけございません。

【小川主査】
 これは、この作業部会として、どういうスタンスで報告書をまとめていくかということも含めた質問ですよね。

【西川委員】
 そうです。これまでは、すべて教育論というふうになっていましたから。教育論で考える、そのスタンスなのかということの質問です。

【小川主査】
 ですからこれは、事務局にどうかという話を投げかけるような質問でもありませんので……。

【西川委員】
 あ、そうですか。

【小川主査】
 これからこの報告書をまとめていくわけですから、この報告書をまとめていくに当たって、例えば今のような質問とか疑問を、どういう形でもって……。

【西川委員】
 そうです。そういうことですね。

【小川主査】
 だからそういう考え方に対して、どういうスタンスでこの報告書をまとめていくかという、これは委員全体として意見交換をしながら方向性を決めていくことだと思います。今の点について、何かご意見等々がございましたら。それと事務局のほうから何かございますか。別に事務局が答える性格のものでもないと思うのですが、ただ何かご意見があれば。一ご意見としてお伺いするということで。その後、山重委員。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございます。実はそういった点も、今座長がおっしゃったように含めて、ここでどういう方向性でまとめるかというのは、あまり我々が踏み込んでのりを越えて言い過ぎると、またそこはどうかなと思うんですけれども、当然教育的観点というご意見が非常に多うございましたということで、ご紹介はさせていだたいたところでございますし、あとその一方で財政投資の話も若干こういうふうに入っておって、当然政策判断をしていただくときに、そういったものを全く度外視しているかというと、やっぱりいろいろなヒアリングの対象の自治体からお聞きしたときも、そういった要素というのは結構ご意見の中には含まれているところもあった。ですからそういったところを両方目配せしながら、やはり政策判断をしていくことになりましょうから、そこはどういうウエートづけをするかとかいうことは、ぜひここでご意見をちょうだいできれば、ご判断いただければと思います。

【小川主査】
 基本的に学校適正配置にしても、学校選択制等々にしても、自治体がみずからの判断で取り組む権限がありますよね。それについて、こうすべきだああすべきだという議論は、この審議会のところでは、かなり慎重にならざるを得なくて、例えばこういう取り組みをもしも自治体がするのであれば、その取組についてはこういうメリット・デメリットとか、こういう問題については十分留意して検討するとか、そういうスタンスで報告書をまとめざるを得ないのかなと思いますけれども、これはこれからの議論で個別具体的なところでまたいろいろ出てくると思います。
 じゃあ、山重委員どうぞ。

【山重委員】
 私、財政が専門なので、一言言っておかなきゃいけないかと思うんですが、私自身も、あるいは一般的な国民の視点からいっても、子どもたちの教育をいかによくするかというところが最終的な目標でなきゃいけないと思いますので、そういう意味では財政的な観点から統廃合するというのは、私も論外だと思うんです。そういう意味では、それでいいと思うんですけど、ただ先ほど事務局の方もおっしゃったように、財政というのは現実の制約としてありますので、その制約を踏まえながらいかにして子どもたちの教育をよくしていくかという観点を考えると、財政のことも制約としてきちんと見ていかないといけないというのは、外せない視点かなと思いますので、目的と制約というので分けていくとわかりやすいのかなと、個人的には思っているものですから、コメントさせていただきました。

【小川主査】
 西川委員、よろしいですか。

【西川委員】
 ということでございます。

【小川主査】
 はい。他にどうでしょうか。じゃ、加藤委員どうぞ。

【加藤委員】
 財政に関しては赤ちゃん状態で何も申すあれはないんですけれども、適正規模というときに、一定の規模を適正に配置し直すというところまでもし踏み込むんだったら、日本中大変なことになると思うんですけれども、12から18学級の1クラスの容量はもう少し柔軟に考えられないものかなというのがあるんです。例えば、今複式学級というのはどうにも私は限界線だと思っていますので、それが2学年続けて16名以下ですとかいうふうになると、複式学級化する。そこをもう少し柔軟にとらえて、学年のクラスを複数に保つということができれば、選択肢が増えるんじゃないのかなという視点はあるんですけれども。

【小川主査】
 他にどうでしょうか。じゃ、あと大嶺委員、よろしくお願いします。

【大嶺委員】
 12学級から18学級、それから4キロ、6キロというのが、昭和31年に決められた基準ということで、昭和31年といったら、これは団塊の世代がちょうど小学校の二、三年生ぐらいです。私の世代なんですけれども、その時代ですから12から18というのが適切だったのかもしれませんけれども、今の子どもたちの人数を考えていったら、これは本当に何とかしなきゃいけないなと。
 それからもう1つは、小学校と中学校が同じであるというのが果たしていいのかどうか。特に中学校の場合は、当時としては私学に進学していくなんてことはなかっただろうなと。今は都市部に関してですけれども、私学への進学率は結構出てきているわけです。その辺のことも考えていくと、やはり12から18学級というのは結構きつい。特に中学校の場合は、12学級というと1学年4学級なんです。それから18だと6学級になってきますから、これは結構大きな学校なんです。これだけの学級数を持っているところは、本当に少なくなってきているのではないかなと思います。
 それから距離に関しては、4キロ、6キロというのを、昨日、自分の学校から果たして6キロってどの辺まで行くんだろうなと直線距離で地図ではかってみましたら、相当なところまで行くんです。ここから通ってくるのは果たして可能かなと。私たちがどこか出かけていくときに、あそこまで、例えば三鷹から文科省まで行くのに何キロあるだろうという考え方はしませんね。どのくらい時間がかかるだろうと。やはりこれは、私は通学時間というものをメーンにしつつ、逆転するべきじゃないかなと。通学時間がメーンであって、距離を加味していくほうがいいのではないかなと考えております。

【小川主査】
 いろいろな具体的な対案含めて出てきていますので、ぜひそういう視点でどんどん皆さんのご意見を伺わせていただければと思います。では、どうぞ。

【池田委員】
 初めのときにもお話をさせていただいたんですけれども、1クラス何人を限度とするかという児童数をベースとして考えた場合に、やっぱり学級数というのは変わってくるわけです。ですから当然、今の41人を2クラスにする定数の問題ですね。40人を定数としているのであれば、当然それは学級数が子どもが少ないということにおいて規模が小さくなっていくというのは当然のことです。ですから現状を見てみると、やはり30人ないし35人の辺りが非常に多くなってきているのかなと思いますから、そういう算定基準で考えたときに、どの程度その学校が何クラスになるのかということは変わってくると思うんです。
 私が東京都にいたときにどういうことをやったかというと、1年生から2年生に上がるときに、定数が40人ですから、実数が40人なければ、41人であれば2クラスですけれども、人間関係を変えないという意味から考えたときには、40人であったとしても2年間は仮に人間関係を保つという意味で2クラス維持をしようということをやったんです。それから5年から6年にいくについても、やはり卒業学年ということもありますから、人間関係を大事にする、または学習の安定感とかクラス経営の問題であるとかいうことがありますから、そういう意味合いから弾力的に取り扱える基準ができると、もっともっと多様な取り組み方ができるんじゃないかという思いがあるんです。ですから学級の数よりも、児童数とのかかわりの中で考えることも大事な点ではないのかなと、教育効果の面から考えて。

【小川主査】
 主査から質問ですけれども、今の教職員定数の算定の仕方というのは、小・中は学級ベースですよね。高校は生徒数ベースで、今のご提案は、各学校レベルでそういう柔軟な学習指導とか形態をつくっていく上では、今の標準法の学級数をベースとした算定よりも、やっぱり児童生徒数をベースにした算定のほうがよりいいのではないかという具体的なご提案だと理解してよろしいですか。

【池田委員】
 そこが微妙なところなんだと思うんです。結局、制度化してしまうと、制度の制約というのはどっちもあるわけです。児童数についても制度の問題があるし、要するに40人1学級という形でやって、少なくなったところについてはどう手をやるのかというところの弾力的な取り扱いを、制度としてどうできるのか。そこのところを考えてもらえればありがたいという意味です。

【小川主査】
 なるほど。今の学級数をベースにしながら算定したものを、もっと自由にという選択肢も当然あるわけですので、わかりました。あとは、髙岡委員、貞広委員ということでよろしくお願いします。

【髙岡委員】
 ありがとうございます。私は今までの皆さんのお話を伺っていて、それからこの論点整理、非常にうまくまとめていただいているので、非常に頭の中が整理できてきたんです。それで、通学距離と時間の問題というお話もおおむね理解できます。したがって、適正配置、そして適正配置についての一定の答申が公表された後に起こるであろう、やや統廃合の方向での具体的な議論ということが気になってくるわけですが、つまり昭和31年のときに現在の適正配置に関する標準が示された。おそらくそのときにはかなりの統廃合が起こり、少数だったかもしれませんが大規模校の分化ということもあったかもしれませんけれども、状況としては12から18学級というその数字を、ここにも少し出てくるように、標準として大きくさわるような要素はやはりなさそうですし、最低限クラス替えが必要であるとか教育的な配慮という観点からいえば、例えば単級の6学級小学校も標準というような議論はおそらくできにくいだろうと思いますし、することもおかしいと思います。
 したがって、数字の上では変わらないんだけれども、変わらないということを改めて公表すること、そしてそれが指針であるとここで言うことによって、大きく統廃合の方向にかじを切らざるを得なくなってくる市町村が見えてくるんです。そこの裏をどうするかという問題です。そうなったときに、本当に統廃合でいくのか、それとも小規模校のメリットあるいはデメリットどちらがあるにしても、後から出てくるようなメリットをどうやって生かすか、デメリットをどうやって解消するかという、そこに私は教育的観点というものが本来はあるんじゃないかと思うので、教育的観点から適正規模がどうかということももちろんありますけど、この数字が出た後にそれぞれの市町村、それぞれの地域がどういう教育的な配慮を持って自分たちの学校を維持していくのか、あるいは思い切って統合の方向に行くのかということが、この議論の結論として少し想定される必要があると思うんです。
 そういう意味では、もう距離ではなくて通学時間という形で結論を出されるということも、それから規模についても現状の規模を再認識するという結論になることもやむを得ないだろうし、それが全体としては一定の方向だろうという気がいたしますけれども、その先の問題をぜひ検討していただきたいなと思います。

【小川主査】
 重要な指摘だと思います。貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】
 ありがとうございます。ここの中で、今標準が12学級以上18学級以下ということになっていて、これが昭和31年に決まったということですけれども、このときとの大きな違いは少子化というだけではなくて、人口動態の地域間格差がそのとき以上に拡大していて、地域の特性によって統廃合の在り方が大きく異なる、一様には語れないという状況が広がっているんだと思います。そういうふうに考えると、ここの場で議論するべきことは、一定のスタンダードとか標準ということではなくて、むしろ今日の資料3のところにもありますけれども、考え方も示していく。あくまでも標準は12から18学級という今の現状を維持した上で、でも考え方として小さな学校をどうしていくかということをどれだけ我々が情報として提示できるかというところが大事だと思います。
 非常に慎重に資料3の単語が書き分けられているなという印象を私は持ったんですが、資料3の1ページ目の一番下の丸の部分に、ここのナショナルミニマムとして云々、国としては何をするかというのが、「学校の適正配置についての考え方を示す」と書いてあります。その上の丸のところには、「当該都道府県の事情を踏まえた適正配置の指針等」と書いてあるんです。国はやはり実際に教員配置を行うわけではありませんので、考え方を示すということでとどめて、だからこそ財政問題も入ってくるし、教育的な観点も入ってくるしということになると思うんです。そして、ある程度地域間の特性を配慮できる都道府県が指針を出す。これも指針を出してくれることが望ましいという考え方として、ここの作業部会として示していくことができると思うんですけれども、標準ということにこだわるよりも、むしろその考え方の書き込みや集約ということのほうが重要なのではないかと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。1の柱についてはそろそろ時間も来つつありますので、1に関して発言予定の方は、角田委員でよろしいですか。じゃ、よろしくお願いします。

【角田副主査】
 ありがとうございます。標準が12学級から18学級ということでいくと、多分そんなに今までと変わらないわけだからいいだろうと思っていながら、これがやっぱりひとり歩きをするというか、これに縛られてきて統廃合が進んでいく可能性というのは十分あるんじゃないかと私は思っています。
 私は、学校の現場として12学級というのは標準ではあるけれども、望ましい姿ではあまりないと思っているんです。つまりここでは、クラス分けをすることによって子どもの固定化を防ぐということで12学級を標準としているけれども、教師集団という考え方からすると、2学級は必ずその先生同士の間で年齢の上下差が出てくる。特にこれから若い先生が多くなってくると、ベテランの年寄りの先生、若い先生となってくると、そこに意外な問題が出てくるんです。これが3であれば、比較的その間に、緩衝帯といいましょうか、あるいは3人がグループを組むことによっていろいろな意見が出てくるということ、もちろんそれは2学級、学年だけじゃなくて、もう少し低中高という分け方をすれば、いろいろな解決の仕方はあろうかと思いますけれども、2という学級が必ずしも理想的な姿ではないんじゃないかと私は思っています。
 そうなってくると、むしろ例えば18学級が望ましい姿ですよと。そしてその前後、これは多けりゃいけないというわけじゃないだろうと思うんです。21学級あったって、別に問題はないと思っていますので。そうすると、その辺の12から18が標準であるという表現を、18学級が望ましい、あとはそれぞれの地域、地方の自治体が考えればいいことだということも1つあるかのかなと思います。
 それと同時に、1学級の規模を今はあくまでも40人という前提できているけれども、実際にはもう各地方自治体で30人であったり33人であったりして、教職員定数の問題はさておいても、そういうふうに学級の定数を変え始めてきているわけです。場合によっては、僕はこれは20人の学級があってもいいだろうと思うんです。
 そして複式学級はなかなか難しいけれども、もう少し学級というものの考え方を変えていくという、それはそれぞれの自治体にお任せをするんだと。望ましい姿は1学年3学級で、18学級ですよと。そしてあとは、学級の1つの規模は、それぞれの地域に合った形で編成してもいいんじゃないか。そこら辺は地方の自治体に任せる、あるいは学校の判断に任せる。
 やがては、これは地方分権の考え方が進んでくれば、それぞれの学校が学級編成というものを考えて、20人学級がいいのか、25人で線引きをするのかじゃなくて、20人が適切だから20人でいいけれども、事によっては、先生によっては24人までいいですよとか、あるいは10人未満ではちょっととかと、これはいろいろ先生の能力の問題などが出てくると困るんですけれども、何かきちっとした線引きじゃなくて、もう少し幅のある線引きの仕方で学級集団というものをとらえる必要が、まさにこれが教育論としての学級の在り方なのではないだろうかと思うんです。そういう意味では、12から18学級というのを標準というふうな言い方をするのではなくて、もう少し違う言い方のものができはしないだろうかというのが1つの提案です。
 それから、もう1つは、4キロメートル、6キロメートルということについても、小学校の4キロと中学校の6キロが本当に適切なのかどうかということについては、幼稚園に行っていた子どもや1年生が4キロの道のりを歩いていく。大人だって、やはり1時間はかかる。統廃合してということは、農山漁村だったり、あるいは都市部の交通の激しいところであったりというようなことで、安全の問題を考えなきゃいけない。そうなってくると、この4キロ、6キロという問題も、一応の目安としてはそうだけども、しかしこれが、走り始めて4キロだからオーケーなんだという考え方は、僕はもうちょっと考えていかなきゃいけない、低学年の場合だったら、4キロというのもかなり難しい距離なんじゃないだろうかと思います。
 したがって、距離と時間を併用したような考え方だとか、あるいは場合によっては、昔あったような分校というふうな制度を残して、4年生になったら本校に通えるようになるんだという希望を持たせるというふうな、そういう含みがあるような表現もできるのではないだろうか。あるいは、そういうふうにしたほうが、本当に子どものためになるのではないだろうかという感じがするので、こういう数字を入れるということについて、もう少し弾力的な表現にできないだろうかということをまた検討していただければありがたいなと思います。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。標準という内容をどうとらえるかということだけでも、いろんな方から議論が出て、今までの議論では、ある考え方に収れんさせていくというのはかなり難しいんですけれども、このままこの問題で議論していくと、これだけで終わってしまうような感じがしますので、今日はまず、全体にどういうふうな検討すべき課題があるのかということを各柱ごとで一度総ざらいしてみて、今日出てきた重要な検討すべき課題については、また次回以降、時間をとって少し深めていくという形でやらせていただきたいと思います。
 1、2について、他に何かご意見ございますでしょうか。はい、どうぞ。

【山重委員】
 ここで国としての例えば標準だとか適正を決めるということの意味は、その目標を例えば、何々が望ましいということを打ち出したとすると、その実現のために国は努力をしなければいけないということになって、そこに国の関与の在り方が問われることになるというふうな位置づけで私はとらえているんですけれども、それでよろしいんですか。ただビジョンとして、これぐらいが望ましいねという話ではなくて、実は、ここで目標なり標準を設定するということは、その背後に国が何をやらなければならないかということが出てくるという理解なんですか。それはそのような考え方でよろしいんでしょうか。

【小川主査】
 これは事務局のほうにお伺いしてよろしいでしょうか。

【佐藤教育制度改革室長】
 先生に今ご指摘をいただいたように、ここで基本的な、例えば国の役割とか都道府県の役割、市町村の役割といったことが、先ほどご説明をさせていただいたように、まさに1つ目の論点、背景・意義を考えるに当たってどうかというところにも入ってございますので、こういった点での役割をご意見として集約いただいて、そういったときにどういう形で役割を果たしていくかというのは、我々としても、またいただいたご意見を踏まえて対応していくということになろうかと思いますけれども。
 この問題を議論していくときに、基本的に、まずどういう役割分担でいくのかというのが1つ大きな論点になろうかと思います。その上で、標準や通学距離というのを、現場でお考えいただく部分と、我々としてお示しをする部分と、そこもいろいろ役割分担のもとから出てくるだろうと思いますので。

【山重委員】
 微妙なところでした。ありがとうございます。

【小川主査】
 では、角田委員、どうぞ。

【角田副主査】
 大変小さいところで恐縮なんですが、小さいとは申しわけない、この資料の3ページのところの「通学距離等の児童・生徒への影響」の2つ目の○のところで、「また、バスの場合、長時間通学でのストレスは確認されていないが」という、これは学芸大学の朝倉先生のヒアリングのときにお話をいただいたものなんですけれども、このときの条件が、私が質問をして、「例えば雪が降ったとか、気候が寒いときだとかというときにはどうだったんですか」と言ったらば、「いや、そういうときは調査ができませんでした」というお話だったんです。つまり、大変条件のいいときだけのデータなんです。そういうことがもとになってくると、やっぱりこれはちょっと問題だなと思うんです。子どもは、1年間ずっと通して、あるいは6年間通して通っていくわけですから。だから、ストレスは確認されなかったというのは、その時期に確認されなかったということであって、これを読んだ人はみんな「ストレスは確認されていない」というふうに読んでしまうといけないと思いますから、この辺は先ほどの問題も含めて、もう少しキロの問題、それからストレスの問題というのは、慎重に扱っていく必要があるだろうと思っていますので、書き方についてはよろしくお願いしたいと思います。

【佐藤教育制度改革室長】
 座長、よろしゅうございましょうか。

【小川主査】
 はい。

【佐藤教育制度改革室長】
 今の角田先生のご指摘について、ごもっともでございまして、その点を踏まえて、実は4ページの一番上に、安全などの観点から、さらに地理的な事情や降雪などの部分といった点も考慮することが必要というご意見もありまして、こういった点も総合的に判断をしていかなきゃいけないだろうと考えてございますので。

【小川主査】
 3ページのところは、確かに朝倉さんの調査に基づいた記載ですので、もし報告書を書く場合には、その調査はどういうふうな条件でこういうふうなデータが出てきたかということは、きちっと明記はしておいたほうがいいかもしれませんね。今、角田委員がおっしゃったように、誤解というか、数字だけがひとり歩きする危険もありますので、それは報告をまとめる際には、少し配慮をさせていただきたいと思います。
 他、1、2についてはよろしいでしょうか。非常に短時間でしたけれども、各委員から、非常に重要なご指摘と、検討すべき課題等々についてのご意見もかなり出てきましたので、これは先ほど言いましたように、次回以降もう少し整理して、それぞれの個別の課題については、さらに時間をとって少し踏み込んだ議論をさせていただければと思います。
 では、時間もありませんので、次に、3と4をセットにして、30分ほど時間をとってまた皆さんからご意見を伺いたいと思います。これもどうぞご自由にご意見を出していただければと思います。
 では、荒瀬委員、どうぞ。

【荒瀬委員】
 ありがとうございます。私、会議自体を大変よく抜けているので、よくわかっていないところがあるので、とんちんかんな質問をするかもしれませんが、1、2のところとも関わるんですけれども、小規模校のデメリットというのがよく出てきていますが、一方では、小規模校のメリットというのももっと強調しておっしゃる方も現実にはいらっしゃって、そこで質問なんですが、学級数とか、あるいは学級内人数とか、あるいはまた先ほどからもお話が出ていましたが、同一学年の学級担任の数だとか、同一教科の教員の数だとか、そういったことと、全国学力・学習状況調査の結果との相関などについてのお示しというんでしょうか、結果は、これこれこういうことでしたというようなお話というのは、もう既にあったのでしょうか。それとも、そういうことは実際上、全国学力・学習状況調査と、学級数だとか児童・生徒数との関係というのは、なかなか言いにくいといいますか、データとしてそういうものはないのでしょうか。その質問です。

【小川主査】
 それは事務局のほうに質問でよろしいですか。

【佐藤教育制度改革室長】
 これまでは、ここの場ではそういったお話は出ていなかったと思いますけれども、我々のほうで、まだそういったデータについては、今のところは十分精査をしてございませんので、担当課のほうに話をしてみて、どういった対応ができるかというのを、できるかどうかを含めて確認をさせていただければと思いますけれども。すいません。

【小川主査】
 どうぞ。

【荒瀬委員】
 せっかく全国学力・学習状況調査をやっていて、使われ方が、また別の意味がいろいろ出てきて世情をにぎわせているわけでありますけれども、本当に効果があるのか、ないのか、メリットがあるとか、デメリットがあるというときに、多分に経験的な感覚で言っているところが、あるいはしないかなと。私、高等学校におりますから、人数的にも全然違っていますので、なかなか申し上げにくいことが多いなと思いながらお聞きしているんですけれども、これは個人の力量というふうになっていくと、はなからこういうことを議論すること自体が無意味になってしまいますから。
 でも、少なくとも学級規模とか、そういった客観的な数字と、全国学力・学習状況調査の相関というのがあるのか、ないのか。これは、私、実際におっしゃっている教育長さんにお会いしまして、「都市部の学級数が多いところが、とても学習効果を上げるのにメリットがあるみたいに思うでしょう。ところが、そんなことはなくて、こんな小規模でもこれだけ力がつくんですよ」と。それはどうしてかというと、まさにここの3番にあるようなさまざまな工夫がなされているんだろうと思うんですけれども、そのもとになるデータみたいなことが、大変申しわけないですが、お出しいただけるとありがたいと思います。

【小川主査】
 他にどうでしょうか。
 では、加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 私、この委員会の冒頭申し上げたんですけれども、高校の進学率を考えると、小規模校で育った子どもにしても、高校に行けばそれなりの人間関係を得られますので、あまり距離にしても、規模にしても、拙速な、子どもにとって不利益変更になるようなことは、ちょっとはためらう立場なのでお話ししたんですけれども、例えば、3番の上から4つ目の○なんですが、「子どもが少人数であると、高校に進学した際に急に大きな集団の中に入ることになり、その中で自分を発揮できないことがあるなどの問題」というのは、果たしてあるんでしょうか。これは何か事実なり、調査があってのことなんでしょうか。

【小川主査】
 これも事務局のほうですか。これはご意見だったような気がするんですが、具体的なデータ云々という話での何か……。

【佐藤教育制度改革室長】
 これは、委員のご意見を拾わせていただいた部分でございます。

【小川主査】
 そうでしたね。はい、どうぞ。

【池田委員】
 実際に現場にいる人間からすれば、これはまさに実感です。例えば、小集団で1年から6年まで行きますよね。そうすると、人間関係が固定さているものですから、先生がどんな指導をしようと、要するに池に石をポンと投げて波紋が立つか、立たないかというようなレベルの問題にまで発展することがあるんです。私も、3年生から6年生までクラス替えがなくて、6年生の1つのクラスをピンチヒッターで持ったことがあるんですけれども、もう話が通らないです。人間関係が固定しているから、だれだれさんが弱いとか、強いとか、勉強していいとか、悪いとか、そういうものは全部わかっちゃっていますから、それを先生がどんなに努力をしようと、なかなか変わらないです。
 ですから、その部分というのは、現実の問題として大変な問題なので、これを何とかしなければいけないというのは、今の学校にでもあります。また逆に、保護者の関係の中にもそれができてしまう。だから、それは現実の問題として大変な問題だと思います。

【小川主査】
 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
 それが高校に進学したときに、本当に自分を発揮できないようになるのかということなので、私も小さい中学校などを知っていますけれども、生き生きとして、今まで参加できなかった部活動とか、伸び伸び実力を発揮していい結果を残しているんだろうなという印象が、私はあるんですよ。

【小川主査】
 その辺は、データに基づいてきちっと記載しろというご指摘かと思いますので、報告書をまとめていく過程では、少し慎重にやらせていただきたいと思います。
 他にどうでしょうか。3、4にかかわって、特に学校現場で小規模等々のご経験のある方もいらっしゃるかと思いますけれども。はい、どうぞ。

【角田副主査】
 今のことに関係するんですが、私は、昔、へき地を担当したことがありまして、特に島にいる場合に、小学校、中学校は単級だとそのまま上がっていっちゃうんです。そして、高校がその島にないと、必ず島を出なきゃならない。出た子どもが、都会に出てきたり、あるいは高校のある島に行ったときに、やっぱりコミュニケーションがなかなかとれないという状況が事実、あったんです。
 これは、全国的にそうなのかどうかということはわかりませんけれども、したがって、島の子どもたちからすると、あるいは先生方の一番の課題が、コミュニケーション能力をつけるということだったんです。それは、今の学習指導要領での表現力を高めるということと非常につながってくるわけですけれども、日本人だって、全体として今度世界を見ていたら、やっぱりコミュニケーション能力がないという、それの非常にミニチュア、小さな形で、島から大都市に出てきたときに、表現力がなくてなかなかみんなの前で話ができないことがあったという経験はあります。
 したがって、これは具体的なデータがちゃんとあるわけでないから何とも言えないんですが、そういう傾向はあるし、島の先生方の大きな課題が、コミュニケーション能力をつけるということであったということは事実だと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、髙岡委員、そして大嶺委員ということでやらせていただきます。

【髙岡委員】
 今のお話、角田先生のお話もよくわかります。地方の小さい学校で、親御さんが、今、わりあいに統合という方向へ、昔に比べるとやってほしいという傾向が強くなっているそのベースにあるのは、切磋琢磨だとか、競争とかいうことからうちの子がちょっと取り残されてしまうんじゃないかと。だから、それもやっぱり身につけてほしいから、できるだけ学校を大きくしてもらえるといいと。これは、もう全然様変わりです。
 構図で言うと、そういう保護者の意向と、昔で言えば、それをどちらかというと地域社会のほうが、昔からあった学校をなくすなどということはけしからんというので、言葉は悪いですけれども、押さえつけていたものが、いや、親御さんがそう言うのならといって、地域社会のほうがちょっと妥協するようになった。何かそういう印象あるので、先生方のおっしゃっているお話はよくわかるんです。
 ただ、私、これは小規模校と大規模校のメリット・デメリットというのを、もう皆さん、当然そうだというご理解はあるわけですから、あえて言うほどのことじゃないんですけれども、小規模化をすることによる小規模校のメリットは、大規模校のデメリットでしょう。逆は、また一緒ですよね。つまり、ある意味で、言葉の整理。それが実態と実感にどれぐらいつながっているかという話は、私は、データによって証明できないと言えないというほどのことではないような気がするんです。先ほどおっしゃった実感ということを大事にすればいいんじゃないかなという気がします。
 言葉だというふうに考えれば、次の段階では、小規模校のメリットを生かしながら、じゃあ、デメリットをどう解消していって、小規模校として維持していきながら学校を存続させる視点を構築するか、あるいはそれを共有するかということでしょうし、大規模校は、この間横浜のお話がありましたけれども、極大規模校になっているような、過大規模校になっているようなところはできれば分割させたほうがいいとか、そういうような議論というか、そういう答えの出し方ということが、例えばこの部会で可能なのかどうかということも少し考えてみる必要があるのではないかと思います。
 つまり、3番目、4番目の論点整理に出てくるように、統合も何ももうありませんというスタンドアローンになっている学校があって、距離で言うと10キロあります、どうしようもありませんというようなところについて、それはそれでもう放っておくしかないじゃないですかというように読めるような答えになるのか、それとも、そこにどういう手当てをするかということをもって、適正配置ということを維持していく国全体の、あるいは都道府県の判断を表明できるかということではないかと思うんです。その論理の分厚さが、私は、教育論的な議論ということになるんじゃないかという気がするんですが。

【小川主査】
 一応、この報告の中では、そういうさまざまな諸条件で統合できない小規模校への対応の可能性、具体的な方策、その辺のところは少しきちっと議論していきたいというスタンスには立っているかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 では、大嶺委員、よろしくお願いします。

【大嶺委員】
 では、また現場ですので、具体的な話で恐縮なんですけれども、私は、小規模校の経験は全くありません。でも、イメージすると、人間関係が煮詰まっていってしまったときに、子どもたちはどうなってしまうんだろうなと。特に、今の子どもたちは、何か課題があったときに、いろいろ働きかけてはいますけれども、それを乗り越えていくだけのたくましさというのがなかなか身についていかないんです。そうなったときに、彼らは、逃げるしかないと。逃げるのは何かといったら、不登校という形で逃げていくしかないという状況に追い込められていくのではないかなと考えています。
 私の場合は、大規模校経験が結構多いものですから、1学年7学級とか9学級というところで結構やってきていますので、そういう大きい学校では、1学年に1つの、私は社会科ですけれども、その教員が学年に2人いるんです。そうすると、3年間の中学校生活の中で、全く教えない子が出てきてしまうという状態も出てきます。ですから、学級編成をし直すときに、学年が上がっていくときにクラス替えをするわけですけれども、学年の会議の中で子どもたちの組み合わせをしていくときに、全く知らない子たちをどういうふうに組み合わせをしていったらいいのかという問題があります。
 それから、何回か前に、スモール・イズ・ビューティフルという言葉が出ましたけれども、本当にすばらしいすてきな言葉だなと思います。それと同時に、でも大変だなと。大きい学校は小さくできるんですよ。どういうことかというと、大きい学校だと、今、いろんな形で学習形態、グループに分けたりとか、少人数にしたりとか、いろいろパターンを組んで、教科によって、この教科に関しては、少人数でやっていったほうが効果が上がるから小集団でやっていきましょうというのが教科に応じてやっていける。もちろんそれは人的な配置ですから、予算措置というのは必要になってくるわけですけれども、それができる。
 ところが、大きい学校は小さくすることはできるけれども、小さい学校は、膨らませていくことがなかなかできない。その辺のところをどう考えていったらいいのか、どういうふうに支援していったらいいのかというのは、やはり考えていかなければいけないだろうなと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 他に。はい、どうぞ。

【池田委員】
 学校というところは、例えば特別活動などの学校行事をやる場合に、大体どこでもやっているわけです。運動会はありますし、学芸会だとか、展覧会だとか、さまざまな行事はやりますよね。小さな学校であろうと、大きな学校であろうと、必ずやることなんです。そうすると、そこでどういうことが起こってくるかというと、大きな学校だったら、先生も多いですから、役割分担というのはかなり少なくて済むんです。ところが、小さな学校というと、当然1人の人が何役も担わなきゃならないという状況に陥っちゃうわけです。
 そうすると、本来、教材研究だとか、さまざまな部分でやらなければならないことがあるにもかかわらず、それが1人の先生に何役もかかってくるということは、当然そちらのほうに時間が割かれてしまって、効果的な教育活動はできないという状況に陥る可能性もあるわけです。すべてがそうだとは言いませんけれども。だけど、そういうことというのは確実にあるわけですので、学校という状況を考えていただいたときに、規模の大小というのは、それだけ教員の負担の過多といいますか、差があるというふうにお考えいただいたほうがいいのかなと私は思います。

【小川主査】
 では、貞広委員、どうぞ。

【貞広委員】
 ありがとうございます。荒瀬委員から、経験値というよりも、データで出るものはしっかり出していって、そこから議論を始めなきゃいけないというご意見がありました。まさにそれに賛成するんですが、その一方で、今日、「学校規模によるメリット・デメリット(例)」として出されているこの事務局が用意してくださった資料ですけれども、こういう質的なものも、別に思いつき的に書いていらっしゃるわけではなくて、おそらく各地域での審議会などの答申を書くに当たって、各地域の現場の先生方に丁寧にヒアリングした結果を集約してくださった質的なデータだと思うんです。ある意味、経験値としてしっかりと裏づけになるものだと思います。
 私自身も、学校規模に関する調査をしているんですが、教育活動は数値化できるものばかりではありませんので、こういう聞き方をします。それで質的にデータを集めるんですけれども、やはり小規模校のデメリットというものが払拭しがたいものとして、特に学校経営と子どもの人間関係という観点で確実にあるんです。そうすると、これはただ書いているというのではなくて、ある意味、客観的な質的なデータだというふうに共有したところからこの議論を始めたほうがいいのではないかと思うんです。そうすると、望ましい規模というのはこれぐらいだけれども、では小規模のデメリットがある場合には、我々はどうしたらいいのか、国はどうしたらいいのかというような議論の筋道になってくるのではないかと思います。
 今日、先生方のご意見からも出たように、かなり書き分けてくださっているメリット・デメリットと重複する部分が、数分間お話をしていただいただけでも非常に多くあるので、これはかなりリアリティーがあるものなんだというとらえ方をしたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 3、4にかかわって、他にご意見ございますか。では、山重委員、角田委員の順でよろしくお願いします。

【山重委員】
 今までの流れからちょっと外れてしまうんですが、統合がなかなか難しい小規模校への対応ということを考えたときに、前もちょっと申し上げたんですけれども、市町村内だけでの施策では難しいところがあって、やはり都道府県が一定のイニシアチブをとりながら、特に山間地域の小・中学校の、例えば交流だったり、あるいは統廃合におけるお手伝いだったり、そういったことをやっていかざるを得ないし、それがまた望ましいケースでたくさん出てくるような気がするんです。そういう意味では、先ほどの話の続きになりますけれども、都道府県の役割というのをもう一度考えておくというのは非常に重要になってくるのではないかと思います。
 1つお伺いしたいのは、都道府県立の小・中学校というのは、理論的にできるんですか。

【佐藤教育制度改革室長】
 ええ。中学校、高校はございます。

【山重委員】
 そうですか、わかりました。

【佐藤教育制度改革室長】
 中高一貫の場合。

【山重委員】
 中高一貫の場合には、それができると。

【佐藤教育制度改革室長】
 はい。

【前川審議官】
 いや、中高一貫でなくてもできますけれども。

【山重委員】
 そうですか。小学校はできる?

【前川審議官】
 小学校もできます。

【山重委員】
 できるんですか。

【前川審議官】
 設置義務がないだけで。

【小川主査】
 すみませんが、マイクを使用してご発言していただければと思いますが。

【前川審議官】
 すみません、不規則な話をしまして。都道府県は、どの学校もつくれます。幼稚園から大学まで全部つくれます。ただ、設置義務が課されていません。都道府県に設置義務が課されているのは、特別支援学校だけです。市町村に対しては、小・中学校の設置義務が課されている。市町村も、幼稚園から大学まで全部つくれます。

【山重委員】
 はい、そちらは。
 最後に、いいですか。

【小川主査】
 はい。

【山重委員】
 もしかすると、そういうことを考えなければ、つまり市町村では、うまく子どもたちの教育ができないというような環境にある市町村もあって、その場合には都道府県が一定のイニシアチブをとって、もしかすると自前で学校を設立し、子どもたちを集めるということが必要になってくるのかなと思ったものですから、やっぱり都道府県の役割というのをもう一度改めて考える必要があるのかなというをのを今、ちょっと思いました。

【小川主査】
 では、角田委員。

【角田副主査】
 先ほど、大嶺委員から、小規模校で少人数の場合、人間関係が煮詰まったときはどうするのかと。実は、煮詰まらないんですよ。つまり、煮詰まっちゃったらば、もうその学級から出ていかなきゃならない。だから、彼らは生活の知恵で、私も自分で実際に担任した経験ではないんだけど、先生方から聞くと、煮詰めないように工夫するというんです。だから、話題を変えるとか、争いは避ける、だからディスカッションはできない、だからコミュニケーション能力が育たない、こういう論理なんです。だから、その辺のところが小規模校の、人数が少ないからメリットのようでいながら、争いごとがなくてとってもいいようだけれども、序列をつくっちゃうと、その序列がもう崩れないわけです。小学校から中学校、あるいは幼稚園からずっとその序列で来ているので、その序列は明らかにしないように、うまく彼らが人間関係を調整して育っていく。だから、そこでディスカッションやコミュニケーション能力は育っていかない。
 じゃあ、小規模校は全然メリットがないのかというと、そうじゃなくて、やっぱり毎日が総合的な学習みたいな感じなんです。先生とものすごい密接な関係で、ムササビが入ってきたからと、ムササビをずっと飼ってみたり、今日はちょっと河原へ行って魚釣りをしてくるとか、もちろん教科の勉強もするんでしょうけれども、そういう先生との密接なかかわりはあるけれども、コミュニケーション能力が育たない。
 じゃあ、廃校しなきゃならないのかというと、私は今、山重委員がおっしゃられた、これからは交流だと思うんです。特に、今回の新しい学習指導要領で、自然体験であるとか、あるいは宿泊体験を重視しようと。だから、都会の学校と農山村の学校、小規模校とが宿泊体験、交流をするということ、これは今の視聴覚だとか情報教育を使えば、ふだんからテレビ交換をやっておいて、そしてある時期になったら体験交流をすると。そういうふうなことの人為的な措置や、あるいは施設設備といったようなものを、きちっと小さな学校につけてあげれば、小さな学校であっても、自分の学校の子どもたちとはディスカッションは避けるけれども、都会の子どもたちとはきちんと情報交換ができるだろうと。そして、その子どもたちが、自分の住んでいる地域のことを知っているかというと、意外と知らない、説明できないという子が多いんです。それを都市部の子どもに説明してと言われたときに、初めてその地域を見直すことができるというふうなことを言っています。これは、都会の子どもも同じだと思う。自分たちが住んでいる地域がどういう地域なのか、なかなか説明する機会がない。ですから、山村の子どもたちと交流することによって、そういう能力が出てくるというふうに話をしています。
 ですから、もっと知恵を働かせれば、小さな学校であっても、これからの情報の時代には、十分コミュニケーション能力も育てられるし、体験も広げることができるし、小規模校のメリットが発揮できるのではないだろうかと思っていますから、この辺は、その辺の知恵をしっかりと国として提言する。それにお金をつけるのは地方ですけれども、しかし地方が財政逼迫していたら、やっぱり国としてそういう地域に対しては、市町村立の学校であるけれども、それこそ特区のような形でちゃんと人をつけたり、施設をつけるということが、これからの教育では大事なんじゃないだろうかという感じがしています。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 ありがとうございます。先ほどから何人かの方のお話を伺って、小規模校の話が出てきたので、今回の適正規模の話とどう結びつくのか、私は頭の中であまり整理がついていないんですよ。
 先日、宮崎県の五ヶ瀬町というところに行ってまいりました。ここにいらっしゃる方で何人かご存じの方がいらっしゃると思いますけれども、そこでは小学校が4校、中学校が2校あるんですけれども、ある一定の時間は、小学校なら4校全部集めて、そこで学級規模を維持して、授業によっては40人でやってみたり、あるいは極めて少人数の指導をやってみたりというようなことを今、実験的にされているんですけれども、何が言いたいかといいますと、大きい学校は小さくできるけれども、小さい学校は膨らますことはできないと大嶺先生はおっしゃいましたが、そういう連携の発想というのも、文科省の方には標準法の抜け道なんだとか、そういうふうなことも言われたと教育長さんから伺いましたけれども、そういう連携という発想もどこかに盛り込むことができないのかなと今考えて、先ほどからのお話を伺っていったので、もう少し頭の中で整理ができたら、また改めて発言したいと思います。

【小川主査】
 今までは、小規模校のメリット・デメリットのところに議論が集中していますけれども、3と4にかかわっては他にも幾つか論点がありますので、他の論点でも何かご意見がある場合には、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 山重委員、まずどうぞ。

【山重委員】
 申しわけありません。1つだけ、ちょっと細かい質問なんですが、先ほど、都道府県が小・中学校を設立するのはできないということはないという話だったんですが、そのご説明の中で、義務がないということだったんですが、逆に言うと、市町村は設置する義務があるということですか。

【前川審議官】
 そうです。

【山重委員】
 ということは、例えば3つの市町村の子どもたちが1つの都道府県立の小学校に行くということは、あり得ないシナリオなんですね。つまり、子どもたちがいる限り小学校を設置しなければいけなくて、市町村で共同して都道府県立の小・中学校をつくることはできないということなんですか。

【小川主査】
 では、お答えいただけますか。

【前川審議官】
 市町村は、みずから設置しなくても、他の自治体の学校に行かせるということで責任を果たすことはできるんです。

【山重委員】
 できるんですか。ああ、そうですか。

【前川審議官】
 ですから、義務教育ですから、とにかく教育機会が確実になければならない。原則、その市町村には、その市町村内の児童・生徒のために学校を設置するという義務を課しているわけですけれども、その市町村が設置しなくても、隣の市の学校に通わせることができると。
 ただ、今の条文は、他の市町村と言っているだけで、都道府県が設置することは予定していないんです。隣の市町村の学校に行かせるとか、あるいは隣の市町村と共同で一部事務組合をつくって、自分の町ではないところに学校をつくるということはあり得るんですけれども、今の法律上は、都道府県につくってもらって、そこに行かせるということまでは予定していないです。市町村に設置義務があるというところから始まっているわけです。

【山重委員】
 わかりました。多分、非常に極端な例だと思うんですが、本当に財政力のないところだと、そういう市町村が他の自治体にというのはなかなか難しい状況もあるので、やっぱり都道府県が入ってきてというのも理論的にはあり得るのかなと思っているので。わかりました。ただ、義務教育の機会が保証されるということが基本的には考えとしてあるということで、制度上は比較的柔軟に対応できるはずだということですね。

【小川主査】
 その確認だけでよろしいですか。その後に、何かいろんなご意見があるようにも思うんですが。

【山重委員】
 可能であれば、先ほどの都道府県が仕方ないから、ある地域に1つの小・中学校を設けてそこに来てもらうというようなことも制度上可能であれば、それはいろいろな対応がこれからできるかもしれないというのはちょっと感じており、もし今の制度が何らかの制約になってなかなか統廃合ができないということがあれば、それを改善する工夫というのも考えてもいいのかなと。具体的には思いついていないんですけれども、その点だけ。

【小川主査】
 わかりました。
 よろしいでしょうか。3、4のところの議論にかかわって。今日の時点では、このくらいでよろしいでしょうか。特に、小規模校のメリット・デメリット、大規模校のメリット・デメリット等を中心にして議論されました。
 ここで出された意見については、私のほうでまとめる時間もありませんのでまとめませんけれども、基本的にはこうした定性的なデータベースにしてまとめながらも、可能であれば、先ほど何人かからご意見が出されたように、いろんなデータで使用可能なものがあれば、少しその辺も加味しながら、この辺の議論を補強するような作業をやってみてもいいのかなと思います。
 では、時間も大分なくなっているんですが、最後の5のところです。その他、適正配置の検討にかかわって留意すべきこと、ないしはこれまで議論されてこなかったような課題等々について何かご意見等がありましたらどうぞ。あと10分か15分ぐらい、時間があまりありませんが、何かご意見があればどうぞ。はい、どうぞ。

【髙岡委員】
 何度も申しわけありません。最後のところ、論点整理はかなり明確になされていますので、それの上塗りみたいな話なんですけれども、統合の方向へ、標準数というものがある程度本作業部会から上がって全国に表明されたときに、やはり統合の方向が加速する可能性はあるわけですから、当然、その裏打ちをきちんとしていくこと。と同時に、先ほどから私が申し上げていることは、そうできない地理的条件、物理的条件のところの手当て、そしてさらには、その中間ですね、どうするのかということを地域がしっかり考える、隙間といいますか、それが書かれる必要があるだろうという意味で、この最後の項目のところに出てくる、もし統合を進めていくという方向で一定の判断をされる市町村については、やはり一貫教育とか、学校運営協議会というようなものを積極的に導入して、当たり前のことですけれども、統合が単に学校を1つにまとめるということだけではない、これを機会にきちんとした地域と学校の関係というものをつくってもらえるような道筋といいますか、それをぜひ提示していただきたいなと思うんです。
 そのための具体的なバックアップとして、たしか激変緩和というお話も前回ございましたけれども、そういうものも積極的に使っていくんだというようなことを、ぜひ答案の中に入れていただきたいなと。
 それから、先ほど来出ておりますように、学級の規模についても柔軟な対応ができるんだという、できるというのは、裏打ちは、国が教員を派遣しますという話かどうかははっきりしませんけれども、一定の学級規模の柔軟な運営体制というものも一定期間は可能なんだというようなことを、統合の方向へ向けては積極的に書いていく必要があるんじゃないかと思います。

【小川主査】
 他、どうでしょうか。
 私、事務局のほうに質問なんですけれども、8ページ、9ページにわたって、小・中学校の連携ということも少し視野に入れて、適正配置の話も検討すべきだという指摘があるんですけれども、今度の教育基本法の改正でも、小学校、中学校というふうなことではなくて、9年の義務教育、そしてまた学校教育法の改正でも、義務教育の目標も記載されていますよね。ですから、例えば教職員の定数の在り方についても、小学校、中学校を個別の積算とともに、小中一貫の場合には、それ固有のいろんな取り組み課題とかがありますので、例えば基本法改正とか、学校教育法で9年間の義務教育というようなところが、小中一貫の新たな規定ということを踏まえて、少し定数を含めた新たな見直しということは考えられないですか。やっぱり、それは小学校、中学校それぞれの準用というようなことで処理するのか。私自身は、小・中の一貫教育で9年間の学校をつくるというようなことであれば、それに適応する独自の点数算定等々を考えてもいいんじゃないかと思うんですけれども。

【前川審議官】
 この作業部会で、引き続き、小中一貫の問題も議論していただくことになりますので、また改めて今のご指摘の点も含めてご議論いただければと思うんですけれども。
 今の標準法は、小学校と中学校とは別物だという前提でできていますから、小学校と中学校が1校ずつあれば、校長は1人と定数を算定しますし、それぞれに、別々に事務職員なり、栄養職員なりというのを算定するということになるわけですけれども、養護教諭などもそうですけれども、それを1つにすることで合理化できる部分があって、それをまた条件整備に使えるという、そういう工夫というのは成り立ち得るだろうと思うんです。ですから、校長は2人ではなくて、1人にするかわりに、副校長あるいは教頭の定数を増やすというような。
 今の標準法は、校長は校長で計算して、副校長・教頭は教諭と1つのところの中で計算していますから、今の標準法はそういうふうになっていないんです。校長の定数と、教頭と教諭を1つにした定数とという分け方になっているのは、その辺は小・中を一貫させたときに、例えば校長が2つの学校を兼ねるというようなことにした場合には、必ずしも算定方法がマッチしないという問題があると思うんですけれども。

【髙岡委員】
 減りますからね。

【前川審議官】
 その辺は、小中一貫についてご議論いただくときにも、条件整備面について、教職員の配置の面でどういう見直しをしたらいいかというようなことについてもご議論いただければと思います。

【小川主査】
 他にどうでしょうか。
 どうぞ、荒瀬委員。

【荒瀬委員】
 もう既に出ているといいますか、皆さんおっしゃっていることと重なるんですけれども、9ページの最後のところに、「過疎地域では高等学校の存続も問題となっており」という、これも問題となっているのは、何で問題になっているのかというと、まさしく教育条件の問題というのもあるんですが、どちらかというと、やっぱりお金の問題が大きいと思うんです。
 だから、教育ということを考えていくときに、もちろんお金は関係なしで何でもやってしまおうというのは不可能なんですけれども、工夫をするというのも当然必要で、その工夫の中の1つとして、統廃合というのもあるんだとは思いますが、まずこれからのこの国を担っていく若い人たちをどんなふうにして育てていくのかという、教育の観点から考えていくということを、大きく、しっかりと言っていかないと、これは感覚的な話ではなくてデータをと言っていながら、全く感覚的な話をいたしますけれども、夢が持てないですよね。そういう夢の持てない提言というのは、可能な限り出してはいけないといいますか。
 ですから、ここのところの高等学校の存続の問題というのは、京都府というレベルで考えますと、京都というのは本当に山間地域が多くて、分校がどうなっていくのかというような話もあるわけでして、ここはお金が苦しくても、次世代のために何とか出そうと、それを国としても何とか支援しようという方向で動いていくといいなということを思います。すいません、言わずもがななことでありました。

【小川主査】
 他にどうでしょうか。
 では、大嶺委員。

【大嶺委員】
 先ほどの小中一貫にまた戻って申しわけないんですけれども、前々回、和歌山県のところでも、小学校の小・小の統廃合だけではなくて、モデル校という形で小中一貫の学校をたしか設けていたような気がするんです。
 私のところも小中一貫を連携型でやっているんですけれども、特区申請を出しているところはいいですけれども、現行の法のもとでやっている小中一貫教育というのは、結構きついものがあります。中学校の教員が小学校に出かけていったり、あるいは逆のパターンがあったりとか、結構負担があります。
 これがきちんとした義務教育学校として、学校教育法で認められた学校としてなっていったときには、教員の配置や何かも大分変わってまいりますから、やはりここら辺のところも統廃合とあわせて、横だけの小・小の統廃合というのだけではなくて、縦の流れでの小・中でもつながらせていくと。特に、学校教育法の目標の部分が、小学校、中学校の目標という形で一括して書かれているということ。それからあわせて、先ほども出ましたけれども、地域との連携というところで、そういったところも加味しながら考えていってほしいなと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。5にかかわって何かあれば、また1から4も含めて、全体として何かまだ今日言い残していたことがありましたら、また1から4にかかわっても構いませんので。もう残り時間はほとんどありませんけれども、もしもご意見があればお受けいたしたいと思いますが。よろしいでしょうか。
 今日は、一応1から5まで、それぞれどういうふうな問題があるのか、特に今後さらに検討を深めていくべき課題はどういうところにあるのかということで、一応全体を通して皆様のご意見を伺いました。もう私のほうではまとめる必要はないと思いますけれども、特に幾つかの点にかかわっては、委員の間でも意見が異なるようなものもありますので、今日出てきた論点を整理していただいて、幾つかの重要な点については、次回以降、また改めて時間をとって、もう少し検討を進めていきたいと思います。
 では、今日はこれでよろしいでしょうか。それで、あと、次回以降の日程をよろしくお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございました。それでは、次回の作業部会の日程でございますけれども、今月19日、来週の金曜日でございますが、ここ、同じ第二講堂で、1時から3時ということで予定をさせていただいております。議題等の詳細は追ってご連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

【小川主査】
 では、これで審議は全部終わりました。ありがとうございました。

― 了 ―

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