近年の少子化により、一部の都市部を除いて学校が小規模化し、1学年1学級の学校も珍しくなくなっており、学年主任等が他の教員を指導する機能が低下し、また同じ教科を専門とする教員も同一学校内に少なくなっている。このような中で、教員が互いに指導力を向上させ、教員全体としての指導力の維持・向上を図るためには、学校内のみならず広く地域単位で中核的な役割を果たし得る教員が求められている。
また、教育指導体制に関連し、現在の教員の年齢構成を見ると、大量採用期の40歳代から50歳代前半の層が多く、いわゆる中堅層以下の世代が極端に少ないことから、今後、大量採用期の世代が退職期を迎えていく中で、量及び質の両面から、優れた教員を養成・確保することが極めて重要になっている。
さらに、教科等における指導力を見ても、これまでの学級単位の指導から、グループ指導、少人数指導、習熟度別指導などクラスの枠を超えて多様な学習集団に対応した指導方法に関する理解や、総合的な学習の時間の実施、選択教科の拡充など教科の枠を超えた教科指導に関する理解が必要になっており、こうした多様な指導形態・指導方法を円滑かつ効果的に実践できる教員が求められている。
このような教員への様々な要請や、各大学における大学院段階での取組みの実績等を考慮すると、当面、教員養成分野における専門職大学院については、
の目的・機能が特に期待される。
(なお、本報告における「スクールリーダー」とは、例えば校長・教頭等の管理職など特定の職を指すものではなく、上記のような社会的背景の中で、学校単位や地域単位の教員組織・集団の中で、中核的・指導的な役割を果たすことが期待される教員である。)
また、こうした機能の一環として、教員免許状を持たないまま大学を卒業し様々な社会経験を経た者等が、改めて教職を目指す場合の一つの有力な養成機関としての機能についても、学部の機能を活用しつつ各大学の判断・工夫により対応することが期待される。
このため、現時点においては、こうした機能も視野に入れつつ、ア)及びイ)の目的・機能を担う専門職大学院(以下「教職大学院」という。)に共通的に必要な要件等を検討する必要がある。
一方、上記の目的・機能のほか、隣接するものとして、例えば、
等が考えられ、今後、その重要性が高まることも予想される。
こうした機能・目的については、当面、社会的な要請を踏まえた個別大学の主体的な検討により、一般の専門職大学院として設置することも含め、先導的で、意欲的な取組みが多様に展開され、一定の実績が蓄積されることがまず重要であり、今後、そうした実績の蓄積を見ながら、必要に応じて共通的に必要な要件等を整理することが適当である。
高等教育局専門教育課