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資料2

総合施設の設置主体及び管理運営

並びに評価等のあり方について


基本的考え方

 総合施設が学校と児童福祉施設の機能を併せ持った新しい制度であること、また、総合規制改革会議の指摘(別紙)等も踏まえ、総合施設の設置主体及び管理運営のあり方としては、以下のような方向で検討することとしてはどうか。

  総合施設については、民間の能力を活用しながら、すべての地域の子どもたちに幼児教育の機会を提供すること、及び地域や保護者の様々なニーズに対応した多様な機能を提供する柔軟な制度とするとともに、教育・保育の実施に必要な安定性や継続性、質の維持・向上を図ることが求められている。
 このため、総合施設の設置主体や管理運営の委託先については、教育・保育の質の維持・向上を図る仕組みの整備等を行うこととして、可能な限り柔軟な制度とする方向で考えることとしてはどうか。


具体的検討・留意点

 「基本的考え方」を踏まえ、以下の事項について具体的にどのように考えるか。

(1) 設置主体や管理運営の委託先についてどう考えるか。柔軟な制度とする場合、具体的に検討・留意しなければならない事項は何か。
(例えば、教育・保育の実施に必要な安定性や継続性、質の維持・向上のための国及び地方の役割、具体的仕組み、公的負担の考え方 等)

(2) 教育・保育の実施に必要な安定性や継続性、質の維持・向上を図る仕組みとしては、現状の幼稚園及び保育所等における取組を踏まえた場合、以下のような事項が考えられる。

1研修
 教育・保育の質の維持・向上を継続的なものとするためには、教育・保育に従事する者がその専門性の高い職責を遂行するために、絶えず研修を行うことを奨励する仕組みが必要と考えるがどうか。
(検討内容の例)
都道府県・市町村教育委員会等における幼稚園及び保育所に係る教職員研修への参加の奨励、指導主事等の専門家による指導助言
設置者による研修の実施を支援するため、研修内容等についてのモデルプログラムの調査研究

2学校評議員制度・学校運営協議会制度等
 地域に開かれた信頼される総合施設にするため、学校評議員制度や学校運営協議会制度等を参考に、設置者の判断により、保護者や地域住民が管理運営に参画することを可能とする仕組みを導入することとしてはどうか。

3自己評価・外部評価、情報提供
 各施設において、教育・保育活動、組織及び運営並びに施設及び設備等の状況について、定期的に自己点検・自己評価するとともに、その結果についてインターネット等を通じて広く公表すべきではないか。
 また、地方公共団体等において、幼稚園・保育所と一体的に広く情報提供を行うべきでではないか。

4第三者評価
 多様な事業者の参画を踏まえ、利用者が教育・保育活動の状況を客観的に把握できるようにするとともに、各事業者の教育・保育の質の向上に係る取組を促進させる観点から、第三者による評価を導入すべきではないか。
(検討内容の例)
評価主体をどうするか。
多様な評価者(機関)の確保の方法、評価内容の質の確保をどうするか。

(3) 関連して、幼稚園の設置主体及び管理運営のあり方についてどのように考えるか。

以上


(別紙)

幼稚園及び保育所の設置主体


1.幼稚園

(1)設置主体
 学校は公の性質を有する公共性の高いものであり、子どもたちの就学の機会を確保するため、継続性・安定性が不可欠。このため、学校の設置主体については、国、地方公共団体のほか、民間の主体が参入するための制度である学校法人のみが設置することが可能(学校教育法第2条)
 この点、幼稚園については、昭和22年の学教法制定当時、幼稚園の量的普及が期待されていたこと等の理由により、当分の間、学校法人以外の主体(社会福祉法人、宗教法人等)による設置も認められている(学教法附則第102条)

(2)構造改革特別区域法における特例
 15年度から、特区において、地方公共団体が教育上又は研究上「特別なニーズ」があると認めた場合には、株式会社による学校の設置が認められることとなった。同様に、地方公共団体が不登校児童生徒等を対象とした教育について「特別なニーズ」があると認める場合には、そうした教育を行うNPO法人であって一定の実績等を有するものに学校の設置が認められることとなった。
 同時に、学校としての公共性、継続性・安定性を担保するため、特区認定を受けた地方公共団体には、学校の評価の実施や学校が破綻した場合のセーフティネットの構築など必要な体制を整備することが求められている(第12条・第13条)

2.保育所

(1)設置主体
 従前、地方自治体と社会福祉法人に限定していた設置主体の制限を平成12年に撤廃し、株式会社、NPO法人、学校法人なども設置することが可能となった。

(2)民間保育所の設置状況
 設置主体制限撤廃後の社会福祉法人以外の主体による民間保育所の認可状況は以下のとおり(15年4月現在)。
 株式会社・有限会社立28件、学校法人立26件、NPO法人立10件、宗教法人立7件、公益法人立7件、個人立26件、その他2件 合計106件



幼稚園及び保育所の管理運営

1.幼稚園

(1)管理運営
 設置者が、教育活動の事業主体として学校教育の目的を十分に果たすことができるよう、その設置する学校を適切に管理し、その運営に責任を負う(設置者管理主義)こととしている(学教法第5条)

(2)中央教育審議会答申(参考資料)
 16年3月の中教審答申(「今後の学校の管理運営の在り方について」)では、公立幼稚園の民間委託について、地域の実情や特別なニーズに対応するため、特区制度を活用して実証的な研究を行うことも考えられるとされた。
 また、同答申では、公立学校の運営に保護者や地域住民が一定の権限と責任を持って参画する学校運営協議会の制度化についても言及されている。

2.保育所

(1)管理運営
 13年の児童福祉法改正により、保育の実施への需要が増大している市町村について、多様な事業者の能力を活用した保育所の設置又は運営を促進する規定を新設(第56条の7)

(2)公設民営保育所の状況
 14年8月現在の公設民営保育所数は282。委託先主体の内訳は、社会福祉法人258件、株式会社2件、公益法人・日赤12件、その他10件。



幼稚園及び保育所の自己評価・情報提供・第三者評価等

1.幼稚園
(1)自己評価・情報提供等
 14年の幼稚園設置基準改正により、幼稚園の教育活動や学校運営の状況について、自己評価の実施やその結果の公表に努めるほか、保護者等に対して積極的な情報提供を行うことを規定(第2条の2、第2条の3)
【参考】公立幼稚園における学校評価及び情報提供の実施状況
(平成14年度間 文部科学省調査)
 自己評価 実施した 61.8%   (参考)小学校 95.6%
 外部評価 実施した 15.9%   50.6%

(2)学校評議員制度
 12年の学校教育法施行規則改正により、開かれた学校づくりを一層推進していくため、設置者の判断により、地域住民の学校運営への参画の仕組みを制度的に位置づけるものとして学校評議員制度を新設(第23条の3(第77条において幼稚園にも準用))
【参考】公立幼稚園における学校評議員及び類似制度の設置状況
(平成15年7月1日現在 文部科学省調査)
 設置済 838園  15.4%かっこ495園、 8.7%)  
 設置検討中  1,773園  32.7%かっこ2,014園、35.4%)   かっこは14年調査

2.保育所
(1)情報提供
 10年の児童福祉法改正により、保育所は、地域住民に対して保育に関する情報の提供を行うことの努力義務規定を新設(第48条の2)

(2)自己評価・第三者評価等
 12年の社会福祉法改正により、社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講じるよう努めるとともに、国においても、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講じるよう努めることとされた。
 これを受けて、厚生労働省は、保育所等の第三者評価事業が公正・適切に実施されるよう、14年に指針を発出し推進(第78条)

※第三者評価事業… 事業者の提供するサービスの質を当事者(事業者及び利用者)以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業。保育所のほか、児童福祉施設では、児童養護施設、母子生活支援施設、乳児院等も対象。



規制改革の推進に関する第3次答申(幼稚園・保育所関係抜粋)

平成15年12月22日
総合規制改革会議

5 幼稚園・保育所の一元化

【具体的施策】 ※ 尊重閣議決定対象(各省合意に至った部分)

    近年の社会構造就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設を設置する。その実現に向けて、平成16年度中に基本的な考えをとりまとめた上で、平成17年度に試行事業を先行実施するなど、必要な法整備を行うことも含め様々な準備を行い、平成18年度から本格実施を行う。【平成17年度中に措置】

【現状認識及び今後の課題】 ※ 尊重閣議決定対象外(各省合意に至らなかった部分)

(1)   少なくとも構造改革特区において直ちに講ずべき措置
   構造改革特区において多くの提案が寄せられている事項(第1次・第2次の提案を合計すれば、文部科学省関係が50項目、厚生労働省関係が60項目。6月、11月の「規制改革集中受付月間」においても、それぞれ構造改革特区の提案は28項目、11項目、全国規模の要望は9項目、32項目。)であることにも鑑み、幼稚園と保育所については、職員資格の併有や施設設備の共用を進めるのみならず、少なくとも構造改革特区においては、両施設に関する行政を一元化し、施設設備、職員資格、職員配置、幼児受入などに関する基準を統一化すべきである。
 また、行政の一元化、基準の一元化に到達する前段階として、幼稚園と保育所のどちらか一方のみに課されている規制について、緩和・撤廃すべきである。
 例えば、保育所のみに義務付けられている調理室の設置義務については、規制の趣旨に照らして合理的ではないことから、廃止すべきである。また、就業していない専業主婦であっても、その生活・ニーズが一層多様化していることにも鑑み、保育所について、「保育に欠ける子」のみならず誰もが入所できるよう、入所要件を緩和すべきである。

(2)   全国規模において講ずべき措置
   少なくとも3歳児以上については、幼稚園教育要領と保育所保育指針との内容が同一であり、両施設が同等の教育サービスを提供しているのであれば、幼稚園のみに課されている設置主体制限すなわち株式会社等による設置の禁止について、その解禁を図るべきである。
 また、満3歳から(構造改革特区においては、満2歳に達した日の翌年度4月から)とされている幼稚園の入園年齢制限については、多様化する生活者のニーズを踏まえ、構造改革特区の状況も注視しつつ、この一層の緩和を図るべきである。
  なお、「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」については、全国においてできる限り多くのモデル事業を行うとともに、その施設設備、職員資格、職員配置、幼児受入などに関する規制の水準を、それぞれ現行の幼稚園と保育所に関する規制のどちらか緩い方の水準以下とすべきである。



資料2−1 幼稚園及び保育所の設置主体と運営主体の関係について
資料2−2 参照条文


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