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第1章   新学習指導要領や子どもたちに求められる学力についての基本的な考え方等

1   新学習指導要領についての基本的な考え方

(新学習指導要領の基本的なねらい)
   平成14年4月から順次実施されている新学習指導要領の基本的なねらいは、子どもたちに基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの[生きる力]をはぐくむようにすることである。これを実現するために、新学習指導要領においては、教育内容の厳選、選択学習の幅の拡大、「個に応じた指導」の充実、「総合的な学習の時間」の創設など、学校教育の質的な転換が求められたのである。

(新学習指導要領の実施状況とその課題)
   国や各教育委員会において、これからの変化の激しい社会の状況やそのために子どもたちに求められる資質や能力などの新学習指導要領のよって立つ背景や、これを踏まえて新学習指導要領が基本的なねらいとしている点等について、各学校や国民一般に対する周知が結果として不十分となっており、各学校においては、新学習指導要領の趣旨を踏まえた取組とそうでないものに分かれている状況が見られるところである。
   小・中学校の新学習指導要領が完全実施されて1年余りが経過し、現在、各学校及び各教育委員会では、その基本的なねらいの実現に向けて創意工夫に満ちた多くの取組が進められている一方、各教科等の指導において、創意工夫が十分行われずに指導に必要な時間が確保されていない事例や、学校行事等の意義が十分踏まえられていない事例、「総合的な学習の時間」で身に付けさせたい資質や能力等が不明確な事例があるなど、新学習指導要領のねらいを十分に踏まえた指導がなされていない取組も見受けられる状況にあるのである。

(新学習指導要領の下での「確かな学力」の育成を)
   本作業部会としては、新学習指導要領のねらいの一層の充実をはかるため、[確かな学力]をはぐくむことに重点を置いた各学校における取り組みの充実を提案する。[確かな学力]の育成とは、豊かな人間性やたくましく生きるための健康や体力の育成と相まって、新学習指導要領の基本的なねらいである基礎・基本の徹底や自ら学び自ら考える力などの[生きる力]の育成を目指す視点を欠くものではない。
   したがって、各学校において、創意工夫しながらより一層「わかる授業」を推進するとともに、「総合的な学習の時間」などを通じて体験的、問題解決的な学習活動を展開し個性を生かす教育を実施することを求めたいのである。


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