教育課程部会(第123回) 議事録

1.日時

令和3年4月28日(水曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第2講堂 ※WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式

3.議題

  1. 教育課程部会長の選任等について
  2. 教育課程部会運営規則について
  3. 第10期教育課程部会の議論等について
  4. 意見交換
  5. 国際バカロレア・ディプロマ・プログラムと学習指導要領との対応関係について

4.議事録

※冒頭非公開



【荒瀬部会長】 皆さん、お入りいただけたようですので、それでは、第11期教育課程部会、再開をさせていただきます。
議題(3)ということであります。資料3-1と3-2のとおり、中央教育審議会としては、本年1月に「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」という答申を取りまとめたところであります。
また、第10期教育課程部会としましても、先ほど申し上げましたが、資料4-1及び4-2のとおり、前期の委員の皆様による議論を積み重ねて、本年1月に「教育課程部会の審議のまとめ」を取りまとめております。
こうした状況を踏まえ、文部科学省においては、これらと新学習指導要領との関係を整理した「学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料(令和3年3月版)」を作成し、本年3月に公表しています。そこで、事務局から、この資料についての御報告をお願いしたいと思います。
滝波教育課程課長、よろしくお願いいたします。
【滝波教育課程課長】 教育課程課長の滝波でございます。よろしくお願いします。
私からは、第10期教育課程部会の議論の内容につきまして御報告をいたします。
部会長からも御説明ございましたけれども、第10期中央教育審議会におきましては、本年1月26日に資料3-1にございますとおり、「令和の日本型学校教育」の答申をまとめていだたきました。また、それに先立ちまして、教育課程部会におきまして、資料4-1にお示ししております教育課程部会における審議のまとめというものをまとめていただいております。私からは、これらの答申、あるいは審議のまとめを受けまして、本年3月に文部科学省として公表いたしました学習指導要領の趣旨の実現に向けた個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関する参考資料というものがございますので、これにつきまして御説明、御紹介したいと思います。少し長いので、以降、参考資料というふうに呼びたいと思います。
資料につきましては、本体が資料5-1、概要は資料5-2ということになります。画面には資料5-2の概要のほうで御紹介してございます。
まず、この資料の上段、1.本資料作成の趣旨の部分でございますけれども、この参考資料を作成した趣旨についての御紹介でございます。
この趣旨につきましては二つございまして、一つが、昨年4月から順次既にスタートしております新学習指導要領と、先ほど御紹介のありました中央教育審議会答申、あるいは教育課程部会の審議のまとめ、これらとの関係を整理してお示しをするところでございます。
二つ目は、新しい学習指導要領に基づきまして、児童生徒の資質・能力の育成を目指すこと、それに向けて、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善、あるいはカリキュラム・マネジメントの取組、こういったものを一層進めるという新学習指導要領の趣旨をしっかりと維持した上で、こうした新学習指導要領の趣旨の実現に向けた有効なツールとして、今取り組んでおりますGIGAスクール構想の下で整備をされましたICT環境を最大限に活用して、これまで以上に「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実する上で重要だと考えられます内容を、学習指導要領の総則の構成に沿ってまとめていくと、この2点でございます。
部会長からもお話がございましたとおり、このように新学習指導要領の趣旨の実現という点を一番上の位置に置きました上で、この参考資料というものを作成し、お示しをしているところございます。まずこの点を御紹介しておきたいと思います。
それから、この資料の下段には、幾つかまた御紹介してございますけれども、各項目の内容について説明していきたいと思います。時間が限られていますので、要点のみとなります。
参考資料は大きく分けて、ダイヤ印五つの項目、育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学び、教育課程の編成、教育課程の実施と学習評価、児童生徒の発達の支援、そして、学校運営上の留意事項、この五つの項目から構成してございます。
まず、左上の、育成を目指す資質・能力と個別最適な学び・協働的な学びについてでございます。新学習指導要領におきましては、育成すべき資質・能力としまして、知識及び技能、思考力・判断力・表現力等、そして、学びに向かう力、人間性等、この三つの柱をバランスよく育成するということにされております。この項目では、新学習指導要領で示されました資質・能力の育成に向けて、GIGAスクール構想の下でICTを活用することの重要性、また、今般の答申、あるいは「審議のまとめ」に盛り込まれました個別最適な学びと協働的な学びというものを一体的に充実させることの重要性、また、新学習指導要領に示されました個に応じた指導といったこととの関係の説明、それから、カリキュラム・マネジメントの充実の重要性、こういった点について整理をしてお示しをしているところでございます。
それから、その次の、右のダイヤ印、教育課程の編成でございます。教育課程の編成につきましては、育成を目指す資質・能力や、各学校の教育目標を明確にし、教育課程を編成するということ。それから、教科等横断的な学習を推進すること、この2点から整理をしてございます。教科等横断的な学習の推進に向けましては、二つございまして、1点が、高等学校において重点的にSTEAM教育に取り組むということ。また、小学校、中学校における総合的な学習の時間の充実に努めるということの重要性。それから、2点目は、教科等横断的な学習の前提としまして、各教科等の学習において育成を目指す資質・能力を確実に育むこと等の重要性をそれぞれ説明しているところでございます。
それから、左下のダイヤ印でございます。教育課程の実施と学習評価についてでございます。教育課程を実施するに当たりましては、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を推進することが重要でございます。この資料の中の(1)の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業とありますけれども、後ろに「改善」が抜けております。恐縮ですが付け加えさせていただきます。こういったために必要となる事項というものにつきましては、平成28年の中央教育審議会答申の中で示されております授業改善の視点というものを改めてお示しをしますとともに、個別最適な学びと協働的な学びをどのように主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげていくのか、この点についてを整理してお示しをしているところでございます。
また、「指導と評価の一体化」の観点から、児童生徒一人一人のつまずき、あるいは伸びを評価して、その後の指導あるいは学習の改善につなげていくという形成的な評価の重要性といった点も整理してお示しをしているところでございます。
その次の、右の児童生徒の発達の支援のダイヤ印でございます。児童生徒の発達の支援に当たりましては、小学校、中学校、それから高等学校の各学校種におきまして、発達の段階を踏まえた指導を充実していくということに加えまして、キャリア教育や個に応じた指導の充実が必要となりますので、それぞれを充実していくに当たりまして重要となる事項というものを整理してまとめているところでございます。
その際に、障害のある児童生徒への指導、あるいは特定分野に特異な才能がある児童生徒に対する指導など、児童生徒一人一人に応じた指導の充実に当たって重要と考えられる事項についてもまとめているところでございます。
それから、一番右のダイヤ印、学校運営上の留意事項でございます。学校運営を行っていくに当たりましては、教師全員がカリキュラム・マネジメントに参画すること、それから、各学校において客観的な確認、分析によりまして、課題となる事項を見いだすこと、こういったことによりまして教育課程を改善していくことが重要であるという点をお示ししているところでございます。
また、学校と家庭や地域社会との連携、協働及び他の学校との連携、そういったものが学校運営にもたらす効果についても記載をしているところでございます。
なお、本体の資料5-1のほうの巻末には、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実のイメージとしまして、教育課程部会の審議のまとめを基に作成をいたしましたイメージ図を掲載してございます。こういった資料につきましても、今後、新学習指導要領の着実な実施に向けまして、いろんな形の説明会などにおきまして積極的に活用し、周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。
簡単ですけれども、説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
それでは、今、御説明いただきました内容に関わってということも含めまして、今日、第1回目の会議でございますので、委員の皆様からお言葉、御発言をお願いしたいと思っております。
先ほど申しましたが、第11期の教育課程部会の一つの役割として、新学習指導要領の着実な実施ということがあろうかと思います。そのことに向けまして、フォローアップをどう図っていくのか、それをどう私たちが見守っていくのかということが大変重要ではないかと思います。そういったことにつきましての御意見でももちろん結構でございます。お考えを、それぞれ3分程度にまとめていただく、これはなかなか、言うのは簡単ですが、実際、私もやるのは非常に苦手でありますけれども、皆さん全員に御発言いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
なお、堀田委員が早めに御退出になると伺っております。まず、堀田委員から御発言をいただきまして、その後、名簿の順番で、石井委員、市川伸一委員、市川裕二委員という順番でお願いをしたいと思います。
では、堀田委員、よろしくお願いいたします。
【堀田委員】 東北大学の堀田です。
発言の機会を最初に与えていだたきましてありがとうございました。私はこれまで、もう何期ですか分かりませんが、中教審の委員をさせていただきました。今回も教育課程部会の委員として頑張りたいと思います。
教育の情報化の実践研究をずっとしてきてまいりました。今回の教育課程部会で申し上げると、新学習指導要領の着実な実施のためのフォローアップのタイミングにあたります。小学校は既にもう1年たちました。中学校が始まったばかり、高等学校は来年度からです。特に高等学校は教科、情報が非常に注目されているところかと思います。また、学びの環境としてGIGAスクール構想で、義務教育段階においては1人1台の情報端末が配備されたところでございまして、学校現場は非常に、今、混乱中かと、そういうふうに思っております。
ついこの間の動きで言うと、大阪が緊急事態宣言もあってオンライン授業に非常に注目され、どこの学校がどういうふうにやっているか、あるいはやれない学校があるんじゃないか、いろんな新聞報道が連日のようにされておりますが、このコロナ禍とGIGAのタイミングが同じだったことによって、オンラインでの家庭学習の支援のために端末が入ったかのように勘違いされる部分があるなというのが、よく感じるところです。もちろんそれは違います。そういうふうにも使えますが、私たちが日頃、今日の会議もそうですけれども、ICTなしではこのようなことができない、そういう世の中に暮らしていることを考えると、学びの場においても、ICTインフラをよりよい学びに利用していく、積極的に利用する姿勢や、スキルや、そういうことも学びに向かう力であろうと、そういう考え方から、学習指導要領の編成から見ると少し遅れてではありますけれども、国によってGIGAスクール構想が実現したということになります。
これが旧来からの学力の向上に寄与しやすい部分として例えばAIドリルとかがあるわけですけれども、新しい時代の教育の考え方からみれば、そういうところだけに矮小化されないことが重要かなと思っております。もちろんAIドリルは役に立ちますが、私たちが学習の記録を残し、そしてそれを振り返り、他者と協働し、対話し、そのためにICTも使うという考え方で、一時間の授業だけでなく、児童生徒の情報活用能力が向上していくことによって授業の仕方が変わっていくことを踏まえたカリキュラム・マネジメントを目指していくことが重要かと思っております。
所信表明みたいになりましたけれども、私もそういう観点から、いろいろとこれからも発言してまいりたいと思います。
私からの発言は以上です。荒瀬先生、ありがとうございました。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。堀田先生、またどうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、石井先生にお願いしたいと思います。石井先生からは資料を御提出いただいております。
石井先生、お願いいたします。
【石井委員】 よろしくお願いいたします。資料投影、よろしくお願いします。
では、時間も限られていますので、改めまして、皆さん、おはようございます。京都大学の石井と申します。よろしくお願いします。
私は、専門が教育方法学といいまして、何のために何をどう教えるか、さらにどう評価するかという、教育の中身についての研究をしてきました。特にカリキュラム研究、評価研究、この辺りを重点的にやってきたところであります。
まず、今回、準備させていただいたのは、私のほうで、今、大事かなと思っているところをメモしたものです。現場とも関わることが多いものですから、思うのは、今、働き方改革云々もそうですけれども、やっぱり現場を元気にしないことには、子供たちも元気にならないなということがまず第一です。そのためには、現場のエンパワメントと挑戦と自走を促すガバナンスと書きましたけれども、決めて下ろすということよりも、言わば委ねて放流する。今、GIGAスクールの話で、端末のことも堀田先生のほうからお話がありましたけれども、その革新は子供たちに文具として使ってもらって、そこから先生が学んでいくということだと思うんですね。教育行政と、それから現場との関係も同じだと思うんです。まずは大海に放流する気持ちで、そこからいいものをたくさんつくってもらって学んでいくという、そういうガバナンスができてくるといいなということを思っています。
そのときに大事になってくるのはコアです。学校の仕事、教師の仕事とか、カリキュラム、そのコアの部分を確認していく。ここは譲らない、ここだけはしっかりやり切る、だからこそ、そういった部分について条件整備をしっかり、エビデンスを伴ってやっていくということが大事なのかなと思います。
特に今の状況というのは、新学習指導要領の実証であるとか検証の局面だと思います。ですから、この局面においては、改革を実質化していくことが大事だと思います。
この間、「令和の日本型学校教育」が提示されたりする中で、現場の先生方のお話を聞いていると、どこへ向いていったらいいんだということが、ちょっと分かりづらくなっているなということを思います。ですから、まさにこの委員会の中でやっていくことになると思いますけれども、新学習指導要領を軸に「令和の日本型学校教育」などで示されたいろんな概念を整理・構造化していくこと。さらに言うと、実態を踏まえながら、概念の刈り込みであるとか整理を行っていくことが大事かなと思います。マジックワードを、これ以上あまり投げ込まないということです。実際、改革の概念を刈り込んでいく、整理していく。
そのときに大事になるのは、改めて公教育の理念に立ち戻って考えることかと思っています。そうすると、やはり究極的には学習権を保障するとはどういうことかということです。そこを考えていく。
今回の「令和の日本型学校教育」も、まさにそういった公教育の理念の再確認であったと思うんですが、やはりどうも個別最適な学びもそうですけれども、手法のほうが表に出過ぎているのではないかと思います。個別最適な学びというのは、もともとは公正で個別最適化された学びというふうに登場してきたものですから、公正という理念をもう一遍、確認したほうがいい。新学習指導要領が目指したのは量から質へのシフトですよね。それが「主体的・対話的で深い学び」であったと思います。ですから、改めて「公正で質の高い学び」、ここをどういうふうに実質化していくのか、こういった理念の観点から様々な概念を整理していって、この間、手法に関わって、○○教育、○○学習があふれているわけですけれども、ここの言葉の濫発は控えながら、Less is more、こなすのではなくて核となる内容を深めていく、そういう方向性が大事かなと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。石井先生、また、よろしくお願いいたします。
それでは、市川伸一先生、お願いいたします。
【市川(伸)副部会長】 市川伸一です。
学習指導要領が出てから、周知していく、その趣旨を伝えていくという時期に入ったわけですけれども、実際には、ここ何年か、ちょっと見ていますと、私もかなり気になっていることがあります。学習指導要領で、今、石井先生もおっしゃっている、いろんな言葉が使われます。そのことが一体どういう意味なのかというのが、実際に学校に入る、あるいは教科の中に落とし込まれていくときに、随分、悪く言うと伝言ゲームのように変わっていってしまうのだなという思いを最近強くしています。
例えば、一方では常用語を使った、一見分かりやすい言葉があるわけですね。学びに向かう力とか、主体的に学習に取り組む態度と。どういうことであるかは、一応、答申や報告書などにも書いてあるはずなんですけれども、実際にはそれがいろいろな、解説本のようなものとか、あるいは教育委員会からの通達のようなことを通じて、そういう意味だったんだろうかというふうに随分変わってしまうことかある。もともとは日常的な言葉を使っていますので、思い思いの解釈がされて、それが広まってしまうと。一方では、学習の自己調整のように、日常ではちょっと使われない、あるいは心理学の専門用語ですね。これは何かよく分からないので、結局、自己調整に当たるようなことというのが入ってこないということも起きているなと思っています。
そういう意味では、やはり出した後のフォローアップというのがすごく大事で、これが現場で具体化されていくときに、意味が広がって豊かになっていくならまだいいんですけれども、実際には、逆に、非常に偏った狭い意味になって伝えられてしまって、それが新学習指導要領の目指すところだというようになってしまったりすると、これはまずいのではないか。その意味では、今回、3月に参考資料というものを出していだたいて、改めて具体的で、かつ補足的なものを出していただいたというのは非常にいいことだと思っています。こういう努力を地道に続けていかないと、せっかくの指導要領、総則に合ったような趣旨が、教科、あるいは学校の中で生きてこないのではないかという思いを強くしております。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
では、市川裕二委員、お願いいたします。
【市川(裕)委員】 全国特別支援学校長会、都立あきる野学園の校長の市川でございます。よろしくどうぞお願いいたします。
特別支援学校においては、これまでも個に応じた指導の充実を大切な観点としてきました。これは、新学習指導要領においても、特別支援学校の教育課程の重要な要になっていると思っています。
一方、「令和の日本型学校教育」における全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現という視点も加えて、もう一度、特別支援学校における「個に応じた指導」や「個別最適な学び」の充実のために何を行っていったらいいのかを再検討することが必要だと思っています。
また、特別支援学校は、小学校、中学校、高等学校の教育課程に準ずる教育課程が設定されています。新学習指導要領の趣旨に沿った小中学校等の教育課程の充実の方向に沿って、特別支援学校の教育課程の改善も検討しないとならないと思っております。この辺りは、特別支援学校は、小中学校等の実践をしっかり学んでいく必要があるのではないかと思っています。
また、特別支援学校の教育課程は、自立活動があるというのが大きな特徴になります。自立活動は一人一人の障害の特性に応じた指導を個別に行っていくというもので、まさに「個別最適な学び」になっていきます。今後も一層、こうした一人一人の児童生徒への対応を充実させていく必要を感じています。
さらに、特別支援教育は全ての学校で行われます。特別支援学級や、通級による指導の中での教育内容の充実はもとより、通常の学級における指導についても、合理的配慮の観点から学習環境の整備とか指導方法の改善も含めて、例えば発達障害等のある児童生徒一人一人の障害特性に配慮した指導がどういうふうな形になるべきか、そういう観点も必要だと思っています。
この会においては、特別支援学校とか特別支援教育の立場でいろんなことを考えていきたいと思っております。よろしくお願いをいたします。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。市川先生、よろしくお願いいたします。
では、今村久美委員、お願いいたします。
【今村委員】 ありがとうございます。発言させていだたきます。
改めまして、今回、この部会に入れていただきまして、前回の学習指導要領の検討のときに続いて、無知ながら、勉強させていただきながら発言を重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私が一番思っていることなんですけれども、次の学習指導要領の改訂の議論が始まるまでに、学習内容の削減、もっと言うと必履修科目の削減は本当にかなわないのかということに踏み込んで検討していくということをやれないだろうかと思っています。
今回、新学習指導要領が本当に素晴らしい方針を掲げましたけれども、やっぱり個別最適な学習、特に基礎強化の学習に、先生方が様々なツールを用いて伴走をされ、そして、探究活動も個別的に始まり、大学入試も探究的な学びが評価されるようなものも増えてきている中で、先生方の余白がないと個別的な伴走はなし得ないなということを感じています。
前回の新学習指導要領検討の特別部会では、冒頭で、今でも忘れませんが、大杉さんから、今回は削減をしませんということを大前提に議論を始めてくださいというところからスタートをしたことをよく覚えています。それは確かにゆとり教育か詰め込みかみたいな議論の闘いの終止符を打つ上では重要な過程だったと思うんですが、そろそろここまで「個別最適な学び」、「協働的な学び」がうたわれている今こそ、やっぱり削減していくことに勇気を持てないかということを、一番今回は皆さんとお話ししていきながら取り組んでいきたいなと思っております。
改めまして、よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 また本当にこの中で議論してまいりましょう。ありがとうございました。
大字委員、お願いいたします。
【大字委員】 全国連合小学校長会、世田谷区立下北沢小学校校長の大字でございます。学校現場の者として何点かフォローアップしていただきたい点についてお話をさせていただきます。
1点目が、授業改善についてです。今回、2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」で目指す姿として、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげるという形で出されました。ここについては、かなり現場が、今イメージしづらいという声で数多く聞かれておりますので、その辺りについて、またしっかりとお示しをいただければ大変ありがたいです。
このことは、一人一台端末が配られて、ICTを効果的に活用して、どうやって授業改善を進めるかということにも直結すると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
もう一点は、評価についてです。特に学びに向かう力、人間性については、校長も含め教員個々に受け止めにかなりの差異が出てきているのではないかと危惧しておりますので、これについても改めて整理をしていただけるとありがたいと思います。
もう一点は、GIGAスクール構想で一人一台端末や環境の整備が進んでいるのですけれども、自治体間、学校間での格差といったものが大きく広がっていると思われます。このこと自体は学習指導要領の実施状況そのものに大きく関わってくると思いますので、自治体や学校へのフォローアップは必須であるか、そのように考えております。
最後ですけれども、今回の学習指導要領の成果の検証をどのように行うのかというところです。検証方法が明らかになってくると、この学習指導要領が何を求めているかということがより一層現場に伝わるのではないのかなと、そのように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。非常に重要な内容をたくさんおっしゃっていただきました。この教育課程部会の中で御一緒に考えてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
大島委員、お願いいたします。
【大島委員】 東京大学の大島です。よろしくお願いいたします。
私は、バックグラウンドが工学系の機械工学を専攻しています。そういう中で、このたびの教育課程部会では、いわゆるSTEAM教育を中心に貢献できればと思っております。よろしくお願いいたします。
コロナ禍で、現場の先生を含めて、今、教育界は非常に大変な状況に置かれていると思っております。そういう中で、ぜひポストコロナでのニューノーマル、いわゆる令和の日本型の学校教育の構築に向けて、ポジティブに考えていくことができるといいかなと思っています。
その中で、やはり現状のコロナ禍での教育と、今後のポストコロナの教育とに分けて、やはり着実な新学習指導要領の実施というのを考えたらいいんではないかなと思っています。いわゆるタイムラインなどを含めて考えていく必要があるのではないかなと思っています。
現状、コロナ禍ということで、小学校、中学校では新学習指導要領が導入されていて、来年が高校という、そういう状況の現在を考えると、やはりICTによる学習状況というのが、一人一台の端末という環境の整備が、このコロナの関係で前倒しで進んでいるかと思っています。一方で、どうしても学校で使いこなしていないなどの課題も出てきているかと思っています。なので、やはり今後の個別最適化の学習、ひいてはGIGAスクールへの構想の中で、やはりICT端末の状況がどうなっているかということと、やはり学習のコンテンツの整備であったりとか、それを使っての学習方法がどのように実施されているのか、並びに評価ですね、その辺についての整備状況であったりとか、現在の課題ですね、そういうものを整理していくということが重要なのではないかなと思っています。それが1点目になります。
2点目は、このたびの学習指導要領に関しましては、やはり社会に開かれた教育課程ということで、基礎のコアの教科ごとの学習とともに、やはり探究型の学習というのが一つ大きな柱になっているかと思います。基礎の学習と探究活動を、いわゆるスパイラルにどのように学習していくかということが、やはり「協働的な学び」にもつながると思っています。
なので、1点目に申し上げた、個別最適化に向けたICTの活用と、あと、どうしても「協働的な学び」はオフラインの対面ということも入ってくるかと思いますので、それをどのようにポストコロナを見据えて構築していくかということも、そろそろ考えていく必要があるかと思っています。なので、それも繰り返しになりますけれども、踏まえて、やはり1点目のICTの環境及びそれに関連した課題というのを整理していくということと、やはりグッド・プラクティスなども波及して、皆さんでシェアしていける、そういうことをしていくということは大事かと思います。
3点目は、先ほどの基礎の学習と探究型の学習のスパイラルということは、多分、カリキュラム・マネジメントが入ってくると思います。いろいろな教科の方々、先生方が協働していくということも必要になってくるかと思いますので、ぜひそれをカリキュラム・マネジメントにつなげていける、そういうことを足固めという形でやっていくことができると、非常に充実した着実な実現に向かっていけるのではないかなと思っております。ぜひ今期、よろしくお願いいたします。
以上となります。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。まとめていただきました。大島先生、またよろしくお願いいたします。
それでは、梶谷委員、お願いいたします。
【梶谷委員】 初めて参加いたします、梶谷でございます。私は、教育関係は、今、岡山県の教育委員をやっておりますが、もともとは企業経営者でございまして、岡山トヨタ自動車というところで社長をやっております。そして中小企業家同友会という経営者団体で社員教育の委員会の委員長を務めさせていただいております。
今回の新学習指導要領が社会に開かれた教育課程の実現といった場合は、じゃ、開かれる側である社会側、大きなセクターとしての経済界だとか地域側がどう教育課程に関わっていくのかという観点から考えてみることが必要なのではないのかなと。子供たちも学校で育った後は必ず社会へでていくわけですから、社会において本当にどんなことが必要になってくるのか、逆に言うと、学校の学びに対して、社会側、企業側がどんな関わりができるのかといったところがうまく回っていくと、その地域で本当に子供たちを、一緒になって育っていく、そんな環境づくりができるのではないのかなと思うんですが、まだまだそこのところが本当の意味での教育の目的だとか、どのような資質・能力を、この地域の子供たちには身につけてもらおうというものが、学校と地域できちんと目的なり目標が共有できているのかというと、そこのところが非常にまだ弱いのではないのかなということを感じております。
2019年に中小企業家同友会のほうの全国の総会において、新学習指導要領、主体的につくられた合田さんに来ていただいて、講演をしていただいたんですけれども、やはりまだ経済界というか、社会側に教育課程の実現、新学習指導要領というものを、いかに理解していただきながら、学校と、また教育委員会等とタイアップして子供たちの学びの場をつくっていくかという、そこができてくると、学校の先生とかも大分楽になるのではないのかなという意識をしております。
特に学校教育ですね、教師だけがやるというところから、今、地域と連携というキーワードは出てきておりますけれども、これを本当にどうやってやるかというところのノウハウだとか、つなぐ、その仕組みづくりをもう少し提示をしていかないと、言葉だけになりがちではないかなという感じが今しております。
そういった意味で経済界側にどういうふうな働きかけをしていくかという観点で、少し考えてみたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。ぜひ経済界からの視点でいろいろと御意見、また頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、鎌田委員、お願いいたします。
【鎌田委員】 よろしくお願いします。秋田大学の鎌田といいます。
私は、高校教員を経験し、教育委員会におりました。現在大学教員をしてるわけですから、三者の立場から意見を言うことができると思って参加させていただいております。
2点ほどお話ししたいことがあります。1点目は、先ほど大島先生がおっしゃったように、私自身もICT活用教育について思っていることがありまして、それはGIGAスクール構想によって、急速にIT機器の整備が進められて、一人一台パソコンが現実のものになろうとしているわけなんですけれども、これまで機器の整備の地域格差によって、ICTを活用した教育に格差が生じていると言われてきたんですけれども、そういう面では解消されることになってきます。しかし、この機器の充実に対して、教員の活用能力が追いついていない現状があるということは、皆さんも御存じのとおりじゃないかなと思います。
教育委員会は教師の研修なども行ってきておりますけれども、具体の活用について教師側は十分に理解しているとは言えない状況にあって、今後、各教科におけるICTを活用した指導の具体について、学びの質を高める視点から、よい事例を共有しながら、教員のICT活用能力を高める研修の充実が今後も必要になってくるんだろうなと思います。
2点目は高等学校における地域社会との連携、協働のことについてなんですけれども、今、高等学校は、各校において、地域連携が様々な形で実施されています。そして、今や地域においては、高校生の力なくして、地域の行事とかイベントを開催することができないという地域もあります。しかし、こうした多くの地域との連携が行われているにもかかわらず、その取組が単発的なものも多くて、教育課程上に十分に落とし込まれていない現状があります。
今後、地域連携をカリキュラム・マネジメントの視点で捉えて、効果的な地域連携を推進していく必要があるんではないかなと思っております。
関連して産業の担い手を育成する産業教育については、さらに高いステージの地域社会及び産業界との連携が必要になってくると思います。
専門高校の教育の充実については、これからは、学校だけにクローズされた教育では、求められる資質・能力を培うことはできない時代に来ているものと思います。
今回の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」の中においても、専門高校においては産業界と一体となってという記述があります。これは、育成する地域産業人材を地域社会で共有するということでもあり、そのためにも、地域や社会を巻き込んだ組織づくりというのを、この後、十分に進めていく必要があるのではないかなと思っているところです。そういうところもお話しできたらなと思っております。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。鎌田先生、また本当によろしくお願いいたします。
それでは、小林委員、よろしくお願いいたします。
【小林委員】 福井市の至民中学校の校長しております小林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、荒瀬先生がおっしゃられたような現場の状況をそのままお伝えしていきたいなと思っております。昨年度はコロナの影響で大変な1年だったんですけれども、悪いことばっかりでもなくて、本当に不確実な時代に子供たちが挑戦していく力をつけられたのではないかなと思っています。改めて生徒の力というのを見させてもらって、子供と一緒に学校をつくるというよさも感じました。
先ほど言われましたICTも、教員の力はなかなか、学んでいないところがいっぱいあるんですけど、子供の力をかりて一緒に学んでいくという体制もつくれたらいいんじゃないかなと。
それから、昨年度は時数が足りなかったこともありまして、必然的にカリキュラム・マネジメントの必要性というのを感じました。その際に、すごく学校の柱となるのが総合的な学習の時間だなと感じました。総合を改めて全ての教科の軸にしていくということも、ぜひ今年度も取り入れていきたいなと私のほうは考えています。ICTの活用も、なかなか教科の特性によって進まないところもあるので、そういうところも含めて総合での活用というのを中心に考えていけるといいかなと私は思っています。
ただ一方で、去年は休校からのスタートだったので、非常にスタートの不十分さみたいなことを感じました。今年度、4月当初からのスタートを迎えて、落ち着いた学校のスタートができたなと、やはり昨年度の不十分さが、2年生の子たちの不登校にもつながっているなと感じています。
それから、新学習指導要領についてですけれども、中学校はちょうど今年度からのスタートということでございまして、主体的・対話的で深い学びということに対しては、今回の指導要領は予告編的にアクティブラーニングなどと言われて、事前にいろいろその課題が出されていましたので、その授業については割とみんなでグループ活動をしたり、活動を入れたりということに対して主体的に取り組む姿勢を養うような取組は結構増えてきています。子供たちを見ていても、自分の考えを人に伝えられる子が増えたなと、ここ近年で自分の思いを自分で語る、相手の話を聞いて、それを取り入れて話し合うということができる子が増えてきたなと思います。
ただ一方で、先生方が今悩んでいるのは、先ほど大字委員が言われました、その評価の在り方です。3観点になって、知識・技能、思考力・判断力・表現力、それから学びに向かう力となってきた特に第3観点の評価がそれぞれの先生で捉えどころが違っていて、あんまりあり得ないだろうと思われるようなB、B、Aとか、ひどいことになるとC、C、Aとか、そういうような、内容的に理解されていない評価をしているような学校もあると聞いています。
これからかもしれませんけれども、授業づくりだけでなくて、そういう評価の在り方も考えていくところで、また授業の内容も、実際に単元構想とか、授業づくりに影響してくるんじゃないかなと思いますので、また、いろいろ皆様方と一緒に考えていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。小林先生、また現場の立場からいろいろと御意見を頂戴したいと思います。
それでは、貞広委員、よろしくお願いいたします。
【貞広副部会長】 ありがとうございます。千葉大学の貞広と申します。前期から続いてお世話になります。
資料5-2と、荒瀬部会長がおっしゃった学習指導要領の着実な実施に関するフォローアップという観点から、1点だけ短く意見を申し上げたいと思います。
イギリスの社会学者にステファンボールという方がいらして、こちらに御参加されている教育関係の研究者の方、必ず一度は論文等に目を通していらっしゃると思うんですけれども、彼は教育活動の心臓部、これを彼はメッセージシステムと言っていますが、それはカリキュラム、アセスメント、ペタゴジーに加えて、組織から構成されると言っています。こうした観点から、資料5-1や5-2を見ますと、最後の、組織に関する検討と言及はもう少し練り上げて考えられる余地があるのではないかと思われます。
言うまでもなく、学び方や評価が変わるためには、条件整備も含めて組織も連動して変わらなければなりません。フォローアップに関しては、こちらの教育課程部会としては中心的な着目点が、個々の先生方がクラスの中で子供に向かって何をどこまで実践し評価できているのかといった点が中心になると思われますけれども、それだけではなくて、組織としての対応や組織の変革、地域との関わり等にも焦点を当て検証していくことが必要であると考えます。
以上です。今期もお世話になりますが、よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。貞広先生、よろしくお願いいたします。
それでは、清水委員、お願いいたします。
【清水委員】 今期から大変お世話になります、公益社団法人日本PTA全国協議会の会長を務めております清水と申します。
私は、本当に専門的な見地からいろいろと話ができないものですから、あくまでも保護者という立場での参加ということですので、すみません、なかなか難しいところの話ができませんけれども、御容赦願いたいと思います。
私のほうからは、先ほど大島委員、鎌田委員もおっしゃってみえたように、いわゆるGIGAスクール構想におけるICTの児童所持の端末の件であります。現状、確かにこの4月からというところで各学校現場が、報道を見る限り、大阪の話もそうですけれども、大変混乱をしているところではないかなと思います。ハード面、これから随時整っていくところだとは思いますし、まだまだ一律にスタートができていない状況の中で、ハードはいずれにしてもそろっていきます。それに伴う、それを使って指導していただく先生方がこれからいかに活用していくかというところが非常に問題もたくさんあるかと思いますし、そういった先生方のフォローをしっかりしていかなければならないと思っております。
新学習指導要領、昨年から小学校、今年から中学というところになっています。そういったことも含めて、これからいろいろと議論をさせていただきながら、私もいろいろと勉強もさせていただいて、あくまでも保護者という立場での意見をこれからまたどんどん話ができればなと思っておりますので、改めて今期からでありますけれども、大変お世話になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。よろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。保護者の立場から、清水委員、ぜひまた御発言、よろしくお願いいたします。
それでは、末冨委員、お願いいたします。
【末冨委員】 日本大学の末冨でございます。資料を用意させていただいておりますので、画面の投影とともに説明をさせていただければと思います。
まず、皆様のお手持ちの資料で、私自身のキャリアについて、最近のものを書いておりますけれども、すみません、表紙のほうまでお願いいたします。この場にいる意味として重要なのが、一つは内閣府の子供の貧困対策に関する有識者会議の構成員であるということです。先ほどから御指摘がありますように、ICTやオンラインを活用した学びというのは、ともすれば格差拡大的に機能してしまうものでもございます。併せまして、個別最適な学びは非常に重要なんですけれども、既に教育再生実行会議で複数のワーキングの委員の方からも御指摘がございますように、それのみでは、やはり格差も拡大してしまうということで、協働的な学び、あるいは個に応じた指導の中で、いかに全ての子供たちのウェルビーイングと、そして、認知、非認知にわたるスキルを伸ばしていくかということを重視させていただきたいと思っております。
では、スライド、飛んでいただけますでしょうか。あらかじめお願いしておりましたとおりです。こちらです。今、御覧いただいている資料は、義務標準法改正におきまして、小学校35人学級を審議した際の衆議院の文部科学委員会で、与党参考人として私が提出をさせていただいたものになります。こちらのほうなんですけれども、先ほどまでの議論になっておりましたが、今の新しい学習指導要領、それから「令和の日本型学校教育」答申を踏まえて、どのような変化を学校に起こしていくべきか、あるいは子供たちや教師に起こしていくべきかといったときに、今必要なのは、丁寧な検証と、そこにどのような変化が起きているのかということについて、説明責任を可能な限り迅速に果たしていかなければならない状況に我々が置かれているということです。
私自身は、「令和の日本型学校教育」答申というのは非常に挑戦的ですし、日本の公教育の在り方を変えていく、歴史に残るとても大事な答申だと思っています。同時にGIGAスクールによる1人1台タブレットと、そして35人学級という変化が一緒に起きている中で、どのようにすれば、よりよいアウトカムを子供たちに出すことができるのかということで、先ほど貞広先生もおっしゃいましたように、学校経営ですとか組織の側面、そして教室環境が子供や教師にもたらすも、例えばゆとり、あるいは教師自身の指導や評価の方法についてというものも検証の必要がありますし、子供たちのよりよい学びについてという包括的な評価が必要になると考えております。
次のスライド、お願いいたします。であればこそ、いかに検証していくかといった際に、現在、文科省でも構築されています教育ビッグデータというものについて、既存の調査を活用しながらの構築、充実が行われていっているというプロセスを私自身も重視しております。
次のスライドお願いいたします。スライドの20です。ただし、教育ビッグデータの中で、実は日本の、特に文科政策の中でのデータ収集が決定的に欠けているのが、教員の質を検証する教員データベースになります。この点についてこそ実は非常に急がれるものでして、先ほど先生方が評価に苦労しておられるという話が出ていたわけですが、日本以外の先進国では、スタディー・ログ、あるいは教員の子供たちに対する評価データを集めて、客観やパフォーマンス評価、観点別評価を対応させて、教員の評価能力をアセスメントして改善をするというのは当然のことになっております。あわせて、やはり教員の意識や教師効力感といったものが、例えば厳しい状態の児童生徒が多い教室でどのように改善し得るのか、あるいは悪化し得るのかといった科学的な検証というものも必要になってくると思われます。こうしたエビデンスを、私自身は恐らく重視する研究者としてこの場にいるわけですけれども、一つ申し上げておきたいのは、エビデンスが全てではなく、やはり石井委員もおっしゃいましたように、エビデンスと望ましい公教育の理念というものは当然セットになっているわけですので、それを対比させながら、よりよい学びのプロセスの質の変化、改善を明らかにし、学校現場でより余裕があり、子供たちにウェルビーイングを実現するんだというふうに前向きに教職員が取り組んでいただくような環境の実現につなげていく、そしてカリキュラム運用の在り方も検証していくということが、今、必要になっていると考えます。
ちょっと時間が長いんですが、最後に一言だけ申し上げておきますと、エビデンスを重視して、子供たちに何を実現したいかという議論をするときに、今、個人的に懸念しておりますのが、子供庁なる新組織に義務教育が移管されるという議論が降って湧いたように起きていることです。私自身は、これが何のエビデンスに基づいて、あるいはどのような根拠から出ているのかが、この間、理解できておりません。このような場で申し上げるのは失礼かと思いますけれども、やはり中央教育審議会としてこれまで積み上げてきた専門的な知見や議論、そして政策関与といったものの歴史を踏まえますと、中央教育審議会から、やはりエビデンスと理念というものを対応させながら、子供たちに着実に質の高い教育を保障していくというものの重要性を、改めて国民あるいは政府全般に対して発していくことの重要性も、もしかしたら意識することが必要な時局になっているのではないかなと考えました。
以上です。ありがとうございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。最後、とても大きなお話であろうかと思いますが、これまでもいろいろな形で、教育課程はもとより、中教審のいろいろな部会で少人数学級を進めるべきだとか、そういったような教育の政策に関する提言といいますか、意見も出してまいりましたので、教育課程部会で必要なことについては大いに議論してまいりたいと思います。末冨先生、また、引き続きよろしくお願いいたします。
続きまして、田村委員、よろしくお願いいたします。
【田村委員】 おはようございます。大阪教育大学の田村知子と申します。カリキュラム・マネジメントについて研究し、教員研修であったり、学校の研究開発のお手伝いなどを行ってまいりました。よろしくお願いいたします。
新学習指導要領、それから、「令和の日本型学校教育」の答申、どちらも委員の皆様や事務局の皆様の御研究や御議論の成果として分厚い中身のあるものだと承知しております。一方、高度な議論の成果が盛り込まれて豊富な内容であるがゆえに、多くの関係者にとってはまだまだ未消化の部分もあるのではないかと思われます。
私が研究しておりますカリキュラム・マネジメントはキーワードの一つなんですけれども、石井委員の資料にありますマジックワードの一つとして使われることも多々あるかと認識しております。近年の様々な著書などを拝見していると、今回の学習指導要領を批判するときに、アクティブラーニングだとかカリキュラム・マネジメントなどを取り上げて、目新しいそうな片仮名言葉に踊らされてはいけないといったような批判を目にすることがございます。確かに踊らされてはいけないと私も考えますが、カリキュラム・マネジメントにつきましては聞き慣れない言葉かもしれませんが、教育課程を組織的に編成し、実施し、評価してということは、これまでも多かれ少なかれ、各学校で行われたことで、その前提の上で、新しい学習指導要領をどのように実現していくかというツールとして使っていければと考えているところです。
とにかく学習指導要領に示された定義を読むだけでは、やらなければいけないものとか、やらされるものという受け止めが現場に起こってしまう可能性や、作業として簡単に形骸化してしまうということも十分想定できるかと思います。ただ、先ほど小林委員がおっしゃっいましたとおり、このたびのコロナ禍の経験で、カリキュラム・マネジメントというのはこういうものだと、それから必要だという、そういう現場の声は私も多々聞いております。このような経験を土台として現場に根づいていくといいなと考えております。
これまでも、令和元年度と、それから令和2年度のカリキュラム・マネジメントに関する委託研究の指定校に、大阪府や京都市で関わっておりましたけれども、そういった学校では、カリキュラム・マネジメントについて、与えられた言葉としてではなく、自分たちの言葉で再定義して、納得して取り組んでいらっしゃいました。先ほど市川委員が、伝言ゲームのようになることの弊害も指摘されたんですけれども、それでもやはり現場でこれをどのように捉えるのかということを十分考える、そのような先生方の時間であったり、ゆとりであったり、それから、お互いに情報交換をする、そのような場や時間というのが多様に展開されていく、そのことによって様々な実践が積み上げられていくと思いますので、そういったものをつぶさに見ていくということをしていきたいものです。それから、現場の声、荒瀬部会長がおっしゃったとおり、教師だけではなく子供の声も含めて丁寧に聞いていく、そうやって、もちろん量的なデータもそうですけれども、質的なデータも含めてエビデンスを積み上げていく時期ではないかと考えております。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。田村先生、引き続き、また本当によろしくお願いいたします。
では、戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。引き続き、御指導等よろしくお願いいたします。
基礎自治体の教育委員会の立場で大きく3点意見をさせていただきます。
一つ目は、「中教審答申」やこの教育課程部会の「審議のまとめ」の学校現場等への周知啓発についてです。これまで、初中メルマガでの連載企画、中教審答申に関わるオンライントークイベント、先ほど御説明のあった参考資料、荒瀬先生のNITSの校内研修シリーズの講義動画配信など、中教審の委員の方々や文科省事務局の方々の御尽力で、これまで以上に様々な手法で周知啓発されています。私も個人的にその都度、SNSでシェアをしたり、校長会議等で周知をしてまいりました。しかし、伝えることと伝わること、発信と伝達と違います。市川伸一委員の御意見にも重複しますが、国から都道府県、さらに基礎自治体、教育委員会から学校へと、魂が込められた答申が伝言ゲームで学校現場に着くころには、本質的な意味や魂が抜け、用語だけが独り歩きしてしまうことを危惧をしています。従来においても「個に応じた指導」は、授業の根幹を成す概念でしたが、この概念は校門から職員室までは入っていても各教室にまで入っていたとは言い難いところがあります。
また、いじめ対策、授業改善など、教育は「見届け」が極めて重要です。教えたからといって学んでいるとは限りません。伝えたからといって伝わっているとは限りません。この答申や審議のまとめが学校現場等に腹落ちし、実践に結びつくよう、今後も様々な広報戦略について知恵を絞る必要があると思います。
二つ目は、以前の発言と被りますが、中学校教育の充実への議論です。TIMSS2019の調査結果においても、自己肯定感や学習意欲などにおいて、日本の小学校と中学校の差が大きいことが課題としてあげられます。今年度から中学校でも新学習指導要領の実施がされます。総合的な学習の時間の充実度をはじめとして、ICT利活用にしても、教科等横断的な学びにしても、一般的に小学校に比べ中学校に課題が多いことは、多くの教育委員会で認識されていることであると思います。ただし、「中学校は小学校より力積は大きい」と信じています。動き出すまでに時間がかかっても、質の高い実践ができると思っています。是非、中学校の教育のあり方や充実に向けた議論を進めるべきと思います。
三つ目は、田村委員からもお話しあったカリキュラム・マネジメントの定着、充実です。審議のまとめ等には、「カリキュラム・マネジメントの充実」という文言が多く記載されています。また、新学習指導要領では、横断的な視点によるカリキュラム・マネジメントの充実が求められています。しかし、現実はまだまだで、カリキュラム・マネジメントは「充実」以前に「定着」が必要であり、そもそも各教科等の指導がまだまだ「社会に開いていない」というか、多くの教師が「教科等横断」という方向に目が向いていないように思います。コロナ禍になりますますその傾向は強くなっているかもしれません。自らの教科を掘り下げたり、他教科の教師や外部講師とのTTによる授業など、その気になれば、すぐにでもできることはいくらでもあると思います。今後は、定着のために、教科等を超えたカリキュラムを積み上げる校内のチームづくり、GIGAスクール構想の趣旨を生かした「学校と家庭の学びをシームレスにつなぐ」カリキュラム・マネジメント、さらには。個別最適な学びと協働的な学び、オンラインとオフラインなど、統合をキーワードとした「高次のカリキュラム・マネジメント」などの提言も検討してみてはどうかと思います。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。戸ヶ﨑先生、また本当によろしくお願いいたします。
それでは、中島委員、お願いいたします。
【中島委員】 皆様、こんにちは。音楽、数学、STEAM教育などをしております中島さち子と申します。この会で皆様といろいろ議論ができることを非常に楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
新学習指導要領とか、中教審からのいろんな資料、非常に大事な方向を指し示していると思っているので、興味深く、いつも拝見しております。やっぱり生きる力ということで、この時代に、万人に、どの人たちにもあるものを引き出していくということが多分主眼で、いろんな、主体的・対話的で深い学びとか、社会に開かれるとかいうことがあるのかなと思っています。
個人的に、よく創造性の民主化という言葉を使ったりしているんですけれども、本当にどんな立場、環境、個性、力であっても、ある種、未来をつくる、つくり手であるということが、より意識される時代になっているし、その可能性が開いている時代だなと思っています。そういう意味で、問いをつくり出す力ということ、それから、それを本当に形にする力ということ、ここが改めてすごく大事になっているというふうに思っています。それは、恐らく今までの各教科の価値というのが、逆にすごく高まるのかなと思っています。ただ、それが知識として一方的に与えられるというより、研究者とかエンジニア、アーティストのような視点で、やっぱりつくり手としてもう一度そういう知に向き合うということになってくるのだろうと。
あとは、この時代でコンピューターとか、インターネットとか、IoTだ、AIだと、いろんな言葉が、それこそ教育の世界だけではなくて、新しい言葉がいっぱい出てくるわけですけれども、ただ、どれもそれだけ聞いていると大変なように聞こえるんですけれど、逆に、本当に、今、民主化されていて、そういうものがすごく身近で、実は新しい存在としてコンピューターさんがいるというようなところで、やはりそことどう対話していくのか、どういうふうに新しいものたちと向き合っていくのかということは、必ずしも、ただつまらない学習ではなく、本当に新しい存在としてあるのかなと思っています。なので、そういうリアルなものとコンピューターの世界とどう対話していくか、それは自然とか、ほかの人間とどう対話していくかということにもつながるのかなと思っていまして、そういう意味でも、今の教育というのは、世界的にはですけれども、日本からどういう新しい学びが生まれ、世界にも発信できるのかということは非常に興味を持っています。
ただ、皆さんおっしゃっていたように、その思想を実現していくに当たって、しかも、特にコロナ禍もありました。ICTとかも慣れない先生方も多いと思う、その中で、どうやってやっていくのかというところが、まさにここで議論できることなのかなと。やっぱり国から発信できる意味、国がやれることはすごくあると思っていまして、なるべく格差なく機会を提供する、俯瞰した総合的な目線で提供する点で提供する、シェアするということはすごくあるなと。そのときに子供たちの可能性の深さを見せる、思っている以上に子供たちからいろいろできるということを、子供の意見とかも含めて、そこを見せていくということと、あと、やっぱり教員をエンパワーする、教員の方々がされてきたことを、なるべくメタ視点でまとめてエンパワーするということは非常に大事かなと。あと、先ほどもいろいろ出ていましたけれども、言葉に踊らされないとか、たくさんの言葉が出てくるときに、やはり本質は何なのか、正解があるものを求めるというよりは、やはりそこに込められているものということを、現場の方々も含めて一緒に考えていくということが必要なんだろうなと思っています。
新しい探究的な学び、あるいは、創り出すとか、エンジニアリングの視点,開かれた問い(オープンクエスチョン)、ICT・・・そのような新しい大事なコトバや視点がたくさん出てくる中で、皆さんおっしゃるように、現場の先生は日々大変なお仕事の中で、対応に苦労されていると思います。新しい視点に移り変ろうとするときは,やはり新しい学びの機会としての研修の開発も必要ですし、カリキュラム・マネジメントができる自由度がある形でのいろんな具体的なカリキュラムや指導案、また,そうした新しい学びを通じて生徒・児童がどんな問いやプロジェクト・探究を生み出したかなどの共有も組織的に必要になる。また,互いに刺激・議論しあえる先生方や横断的なコミュニティーや,先生方を鼓舞するような制度・認定なりの仕組みも必要だと考えます。教科書も、今の日本の教科書は世界的に見てもとてもすばらしいと思うんですけれども、それがさらに多様な形の、新しい百貨店のような教科書の在り方というのが出てくるのかなと思っていたり、その辺りを皆さんと、できれば思想と具体の循環をしながら、具体的なところも含めて議論できるとよいなと思っていました。
長くなりましたが、最後に、STEAMやSTEMという言葉も、私もよく使わせていただいて
おりますが,なかなかその本質を伝えるのは難しい部分もあることを感じています。
ただ、STEMが各国で出てきた背景としては、実は21世紀という変化の激しい時代において「格差を解消する」という意味合いが非常に大きいのではないかと思っています。
今回、GIGAスクール構想で全部ところに媒体が届くということはとても大きなことだと
思います。ただ、ハードウエアが届いただけではなかなか急にはできないこともたくさんあるので、やはり中身の部分や研修,産官学なども含めて、しっかり総合的に変革に責任を持つというか、具体的な案を国がどんどん出して現場を支援していくということが、まさに格差を減らす、分断を壊していくということにつながると思います。逆に,万が一それが格差を広げる方向になってしまうのは本当にもったいないと思っているので、その辺りが、大事なポイントかと私は考えています。これから,皆さんといろいろ議論することを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。本当によろしくお願いいたします。
次、奈須委員にお願いしたいんですが、奈須先生の前で申し訳ありません。時間が少し押してまいっておりまして、大変恐縮ですが、少しずつまとめていただくように、皆さん、よろしくお願いいたします。
では、先生、お願いいたします。
【奈須委員】 上智大学の奈須でございます。よろしくお願いします。
今回の指導要領、難しいとよく言われるんですけれども、私は難しいのではなくて、従来の常識に反するんじゃないかと思っています。例えばB問題の不思議ということが、最初、みんな、驚きを持って迎えられましたが、転移ですね、教えておいてもほとんど使われないということ、心理学ではある時期に確認されてきましたけど、これも常識に反する。あるいは石井委員が言われたLess is more、少なく教えることが、より結果的に多く学ぶことになるという、これも常識に反することだと思います。もちろん深く教えることと、豊かに学ぶというふうに学力の質を変えるわけですけれども、あるいはメタ認知とか学習の自己調整という市川先生がおっしゃったことも、学びや知識に関する科学的知見から出てきたことですが、やっぱりこれまでの学校の先生方の常識がなかったことだと。だから難しいというよりも、従来の学びとか、知識とか、教えの常識に反することを提起していれば、その意味で、かなり概念的に大きな変化が必要なんだろうと思います。その意味で、趣旨を正確に伝えるということが、今後も引き続きその工夫が大事だろうと。ただ、趣旨を正確に伝えるとなると、やり方を狭く限定して、これをやっていなさいということになりがちです。それはまずいだろうと。多様なやり方が共存できるようにすると、つまり正確に趣旨を伝えると同時に、実践の具体としては多様性が共存できるということがとても大事かなと思います。
例えば田村先生が言われたカリマネというのは学校裁量権の拡大で、自律性、創造性の発揮になるので頑張っていきたいと思うわけですけれども、例えば実数を40分にするといったときに、40分にしたら、その分、実は回数が増えなきゃいけないわけですね、別表第1からすれば。ただ40分に減らして、トータルの時間数が減っているということもあったりするわけで、とてもまずいかなと思ったりしています。
あるいは教科横断ということをやりましたけれども、まだ中学には合科的・関係的な指導の規定がないので、法的にもなかなか難しいところがあったりする、この辺りをどうしていくか。あるいは、多様性を保持するという意味では、個別最適な学び・協働的な学びというのも、膨大な実践数があって、個別的な学び、新しいと言いますけど、日本でも100年前からあります。そういったものを学んで、多様性を保持するということが大事かなと。今回の資質・能力というのも新しいと言われますけれども、この間、見ていたら、1951年、西ドイツのチュービンゲン会議で、教材の過剰な投与が子供たちの意欲の低下に加えて学力の剥落現象をもたらすとかいう議論がなされていて、先ほど今村先生が言われた、カリキュラムオーバーロードの解消ということも本気で考えなきゃいけないんだろうなと思っています。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。奈須先生、引き続き、本当によろしくお願いいたします。
では、二宮委員、お願いいたします。
【二宮委員】 NHKの解説委員の二宮と申します。よろしくお願いいたします。
私は、もともと記者として教育や災害を担当してきて、2000年度、2000年から2001年にかけて、文部省がまだこっちの古い建物だった頃、文部省から文科省に変わる時期に記者クラブにいました。約20年前で、まだ20世紀だったと感慨深く思っておりますが、その当時に比べ、変わったことと変わっていないことを今回の機会に考えてみました。
1999年から2000年当時は学力低下の問題、例えば教科書が薄くなるとか電卓マークが付くとか、そういったことが盛んに課題として語られていて、それに対する考えとして、「生きる力」というのが大きく呼びかけられている頃でした。また、小中学校の通知表に絶対評価を導入することになり、それから20年たったわけです。その頃から少人数学級の必要性などはずっと言われていて、ようやくそれが今年実現でき、私もうれしいと思っています。そうした中で、一つ大きく変わったのは、GIGAスクール構想、オンライン化があると思います。そして、令和の教育改革の中で教科担任制ですとか、地域との連携が問われてくると思いますが、これらの着実な実施をフォローアップするということが大事だと思っています。
特にGIGAスクール構想、1人1台を、よりよく授業や成長につなげている学校やクラス、先生がいる一方で、ほとんど活用できず、ほぼ出席しか確認していないみたいなところも出てくるでしょうし、その平均的なレベルを上げる、高いレベルに全教科、全学級を引き上げていけるようにするにはどうすればいいかというところもかなり重要と思います。
私は学校現場をいつも見ているわけではないのですが、学校現場の先生方や教育委員会の方々から伺うのは、教員の負担、学校の負担というものが極大化してしまっている、特にこのコロナの状況という中で、そこの負担をどうやって減らしていけばいいのか。今までのように教員に対して「やりがい」だけでお願いしてきたことは、もう限界に達しているのではないかと思っております。
そういう意味では、学校、教師の働き方改革をもっと進める必要があります。そのうえで、やりがいについても、若い世代に対してもっと広く深くアピールしていく必要がと思っています。
それに、学校が社会や地域ともっと連携していくということが必要だと思うのですが、ここにも課題があると思います。私は教育のほかに、災害や防災も担当しているんですけれども、「防災は学校で教えてもらうといい」と常々思っています。「小中学校で家庭の防災を教えてもらうと、家庭での防災がもっと進む」などと解説したり、思ったりするのですが、そういったことを、みんな学校に頼んできたというのが、これまでの地域や社会だったと思います。それが、学校現場でオーバーフローしている、オーバーロードしていることにつながっているとも思っています。学校の役割、地域社会がどのように連携していくかをもっと考える必要があると思っております。
この会合の中でも、いろいろ皆さんの御意見を伺いながら前向きに考えていければいいと思っております。よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。本当によろしくお願いいたします。
では、萩原委員、お願いいたします。
【萩原委員】 全国高等学校長協会会長をしております東京都立西高校の校長の萩原といいます。よろしくお願いいたします。
私からは、荒瀬部会長からもお話がありましたが、高等学校は来年度から学年進行で新学習指導要領が始まってくるということで、今年度がその前年度ということになります。今回、中教審の答申等でも、高等学校においてスクールミッションの再定義であるとか、スクールポリシーとして、育成を目指す資質・能力に関する方針、教育課程の編成及び実施に関する方針、入学者の受入れに関する方針という三つの方針を策定していくという形になっているわけです。来年度から、新学習指導要領が始まっていく中においては、どこまでそれが間に合うのかどうか、国が考えていることと、公立で言えば設置者である教育委員会がそれをどう受け止め、さらにそれを学校にどう下ろしてくれるのか、下ろしていくのかというところ、その関係がなかなか見えてこない。国が言っている中身を、各学校がすぐに受けて動くべきなのか、それとも、その設置者である教育委員会の考え方も踏まえつつ動かなければならないのかどうかというところ、やはりなかなか難しい部分があると思っています。なかなか高等学校の動きが遅いというふうにも言われる部分があるわけですけれども、今後、教育課程の部会の中でも、高等学校の状況等も含めながらお話ができればと思います。
よろしくお願いします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。萩原先生、引き続きよろしくお願いいたします。
では、松下委員、お願いいたします。失礼しました。松下委員は別の会議に今出ておられるということで、遅れて参加されるということです。すみません。
三田村委員、お願いいたします。
【三田村委員】 全日本中学校長会の三田村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど末冨委員もおっしゃっていましたが、私も「令和の日本型学校教育」、そして現在の新学習指導要領、これは画期的であり理想的であると捉えておりまして、全力で推進していきたいなと、推進していこうという決意を持っているところでございます。
その上で、もう重複した部分は省きまして、2点、私が気をつけたいと思っていること、心配していることを申し上げます。
学校で今後推進していくに当たって気をつけなければならないのは、一言で申し上げれば手段の目的化ということです。教師は、基本的に大真面目ですので、一気に整備の進んだGIGAスクール構想、1人1台端末を責任を持ってやらなければならないという意識になりつつあると感じています。
また、社会も、非常に漠たるイメージで、このICTを活用して教育が大きく変わるのではないかという実態、具体が見えないまま期待が膨らんでいる。そういった中で、ICTを授業の中で使うことが目的になっていくという可能性を心配しているところです。
もちろん、よりよい授業のために適切にICTを活用していく、これはもう間違いのないことですが、ただ使うことが目的になってしまうと、本来、授業づくりという点でどうなのか、やはりそれはICTといえども道具であることには変わりはないわけですので、この点を間違わないようにしていく必要があると思っています。
ただ、学校がそういう努力をしていても、自らの軌道修正ができない、築けないということもあり得ますので、ぜひ今後、国や教育委員会におかれましては、一つには授業の望ましい姿というものを啓発していただけるようなものがあるといいと思いますし、また、各学校の実態把握というか、状況把握をして、必要に応じ軌道修正をしていくというようなことをお願い申し上げたいなと思っています。
それから、もう一点、これは心配していることですけれども、今やっと整備ができて、さあ始めようというところなんですが、数年先を見る必要があると思います。何かといいますと、このICTというのはハードもソフトも非常に進化が早いということ。あっという間に今あるものがハードもソフトも古くなる。そのときに、これをどうしていくんだろうと。言い方を変えると、今後も1人1台端末を貸与という形で続けるのかどうかといったことも含め、また、一つ一つのソフトとハードのマッチングだとか相性という問題も現実に出てきていますので、この辺のフォローも今後必要だと思っております。
以上でございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。三田村先生、今後もよろしくお願いいたします。
それでは、村松委員、お願いいたします。
【村松委員】 失礼いたします。島根県立宍道高等学校、村松洋子と申します。今回初めての参加となります。よろしくお願いをいたします。
宍道高校と申しますのは、定時制から通信制を併設した独立校で、まだ開校して12年目の若い学校でございます。高校では来年度からの新学習指導要領の順次実施に向けまして、今年度、その前年ということで、新しい教科、科目もありますので、具体的な指導計画とか、あるいは授業実践等を進めていかなければいけないと思っております。島根県のほうでも、来年度の入学生から1人1台端末ということの方針が出されました。ただ、学校としては、まだそれをどう活用して、どのような教育活動をしていくか、あまり具体なイメージができていないというのが実態のところでございます。
今までの教育実践の上に、このICTを活用して指導の個別化ということをうまく組み合わせて、生徒の主体的に学習を進めていく力を育成していきたいなと思っております。
また、一方、島根県内でも地域との連携、協働が進んでおります。地域の教育資源を活用した協働的な学びと、それからICT等を活用しました個別最適な学びの好循環を生み出すということを目標にしながら、今年度、先生方と一緒にいろんな試行錯誤をやっていけたらと思っております。
どうぞよろしくお願いをいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
若江委員が少し早めに御退出ということですので、山中先生、すみません。まず若江委員のほうにお話をお願いしたいと思います。
【若江委員】 荒瀬先生、ありがとうございます。山中先生、申し訳ございません。御紹介いただきました、キャリアリンクの若江でございます。私どもは民間の教育コンサルティング会社として30年前からスタートいたしました。もともと子育てで海外に接したときに、ICTを日常的に活用してもっと社会をテーマに学んでいくような、そんな日本の教育が実現してほしいという思いで、この会社を設立し、いろんな企業さんと連携しながら、学校現場のお手伝いをさせていただくということに取り組んでまいりました。
今回の学習指導要領は僭越ながら本当に私のやりたかったことを全て実現してくださっている、述べてくださっていると思っています。ですので奈須先生が、先ほどおっしゃったように、決して難しいことではなく、これが当たり前のことなんじゃないかなと思っています。
特に、民間ですから、昨年度、いろんな省庁の事業、県の独自事業を活用して、いろんな現場で実践をさせていただきました。そうすると、やはり子供たちが目を輝かせて変わっていくというさまを目の当たりにし、そして、その様子を見ながら、先生方が本来の姿に戻っていかれる、要するに迷いを消し去って、自分たちのやりたかったことはこれなんだなと気づいていかれる、そんな場面にたくさん御一緒させていただきました。でも、こういったことをできるだけ多くの方にお伝えしようと思っています。社会に向けて、そのメインは企業さんです。今期は産業界から梶谷さんも委員にお入りいただきましたから大変心強く思っておりますし、家庭に向けて親に地域にどのように伝えていくかということに、私たちもいろんな思いを持っていますが、市川委員や戸ヶ﨑委員がおっしゃいますように、糸電話ではなく、学習指導要領をダイレクトに現場で伴走して実践してみることによって、先ほどのように子供たち、そして先生方が、これが今のやり方なんだ、新しいやり方なんだ、いいやり方なんだということをきっと証明してくださるんだと思います。ですので、もう糸電話ではなく、いろんなことにチャレンジをしていく、これまで多くの経験をさせていただきましたので、また、今年も1年チャレンジをしていきたいと思っております。
そのときに大事なことが、今変わろうとしている、個別最適で、そして協働的な学びということについては、実は現場が一番そのことを理解しにくい状況にあると感じています。ですので、現場に実感をもって理解していただくにはそれを、実践できるようなカリキュラムが大事で、それを各学校単位に委ねていくのはかえって逆効果かもしれません。ですので、市単位でのコアカリキュラムといった考え方も大事だと思っています。幾ら教員研修をしても、頭でっかちになってしまって、先生たちをかえって不安にさせてしまうことが多いので、カリキュラムを先生方と一緒に伴走しながら考えたり、現場が了承しながら開発し、そしてそれを一緒に実践していく、そのプロセス自体を先生方の研修に代えていくというように、これまでとは違う新しいやり方をしなきゃいけないと思います。
さらには、そのことを実践していくために一番の障害は、学校現場は時間が足りないとおっしゃるんです。ですので、これが、今村さんも、それから奈須先生もおっしゃっていたように、いわばオーバーカリキュラムになっているところを、もう一度きちっと見直さなきゃいけないし、それを見直すための組織というのがすごく大切だと思っております。今年もこの機会をいただきましたので、昨年は、本当にいろんな実践にちょっと足踏みをしておりましたが、今年は、その成果をもって、いろんなことをどんどんどんどんお伝えしていく、そんな役割を担わせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、お待たせいたしました。山中委員、お願いいたします。山中委員、聞こえますでしょうか。山中委員、ミュートを外して御発言いただけますでしょうか。それでは、後からまたお願いするといたしまして、松下先生、別の会から駆けつけていただいたようで、ありがとうございます。御発言をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
【松下委員】 遅れて申し訳ありません。今日、実は大学分科会のほうの会議がありまして、そちらのほうが先に予定が決まってしまったものですから、そちらを優先させていただきました。
私は今回、教育課程部会に参加させていただいております。京都大学の高等教育研究開発推進センターの松下と申します。
私は、所属している部署からもお分かりかと思うのですが、現在は大学教育、あるいは大学院教育の研究開発を主な仕事としております。ただ、以前からずっと初等中等教育にも関心があり、今も中学校、高校に入って、現場の先生方と実践的な研究も行っておりますので、そういう観点から教育課程部会で何か役割を果たさせていただければと思っております。
私の専門は教育方法学で、特に能力とか教授・学習、評価というところに関心がありまして、まさに今、文部科学省で行われている様々な取組は、自分の研究にも非常に関わりが深いところです。
どうしても初中等教育と大学教育を並べて見てしまうんですけれども、例えばICTを使った教育にしても、大学ですとオンラインか対面かという話になりがちなんですが、初中等教育では、授業のどの場面でICTを使うことが有効であるのかといったような、もっときめの細かな議論が必要なのかなと思っています。
それから、大学では主にICTということになると、それをどうコラボレーションに使っていくかというほうがメインの関心になっているのですが、初中等教育では、先ほど来お話が出ているように、個別最適な学びと協働的な学びというふうになっていまして、両者がどういうふうに相互補完的な関係にあるのかという点が、私としても非常に関心のあるところです。
また、デジタルとフィジカルというところも、大学ですと割と講義と実習・実技といった授業形態で区別して議論されがちなのですが、これも初中等教育ですともっと教科とか各授業の中で細かく見ていかないといけないと思います。そういったところで大学教育と比較しながら何か新しい視点を出せればと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。松下先生、よろしくお願いいたします。
山中委員、聞こえますでしょうか。
【山中委員】 全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会の監事をしております、東京の調布市立飛田給小学校の校長の山中と申します。前期に引き続き、教育課程部会のほう、参加させていただけるということで、どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうは、小学校の校長ではありますけれども、特別な支援を必要とする子供、特に特別支援学級や通級による指導を受けている子供たちを、指導する学校のほうの立場で発言をさせていただけたらと思っています。
令和の日本型学校教育の報告書、それから、新学習指導要領、においても、特別支援教育が、どんどん進んでいるところで、うれしく思っているところです。課題と思っていることですけれども、GIGAスクールの構想で、1人1台のタブレットが配備され、これは大変にありがたいことだと思っています。個別最適な学びということで、障害のある子供も、通常の学級での授業により参加しやすくなったり、特別支援学級や通級指導教室でも一つのツールとしてとても意味のあるものになるなと。多分指導の在り方が大きく変わっていくんじゃないかなと思っています。ただ、まだ、なかなかうまく使いこなせていない部分もあるので、ICTの活用をさらに進めるようにしていかなければいけないことが一つ目です。
二つ目ですけれども、障害のある子供たち、特別な支援を必要とする子供たちも、いろいろな交流であったり、通常の学級の授業に参加したりしながら、それぞれの学びの場で指導を受けているわけですけれども、例えばそういう子供たちの到達目標ですとか評価、どんなふうにしていくのかということについて、まだまだ研究を進めていく必要がある。これが指導の内容の充実につながっていくと思います。教科全体における評価、一人一人の評価ですね。特別な支援を必要としている子供たちの学習評価について課題が二つ目です。
三つ目ですけれども、特別支援学級のほうは、子供の数が8人で1学級ということで、学年関係なく8人で1学級なんですね。そういったところも今後考えていかないと、8人、いっぱい入っているところを1人の先生が見ているという状況には限界があるなと思っています。学級編成のことは、私たち教諭、学校だけのレベルではなかなか解決し得ないことです。
あと、四つ目、これは最後になりますが、共生社会ということを見据えていったときに、当事者、障害のある子供たちへの指導をどうするかということももちろん大事なんですけれども、周りをどういうふうに育てていくか、交流及び共同学習の推進ですとか障害者理解だとかいうものをどんなふうに進めていくか、これも課題だと思っています。
以上4点、お話しさせていただきました。特別支援学校や通級指導の立場で今後も発言させていただけたらと思います。
以上です。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。山中先生、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に入りたいと思います。議題の五つ目といたしまして、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムと学習指導要領との対応関係についての説明を事務局からお願いしたいと思います。松原国際協力企画室長、よろしくお願いいたします。
【松原国際協力企画室長】 説明させていただきます。
これまでも国際的な学習プログラムである国際バカロレア(IB)・ディプロマ・プログラムと学習指導要領との対応関係については整理をされていたところでございますが、今般新たな学習指導要領が導入されるということで、対応関係を改めて調査をした結果について報告をさせていただきます。
資料の2ページ目をご覧ください。そもそもIBとはどのようなものかということですが、課題論文、批判的思考の探究等の特色的なカリキュラム、双方向・協働型授業によって、グローバル化に対応した素養・能力を育成する教育プログラムでございます。これについては世界150以上の国・地域の5,000校以上で実施をされているところでございます。
右側の下のところにIB導入の効果について三つ書いてございますとおり、グローバル人材育成、初等中等教育の質の向上、国際的通用性についてのメリットがあると考えてございまして、特にIBと、このカリキュラムと、日本の教育政策、学習指導要領も含めて親和性は高いと考えております。
このIBの教育プログラムについては、右上にございますとおり高校レベルを対象としたディプロマ・プログラムのほか、幼稚園、中学校を主に対象としたプログラムがあるところですが、特に高校レベルのディプロマ・プログラムでは、国際的に通用する大学入学資格(IB資格)が取得可能であるということで、世界の大学の入学者選抜で広く活用されているところでございます。
このようなことから、政府の方針においても、IB認定校等を2022年度までに200校以上にするという目標を掲げており、現在IB認定校等は167校ございます。
次のページをご覧ください。日本におけるIB認定校の一覧でございます。日本地図の中で赤く色をつけられているところが、公立あるいは国私立でIBが導入されている学校の所在地でございます。また、学校名で青く付されているところが、1条校で導入しているところでございまして、このように日本国内においても1条校でIBを導入する学校が増えております。
次に4ページ目をご覧ください。国際バカロレアの教育カリキュラムにおいて特徴的なところは、コア科目とそれぞれの教科の科目がある点でございます。特にコア科目が必修科目になってございまして、その中で、課題論文、知の理論、創造性・活動・奉仕という三つの科目を必修として課されており、この中で、自ら研究課題を設定することや、知識の本質について考えるなどの特筆がございます。
次のページをご覧ください。見ていただければと思います。1条校においてIBを導入するに当たっては、学習指導要領と国際バカロレアの内容を両方とも無理なく確実に学べるようにする必要がございます。このため、既に告示で、その対応関係については特例を定めて、措置をいただいているところです。
制度の概要といたしましては、高等学校卒業に必要な単位は74単位ございますが、必履修科目については高等学校学習指導要領における内容事項が適切に取り扱われていることなど、三つの要件を満たす場合には、高等学校学習指導要領との読替えを可能としており、それ以外の科目についても36単位まで卒業単位に算入を可能としているところでございます。
新しい学習指導要領の実施に向けた取組といたしましても、改めて対応関係について調査を実施したところでございまして、それについては、今後、公表の上、告示を改正させていただく予定でございます。
最後に、6ページ、7ページ目で調査をさせていただいた対応関係について付記させていただきました。特に国語やエコノミクスの部分については新たに追加した科目でございます。
以上でございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、御質問がございましたら、あまり時間がないんですけれども、お一人か、お二人、いただけれればと思いますが、いかがでしょうか。
末冨委員、お願いいたします。
【末冨委員】 念のため確認ですけれども、今回の資料というのは、IBのカリキュラムと学習指導要領との内容の、教科の対応関係についてのみの、今回は確認すればいいということになっておりますでしょうか。と申しますのも、今日の御発言にもございましたが、標準授業時数との関係の整理といった場合、IBの考え方というのはかなり特殊性が高いオリジナルなものでございますので、その辺りの検討する範囲について、念のため確認をさせてください。
【荒瀬部会長】 お願いいたします。
【松原国際協力企画室長】 御指摘のとおりで、今回御報告させていただいておりますのは、まさに教科ごとの対応関係について御確認をいただきたいという趣旨でございます。
また、御指摘いただきましたとおり、国際バカロレアと学習指導要領では異なっている部分というのは当然ございますので、その点についてはしっかり調査をいたしまして、どの部分を改めてフォローしていかなければいけないのかということについても公表させていただくということを考えております。
【荒瀬部会長】 末冨委員、よろしいでしょうか。
【末冨委員】 ありがとうございます。
【荒瀬部会長】 ありがとうございます。
それでは、時間がいよいよ参りましたので、今日はこれで終了したいと思います。先ほど皆さんから様々な御専門あるいはお立場から御発言をいただきました。大変勉強させていただきました。
具体的に新学習指導要領の着実な実施に向けて、私たちに何ができるのかということを、あるいは何をしなければならないのかということを考えながら進めてまいりたいと思っております。
第11期の教育課程部会がスタートいたしました。本当によろしくお願いいたします。
では、本日の議事はこれで終了させていただきます。次回以降の予定につきまして、事務局からお願いをいたします。
【石田教育課程企画室長】 本日は長時間にわたり意見交換を賜りありがとうございました。また、次回以降の予定、進め方につきましては、部会長とも御相談の上、改めて後日御連絡を申し上げたいと思います。
誠にありがとうございました。
【荒瀬部会長】 では、終了させていただきます。皆さん、本当によろしくお願いいたします。ありがとうございました。

―― 了 ――