平成18年7月中央教育審議会審答申 「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(抄)

3.教員免許更新制の導入 -恒常的に変化する教員として必要な資質能力の確実な保証-

(2)具体的な制度設計

4.免許更新講習の在り方

1)講習の開設主体と国による認定
  • 免許更新講習については、教員免許状が課程認定大学における所要の単位修得等により授与されるものであることを踏まえつつ、受講機会を幅広く確保する観点から、課程認定大学のほか、大学の関与や大学との連携協力のもとに都道府県・指定都市・中核市の教育委員会等も開設することができるようにすることが適当である。また、以下に述べるような免許更新講習の内容・方法等を考慮すると、課程認定大学が実施する場合でも、学校や教育委員会等の協力や参画を求めるなど、できる限り学校現場の実態に即した講習が行われるよう工夫することが必要である。
  • 教員免許状が更新されるかどうかは、資格の得喪に関わる問題であり、また、更新されればすべての都道府県で公証力を有するものとなることを考慮すれば、更新に当たっては、教員免許状の授与時に相当するような基準を設定することが適当である。
  • このため、免許更新講習の内容・方法等については、全国的に一定の水準が維持されるよう、あらかじめ、国が免許更新講習の認定基準(例えば、講習内容、方法、修了目標等に係る基準)を定め、開設主体からの申請に基づき、国が認定を行うこととすることが適当である。また、認定後も定期的にチェックを行い、認定基準を満たしていないことが明らかになった場合には、認定の取消し等の措置を講ずるなど、免許更新講習の質の確保に努めることが必要である。
2)講習内容と修了の認定
  • 免許更新講習については、教員のライフステージや、その時々の学校教育が抱える課題等を考慮しつつ、多様な講習の機会が用意されることが望ましいが、あらかじめ上述の認定基準において、基本的な内容について定めておくことが適当である。具体的には、以下の2つの要請に応えるものとすることが適当である。
    • 1.(2)で述べた新設科目(「教職実践演習(仮称)」)に含めることが必要な事項(1.使命感や責任感、教育的愛情等に関する事項 2.社会性や対人関係能力に関する事項 3.幼児児童生徒理解や学級経営等に関する事項 4.教科・保育内容等の指導力に関する事項)と同様の内容を含むものとすること
    • 社会状況や学校教育が抱える課題、子どもの変化等に応じ、その時々で求められる教員として必要な資質能力に確実に刷新(リニューアル)する内容を含むものとすること
  • また、免許更新講習の内容については、更新制の趣旨に鑑みれば、基本的に学校種や教科種に関わらず、およそ教員として共通に求められる内容を中心とすることが適当である。具体的には、教職専門(例えば、教職の今日的役割、学校における同僚性の形成、家庭や地域社会との連携、子どもの発達や課題の理解、学級経営、生徒指導、教育相談、教育課程の動向と指導の在り方等)を中心に、講習内容を構成することが適当である。(具体的な講習内容のイメージについては、別添4参照。)
  • なお、上述の共通の内容は、あくまで免許更新講習としての認定基準上の内容であり、免許更新講習の開設主体が、認定基準で定める内容以外の内容や認定基準以上のレベルの内容を盛り込んで、講習を開設することは可能である。また、このような講習を受講することは、教員にとっても専門性の向上を図る上で有意義であることから、各課程認定大学や教育委員会等の特色を活かした多様な講習が開設されることが望ましい。
  • 免許更新講習の実施形態については、講義のみではなく、事例研究や場面指導、グループ討議のほか、指導案の作成や模擬授業等を取り入れたりするなどの工夫を図ることが必要である。また、教員免許状の保有者が職務に従事しながら受講したり、保有免許状により、受講機会に格差が生じないよう、例えば、夜間や週末における講習やサテライト教室の開設による講習の実施、インターネット等の多様なメディアを活用した遠隔講習の実施等、弾力的な履修形態を工夫することが必要である。
  • 免許更新講習の修了の認定については、免許更新講習の開設主体が、国が定める認定基準に基づき、あらかじめ各講習科目の修了目標を定め、受講者の資質能力を適切に判定した上で、修了の可否を決定することが適当である。
  • 免許更新講習の内容をいかに充実したものにするかは、更新制の成否を左右する重要な課題である。このため、今後、免許更新講習が、学校現場のニーズに即した、教員にとっても更新後の10年間を保証するものとなるよう、現職研修との関係にも留意しながら、課程認定大学や教育委員会、学校等関係者の協力を得て、速やかにモデルカリキュラムの検討を行うことが必要である。

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