3.現職教員を含む現に教員免許状を有する者への適用

(1)基本的な考え方

  • 以上は、更新制の導入後に新たに免許状を取得する者の取扱いであるが、次に、このような制度を、現行制度により免許状を授与された者に適用するのかどうかが課題となる。
     この点については、「中間報告」では、現職教員を含む現に教員免許状を有する者に更新制を適用することは、授与時に課されていなかった新たな要件をもって、免許状が失効するという不利益を課すことになるのではないかとも考えられること、一方、現職教員に対する保護者や国民の期待に応えるためには、実効ある取組が不可欠であることから、これらの者に更新制を適用することが可能かどうか、法制度上や実施上の課題について、さらに検討することが必要とされたところである。
  • 現行制度においては、一旦授与された教員免許状は、懲戒免職等による失効又は取上げ処分の対象とならない限り、終身有効であることから、現に教員免許状を有する者、特に現職教員に対して、新たに更新制を適用する場合には、相当の必要性と合理性が求められる
  • 現在、我が国の幼児児童生徒の数は、およそ1,600万人であり、また、現に教員免許状を有する者は、長い者で今後30年以上にわたり、教壇に立つこととなる。このように、現に教員免許状を有する者、特に現職教員が、当分の間、我が国の公教育の中核的な担い手として、多数の幼児児童生徒の教育に当たることを考えると、今後新たに教員免許状を取得する者についてのみ更新制を適用することでは、公教育に対する保護者や国民の信頼に十分応えることができず、更新制の導入の目的が実現し得なくなるものと考える。
  • また、既に授与された教員免許状が終身有効であることは、一つの既得権益でもあるが、このような権益は必ずしも絶対不可侵のものではなく、公共の要請により、合理的な範囲内で新たに制約を課すことは許容し得るものと考える。
  • 教員免許制度は、その本来的在り方として、時代の進展に応じて必要な資質能力を担保する制度として構築されるべきものである。したがって、今回の更新制が、前述のように合理性のある制度として導入されるのであれば、現に教員免許状を有する者についても、一定期間(10年間)ごとに免許更新講習と同様の講習(以下「定期講習」という。)の受講を法的に義務付け、当該講習を修了しない場合は、免許状が失効することとすることは、必要性と合理性があるものと考えられることから、これらの者に対しても、このような更新制の基本的な枠組みを適用することが適当である。

(2)現職教員及びペーパーティーチャーの取扱い

  • 以上のような対応をとる場合、現行制度により授与された免許状は、これまでどおり終身有効であり、新たに有効期限が付されるものではない。しかしながら、現職教員については、定期講習を受講・修了しなければ、免許状が失効し、失職となることから、10年ごとに定期講習を受講・修了することが必要となる。したがって、定期講習の受講を義務付けるという今回の対応は、主として現職教員を対象として想定したものであると言うことができる
  • これに対して、ペーパーティーチャーについては、上記2(8)の場合と同様、定期講習の受講は可能ではあるが、基本的には教員免許状の再取得が必要となった時点で、回復講習を受講することが望ましいものと考える。
  • なお、上記の定期講習は、制度上の位置付けは、免許更新講習と異なるものの、受講の趣旨は同じであることから、講習の実施主体や講習内容、修了の認定、受講時期や講習時間、研修実績等による受講の免除の取扱い等については、上記2(4)と同様に考えることが適当である。
  • また、初回の定期講習の受講については、対象者が相当数に上ることから、例えば、制度導入後の一定期間内に個々の対象者の希望を踏まえて、受講時期を指定するなど、円滑かつ計画的に定期講習の受講が行われるような方策を検討することが必要である。
  • 更新制の導入等に伴うそれぞれの対象者の取扱いを整理すると、次のようになる。

 更新制の導入後に新たに免許状を取得する者

 現行制度において免許状を取得した者

 (注)免許更新講習、定期講習、回復講習は、制度上の位置付けは異なるものの、講習内容・時間等は基本的に同様のものである。

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