資料6 課程認定委員会における検討状況について

1.「今後の教員養成・免許制度の在り方について(中間報告)」における提言

  • 現在、我が国では、約800の大学(大学院を含む)、短期大学に教職課程が置かれており、また、現状では、学部段階の教員養成が中心となっていることを踏まえれば、まずは既存の教職課程、特に学部段階の教員養成教育の改善・充実を図ることが重要である。
     学部卒業段階で、教員として必要な資質能力を確実に身に付けさせ、学校現場に送り出すことが、本来、教職課程に期待される役割であり、そのことが国民や社会の要請に速やかに応えることにつながるものと考える。
  • 教職課程の質を維持し、その向上を促すため、教職課程の認定に係る審査の充実を図ることが重要である。具体的には、大学全体の教職課程の運営方針等を審査対象とすることや、教員養成に対する理念・構想など、当該大学の教員養成に対する姿勢や、教職課程を必要とする理由を十分に確認すること等の改善・充実を図る必要がある。
  • 認定後の教職課程については、課程認定委員会による実地視察の対象を拡充することや、教職課程の運営状況に関する定期的な報告を課すこと、教職課程が法令や審査基準に違反すると認められる場合には、是正勧告や教職課程の認定の取り消し等の措置を行うことを可能とすること等、教職課程の質が確実に維持されるような方策を講ずることが必要である。

2.基本的な考え方

  • 教職課程の質的水準の向上を図るためには、既存の教職課程の改善・充実を図ることが重要であるという「中間報告」の提言を踏まえ、まずは既存の教職課程の質の改善・充実を図るための方策を優先的に講ずることが必要である。
  • また、認定審査の段階から認定後に至る全過程を通じて、教職課程の質を保持するため、審査に係る基準、手続き等を整備することが必要である。

3.既存の教職課程の改善・充実-教職課程の総点検と実地視察の充実-

(1)教職課程の総点検の実施

  • 例えば今後の教職科目の見直しに伴う再課程認定等の機会に、原則として全ての課程認定大学(約800大学)を対象に、必要な基準を満たしているかどうかの点検(書面による確認等)を行うことを検討する。点検の結果、基準を満たしていない大学については、速やかに必要な是正を指導するとともに、後述(2)の実地視察を優先的に行うこととする。

(2)実地視察の充実

  • 一定期間(例えば10年間)内に、原則として全ての課程認定大学を対象に実地視察を行うことを目標として、実地視察の充実を図る。
  • 実地視察については、その趣旨・目的を明確にした上で、精選・重点化の方向で視察事項を見直し、あらかじめ各大学に示すこととする。
  • 円滑かつ効果的な実地視察を行うため、課程認定委員会の体制の整備や、採用側の教育委員会関係者の実地視察への参画等について検討する。
  • 実地視察の結果(各大学への指摘内容及び当該大学の対応)については、文部科学省ホームページ等を通じて公表する。公表に際しては、教育委員会や学生、保護者などが、当該大学の教職課程の特色や内容等を理解できるものとなるよう工夫する。
  • 当面、実地視察については、上記の方向で充実を図ることとするが、今後、「中間報告」で提言された教職課程の事後評価制度や、各大学が行っている自己評価等との関係を整理する中で、必要に応じてさらに見直しを行うこととする。

4.教職課程の認定審査の充実等

1.教職課程の全体像についての審査

 現行の個々の教育課程及び教員の審査のみでは、各大学の教員養成に対する理念や教職課程の設置の趣旨、責任ある指導体制の確立などの全体像を十分確認できない。
 このため、新たに教職課程の設置の趣旨や設置を必要とする理由、学部・学科・課程・専攻等(以下「学科等」という)の設置の趣旨と免許状の種類との相当関係、教育課程及び教員組織の編成の基本的考え方、組織的な指導体制の整備等について記載した書類の提出を義務付け、審査の対象とする。
 (教育職員免許法施行規則の改正)

2.講義概要(シラバス)の提出の義務付け

 現在、課程認定の申請の中には、法令で規定する教職に関する科目に含めることが必要な事項が、実際に設定される科目に含まれているかどうか、十分に確認できない例が見られる。
 このため、それら必要な事項が、当該科目に網羅的・体系的に含まれているかどうかを確認するため、教育課程の一環として、教職に関する科目の講義概要(シラバス)の提出を義務付け、これも含めて教育課程の審査を行う。
 (課程認定申請要領の改訂)

3.教職に関する科目の代表的な名称例の見直し等

 現在、課程認定の申請の中には、科目の名称から判断して、教職に関する科目の設定の趣旨が適切に反映されているかどうか十分確認できない例が見られる。
 このため、免許法に定める教職に関する科目の趣旨を適切に反映した科目が設置されるよう、現在、課程認定委員会において検討して各大学に示している「教職に関する科目の代表的な名称例」について見直しを行うとともに、今後、教職に関する各科目に最低限盛り込むべき内容を示すことについて検討を行う。

5.認定後の質の保持のための措置

1.初めて教職課程を置く学科等の段階的整備期間中における変更の原則禁止等

初めて教職課程を置く学科等については、段階的整備期間中は教育課程及び教員組織は原則として変更しないこととする。また、この措置を実質的に担保するため、毎年度、教育課程及び教員組織が確認できる書類の提出を義務付ける。(教育職員免許法施行規則の改正)
 定期報告により、段階的整備期間中に教育課程又は教員組織を変更したことが明らかになった場合には、速やかに実地視察を行い、必要な指導を行う。

2.教員組織の変更の届出義務付け

 現在、認定後に教育課程を変更する場合には、事前の届出が義務付けられているが、新たに、認定後(初めて教職課程を置く学科等の場合は段階的整備期間の経過後)に教員組織を変更する場合についても、事前の届出を義務付ける。(教育職員免許法施行規則の改正)

3.認定に際して留意事項を付した学科等に対する実地視察の実施

 認定の判定に際して留意事項を付した学科等については、段階的整備期間中に、実地視察を行う。

6.認定審査の簡略化

1.同一学科等における既存の教職課程の再審査の廃止

 現在、既に教職課程を有する学科等が、新たな教職課程の認定を受ける場合、教育課程及び教員組織に重複がないかを確認するため、既認定課程についても、すべて再度の審査を行っているが、今後は、教育課程及び教員組織に重複がない旨の大学長等の誓約書を求めることとし、再度の審査は行わないこととする。(課程認定審査の確認事項の改訂)

7.その他

教職課程が法令や審査基準に違反すると認められる場合に、是正勧告や教職課程の認定の取り消し等の措置を行うことを可能とする方策については、教育職員免許法の改正に係る事項であるため、今後、答申後に予定される教育職員免許法の改正時に併せて検討する。
 また、現行の教員免許課程認定審査基準(教員養成部会決定)をはじめとする審査規定の省令化についても、併せて検討する。

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-- 登録:平成21年以前 --