資料8-3 教員の働き方改革に関する関係団体・有識者ヒアリング概要

教員の働き方改革に関する関係団体・有識者ヒアリング概要


1. 実施要領
 (1)実施期間:平成29年5月17日~6月20日

 (2)ヒアリングを行った関係団体・有識者 (計:32団体・有識者)
  1 関係団体 (27団体)
   ・ 全国都道府県教育委員会連合会
   ・ 全国都市教育長協議会
   ・ 指定都市教育委員・教育長協議会
   ・ 核市教育長会
   ・ 全国町村教育長会
   ・ 全国市町村教育委員会連合会
   ・ 全国国公立幼稚園・子ども園長会
   ・ 全国連合小学校長会
   ・ 全日本中学校長会
   ・ 全国高等学校長協会
   ・ 全国特別支援学校長会
   ・ 全国公立学校教頭会
   ・ 全日本公立小・中学校女性校長会
   ・ 全国連合退職校長会
   ・ 日本教職員組合
   ・ 全日本教職員組合
   ・ 全日本教職員連盟
   ・ 日本高等学校教職員組合
   ・ 全国教育管理職員団体協議会
   ・ 全国養護教諭連絡協議会
   ・ 全国公立小中学校事務職員研究会
   ・ 公益社団法人全国学校栄養士協議会
   ・ 公益社団法人日本PTA全国協議会
   ・ 一般社団法人全国高等学校PTA連合会
   ・ 全国特別支援教育推進連盟
   ・ 全国へき地教育研究連盟
   ・ 公益社団法人日本教育会

  2 有識者 (5名) ※敬称略
   ・ 川島 高之 氏(NPO法人コヂカラ・ニッポン代表) ※
   ・ 小室 淑恵 氏(株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長)
   ・ 妹尾 昌俊 氏(教育研究家、学校マネジメントコンサルタント) ※
   ・ 竹原 和泉 氏(NPO法人まちと学校のみらい) 
   ・ 藤原 文雄 氏(国立教育政策研究所総括研究官) 
    ※1 「学校業務改善アドバイザー派遣事業」の学校業務改善アドバイザー
    


2. 教員の働き方改革に関する主な意見 
(1)教員の勤務時間の現状・長時間勤務の要因
 1 教員の勤務時間の現状
 ・ 各県市等で実施している勤務実態調査においても、国の勤務実態調査と同様に勤務が長時間にわたっている実態が明らかになっている。特に教頭と中学校の教員の勤務時間が長い。
 ・ 勤務時間内に授業準備や教材研究を行えず、時間外勤務で対応している。
 ・ 教員の勤務実態は、長時間にわたっているだけでなく、通年で多忙であり、休憩時間を取ることが難しいなど過密労働になっている。
 ・ 出張の際の補充の教員の確保が難しく、研修に参加しにくい。
 ・ 教員の勤務実態については都市の規模による大きな差は無い。
 ・ 退勤の管理が不十分である。

2 長時間勤務や多忙感の要因
 ・ 授業時数の増加やいじめ・暴力行為等への対応、特別な支援が必要な児童生徒への対応、新たな教育課題(例:防災教育、主権者教育、キャリア教育)への対応、新学習指導要領への対応、部活動、保護者等の関係者への対応等が要因として挙げられる。
 ・ 学校の担うべき業務の範囲や優先順位が明確でなく、「児童生徒のため」という言葉の下で際限なく業務が増えている。
 ・ 企業の社員と異なり、一人の教員が多機能を包括しており、分業体制ができていないため、負担が大きい。
 ・ 教員でなくとも実施できる業務やICT等の専門性を持つスタッフが担当すべき業務も教員が担っているため、優先すべき教材研究や授業準備に充てる時間、自己研鑽・能力開発の時間の確保が困難になっている。
 ・ 勤務時間より前に登校してくる児童生徒の対応のため、早朝出勤になる。
 ・ 部活動を精力的にやることを保護者や児童生徒から求められるため、活動時間の短縮や休養日の設定が難しい。また、休日に大会等の引率が発生する。
 ・ 休日の地域行事等に参加が多忙感に繋がっている。
 ・ 保護者や地域への対応は勤務時間外にならざるをえない。
 ・ 保護者からの問い合わせの電話が早朝や夜間でも学校にかかってくる。児童生徒の下校後の問題行動についても、学校に連絡があるため、教員の負担増に繋がっている。
 ・ 教職調整額制度により、勤務管理へのインセンティブが低くなっている。
 ・ 長時間勤務でも仕事へのモチベーションや満足度が高い教員が多く、歯止めがかかりにくくなっている。

(2)教員の働き方改革に関する取組や意見・要望(○:取組、◇:意見・要望)
 1 勤務時間の管理やマネジメントの強化に関すること
 ○ 出退勤管理システムの導入。
 ○ 勤務実態調査の実施。
 ○ フレックスタイムや夏時間の導入。
 ○ 業務改善チェックリストによる現状把握。
 ○ 学校マネジメント研修の実施。
 ○ 副校長・主幹教諭の配置。
 ○ 非常勤事務職員等の配置による副校長・教頭等の事務の補助。
 ◇ 労働時間や業務把握をしやすいマネジメント体制の構築。
 ◇ SCやSSW、ICT支援員等の専門スタッフを有効活用できるマネジメント体制の構築。
 ◇ 平均総労働時間・有給休暇消化率の管理職の人事評価への反映。
 ◇ 勤務実態に即した教職員の処遇改善。
 ◇ 労働時間貯蓄制度の創設。

 2 業務の削減や平準化に関すること
 ○ 事務内容や各種書類の簡素化・統一化。
 ○ 校務分掌の整理・統合。
 ○ 職員会議や打ち合わせ等の精選・合理化。会議のペーパーレス化。
 ○ 行事の実施時期・内容や日課の見直し、夏季休業の短縮、土曜授業の実施。
 ○ 一斉退勤日や長期休暇期間における学校閉庁日の設定。
 ○ 学校に対する調査等の精選。

 ○ 業務の課題と改善を話し合う会議の定例実施。
 ○ 教育委員会や学校、教職員等の関係者による協議会を設置し、学校現場の負担軽減に向けた取組を策定・推進。
 ○ PTAと連名で教員の勤務実態と業務改善への理解を求める文書を保護者に対して配布。
 ○ PTA事務の見直し。
 ◇ 学校の重要課題・ビジョンや優先順位の低い業務、教員が担わなくてよい業務の明確化。
 ◇ 小学校外国語教育による授業時数増を踏まえた標準授業時数の見直し。

 3 業務の支援に関すること
 ○ 教材等のデータの共有化。
 ○ 事務の手引き・事例集を作成し、各学校へ配布。
 ○ 学校業務改善アドバイザーの派遣。
 ○ 統合型校務支援システムの導入による各種資料・帳票等の作成事務の効率化。県内統一の統合型校務支援システムの整備。在宅勤務可能なシステムの導入。
 ○ 事務職員の職務の見直し。
 ○ 非常勤事務職員等の事務補助員の配置。
 ○ 事務の改善・効率化や事務職員の資質向上のため、事務を集中処理する事務センターの設置。
 ○ 教育委員会や事務職員による学校徴収金事務(例:未納者対応)の実施。
 ○ 小学校専科教員の配置。
 ○ 少人数指導や複式指導の緩和のための非常勤職員の配置。
 ○ SCやSSW、ICT支援員、学校司書、理科支援員、警備員等の配置。
 ○ 公立図書館による学校図書館支援。
 ○ 専門家等による学校相談チームを設置し、学校単独で対応困難な問題の解決支援。
 ○ 効果的なOJTやe-learningの推進等、研修の精選・工夫の実施。研修資料を学校や自宅から閲覧できるポータルサイトの導入を行うことにより、移動時間や業務調整に係る負担の軽減。
 ○ 夜間の保護者からの問い合わせ窓口を教育委員会に一本化。留守番電話対応の実施。
 ○ 保護者の相談に応じたり、学校・家庭・地域の連携を図るために域内の全学校に相談室を設置。
 ○ コミュニティ・スクール等の推進による地域の力の活用。
 ◇ 教材やICT環境の充実のための予算措置。
 ◇ カリキュラムマネジメントのためのアドバイザーの配置。
 ◇ 教職員定数の改善。専門スタッフ配置のための予算措置。
 ◇ 免許更新制度の改善。

 4 部活動に関すること
 ○ 顧問の複数配置や安全管理等の共同実施体制の導入。
 ○ 部活動指導員等の配置。
 ○ 生徒のバランスの取れた健全育成と教職員の勤務負担の軽減のため、部活動の休養日や活動時間の上限を設定。
 ○ 部活動の統廃合。
 ◇ 部活動顧問の教職員の処遇改善。部活動指導員配置のための予算措置。
 ◇ 部活動の在り方の検討。ガイドラインの策定。


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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成29年07月 --