資料1 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会

1.日時

 平成16年1月9日(金曜日) 10時30分~13時

2.場所

 如水会館 「松風の間」

3.出席者

 國分部会長、田村副部会長、大南委員、岡本委員、小栗委員、小野委員、川並委員、高倉委員、渡久山委員、永井委員、西嶋委員、野村委員、橋本委員、平出委員、松尾澤委員、宮﨑委員、森川委員、山極委員、山﨑委員、横須賀委員、横山委員、渡辺委員

文部科学省

 矢野文部科学審議官、近藤初等中等教育局長、田中スポーツ・青少年局長、樋口審議官、高杉スポーツ・青少年総括官、竹下教職員課長、大木学校健康教育課長、その他関係官

4.議事

(1)栄養教諭の養成・免許制度の在り方について

 栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループの主査である平出委員より、「栄養教諭の養成・免許制度の在り方について(報告案)」等について説明の後、質疑応答。主な発言は以下のとおり。

 報告案では、栄養教諭の職務として他の教員との関係を重視しているが、もっと強調してもよいのではないか。また、学校での児童生徒への指導だけでなく、保護者とのかかわりが非常に重要な意味を持つので、養成においてはそういう資質が伸ばされることが必要である。

 一種免許状を標準とするとされているが、教育職員養成審議会第2次答申や教育改革国民会議の議論を踏まえると、「当面」などとするのはどうか。管理栄養士等の養成課程のうち、教職に関する科目との類似があるものとはどのようなものがあるのか。教諭や養護教諭の免許状を有する者は、教職に関する科目は「既に修得したものとして扱い」とまわりくどい表現になっているが、「修得している」としてもよいのではないか。また、食に関する指導の重要性にかんがみ、他の教諭等に対しても必要な資質能力を身に付けることが必要との部分では、養成・研修に触れられているが、採用についても少し触れられないか。

 参考資料の中で、栄養士、管理栄養士の養成課程の科目・単位数が示されているが、教職に関する科目との類似では、例えば「栄養教育論」などで教育に関する事項が部分的に触れられている。
表現については最終的な報告に至るまでの段階で推敲を続けていきたい。また、ワーキンググループでは、全体的に栄養教諭は必置としないこと、市町村や学校によってかなり事情が異なることを考えると、本報告案では基本的な考え方を示して、あとは教育委員会や自治体が自主的に判断することとしてはどうかという意見であった。

 栄養教諭の養成は大学を基本とし、一方で指定教員養成機関での養成も行うと二つの道を設けているが、どちらにウェイトを置いているのか。専修免許状については、現在は大学院で取得することとなっているが、指定教員養成機関を設けた場合はどうなるのか。大学で単位認定するとなれば、栄養教諭のための課程、学科、専攻等を設ける必要があるのではないかと思うが、そのことについてワーキンググループでどの程度検討されたのか。

 大学での養成が原則であるが、現在、専門学校等においても栄養士、管理栄養士の養成が行われいる実態があり、文部科学大臣の指定する教員養成機関で幼稚園教諭等の養成が行われているのと同様に、栄養教諭の養成の途を開くものである。専修免許状は、管理栄養士の資格を持っている者が取得することが原則となっている。専門学校等で二種免許状を取得して栄養教諭になった者は、在職年数と一定の単位修得により一種免許状を取得し、さらに管理栄養士免許を取得し、単位を修得することなどにより、専修免許状を取得することができる。

 「1.栄養教諭の職務内容と専門性」について、見出しと内容が必ずしも対応していないのではないか。

 「学級担任が作成する年間指導計画」とあるが、中学校では教科担任制になっているので「学級担任や教科担任」としてはどうか。また、食に関する内容は家庭と切り離すことはできない。例えば、保護者への啓発指導など、保護者へのアプローチをより深めるような記載はできないか。また、専門学校で養成を行うことと、教職に関する科目の内容・単位数との関連はどうなるのか。

 教職に関する科目をどの程度整備できるかについては、文部科学大臣が指定する際にどの程度教職に関する科目をそろえられるかということも含めて考えられるので、それぞれの専門学校で教職に関する科目の充実が急がれるのではないか。

 文部科学省が指定する際にどこまで審査するかにかかっていると思うので、十分配慮してほしい。

 管理栄養士等の養成課程の科目は、栄養と人体、健康ということに重きを置いているように見える。それに加えて、児童生徒の心理、教育原理など教育に関する専門知識が必要になってくる。さらにその間に、食文化、食の歴史というものがあればよいのではないか。上級免許状取得のための方策については、移行措置の期間には多くの者が栄養教諭になれるように便宜を図っていただくよう各都道府県教育委員会に指導してほしい。

 文化としての食だけでなく、欠食や孤食など家庭論の問題もあるので、栄養に関する専門性と教職に関する専門性が教授されれば直ちに栄養教諭になるのではなく、さまざまな問題に対応した授業科目を設けていかなければならないのではないか。参考とする養護教諭においても、疾病に関する専門性と教職に関する専門性だけでなく、虐待や家族の問題なども出てきている中で質的な変化を迫られている。栄養教諭の場合にも、食文化としての専門性に加え、社会学的な素養が表に出されなければならないのではないか。食に関する指導のコーディネータ的な面が強調されているが、地域における伝統文化、食文化とのかかわりの中で、自己管理能力を持った子どもの育成を考えた教員養成を行っていかなくてはならない。国立の教員養成大学等での養成は難しいと思うが、開放制との関係で考えれば偏った教員養成になるのではないか。国立の教員養成大学等の中で、1年でも栄養教諭を養成するシステムを作る必要があるのではないか。

 具体的なカリキュラムや科目名についてはワーキンググループにおいて例が示され、意見交換がなされた。食文化についてはかなりの頻度で発言があったが、「栄養教育概論」(仮称)4単位の中にどの程度含めるかということになると思う。また、選択科目として食文化論等の科目を設けることも考えられる。管理栄養士の養成の側でも考えてほしいとの意見も出た。自己管理能力については、すべての教科の中で児童生徒に教えていかなければならないものであり、養成においては当然に考慮すべきものである。国立の教員養成大学等は現在改革期にあり、この制度を踏まえて改革を進めてもらいたいと思う。当面は、管理栄養士等の養成を目的とする大学等との連携の中で、教職に関する専門性の面で一定の役割を果たすことになるのではないか。

 児童生徒への教科における指導については触れられていないが、学校給食や総合的な学習の時間等のほかに、関連する教科の記載が必要ではないか。学級担任や教科担任との連携についても少し触れておいた方がよいのではないか。

 障害のある児童生徒に対する栄養指導を含めた調理全体を考えることが必要である。また、外国人の子どもなど宗教によって食べられないものがあることにも十分配慮する必要がある。

 栄養教諭を創設する背景として、家庭における食の在り方、日本全体での教育の在り方と同様の視点に立って、子どもにとっての食の意義についても触れていただいた上で、栄養教諭の養成が大切であるとの論法に持っていっていただきたい。

 本報告案は教員養成・免許制度に限定してまとめており、他の部分は初等中等教育分科会でも別途議論いただいており、また、スポーツ・青少年分科会では中間報告をまとめていただいたので、今後答申案を作る中で全体としてまとめていただけるのではないか。

(2)今後の日程等について

 ワーキンググループの原案を基に、本日の意見を踏まえた修正を部会長に一任し、部会の報告として確定することで了承された。
 事務局より、本部会報告が今後初等中等教育分科会に報告されるとともに、中央教育審議会の答申案に記載される旨等説明があった後、閉会となった。

5.閉会

以上

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成21年以前 --